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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

配合

2011年11月 6日 (日)

ファンタジーSはアイムユアーズ

最初の3ハロン「34秒1」はレース史上最速。もともと馬場コンディションはいいものの、京都競馬場は昼前からずっと小雨が降っており、その影響を考えるとやはり速いペースでした。加えて外差しの馬場となっており、最後の1ハロンで12秒0とラップを落ちたところで大外から△アイムユアーズ(8番人気)が綺麗に差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=D_uRTnVLxzA

前走の函館2歳S(G3)では、出遅れた上に大外を回らされる厳しい競馬を強いられながら2着を確保。長くいい脚を使えるのがセールスポイントです。父ファルブラヴは牝馬ばかり走るフィリーサイアーで、過去に重賞で連対した6頭はすべて牝馬です。

配合は見てのとおり Fairy King=Sadler's Wells 2×4で、もっといえばファルブラヴ≒サドラーズギャル1×3です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106210/

母の父エルコンドルパサーの配合は、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2、Special=Lisadell 4×4・3と、Special 牝系を執拗に重ねた特殊なものです。アイムユアーズの配合はこれをさらに凝縮の方向に進めているので大胆ですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/

「ファルブラヴ×エルコンドルパサー」はやや重たいので、2代母の父に素軽いサンデーサイレンスが入るのがいいと思います。「ファルブラヴ×エルコンドルパサー×サンデーサイレンス」はこれまでに4頭出走してすべて勝ち上がっています。確実性があり、なおかつ重賞勝ち馬を出したわけですから、成功パターンといっていいかもしれません。次走の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)もレースの流れが向けば当然首位争いでしょう。

2着▲アンチュラス(4番人気)については、未勝利戦を勝ち上がった際の回顧で、「おそらく、レースの流れが速くなる上のクラスのほうが走りやすいでしょう。次走に予定しているファンタジーS(G3・芝1400m)では、内枠を引ければ好勝負に持ち込めるのではないかと思います」と記しました。描いていた絵図どおりでしたが▲しか打てなかったのが悔やまれます。冒頭に記した厳しい流れを3番手追走から粘ったわけですから立派です。

◎エイシンキンチェム(2番人気)は7着。4コーナーではアイムユアーズの直後に付けていたのですが伸びきれず。レース間隔があいた影響かもしれませんがちょっと淡白なレースでしたね。

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2011年11月 5日 (土)

来年の英ダービー最有力候補 Camelot

Dabirsim のジャンリュックラガルデール賞制覇以来、約1ヵ月ほど欧州2歳戦線をフォローしていませんでした。

その間に、アイルランドに Camelot という大物が現れ、現在、来年の英2000ギニー(G1・芝8f)と英ダービー(G1・芝12f10yds)のアンティポスト(ブックメーカーの前売り)でいずれも1番人気に推されています。

Camelot は2戦2勝。10月22日、英ドンカスター競馬場で行われたレーシングポストトロフィー(G1・芝8f)を最後方追走から鋭く抜け出して快勝しました。管理するのはアイルランドの名伯楽エイダン・オブライエン調教師です。
http://www.youtube.com/watch?v=H0f60tehWeA

配合は「Montjeu×Kingmambo」という本格派。父 Montjeu は Galileo と並び立つ Sadler's Wells の後継種牡馬で、2011年は英ダービー馬 Pour Moi を出したとはいえ Galileo の爆発の前にやや影が薄かったのですが、来年に向けて反攻の狼煙をあげた形です。来春の最大目標は英ダービーでしょう。
http://www.pedigreequery.com/camelot20

近い世代に Sadler's Wells とデインヒルを併せ持っています。この組み合わせはここにきて頻繁に目にするようになりました。Frankel に代表される「Galileo×デインヒル」のニックスにもこの組み合わせが中核となっています。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

もうひとつの英2歳重要レース、デューハーストS(G1・芝7f)を制した Parish Hall は、父 Teofilo が「Galileo×デインヒル」のニックスを持ち、母の父が Montjeu。つまり Sadler's Wells 3×3です。
http://www.pedigreequery.com/parish+hall2

現時点で英ダービー2番人気となっている Akeed Mofeed は、母の近い世代にデインヒルと Sadler's Wells が並んでいます。
http://www.pedigreequery.com/akeed+mofeed

このように、Sadler's Wells とデインヒルの組み合わせは、最近になっていたるところで目にするようになりました。ともにヨーロッパにおける最もポピュラーな血なので、この組み合わせを持つ一流馬は今後どんどん出てくるでしょう。

Camelot の母の父は Mr.Prospector 系なので、Frankel と同じく Sadler's Wells、デインヒル、Mr.Prospector が主要な構成要素となっています。そして、昨年の英ダービーと凱旋門賞を制した Workforce と同じく、2代目に Sadler's Wells と Kingmambo が並び、Sadler's Wells≒Nureyev 2×4という4分の3同血クロスを持ちます。いかにも大レースに強そうなクラシック配合です。
http://www.pedigreequery.com/workforce

Camelot の現時点における英2000ギニーの単勝オッズは7倍。英ダービーのオッズは4.5倍。Montjeu 産駒ですからダービー向きだとは思いますが、今回の垢抜けた勝ちっぷりを見ると英2000ギニーも問題ないのではと思います。ちなみに、Frankel は2歳秋の時点で英2000ギニーのアンティポストのオッズは2倍を切る圧倒的人気でした。

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2011年11月 4日 (金)

JBCクラシックはスマートファルコン

例年に比べて注目度が高ったJBCクラシック(Jpn1・ダ2000m)。大方の予想どおり◎スマートファルコン(1番人気)と〇トランセンド(2番人気)の一騎打ちとなり、前者が2分02秒1で逃げ切りました。『netkeiba.com』に提供した予想は◎○▲で完全的中。単勝120円、馬単150円、3連単250円という記録的な低配当でした。
http://www.youtube.com/watch?v=y2Ju6i6Ycvk

ちょっと長いのですが予想文を転載します。

「スマートファルコンとトランセンド。日本のダート界に君臨する2頭の横綱のマッチレースになることは誰の眼にも明らかだ。実力は甲乙つけがたい。昨年9月の日本テレビ盃で一度対決した際はトランセンドがハナ差先着した。しかし、両馬ともに当時とは比較にならないほどの進化を遂げているので、今回の勝ち馬検討の参考にはならない。

勝負を決する鍵は展開が握っている。両馬とも逃げたいタイプなので脚質が被る。

では、どちらが先に行くか?

おそらく、大方の予想どおりスマートファルコンだろう。下手に抑えずビュンビュン飛ばすスタイルで開眼したので、定位置を譲る気は毛頭ないはず。じっさい、テンのスピードも速く、これに競りかければ共倒れになるおそれがあるので、トランセンドは自重する可能性が高い。前走の南部杯で2番手に控え、しっかり結果を出したことも補強材料となる。

この時点でスマートファルコンの勝利はほぼ確定する。

近年は行われていないものの、アメリカでは超一流馬同士がマッチレースで雌雄を決する伝統がある。20世紀に全米を沸かせたマッチレースは以下の9レース。

1920年 マンノウォーVSサーバートン
1923年 ゼヴVSパパイラス
1938年 シービスケットVSウォーアドミラル
1942年 アルサブVSワーラウェイ
1947年 アームドVSアソールト
1956年 ナシュアVSスワップス
1972年 コンヴィニエンスVSタイプキャスト
1974年 クリスエヴァートVSミスマスケット
1975年 フーリッシュプレジャーVSラフィイアン

これらはすべて前者が勝っている。決まり手はいずれも『逃げ切り』。マッチレースには“先手を取ったほうが必ず勝つ”という法則が存在する。差して勝った例はない。この法則は有名なもので、マッチレースに騎乗する騎手も当然熟知している。そのため、スタートしてから最初のコーナーまで熾烈な逃げ争いが展開される。

75年のフーリッシュプレジャーVSラフィアンは、ゲートが開いてから両者が“絶対に譲らない”とばかりに凄まじい競り合いを繰り広げ、2ハロンを通過した地点でラフィアンの右前肢が折れて決着がついた。競馬史に刻まれる悲劇にはこうした背景が存在する。

出走馬の大井コースにおける成績を調べてみると、スマートファルコンは4戦して〔2・1・0・1〕。ただし、本格化した昨年秋以降は2戦2勝で、東京大賞典、帝王賞という頂点のレースを完勝した。
http://www.nankankeiba.com/uma_info/2005100097.do

一方、トランセンドは大井競馬場での出走歴は無し。慣れという面でもスマートファルコンに後れを取る。
http://www.nankankeiba.com/uma_info/2006104736.do

スマートファルコンが逃げ切りで2連覇を達成するだろう。」

トランセンドが行く気をまったく見せなかったので、すんなりとスマートファルコンの逃げが決まりました。同コースで行われた昨年暮れの東京大賞典、今年の帝王賞に比べると序盤の入りは遅かったですね。以下はそのラップです。

★10年東京大賞典(勝ちタイム2分00秒4=レコード)
12.2- 11.1- 11.5- 12.2- 11.9- 12.1- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1

★11年帝王賞(勝ちタイム2分01秒1)。
12.2- 11.0- 12.0- 12.3- 12.3- 12.6- 12.7- 12.6- 11.3- 12.1

★11年JBCクラシック(勝ちタイム2分02秒1)
12.6- 11.8- 12.4- 12.1- 11.8- 12.0- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1

今回の後半のラップは、レコード勝ちした東京大賞典と非常によく似ています。前半が遅い分だけ全体の時計も掛かりました。それぞれ馬場コンディションが同じだと仮定すると、前2回と比べて序盤で楽をしている分、ラストにもう少しペースが上がってきてもよかったのではないか……という気もします。もっとも、トランセンドを完封しておきながらこんな重箱の隅をつつくようなイチャモンを付けられるのですから、スマートファルコンはあらためて凄い馬だと思います。これで重賞7連勝、通算では17勝目です。配合については9月24日のエントリー「日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はスマートファルコン」をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-1735.html

同日に行われたJBCスプリント(Jpn1・ダ1200m)は、〇スーニ(1番人気)が大外を突き抜けてレコード勝ち(1分10秒1)し、◎セイクリムズン(2番人気)が2着を確保。

同じく同日に行われたJBCレディスクラシック(重賞・ダ1800m)は、ミラクルレジェンド(2番人気)がレコード勝ち(1分49秒6)し、ラヴェリータ(1番人気)が2着でした。

前者ではカオルダケ(1200m=1分10秒2)の、後者ではカツアール(1800m=1分49秒9)のレコードがともに31年ぶりに破られました。わたしが競馬を始めたころから競馬新聞に記載されていた記録だったので感慨深いですね。

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2011年11月 3日 (木)

重賞クラスの大物シャンボールフィズ

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1600m)は、中団追走の★マデイラ(8番人気)が直線で末脚を爆発させて大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=k1TyZtwX22A

「栗山ノート」でも取り上げたクロフネ産駒の好配合馬で、木曜日の想定が出た段階では本命候補。しかし、調教があまりにも酷かったので印を軽くしてしまいました。実戦タイプというよりも、非力なために坂路調教が苦手なタイプで、3コーナーの勝負どころから下り坂→直線平坦の京都コースが合っていたようです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106344/

母マチカネエンジイロはファンタジーS(G3)4着馬。2代母マチカネササメユキは、その2代目に La Troienne の影響が強いプレイメイトと Sex Appeal を配置しているため、マデイラ自身は「クロフネ×サンデーサイレンス+La Troienne 血脈」という父の成功パターンに合致しています。さらには Mr.Prospector が入るので、フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティS、阪神C、東京スポーツ杯2歳S)に似た配合に仕上がっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102955/

「栗山ノート」で指名した時点では、芝とダート、どちらでも行けそうだと感じていたのですが、馬は完全に芝向きですね。順調に成長すればいいところまで行けそうです。

■日曜東京3Rの新馬戦(芝1600m)は、好位追走のシャンボールフィズ(1番人気)が力強く抜け出して後続に3馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=H_fgEjN738U

予想は◎△で馬単1860円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎シャンボールフィズは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母はマンハッタンカフェの全妹にあたる良血で、繁殖牝馬として非凡な才能を示しており、これまでにクレスコグランド(京都新聞杯)、アプリコットフィズ(クイーンC、クイーンS)、コロンバスサークル(オールカマー-4着)を送り出している。異なる父から確実に重賞級の産駒を生み出しているのは立派の一語。キングカメハメハとの組み合わせも問題ないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105993/

「栗山ノート」で推奨した馬です。マンハッタンフィズについては当ブログでもたびたび取り上げてきたので、ここであらためて説明することはありません。文句なしの名牝、という一語に尽きます。

マンハッタンカフェが成功する交配牝馬のパターンはいくつかあるのですが、(1)Northern Dancer の強いクロスを持つ、(2)Mr.Prospector と Nijinsky の組み合わせを持つ、というものがあります。キングカメハメハは Northern Dancer 4×4・6で、Mr.Prospector と Nijinsky を併せ持っています。

つまり、仮にシャンボールフィズの父母をひっくり返し、マンハッタンカフェ産駒と見立てた場合、(1)(2)の条件に合致するので配合的に優れていると思います。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」の組み合わせからはダイワバーバリアン(NHKマイルC-2着)、アントニオバローズ(シンザン記念、日本ダービー-3着)が出ています。

小柄な馬ですがそれを感じさせないしっかりとしたフットワーク。新馬戦の勝ちっぷりは半姉アプリコットフィズに引けをとりません。距離が延びても問題なく、重賞戦線で活躍するのは間違いないでしょう。

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2011年11月 2日 (水)

切れ味非凡、アドマイヤムーン産駒アルキメデス

■土曜京都5Rの新馬戦(芝2000m)は、好位追走の▲アルキメデスが危なげなく抜け出し、単勝1.5倍の圧倒的人気に応えました。
http://www.youtube.com/watch?v=F886O8UKqWA

先週はアドマイヤムーン産駒が好調で、このほか萩S(OP)をスノードンが勝ち、くるみ賞(500万下)ではレオアクティヴが2着となりました。10月に入ってからわずか1勝と、勝ち上がりのペースがやや鈍っていましたが、月末になんとか帳尻を合わせました。

アルキメデスもスノードンも直線が平坦な京都コースでの勝利。ローカルと京都の芝では連対率42.9%と強いものの、直線に坂のある東京、中山、阪神の芝では連対率22.2%と落ちます。まだサンプルは少ないものの、現時点では直線が平坦となっているコースのほうが持ち味を活かしやすい、という傾向は見て取れます。

アルキメデスは調教で好時計をマークしたため、ガチガチの1番人気でした。母アーキオロジーは「Seeking the Gold×Storm Cat」とパワーが前面に出た配合で、Sky Mesa(米G1馬で種牡馬としても成功)の半妹でもあります。本馬の半兄アストロロジー(父アグネスタキオン)にはユニコーンS(G3・ダ1600m)の予想で◎を打ったほどです。切れ味勝負になったときにどうなのか、ペースが上がった場合は距離が長いのではないか、という懸念があったのですが、杞憂に終わりました。ラスト2ハロンは11秒0-11秒3。アドマイヤムーン産駒の切れ味はやはり非凡です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102619/

現時点では母方に Mr.Prospector を持つアドマイヤムーン産駒は連対率31.8%、持たない場合は35.7%と、さほど大きな違いはありません。母方に Seeking the Gold を持つアドマイヤムーン産駒には、ほかにレッドアーヴィングなどがいます。9月の札幌新馬戦(芝1800m)を大物感あふれるレースぶりで快勝した馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106100/

レッドアーヴィングもアルキメデスも、母がパワー型のアメリカ血統で構成されています。この部分が父の柔らかさに一本芯を通す働きをし、大物感の源泉となっているのかもしれません。

■土曜東京5Rの新馬戦(芝1400m)は、△トーホウジュリア(1番人気)がマイペースで逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=dSYF8284Duk

新種牡馬メイショウボーラーは健闘しています。デビュー前の下馬評からすると現時点の7勝は文句なしの好成績で、この日、東京競馬場で2レース組まれた新馬戦はいずれもメイショウボーラー産駒が制しました。同産駒は総じて仕上がりが早く、逃げてしぶといですね。メイショウボーラーの現役時代の姿がこの特長と重なります。1番人気で強いというのも特筆できます。

約2ヵ月前、メイショウボーラー産駒のヴィンテージイヤーが勝った際の回顧で、「種牡馬としては7:3ぐらいでダート向きかなという気がします」と記しました。現時点では芝連対率13.3%、ダート連対率25.9%という成績なので、やはりダートのほうが信頼できます。芝では緩急が要求される1600~1800mには向かず、かといって1200m向きの快速タイプでもないので、いまのところ1400mに良績が集中しています。今回の勝利で6戦3勝となりました。

芝だったので評価を下げてしましましたが、拙速な判断であったと悔やまれます。サンデー系のアグネスタキオンを母の父に持ち、Halo 4×4ですからダートオンリーという配合ではありません。そして、Storm Cat とマルゼンスキーのニックスを持ち、自身は Nijinsky≒Storm Bird≒The Minstrel 4・5×4・5。芝で走るメイショウボーラー産駒のひとつのパターンとなってもおかしくない好配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103643/

2代父タイキシャトルは Nijinsky と相性がよく、父メイショウボーラーは Nijinsky≒Storm Bird 4×3ですから、このあたりを刺激する配合は芝向きダート向きを問わず悪くないでしょう。

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2011年11月 1日 (火)

昇級戦でも即通用しそうなピュアソウル

■土曜京都1Rの未勝利戦(ダ1200m)は、ここが初出走のエーシンブラスター(2番人気)が大外から差し切りました。スタートで出遅れて絶望的な位置取りからの逆転勝ち。しかも経験馬のなかで唯一の初出走馬だったわけですから強いですね。

配合はエルコンドルパサーを彷彿させる特異なものです。母 Madagascat は Storm Bird=オシアナ3×2という全きょうだいクロスを持ち、父は Storm Bird≒Nijinsky 4×3で、エーシンブラスター自身はこれらすべてを継続する形でヨハネスブルグ≒Tale of the Cat 2×2。さらには Mr.Prospector 3×4も持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110069/

言葉で説明するとわけがわからないので、上記URLの血統表をご覧いただきたいと思います。頭がくらくらする配合です。

父 Scat Daddy は現役時代にシャンペンS(米G1)、フロリダダービー(米G1)などを制し、種牡馬としては今年の2歳世代が初年度産駒となります。『BloodHorse.com』の集計によると、現時点で新種牡馬トップであるばかりでなく、全体の2歳ランキングでもトップです。Daddy Long Legs(ロイヤルロッジS-英G2・芝8f)、Shared Property(アーリントンワシントンフューチュリティ-米G3・AW8f)、Finale(サマーS-加G3・芝8f)と、すでに3頭の重賞勝ち馬が出ています。芝とオールウェザーで結果を出している点が興味深いですね。

エーシンブラスター自身は今年春のOBSマーチセールに出場し、ラスト1ハロンで9秒8という怪時計を叩き出しました。価格は40万ドル。ファシグティプトンフロリダ2歳セールで47万ドルの値がついたゲンテン(デイリー杯2歳S-3着)には及びませんが、あちらが世界的な良血だったのに対し、こちらは時計の速さ(と配合の特異さ?)で価格が上がったという印象です。

フットワークを見ると、たしかに掻き込みは強いものの前肢が前に伸びているので、芝で走らせてみてもおもしろいのでないかと思います。もし仮に芝替わりで人気が落ちるようなら買ってみたい馬です。

■土曜京都3Rの未勝利戦(芝1600m)は、好位追走のピュアソウル(1番人気)が直線半ばで抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VOHvYe_oR1I

道中はスローペースで展開し、ラスト2ハロンの上がり勝負。ピュアソウル自身はラスト1ハロンしか競馬をしていません。スマートな差し切り勝ちでした。

ディープインパクト産駒は現在、2歳の勝ち鞍ランキングで第4位。上位5頭は以下のとおりです。

1位 17勝 ダイワメジャー
2位 15勝 アグネスタキオン
〃   〃  シンボリクリスエス
4位 14勝 ディープインパクト
5位 12勝 アドマイヤムーン

昨年の同時期は20勝を挙げていたので勝ち星を減らしています。昨年はどの陣営も早めの仕上げで、ピリピリしたムードのなかキッチリ仕上げて新馬戦に使っていました。今年はゆっくりでいいんだというムードがあるように感じます。

それに加えて、ダイワメジャー、アドマイヤムーンの台頭の影響もあるでしょう。昨年の同時期の上位5頭が今年どの程度勝っているかを示してみます。
             10年 11年
1位 ディープインパクト 20勝→14勝
2位 ハーツクライ    14勝→ 5勝
〃  キングカメハメハ  14勝→ 8勝
〃  マンハッタンカフェ 14勝→ 6勝
5位 フジキセキ     12勝→12勝

昨年の上位5頭はその時点で合計74勝でしたが、今年は45勝。29勝も減らしています。今年、ダイワメジャーとアドマイヤムーンの勝利数は合わせて29勝(17勝+12勝)。減った分とぴったり数が合うのは偶然としても、“2頭に食われた分が減っている”という見方はそれほど間違ってはいないと思います。

さて、ピュアソウルに話を戻します。母ヒストリックスターは不出走馬ですが、牝馬二冠馬ベガが残した唯一の牝駒ですから血統的に貴重です。それ以外の4頭の兄弟は、アドマイヤベガ(日本ダービー)、アドマイヤドン(G1を7勝)、アドマイヤボス(セントライト記念)、キャプテンベガ(東京新聞杯-2着)。並の遺伝力ではありません。

「母の父ファルブラヴ」が気になったので、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では無印としました。ファルブラヴは明らかなフィリーサイアーなので、母の父としては悪くないかもしれませんね。ちょっと悔やまれます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106275/

ピュアソウルについては、9月16日のエントリー「アドマイヤベルナと配合が似ているバウンダリーワン」でちょっと触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-4274.html

そのなかで「ピュアソウルにも一本調子なところが伝わっているのかどうか、気になるところです」と記しましたが、どうやら杞憂だったようです。上がり勝負をスパッと抜け出しました。昇級戦でも即通用するでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月31日 (月)

天皇賞・秋はトーセンジョーダン

レース前半、かなりのペースでレースが展開していることは分かりましたが、1000m通過が「56秒5」とターフビジョンに表示されると場内がドッと湧きました。逃げたシルポートが残り300mで馬群に飲み込まれたあともペースは落ちることなく、馬場中央を突き抜けた△トーセンジョーダン(7番人気)が1分56秒1の日本レコードで快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=wbCnkopLCkk

1800mの通過1分44秒3は、同距離のコースレコード(1分44秒2=チョウサン)と0秒1しか違いません。2000mの旧レコード(1分57秒2=ウオッカ)が樹立された3年前の当レースは、この距離を1分44秒6で通過したものの、最後の1ハロンで12秒6とラップを落としました。今回は11秒8で締めくくったので大レコードとなりました。

◎ペルーサ(6番人気)は好スタートを決め、後方で折り合いがつきました。個人的には超ハイペースの展開に内心しめしめ……という気分で、直線で大外に持ち出したときには差し切れると思いましたが、惜しくも届かず3着。思いのほか前がしぶとかったですね。

『netkeiba.ocm』の「No.1予想」、『ウマニティ』に提供した予想は△○◎で3連単21万4010円的中。連単系マルチに買い目を設定していたので高配当が的中しました。予想文を転載します。

「◎ペルーサは『ゼンノロブロイ×キャンディストライプス』という組み合わせで、母アルゼンチンスターの全姉に亜チャンピオン牝馬で米G1も制したディフェレントがいる良血。昨年5月の青葉賞(G2)を勝った際は、いずれ日本を背負って立つ名馬になるだろうとの期待感があったが、それを最後に勝ち星がなく現在7連敗中。しかし、たそがれたイメージとは裏腹に今回の休養中にガラリ一変。稽古で抜群の時計を連発している。思えば父ゼンノロブロイも4歳秋に一変し、天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念とG1を3連勝した。ここにきての急上昇は父の軌跡と重なって見える。ゼンノロブロイ産駒は東京芝2000mで連対率48%(23戦11連対)と驚異的な成績を挙げており、ペルーサ自身、昨年の天皇賞・秋でブエナビスタの2着と好走している。この条件はベストに近く、休み明けだからこそ配当面の妙味もある。」

馬体重はプラス14キロ(520キロ)。太いというよりも筋肉の盛り上がりが目立ち、明らかにスケールアップしていました。反動が出なければジャパンCでも勝ち負けに持ち込めそうです。

2着○ダーウシャドウ(2番人気)は直線半ばで前が開かず、外側に進路を変えた不利が痛かったですね。あれがなければ……と惜しまれます。大阪杯でG1馬に伍して2着、前走の毎日王冠では安田記念馬リアルインパクトに先着しているのですから、今回のメンバーに交じっても格下ということはありません。ゴール前の追い比べでは、尾を振って内にモタれ、苦しがっていました。最後の一滴までガソリンを使い切ったような走りだったので、反動がやや心配です。

勝ったトーセンジョーダンはジャングルポケット産駒。スパッと切れるタイプではないだけに瞬発力勝負になるとやや劣勢では、という気がしていました。スピードの持続力が要求される超ハイペースになったことが幸いしました。とはいえ、トップレベルのG1をレコードで制したわけですから、もちろん展開が向いたことだけが勝因ではありません。この馬自身、厳しい流れを追走しながら上がり3ハロンはメンバー中2位の34秒2。地力強化は明らかです。晩成型の血がようやく開花してきたのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/

当ブログで再三示しているとおり、配合構成は2年前の天皇賞・秋、マイルCSを制したカンパニーに酷似しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/

            ┌ トニービン
          ┌○┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
トーセンジョーダン ┤ └○┘
          └ エヴリウィスパー(=ブリリアントベリー)

            ┌ トニービン
          ┌○┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
カンパニー ――――┤ └○┘
          └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

カンパニーは長らくG2大将というポジションでしたが、8歳にして本格化し、G1を勝ちました。配合がよく似たトーセンジョーダンもこれから旬を迎えるのではないでしょうか。フロックではないでしょう。

両馬の2代母クラフティワイフの牝系は、トニービン系と絶好の相性を示しており、トーセンジョーダンとカンパニーのほかにも、レニングラード、バトルバニヤンといった活躍馬が出ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102878/

          ┌ トニービン
レニングラード ――┤
          └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

            ┌ トニービン
          ┌○┘
バトルバニヤン ――┤
          └ クラフティワイフ

非常に分かりやすいニックスなので、トーセンジョーダンは以前POGで指名していました。個人的にも思い入れのある馬です。この秋、ジャングルポケット産駒はアヴェンチュラ(秋華賞)に次いで2頭目のG1制覇となりました。

もともとトニービンとノーザンテーストの組み合わせは東京コースのG1に強く、90年代にはサクラチトセオーとエアグルーヴが天皇賞・秋を勝っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1990108898/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109154/

          ┌ トニービン
サクラチトセオー ―┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┘

          ┌ トニービン
エアグルーヴ ―――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┘

これらに加え、トーセンジョーダン、カンパニーを含めてあらためて思うのは、“Hyperion の勝利”である、ということ。トニービンもノーザンテーストも Hyperion が主要な構成要素です。府中の長い直線で底力勝負になったとき、この血は頼りになります。Hyperion については以下のエントリーご参照ください。

★Hyperion 没後50年(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-a60d.html
★Hyperion 没後50年(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-4e5d.html
★Hyperion とウォルター・オルストン(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-7206.html
★Hyperion とウォルター・オルストン(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-5de0.html
★Hyperion とウォルター・オルストン(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-58a6.html

周知のとおり、トーセンジョーダンがここに至るまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。裂蹄により二度の長期休養を余儀なくされ、クラシックも棒に振りました。ここまでよく這い上がったものです。サンデーサイレンスを含まない血統なのでいずれ種牡馬となったときに重宝されるでしょう。

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2011年10月30日 (日)

ドクタースパート死す

88年の3歳世代は、オグリキャップ、サッカーボーイ、スーパークリークなど競馬史に名を刻むスターホースが目白押し。2つ下の90年世代も、メジロマックイーン、メジロライアン、メジロパーマーのメジロ三銃士が現れて賑やかでした。しかし、その間に挟まれた89年世代はひたすら地味で、結果的に最も目立った馬は15歳まで走ったミスタートウジンだったような気がします。

ドクタースパートはあまり強いとはいえない世代の皐月賞馬。道営競馬の出身です。地方競馬でデビューした馬が牡馬クラシックを勝ったのは、いまのところこの馬が最後です(牝馬はオグリローマンが94年の桜花賞を勝っています)。地方出身の皐月賞制覇はその16年前にハイセイコーが成し遂げていますが、ドクタースパートとハイセイコーは同じダルモーガンの牝系から誕生しているという共通点があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986101204/

ダルモーガンは大井競馬場がオーストラリアから輸入した牝馬で、俗にいう「豪サラ」。ハイセイコーはチャイナロックの子、ドクタースパートの母の父タケシバオーもチャイナロックの子なので、両者は牝系が同じというだけでなくチャイナロックが入る点も同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000b7f/

ドクタースパートは新冠の須崎光治さんが生産しました。須崎光治さんといえばスズユウ(東京ダービー、帝王賞、東京大賞典)の生産者としても知られています。スズユウはドクタースパートの2代母の半弟。ややこしいので牝系図に示します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1978103154/

 ダルモーガン(f.1950.Beau Son)
  ロンジー(f.1954.ビッグヴイ)
  │パルスター(f.1966.シプリアニ)
  │ ロダンエーコ(f1.1972.ロダン)
  │ │ドクターノーブル(f.1980.タケシバオー)
  │ │ ドクタースパート(c.1986.ホスピタリテイ)
  │ スズユウ(c.1978.トラフィック)
  ハイユウ(f.1961.カリム)
   ハイセイコー(c.1970.チャイナロック)

ドクタースパートの父ホスピタリテイは、大井競馬で羽田盃を含め8戦全勝、中央移籍後もセントライト記念を制した名馬です。つまり、ドクタースパートは父も牝系も大井競馬と深いつながりがあります。パワー満点の配合(母は Rockefella 3×5)なので、不良馬場を泥だらけになって抜け出してきた皐月賞は、この馬に最も合った舞台だったといえるでしょう。

あらためて血統表を眺めると時代を感じさせます。父ホスピタリテイ、母の父タケシバオーはいずれも Hyperion 系。ちなみに、翌年の皐月賞を制したハクタイセイはハイセイコー産駒で、これまた Hyperion 系でした。トニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスが相次いでデビューを果たした90年代前半に、日本血統は大きく転換していきます。ドクタースパートやハクタイセイは、前時代の末尾に現れた活躍馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987104019/

ドクタースパートについて印象に残っているのは、皐月賞を除けば中央転入初戦の京成杯3歳S(G2)ですね。当時は笠松出身のオグリキャップが競馬ブームを盛り上げ始めたころでした。ドクタースパートも「道営の北海道3歳優駿をレコード勝ちした大物」という触れ込みだったので、どんなものだろうかと観戦に出掛けたのを覚えています。パドックでは決して見栄えはしないものの、キャリアがある強みなのか、ほかの7頭とは完成度が違っていました。それが強く印象に残りました。レースでは後方待機策から追い込んで前をキッチリとらえました。

ちなみに、そのレースにはエレクトロアートという牝馬が出走していました(6着)。しかし、どう記憶をまさぐっても当時の姿が思い出せません。オルフェーヴルとドリームジャーニーの2代母です。

2011年10月27日 (木)

中山芝1200mで見たいダイワパッション

■日曜東京3Rの新馬戦(ダ1600m)は、2番手追走の◎ミリオンヴォルツ(1番人気)が直線で早め先頭に立ち、後続の追撃をぎりぎりしのぎました。
http://www.youtube.com/watch?v=l3ORF7t--Nw

予想は◎★○で馬単3990円、3連単48790円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ミリオンヴォルツは『ブルーグラスキャット×ディストーテッドヒューマー』という組み合わせの外国産馬。アメリカの調教セール出身馬だけあって稽古でバリバリ時計を出しており、初戦から動けそうな点は魅力。父ブルーグラスキャットは現役時代にハスケル招待H(米G1・ダ9f)を勝った一流馬で、種牡馬としても現3歳の初年度産駒からG2、G3勝ち馬を1頭ずつ出しており悪くない。ストームキャット系が最も得意とする東京ダ1600mなので力を発揮できるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110089/

近い世代に Storm Cat、A.P.Indy、フォーティナイナー、Danzig を持ち、Mr.Prospector 4×4があるので、いかにも脚抜きのいいダートの新馬戦に強いタイプです。仕上がりも万全でした。今回は行きたがるのを必死になだめながらの追走だったので、ラストの弾け方がイマイチでしたが、距離を短縮するなどしてもっとペースが速くなれば、折り合いがついて持ち味をさらに発揮できるでしょう。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝1400m)は、好スタートからハナに立った◎ダイワインスパイア(2番人気)が危なげなく逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=ph_DCl5l6Ag

予想は◎△△で馬単1950円、3連単19410円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ダイワインスパイアは『ダイワメジャー×フォーティナイナー』という組み合わせ。母ダイワパッションはその父フォーティナイナーの影響が強かったようで、フィリーズレビュー(G2)とフェアリーS(G3)を制した早熟のスピード馬だった。このあたりの特徴が産駒に伝わっているのか稽古で好時計をマークしている。仕上がりが早そうなので初戦から走れるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101602/

母ダイワパッションは現役時代、デビュー4戦目に初勝利を挙げると、そこからフェアリーS(G3)、フィリーズレビュー(G2)を含めて4連勝しました。しかし、それから先は10戦して最高着順が8着と、ほとんどが二桁着順の惨敗でした。精神的に燃え尽きてしまったのか、肉体的に苦しい面があったのか、そのあたりは分かりません。ただ、早い時期に強かったのは事実なので、息子もこの時期の競馬に適性があるのでしょう。

直線で蛇行したように精神的にはまだ幼いですね。抑えたり小細工をしなくて済むこのぐらいの距離が合っていると思います。「ダイワメジャー×フィーティナイナー」ですから追って味のあるタイプとは思えません。同じ「ダイワメジャー×Mr.Prospector 系」のビウイッチアスのように、中山芝1200mに向きそうです。

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2011年10月26日 (水)

満点のレースぶりで初戦突破レッドエクスプレス

■土曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、中団追走の△タガノグーフォ(1番人気)が直線で大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=1aP7ypvfxxA

ネオユニヴァース産駒は素軽いスピードタイプではないので、芝の新馬戦では1800~2000mなら買えるのですが、マイル以下では人気を鵜呑みにしないようにしています。とくに芝1400mではこのレースの前まで連対率6%。

シルシを△に落としたのですが、アッサリ勝たれました。このメンバーのなかでは抜けた能力の持ち主でしたね。サンデー系と相性抜群のダンシングブレーヴが母の父に入り、Halo≒Drone 3×4というニックスがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104946/

「ネオユニヴァース×ダンシングブレーヴ」は、インペリアルマーチ、グレヴィテーションなどダートに強い傾向が見られるのですが、前者にはブレイヴェストローマン、後者にはミルジョージが入るので、この組み合わせ自体が力馬的な特徴を醸し出すというものではないでしょう。本馬は2代母の父が Caerleon ですから、今回の走りっぷりが示すとおり芝でも問題なくやれるはずです。距離は2000m前後がよく、高い素質が感じられるので昇級戦でも要注意です。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1800m)は、2番手追走の◎レッドエクスプレス(2番人気)が逃げ馬を交わして抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=wYhmNe7j_H4

予想は◎★△で馬単3380円、3連単44100円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎レッドエクスプレスは『ディープインパクト×シーキングザゴールド』という組み合わせ。アメリカの名門フィップス家が育てた名牝系に属し、2代母ディスピュートはケンタッキーオークス(米G1)、ベルデイムS(米G1)など米G1を4勝した。母アドヴァーシティはブロードウェイ3×4という名牝のクロスを持っているので繁殖牝馬として期待できる。やや硬めのアメリカ血統で構成されているが、父ディープインパクトはダート色の強い繁殖牝馬を料理するのが得意なので、芝適性に関しては問題ないだろう。2代母の父ダンジグはディープインパクトと相性良好。京都芝1800mの新馬戦はディープインパクト産駒が連対率55.6%と得意にしている。」
http://www.youtube.com/watch?v=PnYB4m4x32w

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名した馬で、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では○評価。ソツのないクレバーなレースぶりでした。初戦としては満点でしょう。

母アドヴァーシティが3×4で持っている Broadway は、繁殖牝馬として稀な成功を収めた名牝です。Queen of the Stage(米最優秀2歳牝馬)、Reviewer(悲劇の名牝 Ruffian の父)、Stage Director(フィラデルフィアH)、グレートホワイトウェー(本邦輸入種牡馬)などを産み、孫の代から名種牡馬 Seeking the Gold が誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/broadway

グレートホワイトウェーは大井競馬場のレコードホルダーを2頭出しました。ダ1600mのカツスイセー(1分37秒5=79年8月3日)、ダ1200mのカオルダケ(1分10秒2=80年9月18日)です。前者のレコードは06年のマイルグランプリでアジュディミツオーが1分37秒2を出して27年ぶりに更新されましたが、後者は30年以上経った現在も破られていません。ちなみに、カツスイセーの記録を破ったアジュディミツオーはアジュディケーティング産駒で、アジュディケーティングの母の父はグレートホワイトウェーの半弟 Reviewer です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001104554/

こうした血統的なアウトラインからも分かるように、Broadway はパワーを兼ね備えた抜群のスピードを伝える一方、やや一本調子なところがあります。それを3×4でクロスさせた母アドヴァーシティは柔軟さや瞬発力を伝えるタイプではありません。レッドエクスプレスの2代母 Dispute は、予想文に記したとおりケンタッキーオークス(米G1)、ベルデイムS(米G1)など米G1を4勝した名牝で、前出のアジュディケーティングの全妹にあたります。この点からもアドヴァーシティの個性を類推できることと思います。

レッドエクスプレスは、母が硬質なアメリカ血統で固められているので、距離適性がやや長めのリアルインパクト、といったイメージです。POGで期待できる完成の早いディープインパクト産駒はこのパターンが手堅いといえるでしょう。

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2011年10月25日 (火)

ダイワメジャー産駒の砂系の大物? メジャーアスリート

■土曜東京1Rの未勝利戦(ダ1600m)は、逃げたメジャーアスリート(1番人気)が直線で後続を突き放し4馬身差で快勝しました。タイムの1分36秒9はレコード。
http://www.youtube.com/watch?v=pV1PV7qxjZg

ここまでの3戦は芝を走って2、2、7着。ダート替わりの今回、見違えるような走りを見せました。

ダイワメジャー産駒は、幼駒時代からガッシリとしたパワフルな馬体が印象的で、セールで見るたびに「ひょっとしたらダート向きの種牡馬として大成する可能性もあるなぁ~」と考えていたのですが、デビューしてみると芝の好成績に比べダートはイマイチ。ただ、素軽いスピードタイプかといえばそうではなく、芝では切れ負けして2着が多く、馬場が荒れたり渋ったりしたほうが持ち味が活きます。

まだサンプルが少ないので、現状の傾向が絶対というわけではなく、メジャーアスリートのようなダートホースもこれからぼちぼち現れてくると思います。

メジャーアスリートは、テンザンデザート(ファンタジーS-2着)、スマートブレード(クラスターC-4着)、タガノラフレシア(アイビーS)などの半弟ですから、まずまずの良血ですね。母の父 Storm Cat は、ダイワメジャーの母スカーレットブーケと構成が似ており、ゆるい見立てでは「スカーレットブーケ≒Storm Cat 2×2」と言えないこともありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100746/

Storm Cat は米リーディングサイアーに輝いたパワー型のスピード血統です。ダートは得意で、ピリッとした切れ味はないもののスピードの持続力には優れています。スカーレットブーケが産んだ2頭の傑作ダイワメジャーとダイワスカーレットも、ダート適性はともかく Storm Cat と同じように、切れ味はないもののスピードの持続力には優れている、というタイプでした。Storm Cat とスカーレットブーケが出会うことで、このあたりの共通項が強化されて伝わったものと考えられます。

すでにデビューしたダイワメジャー産駒のなかで、Storm Cat を抱えたものはほかにドリームリーグのみ。同馬は現在、芝で3戦して未勝利ですが、ダートに替わったところが馬券の買いどころでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100492/

■土曜東京4Rの新馬戦(芝1800m)は、後方追走の△シルバーウエイブ(5番人気)が大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=zt_61Ej0XFw

正直なところ、予想の段階ではこれほどの道悪(不良馬場)になるとは想定していませんでした。「ジャングルポケット×フレンチデピュティ」という堅めの配合が道悪で活きました。走りっぷりを見ても掻き込みが強くパワフルです。外伸びの馬場も幸いしました。2代母の父サンデーサイレンスは、父ジャングルポケットとも母の父フレンチデピュティとも相性が抜群なので、この位置に入るだけで配合の安定感が違ってきます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105983/

母の父フレンチデピュティは Deputy Minister の子。Deputy Minister 系の牝馬にジャングルポケット、という配合はオウケンブルースリ(菊花賞、京都新聞杯)と同じです。Deputy Minister 系は母の父として総じて優秀ですが、ジャングルポケットとの組み合わせでも悪くない結果を残しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102548/

良馬場のスピード勝負になったときにどう対処するか、という点が今後の課題です。距離は伸びても問題ありません。

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2011年10月24日 (月)

オルフェーヴル三冠達成

日曜日の午前、新幹線で京都に向かう道中、周りの席に座っていた方々がずっと菊花賞の話題で盛り上がっていました。こういう雰囲気はいいですね。自然に耳に入ってくる会話はオルフェーヴルが中心でした。

レースは、そんなファンの期待に応える横綱相撲。最終コーナーの手前で馬なりのまま先頭に接近した時点で勝負は決しました。着差は2馬身半ですが、ゴール前で手綱を抑えなければ4~5馬身差はつけていたでしょう。ふと17年前のナリタブライアンの圧勝劇が脳裏に甦りました。勝ちタイムの3分02秒8はコースレコードにコンマ1秒差です。
http://www.youtube.com/watch?v=gKY_XWhuv0o

1ハロン13秒台のラップが一度もない、という過去に例がない引き締まったペース。しかも、馬群が縦長にならなかったため、実力が如実に表れるレースとなりました。1着◎オルフェーヴル(1番人気)、2着▲ウインバリアシオン(2番人気)、3着○トーセンラー(3番人気)というガチガチの決着です。穴馬に出番はありませんでした。

予想は◎▲○で馬単400円、3連単2190円的中。各媒体に提供した予想文(一部)を転載します。

「◎オルフェーヴルは『ステイゴールド×メジロマックイーン』という有名なニックス配合で、ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)の全弟にあたる良血。二冠を制した春の時点でも抜きん出た実力を誇っていたが、夏を越して心身の成長ぶりが著しく、もはや同世代には負けようがないレベルに達している。前走の神戸新聞杯はテンションが上がりやすい休み明けで、なおかつ例年の菊花賞よりも遅いペースで展開したにもかかわらず折り合いがついた。引っ掛かって自滅するシーンは想像しづらい。淀みない流れで展開した場合は、折り合いを欠く心配がなくなり、この馬の底力が活きる競馬となる。いずれにしても死角は小さく三冠達成は濃厚。2着探しのレースだ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

スタート後の3コーナーの下りで、ハミを噛んで行きたがる仕草をみせましたが、折り合いがついてからはスムーズでした。ここまで上手にレースができるようになったのは、スタッフの創意工夫や並々ならぬ忍耐の賜物でしょう。もし2歳時に見せた気性難が治らなかったら、三冠どころか一冠もなかったはずです。入線後、止め際で池添騎手を振り落したシーンに、いまだ潜在する気性難を感じました。この悍性こそが父ステイゴールドから受け継いだ最大の武器であり、またアキレス腱でもあります。

ダービーを勝って二冠を制したあと、オルフェーヴルはノーザンファームしがらき(滋賀県甲賀市)で夏を過ごしました。管理する池江泰寿調教師は毎週見に行っていたそうで、「いい夏を越せたのが三冠達成の大きなファクターでした。遅生まれだったので成長も大きかった」と語っています。前走16キロ増だった馬体が、今回さらに6キロ増えていました。全兄ドリームジャーニーもそうでしたが、ステイゴールド産駒は古馬になって完成する晩成型が多いので、まだまだ成長していくでしょう。

レース後の記者会見で、池江調教師は「来年の目標は凱旋門賞制覇。そのプランについてはこれから練っていきたい」と語りました。気負いのない自信に満ちた口ぶりに、ひょっとしたら「まともに走れば勝てる」と考えているのではないか――と、軽い戦慄を覚えつつその胸中を想像しました。5年前のディープインパクトのフランス遠征に池江調教師は付き添いました。その経験は大きな財産となっているはずです。今後のレースについては馬の状態を見て決めるそうなので未定です。回復が早いようならジャパンC、疲れが抜けないようなら有馬記念でしょう。

2着ウインバリアシオンは、世代ナンバー2の実力を証明しました。レース後、安藤勝己騎手はサバサバとした表情で「馬がようやく良くなってきたところだから。これから楽しみがありますよ」と、馬の成長力に期待を寄せていました。松永昌博調教師は次走について「相手(オルフェーヴル)次第やね」と語りました。ライバルが出ないレースに出す、ということなのでしょう。オルフェーヴル以外なら勝てる、という自信の表れとも取れます。

3着トーセンラーは、管理する藤原英昭調教師がオルフェーヴルの強さにショックを受けた様子で、「あそこまで強いとは思わへんかったなぁ~」と、苦笑まじりに社台ファーム代表の吉田照哉氏に語っていました。「三冠馬誕生かぁ~」とつぶやいて溜息をついたのが印象的でした。

10月24日(月)の午後10時55分から、NHK総合テレビ『アスリートの魂』で、「人馬ひとつになって 三冠馬・オルフェーヴルと池添謙一」が放送されます。検量室前にNHK大阪のスタッフの姿がやけに目についたのですが、三冠達成へ向けての密着取材をしていたようです。10月26日(水)の午前2時00分(25日深夜)に再放送があります。

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2011年10月22日 (土)

重賞でもやれそうなハイリリー

日曜東京4Rの新馬戦(芝1600m)は、ダッシュがつかず後方追走となった〇ハイリリー(4番人気)が上がり33秒7の末脚で大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=MPpKfYqLESM

800m通過が49秒7というスローペース。牡馬相手に上がりの競馬で後方一気の差し切りですから強いと思います。この切れ味はアグネスタキオン産駒の最大の長所ですね。

母方に Lyphard を持つアグネスタキオン産駒は成功しており、キャプテントゥーレ、リトルアマポーラ、アグネスアーク、ブロードストリート、リディル、リルダヴァルといった活躍馬が出ています。Lyphard を持つアグネスタキオン産駒は、持たない産駒に比べて連対率で約3%上回り、1走あたりの獲得賞金額は約1.5倍です。

★Lyphard を持つアグネスタキオン産駒
連対率 23.3%
1走あたりの獲得賞金額 302万円

★Lyphard を持たないアグネスタキオン産駒
連対率 20.2%
1走あたりの獲得賞金額 201万円

Lyphard の代表産駒ダンシングブレーヴはアグネスタキオンと相性抜群で、ダンシングブレーヴは母の父に Drone を持ちます。したがって、この両者の組み合わせは、“Halo と Drone のニックスの効果”という側面もあります。

ただし、ダンシングブレーヴを除いた Lyphard 系との関係でも、アグネスタキオンは連対率22.1%、1走あたり285万円という優れた数値が出ているので、やはりアグネスタキオンと Lyphard は好相性といえるでしょう。

2代母ワディアは英ダービー馬エルハーブの半姉です。個人的に思い出のある馬で、日本で産んだ初子スカイハイ(父 Silver Hawk)を10年ぐらい前のPOGで全体の1位指名にして笑われた経験があります^^ ハイリリーの半兄スカイフォレスト(父フジキセキ)も指名馬でしたが、残念ながら走りませんでした。母テイクミーハイヤーは初子(スカイフォレスト)、2番子(デルサラード)と続けて不振だったため、さすがに3番子のハイリリーには食指が動きませんでした。ただ、配合的には好きなタイプです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106597/

前評判に挙がっていた馬ではありませんがいい馬ですね。重賞戦線でも楽しみです。

◎エンドレスノット(2番人気)は2番手から抜け出す完全な勝ちパターンでしたがゴール前で差されて2着。相手が悪かったとしか言いようがありません。すぐに勝ち上がれるでしょう。

予想は〇◎△で馬連1660円、3連複4940円的中です。

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2011年10月21日 (金)

ダート新馬戦の鬼マンカフェを父に持つタマモスコーピオン

■日曜京都4Rの新馬戦(ダ1800m)は、後方追走の◎タマモスコーピオン(1番人気)が直線で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=_lTe24rb0JY

着差はハナですが、2着以下とは力が二枚ぐらい違います。カーブを曲がるのが下手で、1~2コーナーでも3~4コーナーでも外に膨れていました。致命的と思えるロスを克服して勝つのですから走る能力は高いと思います。

予想は◎△○で馬単1770円、3連単4670円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎タマモスコーピオンは『マンハッタンカフェ×アフリート』という組み合わせ。これは共同通信杯を勝ったハンソデバンドと同じ。2代母サンドピアリスはエリザベス女王杯を20番人気で勝って大穴を開けた馬だが、ハイセイコー産駒だけあってダート適性を伝えており、母の半兄にはダート重賞を3勝したタマモストロングがいる。高い砂適性は本馬にも伝わっているだろう。マンハッタンカフェ産駒はダート新馬戦で連対率30%と優秀だ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104233/

昨日のエントリーでスペシャルウィーク産駒のダート新馬戦における強さについて触れましたが、それと双璧なのがマンハッタンカフェ。連対率は30.6%です。クロフネやゴールドアリュールなどと違ってこの条件に強いというイメージがないせいか、さほど人気にはならず単勝回収率は229%と優秀です。今年の1月以降に限ると13戦9連対(連対率69.2%)、単勝回収率1153%と呆れるような数字を残しています。

タマモスコーピオンは、走るために覚えるべきことを覚えれば、上のクラスでも即通用するでしょう。ただ、それには多少時間がかかるかもしれません。

■日曜東京3Rの新馬戦(ダ1400m)は、二の足を利かせて先頭に立った◎ヴェイグストーリー(2番人気)が直線で後続を突き放し、2馬身半差をつけて逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=0g1wBEV8Hjc

予想は◎▲○で馬単4410円、3連単13240円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ヴェイグストーリーは『ゴールドアリュール×エリシオ』という組み合わせ。母ウインドヴェインはアストンマーチャン(スプリンターズSなど重賞4勝)の半姉なのでスピードの潜在能力は高く、自身はヌレイエフ≒フェアリーキング3×3を持つので重厚感も感じられる。先手を取れれば押し切れそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105726/

予想文に書いたとおりの結果となりました。父ゴールドアリュールはスマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスター、シルクフォーチュンなどの大物を送り出しているダート界の大物種牡馬。快速タイプではないので、ダート新馬戦では1600m以上の好成績に比べて1400m以下ではやや落ちます。ヴェイグストーリーが買えたのはアストンマーチャンの姪という血統背景が大きいですね。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月20日 (木)

ダート新馬戦は強し、スペシャルウィーク産駒ズッカ

■土曜京都2Rの未勝利戦(芝1600m)は、これが5戦目のタイセイシュバリエ(2番人気)が5馬身差で圧勝し初勝利を挙げました。勝ちタイム1分34秒7(重)は同日のデイリー杯2歳S(G2)を0秒2上回るもの。ペースの違いがあるとはいえ優秀です。
http://www.youtube.com/watch?v=7-1h9qIyLBY

「クロフネ×サンデーサイレンス+La Troienne」は好きなパターンです。以前、本馬と同じ「クロフネ×サンデー+Seattle Slew(La Troienne が主要構成要素)」のボンバルディエーレという馬をPOGで所有したことがあります。やや癖のある馬で1000万条件をなかなか勝ち上がれませんが、配合の方向性は間違っていないと思うので、似た配合のタイセイシュバリエには今後も注目したいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105247/

■土曜京都3Rの新馬戦(ダ1400m)は、〇ズッカ(1番人気)と◎チキウミサキ(2番人気)の激しい叩き合いとなり、前者がクビ差先着しました。
http://www.youtube.com/watch?v=hC7C3QIzAuo

予想の段階でどちらに◎を打つか迷いに迷ったレースです。ダート新馬戦で圧倒的に強いスペシャルウィークを父に持つ前者か、配合におもしろいところがある後者か。結局、稽古の良さを活かし、前者が単勝1.5倍の1番人気に応えました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102444/

スペシャルウィーク産駒はダート新馬戦で連対率31.0%と強く、前週のツクバヤマノオー(10月14日のエントリー参照)に続いてのダート新馬戦勝利です。母の父 A.P.Indy は Seattle Slew 系で、Secretariat を併せ持つ配合ですから、リーチザクラウン(マイラーズC、きさらぎ賞)と似た構成ですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102923/

リーチザクラウンは2代母の父に Mr.Prospector を抱えているのに対し、本馬にはそうしたスピードが入らず、代わりに重厚な Master Willie が入ります。それによって Aureole≒ハイハット5×5・6という組み合わせのクロスが生じるためパワー型に傾いています。Aureole とハイハットの関係については昨日のエントリーをご参照ください。

■土曜京都5Rの新馬戦(芝1200m)は、素早く先手を奪った◎ソラコマチ(4番人気)がギリギリ逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=Gw5GysU9WnM

予想は◎▲○で馬単1970円、3連単6760円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ソラコマチは『サクラバクシンオー×ウォーニング』。この組み合わせは成功しており、JRAで出走したわずか4頭からマルブツイースター(小倉2歳S)、サクライダテン(3勝)が出ている。母ブイルージュは新馬戦をレコード勝ちした快速馬なので仕上がりは早い。力強い血で構成されているので道悪もこなすはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101892/

新馬戦をレコード勝ちしたブイルージュに、快速サクラバクシンオーを掛けて誕生した子ですから、やはり新馬戦のスピード比べでは強いですね。使って大きな上昇が見込めるタイプではないのでここが買い時でした。

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2011年10月19日 (水)

スピルバーグ、初陣を豪快に差し切る

土曜東京4Rの新馬戦(芝2000m)は、◎スピルバーグ(1番人気)が長い直線を活かして末脚を伸ばし、ゴール直前で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=JCxOBrHaXN4

4コーナーで外からマクられ、先を行く3頭から離されたときには終わったかなと思いましたが、そこから盛り返して差し切ったのにはビックリしました。北村宏司騎手によれば直線までハミを取らなかったとのこと。本気を出してからの走りは別馬のようでした。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎〇▲で馬単380円、3連単750円的中。予想文を転載します。

「◎スピルバーグは『ディープインパクト×リシウス』という組み合わせ。半兄にフラワーアリー(米G1トラヴァーズSなど重賞4勝)、半姉にブルーミングアレー(G2フローラS-3着)を持っている。母はハイハット≒オリオール4×5で、自身はそれを継続する形でハイペリカム≒オリオール6×6を持つので底力は十分。スピードとスタミナをバランスよく抱えた好配合馬なので、このレースといわず来春のクラシックまで注目したい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105961/

予想文には「トーセンラー(きさらぎ賞)の全弟」という最も重要な情報をウッカリ書き忘れてしまいました。スミマセン。

母プリンセスオリビアはきわめて優秀な繁殖牝馬なので、配合相手が何であれPOGでは毎年指名候補には入れたくなります。競走馬時代はたいした成績を挙げられませんでしたが、その父 Lycius が送り出した唯一のG1ホース(Hello)と同じ「Lycius×Sadler's Wells」という組み合わせで、両者の相性の良さ、スピードとスタミナの交配でいいとこ取りができたことが繁殖牝馬として成功した最大の要因でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a010abb/

配合を細かく見ると、(1)ハイハット≒Aureole 4×5という組み合わせのクロス、(2)Goofed 4×4という牝馬クロス、というふたつのポイントがあります。

(1)を図にすると以下のようになります。

       ┌ Hyperion
ハイハット ―┤ ┌ Donatello
       └○┘

       ┌ Hyperion
Aureole ―――┤ ┌ Donatello
       └○┘

80年代の女傑 Time Charter(父が Native Dancer 系で母がハイハット≒Aureole 2×3)を連想させる配合です。予想文に記したとおり、息子のスピルバーグはこれを部分的に継続する形で Hypericum≒Aureole 6×6という4分の3同血クロスを持ちます。スタミナ、底力といった要素を補強しています。

(2)については、「母に名牝の強いクロスがある」という個人的に好きなパターンで、わたしも過去にディープスカイ(母アビは Miss Carmie 4×3)、ストロングリターン(母コートアウトは Smartaire 4×3)などをPOGで指名した経験があるので、その効果については実感しています。

プリンセスオリビアの2代母 Diamond Spring は、名牝 Nobiliary の4分の3同血(父が同じで母が親子)です。

         ┌ Vaguely Noble
Diamond Spring ―┤
         └○┐
           └ Goofed

         ┌ Vaguely Noble
Nobiliary ――――┤
         └ Goofed

Nobiliary は Lyphard の半妹で、現役時代にワシントンDC国際(米G1)、サンタラリ賞(仏G1)を制したほか、英ダービー(G1)に挑戦して2着に食い込む活躍をみせました。つまり、プリンセスオリビアは Goofed が産んだ2頭の傑作、Lyphard と Nobiliary の要素をほぼ含んだ上で、Goofed 4×4という牝馬クロスを持っています。これは好感が持てますね。スピルバーグ自身は Lyphard 4×4なので、母が持つ Goofed のクロスを継続(5×5・5)しています。

このようにスピルバーグは、母プリンセスオリビアが持つ(1)(2)のポイントをいずれも継続しており、配合的によく出来ています。『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名し、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』でも◎評価でした。電子書籍のほうは共著者の望田潤さんと◎が被った数少ない1頭です。

スケールの大きさを感じさせる勝ち方ではありましたが、一方でまだまだ課題も多いなという印象も受けました。残り3ハロンの地点で13秒3→11秒3とペースアップしたときに、ギアチェンジできずに一瞬置かれ気味になりました。ハミを取っていなかったので仕方がないところではあるものの、ディープインパクト産駒にときどき見られる現象でもあります。心身の成長により、このあたりに対応できる俊敏さが出てくれば、全兄トーセンラー同様の活躍が期待できるでしょう。兄よりも50キロ以上重い490キロという馬格は魅力があります。

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2011年10月18日 (火)

デイリー杯2歳Sはクラレント

2歳戦は基本的に実績よりも素質がモノをいいます。まさにそのとおりの結果となりました。キャリアわずか1戦の△クラレント(4番人気)がゴール前で鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=R0rTEYbj5Hs

当レースは2年前に半兄リディルが制しているので兄弟制覇です。リディルはデイリー杯を勝ったあと骨折し、3歳シーズンを全休しました。本馬は無事に来年のクラシックを迎えてほしいものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105009/

ダンスインザダーク産駒が2歳重賞を勝ったのは02年のザッツザプレンティ(ラジオたんぱ杯2歳S)以来9年ぶり。ここ数年はPOG界における存在感がまったくなく、現3歳世代は新馬戦勝ち馬がゼロという体たらく。ただ、現2歳世代はクラレントのほかに京都芝1600mの2歳レコード(1分33秒4)を樹立したショウナンラムジ(10月12日のエントリー参照)がいるので、当たり年といえるでしょう。2歳時に重賞を勝ったダンスインザダーク産駒は、前出のザッツザプレンティのほかにファストタテヤマがいますが、両馬は3歳以降にも重賞を勝ち、菊花賞で連対を果たしたという共通点があります。

クラレントについては新馬戦を勝った直後、7月19日のエントリー「距離延びて楽しみ、リディルの半弟クラレント」で取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-d019.html

そのコメント欄で解説しているように、Halo≒Drone 3×4、Dinner Partner≒Buckpasser 5×5を持つので、毎日王冠を勝ったダークシャドウに近い構成です。2000m前後を得意とする中距離タイプでしょう。この配合構成がなぜ優れているかという点については、10月10日のエントリー「毎日王冠はダークシャドウ」をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/10/post-3426.html

10月12日のエントリーでクラレントをプッシュしながら、肝心の予想で△に落としてしまったのは、一言でいえば天候の読み違いです。豪雨の影響で土曜日は重~不良馬場だろうと考えて道悪血統を上に取り、ゲンテン(3着)に◎を打ちました。

次走は11月19日の東京スポーツ杯2歳S(G3・芝1800m)。ここにはジャスタウェイ、エネアド、ディープブリランテ、サトノグロリアスといった大物候補が出走を予定しています。ここでぶつかるのがもったいないくらいの好メンバーなので、いまから胸が躍ります。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月17日 (月)

秋華賞はアヴェンチュラ

◎アヴェンチュラ(2番人気)が3番手追走の積極策から4コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切りました。勝ちタイムの1分58秒2はレースレコードにコンマ1秒と迫る優秀なものです。
http://www.youtube.com/watch?v=MeSPBirT3c0

稍重とはいえ、ひとつ前の清水S(1600万下・芝1600m)が1分33秒2と例年並みの水準でした。ただし、馬場の乾き方は均一ではなく、コースの内側と外側にバイアスがあったのが大きかったですね。掲示板に載った馬は、3着〇ホエールキャプチャ(1番人気)を除いてインコースを通った馬で占められました。

アヴェンチュラは内ラチ沿いをぴったり回り、早め先頭で押し切るという得意のレースパターン。今回はすべてが完璧でしたね。

全額単勝勝負の『ウマニティ』は3.1倍を的中しましたが、連単系の流し馬券にした他の媒体では2着キョウワジャンヌ(7番人気)がヌケだったので不的中。予想文を転載します。

「◎アヴェンチュラは『ジャングルポケット×サンデーサイレンス』という組み合わせ。全兄フサイチホウオーはラジオNIKKEI杯2歳S(G3)など3つの重賞を制し、全姉トールポピーはオークス(G1)と阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)の勝ち馬。ホーンビーム≒サンセット4×5が成功の鍵となっている。『ジャングルポケット×サンデーサイレンス』はニックスで、前出の兄姉のほかに、ジャガーメイル、アプリコットフィズ、トーセンキャプテンといった活躍馬が出ている。ジャングルポケット産駒だけにスパッと切れるタイプではなく、パワー兼備で持続力が身上だけに、淀みのない流れで展開する小回り戦がベスト。こうした条件で行われた前走のクイーンS(G3)では52キロの軽量とはいえ古馬の骨っぽいところを撃破した。似たようなレース設定で同世代が相手ならまず崩れないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103078/

前走のクイーンS(G3)の回顧にも記しましたが、全兄フサイチホウオーは06~07年の『赤本』で全体の1位に指名した思い出深い馬です。能力を把握しづらい新種牡馬(父ジャングルポケットはこの年デビュー)の子を1位指名にすることはリスクが大きいのですが、それでも指名リストのトップに置いたのは、フサイチホウオーの配合にそれだけの可能性を見出したからです。禁を破って1位に指名した甲斐があり、同馬は3つの重賞を制覇してくれました。翌年にトールポピー(オークス、阪神ジュベナイルフィリーズ)、そして2年置いてアヴェンチュラが出たことは驚くにあたりません。Hornbeam≒Sunset 4×5が底力の源泉です。
http://www.pedigreequery.com/hornbeam
http://www.pedigreequery.com/sunset3

      ┌ Hyperion
Hornbeam ―┤
      └○┐ ┌ Bois Roussel
        └○┤
          └ Point Duty

      ┌ Hyperion
Sunset ――┤ ┌ Bois Roussel
      └○┤
        └ Point Duty

兄と姉は、3歳夏の休養が明けると魔法が解けたかのように走らなくなってしまいました。アヴェンチュラは3歳春を全休し、その間に心身の成長を促すことができたので、そのパターンには当てはまらないと信じたいですね。牝馬らしからぬ逞しい馬体は惚れ惚れします。

2着キョウワジャンヌには印が回りませんでした。4分の3兄キョウワロアリング(北九州記念)はPOGの元所有馬だったので心情的に応援するところはあったのですが、1ハロンの距離延長が気になってどうしても印が打てませんでした。ハーツクライはしっかりとしたスタミナを伝えますね。失敗でした。

ホエールキュプチャ、▲マルセリーナ(3番人気)は結果的に枠順に泣きました。今回は外を回らされた馬にとってはキツいレース。まともに力を発揮できる舞台なら巻き返してくるはずです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月16日 (日)

Frankel 無傷の9連勝でシーズン終了

土曜日にアスコット競馬場で行われたクイーンエリザベス2世S(英G1・芝8f)は、マイル路線で無敵の進撃を続ける Frankel が楽々と抜け出し、デビュー以来の連勝を「9」に伸ばしました。2着 Excelebration との着差は4馬身。タイムは1分39秒45。カルティエ賞の年度代表馬の座は確定的です。
http://www.youtube.com/watch?v=65QCKTzBw1w

スタートは悪く、序盤は後方で宥めるのにやや苦労しましたが、ペースメーカーが引っ張る速い流れにリズムを取り戻し、鞍上のGOサインで一気に抜け出しました。2着 Excelebration、3着 Immortal Verse は、直近の出走レースでマイルG1を勝っているように決して弱い馬ではありません。それらを子供扱いするのですから力が抜けています。

レースが終わったあとすぐ息が入り、涼しい顔で曳かれていました。まさに怪物です。デビュー以来9戦の平均着差は5馬身強。来年も現役を続行する予定です。マイルでは今後もちょっと負けようがない感じですね。タイムフォームのレーティングは10月9日時点で142ですが、この勝利を受けて143~144に上がるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

「Galileo×デインヒル」は今年注目を集めたニックスで、Frankel のほかにも以下の活躍馬がいます(G1勝ち馬のみ)。

・Frankel(英2000ギニー、サセックスSなどG1を5勝)
・Golden Lilac(仏1000ギニー、仏オークス)
・Roderic O'Connor(愛2000ギニー、クリテリウム国際)
・Teofilo(デューハーストS、ナショナルS)
・Maybe(モイグレアスタッドS)
・Cima de Triomphe(伊ダービー)

5月26日のエントリー「活躍馬が続出する『Galileo×デインヒル』」でも触れておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/galileo-d5ba.html

同日に行われたチャンピオンS(英G1・芝10f)は、1番人気 So You Think と伏兵 Cirrus Des Aigles の一騎打ちとなり、後者が競り勝ってG1初制覇。道中からターゲットを So You Think 1頭に定めて徹底マークしたスミヨン騎手の好騎乗でした。昨年のジャパンC(G1)にシリュスデゼーグルの名で出走し9着だった馬です。
http://www.pedigreequery.com/cirrus+des+aigles

Cirrus Des Aigles は Ahonoora 系。この日行われたチャンピオンズスプリントS(英G2・芝1200m)も同系の Deacon Blues が勝ちました。また、チャンピオンズフィリーズアンドメアズS(英G2・芝12f)は母の父に同系の Indian Ridge を持つ Dancing Rain が優勝と、今年のチャンピオンズデイは Ahonoora 系の活躍が目立ちました。Deacon Blues も Cirrus Des Aigles もセン馬なので種牡馬にはなれません。
http://www.pedigreequery.com/deacon+blues2
http://www.pedigreequery.com/dancing+rain3

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月14日 (金)

アプリコットフィズと血統構成が同じサトノグロリアス

■日曜東京3Rの新馬戦(ダ1600m)は、後方追走の◎ツクバヤマノオー(4番人気)が直線で大外から差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=JP3zzaOb6R4

予想は◎△〇で馬単7850円、3連単47960円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ツクバヤマノオーは『スペシャルウィーク×コンバットレディ』という組み合わせ。母レスリーズラブはアメリカで通算56戦22勝の成績を残したダート向きのスプリンター。ノーサードチャンス≒リヴォークト5×6、ガルフストリーム≒ヘリオポリス6×6などが生じるのでサンデー系のスペシャルウィークとは合いそうだ。同産駒は東京ダ1600mの新馬戦で7戦3勝(勝率42.9%)と好成績を挙げている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106039/

もともとスペシャルウィーク産駒は、ダート新馬戦で連対率30.2%と圧倒的に強く、とくに1600m以上では39.0%と抜群の信頼性を誇ります。東京ダ1600mの新馬戦はこれで通算8戦4勝となりました。

勝ったツクバヤマノオーは518キロの大型馬で、いかにもダート馬らしいパワフルなタイプ。前半はズブくて付いていけませんでした。忙しい競馬には向いていません。力のいる中山の深いダートは合いそうです。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)は、後方追走の〇サトノグロリアス(2番人気)が上がり32秒9で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=M1kfyHU2fzo

先週は東京・京都開催の開幕週でしたが、芝で行われた新馬戦では逃げ切りが1レースもありませんでした。当レースは1000m1分06秒6という超スローペース。過去、東京競馬場の芝新馬戦で、上がり32秒台を出して勝った馬はなく、本馬が初めての例となります。開幕週、超スローペースということを加味しても価値があると思います。

昨日のエントリーでご紹介したプールマシェールと同じく「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」という組み合わせ。クイーンC(G3)とクイーンS(G3)を勝ったアプリコットフィズとは、父が同じで母同士が全きょうだいの関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105992/

           ┌ ジャングルポケット
サトノグロリアス ――┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

           ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

アプリコットフィズの母マンハッタンフィズは、ほかにコロンバスサークル、クレスコグランドと活躍馬を連発しています。それに対し、サトノグロリアスの母マンハッタンセレブは、これまでに送り出した2頭(シャインセレブ、ピエナセレブ)がいずれも未勝利馬でした。ジャングルポケットに父が替わった途端に新馬勝ちですからこの配合は走りますね。ちなみに、マンハッタンフィズ、マンハッタンセレブの全兄は名馬マンハッタンカフェ(有馬記念、天皇賞・春、菊花賞)です。

馬体重が504キロと大きく、この時期の2歳馬にしてはガシッと出来上がった造り。1月生まれのアドバンテージは多少あったでしょう。もちろん、それを考慮してもかなり楽しみな素材であることは間違いありません。次走が楽しみです。

◎オコレマルーナ(1番人気)は追い込んで3着。この馬の上がり33秒2も東京競馬場の芝新馬戦史上2位のタイムですから能力は示しました。相手が悪かったですね。

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2011年10月13日 (木)

素質高いライラプスの娘アナスタシアブルー

■土曜京都5Rの新馬戦(芝1800m)は、好位のインを追走した▲プールマシェール(4番人気)が直線で早めに先頭に立ち、後続の追撃を振り切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=4f9A31RAsss

「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」は定番のニックス配合で、フサイチホウオー、トールポピー、アヴェンチュラの3兄妹や、ジャガーメイル、アプリコットフィズ、トーセンキャプテンなど多くの活躍馬が出ています。芝1800m以上の新馬戦では連対率29%と信頼性が高い組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106165/

3月25日のエントリーで、「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」の良否を見分けるコツとして“2代母の父”の重要性について指摘しました。引用します。

「ここにスピードタイプや軟弱な血が入ると減点です。たとえば、Mr.Prospector 系などが入るパターンはあまり結果が出ていません。逆に、いかつい Northern Dancer 系とか、ヨーロッパ型の重厚な血とか、スタミナに秀でた血とか、そういういった血はフィットします。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-8cab.html

本馬の2代母の父 Top Ville は現役時代に仏ダービー(G1)を制したクラシックディスタンス向きの種牡馬。前記の条件に当てはまります。ちなみに、母シェリールは Winged Love(愛ダービー)、ダイワカーリアン(札幌記念、富士S、東京新聞杯)、アドマイヤビッグ(東京スポーツ杯2歳S)のきょうだにあたる良血です。

インコースと前に行った馬が有利な開幕週で、距離ロスのないラチ沿いの好位でレースを進められたことが大きな勝因だとは思いますが、ハイレベルなこのメンバー相手に新馬戦を勝つのですからもちろん実力は十分。中長距離で楽しみな存在です。

〇ピュアソウル(3番人気)、◎ダノンムーン(1番人気)が2、3着。この時期の新馬戦は1年で最もレベルが高いので、勝てなかったといっても悲観する必要はありません。勝ち馬にうまく立ち回れたことが敗因であり、この2頭も高い能力を感じさせる走りは見せました。すぐに勝ち上がるでしょう。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲〇◎で馬連4070円、3連複1240円的中です。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、◎アナスタシアブルー(1番人気)が好位追走から直線で抜け出すと、後続を一気に4馬身突き放して圧勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=4oSlDmIlcls

2着に逃げ粘ったフォーチュネイト(8番人気)を拾うことができず不的中でしたが、予想文を転載します。

「◎アナスタシアブルーは『ファルブラヴ×フレンチデピュティ』という組み合わせ。母ライラプスはクイーンC(G3)の勝ち馬で、フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティS)の4分の3姉にあたる良血。さらに、2代母フサイチエアデールは重賞4勝の名牝と、最高クラスの名牝系に属している。ラトロワンヌ血脈をしっかり継続した配合は好感が持て、仕上がりの早い一族なので新馬戦にも向いている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106379/

父ファルブラヴは典型的なフィリーサイアーで、全産駒の収得賞金の1位から8位まで、上位20頭中17頭までが牝馬という性別の偏りがあります。現3歳世代にはダンスファンタジア、スピードリッパー、フォーエバーマークと3頭の活躍馬がおり、これらはすべて牝馬でした。したがって牝馬というだけで信頼性はアップします。

母ライラプスにとってはこれが初子。重賞勝ちの競走成績、父がブルードメアサイアーとして定評のあるフレンチデピュティ、これにサンデーサイレンス、Mr.Prospector、La Troienne が添えられているわけですから、交配相手がファルブラヴでなくとも走る子を出しそうな雰囲気がある繁殖牝馬です。今後の産駒も要チェックです。

次走は10月29日の萩S(2歳OP・芝1800m)。牡馬相手のOP特別ですから楽ではありませんが、いい勝ち方をすれば暮れの阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)では1番人気でしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月12日 (水)

レコードで快勝ショウナンラムジ

土曜京都2Rの未勝利戦(芝1600m)は、中団追走のショウナンラムジ(3番人気)が勝負どころで進出し、直線で豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=k6qFdecrDYc

勝ちタイムの1分33秒4はレコード。2年前にアグネスワルツが記録した1分33秒7を0秒3更新しました。この日は準メインの大原S(1600万下・芝2000m)で1分56秒8というコースレコード(日本歴代2位タイ)が出ているので、馬場コンディションのアシストが何より大きかったと思います。ただ、それでも強い勝ちっぷりには違いなく、昨年10月に同じコースで未勝利戦を勝ち上がったサダムパテックぐらいのインパクトはありました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106523/

母フォーカルスターの半弟フォーカルポイントは、キングカメハメハを破って京成杯(G3・芝2000m)をレースレコード(1分59秒2)で制しています。高速決着を得意とする一族なのかもしれません。

父ダンスインザダークは、自身が抱える Nijinsky と相似な血の関係にある Storm Bird や、4分の3同血の The Minstrel を母方に入れた配合がうまく行っています。本馬には Storm Bird が入ります。

そしてもうひとつ、サンデー系と相性抜群のホワイトマズルが母の父に入るところが強調ポイントです。当ブログで繰り返し説明しているとおり、そこに含まれる Drone はサンデーサイレンスの父 Halo とニックスの関係にあります。

「サンデー系×ホワイトマズル」のなかでも、とくに父がアグネスタキオンの場合は優秀で、この配合でデビューを果たした3頭(エミーズスマイル、シュガーヴァイン、ハッピーダイアリー)はすべて準OP以上に出世しています。好相性の理由については10年1月24日のエントリー「アグネスタキオン×ホワイトマズル」に記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-33fe-1.html

理由のひとつに挙げた「Autocratic(ホワイトマズルの2代母)とロイヤルスキー」の組み合わせを、母フォーカルスターは持っています。

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┤ ┌ My Babu
Autocratic―――┤ └○┘
        └○┐
          └○┐
            └ Lea Lark

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┤ ┌ My Babu
ロイヤルスキー―┤ └○┘
        │ ┌○┐
        └○┘ └○┐
              └ Lea Lark

本馬は近い世代にサンデーサイレンス、ホワイトマズル、ロイヤルスキーを持つため、「アグネスタキオン×ホワイトマズル」のニックス配合にきわめて近い組成を持つことになります。

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ショウナンラムジ ―┤ ┌ ホワイトマズル
          └○┤
            └○┐ ┌ ロイヤルスキー
              └○┘

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤ ┌ ロイヤルスキー
タキオン×マズル ―┤ └○┘
          │ ┌ ホワイトマズル
          └○┘

3代母ダイナフォーカスが Raja Baba≒ステューペンダス2×2で、ロイヤルスキーの構成要素を強調している点も、ロイヤルスキーがキーポイントとなっている配合のなかではプラス材料でしょう。全体的によくできた配合だと思います。2000m前後がベストで、2400mも守備範囲でしょう。

ダンスインザダーク産駒は先週、ダークシャドウが毎日王冠を勝ちました。今週はクラレント(ショウナンラムジと同じく母方にダンシングブレーヴが入ります)がデイリー杯2歳S(G2)で人気を集めそうです。ダンスインザダーク産駒の月別の重賞勝ち数を調べると10月が「10勝」で突出しています(2位が12月の6勝)。昨年はダノンヨーヨー(富士S)とマルカフェニックス(スワンS)が、一昨年はムードインディゴ(府中牝馬S)とスリーロールス(菊花賞)がいずれも2週連続重賞制覇を果たしました。クラレントがデイリー杯2歳Sを勝てば3年連続となります。この時期のダンスインザダーク産駒は要注意です。

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2011年10月11日 (火)

マイルCS南部杯はトランセンド

土曜日の夜半に降った雨の影響で、月曜日の東京ダートは第1Rまでは稍重。メインのマイルCS南部杯(Jpn1・ダ1600m)も良馬場ではありましたがやや脚抜きのいい馬場でした。

とはいえ、〇エスポワールシチー(2番人気)が刻んだラップは凄まじく、1200m通過が1分09秒3。馬場が改修された03年以降では最速です。

それ以前では、01年の武蔵野Sでクロフネが1分09秒2で通過した例があります。クロフネは残りの2ハロンを、最後は手綱を抑える余裕を見せながら11秒7-12秒4で乗り切り、1分33秒3という大レコードを樹立しました。もっとも、クロフネは別カテゴリーの怪物ですから、他の馬にこの芸当は無理です。

当レースのラスト2ハロンは12秒4-13秒1。エスポワールシチーが最後の1ハロンで失速してしまったのは仕方がありません。それでも約3馬身差の4着に粘っているので、調子も気迫も春よりはだいぶ戻してきたなという印象です。順当に良化すれば次走はもっと粘れるはずです。

勝った◎トランセンド(1番人気)は、先頭のエスポワールシチーにいったん突き放されかけ、外のダノンカモン(3番人気)にも出られてしまい、一瞬危ないムードが漂ったのですが、そこから盛り返して勝つところが並の馬ではないですね。
http://www.youtube.com/watch?v=SKbDBozuNDA

予想では◎を打ったものの、2着ダノンカモンをヌケにしてしまい不的中。予想文を転載します。

「◎トランセンドは『ワイルドラッシュ×トニービン』という組み合わせ。ブッシェルンペック≒サニースワップス3×3はユニークで、この相似な血のクロスが活力と底力の源泉ではないかと思われる。サニースワップスの母アイアンリージはハイペリオンとサンインローの組み合わせで、父ワイルドラッシュの大物産駒は、たとえばクリールパッション、クラーベセクレタ、ブラウンワイルドなどのように、この組成を母方から取り入れたものが目につく。母の父トニービンや、ハイペリオンとサンインローの組み合わせから成る血は成長力があるので、昨年秋以降の本格化は、こうした血がモノをいっているのだろう。メンバーを見渡すと単騎マイペースが濃厚。フェブラリーS(G1)と同じ舞台なら中心は動かない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

トランセンドの4代母アイアンエイジは、名馬 Swaps(北米で通算25戦19勝、世界レコード5回)の全妹にあたる良血。Swaps は「Hyperion と Son-in-Law」から成る名馬の代表的存在です。望田潤さん風に表現すれば“ハイインロー”ですね。この牝系から出たダンディコマンド(北九州記念)は、Abernant≒チャイナロック≒アイアンエイジ4・3×3で、この部分を強調した配合でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109569/

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Abernant ――――┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
チャイナロック ―┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
アイアンエイジ ―┤ ┌〇┘
         └○┘

トランセンドの場合、父ワイルドラッシュが「Hyperion と Son-in-Law」から成る Flower Bowl と Etonian を持ちます。Flower Bowl とアイアンエイジは母の父が Beau Pere という点まで共通しています。

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ―――┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘
Etonian ―――――┤
         └○┐ ┌ Son-in-Law
           └〇┘

つまり、トランセンドは、同じ牝系から出たダンディコマンドと同じく「Hyperion と Son-in-Law」を継続した配合となっています。

父ワイルドラッシュの側から見ても「Hyperion と Son-in-Law」の継続は大物を生み出すパターンです。予想文に記した以外にも、海外におけるG1ウィナー Hollywood Story、Dream Rush、名古屋の王者ヒシウォーシイなどがこれに当てはまります。
http://www.pedigreequery.com/hollywood+story
http://www.pedigreequery.com/dream+rush
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105442/

苦しい勝負どころでもうひと頑張り、ふた頑張りできる底力は、「Hyperion と Son-in-Law」の影響によるものが大きいと思います。こうした血がサポートしているか否かによって、大レースにおける信頼度は違ってきます。

次走、11月3日に大井競馬場で行われるJBCクラシック(Jpn1・ダ2000m)は、現在6連勝中のスマートファルコンとの頂上決戦が予定されています。昨年9月の日本テレビ盃以来の対戦で、このときはトランセンドが2着、スマートファルコンが3着でした。ただ、両馬ともそれから大きく化けたので力量比較の参考にはなりません。この対決は熱すぎですね~。ライブで見たい一戦です。

2011年10月10日 (月)

毎日王冠はダークシャドウ

800m通過が48秒7ですから超スローペース。その結果、00年以降の毎日王冠(G2・芝1800m)では最も遅い1分46秒7という決着となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=DkLb6O0Fca8

直線で前が壁になりながら上がり32秒7で追い込んだ◎ダークシャドウ(1番人気)、3歳で57キロを背負ってクビ差2着の○リアルインパクト(2番人気)は強いですね。堀厩舎は昨年のアリゼオに続いての連覇で、今年はワンツーフィニッシュです。

予想は◎○△で馬単1250円、3連単5660円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想文を転載します。

「◎ダークシャドウは『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、2代母ユーセフィアがスピードタイプの名種牡馬グリーンデザートの全妹という良血。母方に速いアメリカ血統を入れ、ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4というクロスを持っているため、ダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがある。大阪杯のあとトモに違和感が出て休ませたが、前走のエプソムCはその影響を感じさせない楽勝。抜け出すときだけ本気を出してあとは流すという、力が二枚ぐらい違う勝ち方だった。天皇賞でも勝ち負けになる器だと思われるので、ここは普通に走れば結果がついてくるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

昨年5月、デビュー2戦目の500万下(芝2000m)の予想で◎を打ち、勝ったあとに『web競馬王』で配合を褒めたことがあるので、自分のなかでは気に入っている馬です。論旨は当時から変わっていません。予想文に「Dinner Partner≒Buckpasser 5×4」とありますが、ダンシングキイは Flaming Page≒Dinner Partner 2×3という特殊な凝縮を持つので、同時に「Flaming Page≒Buckpasser 4×4」でもあります。つまり、

         ┌ Tom Fool
Dinner Partner ―┤ ┌ Blue Larkspur
         └○┤ ┌ Man o'War
           └○┘

         ┌ Tom Fool
         │   ┌ Man o'War
Buckpasser ―――┤ ┌○┘
         └○┤ ┌ Blue Larkspur
           └○┘

であると同時に、

             ┌ Bull Dog
           ┌○┘
         ┌○┤ ┌ Blue Larkspur
Flaming Page ――┤ └○┘
         │ ┌ Menow
         └○┤
           └○┐ ┌ Man o'War
             └○┘

           ┌ Menow
         ┌○┤ ┌ Bull Dog
         │ └○┘
Buckpasser ―――┤   ┌ Man o'War
         │ ┌○┘
         └○┤ ┌ Blue Larkspur
           └○┘

でもあります。後者の相似な血のクロスはマルゼンスキー、ヤマニンスキー、ラシアンルーブルが2×2で持っており、「Nijinsky×Buckpasser」の成功の有力な根拠となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003bd/

ダンスインザークの配合については、昨年10月24日のエントリー「ダンスインザダークの配合的核心」でも解説しております。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-599e.html

Halo≒Sir Ivor については、昨年11月9、10日のエントリー「Halo≒Sir Ivor≒Drone(前・後)」をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

ダンスインザダーク産駒ではありますが、2代母が快速 Green Desert の全妹で、なおかつアメリカ血統を積極的に絡めていることから、長距離タイプではありません。ダンスインザダーク産駒の中距離型としては最高傑作といえるでしょう。大阪杯(G2・芝2000m)でヒルノダムールと同じ斤量を背負いハナ差2着となっているので、天皇賞・秋(G1)でも互角の勝負に持ち込めると思います。

2着リアルインパクトは、パドックに出てきたときに、春に比べてずいぶん逞しくなったと感じました。筋肉が盛り上がってきましたね。結果的に仕掛けが早かったかもしれませんが、鞍上のゴーサインが出ると瞬時に反応し、後続を突き放しにかかったところが非凡です。ディープインパクト産駒のトビが大きいタイプには真似ができない芸当で、このあたりの爆発力は母方に濃厚に流れるアメリカ血統の影響でしょうか。

3歳馬が57キロを背負って毎日王冠で連対を果たしたのは98年のエルコンドルパサー以来13年ぶり。安田記念の結果がフロックでないことを証明しました。次走は天皇賞・秋ではなくマイルチャンピオンシップ(G1・芝1600m)になる模様です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

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2011年10月 9日 (日)

サッカーボーイ逝く(後)

サッカーボーイのサイアーラインはもともとスタミナ豊富ですが、一方で気性が激しすぎるという特徴も見られ、この影響が強すぎると距離がもたずにマイラーとなる、という傾向があります。

三冠馬ミスターシービーは、スピード型のトウショウボーイの子でありながら菊花賞を制しました。スタミナの裏付けのひとつは母の父トピオ(凱旋門賞)です。トピオの父は Fine Top で、ディクタスの2代父でもあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980107022/

種牡馬としてのサッカーボーイはスタミナを伝えるタイプでした。というよりも、気性の激しさをあまり伝えなかったため、父ディクタスから受け継いだスタミナのみが産駒に表現された、ということだと思います。マイル前後で出世した唯一の産駒であるブルーイレヴンは、母の父シンボリルドルフの影響で気性面の火薬庫に火がついてしまい、距離がもたなかったのだと思います。じっさい、凄まじい気性でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000105909/

サッカーボーイの全妹ゴールデンサッシュは、ステイゴールド(香港ヴァーズ、ドバイシーマクラシック)の母となりました。ステイゴールドの激しい気性はサッカーボーイ一族から受け継いだものでしょう。種牡馬としては大成功し、ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)や、その全弟で三冠を狙うオルフェーヴルを送り出しています。サッカーボーイ一族の血はこれから日本競馬に深く根付いていくものと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

 ロイヤルサッシュ(f.1966.Princely Gift)
   ダイナサッシュ(f.1979.ノーザンテースト)
   │ サッカーボーイ(c.1985.ディクタス)
   │ ベルベットサッシュ(f.1986.ディクタス)
   │ │ ホールオブフェーム(f.1991.アレミロード)
   │ │   バランスオブゲーム(c.1999.フサイチコンコルド)
   │ ゴールデンサッシュ(f.1988.ディクタス)
   │   ステイゴールド(c.1994.サンデーサイレンス)
   │   グレースランド(f.1998.トニービン)
   │   │ ドリームパスポート(c.2003.フジキセキ)
   │   レクレドール(f.2001.サンデーサイレンス)
   ダイナホット(f.1982.ディクタス)

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2011年10月 8日 (土)

サッカーボーイ逝く(前)

武豊騎手はディープインパクトの走りっぷりを「飛んだ」と表現しましたが、わたしがそれ以外に飛んだ馬として思い浮かべることができるのはサッカーボーイです。

レースシーンを描いた19世紀の絵画は、競走馬たちが四肢をいっぱいに伸ばして空中を飛んでいるように描かれています。サッカーボーイの走りはまさにそうしたイメージでしたね。

ひときわ目を惹く尾花栗毛と、派手なぶっちぎり勝ちがトレードマーク。圧勝シーンを盛り上げるのが上手い杉本清アナウンサーの実況と相まってアイドル的な人気がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=pl7tb4Kv02k
http://www.youtube.com/watch?v=c7m7zWgQaO4
http://www.youtube.com/watch?v=YaC2f5xY7HU

函館記念(G3・芝2000m)の1分57秒8というレコードタイムは驚天動地でしたし、それから3ヵ月後のマイルチャンピオンシップ(G1・芝1600m)では、+18キロの馬体重をものともせず4馬身差のぶっちぎり勝ち。杉本アナウンサーの「これは恐ろしい馬だ!」というフレーズが当時の心境を正確に代弁してくれました。まさに飛んでいましたね。

それより少し前、美浦の松山康久厩舎にダイナホットというスプリンターがいました。毛色を含めた外見はサッカーボーイによく似ており、中山芝1200mで時計勝負になったときに強い小器用な牝馬でした。サッカーボーイとダイナホットは4分の3同血の関係にあります。前者にはノーザンテーストが入り、後者には入りません。ノーザンテーストが入るのと入らないのとではこれだけ違うのかと、長らくリーディングサイアーの座にある血の偉大さを、この比較からあらためて認識した覚えがあります。

         ┌ ディクタス
サッカーボーイ ―┤ ┌ ノーザンテースト
         └○┤
           └ ロイヤルサッシュ

         ┌ ディクタス
ダイナホット ――┤
         └ ロイヤルサッシュ

「ディクタス×ノーザンテースト」は有名なニックスで、サッカーボーイのほかにもイクノディクタス、ムービースター、ディクターガール、クールハートをはじめ多くの活躍馬が誕生しています。総じてトビが大きいので平坦コースを得意としました。ディクタスは非主流のフランス血統で固められており、ノーザンテーストは Lady Angela 3×2という主流血統の塊。対照的な個性がぶつかり合ったことが成功の要因でしょう。

サッカーボーイの母ダイナサッシュはそれに加えて Nearco 4×4・4という煮詰まった構成ですから、ディクタスとの配合で弾ける度合いも大きかったのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1985103538/

望田潤さんのブログにもサッカーボーイの配合についての考察があります。ご一読ください。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/80feff355f84b7396496dbaddfe94191

ちなみに、ディクタスの「Sanctus×Worden」という組み合わせは、同じく種牡馬として成功したサンシーと同じです。サンシーの代表産駒ハギノトップレディ(桜花賞、エリザベス女王杯)は、2代母ミスマルミチが Nasrullah 3×3、Nearco 4・4・4ですから、サッカーボーイと似たような構造です。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1977104003/

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2011年10月 7日 (金)

上のクラスのほうが競馬がしやすいアンチュラス

■日曜阪神1Rの未勝利戦(芝1400m)は、アンチュラス(1番人気)が単勝1.3倍の断然人気に応えて4馬身差で勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=iv5gjKo9Zqg

デビュー戦は単勝1.4倍の1番人気に推されたものの、掛かり気味に追走して末を失い、3着に敗れました。稽古の動きは未勝利レベルではないので、2戦目に勝ち上がったのは当然の結果といえるでしょう。

ただ、行きたがる気性は相変わらず。レース序盤、ジョッキーが持って行かれそうになっていました。1、2戦目とも外枠だったので、前に馬を置けば違ってくるのかもしれませんが……。

3戦2勝のイングリッド(現在休養中)の全妹にあたり、母アンチョは Music Zone≒Medaille d'Or 2×3で、Music Zone の父 The Minstrel は父ディープインパクトと相性良好です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106569/

        ┌ The Minstrel(≒Fanfreluche)
Music Zone ――┤
        └〇┐
          └ Zonely(≒Secretariat)

        ┌ Secretariat(≒Zonely)
Medaille d'Or ―┤
        └ Fanfreluche(≒ The Minstrel)

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名し、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では〇評価でした。母方が硬質なアメリカ血統で固められているので、距離は1800mあたりまでが良さそうです。気性を考えれば1400~1600mでしょうか。おそらく、レースの流れが速くなる上のクラスのほうが走りやすいでしょう。次走に予定しているファンタジーS(G3・芝1400m)では、内枠を引ければ好勝負に持ち込めるのではないかと思います。

■日曜札幌1Rの未勝利戦(芝1500m)は、3番手追走のガッテンムサシ(5番人気)が抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Y4O8QrNYrCM

直線半ばで前と後ろの態勢がガラリと入れ替わるレースで、きついペースのなか3番手から押し切った内容は強かったと思います。持続力とパワーが活きそうな1200~1600mのレースではこれからも要注意です。

母方に Storm Cat が入るスペシャルウィークの典型的なニックス配合。2代母テンザンストームは名馬タイキシャトルに土をつけた数少ない馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104180/

スペシャルウィークと Storm Cat の関係については、10年4月14日のエントリー「マルゼンスキーと Storm Cat」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/storm-cat-897-1.html

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2011年10月 6日 (木)

母譲りの中山巧者ぶり、マイネエカテリーナ

■阪神9RのききょうS(2歳OP・芝1200m)は、1~4着までハナ、ハナ、クビの大接戦をネオヴァンクル(4番人気)が制しました。
http://www.youtube.com/watch?v=OGEA4liSQzk

小倉の未勝利戦(芝1200m)に続いての連勝です。音無秀孝厩舎の2歳馬のなかで、現在のところ勝ち星を挙げているのはこの馬だけ。クラヴェジーナがモタつく間に2勝してしまいました。クランモンタナ、ダノングーグー、ヒストリカルなど評判馬が揃っているので、京都開催で攻勢をかけてくる予感がします。

「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」は桜花賞馬レジネッタなど多くの活躍馬を出して成功している組み合わせです。この馬は、父がフレンチデピュティで、2代母マイライフスタイルがサンデーサイレンスの全妹ですから、配合構成が似ています。母の父にティンバーカントリーを挟むので一本調子ではありますが、緩急を必要としない1200~1400mの競馬では逆にいいのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106011/

サンデーサイレンスの全妹は、サンデーズシス、ペニーアップ、マイライフスタイルと3頭輸入され、かなり多くの子孫が誕生していますが、重賞を勝ったのはトーセンクラウン(中山記念)のみ。残念ながらサンデーサイレンスのような影響力は発揮していません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004101623/

■中山5Rの新馬戦(芝1800m)は、◎マイネエカテリーナ(4番人気)が2番手から抜け出して快勝しました。

予想は◎△〇で馬単13980円、3連単74240円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎マイネエカテリーナは『アグネスタキオン×ブライアンズタイム』という組み合わせ。母マイネヌーヴェルはフラワーC(G3)の勝ち馬で、その全弟にマイネルチャールズ(弥生賞、京成杯)とマイネルアワグラス(シリウスS)がいる良血。『アグネスタキオン×ブライアンズタイム』は芝新馬戦で連対率36.4%(11戦4連対)と走っており、母は中山巧者だったのでこのコース条件も向くはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105193/

名繁殖牝馬マイネプリテンダーの孫。予想文に記したとおり、母マイネヌーヴェルの2頭の全弟マイネルアワグラスとマイネルチャールズは重賞を勝っており、半弟マイネルヌーヴォーは中山グランドジャンプ(J・G1)の勝ち馬。つまり、マイネプリテンダーの子はデビューした4頭がすべて重賞を勝っています。この一族は中山芝コースに強く、今回の勝利で連対率46.4%(28戦13連対)となりました。

マイネプリテンダーの父はオセアニアの大種牡馬 Zabeel。その父は“南半球の Northern Dancer”と言われた Sir Tristram で、その父は Sir Ivor。この血は Halo とニックスの関係にあるので、サンデーサイレンス(その父 Halo)の系統は合うでしょう。

2011年10月 4日 (火)

ディープブリランテ視界良好

土曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、中団追走の◎ディープブリランテ(1番人気)が4コーナー手前でマクリ気味に進出し、直線で楽々と抜け出しました。2着との着差は5馬身。
http://www.youtube.com/watch?v=q27WwQ6XuRw

予想は◎△★で馬単500円、3連単6690円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ディープブリランテは『ディープインパクト×ルーソヴァージュ』という組み合わせで、ハブルバブル(フラワーC-2着)の全弟にあたる。母ラヴアンドバブルズには重厚なヨーロッパ血統が含まれており、本馬はバステッド4×5を持つなど底力を感じさせる中距離配合に仕上がっている。ダービー向きの本格派だろう。姉と違ってこの時期に仕上がったのは体質が強い証拠。稽古時計も素晴らしく、ここは相手探しのレース。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105084/

ディープインパクト産駒は、首を上手に使って全身を躍動させるタイプが目につくのですが、この馬もその1頭ですね。追い出されてからフットワークが伸びるので末が切れます。初戦としては満点の勝ち方でした。

今年のフラワーC(G3)で2着となったハブルバブルの全弟です。同馬が新馬戦を勝った直後の3月3、4日に、「ハブルバブルとブサック血統(前・後)」という2回にわたるエントリーを記しました。配合についての詳しい説明はそちらをご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-bd37.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-dc7f.html

注目の配合馬なので、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で取り上げただけでなく、白夜書房で行われた「POG公開ドラフト」でも指名しました。netkeiba.com の「私のオススメ10頭」にも入れています。

血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では、Busted 4×5の影響で姉のように仕上がりが遅れたら……という懸念から評価を○にしてしまいました。望田潤さんは◎だったのでちょっと悔しいですね(笑)。
http://www.miesque.com/c00005.html

00年以降、10~12月に中央開催で行われた芝1600~2000mの新馬戦で、2着を5馬身以上ちぎって勝った馬は過去9頭います。そのうちの3頭はのちにG1ウィナーとなり(ダンスインザムード、フサイチパンドラ、ヴィクトリー)、2頭は重賞を勝ち(ローエングリン、ハイアーゲーム)、2頭は重賞で3着以内に入りました(メテオバースト、テイラーバートン)。要するに、上記の条件をクリアした馬はだいたい重賞クラスには出世し、3分の1の割合でG1を勝つ、ということです。

レース後は、ソエを治すために放牧に出たとのこと。能力の高さは間違いないので、ダービーを目指してじっくり行ってほしいですね。

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2011年10月 3日 (月)

凱旋門賞は Danedream

好天続きでロンシャン競馬場は過去最高レベルの高速馬場。しかも30℃前後まで気温が上昇する異常気象。これを見て、レース前はヒルノダムールが好位から抜け出すシーンしか頭に浮かびませんでした^^

しかし、勝負は甘くありません。ヒルノダムール10着。ナカヤマフェスタ11着。ただ、人気を集めた Sarafina が7着、Galikova が9着、昨年の覇者 Workforce が12着ですから、凡走というわけでもなく、力いっぱい走ったものの相手が強かった、ということでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=PcqRJojow6k

勝った Danedream(父 Lomitas)はドイツ産の牝3歳馬。ドイツ調教馬の凱旋門賞制覇は1975年の Star Appeal 以来36年ぶりです。
http://www.pedigreequery.com/danedream

ドイツからの遠征馬は長らく勝てなかったわけですが、ドイツ血統を持つ馬の優勝は3年連続です。09年の優勝馬 Sea the Stars、10年の優勝馬 Workforce にもドイツ血統が含まれていました。
http://www.pedigreequery.com/sea+the+stars
http://www.pedigreequery.com/workforce

ドイツの名伯楽ペーター・シールゲン調教師が管理し、今年5月の伊オークス(G2・芝2200m)を6馬身半差で勝って重賞初勝利を挙げました。ただ、次のマルレ賞(仏G2・芝2400m)では同じ3歳牝馬を相手に5着と敗れているので、この時点ではまだごくありふれた重賞勝ち馬だったと思います。

変わったのはその次から。約1ヵ月後の7月24日、牡馬を含めた古馬相手のベルリン大賞典(独G1・芝2400m)を5馬身差で、9月4日のバーデン大賞典(独G1・芝2400m)も同様に6馬身差で勝ち、ロンシャンに乗り込んできました。映像を見ると強靭な末脚が印象的です。バーデン大賞典から凱旋門賞を制したのは02年のマリエンバード以来となります。
http://www.youtube.com/watch?v=le3Xm_kfJrI
http://www.youtube.com/watch?v=L3GjMUnAR0U

凱旋門賞の直前、社台ファーム代表の吉田照哉氏が権利の半分を獲得しました。競走馬購買の広汎なネットワーク、眼力、決断力。さすがというしかありません。社台ファームは過去にもドイツ血統を積極的に入れているので、たまたまドイツ牝馬を買ったら当たったというわけではなく、ドイツの良血牝馬を獲得したいという明確な意思のもとに行ってきた地道な活動が実を結んだ、ということだと思います。

今回の凱旋門賞出走に関しては、10万ユーロ(約1030万円)という高額な追加登録料を支払っています。もし吉田照哉氏の購買と凱旋門賞挑戦がリンクしているなら、今回の勝利の立役者は吉田照哉氏といえるかもしれません。ジャパンCに出走する可能性があるのかどうか、続報を待ちたいと思います。

Danedream の父 Lomitas は、一昨年のエリザベス女王杯に来日(4着)したシャラナヤ Shalanaya の父。このほか、Silvano(アーリントンミリオン-米G1)、Belenus(独ダービー-独G1)などを送り出し成功しています。Lomitas の母の父 Surumu は、旧来の重苦しいドイツ血統とは肌合いを異にする現代的な特長を持ちます。それはすなわち堅い馬場を苦にしないということです。詳しくは10年4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

母 Danedrop はキンシャサノキセキの母ケルトシャーンと構成が似ています(近い世代で Northern Dancer、His Majesty、Lady Berry が共通)。

母の父にデインヒルが入り、自身は Ribot 5×5を持つので馬力や底力は十分ですが、Nijinsky や High Top は堅い芝もOKなので、凱旋門賞のレースレコード(2分24秒49)を出せる下地はあったと思います。たとえば、05年のジャパンCを2分22秒1のレコードで勝ち、日本の堅い芝で新たな才能を開花させたイギリス馬アルカセットは、母チェサブラナが Niniski×High Top という組み合わせ。Danedream も近い世代に Niniski と High Top を持ちます。
http://www.pedigreequery.com/alkaased

Danedream はいずれ社台ファームで繁殖入りするのでしょう。93年の凱旋門賞を制した Urban Sea(Galileo、Sea the Stars などの母)のような名繁殖牝馬になることを期待したいところです。

