2024年3月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

配合

2011年11月 6日 (日)

ファンタジーSはアイムユアーズ

最初の3ハロン「34秒1」はレース史上最速。もともと馬場コンディションはいいものの、京都競馬場は昼前からずっと小雨が降っており、その影響を考えるとやはり速いペースでした。加えて外差しの馬場となっており、最後の1ハロンで12秒0とラップを落ちたところで大外から△アイムユアーズ(8番人気)が綺麗に差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=D_uRTnVLxzA

前走の函館2歳S(G3)では、出遅れた上に大外を回らされる厳しい競馬を強いられながら2着を確保。長くいい脚を使えるのがセールスポイントです。父ファルブラヴは牝馬ばかり走るフィリーサイアーで、過去に重賞で連対した6頭はすべて牝馬です。

配合は見てのとおり Fairy King=Sadler's Wells 2×4で、もっといえばファルブラヴ≒サドラーズギャル1×3です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106210/

母の父エルコンドルパサーの配合は、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2、Special=Lisadell 4×4・3と、Special 牝系を執拗に重ねた特殊なものです。アイムユアーズの配合はこれをさらに凝縮の方向に進めているので大胆ですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/

「ファルブラヴ×エルコンドルパサー」はやや重たいので、2代母の父に素軽いサンデーサイレンスが入るのがいいと思います。「ファルブラヴ×エルコンドルパサー×サンデーサイレンス」はこれまでに4頭出走してすべて勝ち上がっています。確実性があり、なおかつ重賞勝ち馬を出したわけですから、成功パターンといっていいかもしれません。次走の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)もレースの流れが向けば当然首位争いでしょう。

2着▲アンチュラス(4番人気)については、未勝利戦を勝ち上がった際の回顧で、「おそらく、レースの流れが速くなる上のクラスのほうが走りやすいでしょう。次走に予定しているファンタジーS(G3・芝1400m)では、内枠を引ければ好勝負に持ち込めるのではないかと思います」と記しました。描いていた絵図どおりでしたが▲しか打てなかったのが悔やまれます。冒頭に記した厳しい流れを3番手追走から粘ったわけですから立派です。

◎エイシンキンチェム(2番人気)は7着。4コーナーではアイムユアーズの直後に付けていたのですが伸びきれず。レース間隔があいた影響かもしれませんがちょっと淡白なレースでしたね。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年11月 5日 (土)

来年の英ダービー最有力候補 Camelot

Dabirsim のジャンリュックラガルデール賞制覇以来、約1ヵ月ほど欧州2歳戦線をフォローしていませんでした。

その間に、アイルランドに Camelot という大物が現れ、現在、来年の英2000ギニー(G1・芝8f)と英ダービー(G1・芝12f10yds)のアンティポスト(ブックメーカーの前売り)でいずれも1番人気に推されています。

Camelot は2戦2勝。10月22日、英ドンカスター競馬場で行われたレーシングポストトロフィー(G1・芝8f)を最後方追走から鋭く抜け出して快勝しました。管理するのはアイルランドの名伯楽エイダン・オブライエン調教師です。
http://www.youtube.com/watch?v=H0f60tehWeA

配合は「Montjeu×Kingmambo」という本格派。父 Montjeu は Galileo と並び立つ Sadler's Wells の後継種牡馬で、2011年は英ダービー馬 Pour Moi を出したとはいえ Galileo の爆発の前にやや影が薄かったのですが、来年に向けて反攻の狼煙をあげた形です。来春の最大目標は英ダービーでしょう。
http://www.pedigreequery.com/camelot20

近い世代に Sadler's Wells とデインヒルを併せ持っています。この組み合わせはここにきて頻繁に目にするようになりました。Frankel に代表される「Galileo×デインヒル」のニックスにもこの組み合わせが中核となっています。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

もうひとつの英2歳重要レース、デューハーストS(G1・芝7f)を制した Parish Hall は、父 Teofilo が「Galileo×デインヒル」のニックスを持ち、母の父が Montjeu。つまり Sadler's Wells 3×3です。
http://www.pedigreequery.com/parish+hall2

現時点で英ダービー2番人気となっている Akeed Mofeed は、母の近い世代にデインヒルと Sadler's Wells が並んでいます。
http://www.pedigreequery.com/akeed+mofeed

このように、Sadler's Wells とデインヒルの組み合わせは、最近になっていたるところで目にするようになりました。ともにヨーロッパにおける最もポピュラーな血なので、この組み合わせを持つ一流馬は今後どんどん出てくるでしょう。

Camelot の母の父は Mr.Prospector 系なので、Frankel と同じく Sadler's Wells、デインヒル、Mr.Prospector が主要な構成要素となっています。そして、昨年の英ダービーと凱旋門賞を制した Workforce と同じく、2代目に Sadler's Wells と Kingmambo が並び、Sadler's Wells≒Nureyev 2×4という4分の3同血クロスを持ちます。いかにも大レースに強そうなクラシック配合です。
http://www.pedigreequery.com/workforce

