2024年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« 2010年12月 | メイン | 2011年2月 »

2011年1月

2011年1月13日 (木)

チャイナマネーと競馬(前)

1月4日に共同通信が配信したニュース記事に興味をそそられました。引用します。

…………………………………………………………
「マカオのカジノ収入過去最高 1兆9千億円」

【香港共同】マカオのカジノ監督当局は4日までに、2010年のマカオのカジノ総収入は前年比58%増で過去最高となる1883億パタカ(約1兆9300億円)となったと発表した。香港紙、蘋果日報は米ラスベガスのカジノ収入の約4倍だとしている。

 マカオのカジノは政府税収の大半を占める主力産業。カジノ収入は06年にラスベガスを抜いて世界一となり、その後も毎年10~40%台の高成長が続いている。中国大陸からの富裕な観光客が収入の伸びに貢献しているとみられる。
http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011010401000777.html
…………………………………………………………

ラスベガスの4倍という売り上げもさることながら、伸び率が凄まじいですね。2010年のJRAの総売り上げは2兆4275億円ですから、まだ勝ってはいるものの、マカオの売り上げ増加率とJRAの減少率から考えると、今年はおそらく逆転するでしょう。記事にもあるとおり、この原動力は中国大陸から流入する富裕層のパワーです。

現在の中国は、バブルのまっただなかにあり、表向きの華やかさとは裏腹に、中国政府が経済政策の舵取りに苦慮(苦悶?)していることが見て取れます。ほとんど綱渡りのような危うさといっていいと思います。したがって、この好況がいつまで続くかは分かりません。

ただ、そうした懸念はとりあえず脇に置き、現在の好況を享受する富裕層の存在に着目すれば、彼らが握るチャイナマネーを取り込むことはどのビジネスにとっても大きなチャンスです。

たとえば、銀座の松坂屋前は観光バスが停まるポイントでもあるのですが、最近は中国からの団体客が激増し、ここで降りた中国人観光客がそのまま松坂屋に吸い込まれていく光景を目にします。驚くべきは店員の語学力。どの売り場の店員も流暢に中国語を話すのです。中国人の富裕層を取り込むための企業努力がそこにあります。(続く)

2011年1月12日 (水)

ダ1200m新馬戦はマンハッタンカフェ産駒が狙い目

3日間開催に組まれた新馬戦は8レース。1番人気馬はひとつも勝てず、7番人気以下が4頭勝ち、そのうちの2頭は二桁人気でした。荒れに荒れました。昨年の正月3日間開催は堅すぎるぐらい堅かったのですが。

土曜 中山4R・新馬戦(ダ1200m)
     コンノート(父キングカメハメハ/4番人気)
   京都4R・新馬戦(ダ1800m)
     サングップ(父ブラックタキシード/3番人気)

日曜 中山6R・新馬戦(芝1600m)
     テキサスルビー(父スペシャルウィーク/4番人気)
   京都4R・新馬戦(ダ1200m)
     メイショウマシュウ(父アドマイヤマックス/11番人気)
   京都6R・新馬戦(芝1600m)
     ウアジェト(父シンボリクリスエス/7番人気)

月曜 中山4R・新馬戦(ダ1200m)
     カナエチャン(父マンハッタンカフェ/7番人気)
   中山6R・新馬戦(ダ1800m)
     ヒラボクマジック(父アグネスデジタル/2番人気)
   京都3R・新馬戦(ダ1400m)
     マックスシャルビー(父マヤノトップガン/12番人気)

新馬戦の予想は、想定メンバーが確定した木曜日の夜に七割ぐらい終わっています。配合のみを見て本命馬を決め、簡単な予想文も書きます。調教は見ていないので、出走前日に調教資料を見て、数字に納得が行かなければ◎を変更することもあります。いくら配合が良くても調教が酷ければ走りません。