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2011年10月 2日 (日)

スプリンターズSはカレンチャン

いろいろあったスプリンターズS(G1・芝1200m)ですが、△カレンチャン(3番人気)の完勝ぶりは文句のつけようがなく、能力が一枚上という競馬でした。ここまで強くなっているとは……という感想です。
http://www.youtube.com/watch?v=VqCvGFc-MS0

5連勝でG1戴冠、という歩みは同じクロフネ牝馬のスリープレスナイトと同じ。着差がつきづらいスプリント戦における“1・3/4馬身差”はかなり大きなもので、2000年以降、良~稍重で行われたスプリンターズSでは、06年のテイクオーバーターゲット(2・1/2馬身差)に次ぐものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102807/

4コーナーから直線にかけて◎ロケットマン(1番人気)の外側に被せるように進出し、同馬をポケットに閉じ込めた池添騎手のプレーが見事でした。「(ロケットマンを)ずっと見ながら競馬ができたらいいかなぁと思っていました」と、レース後に語っていたので、最大のライバルと見越した上で蓋をしたのでしょう。池添騎手はこれでホエールキャプチャ、オルフェーヴルに続き3週連続重賞制覇。今年に入って重賞11勝目で、うちG1は4勝目となります。大レースで冷静沈着に仕事ができるという点では現役ナンバーワンではないでしょうか。

カレンチャンの配合については、4月10日のエントリー「阪神牝馬Sはカレンチャン」をご覧ください。準OPからノンストップで頂点を極めたわけですが、馬はまだ強くなる可能性があります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-c728.html

1番人気で敗れたロケットマンは4着。先頭に並びかけることすらできませんでした。蓋をされてロスがあったのは事実ですが、それ以前に道中の手応えがもうひとつでしたね。

個人的には、火曜日と金曜日に強いところを追って、なおかつ馬体重が増えていたところに敗因があるような気がします。シンガポールから日本への輸送を見越して、出発前に少し太めに作りすぎていたのではないでしょうか。あるいは、9月17日に来日してから何か誤算があったか。

今年に入ってから、本拠地シンガポールのレースでは481、479、479、479キロと安定しています。ドバイでは計測がありません。昨年末、香港に遠征(2戦)した際は、475、473キロ。シンガポールでレースをしているときよりも減っています。そして今回は486キロ。香港遠征のときのように減っているならともかく、逆に増えています。レース当週の異例の2回追いは、太目を解消するための苦肉の策だったとも考えられます。

もしこれが敗因なら、ベストの体調ではなかったことになるので、できることなら来年もう一度チャレンジしてほしいですね。セン馬なので7歳になっても衰えはないでしょう。

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札幌2歳Sはグランデッツァ

■札幌2歳S(G3・芝1800m)は好位追走の◎グランデッツァが好位追走から難なく抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=YeSx5gvfE4Q

予想は◎△△で馬単410円、3連単2430円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想文を転載します。

「◎グランデッツァは『アグネスタキオン×マージュ』という組み合わせ。半姉マルセリーナは桜花賞馬で、母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝。母方はヨーロッパ血統で構成されており、馬場が少々湿ったぐらいではへこたれない。ほんの少し気合いをつけた程度で後続を8馬身ちぎった前走の勝ちっぷりは圧巻。まだまだ未完成でレースぶりも荒削りだが、外からすんなり好位をキープできればこのメンバー相手に連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105989/

1200mの2歳重賞と違い、札幌2歳Sは来年のクラシックを思い描きながら予想することができるので、毎年検討するのが楽しみなレースです。今年は素直にグランデッツァが抜けていると評価して◎。外からすんなり好位をキープできた時点で半分レースは決まったようなものでした。

配合については9月21日のエントリー「グランデッツァ8馬身差圧勝」をご覧ください。Alcide 周辺の重厚な部分を強化した配合なので、雨の心配はしていませんでした。これで賞金は足りたのでゆったりとしたローテーションを組むことができます。次走は暮れの阪神でしょうか? 直線の長いコースでどんな脚が使えるのか楽しみです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-43d5.html

2着△ゴールドシップ(2番人気)の走りを見ていると母の父メジロマックイーンの姿がダブります。身のこなしがそっくりですね。直線でエンジンが掛かったときに思わず「おっ」と身を乗り出しました。鋭く追い込んで届かなかった馬はつねに強く見えるもので、現時点で過大視は禁物ですが、先々かなりいい形で完成しそうな予感があります。早熟型ではないのでこれからどんどん成長するでしょう。

■阪神11RのシリウスS(G3・ダ2000m)は、勝ったヤマニンキングリー(5番人気)を無印に落として大失敗。2年も勝ち星から遠ざかった6歳馬が初挑戦のダートで蘇り、しかもそれが重賞だったという例はきわめて稀です。
http://www.youtube.com/watch?v=zPgDoB4FU-0

武豊騎手は「初めてのダート戦なので砂を被らないポジションでレースをしようと思っていました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っています。ファインプレーですね。

2代母ティファニーラスはケンタッキーオークス(米G1・ダ9f)の勝ち馬で、その父 Bold Forbes、母の父 Graustark というパワー型の血統ですから、ダートをこなす下地はありました。父アグネスデジタルと同じく芝とダート双方で重賞を勝ったことになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105360/

前日に雨が降り、良馬場とはいえ軽い馬場コンディションだったことも幸いしたはずです。必ずしも状態面が良好というわけではなかったと思うので、調子が上がってくればさらに上のパフォーマンスが期待できます。もともと寒い時季のほうがいいタイプ。武豊騎手のお手馬であるスマートファルコンの座を脅かし、“男版ホクトベガ”といった存在になればおもしろいですね。

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2011年10月 1日 (土)

シンガポールの快速王ロケットマン

ワールドサラブレッドランキングの最新版によれば、スプリント部門の世界トップはオーストラリアの快速牝馬 Black Caviar で、2位はロケットマン(Rocket Man)です。後者のレーティングは125ポンド。日曜日に行われる凱旋門賞(仏G1・芝2400m)の出走馬のなかで最も高く評価されているのが So You Think で126ポンド。ロケットマンはそれとほとんど変わらないわけですから実力のほどが窺えます。

どのカテゴリーであれ、125ポンドをもらった馬が来日するのは稀なことです。スプリンターズS(G1・芝1200m)では過去に例がありません。たとえば、1番人気で優勝を果たした05年のサイレントウィットネス Silent Witness(香港)、06年のテイクオーバーターゲット Takeover Target(オーストラリア)は、来日時それぞれ123、118ポンドでした。ロケットマンはそれらの上を行きます。先日行われたセントウルS(G2・芝1200m)の2着馬ラッキーナインは117ポンド、4位入線のグリーンバーディーは114ポンドです。

ワールドサラブレッドランキングの結果どおりにレースが決着したら誰も苦労はしないのですが、少なくとも基本能力についての有力な物差しにはなります。数値が120以上あり、状態面や馬場適性に問題がなければ好走はほぼ間違いないところです。

ロケットマンはオーストラリアで誕生し、シンガポールで競走馬となりました。オーストラリアは世界最高の芝短距離王国で、過去にスプリンターズSを制した海外調教馬3頭はいずれも同国で誕生しています。香港の短距離路線がきわめてハイレベルなのは、馬資源のほとんどをオーストラリアから輸入しているからです。ロケットマンが本拠とするシンガポールもオーストラリアやニュージーランドから馬を仕入れています。
http://www.pedigreequery.com/rocket+man

ロケットマンの半兄 Our Giant(父 Giant's Causeway)は南アフリカのホースチェスナットS(G1・芝1600m)の勝ち馬。母 Macrosa は97年のジャパンCで12着となったエボニーグローブ Ebony Grosve の半姉で、母の父マクギンティ McGinty は83年のジャパンC5着馬です。質の高いファミリーの出身で、なおかつ日本とも縁があります。
http://www.pedigreequery.com/our+giant
http://www.pedigreequery.com/ebony+grosve
http://www.pedigreequery.com/mcginty

父 Viscount は英ダービー馬 Quest for Fame の子。ただ、競走馬としてはスプリンター寄りのマイラーで、1600mのG1を2勝、1400mのG1を1勝しています。Octagonal、Kaapstad、Danewin、コマンズ、Don Eduardo など多くの名馬が現れている名牝系に属し、種牡馬としてはロケットマンのほかにオーストラリアで2頭のG1馬を送り出しています。ただ、全体的な種牡馬成績は平凡というべきもので、ここ3年の種牡馬ランキングは40位、37位、54位です。

ロケットマンは、兄弟にG1馬がいる良血に加え、相性のいい Sir Tristram と Sovereign Path を持っていることが強調材料として挙げられます。オーストラリア産の名スプリンターは、サイレントウィットネスやテイクオーバーターゲットにしてもそうですが、スプリンター血統ばかりを掻き集めて誕生しているわけではなく、スタミナ血統がやや多すぎるのではと思うくらいしっかり入っています。ロケットマンの場合でいえば、Quest for Fame、McGinty、Tamerlane、Ribot など。おそらくこれがスピードを持続させるスタミナとして作用しているのでしょう。

通算21戦17勝(2着4回)という成績は圧巻の一語。スタートは抜群に速いので出遅れて包まれる危険性はありません。遠征慣れしており、どんな環境・条件でも勝ち負けに持ち込む安定性は大きなセールスポイントです。金曜日、中山競馬場のダート(良)で上がり3ハロン35秒9(ラスト1ハロン11秒5)という時計を出しました。強烈としかいいようがありません。

唯一の死角は切れる脚を使えないこと。ワンペースでじりじりと伸びるタイプなので、スローペースで極端に上がりが速くなったときには不安があります。ただ、平年並みの速い流れになれば、バテることを知らない馬なのでスピードの持続力でねじ伏せてしまうでしょう。

2011年9月30日 (金)

新馬戦で信頼できる「タニノギムレット×サンデーサイレンス」

■日曜阪神4Rの新馬戦(芝1200m)は、◎ディザイラブル(1番人気)が好位から伸び、先に抜け出した★パーティブロッサム(4番人気)をハナ差とらえました。
http://www.youtube.com/watch?v=wpg0RjAHBDs

予想は◎★△で馬単2600円、3連単18470円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ディザイラブルは『タニノギムレット×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母アンドレルノートルは1勝馬だが、その全兄にグレイトジャーニー(シンザン記念、ダービー卿チャレンジT)、全姉にロスマリヌス(2戦2勝)、半兄にノーリーズン(皐月賞)がいる良血。繁殖牝馬として大きな期待がかけられる。父タニノギムレットはサンデーサイレンス牝馬と相性がよく、過去にこの組み合わせからスマイルジャック、アブソリュート、クレスコグランド、スズジュピター、ライムキャンディといった活躍馬が出ている。スピード豊かなファミリーなので1200mにも対応できるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105005/

予想文に記したロスマリヌス、ノーリーズン(母アンドレルノートルの兄姉)はPOG指名馬でした。ロスマリヌスは、2戦目の白菊賞(500万下)でダイタクリーヴァ(重賞5勝)に完勝したものの、脚部不安を発症して引退しました。通算2戦2勝。欲目かもしれませんが、無事に現役生活をまっとうしていれば大きなタイトルを取れたのではないかと思います。その全妹の娘が本馬ですから注目したいですね。

「タニノギムレット×サンデーサイレンス」は、連対率20.7%、1走あたりの獲得賞金額は215万円。一方、母の父がサンデーサイレンスではないタニノギムレット産駒は、連対率14.5%、1走あたり145万円。数字に歴然とした違いが表れています。つまり、タニノギムレットはサンデー牝馬のプレミアムが効きやすい種牡馬といえます。

芝新馬戦に限ると、この組み合わせの連対率は30.4%。たとえば、芝新馬戦の強さに定評があるアグネスタキオン産駒は連対率31.2%ですから、それに匹敵する数字であり、いかに優れたものであるかお分かりいただけると思います。

「サンデーサイレンス×タニノギムレット」は阪神より京都、中山よりも東京を得意としています。今回のレースは内容的に特筆するようなものはありませんでしたが、次走、京都で走るようなら昇級戦でも注意したいところです。

■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1600m)は、ヒシワイルド(9番人気)が上がり33秒8で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=SWuQb-LFmUA

稽古時計がごく平凡でまったく人気がなく、予想でもノーマークでした。父ゴールドアリュールは、スマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスター、シルクフォーチュンなどダート向きの大物を出す種牡馬ですが、母の父にトニービンが入った場合、芝向きに出るという傾向があります。トニービンに豊富に含まれるヨーロッパ血統が産駒のキャラクターに影響を与えるのでしょう。本馬は Nureyev≒Fairy King 3×3。これがちょっと重たい気がしたので印を打てませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104879/

調べてみて分かったのですが、「ゴールドアリュール×トニービン」は新馬戦の連対率37.5%(16戦6連対)で、芝に限れば50%(8戦4連対)。初戦駆けする配合ですね。

ヒシワイルドはいい決め手を持っているので、新馬戦だけでなく昇級しても楽しみな存在です。

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2011年9月29日 (木)

アサクサスケールの牝系に待望の良駒

■土曜中山5Rの新馬戦(芝1200m)は、抑え切れない手応えで2番手を追走した△アポロアリーナ(5番人気)が直線で力強く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=H61JFbE7N0Y

先々週、骨折明けながら初風特別(1000万下・中山芝1200m)を圧勝し、通算成績を〔3・2・0・0〕としたアポロフィオリーナ(父スニッツェル)の半妹にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101765/

本馬の父アポロキングダムは現役時代11戦2勝の下級条件馬。現2歳世代が初年度産駒で、JRAでは出走4頭目にして初の勝ち馬となります。Kingmambo、Seattle Slew、Storm Cat と、材料としている血は一流なので、配合が合えばそこそこの産駒は出しそうですね。

アポロフィオリーナ、アポロアリーナの姉妹が受け継いだスピードは、母の父ウォーニングが支えている部分が大きいと思います。ウォーニングは、本邦輸入種牡馬コマンダーインチーフ(英ダービー)の半兄ながら抜群のスピードを伝え、日本でもカルストンライトオ(スプリンターズS)、サニングデール(高松宮記念)と2頭の短距離G1馬を送り出しました。最近でも“ブダペストの弾丸”の異名をとる Overdose の母の父、スプリントG1を4勝している Dream Ahead の2代父など、スピード馬の血統表に頻繁に現れます。
http://www.pedigreequery.com/overdose3
http://www.pedigreequery.com/dream+ahead

しかし、血統表のなかで真っ先に目が行くのは、3代母アサクサスケールですね。5馬身差で圧勝した85年のクイーンS(G3)を含めて通算6戦5勝という名牝で、唯一の敗戦は2着に敗れたエリザベス女王杯(G1)。このときは4コーナー先頭で誰もが勝ったと思った瞬間、大外を強襲したリワードウイングにゴール直前で差されました。まさか負けるとは思っていなかったので唖然としたのを覚えています。結果論ですがやや仕掛けが早かったですね。翌年、メジロラモーヌが牝馬三冠を達成しましたが、能力では決して負けていなかったといまでも思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982101161/

2代母が有馬記念や天皇賞を勝った女傑ガーネットで、自身には Avena=プリメロ4×4という美しい全きょうだいクロスが施されています。大好きな馬でしたね。繁殖牝馬として必ず成功するだろうと期待していたのですが、残念ながら活躍馬を出すことはできませんでした。なお、全きょうだいクロスについては、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』に詳述されております。ご参考いただければと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

アサクサスケールの半妹ウイルプリンセスは、メイショウサムソン(日本ダービー、皐月賞、天皇賞・春、天皇賞・秋)の2代母となりました。それに比べ、アサクサスケールの直牝系からは草木も生えないという状況が長く続いていたのですが、ようやくモノになりそうな馬が連続して現れました。これは嬉しいですね。

■日曜中山5Rの新馬戦(芝1600m)は、中団追走の◎アルフレード(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=wTwdRrQiu3g

予想は◎△△で馬単1950円、3連単6470円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎アルフレードは『シンボリクリスエス×サンデーサイレンス』という組み合わせ。2代母ラトラヴィアータはサクラバクシンオーの全妹で、母の4分の3妹は府中牝馬S4着のリビアーモ、という活力あるファミリー。素軽さと仕上がりの早さが感じられるので新馬戦に向いたタイプだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106321/

レース序盤は行きたがって騎手がなだめるのに苦労していました。「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」は芝向きの大物がほとんどなく、この馬も530キロの超大型馬だけに、いずれダート路線に転じるのでは、という予感もなくはないですが、ゴール前の迫力はなかなかのものでした。

新馬戦に限ると、シンボリクリスエス産駒は芝・ダートともに連対率が20%を超えます。1200mでは安心して切れるので、それ以外の距離で相手関係に注意して買えばまずまず信頼性は高く、今回のように馬券になる種牡馬です。芝のマイル戦なら東京コースの実績が抜群ですが、叔母のリビアーモは中山も得意でしたね。

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2011年9月28日 (水)

Drone≒Sir Ivor と相性がいいダイワメジャー

■土曜札幌5Rの新馬戦(芝1500m)は、好スタートからハナに立った△ニケ(5番人気)がギリギリ逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=P9XevRfpOZs

ダイワメジャー産駒は先週2勝。今シーズンの勝利数を「12」として2歳勝利数ランキングの単独トップに立ちました。2着がある未勝利馬は12頭。これらの大半もいずれ勝ち上がるでしょう。順調なら年末までに25~30ぐらいまで数字を伸ばしてくるのではないでしょうか。ガシッとした体つきの健康優良児が多く、稼動頭数が多いのが強みですね。

ニケの稽古内容はとりたてて強調すべき点がなく、したがって人気もありませんでした。スローペースに落として逃げられたことが勝因でしょう。4コーナーでは外の馬群に飲み込まれそうになりましたが、そこから粘りに粘ってとうとう抜かせませんでした。父親そっくりで思わず苦笑してしまいました。

瞬発力よりも粘りを身上とする種牡馬だけに、どうしても取りこぼしが多くなります。とくに新馬戦では頭から買うには信用できないタイプで、意外にもこれが3つめの勝ち星です(新馬戦では〔3-10-2-38〕という成績)。

2代母 Messenger Miss は名種牡馬 Green Desert の4分の3同血にあたる良血で、ニケ自身は、サンデーサイレンスとエンドスウィープ、Halo と Drone のニックスを併せ持ち、Your Hostess≒Flower Bowl 6×6が底力の隠し味となっています。ちなみに「栗山ノート」で推奨した馬でもあります。

母方にダンシングブレーヴを持つダイワメジャー産駒は、これまでに3頭が出走し、すべて勝ちあがっています(ダローネガ、オメガホームラン、トーセンベニザクラ)。ダンシングブレーヴに含まれる Drone はサンデーサイレンスの父 Halo と相似な血の関係にあり、これが好相性の秘密でしょう。ニケが持つ Sir Ivor も、Halo と相似な血の関係にあります。まだサンプルが少ないとはいえ、母方に Drone または Sir Ivor を持つ馬は4頭出走してすべて勝ち上がっているので、現時点でこれはニックスといえると思います。

今回は相手と展開に恵まれた感があり、直線の短いコースや洋芝にも向いていました。昇級してすぐ通用するかというと微妙でしょう。ただ、配合的には優れており、いずれ頭角を現してくるのではないかと思います。

■土曜阪神5Rの新馬戦(ダ1800m)は、○ヴィットリオドーロ(2番人気)が2番手追走から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=sKSPIvT6e5Q

浦和記念(G2)をはじめダート重賞を8勝したプリエミネンスは、現役最後のレースとしてアメリカのサンタマリアH(G1・ダ8.5f)に出走し6頭立ての5着。そのまま同国で繁殖生活に入りました。本馬はそこで誕生した馬です。アメリカ生まれですが純粋なマル外というわけではありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110009/

馬主はドバイのモハメド殿下、生産者はグランド牧場の場長である伊藤佳幸氏(美浦の伊藤圭三調教師の実兄)です。プリエミネンスはすでに帰国しています。先週はグランド牧場の生産馬が大活躍し、プレシャスジェムズ(ながつきS)とハヤブサソング(新馬戦)の姉妹や、ジャングルハヤテ(九十九里特別)、オリエンタルジェイ(千歳特別)など6頭が勝利を挙げました。

父 Medaglia d'Oro は年度代表馬 Rachel Alexandra をはじめ多数の一流馬を送り出して成功しています。日本での出世頭はダート路線で活躍中のメダリアビート。

母プリエミネンスにはアフリートと Nijinsky のニックスがあり、その核心は Tom Fool と Flaming Page の関係(いずれも近い世代に Menow と Bull Dog)にあると思われるので、これを継続して Tom Fool≒Flaming Page 5×5・5・6となる本馬の配合は悪くないですね。全きょうだいはイマイチでしたが本馬は馬のデキが違うようです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110009/

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2011年9月27日 (火)

オールカマーはアーネストリー

3番手追走の◎アーネストリー(1番人気)が直線に入って先頭に立ち、悠々と押し切りました。59キロを背負ってこの勝ちっぷりですから横綱相撲です。
http://www.youtube.com/watch?v=jOzGk330w4U

単勝払戻金は140円。力の違いがはっきりしている3歳戦ならともかく、古馬重賞でこれほど被るのはそうあることではなく、今年に入ってからでは中山記念のヴィクトワールピサ(140円)のみです。それ以前となると08年のオールカマーのマツリダゴッホ(140円)までさかのぼります。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△▲で馬単1650円、3連単6120円的中。『ウマニティ』は買い目を絞りすぎて不的中でした。予想文を転載します。

「◎アーネストリーは『グラスワンダー×トニービン』という組み合わせ。一昨年秋から本格化し、今年さらにもう一段グレードアップして宝塚記念を制した。このあたりの成長力は母方が抱える豊富なハイペリオン血脈の賜物だろう。小回り向きの機動力を持つグラスワンダー産駒は、京都よりも阪神、東京よりも中山を得意としている。過去に一度だけ中山で走った際(日経賞=芝2500m)は4着に敗れているが、本格化する前のことなので参考にはならない。今回は宝塚記念と同じ芝2200mなので問題なく実力を発揮できるだろう。59キロを背負っているので早めの競馬を心がけると思われるが、そうしたレーススタイルはこのコースに向く。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105410/

血統解説は6月27日のエントリー「宝塚記念はアーネストリー」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/post-257c.html

アーネストリーに対する大方の見方と同じく、佐藤哲三騎手も小回りコースに向いたタイプであると考えているようです。ただ、その理由はグラスワンダー産駒の適性(中山>東京)ではなく、「直線が長いと飽きる」から。そんな理由があるんだと感心しました。次走の天皇賞・秋(G1・芝2000m)は、周知のとおり直線の長いコースで行われるわけですが、昨年3着だったレースでもあり、当時よりもパワーアップしたいまなら善戦以上が期待できるでしょう。

そして、さらに楽しみなのが中山競馬場で行われる有馬記念(G1・芝2500m)ですね。今回と同じく好位につけて早めに抜け出す競馬ができるなら、ライバルたちにとって相当厄介な相手となります。有馬記念で大勝負をもくろんでいる馬券ファンは、東京では適度に負けて人気を下げてほしい……と願っていることでしょう。

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2011年9月26日 (月)

神戸新聞杯はオルフェーヴル

「手合い違い」という言葉がふさわしい楽勝でした。負けるとすれば、大逃げに攪乱されたときか、超スローペースで折り合いを欠いたときだろうと考えていましたが、どちらも杞憂に終わりました。
http://www.youtube.com/watch?v=x1X5UOYyczg

予想は◎〇△で馬単380円、3連単1430円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想文を転載します。

「◎オルフェーヴルは『ステイゴールド×メジロマックイーン』という有名なニックス配合で、ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)の全弟にあたる良血。デビューからしばらくの間はステイゴールド産駒にありがちな気性面の難しさから安定感を欠いていたが、春先からそのあたりに成長が見られ、折り合いがスムーズになってきた。皐月賞と日本ダービーで披露したパフォーマンスは圧倒的。ひと夏越したとはいえ、同世代のライバルたちがこの差を埋めるのは容易なことではない。悪くても2着は確保するだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

オルフェーヴルの馬体は春よりも一段成長していました。16キロ増とはいえさほど太め感はなく、筋肉量が目に見えて増えていましたね。全兄のドリームジャーニーとはだいぶ馬体の印象が違ってきました。父ステイゴールドや母の父メジロマックイーンとも雰囲気が異なります。

思い当たるとすれば4×3でクロスさせているノーザンテーストでしょうか。同馬は筋肉質の小柄な馬体で、父 Northern Dancer の面影を濃厚に感じさせる馬でした。

サンデーサイレンスの系統は総じてスマートで気品があり、細身の馬体から繰り出す瞬発力が最大の武器です。オルフェーヴルもその特長を受け継いで素晴らしい切れ味を誇ります。ただ、その一方で、道悪のダービーを断然のパワーで駆け抜けた図太さも備えています。このあたりは Northern Dancer 的な資質が表現されたものではないかと思います。

要するに、オルフェーヴルはサンデーサイレンスと Northern Dancer のいいとこ取りをしているのではないか、ということです。

ひと夏を越して盛り上がった筋肉を見ていると、イギリスのマイル戦線を制圧している Frankel の姿がオーバーラップします。この馬は Northern Dancer 3×4で、全身が逞しい筋肉で覆われています。Frankel もオルフェーヴルも2008年に誕生したサラブレッドのなかでは傑作といえる存在です。Frankel はオルフェーヴルにないものを持っていますが、オルフェーヴルも Franekl にないものを持っています。そのひとつが中距離向きの瞬発力です。両者の血統的価値は互角でしょう。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

テンションが上がりがちな休み明けでも、折り合いを欠くことなく超スローペースに対応していました。菊花賞の不安材料はひとつ消えました。3000mの距離に関しても、まず心配いらないと思います。筋肉質の馬体は長距離向きのイメージとはズレますが、父ステイゴールドも母の父メジロマックイーンもスタミナに関しては不安がありません。前者は現役時代に天皇賞・春(G1・芝3200m)で2着、後者は同レースを二度制したほか、菊花賞(G1・芝3000m)も勝ちました。全兄ドリームジャーニーは有馬記念(G1・芝2500m)の優勝馬です。折り合いさえつけばパタッと止まる心配はありません。

重箱の隅を突けば、ステイゴールド産駒は阪神コースに比べて京都コースがイマイチという傾向が出ており、オルフェーヴル自身、京都コースでは2回走って勝っていません。

展開面の死角があるとすれば、大逃げを打った馬の残り目ですね。具体的にいえば当レースで4着に敗れた▲スマートロビン(5番人気)です。今回は明らかにペースを落としすぎました。大逃げというのは、ラップの出入りを小さくし、スタートからゴールまでなるべく平均した速度で逃げるということです。今回のように中盤で12秒9-13秒4-13秒7-12秒9というゆっくりしたラップを刻んだり、33秒6という上がりになるようではまずいですね。瞬発力のある馬の餌食になってしまいます。

04年の天皇賞・春を逃げ切った際のイングランディーレは、上がり3ハロンが36秒1でした。道中13秒台のラップが1回しかなく、精密機械のように12秒台のラップを刻みました。もし仮にこんな競馬ができるようなら、スマートロビンが王者に一泡吹かすシーンもないとはいえないでしょう。2代母 Key Dancer はダンシングキイ(長距離に強いダンスインザダークの母)の全姉で、スタミナに関してはいいものを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100685/

2着〇ウインバリアシオン(2番人気)は世代ナンバー2の実力を示しました。しかし、トップとの差は大きいですね。

3着△フレールジャック(3番人気)は思ったよりも頑張ったという印象です。この馬の弱点は折り合いですから、スローペースが予想される2400m戦では引っ掛かる危険性が高いのではないかと思いました。じっさい、道中は力んで行きたがり、後方のインで折り合いに専念するしかありませんでした。それでも最後は3着まで押し上げるのですから能力は高いと思います。

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2011年9月24日 (土)

日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はスマートファルコン

スマートファルコンとフリオーソの一騎打ちと見られていましたが、レース当日にフリオーソが脚部不安で出走取り消し。単勝1.0倍のスマートファルコンが4馬身差で逃げ切りました。通算30戦20勝、重賞はなんと16勝目(日本記録更新中)です。
http://www.youtube.com/watch?v=51I7CW7FJh0

着差は4馬身とこの馬にしては小さく、持ったままというわけでもなかったので、「あれっ?」という気がしたのも事実です。G2を4馬身差で勝ちながらこんな感想を抱かせる馬もスマートファルコンぐらいでしょう。休み明けで体にも若干余裕があったので、次走、11月3日のJBCクラシック(G1・大井ダ2000m)ではキッチリ仕上がるのではないでしょうか。2着にフリソ(3番人気)が入り、ゴールドアリュール産駒のワンツーフィニッシュとなりました。

フリオーソは、5月にかしわ記念(G1)を勝ったあと、脚部不安により帝王賞(G1)を見送り、秋緒戦のこのレースにも出られませんでした。もう若くないですから無理はできません。この秋は厳しいかもしれませんね。

JBCクラシック(今年は11月3日に大井競馬場で開催予定)では、ドバイ帰りのトランセンド、復活を期すエスポワールシチーとの対決になります。まだ確定はしていませんが、この2頭はおそらく10月10日の南部杯(G1・東京ダ1600m)を経由して臨むことになると思います。

スマートファルコンは、Vaguely Noble 5×3という珍しいクロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/

Vaguely Noble は現役時代、Sir Ivor を破って凱旋門賞を制した名馬で、種牡馬としてもスタミナ、底力、成長力を伝えて成功しました。70年代を代表する女傑 Dahlia、G1を11勝した Exceller などが代表産駒です。Northern Dancer と相性が良く、80年代には「Northern Dancer 系×Vaguely Noble」というパターンから、Golden Fleece、L'Emigrant、ダハール、Indian Skimmer と立て続けに名馬を送り出し、ニックスとも言われました。
http://www.pedigreequery.com/dahlia
http://www.pedigreequery.com/golden+fleece

Vaguely Noble は Aureole の孫です。Aureole 系は気性的にやや危ないところを伝えます。「新聞を読む馬」と言われたカブトシロー、「気まぐれジョージ」と言われたエリモジョージは、いずれも Aureole の孫です。有馬記念を15番人気で、宝塚記念を9番人気で逃げ切ったメジロパーマーは Aureole 4×5。かなり昔、POGの準備のためにデビュー前の2歳馬リストを眺めていたところ、「メジロパーマー×エリモジョージ」という配合の馬がいたので、どんな競走馬になるんだろうと興味本位で指名したところ、長じて京都ハイジャンプ(J・G2)を勝ちました。メジロライデンという馬です。早い段階で去勢されたので気性は激しかったのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000a66/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000c1d/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987105372/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107043/

Vaguley Noble 自身は臆病な性格だったといわれています。牡の代表産駒の1頭で英ダービーを勝ったエンペリーは、気性の悪さで有名でした。潜在的にはそうした要素を伝えている可能性があるように思います。

スマートファルコンを操る武豊騎手が上手いと思うのは、ただハナに立たせるだけでなく、下手に抑えず馬まかせにビュンビュン行かせているところですね。ハイペースで飛ばすリスクよりも、気分よく走らせるメリットのほうが大きいという読みではないでしょうか。Vaguely Noble 5×3の騎乗法としてはベストだと思います。

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2011年9月23日 (金)

世界レベルの良血ゲンテン

■月曜札幌5Rの新馬戦(芝1500m)は、◎ゲンテン(1番人気)が抜群のスタートから先頭に立ち、そのまま逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=gxujW6HsAQA

予想は◎〇▲で馬単610円、3連単3550円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ゲンテンは『バーナーディニ×ニューメラス』という組み合わせの外国産馬。父バーナーディニは現役時代にプリークネスSなどG1を3勝した名馬で、種牡馬としても初年度産駒から主要G1勝ち馬を送り出して成功している。母ミステリブルはアルゼンチンの大レースを勝ちまくった名牝で、亜1000ギニー、エストレージャス大賞ジュベナイルフィリーズなどG1を7連勝し、同国の2歳・3歳牝馬チャンピオンに選出された。本馬はキラルー≒デムア≒トゥーハーバーズ5・4×4というユニークなクロスを持つのでおもしろい。本質的にはパワー型かもしれないが、そうしたタイプでも頑張れる札幌芝1500mなら排気量の違いで押し切れるとみる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110063/

父 Bernardini は現在アメリカで最も勢いのある A.P.Indy 系のなかでも次代のエース格と目される若手注目株。現役時代に米最優秀3歳牡馬に選ばれた名競走馬です。種牡馬としても初年度産駒の現3歳世代から3頭のG1ホースを誕生させ、好スタートを切っています。いずれは種牡馬ランキングの上位に食い込んでくるでしょう。

母 Miss Terrible はG1を7連勝したアルゼンチンの名牝。ジェイドロバリーの全弟 Numerous を父に持ち、Gold Digger≒Good Manners 3×3、Trevisa=La Dogana 5×4が配合上のキーポイントです。
http://www.pedigreequery.com/miss+terrible

ゲンテンは名種牡馬と名牝の間に誕生したので血統的な価値が高いですね。今年のファシグティプトンフロリダセールでノーザンファームの吉田勝己氏が47万ドルで落札しました。現在の馬主はノーザンリバーやヘニーハウンドなどをお持ちの林正道氏です。

予想文にも記したとおり、ゲンテンには Killaloe≒Demure≒Two Harbors 5・4×4というトリプルの4分の3同血クロスがあります。
http://www.pedigreequery.com/killaloe
http://www.pedigreequery.com/demure
http://www.pedigreequery.com/two+harbors

        ┌ Dr.Fager
Killaloe ―――┤
        └〇┐
          └ Cequillo

        ┌ Dr.Fager
Demure ――――┤
        └〇┐
          └ Cequillo

        ┌ Dr.Fager
Two Harbors ――┤
        └ Cequillo

狙ったものなのか偶然なのかは分かりませんが鮮やかです。

いかにもアメ車的な雰囲気を漂わせる馬で、瞬発力で勝負するタイプではありませんが、馬力あふれる先行力を武器に自分のレースができたときは強いでしょう。ハマれば重賞でも好勝負になるはずです。適距離は1400~1800mではないかと思います。

■月曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、〇エタンダール(1番人気)が外から伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=sfNR2rs7aUg

レースが発走する前に強い雨が降り出し、パンパンの良馬場ではなくなりました。母ミスペンバリーは「Montjeu×ハイエステイト」というヨーロッパ型の重い配合で、これにディープインパクトを掛けて誕生したのがエタンダール。雨はプラスに働いたはずです。

忙しい競馬には向かず、距離は延びれば延びるほどいいので、2000m以上で時計が掛かりそうなときに買いたい馬です。高速馬場でヨーイドンの競馬になるとつらいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104372/

◎モンテエクリプス(2番人気)は3着。素軽い血で構成され、馬体が小型なので(馬体重426キロ)、こちらはスピードの出る軽い馬場のほうがいいでしょう。イメージとしては京都芝1600mが合いそうです。

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2011年9月22日 (木)

トウショウボーイの再来? アドマイヤムーン

■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1400m)は、人気薄のトミーバローズ(10番人気)が好位から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=sWkaE7RXzgo

稽古内容が平凡だったため予想では手が回りませんでした。アドマイヤムーン産駒の素軽さは分かっているつもりでしたが、こういう馬まで新馬戦を勝ってしまうというのは感心するしかありません。これで芝新馬戦の連対率は36.8%(19戦7連対)、芝1200~1500mに限れば54.5%(11戦6連対)です。このレンジでは要注意です。

「アドマイヤムーン×ブライアンズタイム」は本馬を含めて2頭がデビューし、いずれも勝利を挙げています。母モンテドーターは未勝利馬ですが、その半兄にサニングデール(高松宮記念など重賞5勝)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103708/

アドマイヤムーン産駒は幅広い配合パターンから勝ち馬を送り出しています。函館2歳S(G3)を勝ったファインチョイスは、母が「タイキシャトル×Capote」というスピード血統。こうしたタイプから2歳戦の活躍馬が出ることに関しては意外性はありません。

しかし、アドマイヤムーンの非凡な点は、Roberto、Graustark、Sadler's Wells、チャイナロックなど、重厚な血を抱えたやや鈍重とも思える牝馬からポンポンと勝ち馬を送り出していること。抜群の素軽さですね。社台系と比べると見劣りが否めない日高の牝馬が中心となってこの成績ですから立派です。もしこの先、何頭かのG1ホースを送り出すようならトウショウボーイの再来でしょう。

■日曜阪神2Rの未勝利戦(芝1800m)は、好位追走のミルドリーム(1番人気)が着実に伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=tVwrnzhP92c

2歳世代のシンボリクリスエス産駒は、母馬の質が過去最高レベルなので、シーズン開始前から相当いい結果が出るのではないかと予測されていました。現在、9勝を挙げ、トップのダイワメジャーとフジキセキ(いずれも10勝)を1勝差で追いかけています。やはり今年はひと味違います。

ダームドゥラックが2勝を挙げているので、勝ち上がった馬は8頭。そのうち6頭が「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」です。繁殖牝馬のレベルアップは、サンデーサイレンスを父に持つ良血牝馬が大量に集まったことに起因しているので、この結果は妥当なものでしょう。6頭の母馬には、アドマイヤグルーヴ、ダンスインザムード、スティンガー、エアウイングスが含まれています。これだけ見ても圧倒的です。

ミルドリームの母ミルフィオリは名種牡馬フジキセキの全妹。その母ミルレーサーは、息子のフジキセキだけでなく、娘たちがいずれも繁殖牝馬として優れた成績を残しているので、名牝系として発展しそうな雰囲気があります。母馬としてのミルフィオリは前途洋洋でしょう。初子のミルドリームがしっかり走ったので、今後の動向が注目されます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106003/

ミルドリームのデビュー戦はエネアドの2着。このレースは、3着トランドネージュを含む上位3頭が4着以下を8馬身ちぎりました。2着ミルドリーム、3着トランドネージュは2戦目に勝ち上がり、6着だったタニセンヴォイスが2着ですから、レースレベルはかなり高かったと推察されます。勝ったエネアドの強さを間接的に証明したといえるでしょう。

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2011年9月21日 (水)

グランデッツァ8馬身差圧勝

土曜札幌1Rの未勝利戦(芝1800m)は、グランデッツァ(1番人気)が軽く気合をつけた程度で後続を8馬身引き離しました。
http://www.youtube.com/watch?v=hvK5auo9EPM

単勝支持率82.2%(!)。どう考えても負けようがないメンバー構成だったとはいえこの数字は凄いですね。今年のJRAでこれを超える数字は見当たりません。

初戦はダッシュがつかず後方に置かれ、運が悪いことに上がり勝負となったため、位置取りの悪さが敗戦に直結しました。苦もなく3番手につけられた今回はその時点で勝負アリ、です。やや脚長の体型で、大きく柔らかいフットワーク。小回りコースよりは直線の長いコースに向くでしょう。走りっぷりを見ていてなぜかサクラユタカオーの若いころの姿がオーバーラップしました。古馬になって毎日王冠と天皇賞・秋を日本レコードで連勝した中距離王者です。同じ栗毛ということもありますが雰囲気が似ています。

桜花賞馬マルセリーナの半弟で、母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝です。『競馬王のPOG本』では「競合覚悟で上位指名すべき5頭」と「栗山ノート」にリストアップし、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト アグネスタキオン編』でも牡馬のトップに据えました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105989/

母マルバイユはマルセリーナとグランデッツァを連続して出したことにより、社台ファームを代表する名繁殖牝馬の1頭に躍り出ました。その豊かなスピードはアメリカ血統だけでなくヨーロッパ血統にも由来しており、ベースとして支えているのが Hyperion なので、大レース向きのしっかりとした底力を伝えています。2代母 Hambye には Ribot のクロスもあります。こういう血はアグネスタキオンと合いますね。

姉マルセリーナ(父ディープインパクト)は Burghclere≒Welsh Flame 3×4で、弟グランデッツァは Alcide≒Electric Flash 5×5。Welsh Flame は Electric Flash の娘なので、2頭とも似たようなポイントを強化しています。

           ┌ Donatello
         ┌○┤ ┌ Hyperion
Alcide ―――――┤ └〇┘
         └ Chenille

           ┌ Donatello
         ┌○┘
Electric Flash ―┤ ┌ Hyperion
         └○┤
           └ Chenille

アグネスタキオン産駒における Alcide 周辺の強化は、鈍重さを帯びるリスクを抱えるので、全体の血脈の質を十分吟味する必要があります。構わず走ったということはマルバイユのスピードの質が優れていることの証明でしょう。走るアグネスタキオン産駒は脚部不安の危険性をつねにはらんでいるので、来年のクラシックを見据えて大事に行ってほしいものです。

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2011年9月20日 (火)

ローズSはホエールキャプチャ

■ローズS(G2・芝1800m)の800m通過は49秒3ですから超スローペース。逃げ馬の直後で折り合った〇ホエールキャプチャ(1番人気)が最内から抜け出し、マイネイサベル(10番人気)の追撃をクビ差抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=NIB8TowoRXs

馬体重はプラス6キロ。太くもなく細くもなくいい感じで仕上がっていました。デビュー以来ずっと1~3着を確保している安定感はすばらしいですね。レース上手で末脚もしっかり、強い精神力にも恵まれています。配合については2月13日のエントリー「クイーンCはホエールキャプチャ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-6544.html

2着マイネイサベル(10番人気)はメンバー中最速の上がり33秒3。切れ味勝負では分が悪いイメージがあったので驚きました。馬が成長しているのでしょう。

オークス馬▲エリンコート(3番人気)は10着。春の3連勝は勢いに乗っていましたが、休みが入ってリセットされてしまった感じです。デュランダル産駒は古馬になってから上昇するものが目立つので、またリズムがかみ合ってくれば上昇してくるでしょう。オークス2着のピュアブリーゼも先日の紫苑S(OP)で12着と大敗しており、人気薄で大駆けした2頭は秋シーズンのスタートがうまく行っていません。

◎マルセリーナ(2番人気)は6着。馬体重が16キロ増えて余裕残しだったことに加え、道中で行きたがってスタミナを消耗したことが敗因でしょう。馬体重については一度使えば絞れるので心配はいりませんが、問題は行きたがる気性ですね。今回は超スローペースだったとはいえ、ほかの馬が折り合うなかでこの馬だけが力んだ走りをしていました。前走のオークスでも終始そうした走りをしていたので、癖になっているのではないか――と、これは杞憂かもしれませんが少しばかり心配です。秋華賞は今回のような超スローペースになることはまずありません。内回りコースに替わることはプラスとはいえないものの、折り合いさえつけば巻き返せるでしょう。速い流れのほうが良さそうなので、現状ではマイルがベストかもしれません。

■エルムS(G3・ダ1700m)は◎ランフォルセ(1番人気)が重賞初制覇。2着オーロマイスター(8番人気)が無印だったので予想は不的中でした。予想文を転載します。
http://www.youtube.com/watch?v=-YbpiKN3hh8

「◎ランフォルセは『シンボリクリスエス×マキアヴェリアン』という組み合わせで、兄弟にノーザンリバー(アーリントンC)、ノットアローン(ラジオNIKKEI賞-2着)、モンローブロンド(ファンタジーS-2着)、甥にロジユニヴァース(日本ダービー)がいる良血。これらはすべてサンデー系なので芝向きに出たが、本馬はパワー型のシンボリクリスエスを父に持つのでダート向きに出た。今年に入って本格化しており、滞在競馬のダ1700mでこの馬を負かせる馬はおそらくスマートファルコン、フリオーソ、エスポワールシチーぐらいだろう。ここは相手探し。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103254/

その相手探しで失敗してしまいました……。オーロマイスターは放牧を挟んでいいときの状態に戻っていましたね。近走内容と59キロの斤量で安易に切ってしまったのが悔やまれます。南部杯(今年は東京競馬場で行われます)2連覇に向けて視界良好です。

勝ったランフォルセは出遅れ癖があるので、小回りコースでは今回のように外を回って徐々に上昇していくという競馬になってしまいます。距離ロスを考えると強い勝ち方です。

母ソニンクにとってはノーザンリバーに次いで2頭目の重賞勝ち馬。予想文にも記しましたが、ソニンクの孫にはロジユニヴァースがいます。繁殖牝馬として発揮する高い能力は、名牝の誉れ高い2代母 Sonic Lady (ムーランドロンシャン賞、サセックスS、愛1000ギニー)からもたらされたものが大きいと思います。Sonic Lady は13歳の若さで死亡したため、牝馬を2頭しか残すことができませんでした。ソニンクはそのうちの1頭です。

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2011年9月19日 (月)

セントライト記念はフェイトフルウォー

4コーナーで内側の馬に張られ、△フェイトフルウォー(6番人気)は外に飛ばされる不利を受けました。ここでひるむどころか猛獣のように闘争心を掻き立てるところがステイゴールド産駒ですね。根性が違います。
http://www.youtube.com/watch?v=fdmYXf9jVns

ロイヤルクレストが大逃げを打ち、実質的な先頭集団である3番手グループは1000m通過が59秒フラットぐらい。この位置取りでも例年より少し速いぐらいです。この集団は、前との差を詰めるために3ハロン標識の前から動き始めていたので、長くいい脚を使わないと勝てない展開でした。勝ったフェイトフルウォーの上がり3ハロンは34秒0。馬場が良かったとはいえ、勝ち時計が2分10秒3でこの上がりは優秀です。今年は絶対的な横綱がいるので楽観的な予測はしづらいのですが、今回の1、2着馬は本番でもいい戦いをするでしょう。

絶対的な横綱オルフェーヴルと、今回勝ったフェイトフルウォーはいずれも「ステイゴールド×メジロマックイーン」という組み合わせ。日本で一番有名なニックスです。オルフェーヴルの全兄ドリームジャーニー、先日のコスモス賞(2歳OP)を勝って2戦2勝としたゴールドシップもこの組み合わせから誕生しています。
http://yoso.netkeiba.com/?pid=profile&yid=266995

このニックスについては、昨年11月20日のエントリー以降、当ブログでも何度か触れており、いちばん最近は7月10日の「『ステイゴールド×メジロマックイーン』のゴールドシップ」です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-6198.html

『サラブレ』9月号に執筆した「最新金脈ニックス名鑑」では、冒頭最も大きなスペースを割いて「ステイゴールド×メジロマックイーン」を取り上げています。ちなみに同誌は Amazon でも取り扱っており、バックナンバーもお買い求めいただけます。

フェイトフルウォーの母フェートデュヴァンは、芝2600m戦を勝ったステイヤーでした。2代母の父 Nijinsky はステイゴールドと相性抜群で、ほかにこの組み合わせを持つ馬にはシルクメビウス、アルコセニョーラ、マイネレーツェル、ナカヤマナイトなどがいます。距離延長は歓迎で、しかも速い上がりに対応できるので、本番ではライスシャワーのような存在になりうる可能性を秘めています。ステイゴールド産駒は成長力があるのでこれからの楽しみが大きい馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102708/

◎トーセンラー(3番人気)は2着。不運が重なって春は散々でしたが、立ち直ればこれぐらいやれる馬です。時計の速い決着には向いています。

『netkeiba.ocm』「No.1予想」に提供した予想は、△◎▲で馬単13980円、3連単56160円的中。連単系マルチに買い目を設定しているので高配当が的中しました。
http://yoso.netkeiba.com/?pid=profile&yid=266995

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2011年9月18日 (日)

ディープインパクト産駒 Barocci が仏G3で2着

9月17日、仏ロンシャン競馬場で行われたプランスドランジュ賞(G3・芝2000m)で、ディープインパクト産駒の Barocci(牡3歳)が2着と健闘しました。
http://www.youtube.com/watch?v=yLTBNnjNrSE

今年の春、準重賞のオムニウムII賞(芝1600m)を制した際に当ブログで取り上げたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/barocci-601b.html

その後、重賞ばかり使って4、6、5、7着。勝負になっていないわけではないけれど馬券には絡まず、という微妙な成績でした。今回は横一線の2着争いからわずかに抜け出たという内容で、スミヨン騎手が距離ロスを抑えて上手く乗ったという印象です。
http://www.pedigreequery.com/barocci2

プランスドランジュ賞が日本のどのレースに該当するかというと、適当なものが浮かばず困るのですが、強いて挙げれば朝日チャレンジCや鳴尾記念あたりでしょうか。年の前半に活躍して後半尻すぼみになるよりも、この時期に浮上してくるほうが来年に繋がります。

その10日前、仏サンクルー競馬場でディープインパクト産駒の2歳牝馬 Beauty Parlour がデビュー戦を8馬身差で圧勝しました。この馬は Barocci の全妹です。08年に社台ファームで誕生した Barocci は、その年のうちに母バステットとともにフランスへ渡りました。母は翌春ディープインパクトの牝馬を出産。これが Beauty Parlour です。
http://www.pedigreequery.com/beauty+parlour3

芝とオールウェザーの中距離戦において、日本産馬の実力は世界のトップクラスと比べて遜色ないレベルにあります。ステイゴールド産駒のナカヤマフェスタ(凱旋門賞-2着)や、ネオユニヴァース産駒のヴィクトワールピサ(ドバイワールドC)の活躍がそれを証明しています。先日フランスで行われたフォワ賞(G2)でもマンハッタンカフェ産駒のヒルノダムールが僅差の2着でした。ディープインパクトは日本のトップ種牡馬であり、その産駒が仮に海外で通用しなかったとしたら、逆にそのほうが意外です。

とはいえ、日本とヨーロッパの馬場には大きな隔たりがあるので、ヨーロッパにおける主流血統を交配牝馬から取り入れて、その産駒が問題なく走るということであれば、日本とヨーロッパの距離はさらに縮まります。Barocci と Beauty Parlour の兄妹は Storm Cat 系の Giants Causeway を母の父に持ちます。日本の馬場ではちょっとどうかなという血統構成ではありますが、力のいるヨーロッパの深い芝ではこの種のパワー血統が頼りになります。このほか、ヨーロッパに根を下ろしている主流血統には Danzig や Sadler's Wells などがあり、こうした血とうまくフィットするかどうかがディープインパクトの海外戦略にとって重要ポイントとなるでしょう。現段階ではうまく行っているのではないかと思います。

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2011年9月17日 (土)

父譲りの切れ味で完勝、レッドアーヴィング

■日曜札幌5Rの新馬戦(芝1800m)は、4番手追走の▲レッドアーヴィング(1番人気)が直線で鮮やかに突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=fVyDWlNFKAY

好調アドマイヤムーン産駒は、先々週までの時点で1600m以上では連対率6.3%(16戦1連対)。したがって、2倍を切る1番人気でもやや不安があったのですが、杞憂に終わりました。

アドマイヤムーン自身は現役時代に2400mをこなしたので、もともと産駒に距離の壁などないのかもしれませんし、母エンプレスティアラの全弟ゴールデンハインドは、函館芝2600mでレコード勝ちするなど、全5勝のうち4勝を2400m以上で挙げました。距離をこなせる素地はありましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106100/

そもそも今回はスローペースの上がり勝負で、むしろ瞬発力が問われるレースでした。アドマイヤムーン産駒の最大の長所は瞬発力。ゴール前でピリッとしたいい脚を使います。レッドアーヴィングは、母の父クロフネ、2代母ゴールドティアラ(南部杯-G1)ですから、芝向きの切れ味という面では心もとない血統です。そうした血を抱えながら、ラスト2ハロン11秒4-11秒6という決め手勝負をスパッと抜け出してきたわけですから、アドマイヤムーンが伝える瞬発力は優秀だと思います。このあたりはサンデーサイレンスの影響でしょうか。

今年の新種牡馬戦線は、ダイワメジャーとアドマイヤムーンの2頭が抜け出しており、現時点で両馬とも8勝を挙げています。出走数はダイワメジャーの90回に対し、アドマイヤムーンは半分以下の34回なので、勝率ではアドマイヤムーンの圧勝です。持ち前の瞬発力を活かしてゴール前でしっかり競り勝っていることが分かります。ただ、2着を比べてみると、ダイワメジャーの19回に対し、アドマイヤムーンは3回。連対率ベースではほとんど差がありません(30.0%と32.4%)。夏競馬が終わって間もない段階なので、これから秋競馬が進んでいけば、傾向も変わってくるかもしれません。引き続き注視していきたいですね。

これまでにデビューしたアドマイヤムーン産駒は、良くも悪くもローカル向きの軽いスピードタイプが多かったと思います。中央開催の中距離レースに対応できそうなレッドアーヴィングのような馬をどれだけ出せるか、という点がこれからの課題となるでしょう。

■日曜中山6Rの新馬戦(ダ1800m)は、中団追走の★ブラックビーン(6番人気)が3コーナーから大外をマクって進出し、4コーナーで先頭に立つとそのまま押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=SNfMKVXTSEs

これぞダートホース、という豪快な勝ち方でした。2代母は20番人気でエリザベス女王杯(G1)を勝ったサンドピアリス、母サンドコロネットはタマモストロング(ダート重賞4勝)の半姉。これにワイルドラッシュを掛けて本馬は誕生しました。血統表のどこを切り取ってもパワー満点です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103361/

ワイルドラッシュはトランセンドを筆頭にコンスタントに活躍馬を送り出しており、その多くはダート馬です。昨年あたりまではセールで落札される産駒の価格も安く、実力と価格のアンバランスさからお買い得といえる種牡馬だったのですが、今年に入ってからさすがに価格が上がってきて、実力相応の評価をされるようになりました。10、11年と、中央地方を総合したダート重賞の勝利数は全種牡馬中トップです。

5月14日のエントリー「羽田盃はクラーベセクレタ」に記したとおり、ワイルドラッシュ産駒の大物は、Flower Bowl-Graustark(=His Majesty)の母子を強化した配合が目につきます。前出のトランセンドや、クラーベセクレタ、クリールパッション、ヒシウォーシイなどがそうです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/post-5ff1.html

ブラックビーンは母方にチャイナロックが入ります。Flower Bowl とチャイナロックはいずれも Hyperion と Son-in-Law で構成されており、底力の強化には有効な血です。

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ―――┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
チャイナロック ―┤ ┌〇┘
         └○┘

しっかり乗り込んではいたものの、時計的にはそれほど目立つものではなかったので、配合的に注目という★しか打てませんでした。ダート路線で注目したい1頭です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月16日 (金)

アドマイヤベルナと配合が似ているバウンダリーワン

土曜中山5Rの新馬戦(芝1200m)は、◎バウンダリーワン(1番人気)が2番手から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=-tS8KvAS2pI

予想は◎▲△で馬単810円、3連単3510円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎バウンダリーワンは『ファルブラヴ×アドマイヤベガ』という組み合わせ。『ファルブラヴ×サンデー』は新馬戦の強さに定評があるが、サンデーの息子アドマイヤベガを母の父に持つパターンも悪くないだろう。サクラハゴロモの牝系にファルブラヴ、という配合はアドマイヤベルナ(6月の1000万特別でエクスペディションに5馬身差圧勝)と同じ。稽古でも動いているのでこの条件ならスピード押し切れそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102909/

先週のファルブラヴ産駒は、エーシンヴァーゴウがセントウルS(G2)を勝つなど土日で4勝を挙げる好調ぶり。今年は2歳戦でも頑張っており、函館2歳S(G3)2着のアイムユアーズ、小倉2歳S(G3)3着のハギノコメントなどが出ています。

予想文にも書いたとおり、バウンダリーワンはアドマイヤベルナと配合構成がよく似ています。同馬は6月の三木特別(1000万下・芝2000m)で終い流しながら1分58秒2の好タイムで逃げ切りました。5馬身差の2着は、その後3連勝して重賞を狙おうかという位置まで出世してきたエクスペディションですから強いと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103288/
http://www.youtube.com/watch?v=28J-FA0KI7Q

          ┌ ファルブラヴ
          │   ┌ サンデーサイレンス
バウンダリーワン ―┤ ┌〇┤ ┌ トニービン
          └○┤ └○┘
            └ サクラハゴロモ

          ┌ ファルブラヴ
アドマイヤベルナ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
          └○┤ ┌ トニービン
            └〇┤
              └ サクラハゴロモ

近い世代にファウブラヴ、サンデーサイレンス、トニービン、サクラハゴロモが入るという共通があります。サクラハゴロモは名種牡馬サクラバクシンオーの母です。バウンダリーワンとアドマイヤベルナは、母方にサンデーサイレンスとトニービンが入っても、ファルブラヴの一本調子な特徴は消えていません。

ちなみにバウンダリーワンは、今年のPOGで人気を集めたピュアソウル(父ディープンパクト、母ヒストリックスター)とも配合構成が似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106275/

          ┌ ファルブラヴ
バウンダリーワン ―┤   ┌ サンデーサイレンス
          │ ┌〇┤
          └○┘ └ ベガ

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌〇┘
ピュアソウル ―――┤ ┌ ファルブラヴ
          └〇┤
            └ ベガ

ピュアソウルにも一本調子なところが伝わっているのかどうか、気になるところです。あるいは父ディープインパクトの柔らかな切れ味が特長として勝るか、その中間あたりに落ち着くか……。このあたりは実際に走ってみなければ分かりません。先日入厩したそうなので、京都開催あたりでデビューするはずです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月15日 (木)

Halo≒Sir Ivor 3×4で切れるタガノミュルザンヌ

■土曜阪神4Rの新馬戦(ダ1400m)は、3番手追走の◎ヴィンテージイヤー(1番人気)が直線で抜け出し、後続に5馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=7WSt4bF0M1o

予想は◎▲★で馬単400円、3連単2250円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ヴィンテージイヤーは『メイショウボーラー×スターボロー』という組み合わせ。母の父スターボローは“ブダベストの弾丸”の異名をとる快速馬オーヴァードーズの父でもある。母ボンヌマールは、スターボローのスプリント能力に加えてデザートワイン≒バラダ3×3を持っているので、産駒に安定してスピードを供給できる繁殖牝馬だと思われる。父メイショウボーラーとの配合では、パワーとスピード、仕上がりの早さが感じられるので新馬戦には強いはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100673/

まさに完勝でした。父メイショウボーラーはタイキシャトルの代表産駒で、現役時代にフェブラリーS(G1・ダ1600m)など5つの重賞を制しました。うち2つが芝重賞であるように、芝・ダート兼用タイプでしたが、どちらで走っても一本調子なところがあったので、種牡馬としては7:3ぐらいでダート向きかなという気がします。

今年の2歳世代が初年度産駒で、これが2頭目の勝ち馬となります。勝ち上がったもう1頭は、函館芝1800mを逃げ切ったトミケンユークアイ。決め手不要の舞台なら強いということでしょう。

■土曜阪神5Rの新馬戦(芝1400m)は、中団に控えた▲タガノミュルザンヌ(3番人気)が直線で大外を鋭く突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=3kh4aWR9tYI

422キロの小柄な馬体ながら、アグネスタキオン産駒らしい鋭い瞬発力を繰り出して完勝。将来性を感じさせる好素材です。

母レディアップステージはアイルランドでプリティーポリーS(G2・芝10f)を制覇。父が Alzao、母の父が Busted の息子なので、ディープインパクトの母ウインドインハーヘアによく似た配合です。

            ┌ Alzao
レディアップステージ ―┤   ┌ Busted
            │ ┌〇┘
            └○┘

            ┌ Alzao
ウインドインハーヘア ―┤ ┌ Busted
            └○┘

したがって、タガノミュルザンヌ自身は、ニュービギニング、リルダヴァル、ダノンパッション(いずれもウインドインハーヘアの牝系で父がアグネスタキオン)と配合構成がよく似ています。Halo≒Sir Ivor が生じるので切れますね。

レディアップステージがこれまでに産んだ2頭、フライングブイ(父ブライアンズタイム)とバロンルージュ(父アグネスタキオン)はいずれも未勝利馬。2頭とも一度も馬券に絡んだことがないという惨憺たる成績でした。タガノミュルザンヌは馬のデキがよかったのでしょう。脚を溜めれば確実に伸びるタイプだと思われるので、距離はもっと延びたほうがいいと思います。

◎アンチュラス(1番人気)はテンションが高く、掛かり気味に追走して末脚を失ってしまいました。全姉イングリッドもメンタル面にややデリケートな面を抱えています。脚力は十分なので、落ち着いて走ればすぐにでも勝ち上がれるでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月14日 (水)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」で東サラ、シルク診断開始

おかげさまでご好評をいただいております「一口馬主好配合馬ピックアップ」は、9月12日から東京サラブレッドクラブとシルクホースクラブの診断を開始いたしました。
http://www.miesque.com/c00006.html

現在、望田潤さんの東サラ、栗山求のシルク分をアップロードしています。望田潤さんのシルク、栗山求の東サラは準備が整い次第アップロードいたしますので、よろしくお願いいたします。
http://www.miesque.com/

東西でキングカメハメハ産駒が重賞制覇

■日曜中山11Rの京成杯オータムH(G3・芝1600m)は、◎フィフスペトル(2番人気)が直線半ばで抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=KW4xoaf-61o

『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想は、2着アプリコットフィズ(7番人気)がヌケだったので、◎が1着だったものの不的中。予想文を転載します。

「◎フィフスペトルは『キングカメハメハ×バーリ』という組み合わせ。キングカメハメハはトゥールビヨン-ジェベルのラインが母方の構成要素の核となっているので、ここを強化した配合は好ましい。本馬の母の父バーリは英マイルG1を2勝した名馬で、ジェベル5×5。母ライラックレーンはネヴァーベンド≒ナンティシャス3×3という相似な血のクロスを持ち、本馬はミルリーフ≒リヴァーマン5×3。よくできた配合で潜在能力の高さを感じさせる。これまでに獲得した重賞は函館2歳S(G3)のみだが、さらにタイトルを上積みできるポテンシャルを秘めていると思われる。中山芝1600mは朝日杯フューチュリティS(G1)で2着となり、東風S(OP)を完勝した舞台。今回はチャンスだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102859/

母ライラックレーンの血統は、Bahri≒Balletomane 1×2と表現したくなるほどです。こうした特殊な凝縮を持つ牝馬は、母として、あるいは2代母としておもしろいですね。個人的にも好きなパターンで、フィフスペトルについてはデビュー戦から高く評価してきました。次走は10月22日の富士S(G3・芝1600m)か、10月2日のポートアイランドS(OP・阪神芝1600m)でしょうか。ようやく波に乗ってきたので、もっとタイトルを上積みしてほしいところです。

2着アプリコットフィズにはやられました。当ブログで何度も取り上げたことがあるように、もともと高く評価してきた馬なのですが、今年に入ってから二桁着順が続き、もう競走意欲を失っているのかもしれないと侮っていました。嬉しい復活です。

■土曜阪神11Rの朝日チャレンジC(G3・芝2000m)は、◎ミッキードリーム(1番人気)がしぶとく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=or6KQFFSZjo

予想は◎△▲で馬単3540円、3連単12590円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ミッキードリームは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』。どちらかといえば外回りコースが合う組み合わせだが、本馬はサクラバクシンオーの近親で先行力もあるので内回りコースも問題ない。開幕週なので好位勢には有利な競馬となりそう。4歳キンカメ軍団の遅れてきた有力馬として秋の重賞戦線で活躍が期待できる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103315/

昨年の毎日杯(G3・芝2000m)でダノンシャンティの2着となった経験があり、1000万クラスから3連勝といっても元のクラスに戻っただけです。キングカメハメハ産駒は先週、この馬とフィフスペトルで重賞2勝と好調でした。

関西の芝2000m前後の路線は、エクスペディションやアドマイヤベルナなど、楽しみな新鋭が多いですね。こういう活きのいい馬たちがどんどん重賞に出てくれば盛り上がります。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月13日 (火)

『馬券師倶楽部2』再放送決定!

  栗山求(前編) 
   09/14 (水) 10:30 ~ 11:00
   09/14 (水) 16:00 ~ 16:30
   09/14 (水) 24:30 ~ 25:00
  栗山求(後編) 
   09/15 (木) 10:30 ~ 11:00
   09/15 (木) 16:00 ~ 16:30
   09/15 (木) 24:30 ~ 25:00

CS放送の“MONDO TV”で視聴することができます。よろしかったらどうぞ。

セントウルSはエーシンヴァーゴウ

今年は前半3ハロン通過が34秒1。遅かったですね。00年以降の12年間でこれより遅かったレースは1回しかありません。前有利の流れですんなり2番手につけられたエーシンヴァーゴウ(2番人気)が、ゴール前の叩き合いでグイッと抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=LlOevllCKeI

スローペースの助けも確かにあったと思いますが、今夏の充実ぶりは目覚ましいですね。予想は完敗。直線1000mコースがベストでは……という疑念があり、相手強化、坂コースという不安要素を過大視し、無印にしてしまいました。

配合については7月18日のエントリー「アイビスサマーダッシュはエーシンヴァーゴウ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-bbcc.html

香港勢の▲ラッキーナイン(5番人気)が2着に入りました。最後に力強く伸びてきましたが、やはりこの距離では少々忙しい印象です。ただ、これで速い流れに慣れれば次走は怖いですね。

もう1頭、◎グリーンバーディー(9番人気)は4位入線も14着降着。昨年はこのレースで仕上げすぎて本番ではオツリがありませんでした。その失敗を踏まえて、今年は本番を見据えた作りにしたのだと思いますが、まさか29キロ増とは……。明らかに太く、発汗も目立っていました。これで4位まで押し上げてくるのですから能力は確かです。ここを使って順当に良化してくれば本番では勝ち負けまであるでしょう。陣営の視線は日本馬ではなくシンガポールのロケットマンに注がれているものと思われます。

〇ダッシャーゴーゴー(1番人気)は3着。外枠で壁を作れず、久々ということもありやや力んでいたようにも映りました。大外を回される距離ロスが大きかったので、この結果は評価を下げるものではないと思います。やはり本番では同厩のカレンチャンとともに日本馬の大将格でしょう。

2011年9月12日 (月)

ヒルノダムールがフォワ賞2着

古馬によって争われた凱旋門賞の前哨戦・フォワ賞(仏G2・芝2400m)は、日本から参戦したヒルノダムールが2着と健闘しました。勝った Sarafina とは短首差。
http://www.youtube.com/watch?v=LXuaVG_Fayc

アウェイの不利を跳ね返し、地元フランスのトップクラスと互角の勝負に持ち込むのですから、日本の芝2400m路線はヨーロッパ列強と比べても遜色ありません。ヒルノダムールは“本当にロンシャンで走るのは初めてなのか?”と疑いたくなるくらい、スムーズに駆けていましたね。久々でこれだけのレースができれば本番でも期待できます。ナカヤマフェスタは最下位の4着とはいえ期待以上の走りでした。本番に間に合ったようです。

勝った Sarafina(1番人気)の瞬発力は惚れ惚れします。テンションが高く折り合いに苦労しながら、最後はズバッと決めました。同じくアガ・カーン四世殿下がかつて所有した Zarkava を思わせる切れ味です。
http://www.pedigreequery.com/sarafina5

同日に行われた3歳馬によるニエル賞(仏G2・芝2400m)は、仏ダービー馬 Reliable Man(2番人気)が2馬身差で完勝しました。日本から遠征したナカヤマナイトは6頭立ての最下位です。
http://www.youtube.com/watch?v=G2GpSm4ioeM

勝った Reliable Man は、パリ大賞典で3着と敗れた以外はすべて勝っています(通算5戦4勝)。今回、同レースで負かされた Meandre に2馬身差をつけたので、3歳牡馬ナンバーワンとして本番に臨みます。配合については6月8日のエントリー「仏ダービーは Reliable Man」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/reliable-man-dc6e.html

さらに同日に行われた3歳以上の牝馬によるヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)は、中団追走の3歳馬 Galikova(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=zMjRHGLCTGg

Galikova はG1を14勝している名マイラー Goldikova の半妹。6月の仏オークス(G1・芝2100m)では人気に推されながらも、同じ Galileo 産駒の Golden Lilac の2着に敗れました。これといって強敵が見当たらないここは順当勝ちでした。
http://www.pedigreequery.com/galikova

凱旋門賞は斤量が鍵を握ります。古馬は牡牝を問わずフォワ賞の斤量から1.5キロ増し、3歳牡馬はニエル賞の斤量から2キロ減。今回のフォワ賞とニエル賞は、いずれも2分32秒台でほとんど差がありませんでした。時計の比較にあまり意味がないとはいえ、レース内容がほぼ同じと仮定すれば、本番は3歳馬が有利と考えられます。

英ブックメーカーの凱旋門賞前売りオッズを見ると、現時点の1番人気は Sarafina で、単勝オッズは3.5~4倍ぐらい。以下、So You Think、Workforce、Nathaniel の3頭が団子で続き、そのあとに Reliable Man が8~9倍、Galikova が10~11倍といった感じですね。ヒルノダムールは13~21倍ぐらい。ナカヤマフェスタは26~34倍ぐらいです。これから本番に向けてオッズは変動していきます。

フォワ賞を勝った Sarafina、ニエル賞を勝った Reliable Man は、いずれも2代目に Sadler's Wells と Darshaan が並びます。前日の英セントレジャー(G1・芝14f132yds)を勝った Masked Marvel、1週間前の愛チャンピオンS(G1・芝10f)を勝った So You Think の父 High Chaparral、今年の英ダービー馬 Pour Moi、愛ダービー馬 Treasure Beach など、中長距離の大レースでは Sadler's Wells と Darshaan の組み合わせが目立ちます。
http://www.pedigreequery.com/reliable+man
http://www.pedigreequery.com/masked+marvel3
http://www.pedigreequery.com/so+you+think
http://www.pedigreequery.com/pour+moi4
http://www.pedigreequery.com/treasure+beach3

一方で、Galileo とデインヒルのニックスも猛威を振るっており、3歳世代の Frankel や Golden Lilac だけでなく、2歳世代からも5戦全勝の牝馬 Maybe(愛G1モイグレアスタッドSなど重賞3勝)が誕生しています。

最近のヨーロッパのトップホースたちは、ごく限られた数種類の血の組み合わせで誕生している感があります。以前に比べて血の幅が狭くなっているような気がしますね。こうした傾向が続けば続くほど、新たな活力の供給源としてサンデー系が入り込みやすくなっていくでしょう。

2011年9月11日 (日)

セントウルSの外国馬(後)

もう1頭の香港馬ラッキーナイン(Lucky Nine)は、アイルランドでデビューし、〔1・1・1・0〕という成績を残したあと香港に移籍しました。

香港の馬場は日本よりも若干重いのですが、アイルランドよりは軽く、一流馬であれば芝1200mで1分08秒台、芝1600mで1分33秒台の時計が出ます。ラッキーナインはそうした馬場に適性があり、重賞戦線で順調に出世を重ね、日本に遠征するまでになりました。

「Dubawi×Green Desert」という組み合わせは、昨年の英2000ギニー(G1・芝8f)とジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)を勝った Makfi と同じ。父 Dubawi はヨーロッパで最も注目を集める若手種牡馬の1頭で、昨年の全欧種牡馬ランキングでは産駒が2世代しかデビューしていないにもかかわらず第4位に食い込みました。基本的にはスピードを活かすタイプが多いのですが、独ダービー(G1・芝2400m)を勝った Waldpark のような馬も出しています。
http://www.pedigreequery.com/lucky+nine

ラッキーナインの半妹レディオブパーシャ(父 Shamardal)、サドンストーム(父ストーミングホーム)はいずれも日本で走り、それぞれ1勝を挙げています。日本の馬場に難なく対応しているので、ラッキーナイン自身も問題なく走れると思います。

以下の映像は今年1月の香港クラシックマイル(G1・芝1600m)を勝ったときのもの。決して優美な走りではないのですが、鍛え上げられた筋肉から繰り出すフットワークは豪快で、いかにも香港馬らしい走りという印象です。
http://www.youtube.com/watch?v=3E_06AB9_R4

何の先入観もなくラッキーナインの配合を見れば、ベストディスタンスは1400~1600mでしょう。もともと1200m路線でクラスを上げてきたのですが、トップクラスの壁を突破できず、距離を延ばして活路を見出したという経緯があります。香港の1200m路線はレベルが高いので、ここで天下を獲れなかったといっても、日本なら通用する可能性があります。初の59キロ、海外遠征という不安点を差し引いても、勝ち負けに加わる可能性はあると思います。

2011年9月10日 (土)

セントウルSの外国馬(前)

10月2日のスプリンターズS(G1・芝1200m)に出走を予定している外国馬は、グリーンバーディー(Green Birdie/香港)、ラッキーナイン(Lucky Nine/香港)、ロケットマン(Rocket Man/シンガポール)の3頭。このうち、ロケットマンは前哨戦を使わずに本番に直行する予定です。香港勢の2頭は日曜日のセントウルS(G2・芝1200m)に出走します。

グリーンバーディーは昨年の2着馬。体調七分で59キロを背負い、インに押し込められて追い出しが遅れながら、勝ったダッシャーゴーゴーとクビ差の勝負ですから能力水準が一枚違います。

チッピングノートンS(豪G1・芝1600m)をはじめ3つの重賞を制した Casino Prince とは、母同士が全きょうだいで父がデインヒルの子、という共通点があります。
http://www.pedigreequery.com/green+birdie
http://www.pedigreequery.com/casino+prince3

             ┌ デインヒル
           ┌○┘
グリーンバーディー ―┤
           └ Mrs.Squillonaire(=Lady Capel)

             ┌ デインヒル
           ┌○┘
Casino Prince ――――┤
           └ Lady Capel(=Mrs.Squillonaire)

2代父デインヒルと母の父ラストタイクーンは、いずれもシャトル種牡馬の草創期にオーストラリアで成功を収め、同国のリーディングサイアーとなりました。ラストタイクーンの父トライマイベストとデインヒルは、いずれも Northern Dancer、Buckpasser、Alibhai を持っているので、血統構成がちょっと似ています。

デインヒルはオーストラリア競馬と相性抜群で、多くの名馬・名種牡馬の父となっています。グリーンバーディーの父 Catbird は、オーストラリアの2歳最強馬決定戦であるゴールデンスリッパーS(G1・芝1200m)の勝ち馬。種牡馬としては03/04年のファーストシーズンサイアーチャンピオン(勝ち星部門)となり、07年、蹄葉炎により11歳の若さで死亡しました。その代表産駒がグリーンバーディーです。

昨年の2着馬ですから、いまさら適性について云々しても始まらないでしょう。臨戦過程を見ると、昨年ほどの勢いは感じられませんが、アジア圏における最高峰のレースでそれなりの成績を残しているので、日本馬との比較で格下という扱いはできません。キッチリ仕上げられていれば十分勝ち負けになるでしょう。(続く)

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月 9日 (金)

ハーツクライの近親オメガハートランド

■日曜新潟5Rの新馬戦(芝1800m)は、〇オメガハートランド(1番人気)がゴール直前で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=8Iehn64xRMg

「アグネスタキオン×エルコンドルパサー」という組み合わせ。母オメガアイランドは未勝利馬ですが、ハーツクライの半妹にあたる良血です。サンデー系のアグネスタキオンを父に持つ本馬は、ハーツクライの構成要素の50%を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105758/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103038/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
オメガハートランド ―┤
           └○┐
             └ アイリッシュダンス

           ┌ サンデーサイレンス
ハーツクライ ――――┤
           └ アイリッシュダンス

ハーツクライの配合構成の核は Northirdchance≒Revoked 4×5。本馬は1代遠ざかることになりますが、とりあえずその要素を含んでいます。

母の父エルコンドルパサーはやや不器用というか、エンジンの掛かりが遅いところがあります。そのため、どちらかといえば外回りコースのほうがいいタイプ。今回もゴール前でやっと届きました。東京芝2400mのオークスは合うと思います。

■日曜新潟1Rの未勝利戦(芝1400m)は、コスモアンドロメダ(2番人気)が2番手追走から3馬身抜け出しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104656/

「ロージズインメイ×トニービン」はニックスで、コスモラピュタ(阪神大賞典-4着、菊花賞-5着)を筆頭にミヤビファルネーゼ、マイネルグートなどが出ています。とくに芝の成績は優秀で、連対率は27.5%、1走あたりの獲得賞金額は194万円。母の父にトニービンを持たないロージズインメイ産駒は13.0%、85万円という成績ですから差は歴然です。父ロージズインメイはアメリカ血統が強いので、重厚なヨーロッパ血脈であるトニービンがフィットするのでしょう。

本馬の全姉マイネアロマは1勝馬ながら重賞に3回出走しているまずまずの活躍馬。牝系は以下のようにさかのぼります。俗に“華麗なる一族”と呼ばれる名牝系です。

母ダイイチビビット(3勝)
    ↓
2代母ダイイチルビー(安田記念、スプリンターズS)
    ↓
3代母ハギノトップレディ(桜花賞、エリザベス女王杯)
    ↓
4代母イットー(高松宮杯、スワンS)

最近はやや元気がないので、そろそろ一発を期待したいところです。

2011年9月 8日 (木)

210万円の掘り出し物キリシマトリオ

■日曜小倉5Rの新馬戦(芝1800m)は、◎キリシマトリオ(3番人気)が逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=e1gvmXAMHeY

予想は◎〇△で馬単2400円、3連単19080円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎キリシマトリオは『ウインラディウス×ブライアンズタイム』という組み合わせ。一見地味に思える血統だが、マルゼンスキー≒クイルメーカー3×3という派手な仕掛けがある。稽古では動いているので、この大胆なクロスが吉と出ている可能性がある。ブライアンズタイム、ロイヤルスキーといった血が入り、ローカルの芝1800m戦は合っているだろう。」

予想文に書いた「マルゼンスキー≒クイルメーカー3×3」とは以下のとおり。

          ┌ Northern Dancer(=ノーザンネイティヴ)
        ┌〇┘
マルゼンスキー ┤
        └ シル

        ┌ ノーザンネイティヴ(=Northern Dancer)
クイルメーカー ┤
        └ シル

土曜日の札幌新馬戦を勝ったジャーエスペランサは凄い配合でしたが、こちらもなかなか凝っています。父ウインラディウスは京王杯スプリングC(G2・芝1400m)をレコード勝するなど3つの重賞を制したサンデー系の活躍馬。ただし、トップクラスとは大きな差がありました。現2歳馬が3年目の産駒です。

統計を取ったわけではない単なる経験則なのですが、メジャーとはいえない種牡馬は、このような大胆な配合で自身の持つ名血を積極的に強化したほうが成功するような気がします。

キリシマトリオは上記のクロスに加えてブライアンズタイムを母の父に持ち、力のいる馬場には向いていました。昨年のHBAサマーセールでわずか210万円で落札された馬です。

■日曜札幌5Rの新馬戦(芝1800m)は、△アドマイヤトライ(2番人気)が好位からしぶとく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=dy3mRELbQeA

母アドマイヤグルーヴ、祖母エアグルーヴ、曾祖母ダイナカール、というラインは、我が国でもっとも有名な牝系のひとつでしょう。半姉にアドマイヤテンバ(3勝)、アドマイヤセプター(札幌2歳S-3着、フェアリーS-3着)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106062/

現2歳世代のシンボリクリスエス産駒は、「母の父サンデーサイレンス」が83頭もいます。シンボリクリスエス、キングカメハメハ、クロフネ、タニノギムレット、ジャングルポケットといった非サンデー系種牡馬は、サンデーの良血牝馬をいかに集められるかが勝負といっても過言ではありません。

この世代は、トップクラスのサンデー牝馬が軒並みシンボリクリスエスのもとに集まりました。本馬の母アドマイヤグルーヴ以外にも、トゥザヴィクトリー、ローズバド、ダンスインザムード、ダンスパートナー、ダイヤモンドビコー、フサイチパンドラ、マイケイティーズ、クルーピアスターなどなど。

当ブログで何度か記したように、「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」は、期待の大きさに比べると成績はもうひとつです。これだけ大量のサンプルがあるにもかかわらず、中央の平地重賞を勝ったのはサクセスブロッケンのみ。しかもこの馬はダートホースです。芝では平地重賞の勝ち馬がいないどころかOP特別を勝った馬すらいません。

したがって、芝のレースではなるべく本命を打たないようにしているのですが、この馬はキッチリ勝ち上がりました。名牝アドマイヤグルーヴの息子、という点が最大の勝因です。そして、雨で馬場が渋り、決め手いらずのレースとなったこともよかったのではないかと思います。シンボリクリスエス産駒は総じて芝向きの瞬発力に弱点を抱えているので、洋芝の湿った馬場は合っていたのでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月 7日 (水)

Discreet Cat 産駒キズマはダートもOK

■土曜新潟7Rの新馬戦(芝1400m)は、好位追走の△キズマ(2番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZF5zNDg-_TA

ドバイのハヤ王女の所有馬で、父 Discreet Cat は夫君のモハメド殿下が主宰するゴドルフィンの服色で走り、シガーマイル(米G1・ダ8f)、UAEダービー(首G2・ダ1800m)などを制覇しました。シガーマイルでは1分32秒46という驚異的なタイムを叩き出しています。現在はアメリカに繋養されており、今年の2歳世代が初年度産駒となります。アメリカではすでに10頭近い勝ち馬が生まれていますが、まだ成功/失敗を判断する段階ではありません。

キズマは「Discreet Cat×ジェイドロバリー」という組み合わせで、母ハンドオブフェイトは Nijinsky 3×2、Raise a Native 3×4という父母相似配合です。父は Raise a Native-Mr.Prospector と無縁なので、これをしっかり取り込んでいるのはいいでしょう。Storm Bird≒Nijinsky 4×3・4は力強いですね。牝系は Green Desert、ヤマニンパラダイス、アンブロジン、Arch、トワイニングなど多数の名馬を送り出している名門です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102659/

ダート向きではないかと考えて評価を下げてしまいましたが、今回のレースで少なくとも2歳戦の短距離なら芝をこなせることが分かったので、日本でもこれから人気が出るかもしれません。走りっぷりを見ると、父と同じく前肢をたぐっているので、本質的にはダートのほうがいいかもしれません。仮に芝で頭打ちになってもダートに転じればそれなりに稼げそうです。

■土曜札幌5Rの新馬戦(芝1200m)は、2番手追走の★ジャーエスペランサ(7番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Con8dx7NYSQ

稽古は平凡、人気はありませんでしたが、配合がおもしろいので★を打ちました。早い話が Kingmambo≒Candarli 2×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106773/

     ┌ Mr.Prospector
Kingmambo ┤
     └ Miesque(=Bravemie)

       ┌ Mr.Prospector
     ┌〇┘
Candarli ┤
     └ Bravemie(=Miesque)

雨で渋った洋芝コースはパワー必須。レースは1分12秒1という遅い決着となりました。これが良かったのでしょう。

6月1日のエントリー「Nureyev≒Sadler's Wells は道悪で花開く」に、この配合を持つキングカメハメハ産駒は道悪が上手い、ということを書きました。本馬の「Kingmambo≒Candarli 2×2」はその延長線上にあるので、道悪適性が高かったものと思われます。Thong=Ridan 6×4・6・6はエルコンドルパサーを彷彿させます。エルコンドルパサーは不良馬場の凱旋門賞で2着となりました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/nureyevsadlers--cfdc.html

ジャーエスペランサの今後の課題は、良馬場のスピード競馬に対応できるかどうかでしょう。

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2011年9月 6日 (火)

小倉2歳Sはエピセアローム

01年から昨年まで、小倉2歳S(G3)は10年連続良馬場で行われてきて、前半3ハロンの平均通過タイムは33秒3でした。今年は台風の影響で馬場発表は稍重。にもかかわらず、33秒4で通過しているのですからハイペースでした。

先に行った馬はペースがきつかったことに加え、外差しの馬場になっていたこともあり踏ん張りきれず。中団から後方に待機していた馬たちが差し込んで上位を占めました。
http://www.youtube.com/watch?v=h3loU7w-dcY

△エピセアローム(2番人気)の勝因は、展開だの馬場だのといった次元ではなく、見てのとおり1頭だけ図抜けていた能力です。前走の未勝利戦(芝1600m)は尋常ではない強さでした。今回は2ハロンの距離短縮、控える競馬など、越えるべきいくつかのハードルがありましたが、コーナーで若さを覗かせながらもねじ伏せました。現時点における2歳牝馬ナンバーワンです。浜中騎手はここ4年間で3勝ですからゲンのいいレースですね。

未勝利戦を圧勝した直後、7月26日のエントリーに以下の文章を記しました。

「エピセアロームはラターシュとエクセルサスの半妹。父ダイワメジャーは血統構成にやや硬いところが見られるので、母の父 Cozzene のような柔軟な血が入るのはいいでしょう。Cozzene は気難しいところがあり、産駒は逃げたり追い込んだりといった極端なレースで結果を残しています。今回の逃げ戦法は、馬が気分よく走れたという意味でもよかったと思います。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/

中距離血統なので1200m向きではなく、気難しい Cozzene を持つだけに、雨で緩くなった芝のキックバックを浴びたり、馬群に揉まれたり……といった際の不安があり、評価を下げてしまいましたが、ほかの馬とは地力が違っていました。脱帽です。

父ダイワメジャーは現役時代も種牡馬としても、サンデー系らしいスパッと切れるタイプではありません。現時点で〔7・16・3・52〕という成績が示すとおり詰めの甘さが目につきます。

ダイワメジャーのようなタイプの競走馬は、切れる馬の餌食となって大レースでは脇役に回るケースが多いのですが、そうはならずに数々のG1をものにしたのは、エンジンの性能がずば抜けていたからです。要するに心肺機能の強さですね。半妹ダイワスカーレットにしても苦しいと思われる場面から二枚腰、三枚腰の粘りを見せました。この血統の最大の長所でしょう。

今回のエピセアロームは勝負どころで大外を回り、距離ロスは大きかったはずですが、最後に垂れるどころかグンと突き抜けました。この頑張り、すなわち心肺機能の強さは、主に父ダイワメジャーから受け継いだものではないかと思います。

ダイワメジャー産駒に瞬発力が加われば怖いものなしです。したがって、Caro-Cozzene のようなスパッと切れる血を掛け合わせるのは好感が持てます。Halo≒Drone クロスが生じるダンシングブレーヴと相性がいいのも、父の硬さを解きほぐして瞬発力を引き出すという、配合的に望ましいベクトルに沿う部分が多いからでしょう。中距離血統なので距離が延びたほうがスムーズなレースができるはずです。

◎アイラブリリ(3番人気)は8着。ハイペースに巻き込まれたのと、騎手の談によると緩い馬場を気にしたとのことです。こんな馬場こそ得意だろうと考えたのですが、実際はそうではありませんでした。

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2011年9月 5日 (月)

新潟2歳Sはモンストール

東西の2歳重賞は、いずれも「サンデーサイレンス×ノーザンテースト」の組み合わせから成る種牡馬(アドマイヤマックスとダイメジャー)の子が勝ちました。今年のオークス馬エリンコートも同じ組み合わせのデュランダルを父に持つので、今年はこの配合の種牡馬の活躍がやけに目立ちます。

もし3ヵ月前に、モンストール(父アドマイヤマックス)とエピセアローム(父ダイワメジャー)の血統表を渡されて、新潟2歳Sと小倉2歳Sのどちらを勝ちそうですかと問われたら、たぶん現実の結果とは逆を選択していたのではないかと思います。

新潟2歳S(G3・芝1600m)を勝った△モンストール(4番人気)は、「ここまで強いとは……」というのが率直な感想です。
http://www.youtube.com/watch?v=MgogWbg-xLM

「アドマイヤマックス×デヒア」はローカル向きの軽さを感じさせる配合です。現役時代のアドマイヤマックスは、高松宮記念(G1・芝1200m)を勝ったスピード馬で、母の父デヒアはパワー型のスピードタイプ。ここに底力を与えているのは2代母イソノルーブルでしょう。91年のオークス馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101347/

イソノルーブルの父ラシアンルーブルは、「Nijinsky×Buckpasser×Princequillo」という組み合わせで、マルゼンスキーと血統構成の8分の7まで同一です。ただし、マルゼンスキーのようなスマートさや才気はなく、硬さを帯びた重厚な血で、持続力に優れていました。帝王賞とフェブラリーHを勝ったラシアンゴールドの父でもあります。

イソノルーブルの母キティテスコは Nasrullah 3×3。こういうスピード配合の母からオークス馬を送り出したことでも、ラシアンルーブルの重厚さをご理解いただけると思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1988104640/

いまのところアドマイヤマックス産駒は大物感に欠けるものがほとんどですが、モンストールのほかにもう1頭、アドマイヤコスモス(中央転入後3連勝中)という有望株がいます。この馬の母アドマイヤラピスは、嵐山S(OP・芝3000m)を勝ちステイヤーズS(G3・芝3600m)でも2着となったステイヤー。重厚な血が入ると大物感を醸し出すという、素直なタイプの種牡馬なのかもしれません。モンストールの場合、前述のとおりオークス馬イソノルーブルが底力のバックボーンになっているものと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101630/

モンストールの配合的なキーポイントとしてもうひとつ注目したいのは、母の父デヒアです。今回あらためて調べてみて気づいたのですが、母の父として非常に優れています。デヒア産駒は一本調子のダート馬が多く、ローカルのダート短距離、同1700mあたりで稼ぐようなタイプがほとんどでした。仮に自分が牧場を持っているとしたら、できれば入れたくないと感じるような血です。しかし、そうしたイメージは単なる先入観に過ぎません。8月終了時点で母の父としては連対率20.7%(497戦103連対)。この数値は立派の一語です。母の父として20%を超えてくるのは文句なしの一流です。

ある程度頭数が走っていてこれより上の数値を出しているのは、フレンチデピュティ(23.3%)とエンドスウィープ(22.0%)ぐらい。サンデーサイレンスは18.3%、ノーザンテーストは17.4%、トニービンは17.0%、マルゼンスキーは16.6%、トウショウボーイは15.5%です。

JRAで出走した「母の父デヒア」50頭中、社台系の牧場が生産した馬はわずか2頭。ほとんどが日高の生産馬でありながらこれだけの成績を挙げているのですから優秀という以外にありません。このほか海外でも、米最優秀スプリンターに輝いた Midnight Lute(07、08年ブリーダーズCスプリント)を出しています。
http://www.pedigreequery.com/midnight+lute

デヒアの父 Deputy Minister は母の父として定評があり、自身も07年に北米でリーディングブルードメアサイアー(母の父の種牡馬チャンピオン)に輝いています。また、前出のフレンチデピュティも Deputy Minister の息子です。アパパネの母の父 Salt Lake も一見大物感に欠けるのですが、これも Deputy Minister の子ですから、母の父として特別なものを伝えている可能性があります。

モンストールが反応よく先に抜け出し、ジャスタウェイの追撃を抑えたシーンは、アパパネがブエナビスタを破って優勝したヴィクトリアマイル(G1)に似ていると感じました。

新潟の外回りコースは直線の長い特殊なコースなので、32秒7という速い上がりで勝ったといっても、瞬発力タイプと決め付けることはできません。モンストールは、加速に優れているのは確かですが、本質的にはスピードの持続力で勝負するタイプではないかという気がします。小回りコースにも対応できるでしょう。

◎ジャスタウェイ(1番人気)は2着。3着以下を5馬身ちぎっているのですから力は示しました。予想は△◎で馬連950円的中です(ウマニティでは連単3080円的中)。

モンストール、ジャスタウェイの2頭は、例年の新潟2歳Sの勝ち馬レベルを上回っていると思います。秋の中央開催でデビューを予定している大物たちにとっては強敵でしょう。今年の2歳戦線は相当おもしろくなりそうな予感がします。

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2011年9月 3日 (土)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(7)

ダービーダン方式で誕生した名牝 Memories of Silver は、ビヴァリーD.S(米G1・芝9.5f)、クイーンエリザベス二世チャレンジCS(米G1・芝9f)など7つの重賞を制覇。後者で樹立した1分45秒80というステークスレコードは現在も破られていません。

繁殖牝馬としても非凡な才能を示し、娘の Winter Memories(父 El Prado)は現在、アメリカの牝馬芝戦線で注目を集める存在となっています。芦毛がトレードマークの同馬はダービーダンファームの生産馬(正確にはフィリップスレーシングパートナーシップ)。2歳時の昨年はBCジュヴェナイルフィリーズターフ(G1)で2着と敗れたものの、今年に入ってからアパラチアンS(G3)、サンズポイントS(G2)、レイクジョージS(G2)と重賞3連勝。
http://www.pedigreequery.com/winter+memories

7月27日、ニューヨーク州のサラトガ競馬場で行われたレイクジョージS(米G2・芝8.5f)は、後方から大外を進出して直線で突き抜けるというモノが違うレースぶりで、まるで Zenyatta のようでした。偶然ですが両馬とも母に Roberto と Ribot の組み合わせがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=poZrlkBK0hs

通算成績は7戦5勝。圧倒的な1番人気に推された前走のレイクプラシッドS(G2)は、内に押し込められる窮屈なレースを強いられ、しかも外に出そうとするときに進路をカットされるなど、スムーズな競馬ができず4着に敗れました。これは参考外の1戦なので、次走は巻き返してくるものと思われます。

順調に行けば、秋はキーンランドのクイーンエリザベス二世チャレンジCS(米G1・芝9f)を経てチャーチルダウンズのBCフィリー&メアターフ(米G1・芝11f)でしょうか。

クイーンエリザベス二世チャレンジCSは、ダービーダンファーム生産馬やダービーダン血統ときわめて相性がよく、84年のレース創設以来、計10頭が勝っています。先に記したとおり Winter Memories の母 Memories of Silver は96年にステークスレコードで優勝しました。

87年 Graceful Darby ★
88年 Love You By Heart ★
90年 Plenty of Grace ★
93年 Tribulation ★
96年 Memories of Silver ★
97年 Ryafan ☆
00年 Collect the Cash ◆
02年 Riskaverse ◆
03年 Film Maker ◆
10年 Harmonious ◆

   ★…ダービーダン生産馬
   ☆…ダービーダン血統
   ◆…Dynaformer 産駒

Winter Memories はダービーダンファームの生産馬ですから、このレースと相性がいいはずです。

もし仮に、続くBCフィリー&メアターフに Blue Bunting(英1000ギニー、愛オークス、ヨークシャーオークス)が出てくれば、ダービーダン血統同士の決戦となります。連載の冒頭に記したように、欧州3歳最強牝馬の Blue Bunting は Dynaformer を父に持ちます。Winter Memories よりも力は相当上でしょう。ただ、Winter Memories は成長力と底力に秀でた血統で、地元の利もあります。一発があっても不思議はありません。もし対決が実現するならば、個人的に今年のブリーダーズCのなかで最も楽しみなレースとなります。(この項終わり)
http://www.pedigreequery.com/blue+bunting

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2011年9月 2日 (金)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(6)

ダービーダンファームにゆかりの深いわが国の競走馬はグラスワンダーだけではありません。現役時代にダービーを勝ち、ウオッカの父としても名高いタニノギムレットもそうです。

父ブライアンズタイムは以前ご紹介したようにダービーダンファームの生産馬です(正確にはジョン・フィリップスの母でジョン・W・ガルブレイスの娘でもあるジョディ・ガルブレイス)。

2代母タニノシーバードは、オーナーの谷水雄三氏が先代の急死によってカントリー牧場を受け継いで間もないころ、アメリカへ渡ってセリで落札した馬です。父 Sea Bird、母の父 Graustark は、いずれもダービーダンファームの繋養種牡馬。生産者はジョン・W・ガルブレイスなので、実質的にはダービーダンファームです。

父と2代母、すなわち血統の4分の3までがダービーダン血統で、同牧場の名種牡馬 Graustark を3×4でクロスさせています。あの重厚感あふれる万能型のキャラクターは、ダービーダンファームが作り上げた血統的個性を強く感じさせるものでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999100226/

Ribot は劇薬のような血で、正しい使い方をすれば素晴らしい効果を発揮します。そのかわり、使用量を守る必要があります。近い世代では単独で使ったほうがいいタイプです。強いクロスを作った場合、鈍重さ、硬さ、気性の難しさといったものを表しがちなので、決して扱いやすい血ではありません。ただし、稀にハマったときは大きな効果を発揮します。タニノギムレットはそうした稀有な例でしょう。

ブライアンズタイム、サンシャインフォーエヴァー、Dynaformer、Memories of Silver、Ryafan などは、いずれも Golden Trail の牝系から誕生しています。Roberto と Golden Trail を組み合わせると、Admiral Drake≒Roman、Flaming Swords≒Dinner Time という相似な血のクロスが生じます。
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
       │ └ Plucky Liege
Roman ――――┤   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

http://www.pedigreequery.com/flaming+swords
http://www.pedigreequery.com/dinner+time

         ┌ Man o'War
Flaming Swords ―┤ ┌ High Time
         └○┘

         ┌ High Time
Dinner Time ―――┤ ┌ Man o'War
         └○┘

これが Roberto と Golden Trail の特別な好相性の鍵ではないか、と思われます。(続く)

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月 1日 (木)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(5)

ダービーダンファームの現在のオーナーは、創業者ジョン・W・ガルブレイスの娘の息子、すなわち孫にあたるジョン・フィリップスです。生産馬や所有馬の名義は、以前からガルブレイス家やフィリップス家の個人であったり法人であったり共同所有であったり、その形態は無数のバリエーションがあります。それらを区分けするのは不毛な作業なので、ここではすべてまとめてダービーダンファームの馬とします。

Roberto と Ribot の組み合わせから誕生した名馬は、スタミナと底力に恵まれ、芝適性もありました。ダービーダンファームが作り出した名馬たちに潜む Ribot の血は、前回のエントリーでご説明した Graustark と His Majesty の全兄弟にほぼ限られます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/08/dynaformer-ec72.html

ダービーダン方式は、サンシャインフォーエヴァー、ブライアンズタイム、Dynaformer といった牡馬だけでなく、数多くの名牝をも誕生させました。たとえば、Plenty of Grace(イエローリボンS、ダイアナH)とその4分の3妹 Soaring Softly(BCフィリー&メアターフ、フラワーボウル招待H)、Memories of Silver(ビヴァリーD.S、クイーンエリザベス二世チャレンジCS)、Ryafan(仏米でG1を4勝)など。最後の Ryafan はダービーダンファームの馬ではありませんが、血統は完全にダービーダン方式です。
http://www.pedigreequery.com/plenty+of+grace
http://www.pedigreequery.com/soaring+softly
http://www.pedigreequery.com/memories+of+silver
http://www.pedigreequery.com/ryafan

Plenty of Grace と Soaring Softly の姉妹は、Roberto と Graustark を併せ持ち、Soaring のファミリーに属しています。これは日本で走ったある名馬と同じパターンです。その名はグラスワンダー。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108676/

           ┌ Roberto
         ┌○┘
グラスワンダー ―┤
         └〇┐ ┌ His Majesty(=Graustark)
           └〇┤
             └〇┐
               └ Soaring

         ┌ Roberto
         │   ┌ Graustark(=His Majesty)
Plenty of Grace ―┤ ┌〇┘
         └〇┤
           └〇┐
             └ Soaring

グラスワンダーの生産者は、「フィリップスレーシングパートナーシップ&ジョン・フィリップス」。長ったらしくわかりにくい名前ですが、「ジョン・フィリップス」はダービーダンファームの現オーナーですから、実質的にはダービーダンファームの生産馬と考えて間違いありません。

怪物グラスワンダーはダービーダン方式によって生み出されました。桁違いの排気量、スピードもスタミナも十分という美点は、Roberto と His Majesty がベースとなって形作られたものです。(続く)

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月31日 (水)

フレールジャックと4分の3同血のヴィルシーナ快勝

■日曜札幌5Rの新馬戦(芝1800m)は、好位のインを追走した◎ヴィルシーナ(1番人気)が最内から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=uD7c_uujNwQ

予想は◎▲で馬単920円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ヴィルシーナは『ディープインパクト×マキアヴェリアン』という組み合わせ。ラジオNIKKEI賞(G3)を勝ったフレールジャックと4分の3同血、というのがセールスポイント。ヘイロー3×4・5のクロスを持ち、母の父にはミスタープロスペクターが入るので、かなり素軽いタイプで新馬戦に向くのではないかと思われる。ディープインパクト産駒は芝1800mの新馬戦で連対率50%(32戦16勝)。このデータも心強い。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106264/

馬群がペースアップした3、4コーナーの中間で、一瞬置かれそうになったものの、徐々にスピードに乗って最後に間に合いました。機敏なギアチェンジができないのは腰が甘いからでしょう。体が成長してくればこうした点は解消してくるはずです。4分の3同血のフレールジャックと同じく走るフォームはいいですね。素質が開花してくれば重賞クラスでもやれるはずです。

これでディープインパクト産駒は芝1800mの新馬戦で連対率51.5%(33戦17連対)。今シーズンに限っても7戦4連対です。この条件で人気に推された馬は外せません。今週日曜日は、札幌、新潟、小倉の3場で芝1800mの新馬戦が組まれています。ここでデビューするディープインパクト産駒がいれば要注目です。

■日曜新潟5Rの新馬戦(芝1200m)は、中団を追走した▲イチオクノホシ(2番人気)が大外を回って追い上げ、1頭だけ違う脚いろで突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=VnjMJXWgBp8

ゼンノロブロイ産駒は基本的に中距離ベストで、気性的にカリカリしたところもないので、芝1200mの新馬戦でバンバン走るタイプではありません。この条件で強い勝ち方をしたのですから能力が抜けていました。

ゼンノロブロイはややアメリカ血統が強いので、しっかりとしたヨーロッパ血統を入れるのがセオリーです。本馬には Kendor、Irish River といった柔らかなフランス血統が入るのでいいですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106042/

Irish River の父 Riverman とは相性がよく、このパターンからアグネスワルツ、トレイルブレイザー、ゲームマエストロ、ミニーバローズ、ルルーシュといった馬が出ています。本馬は Kenmare を併せ持っているのでルルーシュにやや似ています。距離はもっと延びたほうがいいでしょう。減量騎手が騎乗したことによる3キロ減が効いた部分もありますが、なかなか強い内容だったので次走が楽しみです。

ゼンノロブロイ産駒は、初年度が大成功して注目を集めましたが、2年目がまったく振るわず存在感が薄れてきています。3年目はここまで4頭が勝ち上がり、先週はイチオクノホシとロゼシャンパーニュの2頭が新馬勝ちを果たしました。まずまず健闘しています。例年、夏のローカルで苦戦して9月の中央場所からエンジンが掛かってくる種牡馬なので、秋競馬に期待したいですね。この世代がダメだと崖っぷちに追い込まれてしまいます。

◎ニシノセレーノ(1番人気)は2着。予想は▲◎△で馬連840円、3連複2080円的中です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月30日 (火)

父母相似配合の母から誕生したエネアド

■土曜新潟5Rの新馬戦は、後方追走の◎エネアド(2番人気)が大外をマクって進出し、直線で鋭い決め手を発揮して快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=R88Nz656B6k

1000m通過が65秒4という超スローペース。そのため上がりが極端に速くなりました。エネアドの上がり3ハロンは32秒5。その前の1ハロンでは後方からマクって位置取りを上げているので、相当長く脚を使っています。ラスト2ハロンの10秒1-11秒1という速いラップで息が上がるどころか突き抜けているので、福永騎手のコメントどおり非凡な資質を備えていると思います。

予想は◎△▲で馬単3030円、3連単14580円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎エネアドは『ディープインパクト×フレンチデピュティ』という組み合わせ。半兄ブレイクランアウトは共同通信杯(G3)の勝ち馬。母方にフレンチデピュティを持つディープインパクト産駒にはボレアス(レパードS)、メデタシ(桜花賞-4着)などがいる。稽古時計はもうひとつ詰まってこないが、素質の高さを感じさせる配合なのでおもしろそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/

半兄ブレイクランアウトもデビュー前の動きは地味でした。競馬になると変わる血統ですね。2011-12年のPOGでは、赤本でも競馬王でもエネアドを全体の1位に推しました。母キューの鮮やかな父母相似配合に惚れ込み、繁殖牝馬としてかなりの器ではないかと感じていたからです。Smart Strike との交配でブレイクランアウト(共同通信杯)を出せるなら、さらに配合が合うと思われるディープインパクトを相手にすれば……という期待感です。

昨年11月6日のエントリー「ブレイクランアウト種牡馬入り」で以下のように記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-30d3.html

「母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。」
http://www.pedigreequery.com/queue2

簡略化して描くと以下のようになります。
http://www.pedigreequery.com/mitterand
http://www.pedigreequery.com/peroxide+princess

            ┌ Speak John(≒Stage Door Johnny)
          ┌○┤ ┌ Eight Thirty
Mitterand ―――――┤ └〇┘
          │ ┌ Bold Ruler
          └〇┘

            ┌ Bold Ruler
          ┌○┘
Peroxide Princess ―┤ ┌ Stage Door Johnny(≒Speak John)
          └〇┤   ┌ Eight Thirty
            │ ┌〇┘
            └〇┘

こうした凝縮を持つキューに、それとはアウトクロス気味となるディープインパクトを持ってくる配合は、ジグソーパズルの最後のワンピースを埋め込むようなピッタリ感があります。アウトクロス気味の配合は結果が読みづらいのですが、ディープインパクトとフレンチデピュティの相性の良さはそれまでの実績で証明されつつありました。

フレンチデピュティが抱える硬さは、ディープインパクトのトビの大きさや緩慢さを抑制する働きがあり、フットワークの回転の速さ、俊敏さといった要素を生み出しているのではないかと思います。これが「ディープインパクト×フレンチデピュティ」の好相性を支える理由の一端でしょう。母方の硬さが度を越すと、回転の速いフットワークは掻き込みの強いダート走法となり、素軽さよりもパワーが滲み出てきてボレアスとなります。

弾むようなピッチ走法から繰り出されるエネアドの瞬発力と機動力は、フレンチデピュティ牝馬のなかでも別格といえる母キューの、前述のような特別なパーソナリティに負う部分が大きいと思われます。レースでは随所に幼さを覗かせ、直線ではフラついていたように、まだまだ未完成です。次走の東京スポーツ杯2歳S(G3)まで約3ヵ月あるので、現在434キロの馬体が450キロ台まで成長してくるといいですね。

なお、父母相似配合については、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』に詳述されております。ご参考いただければと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

望田潤さんのエネアド論評は以下のとおり。「外1800mで抜群に斬れますが2000m以上の持続戦でオープン級かどうかはまだ保留」とのことです。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/e76bbc3e987b8f946bfe1df16edf9501

■土曜札幌1Rの未勝利戦は、2番手追走のスターバリオン(2番人気)が後続をグングン引き離し、大差勝ちしました。

ここまで芝で2戦して6、5着と芽が出ず、今回初めてのダートで大きな変わり身を見せました。ゴールドアリュール産駒らしい抜群のダート適性ですね。過去、2歳戦のダート1700m戦で大差勝ちした馬は、この馬を含めてたった2頭しかいません。もう1頭の名はサクセスブロッケン。のちのG1ホースです。

「ゴールドアリュール×サクラバクシンオー」は過去5頭出走して4頭が勝ち上がり、そのなかにはトップカミング(日経新春杯-2着、青葉賞-3着)が含まれています。相性がいい組み合わせといえるでしょう。母の父サクラバクシンオーは Nijinsky とニックスの関係にあり、Hyperion 色の強い血とも相性が良好です。ゴールドアリュールの母ニキーヤは双方の特徴を備えています。これが好相性の原因ではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102303/

母カネツプリンセスは Nasrullah=Rivaz≒Royal Charger 5・6×5・6・6と潜在的なスピードが感じられるので、力の要るパサパサのダートよりも脚抜きのいいダートが合っているでしょう。

2011年8月29日 (月)

キーンランドCはカレンチャン

前半3ハロンの通過タイムは33秒0。過去5回行われたキーンランドC(G3・芝1200m)で最も速かったのは06年の33秒5ですから、今年のペースがいかにキツいものであったかお分かりいただけると思います。最後の1ハロンは12秒3を要しました。ゴール前はどの馬もバテバテでしたね。

このペースをトップ集団で引っ張り、4コーナー先頭で押し切ったのが◎カレンチャン(1番人気)。他馬にマークされる立場でいちばん最初に仕掛け、追撃を振り切ったわけですから、着差はわずかながら横綱相撲といえるレースだったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=VvDkQbRFYp4

『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想は、◎△△で馬単2320円、3連単19290円的中。予想文を転載します。
http://yoso.netkeiba.com/?pid=profile&yid=266995

「◎カレンチャンは『クロフネ×トニービン』という組み合わせ。母方にトニービンを持つクロフネ産駒は成功しており、シェルズレイとブラックシェルの姉弟や、フラムドパシオン、カホマックス、ポルトフィーノなど多くの活躍馬が出ている。カレンチャンはこのパターン。

 母は「トニービン×マルゼンスキー」という組み合わせ。これはシェルズレイとブラックシェルの母の父ウイニングチケットと同じ。つまり、この姉弟とカレンチャンは血統構成がきわめてよく似ている。

 今年に入って完全に本格化しており、前走の函館スプリントS(GIII)は休み明けで気配一息にもかかわらず余裕の勝利。同じクロフネ産駒でスプリンターズS(GI)を勝ったスリープレスナイトの域に迫っている。

 さしあたって現在のスプリント界で対抗勢力となりうるのはダッシャーゴーゴーとジョーカプチーノの2頭で、今回、ジョーカプチーノとの初対決となるが、休み明けをひと叩きしたカレンチャンが状態面で大きくリードしている。今回はこちらに軍配が上がるだろう。 」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102807/

2着△ビービーガルダン(6番人気)は往年の力を取り戻しているようです。春の高松宮記念(G1)4着はフロックではありませんでした。勝ち馬に比べて展開の利があったとはいえ、久々で58キロを背負ってこの競馬ですから、得意の中山に替わる次走は怖いですね。3着△パドトロワ(4番人気)も着実に成長しています。

9着〇ジョーカプチーノ(2番人気)はテンに急がせる感じでもなかったので、休み明けで状態ひと息の今回は無理をしなかったということでしょうか。大敗をしても巻き返してくるのがこの馬のいいところなので、中間で変わってくれば見限れません。

10月2日のスプリンターズS(G1)でカレンチャンに立ちはだかる難敵は以下の2頭。

(1)ダッシャーゴーゴー
(2)Rocket Man

(1)……トップハンデを背負ってCBC賞(G2)を快勝したダッシャーゴーゴーは、同じ安田隆行厩舎の所属馬です。同厩舎にはもう1頭、北九州記念(G3)を勝ったトウカイミステリーもいるので、スプリント路線の手駒が豊富ですね。この2頭は9月11日のセントウルS(G2・芝1200m)を使って本番、というローテーションのようです。

(2)……スプリンターズSの出走馬として選定された外国馬は以下の5頭。目玉は世界最強クラスの実力を誇るロケットマン Rocket Man(シンガポール)です。
★ロケットマン(Rocket Man/シンガポール)
http://www.pedigreequery.com/rocket+man
★エクレールファストパス(Eclair Fastpass/シンガポール)
http://www.pedigreequery.com/eclair+fastpass
★グリーンバーディー(Green Birdie/香港)
http://www.pedigreequery.com/green+birdie
★ラッキーナイン(Lucky Nine/香港)
http://www.pedigreequery.com/lucky+nine
★インエグザイル(Inxile/イギリス)
http://www.pedigreequery.com/inxile
このうち、香港の Green Birdie と Lucky Nine はセントウルS(G2)にも登録があります。Rocket Man が本気でスプリンターズS狙いに来たら負かすのは容易ではありません。

もしカレンチャンがスプリンターズSを勝てば、08年のスリープレスナイト以来となる牝馬の戴冠となります。両馬ともクロフネの娘です。

どうでもいいことですが、欧米のサイトでカレンチャンが紹介されるとき、馬名の綴りは「Curren Chan」なのですが、あらためて見るとなんとなく香港人っぽい名前に見えてきます。「Chan」は中国語の苗字でいうところの「陳」で、たとえばアグネス・チャンの本名は陳美齡です。欧米ではそんなイメージで認識される可能性も……?