Camelot の現時点における英2000ギニーの単勝オッズは7倍。英ダービーのオッズは4.5倍。Montjeu 産駒ですからダービー向きだとは思いますが、今回の垢抜けた勝ちっぷりを見ると英2000ギニーも問題ないのではと思います。ちなみに、Frankel は2歳秋の時点で英2000ギニーのアンティポストのオッズは2倍を切る圧倒的人気でした。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年11月 4日 (金)

JBCクラシックはスマートファルコン

例年に比べて注目度が高ったJBCクラシック(Jpn1・ダ2000m)。大方の予想どおり◎スマートファルコン(1番人気)と〇トランセンド(2番人気)の一騎打ちとなり、前者が2分02秒1で逃げ切りました。『netkeiba.com』に提供した予想は◎○▲で完全的中。単勝120円、馬単150円、3連単250円という記録的な低配当でした。
http://www.youtube.com/watch?v=y2Ju6i6Ycvk

ちょっと長いのですが予想文を転載します。

「スマートファルコンとトランセンド。日本のダート界に君臨する2頭の横綱のマッチレースになることは誰の眼にも明らかだ。実力は甲乙つけがたい。昨年9月の日本テレビ盃で一度対決した際はトランセンドがハナ差先着した。しかし、両馬ともに当時とは比較にならないほどの進化を遂げているので、今回の勝ち馬検討の参考にはならない。

勝負を決する鍵は展開が握っている。両馬とも逃げたいタイプなので脚質が被る。

では、どちらが先に行くか?

おそらく、大方の予想どおりスマートファルコンだろう。下手に抑えずビュンビュン飛ばすスタイルで開眼したので、定位置を譲る気は毛頭ないはず。じっさい、テンのスピードも速く、これに競りかければ共倒れになるおそれがあるので、トランセンドは自重する可能性が高い。前走の南部杯で2番手に控え、しっかり結果を出したことも補強材料となる。

この時点でスマートファルコンの勝利はほぼ確定する。

近年は行われていないものの、アメリカでは超一流馬同士がマッチレースで雌雄を決する伝統がある。20世紀に全米を沸かせたマッチレースは以下の9レース。

1920年 マンノウォーVSサーバートン
1923年 ゼヴVSパパイラス
1938年 シービスケットVSウォーアドミラル
1942年 アルサブVSワーラウェイ
1947年 アームドVSアソールト
1956年 ナシュアVSスワップス
1972年 コンヴィニエンスVSタイプキャスト
1974年 クリスエヴァートVSミスマスケット
1975年 フーリッシュプレジャーVSラフィイアン

これらはすべて前者が勝っている。決まり手はいずれも『逃げ切り』。マッチレースには“先手を取ったほうが必ず勝つ”という法則が存在する。差して勝った例はない。この法則は有名なもので、マッチレースに騎乗する騎手も当然熟知している。そのため、スタートしてから最初のコーナーまで熾烈な逃げ争いが展開される。

75年のフーリッシュプレジャーVSラフィアンは、ゲートが開いてから両者が“絶対に譲らない”とばかりに凄まじい競り合いを繰り広げ、2ハロンを通過した地点でラフィアンの右前肢が折れて決着がついた。競馬史に刻まれる悲劇にはこうした背景が存在する。

出走馬の大井コースにおける成績を調べてみると、スマートファルコンは4戦して〔2・1・0・1〕。ただし、本格化した昨年秋以降は2戦2勝で、東京大賞典、帝王賞という頂点のレースを完勝した。
http://www.nankankeiba.com/uma_info/2005100097.do

一方、トランセンドは大井競馬場での出走歴は無し。慣れという面でもスマートファルコンに後れを取る。
http://www.nankankeiba.com/uma_info/2006104736.do

スマートファルコンが逃げ切りで2連覇を達成するだろう。」

トランセンドが行く気をまったく見せなかったので、すんなりとスマートファルコンの逃げが決まりました。同コースで行われた昨年暮れの東京大賞典、今年の帝王賞に比べると序盤の入りは遅かったですね。以下はそのラップです。

★10年東京大賞典(勝ちタイム2分00秒4=レコード)
12.2- 11.1- 11.5- 12.2- 11.9- 12.1- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1

★11年帝王賞(勝ちタイム2分01秒1)。
12.2- 11.0- 12.0- 12.3- 12.3- 12.6- 12.7- 12.6- 11.3- 12.1

★11年JBCクラシック(勝ちタイム2分02秒1)
12.6- 11.8- 12.4- 12.1- 11.8- 12.0- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1

今回の後半のラップは、レコード勝ちした東京大賞典と非常によく似ています。前半が遅い分だけ全体の時計も掛かりました。それぞれ馬場コンディションが同じだと仮定すると、前2回と比べて序盤で楽をしている分、ラストにもう少しペースが上がってきてもよかったのではないか……という気もします。もっとも、トランセンドを完封しておきながらこんな重箱の隅をつつくようなイチャモンを付けられるのですから、スマートファルコンはあらためて凄い馬だと思います。これで重賞7連勝、通算では17勝目です。配合については9月24日のエントリー「日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はスマートファルコン」をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-1735.html