月曜中山4R(ダ1200m)を快勝したカナエチャンは、じつは想定段階で◎でした。調教が平凡だったため、日和って▲に落としてしまったのが失敗でした。もっとも、2着ファインセンス(10番人気)が無印だったので、どのみち不的中でしたが。
http://www.youtube.com/watch?v=54INGA8mROU

当初、◎に推した根拠の柱は“マンハッタンカフェ産駒のダ1200m新馬戦における強さ”です。レース前までこの条件の連対率は50%(8戦4連対)。新たにカナエチャンが勝ったため、数字は55.6%(9戦5連対)に上がりました。

マンハッタンカフェ産駒は、基本的に芝の1800mぐらいがいいタイプで、これに母方の影響が加わって距離や馬場の適性が変わってきます。ダートも決して不得手ではなく、連対率のみを比べれば芝を上回っているのですが、データをよく見ると下級条件で数字を稼いでおり、OPや重賞クラスまで出世する産駒はエイシンモアオバーなどごくわずかです。

一般的に、マンハッタンカフェ産駒を新馬に下ろす場合、芝1400~1800mあたりが最適でしょう。ダ1200mを使うのはその条件で十分戦えるという見込みがあるからだと思います。カナエチャンは「マンハッタンカフェ×Horatius」という組み合わせ。母の父 Horatius は Safely Kept(BCスプリント)の父でダート向きのスピードを伝えます。その父 Proudest Roman は本邦輸入種牡馬ブレイヴェストローマンの全兄。このあたりの影響が調教段階から表れていたのでしょう。時計は平凡でしたがレースぶりは完勝でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101997/

2011年1月11日 (火)

フェアリーSはダンスファンタジア

暮れの阪神ジュベナイルフィリーズでは引っ掛かって惨敗した▲ダンスファンタジア(1番人気)が、前に馬を置いてしっかりと折り合い、直線で楽々と抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=hRvJZ4tZa6I

前走はレース前からテンションが高かったのですが、今回はそんなところを見せず落ち着いていました。5ハロン通過が57秒1というハイペースも良かったのでしょう。

昨年のフェアリーSは、5ハロン通過が56秒8とさらに速かったのですが、これはカホマックスが大逃げを打って記録したものなので、後続馬群はそれほどのハイペースではありませんでした。今年は後続馬群が付いてきていたので、どの馬にとっても厳しいラップだったと思います。その流れのなか、他馬とは1頭だけ違う手応えで完勝したのですから、地力の違いは歴然としていました。優れたハイペース耐性はクラシックの厳しい流れでも活きるでしょう。『赤本』のクロスレビューでは、「父の関係で一定の限界があるかもしれないが、配合は良好なのでG3ぐらいなら獲れるかも」と論評しました。今回のレースぶりを見るともう少し上を狙えそうですね。

この流れを作り出した◎イングリッド(3番人気)は、出負けしたあと引っ掛かり、途中で横山典弘騎手が抑えるのを諦めて行かせました。ちょうど、阪神ジュベナイルフィリーズのダンスファンタジアのようなレースでしたね。直線では勝負そのものを諦めて追うのを止めました。参考外のレースです。

シンザン記念で引っ掛かったドナウブルーと今回のイングリッドはいずれもディープインパクト産駒。牝の同産駒は気性的に難しいところが出やすいのでしょうか?

ダンスファンタジアの母ダンスインザムードは、桜花賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)などを勝った名牝で、繁殖牝馬としてもいきなりこれですから、かなりの器であるのは間違いないでしょう。現2歳はシンボリクリスエスの牡、現1歳はチチカステナンゴの牡。いずれの父もPOGでは指名しづらいのですが、それなりの評価は当然必要でしょうね。

勝ったダンスファンタジアも、2着△スピードリッパー(7番人気)も、「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。後者はポップロックの半妹ですから、1、2着馬ともにポテンシャルの高いファミリーから誕生しています。「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」は中山適性が低い、という特徴があるため、積極的に買いたい気分にはなれなかったのですが、一般的な傾向に過ぎないデータを重視するあまり、個々の器を軽視してしまったのは失敗でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102910/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103322/