2011年8月28日 (日)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(4)

ジョン・W・ガルブレイスは88年7月20日に90歳で亡くなりました。欧米の競馬雑誌は大きなスペースを割いてその死を悼みました。

彼が亡くなったこの年、奇遇にもアメリカではダービーダン方式で誕生したサンシャインフォーエヴァー、ブライアンズタイム、Dynaformer の3頭が競馬シーンを賑わせています。

サンシャインフォーエヴァーとブライアンズタイムは、父が Roberto で母同士が全きょうだいですから、血統内容は同じです。Dynaformer も Roberto を父に持ち、母もほとんど似たような配合。図で見れば一目瞭然です。
http://www.pedigreequery.com/sunshine+forever
http://www.pedigreequery.com/brians+time
http://www.pedigreequery.com/dynaformer

              ┌ Roberto
サンシャインフォーエヴァー ┤ ┌ Graustark(=His Majesty)
              └〇┤
                └ Golden Trail

              ┌ Roberto
ブライアンズタイム ――――┤ ┌ Graustark(=His Majesty)
              └〇┤
                └ Golden Trail

              ┌ Roberto
Dynaformer ――――――――┤ ┌ His Majesty(=Graustark)
              └〇┤
                └〇┐
                  └ Golden Trail

同じ父を持ち、母の父が全きょうだいで、同牝系。この3頭は似通った資質を秘めています。サンシャインフォーエヴァーは88年の米芝牡馬チャンピオンに輝きました。ブライアンズタイムはフロリダダービー(G1)とペガサスH(G1)を、Dynaformer はジャージーダービー(G2)とディスカヴァリーH(G2)を勝ちました。

サンシャインフォーエヴァーとブライアンズタイムの母の父 Graustark は、現役時代アメリカで8戦7勝。唯一の黒星は、左前肢を骨折しながらハナ差の2着だった3歳春のブルーグラスSで、このレースを最後に競走生活を退いています。早期に引退したため大レースの優勝経験こそないものの、手綱を取ったブラウリオ・バエザ騎手は後にこう述懐しています。

「Buckpasser よりも強くDr.Fager よりも速かった」

彼は Buckpasser と Dr.Fager の主戦ジョッキーであり、3頭の能力を手綱から比較できる立場にありました。その彼が断言するのですから信憑性は高いといえるでしょう。無事ならばアメリカ競馬史を代表する名馬となっていたに違いありません。
http://www.pedigreequery.com/graustark

Graustark の全弟 His Majesty は、兄ほどの才能のきらめきはありませんでしたが、種牡馬として成功し、82年に米リーディングサイアーとなっています。名種牡馬デインヒルの母の父として有名です。

ダービーダンファームに繋養され、数々の一流馬を送り出した Graustark と His Majesty は、現代の血統シーンにおいてスタミナと底力の貴重な供給源となっています。(続く)

※続きは来週半ばの予定です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月27日 (土)

サンデーサイレンス2×4のレイモニが重賞勝ち

8月25日に門別競馬場で行われた2歳牝馬による重賞リリーカップ(ダ1000m)は、レイモニ(3番人気)が鮮やかに抜け出して59秒5のレコードタイムで優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=miyc1oJR3LA

父はアドマイヤグルーヴの全弟サムライハート、2代母の父はフジキセキですから、「サンデーサイレンス2×4」というクロスを持ちます。地方競馬ではありますがサンデーサイレンスのクロスを持つ初の重賞勝ち馬だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102290/

ホッカイドウ競馬ではこの配合が地味に頑張っており、モルフェソングエルが重賞で入着しているほか、モルフェマイハートも重賞出走経験があります。これだけサンデーサイレンスの血が増えてくると、重賞勝ち馬が出てくるのは時間の問題でした。いずれ中央にも現れるはずです。

レイモニは、サンデーサイレンス2×4だけでなく、Halo≒Drone≒Sir Ivor 3×4・5・5・5ですから強烈です。生産者兼馬主はオリオンファーム。2006年に開業したばかりの新しい牧場です。オーナーの大谷正嗣さんはもともとこの世界とは無縁のアウトサイダーで、現在、シンガポール在住で投資会社を経営されています。昨年夏、セレクトセールの会場で須田鷹雄さんを介してお目にかかったことがあるのですが、数語交わしただけで明晰さが伝わってくるような方でした。競馬界にどんどん新風を吹き込んでほしいですね。

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(3)

ジョン・W・ガルブレイスは、史上初めてケンタッキーダービーと英ダービーを制覇したオーナーブリーダーです。

ケンタッキーダービーはシャトーゲイと Proud Clarion で、英ダービーは Roberto で制しています。
http://www.pedigreequery.com/chateaugay
http://www.pedigreequery.com/proud+clarion

ガルブレイスは、彼の牧場のスタッドマネージャーであるオリン・ジェントリーに生産馬の配合デザインを一任していました。ですから、ダービーダンファームが生み出した名馬は、すべてオリン・ジェントリーが配合したものです。

伝説的な配合研究家である彼は、ダービーダンファームに雇われる以前、アイドルアワーストックファームで働いていた時代に、La Troienne のファミリーを育てました。現代アメリカ血統の基礎はオリン・ジェントリーが築き上げたといっても過言ではありません。

Roberto は Royal Charger≒Nasrullah 3×3、Sir Gallahad=Bull Dog 4×4・6、Blue Larkspur 4×4という父母相似配合の傑作で、オリン・ジェントリーは驚くべきことに、母 Bramalea が生まれる以前からこの配合をイメージしていた、と語っています。スタミナと底力に秀でたフランス産の Sardanapale をベースに母 Bramalea を作り、その主要部分をクロスさせて父母相似配合を作りたい、という大きな方針にしたがって、現実の材料を選択して行ったということでしょう。
http://www.pedigreequery.com/roberto

Roberto は72年の英ダービー(G1)を制したほか、同年夏のベンソン&ヘッジズゴールドC(英G1)では、それまで15戦負け知らずだった Brigadier Gerard に初めて土をつけてレコード勝ちを収めました。ムラ馬ではありましたがハマったときは強く、スピード、スタミナ、底力、いずれにおいてもハイレベルなものを持っていました。馬名についてはよく知られているとおり、Roberto がダービーを勝った年の大晦日に飛行機事故で非業の死を遂げたロベルト・クレメンテ選手(メジャーリーグのピッツバーグパイレーツで活躍した名選手)に由来します。ジョン・W・ガルブレイスはピッツバーグパイレーツのオーナーでもありました。

Roberto はダービーダンファームに繋養され、種牡馬として大成功を収めます。ダービーダンファームが生産した Roberto 系の活躍馬には、かつて繋養していた Ribot の血を持つものが目立ちました。このパターンは「ダービーダン方式」とでもいうべきもので、ヨーロッパで活躍した馬をベースとしているだけにスタミナと底力に優れ、大レースに強いという特長がありました。(続く)

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月26日 (金)

中央開催で本領を発揮しそうなグランデッツァ

■日曜札幌6Rの新馬戦(芝1800m)は、中団追走の△マカハ(4番人気)が直線で鋭く抜け出し、◎グランデッツァ(2番人気)の追撃を半馬身抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=dVeVeh7IrFI

年間を通じて新馬戦を予想していると、◎を打ちたい馬が見つからずに困るレースは珍しくありません。配合的にどれも強調材料に欠け、稽古の動きも似たり寄ったりの場合、妥協を重ねて印を決めていきます。逆に、◎を打ちたい馬ばかりのレースもあります。秋の中央開催の芝中距離戦などに多いですね。

この新馬戦はまさにそのパターンでした。8頭立ての少頭数ながらどれもこれも◎を打ちたくなる好配合馬。予想の段階でかなりレベルの高い一戦ではないかと感じました。勝ち馬が強いのはもちろんですが、負けた馬も2戦目以降の未勝利戦で注目していきたいところです。

勝ったマカハはダートOPで長年頑張ったオフィサー(父 Fusaichi Pegasus)の半弟。母方に Riverman が入るキングカメハメハ産駒ですからフィフスペトル(函館2歳S)やコスモセンサー(アーリントンC)と同じです。このパターンは近い世代(2~3代目)にガツンと入らないと効果がイマイチで、4~5代目に遠ざかるとあまりいい馬が出てきません。フィフスペトル、コスモセンサー、そして本馬も Riverman は3代目に入ります。Alydar が入るので小回り適性も十分でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104366/

2着に負けたグランデッツァは、悲観的になる必要はまったくないと思います。ダッシュがつかなかったので最後方から行かざるを得ず、ヨーイドンの上がり勝負で位置取りの悪さが致命傷となりました。負けたのはそれだけのことであって、直線で見せた大きなフォームはさすがと思える迫力でした。スタートダッシュがつかなかったのはトビが大きいためでしょう。それゆえに機動力にも欠けます。明らかに広いコースや直線の長いコースが合っています。札幌の未勝利戦に出てくるようなら能力の違いで勝つでしょうが、本領を発揮するのは中央開催の芝1800~2000mだと思います。

■小倉5Rの新馬戦(芝1200m)は、△ツーオブアス(4番人気)が逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=KmvlKgtZo2o

父はフジキセキで、母チナンデガはレゼルヴォワール賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬。そして、最も注目すべきは母の父にチチカステナンゴを持つ点です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105859/

チチカステナンゴは09年から社台スタリオンステーションで種牡馬入りしています。ダイワスカーレット、キストゥヘヴン、クルーピアスター、サイレントハピネス、ダンスインザムード、ニフティハート、プロモーションなど、良血の繁殖牝馬を多数集めており、来年夏に日本における初年度産駒がデビューします。

チチカステナンゴを持つ馬が日本で走ったのはこれが初めて。いきなり勝ったので、日本の馬場への適性は高いといえるかもしれません。ただ、走りにはやや硬いところが見られ、そうした部分が道悪馬場で功を奏した部分があったように感じました。もっとも、それがすべてチチカステナンゴの特徴というわけではないでしょうから、現時点ではあまり断定的なことはいえません。良馬場での走りを見てみたいですね。

チチカステナンゴの代表産駒 Vision d'Etat(仏ダービー、プリンスオブウェールズS、ガネー賞、香港C)は、母 Uberaba の近い世代に Milan Mill、Wild Risk があります。ツーオブアスの父フジキセキも、母ミルレーサーが近い世代に Milan Mill、Wild Risk を持ちます。関係あるのかないのか分かりませんが一応指摘しておきます。
http://www.pedigreequery.com/vision+detat

◎マイネボヌール(2番人気)は序盤で後方に置かれながら大外から猛然と追い上げて2着。血統どおりの高い資質を感じさせるレースぶりでした。まともにゲートを出れば確勝でしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月25日 (木)

非凡な瞬発力を持つサウンドオブハート

■土曜新潟6Rの新馬戦(芝1400m)は、中団からゆっくりとレースを進めた◎サウンドオブハート(1番人気)が直線で4馬身突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=qCgHsEOX_f0

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎サウンドオブハートは『アグネスタキオン×カーリアン』という組み合わせで、ミネルバサウンド(準OP)、カフェラピード(ナカヤマナイトを破って未勝利戦を勝ち上がる)の半妹にあたる。母方には仕上がり早の軽快な血が集められており、新馬戦には強そうだ。水曜日の坂路でラスト1ハロン11秒4という出色のタイムをマークしており、能力はかなり高いと見ていいだろう。稽古どおりの走りができれば勝てるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103696/

半兄カフェラピードは昨年の「栗山ノート」で推奨した馬で、予想文に記したとおりナカヤマナイト(のちに共同通信杯を勝つ)を破って未勝利戦を勝ち上がりました。脚部不安でその後は出走していませんが、無事ならば重賞クラスで活躍していたはずです。

サウンドオブハートはその半妹。母シンメイミネルバはサンデー系と相性がいい血が詰め込まれているので、サンデー系であればたいていの種牡馬とフィットするはずです。ディープインパクトなどはいいでしょう。

2代母フジャブは Mr.Prospector と Danzig を併せ持つので、この馬とアグネスタキオンの組み合わせならアイアムカミノマゴやアイアムアクトレス風の配合です。本馬はその間に Caerleon を挟んでいるので、芝中距離向きの伸びやかさが感じられます。これまでに勝ち上がった2歳牝馬のなかではトップを争う素質馬。今回の瞬発力を見ると1400mよりは1600mのほうがレースをしやすいと思われるので、新潟2歳S(G3)で牡馬の骨っぽいところを相手にどれだけやれるか楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102871/

もう少し細かく配合を見ていくと、4代母 Cold Hearted は、近い世代に Mahmoud と Turn-to を持っています。
http://www.pedigreequery.com/cold+hearted

この組み合わせで真っ先に頭に思い浮かぶのは、それぞれが相似な血である Halo、Sir Ivor、Drone の3頭。配合の中核部分を Mahmoud と Turn-to が構成しており、Cold Hearted に似ています。

        ┌ Turn-to
      ┌○┘
Halo ―――┤
      └○┐ ┌ Mahmoud
        └○┘

        ┌ Turn-to
      ┌〇┘
Sir Ivor ―┤   ┌ Mahmoud
      │ ┌○┘
      └○┘

        ┌ Turn-to
      ┌〇┘
Drone ―――┤
      └○┐ ┌ Mahmoud
        └○┘

Turn-to の父 Royal Charger は、その母 Sun Princess の血統構成が Mahmoud ときわめてよく似ています。それゆえに、Mahmoud と Royal Charger(あるいはその息子 Turn-to)の結びつきは強固であり、これと似た血統パターンの血を重ねることも効果的であると考えられます。
http://www.pedigreequery.com/mahmoud
http://www.pedigreequery.com/sun+princess

        ┌ Blenheim
Mahmoud ――――┤ ┌ Gainsborough
        └○┤
          └ Mumtaz Mahal

          ┌ Gainsborough
        ┌〇┘
Sun Princess ―┤ ┌ Blenheim
        └○┤
          └ Mumtaz Mahal

たとえば、サウンドオブハートと同じアグネスタキオン産駒でいえば、ダイワスカーレットなどがそうですね。同馬の4代母 La Menina は、父が Royal Charger で、2代母の父が Mahmoud です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103198/
http://www.pedigreequery.com/la+menina

サンデー系にこうした血が入るのは、地味ながら重要なことではないかと思います。ダイワスカーレットと4分の3同血のダイワメジャーが、種牡馬として Drone を持つダンシングブレーヴと好相性(勝ち上がった5頭中2頭がダンシングブレーヴを持つ)なのも、配合構成の中核部分を Halo と La Menina の関係が担っていることの証明なのかもしれません。

■土曜札幌5Rの新馬戦(芝1200m)は、好位追走の◎アラフネ(5番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=WQSbkc_GaVM

予想を転載します。

「◎アラフネは『クロフネ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。半姉アラマサローズは短距離路線で準OPまで出世し、とくに洋芝を得意としている。「クロフネ×サンデー+ラトロワンヌ」は成功パターン。この条件は得意と思われるので勝ち負けになってもおかしくない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104441/

「クロフネ×サンデーサイレンス」の代表産駒の1頭フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティSなど重賞3勝)もこのパターンで、2代母が Raise a Native 2×3でした。本馬は2代母が Raise a Native 3×3なので似ています。フサイチリシャールの La Troienne 血脈は Francis S.、アラフネは Buckpasser です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102955/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月24日 (水)

レパードSはボレアス

日曜新潟11RのレパードS(G3・ダ1800m)は、中団追走のボレアスが差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=EI9xt6DrLH0

予想は◎〇で馬単1150円的中。『netkeiba.com』の「No.1プロ予想」に提供した予想を転載します。

「◎ボレアスは『ディープインパクト×フレンチデピュティ』という組み合わせ。2代母クロカミは府中牝馬S(G3)と京王杯オータムH(G3)を制した活躍馬だが、産駒は総じて芝向きの決め手に乏しく、ダート向きに出ている。母クロウキャニオンはその1頭で、兵庫ジュニアグランプリ(G3)で3着となった砂巧者。芝向きのディープインパクトの子ながらダート向きに出たのは母方の影響だと考えられる。母方のフレンチデピュティ、カーリアンはいずれもディープインパクトと相性良好。新潟ダート1800mは先に行った馬が有利だが、今回は逃げ先行馬がそろい、勝負どころで早めにレースが動くと思われるので、中団に控えるボレアスが不利を被ることはないだろう。前走のようにジワッとマクっていけば直線で突き抜けるはず。」

順当な勝利でした。ゴールを駆け抜けたあとの武豊騎手の笑顔が印象的でしたね。ああいう表情はG1を勝ったあとでもあまり見せたことがないような気がします。

ボレアスが初勝利を挙げた直後、昨年11月24日のエントリーで、以下のように記しました。

「京都2R未勝利戦(ダ1800m)のボレアスは、これまでにデビューしたディープインパクト産駒のなかで、最も父に似たレースぶりだったと思います。スタートで安めを売って、勝負どころで大外からマクり、直線で楽々と引き離す。まるっきり親父と同じだなぁ~と、レースを見ながら思わずニヤッとしてしまいました。勝負服まで同じです。」

大外をマクって突き抜けた今回のレースぶりは、やはりディープインパクトそっくりでした。2着以下とは能力が違っていましたね。

ディープインパクト産駒は総じて完成が遅い、ということは当ブログで再三指摘してきました。したがって、3歳夏あたりにひと皮むける馬も少なくないだろうと考えていたのですが、案の定というべきか、たとえば未勝利戦などを見ていると、デビュー当時頼りなかった馬がここにきてシャキッとして勝ち上がる、というシーンをたびたび目にします。先週終了時点で初年度産駒のJRA勝馬率はついに60%を超えました(128頭出走して77頭勝ち上がり=60.2%)。

この数値はきわめて優秀なもので、まだ多少勝ち馬が上積みされることを考えると、父サンデーサイレンスの通算成績(66.7%)とさほど変わらない水準です。11年の種牡馬ランキングベスト10のなかで、08年産の勝馬率がディープインパクトの次に高いのはマンハッタンカフェ。数値は44.8%です。ベスト10のうち5頭は30%台ですから、60%という数値がいかにずば抜けたものであるかご理解いただけると思います。

おそらくボレアスの成長力は父ディープインパクト譲りでしょう。グレープブランデーとの再戦が楽しみです。

ディープインパクト産駒のダートの勝利数は、芝のそれに比べて約10分の1なので、芝向きの種牡馬といえるでしょう。にもかかわらずダートの重賞勝ち馬を出すのですから立派の一語。弱点の少ない種牡馬です。重賞勝ち馬はこれで6頭目となりました。

今週、新潟の新馬戦(芝1600m)でデビューするエネアドという2歳馬は、ボレアスと配合構成がそっくりです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103136/

      ┌ ディープインパクト
エネアド ―┤ ┌ フレンチデピュティ
      └○┤   ┌ Nijinsky
        │ ┌〇┘
        └○┘

      ┌ ディープインパクト
ボレアス ―┤ ┌ フレンチデピュティ
      └○┤   ┌ Nijinsky
        │ ┌〇┘
        └○┘

ボレアスの母クロウキャニオンはダートを得意とし、兵庫ジュニアグランプリ(G3・ダ1400m)で3着となりました。一方、エネアドの母キューは芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬で、エネアドの半兄にはブレイクランアウト(共同通信杯)がいます。芝向きの切れ味も十分でしょう。

2011年8月23日 (火)

札幌記念はトーセンジョーダン

日曜札幌11Rの札幌記念(G2・芝2000m)は、▲トーセンジョーダン(1番人気)が貫録勝ちを収めました。
http://www.youtube.com/watch?v=SwjhGSW8q9w

配合については1月24日のエントリー「アメリカJCCはトーセンジョーダン」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-fea6.html

クラフティワイフとジャングルポケットの組み合わせはニックスで、トーセンジョーダンのほかに、カンパニー、レニングラード、バトルバニヤンなどが出ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102878/

             ┌ トニービン
           ┌○┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
トーセンジョーダン ―┤ └○┘
           └ エヴリウィスパー(=ブリリアントベリー)

             ┌ トニービン
           ┌○┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
カンパニー ―――――┤ └○┘
           └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

           ┌ トニービン
レニングラード ―――┤
           └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

トーセンジョーダンは元POG所有馬です。したがって、配合は以前から高く評価してきました。ただ、今回は放牧明けで入厩10日目、という臨戦過程だったので◎は打ちづらかったですね。これで勝つのですから格が違うということです。

配合が瓜二つのカンパニーは、長らくG2大将というポジションでしたが、8歳にしてG1を勝ちました。トーセンジョーダンは休んでいた時期が長かったのでまだ伸びシロはあるでしょう。いずれG1クラスに羽ばたく日が来るかもしれません。今年の秋にそうなることを期待したいです。

◎マイネルスターリー(6番人気)は7着。4コーナーで早々に手ごたえを失いました。もう少し頑張れると思ったのですが……。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月21日 (日)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(2)

ダービーダンファームを創設したジョン・W・ガルブレイスは、20世紀のアメリカ競馬における最も偉大なホースマンのひとりに数えられる人物です。

もともとダービーダンファームは、35年に彼の生地であるオハイオ州に作られました。不動産開発事業から得られる莫大な収入を背景に馬産事業を拡大し、40年代に入ると馬産の中心地ケンタッキーに進出。46年に名門アイドルアワーストックファームのブラッドリー大佐が亡くなると、3年後に同牧場の中核部分を購買し、ダービーダンファームと改名しました。オハイオ州にある元祖ダービーダンファームは支場として存続させています。

初期には年度代表馬の Swaps と Sword Dancer や、Sailor、Summer Tan などを種牡馬として繋養しました。やがて彼は海外に眼を向けるようになり、60年代に入ると史上最強クラスのヨーロッパの名馬 Ribot、Sea Bird を相次いでリース契約で導入。彼自身の財力もさることながら、世界最強のアメリカ経済がもたらした豊かさが、最も優秀なサラブレッドの遺伝子を新大陸に移動させたといえるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/ribot
http://www.pedigreequery.com/sea-bird

30年代以降、ヨーロッパからアメリカへ次々と優れたサラブレッドが渡りました。Nasrullah、Royal Charger、Mahmoud といったところが代表例で、これらはいずれもアガ・カーン三世殿下の名牝 Mumtaz Mahal の牝系から出ています。“空飛ぶ牝馬”と呼ばれた Mumtaz Mahal は、繁殖牝馬としてもずば抜けたスピードを伝えることに成功し、前記の3頭以外にも多くの名馬をその系統から送り出しました。アメリカ競馬はスピードが第一義ですから、当然、これらの血は大成功を収めました。
http://www.pedigreequery.com/nasrullah
http://www.pedigreequery.com/royal+charger
http://www.pedigreequery.com/mahmoud

一方、ガルブレイスが導入した Ribot と Sea Bird は、いずれも現役時代に凱旋門賞(芝2400m)を制覇しています。ヨーロッパ伝統のスタミナと底力を武器とし、産駒にもそうした特長を伝えました。スピードよりもスタミナを重視した選択の背景には、いずれ自身の生産馬でヨーロッパの大レースを勝ちたいという秘められた野望が存在していたのかもしれません。(続く)

※続きは来週半ばの予定です。

2011年8月20日 (土)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(1)

ヨークシャーオークス(英G1・芝12f)は8月18日にヨーク競馬場で行われました。「オークス」と名がつくものの3歳馬限定戦ではなく、20年前からは古馬も出走可能となっています。牝馬12ハロン路線の最強馬決定戦、といった位置づけです。

今年は4歳勢の Midday が2連覇を捨てて牡馬相手のインターナショナルS(G1)に回り、Snow Fairy が柔らかい馬場を嫌って回避したため、やや寂しいメンバー構成となってしまいました。勝ったのは1番人気の3歳馬 Blue Bunting。これで3つめのG1制覇です。
http://www.youtube.com/watch?v=gqbrPId6Wx8

今年の春、人気薄で英1000ギニー(G1・芝8f)を勝った際は、デットーリ騎手のファインプレーという印象しかありませんでした。7月の愛オークス(G1・芝12f)でスタミナを証明し、今回のヨークシャーオークスでタイトルを上積み。勝負強さが持ち味です。

父 Dynaformer もパワー十分ですが、母 Miarixa は「Linamix×Akarad」ですから道悪の鬼といえる配合。Blue Bunting の道悪巧者ぶりは主にこのあたりから受けた影響であるような気がします。
http://www.pedigreequery.com/blue+bunting

最近はヨーロッパで活躍するアメリカ産馬が減少傾向にあります。とくに12ハロン路線で通用するのは、Kingmambo、Dynaformer 産駒ぐらいでしょうか。両者とも高齢化しており、21歳の Kingmambo は昨年限りで種牡馬生活を引退しました。

しかし、26歳の Dynaformer はまだ現役バリバリです。繋養するスリーチムニーズファームが公示した11年の種付け料は15万ドル。これは A.P.Indy、Street Cry と並んで全米トップの価格です。22歳時の種付けで誕生した現3歳世代から、Blue Bunting のほかに White Moonstone(フィリーズマイル-英G1)、Brilliant Speed(ブルーグラスS-米G1)を送り出しており、老いてなお衰えない活力は瞠目すべきものです。

Dynaformer はアメリカで繋養されているので、アメリカ血統を持つ繁殖牝馬との交配が多く、これまでにビッグレースを勝った大物は、無敗でケンタッキーダービーを制した Barbaro を筆頭に、Mr.Prospector などのアメリカ血統を持つものがほとんどです。Blue Bunting の母はヨーロッパ血統で固められているので珍しいタイプといえるでしょう。(続く)
http://www.pedigreequery.com/barbaro4

2011年8月18日 (木)

器用さと瞬発力あり、ベストディール

日曜札幌6Rの新馬戦は、2番手追走の◎ベストディール(2番人気)が残り1ハロンで抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=y1gI9REYKpQ

予想は◎△△で馬単2430円、3連単7170円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ベストディールは『ディープインパクト×マルシャンドサブル』という組み合わせで、母コマーサントはEPテイラーS(加G1)、プシケ賞(仏G3)などを勝った芝の中距離馬。ディープインパクト産駒は芝1800mの新馬戦で連対率50%(30戦15連対)と圧倒的な成績を挙げている。稽古でもしっかり時計が出ているので好走できるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105792/

国枝栄厩舎と蛯名正義騎手のコンビといえば牝馬三冠馬アパパネを思い出します。このコンビの新馬戦は信頼でき、とくに芝新馬戦では過去57.7%という驚異的な連対率(26戦15連対)。国枝調教師が芝新馬戦で蛯名騎手を乗せてきたときには勝負気配と見て間違いありません。

半姉アイアムノココロ(父フジキセキ)は抜群の好馬体を誇りながら体質が弱く、3歳の3月にようやく初出走に漕ぎ着けました。全姉ウィッシュも調教セール出身馬ながらデビューはやはり3歳の3月。上2頭はデビューを果たすまでにモタついたので、2歳夏に新馬勝ちを果たした本馬は、それらと違って素質面でハイレベルなものを持っているような気がします。道中のラップは緩んだものの、最後の2ハロンは11秒6-11秒2。いい切れ味を持っています。

全姉ウィッシュが戦績的にイマイチ(現在6戦未勝利)なので、現役時代に2着の山を築いた母の父 Marchand de Sable や、鈍重さを帯びた2代母の父 Tropular あたりの影響が出ているのかと考え、デビュー前の配合評価では高いポイントは与えなかったのですが、Borealis≒Sirrima 6×5はなかなかおもしろく、本馬にはこの影響がうまく表れたのかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/borealis
http://www.pedigreequery.com/sirrima

      ┌ Brumeux
Borealis ―┤ ┌ Hyperion
      └○┤ 
        └ Rose Red(=Sweet Lavender)

      ┌ Hyperion
Sirrima ――┤ ┌ Brumeux
      └○┤
        └〇┐
          └ Sweet Lavender(=Rose Red)

母方はスタミナ豊富なので、気性的な問題さえなければ2000m以上で本領を発揮していくタイプになるかもしれません。スタートのセンスがいいのは姉と同じ。ディープインパクト産駒はこの点に不安を抱えた馬が少なくないので好感が持てます。好位でソツなく競馬を運べる器用さは大きなアドバンテージです。

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2011年8月17日 (水)

決め手あるゴールデンムーン

土曜小倉5Rの新馬戦(芝1200m)は、中団追走の△ゴールデンムーン(3番人気)が外から伸び、ゴール直前で◎ビキニブロンド(1番人気)をキッチリとらえました。
http://www.youtube.com/watch?v=lfQ9FoKoWOc

4コーナー手前で前が狭くなり、武豊騎手が手綱を引くシーンがあったので、着差以上に強い内容だったと思います。決め手がありますね。父アドマイヤムーンにはサンデーサイレンスが入っており、サンデーの最大の長所である瞬発力を無難に伝えています。手堅いスピードに加えてピリッとした決め手を持っていることが成功の要因でしょう。あとは底力がどの程度あるか、という点ですね。

ゴールデンムーンは半兄にトップオブワールド(ユニコーンS)がいます。母トップサンキストは北九州記念(G3・芝1800m)の2着馬。Flower Bowl≒Swaps≒チャイナロック4・5×3をベースとした力強い配合で、トップオブワールドの場合、父シャンハイもパワー型なのでダート重賞を制しました。ゴールデンムーンは芝で切れる脚を使えます。これは父アドマイヤムーンの特長を反映したものでしょう。今回の競馬を見ると距離が延びても問題なく、レースぶりから受ける印象以上に底力があるタイプだと思います。昇級しても楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105875/

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2011年8月16日 (火)

完成度が高いオメガホームラン

土曜札幌5Rの新馬戦(芝1500m)は、好位追走の◎オメガホームラン(1番人気)が直線で外から差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=HacK0P2x9kI

予想は◎△▲で馬単2920円、3連単13190円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎オメガホームランは『ダイワメジャー×ハイエストオナー』という組み合わせ。半兄ステージプレゼンスはきさらぎ賞3着、同じく半兄のルルーシュは3戦2勝と走っている。母は仏G1で2着と、もともとのポテンシャルが高い上に、ダンシングブレーヴを抱えているので、それとニックスの関係にあるサンデー系との交配はコンスタントに良駒を送り出せる。稽古の動きは良好なので勝ち負けになるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105856/

馬体はコロッとして幅があります。重心の低いシャープなフットワークはこの時期の2歳馬としては完成度が高いですね。これといって骨っぽい相手がいなかったメンバー構成を考慮しても、高く評価すべきだろうと思います。

父ダイワメジャーは今年の新種牡馬。ファーストシーズンサイアーランキングではアドマイヤムーンの5勝に次ぐ4勝を挙げています。2着が12回なので決め手がイマイチ、という指摘は現時点ではその通りでしょう。馬が成長したり、あるいは距離が延びれば解消する可能性はあります。未勝利戦に回っている2着組はいずれ勝ち上がりますし、アドマイヤムーン産駒の出走回数は24、ダイワメジャー産駒は倍以上の53なので、出走頭数の違いでダイワメジャーがいずれトップに立つはずです。

数の力に頼っている、と言われないためには内容が伴う必要があります。幸いにも勝ち上がった産駒は粒ぞろいで、ほかにダローネガ、エピセアロームなどがいます。トップクラスの層の厚さでは、ファインチョイスを擁するアドマイヤムーン産駒に負けていません。これから秋にかけて、特別や重賞でダイワメジャー産駒が上位争いをするシーンが増えるのではないでしょうか。繁殖牝馬に恵まれた種牡馬は、たいてい秋の中央場所に戻ってからが強いですね。

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2011年8月15日 (月)

クイーンSはアヴェンチュラ

良馬場とはいえ激しい雨が叩きつけるコンディション。ペースは速く、前半4ハロン46秒7は、過去10年間で3番目に速いペースでした。先行馬は総崩れとなり、勝った◎アヴェンチュラ(1番人気)よりも前にポジションを取った馬は掲示板にも載れませんでした。
http://www.youtube.com/watch?v=VBF9nkVb5NY

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想を転載します。

「◎アヴェンチュラは『ジャングルポケット×サンデーサイレンス』という組み合わせ。全兄フサイチホウオーはラジオNIKKEI杯2歳S(G3)など3つの重賞を制し、全姉トールポピーはオークス(G1)と阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)の勝ち馬。「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」はニックスで、フサイチホウオーとトールポピーのほかに、ジャガーメイル、アプリコットフィズ、トーセンキャプテンといった活躍馬が出ている。ホーンビーム≒サンセット4×5を持つ名配合で、パワー兼備のタイプだけに洋芝は合う。もともとG1クラスの素質馬と評価されてきた馬であり、休み明けで準OPを制した前走のレース結果は順当といえるもの。叩き2戦目、引き続き52キロなら勝ち負けになる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103078/

配合的には高く評価している馬です。上が走っているからアヴェンチュラを褒めているわけではありません。この全兄弟が初めて登場した06-07年のPOGで、全兄フサイチホウオーを全体の1位に指名しました。この年のジャングルポケット産駒は初年度。能力を把握しづらい新種牡馬の子を1位指名にすることはリスクが大きいのですが、それでも指名リストのトップに置いたのは、もちろん配合が優れていると感じたからです。予想文にも書いたとおり配合のキーポイントは Hornbeam≒Sunset 4×5。これが底力の源泉です。
http://www.pedigreequery.com/hornbeam
http://www.pedigreequery.com/sunset3

      ┌ Hyperion
Hornbeam ―┤
      └○┐ ┌ Bois Roussel
        └○┤
          └ Point Duty

      ┌ Hyperion
Sunset ――┤ ┌ Bois Roussel
      └○┤
        └ Point Duty

こうした血は、瞬発力よりも粘りといった方向に開花しやすく、フサイチホウオー、トールポピー、アヴェンチュラの3頭は、いずれも一瞬の切れ味には乏しいものの、長くいい脚を使えて粘りがあるというタイプです。ハイペースの粘り勝負となった今回は、アヴェンチュラ向きのレースでした。京都内回りの芝2000mで行われる秋華賞(G1・芝2000m)は、そんなレースになりやすいので好走可能だと思います。

2着コスモネモシン(10番人気)は狙いづらい馬で、買いどころが難しいですね。残念ながら無印だったので予想は不的中となりました。今回は展開が向いた部分もありました。

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2011年8月13日 (土)

兵庫のオオエライジンが大井の黒潮盃出走

8月16日(火)に大井競馬場で黒潮盃(SII・ダ1800m)が行われます。98年までは羽田盃トライアルとして4月に行われていましたが、翌年から8月に移動し、04年からは全国交流競走に生まれ変わりました。中央馬の出走権はなく、地方競馬のみの交流重賞です。

今年の注目馬は兵庫から遠征してくるオオエライジン(父キングヘイロー)。ここまで7戦全勝という成績です。2月26日のエントリー「ボールドスマッシュ2勝目」で一度取り上げたことがあります。当時は5戦全勝でしたが、その後、一般戦を勝ち、大一番の兵庫ダービーでは宿敵ホクセツサンデーに7馬身差をつけて悠々と逃げ切りを収めました。兵庫ダービーの前には右前肢の骨膜炎で3ヵ月のブランクがあったのですが、力の違いを見せつけました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-cfc1.html

前記のエントリーからオオエライジンの血統解説を転載します。

「2代母フシミラッキーは道営の北海優駿を制した名牝。父がキングヘイローで母方にブレイヴェストローマンを持つのでキクノアロー(ダイオライト記念)と似ている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102256/

04年以降の7年間で、南関東以外の馬が勝ったのは07年のマルヨフェニックス(笠松)のみ。JRAにマルカフェニックスという馬がいますが、もちろん別馬です。マルヨはそれ以前に園田に遠征したり、黒潮盃の前には大井のジャパンダートダービーを使うなど遠征慣れしていました。

オオエライジンの場合、デビュー以来一度も園田から出たことがありません。長距離輸送も初めてなら、園田以外の競馬場に滞在した経験もなし。マルヨフェニックスと違うのはこの点です。

また、前走後順調さを欠いたことも気になります。7月13日のジャパンダートダービーを登録だけにとどめ、7月19日の地元戦に出走するはずだったのですが、熱発で除外となるアクシデント。それからまだ1ヵ月も経っていないので、ベストコンディションで臨めるかどうか微妙なところです。

逆にいえば、これだけの逆風を克服すれば、オオエライジンはかなりの大物ということになります。どんな走りを見せてくれるのか興味津々です。

迎え撃つ大井勢の1頭、ラカンパーナ(東京プリンセス-3着、東京2歳優駿牝馬-4着)は、先日のテイエム牧場門別育成場の火災で死亡したテイエムサンサンの半姉。ここは弔い合戦となります。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月12日 (金)

Kaldoun の素軽さでハッシュドトーンV

日曜新潟5Rの新馬戦(芝1800m)は、▲ハッシュドトーン(2番人気)が好位から伸びて競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=chKYsQfXMqE

マンハッタンカフェにはいくつかの成功パターンがあります。「マンハッタンカフェ整理整頓(1)~(5)」というエントリーで代表的なものを取り上げたことがあるのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-ec5e.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-f22f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-889f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-fb5f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-6154.html

ハッシュドトーンはそのどれにも当てはまりません。とはいえ、素軽い中距離向きの配合としては悪くなく、母の父が Caro 系なので平坦コースに対する適性も高いでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105893/

母の父 Kaldoun は現役時代にこれといって目立つ戦績を残したわけではありませんが、種牡馬として成功し、ついには仏リーディングサイアーに上り詰めた叩き上げタイプ。日本に入ったチチカステナンゴの2代父、といったほうが分かりやすいかもしれません。トップコート(中京記念)の父として知られるカラードの甥でもあります。Relic 4×4があるせいかアメリカ血統のような仕上がりの早さとスピードを伝え、産駒のほとんどが1800m以下の短い距離で結果を出しました。
http://www.pedigreequery.com/kaldoun

JRAでは5頭しか出走しませんでしたが、そのなかからシンボリフェザード(セントウルS-3着、東京新聞杯-3着)、ウィニンストリーク(4勝)などが出ているので優秀です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993110092/

マンハッタンカフェは素軽い Nasrullah 系のスピード血脈、たとえばサクラユタカオー牝馬あたりとは好結果を残しています。配合のイメージとしてはそれに近いですね。今回はスローの上がり勝負で、人気薄の逃げ馬が2着に粘る展開。4番手追走の積極策が功を奏しました。

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2011年8月11日 (木)

サクラユタカオーと Caro

日曜小倉5Rの新馬戦(芝1200m)は、△マコトリヴァーサル(1番人気)が主導権を奪い、直線で後続を5馬身突き放しました。
http://www.youtube.com/watch?v=w19Y_KRm9dM

芝の新馬戦に向いているとはいえないタヤスツヨシ産駒だけに、稽古の動きがいいといっても重い印を打つ気にはなれなかったのですが、走りっぷりを見ると野性味のあるサクラバクシンオー産駒といった感じで、母方の影響(母の父がサクラバクシンオー)が見て取れます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100104/

タヤスツヨシは2代母に La Troienne 血脈の凝縮(Busanda≒Better Self 2×2)がある Magic を持つので、ここを強化する配合はカネトシツヨシオー、ディーエスサンダー、マンオブパーサー、マルタカハーモニー、カレイジャスミンなど結果を残しています。マコトリヴァーサルは、Busanda=Blue Eyed Momo 5×6なので、Magic の構成要素をしっかり継続しています。
http://www.pedigreequery.com/magic

ただ、もう一点指摘しておきたいのは、サクラバクシンオーの父サクラユタカオーと Caro の関係。サクラユタカオーは、Inquisition≒ユアハイネス3×3で、これが配合構成のひとつの核となっています。Caro の母 Chambord はそれらと相似な血の関係にあるので(とくにユアハイネスとは母方の奥までよく似ています)、Chambord≒Inquisition≒ユアハイネス4×6・6となります。
http://www.pedigreequery.com/chambord
http://www.pedigreequery.com/your+highness2
http://www.pedigreequery.com/inquisition

               ┌ Precipitation(≒Jury)
       ┌ Chamossaire ┘
Chambord ――┤ ┌ Solario
       └○┘

               ┌ Precipitation(≒Jury)
       ┌ Chamossaire ┘
ユアハイネス ┤ ┌ Solario
       └○┘

         ┌ Solario
       ┌〇┘
Inquisition ―┤
       └ Jury(≒Precipitation)

  ※Precipitation と Jury は「Hurry On×Bachelor's Double」

母方に Caro を持つサクラユタカオー産駒は、2頭しか出走歴がないものの、キシュウファンタジ(6勝)、ドラゴンマーテル(3勝)といずれも走ったので、このクロスの効果はあると思います。

タヤスツヨシ産駒ということで芝新馬戦では重い印を打てなかったのですが、得意とはいえない条件でこの勝ちっぷりですから、器が大きいということでしょう。配合構成が優れているのでちょっと注目してみたい馬ですね。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は△◎★で馬連280円、3連複2100円的中。◎メイショウハガクレ(2番人気)は若さを覗かせながら2着を確保しました。昨日のエントリーで取り上げた芝1200mの新馬戦に強いジャングルポケット産駒です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月10日 (水)

芝1200mの新馬戦に強いジャングルポケット産駒

■土曜新潟5Rの新馬戦(芝1200m)は、◎フィロパトール(1番人気)が楽々と逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=sDXIDUJZs1Q

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎△★で馬単760円、3連単3710円的中。予想文を転載します。

「◎フィロパトールは『ジャングルポケット×ワイルドアゲイン』という組み合わせ。父ジャングルポケットは芝1200mの新馬戦で連対率30.6%という高い実績を誇る。母ワイルドリリーはパワフルなワイルドアゲインの娘なので、短距離のダッシュ力も十分だろう。稽古の良さをそのままレースで出せれば結果はついてくるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100977/

ジャングルポケット産駒がデビューした当初は、芝新馬戦で振るわず、ダート新馬戦のほうが成績的に上だったのですが、ここ2~3年に限れば両者の地位は逆転しており、芝新馬戦のほうが馬券になります。その原動力となっているのが短距離戦で、予想文にも記したとおり、とくに芝1200mでは優秀な成績を挙げています。先週もフィロパトールのほかに日曜小倉5Rの新馬戦(芝1200m)でメイショウハガクレが2着と好走。この条件のジャングルポケット産駒はお金になります。

周知のとおりジャングルポケット産駒は中長距離を得意としていますが、それは要するにスタミナに支えられた優秀な持続力を備えているということ。そして、短距離をワンペースで力いっぱい駆け抜けるのも持続力です。

スタミナ型の種牡馬から短距離馬が出る例は珍しくなく、リボッコの子のサニーフラワーや、グリーングラスの子のトシグリーンなど、枚挙にいとまがありません。スピード血統を掛け合わせて持続力のベクトルを変え、なおかつ前向きな気性が備わっていれば、こうしたタイプが生まれることがあります。
http://old.db.netkeiba.com/horse/ped/1975105758/
http://old.db.netkeiba.com/horse/ped/1987103573/

スピードを注入したジャングルポケット産駒は、そんなわけで短距離の新馬戦を得意としています。これで芝1200mの新馬戦では連対率33.3%、単勝回収率153%。この条件は馬券になります。

■土曜小倉6Rの新馬戦(芝1200m)は、△ニコールバローズ(3番人気)が最内の狭いところを抜け出し、後続の追撃を抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=AH4M_pOFGpI

「ゼンノロブロイ×フレンチデピュティ」という組み合わせ。これはアニメイトバイオ(ローズS)と同じ。「母の父フレンチデピュティ」は成績が優れており、サンデー系との相性も良好です。ゼンノロブロイとの組み合わせはまだサンプルが少ないものの、そのなかからアニメイトバイオが出ているので悪くないでしょう。母方の奥にミルジョージ、コインドシルバーといった難しい血が入っているので、気性面のケアがこれからの課題となるかもしれません。距離延長の成否はこのあたりのファクターが鍵となるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104381/

2011年8月 9日 (火)

ダリア賞はエイシンキンチェム

土曜新潟9Rのダリア賞(芝1400m)は、◎エイシンキンチェム(1番人気)が後方から徐々に進出し、直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=A4_nf7N9GwA

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎△▲で馬単1300円、3連単10880円的中。予想文を転載します。

「◎エイシンキンチェムは『フジキセキ×ミスターグリーリー』という組み合わせ。父フジキセキはミスタープロスペクター系の血と相性がいい。初戦はラストを流したため後続と2馬身半差だが、まともに追っていれば大差で勝っていたと思われる。マイディアガール=トレジャーチェスト5×4という鮮やかな全きょうだいクロスを持っており、素質の高さはかなりのもの。このメンバー相手でも押し切れる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100946/

初戦は2番手を追走しましたが、先々のことを考えたのか今回は後方に控える競馬。最後は△レオアクティブ(4番人気)に差を詰められましたが、これは鞍上の福永騎手が認めているように早めに動きすぎたためでしょう。力の違いは見せたと思います。

母の父が早熟な Mr.Greeley なので、2歳戦でガンガン稼ぎたいタイプ。ダリア賞の勝ち馬はその後パッとしないことが多く、01年以降の10年間、年末までにさらに勝利を上積みしたのはマイネルレコルトとマイネルレーニアの2頭のみ。エイシンキンチェムはこの壁に挑みます。持ち味が活きるのは1200~1400mではないでしょうか。1600mで溜めて切れるタイプを相手にするとややつらいような気もします。

7月15日のエントリー「勝ちっぷりも配合も良好、エイシンキンチェム」でも触れておりますのでご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-4b0e.html

2011年8月 8日 (月)

函館2歳Sはファインチョイス

02年以降、函館2歳S(G3・芝1200m)では牝馬が必ず連対しており、03年と07年は1、2着独占でした。そして今年も牝馬のワンツーフィニッシュ。牝馬の出走馬はわずか4頭だったので強いというしかありません。この10年間に連対した20頭中13頭が牝馬です。

勝った○ファインチョイス(2番人気)は好位から危なげのない競馬で抜け出しました。3着は外から差した▲アイムユアーズ(5番人気)。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は○▲で馬連2610円的中です。
http://www.youtube.com/watch?v=FvwYdqejSe4

配合に関しては7月27日のエントリー「ファンタジーSあたりに向きそうなファインチョイス」をご覧ください。クラシックを勝つような底力は感じられませんが、軽快なスピードがモノをいう2歳戦では強そうです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-d911.html

父アドマイヤムーンは新種牡馬。先週はこのほか土曜新潟のダリア賞(2歳OP)でレオアクティブが2着となりました。現時点では申し分のない滑り出しです。このあたりは新種牡馬の勝ち上がり頭数の新記録(当時)を樹立した父エンドスウィープの影響なのかもしれません。仕上がりが早く2歳戦に強い、という特長は商業的なセールスポイントとしても大きく、9月のサマーセールや10月のオータムセールでは産駒の価格が違ってくるでしょうし、来春は種付け希望が殺到するでしょう。

この時期に活躍すると、早熟タイプで成長力が乏しいのではないか、という疑念が持たれやすいのは事実です。アドマイヤムーン自身は、2歳時に重賞を勝ったあと、3歳でも重賞を勝ち、4歳で本格化しました。まだデビューを待つ有望馬がたくさんいるので、それらがどの程度やれるのか楽しみです。

「栗山ノート」で挙げたアドマイヤムーン産駒5頭のうち、アンブロワーズの2009は骨折のため引退となったようです。サンデーサイレンスのクロスを持つ初めての活躍馬となるかも、と期待していただけに残念です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106077/

◎コスモメガトロン(1番人気)は4着。稽古の動きは惚れ惚れするもので、大きなフォームだけに1200mはやや忙しいか……という懸念はあったのですが、能力で押し切るほうに賭けました。今回は敗れましたがいいものを持っている馬だと思うので、続けて注目していきたい馬です。道中、パチャママとファインチョイスに挟まれながらの追走で、馬が嫌気を出した面があったのではないでしょうか。4コーナーで脱落したとき、単にバテたのならそのまま後退するはずですが、直線でまた盛り返しているので、メンタル面が影響を及ぼした可能性があると思います。

2011年8月 7日 (日)

フジキセキと Deputy Minister

土曜新潟メインの関越S(OP・ダ1800m)は、好位追走のミラクルレジェンド(2番人気)が外から突き抜けました。

牝馬とはいえ、すでにクイーン賞(G3・船橋ダ1800m)で重賞勝ちの経験があるので、ここでは一枚上でしたね。

ミラクルレジェンドは母方に Deputy Minister を持つフジキセキ産駒。このパターンはコンスタントに活躍馬を送り出しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102873/

代表馬はなんといってもダート路線で無敵を誇ったカネヒキリ。このほか小倉2歳S(G3)を制したデグラーティア、関東オークス(G2)の勝ち馬カラフルデイズ、ファンタジーS(G3)2着のホーマンフリップなどなど……。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100978/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109086/

Deputy Minister はダート向きのパワーが持ち味なので、「フジキセキ×Deputy Minister 系」は、芝よりもダートの成績が圧倒的に優秀です。ダート連対率は37%、1走あたりの獲得賞金額は760万円。これはきわめて優秀な数字です。芝をこなすものは1400m以下の短距離にほぼ限られます。

Deputy Minister 系といえばフレンチデピュティ-クロフネのラインが有名。これらを父に持つ繁殖牝馬はこのところ増えてきているので、フジキセキにとってはいい流れですね。このパターンからまだまだ大物を出せるでしょう。

2011年8月 5日 (金)

サクラバクシンオーのニックス配合、ヴェアデイロス

日曜小倉5Rの新馬戦(芝1200m)は、好位追走の◎ヴェアデイロス(2番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=rm-2rj2S5jk

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎〇△で馬単840円、3連単3910円的中。予想文を転載します。

「◎ヴェアデイロスは『サクラバクシンオー×サンデーサイレンス』。この組み合わせはグランプリボスやエーシンホワイティと同じで、芝新馬戦では連対率47.2%と圧倒的な成績を挙げている。サクラバクシンオー産駒は小倉の芝新馬戦を得意としているのでさらに信頼性は高い。母方にチャイナロックを持つパターンもサクラバクシンオー産駒では実績がある。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105039/

単勝1.6倍という一本被りの人気に推されながら2着に敗れた○カジキもサクラバクシンオー産駒。全国10競馬場で行われる芝新馬戦のなかで、サクラバクシンオー産駒が最も得意とするのは小倉競馬場。連対率43.1%と抜群の強さを誇ります。

予想文に記したとおり、ヴェアデイロスは新馬戦の連対率が高い「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」ですが、一方で、大物を出すことで知られる“母方にチャイナロックを持つパターン”にも属しています。シーイズトウショウ、ショウナンカンプ、サンダルフォン、ニシノシタン、ハッピーマキシマム、ラッシュライフ、ニシノチャーミーなどが出ている有力なニックスです。

サクラバクシンオーは軽快なスピードを武器としているので、母方からこれ以上スピードを補給する必要はありません。むしろ重要なのは底力を補強すること。こうした特長を備えたチャイナロックは好相性を示しています。Hyperion 系に属すチャイナロックは、スタミナ、底力、パワーを武器に、タケシバオー、ハイセイコー、アカネテンリュウ、メジロタイヨウ、ヤシマナショナルをはじめ多くの一流馬を送り出しました。チャイナロックに限らず、サクラバクシンオーは重厚な Hyperion 血脈とよく合います。
http://www.pedigreequery.com/china+rock

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2011年8月 4日 (木)

小柄でもスタミナ抜群、ヒーラ

日曜函館5Rの新馬戦(芝1800m)は、中団追走の〇ヒーラ(2番人気)が直線で早めに抜け出し、◎アーデント(1番人気)の追撃を凌ぎました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWzvdJ6bhWw

09年生まれのディープインパクト産駒の初勝利。2着も同産駒なのでワンツーフィニッシュです。昨年デビューした初年度産駒は、早期デビュー組がもうひとつだったので、今年はそれを踏まえて各陣営ともゆったり構えている印象があります。昨年の同時期は16走、今年は9走。昨年はすでに4勝を挙げていましたが、連対率を比べると、昨年の31.3%に対し今年は55.6%と上回っています。内容的には上々ですね。秋競馬からが本番です。

ヒーラは412キロしかない小柄な牝馬。しかし、母方はスタミナに恵まれ、自身にはステイヤー血統として有名な Busted 4×5というクロスを持つので、洋芝の1800m新馬戦という条件は合っていました。今春ヨーロッパで「Galileo×デインヒル」が大ブレイク(Frankel、Nathaniel、Golden Lilac など)しましたが、本馬の母セントフロンティアは「デインヒル×Sadler's Wells(Galileo の父)なのでちょっと似ています。

Danzig 系は総じて回転の速いフットワークを伝えるため、大トビのディープインパクトと相性が良好です。ヒーラにはステイヤー血統にありがちなフットワークの重さがなく、軽快な捌きが感じられるので、重賞クラスでもいいところがありそうです。本格的な切れ味勝負、時計勝負に対応できるかどうか、このあたりが今後の課題です。血統的には成長力が感じられるタイプので、もう少し馬体が増えてほしいところですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102525/

◎アーデントは2着。4コーナーで前が壁になり、行き場を探しているうちに先にヒーラが抜け出してしまいました。もったいないレースでした。今回の結果はあくまでも展開のアヤなので次走は確勝でしょう。札幌2歳Sでヒーラと再対決、ということになりそうです。

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2011年8月 3日 (水)

母方のスピードが活きたタマモオンゾウシ

■土曜新潟5Rの新馬戦(ダ1200m)は、楽に先手を奪った◎タマモオンゾウシ(1番人気)が後続に8馬身差をつけて逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=0UeMMkdCG9c

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎〇△で馬単1090円、3連単9220円的中。予想文を転載します。

「◎タマモオンゾウシは『ネオユニヴァース×アフリート』という組み合わせ。母ヒトリムスメはダート短距離で3勝を挙げた。父ネオユニヴァースは短距離向きではないが、母は「アフリート×ダンジグ」というスピード血統なので十分対応できるだろう。母方にダンジグを持つネオユニヴァース産駒にはロジユニヴァース、オールアズワンなどがいる。仕上がりも早いだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104936/

父ネオユニヴァースは素軽さやスピードといった要素に不安を抱えているので、短距離の新馬戦では馬券にならない種牡馬です。そうしたレース条件が多い2歳夏あたりはまったく存在感がありません。ただ、本馬の場合、母が「アフリート×Danzig」という配合なので、父の弱点をカバーしています。配合的にはどう見てもダート短距離ですね。

■土曜小倉6Rの新馬戦(芝1200m)は、ダッシュを利かせて先頭に立った▲シゲルシバグリ(2番人気)がそのまま逃げ切りました。予想は▲◎〇で馬連2780円、3連複1820円的中。

勝ったシゲルシバグリは「トワイニング×フジキセキ」という組み合わせで、母ケイエフキセキはメガスターダム(中京記念、ラジオたんぱ杯2歳S)の全姉です。「トワイニング×サンデー」はロードオブザダイス、フサイチアソート、ドリームガードナー、カツヨトワイニングなどが出て大成功しており、新馬戦でも優秀な成績を挙げています。母の父がサンデーからその息子フジキセキに替わっただけなので、基本的には似ような個性を持っているはずです。

2代母の父マルゼンスキーは新馬戦に強く、Mr.Prospector 系との相性も良好。この血が入るだけで配合全体が引き締まって見えますね。名血とはこういうものでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103713/

◎タイセイシュバリエ(5番人気)は2着。序盤はダッシュがつかず後方からの競馬。3コーナーからエンジンが掛かって強引にマクって最後は2着を確保。レースぶりが常識に掛かれば勝ち馬に引けをとらないでしょう。

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2011年8月 1日 (月)

小倉記念はイタリアンレッド

小倉記念(G3・芝2000m)は通常、夏に8週間行われる小倉開催の3週目に組まれています。今年は地震による開催変更の影響で開幕週に移動しました(ただし施行時期は変わらず)。馬場がいいので先行有利、という心理がジョッキーたちにあったのか、前半5ハロン通過が57秒1という超ハイペース。これで先行勢が厳しくなり、差し馬の競馬となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=sWcNAkvIja8

勝った△イタリアンレッド(4番人気)は七夕賞(G3)に続いて重賞連勝。前走から3キロ増の斤量は楽ではなかったと思いますが、過去5戦4勝の小倉実績と、上がり馬の勢いで克服してしまいました。ちなみに、前週の函館記念を制したキングトップガンも、目黒記念からの3キロ増をものともせず重賞連勝。この時期は勢い重視ですね。

イタリアンレッドはヴィクトワールピサと同じく Lorenzaccio を、ロジユニヴァースやユニバーサルバンクと同じく Lorenzaccio の息子 Ahonoora を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103026/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103095/

父ネオユニヴァースは、その母ポインテッドパスの重厚さが影響しているのか、産駒をコンスタントに走らせる素軽さ、軽快なスピード、鋭さといったものに弱みを抱えています。その部分を補うために母方からスピード血脈を取り入れることは配合の最重要ポイントです。

Lorenzaccio-Ahonoora-Indian Ridge のラインは、ネオユニヴァースの鈍重さを解消させる血として有効なのでしょう。ちなみに、Lorenzaccio は名馬 Nijinsky が競走馬時代に先着を許した2頭のうちの1頭です(もう1頭は Sassafras)。

◎コスモファントム(3番人気)は14着。超ハイペースに巻き込まれて4コーナーでは手応えがありませんでした。ただ、似たような位置取りのリクエストソングが3着に粘っているので、ちょっと負けすぎかなという気もします。

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2011年7月31日 (日)

Midday がナッソーS3連覇達成

イギリスにおける牝馬の中距離最強馬決定戦・ナッソーS(英G1・芝9f192yds)は、3連覇を懸けて出走した Midday(1番人気)が豪快に抜け出し、昨年のエリザベス女王杯の勝ち馬 Snow Fairy(2番人気)に2馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=5HlWr3AF99w

馬主、調教師、騎手は Frankel と同じ。同一G1の3連覇は、ここ最近では Goldikova がロートシルト賞、ブリーダーズCマイルで達成しており、少し前にはアスコットゴールドCで Yeats が4連覇しています。ちなみに Goldikova は7月31日のロートシルト賞で4連覇に挑みます。

Midday の父 Oasis Dream は Green Desert 系の新進種牡馬。昨年の英愛サイアーランキングでは第4位となっています。Oasis Dream 自身はカルティエ賞最優秀スプリンターに選ばれた快速馬だったので、産駒は仕上がり早のスピードタイプが多いのですが、Midday のように母方にスタミナ血統を入れれば中距離にも対応可能です。Oasis Dream は Sir Ivor≒Drone 3×4を持つので、サンデー系と交配してみたいですね(サンデーサイレンスの父 Halo は Sir Ivor、Drone と相似な血)。
http://www.pedigreequery.com/midday8

Midday はこれで6つめのG1制覇。3歳以降、16戦して一度も3着を外していないという抜群の安定感を誇ります。このあとはフランス→アメリカというローテーションでしょうか。

ナッソーSのひとつ前のサマーSで、ライアン・ムーア騎手が落馬して上腕と親指を骨折し、今季の騎乗が絶望的とのことです。冬期の日本における騎乗もなくなったとみていいでしょう。

2011年7月29日 (金)

平坦コース向きメイショウグラハム

日曜新潟5Rの新馬戦(芝1800m)は、○メイショウグラハム(1番人気)が3番手追走から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=tWMHAEfs2fw

稽古の良さが買われて一本かぶりの人気(単勝1.8倍)。仕上がりの良さをそのまま活かした勝利です。

母の父 Capote は一昨日のエントリーで取り上げたファインチョイスにも含まれています。Capote は現役時代にブリーダーズCジュヴェナイル(G1)を制し、米2歳牡馬チャンピオンに輝きました。その半兄 Exceller は欧米でG1を計11勝した名馬で、とくに Seattle Slew を一騎打ちの末に破った78年のジョッキークラブGC(米G1・ダ12f)は、70年代におけるアメリカ屈指の名勝負として知られています。半弟 Capote は Seattle Slew 産駒。弟の父はかつてのライバル、というわけです。
http://www.youtube.com/watch?v=zZFr6N2lNY4

Capote は5代以内に Nasrullah を4本持ち、半兄 Exceller とはまったく違ったタイプの、スピードを武器とする早熟タイプとなりました。種牡馬として現役だったころは、2歳種牡馬ランキングの上位の常連で、仕上がりの早さが売りのアメリカ血統のなかでもとくにその傾向が強いタイプでした。したがってこの血を持つ馬は2歳戦が得意と考えて間違いありません。
http://www.pedigreequery.com/capote

加えてメイショウグラハムは2代母が名牝パテントリークリア。いずれも重賞を勝ったタイキフォーチュン、タイキリオン、タイキダイヤの母です。仕上がりが早く3歳春にピークを迎えてしまう血統なので、この時期のレースには向いているでしょう。メイショウグラハム自身は Raja Baba 4×5。これも仕上がり早のスピードを後押しします。

配合を見ると平坦小回り向きに思えるのですが、蛯名騎手はフットワークの大きさを指摘しているので、平坦向きではあるけれど長い直線も苦にしない、というタイプかもしれません。素軽さは満点ですが、G1クラスの底力となるとやや物足りなく映ります。

◎クラヴェジーナ(2番人気)は4着。直線に入ってから前が狭くなるシーンがありました。太めの馬体で牡馬に交じって僅差4着ですから有望です。

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2011年7月28日 (木)

サセックスSは Frankel

ゾクゾクするような物凄いレースでした。7月27日に英グッドウッド競馬場で行われたサセックスS(G1・芝8f)。3歳馬 Frankel と古馬 Canford Cliffs の一騎打ちムードから回避馬が続出し、4頭立てという少頭数。単勝オッズは前者が約1.6倍、後者が約2.8倍と両雄が拮抗する人気を集めました。

レースは予想どおり Frankel が先手を奪い、Canford Cliffs が2番手。序盤のスローペースから徐々にペースが上がり、勝負どころで Frankel が追い出しにかかると、一瞬のうちに Canford Cliffs を突き放して5馬身差で圧勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=YeUB8CgDk-w

鞍上のゴーサインが出てギアが切り替わった瞬間の凄まじい加速には痺れました。昨年春からマイルG1を5連勝中の Canford Cliffs を子供扱いするのですからケタ違いです。

前走のセントジェームズパレスS(G1)は道中で無駄に脚を使って後続に4分の3馬身差まで詰め寄られましたが、今回は鞍上がうまくなだめて脚を温存し、最後の爆発力につなげました。

6月15日のエントリー「セントジェームズパレスSは Frankel」のなかで、「Frankel の評価が急落するなら、わたしはあえて逆張りで賭けてみたいですね」と記しましたが、イギリスのファンは Frankel を1番人気に推しました。さすがですね。前走に関しては苦戦の原因がはっきりしていたので度外視する向きが多かったのでしょう。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/frankel-9c90-2.html

これで Frankel は通算8戦全勝。このあとの予定は分かりませんが、ロンシャンのムーランドロンシャン賞(G1・芝1600m)からアスコットのクイーンエリザベス2世S(G1・芝8f)でしょうか? 無難に連勝すれば欧州年度代表馬の座は確定的でしょう。

2011年7月27日 (水)

ファンタジーSあたりに向きそうなファインチョイス

土曜函館5Rの新馬戦は、2番手追走の◎ファインチョイス(2番人気)が3馬身突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=z_xwCaPSdG4

抜け出したあとは手綱を抑える余裕がありました。岩田騎手はこの馬を高く評価しているようです。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎△△で馬単1810円、3連単15350円的中。予想文を転載します。

「◎ファインチョイスは『アドマイヤムーン×タイキシャトル』という組み合わせ。父アドマイヤムーンは今年の新種牡馬で、すでに2頭の勝ち馬を送り出しており好調。母アフレタータは『タイキシャトル×カポーティ』という2歳戦向きのスピード血統なので、この条件は向くだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100612/

アドマイヤムーンはダーレー繋養のエース格ですが、社台スタリオンステーションの種牡馬ほど繁殖牝馬に恵まれているわけではないので、産駒はどの子も安定して走るというわけにはいかないでしょう。ただ、ここまでのところは勝つべきレースをしっかりモノにしており、少なくとも仕上がりの早さという面では確かなものがあると感じます。

予想文に記したとおり、母アフレタータは「タイキシャトル×Capote」ですから、仕上がりの早さと軽いスピードを伝えています。本馬は Halo 4×4。この時期の2歳戦に向いたタイプで、平坦コースも合っているでしょう。ファンタジーS(G3・京都芝1400m)あたりに向きそうなタイプです。

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2011年7月26日 (火)

大物感十分ジャスタウェイ

■土曜新潟5Rの新馬戦(芝1600m)は、好位追走のジャスタウェイ(4番人気)が5馬身差で圧勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=r0oNCLcHwpg

ハーツクライ産駒は昨年夏(6~9月)の2歳戦で、ディープインパクトを上回る成績を収め注目を集めました。その後、秋から冬にかけて失速したとはいえ、夏場の活躍はフロックではなかったと思います。今年の夏の2歳戦は〔2・0・2・4〕ですからまずまずの成績。今後しばらくハーツクライ産駒から目が離せません。

先週勝ち上がったジャスタウェイは大物感十分。これまでデビューした2歳牡馬のなかでは1、2を争う存在でしょう。スカイノダン(北九州記念-2着)の半弟で、シグナリオ(OP)の甥にあたります。

ハーツクライの配合上のキーポイントは Nothirdchance≒Revoked 4×5である、ということはたびたび述べてきました。ジャスタウェイは5代母 Blue Burst が Blue Gay≒Revoked 1×2という特殊な配合なので、ハーツクライのキーポイントを継続しています。好感が持てる配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106461/

ハーツクライの代表産駒ウインバリアシオン(青葉賞、日本ダービー-2着)は、2代母の父がバリバリのダート血統 Time for a Change。ジャスタウェイは似たようなキャラクターの Wild Again を持っています。父ハーツクライは「サンデー×トニービン」でやや上品なところがあるので、こういうパワー血統を入れたほうが配合全体がシャキっと引き締まる感じでしょうか。ちなみにウインバリアシオンも代が遠いとはいえ Revoked を継続しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103206/

■土曜京都1Rの未勝利戦(芝1600m)は、デビュー戦でダローネガの2着に敗れたエピセアローム(1番人気)が後続に6馬身差をつけて逃げ切りました。持ったままの楽勝。
http://www.youtube.com/watch?v=nnEcKY9-Fcs

ダイワメジャー産駒はここまで〔2・8・1・20〕という成績。産駒がデビューして1ヵ月の段階で迂闊に決めつけるようなことは言えませんが、詰めが甘い子が目立つので、先に行って後続をねじ伏せるという戦法は合っているような気がします。

エピセアロームはラターシュとエクセルサスの半妹。父ダイワメジャーは血統構成にやや硬いところが見られるので、母の父 Cozzene のような柔軟な血が入るのはいいでしょう。Cozzene は気難しいところがあり、産駒は逃げたり追い込んだりといった極端なレースで結果を残しています。今回の逃げ戦法は、馬が気分よく走れたという意味でもよかったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/

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2011年7月25日 (月)

函館記念はキングトップガン

今週からBコースということで馬場の内側が良好なコンディション。1着△キングトップガン(4番人気)、2着マヤノライジン(12番人気)はラチ沿いをコースロスなく回って突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=VOc9foccNpU

1、2着はマヤノトップガン産駒。マヤノトップガンは現役時代に菊花賞(G1)、有馬記念(G1)、天皇賞・春(G1)を勝った名馬です。ブライアンズタイムの子ですから Roberto 系。

函館記念の展望を兼ねた7月23日のエントリー「芝1800~2000mのハンデ戦に強い Roberto 系」で、今回の条件に強いのは Roberto 系と記したのですが、マヤノトップガンの名は挙げませんでした。というのも、他の Roberto 系とは違い、この条件でそれほど目立った成績を挙げていなかったからです。今回はたまたまインぴったりの好位差しがハマったということでしょう。

勝ったキングトップガンは Red God と Nijinsky のニックスを持ちます。マヤノトップガン産駒のこのパターンからは、メイショウトウコン、チャクラ、ホッコーパドゥシャなどの活躍馬が出ています。汗をかきやすいこの夏場に12キロの馬体重増。パドックでも太目感がなかったので、体調面がよほど充実しているのでしょう。目黒記念に続いての重賞連勝です。ここ2、3年、もう終わったかと思うような低迷ぶりだったので、春ごろからの上昇ぶりには驚かされます。次走、何事もなければ札幌記念だと思いますが、相手が強化されての定量戦なので、やはり人気にはならないでしょう。しかし、この勢いなら侮ることはできません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003100796/

1着が8歳馬、2着が10歳馬、3着が8歳馬ですから合計26歳。おそらく過去のJRA平地重賞でこれを上回る例は存在しないと思います。

◎ミッキーペトラ(2番人気)はしんがり16着。4コーナーではすでに手ごたえがありませんでした。休み明けに激走したあとの中1週だったので、いわゆる二走ボケでしょうか。

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2011年7月24日 (日)

キングジョージ6世&クイーンエリザベスSは Nathaniel

昨年はハービンジャーが11馬身差で圧勝して話題となりましたが、今年は残念ながら悲劇的なレースとなってしまいました。G1連勝中で三強の一角に挙げられていた Rewilding が最後の直線で骨折し転倒、予後不良となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=vQPa0XjWyC0

勝ったのは5頭立ての4番人気 Nathaniel。出走馬中唯一の3歳馬でした。直線では鞍上の鞭に反応して右へ左へ蛇行しましたが、最後まで脚いろは衰えることなく完勝。勝ちタイム2分35秒07は2000年以降では最も遅いものです。有力馬が牽制しあってペースが上がらなかったことが原因でしょう。
http://www.pedigreequery.com/nathaniel4

1番人気 Workforce は2着。直線でどんどん外側に切れていき、ゴールしたときは外ラチぎりぎり。例えは古いですがサクラホクトオーの菊花賞(89年)を思い出しました。

勝った Nathaniel は5月のチェスターヴァーズ(英G3)でのちの愛ダービー馬 Treasure Beach のアタマ差2着。続くキングエドワード7世S(英G2)を5馬身差で勝ってここに臨んでいました。レース前は“若さと勢いでどれだけ食い下がれるか”といったポジションでしたが、ここにきてグングン成長しているようです。ウィリアム・ビュイック騎手はイギリスで最も注目を集める若手の俊才。レース前日にテロ事件があったノルウェー出身です。

Nathaniel の父は Galileo。またしても……という印象です。ヨーロッパではこの春、Galileo 旋風が吹き荒れており、これで9個目のG1タイトル(このほかアメリカで Cape Blanco が、南アフリカで Igugu がG1を勝っています)。ヨーロッパにおける年間G1勝利数記録は分かりませんが、今年の Galileo は過去の記録に迫るか、ひょっとしたら上回るのではないでしょうか。

・Frankel(英2000ギニー、セントジェームズパレスS)
・Golden Lilac(仏1000ギニー、仏オークス)
・Roderic O'Connor(愛2000ギニー)
・Misty for Me(愛1000ギニー、プリティポリーS)
・Treasure Beach(愛ダービー)
・Nathaniel(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)

父 Galileo もキングジョージを勝っているので、親子二代制覇となります。Galileo の子がキングジョージを制したのは初めてです。

母 Magnificient Style は著名な繁殖牝馬で、現役時代はミュージドラS(英G3)を制しています。「Silver Hawk×Icecapade×Ribot 系」という構成ですから、「Silver Hawk×Northern Dancer(≒Icecapade)系×Ribot 系」のグラスワンダーにやや似ています。
http://www.pedigreequery.com/magnificient+style
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108676/

これまでの繁殖成績は以下のとおり。Nathaniel が5頭目の重賞勝ち馬で、平地G1勝ち馬は2頭目です。

 Magnificient Style(f.1993.Silver Hawk)
  Echoes in Eternity(f.2000.Spinning World)
  │        サンチャリオットS(英G2)
  Percussionist(g.2001.Sadler's Wells)
  │        ヨークシャーC(英G2)
  │        ダービートライアルS(英G3)
  Playful Act(f.2002.Sadler's Wells)
  │        フィリーズマイル-英G1)
  │        メイヒルS(英G2)
  │        ランカシャーオークス(英G3)
  Changing Skies(f.2005.Sadler's Wells)
  │        ザベリワンS(米G3)
  Nathaniel(c.2008.Galileo)
    キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)
           キングエドワード7世S(英G2)

ちなみに長姉のスタイルリスティック(父 Storm Cat)はノーザンファームに繋養されています。

Nathaniel は「Galileo×Silver Hawk」という組み合わせで、Ribot 系の Tom Rolfe も入るため、スタミナと底力は十分。実績どおり12ハロンに向いたタイプです。Galileo は、Sadler's Wells、Miswaki、ドイツ血統と引き出しの多い血統なので、配合次第でマイラー型もクラシックディスタンス型も出します。伸び盛りで勢いがあり、成長力もありそうなので、秋の凱旋門賞では日本勢に立ちはだかる1頭となりそうです。

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2011年7月22日 (金)

女傑 Time Charter

なでしこJAPANの活躍に刺激された……というわけではないのですが、牝馬関連のおもしろい映像を探して YouTube をグルグル回ったところ、わりといいものが見つかりました。

★Fantastic Fillies (1970's and 80's)
http://www.youtube.com/watch?v=aGj8Tc_jRLg

4分弱の映像ながら内容は充実しています。登場する馬のリストは以下のとおり。

Park Top(1964年生・父 Kalydon)
http://www.pedigreequery.com/park+top
Time Charter(1979年生・父 Saritamer)
http://www.pedigreequery.com/time+charter
Petite Etoile(1956年生・父 Petition)
http://www.pedigreequery.com/petite+etoile
All Along(1979年生・父ターゴワイス)
http://www.pedigreequery.com/all+along
Miesque(1984年生・父 Nureyev)
http://www.pedigreequery.com/miesque
Indian Skimmer(1984年生・父 Storm Bird)
http://www.pedigreequery.com/indian+skimmer
ペブルス(1981年生・父 Sharpen Up)
http://www.pedigreequery.com/pebbles3
Dahlia(1970年生・父 Vaguely Noble)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Allez France(1970年生・父 Sea Bird)
http://www.pedigreequery.com/allez+france

どれもこれも歴史的名牝です。このなかで、実績のわりに知名度が低い馬を1頭挙げるとすれば、Time Charter でしょうか。映像の2番目に出てくる馬です(0:15~0:35)。紹介された映像は7馬身差で牡馬を蹴散らした3歳秋の英チャンピオンS(G1・芝10f)。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな伸び脚です。

Time Charter はほかに、英オークス(G1・芝12f)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)、コロネーションC(英G1・芝12f)などを制しており、80年代前半を代表するアイルランドの名牝として知られています。

母 Centrocon はハイハット≒Aureole 2×3という、重厚さとスタミナに秀でた伝統的なイギリス血統。

       ┌ Hyperion
ハイハット ―┤ ┌ Donatello
       └○┘

       ┌ Hyperion
Aureole ―――┤ ┌ Donatello
       └○┘

父 Saritamer はダンサーズイメージを父に持つ無名のアメリカ産種牡馬で、母が持つ組み合わせのクロスを Dawn Chorus≒ハイハット3×3で継続しつつ、Native Dancer、Nasrullah、Royal Charger という超一流のスピードを注入しています。Time Charter は、Sea Bird や Northern Dancer のように、異なる個性がぶつかることによって誕生した傑作です。「組み合わせのクロス」については笠雄二郎さんの『血統論』に詳述されています。ご参照ください。
http://www.miesque.com/c00001.html

Time Charter の子には、Time Allowed(ジョッキークラブS-英G2、プリンセスロイヤルS-英G3)、Zinaad(ジョッキークラブS-英G2)などがおり、Zinaad は02年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に輝いた Kazzia(英1000ギニー、英オークス)の父となりました。
http://www.pedigreequery.com/kazzia

牝系からはこれ以外にも多くの活躍馬が出ており、日本ではヒラボクビジン(準OP)の3代母にその名を見ることができます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101587/

先日のロイヤルアスコットでクイーンメアリーS(英G2・芝5f)を勝った Best Terms も Time Charter の子孫です。いずれ Time Charter をクロスさせた名馬も出てくるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/best+terms2

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2011年7月21日 (木)

セレクションセール2011終了

大盛況に終わったセレクトセールとは対照的に、7月18、19日に行われたセレクションセールは、やや低調な結果に終わりました。今年から1歳馬のみのセールとなったほか、上場頭数が約1.5倍に増えたので単純比較はできませんが、売却率、平均価格とも前年を下回りました。社台ブランドとそれ以外との格差が浮き彫りになったといえるかもしれません。

高額落札馬ベスト3は以下のとおり。

■145番 ┌ マンハッタンカフェ
 牡馬 └ トゥインクルレイン(父 Gilded Time)
      落札価格:2520万円(税込)
      購買者:竹園正継
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010101644/

■295番 ┌ ステイゴールド
 牡馬 └ ダンジグジョイ(父 Danzig)
      落札価格:2257万5000円(税込)
      購買者:猪熊広次
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010102842/

■373番 ┌ アドマイヤムーン
 牡馬 └ ダイワデリカシー(父バブルガムフェロー)
      落札価格:2110万5000円(税込)
      購買者:(有)ケイアイファーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010102712/

種牡馬ごとの平均落札価格が高かった順に並べてみます。売却頭数が3頭に満たなかったものは除外しました。

            頭数   平均価格  (昨年)
1位 アグネスタキオン  4  15,093,750(19,250,000)
2位 キングカメハメハ  3  14,630,000(15,120,000)
3位 アドマイヤムーン  11  12,934,090(12,162,500)
4位 ステイゴールド   6  12,705,000( 8,400,000)
5位 フジキセキ     5  11,403,000(15,820,000)

ステイゴールド産駒の上昇が目につきます。一昨年は3頭落札で平均価格は749万円、昨年は1頭のみで840万円。今年の上昇はオルフェーヴルやナカヤマフェスタが頑張った効果でしょう。

2011年7月20日 (水)

ラフレーズカフェ完勝

■日曜新潟5Rの新馬戦(芝1400m)は、○ラフレーズカフェ(1番人気)が3馬身差で逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=vvtG4ko8QOA

今年5月、船橋競馬場で行われた千葉サラブレッドセール(2歳トレーニングセール)において、価格順では9番目の1250万円で落札された馬です。トレーニングセール出身馬らしい仕上がりの良さを活かした勝利でした。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は○◎で馬連810円的中。

父マンハッタンカフェは今シーズンの2歳戦でこれが初勝利となります。母ロリポップガールは現役時代、新潟の二王子特別(500万下・芝1600m)で大外一気の鮮やかな追い込みを決めたレースぶりが素晴らしく、いまだに脳裏に焼き付いています。昇級しても即勝ち負けだろうと思っていたら歯が立たず、その意外さでも記憶に残っています。直線の長いコースを得意とする追い込み馬でした。

ロリポップガールは、Northern Dancer≒Icecapade 4×2、Nearctic≒Indian Hemp 5×3・4。Nearctic は Northern Dancer と Icecapade の父です。父マンハッタンカフェは Northern Dancer の強いクロスを持つ繁殖牝馬と相性がよく、本馬はそうした方向性から誕生した成功例でしょう。今回は内回りコースでしたが、母の特長から考えると外回りコースのほうがいいのではないかと思います。母の父 Trempolino(凱旋門賞)の底力が伝わっているようなら先々が楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106051/

ディープインパクト産駒の今シーズン初勝利を狙った◎エポキシ(2番人気)は、序盤に置かれたのが痛かったですね。最後は差を詰めてしっかり2着を確保したので、能力は確かなものがあるでしょう。レース慣れした次走は大丈夫だと思います。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1200m)は、ダッシュが付かず後方を追走した○ナオミノユメ(3番人気)が大外を回って追い上げ、直線で突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=8JQmBDsbVXc

母クロノロジストはフサイチリシャール(朝日杯フューチュリティSなど重賞3勝)と同血です。母同士が全きょうだいで父が同じ。

           ┌ クロフネ
クロノロジスト ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ ラスティックベル

           ┌ クロフネ
フサイチリシャール ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ ラスティックベル

クロノロジストは現役時代、3歳9月にようやくデビューに漕ぎ着け、経験馬相手に楽勝した素質の持ち主。屈腱炎のため通算2戦1勝で引退しましたが、脚もとが無事ならば上級クラスまで出世していたと思われます。初子のナオミノユメがいい走りを見せたので、繁殖牝馬として今後注目したい存在ですね。

「ジャングルポケット×クロフネ」という組み合わせはやや硬いイメージがありますが、その前の代にサンデーサイレンスが入るので悪くないと思います。ジャングルポケットとサンデーサイレンスはニックスです。距離はもっと延びたほうがいいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106131/

予想は○▲で馬連680円的中。◎シゲルドリアン(2番人気)は6着。1番枠がアダとなり終始馬場の悪いインに押し込められてしまいました。

2011年7月19日 (火)

距離延びて楽しみ、リディルの半弟クラレント

土曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、後方追走の◎クラレント(2番人気)が直線で大外から突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=p_1JKX6-MRE

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎▲△で馬単2010円、3連単14450円的中。予想文を転載します。

「◎クラレントは『ダンスインザダーク×ダンシングブレーヴ』という組み合わせで、リディル(デイリー杯2歳S)の4分の3弟にあたる。ヘイロー≒ドローン3×4のニックスを持ち、配合的な完成度は高い。稽古でもまずまずの時計を出しており、ここで勝ち負けするだけの力はあると思われる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105009/

予想文に記したとおり4分の3兄にリディルがいる良血。母エリモピクシーは現役時代に重賞で3着となった活躍馬ですが、エリザベス女王杯を勝った全姉エリモシックに比べるとやや小粒感は否めません。しかし、繁殖牝馬としての資質は姉を凌駕しているように感じます。初子のリディルが重賞を勝ち、2番子のクラレントが新馬戦を快勝。名繁殖牝馬への道を突き進んでいます。ただ、この馬はダンスインザダーク産駒だけに、POGではあまり人気はなかったかもしれません。現3歳世代はついに1頭も新馬戦勝ち馬が出ませんでした。2世代ぶり、1年8ヵ月ぶりの新馬戦勝利です。

レースぶりはまだ粗削りです。大トビなのでダッシュがつかず、序盤は追走に手一杯。ようやくエンジンが掛かった直線でも子供っぽいところを見せていました。それだけに伸びシロはあるでしょう。今回は前に行った馬がバテて展開がハマった部分があり、見た目ほど速い脚を使っているわけではありません。ただ、この時期の2歳馬が芝1400mの新馬戦を1分22秒3で走るのはまずまず優秀。馬場の内側が荒れており、外を回ったことを考えればなおさらです。今回の競馬を見てのとおり、忙しい競馬が向いているとは思えないので、距離が延びてからが楽しみです。

2011年7月18日 (月)

アイビスサマーダッシュはエーシンヴァーゴウ

土曜日の閃光特別(500万下・芝1000m)では内枠の馬が上位に来たのですが、アイビスサマーダッシュ(G3・芝1000m)は外ラチ沿いの馬しかダッシュが利かない感じ。3番枠から先行争いに取り付いて勝った△エーシンヴァーゴウ(1番人気)の力が一枚上でした。
http://www.youtube.com/watch?v=XT5zaNHJnbY

終わってみれば掲示板に載ったのはすべて非サンデー血統。一昨日のエントリー「サンデーの血が通用しないアイビスサマーダッシュ」で、レース創設以来サンデーサイレンスの血を持つ馬が1頭も連対していないことを記し、今年もその傾向どおりに決まったわけですが、自分で書いておきながら馬券ではこのジンクスに逆らい不的中(◎アイアムマリリン)。う~ん、笑いたいような泣きたいような……^^

エーシンヴァーゴウは「ファルブラヴ×サンダーガルチ」という組み合わせ。父ファルブラヴは、サンデー牝馬との配合ではワイルドラズベリーのような溜めて伸びる産駒を出すことができます。ただ、母方がアメリカ色の強いスピード血統で構成された配合では、あからさまに一本調子のスピード馬を出す傾向があります。エイシンヴァーゴウ、ビーチアイドル、ブルーミンバーなどがそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101300/

エーシンヴァーゴウの母は「サンダーガルチ×In Reality」で、現役時代はダート1200mで2勝。アメリカ色の強いパワー型のスピード血統です。3代母の父 Shecky Greene は、Secretariat がレコードで勝った1973年のケンタッキーダービーで果敢に逃げた馬。これも同様のタイプです。
http://www.youtube.com/watch?v=QyqllleV6WA

ファルブラヴの父 Fairy King は大種牡馬 Sadler's Wells の全弟。クラシックディスタンスに強かった兄の産駒に比べると、マイル前後で持ち味を発揮するスピードタイプが多く、ちょっと単調なところも見られました。最良の後継種牡馬 Encosta De Lago は、短距離王国オーストラリアで2回リーディングサイアーとなり、昨年のスプリンターズS(G1)を勝った Ultra Fantasy の父としても知られています。Fairy King 系はこの方向で発展していくのでしょう。
http://www.pedigreequery.com/encosta+de+lago

エーシンヴァーゴウは直線1000mという舞台で頭角を現してきたので、コーナーのある重賞でやれるかどうかはまだ半信半疑です。馬の充実ぶりは間違いないところなので、次走で答えが出るでしょう。

2011年7月15日 (金)

勝ちっぷりも配合も良好、エイシンキンチェム

今週は取り上げるべき話題が盛りだくさんで、2歳戦回顧をしないうちにいつの間にか金曜日になってしまいました。気が付けばジャパンダートダービー(G1・大井ダート2000m)にも触れていません。勝ったグレープブランデーの配合については2月9日のエントリー「切れ味炸裂、ディープインパクトの近親アフロディーテ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-7f6e.html

さて、先週の2歳戦。どれか1頭取り上げるとすれば、土曜京都5R(芝1200m)を勝った◎エイシンキンチェム(1番人気)でしょう。着差は2馬身半ですが、最後の直線で鞍上が手綱を抑えなければ大差で勝っていたと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=qKV2Zd_-3B4

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎★▲で馬単12460円、3連単119430円的中。予想文を転載します。

「◎エイシンキンチェムは『フジキセキ×ミスターグリーリー』という組み合わせ。父フジキセキはミスタープロスペクター系の血と相性がいい。本馬はマイディアガール=トレジャーチェスト5×4という鮮やかな全きょうだいクロスを持っており、稽古の動きも抜群なので、将来性は明るいと思われる。コース条件も合っているだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100946/

フジキセキと Mr.Prospector の好相性については繰り返し述べてきました。母の父 Mr.Greeley は、Mr.Prospector 系のなかでもとくに仕上がりの早いタイプで、早い時期の新馬戦では無類の力を発揮します。産駒の2歳新馬戦連対率は41.2%と抜群の成績。母の父としてもこうした特長を伝えるでしょう。

父がフジキセキで、母方に Mr.Prospector と Seattle Slew を併せ持つ配合といえば、現3歳のサダムパテック(弥生賞、東京スポーツ杯2歳S)とアドマイヤサガス(デイリー杯2歳S-2着)を思い出します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103316/

Mr.Prospector と Seattle Slew は、現代のアメリカ血統のメインストリームを形成する名血です。気性が前向きで、スピードと仕上がりの早さに優れ、当然のことながら2歳戦に高い適性があります。このふたつの血は相性が良く、たとえば Seattle Slew の最良の後継種牡馬である A.P.Indy は、Mineshaft、Pulpit、Malibu Moon、Congrats、Tempera、Tomisue's Delight、Accelerator、Little Belle など、代表産駒のかなりの割合が Mr.Prospector 牝馬から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/mineshaft
http://www.pedigreequery.com/pulpit
http://www.pedigreequery.com/malibu+moon

エイシンキンチェムの配合のポイントとして忘れてはならないのが、予想文に書いたとおり My Dear Girl=Treasure Chest 5×4という鮮やかな全きょうだいクロス。このパターンは少ないサンプルからツクバホクトオー(新潟2歳S-2着)、ビッグファルコン(クリスタルC-2着)などを出ているので注目です。

エイシンキンチェムを生産した浦河の梅田牧場は、配合に関して深い造詣をお持ちです。もちろん偶然の産物ではないでしょう。スピードと完成度の高さを活かせる2歳OP-重賞戦線ではかなりやれそうです。

2011年7月12日 (火)

異能シルクフォーチュン重賞初制覇

プロキオンS(G3・京都ダ1400m)はシルクフォーチュン(9番人気)の差しが決まりました。
http://www.youtube.com/watch?v=waihymWzKz0

馬券を持っていた方は気持ちよかったでしょうね~。終わったあとに新聞(競馬ブック)を見たところ、「今までのように外を回っては届かないので、今回は馬込みを捌いてくるレースを考えている」という堀添助手のコメントがありました。お恥ずかしい話ですが気にも留めていませんでした。

昨年のいまごろ、ダート短距離の追い込みに目覚めた馬で、当時からその異様なレーススタイルは話題となっていました。ダート1200mで上がり34秒そこそこですから、後方追走から大外をマクっても届いてしまうわけです。ただ、クラスが上がると前も止まらないので、OPや重賞では掲示板が精いっぱいという成績でした。

今回の好走要因はふたつ。ひとつは前が止まる展開になったこと。もうひとつは馬群に突っ込んでコースロスを減らしたこと。これに尽きるでしょう。ただ、毎度ペースが上がるわけではありませんし、前が開くとも限りません。頭から買うにはリスクの大きい馬です。

ダート短距離の追い込み馬は、“適正距離が本来もう少し長いのではないか?”と思える血統の馬がなりやすいイメージがあります。シルクフォーチュンは「ゴールドアリュール×Alwuhush」ですから、短距離的な匂いはしません。Nureyev 3×3が気性面に影響を与え、極端なレース運びをする要因になっているのかもしれません。父ゴールドアリュールはスマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスターの父。ダート向きのサンデー系種牡馬のなかではベストです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104625/

◎ナムラタイタン(2番人気)は6着。いつもより積極的な競馬をしましたが、結果的に今回は差し馬の流れでした。

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2011年7月11日 (月)

ネオユニヴァースの娘が初の重賞勝ち

七夕賞(G3・中山芝2000m)は△イタリアンレッド(7番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=v9Z5Zb69nWI

はるか昔、ビギナーのころに読んだ競馬入門書に、夏競馬で狙えるポイントとして「牝馬」「格より調子」と書いてあったことをふと懐かしく思い出しました。

父ネオユニヴァースは中山芝2000mの鬼。連対率28.6%はきわめて優秀で、ヴィクトワールピサとアンライバルドが皐月賞を制しています。イタリアンレッドはヴィクトワールピサと同じく Lorenzaccio を、ロジユニヴァースと同じく Lorenzaccio の息子 Ahonoora を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103026/

ただ、ハンデ52キロは、個人的な好走のイメージから1キロほど重く、血統的な好相性を考えても4番手評価が精いっぱいでした。暑い日が続いていたので「牝馬」「格より調子」というプラス要因が大きく作用したのかもしれません。終始外を回らされましたが、内側の馬場が荒れていたことにより相殺されました。過去に重賞を勝ったネオユニヴァース産駒5頭はすべて牡馬でしたが、イタリアンレッドは牝馬による初の重賞勝ちとなりました。

◎オペラブラーボ(5番人気)は8着。馬場の悪いインに押し込められて動くに動けない展開。夏のローカルを使うようなら引き続きマークしたい馬です。

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2011年7月10日 (日)

「ステイゴールド×メジロマックイーン」のゴールドシップ

やはり走る……という感想しか浮かびません。土曜函館5Rの新馬戦(芝1800m)は○ゴールドシップ(2番人気)が差し切り勝ち。タイムは1分51秒2のレコードでした。
http://www.youtube.com/watch?v=UNqq-r1De-0

「ステイゴールド×メジロマックイーン」は、ドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟、フェイトフルウォーなどですっかりお馴染みのニックスです。この組み合わせはこれで6頭がデビューし、5頭が新馬勝ちを果たしました。ステイゴールド産駒は新馬戦に強いタイプではありません。基本的に晩成型なのでシーズン序盤ならなおさらです。しかし、母の父にメジロマックイーンを持つ場合は見違えるような走りを見せるので、これはもうニックスとしか言いようがありません。

「母の父メジロマックイーン」はこれまで71頭が新馬戦に出走し、6頭が勝ち上がっています。そのうちの5頭がステイゴールド産駒。この組み合わせがいかに優秀であるかがお分かりいただけると思います。

★「ステイゴールド×メジロマックイーン」
  →→→6頭出走して5頭新馬勝ち(勝率83.3%)
★「ステイゴールド以外×メジロマックイーン」
  →→→65頭出走して1頭新馬勝ち(勝率1.5%)

「ステイゴールド×メジロマックイーン」が新馬戦に強いということは、単に仕上がりの早さを示すものではありません。ドリームジャーニー、オルフェーヴル、フェイトフルウォーという大物が出現したように、そのままポテンシャルの高さを表すものです。

ゴールドシップの母ポイントフラッグはチューリップ賞(G3)2着馬。2代母の父プルラリズムはやや決め手に欠ける渋めの血で、ローカルを得意とする中距離血統でした。洋芝の函館芝1800mという舞台は合っていたと思います。ドリームジャーニー、オルフェーヴル、フェイトフルウォーはいずれも2代母の父が Northern Dancer 系。プルラリズムも同系に属します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102739/

『赤本』では「選択希望馬リスト30頭」の30番目にこの馬を載せました。あまりにも走る組み合わせなので枠をひとつ用意してこの馬を押し込んだという形です。ディープインパクト、アグネスタキオン、キングカメハメハといった著名種牡馬と同じように、ひとつの独立したカテゴリーとして「ステイゴールド×メジロマックイーン」を扱ったほうがいいのではないかとさえ思います。

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2011年7月 8日 (金)

配合的に見極めやすいケイムホーム産駒

ケイムホームは種付け初年度の08年に、日高地区で最高となる175頭の種付けを行いました。人気を博した理由は、現役時代の高い能力と、Mr.Prospector 系のスピード血統と、120万円という手ごろな種付け料でしょう。