同日に行われたJBCスプリント(Jpn1・ダ1200m)は、〇スーニ(1番人気)が大外を突き抜けてレコード勝ち(1分10秒1)し、◎セイクリムズン(2番人気)が2着を確保。

同じく同日に行われたJBCレディスクラシック(重賞・ダ1800m)は、ミラクルレジェンド(2番人気)がレコード勝ち(1分49秒6)し、ラヴェリータ(1番人気)が2着でした。

前者ではカオルダケ(1200m=1分10秒2)の、後者ではカツアール(1800m=1分49秒9)のレコードがともに31年ぶりに破られました。わたしが競馬を始めたころから競馬新聞に記載されていた記録だったので感慨深いですね。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年11月 3日 (木)

重賞クラスの大物シャンボールフィズ

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1600m)は、中団追走の★マデイラ(8番人気)が直線で末脚を爆発させて大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=k1TyZtwX22A

「栗山ノート」でも取り上げたクロフネ産駒の好配合馬で、木曜日の想定が出た段階では本命候補。しかし、調教があまりにも酷かったので印を軽くしてしまいました。実戦タイプというよりも、非力なために坂路調教が苦手なタイプで、3コーナーの勝負どころから下り坂→直線平坦の京都コースが合っていたようです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106344/

母マチカネエンジイロはファンタジーS(G3)4着馬。2代母マチカネササメユキは、その2代目に La Troienne の影響が強いプレイメイトと Sex Appeal を配置しているため、マデイラ自身は「クロフネ×サンデーサイレンス+La Troienne 血脈」という父の成功パターンに合致しています。さらには Mr.Prospector が入るので、フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティS、阪神C、東京スポーツ杯2歳S)に似た配合に仕上がっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102955/

「栗山ノート」で指名した時点では、芝とダート、どちらでも行けそうだと感じていたのですが、馬は完全に芝向きですね。順調に成長すればいいところまで行けそうです。

■日曜東京3Rの新馬戦(芝1600m)は、好位追走のシャンボールフィズ(1番人気)が力強く抜け出して後続に3馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=H_fgEjN738U

予想は◎△で馬単1860円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎シャンボールフィズは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母はマンハッタンカフェの全妹にあたる良血で、繁殖牝馬として非凡な才能を示しており、これまでにクレスコグランド(京都新聞杯)、アプリコットフィズ(クイーンC、クイーンS)、コロンバスサークル(オールカマー-4着)を送り出している。異なる父から確実に重賞級の産駒を生み出しているのは立派の一語。キングカメハメハとの組み合わせも問題ないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105993/

「栗山ノート」で推奨した馬です。マンハッタンフィズについては当ブログでもたびたび取り上げてきたので、ここであらためて説明することはありません。文句なしの名牝、という一語に尽きます。

マンハッタンカフェが成功する交配牝馬のパターンはいくつかあるのですが、(1)Northern Dancer の強いクロスを持つ、(2)Mr.Prospector と Nijinsky の組み合わせを持つ、というものがあります。キングカメハメハは Northern Dancer 4×4・6で、Mr.Prospector と Nijinsky を併せ持っています。

つまり、仮にシャンボールフィズの父母をひっくり返し、マンハッタンカフェ産駒と見立てた場合、(1)(2)の条件に合致するので配合的に優れていると思います。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」の組み合わせからはダイワバーバリアン(NHKマイルC-2着)、アントニオバローズ(シンザン記念、日本ダービー-3着)が出ています。

小柄な馬ですがそれを感じさせないしっかりとしたフットワーク。新馬戦の勝ちっぷりは半姉アプリコットフィズに引けをとりません。距離が延びても問題なく、重賞戦線で活躍するのは間違いないでしょう。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年11月 2日 (水)

切れ味非凡、アドマイヤムーン産駒アルキメデス

■土曜京都5Rの新馬戦(芝2000m)は、好位追走の▲アルキメデスが危なげなく抜け出し、単勝1.5倍の圧倒的人気に応えました。
http://www.youtube.com/watch?v=F886O8UKqWA

先週はアドマイヤムーン産駒が好調で、このほか萩S(OP)をスノードンが勝ち、くるみ賞(500万下)ではレオアクティヴが2着となりました。10月に入ってからわずか1勝と、勝ち上がりのペースがやや鈍っていましたが、月末になんとか帳尻を合わせました。

アルキメデスもスノードンも直線が平坦な京都コースでの勝利。ローカルと京都の芝では連対率42.9%と強いものの、直線に坂のある東京、中山、阪神の芝では連対率22.2%と落ちます。まだサンプルは少ないものの、現時点では直線が平坦となっているコースのほうが持ち味を活かしやすい、という傾向は見て取れます。