2011年1月10日 (月)

シンザン記念はレッドデイヴィス

先日、根岸へ行った際、馬の博物館の脇に五冠馬シンザンの銅像があったので、初詣気分でポンポンと柏手を打ちながら「シンザン記念お願いします」と拝んだのですが、効果ありませんでした(笑)。

勝ったレッドデイヴィス(7番人気)は、レース前の評価は低かったものの、内容は良かったと思います。昨年のガルボぐらいの力はありそうですね。勝ちタイム1分34秒0はレースレコード。
http://www.youtube.com/watch?v=WQpvgV0aDtM

前走は1位入線したものの、直線で大きく外にヨレて降着処分(10着)を受けています。セン馬でもあるので、気性面が難しい馬なのかな? という懸念があり、印が打ちづらかったのですが、今回はスムーズな競馬で突き抜けました。3歳のこの時期にセン馬が重賞を勝った例は記憶にありません。

菊花賞(G1)とメルボルンC(G1)を勝ったデルタブルース(父ダンスインザダーク)は、母ディクシージャズの半弟にあたります。5年前のPOGで、デルタブルースの半弟にあたるキングオブブルース(父アグネスタキオン)という馬を2位指名しました。脚もとの弱い馬で、ダービー週にようやくデビューに漕ぎ着けたものの、1戦0勝で引退しました。レッドデイヴィスはキングオブブルースの4分の3同血馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103235/

           ┌ アグネスタキオン(その父SS)
レッドデイヴィス ――┤
           └○┐
             └ ディクシースプラッシュ

           ┌ アグネスタキオン(その父SS)
キングオブブルース ―┤
           └ ディクシースプラッシュ

           ┌ ダンスインザダーク(その父SS)
デルタブルース ―――┤
           └ ディクシースプラッシュ

父アグネスタキオンは素軽さと瞬発力が武器。大レースを勝つには底力の補充が必要で、母方にはヨーロッパの重厚な血を入れたいところ。底力血脈の代表格である Ribot 系は悪くなく、このパターンからディープスカイ、サンライズプリンス、ダイワワイルドボア、レインボーペガサス、アドマイヤメジャーといった活躍馬が出ています。今回、レッドデイヴィスが走ったことで、この牝系がアグネスタキオンと合うことが証明されたと思います。Halo≒Sir Ivor 3×5もいいですね。ちなみに、レッドデイヴィスはセン馬なので、クラシックへの出走権がありません。

◎ドナウブルー(1番人気)は5着。理由は分かりませんが気負っていました。前半掛かってしまったのがすべてです。あれでは伸びません。

2011年1月 9日 (日)

ターゲットマシン視界良好

土曜中山の寒竹賞(3歳500万下・芝2000m)はターゲットマシン(2番人気)が豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=V4ilqgrHIYo

鞍上の田中勝春騎手は、ゴールを駆け抜けたあと、こぼれる笑いを抑えきれないといった表情でしたね。たぶんクラシックの皮算用でもしていたのでしょう(笑)。大出遅れをものともせず差し切った初戦は、モノの違いを強烈に印象づけるものでした。今回は上手にゲートを出て好位でレースを進めるという常識にかかる内容。坂を上がってからの迫力ある伸びに一瞬父の姿がダブりました。

母ハンターズマークはキングカメハメハの半姉。母の父 Titus Livius は「Machiavellian×Be My Guest×Mill Reef」ですから、血統的には中距離を走ってもおかしくないのですが、現役時代はスプリンターとして活躍しました。ディープインパクト産駒は、母の父がスプリンターであっても無理なく消化してしまい、フットワークの鋭さに転化してしまうという懐の深さがあります。たとえばドナウブルーなどもそうです。スプリンターは往々にしてガッチリとした体型で筋力があり、回転の速いフットワークを伝えます。小柄でしなやかでトビが大きいディープインパクトに足りない要素です。スプリンターとの組み合わせは足りないものを補完できるのでしょう。ターゲットマシン自身は中距離タイプ。マンファスの牝系はやはり侮れない活力を伝えます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102935/