現役時代にアメリカで12戦9勝。勝ち鞍には3つのG1勝利が含まれています。ただ、G1のなかのG1であるブリーダーズCジュヴェナイル、ケンタッキーダービー、ブリーダーズCクラシックでは完敗を喫しているので、超大物というわけではありませんでした。

正直なところ、アメリカでの種牡馬成績は、期待の大きさからするといまひとつ。とはいえ、何頭かの重賞勝ち馬や入着馬を出しており、日本向きの特長を伝えることができれば、成功の期待は十分掛けられるでしょう。じっさい、アメリカ時代に送り出した産駒に、プリンシパルS(OP・芝2000m)を勝ったケイアイライジンがいます。ダート向きのスピードタイプを多く出すと思われますが、配合次第では芝の重賞を狙えるような産駒も出せるかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106135/

その鍵は、Nasrullah と Princequillo の組み合わせから誕生した Secretariat と Full Out を3代目に並べている点でしょう。望田潤さん風にいえば「ナスキロ」ですね。ケイアイライジンは Secretariat を継続し、さらに母の父 A.P.Indy にはナスキロの仲間である Poker があります。ケイアイライジンが芝中距離に対応したのはこのあたりに秘密がありそうです。

ケイムホームの2代母の父 Full Out は、Mill Reef、Riverman と相似な血の関係にあるので、このふたつの血とは相性がいいでしょう。相似な血については笠雄二郎著『血統論』に詳しいのでご参照ください。
http://www.miesque.com/shopping.html

      ┌ Never Bend
Full Out ―┤   ┌ Princequillo
      │ ┌○┘
      └○┤ ┌ Count Fleet
        └○┘

      ┌ Never Bend
Mill Reef ―┤ ┌ Princequillo
      └○┤ ┌ Count Fleet
        └○┘

      ┌ Never Bend
Riverman ―┤   ┌ Princequillo
      │ ┌○┤ ┌ Count Fleet
      └○┘ └○┘

Northern Dancer を持たず、それと似た配合構成の Icecapade(悲劇の名牝 Ruffian の半兄でもあります)を持っているので、Northern Dancer を強めに持っている繁殖牝馬とも合うでしょう。

         ┌ Nearctic
Northern Dancer ―┤ ┌ Native Dancer
         └○┘

         ┌ Nearctic
Icecapade ――――┤ ┌ Native Dancer
         └○┘

アメリカ時代の産駒を調べると、Graustark と His Majesty の全兄弟と好相性を示しています。ケイムホーム自身がやや底力に賭ける血統構成なので、それを補っているという見方ができるでしょう。2頭の母 Flower Bowl と同じく、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせから成る Tudor Minstrel と Swaps を持っていることも、この好相性の理由のひとつだと思います。

新馬戦開幕週と2週目に、ケイムホーム産駒がまったく振るわなかったので、先週は全般的に評価を下げてしまいました。失敗でした。5頭出走して2頭が新馬戦を勝ち上がりました。

函館の新馬戦(芝1200m)を勝った△クールユリア(1番人気)は、Mill Reef、Poker、Northern Dancer を持っているので上々の配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102597/

京都の新馬戦(芝1800m)を勝った★シンゼンレンジャー(7番人気)は、母が5代以内に Northern Dancer を3本持ち、Nasrullah と Princequillo の組み合わせから誕生した Apalachee を持ちます。これもまずまずですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102195/

今週はケイムホーム産駒が土日に一挙7頭出走します。「Gone West×Clever Trick」という仕上がり早の血統ですから、この時期の2歳戦は稼ぎどころでしょう。上記のパターンに当てはまり、稽古で動いている馬は買いです。

2011年7月 7日 (木)

現時点では予想以上の健闘、アドマイヤムーン

新種牡馬で現在2勝を挙げているアドマイヤムーンは、現役時代にジャパンC、ドバイデューティーフリー、宝塚記念などを制し、年度代表馬に輝いた名馬です。

その父エンドスウィープは、11歳で早世したため、日本でわずか3世代しか残せませんでした。アドマイヤムーンのほかにスイープトウショウ、ラインクラフト、フォーカルポイントなどの活躍馬を送り出し、産駒は重賞を計20勝しています(地方競馬は含まず)。後になってその死が惜しまれた最大の理由は、サンデーサイレンス牝馬と抜群の相性を示したからです。その代表格が桜花賞とNHKマイルCを制したラインクラフト、そしてこのアドマイヤムーンでした。

社台スタリオンステーションではなくダーレーに繋養されているため、繁殖牝馬は日高のものが主体です。社台スタリオンステーションに繋養されているトップクラスの種牡馬群に比べると、肌馬の質という面ではやや見劣りします。

初年度のアドマイヤムーン産駒のなかで、社台系の牧場が生産した馬は8頭しかいません。日曜函館5Rの新馬戦(芝1200m)を勝った△エクソプラネット(5番人気)はその1頭。やはり社台系の繁殖牝馬から誕生した馬は見どころがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=Tb6H7ZyUHKI

半姉に英G2を勝った Spinola、半兄に英G3を勝った Shot to Fame がいる良血。調教がもうひとつだったので狙いを下げましたが、実戦向きなのでしょう。母の父 Deposit Ticket は早熟のスピードタイプで、エンドスウィープとは近い世代で Mr.Prospector、Northern Dancer、Continue≒Allofthem が共通します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106093/

エンドスウィープはアメリカで繋養されていた時代、初年度産駒の勝ち上がり頭数の世界記録(当時)を作ったように仕上がりの早さが特長のひとつ。Deposit Ticket とエンドスウィープに共通する仕上がりの早さやスピードといった個性が強調され、本馬に伝わっているのではないかと思います。Mr.Prospector などのアメリカ血統を強調した配合からは、エンドスウィープ的な、堅実に走るスピードタイプが多く出てきそうです。

            ┌ Mr.Prospector
          ┌○┤
          │ └○┐
エンドスウィープ ―┤   └ Continue(≒Allofthem)
          │   ┌ Northern Dancer
          │ ┌○┘
          └○┘

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┤
          │ └○┐
Deposit Ticket ――┤   └ Allofthem(≒Continue)
          │ ┌ Mr.Prospector
          └○┘

アドマイヤムーン産駒はここまで5頭出走して〔2・0・1・2〕。シーズン開幕前はちょっと苦戦するかも……と思っていたのですが、現時点では予想以上に頑張っています。

2011年7月 6日 (水)

夏のローカルは買えるファスリエフ

先週終了時点で、2歳戦で複数の勝ち馬を出した種牡馬は4頭。このうちマイネルラヴを除く3頭、ファスリエフ、アドマイヤムーン、ケイムホームは新種牡馬です。

ファスリエフは海外でのキャリアが長いので、いまさら新種牡馬といわれてもピンときません。現役時代は愛英仏で2歳戦のみ走り5戦全勝、カルティエ賞最優秀2歳牡馬に輝きました。種牡馬としても早熟傾向があるのでいまが稼ぎ時です。「Nureyev×Mr.Prospector×Never Bend」という配合ですから一本調子なところはあるでしょう。

先週は土曜函館1Rの未勝利戦(芝1200m)でパチャママが勝利。向正面で先手を奪ってそのまま逃げ切りました。初戦は2着で、ここは単勝1.6倍の一本かぶりだったので順当勝ちです。母は「フレンチデピュティ×Alydar×Roberto」なのでマチカネニホンバレを思わせる粘りの配合。自身も小回りコースで本領を発揮するタイプだと思います。ダートも上手いはずです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101572/

前述のとおりファスリエフはこの時期の2歳戦は得意中の得意。3歳春を過ぎてから大きく成長するタイプではありません。このあたりは古典的なアメリカンタイプの種牡馬といった印象ですね。能力の高い馬だけが上級条件に定着し、その後も勝ち負けを繰り返していきます。夏のローカルでは信頼できる種牡馬だと思うので、これからしばらくは馬券的に妙味があると思います。

2011年7月 5日 (火)

函館スプリントSはカレンチャン

4コーナーで外に持ち出すとき、遠回りをするロスがありましたが、ゴール前でキッチリ捉えました。力差がないとできない勝ち方だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=6RL24fyraDo

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎△○で馬単1430円、3連単4260円的中。予想文を転載します。

「◎カレンチャンは『クロフネ×トニービン』という組み合わせ。母方にトニービンを持つクロフネ産駒は成功しており、シェルズレイとブラックシェルの姉弟や、フラムドパシオン、カホマックス、ポルトフィーノなど多くの活躍馬が出ている。カレンチャンはこのパターン。母は「トニービン×マルゼンスキー」という組み合わせ。これはシェルズレイとブラックシェルの母の父ウイニングチケットと同じ。つまり、この姉弟とカレンチャンは血統構成がきわめてよく似ている。前々走の山城Sから本格化の気配を漂わせており、いまや秋のスプリンターズSを狙う有力候補の1頭。ベストの芝1200mなら連軸は揺るがない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102807/

4月の阪神牝馬S(G2)から3ヵ月経って、さらに成長しているように感じました。貫禄が出てきましたね。同じクロフネ産駒のスリープレスナイトを思わせる上昇カーブです。

このあとは馬の様子を見ながら、ということになると思いますが、8月下旬のキーンランドC(G3・札幌芝1200m)か9月中旬のセントウルS(G3・阪神芝1200m)を使い、スプリンターズS(G1・中山芝1200m)でしょうか。現状ではダッシャーゴーゴー、ジョーカプチーノには及ばないと思いますが、秋風が吹くころになれば分かりません。スプリント路線はメンバーが固定しがちなので、こうしたフレッシュな新顔が伸びてくるのはいいですね。

スプリンターズSで忘れてならないのは外国馬の動向。ただ、今年は原発問題が収束していないので、メンバーが揃うかどうか微妙なところがあります。昨年登録馬に名を連ね、結局回避してしまった Rocket Man あたりが出てくるならレースの格がグンと上がるのですが……。

2011年7月 4日 (月)

ラジオNIKKEI賞はフレールジャック

ディープインパクト産駒はこれで重賞5勝目となりますが、不思議なことに1番人気での勝利はありません。ラジオNIKKEI賞(G3・芝1800m)を勝った▲フレールジャックは2番人気でした。
http://www.youtube.com/watch?v=JnzJV-sqBis

ディープインパクト産駒は基本的に人気先行です。実力以上に評価されることが多いと思います。そんな空気のなかで1番人気ではない、ということは戦績的にはっきりと微妙なところがあるわけです。

フレールジャックも例外ではありません。きわめて高い素質の持ち主であることは前2走のレースぶりを見れば明らかです。ただし、500万下の平場を勝ったばかりで、初の長距離輸送、ディープ産駒が最も得意とする京都芝1800mからのコース替わり、遅生まれ(5月25日)、キャリア3戦目、といった懸念材料がありました。

結果的にこれらはすべて杞憂に終わりました。能力の高さがすべての不安を吹っ飛ばしました。当ブログで何度も繰り返しているとおり、ディープインパクト産駒は全般的に晩成傾向があると思うので、まだまだ強くなるでしょう。母方の Nureyev、Blushing Groom はいずれも筋肉質なタイプ。こうした血は細身のディープインパクトに合うと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103261/

フレールジャックの配合については5月10日のエントリー「経験馬相手に初戦楽勝フレールジャック」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/post-dbba.html

◎ミヤビファルネーゼ(11番人気)は7着。スタートで後手を踏み、さらに内の馬に寄られて挟まれる形となり、最後方からの競馬。道中も折り合いを欠いて口を割るシーンが見られました。それでも最後は脚を伸ばして3着馬と0秒3差。荒削りながら能力の片鱗は示したと思います。次も人気にならないと思うので続けて狙いたいですね。

ところで、中山で行われたラジオNIKKEI賞、キャリアの浅い素質馬の勝利、というキーワードから96年の優勝馬ビッグバイアモン(父バイアモン)のことを思い出しました。抜群の素質を秘めた馬でしたが、問題がひとつ。前肢の蹄の形が誰の眼にも明らかなほど左右不揃いだったのです。パドックで周回する同馬を見て、こんな肢で競走馬になれるのか、とビックリしました。と同時に、競走生活は長くないだろう、との予感も抱きました。ラジオたんぱ賞(当時のレース名)を1分46秒0のレコードタイムで逃げ切ったのが最後の勝利で、次走の神戸新聞杯(5着)でレース中に故障、そのまま引退という寂しい幕切れ。その非凡な素質は、7歳下の半妹スティルインラブが牝馬三冠馬となったことでも証明されました。しかし、残念ながら種牡馬にはなれませんでした。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年7月 2日 (土)

ホッカイドウ競馬の2歳馬たち(後)

★JRAに挑戦してきて面白そうなのはハイタッチ(父マイネルラヴ)。5月18日のフレッシュチャレンジ(門別ダ1200m)を勝ち上がった馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103203/

シルクメビウスの半弟ですが、古谷剛彦さん曰く「芝向き」とのこと。

★6月23日のフレッシュチャレンジ(門別芝1200m)を快勝したコパノワーニング(父ダイワメジャー)は、タイムはイマイチですが「芝向き」との評価。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104064/

父ダイワメジャーは今年の新種牡馬で、JRAでは〔1・2・0・4〕という好成績です。母ヴァルネリーナは米チャンピオンサイアー El Prado の半妹にあたり、本馬は Halo≒Sir Ivor 3×3。悪くないですね。

★6月29日のフレッシュチャレンジ(門別芝1200m)で、後続に2秒1の大差をつけて逃げ切ったダブルスター(父シニスターミニスター)はかなりの器です。
http://db.netkeiba.com/horse/2009103518/

全日本2歳優駿(G1)、兵庫ジュニアグランプリ(G2)などを制したラブミーチャンの半弟にあたります。父シニスターミニスターは A.P.Indy 系の新種牡馬。父も母もアメリカ血統で固められているので、パワー型であるのは間違いないでしょう。この馬はダート一筋だと思います。

★このほか、新種牡馬の子でおもしろいのは、ローエングリン産駒のクリーンチャンス、アドマイヤムーン産駒のマホガニーあたり。前者は現在4戦2勝、後者は1戦1勝です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105819/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103572/

2011年7月 1日 (金)

ホッカイドウ競馬の2歳馬たち(前)

先週の土日は東京競馬場でお仕事。パークウインズ期間中にも行われているレーシングエキスパートセミナー(REXS)の講師として、お客様の前でいろいろお話をしてきました。

パークウインズの東京競馬場には初めて足を運んだのですが、想像以上にいい雰囲気なので気に入りました。競馬開催日のピリピリと追い立てられるような緊張感がなく、まったりのんびりとした雰囲気。ビール片手にほろ酔い気分で馬券を楽しむには最高ではないかと思いました。

土曜日の仕事でご一緒した古谷剛彦さんはホッカイドウ競馬のエキスパート。ここぞとばかりに質問して同地の2歳馬情勢について伺ってきました。JRAの夏の北海道シリーズ、来春の南関東クラシック戦線にも影響が大きい路線だけに重要です。

★古谷さんのイチオシはウィードパワー(父メジロベイリー)。6月2日のフレッシュチャレンジ(門別ダ1200m)を6馬身差で勝ち上がった馬です。スタートで出遅れて、最後は流していました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009109081/

「モノは違うけど、ちょっと硬い」そうなので、現段階ではあまり無理はできません。スケジュールはとくに決めず、馬に合わせて行くようです。父メジロベイリーはサンデー産駒で朝日杯3歳S(G1)の勝ち馬。ウィードパワーは父が青森繋養時代に送り出した最後の世代の1頭で、現1歳世代は日高に移ってからの産駒です。母の父が Holy Bull、2代母の父が Danzig で、ラディガ≒Tom Rolfe 4×4ですから、ダート向きのパワータイプ。ちょっと硬いというのも分かります。

★初戦は2着と敗れたものの、2戦目のルーキーチャレンジ(門別ダ1200m)を勝ち上がったイブニングラッシュ(父ワイルドラッシュ)は、社台の地方競馬オーナーズの所有馬です(名義は吉田照哉氏)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106008/

「イッシンドウタイあたりよりは上」とのこと。イッシンドウタイ(父スズカマンボ)は翌週のアルデバラン賞(門別ダ1200m)を勝って2勝目を挙げた馬です。父ワイルドラッシュはトランセンド、クリールパッション、クラーベセクレタなどダートの猛者を次々と送り出しています。Graustark 5×4はクリールパッションとまったく同じで、クラーベセクレタやヒシウォーシイが持つ Graustark≒His Majesty 5×5ともよく似ています。ワイルドラッシュ産駒はここが大きな配合上のポイントなので期待できると思います。

2011年6月29日 (水)

愛ダービーは Treasure Beach

日本時間の日曜夜に行われた愛ダービー(G1・芝12f)は、1番人気に推された女王陛下の Carlton House が4着に敗れ、2番人気の Treasure Beach が優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Zni3eJyhPmU

Carlton House がゴール前で伸びあぐねたのは意外でした。出遅れて位置取りが悪くなったのが痛かったですね。このほか考えられる敗因は、遠征によるコンディション面と、距離適性でしょうか。

カラ競馬場の12ハロンで行われる愛ダービーは、エプソムで行われる英ダービーよりも、コースの高低差はありませんし、勝ちタイムも速いので、イージーなレースと見られがちですが、じつはそうではありません。エプソムは、スタートしてから半マイルあたりまでがきつい上り坂で、残りはほぼ水平か下り坂がほとんど。したがって、スローペースで序盤の上り坂の部分を乗り切ってしまえば、案外ごまかしがきくという面があります。しかし、カラ競馬場は、ゆるやかながら全体的に上りの部分が多く、3ハロンほどある最後の直線もずっと上り。スタミナのない馬はごまかしがきかず脱落してしまいます。

たとえば、本質的に10ハロンがベストだった Sir Ivor は、英ダービーこそ勝ったものの、愛ダービーでは「Ribot×Hyperion」という血統のリベロにやられました。父がスプリンター血統だったドクターデヴィアスも、同様に英ダービーを制したあと、愛ダービーでは Ribot 系のスタミナ血統馬 St.Jovite に12馬身離される完敗を喫しました。ドクターデヴィアスは、芝10fの愛チャンピオンSでは St.Jovite に雪辱を果たしています。

Carlton House の配合を見てスタミナがないとは思えないのですが、最後の追い比べで脚が上がったことを考えると、10ハロンぐらいがベストかもしれない、という可能性は考えられます。その場合は父方のMr.Prospector 系が強く出ているということでしょうか。仕切り直していいレースを見せてくれることを期待したいですね。

勝った Treasure Beach は Galileo 産駒。今年の春は欧州クラシック戦線で Galileo 旋風が吹き荒れました。現時点でタイトルは6つ。まだ愛オークス(7月17日)が残っているので、さらに上積みする可能性があります。

・Frankel(英2000ギニー)
・Golden Lilac(仏1000ギニー、仏オークス)
・Roderic O'Connor(愛2000ギニー)
・Misty for Me(愛1000ギニー)
・Treasure Beach(愛ダービー)

Treasure Beach は英ダービー2着のあとここに臨んでいました「Sadler's Wells 系×Darshaan 系」というニックス配合。今年の英ダービー馬 Pour Moi と同パターンです。
http://www.pedigreequery.com/treasure+beach3

エイダン・オブライエン調教師は6年連続9回目の愛ダービー制覇。Galileo 産駒は07年の Soldier of Fortune、10年の Cape Blanco に次いで3回目の制覇。ここ5年間は Galileo か Montjeu の子しか勝っていません。つまり Sadler's Wells 系の5連覇です。ごまかしのきかないタフな12ハロンで底力を発揮するのが Sadler's Wells 系の持ち味です。

2011年6月28日 (火)

鋭く抜けたニンジャ

■土曜中山5Rの新馬戦(芝1200m)は、好スタートから逃げた◎エクセルシオール(2番人気)が押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=wUk2gCaKuR4

予想は◎△△で馬単2870円、3連単21280円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎エクセルシオールは『エクシードアンドエクセル×ザフォニック』という組み合わせ。母メイビーフォーエヴァーはサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)の勝ち馬。父イクシードアンドエクセルはオーストラリアで短距離G1を2勝するなど12戦7勝の成績を残し、種牡馬としても成功している。先日、英アスコット競馬場で行われた2歳牝馬によるクイーンメアリーS(英G2・芝5ハロン)を、同産駒のベストタームズが制した。仕上がりの早さとスピードに関して優れたものを伝えている。稽古の動きからもここは勝ち負け濃厚。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102680/

6月14日のエントリー「セントジェームズパレスS展望」でちょっと触れたことがあります。こういう条件は得意でしょう。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/post-574a.html

ゲートが開いてからのスピードの乗りがいいですね。母は芝1000mの重賞勝ち馬ですから距離は短いほうがいいと思います。小回りコースの短距離戦なら安定して走れそうです。

■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1400m)は、3番手追走の△ニンジャ(4番人気)が3馬身半突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=WbYZWozXup0

宮徹厩舎といえば、今年の2歳にモルトフェリーチェ(父ディープインパクト、母レンドフェリーチェ)という評判馬が控えています。今季はスペリオビーンが3着、本馬が1着と好調な出足です。

ニンジャは、この日のメインレース宝塚記念を制したアーネストリーと同じグラスワンダー産駒。同産駒は全国の競馬場のなかで阪神芝コースを最も得意としており、連対率21.2%と抜群の成績です(同産駒の芝連対率は13.9%)。今開催は〔3・2・0・2〕ですから手が付けられません。

ニンジャは「グラスワンダー×アドマイヤベガ」という組み合わせ。グラスワンダー×サンデーサイレンス(アドマイヤベガの父)の組み合わせは、スクリーンヒーロー、サクラメガワンダー、セイウンワンダー、シルクアーネストなどが出ているニックスです。「グラスワンダー×アドマイヤベガ」はこれに近いので悪くないでしょう。アドマイヤベガに含まれるトニービンはアーネストリーの母の父です。

2代母ブリッジオブラブは、ラムタラとフォーティナイナーの全姉との間に誕生しているので、やや硬さを感じさせます。したがって、母の父アドマイヤベガの柔らかさは芝向きの瞬発力を生み出す上で効果があるでしょう。グラスワンダー産駒は新馬戦の成績がイマイチなのですが、ここではモノが違いました。いい勝ちっぷりだったので次走が楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101652/

2011年6月27日 (月)

宝塚記念はアーネストリー

レースが終わった瞬間「Roberto だなぁ」と思いました。切れはないけれど粘り強く、スピードの持続力に優れ、ハマれば無類の底力を発揮する。これが Roberto の特徴です。今回の△アーネストリー(6番人気)はまさに Roberto 的なレースをしました。
http://www.youtube.com/watch?v=WvU1yGqvHZQ

6歳のG1未勝利馬に◎は打ちづらかったのですが、佐藤哲三騎手は「まだ本格化に入ってやっと初期の段階」と語っており、伸びシロは十分あるようです。ここまでの器だとは思いませんでした。カンパニーのような晩成型でしょうか。

宝塚記念は切れ味勝負にはなりづらく、過去10年(重・不良を除く)の上がり3ハロンの平均は36秒0。同じドリームレースの有馬記念も似たような傾向があり、持続力に秀でたしぶといタイプがしばしば台頭します。ですから、両レースとも Roberto、Ribot、Sadler's Wells といった血を持つ馬がよく好走しています。

アーネストリーの父は99年の宝塚記念を制したグラスワンダー。その2代父が Roberto です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105410/

グラスワンダーが小回りや内回りコースで見せた冴えは、それは見事なものでした。Roberto 系に、これまた持続型の Danzig と Ribot が入っているので、前述の Roberto 的な特徴が強化されています。

今回は最初の5ハロン通過が58秒7というよどみない流れ。これを2番手で追走し、早め先頭に立つという競馬。後続になし崩しに脚を使わせる展開なので、とくに瞬発力タイプの馬にとってはキツくなります。同じく佐藤哲三騎手が騎乗して優勝(04年)したタップダンスシチーも、レース途中で先頭を奪うという競馬でした。アーネストリーは「Roberto 系×トニービン」で、これは皐月賞馬ヴィクトリーと同じ。ヴィクトリーが勝った皐月賞も似たような競馬でした。アーネストリーは切れ味勝負に強いサンデーサイレンスの血を持っていません。サンデー系に属すライバルたちの持ち味を消すには、タフな持続力競馬に持ち込むのが近道です。

グラスワンダーが勝った宝塚記念の2着馬はスペシャルウィーク。今回の2着馬ブエナビスタはスペシャルウィークの娘なので、グラスワンダーとアーネストリーは宝塚記念を親子2代で制覇すると同時に、スペシャルウィークとブエナビスタの親子をこの舞台で2代にわたって破ったことになります。

○ブエナビスタ(1番人気)はこれでドリームレース(宝塚記念、有馬記念)で4戦連続2着。長い直線を必要とする瞬発力型なので、持続型が台頭しやすい小回りコースや内回りコースで詰めを欠く、というのはある種の必然でしょう。今回は一度叩いたにしては良化度がイマイチ。前走比+12キロの馬体重も微妙でした。そんな状況で、強引にマクリを打って2着を確保したのはさすがとしか言いようがありません。

◎ルーラーシップ(2番人気)はブエナビスタと似たような競馬をして5着なので、言い訳のできない敗戦です。目に見えない前走の疲れが残っていたかもしれませんが、このあたりは分かりません。G1でも好勝負できるほどの力を付けていると判断したのですが、そうではありませんでした。横山典弘騎手によれば「良化途上」とのことですから、秋になればもっと成長しているでしょう。

2011年6月25日 (土)

女王陛下の Carlton House(後)

Carlton House の父 Street Cry は、ゴドルフィンの持ち馬としてドバイワールドC(首G1・ダート10f)を制しました。母は愛オークス馬 Helen Street、自身の全姉の子に Shamardal がいるという良血。種牡馬としても Zenyatta、Street Sense など多数の一流馬を送り出し、大成功を収めています。Mr.Prospector 系ではありますが、母方の影響でスタミナと底力が強化されています。

Carlton House 自身の配合的ポイントはふたつあります。ひとつは、Riverman≒Mill Reef 4×3。

     ┌ Never Bend
Riverman ┤   ┌ Princequillo
     │ ┌○┤ ┌ Count Fleet
     └○┘ └○┘

     ┌ Never Bend
Mill Reef ┤ ┌ Princequillo
     └○┤ ┌ Count Fleet
       └○┘

これは定番ですね。

もうひとつは、ヴィクトワールピサと配合構成が似ていること。
http://www.pedigreequery.com/carlton+house2
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/

             ┌ Machiavellian
           ┌○┤
           │ └○┐
Carlton House ――――┤   └○┐
           │     └ Boulevard
           │ ┌ Bustino
           └○┘

           ┌○┐
           │ └○┐
ヴィクトワールピサ ―┤   └○┐
           │     └ Boulevard
           │ ┌ Machiavellian
           └○┤ ┌ Bustino
             └○┘

ヴィクトワールピサは Boulevard≒Sans Le Sou 4×5ですが、配合的な骨格が似ている Carlton House は、同じクロスを4×4で持っています。Sans Le Sou は Busted の母です。
http://www.pedigreequery.com/boulevard
http://www.pedigreequery.com/sans+le+sou

           ┌ Fair Trial
         ┌○┘
       ┌○┤ ┌ Portlaw
Boulevard ――┤ └○┘
       │ ┌ Wild Risk
       └○┘

         ┌ Wild Risk
       ┌○┘ ┌ Fair Trial
Sans Le Sou ―┤ ┌○┘
       └○┤ ┌ Portlaw
         └○┘

Sans Le Sou は、母 Talented の血統構成において重要な役割を果たしています。High Top の母 Camenae がまったく同じ「ヴィミー×Court Martial」なので、Sans Le Sou≒Camenae 3×4という組み合わせのクロスを形成しています。

       ┌ ヴィミー
Sans Le Sou ―┤ ┌ Court Martial
       └○┘

       ┌ ヴィミー
Camenae ―――┤ ┌ Court Martial
       └○┘

このあたりは望田潤さんが少し前にブログで指摘されています。5月3日のエントリー「デインヒル丸出しで突進する Frankel」の後半部分をご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/3c5467a2d494f1e743f89dd41debfe55

「組み合わせのクロス」については笠雄二郎さんの『血統論』に詳述されています。ビギナーの方にも分かりやすく配合パターンや血統用語などを解説した好著ですので、ぜひ1冊お手元に置かれることをお勧めいたします。
http://www.miesque.com/c00001.html

母 Talented において配合上のキーポイントとなっている Sans Le Sou を、父方の Boulevard によってさらに強化しているのですから、Carlton House は配合的によく出来ています。

ヴィクトワールピサと Carlton House は、使っている血も配合のポイントもよく似ています。ちなみに、ネオユニヴァース産駒のダービー馬ロジユニヴァースも、ヴィクトワールピサと同じく母方に Machiavellian と Busted(6代目)を持っています。配合のポイントは同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/

Carlton House とヴィクトワールピサは、両者このまま順調にいけば凱旋門賞で対決が実現するでしょう。もちろん、Carlton House は愛ダービーで負けているようでは凱旋門賞出走はおぼつかないので、ここはスッキリ勝ってほしいところです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月24日 (金)

女王陛下の Carlton House(前)

宝塚記念の当日夜、アイルランドのカラ競馬場では愛ダービー(G1・芝12f)が行われます。

1番人気に推されているのはエリザベス女王の所有馬 Carlton House(父 Street Cry)。ブックメーカー各社の単勝オッズは2.5倍前後です。周知のとおり、アイルランドとイギリスとの間には、長年にわたる政治的な問題が横たわっているのですが、先月、エリザベス女王はイギリスの君主として100年ぶりにアイルランドを訪問しました。その雪解けムードを加速させる遠征となりそうです。ただし、テロには十分気を付けてほしいものです。

前走の英ダービーは、直前になって左前肢に不安が出たことと、レース中の落鉄が響きました。個人的にはいちばん応援していた馬なので3着という結果は残念でした。
http://www.pedigreequery.com/carlton+house2

とにかく配合が綺麗ですね。母 Talented は「Bustino×Mill Reef」。これだけで惚れてしまいます。Busted(Bustino の父)と Mill Reef は、70~80年代にイギリスで繋養された最高クラスの種牡馬です。相性も悪くなかったため、この組み合わせはしばしば目にします。英ダービーを勝った Reference Point(84年生)と Shaamit(93年生)は、配合構成がきわめてよく似ているのですが、その中核を成しているのが Busted と Mill Reef です。
http://www.pedigreequery.com/reference+point
http://www.pedigreequery.com/shaamit

        ┌ Mill Reef
Reference Point ┤ ┌ Habitat
        └○┤ ┌ Busted
          └○┘

          ┌ Busted
        ┌○┘
Shaamit ――――┤ ┌ Habitat
        └○┤ ┌ Mill Reef
          └○┘

このほか、Talented と逆配合の「Mill Reef×Bustino」には、サンタラリ賞(仏G1)を勝ち凱旋門賞(G1)でも2着となった名牝 Behera がいます。同馬は昨年のパリ大賞典(仏G1)の勝ち馬 Behkabad の2代母となりました。(続く)
http://www.pedigreequery.com/behkabad

2011年6月23日 (木)

サクラバクシンオーのニックス配合、コスモメガトロン

日曜函館5Rの新馬戦(芝1200m)は、○コスモメガトロン(3番人気)が2番手追走から先頭に立ち、後続に3馬身半差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=njpzQxRY_2k

1分09秒7という時計は、函館の新馬戦としては相当優秀なのですが、同日の最終レース(1000万特別)に1分08秒0というレコードタイムが出ています。開幕週特有の速い馬場でした。

サクラバクシンオーは Nijinsky とニックスの関係にあります。シーイズトウショウ、ショウナンカンプ、サンダルフォン、メジロマイヤー、ブルーショットガン、スプリングソング、エイシンツルギザン、デンシャミチなど多くの重賞勝ち馬が出ています。

本馬の母の父はマルゼンスキー(その父 Nijinsky)なのでこのパターンに当てはまります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101873/

先週は、出石特別(阪神芝1400m)のエーシンダックマン、基坂特別(函館芝1200m)のシシャモチャンと、この配合パターンの馬が2頭特別を勝ちました。サクラバクシンオー産駒はもともと函館競馬場で強いのですが、母方に Nijinsky を持つ馬はこの傾向がさらに強まり、芝連対率は32.2%。手が付けられない強さです。

2代母ダイアナソロンは桜花賞馬。ただし、2代母の父パーソロンはサクラバクシンオーとの相性がイマイチです。サクラバクシンオーが好むのは、Nijinsky のような雄大な馬格を伝えるやや硬めのアメリカ血統か、Hyperion の影響を強く受けた重厚なヨーロッパ血統です。素軽くて柔らかいパーソロンはもうひとつフィットしません。

母方にパーソロンが入ったサクラバクシンオー産駒で最も出世したのは京王杯2歳S(G2)を制したデンシャミチ。デンシャミチは母の父がマルゼンスキーなのでコスモメガトロンと配合構成がそっくりです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003109318/

          ┌ サクラバクシンオー
コスモメガトロン ―┤ ┌ マルゼンスキー
          └○┤ ┌ パーソロン
            └○┘

          ┌ サクラバクシンオー
デンシャミチ ―――┤ ┌ マルゼンスキー
          └○┤
            └○┐ ┌ パーソロン
              └○┘

サクラバクシンオーとパーソロンの関係を通して配合を眺めると、マルゼンスキーのような血を入れることで足りないものを補っていることが分かります。これまで母ダイアナチェリーはサクラバクシンオーとの間に2頭の牝馬を産み、どちらも成績は振るいませんでした。コスモメガトロンは三度目の正直といったところでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月22日 (水)

器と適性、どちらを重く見るか?

■土曜中山の新馬戦(芝1200m)は、▲スマイルゲート(1番人気)が2番手から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=DxlROPxzndE

新馬戦で悩まされるのは「器」と「適性」のどちらを重く見るか、ということ。一度も走っていない馬の適性を云々するのはおかしな話ですが、あくまでも血統的な適性です。

スマイルゲートはスマイルジャック(重賞3勝)の全妹です。その一方で、タニノギムレット産駒の中山下手は知られるところであり、中山の芝新馬戦は連対率8.3%(36戦3連対)と酷い成績です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105484/

スマイルジャックの全妹という「器」を取るか、タニノギムレット産駒の中山苦手という「適性」を取るか、しばし迷うところではあります。新馬戦は出走馬の実力差が大きいレースなので、この場合、わたしは7割ぐらいの確率で「器」を重視します。しかし、このレースでは残り3割の確率に賭けて失敗しました。▲に落としたスマイルゲートは危なげなく快勝。代わりに本命に推した◎ジェイケイヒーロー(4番人気)は11着。裏目を食ったレースは見ていてトホホ……という気分になります。

適性があるとはいえないコースでいきなり勝ち上がったのですから、2戦目以降も楽しみです。

■日曜中山の新馬戦(芝1600m)は、△クイーンアルタミラ(6番人気)が中団から鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=2_Bvh0G-5JI

このレースも適性重視。今度は逆にそれが功を奏しました。2着に食い込んだ◎ミヤコマンハッタン(7番人気)が本命で、評判馬マイネルアトラクト(1番人気)は▲に下げました。予想は△◎で馬連8770円的中です。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ミヤコマンハッタンは『マンハッタンカフェ×ドクターデヴィアス』という組み合わせ。父マンハッタンカフェは中山芝1600mの新馬戦で強く、連対率34.8%、単勝回収率120%という成績を残している。アレッジドのクロスを持つマンハッタンカフェ産駒なのでショウナンマイティと同じパターン。短距離では忙しいがマイル戦なら力を発揮できる。一発があっても不思議はない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100373/

雨の影響が残る馬場だったので、コース適性に加え、パワーを伝える Alleged クロスがよかったと思います。

勝ったクイーンアルタミラは「バゴ×コマンダーインチーフ」で、母方の奥には力強いチャイナロックがあります。こちらもパワー満点ですね。中山芝1600mは外枠が不利なのですが、この馬は12頭立ての11番枠から出て差し切り勝ち。いいものを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104270/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月21日 (火)

ダイワメジャー産駒が新馬戦でワンツー!

開幕週の注目新馬戦といえば阪神芝1600m戦。今年は新種牡馬ダイワメジャーの子が1、2着しました。後続を4馬身引き離しているので力が抜けていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=G7zTVSycwyU

勝った▲ダローネガ(2番人気)は2番手追走から直線で先頭に立ち、○エピセアローム(3番人気)の追撃をクビ差抑えました。馬連1290円的中。

レース後、検量室前へ行くと、佐々木晶三調教師が満面の笑みでやってきて、「だから走ると言ったダローガ」と、馬名をひっかけた軽口を飛ばしてゴキゲンなご様子。「調教でもビビリ入ってたし、差されるかと思ったよ。このあとは放牧。間に合えば新潟2歳Sあたりかな。球節がモヤっとしていたし、長い目で見たい馬だね。そのほうがいいダローネ」と、最後もシャレで締めくくり、終始ニコニコ顔でした。

「ダイワメジャー×ホワイトマズル」という組み合わせで、母カメリアローズはフェアリーS(G3)4着馬。母の父ホワイトマズルはサンデーサイレンスと相性抜群です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106109/

そのニックスの核となっているのは、サンデーに含まれる Halo とダンシングブレーヴに含まれる Drone でしょう。これについては昨年11月9、10日のエントリー「Halo≒Sir Ivor≒Drone(前・後)」をご参照ください。

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

ちなみに、ホワイトマズル牝馬はアグネスタキオンと好相性で、これについては昨年1月24日のエントリー「アグネスタキオン×ホワイトマズル」に記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-33fe-1.html

今回勝ち上がったダローネガの配合を見て、「ダイワメジャー×ホワイトマズル」もなかなかおもしろいのではないか、と思いました。ダイワメジャーは Hail to Reason≒Consentida 3×3が配合上のポイントのひとつだと思います。

           ┌ Royal Charger
         ┌○┘
Hail to Reason ―┤ ┌ Blue Swords(≒Bee Mac)
         └○┤ ┌ Sir Gallahad(=Bull Dog)
           └○┘

             ┌ Bull Dog(=Sir Gallahad)
           ┌○┘
         ┌○┤
Consentida ―――┤ └ Bee Mac(≒Blue Swords)
         │ ┌ Royal Charger
         └○┘

ホワイトマズルの父の母 Navajo Princess は、Consentida の配合構成の主要部分、Beau Max、Royal Charger、Mahmoud をしっかり押さえてあります。前述のとおりダイワメジャーは Hail to Reason≒Consentida 3×3なので、Consentida の構成要素を強化する配合は悪くないはずです。「ダイワメジャー×ホワイトマズル」が有効な配合なのかどうか、今後も監視して行きたいと思います。

種牡馬ダイワメジャーは最高のスタートを切りました。先週は3頭出走して1、2、6着。まだサンプルが少ないので、先週の結果をもって結論めいたことは語れません。良馬場だったとはいえ前日からの雨の影響は残っていました。そんな馬場が合っていたという見方もできます。楽しみな種牡馬であることは間違いないので、今後も1頭ずつしっかりチェックしていきたいですね。

2011年6月20日 (月)

マーメイドSはフミノイマージン

マーメイドSが毎年荒れるのは、抜けた馬がいないメンバー構成のハンデ戦だからです。しかし、終わってみれば、▲フミノイマージン(2番人気)の力が抜けていましたね。想像以上に馬が強くなっていました。
http://www.youtube.com/watch?v=vm7EIvMtrBM

3歳時からオークスに出走するなど、それなりの素質を垣間見せてはいましたが、骨折による長期休養があり出世が遅れていました。5歳を迎えてのこの上昇ぶりは母の父 Dixieland Band の影響だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105593/

現役時代の Dixieland Band はアメリカでG2を勝った程度で、当初は種牡馬としてもそれほど期待された存在ではありませんでしたが、アスコットゴールドC(英G1・芝20f)2連覇のドラムタップスを皮切りにコンスタントに活躍馬を送り出し、やがて名種牡馬と評価されるに至りました。
http://www.pedigreequery.com/dixieland+band

母 Mississippi Mud は Alibhai 3×4、その父 Hyperion 4×4・5。Hyperion は底力、成長力、スタミナといった要素を伝えます。こうした血を受けた Dixieland Band は重厚さが前面に出ています。

こうしたタイプが母の父として成功する伝統がアメリカにはあります。スピードタイプの種牡馬が多いので、「スピード×スタミナ」という成功パターンを量産できるからでしょう。Princequillo とその系統、Ribot とその系統が典型例です。
http://www.pedigreequery.com/mississippi+mud

傾向どおり Dixieland Band は母の父としてきわめて優秀です。04年には米リーディングブルードメアサイアー(母の父ランキング首位)に輝いています。6月11日のエントリーで取り上げた Street Sense も母の父が Dixieland Band でした。日本ではデルタブルース、アメリカンボス、アクシオン、ブラックバースピン、サブジェクトなどがこのパターンで、レッドデイヴィス(シンザン記念、毎日杯)は2代母の父にこの血を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103389/

フミノイマージンの配合については、4月24日のエントリー「福島牝馬Sはフミノイマージン」で解説しています。よろしかったらご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-dcbe.html

WIN5は4レース的中でハズレ。難易度はこれまでの回に比べて格段に低かったと思いますが、それでもあと一歩届かないのが難しいところですね~。ただ、頭数がそろわない夏のローカルで、一度ぐらいは当てられそうな予感はしました。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月18日 (土)

新馬戦開幕日は新種牡馬に注目

出馬投票が行われるのは毎週木曜日。その日の夕方4時台には「TARGET frontier JV」で出走馬を確認することができます。

3月半ばから3ヵ月間は新馬戦がないのですが、ようやく今週から新たなステージが始まります。木曜日の夜に新馬戦出走馬の配合をチェックする生活が戻ってくると、なんとなくホッとするというか、また楽しい1年が始まるという高揚感で身が引き締まります。栗山求の新馬戦予想は「ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト」で見ることができます。
http://www.blood-b.com/

例年に比べて今年は、物凄い調教タイムを叩き出した馬もなく、いつになく穏やかな滑り出しという印象ですね。新馬戦開幕日はなぜか新種牡馬の子が毎年活躍しています。新馬戦が3場同時開幕となった02年以降の9年間で、新種牡馬の子が勝てなかった年はわずか2回しかありません。昨年は3レース中2レースを新種牡馬の子が制しました(スニッツェルとスズカマンボ産駒)。

今年は以下の新種牡馬4頭が計5頭の産駒を開幕日に走らせます。

・ケイムホーム(2頭)
   サンレイホーム(函館5R)
   フランスギャル(中山5R)
・スタチューオブリバティ
   スリーリバティ(中山5R)
・フォーティナイナーズサン
   ハルピュイア(中山5R)
・アサクサデンエン
   ビゼンファイト(阪神5R)

函館5R(芝1000m)に出走するサンレイホームにはそこそこ印がついていますが、それ以外はほとんど真っ白です。これで勝ったら「新馬戦開幕日は新種牡馬の子が強い」というジンクスはかなり強力なものになります。

開幕週の注目レースといえば、毎年大物がデビューすることで知られる阪神の芝マイル戦。日曜日の第5Rに組まれています。ここには新種牡馬ダイワメジャーの子が2頭スタンバイ(エピセアローム、ダローネガ)。今年の新種牡馬戦線の大本命馬ですから、産駒がどんなレースを見せてくれるのか興味津々です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106109/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月14日 (火)

セントジェームズパレスS展望

同じ3歳のリアルインパクトが安田記念を制し、グランプリボスのイギリス遠征がいっそう盛り上がってきました。海外遠征、とくに欧米などの遠隔地で戦う場合は、馬場やレーススタイルが違う上に、対戦する馬との力量比較がつかず、体調維持も難しいわけですから、負けてもともとです。

今回出走するセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)には Frankel という怪物が出走します。当ブログでは過去のエントリーでたびたび取り上げているのでご参照くさだい。

★Frankel 今季緒戦を快勝(4月17日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/frankel-b005.html
★衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝(5月1日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/frankel-0437.html
★活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」(5月26日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/galileo-d5ba.html

死角は折り合いだけ。といっても前走の英2000ギニーは、ペースメーカーを追い越して暴走したにもかかわらず6馬身差圧勝です。今後のことを考えて今回はペースメーカー役の Rerouted を先に行かせ、なんとしても抑える競馬を試みるでしょう。折り合いがつけば敵はないと思います。もし仮に前走で暴走癖がついてしまい、アンコントローラブルとなった場合にのみ付け入る隙が出てきます。

それを衝く筆頭候補は Excelebration でしょう。現在ブックメーカー各社のオッズでは2番人気となっています。休み明けの前々走グリーナムS(英G3・芝7f)は Frankel から4馬身差の2着。着差は大きいのですが競馬にはなっています。3着以下はさらに6馬身離されています。
http://www.youtube.com/watch?v=1nptRQkCaYk

前走の独2000ギニー(G2・芝1600m)は7馬身差で圧勝。ゴール前の決め手は強烈です。走りっぷりを見るとグリーナムSより重心が下がり、首の使い方もよくなって、明らかにフットワークが変わっていました。相手が弱かったのは確かですが、ハマれば一発があっても不思議はないという気にさせられます。
http://www.youtube.com/watch?v=l0S2KwXTPiE

父 Exceed and Excel はオーストラリア産馬。現役時代にドバイレーシングクラブC(豪G1・芝1400m)、ニューマーケットH(豪G1・芝1200m)を含めて12戦7勝。オーストラリアの芝短距離のレベルは世界一なので、この実績は信頼できます。堅い馬場で決め手が活きる展開になればあるいは……といったところです。
http://www.pedigreequery.com/excelebration

ちなみに Exceed and Excel 産駒は、2歳世代に現時点で2頭登録があり、そのうちの1頭エクセルシオール(美浦・池上昌弘厩舎)は今週土曜日の中山新馬戦(芝1200m)でデビューします。モハメド殿下の所有馬で、母メイビーフォーエヴァーはサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)の勝ち馬。それなりの血統背景を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102680/

グランプリボスにとって懸念材料は馬場状態。12日(日)にロンドンでは8ミリの雨が降りました。13日は天候が回復し、レース当日の14日もおおむね晴れるだろうという予報です。同じくロンドン近郊に位置するウインザー競馬場は、現時点(13日の第1レース)で稍良(Good)、ところにより稍重(Good to soft)という状態です。14日まで晴れ続けるとするなら、稍良か、うまくいけば良(Good to firm)まで回復するかもしれません。

もとより日本に比べてタフな馬場ですから、水を含んでスタミナが要求されるとさらにハードルが高くなります。なるべく乾いてほしいところです。冒頭に記したように負けてもともと。チャレンジャーですから失うものなどありません。現在、ブックメーカー各社のオッズは9頭中6番人気ぐらい。存分に暴れてきてほしいですね。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月13日 (月)

エプソムCはダークシャドウ

抜け出すときだけ本気を出して、セーフティリードを奪うと、あとは流して楽勝。◎ダークシャドウ(1番人気)の力は2着以下と二階級ぐらい違っていました。この脚力はG1級ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=j9dG9qpaQqo

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ダークシャドウは『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、2代母ユーセフィアがスピードタイプの名種牡馬グリーンデザートの全妹という良血。半兄にユノナゲット、ダノンブライアン、チョイワルグランパという活躍馬がいる。母方に速いアメリカ血統を入れ、ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4というクロスを持っているため、ダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがある。前走後、トモに違和感があり休ませたとのことだが、超ハイレベルだった大阪杯2着馬であり、ここに出てくる以上は勝ち負けになるデキと考えたい。能力的には抜けている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

父ダンスインザダークはPOG界ではほとんど空気に近い存在となっています。じっさい、3歳春までに活躍する産駒はほとんど見られません。わたしもPOGでは取ろうという気にはなりませんが、好きか嫌いかでいえば割と好きです。配合による絞り込みがしやすいというのも理由のひとつです。10月24日のエントリー「ダンスインザダークの配合的核心」ではその一端を述べました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-599e.html

ダンスインザダークの母ダンシングキイは、似たような構成のアメリカ血統が幾重にも重ねられており、この特殊な凝縮が繁殖牝馬として成功した要因だと思います。この部分を刺激する配合はいいですね。スピードタイプとして成功したダンスインザダーク産駒はたいていこのパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0062c2/

予想文に「Dinner Partner≒Buckpasser 5×4」とありますが、ダンシングキイは Flaming Page≒Dinner Partner 2×3なので、「Flaming Page≒Buckpasser 4×4」としても構いません。Raise a Native、Flaming Page、Buckpasser など、ダンシングキイの核心部分を刺激する血はどれも好相性です。

ダークシャドウの母方には Raise a Native-Mr.Prospector が入っていないので、マルカフェニックスやダノンヨーヨーほどスピードタイプに傾いておらず、戦績どおり中距離ベストです。

このあとは休養に入り、秋は毎日王冠から天皇賞・秋、というローテーションが有力のようです。

ダークシャドウの半弟にあたる2歳馬(父ハーツクライ)は、栗山ノートのハーツクライ編で真っ先に取り上げた馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105977/

もはや名繁殖牝馬と呼んで差し支えない母マチカネハツシマダは、Iron Reward≒Tulle 5×4、Menow≒Athenia 5×5など凝ったクロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108850/

       ┌ Beau Pere
Iron Reward ―┤ ┌ War Admiral
       └○┤
         └ Betty Dear

       ┌ War Admiral
Tulle ――――┤ ┌ Beau Pere
       └○┤
         └ Betty Dear

     ┌ Pharamond
Menow ――┤
     └ Alchbiades

     ┌ Pharamond
Athenia ―┤
     └○┐
       └ Alchbiades

名馬を近親に持ち、なおかつ配合的な意匠を凝らした牝馬はいいですね。競走馬としてはイマイチでも繁殖に上がってから楽しめます。

2011年6月11日 (土)

水曜日の栗東坂路1番時計ストリートハンター

早いもので来週から2歳戦が始まります。2歳馬の調教もだんだん熱を帯びてきました。今週水曜日の栗東坂路1番時計は角居勝彦厩舎のストリートハンター。父 Street Sense の持ち込み馬で、馬主はサンデーレーシングです。

netkeiba の5代血統表が間違っているので(2代母の血統内容)、父母それぞれの血統表を示します。
http://www.pedigreequery.com/street+sense
http://www.pedigreequery.com/quick+little+miss

Street Sense の子、というと軽い驚きがあります。Street Sense は日本でいうところのウオッカ世代で、ついこの前まで走っていたような気がします。同馬は史上初めてブリーダーズCジュヴェナイルとケンタッキーダービーをダブルで制した馬です。

ケンタッキーダービーは楽勝。その勝ちっぷりと堂々たるクラシック血統を見て、思わず旅行代理店に電話を掛けました。そして、ニューヨーク行きのチケットとホテルを押さえました。三冠の最終関門ベルモントSを観戦するためです。Street Sense は三冠を達成するだろう、Affirmed 以来久々の米三冠馬誕生の瞬間はぜひライブで見なければ、というわけです。

ところが、二冠目のプリークネスSでアッサリと2着に敗れ、三冠目のベルモントSは回避。豪快にハシゴを外されました。ベルモントSは仕方なく観に行きましたが、出発前にあれほどテンションが下がった旅は後にも先にもありません。

今年の2歳馬が初年度産駒です。2歳の早い時期に短いところでバリバリ走るような血統ではないので、1番時計はそのまま素質の高さと見ていいと思います。母クイックリトルミスはハリウッドスターレットS(G1・ダート8.5f)の2着馬。構成している血は Freud(Giant's Causeway の全弟)、Unbridled、General Assembly ですからパワー型です。

ストリートハンター自身には Beautillion≒Bramalea 6×6がありますが、それよりもおもしろいのが Shamardal(仏ダービー、仏2000ギニー、セントジェームズパレスS、デューハーストS)と配合構成が酷似していること。
http://www.pedigreequery.com/shamardal

             ┌ Street Cry(=Helsinki)
           ┌○┘
ストリートハンター ―┤ ┌ Freud(=Giant's Causeway)
           └○┘

           ┌ Giant's Causeway(=Freud)
Shamardal ――――――┤
           └ Helsinki(=Street Cry)

デビュー戦はダート1200mを予定しています。目標は全日本2歳優駿でしょうか。芝で緩急のきくタイプではありませんが、自分のペースで走れれば相当な破壊力がありそうです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月10日 (金)

豪州産の大器ランリョウオー

先週の競馬で最も印象に残ったレースは、重賞を除けば土曜東京10Rの湘南S(1600万下・芝1600m)です。好位を追走したランリョウオー(1番人気)は直線で前が壁になり、出しどころを探して馬群のなかでうろうろすること十数秒。ようやく残り1ハロンでバラけた瞬間、ケタ違いの瞬発力で抜け出してきました。イメージ的にはウオッカの安田記念に近いですね。
http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2011/05/201103050510h.asx

前走の紫野特別(1000万下・芝1800m)の勝ちっぷりを見れば、クラスがひとつふたつ違う馬であるのは明らかだったと思います。今回は多頭数の内枠を引き、馬群を捌いてこられるのかという課題があったのですが、能力水準が違っており楽々とクリアしました。

ランリョウオーはオーストラリア生まれの外国産馬。南半球で誕生したので北半球の馬よりも半年ほど生まれが遅く、現在4歳ではありますが実質的には3歳半です。父はオーストラリアの名種牡馬 Redoute's Choice。母はオーストラリアでG1を2勝した名牝 Hollow Bullet(ヴィクトリアオークス、アローフィールドスタッドS)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110121/

血統表を見ていただければ分かるように、母は日本ダービー馬タヤスツヨシの子です。同馬がシャトル種牡馬としてオーストラリアで供用された際、現地の交配によって誕生しました。

ランリョウオーには Redoute's Choice とサンデーサイレンスの組み合わせがありますが、いまのところ両者の関係は良好で、この組み合わせを持つ馬は連対率29.3%、単勝回収率154%と優秀です。

Redoute's Choice とサンデーサイレンスの関係については、3月8日のエントリー「サンデーと Redoute's Choice は好相性」で一度触れたことがあります。Halo と Sir Ivor のニックスの効果があるのではないかと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/redoutes-choice-e493.html

社台グループは世界各地から大量の良血牝馬を輸入し、サンデー系種牡馬と交配させています。相性のいい血、そうでもない血、いろいろあると思いますが、Redoute's Choice はよさそうな感触がありますね。ランリョウオーは今年中に重賞を勝つ器でしょう。

2011年6月 9日 (木)

英オークスは Dancing Rain

英ダービーの前日、6月3日に行われた英オークス(G1・芝12f10yds)は、7番人気の伏兵 Dancing Rain が逃げ切りました。うまくペースを落としたムルタ騎手の好騎乗でした。したがって、良馬場(Good)にしては2分41秒73と時計がかかりました。
http://www.youtube.com/watch?v=1lGAhmMG5MM

「Danehill Dancer×Indian Ridge」という部分だけを見ればマイラー、もしくはスプリンターといってもおかしくありません。しかし、母 Rain Flower は英ダービー馬ドクターデヴィアスの4分の3妹です。
http://www.pedigreequery.com/dancing+rain3

             ┌ Ahonoora
           ┌○┘
Rain Flower ―――――┤
           └ Rose of Jericho

           ┌ Ahonoora
ドクターデヴィアス ―┤
           └ Rose of Jericho

最近“ドクターデヴァイス化粧品”というブランドをよく耳にするのですが、これはやはり馬の名前から採られたものでしょうか?

92年に英ダービーを勝った際は驚きました。ケンタッキーダービー→英ダービーというローテーションがまずありえませんでしたし、スプリンターの Ahonoora 産駒であるのも信じがたいことでした。母方に Alleged、Northern Dancer、Sicambre というスタミナ豊かな血が並んでいるので、そちらが強く出たということなのでしょう。

ドクターデヴィアスの半弟シンコウキング(父 Fairy King)は高松宮記念(G1・芝1200m)の優勝馬。Northern Dancer 2×3で、気性的に難しいところのある馬だったので短いところが合っていました。

Dancing Rain は、マイラー型種牡馬の Danehill Dancer と、ドクターデヴィアスの4分の3妹との間に誕生しました。スローペースに落とせば逃げ切ってもおかしくないかな、という印象です。

最近の英オークスは父にスピードタイプを持つ馬が台頭しています。昨年は Intikhab の子(Snow Fairy)が、一昨年は Pivotal の子(Sariska)が勝ちました。どちらも父だけを見ると買いづらいタイプですが、母方からスタミナを補っています。

2着 Wonder of Wonders(2番人気)は4頭出しのオブライエン軍団の1頭。「Kingmambo×Sadler's Wells」というニックス配合(エルコンドルパサー、Virginia Waters、Divine Proportions、Henrythenavigator など成功例多数)に加え、母が Galileo の全妹(つまり Wonder of Wonders は Urban Sea の孫)という超良血。競走馬としても繁殖牝馬としても楽しみな存在です。
http://www.pedigreequery.com/wonder+of+wonders

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月 8日 (水)

仏ダービーは Reliable Man

仏ダービー(G1・芝2100m)は6月5日、重馬場(soft)のシャンティイ競馬場で行われました。勝った Reliable Man は4月12日にデビューしたばかり。過去25年間で2歳戦を使わずに仏ダービーを制した馬はこれで6頭目ですが、キャリア3戦目はナトルーン(87年)と並んで最短、デビュー55日目はナトルーンの32日目に次いで2番目の記録。フランス版フサイチコンコルド、といったところでしょうか。

内ラチ沿いの最後方近くを追走し、最後の直線で馬群を縫って大外に持ち出し、差し切りました。先行馬が潰れるペースであったとはいえ、キャリアの浅い馬がこのような競馬をするのですから評価できると思います。ここ数年の仏ダービー馬はやや冴えなかったのですが、Reliable Man はちょっと違うかも、という期待を抱かせます。戦績はこれで3戦全勝。ジェラルド・モッセ騎手は15年ぶり3回目の仏ダービー制覇。
http://www.youtube.com/watch?v=V6x6Wawldds

父 Dalakhani、2代父 Darshaan はいずれも仏ダービー馬。したがって今回、3代連続で仏ダービー制覇を成し遂げたことになります。いずれもアラン・ド・ロワイエ=デュプレ調教師の管理馬です。2代母 Fair Salinia は英オークス(G1)など3つのG1を制した名牝ですから、なかなかの良血ですね。
http://www.pedigreequery.com/reliable+man

ちなみに、3代父 Shirley Heights、4代父 Mill Reef は英ダービー馬なので、5代連続のダービー父系でもあります。

Mill Reef(英ダービー)
  ↓
Shirley Heights(英ダービー)
  ↓
Darshaan(仏ダービー)
  ↓
Dalakhani(仏ダービー)
  ↓
Reliable Man(仏ダービー)

2代父 Darshaan はアガ・カーン四世殿下のオーナーブリーディングホース。仏ダービーを制したとき2着だったのは Sadler's Wells です。殿下は Darshaan がことのほかお気に入りで、「わたしが好む多くの美点を持った馬である」と評価し、01年に死亡するまで所有する繁殖牝馬に毎年数多く交配させました。重厚でありながら瞬発力もあるという血です。最近の日本の活躍馬ではダノンシャンティに含まれています。
http://www.pedigreequery.com/darshaan

Darshaan の最高傑作は Dalakhani。凱旋門賞、仏ダービーなど9戦8勝の成績を残し、03年のカルティエ賞年度代表馬に選ばれました。
http://www.pedigreequery.com/dalakhani

昨日のエントリーで Sadler's Wells と Darshaan のニックスについて触れましたが、Dalakhani 産駒もこのパターンはよく走っており、これまでに送り出した4頭のG1馬のうち、Reliable Man を含む3頭が Sadler's Wells を母の父に持っています。そのうちの1頭、コンデュイット(BCターフ2回、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)は日本に輸入され、10年からビッグレッドファームで種付けを行っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005190006/

Reliable Man と英ダービー馬 Pour Moi は血統構成がよく似ています。

          ┌ Darshaan
        ┌○┘
Reliable Man ―┤ ┌ Sadler's Well
        └○┘

          ┌ Sadler's Well
        ┌○┘
Pour Moi ―――┤ ┌ Darshaan
        └○┘

今後もこのパターンから一流馬が出てくることでしょう。

父 Darshaan、2代父 Dalakhani はアガ・カーン四世殿下のオーナーブリーディングホースでしたが、Reliable Man は違います。じつは今回の仏ダービーで1番人気に推されていたのは、殿下が所有する Baraan という馬でした。父は Dalakhani。スタートで出遅れてポツンと最後方に置かれるという最悪の競馬ながら、最後は3着まで追い込みました。
http://www.pedigreequery.com/baraan

寵愛した Darshaan の系統が3代連続で仏ダービーを制覇したのは、おそらく殿下にとっても誇らしいことだったと思います。ご自身の所有馬で成し遂げられればなおよかった、といったところでしょう。

早め先頭で2着に粘った Bubble Chic は、社台スタリオンステーションに繋養されているチチカステナンゴの子。9戦1勝(2着7回)と、どうにも詰めの甘い馬です。
http://www.pedigreequery.com/bubble+chic

今回の仏ダービーは1~3着が Nasrullah 系でした。Northern Dancer 系が圧倒的に強いヨーロッパではかなり珍しいことだと思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月 7日 (火)

英ダービーは Pour Moi

欧州ギニー戦線では Galileo 旋風が吹き荒れ、とくに「Galileo×デインヒル」という組み合わせから3頭の勝ち馬が誕生しました。5月26日のエントリー「活躍馬が続出する『Galileo×デインヒル』」に記したとおりです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/galileo-d5ba.html

6月4日の英ダービー(G1・芝12f10yds)、その翌日の仏ダービー(G1・芝2100m)が終わってみると、今度は Sadler's Wells と Darshaan の組み合わせが結果を出しました。今年のクラシック戦線はなぜか似たような配合が頑張る傾向が見られます。

英ダービーを最後方から差し切った Pour Moi(2番人気)はフランス調教馬。英ダービーをフランス調教馬が制するという例は、半世紀ほど前の50~60年代はそう珍しいことではなく、有名なところでは Sea Bird、Relko、ガルカドールなどがそうでした。ただ、このところは久しく絶えており、今回の勝利は76年のエンペリー以来じつに35年ぶりの快挙でした。手綱を取ったバルザローナ騎手は19歳の新鋭です。
http://www.youtube.com/watch?v=s2FAcL6iLMQ

父 Montjeu にとっては、Motivator(05年)、Authorized(07年)に続く3頭目の英ダービー馬。同じ Sadler's Wells 系のライバル Galileo は、マイルのギニー戦線でも成果を挙げていますが、Montjeu はほぼダービー専用。2400mでは安定して強い種牡馬です。すでに愛ダービー馬を3頭送り出しているので、これでイギリスとアイルランドを合わせて6頭目のダービー馬となります。

【英ダービー】
Motivator(05年)
Authorized(07年)
Pour Moi(11年)

【愛ダービー】
Hurricane Run(05年)
Frozen Fire(08年)
Fame and Glory(09年)

Sadler's Wells と Darshaan の組み合わせは定番のニックス。Sadler's Wells 産駒だけでも、High Chaparral、Islington、Milan、Ebadiyla、Yesterday、Greek Dance、Septimus など多くのG1馬が誕生しています。ですから、Pour Moi の配合を見た瞬間、まず最初に“またか”という感想が浮かんできました。
http://www.pedigreequery.com/pour+moi4

Montjeu は2400m向きの重厚なタイプなので、日本の馬場への適性はイマイチです。道悪が上手く、スピードと決め手を欠き、なかにはダートに活路を見出すものもいます。

惜しかったのは女王陛下の愛馬 Carlton House(1番人気)。この中間、脚部にアクシデントが発生し、ようやく出走に漕ぎつけたという状態。それで僅差の3着ですから強いと思います。ヴィクトワールピサと配合構成が似ているので好きなタイプです。このあとの巻き返しに期待です。
http://www.pedigreequery.com/carlton+house2
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月 6日 (月)

安田記念はリアルインパクト

「常識は、敵だ」という皐月賞のCMコピーが脳裏に甦りました。3歳馬がここで勝つという発想はなかったですね~。参りました。リアルインパクト(9番人気)は奇策を弄したわけではなく、真っ向勝負で堂々と勝ったのですから文句のつけようがありません。
http://www.youtube.com/watch?v=0mHpPzalyDc

安田記念がG1に生まれ変わった84年以降、しばらくは3歳馬に出走権が与えられていませんでした。96年に門戸が開放され、昨年まで4頭が挑戦して〔0・0・1・3〕という成績。重賞未勝利のリアルインパクトとは違い、いずれも重賞勝ちの戦績がありました。

96年 ゼネラリスト    14着
97年 スピードワールド  3着
00年 イーグルカフェ   13着
04年 メイショウボーラー 11着

3着に食い込んだスピードワールドは Woodman 産駒の外国産馬。いまだに早熟馬の代名詞として名前が挙がることもあります。2歳時からその能力を含めて古馬のような雰囲気を漂わせていた馬でした。3着といっても3番人気に推されていたので意外性はありませんでした。アメリカ産馬は総じて早い時期に完成します。

米ニューヨーク州のベルモント競馬場で毎年5月末に行われるメトロポリタンH(G1・ダート8f)には、3歳馬も出走することができます。過去50年間で3歳馬が6頭優勝しています。

69年 Arts and Letters
82年 Conquistador Cielo
87年 Gulch
92年 Dixie Brass
94年 Holy Bull
96年 Honour and Glory

ハンデはいずれも50~51キロ。古馬の一流どころが出てくればだいたい56キロぐらいは背負わされるので、安田記念に比べれば3歳馬が若干有利といえるかもしれません。

イギリスでは距離によって3歳と古馬の重量差が異なります。6~7月のG1では、6ハロン戦は3キロ差、8ハロン戦は4キロ差、10~12ハロンは5.5キロ差です。安田記念(芝1600m)の3歳と古馬の重量差は4キロですから、イギリスに習ったのかもしれません。ちなみに宝塚記念(芝2200m)は5キロ差です。

イギリスで7月上旬に行われるファルマスS(G1・芝8f)や7月下旬に行われるサセックスS(G1・芝8f)では、3歳馬がしょっちゅう勝っています。安田記念が6月上旬に行われているといっても、イギリスの例に倣うなら、3歳馬には注意を払うべきでしたね。狭い範囲の常識にとらわれて失敗しました。リアルインパクトの勝利をきっかけに、来年以降、NHKマイルC→安田記念という進路をとる馬が増えると思います。“3歳馬VS古馬”という新しい対抗軸ができればレースはさらに盛り上がるでしょう。

リアルインパクトはディープインパクト産駒。昨年暮れの朝日杯フューチュリティS(G1・芝1600m)で本命を打った馬でした。3歳春に古馬混合マイルG1を勝ったのは、母トキオリアリティーのアシストが大きいと思います。母は「Meadowlake×In Reality」という組み合わせのアメリカ産馬で、距離面に限界のある芝・ダート兼用のスプリンターでした。アメリカ産馬が早い時期に完成するというのは前述のとおりで、また、ディープインパクトは基本的にスプリンター血統と相性が良好です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

母の父 Meadowlake はデビュー戦(ダート6f)で後続を22馬身引き離して勝ち、「Secretariat の再来」と騒がれたスピード馬で、続くアーリントンワシントンフューチュリティ(米G1・ダート6.5f)も9馬身差で圧勝、通算3戦全勝で引退しました。Blue Moon≒Nothirdchance 2×3が配合上のキーポイントです。
http://www.pedigreequery.com/meadowlake

        ┌○┐ ┌ High Time
        │ └○┤ ┌ Man o'War
Blue Moon ―――┤   └○┘
        │ ┌ Blue Larkspur
        └○┤ ┌ Sir Gallahad
          └○┘

          ┌ Blue Larkspur
        ┌○┤ ┌ Man o'War
        │ └○┤ ┌ High Time
Nothirdchance ―┤   └○┘
        │ ┌ Sir Gallahad
        └○┘

Meadowlake の代表産駒はG1を6勝した名牝 Meadow Star。トキオリアリティーと Meadow Star は配合構成が酷似しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1994109536/
http://www.pedigreequery.com/meadow+star

           ┌ Meadowlake
トキオリアリティー ―┤ ┌ In Reality
           └○┤   ┌ My Babu
             │ ┌○┘
             └○┘

           ┌ Meadowlake
Meadow Star ―――――┤ ┌ In Reality
           └○┤
             └○┐ ┌ My Babu
               └○┘

トキオリアリティーは現役時代に3勝し、準OPまで出世しました。繁殖牝馬としてはリアルインパクトのほかにアイルラヴァゲイン(オーシャンS)を出しています。この好成績は Meadow Star と配合構成が似ているという部分が影響しているのではないかと思います。

スタミナ色が強かったエルコンドルパサーを相手にしても、アイルラヴァゲインのようなスプリント職人を産むのですから、トキオリアリティーは頑固なスピードを伝えています。このような繁殖牝馬を相手にマイルG1の勝ち馬を出したディープインパクトは、しっかりとしたスタミナを伝えることのできる種牡馬だと思います。ディープインパクト自身はスタミナに不安のない中距離血統で、ディープインパクト産駒の買いどころは基本的にマイル以上――というのはこれまでたびたび主張してきたところです。オークスとダービーで討ち死にしたのは主に馬場状態の影響であって、距離適性の問題ではないと思います。

リアルインパクト自身は、Nothirdchance≒Blue Moon 5×4・5。母の父 Meadowlake が持つクロスを継続しています。このあたりの血脈構成については2月13日のエントリー「クイーンCはホエールキャプチャ」でも触れておりますのでご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-6544.html

Meadowlake 牝馬はサンデー系と掛け合わせるとこのクロスが生じますが、アメリカ血統と相性のいいディープインパクトの場合、とくに効果が大きかったということでしょう。ディープインパクトは今後、中・長距離のビッグレースで活躍する馬をたくさん出すでしょうし、マルセリーナとリアルインパクトによってマイル戦でもまったく問題ないところを示しました。奥の深い種牡馬です。

○ストロングリターン(5番人気)は2着。石橋脩騎手の追いっぷりが凄かったですね。勝ち馬にクビ差まで迫ったのですから負けたのは勝負のアヤ。大健闘といえる内容でした。完全に本格化しています。前にも記したとおり元POG所有馬なのでこのところの活躍は嬉しいかぎり。

▲アパパネ(1番人気)は6着と掲示板を外しました。単勝2.2倍というオッズはちょっとかわいそうな気もしました。蛯名騎手は目に見えない疲れを敗因に挙げています。

◎ダノンヨーヨー(2番人気)は出遅れ。スタートでリズムが狂ってしまいレースになりませんでした。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年6月 5日 (日)

ユニコーンSはアイアムアクトレス

強さは認めつつも1400向きとみてバッサリと切ったアイアムアクトレス(3番人気)。逆にこちらがバッサリやられてしまいました。ここまで強いとは……という感想しかありません。
http://www.youtube.com/watch?v=kHSVRR-ate4

この条件を勝たれてもなお主張したいのですが、やはりこの馬は1400のほうが持ち味が活きると思います。あと1ハロンの我慢ができたのは実力でしょう。距離をこなしたことで今後の選択肢がグンと広がります。ひょっとしたらダート2100mの関東オークスも視野に入っているかもしれません。牡馬相手にマイルでこのパフォーマンスですから、牝馬同士なら2100mでもいけるのではないかという気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102746/

アイアムアクトレスについては当ブログでもたびたび触れてきました。それらの一部を再録したいと思います。

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【2011年2月1日/未勝利戦(ダ1400m)回顧】
母アイアムザウィナーは、オーナーの堀紘一氏が故大川慶次郎氏と一緒にアメリカのセリへ行って買ってきた馬です。20年ほど前、堀氏がフジテレビの『平成教育委員会』に出演された際、控え室で番組収録を待っていると、大川氏から「馬を買ってみませんか」と誘われたそうです。これが競馬の世界に入るきっかけでした。その後、堀氏のご長男は吉田照哉氏のご長女と結婚されたので、結果的に見ると大川氏の働きかけは非常に大きなものでした。

大川氏と一緒に買ってきたアイアムザウィナーは、競走馬として重賞入着を果たし、繁殖牝馬としても重賞勝ち馬を送り出しました。非常に優秀です。「Danzig 系×Mr.Prospector」ですからコンスタントにスピードを伝える一方、やや一本調子なところがあるので、芝向きの瞬発力に秀でたアグネスタキオンとの配合でも、ダートでは抜群に強く、芝でも1400mあたりがベストになります。

【2011年5月24日/昇竜S(ダ1400m)回顧】
アイアムカミノマゴ(阪神牝馬S)の全妹にあたる良血で、女優の川島なお美さんが名付け親。昨年暮れのデビュー戦(芝1600m)はのちの桜花賞馬マルセリーナの2着でした。心なしか当時に比べてフットワークがダート向きになっているような気がします。これでダートは3戦全勝。
(中略)。
「Danzig 系×Mr.Prospector」という母方はパワー満点ですが、そこはアグネスタキオン産駒ですから、1分22秒8という芝並みの超高速決着に向いたといえるでしょう。

昇竜Sはもともと中京競馬場で行われていましたが、改修工事の影響で昨年、今年と京都競馬場で行われています。距離も1700mから1400mに短縮。このレースには牡馬の骨っぽいところも出てくるわけですから、牝馬が勝つのは珍しく、アイアムアクトレスがレース史上2頭目となります。前回勝った牝馬は09年のラヴェリータ。周知のとおり同馬はその後重賞を勝ちまくっています。アイアムアクトレスの前途も明るいでしょう。

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アグネスタキオン産駒が東京ダ1600mに良績を残しているのは事実です。わたしの本命は同産駒の◎アストロロジー(7番人気)。しかし、前半から追走がやっとで後方のまま14着と大敗。初ダートとはいえもう少し頑張れると思ったのですが……。

安田記念の前日オッズはアパパネが1番人気。2000年以降このレースで連対した牝馬はウオッカとスイープトウショウのみ。いずれも牡馬のトップクラスを相手にG1を勝った経験があります(レース後も含めて)。アパパネがそのクラスの女傑なのか今回が試金石です。

2011年6月 4日 (土)

Dr.Fager と In Reality のニックス(3)

Fappiano 的な遺伝子を受け継ぐ種牡馬は Fappiano 系だけではありません。Storm Cat 系の Forestry もそうです。プリークネスS(米G1・ダート9.5f)を勝った Shackleford の父です。日本ではエーシンエフダンズ(オーシャンS-2着)が代表格で、パワー型の短距離馬を多く出しています。

Forestry は産駒が出始めのころはきわめて評価が高く、つい5年前まで種付料は10万ドルを超えていました。このところ成績が停滞気味のため評価を落としており、今年は12500ドルでした。Shackleford の活躍が人気復活の契機となれば……といったところです。

Forestry が最も輝いていた時期は06年あたりでしょうか。米フロリダのファシグティプトンコールダーセールで、Forestry を父に持つ2歳牡馬がなんと1600万ドル(当時の邦貨で約18億円)で落札されました。クールモアとゴドルフィンの二大勢力が真っ向から競り合い、最終的にクールモアが手に入れました。公開調教で1ハロン9秒8という恐るべきタイムをマークしたことが直接的な材料でしたが、配合的な裏付けもバイヤーの心理に影響を与えたのではないかと思います。

この馬、のちに The Green Monkey と名付けられる2歳牡馬は、ニックスの関係にある Dr.Fager と In Reality を4・4×3という形で持っています。父 Forestry はこのニックスを Dr.Fager によって継続しているのですが、父の2代母 Surgery は Fappiano と血統構成がよく似ているので、Surgery≒Fappiano 3×3でもあります。
http://www.pedigreequery.com/the+green+monkey

      ┌ Dr.Fager
Surgery ――┤
      └ Bold Sequence(≒Gold Digger)

      ┌○┐
      │ └ Gold Digger(≒Bold Sequence)
Fappiano ―┤ ┌ Dr.Fager
      └○┘

            ┌ Nasrullah
          ┌○┘
※ Bold Sequence ―┤
  (≒Gold Digger) └ Sequence

            ┌ Nasrullah
          ┌○┘
※ Gold Digger ――┤
 (≒Bold Sequence) └ Sequence

このあたりの配合的妙味については、競り合ったクールモアとゴドルフィンは当然知っていたはずです。いかに資金力があろうと、ただ単に馬鹿っ速い時計を出した2歳馬に18億円も出すはずがありません。種牡馬としての価値が織り込まれていなければ採算がとれません。

このセールの直後、ドバイで行われたUAEダービー(首G2・ダート1800m)を、Forestry 産駒の Discreet Cat が6馬身差で圧勝し、世界的な注目を集めます。同馬はその後、アメリカへ移籍し、シガーマイルH(米G1・ダート8f)、ジェロームBCH(米G1・ダート8f)などを勝ち、通算9戦6勝の成績を残しました。こちらはゴドルフィンの所有馬です。母方に In Reality を持つので、Dr.Fager と In Reality のニックスを持っています。
http://www.pedigreequery.com/discreet+cat

プリークネスSを勝った Shackleford は「Forestry×Unbridled」ですから、セールで1600万ドル(約18億円)の値がついた The Green Monkey と同じ組み合わせ。母系の奥にはもう1本 In Reality が入るので、Dr.Fager と In Reality を4・4×4で持っています。この点も The Green Monkey と似ています。
http://www.pedigreequery.com/shackleford

The Green Monkey は3戦未勝利で引退し、とんでもなく無駄な買い物だったと嗤われましたが、少なくとも配合的な方向性は間違っていなかったような気がします。Forestry 産駒にはこのほか、Etched(米重賞3勝)、Forest Grove(米G3勝ち)、Congressionalhonor(米G3勝ち)などがニックスを継続する配合で走っています。
http://www.pedigreequery.com/etched3
http://www.pedigreequery.com/forest+grove2
http://www.pedigreequery.com/congressionalhonor

いまのところ Shackleford については、たまたまラッキーパンチが入った程度の評価ですが、半姉にアラバマS(米G1)を勝った Lady Joanne(父 Orientate)がおり、そしてニックスを刺激した好配合ですから、思った以上に奥の深い馬かもしれません。(この項終わり)

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2011年6月 3日 (金)

Dr.Fager と In Reality のニックス(2)

稀代の快速馬 Dr.Fager は、引退後に種牡馬として成功し、米リーディングサイアーにも輝きましたが、1976年に腸捻転のため12歳の若さで死亡しました。その影響をもっともよく伝えた種牡馬は、直系の子供たちではなく、この血を母の父に持つ Fappiano でした。
http://www.pedigreequery.com/fappiano

Fappiano は、父 Mr.Prospector がまだフロリダで種付けを行っていた時代の産駒です。Dr.Fager の調教師であったジョン・ネルド氏の生産所有馬で、じっさいに誕生した場所は Dr.Fager と同じタータンファームです。現役時代はメトロポリタンH(米G1・ダート8f)など17戦10勝の成績を残しました。

種牡馬となった Fappiano は、In Reality を含んだ繁殖牝馬との間に、Unbridled、Tappiano、Rubiano、Serape、Cahill Road、Speakerphone、Jeano など、次々と一流馬を送り出しました。明らかなニックスです。日本に輸入されて京成杯勝った外国産馬エーピージェットは、Tappiano の全弟なのでこのパターンに当てはまります。同馬は引退後、アメリカに買い戻されてニューヨーク州で種牡馬となり、同州のリーディングサイアーになるなど小規模ながら成功を収めました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1989108560/

Fappiano は13歳で死亡しました。寿命が短かった点は Dr.Fager と似ています。代表産駒はケンタッキーダービー(米G1・ダート10f)とブリーダーズCクラシック(米G1・ダート10f)を制した Unbridled。生産したのは Dr.Fager のタータンファームで、所有したのはジェンター家です。同家は、タータンファームが解散した際、まだ離乳したばかりだった Unbridled を買い取り、所有することになりました。同家は In Reality を生産したことで知られています。

Unbridled は前述のとおり Dr.Fager と In Reality のニックスを持ちます。そして、Dr.Fager の母 Aspidistra を4×4で持つという美しい配合です。
http://www.pedigreequery.com/unbridled

Unbridled は種牡馬としても成功しました。牡馬の代表産駒エンパイアメーカー(ベルモントS、ウッドメモリアルS、フロリダダービー)と、牝馬の代表産駒 Banshee Breeze(CCAオークスなどG1を5勝)は、いずれも母方に In Reality を持ち、父の Dr.Fager と In Reality のニックスを継続しています。(続く)
http://www.pedigreequery.com/empire+maker
http://www.pedigreequery.com/banshee+breeze

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月 2日 (木)

Dr.Fager と In Reality のニックス(1)

この季節、佳境に入った国内G1シリーズの話題を優先していると、海外競馬のフォローが追いつきません。

5月21日に行われたプリークネスS(米G1・ダート9.5f)をいまさら取り上げるのも……という気はしますが、米三冠シリーズの第2戦であり、勝ち馬の配合にも見どころがあるので振り返っておきます。

勝った Shackleford(6番人気)は直線早め先頭から押し切りました。2着はケンタッキーダービー馬 Animal Kingdom(1番人気)。
http://www.youtube.com/watch?v=K8jx_DqyPHg

Shackleford は Storm Cat 系の Forestry が父。重要なのは系統ではなく「Dr.Fager と In Reality のニックス」です。80年代末からこのニックスはアメリカにおける重要な配合上のポイントであり続けています。
http://www.pedigreequery.com/shackleford

奇遇なことに、Dr.Fager と In Reality は、ともに1964年にフロリダ州で生まれました。前者はタータンファームで生まれ育ち、後者は別牧場で生まれたあとタータンファームで育ちました。幼駒時代から顔見知りだったわけです。

どちらもビッグレースを勝ちまくった名馬でしたが、競走馬として格上だったのは Dr.Fager のほう。通算22戦18勝でのちに名誉の殿堂入りを果たしました。1968年のワシントンパークH(ダート8f)では、約61キロを背負って1分32秒1/5という世界レコードを樹立。レース映像を見るとゴール前では手綱を抑えています。
http://www.youtube.com/watch?v=6wVBNbmcaAE

このあたりは「栗山求 Official Website」の「Works」にある「甦るオールド・グローリー」で触れておりますのでご参照ください。
http://www.miesque.com/motomu/

血統表を並べてみると一目瞭然ですが、Dr.Fager と In Reality はいずれも近い世代に Rough'n Tumble を持っています。
http://www.pedigreequery.com/dr+fager
http://www.pedigreequery.com/in+reality

Rough'n Tumble は現役時代、サンタアニタダービー(ダート9f)を勝ちましたが、16戦4勝という戦績が示すとおり、目立つ存在ではありませんでした。引退後はメリーランド州のウィンディヒルファームで2シーズン種付けをし、そのあとフロリダ州のオカラスタッドに移りました。アメリカの馬産の中心地は今も昔もケンタッキー州です。メリーランド州→フロリダ州という道筋をたどった Rough'n Tumble への期待度がどの程度のものだったのか想像できます。しかし同馬は、上質とはいえない繁殖牝馬から何頭かの大物を送り出し、フロリダを代表する名種牡馬にのし上がりました。それだけでなく、現代のサラブレッドに与えた影響は決して小さくありません。
http://www.pedigreequery.com/roughn+tumble

Rough'n Tunble が送り出した牡の代表馬が Dr.Fager であり、牝の代表馬が My Dear Girl(米2歳牝馬チャンピオン)、すなわち In Reality の母です。

Dr.Fager と My Dear Girl は配合構成が似ています。これが Dr.Fager と In Reality のニックスの核心ではないかと思います。Bee Mac と Iltis の関係についてはここでは述べませんが、興味のある方は調べてみてください。(続く)
http://www.pedigreequery.com/my+dear+girl

        ┌ Rough'n Tumble
Dr.Fager ―――┤ ┌○┐
        └○┘ └ Bee Mac(≒Iltis)

        ┌ Rough'n Tumble
My Dear Girl ―┤
        └ Iltis(≒Bee Mac)

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2011年6月 1日 (水)

Nureyev≒Sadler's Wells は道悪で花開く

日曜京都5Rの未勝利戦は、クレバーキング(3番人気)が後方から徐々に進出し、早め先頭で押し切りました。

道悪になるとキングカメハメハ産駒が台頭するケースが目につきます。とくに不良馬場の成績が良好です。「血統屋」ホームページに「Web 種牡馬辞典」というデータコンテンツがあるのですが、キングカメハメハの項を読むと「道悪は鬼」とあります。
http://www.miesque.com/j06-03.html

クレバーキングは母の父が Sadler's Wells。父キングカメハメハはそれと4分の3同血にあたる Nureyev を持っているので、Nureyev≒Sadler's Wells 4×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101330/

         ┌ Northern Dancer
Nureyev  ――――┤
         └ Special

         ┌ Northern Dancer
Sadler's Wells ―┤
         └○┐
           └ Special

キングカメハメハの父 Kingmambo は、Nureyev≒Sadler's Wells の4分の3同血クロスを持つ産駒が大成功しました。エルコンドルパサー(ジャパンC、サンクルー大賞典)、Henrythenavigator(英・愛2000ギニー)、Divine Proportions(仏1000ギニー、仏オークス)、Virginia Waters(英1000ギニー)など錚々たる顔ぶれです。したがって、キングカメハメハもこのクロスが成功するだろうと考え、初年度産駒はこの配合パターンをPOGで指名したりもしました。たしかショウナンサミットがそうです。しかし、走りませんでしたね。キングカメハメハ産駒におけるこの配合は総じて芝向きの軽いスピードを欠きます。

Sadler's Wells はヨーロッパ向きの重厚な血なので、道悪の適性が高いことで知られています。キングカメハメハ産駒の場合、この血が入ると重苦しさが前面に出てしまいます。ただ、その分、道悪は上手です。クレバーキングはこれまで5戦して4着が最高成績でしたが、不良馬場の今回、見事初勝利を挙げました。

エルコンドルパサーは父が Kingmambo で、母の父は Sadler's Wells。不良馬場の凱旋門賞で2着に粘ったのは血統的な背景のなせる業です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/

日曜東京4Rの未勝利戦(芝1800m)、水しぶきが上がる不良馬場のレースを勝ち上がったのはアルカセット産駒のファンフェアでした。アルカセットはキングカメハメハと同じく Kingmambo の息子です。そして、ファンフェア自身は2代母の父が Sadler's Wells。クレバーキングやエルコンドルパサーと同じ構造です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105784/

Nureyev≒Sadler's Wells の4分の3同血クロスを持つ馬は、道悪になったら買いです。5代以内にこのクロスを持つ馬(エルコンドルパサーはすでに自身が持っているのでその産駒は除外)の馬場状態別連対率(芝)は以下のとおり。

良 ……14.9%
稍重……13.0%
重 ……25.8%
不良……35.0%

まさに道悪の鬼です。

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2011年5月31日 (火)

道悪は強しマイネルラクリマ

土曜京都10Rの白百合S(3歳OP・芝1800m)は、2番手追走の◎マイネルラクリマ(2番人気)が快勝。いったんラトルスネーク(7番人気)に出られたものの差し返しました。
http://www.youtube.com/watch?v=7d25fjVQcDA

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎マイネルラクリマは『チーフベアハート×サンデーサイレンス』という組み合わせ。父チーフベアハートは自身の個性を積極的に主張するタイプではなく、交配牝馬の特徴を表に出しやすいという傾向が見られる。母の父がスタミナタイプのサッカーボーイならマイネルキッツ(天皇賞・春)となり、快速タイプのウェストミンスターならビービーガルダン(キーンランドC、阪急杯)となる。本馬の母の父はサンデーサイレンスなので芝向きの中距離タイプ。チーフベアハート産駒は総じて道悪が上手なので馬場が渋っても問題ない。休み明けで6着と健闘した前走のNHKマイルC(G1)は好内容。今回のメンバー相手なら十分通用する。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104087/

2代母パイナップルスターは、北九州記念(G3・芝1800m)を勝ったダンディコマンドの全妹。「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」は90年代によく見られた成功パターンで、フラワーパーク(スプリンターズS、高松宮記念)がその代表格です。ニホンピロウイナーもノーザンテーストも Hyperion が配合構成の核となっているので、やや渋めというか、パワーを兼備したタイプが多かったですね。このあたりの適性がマイネルラクリマに影響を与えた部分もあったのではないかと思います。

ダンディコマンドについては、デビュー戦をぶっちぎって勝ったときから、Hyperion と Son-in-Law のニックスを基軸とするその素晴らしい配合(Abernant≒チャイナロック≒アイアンエイジ4・3×3)に惚れ込みました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109569/

           ┌ Hyperion
         ┌○┘       ┌ Son-in-Law
Abernant ――――┤ ┌ Rustom Pasha ┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘       ┌ Son-in-Law
チャイナロック ―┤ ┌ Rustom Pasha ┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘      ┌ Son-in-Law
アイアンエイジ ―┤ ┌ Beau Pere ┘
         └○┘

マイネルラクリマの半兄シルクアーネスト(父グラスワンダー)は、前述のクロスを父方の Flower Bowl(Graustark、His Majesty、Bowl of Flowers を産んだ大繁殖牝馬)が継続しているので大好きな配合です。ちなみに、ダート王トランセンドもアイアンエイジと Flower Bowl の組み合わせを持っています。

           ┌ Hyperion
         ┌○┘      ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ―――┤ ┌ Beau Pere ┘
         └○┘

前走、みらい賞(準OP・芝1600m)を勝って待望のOP入りを果たしました。安田記念にも登録がありますが現時点では除外対象です。いずれ重賞を勝つのではないかと見込んでいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104804/

Hyperion と Son-in-Law の関係については、2月4、5日のエントリー「クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前・後)」にも記しておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/hyperion-son-in.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/hyperion-son--1.html

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2011年5月30日 (月)

日本ダービーはオルフェーヴル

競馬を見ていて久しぶりに背中がゾクッと来ました。勝った○オルフェーヴル(1番人気)は兄も父も超えたと思います。強い馬→名馬→怪物とメタモルフォーゼしているように見えます。
http://www.youtube.com/watch?v=jkSrWqjvWuQ

同じく不良馬場だった2年前のダービーと比べ、馬場状態は今年のほうが幾分かマシでした。同じ芝2400mの青嵐賞(古馬1000万下)を含めて比較してみます。

       09年     11年
青嵐賞   2分35秒7  2分31秒8
ダービー  2分33秒7  2分30秒5

内から外までどうしようもないくらいグチャグチャだった2年前とは違い、今年は外が差せる馬場でした。第9Rの青嵐賞、第10Rのむらさき賞と、ここを通った馬が勝ちました。外が差せるといっても、たっぷり水分を含んでいることには変わりないわけで、1着オルフェーヴルの上がり34秒8、2着ウインバリアシオンの34秒7は驚異的です。結局、後ろに控えた馬のなかでも伸びてきたのはこの2頭だけ。力が抜けていたと思います。

土曜日のエントリーでご紹介した「予想のメキキ」の取材にも答えたように、オルフェーブルは配合的に道悪がマイナスになる馬ではありません。父ステイゴールドの初重賞制覇は雨中の目黒記念でしたし、産駒も総じて道悪は得意。母の父メジロマックイーンは重馬場の菊花賞を勝ち、不良馬場の天皇賞・秋では2着以下を6馬身ちぎって先頭でゴールを駆け抜けました(18着降着)。ちなみに、ステイゴールドもメジロマックイーンも池江泰郎調教師の管理馬なので、オルフェーヴルはまさに“池江血統”ですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

不安があるとすれば、体内に抱えた気性面の爆弾が暴発することだけ。この雨と馬場ですから道中なにがあるかわかりません。大量のキックバックを受けて平常心を失うことも考えられます。そのあたりの可能性を見越して◎デボネア(3番人気)の馬力に賭けたのですが、3コーナーで早々に手応えを失ってしまったのは意外でした。ちょっと無理筋でしたか。オルフェーヴルは直線でナカヤマナイトとぶつかり、そのあと前が狭くなるシーンもありましたが、ひるむことなく抜けてきました。このあたり、気性の強さがいいほうに出ています。

池江泰寿調教師によれば、秋は菊花賞(G1・芝3000m)を目指したいとのこと。折り合い面の懸念を払拭したいまなら距離面の不安はないでしょう。晴雨兼用、距離不問ですから、よほど強力なライバルが現れないかぎり三冠の確率は高いと思います(といいつつほかの馬に◎を打つと思いますが)。そのあとは古馬との対決。超強力4歳勢とどんな競馬をするのか興味が尽きません。ここでアッサリ負けるようでは怪物クラスとはいえないわけですが、果たして……。

そして、来年の春はぜひドバイへ遠征してほしいですね。モハメド殿下は、ダービー制覇をご自身の眼でご覧になったオルフェーヴルに対し、ほかの馬とは違う親近感を抱かれるのではないでしょうか。その父ステイゴールドがドバイシーマクラシックの勝ち馬であるならなおさらです。

ダービーを観戦された殿下のコメントは以下のとおり。JRAが発表したものを転載します。

「私は競馬を心から楽しんでいます。日本以外でもたくさんの国で馬を所有していますが、日本でも所有したいとずっと思っていました。その国で馬を持ち、日本ダービーに出る意義は大きいです。今回、愛馬が日本ダービーに出走することになり、ようやく来日することができました。日本ダービーを観戦し、東京競馬場の雰囲気、そしてダービーを応援するファンの大歓声に感銘を受けました。私はホースマンであり、競馬とは何かを知っています。レースの結果がどうなるのかは、誰にもわかりません。でも、勝つことを夢見るのが競馬なのです。今年ダメなら、また来年、そしてまた次の年へと夢が続くのです。いつも夢を持てるのが競馬です。来年もぜひ戻ってきたいと思います」

なんと素敵なコメントでしょうか。「勝つことを夢見るのが競馬なのです」「いつも夢を持てるのが競馬です」――この殺し文句は痺れます。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月29日 (日)

強すぎるルーラーシップ

■土曜京都11Rの金鯱賞(G2・芝2000m)は、後方から徐々にポジションを上げた△ルーラーシップ(1番人気)がゴール直前で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=rs2QYX6WKwQ

「キングカメハメハ×トニービン」ですから、血統だけを見れば道悪をこなして不思議はないのですが、宙を駆けるかのような大きなトビなので、グチャグチャの馬場では危ないだろうと考え、予想の印は△にとどめました。ルーラーシップの力を舐めてましたね。勝ちパターンに入った皐月賞馬を、出遅れをモノともせず差し切るのですから、強いどころではなくメチャメチャ強いです。

母エアグルーヴは年度代表馬に輝いた女傑。産駒は総じて完成が遅く、POGではネームバリューほどの旨味はありません。ただ、古馬になってからの成長力は優れており、ルーラーシップも期待どおりの成長曲線を描いています。サンデーサイレンスを持たない点は大きなセールスポイントなので、もしこれから順調にいくつかのタイトルを獲得した場合、引退後に社台スタリオンステーションで厚遇されることでしょう。サンデー系牝馬に付け放題ですからまず成功すると思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103143/

◎ブラストダッシュ(5番人気)は14着。オペラハウス産駒で道悪ならと考えたのですが、それ以前に能力が足りませんでした。

■土曜東京11Rの目黒記念(G2・芝2500m)は、4コーナーで早め先頭に立ったキングトップガン(7番人気)が押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=4361-PIabrE

もともとダートで出世してきたパワー型で、2走前から復調の気配がうかがえただけに、裸同然の51キロで力のいる馬場なら△ぐらいは付けておくべきでしたね。好位に付けた馬同士で1、2着ですから先行有利の馬場になりつつあると感じました。日曜日はダービー前に芝で5レース組まれています。本番でどういう馬場になっているかはまったく読めません。横山典弘騎手は先週から当たりが続いています。ダービーに騎乗馬がいないのは残念です。

母方に Nijinsky を持つマヤノトップガン産駒は大物が出る傾向があり、これまでにメイショウトウコン、チャクラ、ホッコーパドゥシャという重賞勝ち馬が誕生しています。Blushing Groom と Nijinsky のニックスが効いているのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003100796/

◎マカニビスティー(5番人気)は5着。もう少し雨量が多く、馬場が悪化していたら結果は違っていたと思います。

2011年5月27日 (金)

Northern Dancer 生誕50周年

1982年以来、日本ダービーには必ず Northern Dancer 系の出走馬が名を連ねていました。しかし、09年にターニングポイントが訪れます。この年、同系の出走馬が途絶え、28年ぶりに Northern Dancer 系が出走しないダービーとなりました。昨年はメイショウウズシオ、シャインと2頭出走しましたが、今年はまたゼロ。Northern Dancer 系にとって冬の時代といえるでしょう。

ただ、それは日本だけの現象であり、世界の主要競馬開催国、とくにヨーロッパとオーストラリアにおいては、Northern Dancer 系は相変わらず猛威を振るっています。昨日のエントリー(活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」)でご紹介したように、ヨーロッパでは20年近く生産界を牽引してきた Sadler's Wells とデインヒルが融合し、新たな名馬を次々と誕生させています。これらはいずれも Northern Dancer 系です。

いまからちょうど50年前の1961年5月27日に、カナダのウィンドフィールズファームで Northern Dancer は誕生しました。

父 Nearctic は St.Simon の影響が強いイギリス血統。母 Natalma には、伝統的なアメリカ血統を濃厚に含んだ Native Dancer と、Lady Josephine(現代スピード血脈の祖)の影響を受けた Mahmoud が入ります。ですから、基本的には異系交配的な産物で、異なる個性のぶつかり合いによって人知を超えた生化学反応が生じ、時代を画する傑作が誕生したというわけです。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

Northern Dancer 系の現況については昨年11月に4回シリーズでご紹介しました。

Northern Dancer 没後20年(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-dancer.html
Northern Dancer 没後20年(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-1.html
Northern Dancer 没後20年(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-2.html
Northern Dancer 没後20年(4)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-3.html

世間に流通する血統系の慣用句で、わたしが最も理解に苦しむのが「セントサイモンの悲劇」です。そもそも何が悲劇なのかよく分かりません。St.Simon が種牡馬として爆発的な成功を収めたあと、代を経るごとに系統が衰退していったのは事実です。しかし、それでサラブレッド全体のレベルが低下したかというと、そんな事実はどこにもないと思います。むしろ逆に上昇したとわたしは考えます。英ダービーの勝ちタイムの変遷からもそれはうかがえます。

Teddy、Blandford、Tourbillon、Hyperion、Nearco など、20世紀前半に登場した大種牡馬群は、ほとんど例外なくGalopin-St.Simon(=Angelica) の強い影響のもとに誕生しています。このあたりは笠雄二郎著『サラブレッド配合史』(http://www.miesque.com/c00001.html)に詳述されています。
http://www.pedigreequery.com/teddy
http://www.pedigreequery.com/blandford
http://www.pedigreequery.com/tourbillon
http://www.pedigreequery.com/hyperion
http://www.pedigreequery.com/nearco

サラブレッドの生産は父系を伸ばすことが目的ではありません。強い馬を作ることです。St.Simon 系が衰退したことを悲劇というのは父系愛好家だけでしょう。むろん、そうした事態が起こったからといって、当時の生産者が愚かだったわけでもありません。St.Simon の強い影響力がサラブレッド全体のレベルを上昇させたのですから、少なくともわたしのなかでは“悲劇”という言葉はピンときません。

もし仮に、遠い将来サンデーサイレンス系が衰退したとしたら、人々の心にセンチメンタルな疼きは生じるでしょうが、日本の生産界には何の不都合も起こらないでしょう。サンデーサイレンスが日本の生産レベルを大きく引き上げた事実は変わりません。そして、サンデー系が衰退してもサンデー牝馬を苗床とした新しい系統がたくましく伸びているはずです。わたしはそれで何の問題もないと考えます。

もっとも、同系統が増えすぎて父系が衰退するということが、現代ではほぼ起こりえないことは Northern Dancer が証明しています。St.Simon のころとは生産規模が違いますし、交通機関の発達によりサラブレッドが大陸間を自由に行き来する現代において、配合相手に困るという事態はまず考えられません。

誕生から半世紀、Northern Dancer の血が世界の果てまで広まり、4代前、5代前と血が遠ざかっていくと、系統全体が一斉に衰退期に向かうということは現実的ではないでしょう。いまや Nearco 系という区分に何の意味もないように、いずれ Northern Dancer 系という区分も過去のものとなるはずです。

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2011年5月26日 (木)

活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」

今年のギニー戦線は似たような血統ばかりが勝ちました。こういうのをシンクロニシティというのでしょうか。

・Frankel(英2000ギニー)
・Golden Lilac(仏1000ギニー)
・Roderic O'Connor(愛2000ギニー)

以上の3頭はすべて「Galileo×デインヒル」という組み合わせから誕生しています。

Frankel については5月1日のエントリー「衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/frankel-0437.html

5月15日に行われた仏1000ギニー(G1・芝1600m)は、オリビエ・ペリエ騎乗の Golden Lilac が2番手から抜け出し、通算成績を4戦全勝としました。
http://www.youtube.com/watch?v=WkvHP7gvkpM

母は Grey Lilas。ムーランドロンシャン賞(仏G1・芝1600m)など3つの重賞を制した名牝で、仏1000ギニー2着、仏オークス3着とクラシックタイトルにはあと一歩届きませんでした。娘の Golden Lilac は同時期の母を超えています。
http://www.pedigreequery.com/golden+lilac

5月21日に行われた愛2000ギニー(G1・芝8f)は、前走の英2000ギニーで Frankel の11着と大敗した Roderic O'Connor が逃げ切り勝ち。昨年のクリテリウムインターナショナル(仏G1)を勝ち、デューハーストS(英G1)では Frankel の2着となった実力馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=UbmZ-5KExiI

この勝利がエイダン・オブライエン調教師にとって何個目のクラシックタイトルであるかは分かりませんが、特別な意味を持った勝利であることは間違いありません。Roderic O'Connor の手綱を取ったのが17歳の息子ジョセフ・オブライエンだったからです。

2代母 Chalamont の半兄には、アスコットゴールドC(G1・芝20f)2連覇など長距離で無敵を誇った Gildoran がいます。スタミナ豊かな牝系であり、次走が英ダービーでも仏ダービーでも楽しみが大きいと思います。
http://www.pedigreequery.com/roderic+oconnor

それにしても“Galileo とデインヒル”の好相性は素晴らしいですね。Sadler's Wells には Galileo のほかに Montjeu という優れた後継種牡馬がいるのですが、最近は Galileo ばかりが目に付きます。Montjeu とデインヒルの組み合わせからはこれといった活躍馬は出ていません。「Galileo×デインヒル」で生じる Buckpasser クロスの効果が大きいのでしょう。

Galileo のアドバンテージはなんといっても歴史的名牝 Urban Sea の息子である点です。Galileo の兄弟には Sea the Stars、Black Sam Bellamy、My Typhoon などの活躍馬がいます。