アルキメデスは調教で好時計をマークしたため、ガチガチの1番人気でした。母アーキオロジーは「Seeking the Gold×Storm Cat」とパワーが前面に出た配合で、Sky Mesa(米G1馬で種牡馬としても成功)の半妹でもあります。本馬の半兄アストロロジー(父アグネスタキオン)にはユニコーンS(G3・ダ1600m)の予想で◎を打ったほどです。切れ味勝負になったときにどうなのか、ペースが上がった場合は距離が長いのではないか、という懸念があったのですが、杞憂に終わりました。ラスト2ハロンは11秒0-11秒3。アドマイヤムーン産駒の切れ味はやはり非凡です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102619/

現時点では母方に Mr.Prospector を持つアドマイヤムーン産駒は連対率31.8%、持たない場合は35.7%と、さほど大きな違いはありません。母方に Seeking the Gold を持つアドマイヤムーン産駒には、ほかにレッドアーヴィングなどがいます。9月の札幌新馬戦(芝1800m)を大物感あふれるレースぶりで快勝した馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106100/

レッドアーヴィングもアルキメデスも、母がパワー型のアメリカ血統で構成されています。この部分が父の柔らかさに一本芯を通す働きをし、大物感の源泉となっているのかもしれません。

■土曜東京5Rの新馬戦(芝1400m)は、△トーホウジュリア(1番人気)がマイペースで逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=dSYF8284Duk

新種牡馬メイショウボーラーは健闘しています。デビュー前の下馬評からすると現時点の7勝は文句なしの好成績で、この日、東京競馬場で2レース組まれた新馬戦はいずれもメイショウボーラー産駒が制しました。同産駒は総じて仕上がりが早く、逃げてしぶといですね。メイショウボーラーの現役時代の姿がこの特長と重なります。1番人気で強いというのも特筆できます。

約2ヵ月前、メイショウボーラー産駒のヴィンテージイヤーが勝った際の回顧で、「種牡馬としては7:3ぐらいでダート向きかなという気がします」と記しました。現時点では芝連対率13.3%、ダート連対率25.9%という成績なので、やはりダートのほうが信頼できます。芝では緩急が要求される1600~1800mには向かず、かといって1200m向きの快速タイプでもないので、いまのところ1400mに良績が集中しています。今回の勝利で6戦3勝となりました。

芝だったので評価を下げてしましましたが、拙速な判断であったと悔やまれます。サンデー系のアグネスタキオンを母の父に持ち、Halo 4×4ですからダートオンリーという配合ではありません。そして、Storm Cat とマルゼンスキーのニックスを持ち、自身は Nijinsky≒Storm Bird≒The Minstrel 4・5×4・5。芝で走るメイショウボーラー産駒のひとつのパターンとなってもおかしくない好配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103643/

2代父タイキシャトルは Nijinsky と相性がよく、父メイショウボーラーは Nijinsky≒Storm Bird 4×3ですから、このあたりを刺激する配合は芝向きダート向きを問わず悪くないでしょう。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年11月 1日 (火)

昇級戦でも即通用しそうなピュアソウル

■土曜京都1Rの未勝利戦(ダ1200m)は、ここが初出走のエーシンブラスター(2番人気)が大外から差し切りました。スタートで出遅れて絶望的な位置取りからの逆転勝ち。しかも経験馬のなかで唯一の初出走馬だったわけですから強いですね。

配合はエルコンドルパサーを彷彿させる特異なものです。母 Madagascat は Storm Bird=オシアナ3×2という全きょうだいクロスを持ち、父は Storm Bird≒Nijinsky 4×3で、エーシンブラスター自身はこれらすべてを継続する形でヨハネスブルグ≒Tale of the Cat 2×2。さらには Mr.Prospector 3×4も持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110069/

言葉で説明するとわけがわからないので、上記URLの血統表をご覧いただきたいと思います。頭がくらくらする配合です。

父 Scat Daddy は現役時代にシャンペンS(米G1)、フロリダダービー(米G1)などを制し、種牡馬としては今年の2歳世代が初年度産駒となります。『BloodHorse.com』の集計によると、現時点で新種牡馬トップであるばかりでなく、全体の2歳ランキングでもトップです。Daddy Long Legs(ロイヤルロッジS-英G2・芝8f)、Shared Property(アーリントンワシントンフューチュリティ-米G3・AW8f)、Finale(サマーS-加G3・芝8f)と、すでに3頭の重賞勝ち馬が出ています。芝とオールウェザーで結果を出している点が興味深いですね。

エーシンブラスター自身は今年春のOBSマーチセールに出場し、ラスト1ハロンで9秒8という怪時計を叩き出しました。価格は40万ドル。ファシグティプトンフロリダ2歳セールで47万ドルの値がついたゲンテン(デイリー杯2歳S-3着)には及びませんが、あちらが世界的な良血だったのに対し、こちらは時計の速さ(と配合の特異さ?)で価格が上がったという印象です。