「栗山ノート」のディープインパクトの項では、トライマイベスト(=El Gran Senor)-ラストタイクーンのラインを持つ馬を3頭取ってみたのですが、ターゲットマシンは取り逃しました。Titus Livius がどうなのかという気持ちがありました。母方にラストタイクーンを持つ馬で最も期待を掛けていたレッドディアーナ(母ケイウーマン)は、どうやら肺の感染症で死んでしまったようです。馬体も配合も素晴らしく、間違いなく大物だったと思います。合掌。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/

2011年1月 8日 (土)

根岸競馬場跡を歩く

競馬を生業としながら、横浜にある根岸競馬場の跡地へは一度も足を運んだことがありませんでした。理由はただ単に遠いからです。木曜日にちょっと気合いを入れて行ってみました。

重々しい威容で聳え立つ1930年建造のスタンドは、周囲を柵で囲われているので、内部に立ち入ることはできません。くすんだ灰色の外壁には無人の歳月を物語るようにびっしりと蔦が絡みついており、その風格と迫力は思わず息を呑むほどです。ハトやカラスにとっては格好の休息所のようで、高層部分にときおり舞い降りては下界の人間たちを眺めています。YouTube に動画がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=mz2kJAQiBfc

この地では幕末から競馬が行われていました。『F.ベアト写真集1 幕末日本の風景と人びと』(横浜開港資料館編)には、ベアトによる次のような解説文があります。

「遊歩新道開通後1年ほど経って、設計・工事ともに優れた競馬場が、道路沿いの美しい場所に完成した。周囲1マイル以上もあり、かなりの労力が費やされた。スタンドから見える景色の美しさと広大さは、他に類がないと言ってもよく、東アジアにある最高のもの、また最もすばらしいものの一つと考えられる。」

こんな文章があるのだから、当然競馬場の写真もあるだろうと思いきや、それに添えられた1枚は、競馬場とは反対側の、海側の風景を収めたものです。

根岸競馬場(正式には横浜競馬場)は、幕末の1867年から太平洋戦争中の1942年まで75年にわたって競馬が行われました。馬の姿が消えてから69年が経過したので、そろそろ開催していた年月に並ぼうとしています。1939年に「横浜農林省賞典4歳呼馬」として創設された皐月賞は、第1回から第4回までここで行われています。初代三冠馬のセントライトが皐月賞を勝ったときもこの競馬場でした。
http://ahonoora.web.fc2.com/stlite.html

夕日に映える美しいスタンドを眼に焼き付けてから、さて帰ろうかと歩いていたところ、JRAの馬の博物館で「秋山好古と明治の騎兵」という特別展が開催中であることを発見。引き寄せられるように入館しました。

秋山好古(1859~1930年)は、「日本騎兵の父」といわれた名将です。NHKのドラマ『坂の上の雲』では阿部寛が演じています。陸軍士官学校の同期で、のちに元帥となった上原勇作は、「秋山大将は典型的な古武士的風格のある武将だった。秋山のような古武士は今後ふたたび出ては来ないだろう」と評しています。陸軍大学校で学生たちに騎兵とは何かという講義していたときに、突然、素手で窓ガラスを打ち割り、血まみれになった拳を掲げて「騎兵とはこれだ」(防御力は弱いが機動力を活かして敵を打ち破ることができる)と説明したエピソードは有名です。たしかに現代の日本にはいないタイプの人間でしょうね。