Urban Sea はアメリカ血統(父 Miswaki)とドイツ血統(母 Allegretta)の融合により誕生しました。Buckpasser クロスはこのうちアメリカ血統を活かす配合パターンです。ピリッとしたところが出てくるのではないでしょうか。また、ヨーロッパ随一の主流血統でありそれぞれが強い個性を持つ Sadler's Wells とデインヒルを、異系のドイツ血統が緩衝剤として結び付ける役割を果たしているようにも見えます。Sadler's Wells とドイツ血統の好相性については、昨年4月30日のエントリー「ドイツ血統と Sadler's Wells」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月25日 (水)

ディープインパクト×Storm Cat 系を占うサクセスシルエット

■土曜京都2Rの未勝利戦(ダ1200m)は、ここが初ダートのオペラモーヴ(1番人気)が5馬身差で逃げ切りました。3着にはさらに4馬身差をつける圧勝。

この時期、午前中のダート未勝利戦を圧勝したといっても、「相手が弱い」の一言で済まされてしまうことがほとんどですが、この馬はひと味違うと思います。半兄に本邦輸入種牡馬のファスリエフ(通算5戦全勝でカルティエ賞最優秀2歳牡馬)、半姉に Kamarinskaya(06年愛1000ギニートライアル-愛G3)がいる良血。一昨年9月に米ケンタッキー州のキーンランドのセールにおいて25万ドル(約2250万円)で落札されたのですが、世界的な不況の影響がなければこのような値段で買える馬ではなかったはずです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110061/

活力のある牝系は注目に値します。母 Mr.P's Princess の兄弟には Desert Wine、Menifee。自身の姪には5月22日に行われた愛1000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬 Misty for Me がいます。同馬の母の父 Storm Cat はオペラモーヴの3代父でもあるので、血統構成もやや似ています。
http://www.pedigreequery.com/misty+for+me3

 Anne Campbell(f.1973.Never Bend)
   Desert Wine(c.1980.Damascus)
   Mr.P's Princess(f.1993.Mr.Prospector)
   │ ファスリエフ(c.1997.Nureyev)
   │ Butterfly Cove(f.2001.Storm Cat)
   │ │ Misty for Me(f.2008.Galileo)
   │ Kamarinskaya(f.2003.Storm Cat)
   │ オペラモーヴ(f.2008.ヨハネスブルグ)
   Menifee(c.1996.Harlan)

競走馬としても期待できますが、それ以上に繁殖牝馬として楽しみな馬です。

■日曜東京8RのカーネーションC(3歳500万下・芝1800m)は、サクセスシルエット(2番人気)が好位から伸びて競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=vcr6b383APA

休み明けの前走で初勝利を挙げ、今回も勢いに乗って快勝。以前見られた詰めの甘さが解消しています。今回は上がり33秒6でした。成長していますね。

父はディープインパクトで、母の父は Storm Cat。ディープの父サンデーサイレンスは Storm Cat との相性がイマイチ。代表的な後継種牡馬であるアグネスタキオンも同様です。ディープインパクトと Storm Cat の関係は、まだサンプルが少ないので何ともいえないものの、Storm Cat の父 Storm Bird はディープと相性のいい The Minstrel と血統構成が似ており、母の父 Secretariat はディープに含まれる Sir Gaylord とこれまた似ています。したがって、好相性を示す可能性はそれなりにあるのではと考えています。

母フィアレストケープはなかなかの良血で、ヨハネスブルグと4分の3同血の関係にあります。ヨハネスブルグは2歳時に愛、英、仏、米でG1を制覇するなど7戦全勝の成績を残し、ヨーロッパと北米でそれぞれ2歳牡馬チャンピオンに輝いた名馬。前出のオペラモーヴの父でもあります。

           ┌ Storm Cat
フェアレストケープ ―┤
           └ Myth

             ┌ Storm Cat
           ┌○┘
ヨハネスブルグ ―――┤
           └ Myth

フィアレストケープはまた、アメリカの人気種牡馬 Tale of the Cat とも4分の3同血の関係にあります。

           ┌ Storm Cat
フェアレストケープ ―┤
           └○┐
             └ Yarn

           ┌ Storm Cat
Tale of the Cat ―――┤
           └ Yarn

こうした血統背景から、サクセスシルエットは2歳戦から能力を全開し、その後はあまり成長しそうもないイメージもあります。しかし、実際は父ディープインパクトの影響なのかしっかり成長しています。

次々と名馬を誕生させるこの牝系をまとめてみます。

 Narrate(f.1980.Honest Pleasure)
   Yarn(f.1987.Mr.Prospector)
   │ Myth(f.1993.オジジアン)
   │ │ ヨハネスブグル(c.1999.ヘネシー)
   │ │ フェアレストケープ(f.2002.Storm Bird)
   │ │   サクセスシルエット(f.2008.ディープインパクト)
   │ Tale of the Cat(c.1994.Storm Cat)
   Preach(f.1989.Mr.Prospector)
     Pulpit(c.1994.A.P.Indy)

ここに登場する3頭の名種牡馬、Pulpit、Tale of the Cat、ヨハネスブルグは、いずれもデビュー戦で圧倒的な強さを発揮するという共通点があります。ダッシュ力とスピードとパワーがあるというタイプですね。ディープインパクト産駒は切れ味豊かな芝血統で、柔らかさがあるがゆえにやや非力なところもあります。そうしたディープらしさを残しながら、アメリカ血統のスピードとパワーを取り込んでいけたらいうことはありません。仮に海外の競馬に進出することを想定した場合、デインヒル、Sadler's Wells、Storm Cat といった血は心強い味方となるでしょう。活力のある牝系なので繁殖牝馬としても楽しみです。

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2011年5月24日 (火)

フレールジャック2連勝

■日曜京都7Rの3歳500万下(芝1800m)は、2番手追走のフレールジャック(1番人気)が道悪をものともせず突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=PAEwuVC2OoE

パドックでややテンションの高いところが見られ、序盤は行きたがって単独2番手に飛び出す意外な展開。一瞬、ディープインパクト産駒にありがちなメンタル系自爆コースかと思われたのですが、そこでうまく折り合いをつけて最後は余裕の勝利でした。

道悪をスイスイとこなしたのは母方にある Nureyev、Blushing Groom の影響でしょうか。5月10日のエントリー「経験馬相手に初戦楽勝フレールジャック」で配合について触れておりますのでご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/post-dbba.html

前半掛かったわりに最後までしっかりとした脚を使いました。器の大きさは疑うべくもありません。問題は気性面です。今回のように折り合いを欠くシーンがあると重賞ではつらいでしょう。このあたりをクリアできれば通用するのではないでしょうか。レース間隔を開けたほうがいいような気もします。

■日曜京都9Rの昇竜S(3歳OP・ダ1400m)は、アイアムアクトレス(2番人気)が好位追走から突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=q558dPBEXGI

アイアムカミノマゴ(阪神牝馬S)の全妹にあたる良血で、女優の川島なお美さんが名付け親。昨年暮れのデビュー戦(芝1600m)はのちの桜花賞馬マルセリーナの2着でした。心なしか当時に比べてフットワークがダート向きになっているような気がします。これでダートは3戦全勝。

配合については2月1日のエントリー「ダンスファンタジアと配合構成が似ているフォーエバーマーク」で取り上げています。「Danzig 系×Mr.Prospector」という母方はパワー満点ですが、そこはアグネスタキオン産駒ですから、1分22秒8という芝並みの超高速決着に向いたといえるでしょう。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-b46f.html

昇竜Sはもともと中京競馬場で行われていましたが、改修工事の影響で昨年、今年と京都競馬場で行われています。距離も1700mから1400mに短縮。このレースには牡馬の骨っぽいところも出てくるわけですから、牝馬が勝つのは珍しく、アイアムアクトレスがレース史上2頭目となります。前回勝った牝馬は09年のラヴェリータ。周知のとおり同馬はその後重賞を勝ちまくっています。アイアムアクトレスの前途も明るいでしょう。

2011年5月23日 (月)

オークスはエリンコート

パドックの周回を重ねるうちに雨脚が強くなり、ロジユニヴァースが勝ったダービーデイを彷彿させるような強い雨となりました。レースの発走時刻まであと20分ちょっとの段階です。本馬場に入り、返し馬をする馬たちの脚もとに、軽く水しぶきが上がっているようにも見えました。結果的にこの雨がレース結果を左右しました。

ペースは平均よりも微妙に遅いぐらい。逃げ粘るピュアブリーゼ(8番人気)に好位追走のエリンコート(7番人気)が襲い掛かり、最後に▲ホーエルキャプチャ(2番人気)が差を詰めたところがゴール。3連単54万円の大波乱となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=J6WThs6FtkI

偏見かもしれませんが、パンパンの良馬場なら「Monsun×パントレセレブル」のピュアブリーゼがあそこまで粘ることはなかったのでは、と思います。2分25秒7という時計は速かったのですが、これはもともとかなりの高速馬場だったからで、雨の勢いが強いといっても本格的な雨脚になってから20分やそこらのことですから、積算雨量はさほどではなかったはずです。路盤はしっかりした状態ながら、降り始め独特の滑る馬場だったため、それをこなせるタイプが台頭し、なおかつ時計が速かったのだと思われます。雨が降り始めのころは、馬場が滑るので意外に道悪適性が問われるものです。大トビの馬や切れ味を身上とする馬にとってはつらい馬場です。氷結した道を大股で歩けば転んでしまうのと同じ理屈ですね。ディープインパクト産駒が苦戦した原因のひとつはここにあると思います。

逆にエリンコートはこうした馬場に高い適性があったのでしょう。4月13日のエントリーに記したとおり、前走の忘れな草賞(OP・芝2000m)は全体時計も上がりも物足りなく映りました。この時点で深く考えることなく馬券の買い目から外してしまったのは失敗でした。前走後1ヵ月半の成長も大きかったはずです。

父デュランダルは2年連続で最優秀短距離馬に選ばれた名馬で、マイルチャンピオンシップ(G1)[2回]、スプリンターズS(G1)などを制しました。短い距離を得意としたのは、肉体的な適性というよりも激しい気性のなせる業であり、こうした特徴が産駒に伝わらなければ、距離をこなす子が出てきてもおかしくありません。名マイラーのサッカーボーイが長距離馬を次々と送り出したのと同じことです。じっさいのところ、デュランダル産駒は気性の激しい子が多く、エリンコートも折り合いにやや難があるのですが、まぁ許容範囲内といったところ。忘れな草賞を勝つようなタイプに距離の不安はありません。

母エリンバードは伊1000ギニー(G2・芝1600m)の勝ち馬。このときは重馬場でした。その父 Bluebird は現役時代にスプリンターとして活躍した一本調子のスピードタイプで、産駒にはパワー型のスピードを伝えました。このあたりにエリンコートの道悪適性の一端がうかがえます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102805/

◎マルセリーナ(1番人気)は道悪適性に問題はなかったと思いますが、やはり切れ味を身上とする馬なので、切れ味を殺される馬場であの位置取りは結果的に厳しかったですね。桜花賞ではマルセリーナが馬群に突っ込み、ホエールキャプチャが大外を回りました。今回はその逆。どちらのレースもリスクを取ったほうが先着しています。大外回しの横綱相撲で勝てるほど実力に開きはないということでしょう。

2011年5月19日 (木)

ダノンシャンティ種牡馬入り

先月、屈腱炎を発症したダノンシャンティが、現役続行を諦めて種牡馬入りすることが決まりました。繋養先は社台スタリオンステーション。同所には今年、すでに同じフジキセキ産駒のキンシャサノキセキがスタッドインしています。フジキセキ系の興隆は数年前までは想像しづらいところでしたが、このほかにもファイングレインが今春からフランスで種牡馬入りしており、今後の展開が楽しみな状況となってきました。

父フジキセキは今季体調を崩し、種付けを休んでいます。19歳という年齢はもう若くありません。累計3000頭以上に種付けしてきたアイアンホースも、いつかは役割を終える日が来ます。有能な息子たちが相次いで種牡馬入りしたのはいいタイミングかもしれません。

ダノンシャンティはその能力と配合を早くから評価してきました。共同通信杯、毎日杯、NHKマイルCと、予想はいずれも◎。NHKマイルCの予想文をあらためて掲載します。

「◎ダノンシャンティは『フジキセキ×マークオブエスティーム』という組み合わせ。母シャンソネットはシングスピールやラーイの半妹にあたる良血。2代母グローリアスソングはカナダ年度代表馬、米最優秀古馬牝馬。『ヘイロー3×3』だけが目立つ単純な配合に見えがちだが、じつはそうではなく、アンガール≒エルバジェ4×4、ミランミル5×6など、重厚な血が全体をしっかり支えている。それ以外にもダンスインザダークなどに見られるブルースウォーズ=ブルーヘイズの全兄妹クロスを持つなど、底力を感じさせる緻密な配合構成で見どころがある。母の父マークオブエスティームから受け継いだ切れ味は非凡。前々走の共同通信杯は展開のアヤで2着に敗れたが、前走の毎日杯は上がり33秒4、左ムチ一発で楽々と差し切った。東京芝マイルはほぼベスト条件なのでしっかり結果を出すはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105709/

毎日杯のような超スローペースでも、NHKマイルCのような超ハイペースでも、パフォーマンスが変わらなかったというのは大きなセールスポイントです。瞬発力があり持続力もあります。要するに単純に能力が高いということですね。それに加えて、予想文に記したとおり配合に豊かな奥行きがあり、しかも名牝 Glorious Song の孫ですから、種牡馬としても高いポテンシャルを秘めている可能性があります。現役時代に松田国英厩舎に所属したキングカメハメハ、クロフネ、タニノギムレットがいずれも種牡馬として成功しているのは心強いジンクスです。社台グループが誇る良血牝馬群の手厚いバックアップがあれば、かなりの成功を収めたとしても不思議はありません。

★「ダノンシャンティ屈腱炎」(4月21日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-88c5.html
★「ファイングレインがフランスで種牡馬入り」(2月10日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-eb65.html

2011年5月18日 (水)

折り合えば強いヴィジャイ

土曜東京9Rの夏木立賞(3歳500万下・芝2000m)は、後方のインに控えたヴィジャイが直線で突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=F0bdwzNwWGc

昨年のPOGで高い人気を誇った馬です。ここまで苦労したのは周知のとおり折り合い面に弱点があったから。今回は1番枠からの発走で前に壁を作ることができたせいか、引っ掛かるところがありませんでした。折り合いさえつけばこのクラスでは一枚上ということでしょう。

母オイスターチケットはテスコボーイ4×3。ここから生じるスピードを安定供給できることが繁殖牝馬としてコンスタントな好成績を挙げている要因ではないかと思います。一方で、テスコボーイの気性の難しさを強調するリスクも伴っており、半姉シェルズレイ(ローズS-2着、チューリップ賞-2着)と半兄ブラックシェル(NHKマイルC-2着、日本ダービー-3着)は、気性が穏やかなクロフネ産駒だったのでそうした面は顕在化しませんでしたが、サンデー系のディープインパクトを父に持つヴィジャイの場合、そうはいかなかったということかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103111/

母方にトニービンを持つディープインパクト産駒には、ほかにコティリオン、グルヴェイグ、サトノオー、サトノユリアなどがいます。40戦21連対で連対率は52.5%。凄い数字です。

今年の2歳馬に「ディープインパクト×トニービン」は10頭います。ラインナップは以下のとおり。

アグネスミネルバの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105706/
ウェディングハニーの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101453/
クランモンタナ(母エアトゥーレ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105738/
グレースアドマイヤの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106138/
ザグレース(母グレースランド)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106450/
シルキーグルーヴの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104507/
スプリットザナイトの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106198/
スプリングチケットの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105828/
ユーアーマイン(母ドリームインザサン)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101821/
レディパステルの2009
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101524/

「栗山ノート」で取り上げた馬はゼロ。しかし、配合が気に入らなかったわけではありません。純粋に手が回らなかっただけです。来年のクラシックを賑わす馬が上記の10頭から生まれる可能性も十分あると思います。

2011年5月17日 (火)

グルヴェイグと4分の3同血のサトノユリア

■土曜京都4Rの未勝利戦(芝1800m)は、中団馬群を追走したサトノユリア(1番人気)が直線で鋭く伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=1JMxX5tTJ7k

“京都芝1800mのディープインパクト産駒”は、当ブログでもたびたび取り上げているように抜群の実績を挙げています。これまで37戦して18連対ですから連対率48.6%。ほぼ2回に1回連対しています。

サトノユリアについては、4月26日のエントリー「ディープインパクト×フレンチデピュティは走る」で取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-659b.html

父がディープインパクトで、2代母がエアグルーヴですから、今週のオークスに出走するグルヴェイグと4分の3同血の関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103211/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103099/

        ┌ ディープインパクト
サトノユリア ―┤
        └○┐
          └ エアグルーヴ

        ┌ ディープインパクト
グルヴェイグ ―┤
        └ エアグルーヴ

両者の違いは、サトノユリアが母の父にフレンチデピュティを持つ点。前出のエントリーでも述べたようにこのパターンは要注目です。

2011-2012年のPOGで1位指名したのはエネアド(牡・父ディープインパクト、母キュー)。母の父がフレンチデピュティですからサトノユリアと同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/

■土曜京都10Rの葵S(3歳OP・芝1200m)は、○ロードカナロア(1番人気)が2番手から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=X3xw0ZLKU6M

安定した先行力と確実な末脚。派手さはないものの手堅い競馬スタイルで崩れません。調教では抜群に動くので気のいいタイプなのでしょう。先週水曜日の坂路ではラスト2ハロン11秒8-11秒9という出色のタイムをマークしました。叩き2戦目で絶好調でしたね。

半兄ロードバリオスは毎日杯(G3)5着馬で、2代母サラトガデューは米G1を2勝した名牝です。母方に Storm Cat を持つキングカメハメハ産駒は走っており、日曜新潟のゆきつばき賞(3歳500万下・芝1200m)を勝ったメイショウツガルもこのパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103552/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101549/

Storm Cat は馬力型のスピード血統で、基本的に芝よりもダートに適性があるのですが、母方に Storm Cat を持つキングカメハメハ産駒はむしろ芝のほうが好成績。芝連対率27.3%は、キングカメハメハ産駒全体の芝連対率が20.4%であることを考えればかなり優秀です。

ヴィクトリアマイル(G1)を勝ったアパパネは、父がキングカメハメハで母の父が Deputy Minister 系。Storm Cat と Deputy Minister は同じ Northern Dancer 系で、パワータイプの似た者キャラ。キングカメハメハは芝・ダート兼用タイプでありながら、こういう血を取り込んで苦もなく芝向きの産駒を出せるのがおもしろいところです。

◎アフォード(4番人気)は4着。折り合いに専念するために後方のインに控えましたが、短距離戦でこの位置取りはさすがに厳しいですね。最後に差を詰めてきましたが時すでに遅しでした。8着に敗れた▲ツルマルレオン(2番人気)ともども今回は競馬をしていません。次走に期待です。

2011年5月15日 (日)

京王杯スプリングCはストロングリターン

先頭△シルポート(3番人気)、2番手◎ジョーカプチーノ(2番人気)とあっさりポジションが決まり、最初の4ハロンは46秒4と落ち着いた流れ。ラストは決め手勝負となり、○ストロングリターン(4番人気)が上がり33秒1の鬼脚でキッチリ先頭を捉えました。
http://www.youtube.com/watch?v=RSSSpfaaLPc

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は○△◎で3連複5990円的中。『netkeiba.com』リニューアル版に提供した予想(http://prev.www.netkeiba.com/ から「No.1予想」に進む)は3連単マルチの買い目を設定していたので37790円的中です。

理性で決めた本命馬はジョーカプチーノでしたが、心の本命馬はじつはストロングリターンでした。というのも、この馬はわたしのPOG指名馬だったからです。3月1日のエントリー「阪急杯はサンカルロ」にも記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-fac5.html

半兄ダイワマックワンもそうでしたが気性的にかなり難しいタイプで、陣営は苦心の連続だったと思います。デビュー戦はサンカルロと一騎打ちの末2着(http://www.youtube.com/watch?v=qzzkx8t7oSc)。2戦目を勝ったとき、内田博幸騎手は「どこへ突っ込んで行くかわからない気の荒さがある」と評しました(http://www.youtube.com/watch?v=K4B2hSew14M)。ただ、エキセントリックな気性がそうさせるのか、若駒のころからラストの爆発力は際立っていました。主戦の内田騎手は今回、落馬事故の影響で残念ながら騎乗できなかったものの、これまで辛抱強く競馬を教えてきたと思います。

前走の難波S(1600万下・芝1800m)は、好位でしっかり折り合って抜け出すという、2歳時には考えられないようなスムーズな競馬で完勝。正直、この勝利を見たときは胸が熱くなりました。我慢に我慢を重ねてよくぞここまで……と、堀宣行調教師の手腕に感嘆するばかりです。

母方に Mr.Prospector を持つパターンはサンカルロやランフォルセと同じ。スピードタイプに出やすいですね。母コートアウトは Smartaire 4×3という洒落た牝馬クロスを持っています。母の父 Smart Strike はブレイクランアウトや Curlin(米年度代表馬)の父です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102934/

母がクロスで持っている Smartaire は、Heliopolis を含んでいます。Heliopolis はサンデーサイレンスとニックスの関係にあるので、コートアウトはサンデー系種牡馬と合うのではないかと考えられます。今年の2歳馬ウィケットキーパー(牝・国枝栄厩舎)はアグネスタキオン産駒。母が送り出す初めてのサンデー系産駒なので楽しめるのではないかと期待しています。『競馬王のPOG本 2011-2012』で指名したので走ってくれるといいのですが。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105795/

2011年5月14日 (土)

羽田盃はクラーベセクレタ

5月11日に大井競馬場で行われた南関東三冠の第一弾・羽田盃(ダ1800m)は、単勝1.2倍の断然人気に推された牝馬クラーベセクレタが7馬身差で圧勝しました。ドロドロ不良馬場でしたがまったく関係ありませんでした。
http://www.youtube.com/watch?v=UEXaUzt5l7Y

牝馬が羽田盃を勝ったのは92年のカシワズプリンセス以来19年ぶり。同馬はいかにもロイヤルスキー産駒らしい明るい栗毛で、羽田盃を勝ったときは“さすがシャドウの子”という声が挙がりました。その母シャドウは浦和桜花賞、関東オークス、報知オールスターC、キヨフジ記念を勝った女傑。「ウエンセスラス×バーバー」という青森血統で、古参の記者に伺うと「すごく切れる馬でねぇ~」と思い出話を聞かせてくださったものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1989103809/

カシワズプリンセスの孫にネフェルメモリー(06年生)という牝馬がいます。同馬はホッカイドウ競馬から南関東(船橋)に移籍し、東京2歳優駿牝馬、桜花賞、東京プリンセス賞と重賞3連勝。続く東京ダービーでは牝馬ながら1番人気で出走したものの4着と敗れました。川島正行厩舎所属で、主戦ジョッキーは戸崎圭太。偶然ですがクラーベセクレタとまったく同じコンビです。シャドウ-カシワズプリンセスの牝系はしっかり発展しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104007/

クラーベセクレタの血統については、元旦のエントリー「東京2歳優駿牝馬はクラーベセクレタ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-f2f4.html

ワイルドラッシュ産駒からダート向きの大物を作るには Graustark を刺激する配合がいいですね。元旦のエントリーにも記しましたが、クラーベセクレタの Graustark≒His Majesty 5×5は、クリールパッションの Graustark 5×4を連想させます。東海の雄ヒシウォーシイも Graustark≒His Majesty 5×5です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103178/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100564/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105442/

また、ワイルドラッシュの最高傑作トランセンドは、Flower Bowl≒アイアンエイジ6×4。Flower Bowl は Graustark の母で、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせから成る底力の塊です。こういう血を強化すると大物感が増します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

           ┌ Hyperion
         ┌○┘
Flower Bowl ―――┤ ┌ Beau Pere(その父 Son-in-Law)
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘
アイアンエイジ ―┤ ┌ Beau Pere(その父 Son-in-Law)
         └○┘

2011年5月13日 (金)

ケンタッキーダービーは Animal Kingdom(後)

Animal Kingdom の母ダリシアはドイツ産馬。4歳時に芝2000mの独G3を勝っています。父 Acatenango は3年連続で西独年度代表馬に輝き、独リーディングサイアーの座を5回獲得した名馬。日本ではジャパンCを勝ったランドの父として有名です。先週京都で初勝利を挙げたペルレンケッテや、今年のPOGで人気を集めるであろうワールドエース(父ディープインパクト、母マンデラ)の母の父でもあります。ちなみにこの2頭はノーザンファームの生産馬。
http://www.pedigreequery.com/dalicia2

社台グループの生産馬には最近、ドイツ血統が目に見えて増えています。じつは母ダリシアは、昨年、社台ファームが輸入しており、日本で繁殖生活を送っています。この慧眼には感服するしかありません。いい買い物となりました。Animal Kingdom は初子で、ダリシア自身はまだ10歳と若いので、まだまだ活躍馬を送り出せるでしょう。今年生まれたのはネオユニヴァースの牡馬。来年は順調ならハーツクライの子が誕生する予定です。ダンシングブレーヴが入っているのでサンデー系との相性はバッチリでしょう。

牝系はドイツを経てハンガリーにさかのぼる異色のファミリー。現代の主流血統にはほとんど含まれていないハンガリー、オーストリアなどの東欧血統が流れています。8代母から代々頭文字を「D」で統一してきたのですが、現馬主は「Animal Kingdom」と名付けました(父 Leroidesanimaux=百獣の王、からの連想)。ヨーロッパの気の利いた馬主になると、ドイツ人でなくとも空気を読んで牝系の頭文字を踏襲することがありますが、それ以外ではたいてい無視されますね^^ 前出のペルレンケッテは「P」を踏襲してさすがと思いました。一方、ワールドエースは「M」ラインとは無縁の命名です。

Animal Kingdom の配合は Lyphard 4×4こそあるものの、父母同士に関連する血がきわめて少ないアウトクロス的な配合です。したがって配合は読みづらいですね。交配した時点でどんな子が生まれてくるのか予想がしづらい配合です。どう見てもダート向きとは思えないのですが、レース映像を見ると前肢の掻き込みが強く、ダートホースそのものというフットワーク。不思議な馬です。Raise a Native、Bold Ruler、Tom Fool、Damascus を一切持たないケンタッキーダービー馬は94年の Go for Gin 以来となります。
http://www.pedigreequery.com/go+for+gin

2011年5月12日 (木)

ケンタッキーダービーは Animal Kingdom(前)

5月は注目レースが目白押しで、国内レースを優先していると海外レースのフォローが追いつきません。

5月7日、ケンタッキーダービー(米G1・ダ10f)がチャーチルダウンズ競馬場で行われました。レース前日に昨年の2歳王者 Uncle Mo がスクラッチ。手綱を取るはずだったジョン・ベラスケス騎手はさぞかし落胆したことでしょう。しかし、運命とは分からないもので、代わりに騎乗した単勝オッズ20-1(21倍)の伏兵 Animal Kingdom で見事ケンタッキーダービー初制覇を達成しました。
http://www.youtube.com/watch?v=RxtLK9WT7J8

前走、スパイラルS(G3・AW9f)を勝って本番に臨んできたのですが、それまで一線級との対戦はありませんでした。「スパイラルSって何ぞや?」と思われるかもしれませんが、昨年まで「レーンズエンドS」として行われていたレースです。このレースは名称がコロコロ変わるので厄介です。80年代半ばから90年代後半までは「ジムビームS」でした。わたしなどはこの名称に慣れ親しんでいて、いまだにジムビームを飲む機会があると、ジムビームS→ブルーグラスS→ケンタッキーダービーという路線が酔いの回った脳裏に浮かんできます。Summer Squall や Hansel はこの路線を歩み、ケンタッキーダービーこそ勝てなかったものの、クラシックウィナーとなりました。20年も前の話です。

それはさておき、Animal Kingdom の血統はかなり興味深いものです。レース前、出走馬の血統表を眺めていたときに、「こんな血統でケンタッキーダービーに出てくる馬がいるんだなぁ~」と感心しました。「こんな血統」とは要するに“ダート競馬に適性がなさそうな芝血統”という意味です。じっさい、Animal Kingdom は過去4戦、オールウェザーと芝でしか走ったことがなく、ダートは初経験でした。
http://www.pedigreequery.com/animal+kingdom

父 Leroidesanimaux(ルロワデザニモーと読みます)はブラジル出身で、アメリカへ渡って芝G1を3勝し、05年に米芝牡馬チャンピオンに輝きました。日本ではただ1頭アーリーデイズ(現2勝)という産駒がデビューしています。わたしはこの馬をPOGで持っていました。血統的には中距離タイプですが1200m専門で、ダラッとした脚しか使えない馬です。Animal Kingdom のほかには Always a Princess(米G2インディアナオークスなど3つの重賞を制覇)を出しています。Leroidesanimaux 自身はアメリカ産の父とイギリス産の母から誕生しているので、血統にブラジルらしさはありません。
http://www.pedigreequery.com/leroidesanimaux

2011年5月11日 (水)

グルヴェイグの本領発揮は夏を越してから

日曜京都9Rの矢車賞(3歳500万下・芝1800m)は、単勝1.6倍のグルヴェイグがあっさり差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=TLM7nzn0EiM

3ヵ月ぶりの実戦でしたが、自己条件の牝馬限定戦では手合い違いでした。3着に敗れた前走のエルフィンS(OP)は、1着マルセリーナ(桜花賞)から2馬身ちょっとの差で、メデタシ(桜花賞4着)には先着しています。世代のトップクラスの1頭ではあるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103099/

母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑。繁殖牝馬としても優秀で、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯〔2回〕)、フォゲッタブル(ステイヤーズS、ダイヤモンドS)、ルーラーシップ(日経新春杯、鳴尾記念)など次々と活躍馬を送り出しています。「ディープインパクト×トニービン×ノーザンテースト」という配合はNHKマイルC(G1)2着のコティリオンと同じ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102870/

日曜京都メインの都大路S(OP・芝1800m)をネオヴァンドームが勝ちましたが、この馬はコティリオンと配合構成がよく似ています(父がサンデー系で母同士が全姉妹)。「サンデー系×トニービン×ノーザンテースト」という配合は安定感があるのでいいですね。フローラS(G2)を勝ったバウンシーチューンもこのパターンでした。母が名牝系に属しており、なおかつ父がランキング級ならほとんどハズレがないという印象です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102913/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103051/

グルヴェイグは中1週でオークスに出走する予定。体調面に問題がなければ馬券に絡んでくる可能性もありますが、この血統が本領を発揮するのは夏を越してからではないかと思います。もしエリザベス女王杯のアンティポストが発売されたら買ってみたいですね。

2011年5月10日 (火)

経験馬相手に初戦楽勝フレールジャック

土曜京都5Rの未勝利戦(芝1800m)は、ここが初出走のフレールジャック(1番人気)が経験馬相手に豪快な差し切り勝ちを決めました。
http://www.youtube.com/watch?v=g9nLJnI4Y4Q

上がり33秒6はメンバー中最速で、2位を0秒8上回ります。馬場が良かったとはいえ1分46秒8という決着は優秀。初出走馬の勝ちタイムとしては日本歴代2位の記録です。

父がディープインパクトで Glorious Song の牝系ですから、ラジオNIKKEI杯2歳S(G3)を勝ったダノンバラード(2代母が Glorious Song の全妹)と似ています。

また、凱旋門賞を勝ったバゴとも共通点の多い配合です。
http://premium.netkeiba.com/db/horse/ped/2008103261/
http://premium.netkeiba.com/db/horse/ped/2001190004/

              ┌ Halo
            ┌○┘
          ┌○┤
          │ └○┐
フレールジャック ―┤   └ Burghclere(≒Height of Fashion)
          │ ┌ Nureyev
          └○┤ ┌ Blushing Groom
            └○┤ ┌ Halo
              └○┘

            ┌ Blushing Groom
          ┌○┤
          │ └ Height of Fashion(≒ Burghclere)
バゴ ―――――――┤ ┌ Nureyev
          └○┤
            └○┐ ┌ Halo
              └○┘

回転の速いフットワークながら、追い出されると重心が沈んで軸がブレないため、重厚感も感じられます。Nureyev や Blushing Groom あたりの影響でしょうか。母方に Nureyev やその4分の3同血である Sadler's Wells を入れ、スピード血脈で帳尻を合わせる(本馬は Halo 3×4)という配合は、ディープインパクト産駒の配合としては嫌いではありません。たとえばトーセンラーなどはこれに近いですね。次走が試金石です。

同産駒は京都芝1800mで35戦17連対(連対率48.6%)という抜群の成績。勝負どころに下り坂があり、直線もたっぷりあるこのコースは合っています。

2011年5月 9日 (月)

NHKマイルCはグランプリボス

日曜日の東京競馬場は夏でした。ビールを飲みたい願望を抑えつつ買った馬券は……残念ながらハズレ。しかし、直線で抜け出してきた○グランプリボス(1番人気)が豪快でかっこよく、勝ち負けを忘れて爽快な気分を味わわせてもらいました。こんなにいい馬だったのかと感心しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VmA5gBwhnzc

昨年秋、リアルインパクトを破って京王杯2歳S(G2)を勝った際のレースぶりが鮮やかだったので、左回りは相当上手いのではないかという目算はありました。今回は馬場が良かったこともあると思いますが、当時に比べてフットワークが大きくなっているような気がしました。母の父にサンデーサイレンスを持つサクラバクシンオー産駒は、マイルあたりまでこなしてしまうものが少なくないのですが、それはサンデーがスタミナに関与しているというより、伸びのあるフットワークを伝えるからではないかという気がします。

配合的には、いくつかあるサクラバクシンオーの成功パターンには当てはまりません。サンクスノート(京王杯スプリングC)と似ている、という指摘ができる程度です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103388/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005103146/

         ┌ サクラバクシンオー
グランプリボス ―┤   ┌ Halo
         │ ┌○┘
         └○┤ ┌ Secretariat
           └○┘

         ┌ サクラバクシンオー
サンクスノート ―┤ ┌ Halo
         └○┤ ┌ Secretariat
           └○┘

サクラバクシンオーがマイルG1を2勝するような産駒を出す、ということ自体、これまでの常識を破ることです。常識外の大物がこれまでの常識的な成功パターンから誕生しなかった、ということはなんとなく理解できるところです。

何事もなければ次走はイギリス遠征でしょう。ロイヤルアスコット初日の6月14日に組まれているセントジェームズパレスS(G1・芝8f)。英2000ギニー(G1・芝8f)を6馬身差で逃げ切った怪物 Frankel(6戦全勝)も出走を予定しています。3代父テスコボーイが故国イギリスを離れ日本の土を踏んだのは1967年。それから44年を経てこの系統は里帰りを果たすことになります。

2着△コティリオン(2番人気)、3着▲リアルインパクト(4番人気)はディープインパクト産駒。先週土曜日のエントリーでは同産駒について「高速ラップが平均的に刻まれるマイル戦は向いていないような気もします」と書いたのですが、細かい適性など関係なく馬が強いですね。スタートダッシュがつかなかったコティリオンはゲートが開いて5秒でレースが終わったと思いましたが、上がり33秒4の鬼脚で2着確保。強いです。先週はディープインパクト産駒が7勝。手が付けられません。

◎エーシンジャッカル(3番人気)は9着。これはよく分かりません。もともとこの程度の実力だったのかもしれませんが……。

2011年5月 8日 (日)

プリンシパルSはトーセンレーヴ

青葉賞からの連闘、という勝負手を放った◎トーセンレーヴ(1番人気)が、見事ダービー出走権を手にしました。
http://www.youtube.com/watch?v=UPWgUjYbFo8

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△▲で馬単5040円、3連単41180円的中。予想文を転載します。

「◎トーセンレーヴは『ディープインパクト×カーリアン』という組み合わせで、ブエナビスタ、アドマイヤオーラ、アドマイヤジャパンの半弟にあたる。ダービーに出走するために苦心惨憺の道のりだが、その素質の高さは初年度のディープインパクト産駒のなかでも屈指のもの。前走の青葉賞は思いどおりにレースを進めることができず3着と惜敗したが、相手関係が楽になったここでは一枚上の存在だ。前走は上がりの勝負だったのでレースの消耗は少ないだろう。連闘の影響が出るとしたら次走か。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

直線に向いていざエンジンを掛けようとしたとき、行く手にズラリと馬の壁があったのですが、それが崩れたときにうまくすり抜けることができました。予想文に書いたとおり問題はこのあとです。ディープインパクト産駒は間隔を詰めて使うとあまりいいことがありません。本番までの3週間、体調維持に汲々とするようでは厳しいでしょう。かといってここから体調がグンと上向くかというと……。陣営の手腕に期待したいところです。今回の連闘は馬主サイドの主導だったという話を小耳に挟んだのですが、真偽のほどはわかりません。いずれにしても、ホースマンにとってダービーが特別なレースであることは、今回の連闘からあらためて伝わってきました。

2着△ムーンリットレイク(8番人気)はタダモノではないですね。4月デビューでキャリアわずか1戦、脚もとに不安が残る現状でこれですから、その点が解消すれば大仕事をやってのけても不思議ありません。4月14日のエントリー「ムーンリットレイクが経験馬相手のデビュー戦を快勝」で配合について触れておりますのでご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-04a3.html

そのエントリーを書いたあと、The Minstrel とディープインパクトは相性が良いのでは? と閃きました。今年の「栗山ノート」にはそうした配合馬を何頭か選んであります。今月発売される『競馬王のPOG本』をご覧ください。母方に The Minstrel を持つディープインパクト産駒は、ムーンリットレイクのほかにイングリッド、ディープフィールド、ディアウィキッドがデビュー。現時点で連対率66.7%(9戦6連対)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103350/

京都新聞杯はクレスコグランド

重賞連勝中で一本かぶりの人気を集めた◎レッドデイヴィス(1番人気)が10着に沈み、ゴール前で鋭く伸びた△クレスコグランド(3番人気)が快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=HgyinwwUbPE

レッドデイヴィスについては、レース当日になって“今回は体調がイマイチかもしれない”という噂を耳にしていました。16キロの馬体重減と発汗を見るとそれは正しかったのかもしれません。レース後の浜中騎手のコメントを読んでも状態が本物ではなかったのは明らかで、これが実力ではないでしょう。

勝ったクレスコグランドは名牝マンハッタンフィズの息子。マンハッタンフィズはマンハッタンカフェの全妹にあたる良血です。初子のコロンバスサークル(父ホワイトマズル)は中山牝馬S(G3)4着馬。2番子のアプリコットフィズ(父ジャングルポケット)はクイーンC(G3)とクイーンS(G3)の勝ち馬。そして3番子のクレスコグランド(父タニノギムレット)は京都新聞杯(G2)の勝ち馬。社台スタリオンステーションの非サンデー系種牡馬を順々に付け、配合に関係なくすべて結果を出しているのですから素晴らしいとしか言いようがありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103013/

正月の新馬戦では稽古の動きが平凡で、△がパラパラッと付いている程度。“さすがに3連続で活躍馬を出すのは厳しいのかな”と思ったのですが、落ちこぼれではないかとみられたその馬が、わずか4ヵ月後に重賞ウィナーになろうとは……。ちなみに、クレスコグランドの下はキングカメハメハの牝馬。今年のPOGで人気が出そうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105993/

京都新聞杯は過去3年、メイショウクオリア、ベストメンバー、ゲシュタルトとマンハッタンカフェ産駒が勝ってきました。今年は出走馬がなかったのですが、マンハッタンカフェの全妹(マンハッタンフィズ)の子が勝つというオチでした。

2011年5月 6日 (金)

アカンサスはミルレーサー≒Gana Facil 2×4

■土曜東京7Rの3歳500万下(芝1600m)は、ミヤビファルネーゼ(1番人気)が直線で豪快に突き抜け、2着以下に3馬身半差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=ep7vw3B5LJo

ロージズインメイ産駒はトニービン牝馬とニックスの関係にあります。コスモラピュタ(菊花賞5着、阪神大賞典4着)やマイネルグート(準OP)などがこのパターンに当てはまります。1走あたりの獲得賞金額は196万円。一方、母の父にトニービンを持たない同産駒は1走あたり91万円。前者の半分にも達していません。

ロージズインメイの血統は、あまりポピュラーとはいえないタイプのアメリカ血統が主体となっているので、自己を主張するよりも母方の特徴を出すタイプです。重厚なヨーロッパ血脈は自己に足りないものを補います。トニービンがフィットし、なおかつ芝向きに出ているのはこうした理由によるものでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102118/

■日曜東京11RのスイートピーS(3歳OP・芝1800m)は、出負けした◎アカンサス(1番人気)が上がり33秒6の脚を繰り出して差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=Ccic9iuf8bU

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎▲で的中。予想文を転載します。

「◎アカンサスは『フジキセキ×アンブライドルズソング』という組み合わせ。ミルレーサー≒ガナファシル2×4はユニークな配合パターンなので注目してみたい。前走は先行有利の中山芝1800mで前残りのペースにもかかわらず、出遅れて後方から6着まで追い上げた。今回も出遅れる可能性はあるが、直線の長い東京コースなら中山ほどの不利はない。ここは素質の高さに賭けてみたい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102889/

ミルレーサー≒Gana Facil 2×4とは、以下のような組み合わせのクロスです。

        ┌ Le Fabuleux
ミルレーサー ―┤ ┌ In Reality
        └○┘

        ┌ Le Fabuleux
Gana Facil ――┤ ┌ In Reality
        └○┘

フジキセキの母ミルレーサーは、Unbridled の母 Gana Facil と同じ「Le Fabuleux×In Reality」。アカンサスの父フジキセキに含まれる In Reality は、母方の Unbridled が持つ Fappiano と In Reality のニックスを継続するものでもあるのでいいですね。高い素質を感じさせるので前途洋々でしょう。

2011年5月 5日 (木)

ここから再スタート、シュプリームギフト

■土曜京都3Rの3歳未勝利戦(芝1600m)は、1番人気のシュプリームギフトが差し切りました。

例年好メンバーが集まることで知られる新馬戦開幕週の阪神芝1600m戦。昨年6月のこのレースに、シュプリームギフトは1番人気で出走し、3着と敗れました。ちなみにそのレースを勝ったのは札幌2歳S(G3)で2着となるアヴェンチュラ、2着はニュージーランドT(G2)を勝つことになるエイシンオスマン。きわめてハイレベルな新馬戦でした。3着は優秀な成績です。

このときのパドックはいまだに覚えているのですが、逞しく体が出来上がったアヴェンチュラに比べ、シュプリームギフトは華奢で頼りなく、いたいけな感じさえしました。

その後、10ヵ月間戦列を離れたのは、初戦に無理をした反動でしょう。体が出来上がっていない段階で大きめの負荷を掛けると、ディープインパクト産駒は反動が出るケースが多いような気がします。

昨年のPOGで指名したほどなので配合的には高く評価している馬です。Mr.Prospector をはじめ豊富なアメリカ血統を抱え、Pocahontas 5×6、Attica≒Dunce 6×6など、父に含まれる Lady Rebecca を刺激しています。この部分が配合的なキーポイントのひとつである、ということは以前から主張してきました。まだまだ荒削りですが、それだけに伸びシロはあると思うので、今後のさらなる成長に期待です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103205/

■土曜東京5Rの3歳未勝利戦(芝2000m)は、ここがデビュー戦のウィンチェスター(1番人気)が経験馬相手に差し切りました。タイムは2分00秒1。初出走馬にしては優秀です。

「スペシャルウィーク×Zilzal」は、本馬のほかにメイショウエジソンのみがデビューし、現在準OPに在籍しています。また、同じスペシャルウィーク産駒で、母の父に Zilzal とよく似た構成(Nureyev×Le Fabuleux+Bold Ruler)から成るステートリードンを持つステイトリーデイズは、通算3勝を挙げました。このパターンは地味ながら確実に走っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103287/

2回東京の未勝利戦(芝2000m)を勝った堀宣行厩舎の初出走馬、というと昨年のダークシャドウを思い出します。あらためて説明するまでもなく先日の大阪杯で2着と健闘した強豪です(1着ヒルノダムール、3着エイシンフラッシュ)。

2011年5月 4日 (水)

青葉賞はウインバリアシオン

ここのところ大きなニュースが多く、中央、地方、海外もオンシーズンなのでレース回顧が間に合いません。

土曜東京11Rの青葉賞(G2・芝2400m)は、△ウインバリアシオン(6番人気)が上がり33秒6で突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=0iMAg9G-C2s

昨年暮れから4、4、7着と結果が出ていなかったのは、実力的なものだけでなく体調的なものもあったのでしょう。弥生賞で7着と敗れたあと皐月賞を諦めて放牧に出し、立て直したことが功を奏しました。

昨年秋の野路菊S(OP)では、ラスト2ハロン10秒5-11秒6というラップで大外一閃。ラジオNIKKEI杯2歳S(G3)のように上がりが掛かる競馬では持ち味が出ないものの、一瞬の脚を活かせる展開では強いタイプですね。今回はスローペースの上がり勝負となったことがよかったのでしょう。本番のダービーは今回のようなスローにはならないと思うので(去年はそうでしたが)、このあたりをどう克服するかが鍵です。

母方に Storm Bird を持つ配合はスプリングS(G2)3着馬ステラロッサと同じ。先日の橘S(OP)を勝ったツルマルレオンは Lyphard 4×5でしたが、本馬は Lyphard≒Dancing Count 4×4です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103206/

先週の安藤勝己騎手は土日東京で騎乗し、8戦5勝という凄まじい成績でした。今年に入ってから勝率21.3%、連対率39.3%。とても51歳の騎手の成績とは思えません。

◎トーセンレーヴ(1番人気)はスタート直後に隣の馬と接触して位置取りが後ろになり、直線入り口では前を閉められました。本当は2着○ショウナンパルフェ(4番人気)のポジションで競馬がしたかったはずです。もっとも、この程度の不利はどのレースでもあるものなので、ここを勝ちきるだけの力が現状ではなかったということだと思います。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は△○◎で3連複6720円的中。『netkeiba.com』リニューアル版に提供した予想(http://prev.www.netkeiba.com/ から「No.1予想」に進む)は3連単マルチの買い目を設定していたので74960円的中です。

2011年5月 2日 (月)

天皇賞・春はヒルノダムール

道中これだけスタンドが沸いた競馬は久しぶりです。先頭が入れ替わるたびに「ワーッ!!」「ウォーッ!!」と大喚声。見ていて単純におもしろかったですね。道中のペースにどんどん異議を唱え、各馬が勝つために自力で動いていったので“レースが生きている”という感じがしました。いつも以上に騎手たちの戦う姿勢が見えましたね。こういうアクティヴなレースが増えれば長距離レース不要論も出なくなると思います。

ただ、皮肉なことに、連に絡んだ2頭は先行勢の動きに惑わされず中団でじっと我慢していた馬でした。勝ったヒルノダムール(7番人気)、2着△エイシンフラッシュ(3番人気)は、藤田伸二騎手、内田博幸騎手が上手に乗ったと思います。ドイツ血統を持つ馬のワン・ツー・フィニッシュでもありました。
http://www.youtube.com/watch?v=6JtVRFhgnc8

ヒルノダムールの父はマンハッタンカフェ。天皇賞・春、菊花賞、有馬記念といった長距離の大レースを制した名馬ですが、スタミナ勝負ではなく切れ味勝負で勝ってきた印象が強く、本質的には中距離馬だったと思います。じっさい、長距離における産駒成績は芳しくなく、このレースの前までに3000m以上のレースでは28戦し、2着がわずか1回(連対率3.6%)という惨憺たる成績。

長距離ではマンハッタンカフェ産駒を割り引いて考えるというのがわたしのやり方で、ヒルノダムールについても母の父が重厚なラムタラながら、2000m前後で持ち味が活きるタイプと考えていたので、こういう結果になってしまっては手も足も出ません。完敗でした。配合については昨年1月23日のエントリー「若駒Sはヒルノダムール快勝」をご覧ください。3200mでは印を打てませんでしたが、配合自体は早い段階から高く評価してきた馬です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-39a6.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/

マンハッタンカフェ産駒は先週土日の京都競馬でヒルノダムールを含めて6頭が勝つという爆発ぶり。わずか1週で賞金を2億円以上稼いで首位キングカメハメハを急追しています。今年は素晴らしいですね。

2着エイシンフラッシュの父 King's Best は Kingmambo 系で、英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬。Workforce(凱旋門賞、英ダービー)やコスモメドウ(ダイヤモンドS)のイメージからスタミナタイプと見られがちですが、この2頭は母の父に Sadler's Wells を持っています。全体の産駒成績を見ると、安定性に欠けるマイラー型種牡馬、という評価が妥当ではないかと思います。母ムーンレディは独セントレジャー(G2・芝2800m)の勝ち馬。エイシンフラッシュはこれまで中距離向きの瞬発力ばかりが目立ち、スタミナに関してはこれといったものを見せたことがなかったのですが、今回のレースでそうした面を初めて披露しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102951/

◎マイネルキッツ(6番人気)は結果的に乱ペースに巻き込まれて消耗してしまいましたが、勝つためには自分で動くしかない馬なので、致し方ありません。○トゥザグローリー(1番人気)、▲ローズキングダム(2番人気)は引っ掛かりましたね。長距離戦では致命的でした。

結局、1、2着は大阪杯組で、3、4、5着は阪神大賞典組。人気を集めた日経賞組はダメでした。1、2番人気の4歳馬が惨敗しても、1、2着はやはり4歳馬ですから、この世代の層の厚さは驚異的です。

帰途、淀駅のホームでも京阪の車内でも、友達同士で楽しそうにレースを振り返る光景をあちこちで目にしました。レースがおもしろければ見ている側としても爽快ですし、馬券を取った取らないにかかわらずファンの表情が違います。スローペースの折り合い合戦で逃げ馬がそのまま残る、などというレースになろうものなら車内の空気が暗く淀んで、ああこれはファンが減るなぁ~と感じたりもします。せっかくの休日にお金を失ってストレスも溜まるようでは競馬が嫌になります。既存ファンをつなぎとめ、新規ファンを開拓するには、なによりもいいメンバーによるいいレースを地道に続けていくことが大切ではないでしょうか。

2011年5月 1日 (日)

衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝

青葉賞の回顧を書こうと思ったのですが後回しにします。ロイヤルウェディングから一夜明けた4月30日、英ニューマーケット競馬場で行われた2000ギニー(G1・芝8f)は、断然人気の Frankel が6馬身差で逃げ切りました。好スタートからスピードに乗って後続をぐんぐん引き離し、道中は実況アナウンサーが「15馬身リード!」と叫んだほど。昨年秋のアンティポスト(ブックメーカーの前売りオッズ)ですでに2倍を切る1番人気だったのですが、やはりモノが違ったようです。これで6戦全勝。
http://www.youtube.com/watch?v=ghUY0k4YX1k

Dream Ahead と Wootton Bassett が出てこなかったのでメンバーは軽かったのですが、2000ギニーでこのような勝ち方は記憶にありません。まるで Overdose です。この走りっぷりを見ると12ハロンはまず無理でしょう。気性で行ってしまうのでペースの加減は難しいと思います。先日死亡した Sadler's Wells のサイアーラインに属しますが、小柄でゴムマリのような馬体は、母方にある Northern Dancer-Danzig のラインの影響を感じさせます。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

『RACING POST.com』では Frankel の進路についての読者アンケートをとっており、現時点で「ダービーに行ったほうがいい」が56%で、「行かないほうがいい」の44%を上回っています。

2011年4月30日 (土)

Sadler's Wells 死亡(後)

昨日のエントリーで、Sadler's Wells と Nureyev が4分の3同血であるという話を書きましたが、Sadler's Wells は兄弟も大成功しています。

全弟 Fairy King は、エリシオ(凱旋門賞)、オース(英ダービー)、ファルブラヴ(ジャパンC)などの父で、96年には仏リーディングサイアーとなっています。Sadler's Wells よりも短めの距離で強さを発揮しました。
http://www.pedigreequery.com/fairy+king2

この牝系は、51年にクレイボーンファームのブル・ハンコックがニューマーケットで購入した Rough Shod という牝馬にさかのぼります。代々活躍馬が目白押しで、Sadler's Wells と Nureyev の直近の共通祖先である Special は、英チャンピオンマイラー Thatch の全姉です。
http://www.pedigreequery.com/thatch

この牝系はスピードが持ち味で、Nureyev や Fairy King はそれを体現した馬でした。しかし、Sadler's Wells 自身は中距離馬で、種牡馬としては長距離向きの産駒も多数出しています。素晴らしい底力に恵まれ、2400m前後で少し時計が掛かればこれほど信頼できる種牡馬はありません。息子たちも種牡馬として成功し、ヨーロッパはもちろん、アメリカ、チリ、南アフリカ、インドなどでリーディングサイアーとなっています。

日本の馬場で走るにはやや重たく、スパッと切れる脚もありません。したがって、子の代では重賞勝ち馬が1頭(サージュウェルズ)しか出ませんでした。しかし、孫の代になると、持ち前の底力とスタミナがちょうどいい具合に希釈され、日本の馬場にフィットする大物が続出しました。サイアーラインを受け継ぐ孫にはテイエムオペラオー、メイショウサムソン。母の父に持つ馬にはエルコンドルパサー、フサイチコンコルド、シーザリオ、ヘヴンリーロマンスなど。天皇賞・春に出走するジャミールもそうです。

Sadler's Wells はアイルランドのクールモアスタッドに繋養されました。同スタッドはいまや世界最大級の種牡馬事業組織に成長しましたが、それを可能にしたのは Sadler's Wells が稼ぎ出した莫大な富です。こうした面からも世界を変えたといえるかもしれません。

『RACING POST.com』では、どのサドラーズウェルズ産駒が好きか、という緊急アンケートが行われていました。1位はなんと Istabraq。チャンピオンハードルを3連覇するなど無敵を誇ったハードル王です。これは故ジョン・ダーカン調教師との感動ストーリーが寄与したのでは、と思います。2位は Yeats。アスコットゴールドC(英G1・芝20f)を4連覇した長距離王です。以下、Galileo、Montjeu の順。

Istabraq、Yeats のワン・ツーは日本では想像がつかないところですが、「どれが強いか」ではなく「どれが好きか」という投票なので、妥当な結果かもしれません。イギリス人の意識に触れることができるおもしろいアンケートでした。

Sadler's Wells 系が障害に強いというテーマは昨年10月16日のエントリー「障害界のサンデーサイレンス」で触れています。ご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-c88e.html

2011年4月29日 (金)

Sadler's Wells 死亡(前)

「この種牡馬は凄いんじゃないか?」と初めて感じたのは88年のデューハーストS(英G1・芝7f)です。英2歳チャンピオン決定戦というべきレース。この年は、新種牡馬 Sadler's Wells を父に持つ Prince of Dance と Scenic が1着同着で勝利を分け合いました。

Sadler's Wells は現役時代、愛2000ギニー(G1・芝8f)など3つのG1を制しました。ただ、3歳春は同じヴィンセント・オブライエン厩舎に所属する El Gran Senor(英2000ギニー、愛ダービー)との使い分けによって、裏街道を歩まざるをえませんでした。

冒頭のデューハーストSには El Gran Senor の初年度産駒 Saratogan も出走していました。結果は3着。Sadler's Wells は現役時代の鬱憤を晴らすかのように、種牡馬としては El Gran Senor よりも格上であると示したのです。

初年度産駒にはこのほか、オールドヴィック(仏ダービー、愛ダービー)、In the Wings(BCターフ)、フレンチグローリー(ロスマンズ国際S)などがいます。当時から Northern Dancer 系の真打ち登場、という別格の扱いでしたね。

血統面の優秀さも評判を後押ししたと思います。母 Fairy Bridge は Nureyev の半姉。そして、Sadler's Wells と Nureyev はいずれも Northern Dancer を父に持ちます。要するに両者は4分の3同血(父が同じで母が親子)です。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/nureyev

         ┌ Northern Dancer
Sadler's Wells ―┤
         └○┐
           └ Special

         ┌ Northern Dancer
Nureyev  ――――┤
         └ Special

Nureyev は当時すでに Miesque、Theatrical、Sonic Lady といった産駒を出して大ブレイクしており、その4分の3同血ですから成功は堅い、と見られていました。ちなみに、この2頭を使った4分の3同血クロスはポピュラーなもので、今週の天皇賞・春に出走するコスモメドウなどはこのパターンです(Nureyev≒Sadler's Wells 4×2)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110045/

産駒がデビューして3年目の90年に英愛リーディングサイアーに輝き、翌年、ジェネラスを擁する Caerleon にタイトルを譲ったものの、92年に奪回すると04年まで13年連続でその座を守りました。通算14回、13年連続という記録は、18世紀の大種牡馬 Highflyer の通算13回、12年連続を上回る新記録です。(続く)

2011年4月27日 (水)

ハーツクライ産駒の名配合、ツルマルレオン

日曜京都10Rの橘S(3歳OP・芝1400m)は、◎ツルマルレオン(1番人気)がゴール前で鋭く伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=n7ZFYfB05lk

2着ミヤジエムジェイ(11番人気)が無印だったので、馬券は単勝しか的中しませんでした。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ツルマルレオンは『ハーツクライ×キングマンボ』という組み合わせ。母方にロベルトが入るハーツクライ産駒はリフトザウイングスと同じで、このパターンは父が持つノーサードチャンス≒リヴォークト4×5を継続するので好ましい。ほかの部分の構成も素晴らしく、ハーツクライ産駒の配合としては文句なしのA級。500万下を勝ったばかりだが、昨年暮れの未勝利戦(芝1400m)を勝った際、すでに翌日の古馬1000万特別のタイムを上回っていた。ここでも通用する。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105965/

ハーツクライは「サンデー×トニービン」ですからアドマイヤベガと同じ。母の父 Kingmambo は「Mr.Prospector×Nureyev」なので名繁殖牝馬ソニンクと似ています。アドマイヤベガとソニンクの間に生まれたモンローブロンドと、ツルマルレオンは配合構成がそっくりというわけです。モンローブロンドは新馬戦(小倉芝1000m)をレコード勝ちしたほか、ファンタジーS(G3・芝1400m)2着などの成績がある快速馬。ツルマルレオンはひとつひとつの血を見るともう少し長めの距離に対応してもよさそうですが、短めの距離で持ち味を発揮しているのはこの血統構成に理由がありそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100890/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤ ┌ トニービン
          │ └○┘
ツルマルレオン ――┤   ┌ Mr.Prospector
          │ ┌○┤ ┌ Nureyev
          └○┘ └○┘

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤ ┌ トニービン
          │ └○┘
モンローブロンド ―┤   ┌ Mr.Prospector
          │ ┌○┘
          └○┤ ┌ Nureyev
            └○┘

ツルマルレオンの配合でもうひとつ強調したいのは Hornbeam≒Amerigo 5×5。これがあるのでモンローブロンドよりも図太い底力を感じます。
http://www.pedigreequery.com/hornbeam
http://www.pedigreequery.com/amerigo

      ┌ Hyperion
      │   ┌ Nearco
Hornbeam ―┤ ┌○┘
      └○┤
        └○┐
          └ Point Duty

      ┌ Nearco
Amerigo ――┤
      └○┐ ┌ Hyperion
        └○┤
          └ Point Duty

4番人気の新馬戦でも◎を打ったように、以前から高く評価してきた馬で、ハーツクライ産駒のなかではいまのところいちばん好きな配合です。重賞戦線でも楽しめる逸材でしょう。

ところで、橘Sは「WIN5」の最初のレースでした。たいした額は賭けていないのに、当たったときの興奮は予想以上でした。第二関門のメトロポリタンSで外れたので“10分天下”でしたが……。

『競馬王』の人気連載漫画「グラサン師匠の鉄板競馬」は、現在店頭に並んでいる5月号で渡辺明永世竜王を取り上げました。24歳で永世竜王となった天才(27歳の現在は竜王位7連覇中)は、無類の競馬好きとして知られ、競馬雑誌や競馬番組にたびたび登場されています。先日、彼のブログに「WIN5自戦記。」と題するエントリーが掲載されました。これは秀逸です。
http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/a098dcad0cde8f2f9155583ba9deac6e

個人的なことを書けば、わたしは将棋ファンの端くれで、タイトル戦があるときはいつもネット観戦しています。渡辺明永世竜王の大盤解説は、立て板に水の弁舌で明晰に手順を説明し、ときおりギャグをおりまぜて笑いも取るのも忘れないので、アマチュアに絶大な人気があります。未成年だった低段時代からすでに上手かったので、これはもう才能というしかありません。もちろん将棋は鬼神のように強く、文章を書かせればこのおもしろさ。選ばれた人間とはこういう方のことをいうのでしょう。ちなみに、奥様のブログも圧倒的な才気によって広く支持されています。
http://inaw.exblog.jp/

2011年4月26日 (火)

ディープインパクト×フレンチデピュティは走る

■土曜京都5Rの3歳未勝利戦(芝1600m)は断然の1番人気に推されたメイショウヤタロウが押し切りました。メイショウボーラー(フェブラリーS)の半弟にあたる良血で、父はアグネスタキオン。
http://www.youtube.com/watch?v=2DLXcZBjWvU

母方に Storm Cat を持つアグネスタキオン産駒は小粒なものが多く、印象に残るものはあまりいません。偶然ですが先週はメイショウヤタロウだけでなくアストロロジーが勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101718/

このレースで注目すべきは2着サトノユリア(8番人気)でしょう。4コーナーでは最後方に近い位置取りから大外を猛然と追い上げて1馬身差の2着。上がり3ハロンはメンバー中最速の34秒4。上がり第2位の馬を0秒8上回りました。しかも初出走です。

父はディープインパクト。母ソニックグルーヴはその名のとおりエアグルーヴの娘なので、近親には多数の名馬がひしめいています。本馬はグルヴェイグ(2戦1勝、父ディープインパクト、母エアグルーヴ)と4分の3同血の関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103211/

母方にフレンチデピュティを持つディープインパクト産駒がデビューしたのはこれで3頭目。ほかの2頭はメデタシ(桜花賞4着、チューリップ賞3着)、ボレアス(樅の木賞)ですから走ります。

■土曜京都8RのムーニーバレーRC賞(3歳500万下・芝2400m)はクレスコグランド(2番人気)が押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=mQDIriUYsoA

母マンハッタンフィズはマンハッタンカフェの全妹で、素晴らしい繁殖成績を誇ります。初子のコロンバスサークル(父ホワイトマズル)は中山牝馬S(G3)4着。2番子のアプリコットフィズ(父ジャングルポケット)はクイーンC(G3)とクイーンS(G3)の勝ち馬。そして3番子が本馬(父タニノギムレット)です。違う父からコンスタントに活躍馬を送り出しているのですから能力が高いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103013/

現2歳はキングカメハメハの牝馬。POGで人気になりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105993/

2011年4月25日 (月)

皐月賞はオルフェーヴル

スプリングSの勝利騎手インタビューで、池添騎手は「お兄さん(ドリームジャーニー)と比較するのはかわいそう」とコメントしていましたが、今回のオルフェーヴルのレースぶりをみると、どう見ても同時期の兄より強いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=KMYtO_7ptz0

恥ずかしながら馬券は1円も買っていませんでした。兄の東京適性、そして自身の京王杯2歳Sの惨敗(10着)を見ると手を出しづらく、外を回して追い込んでくる脚質も現在の馬場では厳しいように思われました。

直線半ばで馬群を割ってグンと突き抜けたとき、いつもなら馬券が外れた悔しさに舌打ちのひとつでもするところですが、今回はなぜかレースの興奮から離れて感心していました。気性の成長をうながす、と口で言うのは簡単です。しかし、じっさいには一朝一夕にできるものではなく、道中うまく折り合って馬群を縫って抜け出すという垢抜けたレースぶりを実践できるまでに、スタッフや池添騎手の多大な苦労があったはずです。見事な勝利というしかありません。

9Rの石和特別から芝コンディションは良馬場に回復しました。とはいえ、雨の影響は明らかに残っており、9Rも10R(メトロポリタンS)も時計の掛かる決着でした。皐月賞はエイシンオスマンが大逃げを打ち、好位勢も崩れたことから、ラップの内容以上に消耗戦といえるレースだったと思います。そのなかで上がり34秒2という抜群の決め手を披露したオルフェーヴルの力は完全に抜けていたといえるでしょう。

父ステイゴールドは、土曜日のフローラSの勝ち馬バウンシーチューンもそうですが、力のいる芝で強さを発揮するタイプです。ナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着となったのも、この適性と無関係ではありません。中央競馬全10場の芝で最も相性がいいのは、最も馬場が重いことで知られる函館です。しかも馬場が荒れたり渋ったりすると強いタイプで、函館芝の重・不良では連対率37.5%。洋芝向きのパワーを秘めています。オルフェーヴルはピッチ走法の兄よりもフットワークが大きいですね。これが東京コースでビューンと伸びた要因かもしれません。

母の父メジロマックイーンは、娘のオリエンタルアートを通じて血を残すことに成功したようです。なにも父系をつなげるだけが血を残すことではありません。オルフェーヴルの血統を見ると、ディクタスやメジロマックイーンといった異端の血が入っているところが魅力です。ファッショナルブルとはいえない血を取り込んで活力に転化していく、というアガ・カーン四世殿下の馬産哲学にも通じる配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

皐月賞で3馬身以上の差をつけて勝ったのは、94年に三冠を達成したナリタブライアン(3馬身半差)以来17年ぶり。東京コースの皐月賞では76年のトウショウボーイが5馬身差をつけて勝ちました。こうした名馬の列にオルフェーヴルも加わることができるかもしれません。

2011年4月24日 (日)

フローラSはバウンシーチューン

フローラS(G2・芝2000m)は雨の影響で重馬場となり、そのわりにペースが速かったのでレースの上がりは37秒8。近ごろ珍しい消耗戦となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWwUg6wjKNs

◎ピュアブリーゼ(3番人気)は4番手追走から残り1ハロンで先頭。しかしペースが速かったためゴールまで踏ん張りきれず垂れました。1着バウンシーチューン(9番人気)は後方から外を回っての差し切り。こうした馬場が合っていたのでしょう。基本的に先行有利、イン有利とはいえ、さすがにこのペースでは後ろの馬も届きます。

「ステイゴールド×トニービン」というパワーを感じさせる配合。ノーザンテーストのクロスはドリームジャーニー、オルフェーヴルの兄弟と同じ。しかし、牝馬限定の未勝利戦を勝ったばかりの追い込みタイプでは手が出ませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103051/

雨は日付が変わる前には上がりました。日曜日は晴れ、最高気温は20度を超える予報です。馬場はどんどん乾いていくはずなので、ひょっとしたらメインの皐月賞は良馬場で行われるかもしれません。道悪適性に神経質になる必要はないと思います。ただ、昨日のエントリーにも記したとおり、馬場の内側から乾いていくと思われるので、土曜日以上に内外のバイアスが大きくなるような気がします。騎手たちもそのあたりは十分わきまえているはずなので、先行争いが激化してフローラSのように差しが届く可能性もあります。このあたりをどう読むかが今年の皐月賞のポイントでしょう。

福島牝馬Sはフミノイマージン

新潟に場所を移して行われた福島牝馬S(G3・芝1800m)。勝ったフミノイマージン(9番人気)は、前走の中山牝馬S(2着)から3キロ増がどうかと思ったのですが、それをものともしない目下の充実ぶり、ということなのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=NA40IcATqMw

父マンハッタンカフェにとっては今年4頭目の重賞勝ち馬となります。先週時点でサイアーランキングは2位。今回の勝利で1位キングカメハメハにまた一歩迫りました。昨年のこの時期はたしか5~6位ぐらいだったので好調ですね。社台系の繁殖牝馬のバックアップがやや手薄な状態でこの成績ですから立派です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105593/

フミノイマージンは、母シンコウイマージンが Northern Dancer 2×4。母に Northern Dancer の強いクロスを持つというのはマンハッタンカフェ産駒の成功パターンのひとつです。昨年7月9日のエントリー「マンハッタンカフェ整理整頓(5)」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-6154.html

手綱を取った太宰啓介騎手は98年のデビューから足掛け14年目にして初めての重賞制覇。112度目の正直でした。マイネルデスポットで2着に逃げ粘った菊花賞が印象に残っているのですが、あれからもう10年になります。ちなみに、そのレースの勝ち馬はマンハッタンカフェ。フミノイマージンの父です。

2011年4月20日 (水)

レッドセインツ復活

土曜阪神9Rのはなみずき賞(3歳500万下・芝1800m)は、後方に控えた▲レッドセインツ(8番人気)が直線で外から突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=N0JsZPW1nII

昨年12月以来の実戦。休養前のラジオNIKKEI杯2歳S(G3)はしんがり15着と大敗しましたが、四位騎手のコメントを読むと、当時は状態が悪かったようです。しっかり休養を取って甦りました。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲◎で馬連3440円的中。

ディープインパクト産駒の配合としては以前から高く評価してきた馬です。『赤本』と『POGの達人』ではともに指名馬に挙げました。評価のポイントは、①Pocahontas≒River Lady 4×5、②Nothirdchance≒Revoked 5×5、③母サセッティの半姉で愛オークス馬 Winona(父 Alzao)の構成要素がそのまま含まれていること(父ディープインパクトの母の父が Alzao)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/
http://www.pedigreequery.com/winona3

だから走った……のかどうかは分かりませんが、この時期に2勝目を挙げられればまずまずでしょう。四位騎手曰く「まだ緩いところもあるから、秋になればもっといい馬になると思う」(週刊競馬ブック)。420キロの小柄な馬体で、パドックで見るかぎりまだまだ未完成。長い目で見たいですね。

ディープインパクト産駒は、ローテーションを詰めて使うより十分な間隔を空けたほうがいいと思います。桜花賞馬マルセリーナもエルフィンSから本番まで2ヵ月空けました。レースで全力を出し切るので1戦ごとの消耗が激しいのと、使い詰めでテンションが上がってくる、という心身両面のリスクが高まります。古馬になれば解消する傾向かもしれませんが、未成熟なうちは大事に使ったほうがいいと思います。

また、早期デビューも好ましいとは思えません。これまで2勝以上を挙げた同産駒は19頭いますが、6~8月にデビューした馬はわずか3頭。馬の素質という根本的な要素もあるかもしれませんが、デビュー前に有望と騒がれた馬でも、早い時期にデビューさせるとその反動があるのか、もうひとつ伸びがないような気がします。7月デビューのレッドセインツは、ラジオNIKKEI杯2歳Sでしんがりに敗れたあと、思い切って休ませたことが功を奏しました。

◎エーシンミズーリ(2番人気)は2着確保。予想文に記したとおりトレンドハンター(フラワーC)とよく似た配合構成で、詰めは甘いものの安定感は抜群です。

          ┌ マンハッタンカフェ
          │   ┌ Roberto
エーシンミズーリ ―┤ ┌○┘
          └○┤ ┌ Storm Cat
            └○┘

          ┌ マンハッタンカフェ
          │   ┌ Roberto
トレンドハンター ―┤ ┌○┘
          └○┤ ┌ Storm Cat
            └○┘
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101288/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100618/

2011年4月19日 (火)

ワンペースだが強い、ロードカナロア

土曜小倉10Rのドラセナ賞(3歳500万下・芝1200m)は、楽にハナを切った◎ロードカナロア(1番人気)が直線で後続を3馬身半突き放しました。ここでは力が違いましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=SA9clRHh9x0

予想文を転載します。

「◎ロードカナロアは『キングカメハメハ×ストームキャット』という組み合わせ。半兄ロードバリオスは現6勝馬で毎日杯(G3)5着などの成績がある。キングカメハメハ産駒は小倉芝1200mを得意としており、連対率23.5%は過去10年間に当コースで50走以上した種牡馬のなかでトップの成績。じっさい、本馬は昨年暮れに当コースで行われた新馬戦を6馬身差で圧勝している。これまで戦ってきた相手は強く、久々でもまず連は外さない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103552/

16頭中最低人気、単勝370倍のアスターウィングが2着に突っ込んできたので、単勝以外は不的中でした。勝ったロードカナロアは、ここまで先着を許したのがデルマドゥルガーとラトルスネークだけですから、このメンバーのなかでは能力が一、二枚抜けています。

2代母は米3歳牝馬チャンピオンのサラトガデュー(米G1を2勝)。母の父は Storm Cat。これにキングカメハメハですから、ダート向きに出てもおかしくない配合です。しかし、母レディブラッサムは Secretariat=Syrian Sea 3×4の影響か、意外に芝適性を伝えており、半兄ロードバリオス(父ブライアンズタイム)もダートが得意そうな血統に見えて芝で活躍しました。

兄弟ともワンペースなところがあるのは主に Storm Cat の影響でしょう。ですから、そうした特徴が強みとなる1200~1400mでは今後も期待できます。

2011年4月18日 (月)

マイラーズCはシルポート

最初の3ハロンが35秒0ですから落ち着いた流れ。ハナを奪ったシルポート(7番人気)は道中で後続を3~4馬身引き離していたので、2番手以下はスローだったと思います。勝ち馬に騎乗した小牧太騎手が「今までで一番楽な競馬ができました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っていたのはそのとおりでしょう。2番手追走のクレバートウショウ(14番人気)が2着に入り、結局行った行ったの決着となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=Zb7-N-xsqXk

好位を追走した◎ダノンヨーヨー(1番人気)は3着。いつもより積極的な競馬でしたが、これは音無調教師の意向を反映した部分があったのかもしれません。前週と同じく日曜日の芝は外差しの馬場となりつつあったのですが、前に行った馬がこれだけ楽をするとなかなか差せませんね。1、2着馬が無印なので馬券的には完敗。外差しということに気を取られて展開の読みが甘かったですね。

シルポートは正月の京都金杯(G3)に次いで重賞2勝目。これで16戦連続で逃げたことになります。「ホワイトマズル×サンデーサイレンス」は過去24頭が出走して重賞勝ち馬が4頭(シャドウゲイト、アサクサキングス、シンゲン、シルポート)。1走あたりの賞金額は495万円。明らかなニックスです。ダンシングブレーヴの母の父 Drone と、サンデーサイレンスの父 Halo の血統構成がきわめて似ていることが好相性が鍵だと思います。昨年11月9、10日のエントリー「Halo≒Sir Ivor≒Drone(前・後)」をご参照ください。

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

2011年4月17日 (日)

Frankel 今季緒戦を快勝

デューハーストS(英G1・芝7f)など4戦全勝の Frankel が、4月16日に行われたグリーナムS(英G3・芝7f)を4馬身差で快勝。危なげなく今季緒戦をものにしました。昨年10月17日のエントリー「土曜日のレースあれこれ」に記したように、当時の段階ですでに英2000ギニー(G1・芝8f)の前売りオッズが1.8倍ですから、もし今回負けていたら大事件でした。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-0e86.html

「Galileo×デインヒル」という身も蓋もない主流血統同士の組み合わせ。母方には Rainbow Quest、Stage Door Johnny という重厚な血が並んでいるので、パッと見では12ハロンも大丈夫ではないかという気がします。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

問題は気性。母 Kind はスタミナ豊かな血統構成ながらスプリント路線を歩みました。テンションの高さを伝えているのかもしれません。管理するヘンリー・セシル調教師は、昨年秋にデューハーストSを勝ったあと、Frankel にマイル路線を歩ませる青写真を語りました。ところが、今季緒戦を前に、気性面の成長を理由に英2000ギニー→ダンテSという選択肢があることを示しました。もしダンテSのレース内容が良ければ英ダービーに向かうことになるでしょう。正直なところ、デューハーストSの走りっぷりを見ると、Danzig-デインヒルが強く出ているように感じ、距離がもちそうな匂いは感じられませんでした。セシル調教師のマジックが見ものです。
http://www.youtube.com/watch?v=N9LKFOMvCak

2011年4月16日 (土)

マニエリスム敗れる

南関東の3歳牝馬戦線は、川島正行厩舎の2頭、クラーベセクレタとマニエリスムがリードしています。3月23日に行われる予定だった浦和桜花賞は東日本大震災の影響で中止。今年は東京プリンセス賞と関東オークスの二冠しかありません。

2歳女王のクラーベセクレタ(父ワイルドラッシュ)は京浜盃(4月18日・大井・ダ1700m)を使う予定で、その後は決まっていませんが、中央の皐月賞に相当する羽田盃(5月11日・大井ダ1800m)にチャレンジするプランも当然あるでしょう。

桜花賞トライアルの桃花賞を勝ったマニエリスムは、4月15日にクラウンC(川崎ダ1600m)に出走し、6着と敗れました。スタートがイマイチで位置取りが悪くなり、1コーナーを曲がったところで前が詰まるアクシデント。参考外の一戦といっていいでしょう。後遺症がなければ次走の東京プリンセス賞(5月12日・大井ダ1800m)では勝ち負けになると思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103001/

父ゼンノロブロイは初年度産駒からサンテミリオン(オークス)、ペルーサ(青葉賞)、アニメイトバイオ(ローズS)、コスモネモシン(フェアリーS)、アグネスワルツ(オークス-3着)、マカニビスティー(東京ダービー)など多くの活躍馬を送り出しましたが、2年目の産駒は一転して不振。2勝馬はわずか3頭しかなく、いまのところ春のクラシックに出走できる可能性のある馬はルルーシュぐらいしかいません。繁殖牝馬の質が落ちた、というのがおそらく最大原因だろうと思いますが、それにしてもここまで大きな落差があるケースは珍しいと思います。

2011年4月14日 (木)

ムーンリットレイクが経験馬相手のデビュー戦を快勝

■日曜阪神3Rの未勝利戦(芝1600m)は、関東から遠征してきてこれが初出走となるムーンリットレイクが快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=XD2BwEjTbqI

ディープインパクト産駒はこれだけ勝ち上がっているのに、まだこんないい馬が残っていたのか、というのが感想です。母ムーンライトダンスは愛インターナショナルS(G3・芝8f)の勝ち馬で、その半兄に愛ダービー(G1)など重賞を5勝した Grey Swallow がいます。母の父 Sinndar は凱旋門賞、英ダービー、愛ダービー(いずれもG1)などを制した名馬。その父 Grand Lodge はディープインパクトと相性のいい Danzig と Habitat を併せ持っており、ちょっと Zieten に似た構成です。「ディープインパクト×Zieten」といえばテンペル(先々週の未勝利戦を初出走ながら勝つ)の名が挙がります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103350/

ヨーロッパ系のスタミナと底力に恵まれた血統なので、気性的な問題さえなければ2000m以上で本領を発揮しそうです。菊花賞あたりでも楽しめそうです。

■日曜小倉4Rの未勝利戦(ダ1000m)は、ラディアーレが後続を7馬身引き離して逃げ切りました。相手に恵まれたといえばそれまでですが、ダ1000m戦でこれだけ離すのはなかなかのものです。

父はサクラバクシンオーで、母の父はウイニングチケット。バクシンオーの父サクラユタカオーはウイニングチケットと同牝系なので、本馬はサクラユタカオー≒ロッチテスコ2×4です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106717/

2011年4月13日 (水)

アイヴィーリーグが新馬-500万を連勝

■土曜阪神7Rの3歳500万下(芝1600m)は、アイヴィーリーグ(3番人気)が力強く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=2oAP2wImln4

新馬-500万下と2連勝。なかなか強いですね。新馬戦を勝ち上がった直後、3月25日のエントリー「フロックではないダノンミル」でも取り上げました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-8cab.html

新馬戦で動かないリンカーン産駒であるにもかかわらず、いいレースぶりで勝ち上がり、しかも配合が良好。2戦目の今回も楽勝ですから、かなりの好素材です。ダービーにも間に合うかもしれません。

母の父フレンチデピュティの優秀さは当ブログで何度か記してきたと思います。また、2代母の父にトウショウボーイが入るパターンも、ウオッカ、スイープトウショウ、ジョーカプチーノなどG1クラスの大物が目につきます。母の父トウショウボーイにはコスモバルクがいました。トウショウボーイは非社台の代表的な名血。現在も日高の繁殖牝馬のなかに脈々と息づいています。ここ10年以内に日高で誕生した超大物に、高い確率でトウショウボーイが含まれていることは、この血の卓越した影響力を示すものでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104893/

■日曜阪神9Rの忘れな草賞(3歳OP・芝2000m)は、○エリンコート(3番人気)が中団から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=WbiiI1dlAQA

父デュランダルは優秀な競走成績のわりに産駒成績はパッとしないのですが、最近はカリバーン、フラガラッハ、エアラフォンなど、着実に上昇してくる産駒が目につきます。デュランダル自身もそうでしたが晩成型の傾向がありそうです。

母エリンバードは伊1000ギニー(G2・芝1600m)の勝ち馬。というより武豊騎手が乗って1位入線→降着となったオペラ賞(仏G2・芝1850m)の印象が強いですね。来日して臨んだ京王杯SC(G2)、安田記念(G1)では見どころがありませんでした。配合的には好きなタイプで、Sir Ivor を持っているのでサンデー系との交配でいい子を出すのではないかと考えていたのですが、重賞級の産駒はまだ出ていません。エリンコートが最良の産駒となりそうです。ただ、今回は勝ちタイムも上がりも平凡だったので、オークスで勝ち負けになるにはちょっと足りないような気もします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102805/

2011年4月12日 (火)

ニュージーランドTはエイシンオスマン

土曜日の阪神芝はインコースがしっかり伸びる馬場でした。スローの2番手からエイシンオスマン(12番人気)が抜け出して快勝。2着にもエーシンジャッカル(7番人気)が入り、栄進グループのワン・ツー・フィニッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=1w2m91Jv2RI

1、2着馬ともに予想は無印。まったくいいところなしでした。エイシンオスマンの手綱を取った幸英明騎手は、スローペースを味方につけた好騎乗だったと思います。ベストの位置取りでした。

生産者はノーザンレーシングで、母ゲルニカはアルゼンチンでG1を4勝した名牝。社台グループは世界各地の名牝を購買しており、南米も例外ではありません。南米血統は見慣れないものも多いのですが、ゲルニカは大部分がアメリカ血統なので判断に迷うタイプではありません。エイシンオスマン自身は、持続力と馬力に秀でたマイラー、という血統です。雨が降ったわりに時計が速かったのですが、パンパンの良馬場ではないので、パワーを秘めた馬が台頭しました。もっとも、もともと能力を低く見積もっていたので、分かっていたとしても印は打てませんでしたが……。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103390/

◎ダノンシャーク(2番人気)は7着。もっと馬場がぐちゃぐちゃになってスタミナを要するレースになると読んでいました。直線は大外に持ち出しましたが、あそこは押しても叩いても伸びません。インしか伸びない馬場でした。

2011年4月11日 (月)

桜花賞はマルセリーナ

フォーエバーマークが緩みのないペースで逃げ、締まったラップの好レースとなりました。34秒台前半の上がりで後方から飛んできた上位3頭の力が抜けていたと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=wvBG6JNtrPY

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は○◎▲で的中。馬連620円、3連複1480円でした。ウマニティは連単マルチで買っているので馬単1230円、3連単5880円的中です。

勝った○マルセリーナ(2番人気)はこれで4戦3勝。先着を許したのは牡馬のレッドデイヴィスとオルフェーブルのみですから、牝馬同士ではトップクラスの力量の持ち主であることは明らかです。父ディープインパクトはいうまでもなくサンデーサイレンスの最高傑作。種牡馬としても2歳種牡馬記録をことごとく塗り替えるなど、期待どおりの成功を収めつつあります。最初のクラシックレースで見事に勝ち馬を送り出しました。今年のセレクトセールでは人気沸騰となるでしょう。

マルセリーナはスタートの出が悪く、4コーナーでは後方のインという絶望的な位置取り。しかし、1頭分だけ開いた進路をうまくすり抜けることができました。もちろん詰まっていたらアウト。運も実力のうちです。狭いスペースを抜けてこられたのも、一瞬でビュンと伸びる脚があるから。これがある馬は馬群をこじ開けることができます。ウオッカなどはそうでしたね。速い脚を使えない馬は、モタモタしているうちにドアが閉まって終了です。

母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝。母の父 Marju、2代母の父 Distant Relative は欧州マイルG1の勝ち馬。この距離は合います。母方に入るラストタイクーン、Habitat、Round Table は父ディープインパクトと相性がいい血です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103009/

ディープインパクトとラストタイクーンの組み合わせからは、ほかにターゲットマシン、レッドディアーナ(素質を高く評価されながらもデビュー前に病死)などが出ています。一方、Habitat との組み合わせからは、Barocci、リトルダーリン、テンペルなどが出ています。いずれも回転の速いフットワークを伝えるスピードタイプの血で、大トビの父ディープインパクトとフィットするのだと思われます。Danzig なども似た傾向の血です。

Burghclere≒Welsh Flame 3×4が底力をサポートしているほか、薄いながらも名牝 Pocahontas のクロス(5×8)があります。代が遠いので効果あるかどうかは別として、ディープインパクト産駒のこのクロスは好きなパターンではあります。あとはディープインパクト自身が持たない名血、たとえば Nasrullah、Ribot、Tom Fool、Djebel あたりを母方から複数取り込んでいるのは好感が持てますね。

前述のとおり、母は競走成績も血統もマイラー型ですが、ディープインパクトはそうしたタイプの繁殖牝馬を相手にして、意外に距離をこなす産駒を出す傾向があります。2400mはベストではないものの守備範囲内ではないかと思います。安藤勝己騎手も「距離が延びても大丈夫なタイプ」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っています。今回は序盤にやや行きたがるシーンがあったので、そのあたりが出なければ、といったところでしょう。

2着◎ホエールキャプチャ(1番人気)は16番枠がアダとなりました。内に潜り込むことができずに終始外を回らされ、4コーナーでは内から張られてさらなる距離ロス。勝ち馬とは実力差はないと思います。こちらも2400mはこなせるでしょう。

3着▲トレンドハンター(4番人気)にマイル戦は忙しいですね。2400mのほうが断然いいタイプです。

4着△メデタシ(11番人気)は前走のチューリップ賞(3着)で、2着ライステラスよりもはるかにいい競馬をしていました。ここにきて上昇しています。

2011年4月10日 (日)

阪神牝馬Sはカレンチャン

クロフネ産駒のスピード型牝馬といえばスリープレスナイトの名が挙がりますが、◎カレンチャン(1番人気)はその域に達する可能性があると思います。ここにきてさらに成長していますね。
http://www.youtube.com/watch?v=zOqlbrFV2ug

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は、◎△で馬単5640円、◎△○で3連単38300円的中。予想文を転載します。

「◎カレンチャンは『クロフネ×トニービン』という組み合わせ。母方にトニービンを持つクロフネ産駒は成功しており、シェルズレイとブラックシェルの姉弟や、フラムドパシオン、カホマックス、ポルトフィーノなど多くの活躍馬が出ている。カレンチャンはこのパターン。母は「トニービン×マルゼンスキー」という組み合わせ。これはシェルズレイとブラックシェルの母の父ウイニングチケットと同じ。つまり、この姉弟とカレンチャンは血統構成がきわめてよく似ている。前走の山城Sは準OPとはいえ直線は手綱を抑えたままの大楽勝。いよいよ本格化してきた。距離も道悪もこなせる血統。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102807/

半兄のスプリングソング(父サクラバクシンオー)は京阪杯(G3)の勝ち馬。母スプリングチケットは2頭目の重賞ウィナーを誕生させたことになります。

予想文に書いたようにカレンチャンの配合は、シェルズレイとブラックシェルの姉弟によく似ています。カレンチャンの母スプリングチケットと、シェルズレイの母の父ウイニングチケットは、いずれも「トニービン×マルゼンスキー」という組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102823/

         ┌ クロフネ
カレンチャン ――┤ ┌ トニービン
         └○┤ ┌ マルゼンスキー
           └○┘

         ┌ クロフネ
シェルズレイ ――┤   ┌ トニービン
(=ブラックシェル)│ ┌○┤ ┌ マルゼンスキー
         └○┘ └○┘

カレンチャンの馬主は鈴木隆司氏。2007年のセレクトセール当歳において2500万円で落札しました。じっさいに馬を選定し、購買したのは須田鷹雄さんです。須田さんは以前から鈴木氏と個人的な交友があり、金銭関係のないアマチュア的なアドバイスによって、セリ市における購買をサポートされていました。

カレンチャンのデビュー戦の前日、グリーンチャンネルに出演するための控室で、たまたま須田さんとカレンチャンの話題になったのを覚えています。馬の値段が2500万円だったと聞いて、思わず「そんなに安いんですか!?」と言ってしまったのですが、考えてみればカレンチャンがセレクトセールで落札された当時、スプリングソングはまだデビューしていませんでした。妥当な値段だったかもしれません。須田さん曰く「クロフネとトニービンの相性の良さに注目した」とのことです。

2011年4月 6日 (水)

スプリンターの資質が開花しつつあるクリアンサス

■日曜阪神5Rの未勝利戦(芝1800m)は、これがデビュー戦となるテンペル(1番人気)が中団から伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=Do02IN9jlhk

ビーオブザバン(準OP)、シーズズベスト(1000万条件)の半弟で、父はディープインパクト。同産駒は芝1800mの新馬戦で連対率50%(26戦13連対)と驚異的な成績を収めました。今回のテンペルは初出走ですから実質的には新馬戦のようなもの。やはりこの条件は走ります。

母の父 Zieten は現役時代にミドルパークS(英G1・芝6f)など重賞を4勝。「ザイーテン」という名で日本でも3戦し、京王杯スプリングC(G2・芝1400m)では2着と健闘しています。ディープインパクトとスプリンター血脈の相性の良さについてこれまで何度か記してきましたが、Zieten はまさに「Danzig×Habitat」というスプリンター配合。脚の回転速度を上げるこうした血はディープインパクトとフィットします。ディープ産駒は総じて大トビなのでバランスがとれるのでしょう。Danzig との組み合わせではディープサウンドとドナウブルーが、Habitat との組み合わせでは マルセリーナと Barocci が出ています。

ディープインパクトの母方に含まれる Lady Rebecca を刺激する配合は好みなのですが、Habitat は Lady Rebecca の父 Sir Ivor と同じく Sir Gaylord 産駒。先日の毎日杯で3着となったトーセンレーヴにも Sir Gaylord があります。そして、本馬は Pocahontas(Lady Rebecca の母)≒Table Rose 5×5。これも好ましいですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103180/

■日曜9RのマーガレットS(3歳OP・芝1400m)は、◎クリアンサス(8番人気)が好スタートから一気に逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=GQhk2GixJGU

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は、◎で単勝1630円、◎△で馬単12210円、◎△○で3連単43050円的中。予想文を転載します。

「◎クリアンサスは『リダウツチョイス×ニホンピロウイナー』という組み合わせ。父リダウツチョイスはオーストラリアでリーディングサイアーとなった快速種牡馬。母フラワーパークは高松宮記念(G1)、スプリンターズS(G1)を制し、JRA賞最優秀短距離馬に選ばれた快速馬で、ハイペリオン色が強い底力満点の配合。配合構成も素晴らしい。前走のフィリーズレビュー(G2)は完全な前崩れで展開が厳しかった。それでも着差的には大きく負けているわけではない。平均ペースなら牡馬相手でも勝ち負けになると思われる。再度狙ってみたい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102710/

今回はレース運びにも展開にも無理がなく、自分十分の体勢から電車道で寄り切りました。逃げ馬がこういう形に持ち込むと強いですね。配合については2月4、5日のエントリー「クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前・後)」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/hyperion-son-in.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/hyperion-son--1.html

デビュー当時と比べて走りに重厚感が増したような印象を受けます。母の父ニホンピロウイナーは軽快さよりも重厚感を感じさせるフットワークでした。いよいよこの血統のよさが表れてきた感があります。本格化はまだまだ先。これからもっと強くなるでしょう。マイルでは味がないと思いますが、1200~1400mなら大きなところを狙える器です。

2011年4月 5日 (火)

芝の長距離向きカーマイン

■土曜阪神3Rの未勝利戦(芝1400m)は、これが初出走となるエポワス(3番人気)が3番手から伸び、ゴール直前で逃げ馬を交わしました。高速馬場とはいえデビュー戦で芝1400m1分21秒4は優秀です。

母マニックサンデーはサンスポ賞4歳牝馬特別(G2)の勝ち馬。その4分の3弟にザッツザプレンティ(菊花賞)、近親にバブルガムフェロー(天皇賞・秋、朝日杯3歳S)がいる良血です。今年の3歳牝馬戦線の有力馬ハブルバブルもこの牝系に属しています。

「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」はニックスですが、ワイルドラズベリー、ダンスファンタジア、スピードリッパーなど、活躍した馬のほとんどが牝馬というのもおもしろい傾向です。本馬は牡馬。走りがしっかりしており能力は高そうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103002/

■土曜阪神6Rの3歳500万下(芝2400m)は、カーマイン(8番人気)が中団からしぶとく差しました。

勝ちタイムは2分25秒4。単純な比較をすれば同日の日経賞(G2・芝2400m)と同タイムです。もちろん、道中のペースが違うので同じ価値というわけではありません。スパッと切れる脚がないので、前が引っ張り持久力が問われる流れになったのはよかったと思います。

ヴァーミリアン(最優秀ダートホース)、サカラート(東海Sなどダート重賞4勝)、キングスエンブレム(シリウスS)の半弟、ソリタリーキング(ヒヤシンスS-2着)の全弟にあたる良血。本馬はこれらとは違ったタイプで、いかにも芝の長距離向きといった走法ですね。青葉賞→ダービーという路線が狙いになるのでしょう。将来的には3000m級の重賞の常連になりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103188/

2011年4月 4日 (月)

大阪杯はヒルノダムール

昨年1月の若駒S(OP)以来1年以上も勝ち星のない△ヒルノダムールが単勝1番人気。これは危ないのでは、と思っていたら勝ってしまいました。「御見それしました」という言葉しか出てきません。
http://www.youtube.com/watch?v=Pd1lYKP7cls

藤田騎手がうまく馬群を捌いてインから上昇し、距離ロスを最小限に抑えたのが勝因でしょう。今週からBコースだったので内側の馬場状態がよく、ここを通った馬は簡単に止まりませんでした。

配合については昨年1月23日のエントリー「若駒Sはヒルノダムール快勝」をご覧ください。世代の二番手集団に落ちたかと思わせてまたトップ争覇圏に返り咲くしぶとさ。これはたいしたものです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-39a6.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/

レースを見ていて一瞬勝ったと思ったのがハナ差2着のダークシャドウ(8番人気)。昨年4月、経験馬相手に大出遅れから上がり33秒5の鬼脚を繰り出して勝利したデビュー戦は、ターゲットマシンのデビュー戦と似て強いインパクトがありました。続く2戦目を勝ったあと『web競馬王』に書いた論評の一部を転載します。

「『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、半兄にユノナゲット、ダノンブライアン(いずれもOP)がいる。母方に速いアメリカ血統を入れているためダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがあり、前走の上がり33秒5は初出走馬であることを考えれば高い価値があった。ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4は好感が持てる。今回は好スタートを決めた出た時点で勝負あったという雰囲気。ここは単なる通過点だろう。」

前走の調布特別(1000万下・芝2000m)は手合い違いという内容の楽勝でしたが、このメンバー相手に別定戦で勝ち負けになるとは驚きです。ここまで無理をせず大事に使われてきたことで、晩成の大器が花開こうとしているのかもしれません。前記の論評を書いたあと、同じく半兄のチョイワルグランパがシリウスS(G3)で3着となっています。母マチカネハツシマダは優秀な繁殖牝馬ですね。2代母 Yousefia は名種牡馬 Green Desert の全妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

◎ダノンシャンティ(5番人気)は4着。ハイペースだったとはいえ、前が止まらない馬場コンディションの内回りコースで、最後方追走&大外回しはつらかったと思います。レコード決着のなか、1、2着馬よりも2キロ重い59キロを背負って上がり33秒6ですから、負けたとはいえ胸を張れる内容でしょう。今回はパドックからテンションが高く、引っ掛かるリスクを考えてあの位置取りになったのだと思います。

2011年4月 3日 (日)

日経賞はトゥザグローリー

少頭数のスローペースという興趣を削ぎがちな展開ではありましたが、直線の攻防は迫力満点、見応えがありました。やはりメンバーがそろった競馬は違います。2馬身半差で勝った◎トゥザグローリー(1番人気)の力が抜けていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=wLAZz-ZWSLM

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎○▲で完全的中。ただ、上位3頭に人気が集中していたため馬単も3連単も激安でした。予想文を転載します。

「◎トゥザグローリーは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を2連覇したほか、ドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統だ。有馬記念(G1)3着がフロックでないことは前走の京都記念(G2)快勝で証明した。現在の阪神芝は末脚のしっかりした馬が有利なので、終い確実に伸びるこの馬に向いているだろう。ローズキングダムよりも1キロ軽い58キロは有利。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107386/

昨年春の青葉賞(G2)ではペルーサに4馬身差をつけられたのですが、今回は逆に2馬身半差をつける完勝。立場が逆転しました。昨年12月の中日新聞杯の回顧で「過剰と思えるほど代々 Hyperion を入れてきた牝系なので、成長力に関しては太鼓判を押せます」と記したとおり、一戦ごとにパワーアップしています。やや頭が高いフットワークは優雅とはいえませんが、それでグングン伸びてくる迫力はなかなかのもの。宝塚記念でヴィクトワールピサとの対決が実現するなら楽しみです。

○ペルーサ(2番人気)は課題だった出遅れ癖が治まってきたのはいい傾向です。しかし、それと同時に、かつて持っていた規格外の迫力、破天荒なきらめきが薄らいできたような気がします。いまは飼い慣らされた猛獣のようであまり怖くありません。ちょっと残念な気もします。

▲ローズキングダム(3番人気)はトゥザグローリーを負かしにいき、突き放されたところでペルーサに差されました。トゥザ、ペルよりも1キロ重い59キロを背負っていたことを考えれば勝ち馬に次ぐ内容でした。ただ、世代ナンバーワンの評価は遠くなりましたね。

今回のメンバーで天皇賞・春(G1・芝3200m)の争覇圏にあるのはトゥザグローリーとマイネルキッツの2頭でしょうか。

2011年4月 2日 (土)

シンザン生誕50周年

2011年4月2日は、五冠馬シンザンが誕生してちょうど50年目にあたります。

シンザンの現役時代はわたしが生まれる前のことなので、書物やビデオで得た知識しかありません。
http://www.youtube.com/watch?v=t2WcWf4FJD4
http://www.youtube.com/watch?v=VIPeQb2R2lk
http://www.youtube.com/watch?v=5nhCFDEu-9I

競馬に関心を持ち始めたころはもちろん生存しており、産駒も現役で走っていました。ミナガワマンナは菊花賞を勝ち、ミホシンザンは皐月賞と菊花賞の二冠を制覇。皐月賞を5馬身差で圧勝したミホシンザンが骨折し、三冠の夢が絶たれてしまったときは、ちょうどレーヴディソールの骨折の報を聞いたときのような虚無感を覚えました。

内国産種牡馬が冷遇されていた時代、種牡馬ランキングの1位から20位までほとんど輸入種牡馬が占めていた70年代に、シンザンが成した功績は、現代のわれわれが考えるよりも大きかったと思います。内国産種牡馬への根強い偏見があるなか、シンザンを繋養した谷川牧場の谷川弘一郎氏が涙ぐましい努力をして繁殖牝馬を集めたことは有名です。シンザンが切り開いた道を、アローエクスプレスやトウショウボーイといった次の世代の内国産種牡馬が歩んでいったわけです。

父ヒンドスタンは60年代に計7回リーディングサイアーとなった名種牡馬。アガ・カーン三世殿下が生産所有した名血で、その牝系は Uganda にさかのぼる名門です。

Uganda(f.1921.Bridaine)仏オークス、ロワイヤルオーク賞
 Ukrania(f.1926.Ksar)仏オークス
 Udaipur(f.1929.Blandford)英オークス、コロネーションS
 │Clovelly(f.1938.Mahmoud)
 ││Pangani(f.1945.Fair Trial)
 ││ ソーダストリーム(f.1953.Airborne)
 ││ │アローエクスプレス(c.1967.スパニッシュイクスプレス)
 ││ │         朝日杯3歳S、京成杯、NHK杯
 ││ シザラ(f.1955.Marsyas)
 ││  バンブーシザラ(f.1969.テスコボーイ)
 ││   バンブーアトラス(c.1979.ジムフレンチ)
 ││                   日本ダービー
 │Sonibai(f.1939.Solario)
 │ ヒンドスタン(c.1946.Bois Roussel)愛ダービー
 Una(f.1930.Tetratema)
 │Palestine(c.1947.Fair Trial)英2000ギニー
 Umidwar(c.1931.Blandford)チャンピオンS

シンザンは Gainsborough 4×4を持っています。これは、同年にカナダで生まれた大種牡馬 Northern Dancer、ソ連の歴史的名馬 Anilin と同じ配合パターン。東洋の片隅で生まれた馬ではあっても、世界的な血統の潮流に取り残された配合ではありませんでした。
http://ahonoora.web.fc2.com/sinzan.html
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer
http://www.pedigreequery.com/anilin

配合についてはもう少し補足しなければならないことがあるのですが、長くなってしまうので、エントリーを改めて来週あたりに書きたいと思います。

2011年4月 1日 (金)

ディープインパクト産駒の Barocci がフランスで勝利

Omnium II は19世紀末のフランスの名馬で、仏ダービーをはじめ大レースを勝ちまくり、引退後は仏リーディングサイアーにもなりました。Tourbillon の父として知られる Ksar(凱旋門賞2回、仏ダービー)は Omnium II 3×2です。
http://www.pedigreequery.com/ksar

この馬を記念したオムニウムII賞(芝1600m)は、リステッドレースではありますがそこそこ重要度の高いレースです。フランスの3歳牡馬のトップクラスは、シーズン最初のレースとして、4月半ばにロンシャンで行われるフォンテンブロー賞(G3・芝1600m)か、3月にサンクルーで行われるオムニウムII賞を使ってくることが多いですね。

日本で生まれ、フランスに輸出されたディープインパクト産駒の Barocci は、昨年10月のデビュー戦で2着。今回のオムニウムII賞は約半年ぶりのレースでした。結果は以下のとおり。

■オムニウムII賞(3/31・サンクルー・芝1600m・7頭・不良馬場)
1着 Barocci     1分48秒90
2着 Private Jet     短首
3着 Two for Two      2

見事勝利を飾りました。勝利騎手はクリストフ・スミヨン、調教師はエリー・ルルーシュです。芝1600mで1分48秒90という勝ちタイムですから、ペースが遅かったにしろ馬場は相当悪いですね。母の父 Giant's Causeway や Hypericum≒Aureole 6×6のパワーが活きたように思います。また、Round Table が入るディープインパクト産駒は走るなぁという印象です。
http://www.pedigreequery.com/barocci2