フットワークを見ると、たしかに掻き込みは強いものの前肢が前に伸びているので、芝で走らせてみてもおもしろいのでないかと思います。もし仮に芝替わりで人気が落ちるようなら買ってみたい馬です。

■土曜京都3Rの未勝利戦(芝1600m)は、好位追走のピュアソウル(1番人気)が直線半ばで抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VOHvYe_oR1I

道中はスローペースで展開し、ラスト2ハロンの上がり勝負。ピュアソウル自身はラスト1ハロンしか競馬をしていません。スマートな差し切り勝ちでした。

ディープインパクト産駒は現在、2歳の勝ち鞍ランキングで第4位。上位5頭は以下のとおりです。

1位 17勝 ダイワメジャー
2位 15勝 アグネスタキオン
〃   〃  シンボリクリスエス
4位 14勝 ディープインパクト
5位 12勝 アドマイヤムーン

昨年の同時期は20勝を挙げていたので勝ち星を減らしています。昨年はどの陣営も早めの仕上げで、ピリピリしたムードのなかキッチリ仕上げて新馬戦に使っていました。今年はゆっくりでいいんだというムードがあるように感じます。

それに加えて、ダイワメジャー、アドマイヤムーンの台頭の影響もあるでしょう。昨年の同時期の上位5頭が今年どの程度勝っているかを示してみます。
             10年 11年
1位 ディープインパクト 20勝→14勝
2位 ハーツクライ    14勝→ 5勝
〃  キングカメハメハ  14勝→ 8勝
〃  マンハッタンカフェ 14勝→ 6勝
5位 フジキセキ     12勝→12勝

昨年の上位5頭はその時点で合計74勝でしたが、今年は45勝。29勝も減らしています。今年、ダイワメジャーとアドマイヤムーンの勝利数は合わせて29勝(17勝+12勝)。減った分とぴったり数が合うのは偶然としても、“2頭に食われた分が減っている”という見方はそれほど間違ってはいないと思います。

さて、ピュアソウルに話を戻します。母ヒストリックスターは不出走馬ですが、牝馬二冠馬ベガが残した唯一の牝駒ですから血統的に貴重です。それ以外の4頭の兄弟は、アドマイヤベガ(日本ダービー)、アドマイヤドン(G1を7勝)、アドマイヤボス(セントライト記念)、キャプテンベガ(東京新聞杯-2着)。並の遺伝力ではありません。

「母の父ファルブラヴ」が気になったので、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では無印としました。ファルブラヴは明らかなフィリーサイアーなので、母の父としては悪くないかもしれませんね。ちょっと悔やまれます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106275/

ピュアソウルについては、9月16日のエントリー「アドマイヤベルナと配合が似ているバウンダリーワン」でちょっと触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-4274.html

そのなかで「ピュアソウルにも一本調子なところが伝わっているのかどうか、気になるところです」と記しましたが、どうやら杞憂だったようです。上がり勝負をスパッと抜け出しました。昇級戦でも即通用するでしょう。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年10月31日 (月)

天皇賞・秋はトーセンジョーダン

レース前半、かなりのペースでレースが展開していることは分かりましたが、1000m通過が「56秒5」とターフビジョンに表示されると場内がドッと湧きました。逃げたシルポートが残り300mで馬群に飲み込まれたあともペースは落ちることなく、馬場中央を突き抜けた△トーセンジョーダン(7番人気)が1分56秒1の日本レコードで快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=wbCnkopLCkk

1800mの通過1分44秒3は、同距離のコースレコード(1分44秒2=チョウサン)と0秒1しか違いません。2000mの旧レコード(1分57秒2=ウオッカ)が樹立された3年前の当レースは、この距離を1分44秒6で通過したものの、最後の1ハロンで12秒6とラップを落としました。今回は11秒8で締めくくったので大レコードとなりました。

◎ペルーサ(6番人気)は好スタートを決め、後方で折り合いがつきました。個人的には超ハイペースの展開に内心しめしめ……という気分で、直線で大外に持ち出したときには差し切れると思いましたが、惜しくも届かず3着。思いのほか前がしぶとかったですね。

『netkeiba.ocm』の「No.1予想」、『ウマニティ』に提供した予想は△○◎で3連単21万4010円的中。連単系マルチに買い目を設定していたので高配当が的中しました。予想文を転載します。

「◎ペルーサは『ゼンノロブロイ×キャンディストライプス』という組み合わせで、母アルゼンチンスターの全姉に亜チャンピオン牝馬で米G1も制したディフェレントがいる良血。昨年5月の青葉賞(G2)を勝った際は、いずれ日本を背負って立つ名馬になるだろうとの期待感があったが、それを最後に勝ち星がなく現在7連敗中。しかし、たそがれたイメージとは裏腹に今回の休養中にガラリ一変。稽古で抜群の時計を連発している。思えば父ゼンノロブロイも4歳秋に一変し、天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念とG1を3連勝した。ここにきての急上昇は父の軌跡と重なって見える。ゼンノロブロイ産駒は東京芝2000mで連対率48%(23戦11連対)と驚異的な成績を挙げており、ペルーサ自身、昨年の天皇賞・秋でブエナビスタの2着と好走している。この条件はベストに近く、休み明けだからこそ配当面の妙味もある。」