「日本競馬の父」といわれ、安田記念にその名を残す安田伊左衛門は、もともと陸軍の軍人で、最終階級は陸軍騎兵大尉です。明治時代の日清・日露戦争において、国産馬の能力が劣っていることを認識した政府は、馬匹改良には競馬の発展が不可欠と判断し、1906年に馬券発売を黙認したという経緯があります。競馬の振興は騎兵の強化を図るという側面があったわけです。『坂の上の雲』への便乗だけでなく、日本競馬が辿ってきた道筋を振り返るという意味でも、なかなかいい企画ではないかと思いました。

博物館から出ると、すでに辺りは薄暗くなっていました。空腹感を覚えたので、中華街に足を伸ばして五目焼きそばとワンタンと杏仁豆腐を食べ、土産に中華菓子を買い求めてから帰途に就きました。競馬開催のない日はほとんど家に籠もって仕事をしているのですが、こんな1日もいいものだなぁと……。

2011年1月 7日 (金)

デルマドゥルガーを侮るべからず

■水曜京都6R・新馬戦(芝2000m)は▲アドマイヤパーシア(2番人気)がインから鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=h--xSqzv77Q

「ゼンノロブロイ×フレンチデピュティ」ですからアニメイトバイオ(ローズS)と同じ。ゼンノロブロイ産駒は新馬戦に強いタイプとはいえないので本命は打てなかったのですが、素質の高さが父の適性を凌駕しましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103371/

ゼンノロブロイ産駒はこれで芝2000mの新馬戦で連対率30.8%となりました。これはなかなかのものです。1、2番人気に推された4頭は全勝、それ以外は全敗という結果(13戦4勝)なので、人気馬は信頼できるという傾向が出ています。2代母ハッピートレイルズにしっかりとヨーロッパ血統が入るのはいいですね。ゼンノロブロイはアメリカ血統が強いので、産駒が芝向きの大物となるには、ヨーロッパ血統のサポートが不可欠です。同じ「ロブロイ×フレンチ」のアソルータという牝馬をPOGで指名しているのですが、まだ出てきません……。

◎ヴイブラッド(3番人気)は4着。距離を短縮したほうがいいかもしれません。

■水曜中山6R・新馬戦(芝2000m)は▲テラノコブラ(2番人気)が逃げ切り勝ちを収めました。
http://www.youtube.com/watch?v=Py0oy_2x7G8

1月3日のエントリーで取り上げた「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」という組み合わせ。この配合は芝2000mの新馬戦で連対率44.4%と走ります。この一族は平坦向きの特徴をうっすらと伝えているので、ローカルならさらに強いかも?
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103006/

1月5日のエントリーで取り上げた◎カラータイマー(1番人気)は3着。直線で進路が開かず不本意な競馬でした。スムーズにレースを運べていたら勝っていたような気がします。

■水曜中山9R・ジュニアC(2歳OP・芝1600m)はデルマドゥルガー(2番人気)が差し切り勝ち。大外をマクってねじ伏せたのですから強かったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=ZV0wJ-8-nqE

新種牡馬リンカーンの子は成績が芳しくありません。一言でいってスピード不足です。新馬戦では連対率2.1%(48戦1連対)ですから仕上がりも遅いほうでしょう。本馬は母方にスピード豊かな Mr.Prospector と Danzig が入る効果なのか、リンカーン産駒にしてはシャキッとしています。叩いて良さが出てきたようでこれが9戦目のレースでした。1戦ごとに成長しており、Sadler's Wells や Roberto といった底力のある血を抱えているのも怖いですね。こういう泥臭い雑草タイプは要注意。父リンカーンは打率こそ極度に低いもののホームランを打てるタイプかもしれません。基本的には小回り向きでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106038/

2011年1月 6日 (木)

京都金杯はシルポート

いつの年でしたか、新年初日の競馬で、第1Rから第10Rまで連続して当たり続けたことがありました。「今年は全レース当たり続けるんじゃないか?」と怖くなりました(笑)。