ディープインパクトの母方に潜む Lady Rebecca を刺激する配合は好みなのですが、Sir Gaylord≒Secretariat 6×5・6、Pocahontas 5×7を持つこの馬はまさにそのパターンです。

Giant's Causeway が入るので、あくまでも欧州仕様ながら、配合的には見どころがあります。今後は、仏2000ギニーに直接向かうのか、フォンテンブロー賞あたりを挟むのか、現段階では分かりませんが、いずれにしろ非常に楽しみです。

2011年3月31日 (木)

毎日杯はレッドデイヴィス

日曜阪神12Rの毎日杯(G3・芝1800m)は、○レッドデイヴィス(2番人気)が最内から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VIXMlQcqCvI

1月のシンザン記念(G3)に次ぐ重賞制覇。力量どおり走った結果ですね。配合については1月10日のエントリー「シンザン記念はレッドデイヴィス」をご参照ください。3歳世代のアグネスタキオン産駒は、残念ながら骨折休養となった牝馬のレーヴディソールに加え、牡馬のレッドデイヴィス、ノーザンリバーと3頭の重賞勝ち馬が出ています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-1c12.html

2着△コティリオン(4番人気)は高い素質を秘めた馬ですが、周知のとおり折り合い面に弱点があります。今回は後方のインに馬を入れてなんとか折り合いをつけ、直線で弾けました。レースに注文がつくだけに計算の立ちづらい馬です。あの位置取りでは幸運が重ならないとなかなか前が開きません。

◎トーセンレーヴ(1番人気)は3着。リスポリ騎手によれば引っ掛かったとのこと。1、2戦目の超スローペースに比べれば流れてはいましたが、デビュー戦から中2週、中2週という押せ押せのローテーションで、馬のテンションが上がっていたのかもしれません。前走、アルメリア賞の回顧で、次走は「並の馬なら十中八九消えるパターン」と記しましたが、これまでより格段に強い相手にしっかり競馬になっていますし、この内容なら上出来でしょう。悲観することはないと思います。

2、3着はディープインパクト産駒。今回、コティリオンはうまくレースを運ぶことができましたが、トーセンレーヴは思わぬ弱みを見せました。当ブログでも何度か触れたように、気性面に由来する自爆傾向はディープインパクト産駒にしばしば見られます。それまで兆候を見せなかったのに、競馬に行ってスイッチが入ってしまうケースが目に付きます。このあたりをどう克服するかということは、馬を管理する側の大きな課題となりそうです。

2011年3月30日 (水)

フラワーCはトレンドハンター

土曜阪神12RのフラワーC(G3・芝1800m)は、初芝のトレンドハンター(5番人気)が豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=4imvFCR7GBc

同コースで行われた11RのスプリングSは、5ハロン通過が59秒5。対してフラワーCは59秒0で、レースの上がりは35秒9。ゆるみのない厳しい流れだったことがわかります。切れ味よりも持続力や底力が問われるレースでした。

勝ったトレンドハンターはここまで〔2・1・0・0〕という成績。そのすべてがダート戦でした。母ロイヤルペルラは「ブライアンズタイム×Storm Cat」というダート色の強い組み合わせで、2代母スターマイライフは Lady's Secret(米年度代表馬に輝いた女傑)の半妹にあたるパワータイプ。父がマンハッタンカフェといっても、芝替わりで買いたくなる配合ではありません。予想は無印でした。この鮮やかな勝ちっぷりにはビックリです。持続力や底力が問われるレースになったのも幸いしたのでしょう。桜花賞よりもオークス向きですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100618/

マンハッタンカフェと Storm Cat の組み合わせは悪くなく、ほかにマッハヴェロシティ、アンシェルブルー、ツルマルジャパンといった活躍馬が出ています。

2着▲ハブルバブル(1番人気)は連闘でしたが頑張りました。やはり最低でもこれぐらいの距離があったほうがいいと思います。リスポリ騎手は最後の直線の不利を訴えており、勝ちに等しい内容といえるでしょう。

◎マイネイサベル(2番人気)は4着。前崩れの流れで3番手から粘ったのですから力は示しました。オークスが楽しみです。

2011年3月29日 (火)

スプリングSはオルフェーヴル

ハイレベルなメンバーが集まったものの、どれもはっきりとした不安点を抱えていたので、予想をする上では難しい一戦でした。△オルフェーヴル(1番人気)の場合は気性難。しかし、そのような素振りは見せず、スムーズに折り合って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=IGGhJwcs1KU

ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)の全弟ですから、血統はくどくど説明するまでもないでしょう。「ステイゴールド×メジロマックイーン」は、過去5頭が出走して3頭が重賞を制覇(ドリームジャーニー、オルフェーヴル、フェイトフルウォー)。素晴らしいニックスです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

今年は皐月賞が東京競馬場で行われます。全兄ドリームジャーニーは東京競馬場での成績が振るいませんでした。血統が同じだからといって同じように東京競馬場を苦手にするとは限りませんが、懸念材料であることは確かでしょう。

◎リベルタス(2番人気)は13着。前走の若駒Sは体調どん底ながら勝ちました。今回は良くなるだろうと思っていたのですが、調教の過程を見ると意外に良くなっていないので不安はありました。よほど急上昇しないかぎり春は難しいかもしれません。

2011年3月28日 (月)

高松宮記念はキンシャサノキセキ

道中いくつかのアクシデントがあり、力を出し切れない馬が多かったのですが、○キンシャサノキセキ(3番人気)の勝利の価値が損なわれるものではありません。8歳(正確には7歳半)にしてこの競馬ですから「参りました」の一語です。
http://www.youtube.com/watch?v=DNIuUC9LDmc

8歳馬の平地重賞制覇は、カンパニーの天皇賞・秋とマイルCS、そしてウルトラファンタジーのスプリンターズS。過去わずか3例しかありませんでした。これは Pleasant Colony の影響でしょうか。成長力に富んだ晩成型の血です。

Pleasant Colony が属す Ribot 系は気性面の難しさがひとつの特徴であり、スタミナは持っていても短距離型に出ることが珍しくありません。カッと燃える気性がそうさせるのでしょう。キンシャサノキセキがスプリンターとなったのもこの血の影響だろうと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003110212/

Pleasant Colony の孫にあたるタップダンスシチーは、短距離馬ではありませんでしたが、馬群のなかで我慢を強いられるのは苦手で、逃げることで力を発揮するタイプでした。どことなく Ribot 系っぽい気難しさが垣間見える馬でしたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1997110043/

10着に敗れた◎ジョーカプチーノ(1番人気)は3コーナーで挟まれる不利。藤岡康太騎手曰く「減速した後はエンジンがもう掛かりませんでした」(ラジオNIKKEI競馬実況web)。こんな馬ではないので秋のスプリンターズS(G1・芝1200m)でリベンジしてほしいですね。

2011年3月25日 (金)

フロックではないダノンミル

■日曜阪神10Rの若葉S(OP・芝2000m)は、ダノンミル(12番人気)が好位から伸びて押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=Fk-X1Z26m2A

前走、小倉の未勝利戦(芝2000m)を勝ち上がったばかり。16頭中の12番人気という評価は妥当でしょう。ゆるみのないペースを好位から差し切ったレースぶりは、とくに展開に恵まれたわけでもなく、実力としかいいようがありません。勝ちタイム1分59秒1は施行場所が阪神競馬場に移った00年以降では最速。2着カフナ、3着ダノンシャークも戦績以上に力を秘めた馬ですからフロックではないと思います。ここにきてグングン成長していますね。侮ると痛い目に遭うかもしれません。

母スターリーロマンスはフジキセキの全妹にあたる良血。本馬の半姉ファイブスター(父クロフネ)は3勝、クリスティロマンス(父シンボリクリスエス)は2勝と、重賞クラスには届きませんがなかなかいい馬です。

「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」は、ジャガーメイル、トールポピー、フサイチホウオー、アプリコットフィズ、トーセンキャプテン、ダイワファルコンなど多くの活躍馬が出ているニックス。この配合をインスタントに見分けるコツは“2代母の父”にあります。ここにスピードタイプや軟弱な血が入ると減点です。たとえば、Mr.Prospector 系などが入るパターンはあまり結果が出ていません。逆に、いかつい Northern Dancer 系とか、ヨーロッパ型の重厚な血とか、スタミナに秀でた血とか、そういういった血はフィットします。本馬の2代母の父 Le Fabuleux は、フランス産のステイヤーですからいいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102875/

■月曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、△アイヴィーリーグ(4番人気)が好位から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ppHQQEarkw4

新種牡馬リンカーンは、昨年6月から3月第1週まで58頭がデビューし、1頭も新馬戦を勝っていませんでした。これが初めての新馬勝ち馬となります。基本的に仕上がりは早くなく、素軽さもイマイチですが、パワーとスタミナは十分。サンデー系というイメージは薄く、グレースアドマイヤ(リンカーンの母)っぽい特長を伝える種牡馬です。おそらく産駒は総じて晩成型でしょうから、3歳夏を越してからが本番で、古馬の中長距離路線ではリンカーン産駒がかなり頑張ってくるのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104893/

近親にこれといった活躍馬はいませんが、母方はフレンチデピュティ、トウショウボーイと優れた影響を与える血で構成されており、高い潜在能力を感じさせます。Hyperion が配合の中核となっているのがいいですね。古馬になってからが楽しみです。

2011年3月24日 (木)

次走は疑問も素質高いフルアクセル

■日曜阪神3Rの3歳未勝利戦(芝1600m)は、出遅れて後方追走となったフルアクセル(7番人気)が直線で豪快に抜け出しました。上がり3ハロンは33秒9。アグネスタキオン産駒らしい切れ味でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102748/

母アクセラレイションはコリーダ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬。繁殖牝馬としてはこれといった産駒を出していません。ドイツ血統で構成されているのがセールスポイントです。母の父 Acatenango は3年連続で独年度代表馬に輝いた名馬で、種牡馬としてもドイツで5回リーディングサイアーとなりました。ジャパンC(G1)を勝った Lando の父でもあります。

昨年4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」で以下のように述べました。

「現代における最も重要なドイツ血統は、1974年に誕生した Surumu でしょう。『スタミナはあるが重く、道悪が上手でスピードに乏しい』といった旧来のイメージから脱した、現代性を帯びたドイツ血統です。スピードがあり、堅い馬場も苦にしません。Surumu の2代母 Suncourt はテスコボーイの母でもあります。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

Acatenango の父は Surumu です。

ドイツ血統を持つアグネスタキオン産駒はこれまで数頭おり、アドマイヤオーラ(ブエナビスタの半兄)が弥生賞(G2)と京都金杯(G3)を勝ちました。本馬はそれに次ぐ活躍馬となるかもしれません。

2代母 Whirlwind が持つ Tom Rolfe 4×3がいいですね。アグネスタキオン産駒はやや線の細いところがあるので、そうした弱点を補う Ribot 系の血は合います。ダービー馬ディープスカイも母方に Ribot 系が入っています。

出遅れて後方追走、というレースぶりには改善の余地があります。今回のような派手な勝ちっぷりは、次走人気を押し上げる要因となりますが、昇級戦で出遅れが直る保障はありません。高い素質は認めつつ馬券的には嫌ってみたいところではあります。

■日曜阪神6Rの新馬戦(ダ1800m)は、中団から徐々にポジションを押し上げた◎トーセンウィーク(4番人気)が終始外を回りながらねじ伏せました。
http://www.youtube.com/watch?v=rgmck31SD04

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単3660円的中。予想文を転載します。

「◎トーセンウィークは『フジキセキ×デピュティミニスター』という組み合わせ。全兄にダート王カネヒキリがいる。フジキセキ産駒のダートホースのモデルケースともいえる好配合馬。超大型馬なので使ってからの可能性もあるが、素質に賭けてみたい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103356/

フジキセキ産駒は大雑把にいって Mr.Prospector や Princely Gift を持つものが走る傾向が見られます。カネヒキリとその全弟トーセンウィークは、この基本ラインを押さえつつ、ダート血統として定評のある Deputy Minister を入れています。シンプルで力強いですね。稽古はイマイチでしたが実戦で強さを見せました。血の力でしょう。

2011年3月23日 (水)

ステイゴールドと Nijinsky は好相性

■土曜阪神5Rの新馬戦(芝2000m)は、△サワノファンタス(7番人気)が好位から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=4nOAiE_4MQU

新馬戦をずっと見ている方なら気づかれていると思うのですが、ステイゴールドの現3歳世代は新馬戦で馬券になるケースが目立ちます。同産駒といえば以前は新馬戦で切るのが隠れたセオリーでしたが、現3歳世代ではその作戦が通用しません。とくに芝1600m以上では連対率21.2%。これは立派な成績です。

半兄サワノパンサー(父タイキシャトル)はOP馬。同じく半兄のサワノブレイブ(父ブライアンズタイム)は準OP馬。母は「トニービン×マルゼンスキー×フォルティノ×Crepello」と代々一流種牡馬ばかりを掛けてきた隙のない構成で、高いポテンシャルを感じさせます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101426/

ステイゴールドは Nijinsky を抱えた繁殖牝馬と好相性を示しています。シルクメビウス、ナカヤマナイト、アルコセニョーラ、マイネレーツェル、フェイトフルウォー、エムエスワールドなどがこのパターンに当てはまります。

このうち、シルクメビウス、ナカヤマナイト、マイネレーツェル、エムエスワールドは、Nijinsky 系のなかでもマルゼンスキーを持っています。サワノファンタスも同パターン。中長距離で強そうなタイプですね。

◎ポレモス(4番人気)は3着。牝馬ながらよく頑張りました。予想は△△◎で3連複11870円的中。

■日曜阪神1Rの3歳未勝利戦(ダ1800m)は、シシリアンブリーズ(1番人気)が逃げて後続を6馬身ちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=DtqbVnalxCU

クロフネ(ジャパンCダート、NHKマイルC)、Bella Bellucci(アスタリタS)の半妹にあたる良血。父ゼンノロブロイは基本的には芝向きの中距離タイプですが、硬めのアメリカ血統で構成されているので、配合次第ではダート巧者も出します。本馬は芝の新馬戦で2着ですから芝適性も十分。ただ、勝ちっぷりを見ると本領発揮の舞台はダートでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103302/

2011年3月22日 (火)

フィリーズレビューはフレンチカクタス

日曜日の夕方から路面が濡れ始め、月曜日の昼過ぎあたりまでパラパラと雨が落ちていました。発表は稍重でしたが、ダートが不良であるように、力のいる馬場だったと思います。

そんなコンディションで前半3ハロンが34秒1。00年以降では3番目に速いペースですから、先行勢にとってはかなりつらかったですね。因果関係は不明ですが逃げてラップを刻んだモアグレイスはレース後に急性心不全で死亡しました。掲示板の5頭はすべて4コーナーで中団以下に控えていた馬たちです。
http://www.youtube.com/watch?v=-ZvCvq2zJ_M

勝った△フレンチカクタス(3番人気)は、昨年暮れのひいらぎ賞(500万下)でデルマドゥルガー(ジュニアC)相手に強い勝ち方をし、赤松賞(500万下)ではダンスファンタジア(フェアリーS)の2着、クイーンC(G3)でも差のない4着と、トップクラス相手に互角のレースを繰り返してきた実力馬。大柄な馬格から繰り出すフットワークは迫力があります。全兄ダイワフラッグは大柄なダート馬で、血統的にもダートのほうが……という感がなきにしもあらずですが、同じ血統でも、牡馬に比べて牝馬のほうが素軽く出てくることが多いので、芝にも適応しているのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100801/

母ブラッシュウィズテキーラは Ribot 5×4。これが底力の源です。父タイキシャトルは線の細さがある血統なので、母方に重厚な血を入れるのがコツ。セントウルS(G3)を2連覇したゴールデンキャストは、母リターンバンダムが Ribot 4×4。ちょっと配合が似ています。1400mという距離、力の要る馬場状態への適性が高く、ペースも向いたということでしょう。本番の桜花賞でレーヴディソールを脅かすほどの力はないと思います。

◎クリアンサス(9番人気)は9着。この馬場コンディションなら一発があっても不思議はないと思ったのですが、ペースが速すぎました。

                *

名古屋競馬場で行われた名古屋大賞典(G3・芝1900m)はエスポワールシチー(1番人気)がレコード勝ち。道中抑えきれない手応えで先頭に立ち、そのまま押し切りました。2着はワンダーアキュート(2番人気)。全盛時のコンディションにはまだまだ遠いのですが、それでこの勝ちっぷりですからモノが違うというしかありません。
http://www.youtube.com/watch?v=2tfVbpcrB3c

2011年3月21日 (月)

阪神大賞典はナムラクレセント

△ナムラクレセント(3番人気)が2番手から堂々と抜け出して楽勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=gZrtycAWWrs

菊花賞(G1・芝3000m)3着、天皇賞・春(G1・芝3200m)4着、阪神大賞典(G2・芝3000m)3着と、長距離では安定した成績を残しているので、終わってみれば順当といえる結果なのですが、近走のレースぶりを見るとややピークを過ぎた感があったので、重い印は打てませんでした。見事な頑張りでしたね。

個人的には非常に思い入れのある馬です。というのも、父ヤマニンセラフィム、母サクラコミナはいずれもPOG所有馬だったからです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100813/

父ヤマニンセラフィムはヤマニンパラダイス(阪神3歳牝馬S)の初子で、父はサンデーサイレンスという超良血。京成杯(G3)におけるローマンエンパイアとの同着優勝によって記憶される馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999104188/

母サクラコミナはデビュー2連勝を飾った素質馬。ただ、故障がちだったことが影響し、4戦2勝で競走生活を終えました。味のある配合なので繁殖牝馬としては成功するだろうと考えていたのですが、なかなかいい産駒を出せず、ナムラクレセントを生んだのは18歳のときでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987107256/

父も母も現役時代のことをよく知っています。それだけに、この組み合わせから3000m級の長距離を得意とする産駒が出るとはイメージしづらいですね。サクラショウリやフィダルゴあたりのスタミナが出ているのかもしれません。母はヨーロッパ血統を主体とした繊細な父母相似配合なので、Northern Dancer、Raise a Native、サンデーサイレンスといったアメリカの主流血統との出会いはインパクトが大きいはずです。

◎コスモメドウ(1番人気)は2着。完敗ではありましたが、5着もないかという手応えでしっかり2着を確保したあたり、やはりステイヤーとしての資質を感じさせます。馬券は△◎で馬連790円的中、△◎△で3連複2120円的中でした。

さて、本日は阪神競馬場でフィリーズレビュー(G2・芝1400m)が行われますが、名古屋競馬場ではエスポワールシチーの復帰戦となる名古屋大賞典(G3・ダ1900m)が行われます。こちらも注目です。

2011年3月20日 (日)

ファルコンSはヘニーハウンド

まったくノーマークでした。キャリア1戦、休み明けでこのメンバー相手に勝ってしまうのですから、ごく単純に力が上だったということですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Grq6Dq0oTrg

半姉シンフォニーライツ(父 Vindication)はダート短距離で2勝。アメリカで走ったそれ以外の兄姉に、これといった大物はいません。母の半兄にはクリスマスデイH(米G3・ダ9f)を勝った Bidding Proud がいます。

父 Henny Hughes はヴォスバーグS(米G1・ダ6f)、キングズビショップS(米G1・ダ7f)など4つの重賞を含めて10戦6勝の成績を残したスピード馬。今年の3歳世代が初年度産駒で、日本に輸入された4頭(ヘニーハウンド、アウトストラーダ、サウンドボルケーノ、シゲルシュサ)はいずれも勝ち星を挙げています。日本向きといえるかもしれません。芝で勝ったのはヘニーハウンドのみです。
http://www.pedigreequery.com/henny+hughes

「ヘネシー×Meadowlake」の父に、Damascus 系の母の父ですから、フィジカルの強さで押してくる一本調子の逃げ馬だろう、と早合点していました。初戦の逃げ切り勝ちもその印象を強めました。2戦目の今回、控える競馬にも無難に対応し、なかなか味のあるところを見せ付けました。思ったよりも奥があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110097/

2011年3月16日 (水)

スピード×スタミナの優位性

昨年12月1日、競馬国際交流協会と日本軽種馬登録協会が合併し、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルという組織が誕生しました。そのサイトには「海外競馬情報」というコーナーがあり、世界各国の競馬に関する情報を日本語訳で読むことができます。

2月25日、「スピード重視の種牡馬選びがチャンピオン血統に変化を与える」という記事がアップロードされました。
http://www.jairs.jp/contents/w_news/2011/4/4.html

内容は、現役時代にスプリンターやマイラーだった種牡馬の子が、2000~2400mの大レースを勝つ割合が以前に比べて増えている、というもの。昨年でいえば、ハービンジャー(父 Dansili)、Workforce(父 King's Best)、Twice Over(父 Observatory)、Snow Fairy(父 Intikhab)など10頭が該当します。03年は8頭、93年は7頭でした。

このパターンは、配合に関心を持つ者なら誰でも知っているポピュラーなものです。たとえば、100年近く前に活躍した Phalaris(1913年生)などがそう。現役時代はマイル以下で圧倒的な強さを誇り、引退後、英リーディングサイアーに二度輝いた名種牡馬です。スタミナ豊かな Chaucer を父に持つ繁殖牝馬との間に、Pharos、Fairway、Sickle、Pharamond を出しました。現代の主要父系はことごとく Phalaris から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/pharos

  Phalaris(1913)
    Pharos(1920)
    │ Nearco(1935)
    │   Nasrullah(1940)
    │   │ Grey Sovereign(1948)
    │   │ Bold Ruler(1954)
    │   │ Red God(1954)
    │   │ Never Bend(1960)
    │   Royal Charger(1942)
    │   │ Turn-to(1951)
    │   │   Hail to Reason(1958)
    │   │     Roberto(1969)
    │   │     Halo(1969)
    │   Nearctic(1954)
    │     Northern Dancer(1961)
    │       Nijinsky(1967)
    │       Lyphard(1969)
    │       Nureyev(1977)
    │       Danzig(1977)
    │       Sadler's Wells(1981)
    Sickle(1924)
    │ Unbreakable(1935)
    │   Polynesian(1942)
    │     Native Dancer(1950)
    │       Raise a Native(1961)
    │         Mr.Prospector(1970)
    Fairway(1925)
    │ Fair Trial(1934)
    │   Petition(1944)
    │     Petingo(1965)
    Pharamond(1925)
      Menow(1935)
        Tom Fool(1949)
          Buckpasser(1963)

現代の血統シーンで Danzig 系や Mr.Prospector 系が優位に立っているのも、スピード×スタミナの配合パターンが優れたものであることの証明でしょう。

2011年3月14日 (月)

Black Caviar 無傷の10連勝

現在、オーストラリア競馬の主役は Black Caviar という快速牝馬。2月19日にライトニングS(豪G1・芝1000m)を勝ち、デビュー以来の連勝記録を「9」に伸ばしました。同国の無敗の連勝記録としては歴代トップタイにあたる数字です。

そして、新記録をかけて臨んだ3月12日のニューマーケットH(豪G1・芝1200m)。序盤から先頭をうかがう位置でレースを進め、残り400mを切ってから追い出されると後続を突き放し圧勝。最後の50mは流していたにもかかわらず3馬身差をつけました。差がつきづらい短距離でこの勝ちっぷりは凄いとしかいいようがありません。しかも牝馬ながら58キロの重ハンデを背負い、勝ちタイムは1分07秒36のステークスレコード。最後の600mは32秒69です。
http://www.youtube.com/watch?v=NBw3WMi7kJQ

周知のとおりオーストラリアは芝短距離王国で、このカテゴリーのレベルはおそらく世界一。そのトップクラスが集まるG1でこれだけの力差を見せつけるわけですから別次元です。

配合については以下のエントリーをご参照ください。

★オーストラリアのスピードクイーン Black Caviar(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/black-caviar-e5d8.html
★オーストラリアのスピードクイーン Black Caviar(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/black-caviar-1b91.html

ちなみに、今回の2着馬 Crystal Lily(ハンデ50キロなので勝ち馬とは8キロの斤量差がありました)も、Black Cavier と同じく Vain クロスを持ち、Snippets を持っています。Snippets はスニッツェルにも含まれています。
http://www.pedigreequery.com/crystal+lily2
http://www.pedigreequery.com/snippets

Black Caviar を負かす馬はオーストラリアにはいないでしょう。昨年暮れの香港スプリント(G1・芝1200m)の上位3頭、J J the Jet Plane(南アフリカ)、Rocket Man(シンガポール)、Sacred Kingdom(香港)とは未対決で、これらが一堂に会するドリームレースはぜひ実現してほしいのですが、ピーター・ムーディー調教師のコメントを見るかぎり国外遠征に打って出る可能性は低そうです。

2011年3月11日 (金)

アポインホープ重賞初制覇

3月10日、名古屋競馬場で行われた3歳重賞スプリングC(ダ1800m)は、2番手追走のアポインホープ(6番人気)が抜け出して優勝しました。逃げ馬を競り潰しに行っての勝利なので着差(1馬身)以上に強かったと思います。

この馬は2月26日のエントリー「ボールドスマッシュ2勝目」で触れたことがあります。各地区の3歳有望馬、として取り上げた5頭のうち、唯一重賞を勝っていない格下馬でした。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-cfc1.html

なぜこの馬に注目をしたかというと、配合がおもしろかったからです。前記のエントリーにはこう記しました。「母に Capote≒Some de Lys 2×2がある。まだ格下だがこれから頭角を現しそうな馬」。今回は6番人気と低評価でしたが、素質の高さを見せつけました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103810/

母マルターズガールの配合は以下のとおり。Capote≒Some de Lys 2×2です。

              ┌ Seattle Slew
            ┌○┤
          ┌○┘ └ Too Bald
マルターズガール ―┤     ┌ Seattle Slew
          └○┐ ┌○┘
            └○┤
              └○┐
                └ Too Bald

そして、アポインホープ自身は、父アポインテッドデイの3代母 Qui Royalty が Too Bald と相似な血の関係にあるので、Qui Royalty≒Too Bald 4×4・5でもあります。
http://www.pedigreequery.com/qui+blink
http://www.pedigreequery.com/too+bald

        ┌ Royal Charger(≒Nasrullah)
      ┌○┘
Qui Blink ―┤ ┌ Dark Star
      └○┤ ┌ Nasrullah
        └○┘

        ┌ Nasrullah(≒Royal Charger)
      ┌○┘
Too Bald ―┤ ┌ Dark Star
      └○┤ ┌ Nasrullah
        └○┘

よく出来た配合ですね。La Troienne 血脈がしっかりサポートしているのでダート向きのパワーも十分です。春の大レースへ向けて順調に成長してほしいものです。

2011年3月10日 (木)

日本のダートに向く Speightstown 産駒

3月といえば調教セールの季節。アメリカのフロリダ州やカリフォルニア州で、OBS、ファシグティプトン、バレッツなどが主催する大規模なセールが行われます。これに赴く日本人ホースマンも多いことでしょう。

アメリカに繋養されいている種牡馬のなかで、日本の馬場に向いた種牡馬は何頭かいますが、“コンスタントに走るダート向きの種牡馬”として個人的に注目しているのは Speightstown。
http://www.pedigreequery.com/speightstown

現役時代にブリーダーズCスプリント(米G1・ダ1200m)など重賞を4勝した一流馬で、04年に米最優秀スプリンターに選出されました。父 Gone West、母の父 Storm Cat という血統です。

日本では過去3頭が走っています。

グリフィンゲート(OP)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110141/
ドスライス(準OP)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110106/
エーシンジェイワン(OP)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110077/

2頭がOP馬、1頭が準OP馬ですから“歩留まり”は最高。ダートの連対率は43.8%で、1走あたりの賞金額は358万円。これも素晴らしいですね。グリフィンゲートは490キロ前後の馬体重ですが、ドスライスとエーシンジェイワンは520~530キロの大型馬。雄大な馬格から繰り出すパワー型のスピードが日本のダートにジャストフィットするのでしょう。

2011年3月 9日 (水)

トーセンレーヴ2戦目も突破

■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1600m)は好位追走のサトノフォワード(1番人気)が難なく抜け出しました。予想は◎○で馬単980円的中。予想を転載します。

「◎サトノフォワードは『ネオユニヴァース×クリスエス』という組み合わせ。半兄プロフェッショナル、半姉ヴィヴィッドカラーはいずれも準OP馬。母アドマイヤライトはスリープレスナイト(スプリンターズS)の半姉にあたる良血で、アドマイヤムーン、ヒシアマゾンなどが近親にいる名牝系に属している。母方にヌレイエフを持つネオユニヴァース産駒はロジユニヴァース、ゴールスキー、アイアムネオなどがおり成功している。このメンバー相手に連は外さないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103081/

本馬にはこのほか、Doubly Sure≒Mortefontaine 4×4があります。

        ┌○┐
Doubly Sure  ―┤ └ Relance(=ポリック)
        └○┐ ┌ Honeyway
          └○┘

        ┌ ポリック(=Relance)
Mortefontaine ―┤ ┌ Honeyway
        └○┘

アドマイヤムーンの2代母ケイティーズファーストにも見られるクロスです(2×2)。非主流の血で構成されたちょっとおもしろい関係ですね。芝向きの軽快さに一抹の不安があったのですが、まったくの杞憂に終わりました。3歳世代のネオユニヴァース産駒は先週も4勝と好調です。

■日曜阪神9Rのアルメリア賞(3歳500万下・芝1800m)はトーセンレーヴ(1番人気)が快勝。上がり3ハロンは33秒3でした。
http://www.youtube.com/watch?v=j7XkEsTmEUs

配合については2月13日のエントリー「トーセンレーヴ初戦突破」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-5216.html

パドックではやや神経質そうなところを見せていましたが、デビュー戦に比べると多少力強さは出てきたような印象です。馬体に威圧感はなく、まるで少年のよう。出走メンバーで喧嘩をしたら一番弱いんじゃないでしょうか(笑)。ただ、半姉ブエナビスタも決して筋骨隆々ではなく、走らせてみるといいタイプ。よっぽど筋肉の質がいいんでしょうね。

5ハロン通過は63秒0ですから、デビュー戦に続いて今回も超スローペース。ラスト3ハロンは11秒7-10秒4-11秒5。いかにペースが遅いとはいえ「10秒4」というラップは優秀です。阪神外回りの芝は、残り600mから200mまでゆるい下り坂で、残り400mからは直線に入ります。したがって、ラスト2ハロン目は速いラップが出やすいのですが、スローペースでも10秒台後半のラップがせいぜいで、10秒台前半は稀にしか出ません。

まるで早回しの映像を見ているかのような回転の速いフットワーク。これが瞬発力の秘密です。お父さんのディープインパクトはしなやかで円みのあるフットワークだったのでそれほど似ている感じはしません。姉のブエナビスタはもう少しトビが大きいですね。血統的には距離が延びてもまったく問題ありませんが、このフットワークでは2400mはギリギリ、現状では1800m前後がベストでしょうか。もう少し成長すればおのずとフットワークも変わってくるでしょう。

問題がなければ次走は毎日杯(3月27日・G3・阪神芝1800m)に向かうようです。2戦続けて少頭数の上がり勝負、揉まれた経験なし、押せ押せのローテーション。並の馬なら十中八九消えるパターンです。トーセンレーヴが“本物”かどうかの試金石ですね。

2011年3月 8日 (火)

サンデーと Redoute's Choice は好相性

■土曜阪神3Rの未勝利戦(芝2000m)はマルカプレジオ(2番人気)が直線で抜け出しました。

このレース、デビュー戦から5戦連続2着のアドマイヤカーリンが単勝1.4倍の圧倒的1番人気に推されましたが、出遅れもあり3着。ついに指定席から滑り落ちました。勝ったマルカプレジオは初戦でトーセンレーヴの2着だった馬。この結果を見てトーセンレーヴの実力をあらためて評価し、日曜日のアルメリア賞での馬券勝負を決意された方もいらっしゃったはずです(1着でした)。

マルカプレジオの父ゴールドアリュールは、エスポワールシチー、スマートファルコン、オーロマイスターの活躍により、すっかりダート種牡馬のイメージが定着していますが、以前はタケミカヅチのような芝の重賞勝ち馬も出していました。マルカプレジオの配合はハーツクライとそっくりです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102938/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103038/

           ┌ サンデーサイレンス
         ┌○┘
マルカプレジオ ―┤ ┌ トニービン
         └○┤
           └○┐
             └ ビューパーダンス

         ┌ サンデーサイレンス
ハーツクライ ――┤ ┌ トニービン
         └○┤
           └ ビューパーダンス

芝向きのしなやかさはこの配合構成によるものでしょう。

■土曜阪神5Rの新馬戦(ダ1800m)は◎スラストライン(3番人気)が好位追走から直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Wb-8Kra_YJ4

予想は◎▲○で馬単3820円、3連単20280円的中。予想文を転載します。

「◎スラストラインは『リダウツチョイス×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母レースパイロットはフローラS(G2)2着馬でキングカメハメハの半妹にあたる良血。父リダウツチョイスはオーストラリアのリーディングサイアー。日本にやってきた産駒はダート戦で意外に悪くない成績を残している。ダンシングショウ≒トライマイベスト3×4は力強さを感じるクロス。リダウツチョイス産駒はスピードを武器としているが、母レースパイロットはそこそこスタミナがあったので1800mはこなせそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103377/

血統背景は予想文に書いたとおり。そして、もうひとつ付け加えたいのはサンデーサイレンスと Redoute's Choice の意外な好相性について。日本における Redoute's Choice 産駒の出世頭ランリョウオー(準OP)、Redoute's Choice 系種牡馬スニッツェルの代表産駒ミッキーマスカット(黄菊賞)は、いずれも母方にサンデーサイレンスを持っています。Halo と Sir Ivor のニックスの効果でしょうか。ただ、あまり試みられる機会がないのが残念です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110121/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103157/

■土曜中山9Rの黄梅賞(3歳500万下・芝1600m)はオメガブレインがしぶとく抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=YPievG_1RMk

キングカメハメハ産駒は中山芝1600mで連対率28.0%。このコースを非常に得意としており、ローズキングダムが朝日杯フューチュリティS(G1)を、カウアイレーンがターコイズ(OP)を、コスモセンサーがニューイヤーS(OP)を勝っています。

母オメガグレイスは準OP馬で、その母エリンバードは伊1000ギニー(G2)の勝ち馬。母方に Riverman または Mill Reef(両者は相似な血の関係)を持つキングカメハメハ産駒は、ローズキングダム、フィフスペトル、コスモセンサー、アドマイヤテンクウなど活躍馬が目立ちます。配合的には文句なし。戦績どおりマイル前後がいいタイプでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102810/

2011年3月 7日 (月)

弥生賞はサダムパテック

弥生賞は過去6年、1番人気馬が〔5・1・0・0〕という成績。実力馬がしっかり力を示すレースです。今回は何が1番人気になるのか週始めには分からないくらいの混戦でしたが、最終的に最も多くの支持を集めた◎ピサノパテックが快勝。実力が一枚上でした。
http://www.youtube.com/watch?v=evo3LekIo3Q

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』『ウマニティ』に提供した予想は◎△で馬単3130円、◎△▲で3連単18840円的中。予想文を転載します。

「◎サダムパテックは『フジキセキ×エリシオ』という組み合わせ。父がフジキセキで母方にミスタープロスペクターが入るパターンは成功方程式のひとつ。カネヒキリ、エイジアンウインズ、コイウタをはじめ多くの活躍馬が出ている。この基本ラインに、重厚なエリシオとホイストザフラッグが入って底力が添えられている。フジキセキ産駒でクラシックを狙うとしたらこういうタイプだろう、と思わされる好配合馬。脚長の体型なので基本的にはコーナーが緩く直線の長いコースに向いているが、前走の朝日杯フューチュリティSよりも距離が2ハロン延び、流れが落ち着きそうなので条件は大幅に好転する。溜めて切れるこの馬の出番だ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/

前走の朝日杯フューチュリティS(G1・芝1600m)は4着。コース設定、スタートの出遅れ、その後のレース運びに持ち味が殺され、力を出し切れなかった敗戦でした。予想文にも書いたとおり今回は大幅に条件が好転するので順当な勝利だったと思います。本番を見据えての仕上げで身体には余裕がありました。上積みもあるはずです。

ただ、予想文にも書いたとおり、脚を溜めて発揮する瞬発力が最大の持ち味なので、トライアルタイプ、という可能性も若干ながらあります。一般的な傾向として、少頭数のトライアルはペースが緩く、多頭数の本番はペースが上がります。スローペースの今回は上がり34秒2という切れ味でねじ伏せましたが、脚を溜められなかった朝日杯で脆さを見せたように、ペースが上がった本番で案外……というシーンも多少は想定しておくべきかもしれません。エリシオと Hoist the Flag の底力に期待です。

2着△プレイ(7番人気)は先団でうまく立ち回りました。強いメンバー相手に善戦してきており弱い馬ではありません。混戦の年は先に行ける馬を軽視してはならない、というのは鉄則です。

3着▲デボネア(5番人気)は距離ロスなくインを回った佐藤哲三騎手が上手かったですね。アグネスタキオン産駒ですが、母ヴェルヴェットクイーンは「Singspiel×シャーディー×Relkino」という持続型の血統。ハイペースへの耐久力はあると思います。大穴候補として本番でもちょっとおもしろい存在です。

しんがり11着に沈んだ○ターゲットマシン(2番人気)は、ゲート入りをさんざん渋り、レースでもハミを噛んで行ってしまいました。明らかに平常心を欠いていましたね。参考外の一戦でしょう。ホープフルSのディープサウンド、シンザン記念のドナウブルー、フェアリーSのイングリッドなど、ディープインパクト産駒は気性面の自爆によって人気を裏切るシーンをたびたび目にします。優等生が突然キレるようなもので、兆候が探りづらいだけに難しいところです。

2011年3月 6日 (日)

チューリップ賞はレーヴディソール

どう考えても負ける要素が見当たらないレースでしたが、勝ちっぷりは想像以上。最後までムチを使うことなく、最後の1ハロンは軽く流していました。それでいて上がり33秒6。ダイワスカーレット、ウオッカ、ブエナビスタの列に加わる存在でしょう。ゾクッとしました。
http://www.youtube.com/watch?v=rJgZ9TXZv5M

「自分がいままで乗ってきた馬のなかでも、これほどのインパクトのある走りを見せてくれる馬というのはいなかったんで、ホントにどこまで強くなっていくのか、楽しみしかないです」と、福永祐一騎手。「ボク自身もこれほど楽に重賞を勝てたことっていままでないです」。

遠回しに“シーザリオよりも上”といっているわけで、これは破格の評価です。脚もとのトラブルさえなければ、いずれ海外の大レースに打って出る馬なのでしょう。1月22日に放送されたテレビ東京『ウイニング競馬』のインタビューで、福永騎手はレーヴディソールについて次のように評しました。

「これまでも切れ味のある牝馬に乗ってきましたけど、レーヴディソールは重厚感もありパワーもある。いままでにいなかったタイプ」

このコメントを聞くと、海外の深い芝への適性も十分ではないかと思います。

数多い芦毛の名牝のなかで、世界的に最も有名なのは“白面の魔女”の異名をとった Petite Etoile(プティトエトワール)ではないでしょうか。アガ・カーン四世殿下の父アリ・カーン王子の所有馬で、通算成績19戦14勝。その牝系から約半世紀を経て Zarkava(凱旋門賞など7戦全勝)が誕生したことでも話題になりました。
http://www.pedigreequery.com/petite+etoile
http://www.pedigreequery.com/zarkava

以下の映像は、Petite Etoile が逃げ馬をとらえ損ねて2着に敗れた60年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝12f)。
http://www.youtube.com/watch?v=Ddcl5fj2rwI

意識して見るからそう思うのかもしれませんが、Petite Etoile とレーヴディソールはなんとなく身のこなしなどが似ているような……。

いずれヨーロッパの大レースの主役を務めることもあるのでは? “21世紀の Petite Etoile”になるのでは? ……などと、とめどなく妄想が広がるくらい、今回のレーヴディソールの勝ちっぷりは鮮やかでした。予想は◎▲△で3連単2930円的中。予想文は省略します。

2011年3月 4日 (金)

ハブルバブルとブサック血統(後)

ブリーダーズCターフ(米G1・芝12f)2連覇、キングジョージ六世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)など4つのG1を制したコンデュイット(ビッグレッドファームで繋養中)は、昨日のエントリーで触れた Sadler's Wells と Darshaan のニックスを持つ近年の代表馬といえるでしょう。ハブルバブルの母ラヴアンドバブルズはこれと配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0106a6/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005190006/

             ┌ Riverman
           ┌○┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
           │ └○┘
ラヴアンドバブルズ ―┤ ┌○┐ ┌ Abdos
           └○┤ └○┘
             │ ┌ Miswaki
             └○┘

             ┌○┐ ┌ Abdos
           ┌○┤ └○┘
           │ │ ┌ Miswaki
コンデュイット ―――┤ └○┘
           │ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
           └○┤   ┌ Riverman
             │ ┌○┘
             └○┘

要するに、欧州芝2000~2400mあたりに適性が感じられる底力とスタミナに優れた血統ですね。これとディープインパクトが掛け合わされて誕生したのがハブルバブルです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104879/

母方に Riverman を持つディープインパクト産駒は、シーズン開幕前から高く評価してきました。Pocahontas≒River Lady が生じ、それらに含まれる Roman がディープインパクトの構成要素のひとつの核なので、好結果が期待できるのではないかと考えたからです。

また、一昨日のエントリーに記したとおり、Lyphard、Mr.Prospector、 “Northern Dancer & Special”を併せ持つディープインパクト産駒なので、トーセンラー、パッションダンスと配合構成が似ています。

Busted 4×5はあまり見かけないクロスです。Busted 自身は古馬になってキングジョージ六世&クイーンエリザベスS(芝12f)を制した晩成型のステイヤー。底力とスタミナの供給源として近年のイギリスでは有数のもので、長くいい脚を使うのが特長です。先週の中山記念を快勝したヴィクトワールピサにも Busted は含まれています。
http://www.pedigreequery.com/busted

ハブルバブル自身は、Busted に加えそれと構成が近い Alcoa という血が入るので、Busted≒Alcoa 4×5・5。昨日の Akarad の解説で同馬が Delleana≒Carissima 5・4×5を持つと記しましたが、要するにこれは Donatello の母と Pharis の母の関係です。それぞれが Donatello の孫にあたる Busted≒Alcoa のクロスはこれを強化することになるので好ましいですね。

予想ではハブルバブルを○としましたが、これは同じディープインパクト産駒のペルレンケッテが◎だったからです。坂路50秒5という時計には逆らえません。イレ込みやすい気性のようですが、こちらも母方にドイツ血統を持つ魅力的な配合馬なので、いずれ出てくるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103309/

ディープインパクト産駒はアメリカ血統と相性が良く、そうした配合はコンスタントに走ります。ただ、リベルタス、トーセンラーといったクラシックディスタンス向きのトップクラスは、ヨーロッパの重厚なスタミナ血脈を兼備しています。ハブルバブルもこれに連なるパターンです。レースぶりを見るかぎり将来性豊かな逸材であることは間違いないでしょう。本質的には3歳夏を越してからのタイプかもしれませんが、長い直線が合っていると思われるので、オークスには向くはずです。次走は3月19日のフラワーC(G3・芝1800m)。アッサリ勝つようなら3歳牝馬の勢力図が大きく変動します。

2011年3月 3日 (木)

ハブルバブルとブサック血統(前)

日曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、ディープインパクト産駒の○ハブルバブル(2番人気)が後続を5馬身ちぎって快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=3UZVnUZ4NQk

牝馬限定戦ではありましたが強かったですね~。勝ちタイムは1分48秒0。上がり3ハロン34秒1はメンバー中1位で、2位を1秒2上回っています。同日、同コースで行われた3歳未勝利戦(3R)は、ほとんど同じようなラップを刻んで1分48秒6。個人的にこの未勝利戦はそこそこレベルが高いと考えているので、これを上回ったのですから価値はあると思います。リスポリ騎手によれば、レース中に落鉄し、ステッキは使っていないとのこと。

母ラヴアンドバブルズはバブルガムフェロー(天皇賞・秋、朝日杯3歳S)と同じ一族で、現役時代にクロエ賞(仏G3・芝1800m)を勝っています。母の父 Loup Sauvage はイスパーン賞(仏G1・芝1850m)など3つの中距離重賞の勝ち馬。ドバイワールドC(首G1・ダ2000m)3着という成績もあるので、軟弱な芝馬ではありませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104879/

母ラヴアンドバブルズは一見してアガ・カーン的な匂いを感じさせる配合ですね。Never Bend と Akarad がその象徴です。

アガ・カーン四世殿下はかつて「わたしは Never Bend の熱烈な信者である」と語ったくらい、Never Bend の血を高く評価しています。その母の父 Djeddah がフランスの伝説的な名生産者マルセル・ブサックの生産馬であることも大きな理由でしょう。Durban=Heldifann 3×2というブサックらしい全きょうだいクロスが施されています。こうした特殊な配合が代を経ても素晴らしい活力を伝えることを、アガ・カーンは理解していました。
http://www.pedigreequery.com/djeddah

マルセル・ブサックは78年に破産。20世紀半ばに栄華を誇ったブサック帝国の遺産はアガ・カーンに受け継がれました。Akarad はそのなかに含まれていた1頭です。凱旋門賞を勝った名牝 Akiyda の全兄、日本に輸入された仏ダービー馬アカマスの半弟にあたる良血で、現役時代にサンクルー大賞典(仏G1・芝2500m)を勝ちました。スタミナと底力、道悪適性は抜群ですが、スピードに欠けるところがあります。その産駒のナトルーンが種牡馬として日本に入りましたが成功しませんでした。

配合にはブサックらしい意匠が凝らされています。Cordova≒Arbar 3×3(あるいは Caravelle≒Arbar 4×3)で、Cordovilla≒Gloriana 2×3でもあります。Delleana≒Carissima 5・4×5も見逃せません。ブサック血脈はそれぞれ互いに近い関係にあるので、自然にこのようなクロスが生じるという側面もあるでしょう。ブサック流の特殊な凝縮は主流血統に対して異系の活力をもたらす働きがあります。昨今のドイツ血統の流行はこれと同じ理屈ですし、アガ・カーンが主流から外れた血の導入を心がけて牝系を育てているのも、主流血統と出会った際のインパクトを期待してのものでしょう。
http://www.pedigreequery.com/akarad

Never Bend と Akarad を併せ持つ母ラヴアンドバブルズには、Djeddah≒Tourzima 5×6という4分の3同血クロスがあります。アガ・カーンが愛してやまない Darshaan にはこのクロス(5×5)があり、また、世界的によく知られた Sadler's Wells と Darshaan のニックスは、これを継続していることが成功要因でしょう。前述のナトルーン産駒で最も賞金を稼いだエスジーフラット(中山金杯-3着)は、ラヴアンドバブルズと同じく Never Bend と Akarad を併せ持っています。(続く)
http://www.pedigreequery.com/darshaan
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1990106875/

2011年3月 2日 (水)

好調ネオユニヴァース産駒のエチゴイチエ

■土曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)は、好位追走の◎パッションダンス(1番人気)が抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ljqOm-7qjaY

予想文を転載します。

「◎パッションダンスは『ディープインパクト×ジェイドロバリー』という組み合わせで、4分の3姉にアドマイヤキッス(重賞4勝)がいる良血。4頭の兄姉はいずれもデビュー戦で連対しており、初戦にきわめて強い血統でもある。ディープインパクト産駒も芝新馬戦で連対率47.6%。この条件は強いだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103125/

これで兄弟5頭すべてデビュー戦で連対したことになります。新馬戦に強かった母の父ジェイドロバリーの影響でしょうか。ジェイドロバリーは従兄弟に Sadler's Wells や Fairy King、伯父に Nureyev がいる超良血ですが、母の父としてはもうひとつ。父としてそうだったように母の父としても底力に欠け、大レースでは信用できないところがあります。JRAの平地G1を勝った馬はまだ出ていません(障害ではキングジョイが中山大障害を2連覇)。ただ、芝の平地G1における最高成績は、本馬の4分の3姉アドマイヤキッスが記録した桜花賞(G1)2着なので、母の父がジェイドロバリーであっても、本馬に関しては大物感という面で懸念する必要はないかもしれません。

母方に Lyphard、Mr.Prospector、“Northern Dancer & Special”(たとえば Sadler's Wells、Fairy King、Nureyev、Number など)を併せ持つディープインパクト産駒には、トーセンラー(きさらぎ賞)、ハブルバブル(新馬勝ち。木・金のエントリーで紹介予定)、そして本馬がいます。

騎乗したリスポリ騎手は、「ヨーロッパの競走馬によくいるタイプの感じだった」(『週刊競馬ブック』)というユニークなコメントを残しています。あえてコメントするぐらい印象的だったということは、日本のほとんどの競走馬はヨーロッパのそれとはタイプが異なるのでしょう。もちろんそれは誰もが感覚的に分かっていることだとは思うのですが、具体的にどう異なるのか、できることならもっと詳細に訊いてみたいところです。

■土曜中山6Rの新馬戦(芝2000m)は、△エチゴイチエ(1番人気)が豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=M__giVavfKo

ネオユニヴァース産駒の3歳世代は年明けから絶好調。1、2月のわずか2ヵ月間で17勝を挙げています。これは全種牡馬のなかでアグネスタキオン産駒の18勝に次いで第2位。ディープインパクト、(16勝)、キングカメハメハ(13勝)、マンハッタンカフェ(13勝)を上回っています。昨年の同時期は11勝、一昨年は6勝だったので、大きく数字を伸ばしていることが分かります。なかでも芝1800~2000mの新馬戦では連対率38.5%、単勝回収率205%、複勝回収率240%という抜群の成績です。

エチゴイチエは「ネオユニヴァース×エリシオ」という組み合わせ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102911/

父ネオユニヴァースは、母方に Sadler's Wells や Nureyev を入れた配合からパンチの効いた産駒を出す傾向が見られます。ロジユニヴァース、アンライバルド、ゴールスキー、アイアムネオなどがこのパターン。Sadler's Wells は決して素軽い血ではないので、ネオユニヴァースと組み合わせる場合、スピードタイプの血を添えたいところです。エチゴイチエが母方に抱える Fairy King は、全兄の Sadler's Wells よりも速いタイプですが、エリシオを経由しているのでスピード感はありません。

これはネオユニヴァース産駒ではありませんが、“父サンデー系、母の父エリシオ”という共通点を持つサダムパテック(弥生賞に出走予定)は、2代母の父が Mr.Prospector です。同じく母の父にエリシオを持つコスモヘレノス(ステイヤーズS)も2代母の父は Mr.Prospector です。こういう血のサポートがないと鈍重さが前面に出てしまう危険性が高まります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/

エチゴイチエはハーツクライの従兄弟にあたる良血で、同じくサンデー系のサイアーラインに属しています。したがって、ハーツクライの配合的なキーポイントである Nothirdchance≒Revoked という相似な血のクロスを持ちます(5×5)。エチゴイチエの配合ではこれが思った以上に効果的なのかもしれませんね。このクロスについては、一昨年12月5日のエントリー「ミカエルビスティーと『Nothirdchance≒Revoked』」で解説しておりますのでご参照くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/nothirdchancere.html

東京よりも中山のほうが良さそうな配合で、山吹賞(中山芝2200m)あたりはぴったりという気がします。

2011年3月 1日 (火)

阪急杯はサンカルロ

1400mという距離は、馬によって得手不得手がはっきりし、得意な馬は繰り返し好走する傾向があるように思います。阪急杯(G3・芝1400m)は、同競馬場・同距離で行われる年末の阪神C(G2・芝1400m)と結びつきが深いレースです。過去、阪神Cで連対した馬が4頭出走し、2頭が連対して1頭が3着という好成績です。

今年は、阪神Cの出走馬が2頭しかいませんでした。その2頭が、今回連対した○サンカルロ(4番人気)と◎ガルボ(1番人気)。この2頭の阪神Cは散々なレースでした。サンカルロは行くところ行くところ壁になって力を出せず。ガルボはインで詰まってしまいました。まともならこの2頭は勝ち負けになっていたでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=7OvRTrI-opE

阪神Cで勝ち負けになる馬なら、阪急杯でも当然好勝負になります。今回、枠なりでインを進んだガルボは、直線でやや窮屈になるシーンがありました。動きたいときに動けなかったのが痛かったですね。外を回ったサンカルロは、その間に抜け出してセーフティリードを取っていました。
http://www.youtube.com/watch?v=K-QG13qZSEk

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は○◎で馬連1270円、○◎△で3連複3500円的中。『ウマニティ』は連単系マルチ馬券なので馬単3300円、3連単22840円的中です。

サンカルロの母ディーバは3勝馬で、2代母ミスセクレトは伊2歳チャンピオン。母方に Mr.Prospector が入るシンボリクリスエス産駒は成功しており、とくに Crafty Prospector を持つものは、デビューした4頭中3頭が新馬勝ちを果たしています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102822/

サンカルロで思い出すのは新馬戦(東京芝1600m)。のちにラジオNIKKEI賞(G3)で3着となるストロングリターンが同じレースに出走しており、わたしはPOGの持ち馬でもあった同馬が本命、サンカルロは対抗でした。両馬は「シンボリクリスエス×Mr.Prospector 系」なので配合構造がそっくり。レースは、好位から抜け出したサンカルロが勝ち、出遅れて後方から猛追したストロングリターンがアタマ差2着。その後、わたしはずっとストロングリターン優位説を唱えていたのですが、サンカルロはそれをあざ笑うかのように3歳春に重賞(ニュージーランドT)を勝ち、今回、ふたつ目の重賞を手にしました。成績面では差をつけられましたが、ストロングリターンは気性難が出世を妨げたので、素質面の優位説を心のどこかでいまだに捨てきれていません^^
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102934/

前哨戦で好走したシンボリクリスエス産駒は本番で軽く見ることにしているので、次走の高松宮記念(3月27日・G1・阪神芝1200m)では△ぐらいでしょうか。

2011年2月28日 (月)

中山記念はヴィクトワールピサ

日曜日の中山競馬場は春でした。昼食を食べたあとボーッと馬場を眺めていると睡魔が襲ってきて困りました。そんな競馬日和のなか行われた中山記念(G2・芝1800m)。素晴らしいレースでしたね~。目の保養になりました。
http://www.youtube.com/watch?v=yjfvsdYBWcM

大外をマクった◎ヴィクトワールピサ(1番人気)が直線で先頭に立つと、軽いどよめきが起こりました。「うわっ、強いな~!」という声も。それなりの強豪が集まる古馬G2で、他馬を子供扱いにして楽勝するのですから、一言でいって能力が違います。予想は◎△で馬単810円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ヴィクトワールピサは『ネオユニヴァース×マキアヴェリアン』」という組み合わせで、スウィフトカレント(小倉記念、天皇賞・秋-2着)の4分の3弟、アサクサデンエン(安田記念)の半弟にあたる。中山コースでは3戦全勝(有馬記念、皐月賞、弥生賞)。前走、2500mの有馬記念でブエナビスタを倒したが、本質的には2000m前後を得意とする中距離馬なので、距離短縮はプラスだろう。能力は抜けており、他馬との比較で58キロはむしろ有利。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/

着順掲示板に表示された上がり4ハロン「45秒9」という数字にビックリしました。中山内回りコースの終盤は、3コーナー→4コーナー→急坂、というレイアウト。カーブと坂が大半なので速い上がりは出ません。上がり4ハロンは序盤どんなにスローでも46秒台が精一杯。それが、45秒台突入。「TARGET frontier JV」で調べてみたところ、これは中山内回りコースの新記録でした。

コース史上最も速い上がりを記録したレースで、後方から大外を回って突き抜けたヴィクトワールピサの脚力は、ちょっと形容しがたいものがあります。有馬記念でブエナビスタを封じたロングスパートはやはり並ではなかったということです。今回のマクリは一瞬ディープインパクトの姿がダブりました。

これで中山コースは4戦全勝。もちろん、中山は得意ですが、中山専用馬ではないという点には注意したいところです。レースを見ても明らかなように、コース巧者である以前に能力が違います。直線の長いコースでも大きな能力減はなくそれなりの走りはするでしょう。次走予定のドバイワールドC(3月26日・メイダン競馬場・AW2000m)はまさにそうしたコースレイアウト。世界のトップクラスとブエナビスタを相手にどれだけやれるのか興味が尽きません。

2011年2月27日 (日)

アーリントンCはノーザンリバー

土曜阪神11RのアーリントンC(G3・芝1600m)は、好位追走の◎ノーザンリバー(4番人気)が外から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=D3POibKfIy4

阪神競馬は開幕日ということで絶好の芝コンディション。傷みの少ないインコースを通れる内枠の馬が馬券に絡みまくっていました。ノーザンリバーは12番枠から出て終始外を回っていたので、着差以上に強かったと思います。

2着キョウエイバサラ(11番人気)は無印。血統的に芝向きだとは思いましたが、成績が成績だけに印は回りませんね~。内枠だったことにも幸いしたと思います。レース選択が上手な矢作調教師があえてぶつけてきた意味をもう少し考えるべきでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110045/

勝ったノーザンリバーについては、前走を勝ったあと、2月2日のエントリーで「次は芝に戻るのではないでしょうか。ダート馬ではないので要注意です」と書きました。ここ2走はダートで勝ちましたが、芝・ダート兼用というだけで、ダート専用馬ではもちろんありません。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ノーザンリバーは『アグネスタキオン×マキアヴェリアン』という組み合わせ。ノットアローン(ラジオNIKKEI賞-2着)、ルミナスポイント(OP)の全妹、モンローブロンド(ファンタジーS-2着)の半妹にあたる良血。ダートで連勝しているが、初戦(芝1500m)はレーヴディソールの2着、休み明けだった2戦目(芝1600m)も差のない3着。芝適性は問題ない。アグネスタキオン産駒は阪神芝1600mと相性がいい。ダイワスカーレットとレーヴディソールがG1を制覇し、アーリントンCでも〔0・2・1・2〕とコンスタントに走っている。全兄ノットアローンが4着なら、それより上と思えるノーザンリバーは勝ち負けになっていい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103212/

母の父が Machiavellian で、母の母が Sonic Lady ですから、1600~2000mあたりがちょうどいいタイプですね。牝系については1月19日のエントリー「ディープインパクト産駒の買いどころは基本的にマイル以上」で触れておりますのでご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-35da.html

○ノーブルジュエリー(1番人気)は見てのとおり出遅れ+大外回しが敗因。牡馬相手の1600mでそのような競馬は荷が重すぎました。牝馬相手の1400mなら評価を下げる必要はないと思います。

△ラトルスネーク(3番人気)は引っ掛かる気性で、勝った前走でも外に出した途端掛かり気味になっていました。したがって馬群に入れてレースを進めたい馬なのですが、それはイコール、前が詰まるリスクを背負うことでもあります。今回も馬群が捌けていれば勝ち負けでした。次走以降も詰まったら負け、詰まらなければ勝ち、という丁半博打のような競馬になりそうなので、なかなか本命は打ちづらい馬です。

さて、日曜日の阪急杯。馬場の傾向が土曜日とほぼ同じだと仮定すると、内枠の馬は要注意です。1~3枠の馬は人気薄でも念のため押さえたいところです。

2011年2月26日 (土)

ボールドスマッシュ2勝目

2月18日のエントリーで取り上げたボールドスマッシュ(牝3歳・船橋・岡林光浩厩舎)が、2月22日に船橋競馬場で行われた2戦目(ダ1600m)を快勝し、通算成績を2戦2勝としました。
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/TodayRaceInfo/RaceMarkTable?k_raceDate=2011%2f02%2f22&k_raceNo=9&k_babaCode=19

出走馬の半数以上がJRA所属馬。前走に比べて大幅に相手が強化されたため着差はわずか(2馬身半差)でしたが、勝ちタイムの1分43秒4は同日のB3特別と0秒4差なので悪くないでしょう。好位追走からしびれを切らしたように3コーナーで先頭に立ち、そのまま押し切りました。順調に成長してクラーベセクレタやマニエリスムに追いついてほしいものです。
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/DataRoom/HorseMarkInfo?k_lineageLoginCode=30018402055

2月が通り過ぎれば地方競馬にもクラシックの蹄音が微かに聞こえてきます。ここで各地区の3歳有望馬を整理しておきます。

【岩手】
ベストマイヒーロー
牡 父サクラプレジデント 瀬戸幸一厩舎
通算6戦5勝
主な勝ち鞍:南部駒賞、若駒賞、金杯、ジュニアグランプリ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105137/
〔一口メモ〕厩舎の先輩に岩手の帝王ロックハンドスターがいる。サクラプレジデントの現3歳は中央でもよく走っている。母方は Hyperion 色が強くパワー満点。

【南関東】
セルサス
牡 父タイムパラドックス 佐藤賢二厩舎
通算4戦3勝
主な勝ち鞍:ハイセイコー記念
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106137/
〔一口メモ〕配合については昨年11月11日のエントリー「ハイセイコー記念はセルサス」で紹介済み。昨年暮れの調教中に脚をぶつけて現在休養中。復帰時期は未定。

【東海】
アポインホープ
牡 父アポインテッドデイ 原口次夫厩舎
通算8戦4勝
主な勝ち鞍:若鮎特別3歳
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103810/
〔一口メモ〕母に Capote≒Some de Lys 2×2がある。まだ格下だがこれから頭角を現しそうな馬。馬主の大藪憲三氏は元名古屋競馬の調教師でリーディングトレーナーとなった経験もある。

【兵庫】
オオエライジン
牡 父キングヘイロー 橋本忠男厩舎
通算5戦5勝
主な勝ち鞍:園田ジュニアC、兵庫若駒賞、園田ユースC
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102256/
〔一口メモ〕2代母フシミラッキーは道営の北海優駿を制した名牝。父がキングヘイローで母方にブレイヴェストローマンを持つのでキクノアロー(ダイオライト記念)と似ている。

【佐賀】
リョウマニッポン
牡 父ルールオブロー 九日俊光厩舎
通算3戦3勝
主な勝ち鞍:九州ジュニアグランプリ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101805/
〔一口メモ〕ギオンゴールドやマンオブパーサーと同じ九日俊光厩舎所属。Nureyev≒Sadler's Wells 4×4を持つ。父ルールオブローはこの4分の3同血クロスが走るのかもしれない。

2011年2月25日 (金)

オーストラリアのスピードクイーン Black Caviar(後)

Black Caviar の重要な構成要素である Vain(1966年生)は、日本ではあまり馴染みのない血で、過去にこの系統の種牡馬が導入されたこともありません。オーストラリアでは83-84年にリーディングサイアーに輝くなどメジャーな血です。現役時代は14戦12勝(2着2回)。圧倒的なスピードで大レースを勝ちまくり、69-70年の豪年度代表馬に選ばれました。名誉の殿堂入りも果たしています。
http://www.pedigreequery.com/vain2

その父 Wilkes(1952年生)は、Worden(ボンモーやマリーノの父、ディクタスやサンシーの母の父)の半弟、ブランブルー(タニノチカラの父)の半兄にあたる良血。父 Court Martial 譲りの非凡なスピードを伝え、1960年代にオーストラリアで3回リーディングサイアーとなりました。Vain と同じく名誉の殿堂入りを果たした Wenona Girl など多数の一流馬を送り出しています。
http://www.pedigreequery.com/wilkes

Vain は、父が Fair Trial 系で、母の父が Nasrullah 系。これら Lady Josephine 牝系の影響を受けた血からスピードを受け継ぎ、Gainsborough-Hyperion を重ねて底力を補強しています。当時のイギリスでよく見られたスピード型の配合パターンで、イギリス血統の影響を強く受けたオーストラリアでもよく見られました。自国で生まれ育った名馬が種牡馬としても成功し、新たな名馬を作り出すための糧となっている、というサイクルが Black Caviar の血統表からは見て取ることができます。オーストラリア生産界の歴史と底力を感じさせる配合ですね。

Black Caviar の母の父 Desert Sun は、現代のスピード血統の新たな主流ラインを形成しつつある Green Desert の子。名誉の殿堂入りを果たした名牝 Sunline(通算48戦32勝)の父でもあります。Black Caviar と Sunline は近い世代に Nijinsky と Desert Sun を持っているという共通点があります。
http://www.pedigreequery.com/sunline

父 Bel Esprit は First Rose≒Tom Fool 4×5。娘の Black Caviar は、Tom Fool の息子 Silly Season 5×5によってこの相似な血のクロスを継続しています。これもポイントのひとつかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/first+rose
http://www.pedigreequery.com/tom+fool

       ┌ Menow
First Rose ―┤ ┌ Sir Gallahad(=Bull Dog)
       └○┤ ┌ Broomstick
         └○┤
           └ Cherokee Rose(=Pennant)

       ┌ Menow
Tom Fool ――┤ ┌ Bull Dog(=Sir Gallahad)
       └○┤   ┌ Pennant(=Cherokee Rose)
         │ ┌○┤ ┌ Broomstick
         └○┘ └○┘

Black Caviar は楽勝の連続で、これまで辛勝というものがありません。今回のライトニングSでもゴール前で手綱を抑えていました。勝ちっぷりがあまりに楽なので、弱い相手と戦っているように見えますが、今回の2着馬 Hay List は通算13戦11勝のG1ウィナーで、これも相当な強豪です。よほど調子が悪かったり、長すぎる距離を使ったり、常識外の斤量でも背負わないかぎり、連勝は続いていきそうです。

2011年2月24日 (木)

オーストラリアのスピードクイーン Black Caviar(前)

オーストラリアで注目を集める女傑スプリンター、Black Caviar が無傷の9連勝を飾りました。2月19日に豪フレミントン競馬場で行われたライトニングS(G1・芝1000m)を3・1/4馬身差で快勝。すでに歴史的名牝との評価を獲得しています。
http://www.youtube.com/watch?v=J6QktlVEydw

オーストラリアの芝短距離は世界ナンバーワンの水準。そこで抜きん出た強さを誇っているので、いま世界で一番速い馬かもしれません。
http://www.pedigreequery.com/black+caviar

父 Bel Esprit は前肢に難があるため、1歳時のセールでわずか9000ドル(当時の邦貨で約55万円)の値しか付きませんでした。しかし、競走馬としては何の問題もなく、2つのG1を含めて重賞6勝という成績を収めました。Nijinsky 系のロイヤルアカデミー産駒で、重賞勝ち距離は1000mから1350mです。
http://www.pedigreequery.com/bel+esprit2

昨シーズンの豪種牡馬ランキングは21位。今シーズンは現時点で10位。Black Caviar のほかにロバートサングスターS(豪G1・芝1200m)を勝った Bel Mer などを出しています。
http://www.pedigreequery.com/bel+mer

Black Caviar と Bel Mer は、いずれも「Vain 3×4」というクロスを持っています。Bel Esprit 産駒のこの配合パターンは要注目です。

2011年2月23日 (水)

My Charmer が光るヒラボクインパクト

■日曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)は、△カグニザント(2番人気)が5馬身差で逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=dnVJMjuV4sg

ネオユニヴァースの現3歳世代は、昨年6月のシーズン開幕から32連敗を喫しました。2歳夏のローカル戦が苦手であることを差し引いても酷い成績であり、前途多難を思わせたのですが、その後は順調に勝ち星を伸ばしています。一昨年のロジユニヴァースとアンライバルド、昨年のヴィクトワールピサほどの大物は見当らないものの、オールアズワン、ユニバーサルバンクがクラシック路線に乗っています。

カグニザントは、母インコグニートがシックスセンス(京都記念)の半姉です。底力はあるものの瞬発力に一抹の不安を感じさせる配合なので、この距離にありがちな切れ味比べになると弱みを見せる可能性も……と予想しました。先頭に立って自らレースを作ったのは正解だったと思います。最後の3ハロンは11秒7-11秒5-11秒4と尻上がりにラップを上げているので、相手がバテたわけではなく、自身がしっかり伸びています。決して展開に恵まれた勝利ではありません。内容は濃いですね。

母方に Danzig を持つネオユニヴァース産駒は、ロジユニヴァースとオールアズワンという重賞勝ち馬に加え、サンビーム、ダノンフェニックス、ベストリガーズ、本馬と、このところ活躍馬が目立っています。パワフルな配合なので、良馬場ながら雨の影響により馬場が荒れていたことはプラスでした。中山のほうが向いているかもしれません。皐月賞に間に合うようなら楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102580/

■東京9Rのセントポーリア賞(3歳500万下・芝1800m)は、ヒラボクインパクト(6番人気)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=BmGssldqAPY

母ドリームカムカムは短距離戦線で活躍した馬(シルクロードS-5着)で、「メジロライアン×ローモンド×ハードツービート」という組み合わせ。決め手に欠ける血統なので、息子のヒラボクインパクトはディープインパクト産駒であっても瞬発力勝負になるとどうかな……と感じさせます。日曜日の東京芝は前残りばかり。そして馬場が荒れていたのでパワーが活きるコンディションでもありました。この馬に向いていたと思います。薄いながらも Hypericum≒Aureole という重厚な4分の3同血クロス(6×6)を持っており、これは粘りを補強するものでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100579/

2代母の父 Lomond は米三冠馬 Seattle Slew の半弟で、英2000ギニー(G1)の勝ち馬。その母 My Charmer は Striking=Busher 3×3という大胆な全きょうだいクロスを持っています。Striking も Busher も名牝 La Troienne の孫。
http://www.pedigreequery.com/my+charmer

       ┌○┐
       │ └○┐
My Charmer ―┤   └ Striking(=Busher)
       │ ┌○┐
       └○┘ └ Busher(=Striking)

ディープインパクトと La Troienne の関係は非常に良好で、同じように La Troienne 血脈の凝縮から成る Sex Appeal(Busanda≒Mr.Busher 2×3)も、ディープインパクトと抜群の相性を示しています。このパターンからはマルセリーナ、ターゲットマシンが出ました。
http://www.pedigreequery.com/sex+appeal

もし仮にヒラボクインパクトに My Charmer が無かったとしたら、強調点の見当たらない茫洋とした配合で、大成は覚束なかったと思います。ディープインパクト産駒は年明けから500万以上で7勝目。内訳は重賞1勝、OP特別2勝、500万特別4勝。もちろん世代トップです。とにかく層が厚いですね。

2番人気に推されたリヴェレンテ(父キングカメハメハ)は出遅れて後方からの競馬となり、大外へ持ち出したものの12着。騎乗したデムーロ騎手曰く「今日は精神的に不安定で、物見してばかりいました」(週刊競馬ブック)。ただ、デムーロ騎手もこの土日は、出遅れて後方追走から大外回しという騎乗が目立ち、とくに日曜日の後半はほとんどこのパターンでした。騎乗のリズムがイマイチだったような気がします。

2011年2月22日 (火)

ラヴィアンクレールの「マンカフェ×エンドスウィープ」はニックス

■土曜京都9Rのこぶし賞(3歳500万下・芝1600m)は、ディープインパクト産駒のアルティシムス(4番人気)がしぶとく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=FZihqCf2yj0

母アルーリングアクトは小倉3歳S(G3)の覇者。Mr.Prospector 3×3が手堅いスピードを安定的に伝えているようで、産駒はコンスタントに走っています。出世頭のアルーリングボイス(父フレンチデピュティ)は小倉2歳S(G3)とファンタジーS(G3)を勝ちました。アベレージヒッター型の繁殖牝馬といえるでしょう。その一方で大物感という面ではやや物足りないところがあり、アルティシムスがこれをどう克服していくかが今後の鍵でしょうね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102629/

ディープインパクト産駒は基本的に外回りコース向きですが、この馬は母方の影響で内回りコースに向いているのかもしれません。フットワークからもそんな感触があります。秋山真一郎騎手によれば「荒れた馬場はうまい」(週刊競馬ブック)。これで道悪は2戦2勝です。

母方に Fappiano を持つディープインパクト産駒には、ダノンバラード、サイレントソニック、そしてこのレースにも出走したダコールがいます。相性がいいようですね。このほか、本馬には Pocahontas 5×6(Alzao の2代母、Tom Rolfe の母)があります。このクロスは注意したいところです。

3着ダコール(2番人気)は、福永祐一騎手によれば「切れ味タイプだからこんな馬場はもうひとつ」(週刊競馬ブック)とのこと。12キロ減の馬体重も影響したのかもしれません。休み明けを使った反動でもあったのでしょうか。次走、馬体が戻って良馬場の1600mなら絶好の狙い目でしょう。

■土曜東京9RのヒヤシンスS(3歳OP・ダ1600m)は、好位追走のラヴィアンクレール(5番人気)が抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=QQP4UD-zTAI

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で取り上げた好配合馬です。母ダークエンディングはシリーンS(加G1・ダ8.5f)の勝ち馬。本馬は「マンハッタンカフェ×エンドスウィープ」ですからゲシュタルト(京都新聞杯)と同じ組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102913/

日本に輸入後わずか3世代しか残せなかった名種牡馬エンドスウィープは、母の父としても優秀です。連対率は21.4%。母の父として連対率が20%を超える種牡馬は稀です。こぶし賞を勝った前出のアルティシムスも母の父がエンドスウィープですね。

エンドスウィープはサンデー系とニックスといえる関係にあります。なかでもマンハッタンカフェとの組み合わせはおもしろいと思います。エンドスウィープは Mr.Prospector と Northern Dancer を併せ持つのですが、これはマンハッタンカフェの交配相手としては有効なパターン。さらにはマンハッタンカフェの配合構成のなかで鍵となる Heliopolis を継続します。

前回のPOGではゲシュタルトを、今回はラヴィアンクレールを「栗山ノート」で取り上げました。どちらも走ったので「マンハッタンカフェ×エンドスウィープ」はニックスといってもいいでしょう。ほかにもう1頭、キッズアプローズという馬がいるのですが、全成績〔3・3・2・0〕と複勝圏を一度も外していません。

母ダークエンディングは File≒Fire Water 3×3という組み合わせのクロスを持ちます。これがパワーを補強しているものと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006881/

         ┌ Tom Rolfe
File ――――――┤ ┌ Double Jay
         └○┘

         ┌ Tom Rolfe
Fire Water ―――┤ ┌ Double Jay
         └○┘

そして自身は Promised Land≒Darlin Patrice 5×5という4分の3同血クロスを持ちます。なかなか洗練された配合です。

         ┌ Palestinian
Promised Land ――┤
         └ Mahmoudess

         ┌ Palestinian
Darlin Patrice ―┤
         └○┐
           └ Mahmoudess

マンハッタンカフェは、ダート色の強い繁殖牝馬から芝をこなす産駒を作ることが珍しくないので、デビュー前は芝でも行けるんじゃないかと考えていたのですが、バリバリのダート馬でしたね。この日は東京ダートでマンハッタンカフェ産駒が3勝。プチ祭りでした。現3歳世代のマンハッタンカフェ産駒には、これも大物と評価されているグレープブランデーという馬がいます(2月9日のエントリーを参照)。どちらもデムーロ騎手が手綱を取っているので、聞けるものなら力量比較を聞いてみたいところです。

2011年2月21日 (月)

フェブラリーSはトランセンド

今週の東京ダートは時計が掛かりました。フェブラリーSの勝ちタイムは1分36秒4。2000年以降で2番目に遅いタイムです。スピードよりもパワーやスタミナが必要な馬場でした。
http://www.youtube.com/watch?v=Zt29AsEeEMI

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲◎で馬連1100円、▲◎△で3連複3200円的中。『ウマニティ』の予想は◎フリオーソの単勝一本勝負で不的中。美味しいオッズ(5.5倍)にちょっと目が眩んでしまいました……^^

勝った▲トランセンド(1番人気)にとって東京ダ1600mは決して条件好転ではありません。Mr.Prospector が無く Hyperion のパワーで走るダート馬ですから、過去の成績どおりダ1800mがベスト。今回はパワーやスタミナが必要な馬場状態になったことが良かったのでしょう。仮に1分34秒台の決着になっていたとしたら厳しかったのではないか、と思います。ただ、差しが利く馬場コンディションで、道中競り掛けられながら、逃げ切りが難しいレースを逃げ切ったのですから、能力の高さは歴然としています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

配合については11月7日のエントリー「トーセンジョーダン、トランセンド」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-e9bf.html

2着◎フリオーソ(3番人気)のレースぶりは見てのとおり。スタート直後の芝の部分であれほど置かれるとは思いませんでした。先頭か番手が定位置のこの馬にとって、後方に控える競馬は経験がありません。慣れない位置取りで大外をマクって2着に追い込んできたのですから、能力は頭ひとつ抜けていたと思います。予想文を転載します。

「◎フリオーソは『ブライアンズタイム×ミスタープロスペクター』という組み合わせ。フェブラリーSはダートのマイル戦なのでミスタープロスペクターと相性がいい。ただ、スピードだけで乗り切れるレースではなく、底力に秀でた持続力型の血、ロベルトを持つ馬の活躍が目立っている。とくにブライアンズタイムとは好相性。昨年の優勝馬エスポワールシチー、07、08年と2年連続で連対したブルーコンコルドはこの血を持っていた。
 フリオーソはブライアンズタイム産駒。そして、母の父にミスタープロスペクターを持つのでノーリーズン(皐月賞)、チョウカイキャロル(オークス)と同じ組み合わせ。底力は申し分ない。昨年来、日本のダート界の頂点を争う馬たちと互角の勝負を繰り広げており、格ではナンバーワンだろう。
 問題は坂のあるコースをこなせるかどうか。こればかりはやってみないと分からないが、以前中央で競馬をしたころとは別馬のようにパワーアップしており、この充実ぶりならこなせるのではないか。土曜日の競馬を見ると馬場は思っほど速くなく、この馬向きの適度なコンディションとなっている。早め先頭で粘りたい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106867/

エスポワールシチーやスマートファルコンが復帰しなければ、ダートスタートのダート戦ではしばらく負けることはないのでは、と思わせる充実ぶり。パドックではその迫力ある馬体に痺れました。これなら負けないだろうと確信したのですが……。

3着△バーディバーディ(4番人気)は「父ブライアンズタイム、母の父 Mr.Prospector 系」ですからフリオーソと酷似しています。パワーが必要なダートではブライアンズタイムは頼りになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100567/

2011年2月20日 (日)

ダイヤモンドSはコスモメドウ

木曜日から金曜日にかけて東京競馬場に降った雨はJRA発表では49ミリ。冬場にしては珍しくしっかり降ったので、1日やそこらで回復するのだろうかと思っていたら、10RのアメジストSから早くも良馬場になりました。

勝った○コスモメドウ(2番人気)の上がりは34秒7。完勝でした。
http://www.youtube.com/watch?v=MJq2M7dPorI

「King's Best×Sadler's Wells」ですから、昨年の凱旋門賞と英ダービーを制した Workforce と同じ組み合わせ。そして、「Kingmambo 系×Sadler's Wells」ですから、エルコンドルパサーとも似ています。この組み合わせは Nureyev と Sadler's Wells の4分の3同血クロスが鍵となります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110045/

昨年6月8日のエントリー「仏ダービー、英ダービー」、同10月4日のエントリー「ナカヤマフェスタ、凱旋門賞2着」、1月18日のエントリー「リスポリ騎手の鬼追いで快勝、タガノリベラノ」などで詳しく解説しておりますので、お時間がありましたらご覧いただければと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-f907.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-6f63.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-61a5.html

前走の万葉Sでかなり行きたがる素振りを見せており、それが気になったため対抗評価でした。今回は序盤にちょっと首を上げて難しいところを見せただけで、あとはしっかり折り合いました。外国人騎手は折り合いのつけ方が総じて巧みですね。いまが伸び盛りなのでG1の天皇賞・春でも怖い1頭です。

◎ビートブラック(1番人気)は出負けして最後方から。こうなると展開頼みになってしまうわけですが、レースの上がりが35秒3ですから向きませんでした。よく4着まで追い上げたという感じです。切れる脚がない馬なのでもう少し流れに乗りたかったですね。それにしてもこの馬が1番人気になったのはビックリしました。新聞の印を見てもせいぜい4~5番人気だろうと思ったのですが。

さて、日曜日はフェブラリーS。土曜日の競馬を見ると、思ったよりもダートは時計が掛かっています。昨日のエントリーで「とにかく持ち時計重視です」と記しましたが、そんな雰囲気ではないですね。見込みが違ったので前もって考えていた予想を変更しました(現在公開しているものが変更後の予想です)。土曜日に比べてダートの水分はさらに抜けるはずなので底力やパワーが必要。Roberto や Ribot といった血がモノをいう馬場ではないでしょうか。

2011年2月18日 (金)

船橋の天才少女? ボールドスマッシュ

ミルコ・デムーロ騎手の13歳下の弟、クリスチャン・デムーロ騎手が南関東で連日騎乗しています。まだ18歳ですが、昨年はイタリアで153勝を挙げて勝利数ランキング第2位。先週土曜日には中央でも騎乗しました。

さすがに上手いですね。鞍嵌りがよく、コースロスを押さえる意識が徹底し、鞭の持ち替えは自由自在、狭いところを抜ける技術もあります。一言でいって、そりゃ勝つでしょう、という感じです。もちろん減量恩典などありません。2月17日の大井競馬では2勝。第10Rの東風特別では9番人気のワールドベアハートを持ってきました。騎乗期間は1月17日から3月4日までの予定なので、あと2週間ほどで帰国します。

デムーロ家の家族構成はどうなっているんでしょうね? 詳しいことはまるで分からないのですが、ミルコの妹パメラが調教師をやっているらしいので、兄弟で少なくとも3人は競馬の仕事についています。ミルコとクリスチャンは13歳も離れているので、その間にいるのはパメラだけでなく、何人かいるのかもしれません。もしビッグダディ的な大家族だったりすると、第三、第四のデムーロが来日する可能性も……? そして彼らの息子たちもやがて騎手になり、将来、大挙して来日して、わが国の競馬がデムーロだらけになる可能性も……?

くだらない妄想はさておき、クリスチャン・デムーロ騎手が初めて騎乗した1月の船橋開催で、2着馬をはるか後方にちぎり捨てて話題になった3歳牝馬がいました。ネオユニヴァース産駒のボールドスマッシュ(岡林光浩厩舎)。同馬にとってこれがデビュー戦でした。

2011年1月21日 船橋第2R(ダ1200m)
http://www.youtube.com/watch?v=SUQnAH6wDKE

最後の1ハロンは手綱を抑えて流し、2着馬に3秒8もの大差をつけました。メジロラモーヌ、メイショウホムラ、サクセスブロッケンなど、デビュー戦で3秒以上の大差をつけて勝つ馬はたまにいるのですが、3秒8差は見たことがありません。もちろん、ボールドスマッシュは地方競馬所属で、しかも相手に恵まれたものなので単純比較はできません。ただ、楽しみな素材であるのは確かでしょう。

生産者は社台ファーム。馬主は吉田照哉氏の名義で、地方競馬オーナーズクラブの募集馬です。全兄アサクサハンター(中央未勝利)は当歳時にセレクトセールで6600万円の値がつきました。2代母はローミンレイチェル。したがって年度代表馬ゼンノロブロイの姪にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102774/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
ボールドスマッシュ ―┤
           └○┐
             └ ローミンレイチェル

           ┌ サンデーサイレンス
ゼンノロブロイ ―――┤
           └ ローミンレイチェル

今年の南関東3歳牝馬戦線は、元旦のエントリーで取り上げたクラーベセクレタがリード。先週、浦和競馬場で行われた桜花賞トライアルの重賞・ユングフラウ賞(ダ1400m)を、ほぼ持ったままで後続に5馬身差をつけました。このほか、桃花賞を勝って6戦4勝としたマニエリスムもかなりの器です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103178/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103001/

少なくとも現時点においては、ボールドスマッシュがクラーベセクレタ、マニエリスムよりも上ということはないと思います。ただ、今後順調に成長し、5月の東京プリンセス賞や6月の関東オークスあたりに間に合えば、あるいはいい勝負になるかもしれません。現在の賞金では桜花賞には間に合いません。クラーベセクレタの馬主はサンデーレーシング、マニエリスムはボールドスマッシュと同じ地方競馬オーナーズですから、中央と同じように社台系強し、ですね。

2011年2月17日 (木)

サクラプレジデント産駒の現3歳は黄金世代

■日曜京都5Rの新馬戦(ダ1400m)は○グリッターテイル(6番人気)が大外をマクって突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=pB9QeMkt69E

8頭分ほどの大外を回した騎乗は大胆でしたね。さすがにやりすぎではないかと懸念したのですが、最後まで脚いろは衰えず。強い競馬でした。予想は○▲で馬連5860円的中。

母 Tadwiga は愛メイトロンS(G3・芝1600m)の勝ち馬。父 Tale of the Cat は Storm Cat 系の名種牡馬。ダート新馬戦には滅法強く、これで連対率は62.5%(16戦10連対)。今シーズンは3頭出走してすべて勝ったことになります。初戦駆けに関して特筆すべき才能を持っており、それについては重々承知していたのですが、稽古が動いていなかったので◎には推せませんでした。それでこの勝ちっぷりですから「参りました」というしかありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110006/

■日曜東京2Rの新馬戦(ダ1400m)は★アティロン(11番人気)が後方一気の差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=-17uahGXg9A

スタートで出負けして序盤は最後方。最後よく間に合いました。予想は★◎で馬連6180円、★◎○で3連複12500円的中。

先日、『競馬総合チャンネル』の「新着POG馬紹介」で取り上げたばかりの馬です。稽古は足りず動きも冴えず11番人気(単勝7200円)。ただ、好みの配合だったので押さえてみたところ正解でした。解説文を転載します。

「半姉ルナロッソ(父キングヘイロー)は1000万条件で堅実に走っている。2代母パルブライトは新潟記念(G1)、函館記念(G1)の勝ち馬。派手さはないものの良牝系だ。父がキングヘイローからサクラプレジデントに替わったので、芝中距離向きの適性が前面に出てくるだろう。“母の父フレンチデピュティ”は成功を収めており、スズカコーズウェイ、ブレイクランアウト、アニメイトバイオ、ビッグバンといった活躍馬が出ている。芝向きの中距離タイプ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104640/

Nijinsky=ミンスキー4×5という全兄弟クロスも光りますね。父サクラプレジデントは今年に入ってから新馬勝ち馬を4頭出しました。狂い咲きといっては失礼ですが、いままでにない絶好調ぶりです。しかも、サクラシオン、サクラフローレス、サクラゴスペル、アティロンと、高い素質を感じさせるものばかり。黄金世代ですね。

アティロンはダートで勝ち上がりましたが、解説文に書いたとおり本質的には芝向きでしょう。次走、芝に回ってきたときに人気が落ちるようならしめたものです。

■日曜東京6Rの3歳500万下(ダ1600m)はコルポディヴェント(4番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=AUr5lHlQl9U

これでデビュー2連勝。同日の古馬1000万特別と0秒1しか違わないのですからハイレベルです。当ブログの読者でいらっしゃるBS様が一口出資されているとのことで、2月2日のエントリー「大物感あり、リヴェレンテ」のコメント欄で触れた馬でした。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-5b5c.html

終いがしっかりしているのがいいですね。前途洋々です。

2011年2月16日 (水)

菊花賞で買いたいダノンシャーク

■土曜京都9Rのつばき賞(3歳500万下・芝1800m)はダノンシャーク(1番人気)が完勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=L98ncrqr6Gk

父はディープインパクトで、兄弟にターキー、ワキノパワー、スティルゴールドと3頭の準OP馬がいます。コンスタントに走るものの重賞クラスには届かない、というファミリーです。その原因は決め手の無さにあると思います。

以前、この兄弟のレッズフィールド(父アグネスタキオン)という馬を指名していたのですが、瞬発力に定評のあるアグネスタキオン産駒でありながら、どうにもこうにも終いの甘い馬で、全成績は〔1・7・3・8〕でした。ダノンシャークがデビュー戦から3戦連続で2着となったときは、ああやっぱり、と思ったものですが、今回の競馬を見るかぎり馬が目覚めてきましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105554/

ダノンシャークは Montjeu の近親です。Montjeu は現役時代にヨーロッパでG1を6勝し、仏リーディングサイアーにも輝いた名馬ですが、決め手に優れたタイプではありません。このあたりが影響している可能性があります。母カーラパワーは、Montjeu の代表産駒の1頭 Fame and Glory と血統構成が似ています。
http://www.pedigreequery.com/carla+power
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┘
        ┌○┘
カーラパワー ―┤ ┌ Shirley Heights
        └○┤
          └ Toute Cy

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┘
        ┌○┤
        │ └○┐
Fame and Glory ┤   └ Toute Cy
        │ ┌ Shirley Heights
        └○┘

ヨーロッパのクラシックディスタンスを得意とする名馬と似ているわけですから、底力やスタミナに関しては申し分ありません。問題は日本向きの軽い切れ味。今回のレースではその面でだいぶ改善が見られたので春に期待を繋いだといえるでしょう。トップクラスとは時計面でまだ差があるものの、成長力の期待できる血統なので、着実に差を詰めていくはずです。今年の菊花賞はディープインパクト産駒のどれかが勝つだろうと考えているのですが、本馬はその有力候補の1頭ではないかと思います。

■土曜東京6Rの新馬戦(芝1600m)はリッチフロー(4番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=Bks0UxF9JoA

2月13日のエントリーでも少し触れたのですが、Hold Your Peace≒Yes Dear 3×5という4分の3同血クロスを持ちます。この2つの血の母 Blue Moon を刺激することは、フレンチデピュティ系の成功パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103007/

           ┌ Prince John
         ┌○┘
Hold Your Peace ―┤
         └ Blue Moon

         ┌ Prince John
Yes Dear ――――┤
         └ Blue Moon

リッチフローの叔父で、本馬と4分の3同血の関係にあるフレンドシップは、ジャパンダートダービー(G1・ダ2000m)の勝ち馬です。フレンドシップは Hold Your Peace≒Yes Dear 3×4。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102636/

基本的にこの血統はパワー型で、リッチフローも前肢を掻き込む走法です。今回は雨の影響で力の要る馬場になったことが功を奏しました。勝ちタイムは1分37秒5とかかっています。

2011年2月15日 (火)

京都記念はトゥザグローリー

日曜日の朝、東京競馬場に着くと、1コーナー方面に見える富士山があまりにも美しく、心が洗われました。フジビュースタンドから眺める冬の富士山は最高です。

思わずハッとするほど美しい富士山、ということでいまだに思い出すのは、ダイナガリバーが勝った共同通信杯4歳S当日。86年2月ですからちょうど25年前ですね。眺める自分は年を取りましたが、丹沢の山並みと雪を被った富士山はな~んにも変わりません。頭がキーンと冴えるような絶景でした。その日はたしか東京国際マラソンが開催されていて、場内テレビでその様子が放映されており、イカンガー選手の独走を眺める人々が鈴なりになっていました。当時なぜあれほどマラソン熱が盛んだったのか、いまから考えるとちょっと不思議ではあります。

それはさておき、京都記念。◎トゥザグローリー(1番人気)の単勝オッズは1倍台だろうと思っていたところ2.4倍。締め切り10分前までは2.8倍もありました。これは意外でした。
http://www.youtube.com/watch?v=ygUKE6nMqFs

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単1650円、◎△▲で3連単5390円的中。予想文を転載します。

「◎トゥザグリーリーは「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を2連覇したほか、ドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統で、有馬記念(G1)3着はフロックではない。今年はG1戦線の中心勢力となるだろう。稽古の動きを見るかぎり体調面に不安はなく、外回りコースも合っている。取りこぼすことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103265/

管理する池江泰郎調教師が定年で引退するため、次走から池江泰寿厩舎に転厩し、ドバイ遠征に向かう予定。この充実ぶりなら期待できそうです。再三書いているように有馬記念はフロックではありません。

レースぶりに注目していたのは○ダノンシャンティ(3番人気)。着順は4着でしたが、勝ったトゥザグローリーより2キロ重い斤量を背負い、守備範囲を超えた2200mで、道中再三引っ掛かりながら最後しぶとく脚を伸ばしてきたのですから、やはり相当強い馬です。休養から復帰後9、4着という成績なので、次走、多少でも人気が落ちてくれればしめたものですが……。

2着△メイショウベルーガ(5番人気)の京都外回りにおける強さはさすがというしかないですね。トゥザグローリーと同斤で4分の3馬身差まで迫るのですから頭が下がります。このあたりが母の父 Sadler's Wells の底力でしょうか。ちなみに Sadler's Wells 産駒は京都芝2200mで連対率80%、複勝率100%という成績(2・2・1・0)。ここは得意の舞台でした。

2011年2月14日 (月)

共同通信杯はナカヤマナイト

今年の3歳牡馬戦線は、抜けた馬が存在せず、トップクラスの力が拮抗しているのでおもしろいですね。こういう年にしっかり馬券を取れる人が上手いのでしょう。今回私はまったくダメでしたが……^^

△ナカヤマナイト(3番人気)は終始インにこだわった柴田善臣騎手のファインプレーですね。外に出していたら届かなかったでしょう。パドックではやや太めに見えたのですが関係ありませんでした。平均よりやや遅めのペースで、先に行った馬、インを突いた馬同士での決着。外側は伸びない馬場です。
http://www.youtube.com/watch?v=MPtuFZlNTZU

ナカヤマナイトは「ステイゴールド×カコイーシーズ×マルゼンスキー」という配合。鍵となる血はマルゼンスキーの父 Nijinsky です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105362/

父ステイゴールドはメジロマックイーン牝馬とのニックスが有名ですが、じつは Nijinsky とも好相性。シルクメビウス、アルコセニョーラ、マイネレーツェル、フェイトフルウォー、エムエスワールドなどがこのパターンに当てはまります。このうち、シルクメビウス、マイネレーツェル、エムエスワールドは Nijinsky の息子マルゼンスキーを持っています。ナカヤマナイトはこれらと配合構成の一部が似ていることになります。詳しく調べたわけではないのですが、社台系の繁殖牝馬よりも日高の繁殖牝馬のほうが Nijinsky を持つ割合が高いような気がするので、社台系の繁殖牝馬と交配する機会が少ないステイゴールドの、これは数少ないメリットといえるかもしれません。

母の父カコイーシーズは、「Alydar×Jester」というアメリカ血統ながらヨーロッパでデビューし、名馬 Nashwan(英2000ギニー、英ダービー、キングジョージ)のライバルとして活躍しました。89年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)は、75年のグランディ対 Bustino を思い起こさせる素晴らしい一騎打ちでした。のちにジャパンCにも出走して3着となっています。
http://www.youtube.com/watch?v=wWIwL0rNV8w#t=6m43s
http://www.youtube.com/watch?v=CkJ31MSXtSw

種牡馬としては、競走成績で示した芝の中長距離タイプという特徴は伝えず、「Alydar×Jester」という血統どおりダート戦が活躍の舞台となっています。コンサートボーイ(帝王賞)やエスプリシーズ(川崎記念)など地方競馬における強さには定評があります。

母フィジーガールの「カコイーシーズ×マルゼンスキー」は相性がよく、ほかにラヴァリージェニオ(福島記念-3着)、ヘイアンショウグン(セントライト記念-5着)などが出ています。連対率と1走あたりの賞金額は、それ以外のカコイーシーズ産駒を大きく上回ります。ニックスと呼んでもいいでしょう。

カコイーシーズ×マルゼンスキー………………………連対率21.8%
                      1走あたり202万円
母の父マルゼンスキー以外のカコイーシーズ産駒……連対率14.2%
                      1走あたり112万円

マルゼンスキーは Flaming Page≒Buckpasser 2×2という強烈な父母相似配合の産物です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003bd/

            ┌ Bull Dog
          ┌○┘
        ┌○┤ ┌ Blue Larkspur
Flaming Page ―┤ └○┘
        │ ┌ Menow
        └○┤
          └○┐ ┌ Man o'War
            └○┘

          ┌ Menow
        ┌○┤ ┌ Bull Dog
        │ └○┘
Buckpasser ――┤   ┌ Man o'War
        │ ┌○┘
        └○┤ ┌ Blue Larkspur
          └○┘

「カコイーシーズ×マルゼンスキー」は Tom Fool のクロスが生じます。Tom Fool はマルゼンスキーの父母相似配合の中心的な役割(Menow と Bull Dog を併せ持つ)を担っているので、そのあたりが好結果を生む秘密ではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996102218/

前述のとおり、ステイゴールドは Nijinsky 系と相性がよく、マルゼンスキーとの組み合わせでも好結果を生んでいます。母フィジーガールが持つカコイーシーズとマルゼンスキーはニックスは、マルゼンスキーの配合的エッセンスを継続するものなので、ステイゴールドとの相性の良さがさらに引き立つということなのかもしれません。カコイーシーズは大柄な馬で、産駒も総じて大きなサイズに出てきます。小柄なステイゴールドとのバランスが取れるのもいいのでしょう。

ナカヤマナイトは、前走のホープフルS(OP)で他馬よりも1キロ重い斤量を背負いながらベルシャザールのハナ差2着ですから、能力の高さは間違いないところ。ただ、カコイーシーズの血が引っ掛かって積極的に推せませんでした。こうして腰を据えて配合を眺めてみると、案外悪くないのかなという気がしてきます。勉強になりました。

◎ベルシャザール(2番人気)は4着。スタートで出負けしたのが痛かったですね。ペースが遅い序盤にジワッと位置取りを上げていったのは正解だったと思いますが、スパッと切れる脚がないので、上がり勝負となった今回は流れが不向きでした。

冒頭にも記したように、今年の3歳牡馬は実力拮抗の大混戦。同じメンバーで走っても、そのときどきの条件によってガラッと着順が入れ替わるでしょう。ですから、今回負けたメンバーを安易に評価下げするのは危険だと思います。その馬に合う条件が巡ってくれば上位争いをするはずです。

2011年2月13日 (日)

クイーンCはホエールキャプチャ

昨年暮れの阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)はレベルが高かったということでしょう。○ホエールキャプチャ(2番人気)が横綱相撲で押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=0ktuZKaZ1Wc

◎ダンスファンタジア(1番人気)は直線で最内から外に出したロスが痛かったですね。この馬がどいたスペースに、2着の△マイネイサベル(5番人気)が突っ込んできて2着を確保。結果論ですが、動かずに前が開くのを待っていれば2着はあったと思います。ただ、それにしても動かなすぎた感もあるので、前走の反動があったのかもしれません。

ホエールキャプチャの配合はデビュー戦から高く評価してきました。昨年7月3日の新馬戦(函館芝1200m)に出走した際、いまはなき『web競馬王』に異例の長文予想を書いたのですが、それを再録します。

「◎ホエールキャプチャは『クロフネ×サンデーサイレンス』。この組み合わせでチヨダマサコの牝系を汲む配合といえばベストクルーズ(阪神ジュベナイルF-G1・3着、ファンタジーS-G3・2着)がいる。フレンチデピュティ系の配合で重要と思われるひとつのパターンは、同馬が持つブルームーンという血を刺激すること。ブルームーンとよく似た配合構成の血を母系に入れた馬はよく走っている。本馬の場合、それはサンデーに含まれるバニッシュフィアであり、ラバージョンの2代母であるブルーグロット。これらを併せ持つ配合はベストクルーズと同じなので高い期待が掛けられる。全兄は初勝利を挙げるまでに11戦を要したが、本馬は牝馬ということもあり仕上がりが早そう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100544/

Blue Moon は、フレンチデピュティの母の父の母。
Blue Grotto はラバージョンの2代母で、Blue Moon の全妹。
Banish Fear は Halo の母の父の母。
http://www.pedigreequery.com/blue+moon2
http://www.pedigreequery.com/blue+grotto
http://www.pedigreequery.com/banish+fear

          ┌○┐
        ┌○┤ └ Herodias
        │ └○┐
Blue Moon ―――┤   └○┐
(=Blue Grotto)│     └ Bathing Girl(=Over There)
        │ ┌ Blue Larkspur
        └○┘

       ┌ Blue Larkspur
Banish Fear ―┤ ┌ Over There(=Bathing Girl)
       └○┤
         └ Herodias

つまり、ホエールキャプチャには、Blue Moon=Blue Grotto≒Banish Fear というクロスがあります。フレンチデピュティ系の配合としては文句なしのA級です。

厳密にいえば Hail to Reason の母 Nothirdchance も Blue Moon に似ています。また、ホエールキャプチャの血統とは関係ありませんが、Nothirdchance と相似な血の関係にある Revoked や、Bluehaze、Blue Banner、Blue Eyed Momo といった「Blue」がつく一連の血脈、それから Busanda、Alondra などもこれらの仲間ですが、詳しく説明を始めると長大なものになるので割愛します。フレンチデピュティやクロフネ産駒の活躍馬はこのパターンが非常に多いですね。

土曜東京6Rの新馬戦(芝1600m)を勝ったリッチフロー(父フレンチデピュティ)は、Hold Your Peace≒Yes Dear 3×5という4分の3同血クロスを持つのですが、この2つの血の母は Blue Moon です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103007/

望田潤さんのブログを読んだら、水曜日に同じような内容のエントリーがありました。私と望田さんは配合の共同研究をしたことはないのですが、もともと同じ競馬通信社の仲間でしたから、アプローチの仕方は似ていて、血統を掘り下げていく過程で似たような結論に達することはしょっちゅうあります。ご参考までに。

ホエールキャプチャ≒ベストクルーズ≒レジネッタ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/d7f6472ac0ed4ca142cd202b7aa530e8

トーセンレーヴ初戦突破

鞍上のリスポリ騎手、管理する池江泰寿調教師が口を揃えて「ソラを使った」と語っているように、残り300mで先頭に立ったあと、フワッとして走りに集中していませんでした。しかし、ゴール前で外から2着馬が迫ると、再びグッと首を下げて加速しました。
http://www.youtube.com/watch?v=fBzN1M0biCI

首が低くフットワークがシャキシャキと素軽いですね。機動力と瞬発力にいいものがありそうです。見ているうちにふとタイキシャトルの走りがオーバーラップしました。どちらも Halo 系で母の父は Caerleon です。もちろん、こちらはディープ産駒なので、タイキシャトルのようなマッチョ体型ではありませんが。

今回のレースでは、抜け出すときだけ本気を出した感がありますが、その一瞬に垣間見せた加速には光るものがありました。

一応、予想を載せておきます。

「◎トーセンレーヴは『ディープインパクト×カーリアン』という組み合わせで、ブエナビスタ、アドマイヤオーラ、アドマイヤジャパンの半弟にあたる。最高の父と最高の母の組み合わせから誕生した注目の1頭。ディープインパクトの母の父アルザオは、その母レディレベッカがサーゲイロード≒ポカホンタス2×1なので、これらを継続した配合には注目したい。トーセンレーヴは母方にサーゲイロードを持つので好感が持てる。血統的なポテンシャルの高さが圧倒的。ここで連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