馬体重はプラス14キロ(520キロ)。太いというよりも筋肉の盛り上がりが目立ち、明らかにスケールアップしていました。反動が出なければジャパンCでも勝ち負けに持ち込めそうです。

2着○ダーウシャドウ(2番人気)は直線半ばで前が開かず、外側に進路を変えた不利が痛かったですね。あれがなければ……と惜しまれます。大阪杯でG1馬に伍して2着、前走の毎日王冠では安田記念馬リアルインパクトに先着しているのですから、今回のメンバーに交じっても格下ということはありません。ゴール前の追い比べでは、尾を振って内にモタれ、苦しがっていました。最後の一滴までガソリンを使い切ったような走りだったので、反動がやや心配です。

勝ったトーセンジョーダンはジャングルポケット産駒。スパッと切れるタイプではないだけに瞬発力勝負になるとやや劣勢では、という気がしていました。スピードの持続力が要求される超ハイペースになったことが幸いしました。とはいえ、トップレベルのG1をレコードで制したわけですから、もちろん展開が向いたことだけが勝因ではありません。この馬自身、厳しい流れを追走しながら上がり3ハロンはメンバー中2位の34秒2。地力強化は明らかです。晩成型の血がようやく開花してきたのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/

当ブログで再三示しているとおり、配合構成は2年前の天皇賞・秋、マイルCSを制したカンパニーに酷似しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/

            ┌ トニービン
          ┌○┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
トーセンジョーダン ┤ └○┘
          └ エヴリウィスパー(=ブリリアントベリー)

            ┌ トニービン
          ┌○┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
カンパニー ――――┤ └○┘
          └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

カンパニーは長らくG2大将というポジションでしたが、8歳にして本格化し、G1を勝ちました。配合がよく似たトーセンジョーダンもこれから旬を迎えるのではないでしょうか。フロックではないでしょう。

両馬の2代母クラフティワイフの牝系は、トニービン系と絶好の相性を示しており、トーセンジョーダンとカンパニーのほかにも、レニングラード、バトルバニヤンといった活躍馬が出ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102878/

          ┌ トニービン
レニングラード ――┤
          └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

            ┌ トニービン
          ┌○┘
バトルバニヤン ――┤
          └ クラフティワイフ

非常に分かりやすいニックスなので、トーセンジョーダンは以前POGで指名していました。個人的にも思い入れのある馬です。この秋、ジャングルポケット産駒はアヴェンチュラ(秋華賞)に次いで2頭目のG1制覇となりました。

もともとトニービンとノーザンテーストの組み合わせは東京コースのG1に強く、90年代にはサクラチトセオーとエアグルーヴが天皇賞・秋を勝っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1990108898/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109154/

          ┌ トニービン
サクラチトセオー ―┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┘

          ┌ トニービン
エアグルーヴ ―――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┘

これらに加え、トーセンジョーダン、カンパニーを含めてあらためて思うのは、“Hyperion の勝利”である、ということ。トニービンもノーザンテーストも Hyperion が主要な構成要素です。府中の長い直線で底力勝負になったとき、この血は頼りになります。Hyperion については以下のエントリーご参照ください。

★Hyperion 没後50年(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-a60d.html
★Hyperion 没後50年(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-4e5d.html
★Hyperion とウォルター・オルストン(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-7206.html
★Hyperion とウォルター・オルストン(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-5de0.html
★Hyperion とウォルター・オルストン(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-58a6.html

周知のとおり、トーセンジョーダンがここに至るまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。裂蹄により二度の長期休養を余儀なくされ、クラシックも棒に振りました。ここまでよく這い上がったものです。サンデーサイレンスを含まない血統なのでいずれ種牡馬となったときに重宝されるでしょう。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年10月30日 (日)

ドクタースパート死す

88年の3歳世代は、オグリキャップ、サッカーボーイ、スーパークリークなど競馬史に名を刻むスターホースが目白押し。2つ下の90年世代も、メジロマックイーン、メジロライアン、メジロパーマーのメジロ三銃士が現れて賑やかでした。しかし、その間に挟まれた89年世代はひたすら地味で、結果的に最も目立った馬は15歳まで走ったミスタートウジンだったような気がします。

ドクタースパートはあまり強いとはいえない世代の皐月賞馬。道営競馬の出身です。地方競馬でデビューした馬が牡馬クラシックを勝ったのは、いまのところこの馬が最後です(牝馬はオグリローマンが94年の桜花賞を勝っています)。地方出身の皐月賞制覇はその16年前にハイセイコーが成し遂げていますが、ドクタースパートとハイセイコーは同じダルモーガンの牝系から誕生しているという共通点があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986101204/