「TARGET frontier JV」で調べてみたところ、88年の第1回中山初日でした。この時代は3連単はおろか馬連すらなく、枠連中心だったので馬券の難易度は低かったですね。枠連の配当は以下の通り。

第1R  880円
第2R  450円
第3R 1150円
第4R 1420円
第5R 1050円
第6R  480円
第7R 1150円
第8R  430円
第9R  720円
第10R  470円

あらためて見ると当たって当然のレースばかり。結局、この日はメインレースと最終レースで連敗し、ぜんぜん儲かりませんでした。競馬は詰めが甘いとダメです。

さて、2011年の新年一発目。勝負レースにピックアップした京都金杯(G3・芝1600m)は詰めが甘くて不的中。残念……。

◎ガルボ(3番人気)は自信の本命馬。そして、期待どおり2着を確保してくれました。しかし、勝ったシルポート(7番人気)は無印。マイル戦で57キロを背負ったら厳しいのでは……という気がしていたのですが、気分よくマイペースで逃げられてしまいましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005109202/

「ホワイトマズル×サンデーサイレンス」は、すでにアサクサキングス、シャドウゲイト、シンゲンという重賞勝ち馬を出しています。この組み合わせはニックスでしょう。ホワイトマズル産駒は切れる脚がないので、先に行って粘ったほうが味が出ます。

ホワイトマズルの父ダンシングブレーヴは、母の父に Drone を持ち、これがサンデーサイレンスの父 Halo と相似な血の関係にあります。このニックスについては昨年11月9日、10日のエントリーをご参照くださいませ。

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

もうひとつの重賞、中山金杯(G3・芝2000m)はコスモファントム(1番人気)が抜け出しました。強い4歳世代に属し、前走負けた相手が有馬記念3着のトゥザグローリーですから、ここでは力が一枚上でした。

配合的にはいいとも悪いとも評価しづらい馬です。父 Stephen Got Even はアメリカのダートホース、母 Southern House は伊1000ギニー(G2・芝1600m)の2着馬。母の父 Paris House は芝のスプリンター。この馬の血統表を眺めると、知らない言語を目の前にした翻訳者のような気分になります。正直なところよく分かりません。戦績を見ると、どんな条件でもこなしてしまうオールマイティータイプ。それが長所でもあり短所でもあるような気がします。距離や馬場がどうであろうと好走する反面、相手が強化されると、その条件のスペシャリストに後れをとる、というのがオールマイティータイプの典型的なパターンです。はたしてこの馬はどうでしょうか?
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110012/

騎乗した松岡正海騎手は初日に3勝の固め打ち。今年は怪我さえなければリーディングジョッキーになるのではないかと思います。

2011年1月 5日 (水)

ダービー馬の半弟カラータイマー出陣

1月5日、中山6Rの新馬戦(芝2000m)には、日本ダービー馬エイシンフラッシュの半弟カラータイマー(父アグネスタキオン・藤沢和雄厩舎)が出走します。「栗山ノート」のアグネスタキオンの項では一番最初に挙げた馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103023/

「栗山ノート」を作成した4月半ばの段階では、半兄エイシンフラッシュがあれだけ切れる脚を使う馬だとは認識していませんでした。“サンデー系×ドイツ血統”ということで、うまくハマってマンハッタンカフェやブエナビスタのようなタイプになれば――という期待を抱いていました。配合的には優れていると思います。どんな馬なのかパドックでじっくりと観察してみたいですね。

今年、その動向が大いに注目されるディープインパクト産駒は、初日に2頭出走します。京都5R・未勝利戦(芝2000m)のダノンウィスラーと、中山6R・新馬戦(芝2000m)のキングダリア。

ダノンウィスラーのほうが勝機はあると思いますが、このレースにはエイシンモンジューとピエナセレブという強敵が出走を予定しており、そう簡単には勝たせてもらえないでしょう。ディープインパクトについては昨年末にいくつか考察を記しましたので、よろしかったらご覧くださいませ。