池江泰寿調教師は、爪に関してはトーセンジョーダンで散々苦労されたので、その経験がトーセンレーヴに活きてほしいものです。無事ならばクラシック路線に乗るでしょう。ただ、レーススケジュールに合わせて馬を仕上げるということはないと思います。調教師自らが語っているように、あくまでも爪の具合次第。これだけの良血ですから慎重になるのは致し方ありません。

2011年2月12日 (土)

トーセンレーヴが土曜京都でデビュー

うっかり紹介し忘れていたのですが、『競馬王』3月号が発売になりました。巻頭特集は「社台系馬券論」。社台対策なくして馬券もPOGも勝てない時代だけに、社台グループにまつわる各種データを手際よく整理した今回の企画は興味深いものがあります。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

日曜日の東京メインレースは共同通信杯(G3・芝1800m)。『競馬王』で毎月担当している「重賞スクランブル」というコーナーの、共同通信杯の項を転載してみます。血統面を中心に好走パターンを抽出するという企画です。

「クラシック登竜門だけに、実績を伴った評判馬が出走しれくれば、そう簡単には崩れない。過去5年間を振り返ると、サダムイダテンが飛んだ08年を除けば、馬連配当は2000円未満に収まっている。昨年は1、2、3番人気馬が4着以下を2馬身離して写真判定の大接戦を演じた。奇をてらわず素直に人気馬から入るのがセオリー。
 血脈的に注目したいのはミスタープロスペクター。過去5年間の連対馬10頭のうち、半数以上の6頭がこの血を持っている。サダムパテック、ダノンバラード、ベルシャザールなどのトップクラスが出走してくれば、当然中心的存在となる。とくにベルシャザールは過去5年間で3頭の連対馬を出している松田国英厩舎の所属馬なので怖い。このレースで好走させるノウハウを持っているはず。
 ディープインパクト産駒は東京コースで実績を残しているので要注意。あとはアグネスタキオン、キングカメハメハの両産駒。」

原稿執筆は1月中旬なので何が出てくるか分からないまま書いています。内容を要約すると、人気のダノンバラードとベルシャザールはそれなりに信頼できて、ディープインパクト産駒は基本的に悪くないですよ、ということ。あくまでも傾向なので、もちろんこれが最終結論ではありません。

今年は降雪の影響で予想が難しくなりました。降雪や凍結のおそれがあるときは、芝コースにシートが被せられるといいますが、それがどれぐらいの面積なのか、いつから被せていていつから取り外すのか、そういったことが分からない以上、土曜日の競馬を見てから馬場状態を判断するしかないですね。内伸びなのか外伸びなのかも把握しておきたいところです。現時点では何とも言えません。

土曜日の京都競馬で注目したいのは、今シーズンのPOGで1番人気率が最も高かったであろうトーセンレーヴ。第6Rの新馬戦(芝1800m)で初陣を迎えます。父はディープインパクト、母はビワハイジ。つまり年度代表馬ブエナビスタの半弟です。私も赤本で指名し、「栗山ノート」でも取り上げました。昨年の10月以降、爪の異状で二度デビューが延期されたので、ようやくという感じですね。今回のレースはほかにも好配合馬が揃っており、レベルが高いのではないかと感じます。2月7日のエントリーに記したように、京都芝1800mはディープインパクト産駒が得意とする舞台。連対率56.5%を誇ります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

2011年2月10日 (木)

ファイングレインがフランスで種牡馬入り

2月2日、JRAのサイトに、サクセスブロッケンとファイングレインの競走馬登録抹消の記事がありました。前者は東京競馬場で誘導馬に、後者はフランスで種牡馬となるそうです。

ファイングレイン(父フジキセキ)は Pure Grain(愛オークス、ヨークシャーオークス)の全妹を母に持つ良血で、競走生活の晩年は衰えが目立ったものの、全盛期の5歳春に高松宮記念(G1・芝1200m)を制しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102667/

海外のホースマンにとって、フジキセキとは“Sun Classique の父”という認識でしょう。Sun Classique はフジキセキがシャトル種牡馬でオーストラリアへ渡った際、そこでの種付けで誕生した世界的名牝です。
http://www.pedigreequery.com/sun+classique

オーストラリア生まれの南アフリカ育ち。南アフリカでケープフィリーギニーズ(G1・芝1600m)など3つのG1を制して同国の3歳牝馬チャンピオンとなり、その後、ドバイへ渡ってドバイシーマクラシック(G1・芝2400m)をレコードで勝ちしました。
http://www.youtube.com/watch?v=mY0dfCsmJkQ

Sun Classique は母方に Mill Reef を持ち、その母 Milan Mill 5×5というクロスを持ちます。ファイングレインも同パターンです。それだけでなく、配合構成がかなり似ています。ファイングレインの母ミルグレインと、Sun Classique の母ラストタイクーンは相似な血です。

              ┌ Northern Dancer
            ┌○┘
          ┌○┤ ┌ Buckpasser
ミルグレイン ―――┤ └○┘
          │ ┌ Mill Reef
          └○┘

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┤ ┌ Buckpasser
ラストタイクーン ―┤ └○┘
          │ ┌ Mill Reef
          └○┘

フジキセキの成功パターンは幾通りかあるわけですが、こうした血統的共通項を見ると、ファイングレインと Sun Classique は似たような原理で走ったのだろうと想像できます。

Pure Grain の近親で、Sun Classique ときわめてよく似た配合構成を持ち、しかもG1勝ちの競走成績。フランスの生産者がファイングレインに白羽の矢を立てた理由が分かります。成功するかどうかは別として、目の付けどころの良さには感心しました。

昨年暮れ、マルカシェンクがフランスで種牡馬となるニュースが流れ、当ブログでも取り上げました(12月24日のエントリー)。しかし、その後、話は流れてしまったようで、日本で種牡馬入りすることになりました。さすがに2回連続でそんなことにはならないと思うので、何ごともなくフランスに渡ってほしいところです。

2011年2月 9日 (水)

切れ味炸裂、ディープインパクトの近親アフロディーテ

■日曜京都6Rの3歳500万下(ダ1800m)はグレープブランデー(1番人気)が6馬身差圧勝。3着はさらに9馬身離しました。勝ちタイムは1分53秒4。同日、同距離で行われた古馬1000万条件が1分54秒1ですから、0秒7上回っています。非常に優秀です。
http://www.youtube.com/watch?v=SMpJpbvKDIY

父マンハッタンカフェは芝向きですが、母ワインアンドローズはダートで準OPまで出世したパワータイプ。本馬の半兄にはダート得意の準OP馬ワインアドバイザーがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103069/

馬体重が530キロという大型馬。道中で機敏に動けない鈍さはあるものの、バテることを知らない重戦車のような走りで後続をちぎりました。母の父ジャッジアンジェルーチは、種牡馬としては大失敗でしたが、母の父としてはエガオヲミセテ、オレハマッテルゼ、エノクの兄弟、地方競馬で大活躍したアジュディミツオーなどを出し、悪くありません。雄大な馬格を伝えるのもひとつの特徴で、本馬もそのあたりの影響を受けているのもかもしれません。ただ、母はワインアンドローズは現役時代400キロそこそこの小型馬でした。

パワー型の母は、What a Pleasure と Pleasant Colony の組み合わせを持つので、ワンダーアキュートに似た雰囲気が感じられます。底力の補給源として Ribot 系の血を入れるのは、マンハッタンカフェ産駒において成功しているパターンでもあります。同産駒のダート馬で最も出世したエーシンモアオバーを超えるかもしれません。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝2000m)は○アフロディーテ(2番人気)が快勝しました。超スローペースで上がりだけの競馬。ラスト2ハロンが11秒1-11秒3というラップをスパッと抜け出し、最後は手綱を抑える余裕がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=EOA5zL7CcZ8

アグネスタキオン産駒は切れ味勝負になるとやはり強いですね。脚の回転速度が違います。しかも、母はレディブロンド。ディープインパクトの半姉で、現役時代に6戦5勝という成績を残した快速馬です。これまでにデビューした2頭の産駒、ラドラーダとゴルトブリッツはそれぞれOP、準OPまで出世しており、繁殖成績も優秀です。

ウインドインハーヘアの孫で、父がアグネスタキオンという配合。これはダノンパッション(デイリー杯2歳S-3着)、リルダヴァル(NHKマイルC-3着)と同じ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103372/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103142/

          ┌ アグネスタキオン
          │   ┌ Mr.Prospector
アフロディーテ ――┤ ┌○┤ ┌ Buckpasser
          └○┤ └○┘
            └ ウインドインハーヘア

          ┌ アグネスタキオン
          │   ┌ Mr.Prospector
ダノンパッション ―┤ ┌○┤ ┌ Buckpasser
          └○┤ └○┘
            └ ウインドインハーヘア

          ┌ アグネスタキオン
          │     ┌ Mr.Prospector
リルダヴァル ―――┤   ┌○┘
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ ウインドインハーヘア

3頭とも切れ味豊かな中距離馬で、“母の父が Mr.Prospector 系”という点まで一致しています。アフロディーテとダノンパッションは、母の父が「Mr.Prospector×Buckpasser」の組み合わせ。さらに似ています。まず外れはないだろうという配合なので「栗山ノート」でも推奨しました。あまり体質が強くないとのことですが、ぜひクラシック路線に乗ってほしい馬です。

余談ですが、レディブロンドは2年前の5月に死亡しました。アフロディーテの全妹(現1歳)が最後の産駒です。牝馬を3頭残したことで牝系が繋がっていきそうなのはせめてもの慰めです。レディブロンドの血は将来的に非常に大きな価値を持つと思います。

■日曜小倉10Rのあすなろ賞(3歳500万下・芝2000m)はカフナ(1番人気)が好位追走から2馬身突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=lxzV3BsEzDc

昨年暮れに中山で行われたホープフルS(2歳OP)はレベルが高く、3着フェイトフルウォーは京成杯を勝ち、5着プレイは同3着と健闘しました。それらとの比較から4着だった本馬は重賞で勝ち負けする能力があると思います。

ローズキングダムやトゥザグローリーと同じ「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。フットワークがシャープでいいですね。近親のベッラレイアやワイルドラズベリーと同じく切れ味が非凡です。

Kingmambo は Nijinsky を含む繁殖牝馬と好相性を示したのですが、息子のキングカメハメハもその特徴を受け継いでいます。特に芝の成績が良好。芝連対率、1走あたりの賞金額は、キングカメハメハ産駒全体の成績を上回ります。先週の東京新聞杯(G3)2着馬キングストリート、先々週の京都牝馬S(G3)勝ち馬ショウリュウムーンと、最近このパターンの配合馬がよく頑張っているのも目に付きます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103281/

次走は、坂のあるコースで強いメンバーと当たることなると思いますが、今回のレースぶりならかなりやれそうな感触があります。ローカル帰りでも侮れません。

2011年2月 8日 (火)

器の大きさを評価したいオーシャンビーナス

■土曜京都4Rの新馬戦(ダ1800m)は★アドマイヤケルソ(8番人気)が勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=bReLs6E3rn8

予想は★◎で馬連12520円的中。単勝配当が4210円もついたのは稽古内容がまったく平凡だったからです。血統的に見どころがあったので押さえて正解でした。

父アドマイヤドンは2年連続で最優秀ダートホースに選ばれた名馬。母ロイヤルカードは未勝利馬ですが、アドマイヤホープ(全日本2歳優駿)、アドマイヤフジ(重賞3勝)の半姉にあたる良血です。本馬はアドマイヤフジと配合構成が似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101638/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002103091/

          ┌○┐
アドマイヤケルソ ―┤ └ ベガ
          │ ┌ サンデーサイレンス
          └○┤
            └ アドマイヤラピス

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
アドマイヤフジ ――┤ └ ベガ
          └ アドマイヤラピス

根拠はこれだけだったのですが、冴えない稽古内容でいきなり勝つということは、潜在能力が高いということなのでしょう。

■土曜京都6Rの新馬戦(芝1600m)は◎ダノンフェニックス(1番人気)が押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=9zOheEOv3zM

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎▲で馬単2790円的中。予想文を転載します。

「◎ダノンフェニックスは『ネオユニヴァース×グランドロッジ』という組み合わせ。ディープインパクトの近親にあたる。ネオユニヴァース産駒の活躍馬と配合を比較してみると、母方にバステッドを持つところはヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースに似ており、ダンジグを持つところはロジユニヴァース、オールアズワンに似ている。母バシマーはネオユニヴァースと相性のいい血で構成されているので好感が持てる。稽古の動きも良好。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103264/

配合が良好で稽古も動いていたので順当な結果でしょう。ただ、このレースで本当に◎を打ちたかった馬は2着▲オーシャンビーナス(3番人気)でした。カンパニーの半妹で配合は抜群。しかし、父リンカーンは芝新馬戦で41戦して連対なし。この成績ではいくら配合が素晴らしいといっても◎は打てません。▲が精一杯でした。

父リンカーンの母グレースアドマイヤは、カンパニーの父ミラクルアドマイヤの全姉です。したがって、オーシャンビーナスとカンパニーの配合構成はよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103301/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/

           ┌○┐ ┌ トニービン
オーシャンビーナス ―┤ └○┤
           │   └ バレークイーン
           └ ブリリアントベリー

             ┌ トニービン
           ┌○┤
カンパニー ―――――┤ └ バレークイーン
           └ ブリリアントベリー

1月24日のエントリー「アメリカJCCはトーセンジョーダン」のなかで、クラフティワイフの牝系とトニービンの好相性について記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-fea6.html

オーシャンビーナスはまさにそのパターン。カンパニーと配合構成が似ているということは、トーセンジョーダンやレニングラードとも似ていることになり、さらにいえば先日の小倉大賞典で2着となったバトルバニヤンとも似ています。いいところがあるのではないかと考え、某POGでも指名した馬でした。

リンカーン産駒には、牝馬ながらジュニアC(OP・芝1600m)を制したデルマドゥルガーという活躍馬がいます。オーシャンビーナスは、リンカーン産駒が苦手とする新馬戦で牡馬相手にハナ差2着ですから、かなりの素質馬ではないでしょうか。器の大きさではデルマドゥルガーに負けていないと思います。次走以降が楽しみですね。

2011年2月 7日 (月)

きさらぎ賞はトーセンラー

きさらぎ賞(G3・芝1800m)は○トーセンラー(3番人気)が差し切り勝ち。ディープインパクト産駒の重賞勝ちはダノンバラード(ラジオNIKKEI杯2歳S)に次いで2頭目です。
http://www.youtube.com/watch?v=1Y_zQi_LHIw

後続を離して逃げたリキサンマックス(8番人気)は平均よりやや速いペース。2番手以下はスローでした。00年以降、良馬場で行われたきさらぎ賞(10回)の5ハロン通過平均タイムは60秒7。リキサンマックスは60秒2ですから、離して逃げたものの無茶なラップを刻んだわけではありません。

結果論ですが、後続馬群は向正面で離されすぎましたね。京都の外回りコースではたまにこういうレースがあります。ポジショニングに関して鋭敏な感覚を持つデムーロ騎手は“これはマズイ”と察知したのでしょう、3コーナー手前でいち早く動いて位置取りを上げていき、これが最後の差し切りにつながりました。

◎オルフェーヴル(2番人気)は上がり33秒2という鬼脚を繰り出したものの3着。池添謙一騎手は「馬の後ろでも折り合いを欠くぐらいギリギリのレースでした。下りで一気に動いたら、我慢したことが台無しになってしまいますからね」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っています。前走を見るかぎり、気性的な問題はだいぶ治まってきたのかなという印象があったのですが、まだまだのようです。ステイゴールド産駒はこういうところがあるので難しいですね。いろいろ注文がつく現状で重賞を勝ち切れるほどの実力はまだないようです。

トーセンラーの父ディープインパクトは、今回のレースが行われた京都芝1800mで圧倒的な強さを誇ります。連対率56.5%(23戦13連対)は凄いの一語。トビが大きく器用なタイプではないので、コーナーが2つしかなく直線が長いこのコースが合うのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102985/

昨日のエントリーで、ディープインパクトとスプリンター血統の相性の良さについて記しましたが、母の父 Lycius はスプリンター寄りのマイラーといったタイプ。2歳時にミドルパークS(英G1・芝6f)をレコード勝ちしています。スプリンターの要素を含んだディープインパクト産駒はやはり走るのかもしれません。ちなみに、Lycius の全妹 Autumn Moon はステキシンスケクンの母となりました。
http://www.pedigreequery.com/lycius

Lycius は種牡馬として期待ほどの成績を挙げたとはいえず、G3クラスをパラパラと送り出した程度。軽いスピードタイプで底力がイマイチでした。唯一のG1馬 Hello(伊グランクリテリウム)は母の父が Sadler's Wells。つまりトーセンラーの母のプリンセスオリビアと同じ組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/hello

プリンセスオリビアは繁殖牝馬としてきわめて優秀。アメリカにいたころ出産した Flower Alley は、トラヴァーズS(米G1)を含め重賞を3勝した活躍馬で、ブリーダーズCクラシック(米G1)でも2着と健闘しました。日本にやってきてからは、フローラS(G2)3着のブルーミングアレー、そしてトーセンラーを産んでいます。すべて違う血統内容の種牡馬を相手に優れた産駒を誕生させているのですから素晴らしいですね。
http://www.pedigreequery.com/flower+alley
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102912/

プリンセスオリビアの母は「Sadler's Wells×Vaguely Noble」で、このあたりから受け継いだ底力とスタミナと、Lycius のスピードがうまく融合しているのでしょう。今回は上がりだけの競馬だったので、ペースが上がったときにどうなるかは未知数です。ただ、配合的には十分対応できると思います。

2011年2月 6日 (日)

ディープインパクトとスプリンター血統は好相性

■土曜東京9Rの春菜賞(3歳500万下・芝1400m)は、当ブログで推奨したクリアンサス(3番人気)が逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=9WnpHZ7Iahk

最初の4ハロンが49秒2という超スローペース。上がり3ハロンが34秒0(11秒7-11秒0-11秒3)ですから、後ろの馬はどう頑張っても届きません。能力検定としては不十分なレースでしたが、重心の低いフォームでしっかりと速い脚を使ったところに素質の高さを感じました。

昨日のエントリーにも記したとおり、この馬のベストディスタンスは1400m以下。1200mならさらに強いでしょう。1600mでディープインパクト産駒やアグネスタキオン産駒に勝てる気はしません。成長力があるタイプなのでまだまだ強くなると思います。本格化は夏を越してからではないでしょうか。母の歩んだ道に進んでほしいと思います。

■土曜京都9RのエルフィンS(3歳OP・芝1600m)は、ディープインパクト産駒のマルセリーナ(2番人気)が大外を突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=5t166lkl0X8

勝ち馬の上がり3ハロンは34秒2。勝ちタイム1分34秒4はレース史上2番目。レベルの高いレースだったと思います。

芝1400mのデビュー戦を大楽勝したノーブルジュエリー(1番人気)は、それなりの力は示したものの、1ハロン延びたことでもうひとつ味が出ませんでしたね。1400mと違って1600mでは瞬発力という要素が重要になってきます。母方のドイツ血統の力をもってしても、父の一本調子のスピードをカバーしきれない感がありました。

勝ったマルセリーナは牡馬相手のシンザン記念で3着と健闘した実力馬。配合については昨年12月14日のエントリー「ディープインパクト産駒が11週連続で新馬戦勝利」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-540f.html

母方にラストタイクーンを持つディープインパクト産駒といえば、新馬-寒竹賞を連勝したターゲットマシンと同じです。素質を高く評価されながら死亡したレッドディアーナもこのパターンでした。「ディープインパクト+ラストタイクーン」は今年のPOGでも注目です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103009/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102935/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/

ディープインパクト産駒の上級馬には、母方にスプリンター血統を抱えているものが目に付きます。リアルインパクト、ターゲットマシン、ドナウブルー、マルセリーナ……。いずれもレース終盤にピリッとした脚を使えるタイプなのは偶然でしょうか。

スプリンターは往々にして筋骨隆々のガッチリとした体型です。ディープインパクトが小柄で薄いタイプだけに、こうした要素を取り入れることはプラスでしょう。ディープインパクトのしなやかな中距離向きの筋肉と、強く速い収縮を可能にするスプリンターの筋肉が、いいとこ取りの理想的な形で融合するのかもしれません。

スプリンターではありませんが、ダノンバラードの母レディバラードは、ダート重賞を2勝した砂巧者でした。パワフルでボリュームのある体型だったと記憶しています。ディープインパクトが、豊富な筋肉量を誇る繁殖牝馬との間から優れた優駿を誕生させたことは、スプリンター血統との好相性に通じるところがあるような気がします。

2011年2月 5日 (土)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(後)

ニホンピロウイナーが凡百のマイラーとは異なり、重厚感のある馬体と抜群の底力を持ち合わせていたのは、昨日のエントリーで説明した“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスの効果でしょう。

Dahlia(キングジョージ2連覇などG1を10勝)、Oh So Sharp(英オークス、英1000ギニー、英セントレジャー)、Fall Aspen(大繁殖牝馬)をはじめ、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせが配合の骨格を形成している名馬は数えきれません。

Dahlia(Aureole≒Honeys Alibi 3×2)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Oh So Sharp(Tudor Minstrel≒Flower Bowl≒Swaps 5×3・3)
http://www.pedigreequery.com/oh+so+sharp
Fall Aspen(Imitation≒Swaps 2×2)
http://www.pedigreequery.com/fall+aspen

父 Redoute's Choice の父デインヒルは、Flower Bowl という名牝の血を抱えています。この馬は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせによって誕生しました。

          ┌ Hyperion
        ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ――┤ ┌○┘
        └○┘

オースミドライバーとクリアンサスは、かなり大ざっぱな表記ですが、Flower Bowl≒Abernant≒チャイナロックとなります。クリアンサスにはさらに Flower Bowl と相似な血の関係にある Aureole も入ります。

Redoute's Choice は過去2回、短距離王国オーストラリアでリーディングサイアーとなっており、その系統の発展が注目されています。スピード面の心配はほとんどなく、あとは底力の充実が課題です。カツラドライバーとフラワーパークは、Hyperion と Son-in-Law の影響を色濃く受けたニホンピロウイナーと、Hyperion 4×3(Lady Angela 3×2)のノーザンテーストを抱え、そうしたベクトルに沿った配合構成となっています。軽さに傾くことなく底力を湛えた非常にいい配合だと思います。

ちなみに、クリアンサスは某POGで指名しました。父 Redoute's Choice、母フラワーパークという血統を見るかぎり短距離馬でしょう。マイルに色気を見せているうちは中途半端なままだと思いますが、1200~1400mならかなりやれると思います。土曜東京9Rの春菜賞(3歳500万下・芝1400m)は、適距離に戻るのでちょっとおもしろいと思います。

                *

1月28日のエントリー「トウショウボーイ系最後の競走馬」で、スベスベヨークンという競走馬を取り上げました。昨日、同馬の馬主である鍵谷篤宏様からご投稿をいただきました。下記のURLをご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-3793.html

現2歳の牡馬は「フワフワヨークン」の名で競走馬登録が完了。現3歳のスベスベヨークンは2月20日のセントポーリア賞(3歳500万下・東京芝1800m)に出走するとのことです。

2011年2月 4日 (金)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前)

先々週の新馬戦で「やられた!」と思ったのは、土曜小倉4R(芝1200m)を勝ったオースミドライバー(13番人気)です。

新馬戦は仕上がり具合が大きな比重を占めるので、いくら配合が良くても稽古で動いていない馬はダメ。オースミドライバーは配合的には申し分なかったものの、稽古内容を見ると厳しそうだったので、印を打つのを躊躇しました。だから単勝9790円という大穴になったわけですが……。実戦タイプなのでしょう。大外から鮮やかに差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=bogESSaRsqM

新潟2歳S(G3)を勝ち、桜花賞(G1)とオークス(G1)でそれぞれ2着となったエフティマイアの半弟。父はオーストラリアからシャトルでやってきた快速種牡馬スニッツェル。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103116/

母が「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」で、父が Redoute's Choice 系という配合は、フラワーパーク(スプリンターズS、高松宮記念)の子で今週土曜の春菜賞(3歳500万下・芝1400m)に出走するクリアンサスと同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102710/

             ┌ Redoute's Choice
           ┌○┘
オースミドライバー ―┤ ┌ ニホンピロウイナー
           └○┤ ┌ ノーザンテースト
             └○┘

           ┌ Redoute's Choice
クリアンサス ――――┤ ┌ ニホンピロウイナー
           └○┤ ┌ ノーザンテースト
             └○┘

母の父ニホンピロウイナーは80年代を代表する名マイラーで、その底力の源泉は、Hyperion と Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)の組み合わせから成る“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980106362/

          ┌ Hyperion
        ┌○┘
Abernant ―――┤ ┌ Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)
        └○┘

          ┌ Hyperion
        ┌○┘
チャイナロック ┤ ┌ Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)
        └○┘

Hyperion は昨年12月9、10、29、30、31日のエントリーで触れたように文句なしの名血。一方、Son-in-Law は今世紀前半のイギリスを代表する名ステイヤー血統。このふたつの血の組み合わせは相性がよく、これらを近い世代にペアで持つ馬同士の組み合わせは効果抜群です。前出の Abernant、チャイナロック以外にも、Tudor Minstrel、Aureole、Flower Bowl、Swaps、Honeys Alibi、Cover Up、Hypericum、Imitation、アイアンエイジ、テューダーペリオッドなど、この仲間はたくさんいます。

Hyperion と Son-in-Law の組み合わせがもたらす優れた効果について、初めて言及したのは笠雄二郎氏です。(続く)

2011年2月 3日 (木)

弥生賞でも勝ち負けになるルルーシュ

■日曜東京4Rの未勝利戦(芝2400m)はヴァーゲンザイル(1番人気)が上がり33秒8で突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=IZL9C2jrcbc

父はネオユニヴァース。兄姉に重賞勝ち馬はいないものの、ワイドサファイア(フローラS-2着)など準OP以上に達した馬が3頭います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102828/

一般的な傾向として、ネオユニヴァース産駒は東京よりも中山を得意とし、上がりがかかる競馬のほうが持ち味が出ます。しかしこの日は、ヴァーゲンザイルに続いて第5Rの新馬戦(芝1800m)でも、同産駒のヒカリキャピタルが上がり勝負で勝ちました。ネオユニヴァース産駒は素軽いスピードに欠けるのでマイル以下ではイマイチ。1800m以上になると馬券になる感じですね。

母方にノーザンテーストを持つネオユニヴァース産駒は走っており、持たない同産駒に比べて連対率が上昇します。トーセンファントム、ネオヴァンドーム、マルカボルトといった活躍馬が出ています。

勝ちっぷりは良好。しかし、この時期の芝2400m戦を勝った馬は、春のクラシックでいいところがないというのが過去の傾向です。ただ、青葉賞ではチャンスがあるかもしれません。

■日曜東京6Rの3歳500万下(ダ1600m)はレーザーバレットが大外から1頭だけ違う脚いろで伸びて3馬身差勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=J80qJ5k1-Z0

新馬戦を勝ったときにも取り上げた馬です(12月15日のエントリー)。「ブライアンズタイム×Mr.Prospector」ですからチョウカイキャロル、ノーリーズン、フリオーソ、ビッグゴールドなどと同じ。このパターンはよく走ります。母が Nasrullah 4×4・4ですからスピードを活かす競馬が合っているでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104812/

■日曜東京7Rの3歳500万下(芝2000m)は昨年の札幌以来のレースとなるルルーシュが鋭く伸びて快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=d7Bn_1T1UhY

最後の2ハロンが10秒9-11秒0という上がりだけの競馬。メンバーのなかでは抜けて強かったですね。デビュー前の調教を見たときからフットワークがいい馬だと感じていたのですが、久々に見てもやはりいいと思いました。休養を挟んで成長を促したのは正解だったと思います。直線の迫力あるフットワークを見ると、眠っていた素質が覚醒した感がなきにしもあらず。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102912/

配合についは9月3日のエントリー「今週の新馬戦はルルーシュに注目」をご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/09/post-c622.html

「栗山ノート」にも取り上げた馬でもあり、配合は好みです。1回東京の3歳500万下・芝2000mの平場戦は、一昨年アプレザンレーヴ、昨年ペルーサと、勝ち馬がその後重賞を勝っています。毎年ハイレベルなメンバー構成となるからでしょう。ペルーサとは同父、同馬主、同調教師、同生産者という関係。次走、弥生賞では勝ち負けに加われるはずです。

2011年2月 2日 (水)

大物感あり、リヴェレンテ

■日曜京都5Rの新馬戦(芝2000m)は▲リヴェレンテ(3番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=AdpDqgbdSGM

スタートが鈍く後方からの競馬となり、超スローペースを大外からマクって進出し、11秒7-11秒6-11秒0という上がり勝負をスパッと差しました。なかなか強いですね。

桜花賞馬レジネッタ(父フレンチデピュティ)の半弟にあたる良血。レジネッタは「フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」で、これはコンスタントに走るもののG3レベルで頭打ちになりがちな配合です。にもかかわらずクラシックを制覇したのは、2代母マクダヴィアの配合構成に負うところが大きいのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102077/

マクダヴィアは20世紀後半を代表する名繁殖牝馬の1頭 Fall Aspen の孫。また、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせから成る血(望田潤さん風にいえば「ハイインロー」)を5代以内に5つも抱える(Tudor Minstrel、Flower Bowl、Abernant、Imitation、Swaps)という底力の塊のような配合。これがうまく作用したのではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006530/

レジネッタの半弟リヴェレンテは、同じ「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」のトゥザグローリーと配合のイメージが似ています。トゥザグローリーは2代母フェアリードールに Hyperion が8本も入っています。配合的に硬いかなと思わせて切れる脚があるところも似ています。リヴェレンテについてはレース前、底力はあっても切れ負けして2、3着ぐらいではないか……と目算を立てていたのですが、予想に反して素晴らしい切れ味を発揮しました。

今回は決め手の勝利である以上に、総合力の勝利だったと感じます。芝新馬戦を上がり33秒台で勝ち上がった「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」は過去2頭しかいません。その2頭とはローズキングダムとトゥザグローリー。リヴェレンテには底力と切れ味が理想的な形で表現されているので大物感があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102577/

蛇足ですが、日曜小倉3Rの未勝利戦(芝2000m)を勝ったノーティカルスター(父ステイゴールド)はリヴェレンテの甥、つまりマクダヴィアの息子です。中長距離で強くなりそうなので動向を追いたい馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102613/

■日曜京都6Rの3歳500万下(芝2000m)はノーザンリバー(1番人気)が外を回って楽々と突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=GFRK4JrL89g

2週間前、1月19日のエントリー「ディープインパクト産駒の買いどころは基本的にマイル以上」で取り上げた馬です。次は芝に戻るのではないでしょうか。ダート馬ではないので要注意です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-35da.html

■日曜小倉10Rのくすのき賞(3歳500万下・ダ1700m)は佐賀公営に所属するウルトラカイザー(5番人気)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=TQ2VIIYong4

佐賀所属馬がJRAで勝つのは06年1月のスーパーワシントン(かささぎ賞)以来5年ぶりです。手綱を取った真島正徳騎手は、00年9月にコウセイロマンでひまわり賞(2歳OP)を勝っており、JRAのレースを佐賀所属馬で勝つのはこれが2回目となります。

父レギュラーメンバー、母の父ダイナレター、2代母の父マルゼンスキーと、いずれもわが国のダート競馬で素晴らしい能力を披露した馬たちで血統が構成されています。JRAではあまり見られないタイプですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104671/

父レギュラーメンバーは1月27日のエントリーで取り上げたロジータの孫。サイレントスタメン(東京ダービー)やダイナマイトボディ(東海ダービー、兵庫クイーンカップ)など、地方競馬を中心に産駒が走っています。現在、青森県の山内牧場で繋養されています。

2011年2月 1日 (火)

ダンスファンタジアと配合構成が似ているフォーエバーマーク

先週は3歳の素質馬・注目馬がたくさん勝ち上がったので、サクサクと回顧していきたいと思います。正月の1開催目とは違い、勝ち馬のレベルがグンと上がったような気がしますね。弥生賞、チューリップ賞まであと1ヵ月。頂点を目指す馬はこのあたりで何とかしないと黄信号が灯ります。

■土曜京都3Rの未勝利戦(ダ1400m)はアイアムアクトレス(2番人気)が後続を8馬身ちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=AZLSzi1imQs

アイアムカミノマゴ(阪神牝馬S)の全妹で、新馬戦でマルセリーナ(シンザン記念-3着)の2着ですから、芝適性も問題ないでしょう。

母アイアムザウィナーは、オーナーの堀紘一氏が故大川慶次郎氏と一緒にアメリカのセリへ行って買ってきた馬です。20年ほど前、堀氏がフジテレビの『平成教育委員会』に出演された際、控え室で番組収録を待っていると、大川氏から「馬を買ってみませんか」と誘われたそうです。これが競馬の世界に入るきっかけでした。その後、堀氏のご長男は吉田照哉氏のご長女と結婚されたので、結果的に見ると大川氏の働きかけは非常に大きなものでした。

大川氏と一緒に買ってきたアイアムザウィナーは、競走馬として重賞入着を果たし、繁殖牝馬としても重賞勝ち馬を送り出しました。非常に優秀です。「Danzig 系×Mr.Prospector」ですからコンスタントにスピードを伝える一方、やや一本調子なところがあるので、芝向きの瞬発力に秀でたアグネスタキオンとの配合でも、ダートでは抜群に強く、芝でも1400mあたりがベストになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102746/

■土曜京都5Rの未勝利戦(芝1800m)はオンリーザブレイヴ(8番人気)が差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=197GfqNzpUk

ディープインパクト産駒で、Burghclere≒Height of Fashion 3×4という大胆な4分の3同血クロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102980/

          ┌ Busted
Burghclere ――――┤
          └ Highclere

            ┌ Busted
          ┌○┘
Hight of Fashion ―┤
          └ Highclere

新馬戦に出走したあとに当ブログでもちょっと触れました。そのときは鈍重そうな走りが印象に残り、前向きな評価はしづらかったのですが、3戦目でびっくりするような変わり身を見せました。上がり最速(34秒3)で突き抜けるシーンは当時のレースぶりからは想像できません。昇級して即通用するかどうかは微妙ですが、Burghclere≒Height of Fashion は晩成型の資質を伝えると思われるので、時間はかかっても着実に昇級していくタイプでしょう。

■土曜京都7Rの3歳500万下(芝1400m)はラトルスネーク(3番人気)が2勝目を挙げました。
http://www.youtube.com/watch?v=9B7HVvkVSv0

周知のとおりこの馬の課題は折り合い。今回はリスボリ騎手がガッチリと押さえ込み、外を回って道中の不利もなく直線で弾けました。スローペースだったので、最後の3ハロンは11秒4-11秒4-11秒2。上位3頭の力が抜けていました。ラトルスネークの配合については11月14日のエントリー「ラトルスネーク新馬戦圧勝」でじっくり解説しています。どうぞご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-6a94.html

ディープインパクト産駒のダコール(2番人気)は出遅れも響いて3着。1月19日のエントリー「ディープインパクト産駒の買いどころは基本的にマイル以上」で述べたように、やはり1400mは忙しいですね。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-35da.html

さらには内回りも厳しかったと思います。ディープインパクト産駒は直線の長いコースが合っています。もっとも、この時期は番組の選択肢が少ないので、それを分かっていても使わざるを得ないのですが……。今回は不利な条件を克服して勝てるほど相手が弱くありませんでした。距離が延びればまた違った結果が出るでしょう。私は新馬戦でも東京スポーツ杯2歳S(G3)でも◎を打っており、この馬を高く買っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104798/

■土曜東京9RのクロッカスS(OP・芝1400m)はフォーエバーマークが逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=Yrg-Qy2hyOI

3歳世代のファルブラヴ産駒は豊作で、本馬のほかにフェアリーS(G3)を勝ったダンスファンタジアが出ています。この2頭は配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103048/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102910/

         ┌ファルブラヴ
フォーエバーマーク┤ ┌ダンスインザダーク(=ダンスインザムード)
         └○┘

         ┌ファルブラヴ
ダンスファンタジア┤
         └ダンスインザムード(=ダンスインザダーク)

フォーエバーマークの母の父ダンスインザダークと、ダンスファンタジアの母ダンスインザムードは全兄妹です。

ファルブラヴは Nijinsky と相性が良好。前記の2頭には Nijinsky が含まれています。ファルブラヴは Menow の全妹 Lithe を持ち、Nijinsky は Menow を抱えています。つまり、Nijinsky が母方に入るファルブラヴ産駒には、Lithe=Menow という全きょうだいクロスが生じます。これが好相性のひとつの鍵だと思われます。

2011年1月31日 (月)

根岸Sはセイクリムズン

根岸S(G3・ダ1400m)は○セイクリムズン(2番人気)と◎ダノンカモン(3番人気)の一騎打ち。いい競馬でした。両者の能力はハイレベルで拮抗しており、レース前はどちらの実力が上なのか正直よく分かりませんでした。1キロ重いセイクリムズンがねじ伏せたことで、現時点での決着はつきました。
http://www.youtube.com/watch?v=Lk0ouelEU3o

予想は○◎で馬連640円を本線的中。本命に推したダノンカモンは流れに乗って最高の競馬ができたと思います。騎乗した三浦皇成騎手は土曜日から好プレーが目立っていましたね。馬券にならなかったレースでも人気薄を上位に持ってくるシーンが目に付きました。

勝ったセイクリムズンは重賞連勝。父エイシンサンディは「サンデーサイレンス×ノーザリー」という気性面に危うさを感じさせる血統。母の父サウスアトランティックも同様です。中長距離を我慢強く走れる血統ではないので、短距離が合っているのでしょう。半兄にOPクラスまで出世したマイネルナポレオン、半姉に重賞で入着したセイントリーフがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100106/

話は横道にそれるのですが、かつて道営競馬にテツセンスーパー(87年生・父ラインゴールド)という名馬がいました。脚を痛めたため輝いた時期はほんのわずかだったのですが、北海道3才優駿を9馬身差で圧勝するなど素晴らしい能力を披露しました。ちなみに、このとき大差の3着に負かしたアウトランセイコーは翌年春、南関東で二冠(羽田盃、東京ダービー)を制しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987103432/

テツセンスーパーの母トウフクテツセンと、セイクリムズンの3代母ヤマトテツセンは配合構成がよく似ています。

            ┌ ヒンドスタン
          ┌○┘
トウフクテツセン ―┤ ┌ ムーティエ
          └○┤ ┌ ライジングフレーム
            └○┘

          ┌ ムーティエ
ヤマトテツセン ――┤ ┌ ヒンドスタン
          └○┤ ┌ ライジングフレーム
            └○┘

このあたりから生じた高いダート適性は、セイクリムズンにも脈々と流れているような気がします。母スダリーフは、Nasrullah と Prince Rose から成る Mill Reef、Natashka、ムーティエを近い世代に持つので、本馬が持つムーティエのクロスによって、これらを継続する形になるのはいいと思います。もっとも、全体的にファッショナブルな血とはいえないので、泥臭い叩き上げのダート馬になってしまうのは致し方ありません。配合的には好きですが、POGで指名できるかと問われれば、う~ん、無理でしょう(笑)。

2011年1月30日 (日)

シルクロードSはジョーカプチーノ

土曜京都11RのシルクロードS(G3・芝1200m)は、出遅れをものともせずジョーカプチーノ(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=mm7dEusyPMI

昨日のエントリーに記したとおり、1番人気もトップハンデも信用できないレース。それをダブルで背負い、出遅れの不利を克服して勝ったわけですから、能力が違ったとしかいいようがありません。土曜日の京都芝は、前開催と打って変わって後ろの馬でも届く馬場でした。馬場コンディションの変化も味方につけた感じです。

前半3ハロンが34秒8という超スローペースだったので最後は切れ味勝負。その能力に秀でたサンデー系のマンハッタンカフェ産駒がワン・ツー・フィニッシュを決めたということでしょう(2着アーバニティも同産駒)。1、2着馬はいずれも上がり3ハロン32秒6でした。行って粘るのが身上のサクラバクシンオー系はこういう展開になるとつらいですね。出走した4頭は掲示板に載れませんでした。

ジョーカプチーノの配合は、ブエナビスタ、レッドディザイアと非常によく似ています。これに関しては何度か書いた覚えがあり、いちばん最近では11月1日のエントリー「天皇賞・秋はブエナビスタ」に記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-e05f.html

高松宮記念はキンシャサノキセキとの一騎打ちでしょう。キンシャサは8歳馬ですが、ジョーカプチーノは5歳。しかも充実一途なので、こちらに分がありそうです。昨年暮れのラピスラズリS(OP・芝1200m)では前半3ハロンを33秒2で飛ばして逃げ切りました。ペース・展開が不問なのもいいですね。

◎センターライコウ(6番人気)は最後の直線、インからスルリと抜けた瞬間「やったか!?」と思ったのですが4着。持てる力を出し切った結果なので仕方ありません。まだ4歳なのでこれから強くなりそうです。

2011年1月26日 (水)

サクラプレジデントと「サクラユタカオー×ノーザンテースト」

土曜京都6R・新馬戦(芝1600m)は△サクラシオン(3番人気)が差し切り勝ち。直線で前が開かず、進路を立て直す不利があったのですが、ゴール前でスパッと切れました。
http://www.youtube.com/watch?v=fjApoz3QUQ0

父サクラプレジデントは、父サンデーサイレンス、母セダンフォーエヴァー(ダービー馬サクラチヨノオーの全妹)という良血で、G1は獲れなかったものの重賞3勝と、競走成績もまずまずでした。

種牡馬成績はイマイチで、新馬戦に強いタイプでもないのですが、なぜか先週は芝1600mの新馬戦で2勝(サクラシオン、サクラフローレス)と大活躍。もう1頭のサクラフローレスは、日曜中山6Rの新馬戦(芝1600m)を3馬身差で完勝しました。

2頭は血統構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101034/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100731/

          ┌ サクラプレジデント
サクラシオンー ――┤
          └○┐ ┌ サクラユタカオー
            └○┤ ┌ ノーザンテースト
              └○┘

          ┌ サクラプレジデント
サクラフローレス ―┤   ┌ サクラユタカオー
          │ ┌○┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┘ └○┘

サクラシオンの2代母サクラキャンドルは「サクラユタカオー×ノーザンテースト」。サクラフローレスの母の父サクラバクシンオーも「サクラユタカオー×ノーザンテースト」です。

サクラプレジデントの成功する配合パターンは Nijinsky クロス。これに加え、「サクラユタカオー×ノーザンテースト」を母方に入れるパターンも浮上してきました。

現3歳でクローバー賞(OP)を勝ったサクラベルは、サクラフローレスと同じく「サクラプレジデント×サクラバクシンオー」ですから、このパターンに当てはまります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100408/

現5歳のサクラローズマリー(スイートピーS-2着)は、母サクラヒーローが「サクラユタカオー×ノーザンテースト」です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101383/

これに、先週新馬戦を勝ち上がったサクラシオン、サクラフローレスが加わるわけですから、単なる偶然とは思えません。

「サクラユタカオー×ノーザンテースト」は有名なニックスで、サクラバクシンオー、サクラキャンドル、ダイナマイトダディ、トゥナンテ、システィーナ、エアジハード(2代母の父がノーザンテースト)といった活躍馬が続々と誕生しました。特別な何かがあるのでしょう。これは昨年11月26日のエントリー「サクラユタカオー死亡(後)」ですでに取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-8ef1.html

サクラプレジデントにはサクラ系の繁殖牝馬がたくさん付けられています。サクラユタカオーとサクラバクシンオーの父子、ローラローラとサクラローレルの母子、クレアーブリッジの牝系など、血統構成の材料は似通っているので、走った産駒は互いにどこかしら似た部分があります。サクラシオン、サクラフローレス、サクラベル、サクラローズマリー、サクラエルドールの5頭は、どれを組み合わせても血統構成が似ています。こうした配合からもし仮に優れた種牡馬が現れて、またそれをこれらの牝馬群に交配していくと、昔のドイツ血統やブサック血統のようなことになります。

2011年1月25日 (火)

体調どん底でも勝ったリベルタスは強い

■土曜京都の若駒S(OP・芝2000m)はディープインパクト産駒のリベルタス(1番人気)がクビ、アタマ差の接戦を制しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Ka2seyS-tOo

レース後、騎乗した福永騎手、管理した角居調教師が、口を揃えて状態面の悪さについて語りました。G1を使ったことによる反動なのでしょう。11月30日のエントリー「ディープインパクトの格上がり戦」において、新馬戦を使ったあとの反動の大きさについて記しました。http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html

ディープインパクト産駒は、目一杯に仕上げて好走した次のレースでは、反動が出やすいタイプなのかもしれませんね。ディープサウンドのホープフルSをはじめ、これまで敗因がよく分からない凡走がいくつかありましたが、それらはひょっとしたら前走の反動により目に見えない疲れが残っていたのかもしれません。まだ成長途上で身体が出来上がってないことも関係しているのではないでしょうか。

体調が整っていない状態でこれだけ走るわけですから、リベルタスの能力は信頼できますし強いと思います。クラシックが近づいてから調子が下降するよりも、いまのうちにどん底を通過しておくほうがいいでしょう。

■土曜中山の菜の花賞(3歳500万下・芝1600m)は1位入線のマヒナ(2番人気)が12着に降着となり、ヤマノラヴ(4番人気)が繰り上がって優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWeYhAelElE

注目は2着に繰り上がったアカンサス(3番人気)。ミルレーサー≒Gana Facil 2×4という組み合わせのクロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102889/

        ┌ Le Fabuleux
ミルレーサー ―┤ ┌ In Reality
        └○┘

        ┌ Le Fabuleux
Gana Facil ――┤ ┌ In Reality
        └○┘

Fappiano 系は In Reality とニックスの関係にあります。これは非常に有名なものなので覚えておいて損はないでしょう。Unbridled's Song の父 Unbridled はこのニックスを持ちます。アカンサスの父フジキセキは、In Reality を持っているのでこのニックスを継続します。そして、フジキセキの母ミルレーサーは、Unbridled の母 Gana Facil と同じ「Le Fabuleux×In Reality」。フジキセキと Unbridled 系を組み合わせてみるのはおもしろいでしょう。高い効果が得られる可能性があります。

■土曜小倉のかささぎ賞(3歳500万下・芝1200m)はエーシンヒットマン(1番人気)が逃げ切り勝ち。3馬身半差の楽勝で、1分07秒6というタイムも優秀。レースレコードです。http://www.youtube.com/watch?v=V6VfbSkwpcY

母エイシンヘーベは小倉2歳S(G3)の3着馬。もともと高いポテンシャルがあることに加えて、父キングカメハメハと相性のいい Tourbillon 系の My Babu を5×5で持ち、さらにこれも相性のいいサンデーサイレンスを持つわけですから、ケチをつけるところが見当たらないですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101274/

2011年1月24日 (月)

アメリカJCCはトーセンジョーダン

有馬記念好走組が人気に推されて飛ぶ、という光景を毎年のように目撃するレースですが、さすがに今年は◎トーセンジョーダン(1番人気)だろうと思いました。横綱相撲でしたね。これで重賞は2勝目。
http://www.youtube.com/watch?v=oPoi2bIeRVI

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単2840円、◎△▲で3連単18300円的中。『ウマニティ』は点数を絞ったため失敗しました。予想文を転載します。

「◎トーセンジョーダンは『ジャングルポケット×ノーザンテースト』という組み合わせ。クラフティワイフの牝系はトニービン系と絶好の相性を示しており、カンパニー、レニングラード、バトルバニヤンといった活躍馬もこのパターンにあてはまる。配合レベルはきわめて高い。好位につけて粘り強いという脚質はこのレース向きだろう。基本的には中距離タイプだと思われるので、ここ2走の2500mよりは今回の2200mのほうが条件はいい。有馬記念の反動は感じられない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/

予想文にも書いたとおり、本馬の2代母クラフティワイフはトニービン系と相性抜群です。

             ┌ トニービン
           ┌○┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
トーセンジョーダン ―┤ └○┘
           └ エヴリウィスパー(=ブリリアントベリー)

             ┌ トニービン
           ┌○┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
カンパニー ―――――┤ └○┘
           └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

           ┌ トニービン
レニングラード ―――┤
           └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

カンパニーとレニングラードの母ブリリアントベリーは、トーセンジョーダンの母エヴリウィスパーの全姉です。そして、3頭の父はいずれもトニービン系。

このような分かりやすいニックスを持っているので、トーセンジョーダンに関しては以前、某POGで指名していました。共同通信杯2着のあと、裂蹄で休養に入ったときは目の前が真っ暗になりましたが、いまから考えると無事だったとしてもクラシックではどうだったかなと思います。やはりこの血統は、カンパニーにしてもレニングラードにしてもそうですが、古馬になってから素質が開花する晩成型であり、トーセンジョーダンにもそうした傾向はあると思います。つまり、これからが旬なので、今年は本領発揮のサクセスストーリーを楽しむことができそうです。

父ジャングルポケットはスタミナ勝負に強いという特長がありますが、この馬は2000m前後を得意とする中距離型でしょう。同じ「ジャングルポケット×ノーザンテースト+Bold Ruler」のパターンから成るタスカータソルテに近いタイプですね。したがって、3200mの天皇賞・春に向いたタイプとは思えませんし、そこで◎を打つ気はありませんが、宝塚記念は楽しみですね。同世代のブエナビスタ、ナカヤマフェスタに加え、ヴィクトワールピサをはじめとするハイレベルな4歳世代にどう挑むのか、これは興味が尽きません。

2011年1月23日 (日)

Iffraaj と Park Appeal 牝系(後)

Iffraaj の血統で注目すべき点は、Park Appeal のファミリーに属することです。

 Park Appeal(f.1982.Ahonoora)チェヴァリーパークS(英G1)、他
  Pastorale(f.1988.Nureyev)
  │Kareymah(f.1996.Zafonic)カルヴァドス賞(仏G3)
  │Iffraaj(c.2001.Zafonic)パークS(英G2)[2回]、他
  アルヴォラ(f.1990.Sadler's Wells)
  │ディクタット(c.1995.ウォーニング)スプリントC(英G1)、他
  Cape Cross(c.1994.Green Desert)ロッキンジS(英G1)、他
  Vincennes(f.2004.King's Best)ケルン牝馬マイレ(独G3)

Park Appeal は現役時代、チェヴァリーパークS(英G1・芝6f)とモイグレアスタッドS(愛G1・芝6f)を制し、愛2歳牝馬のフリーハンデでトップにランクされた一流のスピード馬。その半姉に Desirable(チェヴァリーパークS)、半妹に Alydaress(愛オークス)がいるように、母 Balidaress の代からすでに名牝系と呼んで差し支えないのですが、そこから説き起こすと話が広がりすぎるので、Park Appeal 以降に話を絞ります。

この牝系から出た重要な馬は、Iffraaj のほかに、Cape Cross、ディクタットがいます。

Cape Cross は現役時代にG1を勝ったスピード馬でしたが、種牡馬としては期待をはるかに上回る成功を収め、09年のカルティエ賞年度代表馬 Sea the Stars や、04、06年の同年度代表馬 Ouija Board などを出しています。
http://www.pedigreequery.com/cape+cross

ディクタットは現役時代、スプリントC(英G1・芝6f)とモーリスドギース賞(仏G1・芝1300m)を勝ったほか、安田記念(G1)で2着という成績があり、種牡馬としても日本で2年間(08、09年)種付けを行いました。Dream Ahead(モルニ賞、ミドルパークS)と Rajeem(ファルマスS)が代表産駒。この2頭はいずれも「ディクタット×Cadeaux Genereux」という組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/diktat

Iffraaj は現役時代、パークS(英G2・芝7f)を2連覇したほか、レノックスS(英G2・芝7f)を4馬身差で圧勝しました。ただ、G1では2着が最高です。05年にスプリンターズS(G1)の選出馬となりましたが、出走を辞退しています。
http://www.pedigreequery.com/iffraaj

この3頭の牝祖 Park Appeal は、「Ahonoora×Balidar×シーホーク」という組み合わせで、The Phoenix 4×4という配合。主流から遠く離れた極上のアウトサイダー血統です。The Phoenix は日本ではライジングフレームの父として有名ですが、世界的にはメジャーとはいえません。Park Appeal は、非主流血脈で構成されながら高い能力を持つという点に価値があります。主流血統に対して大きなインパクトとなります。
http://www.pedigreequery.com/park+appeal

Iffraaj の特長として挙げられるのは堅い馬場への適性。現役時代、英ヨーク競馬場の芝6ハロンで、60キロを背負い1分08秒74というタイムを出しました。近親のディクタットは先に記したとおり安田記念2着馬で、Cape Cross 産駒の Ouija Board はジャパンC3着馬ですから、この牝系は日本向きの適性があるのではないかと思います。ただ、切れ味のあるタイプではないので1200~1400mがベストでしょう。

ちなみに Iffraaj とディクタットは単に近親というだけでなく、血統構成もよく似ています。

          ┌ Gone West(≒ウォーニング)
        ┌○┘
Iffraaj ――――┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
        └○┤
          └ Park Appeal

        ┌ ウォーニング(≒Gone West)
ディクタット ―┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
        └○┤
          └ Park Appeal

したがって成功パターンも似たようなものになるかもしれません。ディクタットが成功した Cadeaux Genereux 牝馬との交配はぜひ試してほしいものですね。残念ながら初年度にこのパターンは1頭もいませんでした。

Iffraaj 産駒はまだ日本で走っていませんが、いずれ入ってくるのは間違いないので、そのときは注目したいですね。

2011年1月22日 (土)

Iffraaj と Park Appeal 牝系(前)

昨年、ディープインパクトは新種牡馬の勝利数新記録を樹立しました。勝ち上がり頭数は、中央34頭、地方1頭で計35頭と、これも新記録です。従来の記録は03年にトワイニングが記録した34頭(中央10頭、地方24頭)でした。ただ、トワイニングの場合、日本にやってくる以前にアメリカで種牡馬生活を送っていたので、厳密な意味での新種牡馬というわけではありません。

世界に目を向けてみると、昨年、新種牡馬の勝ち上がり頭数ナンバーワンだったのは Iffraaj(父 Zafonic)。その数38頭。これはヨーロッパ繋養の新種牡馬としては新記録でした。
http://www.pedigreequery.com/iffraaj

Iffraaj は「イフラージ」と読みます。その語感から察するとおりダーレーグループの馬で、現在、モハメド殿下がアイルランドで所有するキルダンガンスタッドに繋養されています。2011年の種付料は15000ユーロ(約165万円)。昨年は6000ユーロだったので、初年度の成功を受けて一挙に2.5倍となりました。

代表産駒の Wootton Bassett は、昨年秋の凱旋門賞当日、ロンシャン競馬場で行われたジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1400m)を逃げ切りました。当日、現場で見ていたのですが、リズミカルなピッチ走法でスイスイと走る姿が印象的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=raN_FsHh7Qg

それまで4戦全勝ながら一般戦での出走経験しかなく、しかもイギリスからの遠征馬とあって力関係が把握できず、4番人気と伏兵の1頭に過ぎませんでした。Iffraaj の評判はその時点で鳴り響いていましたが、大物を出したというニュースは耳にしていなかったので、勝ち上がりだけ得意なスピードタイプかもしれないとタカを括って馬券から外したところ、鮮やかに勝たれてしまい、凱旋門賞の軍資金を減らしてしまったという苦い記憶があります。
http://www.youtube.com/watch?v=raN_FsHh7Qg
http://www.pedigreequery.com/wootton+bassett

それはともかく、この勝利がモノをいって、2010年の全欧2歳種牡馬ランキング(英愛仏伊独の獲得賞金)では Galileo に次ぐ第2位でした。繁殖牝馬の質が低いなかでのこの成績ですから、能力は高いと思います。もっとも、あくまでも2歳戦に限った成績なので、成長力についてはこれから試されることになります。Wootton Bassett のほかには、10月に仏ドーヴィル競馬場で行われたレゼルヴォワール賞(G3・芝1600m)を Espirita が勝っています。(続く)
http://www.pedigreequery.com/espirita6

2011年1月21日 (金)

ザッツザプレンティ乗馬に

03年の菊花賞馬ザッツザプレンティが種牡馬引退となり、乗馬となることが決定したそうです。

菊花賞のレースぶりは素晴らしいものでした。この馬のスタミナを信頼した安藤勝己騎手は、2周目の3コーナーで自ら動いて早めに先頭に立ち、後続になし崩しに脚を使わせてそのまま押し切りました。瞬発力勝負となることを封じるために、スタミナにものをいわせて自らレースを作っていくという、ステイヤーの乗り方としては完璧なものだったと思います。それに応えたザッツザプレンティも見事でした。
http://www.youtube.com/watch?v=KCZE87fe7Zw

配合の構成はバブルガムフェロー(天皇賞・秋、朝日杯3歳S)とよく似ています。ただ、バブルガムフェローもザッツザプレンティも、種牡馬としてはスピードが足りません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000101398/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109219/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
ザッツザプレンティ ―┤
           └○┐
             └ バブルカンパニー

           ┌ サンデーサイレンス
バブルガムフェロー ―┤
           └ バブルカンパニー

たとえステイヤーであっても、産駒が走れば重宝されます。スピード血統ばかりが重用される感のあるアメリカでは、そのイメージとは裏腹に、世界各地からさまざまなスタミナ血統が導入され、Princequillo、Ribot、Herbager などが成功を収めました。スタミナを伝えるこれらの種牡馬は、アメリカのスピード血脈とうまく結びついて多くの一流馬を送り出しました。優秀であれば距離適性がどうであろうと成功し、生産者はその血を求めます。スタミナ血統として貴重だから、という理由で冴えない種牡馬に繁殖牝馬が集まることはまずありません。競争原理と市場原理が貫く生産界では当然のことです。

ザッツザプレンティはこれまで2世代がデビューし、JRAで勝ち上がったのが2頭だけで、2勝馬はゼロ。この成績では……。同じくダンスインザダークを父に持つ菊花賞馬デルタブルースは、古馬になってからオーストラリアに遠征してメルボルンC(G1)を制したのですが、結局、種牡馬にすらなれませんでした。それに比べればまだ恵まれているのかもしれません。今後はノーザンホースパークで乗馬となるようです。

2011年1月19日 (水)

ディープインパクト産駒の買いどころは基本的にマイル以上

■日曜京都3R・未勝利戦(ダ1400m)はノーザンリバー(2番人気)が8馬身差で楽勝。初ダートで後続をちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=uLcIGocfO_g

昨年9月デビュー戦(札幌芝1500m)がレーヴディソールの2着で、暮れに走った2戦目(阪神芝1600m)は休み明けで3着ですから、芝がダメというわけではありません。

全姉にダートOPのルミナスポイント、全兄に芝の重賞戦線で頑張ったノットアローンがいるので、芝・ダート兼用タイプでしょう。母ソニンクは名繁殖牝馬ですね。このほかアコースティクス(ロジユニヴァースの母)、モンローブロンド(ファンタジーS-2着)、ランフォルセ(ダートOP)などを出しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103212/

2代母 Sonic Lady は現役時代、ムーランドロンシャン賞(仏G1)、サセックスS(英G1)、愛1000ギニー(愛G1)を勝ったマイルの名牝。1歳下の Miesque があまりにも凄かったのでその存在が霞みがちですが、80年代後半のヨーロッパでは Nureyev 牝馬の二枚看板、といった感がありました。

Sonic Lady は13歳の若さで死亡し、牝馬を2頭しか産まなかったので、その血を受け継ぐファミリーは貴重です。これまで次女ソニンクを経由したものしか見たことがなかったのですが、昨年の愛オークス(G1)3着馬 Lady Lupus は、Sonic Lady の長女 Lady Icarus から出たラインだったので目を惹きました。
http://www.pedigreequery.com/lady+lupus

ソニンクはこれだけ走る馬を出しているのに、重賞を勝った子はいません。ノーザンリバーはよさそうです。アグネスタキオン産駒はなんだかんだいいながら今年は駒が豊富ですね。レーヴディソール、レッドデイヴィス、デボネア、ショウナンパルフェ……。脚もとのトラブルに見舞われる子がいないのも特徴です。

■日曜京都9Rの紅梅S(3歳OP)は、キングカメハメハ産駒のモアグレイス(5番人気)とシナル(6番人気)がワンツーフィニッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=XBXNoIZZjpc
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102959/

最初の3ハロン36秒4は、98年に創設された紅梅Sのレース史上、2番目に遅い通過タイム。しかも、京都芝は土曜日から前が止まらないコンディション。序盤の1~5番手がそのまま1~5着に流れ込みました。力量を反映したレースであったかは疑わしい面もあります。

ただ、モアグレイスの前走、12月26日の2歳500万下(阪神・芝1600m)は、レベルの高いレースだったようで、1位入線から10着降着となったレッドデイヴィスはシンザン記念(G3)を、4着ニジブルームは500万下を、モアグレイスは紅梅Sを勝ちました。このレースに出走した馬は今後も要注意ですね。

キングカメハメハ産駒は一般的に、内回りよりも外回りを得意としているのですが、京都芝1400mに関しては、内回りが連対率31.4%と走っているのに対し、外回りはなぜか10回走って連対ゼロでした。今回、1、2着を占めたので数字の帳尻が合ってきましたね。この条件が合わないということはないと思います。

ディープインパクト産駒のケイティーズジェム(1番人気)は4着、リトルダーリン(4番人気)は11着。ディープインパクト産駒は、秋の中央開催に入ってから勝ち星を挙げるペースが上がってきたように、基本的にはマイル以上に向くタイプだと思います。マイル未満で走った産駒は、適性よりも能力が上回った場合か、母方の適性が強く出た場合でしょう。

昨年1月18日のエントリー「京都芝1400mはダート血統OK」のなかで、京都芝1400mではサンデー系の成績がいまひとつ、という話を書きました。芝1400mは緩急がいらないので、一本調子の、それこそダートもこなせるようなタイプが台頭している、という話です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/

そのなかで、主なサンデー系種牡馬の京都芝1400mと芝1600mにおける連対率を示したのですが、新しく何頭かの種牡馬を加えて最新の表を作ってみました。

           芝1400  芝1600
ディープイパクト   12.5%  45.2%★
アグネスタキオン   15.6%  29.9%
サンデーサイレンス  21.1%  25.5%
マンハッタンカフェ  15.4%  18.8%
フジキセキ      21.5%  18.1%☆
ダンスインザダーク  16.5%  16.6%
スペシャルウィーク  10.0%  15.8%
ネオユニヴァース    8.3%  15.3%
ゼンノロブロイ    14.3%  11.5%☆
ステイゴールド     8.9%  10.3%

芝1400>芝1600は、フジキセキとゼンノロブロイだけです。フジキセキはサンデー産駒の膨大な数にのぼる種牡馬のなかで、唯一、芝1200mのG1で連対馬を送っている(キンシャサノキセキ、ファイングレイン)ように、緩急のないスピードレースにも適性を見せています。そういう意味でもサンデー系の主要種牡馬のなかでは異質といえるでしょう。

ディープインパクトは京都芝1400mで12.5%、芝1600mで45.2%。まだサンプルは少ないのですが、芝1600>芝1400というサンデー系の傾向を強く反映したタイプです。紅梅Sは向いた条件とはいえませんでした。

ケイティーズジェムに騎乗した福永祐一騎手は「この距離は忙しい感じがする」(週刊競馬ブック)と語っています。リトルダーリンはゲートの出が遅く、序盤の位置取り争いに敗れて後方に下がってしまったので、今回は参考外のレース。次走、1600m以上のレースに出てくれば、人気も下がっているので狙い目です。

2011年1月18日 (火)

リスポリ騎手の鬼追いで快勝、タガノリベラノ

■土曜京都3R・新馬戦(ダ1800m)は◎タガノリベラノ(3番人気)が差し切りました。3コーナーで激しく手が動き始め、4コーナーでは先頭集団から置かれかけたのですが、直線でグングン盛り返して逆転V。あまり見たことがない勝ち方でした。来日して以来好プレーが目立つリスポリ騎手、追えますね~。
http://www.youtube.com/watch?v=7c82soS0S04

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単13480円、◎△○で3連単52390円的中。予想文を転載します。

「◎タガノリベラノは『マンハッタンカフェ×ルビアノ』。これはマンハッタンカフェ産駒で最もダートに強いエーシンモアオバー(エルムS-3着)と同じ組み合わせ。ルビアノはミスタープロスペクターとニジンスキーを併せ持つが、こうした血はマンハッタンカフェときわめて相性がいい。また、母リベラノはジャングルポケットの半姉なので、アプリコットフィズ(父がジャングルポケットで母がマンハッタンカフェの全妹)と配合構造がよく似ている。ポテンシャルは高そうだ。牡馬相手でもやれるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102295/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

           ┌マンハッタンカフェ(=マンハッタンフィズ)
タガノリベラノ ―――┤
           └○┐
             └ Skillful Joy

           ┌○┐
           │ └○┐
アプリコットフィズ ―┤   └ Skillful Joy
           └ マンハッタンフィズ(=マンハッタンカフェ)

予想文にあるややこしい説明を表にすると上のようになります。いずれ出てくるであろう「ジャングルポケット×マンハッタンカフェ」「マンハッタンカフェ×ジャングルポケット」が楽しみです。

タガノリベラノは今回リスポリ騎手の腕で持ってきた感がありますが、ズブい気性をなんとかしないと昇級して苦しむ可能性がありますね。能力はあると思いますが。

■土曜京都6R・新馬戦(芝1600m)は▲ナムラカメーリア(5番人気)が逃げ切り勝ち。首が高い独特のフォームで、直線の走りを見ているとちょっと気性が難しいのかなという気も……。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲○で馬連2480円的中。
http://www.youtube.com/watch?v=vZGNbyxFKOE

父ネオユニヴァースはこれまでにヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、アンライバルドなどを送り出しています。母ベストタッセルドは「King's Best×Tate Gallery」ですから、「King's Best×Sadler's Wells」の Workforce(凱旋門賞、英ダービー)、コスモメドウ(万葉S)とよく似た構成です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106123/

          ┌ King's Best
ベストタッセルド ―┤ ┌ Tate Gallery(=Sadler's Wells)
          └○┘

          ┌ King's Best
Workforce ―――――┤ ┌ Sadler's Wells(=Tate Gallery)
          └○┘

King's Best 産駒はこのパターンがよく成功しています。Workforce のほかにも、King's Apostle、Creachadoir、Spice Route といった主だった活躍馬が母方に Sadler's Wells を持ちます。

好相性の鍵は Nureyev≒Sadler's Wells という4分の3同血クロス。ただ、同じ Kingmanbo 系の種牡馬でも、キングカメハメハの場合はイマイチ効果が薄いですね。同じクロスであっても、種牡馬によって成功したりイマイチだったりするので、このあたりはよく傾向を把握する必要があります。

ネオユニヴァースの子としてはやや配合が重いのではないか、という懸念があったのですが、ピリピリとした気性でズブさを解消しているのかもしれません。

2011年1月17日 (月)

京成杯はフェイトフルウォー

■京成杯(G3・芝2000m)はフェイトフルウォー(2番人気)がハナ差勝利。行きっぷりを良くするためにハミを換えて臨んだことが功を奏しました。テンに行けなかったこれまでのレースぶりから一転して好位につけられたことが勝因でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=3boBSUVuWZ0

1着から6着までのうち、2着の△デボネア(8番人気)を除けばすべてホープフルS組。つまり、今回の京成杯は、終わってみればホープフルSの敗者復活戦でした。同レースで後続を3馬身ちぎって1、2着となったベルシャザールとナカヤマナイトは相当強いというわけです。

予想のほうは、先行有利のレースで後方に控えたら厳しいだろうと考えてフェイトフルウォーをあえて無印に落とし、15着と惨敗したコウヨウレジェンド(5番人気)に本命を打っているのですから、う~む、言い訳のしようのない完敗です……。

フェイトフルウォーについては、昨年11月20日のエントリー「東京スポーツ杯2歳Sの展望……ではないですが」でちょっと触れています。その部分を引用します。

「フェイトフルウォーは『ステイゴールド×メジロマックイーン』。この組み合わせは過去にドリームジャーニーを含めて4頭がデビューし、すべて新馬戦を勝ち上がっています。

ステイゴールド産駒は晩成の傾向が見られ、新馬戦ではむしろ買いづらいタイプ。それで初戦からこれだけ走るのですからニックスといえます。

過去、新馬戦に出走した『母の父メジロマックイーン』は62頭おり、そのうち勝ち上がったのは5頭しかいないのですが、うち4頭がステイゴールド産駒。この組み合わせの優秀さが分かります。

この4頭にはもうひとつ、“2代母の父が Northern Dancer の息子”という共通点があります(つまり Northern Dancer 5×4)。父がメジロマックイーンで母の父が Northern Dancer の息子、という配合の繁殖牝馬がいたら、とりあえずステイゴールドを付けておけば走りそうな気がします。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-daee.html

「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせは、先週のシンザン記念(G3)でオルフェーヴルが2着となったばかり。上の引用箇所にもあるとおり、すでにドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)が出ていますから、JRAで走った4頭中2頭が重賞を勝ち、3頭が重賞で連対を果たしたことになります。強烈なニックスです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102708/

2着デボネアは昨年暮れの小倉未勝利戦(芝2000m)をレコードで勝って臨んできました。同じく小倉未勝利戦(芝2000m)をレコードで勝ったコスモヘイガーは先週の福寿草特別(500万下)を人気薄で勝利。小倉レコード組もレベルが高いということでしょう。

■日経新春杯(G2・芝2400m)は◎ルーラーシップ(2番人気)が好位から抜け出して完勝。
http://www.youtube.com/watch?v=oaqoWZWXLYA

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎▲で馬単1660円、◎▲○で3連単3250円的中。予想文を転載します。

「◎ルーラーシップは『キングカメハメハ×トニービン』という組み合わせ。母エアグルーヴは現役時代に年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴやフォゲッタブルを出しておりきわめて優秀。父母ともにサンデーを持たない配合としてはこれ以上望めないレベルにある。トビの大きい豪快なフットワークなので、伸び伸び走れる外回りの芝2400mという舞台は合っている。逃げ馬不在でおそらくスローな流れ。疝痛明けのローズキングダムに1.5キロもらってヨーイドンなら負けないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103143/

○ローズキングダム(1番人気)は最後よく2着に迫ったと思います。ペースが上がったときにモタついたのは斤量のせいでしょう。他馬と比べて背負っている分、機敏なギアチェンジができないのは仕方ありません。中間順調さを欠きながらこの競馬ですからやはり力があると思いました。

ただ、4歳牡馬のキンカメ三銃士(ローズキングダム、ルーラーシップ、トゥザグローリー)のなかで、今年、どれが最も活躍するかとなると、ローズキングダムと決めつけることはできないと思います。ルーラー、トゥザも成長しているので、もうこの3頭の実力差はほとんどないような気もします。

ルーラーシップの今後の予定についてですが、春の天皇賞は距離が長いため出走せず、海外遠征を含めて検討していくと角居勝彦調教師が語っています。同厩のヴィクトワールピサと一緒にドバイ遠征でしょうか。

2011年1月16日 (日)

Kauto Star、キングジョージ6世チェイス5連覇ならず

イギリスの障害G1、キングジョージ6世チェイス(3マイル)を4連覇中の Kauto Star(セン馬・11歳)が、1月15日にケンプトン競馬場で行われた同レースで5連覇に挑んだものの、3着に敗れました。主戦ジョッキーが負傷のため乗れず、今回は障害騎手界のスーパースター、トニー・マッコイ騎手と初めてコンビを組むことでも注目されましたが、力が及びませんでした。
http://www.youtube.com/watch?v=gyrDyNidn3g

もともと同レースは昨年末に行われる予定でしたが、ヨーロッパを襲った寒波の影響により二度延期。その影響があったのかなかったのかは分かりません。最後から2番目の障害を飛越したときに、バランスを崩して落馬寸前となり、この影響で2番手から3番手にポジションを下げてしまいました。勝ったのは2番人気の Long Run。これは完勝でした。

Kauto Star は04年秋に出生地のフランスからイギリスへ移籍。それ以降、前走まで25戦を消化し、3回の落馬を除けばすべて1、2着を続けてきた生ける伝説です。今回は3着だったので、イギリスで完走したレースでは初めて連対を外したことになります。

Kauto Star の配合は大胆でおもしろいですね。Mill Reef 3×3、Glitter≒Kautokeino 2×3です。
http://www.pedigreequery.com/kauto+star

         ┌ Tantieme
       ┌○┤
Glitter ―――┤ └ Relance
       │ ┌ Aureole
       └○┘

           ┌ Tantieme
         ┌○┘
       ┌○┤
Kautokeino ―┤ └ Relance
       │ ┌ Aureole
       └○┘

スピードの要素がどこにも入っていないところが障害血統らしさといえるでしょうか? 父 Village Star の平地における代表産駒の1頭 Henry the Fifth は、Mill Reef 3×3、Relance≒Relko 3×4ですから、Kauto Star と配合構成が酷似しています。ひょっとしたらこの配合を参考にして Kauto Star を作ったのかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/henry+the+fifth

2011年1月12日 (水)

ダ1200m新馬戦はマンハッタンカフェ産駒が狙い目

3日間開催に組まれた新馬戦は8レース。1番人気馬はひとつも勝てず、7番人気以下が4頭勝ち、そのうちの2頭は二桁人気でした。荒れに荒れました。昨年の正月3日間開催は堅すぎるぐらい堅かったのですが。

土曜 中山4R・新馬戦(ダ1200m)
     コンノート(父キングカメハメハ/4番人気)
   京都4R・新馬戦(ダ1800m)
     サングップ(父ブラックタキシード/3番人気)

日曜 中山6R・新馬戦(芝1600m)
     テキサスルビー(父スペシャルウィーク/4番人気)
   京都4R・新馬戦(ダ1200m)
     メイショウマシュウ(父アドマイヤマックス/11番人気)
   京都6R・新馬戦(芝1600m)
     ウアジェト(父シンボリクリスエス/7番人気)

月曜 中山4R・新馬戦(ダ1200m)
     カナエチャン(父マンハッタンカフェ/7番人気)
   中山6R・新馬戦(ダ1800m)
     ヒラボクマジック(父アグネスデジタル/2番人気)
   京都3R・新馬戦(ダ1400m)
     マックスシャルビー(父マヤノトップガン/12番人気)

新馬戦の予想は、想定メンバーが確定した木曜日の夜に七割ぐらい終わっています。配合のみを見て本命馬を決め、簡単な予想文も書きます。調教は見ていないので、出走前日に調教資料を見て、数字に納得が行かなければ◎を変更することもあります。いくら配合が良くても調教が酷ければ走りません。

月曜中山4R(ダ1200m)を快勝したカナエチャンは、じつは想定段階で◎でした。調教が平凡だったため、日和って▲に落としてしまったのが失敗でした。もっとも、2着ファインセンス(10番人気)が無印だったので、どのみち不的中でしたが。
http://www.youtube.com/watch?v=54INGA8mROU

当初、◎に推した根拠の柱は“マンハッタンカフェ産駒のダ1200m新馬戦における強さ”です。レース前までこの条件の連対率は50%(8戦4連対)。新たにカナエチャンが勝ったため、数字は55.6%(9戦5連対)に上がりました。

マンハッタンカフェ産駒は、基本的に芝の1800mぐらいがいいタイプで、これに母方の影響が加わって距離や馬場の適性が変わってきます。ダートも決して不得手ではなく、連対率のみを比べれば芝を上回っているのですが、データをよく見ると下級条件で数字を稼いでおり、OPや重賞クラスまで出世する産駒はエイシンモアオバーなどごくわずかです。

一般的に、マンハッタンカフェ産駒を新馬に下ろす場合、芝1400~1800mあたりが最適でしょう。ダ1200mを使うのはその条件で十分戦えるという見込みがあるからだと思います。カナエチャンは「マンハッタンカフェ×Horatius」という組み合わせ。母の父 Horatius は Safely Kept(BCスプリント)の父でダート向きのスピードを伝えます。その父 Proudest Roman は本邦輸入種牡馬ブレイヴェストローマンの全兄。このあたりの影響が調教段階から表れていたのでしょう。時計は平凡でしたがレースぶりは完勝でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101997/

2011年1月11日 (火)

フェアリーSはダンスファンタジア

暮れの阪神ジュベナイルフィリーズでは引っ掛かって惨敗した▲ダンスファンタジア(1番人気)が、前に馬を置いてしっかりと折り合い、直線で楽々と抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=hRvJZ4tZa6I

前走はレース前からテンションが高かったのですが、今回はそんなところを見せず落ち着いていました。5ハロン通過が57秒1というハイペースも良かったのでしょう。

昨年のフェアリーSは、5ハロン通過が56秒8とさらに速かったのですが、これはカホマックスが大逃げを打って記録したものなので、後続馬群はそれほどのハイペースではありませんでした。今年は後続馬群が付いてきていたので、どの馬にとっても厳しいラップだったと思います。その流れのなか、他馬とは1頭だけ違う手応えで完勝したのですから、地力の違いは歴然としていました。優れたハイペース耐性はクラシックの厳しい流れでも活きるでしょう。『赤本』のクロスレビューでは、「父の関係で一定の限界があるかもしれないが、配合は良好なのでG3ぐらいなら獲れるかも」と論評しました。今回のレースぶりを見るともう少し上を狙えそうですね。

この流れを作り出した◎イングリッド(3番人気)は、出負けしたあと引っ掛かり、途中で横山典弘騎手が抑えるのを諦めて行かせました。ちょうど、阪神ジュベナイルフィリーズのダンスファンタジアのようなレースでしたね。直線では勝負そのものを諦めて追うのを止めました。参考外のレースです。

シンザン記念で引っ掛かったドナウブルーと今回のイングリッドはいずれもディープインパクト産駒。牝の同産駒は気性的に難しいところが出やすいのでしょうか?

ダンスファンタジアの母ダンスインザムードは、桜花賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)などを勝った名牝で、繁殖牝馬としてもいきなりこれですから、かなりの器であるのは間違いないでしょう。現2歳はシンボリクリスエスの牡、現1歳はチチカステナンゴの牡。いずれの父もPOGでは指名しづらいのですが、それなりの評価は当然必要でしょうね。

勝ったダンスファンタジアも、2着△スピードリッパー(7番人気)も、「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。後者はポップロックの半妹ですから、1、2着馬ともにポテンシャルの高いファミリーから誕生しています。「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」は中山適性が低い、という特徴があるため、積極的に買いたい気分にはなれなかったのですが、一般的な傾向に過ぎないデータを重視するあまり、個々の器を軽視してしまったのは失敗でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102910/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103322/

2011年1月10日 (月)

シンザン記念はレッドデイヴィス

先日、根岸へ行った際、馬の博物館の脇に五冠馬シンザンの銅像があったので、初詣気分でポンポンと柏手を打ちながら「シンザン記念お願いします」と拝んだのですが、効果ありませんでした(笑)。

勝ったレッドデイヴィス(7番人気)は、レース前の評価は低かったものの、内容は良かったと思います。昨年のガルボぐらいの力はありそうですね。勝ちタイム1分34秒0はレースレコード。
http://www.youtube.com/watch?v=WQpvgV0aDtM

前走は1位入線したものの、直線で大きく外にヨレて降着処分(10着)を受けています。セン馬でもあるので、気性面が難しい馬なのかな? という懸念があり、印が打ちづらかったのですが、今回はスムーズな競馬で突き抜けました。3歳のこの時期にセン馬が重賞を勝った例は記憶にありません。

菊花賞(G1)とメルボルンC(G1)を勝ったデルタブルース(父ダンスインザダーク)は、母ディクシージャズの半弟にあたります。5年前のPOGで、デルタブルースの半弟にあたるキングオブブルース(父アグネスタキオン)という馬を2位指名しました。脚もとの弱い馬で、ダービー週にようやくデビューに漕ぎ着けたものの、1戦0勝で引退しました。レッドデイヴィスはキングオブブルースの4分の3同血馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103235/

           ┌ アグネスタキオン(その父SS)
レッドデイヴィス ――┤
           └○┐
             └ ディクシースプラッシュ

           ┌ アグネスタキオン(その父SS)
キングオブブルース ―┤
           └ ディクシースプラッシュ

           ┌ ダンスインザダーク(その父SS)
デルタブルース ―――┤
           └ ディクシースプラッシュ

父アグネスタキオンは素軽さと瞬発力が武器。大レースを勝つには底力の補充が必要で、母方にはヨーロッパの重厚な血を入れたいところ。底力血脈の代表格である Ribot 系は悪くなく、このパターンからディープスカイ、サンライズプリンス、ダイワワイルドボア、レインボーペガサス、アドマイヤメジャーといった活躍馬が出ています。今回、レッドデイヴィスが走ったことで、この牝系がアグネスタキオンと合うことが証明されたと思います。Halo≒Sir Ivor 3×5もいいですね。ちなみに、レッドデイヴィスはセン馬なので、クラシックへの出走権がありません。

◎ドナウブルー(1番人気)は5着。理由は分かりませんが気負っていました。前半掛かってしまったのがすべてです。あれでは伸びません。

2011年1月 9日 (日)

ターゲットマシン視界良好

土曜中山の寒竹賞(3歳500万下・芝2000m)はターゲットマシン(2番人気)が豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=V4ilqgrHIYo

鞍上の田中勝春騎手は、ゴールを駆け抜けたあと、こぼれる笑いを抑えきれないといった表情でしたね。たぶんクラシックの皮算用でもしていたのでしょう(笑)。大出遅れをものともせず差し切った初戦は、モノの違いを強烈に印象づけるものでした。今回は上手にゲートを出て好位でレースを進めるという常識にかかる内容。坂を上がってからの迫力ある伸びに一瞬父の姿がダブりました。

母ハンターズマークはキングカメハメハの半姉。母の父 Titus Livius は「Machiavellian×Be My Guest×Mill Reef」ですから、血統的には中距離を走ってもおかしくないのですが、現役時代はスプリンターとして活躍しました。ディープインパクト産駒は、母の父がスプリンターであっても無理なく消化してしまい、フットワークの鋭さに転化してしまうという懐の深さがあります。たとえばドナウブルーなどもそうです。スプリンターは往々にしてガッチリとした体型で筋力があり、回転の速いフットワークを伝えます。小柄でしなやかでトビが大きいディープインパクトに足りない要素です。スプリンターとの組み合わせは足りないものを補完できるのでしょう。ターゲットマシン自身は中距離タイプ。マンファスの牝系はやはり侮れない活力を伝えます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102935/

「栗山ノート」のディープインパクトの項では、トライマイベスト(=El Gran Senor)-ラストタイクーンのラインを持つ馬を3頭取ってみたのですが、ターゲットマシンは取り逃しました。Titus Livius がどうなのかという気持ちがありました。母方にラストタイクーンを持つ馬で最も期待を掛けていたレッドディアーナ(母ケイウーマン)は、どうやら肺の感染症で死んでしまったようです。馬体も配合も素晴らしく、間違いなく大物だったと思います。合掌。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/

2011年1月 7日 (金)

デルマドゥルガーを侮るべからず

■水曜京都6R・新馬戦(芝2000m)は▲アドマイヤパーシア(2番人気)がインから鋭く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=h--xSqzv77Q

「ゼンノロブロイ×フレンチデピュティ」ですからアニメイトバイオ(ローズS)と同じ。ゼンノロブロイ産駒は新馬戦に強いタイプとはいえないので本命は打てなかったのですが、素質の高さが父の適性を凌駕しましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103371/

ゼンノロブロイ産駒はこれで芝2000mの新馬戦で連対率30.8%となりました。これはなかなかのものです。1、2番人気に推された4頭は全勝、それ以外は全敗という結果(13戦4勝)なので、人気馬は信頼できるという傾向が出ています。2代母ハッピートレイルズにしっかりとヨーロッパ血統が入るのはいいですね。ゼンノロブロイはアメリカ血統が強いので、産駒が芝向きの大物となるには、ヨーロッパ血統のサポートが不可欠です。同じ「ロブロイ×フレンチ」のアソルータという牝馬をPOGで指名しているのですが、まだ出てきません……。

◎ヴイブラッド(3番人気)は4着。距離を短縮したほうがいいかもしれません。

■水曜中山6R・新馬戦(芝2000m)は▲テラノコブラ(2番人気)が逃げ切り勝ちを収めました。
http://www.youtube.com/watch?v=Py0oy_2x7G8

1月3日のエントリーで取り上げた「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」という組み合わせ。この配合は芝2000mの新馬戦で連対率44.4%と走ります。この一族は平坦向きの特徴をうっすらと伝えているので、ローカルならさらに強いかも?
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103006/

1月5日のエントリーで取り上げた◎カラータイマー(1番人気)は3着。直線で進路が開かず不本意な競馬でした。スムーズにレースを運べていたら勝っていたような気がします。

■水曜中山9R・ジュニアC(2歳OP・芝1600m)はデルマドゥルガー(2番人気)が差し切り勝ち。大外をマクってねじ伏せたのですから強かったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=ZV0wJ-8-nqE

新種牡馬リンカーンの子は成績が芳しくありません。一言でいってスピード不足です。新馬戦では連対率2.1%(48戦1連対)ですから仕上がりも遅いほうでしょう。本馬は母方にスピード豊かな Mr.Prospector と Danzig が入る効果なのか、リンカーン産駒にしてはシャキッとしています。叩いて良さが出てきたようでこれが9戦目のレースでした。1戦ごとに成長しており、Sadler's Wells や Roberto といった底力のある血を抱えているのも怖いですね。こういう泥臭い雑草タイプは要注意。父リンカーンは打率こそ極度に低いもののホームランを打てるタイプかもしれません。基本的には小回り向きでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106038/

2011年1月 6日 (木)

京都金杯はシルポート

いつの年でしたか、新年初日の競馬で、第1Rから第10Rまで連続して当たり続けたことがありました。「今年は全レース当たり続けるんじゃないか?」と怖くなりました(笑)。

「TARGET frontier JV」で調べてみたところ、88年の第1回中山初日でした。この時代は3連単はおろか馬連すらなく、枠連中心だったので馬券の難易度は低かったですね。枠連の配当は以下の通り。

第1R  880円
第2R  450円
第3R 1150円
第4R 1420円
第5R 1050円
第6R  480円
第7R 1150円
第8R  430円
第9R  720円
第10R  470円

あらためて見ると当たって当然のレースばかり。結局、この日はメインレースと最終レースで連敗し、ぜんぜん儲かりませんでした。競馬は詰めが甘いとダメです。

さて、2011年の新年一発目。勝負レースにピックアップした京都金杯(G3・芝1600m)は詰めが甘くて不的中。残念……。

◎ガルボ(3番人気)は自信の本命馬。そして、期待どおり2着を確保してくれました。しかし、勝ったシルポート(7番人気)は無印。マイル戦で57キロを背負ったら厳しいのでは……という気がしていたのですが、気分よくマイペースで逃げられてしまいましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005109202/

「ホワイトマズル×サンデーサイレンス」は、すでにアサクサキングス、シャドウゲイト、シンゲンという重賞勝ち馬を出しています。この組み合わせはニックスでしょう。ホワイトマズル産駒は切れる脚がないので、先に行って粘ったほうが味が出ます。

ホワイトマズルの父ダンシングブレーヴは、母の父に Drone を持ち、これがサンデーサイレンスの父 Halo と相似な血の関係にあります。このニックスについては昨年11月9日、10日のエントリーをご参照くださいませ。

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

もうひとつの重賞、中山金杯(G3・芝2000m)はコスモファントム(1番人気)が抜け出しました。強い4歳世代に属し、前走負けた相手が有馬記念3着のトゥザグローリーですから、ここでは力が一枚上でした。

配合的にはいいとも悪いとも評価しづらい馬です。父 Stephen Got Even はアメリカのダートホース、母 Southern House は伊1000ギニー(G2・芝1600m)の2着馬。母の父 Paris House は芝のスプリンター。この馬の血統表を眺めると、知らない言語を目の前にした翻訳者のような気分になります。正直なところよく分かりません。戦績を見ると、どんな条件でもこなしてしまうオールマイティータイプ。それが長所でもあり短所でもあるような気がします。距離や馬場がどうであろうと好走する反面、相手が強化されると、その条件のスペシャリストに後れをとる、というのがオールマイティータイプの典型的なパターンです。はたしてこの馬はどうでしょうか?
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110012/

騎乗した松岡正海騎手は初日に3勝の固め打ち。今年は怪我さえなければリーディングジョッキーになるのではないかと思います。

2011年1月 1日 (土)

東京2歳優駿牝馬はクラーベセクレタ

大晦日に大井競馬場で行われた東京2歳優駿牝馬(ダ1600m)は、地方競馬における2歳牝馬チャンピオン決定戦です。今年から全国交流競走として生まれ変わったため、南関東4場以外から、兵庫2頭、笠松1頭の参戦がありました。

勝ったのは船橋のクラーベセクレタ(2番人気)。2番手追走から直線半ばで豪快に抜け出し、後続に3馬身差をつける完勝でした。ホッカイドウ競馬からの転厩初戦で、重賞は3勝目。地方所属馬ながら生産牧場はノーザンファーム、馬主はサンデーレーシングです。
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/TodayRaceInfo/RaceMarkTable?k_raceDate=2010%2f12%2f31&k_raceNo=10&k_babaCode=20

父ワイルドラッシュは、トランセンド(ジャパンCダート、みやこS、レパードS)、クリールパッション(エルムS)、ブラウンワイルド(小倉2歳S)、ティアップワイルド(カペラS-2着)などの活躍で、このところ俄然存在感を主張しはじめた感があります。

2代母リボーズシークレットは四冠馬ナリタブライアンとよく似た、いかにも底力あふれる血で構成されているのが特長。それに注目し、産駒のテオフィルス(父サンデーサイレンス)という馬をPOGで取ったことがあるのですが、決め手がいまひとつでした。母シークレットルーム(父タイキシャトル)もそれと似たようなタイプです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103178/

本馬は Drone≒Halo 4×4が素軽さを与えているものの、全体的にパワー型の血で構成されており、Plugged Nickle≒Razyana 3×4もちょっと重いですね。

           ┌ Graustark(=His Majesty)
         ┌○┘
Plugged Nickle ―┤ ┌ Buckpasser
         └○┘

         ┌ His Majesty(=Graustark)
Razyana ―――――┤ ┌ Buckpasser
         └○┘

昨年夏に中央の芝レースで2戦して着外に終わっているとおり、ダート向きのパワーに秀でたタイプです。Graustark≒His Majesty 5×5は、クリールパッションの Graustark 5×4を連想させます。底力がありそうなので大レースでも位負けすることはなさそうです。

2010年12月31日 (金)

Hyperion とウォルター・オルストン(3)

次に、Hampton は、Bay Ronald、Ayrshire などの父、Polymelus、Persimmon などの母の父です。重要なのは Tristan と相似な血であることです。
http://www.pedigreequery.com/hampton
http://www.pedigreequery.com/tristan

       ┌ Newminster
     ┌○┘ ┌ Rataplan(=Stockwell)
Hampton ―┤ ┌○┘ ┌ Liverpool
     └○┤ ┌○┘
       └○┤
         └ Queen Mary

       ┌ Newminster
     ┌○┘
Tristan ―┤ ┌ Stockwell(=Rataplan)
     └○┤   ┌ Liverpool
       │ ┌○┘
       └○┤
         └ Queen Mary

Tristan と構成がよく似た Friar's Balsam とも相似な血の関係となります。

先に Selene の配合的核心について、「Tristan≒Friar's Balsam 3×4」をそのひとつとして挙げました。つまり、父方に Hampton を持つ種牡馬を掛け合わせると、「Hampton≒Tristan≒Friar's Balsam」というトライアングルが完成するわけです(4×4・5)。

Selene が遺した偉大な3頭の種牡馬、Sickle、Pharamond、Hyperion は、いずれもこのトライアングルを持っています(ちなみに Pharos、Fairway は Lady Langden≒Thrift≒Blinkhoolie 5×5・5)。もちろん、ウォルター・オルストンほどの男がこれに気付かなかったはずがありません。

Selene はこのほかに、Hunter's Moon(父 Hurry On)という牡馬を産んでいます。この馬は南米アルゼンチンに渡って名種牡馬となったのですが、父 Hurry On には Hampton こそないものの、それとよく似た Dinah という血を持っているため、「Dinah≒Tristan≒Friar's Balsam 4×4・5」という相似な血のクロスが生じます。狙っているとしか思えません。じっさい、そうだったのだと思います。
http://www.pedigreequery.com/hunters+moon
http://www.pedigreequery.com/dinah

1933年7月22日、ウォルター・オルストンはイギリスのニューマーケットにある自宅で死去しました。79歳。『クラシック馬の追求』(ケン・マクリーン著・山本一生訳/競馬通信社)には彼の臨終についてこう書かれています。

「ウォルター・オルストンは Hyperion のイギリス・ダービー制覇をベッド脇のラジオで聞いていたが、それから1ヵ月後、帰らぬ人となる。彼の死亡通知は、その生涯の仕事についてこう要約している。
『ブリーダーと配合の問題で意見が対立した場合、彼は決して抽象的な理論を弄そうとはせず、厳密な事実に基づいて、しかも誰にでも分かる言葉で議論した。彼の成し遂げた仕事こそ、ダービー卿のスタンリー・ハウス・スタッドの輝かしい馬たちである。世界でこれほど素晴らしい馬を生産した牧場は、今までに存在しない』
 ウォルター・オルストンは終生喘息の発作に悩まされ続け、最後はニューマーケットのファルマスにある自宅で、スタッド・ブックと手書きの配合表に囲まれて息を引き取った。家の書斎には本棚が所狭しと並べられ、サラブレッドの競走と生産に関して出版された書物がぎっしりと詰まっていた。オルストンは結婚することもなく、偉大な競走馬の生産に心血を注ぎ、自分の知り得たことに満足せず、最後までチャンピオンを生み出す新しいニックを探し求めてさらなる研究を積み重ねた。ダービー卿やジョージ・ラムトンは言うに及ばず、国内からばかりでなく全世界のブリーダーの尊敬を集めたが、それは人々が、ウォルター・オルストンは生産というものの何たるかを知っているプロフェッショナルだと認めていたからである。」

名馬の血統表は配合の教科書です。たとえ19世紀のものであっても、血統の中身が入れ替わるだけで、名馬を生みだしたパターンは不変です。そのパターンは現代においても古びることはありません。ですから、過去の名馬の血統について考えることは、配合を学ぶために大きな意味があります。

偉大な配合家が凝らした意匠に人知れず気付いたとき、時を超えて、一枚の血統表を通じ、その配合家とじかに対話をしたような気分になります。まさに至福の瞬間といえます。そうした配合的意匠は、誰かに気付かれるのを待ちながら、メッセージボトルのように時間のなかを漂流しています。それを拾い上げることが血統研究家の役割です。

                *

1年間ご愛読誠にありがとうございました。よいお年を!