ダルモーガンは大井競馬場がオーストラリアから輸入した牝馬で、俗にいう「豪サラ」。ハイセイコーはチャイナロックの子、ドクタースパートの母の父タケシバオーもチャイナロックの子なので、両者は牝系が同じというだけでなくチャイナロックが入る点も同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000b7f/

ドクタースパートは新冠の須崎光治さんが生産しました。須崎光治さんといえばスズユウ(東京ダービー、帝王賞、東京大賞典)の生産者としても知られています。スズユウはドクタースパートの2代母の半弟。ややこしいので牝系図に示します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1978103154/

 ダルモーガン(f.1950.Beau Son)
  ロンジー(f.1954.ビッグヴイ)
  │パルスター(f.1966.シプリアニ)
  │ ロダンエーコ(f1.1972.ロダン)
  │ │ドクターノーブル(f.1980.タケシバオー)
  │ │ ドクタースパート(c.1986.ホスピタリテイ)
  │ スズユウ(c.1978.トラフィック)
  ハイユウ(f.1961.カリム)
   ハイセイコー(c.1970.チャイナロック)

ドクタースパートの父ホスピタリテイは、大井競馬で羽田盃を含め8戦全勝、中央移籍後もセントライト記念を制した名馬です。つまり、ドクタースパートは父も牝系も大井競馬と深いつながりがあります。パワー満点の配合(母は Rockefella 3×5)なので、不良馬場を泥だらけになって抜け出してきた皐月賞は、この馬に最も合った舞台だったといえるでしょう。

あらためて血統表を眺めると時代を感じさせます。父ホスピタリテイ、母の父タケシバオーはいずれも Hyperion 系。ちなみに、翌年の皐月賞を制したハクタイセイはハイセイコー産駒で、これまた Hyperion 系でした。トニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスが相次いでデビューを果たした90年代前半に、日本血統は大きく転換していきます。ドクタースパートやハクタイセイは、前時代の末尾に現れた活躍馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987104019/

ドクタースパートについて印象に残っているのは、皐月賞を除けば中央転入初戦の京成杯3歳S(G2)ですね。当時は笠松出身のオグリキャップが競馬ブームを盛り上げ始めたころでした。ドクタースパートも「道営の北海道3歳優駿をレコード勝ちした大物」という触れ込みだったので、どんなものだろうかと観戦に出掛けたのを覚えています。パドックでは決して見栄えはしないものの、キャリアがある強みなのか、ほかの7頭とは完成度が違っていました。それが強く印象に残りました。レースでは後方待機策から追い込んで前をキッチリとらえました。

ちなみに、そのレースにはエレクトロアートという牝馬が出走していました(6着)。しかし、どう記憶をまさぐっても当時の姿が思い出せません。オルフェーヴルとドリームジャーニーの2代母です。

2011年10月27日 (木)

中山芝1200mで見たいダイワパッション

■日曜東京3Rの新馬戦(ダ1600m)は、2番手追走の◎ミリオンヴォルツ(1番人気)が直線で早め先頭に立ち、後続の追撃をぎりぎりしのぎました。
http://www.youtube.com/watch?v=l3ORF7t--Nw

予想は◎★○で馬単3990円、3連単48790円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ミリオンヴォルツは『ブルーグラスキャット×ディストーテッドヒューマー』という組み合わせの外国産馬。アメリカの調教セール出身馬だけあって稽古でバリバリ時計を出しており、初戦から動けそうな点は魅力。父ブルーグラスキャットは現役時代にハスケル招待H(米G1・ダ9f)を勝った一流馬で、種牡馬としても現3歳の初年度産駒からG2、G3勝ち馬を1頭ずつ出しており悪くない。ストームキャット系が最も得意とする東京ダ1600mなので力を発揮できるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110089/

近い世代に Storm Cat、A.P.Indy、フォーティナイナー、Danzig を持ち、Mr.Prospector 4×4があるので、いかにも脚抜きのいいダートの新馬戦に強いタイプです。仕上がりも万全でした。今回は行きたがるのを必死になだめながらの追走だったので、ラストの弾け方がイマイチでしたが、距離を短縮するなどしてもっとペースが速くなれば、折り合いがついて持ち味をさらに発揮できるでしょう。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝1400m)は、好スタートからハナに立った◎ダイワインスパイア(2番人気)が危なげなく逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=ph_DCl5l6Ag

予想は◎△△で馬単1950円、3連単19410円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ダイワインスパイアは『ダイワメジャー×フォーティナイナー』という組み合わせ。母ダイワパッションはその父フォーティナイナーの影響が強かったようで、フィリーズレビュー(G2)とフェアリーS(G3)を制した早熟のスピード馬だった。このあたりの特徴が産駒に伝わっているのか稽古で好時計をマークしている。仕上がりが早そうなので初戦から走れるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101602/