ディープインパクトの格上がり戦(11/30)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html
ディープインパクト産駒のトビの大きさとその影響(12/6)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-9f4d.html
ディープインパクト産駒はなぜ逃げて強いのか(12/15)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-ba48.html

2011年1月 4日 (火)

2010年の米リーディングサイアーは Giant's Causeway

『BloodHorse.com』の報道によると、2010年の米リーディングサイアーは Giant's Causeway(父 Storm Cat)で確定しました。Equineline 社の集計(対象は北米繋養の種牡馬で、集計範囲は北米に加えてヨーロッパ主要国、UAEを含む)によるものです。Giant's Causeway は2年連続の栄冠。
http://www.bloodhorse.com/horse-racing/thoroughbred-breeding/sire-lists/general

1位 Giant's Causeway(1997年生・by Storm Cat)     $8,806,163
           http://www.pedigreequery.com/giants+causeway
2位 Distorted Humor(1993年生・by フォーティナイナー)$8,719,841
           http://www.pedigreequery.com/distorted+humor
3位 Malibu Moon(1997年生・by A.P.Indy)       $8,558,872
           http://www.pedigreequery.com/malibu+moon
4位 Maria's Mon(1993年生・by Wavering Monarch)   $8,233,602
           http://www.pedigreequery.com/marias+mon
5位 Smart Strike(1992年生・by Mr.Prospector)    $8,067,233
           http://www.pedigreequery.com/smart+strike
6位 More Than Ready(1997年生・by Southern Halo)   $7,303,709
           http://www.pedigreequery.com/more+than+ready
7位 Elusive Quality(1993年生・by Gone West)     $7,172,267
           http://www.pedigreequery.com/elusive+quality
8位 Tale of the Cat(1994年生・by Storm Cat)     $6,959,865
           http://www.pedigreequery.com/tale+of+the+cat
9位 Lion Heart(2001年生・by Tale of the Cat)    $6,955,390
           http://www.pedigreequery.com/lion+heart2
10位 Speightstown(1998年生・by Gone West)      $6,791,937
           http://www.pedigreequery.com/speightstown

ベスト10の常連でリーディングサイアーの経験もある A.P.Indy が26位に急降下し、08、09年と好成績だった Tiznow も22位に落ちました。昨年は目覚ましい活躍をした種牡馬が見当たらず、上位拮抗の団子レースといった様相で、06年以来4年ぶりにリーディングサイアーの獲得賞金が1000万ドルの大台を割り込みました。1位 Giant's Causeway、2位 Distorted Humor、という順位は昨年と同じです。

Giant's Causeway については昨年11月18日のエントリー「Northern Dancer 没後20年(3)」で以下のように記しました。

「Storm Cat 系を背負って立つエースが Giant's Causeway であるのは衆目の一致するところでしょう。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出しています。まだ13歳ですから少なくともあと数年は第一線で頑張れるでしょう。」

「Storm Cat は、パワーと仕上がりの早さは超一流ですが、日本の軽い芝にフィットするようなしなやかさと瞬発力を欠き、気ムラで信頼性が乏しいという欠点があります。早い話が日本向きの血とはいえません。サンデーサイレンスとの相性もイマイチでした(息子のスペシャルウィークやマンハッタンカフェとは相性良好)。

ただ、 Giant's Causeway はそのあたりのアクの強さが緩和されており、日本で走ったスズカコーズウェイとエイシンアポロンは芝の重賞を勝ちました。Storm Cat 系は今後、Giant's Causeway を通じて発展していくものと思われます。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-2.html

昨年は、クラシック直前に無念のリタイアとなった Eskendereya が稼ぎ頭でした。同馬はすでに引退し、今年から種付けを開始します。昨年4月29日のエントリー「ケンタッキーダービー大本命馬 Eskendereya が出走回避」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/eskendereya-421.html

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!