母ダイワパッションは現役時代、デビュー4戦目に初勝利を挙げると、そこからフェアリーS(G3)、フィリーズレビュー(G2)を含めて4連勝しました。しかし、それから先は10戦して最高着順が8着と、ほとんどが二桁着順の惨敗でした。精神的に燃え尽きてしまったのか、肉体的に苦しい面があったのか、そのあたりは分かりません。ただ、早い時期に強かったのは事実なので、息子もこの時期の競馬に適性があるのでしょう。

直線で蛇行したように精神的にはまだ幼いですね。抑えたり小細工をしなくて済むこのぐらいの距離が合っていると思います。「ダイワメジャー×フィーティナイナー」ですから追って味のあるタイプとは思えません。同じ「ダイワメジャー×Mr.Prospector 系」のビウイッチアスのように、中山芝1200mに向きそうです。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年10月26日 (水)

満点のレースぶりで初戦突破レッドエクスプレス

■土曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、中団追走の△タガノグーフォ(1番人気)が直線で大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=1aP7ypvfxxA

ネオユニヴァース産駒は素軽いスピードタイプではないので、芝の新馬戦では1800~2000mなら買えるのですが、マイル以下では人気を鵜呑みにしないようにしています。とくに芝1400mではこのレースの前まで連対率6%。

シルシを△に落としたのですが、アッサリ勝たれました。このメンバーのなかでは抜けた能力の持ち主でしたね。サンデー系と相性抜群のダンシングブレーヴが母の父に入り、Halo≒Drone 3×4というニックスがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104946/

「ネオユニヴァース×ダンシングブレーヴ」は、インペリアルマーチ、グレヴィテーションなどダートに強い傾向が見られるのですが、前者にはブレイヴェストローマン、後者にはミルジョージが入るので、この組み合わせ自体が力馬的な特徴を醸し出すというものではないでしょう。本馬は2代母の父が Caerleon ですから、今回の走りっぷりが示すとおり芝でも問題なくやれるはずです。距離は2000m前後がよく、高い素質が感じられるので昇級戦でも要注意です。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1800m)は、2番手追走の◎レッドエクスプレス(2番人気)が逃げ馬を交わして抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=wYhmNe7j_H4

予想は◎★△で馬単3380円、3連単44100円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎レッドエクスプレスは『ディープインパクト×シーキングザゴールド』という組み合わせ。アメリカの名門フィップス家が育てた名牝系に属し、2代母ディスピュートはケンタッキーオークス(米G1)、ベルデイムS(米G1)など米G1を4勝した。母アドヴァーシティはブロードウェイ3×4という名牝のクロスを持っているので繁殖牝馬として期待できる。やや硬めのアメリカ血統で構成されているが、父ディープインパクトはダート色の強い繁殖牝馬を料理するのが得意なので、芝適性に関しては問題ないだろう。2代母の父ダンジグはディープインパクトと相性良好。京都芝1800mの新馬戦はディープインパクト産駒が連対率55.6%と得意にしている。」
http://www.youtube.com/watch?v=PnYB4m4x32w

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名した馬で、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価。ソツのないクレバーなレースぶりでした。初戦としては満点でしょう。

母アドヴァーシティが3×4で持っている Broadway は、繁殖牝馬として稀な成功を収めた名牝です。Queen of the Stage(米最優秀2歳牝馬)、Reviewer(悲劇の名牝 Ruffian の父)、Stage Director(フィラデルフィアH)、グレートホワイトウェー(本邦輸入種牡馬)などを産み、孫の代から名種牡馬 Seeking the Gold が誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/broadway

グレートホワイトウェーは大井競馬場のレコードホルダーを2頭出しました。ダ1600mのカツスイセー(1分37秒5=79年8月3日)、ダ1200mのカオルダケ(1分10秒2=80年9月18日)です。前者のレコードは06年のマイルグランプリでアジュディミツオーが1分37秒2を出して27年ぶりに更新されましたが、後者は30年以上経った現在も破られていません。ちなみに、カツスイセーの記録を破ったアジュディミツオーはアジュディケーティング産駒で、アジュディケーティングの母の父はグレートホワイトウェーの半弟 Reviewer です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001104554/

こうした血統的なアウトラインからも分かるように、Broadway はパワーを兼ね備えた抜群のスピードを伝える一方、やや一本調子なところがあります。それを3×4でクロスさせた母アドヴァーシティは柔軟さや瞬発力を伝えるタイプではありません。レッドエクスプレスの2代母 Dispute は、予想文に記したとおりケンタッキーオークス(米G1)、ベルデイムS(米G1)など米G1を4勝した名牝で、前出のアジュディケーティングの全妹にあたります。この点からもアドヴァーシティの個性を類推できることと思います。

レッドエクスプレスは、母が硬質なアメリカ血統で固められているので、距離適性がやや長めのリアルインパクト、といったイメージです。POGで期待できる完成の早いディープインパクト産駒はこのパターンが手堅いといえるでしょう。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!