2010年12月30日 (木)

Hyperion とウォルター・オルストン(2)

①Pilgrimage 3×4、②Tristan≒Friar's Balsam 3×4。このふたつが歴史的な名繁殖牝馬 Selene の配合的核心でしょう。
http://www.pedigreequery.com/selene

Selene は競走馬のみならず繁殖牝馬としても大成功を収め、Hyperion の母となりました。また、Native Dancer の3代父 Sickle や、Buckpasser の3代父 Pharamond も産んでいます。ちなみに、Sickle と Pharamond は「Phalaris×Chaucer」という有名なニックスの産物です。このパターンは Pharos(Nearco の父)、Fairway(英愛リーディングサイアー4回)の兄弟も出しており、サラブレッドの歴史のなかで最も有名なニックスのひとつといえるでしょう。この4頭はすべてウォルター・オルストンが配合を考案しました。
http://www.pedigreequery.com/sickle
http://www.pedigreequery.com/pharamond2

名繁殖牝馬 Selene の主な産駒は以下のとおり。

 Selene(f.1919.Chaucer)
  Sickle(c.1924.Phalaris)……Native Dancer の3代父
  Pharamond(c.1925.Phalaris)……Buckpasser の3代父
  Hyperion(c.1930.Gainsborough)……大種牡馬

Sickle と Pharamond はいずれもアメリカへ渡り種牡馬として成功。前者は Native Dancer の、後者は Buckpasser の父系先祖となりました。とくに前者は、Native Dancer の孫にあたる Mr.Prospector を通じてサイアーラインを発展させ、現在、世界の主流ラインのひとつとして君臨しています。

Selene は、Phalaris と Gainsborough との配合で成功しました。この2頭の種牡馬にはある共通点があります。

St.Simon と Hampton を近い世代に持つことです。

まず、St.Simon は当時の血統シーンにおいては別格で、ちょうど現在の日本におけるサンデーサイレンスのような存在でした。父としても、父の父としても、母の父としても優秀で、クロスさせても大きな効果がありました。

Phalaris×Selene、Gainsborough×Selene、いずれの組み合わせでも St.Simon 4×3というクロスが生じます。これは当時の一流馬にとっては基本条件のようなものです。

2010年12月29日 (水)

Hyperion とウォルター・オルストン(1)

12月10日のエントリー「Hyperion 没後50年(後)」で、以下のように記しました。

「オルストンが Hyperion をどのようにして作ったか、という具体的なプロセスについては、書き始めると長くなるので、来週あたりに概要を記したいと思います。感嘆すべきテクニックがそこには込められています。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-4e5d.html

重要なレースが目白押しの師走は、先に書くべきことが山ほどあるため、それを優先しているうちに気がつけば年末になってしまいました。ちょっと遅れましたが、年末のエアポケットのような時間を利用して、約束どおり Hyperiion の配合について書きたいと思います。

こみ入った話になってしまうかと思いますが、時間とやる気のある方は血統表をプリントアウトし、チェック用のカラーサインペンを用意するなどして、読み進めてみてはいかがでしょうか。こみ入ってはいますが決して難しくはありません。特殊な公式も指数も出てきません。やる気さえあれば誰にでも読めるものです。そのように書いたつもりです。

                *

第17代ダービー伯爵のエドワード・スタンリーは、当時名の知れた血統研究家だったウォルター・オルストンを血統アドバイザーとして雇いました。Hyperion を作ったのは彼です。

オルストンがまず着目した血統は Pilgrimage。現役時代にクラシックレースの英1000ギニーを勝っただけでなく、牡馬相手に英2000ギニーも制した女傑です。繁殖牝馬としても英ダービーを勝った Jeddah を産み、孫の代には Swynford(英セントレジャー馬で Blandford の父)と Chaucer(ジムクラックS)を出しました。

特別な能力を備えた繁殖牝馬をインブリードによって強化する、という配合パターンは、サラブレッドの黎明期から繰り返し成功を収めてきたものです。種牡馬と違い、繁殖牝馬が一生のあいだに産む子はごくわずか。その子孫から高い確率で名馬が出現するとすれば、その繁殖牝馬は遺伝的に特別な何かを持っていると考えるべきです。

Pilgrimage のインブリードからオルストンは、Sansovino(英ダービー)、Ferry(英1000ギニー)、Selene(英3歳牝馬チャンピオン)などを生産しました。
http://www.pedigreequery.com/sansovino
http://www.pedigreequery.com/ferry
http://www.pedigreequery.com/selene

なぜオルストンが Pilgrimage のインブリードを考えたかというと、Selene の2代母 Gondolette(Ferry と Sansovino の母でもある)が、「The Palmer=Rosicrucian 3×3」という全きょうだいクロスを持っていたからでしょう。The Palmer は Pilgrimage の父なので、Pilgrimage のインブリードを作ると、自動的にこの全きょうだいクロスが継続されます。オルストンは、Gondolette の特殊な配合パターンを活かすために Pilgrimage のインブリード(The Palmer=Rosicrucian の継続)を試みたというわけです。
http://www.pedigreequery.com/gondolette

Selene は Pilgrimage 3×4のほかにも、Tristan≒Friar's Balsam 3×4を持っています。
http://www.pedigreequery.com/tristan
http://www.pedigreequery.com/friars+balsam

     ┌ Hermit
Tristan ―┤ ┌ Stockwell
     └○┤
       └○┐
         └ Queen Mary

         ┌ Hermit
         │   ┌ Stockwell
Friar's Balsam ―┤ ┌○┤
         └○┘ └○┐
               └ Queen Mary

これも Pilgrimage のクロスと同じ考えに基づくものです。というのも、Friar's Balsam の娘 Mother Siegel(Minoru の母)は、Hermit=Chanoinesse 2×3という特殊な全きょうだいクロスを持っており、Tristan≒Friar's Balsam という相似な血のクロスを作ると、自動的にこの全きょうだいクロスが継続されます。オルストンは、 Mother Siegel の特殊な配合パターンを活かすために Tristan≒Friar's Balsam という相似な血のクロス(Hermit=Chanoinesse の継続)を試みたのだと思われます。
http://www.pedigreequery.com/mother+siegel

2010年12月28日 (火)

やはり強かったグルヴェイグ

■土曜阪神5R・未勝利戦(芝1800m)はハンドインハンド(3番人気)が評判馬アドマイヤカーリン(1番人気)にクビ差競り勝ちました。4戦目での初勝利。父はマンハッタンカフェ、母はニュージーランドT4歳S(G2)の勝ち馬シェイクハンド。4分の3兄インプレッション(父サンデーサイレンス)は重賞3着の成績があります。

母シェイクハンドは「Mr.Prospector×Nureyev」ですから Kingmambo と同じ組み合わせ。したがって、「マンハッタンカフェ×Kingmambo」のダイワバーバリアン(NHKマイルC-2着)、アントニオバローズ(シンザン記念)と構成がよく似ています。整ったいい配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104814/

■土曜阪神7R・新馬戦(芝1600m)は注目の良血馬◎グルヴェイグ(1番人気)が勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=FSEZkY121sQ

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△★で3連単14210円的中。予想文を転載します。

「◎グルヴェイグは『ディープインパクト×トニービン』という組み合わせ。母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯〔2回〕)、フォゲッタブル(ステイヤーズS、ダイヤモンドS)、ルーラーシップ(鳴尾記念)など次々と活躍馬を送り出している。『ディープ×トニービン』は滑り出し良好で、現在、デビューした3頭が5走して連対率100%という成績。稽古でも動いているのでここは連を外さないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103099/

「ディープインパクト×トニービン」は、この土日に4頭出走して〔1・2・1・0〕という成績。通算では〔4・4・1・0〕です。唯一連対を外したのがラジオNIKKEI杯2歳S(G3)のコティリオン(3着)ですから走ります。グルヴェイグは着差こそわずか(半馬身)でしたが、上がり最速でしっかりとしたフットワーク。強かったと思います。名繁殖牝馬と交配してちゃんと結果を出せるところがディープインパクトの素晴らしさです。2着デウスウルト(5番人気)もなかなかの器でしょう。

■日曜阪神7R・500万下(芝1600m)は進路妨害を受けたサトノオー(1番人気)が2位入線から繰り上がりで勝利。
http://www.youtube.com/watch?v=zm7IJRr7mis

中山競馬場の場内テレビで観戦していたのですが、直線に入ってすぐ、先頭のレッドデイヴィスが大きくヨレた瞬間、「降着だな」という声がいくつか挙がりました。サトノオーは不利を受けた影響なのか、初戦で見せた豪快なフットワークは影を潜めたままでした。ディープインパクト産駒はトビが大きいタイプが多いので、不利を受けて減速すると元のリズムに戻すのが容易ではないのかもしれません。

配合については11月22日のエントリー「サトノオー圧勝」をご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-bd89.html

■日曜中山7R・ホープフルS(OP・芝2000m)はベルシャザール(4番人気)が競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=fsVTFrTeWVs

前走の萩S(OP)では、巨体を持て余して勝負どころで置かれ気味になるなど、やや器用さに欠けるように映ったのですが、今回は進境を見せて上手に走っていました。1、2戦目に手綱を取った安藤勝己騎手がキングカメハメハの子で一番父に似ていると発言したり、今回はルメール騎手が素晴らしい馬と論評したり、乗り手の評価が高い馬です。

父はキングカメハメハ、母マルカキャンディは府中牝馬S(G3)の勝ち馬。半姉ライムキャンディ(父タニノギムレット)はクイーンC(G3)の2着馬です。2代母の父セクレトは「Northern Dancer×Secretariat」ですからローザネイ(Lyphard×Secretariat)と似ており、しかも父の配合を考える上で鍵となる Tourbillon 系の血が入っています。キングカメハメハの代表産駒ローズキングダムと似た構成です。このあたりが気に入って某POGでコッソリ指名した馬なので頑張ってほしいものです。距離はもっと延びても大丈夫です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103004/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103404/

2010年12月27日 (月)

有馬記念はヴィクトワールピサ

有馬記念の乗り方が最も上手かったのは田原成貴騎手だと思います。リードホーユー(83年)、トウカイテイオー(93年)、マヤノトップガン(95年)と3回制覇しました。なかでもリードホーユーの手綱さばきはいまだに私のなかで有馬記念の理想型というべきものです。ハナっ速いハギノカムイオーを先に行かせて2番手につけ、3コーナーで自然に先頭に立つと、早めスパートで差を広げてギリギリ残しました。何度見ても美しい騎乗です。
http://www.youtube.com/watch?v=29cUwWFZkNo

今回の◎ヴィクトワールピサ(2番人気)のレースぶりは、まさにリードホーユーを彷彿させるものでした。仮にブエナビスタと同じ位置から仕掛けたらまず勝てません。ジャパンCと同じく先手必勝で早めに抜け出すしか勝機はないと陣営は承知していたはずです。デムーロ騎手も勝利騎手インタビューで“早めの競馬をしてほしい”と指示されたことを口にしていました。2コーナーから向正面で13秒台にラップが落ちたとき、デムーロ騎手はためらわずに行きました。ここが勝負のポイントです。ブエナビスタはこのとき馬群に包まれて動くに動けませんでした。明暗はここで分かれたと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=W2JKHbt72Z0

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎○で馬単1640円を本線的中。『ウマニティ』では単勝840円と馬単的中。『ウマニティ』の年間予想成績は「回収率132%」とプラス収支を達成しました。予想を転載します。

「◎ヴィクトワールピサは『ネオユニヴァース×マキアヴェリアン』という組み合わせで、スウィフトカレント(小倉記念、天皇賞・秋-2着)の4分の3弟、アサクサデンエン(安田記念)の半弟にあたる。3着と健闘したジャパンC(G1・芝2400m)では、騎乗したマキシム・ギュイヨン騎手が『この距離は少し長い』とコメントした。今回は距離が100m延びるものの、中山芝2500mは小回りでコーナーが多いためごまかしがきく。東京芝2400mを乗り切った馬であれば不安はない。過去、中山コースで2戦2勝、小回りコースと内回りコースでは5戦5勝。この条件では強い。今年はスローペースが予想されるので、前に行く馬、内枠の馬が有利。1枠1番のこの馬にとっては追い風だ。序盤はゆったりとしたペースで進み、残り5ハロンのロングスパートで勝負が決まると思われるので、2歳時(京都2歳S)にすでにラスト5ハロンを58秒0で駆け抜けた能力は重く見たい。ブエナビスタを倒せるのはこの馬しかいない。」

12月25日のエントリー「今年の有馬記念はロングスパート型!?」のなかで次のように記しました。

「マンハッタンカフェが勝った01年と、シンボリクリスエスが勝った02年。このふたつは残り5ハロンからペースアップするロングスパート型のレースでした。今年はこれに近い競馬になるのでは、と思います。最後の5ハロンが57秒9だった01年は超スローペース。今年はさすがにこれほど遅い流れにはならないと思うので、59秒1だった02年に近くなるような気がします。残り5ハロンからスパートして上がり3ハロンを34秒台の後半でまとめる力が要求されます。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-3aff.html

向正面でヴィクトワールピサが仕掛け、残り5ハロンから急激にペースアップした今年は、11秒5-12秒0-11秒7-11秒1-11秒8でフィニッシュ。予想どおり絵に描いたようなロングスパート型のレースとなりました。ラスト5ハロンが58秒1で、上がり34秒6ですからほぼ計算どおり。デムーロ騎手は、ヴィクトワールピサが勝つためのモデルケースとぴったり同じレースをしてみせました。私のなかでは83年のリードホーユーと並ぶ有馬記念の“殿堂入り騎乗”ですね。

ヴィクトワールピサはJRA賞最優秀3歳牡馬のタイトルをほぼ確実なものとしました。父ネオユニヴァースはこれまでに手にした4つのG1のうち、3つが中山競馬場でのものです。このコースにおける強さは格別です。デムーロ騎手はネオユニヴァースの主戦ジョッキーだったので、彼は親子二代でG1を勝ったことになります。

2着○ブエナビスタ(1番人気)の上がり3ハロンは33秒8。ディープインパクトやマンハッタンカフェと同レベルの、中山芝2500mでは極限といえる脚です。明らかに馬のレベルは一枚上で、これで勝てなかったのですから結果的にスミヨン騎手のミスでしょう。ただ、スミヨン騎手も周りを囲まれて、行きたいところで行けなかったのは事実だと思います。ブエナビスタの外側に馬体を併せていたのはメイショウベルーガ。騎乗していた蛯名騎手は、外国人騎手が関わる諸問題に対してツイッターで積極的に主張していたので、遺恨絡みのブロックか?と短絡的に考えてしまいがちですが、もちろんたまたまでしょう。父スペシャルウィークと同じくハナ差で有馬記念を勝てなかったのは因縁めいています。

3着トゥザグローリー(14番人気)は、スローペースの有馬記念(01年)で3着に逃げ粘ったトゥザヴィクトリーの子。そして、前走の中日新聞杯(G3)は内容的にきわめて優秀でした。しかし、押せ押せのローテーションや本質的に広いコース向きではないかという点が引っ掛かって印が回りませんでした。中日新聞杯の回顧で「来年はG1戦線の常連となるでしょう」と書きましたが、常連どころか主役を狙える器ですね。決してフロックではありません。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-82cc.html

レース後、検量室前で印象的だったのは、ヴィクトワールピサを付きっきりで仕上げてきた松田全史調教助手の雄叫び。レース直後、気持ちが高ぶっていたのか、ターフビジョンに映ったゴール前の静止画像を見て、天を仰ぎガッツポーズをしながら「ウォーーーー!!」と一発目。写真判定の結果が出た瞬間「ウォーーーー!!」と二発目。熱くて最高です。頬に涙が光っていました。

2010年12月26日 (日)

ラジオNIKKEI杯2歳Sはダノンバラード

2010年の競馬をあと1日残してディープインパクト産駒は40勝に到達しました。その40勝目がラジオNIKKEI杯2歳S(G3・芝2000m)の△ダノンバラード(4番人気)。ディープインパクトと同じ池江泰郎厩舎、武豊騎手のコンビで父に初めての重賞タイトルをもたらしました。上がり34秒7は出走馬中最速です。
http://www.youtube.com/watch?v=Mur54ujyUzk

配合については10月28日のエントリー「ディープインパクト産駒、土日で4勝(3)」をご覧くださいませ。ダノンシャンティ(NHKマイルC)と配合構成がよく似ています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-add6.html

秋競馬でデビューしたディープインパクト産駒が1、3、5着と上位に食い込みました。先週の朝日杯フューチュリティSの2、3着馬も同様です。秋の中央開催でデビューする馬がハイレベルなのは毎年のこと。今年は秋デビューのディープインパクト産駒が破竹の勢いで勝ちまくっていたので、同産駒のレベルは高いといえるでしょう。

ひと足早くデビューし、新馬戦-萩S(OP)を連勝して高い評価を得ていた○ショウナンマイティ(1番人気)は、次々と勝ち上がるディープインパクト産駒に無言のプレッシャーを与える怖い存在でした。しかし、道中引っ掛かったこともあり8着と大敗。この結果を見ると、これからは秋デビューのディープ産駒に予想の軸足を移したほうがいいのかもしれないなぁと思いました。

今回、鮮やかに勝ったダノンバラードは、前走の京都2歳S(OP)では3着に敗れています。これは、新馬戦を勝ったディープインパクト産駒によく見られる2走目の反動だったのかもしれません。

11月30日のエントリー「ディープインパクト産駒の格上がり戦」で以下のように述べました。

「ディープインパクト産駒がデビュー戦に強いのは、能力の高さはもちろんですが、気のいいタイプが多く、競走に対して前向きであることが大きいと思います。それに加えて、デビューさせる各厩舎も、ディープインパクト産駒ということで多少意識が違うのか、新馬戦からキッチリ仕上げてきます。どれも高馬だけに“下手な仕上げでは出せない”という気持ちがあるのかもしれません。トーセンレーヴが万全を期してデビューを再三延期しているのはその典型でしょう。

新馬戦向きのディープインパクト産駒が、いきなり目一杯に仕上げられれば、それは強いと思います。ただ、上がり目は乏しく、馬によっては反動もあるでしょう。2戦目にもうひとつパフォーマンスが伸びないのはこのあたりに原因があるのではないかと考えています。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html

また、京都2歳Sは、道中のペースがめまぐるしく変化する出入りの激しい競馬でもありました。トビが大きく緩急がきかない傾向があるディープ産駒にとっては得意とはいえない競馬で、このあたりも影響したのかもしれません。

2着△コティリオン(5番人気)は潜在能力ではピカイチだと思っていましたが、前走の引っ掛かり方を見ると重い印は打てません。今回も序盤に引っ掛かり、3コーナーでは挟まれて下がり、直線では最内から外へ持ち出すというロスの大きな競馬。それでも3着に追い込んでくるのですから強いの一語です。気性面の成長がなければこのポジションのままでしょうが、それさえクリアできれば大化けの可能性を秘めています。

ディープインパクト産駒は、日曜日に6頭が出走を予定しており、とくに阪神7R・500万下(芝1600m)のサトノオー、中山7R・ホープフルS(OP・芝2000m)のディープサウンドは注目です。

ラジオNIKKEI杯2歳Sの結果によって、ディープインパクト産駒のJRAにおける収得賞金はついに5億円の大台を突破。これは2歳戦において歴代4位に相当する優秀な数字です。1~3位はすべてサンデーサイレンス。あのサンデーでさえ3回しか記録していない2歳戦の5億超えを、初年度にあっさり達成してしまったのですから価値があります。

勝ったダノンバラードを5番手評価にしかできず、しんがり負けを喫したレッドセインツ(11番人気)に◎を打っているのですから予想は完敗。顔を洗って出直してきます。

2010年12月23日 (木)

スカーレットレディの子は鉄板

■日曜阪神3R・未勝利戦(芝2000m)はカーマイン(1番人気)がハナ差競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=j_WXiVljvyE

父キングカメハメハ、母スカーレットレディ。つまり、ヴァーミリアン、サカラート、キングスエンブレムの半弟、ソリタリーキングの全弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103188/

母スカーレットレディはダイワメジャーと同血(父が同じで母が全姉妹)で、ダイワスカーレットとは4分の3同血の関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995107900/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103114/

           ┌ サンデーサイレンス
スカーレットレディ ―┤ ┌ ノーザンテースト
           └○┤
             └スカーレットインク

           ┌ サンデーサイレンス
ダイワメジャー ―――┤ ┌ ノーザンテースト
           └○┤
             └スカーレットインク

20~30年後、この牝系から生まれた名馬が血統表に同居することで、ビッグレースの勝ち馬が誕生するかもしれませんね。ダイワスカーレット≒スカーレットレディ4×4とか、いかにもありそうです。この牝系はハイレベルな何物かを伝えていますから、クロスさせる効果も大きいのではないかと思います。

カーマインは芝で勝ち上がりましたが、走りっぷりを見ると掻き込みが強いので、仮に芝で頭打ちになってもダート路線に移れば相当やれそうです。ヴァーミリアン、サカラート、キングスエンブレム、ソリタリーキングの下ですからまず間違いないでしょう。

■日曜中山1R・未勝利戦(ダ1200m)はミシックトウショウ(1番人気)が逃げ切り勝ち。後続に9馬身差をつける圧勝でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100661/

サウスヴィグラス産駒なのでダート巧者であるのはわかります。そうした適性以外の部分で注目したいのは母セピアトウショウです。父ロイヤルタッチ、母の父トウショウボーイで、テスコボーイ4×3。名牝オイスターチケット(ブラックシェル、シェルズレイ、ダブルティンパニー、ヴィジャイの母)とそっくりの構造です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002104952/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998102634/

          ┌○┐
          │ └ パワフルレディ
セピアトウショウ ―┤
          │ ┌ トウショウボーイ
          └○┘

          ┌○┐
          │ └ パワフルレディ
オイスターチケット ┤
          │ ┌ トウショウボーイ
          └○┘

セピアトウショウにもオイスターチケットと同様の能力が備わっている可能性があります。今回勝ったミシックトウショウはセピアトウショウにとって2番目の子(初子は不出走)。まだ若い繁殖牝馬なので今後に注目です。

2010年12月22日 (水)

アガ・カーン血脈の華、アグネスアンジュ

■日曜小倉4R・新馬戦(芝1200m)はアグネスタキオン産駒の◎アグネスアンジュ(1番人気)が出遅れをものともせず差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=YbjdnANmoUQ

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎○で馬単10240円を本線的中。予想を転載します。

「◎アグネスアンジュは『アグネスタキオン×ヘネシー』という組み合わせ。母アグネスバラードはハワイ≒リマンド3×4で、本馬はそれを継続発展させてアグネスレディー3×4という名牝のクロスとなっている。また、母方にバンブーアトラスが入るので、ブルースウォーズ=ブルーヘイズ6×6という全きょうだいクロスが生じる。これは同じ父のホッコータキオン(デイリー杯2歳S)と似ている。大胆でありながら繊細でよく出来た配合。稽古でも動いているので連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101643/

本日のエントリーは、特殊な配合を説明するために、やや細部にこだわった筋道になりそうなので、配合に興味のない方は斜め読み、あるいは読み飛ばしてください^^

          ┌○┐
アグネスアンジュ ―┤ └○┐
          └○┐ └ アグネスレディー
            └○┐
              └○┐
                └ アグネスレディー

父アグネスタキオンも、母アグネスバラードも、オークス馬アグネスレディーの一族なので、「アグネスレディー3×4」という名牝のクロスが生じます。このクロスを持つ馬は、通算6戦2勝で引退したアグネスツイスターなど何頭かいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003104019/

アグネスアンジュがそれらよりも優れていると感じるのは、母アグネスバラードに施されたアガ・カーン血脈の丁寧な仕込みです。

2代母アグネスルミエールは Pangani≒Palestine 4×5。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995106193/
http://www.pedigreequery.com/pangani
http://www.pedigreequery.com/palestine

      ┌ Fair Trial
Pangani ――┤
      └○┐
        └○┐
          └ Uganda

      ┌ Fair Trial
Palestine ―┤
      └○┐
        └ Uganda

母アグネスバラードはそれを発展させる形で、Hawaii≒リマンド3×4、 Mehrali≒Clovelly 5×6です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002103118/
http://www.pedigreequery.com/hawaii
http://www.pedigreequery.com/remand

      ┌○┐ ┌ Alycidon
      │ └○┤ ┌ Fair Trial
Hawaii ――┤   └○┘
      │ ┌○┐
      └○┘ └ Una

        ┌ Alycidon
      ┌○┘ ┌ Fair Trial
リマンド ―┤ ┌○┤
      └○┘ └ Una

http://www.pedigreequery.com/mehrali
http://www.pedigreequery.com/clovelly3

      ┌ Mahmoud
Mehrali ――┤
      └○┐
        └ Uganda

      ┌ Mahmoud
Clovelly ―┤
      └○┐
        └ Uganda

アグネスアンジュ自身は、前述のとおり、リマンドの娘アグネスレディー3×4というクロスを持ちます。これは、上記のクロスの集積を丸ごと継続することでもあります。また、アグネスタキオンの母の父ロイヤルスキーに含まれる Umidwar は、Udaipur(Clovelly の母)の全弟であり、Una(Palestine と Mehrali の母)の半弟です。アガ・カーン血脈が執拗に絡められています。

「アグネスタキオン×Wild Again」という組み合わせはJRAでたった4頭しか走っていませんが、そのうちの2頭、サンライズプリンスとランザローテが重賞を勝ちました。ニックスといえるかもしれません。じつは、Wild Again の3代母は前出の Clovelly。したがってアグネスアンジュと似ています。このパターンは走るのでしょう。

そして、もうひとつの配合的なポイントは「Blue Swords=Bluehaze 6×6」。母方にバンブーアトラスを持つアグネスタキオン産駒といえば、デイリー杯2歳S(G2)を勝ったホッコータキオンがいます。バンブーアトラスの父ジムフレンチは、その2代母 Bluehaze が Hail to Reason の母の父 Blue Swords の全弟。したがって、Hail to Reason 系とジムフレンチが掛け合わされると、この全きょうだいクロスが生じます。ちなみに、Bluehaze はダンシングキイの3代母でもあります。ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードはすべてこの全きょうだいクロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979101247/
http://www.pedigreequery.com/hail+to+reason
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103133/

言葉で説明すると非常にややこしく、血統表をプリントアウトしながら読み進めないと理解が大変かと思います。要するにアグネスアンジュの配合は、基礎工事から作り上げた精緻な建造物のようなもの。即席のプレハブ住宅にはない堅牢さがあります。テーマが明確で、代々そのストーリーを追うことができる配合は好感が持てますし、読み解くのが楽しいですね。

母の父ヘネシーは Storm Cat 系。父アグネスタキオンは Storm Cat 系と相性が良くないのですが、そのマイナスを補って余りある効果を、それ以外の部分の配合構成が生みだしているのではないかと考えます。ただ、好配合馬といっても、やはりヘネシーはヘネシー。芝向きの底力という面では限界があるかもしれません。もう少し長い距離で見てみたい馬ですね。

2010年12月21日 (火)

「ロック×SS」は芝1800~2000mが得意

■先週はディープインパクト産駒が勝てず、新馬戦の連続週勝利記録も「11」でストップしました。そのかわりというわけではありませんが、同じ新種牡馬のロックオブジブラルタル産駒が新馬戦で3勝(アドマイヤクーガー、リルバイリル、ヒシカルメン)と固め打ち。通算でも15勝目となり、新種牡馬2位のハーツクライにあと1勝と迫りました。トップがズバ抜けているので目立ちませんが、例年の水準に照らせば十分に優秀といえる成績です。

土曜阪神7R・新馬戦(芝1800m)を勝った△アドマイヤクーガー(3番人気)は「ロックオブジブラルタル×サンデーサイレンス」。この組み合わせは連対率36.4と走っています。芝1800~2000mに限定すると7戦6連対(連対率85.7%)と驚異的な成績。もちろん、まだサンプルが少ないので、ずっとこのペースで連対するわけではありませんが、得意の条件であるのは確かでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=z-2VwEZ-QGo
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102644/

■土曜阪神3R・未勝利戦(芝1400m)はハーツクライ産駒のツルマルレオン(1番人気)が4馬身差で圧勝。1分21秒4というタイムを余力をもって記録しました。翌日の1000万特別の勝ちタイム(1分21秒5)を上回っているのですから優秀です。
http://www.youtube.com/watch?v=05Q1EQ38dn8

母方に Roberto が入るハーツクライ産駒はリフトザウイングスと同じ。このパターンは父が持つ Northirdchance≒Revoked 4×5を継続するので好ましいですね。また、Mr.Prospector や Amerigo が入るのもいいと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105965/

じつは、今年のPOGではツルマルレオンと同じく Roberto、Mr.Prospector、Amerigo を併せ持つハーツクライ産駒を指名していました。その馬、テーオーアポロン(オーロマイスターの半弟)は、新馬戦9着→未勝利戦17着とまったく走りません……。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106611/

■土曜阪神6R・新馬戦(芝1400m)は△アフロディシアス(5番人気)が勝利。完全に逃げ切り態勢だった○エーシンハーバー(4番人気)をとらえ、この2頭で後続に6馬身の差をつけたのですから強かったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Mc3JBaYcPpc

「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」はジャガーメイル、トールポピー、フサイチホウオー、アプリコットフィズ、アヴェンチュラなど多くの活躍馬が出ているニックス。1走あたりの賞金「343万円」という数字はズバ抜けています。「ジャンポケ×SS+Mr.Prospector」というパターンは、良さそうに見えて意外に走らないパターンで、一言でいって味がありません。この馬はスピード型としてうまく出たようです。桜花賞向きでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105107/

2010年12月20日 (月)

朝日杯フューチュリティSはグランプリボス

レースが終わり、勝ち馬が引き揚げてくるのを待っている間、検量室前にいた矢作芳人調教師は笑顔ひとつなく神妙な表情。グランプリボスとミルコ・デムーロ騎手が脱鞍所に戻ってくると、「あそこは(外に)出さないとしゃあない」と、4コーナーでアドマイヤサガスを外に弾き飛ばした騎乗をかばうように日本語で語りかけました。別の関係者がデムーロ騎手に「危なくない?」と声を掛けると、彼は馬から鞍を外しながら「危ない危ない。ホント危ない」。その関係者は失格の危険性について尋ねたようですが、デムーロ騎手は4コーナーでアドマイヤサガスと接触したシーンの物理的な危険性として受け取ったようでした。
http://www.youtube.com/watch?v=SCO_GYA1UAA

結局、入線順位のとおりに確定。初G1制覇の矢作調教師は大勢の関係者と握手、抱擁。目にはうっすらと涙が浮かんでいました。

勝った△グランプリボス(5番人気)は京王杯2歳S(G2)に続く重賞連覇。2歳牡馬チャンピオンの座を確定させました。父サクラバクシンオーにとってはショウナンカンプ(02年高松宮記念)以来2頭目のG1ウィナーです。“母の父がサンデーサイレンスではないサクラバクシンオー産駒”は芝1600mで連対率14.0%。一方、「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」は21.8%。この組み合わせは距離の融通性があります。ただ、専門分野の芝1200mでもなかなかG1を獲れない種牡馬ですし、グランプリボス自身も、G1を勝つほどの底力に恵まれた配合とは思えなかったので、高い評価はできませんでした。馬が予想以上に強かったですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103388/

2着◎リアルインパクト(4番人気)はフランシス・ベリー騎手が最高に上手く乗りました。あの騎乗で負けたのなら力が足りなかったということです。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は△◎で馬連4990円、△◎△で3連複8830円的中。『ウマニティ』に提供した予想は馬単11750円、3連単67910円的中。予想を転載します。

「◎リアルインパクトは『ディープインパクト×メドウレイク』という組み合わせ。半兄アイルラヴァゲインはオーシャンS(G3)の勝ち馬で、中山コースを得意としている。母トキオリアリティー(準OP)も小回りコースで強かった。1、2戦目はいずれも東京コースで走ったが、中山で変わり身を見せる可能性が大きいと思われる。
 基本的にディープインパクトはアメリカ血脈と相性がよく、本馬はサンデー系とニックスの関係にあるヘリオポリスが入るほか、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5などを持つ。なかなかの好配合馬。ダービー向きの本格派ではないものの、ハイペースで展開するマイル前後のレースでは強いだろう。
 前走の出遅れはタイミングのズレが原因。初戦では好スタートからすんなり好位につけたように、ディープインパクト産駒にありがちなテンに行けないタイプではない。今回は好枠を活かして好位で立ち回るはず。早めスパートで先頭に立ってしまえばしぶといだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

パドックを見て思ったのですが、500キロを超す大柄な馬体でありながら、なんとなくまだ幼いというか、成長の余地を残しているように見えました。もちろん、2歳のこの時期から成長がなければ困るわけですが、この馬はとくにそんな気がしましたね。

3着△リベルタス(2番人気)は位置取りが下がらないようにうまく好位で競馬を進めていました。血統的にはこの距離向きではないですし、トビが大きいのでラチ沿いで窮屈な競馬を強いられると苦しいのでは、と思っていたのですが、ここまで頑張るのですから能力が高いということでしょう。距離が延びて楽しみです。

4着○サダムパテック(1番人気)は能力の高さは認めても、出遅れ癖や馬の適性から、中山芝1600mではどうしても本命を打ちたくありませんでした。出遅れて外を回して直線で伸びあぐねるという、このコースにおける典型的な失敗パターンでした。それでも坂の途中で一瞬突き抜けるかという勢いがあったので、やはり強い馬であるのは間違いありません。次走、人気が落ちるようなら狙い目でしょう。

4コーナーの出来事に関する裁定については、ツイッターで蛯名正義騎手が不満の声を挙げていました。私はリアルタイムで見たときは完全にアウトだと思いました。ただ、公開されたパトロールフィルムを何度か見直しているうちに、ギリギリセーフという判定もありかな、と思い直しました。外に出したいグランプリボスと、内に押し込めたいアドマイヤサガスの、互いに譲れないポイントでのバトルであり、結果としてグランプリボスの力が勝ってアドマイヤサガスを弾き飛ばしましたが、もし逆にアドマイヤサガスの力が勝っていたら、グランプリボスの勢いからして正面のブラウンワイルドに乗り上げていたかもしれません。デムーロ騎手の騎乗は、衝突を回避するために仕方がなかった側面もあり、それが冒頭で発した彼の「危ない危ない。ホント危ない」という発言の真意だったのではないかと想像します。そのあたりの情状酌量によって降着だけは免れたということではないでしょうか。
http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2010/06/201005060611p.asx

2010年12月19日 (日)

阪神カップはキンシャサノキセキ

■阪神11R・阪神カップ(G2・芝1400m)は◎キンシャサノキセキ(2番人気)が競り勝ちました。2連覇達成。この距離では安定して強い馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=8WJmPHTmaPY

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎▲で馬単4900円的中。予想を転載します。

「◎キンシャサノキセキは『フジキセキ×プレザントコロニー』という組み合わせ。一見、もう少し長い距離が良さそうな血統だが、母方に入るリボー系の血の難しさが出ているのか、見てのとおり短距離がフィットしている。前走のマイルCSは弾けなかったが、距離が長く引っ掛かったという明確な敗因があるので度外視できる。1400mなら話は別。昨年はスタートの出遅れをものともせず差し切った。連覇の可能性十分。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003110212/

阪神カップはマイルチャンピオンシップで大敗した馬がよく巻き返すレースです。過去、ジョリーダンスとサンカルロが2ケタ着順から連対を果たしました。キンシャサノキセキはマイルチャンピオンシップで13着。しかし、専門外のマイル戦だったので仕方のない結果であり、今回はこの馬のテリトリーですから、力関係からみても順当だったと思います。序盤に掛かり気味になっても勝ったように能力が一枚上でした。

2着の▲レッドスパーダ(5番人気)は10ヵ月の休み明けでしたが、これぐらいの距離では地力が上。新馬戦からその配合を高く評価してきました。「タイキシャトル×Storm Cat」はメイショウボーラー(フェブラリーS、デイリー杯2歳S)と同じで、従兄弟に米年度代表馬 Curlin がいます。Halo≒Sir Ivor 3×4が綺麗に決まっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105511/

○ゴールスキー(1番人気)は5着。ネオユニヴァース産駒だけに距離短縮では頭から買いづらいところがありました。

■中山9R・黒松賞(2歳500万下・芝1200m)と小倉10R・つわぶき賞(2歳500万下・芝1200m)は、いずれもサクラバクシンオー産駒が勝利。前者はダンシングロイヤル(1番人気)、後者はスギノエンデバー(1番人気)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105189/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103919/

高齢になってもなおサクラバクシンオーが種牡馬ランキングのベスト10から落ちない理由がよく分かります。餅は餅屋、ワンアンドオンリーのスペシャリストは強い、ということです。

2010年12月18日 (土)

朝日杯フューチュリティS有力馬プチ診断

■リベルタス
配合的には2000m以上に向いた馬だと思います。ただ、角居調教師がここにぶつけてきたのですから、相当な手応えを感じているのかなぁとは思います。ディープインパクト産駒はトビが大きくダッシュが鈍いので、2番枠だと包まれて後方まで下がってしまう危険性も。4年前のドリームジャーニーのように後方から大外をマクって差し切り、という芸当ができるかどうか。

■マイネルラクリマ
人気にならないタイプですがちょっと怖いです。マイネルレコルト(04年朝日杯FS)を出したチーフベアハートが父。ここ2戦、直線の長いコースでよく粘っていますが、中山ならさらにいいところがありそうな配合ですね。枠も絶好。

■リアルインパクト
リベルタスと同じディープインパクト産駒。こちらは出脚がつくタイプだと思います。前走の出遅れはゲートのタイミングが原因。新馬戦は上手に出ました。半兄アイルラヴァゲイン、母トキオリアリティーは小回り巧者ですから、この馬も中山に替わって良さが出るはずです。あとは急坂をこなせるかどうか。

■リフトザウイングス
ハーツクライ産駒はいまのところ、京都よりも阪神、東京よりも中山のほうがいい、という傾向が出ています。中山替わりは良さそうです。ただ、マイル戦では全般的にやや勝ち味が遅い傾向も。母の父 Cozzene は逃げたり追い込んだりという極端な戦法で結果を出す気難しいタイプ。要するに揉まれ弱いので馬群が苦手です。前走後の武豊騎手のコメントを読むと、どうもそうした特徴が伝わっているような気が……。小回りの多頭数競馬でどう立ち回るか、ルメール騎手の手腕に期待です。

■サダムパテック
脚長の体型。直線の長いコースで伸び伸び走るのが合っているタイプだと思うので、小回りコースに替わるのはプラスとはいえません。毎回出遅れるのでおそらく今回も出遅れるでしょう。位置取りが悪くなったときに、焦ったスミヨン騎手が無理に馬群を捌こうとして他馬の進路を妨害するというのが最悪のシナリオです。懸念材料ばかり並べましたが、これは実力を認めた上での話。現時点の能力は一枚上だと思うので、スムーズな競馬さえできればアッサリ突き抜ける可能性は一番高いと思います。

■グランプリボス
「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」はわりと距離がもつ傾向があります。マイルはギリギリOKでしょう。サクラバクシンオー産駒はこれまで2歳G1で10回走って一度も馬券になっていません。問題は底力です。

■シゲルソウサイ
2代父はこのレースと相性のいい Storm Cat。初めての芝、2ハロンの距離延長、相手強化とハードルはあまりにも高いのですが、マイペースで逃げたときに、3年前のゴスホークケンのように残ってしまわないとも限りません。ゴスホークも Storm Cat 系でした。

■アドマイヤサガス
朝日杯の13番枠から外は、逃げの手を打たないかぎり死刑宣告を受けたようなものですから、15番枠はちょっと厳しいですね。強い馬だとは思いますが、ニュージーランドTのサンライズプリンスのような競馬ができるほど相対的に抜けた力はないと思います。オースミイージーとシゲルソウサイの逃げ争いでハイペースになることが望み。

2010年12月15日 (水)

ディープインパクト産駒はなぜ逃げて強いのか

■日曜阪神9R・エリカ賞(500万下・芝2000m)は2番人気のスマートロビン(父ディープインパクト)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=epEwGUY-JoY

レース中盤に13秒台のラップが4回続く超スローペース。ただでさえ折り合いに難のある1番人気のアドマイヤセプターにとっては辛い競馬になりました。エイシンフラッシュが勝った昨年もそうでしたが、エリカ賞は出走メンバーの質が高いわりにこういうのんびりした競馬になりやすいですね。3着トーセンラー(父ディープインパクト)は最後まで前が開かず不完全燃焼。もったいない競馬でした。

昨日のエントリーに、富樫様からディープインパクト産駒が逃げた場合の勝率の高さ(7戦全勝)についてのご質問がありました。私の考えを述べたいと思います。

ディープインパクト産駒は出走回数に比して逃げる回数が少ないと思います。逃げ率は「4.4%」。これは2歳種牡馬ランキング上位10頭中、最低の割合です。つまり、20レース走って1回弱の割合しか逃げないわけです。

原因は何かと考えると、陣営の思惑などを除けば、ごく単純に「出脚が鈍い」ということに尽きると思います。12月6日のエントリー「ディープインパクト産駒のトビの大きさとその影響」のなかで、以下のように記しました。

「ヌーベルバーグに限らずディープインパクト産駒はトビの大きいものが目に付きます。したがって、強いて挙げれば機動力に弱みがありそうです。自転車でいえばギア比が大きいタイプですね。トップスピードは文句なしに速いものの、そこへ持っていくまでの漕ぎ足が重いため、機敏に変速することができないわけです。それがディープインパクト産駒にしばしば見られる勝負どころのモタつきの原因なのかもしれません。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-9f4d.html

以上の文章は「勝負どころのモタつき」について考察したものですが、じつは、トビが大きいことで一番影響を受けるのはスタートダッシュです。サクラバクシンオー産駒やロックオブジブラルタル産駒がなぜ先に行けるのかというと、回転の速いピッチ走法で小脚が使えるからです。

たとえば、世界一広いストライドを持つ陸上男子短距離のウサイン・ボルト選手は、ロケットスタートを武器としているわけではありません。小脚を使わなければならないスタート直後のスピードは他の選手と変わらず、レース中盤から後半にかけて、広いストライドを活かした爆発的なスピードで差を広げていきます。ディープインパクト産駒はこれに近いと思います。

ディープインパクト産駒が逃げる場合は以下の2パターンでしょう。①小脚を使えるタイプの産駒だった。②ほかに行く馬がいなかった。

①はディープサウンドやイングリッドですね。Danzig や Wild Again など、ピッチ走法に出やすい血が近い世代に入っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102871/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102578/

今回のエリカ賞は②です。スタート直後にお見合いが始まり、押し出されるようにしてスマートロビンが先頭に立ちました。ディープインパクトはスタミナに不安のない中距離血統。産駒を見ていると、苦しい勝負どころでもうひと伸びできる精神力と、それを可能にする強靱な心肺機能を備えているように思います。ウサイン・ボルト選手のようにトップスピードに乗ってしまえば他の追随を許さないわけですから、自らペースを握り、後続馬に先んじてスパートしてしまえば、追いかける馬は辛いと思います。ディープインパクト産駒はほかの種牡馬の子よりも一枚上のトップスピードを誇り、さらに持久力もあるので、後続馬はなかなか追いつけません。そして、並びかけても粘り強いので厄介です。長くなりましたが、これがディープインパクト産駒が逃げて強い理由だと思います。

スマートロビンの2代母 Key Dancer は、名繁殖牝馬ダンシングキイ(ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの母)の全姉で、スマートロビン自身は Lyphard 4×2。切れ味よりも持続力で勝負するタイプではないかと思うので、今回のように徐々にペースを上げて粘り込むようなレーススタイルは合っていたと思います。内田博幸騎手のファインプレーでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100685/

■日曜小倉4R・新馬戦(ダ1700m)は1番人気の◎ロードエルドール(父スペシャルウィーク)が2番手から抜け出して完勝。
http://www.youtube.com/watch?v=8lJCpJ_h_6g

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎★△で3連単13万3000円的中。予想を転載します。

「◎ロードエルドールは『スペシャルウィーク×ティンバーカントリー』という組み合わせ。半姉シンメイフジ(関東オークス、新潟2歳S)、母レディミューズはチューリップ賞(G3)2着馬、2代母シンコウラブリイはマイルCS(G1)の勝ち馬という良血。パワーが感じられる配合なのでダートはこなすだろう。スペシャルウィーク産駒はダ1600m以上のダート新馬戦で連対率36.1%と走っている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103555/

半姉シンメイフジ(父フジキセキ)は芝で頭打ちになったあと、関東オークス(G2・ダ2100m)に出走したところアッサリ勝ちました。母の父がティンバーカントリーなのでダートが下手なはずはありません。シンメイフジは牝馬だったので芝もこなしましたが、本馬は牡馬なので走りがパワフル。芝で走るには重いですね。母方に Caerleon が入るスペシャルウィーク産駒といえばブエナビスタと同じ。ただ、前述したようにロードエルドールは母の父がティンバーカントリーで、しかもセントクレスピン4×6などもあるので、配合から見てもやはり重いですね。

マイル以上のダート新馬戦に強い種牡馬は、ネオユニヴァース、スペシャルウィーク、クロフネ、ゴールドアリュール、ジャングルポケット。狙い馬に迷ったら、このあたりの産駒を選んでおけば間違いはありません。

■日曜中山5R・新馬戦(ダ1800m)は3番人気の○レーザーバレット(父ブライアンズタイム)が4馬身差で楽勝。
http://www.youtube.com/watch?v=YZ83rDz2QCA

「ブライアンズタイム×Mr.Prospector」ですからチョウカイキャロル、ノーリーズン、フリオーソと同じ。母方に Mr.Prospector 系が入るブライアンズタイム産駒はよく走っており、最近は芝よりもダートでの活躍が目立ちます。日曜阪神2Rの未勝利戦(ダ1800m)を6馬身差で圧勝したスマートルシファー(父ブライアンズタイム)も、母の父が Seeking the Gold(その父 Mr.Prospector)ですから同じパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104812/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100694/

2010年12月14日 (火)

ディープインパクト産駒が11週連続で新馬戦勝利

■土曜阪神4R・未勝利戦(芝1800m)はアドマイヤラクティ(父ハーツクライ)が勝ちました。直線でフラフラしていたようにまだ馬が若いので、逆に伸びシロがあるはずです。将来性を感じさせるレースぶりでした。
http://www.youtube.com/watch?v=_SwtkYT_K0U

父ハーツクライは10月10日にリフトザウイングスが勝ってから2ヵ月ぶりの勝利となりました。秋口までディープインパクトを上回るペースで勝ちまくり、勝率、連対率、複勝率のいずれにおいても父サンデーサイレンス以来という傑出した数値を挙げながら、突如として勝ち星が途絶え、それから62連敗。この落差は新種牡馬の歴史のなかでもほかに例を見ないものです。

「母の父エリシオ」は最近になって急に目立ってきました。今週の朝日杯フューチュリティーS(G1)で1番人気が確実視されているサダムパテック、ダートで2戦2勝のガムラン、中山開幕週のステイヤーズS(G2)を勝ったコスモヘレノスなどもそうです。種牡馬としてはイマイチでしたが母方に潜っていいタイプなのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103079/

■土曜阪神5R・新馬戦(芝1600m)は単勝1.4倍の1番人気に推された◎マルセリーナ(父ディープインパクト)が完勝。
http://www.youtube.com/watch?v=GK0QZ_-oKzk

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎マルセリーナは『ディープインパクト×マージュ』という組み合わせ。母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝。母方に入るラストタイクーンは父ディープインパクトと相性がいいと思われる。素軽いマイラー配合で好感が持てる。最終追い切りでは、阪神ジュベナイルフィリーズで1番人気が予想されるレーヴディソールと併せて互角の動きだった。このメンバー相手に連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103009/

サンケイスポーツが配信した「ディープ産駒11週連続新馬戦V」という記事を読み、へぇ~、そうなんだ、と感心しました。つまり、10月の第1週から毎週勝ち続けているわけです。サンデーサイレンスは01年から02年にかけて12週連続新馬戦勝利という記録を作っていますが、当時は“折り返しの新馬戦”があったので参考記録に過ぎません。初戦のみに限定すると、03年に8週連続、04年に9週連続という記録があります。サンデーサイレンスが全盛期に樹立した記録をディープインパクトは更新したわけですから立派というほかありません。

■土曜中山9R・ひいらぎ賞(500万下・芝1600m)は牝馬のフレンチカクタス(父タイキシャトル)が1番人気に応えました。
http://www.youtube.com/watch?v=C8x0nLDV6K0

全兄ダイワフラッグはダート馬。血統的にもダートのほうが良さそうなタイプに思えたので、芝でこれほどやるとは……という感じです。同じ血統でも、牡馬に比べて牝馬のほうが素軽く出てくることが多いので、芝にも適応したのでしょう。大柄な馬格から繰り出すフットワークは迫力十分です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100801/

前走の赤松賞(500万下)はダンスファンタジアに軽くひねられて2着。ダンスファンタジアは阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で9着に敗れたのですが、折り合いを欠いたというはっきりとした敗因があります。フレンチカクタスを物差しにして考えると、やはり強い馬であるのは間違いないでしょう。

2010年12月13日 (月)

阪神ジュベナイルフィリーズはレーヴディソール

ここ数年、日本競馬は男勝りの牝馬が支えてきた感があります。◎レーヴディソール(1番人気)はその系譜に連なる可能性のある馬でしょう。盤石の横綱相撲でした。個人的に阪神ジュベナイルフィリーズの予想は、毎年伏兵馬に◎を打っているのですが、今年はデイリー杯2歳Sを見て穴を狙う気が失せました。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』と『ウマニティ』に提供した予想は◎△で馬単1490円的中。予想文を転載します。

「◎レーヴディソールは『アグネスタキオン×ハイエストオナー』という組み合わせ。アプレザンレーヴ(青葉賞)、レーヴダムール(阪神ジュベナイルフィリーズ-2着)など兄弟4頭はすべてOPクラスに出世している。母レーヴドスカーはサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)の勝ち馬。過去2戦のレースぶりは華々しい血統背景に恥じないもので、前走のデイリー杯2歳S(G2)ではアグネスタキオン産駒らしい爆発的な末脚を繰り出して牡馬の一線級をなで斬った。周知のとおり阪神ジュベナイルフィリーズの勝ち馬は、ウオッカ、トールポピー、ブエナビスタ、アパパネと4年連続でクラシックを制している。レースぶりや血統背景から、それらに引けを取らない高い資質を備えていることはほぼ間違いないと思われる。牝馬同士ではモノが違うだろう。」

2着△ホエールキャプチャ(4番人気)は、距離損のないラチ沿いを通りました。レーヴディソールは終始外を回っていたので、半馬身という着差以上に両馬の能力差はあると思います。

レーヴディソールの母レーヴドスカーは、同じ Highest Honor 産駒のG1ウィナー Marotta(サンタラリ賞)と配合構成が酷似しています。似た配合でともにG1を勝つというのは、構成が優れていることの証明ではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/reve+doscar
http://www.pedigreequery.com/marotta

         ┌ Highest Honor
         │   ┌ Blushing Groom
レーヴドスカー ―┤ ┌○┘ ┌ Nijinsky
         └○┤ ┌○┘
           └○┤ ┌ Sir Gaylord
             └○┘

         ┌ Highest Honor
         │   ┌ Blushing Groom
Marotta ―――――┤ ┌○┘ ┌ Nijinsky
         └○┤ ┌○┘
           └○┤ ┌ Sir Gaylord
             └○┘

レーヴドスカーには、切れ味を伝える Sir Gaylord 4×4(5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」をご参照くださいませ)に加え、現代スピード血統の祖ともいえる Nasurullah がイヤというほど詰め込まれています(Nasrullah=Rivaz 5・5・6・6・6×5)。

ただ、ナイフの刃のようなこうした鋭さが剥き出しになっているわけではなく、「Highest Honor×バイアモン」という、むしろ輪郭のぼやけた鈍い血がオブラートのように包み、そのオブラートの部分に含まれるヨーロッパのスタミナ血統が、全体のバランスを取ることで奥行きのある名繁殖牝馬が誕生したのではないかと思います。Palestine≒Aimee 6×5、Azalea≒Pavot 6×7、Avena=Harina 6×7、Roman≒Admiral Drake 6・7×7など、薄めの全きょうだいクロス、4分の3同血クロス、相似な血のクロスが幾重にも張り巡らされた繊細な配合です。体質の弱さを伝えることを差し引いても、念願のG1ホースを送り出したわけですから、歴史に残る名繁殖牝馬といえるでしょう。

2着に食い込んだホエールキャプチャはベストクルーズ(ファンタジーS-2着、阪神ジュベナイルフィリーズ-3着)と配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100544/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100569/

           ┌ クロフネ
ホエールキャプチャ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └○┐
               └○┐
                 └ チヨダマサコ

           ┌ クロフネ
ベストクルーズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ チヨダマサコ

クロフネ産駒は基本的にG1では買いたくありません。ただ、この馬は私が考えるクロフネ産駒の成功パターンに合致しており、ちょっと見どころがあると思います。いずれそれを語る機会もあるでしょう。

2010年12月12日 (日)

中日新聞杯はトゥザグローリー

向正面でペースが落ちたときにスッと位置取りを上げたデムーロ騎手が上手かったですね。ラスト3ハロンのラップが11秒5-11秒3-11秒1という上がりの勝負。スローで逃げた△コスモファントム(6番人気)が2着に粘り、◎トゥザグローリー(1番人気)が上がり33秒6で完勝しました。先週の鳴尾記念に続き3歳馬が1~3着を独占。キングカメハメハ産駒はジャパンCのローズキングダム、鳴尾記念のルーラーシップに続き3週連続重賞制覇です。
http://www.youtube.com/watch?v=SE2t6qURAyU

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単2600円、◎△○で3連単14000円的中。予想文を転載します。

「◎トゥザグリーリーは「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を勝ち、ドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統で、来年はG1戦線の常連となるはず。2000mならこのメンバー相手でも力は上。本質的に小回り向きではないが能力の高さでねじ伏せるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103265/

トゥザグローリーの良さは、勝負どころで手が動いても、直線でしっかりとした伸びを見せるところ。4コーナーで好位に付けていれば安心して見ていられます。

「本質的に小回り向きではないが」という部分は、芝コースにおける「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の全般的な性質です。「キンカメ×サンデー」の芝連対率は22.4%と、「キンカメ×非サンデー」の20.5%を上回っているのですが、小倉、中京、札幌という小回りのローカルコースでは逆に数値が下がります。小倉では「キンカメ×非サンデー」が21.9%であるのに対し、「キンカメ×サンデー」は12.9%しかありません。この配合は、母の父サンデーから受け継いだと思われる確かな末脚が武器ですから、基本的に直線の長いコースで伸び伸びと走るのが合っています。

そうしたデータは承知の上で、あえてトゥザグローリーに◎を打ったのは、この馬の素質の高さが一枚抜けていると考えたから。過剰と思えるほど代々 Hyperion を入れてきた牝系なので、成長力に関しては太鼓判を押せます。予想文に記したとおり、来年はG1戦線の常連となるでしょう。

2010年12月10日 (金)

Hyperion 没後50年(後)

Hyperion を生産したのは第17代ダービー伯爵のエドワード・スタンリー。しかし、実際に配合をデザインしたのは、彼の血統アドバイザーであるウォルター・オルストンです。

サラブレッドの器は配合(つまりDNA)によって決定されます。器が小さければいくらトレーニングしようが大きなレースには勝てません。ですから、優れたサラブレッドを生み出すためには、“繁殖牝馬にどの種牡馬を交配するか”という部分にこそ、最も多くの関心と知的労力を注がなければならないと思います。聡明なダービー伯爵はそのことを理解していました。血統研究家として名高いウォルター・オルストンを招聘し、彼の手腕に牧場の将来を委ねたのです。

オルストンが Hyperion をどのようにして作ったか、という具体的なプロセスについては、書き始めると長くなるので、来週あたりに概要を記したいと思います。感嘆すべきテクニックがそこには込められています。
http://www.pedigreequery.com/hyperion

Hyperion のサイアーラインは、60~70年代にかけて日本でも一定の勢力を誇り、メイズイ、カブトシロー、タケシバオー、タイテエム、ハイセイコー、グリーングラスといったビッグレースの勝ち馬が出ました。この系統の最後の名馬は98年に皐月賞と菊花賞の二冠を制したセイウンスカイ。これ以降、Hyperion 系のクラシック勝ち馬は出ていません。日本だけでなく世界的に見ても Hyperion 系は役割を終えた感があり、これから発展しそうなラインは見当たりません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995107393/

ただ、サイアーラインが衰退したからといって、血脈の価値が下がるわけではありません。昨日のエントリーでトニービンを例に挙げたように、Hyperion の影響力は現代においても非常に大きいものがあります。とくに Northern Dancer に含まれている点は見逃せません。Northern Dancer が小柄だったのは、同じく小柄だった Hyperion の影響もあるのでは……とも思います。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

ここ20年間のヨーロッパで最も成功した種牡馬である Sadler's Wells とデインヒルは、いずれも Northern Dancer 系で、Hyperion クロスを持っています。クラシック向きのスタミナと底力、そして成長力を補おうとするとき、Hyperion ほど頼りになる血はありません。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/danehill

Hyperion は偶然の産物ではなく、ウォルター・オルストンの深い血統研究から誕生した傑作です。育種とは何か、サラブレッドを改良するにはどうすればよいかという大きな命題に対し、当時のイギリス生産界が出した回答です。世界ナンバーワンだったイギリス競馬は、実践的な配合研究においても世界をリードする存在でした。Hyperion の血統表を眺めて得られる感動は、そうした豊かさに触れる感動でもあります。

2010年12月 9日 (木)

Hyperion 没後50年(前)

『世界の名馬』(原田俊治著/サラブレッド血統センター)の「ハイペリオン」はこんな一文から始まります。

「その卓越した競馬成績と特に種牡馬成績によって“世紀の名馬”といわれたハイペリオンは、1960年(昭和35年)12月9日、ニューマーケット競馬場にほど近いウッドランド牧場で老衰のため死んだ。」

ちょうど50年前の今日です。

Hyperion の生涯については、『世界の名馬』のほかにも多くの文献を日本語で読むことができます。『伝説の名馬 PartI』(山野浩一著/中央競馬ピーアール・センター)の「ハイペリオン」は以下の文章で結ばれています。

「31歳を迎えたハイペリオンのために屋根付きの放牧地をつくると、ハイペリオンはまだまだ元気一杯に走りまわっていた。しかし、寒さの到来とともにハイペリオンは急に弱りだし、たちまち呼吸困難に陥っていった。ダービー伯はその姿を見ていることができず、館に閉じこもっていたが、間もなく場長がダービー伯には無断で安楽死させたことを告げにきた。ダービー伯はその気持ちに感謝の意を告げ、ウインストン・チャーチル卿の来訪時に開けたブランデーをみんなで飲んだ。そしてウッドランド牧場にハイペリオンの巨大な銅像を建てた。」

Hyperion(1930年生)は英二冠を制した名馬で、ダービーの勝ちタイムは当時のレコード。種牡馬としても大成功し、1940年代から50年代にかけて英愛種牡馬ランキングで6回首位に立ちました。20世紀のイギリスを代表する名種牡馬の1頭といえるでしょう。

イギリス競馬が300年の淘汰によって産み出した最良の血、とでもいうべき傑作で、Hyperion が伝えたクラシック向きのスタミナと底力は全世界で重宝されました。

東京コースは、長い直線に坂があるというタフさゆえに、能力検定としては確かなものがあります。このコースで Hyperion は高い信頼性を誇りました。Hyperion の影響の強い血はこのコースで信頼できます。

たとえばトニービン。血統表をご覧いただければ分かるように、Hyperion 5×3・5です。私はこの馬を Grey Sovereign 系としてとらえたことは一度もありません。どう考えても Hyperion です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/

東京コースにおけるトニービン産駒の強さはあらためて説明するまでもないでしょう。産駒が制した13勝のG1のうち、11勝は東京コースで挙げました。(続く)

2010年12月 7日 (火)

リベルタス、本質的にマイラーではないけれど

■土曜中山10R・葉牡丹賞(500万下・芝2000m)はショウナンパルフェ(2番人気)が差し切り勝ち。苦しい位置取りからよく逆転したというレースで、着差以上に強い内容です。最後の1ハロンしか競馬をしていないので上がりの遅さは気になりません。こういうカミソリのような切れ味はアグネスタキオン産駒の最大の長所です。
http://www.youtube.com/watch?v=g8b6hQ7AduA

全姉ショウナンタレント(フラワーC)、半兄ショウナンアルバ(父ウォーエンブレム/共同通信杯)という良血。母シャンランはやや時代とズレたヨーロッパ血統が主体となっているので、そうした血が好物のアグネスタキオンとはフィットします。課題のスタートも今回は成功しました。とりあえずG3は勝てるという血統ですから、次走は楽しみです。G1クラスで勝負になるかどうかは今後の成長次第でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102018/

■日曜阪神9R・千両賞(500万下・芝1600m)は、ラトルスネーク(2番人気)が序盤に引っ掛かり自滅。リベルタス(1番人気)が難なく勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=9iTEsowxROk

ラトルスネークがテンションの高い馬だということは、初戦に騎乗したムーア騎手も指摘していました。一度使ってさらにテンションが上がったのか、パドックからうるさいところを見せていました。こういう気性はすぐに治るものではないので、今後の競走生活に影を落としそうです。素質があるだけになんとかなってほしいものですが……。

リベルタスはパドック映像を観ていい馬だなと思いました。使うごとにどんどん良くなっています。半兄にローエングリン(父 Singspiel/重賞4勝)、ブレーヴハート(父サンデーサイレンス/ダイヤモンドS-2着)。母方がヨーロッパ血統で固められているので、有力と目されるディープインパクト産駒のなかではかなり異質な存在です。マイル向きではないと思うのですが、それでも勝ってしまうのですから器が違うということでしょう。ディープインパクト産駒はハイペースの競馬に強いタイプが多いと思うで、スピードさえあれば、ラップが落ちないマイル戦への適応力は高いのかもしれませんね。次走は朝日杯フューチュリティS(G1)。この距離ベストの世代トップクラスを相手にしたときに、ゴール前でグイッと抜け出す力があるのかどうか。そう楽観視はできないと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102819/

2010年12月 5日 (日)

ノーブルジュエリー圧勝

土曜日の2歳戦では大物が1頭勝ち上がりました。阪神6R・新馬戦(芝1400m)の◎ノーブルジュエリー(1番人気)。スピードの違いでハナに立つと、直線で後続を9馬身ちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=YDWXkJdHZWs

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△★で3連単68670円的中。予想文を転載します。

「◎ノーブルジュエリーは『スマーティジョーンズ×モンズン』という組み合わせの外国産馬。父スマーティジョーンズはケイアイガーベラ(プロキオンS)の父だが、芝・ダート兼用で、本馬は母ノーブルステラがドイツ血統の芝馬。現役時代にアメリカで芝重賞を4勝している。芝は問題なくこなすだろう。父スマーティジョーンズは新馬戦に抜群に強く、芝では連対率60%を誇る。水曜日のCWで好時計をマークしており、凡走はなさそうだ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110008/

1分21秒3という勝ちタイムは、芝1400mで行われた新馬戦の歴代ナンバーワン記録です。最終レースに同コースで行われた古馬1000万下でも3着に相当するのですから優秀ですね。

父 Smarty Jones はプロキオンS(G3・ダ1400m)をレコード勝ちしたケイアイガーベラの父で、現役時代は米二冠(ケンタッキーダービー、プリークネスS)を制覇。当ブログでも7月12日のエントリー「ケイアイガーベラとサンデー系」でちょっと触れたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-4325.html

ケイアイガーベラとノーブルジュエリーのおかげで日本では産駒が走っているイメージがあるのですが、しかし、アメリカではサッパリの成績で、種付け料は年を追うごとにみるみる下がり、来年はケンタッキー州からペンシルベニア州に都落ちすることが決定しています。

母ノーブルステラはドイツで生まれてアメリカへ渡り、4つの芝重賞(9~12f)を制しました。「Monsun×Dashing Blade」ですから、仏オークス(G1)をはじめ4つのG1を制した名牝 Stacelita と同じ組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/stacelita

ノーブルジュエリーの配合は典型的なアウトブリードです。父はアメリカのスピード血統、母はドイツ血統を主体としたヨーロッパの中距離血統。ドイツ血統は、Sadler's Wells と結びつけばヨーロッパの芝2400m路線の活躍馬を出しますし、こうしてアメリカのスピード血統と結びつけば芝向きの優秀なスプリンター~マイラーを出します。もちろん、ブエナビスタやマンハッタンカフェなどのように、サンデーサイレンスとの相性も良好です。この幅広い対応力、奥の深さがドイツ血統の強みではないでしょうか。4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」で以下のように述べました。

「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

アメリカ血統とヨーロッパ血統の美点を融合したノーブルジュエリーは、じわじわと加速して粘り強いというタイプで、今回の競馬のようにハイペースで飛ばしてバテません。これは瞬発力を武器とするサンデー系とは対照的な特長です。クラスが上がってサンデー系の強豪とぶつかったとき、どんな競馬になるのか、そしてどっちに軍配が挙がるのか楽しみです。ちなみに、JBISサーチで調べたところ、母ノーブルステラは今年ディープインパクトの牝馬を産んでいるようです。

望田潤さんのブログを読んだら、ノーブルジュエリーをPOGで指名されていたとのこと。おめでとうございます。今度札幌へ行ったときは蟹料理が食べたいなぁ(笑)。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/

2010年12月 3日 (金)

水曜坂路の好調教馬、ヌーベルバーグ

12月2日夜に放送された『アメトーーク』(テレビ朝日)。今週は「競馬芸人」の回でした。初心者入門としてよくできた内容で、競馬新聞の見方から面白エピソードの紹介までを幅広く網羅し、競馬の宣伝効果としてはJRAのCM何百回分にも相当したのではないかと。

年に数回、所用でJRA本部に行くのですが、職員の方々が立ち働くフロアには「祝! ○○記念 105・2%」「祝! ○○ステークス 108・9%」といった短冊が天井から吊されています。要するに前年比の売り上げを示したもので、100%以上になった重賞がズラリと並べられているのです。売り上げ増に向けて熱心に取り組んでいるんだなぁということがよく分かります。今回の番組によってすぐに売り上げ増加が見込めるわけではないでしょうが、競馬を身近に感じてもらうための種まきとしては成功だったのでは?

さて、今週の新馬戦出走馬のなかで好調教をマークした馬をピックアップしたいのですが、どれか1頭選ぶとなれば、水曜日の栗東坂路で未出走馬の一番時計をマークしたヌーベルバーグ(父ディープインパクト・音無厩舎)でしょうか。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)で2着となったシークレットコードの半妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102997/

この馬の配合はちょっとおもしろいところがあります。まず、「ディープインパクト×Lost Code」なので、「サンデー×Lost Code」のハットトリック(香港マイル、マイルCS)と似ています。母マジックコードはカナダの最優秀古馬牝馬に選ばれた活躍馬。

母の父 Lost Code は“Chieftain≒Fast Trun 4×3”がミソです。
http://www.pedigreequery.com/lost+code

         ┌ Nasrullah(≒Royal Charger)
       ┌○┘
Chieftain ――┤ ┌ Roman(≒Admiral Drake)
       └○┤
         └ How(=Cherokee Rose)

         ┌ Royal Charger(≒Nasrullah)
       ┌○┤ ┌ Admiral Drake(≒Roman)
Fast Turn ――┤ └○┘
       └ Cherokee Rose(=How)

ディープインパクトに含まれる Lady Rebecca は、Chieftain の半妹であり、なおかつ Fast Turn と配合構成が似ています。

           ┌ Turn-to
         ┌○┘
       ┌○┘
Lady Rebeca ―┤
       └○┐
         └ How(=Cherokee Rose)

       ┌ Turn-to
Fast Turn ――┤
       └ Cherokee Rose(=How)

要するに、Lost Code が抱える相似な血のクロスを、父ディープインパクトが継続していることになります。

ディープインパクトの配合において、Lady Rebecca の構成要素を強化することが大事ではないかということを、5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」で述べました。そうした視点から見てぴったりの配合だと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

2代母の父 Flying Paster が大物感に欠ける二流血脈なので、ちょっと信頼しきれず「栗山ノート」には含められなかったのですが、稽古で動いているということはいいものを持っているのでしょう。日曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)に出走する予定です。

2010年12月 1日 (水)

日曜日の2歳戦いろいろ

■京都9R・白菊賞(500万下・芝1600m)はディープインパクト産駒のワンツーフィニッシュ。勝ったドナウブルー(1番人気)はデビュー2連勝です。
http://www.youtube.com/watch?v=0Z_Jj8km_e0

勝ちタイムは1分36秒8と遅いのですが、これは1000m通過が62秒6というスローペースだったため。勝ち馬の上がり3Fは33秒4。レースのラスト1ハロンは10秒9ですから、勝ち馬は10秒7~8ぐらいの脚を使っています。一瞬の切れ味はレーヴディソールといい勝負ではないでしょうか。小柄ですがフットワークが大きく回転が速いですね。

ディープインパクト産駒の2勝馬は現在のところディープサウンドとドナウブルーだけですが、いずれも母の父は Danzig の息子で、Lyphard クロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102871/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/

5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」のなかで以下のように述べました。

「ディープインパクト産駒は、アメリカ血統をどう入れるかが配合の鍵ではないかと思います。ディープの母系は上品なヨーロッパ血統が主体となっています。配合相手にもヨーロッパの血が強い場合、産駒にはスピード面の不安と、杞憂かもしれませんが馬体が柔らかくなりすぎる懸念が出てきます。ディープインパクト産駒は小柄でやや細身というタイプが目に付くので、アメリカ血統をしっかり入れることで筋力の強化と馬格の充実を図り、スピード面の不安を解消できるという効果が期待できます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

Danzig は筋肉質の馬体を伝えるので、ディープインパクトに足りないものを補うという意味でフィットするのかもしれません。Lyphard クロスに関しては、デビュー前はマイナスにとらえていたため避けていたのですが、問題がないどころかむしろ走っています。これは意外でした。

■東京9R・新馬戦(芝1600m)は◎ラヴェルソナタ(1番人気)が馬群を割って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=CxC8JSG8lxg

「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」はワイルドラズベリー、ダンスファンタジア、ラルケットなどが出ているニックスで、とくに芝新馬戦では連対率38.5%と抜群の成績。芝新馬戦でこの配合馬がそこそこ人気に推されているようなら迷わず買いです。

母ハッピーパスは京都牝馬S(G3)の勝ち馬で、シンコウラブリイ(マイルCSなど重賞6勝)の半妹にあたる良血。04年に引退後、繁殖生活に入ったのですが、妊娠しにくい体質でしばらく子宝に恵まれませんでした。スタッフの努力が実ってようやく授かったのが本馬。ちょっと応援したくなる馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103258/

■京都2R・未勝利戦(芝1400m)はクリアンサス(1番人気)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=GhcSib87Cco

父 Redoute's Choice は豪リーディングサイアーに輝いた快速種牡馬。母フラワーパークは最優秀短距離馬。短いところが似合う血統です。1、2戦目は芝1600mで結果が出ませんでしたが、1ハロンの距離短縮で見違えるようにレースぶりが良化しました。1200mならさらに良いでしょう。配合的に評価している馬なので次走も楽しみです。http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102710/

2010年11月27日 (土)

ジャパンCの外国招待馬

節目の30回目ということで、今年はJRAが頑張って出走馬を8頭も集めてきました。03年(9頭)以来の大量出走です。

1頭ずつ簡単にコメントしてみたいと思います。

■1番 ヴォワライシ Voila Ici(伊・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/voila+ici
父 Daylami はBCターフ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英チャンピオンSをはじめG1を勝ちまくった名馬ですが、種牡馬としては期待外れの成績です。昨年のジャパンC4着馬コンデュイットは、父が Daylami の半弟 Dalakhani、母の父が Sadler's Wells ですから、Daylami×Barathea(その父 Sadler's Wells)の本馬と配合構成がよく似ています。コンデュイットでさえ4着ですから、それよりはるかに実績が劣るこの馬では……。

■3番 ダンディーノ Dandino(英・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/dandino2
父 Dansili はデインヒル系の2400mタイプでは最も成功している種牡馬で、ハービンジャー(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Rail Link(凱旋門賞)などを出しています。本馬は重賞勝ちのない3歳馬ですから明らかに格下。母の父がジェネラスでは高速馬場への対応力にも疑問です。

■5番 モアズウェルズ Mores Wells(仏・牡6歳)
http://www.pedigreequery.com/mores+wells
母は芝16ハロンのクイーンズヴァーズ(英G3)の勝ち馬。これに日本では実績のない Sadler's Wells が父ですから、Shirley Heights とのニックスがあるといっても、日本の馬場に対応できるような軽快なスピードは期待できません。6歳秋ですから上がり目もないでしょう。

■9番 ティモス Timos(仏・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/timos
ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては当ブログでも何度か記してきました。本馬は2代父が Sadler's Wells、母の父が Surumu。このパターンは Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)と同じです。ただ、地元フランスでナカヤマフェスタ、ヴィウトワールピサに先着できなかったこの馬が、アウェーで逆転するという計算は成り立ちません。

■12番 ジョシュアツリー Joshua Tree(愛・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/joshua+tree3
父 Montjeu は軽快なスピードに欠けるため、日本ではサトノコクオーのように芝よりもダート向きの産駒が目立ちます。母方に Shirley Heights が入る Montjeu 産駒なので、Fame and Glory(愛ダービー、コロネーション、他)と似ています。ただ、血統的に日本向きではないので、空き巣のカナダG1を勝った程度の実力では厳しいでしょう。

■15番 フィフティープルーフ Fifty Proof(加・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/fifty+proof
父 Whiskey Wisdom は、Skip Away が勝った97年のBCクラシックに5戦全勝の成績を引っ提げて挑戦したものの4着(3位入線も降着)。このレースを最後に引退し、カナダで供用されました。サンライズプリンス(ニュージーランドT)の母メインリーは Whiskey Wisdom の全妹です。低レベルだったカナディアン国際Sで5着ですから力が足りないでしょう。

■17番 マリヌス Marinous(仏・牡4歳)
http://www.pedigreequery.com/marinous
父 Numerous はジェイドロバリーの全弟にあたるマイラー型種牡馬。母の父 Panoramic の「Rainbow Quest×Roberto」というスタミナによって中長距離への対応力を獲得しました。「ジェイドロバリー×オペラハウス」のマームードイモンが長距離を苦にしないのと同じです。Nijinsky と Blushing Groom のニックスを持つなど全体的な配合も悪くなく、凱旋門賞6着という成績も良好なので、外国招待馬のなかでは最先着する可能性が高いと思います。ただ、馬券になるかというと微妙ですね。

■18番 シリュスデゼーグル Cirrus Des Aigles(仏・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/cirrus+des+aigles
父 Even Top は英2000ギニーの2着馬。種牡馬としてはまったくの無名です。昨年はコンセイユドパリ賞(仏G2・芝2400m)を勝って臨んだ香港ヴァーズ(G1・芝2400m)で5着。今年はコンセイユドパリ賞2着のあとここに臨んできました。香港ヴァースで5着程度の実力では厳しいでしょう。日本の馬場はこなすと思いますが、決め手のない馬なので上位進出は望み薄です。

【結論】
今年の日本勢の層の厚さは過去最高レベル。それに対し、外国招待馬は頭数こそ多いもののレベルはイマイチ。苦戦必至でしょう。マリヌスが大駆けしたときに掲示板に載れるかどうか、といったところですね。

2010年11月26日 (金)

サクラユタカオー死亡(後)

社台ファームは70年代の Princely Gift ブームに背を向け、もちろんテスコボーイ、トウショウボーイとも無縁でした。しかし、トウショウボーイの代表産駒である三冠馬ミスターシービーを社台スタリオンステーションに導入したのに続き、サクラユタカオーの獲得にも乗り出しました。こちらの交渉は失敗するのですが、静内スタリオンステーションに繋養されたサクラユタカオーのもとへ毎年繁殖牝馬を送り込み、「サクラユタカオー×ノーザンテースト」という90年代を代表するニックスによって、サクラバクシンオー、ダイナマイトダディ、トゥナンテ、エアジハード(2代母の父がノーザンテースト)といった活躍馬を生産しました。この配合は他牧場でも成功し、サクラキャンドル、システィーナなどが誕生しています。

シルクロードS(G3)2着など重賞戦線で頑張っているショウナンカザンは、サクラバクシンオー≒ダイナマイトダディ2×2。リスクの高いこのような配合でもしっかり走ってしまうのですから、サクラユタカオーとノーザンテーストの組み合わせはいいものを伝えているのだなぁと実感します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005101404/

代表産駒のサクラバクシンオーは2年連続でスプリンターズS(G1・芝1200m)を制しました。1400m以下では12戦11勝、芝1400mで日本史上初めて1分20秒の壁を破った馬でもあります。種牡馬としても成功し、日本競馬にスピード革命をもたらしたテスコボーイのサイアーラインを繋げることに成功しています。また、もう1頭の代表産駒であるエアジハード(安田記念、マイルチャンピオンシップ)は、ショウワモダン(安田記念)の父となりました。

テスコボーイが送り出した牡馬のうち、最も優れていたのはトウショウボーイとサクラユタカオー。トウショウボーイは代表産駒ミスターシービーが失敗したのが大きく、サイアーラインはほぼ絶滅しています。一方、サクラユタカオーはサクラバクシンオーとエアジハードを残しました。

日本産馬のレベルが世界水準に達していなかった時代は、相対的に能力が高い外国産種牡馬が次々と導入され、そのたびに日本国内の血統は更新され、ランキングの上位はそれらに独占される状況でした。内国産の系統は、代を経るごとに能力を上げていかなければ、外から入ってくる種牡馬群に対抗できません。輸入種牡馬のレベルは日本経済の発展と歩調を合わせるように、60年代、70年代、80年代、90年代と上がっていったからです。輸入種牡馬のレベル上昇に敗れ去った内国産ラインはどんどん淘汰されていき、ほとんど残りませんでした。

そうした厳しい時代を生き抜き、約40年にわたって日本に根付いているテスコボーイ系は素晴らしいとしかいいようがありません。サクラユタカオーはその発展に大きく寄与した名種牡馬でした。合掌。

2010年11月25日 (木)

サクラユタカオー死亡(前)

いまから24年前、1986年に行われた第6回ジャパンCで、サクラユタカオーは1番人気に推されました。この年の秋、同馬は競走馬としてのピークを迎えており、毎日王冠(G2・芝1800m)を1分46秒0、続く天皇賞・秋(G1・芝2000m)も1分58秒3と、2戦連続で日本レコードを樹立していました。

530キロに達する雄大で均整の取れた馬体、輝くような明るい栗毛、温和な気性。いかにも良家のボンボンといった風情がありました。天皇賞を制した夜、NHKのスポーツニュースに小島太騎手が中継で出演し、インタビューを受けたという記憶があります。それぐらいスターホースとしての扱いを受けていました。

しかし、期待を背負ったジャパンC(G1・芝2400m)は6着。距離の壁はいかんともしがたいものがありました。

誤解を恐れずにいえば、種牡馬としての可能性という意味では、この結果はポジティヴなものだったと思います。種牡馬というものは、特長のないオールラウンダーよりも、伝えるものがはっきりしている馬のほうが成功すると思います。それがスピードであれば申し分ありません。サクラユタカオーの持ち味は中距離におけるズバ抜けたスピード。2400mでタレたことでこの一芸が際立った、というとらえ方もできるでしょう。

半兄サクラシンゲキ(重賞4勝)、甥にサクラスターオー(皐月賞、菊花賞)がいる良血で、3代母スターロッチは有馬記念とオークスを制した名牝です。日本における最良の在来牝系のひとつといえるでしょう。

これに Nasrullah 3×4というスピード豊かなクロスを施した配合は、シンプルで狙いがはっきりしています。母方にネヴァービートを持つテスコボーイ産駒といえば“黄金の馬”ハギノカムイオー。これも速い馬でした(Nasrullah 3×5・5)。このほか、Jury≒Precipitation 4×5という相似な血のクロスもあるので、配合の完成度は高いと思います。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982101222/

        ┌ Hurry On
Jury ―――――┤ ┌ Bachelor's Double
        └○┤
          └○┐ ┌ Desmond
            └○┘

        ┌ Hurry On
Precipitation ―┤ ┌ Bachelor's Double
        └○┤
          └○┐ ┌ Desmond
            └○┘

2010年11月24日 (水)

先週の2歳戦(後)

土曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がった▲コウヨウレジェンド(4番人気)は、重賞を勝ったアサヒライジングの全弟です。姉の主戦ジョッキーでもあった柴田善臣騎手が手綱を取ったので、先行抜け出しという戦法に迷いはなく、それがぴったり嵌りました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101842/

アサヒライジングは個人的に非常に好きな馬で、オークスや秋華賞では◎を打った記憶があります。重賞勝ちはクイーンC(G3)しかありませんが、アメリカンオークス(G1)、秋華賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)でそれぞれ2着となりました。

その配合については、7月11日のエントリー「ジェッタ牝系とヒンドスタン」で触れておりますので、ぜひご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-015d.html

母アサヒマーキュリーは「ミナガワマンナ×ボンモー×タマナー」。配合を眺めているだけで頭がクラクラしてきます。アサヒライジングの半姉にアサヒヴィーナス(父コマンダーインチーフ)という馬がいて、これも応援していたのですが、タップダンスシチーが圧勝したジャパンCの当日、ベゴニア賞の直線で前肢を折って死んでしまいました。ちょうど7年前ですか。あれはかわいそうでした……。

日曜日の2歳戦で注目したいのは、京都2Rの未勝利戦(ダ1800m)を勝ち上がったボレアス、京都6Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったアドマイヤコリン。

京都2R未勝利戦(ダ1800m)のボレアスは、これまでにデビューしたディープインパクト産駒のなかで、最も父に似たレースぶりだったと思います。スタートで安めを売って、勝負どころで大外からマクり、直線で楽々と引き離す。まるっきり親父と同じだなぁ~と、レースを見ながら思わずニヤッとしてしまいました。勝負服まで同じです。
http://www.youtube.com/watch?v=vJhYehBJ334

2代母クロカミは重賞2勝馬。Caerleon 産駒ではあるのですが、母の父 Desert Wine が強く主張しているようで、産駒はどれもこれも決め手のないダート馬ばかり。母クロウキャニオンもそうでしたね。半兄キラウエア(父キングカメハメハ)もダート馬なので、本馬もこの路線がいいでしょう。

京都6R新馬戦(芝1800m)の○アドマイヤコリン(1番人気)は逃げ切り勝ち。ディープインパクト産駒は本馬を含めて過去に6頭が逃げているのですが、すべて勝っているというデータがあります。母シルクプリマドンナはオークス馬。土曜日に京都の新馬戦を勝ち上がったリトルダーリン(父ディープインパクト)も、母エリモエクセルはオークス馬でした。先週は「ディープインパクト×オークス馬」が2頭新馬勝ちを果たしたことになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103173/

牡馬ながら馬体重は420キロしかありません。母シルクプリマドンナはデビューから引退までに馬体重を28キロ増やしたので、この馬もまだ成長の余地があるでしょう。

母シルクプリマドンナは「ブライアンズタイム×Northern Dancer」ですから四冠馬ナリタブライアンと同じ。底力はあるものの重くて硬いという血統です。こういう繁殖牝馬に芝向きの軽快さを与えて走らせるのは難儀なのですが、ディープインパクトはそれをやってのけるのですからやはり優秀ですね。ただ、母の父は Roberto 系のブライアンズタイムですから決め手には乏しく、逃げの手に出たのは正解だったと思います。

父ディープインパクト、母の父ブライアンズタイムはいずれも Admiral Drake≒Roman が構成要素のひとつなので、その脈絡の効果も多少はあったかもしれません。内回りコースやローカルの小回りコースでさらに良さが活きるタイプだと思います。皐月賞で穴を開けるとしたらこのタイプでしょう。

2010年11月23日 (火)

先週の2歳戦(前)

ディープインパクト産駒が先週5勝を挙げ、初年度産駒の2歳戦勝利数記録である30勝(94年サンデーサイレンス)に並びました。今年はあと5週あるので相当な上積みが期待できそうです。おそらく45~50勝ぐらいは行くだろうと予想します。ちなみに、04年にサンデーサイレンスが2歳戦の最高記録である54勝を挙げたとき、同じ時期に34勝を挙げていました。これよりはやや遅いペースです。

サンデーサイレンスの初年度産駒は67頭。ディープインパクトの152頭に比べると半分以下です。ただ、30勝到達時点の出走回数を比べてみると、サンデーサイレンスの107走に対しディープインパクトは114走と、大きな差はありません。中身は濃いですね。

トップクラスの種牡馬が30勝に到達するまでにどれぐらいの出走回数を要したか比べてみます。

サンデーサイレンス 107走
ディープインパクト 114走 ←←←
アグネスタキオン  181走
クロフネ      186走
サクラバクシンオー 216走
ジャングルポケット 265走
ゼンノロブロイ   267走
シンボリクリスエス 280走
キングカメハメハ  284走
フジキセキ     288走
ネオユニヴァース  332走
スペシャルウィーク 355走
マンハッタンカフェ 357走

サンデーサイレンスとディープインパクトだけが別次元で、他の種牡馬とは一線を画しています。

土曜日の2歳戦で注目したいのは、京都6R新馬戦(芝1600m)を勝ち上がったリトルダーリン、東京5R新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったコウヨウレジェンド。

リトルダーリンは「栗山ノート」で指名した馬です。春ごろは馬体重が380キロぐらいしかないという話もあったので、これはちょっと厳しいのかな……と思っていたのですが、初戦は404キロでした。あと20キロぐらいは増えてほしいですね。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は以下のとおり。

「◎リトルダーリンは『ディープインパクト×ロドリゴデトリアーノ』という組み合わせ。母エリモエクセルはオークス(G1)など4つの重賞を制した名牝。母方にセックスアピール(ラトロワンヌの強い凝縮)やリヴァーマン(ローマンを内包)を持つ配合パターンは好ましい。馬体は小さいようだが素質は高いだろう。」

「栗山ノート」のディープインパクト産駒の項では、母方に Riverman を持つ馬を何頭か選びました。“Pocahontas≒River Lady”が生じ、それらに含まれる Roman がディープインパクトの構成要素のひとつの核なので、好結果が期待できるのではないかと考えたからです。今週、京都2歳Sに出走するレッドセインツなどもそうです。

予想文にも書きましたが、La Troienne の強い凝縮がある Sex Appeal のような血は、おそらくディープインパクトに合うでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sex+appeal

ディープインパクトにアメリカ血統が合うことは産駒のデビュー前から主張してきました。そして、La Troienne を持っていないため、そのエッセンスを濃厚に含んだ血を新たに注入することは悪くないでしょう。ですから、Sex Appeal の息子たち(トライマイベスト、El Gran Senor)を含んだ馬も何頭か指名しました。まだサンプルが少ないので何ともいえない状況ですが、数年経てばだいたい傾向が明らかになると思います。

このパターンの1頭がレッドディアーナ(母ケイウーマン)。同馬はそれだけでなく、3代母が River Lady なので大きな期待を掛けていました。しかし、聞くところによると肺炎に罹ってしまったようで、残念ながらデビュー予定は白紙に。素晴らしい配合馬だけに残念です。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/

2010年11月22日 (月)

サトノオー圧勝

マイルチャンピオンシップは◎サプレザ(2番人気)で問題ないと思っていたのですが、スタートで2~3馬身の出遅れ。去年も出遅れていたのでこういう馬なのでしょう。ゴール前はクビ、ハナ、ハナと僅差の勝負だったので悔やまれます。

勝ったエーシンフォワード(13番人気)はノーマークでした。3月1日のエントリー「阪急杯はエーシンフォワード」で配合について褒めたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-695e.html

ただ、1600mのG1では狙えません。そういう馬ではないと思い込んでいました。今回は岩田騎手の好騎乗が光ったと思います。あのコース取りは“岩田スペシャル”とでもいうべき彼の十八番です。

日曜日のレースで最も印象に残ったのは、G1レースではなく東京6Rの新馬戦(芝1400m)です。この日は東京競馬場で午前11時台と午後1時台の2回、JRA主催のイベントに出演する用事がありました。レースが行われたのは12時40分。ちょうど昼食どきで、8階の記者席で仕出し弁当を頬張りながら観戦していました。

そして、目撃したのがサトノオー(父ディープインパクト)の圧勝です。後続を引き離していくときに場内が沸きました。真横から見ると、前肢の爪先を地面と水平に伸ばしていくような、ちょっとルーラーシップを彷彿させる可動域の広い豪快なフットワークで、明らかに他馬と違う走りをしていました。
http://www.youtube.com/watch?v=-izwWmQONoQ

これは!と思い、食べかけの弁当を放置してエレベーターに飛び乗り、地下の検量室前へと急ぎました。引き揚げてきた安藤勝己騎手、その場にいた藤沢和雄調教師は、“これぐらい当然だよ”と言わんばかりに拍子抜けするぐらい平静でした。ジョッキーはインタビューで「落ち着いて走ってくれれば兄姉と同じぐらいには」と、言葉を選びながら期待のほどを語っていました。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎サトノオーは『ディープインパクト×トニービン』という組み合わせ。母エアトゥーレ(阪神牝馬S)、2代母スキーパラダイス(ムーランドロンシャン賞)、3代母スキーゴーグル(エイコーンS)という良血で、半姉アルティマトゥーレ(セントウルS、シルクロードS)、半兄キャプテントゥーレ(皐月賞など重賞4勝)と兄弟もトップクラスで活躍している。稽古でも動いており死角が見当たらない。」

赤本(『POGの達人』)のクロスレビューには次のように書きました。

「ディープインパクトのリファールクロスは基本的に嫌ってみたいスタンスだが、アルティマトゥーレ、キャプテントゥーレの下となれば意地になって逆らうのもどうか。G1はともかく重賞クラスには出世しても不思議はない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102789/

母エアトゥーレはすでにスカーレットブーケ、ビワハイジ級。伝えているものがズバ抜けています。「ディープインパクト×トニービン」はこれで〔2・1・0・0〕という成績ですから走りますね。エアグルーヴの娘グルヴェイグへの期待が高まります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103099/

ディープインパクト(=オンファイア)が Raja Baba と好相性であるということは当ブログでたびたび触れてきました。また、“サンデーサイレンス、ウインドインハーヘア、ロイヤルスキー”のトライアングルは、ダノンパッション、リルダヴァル(いずれも父アグネスタキオン)と同じです。要するに軽い切れ味が特長なわけですが、サトノオーにはトニービンというしっかりしたヨーロッパ血脈が入るので、軽いだけの馬ではないでしょう。ベストは1600mで、2000mまでは守備範囲です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103142/

たしかに今回のメンバー構成は能力差が大きかったと思います。ただ、他馬がどんな能力であろうと、それは勝ち馬の責任ではなく、今回のパフォーマンスの価値が目減りすることもありません。

2010年11月21日 (日)

東京スポーツ杯2歳Sはサダムパテック

○サダムパテック(1番人気)が2着につけた“3馬身半”はレース史上最大着差。このメンバーのなかでは1頭だけ格が違いました。
http://www.youtube.com/watch?v=uzjQehavIQM

前2頭が引っ張る流れだったとはいえ、2ハロン目以降で最も遅いラップが12秒1。緩みのないペースでラスト3ハロンが33秒7なので、レース内容はなかなか濃かったと思います。

父がフジキセキで母方に Mr.Prospector が入るパターンは成功方程式のひとつ。カネヒキリ、エイジアンウインズ、コイウタをはじめ多くの活躍馬が出ています。Ribot 系の Hoist the Flag が入るのも底力の補強として好感が持てます。母の父エリシオはやや難しい血なので、POGでこの血が入った馬を指名するのは勇気がいるのですが、この馬の場合、スタミナや底力の供給源としてうまく嵌った感がありますね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/

当レースはこれでサンデーサイレンスを含んだ馬が10年連続で勝ったことになります。将来性云々の話はとりあえず抜きにして、現時点における実力比較では、サダムパテックは昨年同時期のローズキングダムよりも強いと思います。朝日杯でも勝ち負けでしょう。

◎ダコール(6番人気)は5着。初戦とは打って変わって後方を追走し、4コーナー15番手から大外に回して追い込んできました。四位騎手曰く「今日は折り合いに専念していきました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)。上がり33秒8で届かないわけですから位置取りが厳しかったですね。坂を上がってからの伸びが良かったので本質的には平坦向きかもしれません。

2010年11月19日 (金)

Northern Dancer 没後20年(4)

2010年の全欧種牡馬ランキングのベスト10は以下のとおり。まだシーズンは終了していないので現時点の途中成績です。

1位 Galileo(by Sadler's Wells)★
2位 King's Best(by Kingmambo)
3位 Oasis Dream(by Green Desert)★
4位 Dubawi(by Dubai Millennium)
5位 Dansili(by デインヒル)★
6位 Danehill Dancer(by デインヒル)★
7位 Cape Cross(by Green Desert)★
8位 Pivotal(by Polar Falcon)★
9位 Shamardal(by Giant's Causeway)★
10位 Invincible Spirit(by Green Desert)★

2位の King's Best、4位の Dubawi を除く8頭が Northern Dancer 系となっています(★が付いた馬)。日本では同系統の退潮が著しく、アメリカでは Storm Cat のライン以外は元気がないという状況。しかし、ヨーロッパでは相変わらず強いですね。20年前に比べて寡占率が上昇しています。

Northern Dancer 系のなかでもどのラインに属しているのか、8頭の内訳を示します。

Danzig       5頭(3、5、6、7、10位)
Sadler's Wells   1頭(1位)
Nureyev      1頭(8位)
Storm Cat     1頭(9位)

リーディングサイアーは Sadler's Wells 系の Galileo。しかし、割合でみると Danzig 系の圧勝です。Danzig はスピードが身上なので  Sadler's Wells よりも短めの距離を得意としています。ヨーロッパはスタミナ豊かな繁殖牝馬が多いので、サイアーラインの距離適性は代を経るごとに自然に延びていく傾向があります。マイルから中距離へ、中距離から長距離へ。そこで“上がり”となって役割を終えます。 Danzig 系は Sadler's Wells 系に比べて距離適性が短めであるぶん、次の代に血を繋げやすいという面があります。

クールモアのアイルランド本場に繋養されている22頭の種牡馬のうち、約6割にあたる13頭が Danzig 系です。世界血統のメインストリームはクールモアが作り出している部分が大きいので、ここで強力なバックアップを受けている Danzig 系が当分のあいだ世界のトップの座に君臨しつづけるでしょう。

短距離戦が盛んなオーストラリアでも Danzig 系が大人気。09-10年のサイアーランキングでは上位10頭中4頭が Danzig 系です。

1位 Redoute's Choice(by デインヒル)
5位 コマンズ(by デインヒル)
6位 Testa Rossa(by ペルジノ)
9位 Fastnet Rock(by デインヒル)

ヨーロッパとオーストラリアでは Danzig 系のシェアが高く、Sadler's Wells 系がこれに続きます。そして、昨日のエントリーでご紹介したようにアメリカでは Storm Cat 系の一極体制です。

2010年時点の Northern Dancer 系は、ほぼこの3系統に絞られつつあるといえるでしょう。

20年後の2030年にどのような血統地図が描かれているのか、ひょっとしたら今回書いたことが笑い話となるような驚くべき展開が待っているかもしれません。日本に再び Northern Dancer 系が根付くのか、それともサンデー系が押し返すのか……といったことも含めて、興味は尽きません。

2010年11月18日 (木)

地方競馬の結果あれこれ

■11月17日(水)、川崎競馬場で行われたロジータ記念(ダ2100m)は、2番人気ショウリダバンザイが外から鋭く伸びて優勝。1番人気ハーミアは2着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106452/

ショウリダバンザイは「プリサイスエンド×ジェイドロバリー」なので、先週の武蔵野S(G3・ダ1600m)を勝ったグロリアスノアとまったく同じ組み合わせです。ニックスかもしれません。これで浦和桜花賞(浦和)、ノースクイーンC(門別)に次いで3つめの重賞制覇。ひと夏を越してグンと強くなっており、この勝ちっぷりなら牡馬相手でも……。

■11月18日(木)、門別競馬場で行われた道営記念(ダ2000m)は、6番人気オネストジョンが外から差し切りました。1番人気クラキンコは5着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106158/

オネストジョンは「エイシンダンカーク×トウホーカムリ」という血統。父エイシンダンカークは1000万クラスの条件馬。母の父トウホーカムリはシンボリルドルフと同世代の脇役。84年の皐月賞の実況で、フジテレビの盛山毅アナウンサーが「トウホーカムリがインコース、伏兵はトウホーカムリ! ルドルフと、ビゼンと、トウホーカムリ!」と、名前をやたらと連呼していたのが記憶に残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=KGtbdqYNG5c

トウホーカムリの半兄には、東京大賞典(ダ3000m)を3分08秒6の大レコードで圧勝したファインポートがいます。ファインポートは種牡馬としても名牝グレイスタイザン(浦和桜花賞、関東オークス、東京3歳優駿牝馬)を送り出しましたが、同馬は残念ながら事故死したため産駒を残していません。ただ、全妹ライフポートがダイアモンドコア(浦和桜花賞)の母となり、ダイアモンドコアはナイキハイグレード(羽田盃、京浜盃、ハイセイコー記念)の母となりました。ファインポートは地方競馬の名牝系の形成に大きな役割を果たしています。トウホーカムリも兄同様、母方に入っていい影響を与える血なのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102538/

■道営記念のひとつ前のレース、ファスリエフ賞2歳オープン(ダ1200m)は、3番人気ゼニトッタ(父スウェプトオーヴァーボード)が勝ってデビュー2連勝。なかなか凄い名前です(笑)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105854/

Northern Dancer 没後20年(3)

Northern Dancer から派生したいくつかの主要ラインのうち、ここ20年で衰退していったのは Nijinsky と Lyphard。もはやかつての勢いを回復するのは難しいでしょう。

アメリカは Storm Cat 系の一極体制です。2010年のランキング(ブラッドホース誌)を見ると、10位以内に3頭の Northern Dancer 系種牡馬がランクインしており、そのすべてが Storm Cat 系です。

2位 Giant's Causeway(by Storm Cat)
8位 Lion Heart(by Tale of the Cat)
10位 Tale of the Cat(by Storm Cat)

3頭ともクールモアの所有馬でしたが、Lion Heart は今年1月にトルコに売却されました。売った途端、Dangerous Midge(BCターフ)、Line of David(アーカンソーダービー)、Kantharos(サラトガスペシャルS)などの大物が出てきています。

Storm Cat 系を背負って立つエースが Giant's Causeway であるのは衆目の一致するところでしょう。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出しています。まだ13歳ですから少なくともあと数年は第一線で頑張れるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway

初期の代表産駒 Shamardal は、初年度から Lope De Vega(仏ダービー、仏2000ギニー)を送り出し、種牡馬として好スタートを切っています。Shamardal の母は名種牡馬 Street Cry(Zenyatta、Street Sence などの父)の全姉。血統的にもおもしろい馬です。
http://www.pedigreequery.com/shamardal
http://www.pedigreequery.com/street+cry

Storm Cat は、パワーと仕上がりの早さは超一流ですが、日本の軽い芝にフィットするようなしなやかさと瞬発力を欠き、気ムラで信頼性が乏しいという欠点があります。早い話が日本向きの血とはいえません。サンデーサイレンスとの相性もイマイチでした(息子のスペシャルウィークやマンハッタンカフェとは相性良好)。

ただ、 Giant's Causeway はそのあたりのアクの強さが緩和されており、日本で走ったスズカコーズウェイとエイシンアポロンは芝の重賞を勝ちました。Storm Cat 系は今後、Giant's Causeway を通じて発展していくものと思われます。(続く)

2010年11月17日 (水)

Northern Dancer 没後20年(2)

現役時代の Northern Dancer は米二冠を含めて18戦14勝。カナダ産馬として史上初めてケンタッキーダービーを勝った馬でもあります。勝ちタイムの2分00秒0は64年当時のレースレコード。これを上回るタイムは半世紀近くを経た現在でも Secretariat(1分59秒4/73年)と Monarchos(1分59秒97/01年)の2つだけです。
http://www.youtube.com/watch?v=LIRmzt4UmMc

種牡馬としては最初の4年間をカナダで過ごし、その後、死亡する90年まで米メリーランド州にあるウインドフィールズファームの支場に繋養されました。アメリカにおける馬産の中心地はケンタッキー州。Northern Dancer は一度もそこへ足を踏み入れることなく、約700キロ東部に位置する大西洋沿いのメリーランド州に在りながら、種牡馬の王として君臨したのです。

Northern Dancer が生涯に送り出した産駒はわずか635頭。23シーズンの種付けでこの数字ですから、1シーズンあたりに直すと28頭弱。毎年コンスタントに250頭以上の種付けをこなしているキングカメハメハなどは、わずか3年で Northern Dancer の総産駒数を抜いてしまう計算です。ただ、Northern Dancer は、種付け頭数を抑えることで逆に価値を高めることに成功しました。晩年の種付け料は億単位といわれ、83年にキーンランドのイヤリングセールで落札された1歳の牡馬(後の Snaafi Dancer)には、なんと1020万ドル(当時のレートで約24億円)という値がつきました。
http://www.pedigreequery.com/snaafi+dancer

当時、アメリカのセリ市場を席巻していたのは、ロバート・サングスターなどのヨーロッパの富豪と、マクトゥーム・ファミリーなどの中東勢。これらが Northern Dancer とその系統の良血馬を根こそぎ買い上げ、ヨーロッパへ持っていってしまったので、Northern Dancer は北米で誕生した血統でありながら、むしろヨーロッパを中心に繁栄しました。Nijinsky、Lyphard、Nureyev、Sadler's Wells、The Minstrel、Storm Bird、El Gran Senor などはヨーロッパで走った馬たちです。北米で競走生活を送り、種牡馬としても成功を収めたのは、初期の Vice Regent を除けば Danzig ぐらいしかいません。(続く)

2010年11月16日 (火)

Northern Dancer 没後20年(1)

1990年11月16日、20世紀を代表する大種牡馬 Northern Dancer が死亡しました。29歳。年も年ですからいつ死んでもおかしくないという心の準備はしていたのですが、いざ訃報に接すると「ああついに……」という軽い虚脱感があったのを覚えています。

当時、22歳の栗山青年は、『週刊競馬通信』という雑誌の編集に携わりつつ、「血統SQUARE」という枠をもらって連載コラムを書き始めたばかりでした。いまでも似たような生活をしているわけですから進歩がないというか何というか……。初めて書いたのは「オペラ座の夜」という5回シリーズ。4分の3同血の関係にある Nureyev と Sadler's Wells について、Dalmary にさかのぼる牝系から描き出したもので、Northern Dancer 系の主導権争いは Sadler's Wells が勝利したと結論づけました。

なぜこの題材を取り上げたかというと、当時の生産界において Northern Dancer の存在感はきわめて大きく、数ある後継馬のなかでどのラインが主流となるかということが主要な関心事だったからです。そして、いまでもはっきりと覚えているのですが、原稿を書き上げたその瞬間、Northern Dancer の訃報を耳にしたのです。個人的にはそうした点からも印象深い出来事でした。

本日は Northern Dancer 没後ちょうど20年目にあたります。

世の中が否応なく変わって行くように、血統の潮流も大きく様変わりしました。1990年の種牡馬ランキングを以下に示します。

1位 ノーザンテースト(by Northern Dancer)★
2位 ミルジョージ(by Mill Reef)
3位 トウショウボーイ(by テスコボーイ)
4位 モガミ(by Lyphard)★
5位 ノーザンディクテイター(by Northern Dancer)★
6位 マルゼンスキー(by Nijinsky)★
7位 ブレイヴェストローマン(by Never Bend)
8位 ラッキーソブリン(by Nijinsky)★
9位 リアルシャダイ(by Roberto)
10位 アンバーシャダイ(by ノーザンテースト)★

10頭中6頭が Northern Dancer 系です(★が付いた馬)。サンデーサイレンスもトニービンもブライアンズタイムもまだ出てきていません。これらが出揃ったのが90年代の前半。ここから日本の血統シーンは一変していきます。しかし、90年の時点では、このまま Northern Dancer 系の天下が続いていくのだろうと、深く考えるまでもなく当然のこととして感じていました。

20年が経過したいま、日本における Northern Dancer 系は傍流に追いやられています。09年の日本ダービーには Northern Dancer 系の出走馬が1頭もありませんでした。10年の種牡馬ランキングでは3位のクロフネのみが Northern Dancer 系で、10頭中5頭がサンデーサイレンス系。わずか20年でこんな事態になろうとは想像できませんでした。(続く)

2010年11月15日 (月)

エリザベス女王杯はスノーフェアリー

日本勢完敗。ここまで差をつけられると実力以外の何ものでもなく、勝ったスノーフェアリーに拍手を送るしかありません。初期のジャパンCの、日本勢が負け続けていた時代の懐かしい感覚が甦ってきました。
http://www.youtube.com/watch?v=0Mw73PHKikk

Snow Fairy はおもしろい血統です。父 Intikhab、母の父 Charnwood Forest、2代母の父 Marju、3代母の父 Persian Bold はいずれもマイラー。にもかかわらず、自身は英オークス(G1・芝12f10yds)と愛オークス(G1・芝12f)を連勝し、秋には英セントレジャー(G1・芝14f132yds)に挑戦しました。
http://www.pedigreequery.com/snow+fairy7

パッと見はマイラーという配合で、アメリカのスピード血統も多く含まれています。したがって、脚の回転は速く、それが日本向きの軽快さとなって表現されているではないかと感じました。ただ、日本馬のようなしなやかさはなく、そのフットワークはパワーに任せて収縮を繰り返す力強いピッチ走法です。このあたりは父 Intikhab によく似ていると思います。

父 Intikhab は、Red Ransom を経て Roberto にさかのぼる系統。4歳春にデットーリ騎手とのコンビでダイオメドS(英G3・芝8f114yds)を5馬身差、クイーンアンS(英G2・芝8f)を8馬身差で連勝しました。インターナショナルクラシフィケーションでは130という高評価を与えられています。ただ、種牡馬としては期待ほどの成績を挙げているわけではありません。

予想では△しか付けられませんでした。日本馬が日本で走るかぎりちょっとやそっとじゃ負けない、という先入観にとらわれたため、実力を軽く見積もってしまいました。土日2日間にわたって披露したライアン・ムーア騎手の技量もズバ抜けていたと思います。あれだけの技を見せつけられると溜息しか出ません。

◎リトルアマポーラ(7番人気)はアパパネとの写真判定の結果4着。3連単マルチの馬券を持っていたので、もし3着に残っていたらかなり大きな配当だったのですが……。騎乗した福永騎手は完璧に乗ったと思います。以前と比べて位置取りが的確だなぁと思う機会が増えました。今回のような騎乗で負けたのなら仕方がありません。

2010年11月14日 (日)

ラトルスネーク新馬戦圧勝

土曜日の新馬戦は見どころ十分でした。京都4R(芝1400m)を勝ち上がったラトルスネーク、東京6R(芝1600m)を勝ち上がったターゲットマシン。この2頭は大物でしょう。

ライアン・ムーア騎乗のラトルスネーク(父タニノギムレット)は、最後の直線で馬群のなかから忽然と現れると、ラスト100mで5馬身突き抜けました。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな勝ちっぷり。TV画面のなかの京都競馬場もざわついていました。ラスト1ハロンは10秒台の脚を使っているはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=s2raybZ0jiI

父タニノギムレットはウオッカ、スマイルジャック、アブソリュート、ニシノブルームーンなどの父。母ワシントンシティはチリ産馬で、チリオークス(G1・芝2400m)やサンチアゴ1000ギニー(G1・芝1700m)などを制し、同国の3歳牝馬チャンピオンに選ばれた名牝です。2000年に日本に入りました。02年に産んだスコッツデール(父ブライアンズタイム)は東海ダービー2着。ラトルスネークはその4分の3弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101073/

母ワシントンシティがチリオークスを勝った際の映像が YouTube にありました。ほかにデビュー戦の映像などもアップロードされているので、チリでは相当な名牝なのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=BhGiMSedrqs

ラトルスネークの配合的な急所は2代母の父 Thornton Hill だと思います。競走成績はなく、産駒の履歴を見るとチリとコロンビアで供用された種牡馬のようです。この馬は Lady Rebecca(Alzao の母)と4分の3同血の関係にあります。

タニノギムレット産駒で母方に Alzao を持つ馬といえばニシノブルームーン。同馬がマーメイドS(G3)に出走したときに◎を打ったのですが、その予想文にこう記しました。

「父タニノギムレットの配合的骨格を形成するアドミラルドレイク≒ローマンの相似な血のクロスを、母方のレディレベッカが持つアドミラルドレイク≒ローマンによって継続した好配合馬」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102548/

要するに11月11日のエントリー「ハイセイコー記念はセルサス」で述べたのと同じ内容です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-1bea.html

タニノギムレットの成功パターンは大きく分けて2つあります。①母方にサンデーサイレンスを持つこと。②Roman を持つこと。

①は非サンデー系の定番配合です。ただ、タニノギムレットの場合、自身が Admiral Drake≒Roman 6・5×5なので、サンデーが持つ Admiral Drake によってこれを継続することも大きいのではないでしょうか。②はそのものズバリ Admiral Drake≒Roman の継続。前出のニシノブルームーン以外では、タニノギムレットの最高傑作ウオッカがこのパターンに当てはまります。母方に入る Riverman の2代母の父が Roman です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004104258/

ラトルスネークの母方はチリ血統で、母系の奥はなじみのない血ばかり。ただ、配合の骨格だけを眺めると基本に忠実ですね。タニノギムレットの成功パターンをしっかり押さえています。新馬戦で派手な勝ち方をしたからといって将来が約束されるわけではありませんが、相当楽しみな馬であることは確かです。

2010年11月11日 (木)

ハイセイコー記念はセルサス

10日、大井競馬場で行われた2歳重賞のハイセイコー記念(ダ1600m)は、単勝1.9倍の1番人気に推されたセルサス(父タイムパラドックス)が5馬身差で圧勝しました。2着と3着はさらに4馬身離れているので強かったですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106137/

デビュー戦で2着と敗れてから3連勝。しかも、いずれも5馬身差で勝っており後続を寄せ付けていません。

父はタイムパラドックスはダートG1を5勝した名馬で、ブライアンズタイムのダートにおける代表産駒の1頭。これにブレイヴェストローマンですから、その走りが示すとおりダートは鬼でしょう。

ブライアンズタイムとブレイヴェストローマンの組み合わせは成功しており、ナイキアースワークとドラゴンファイヤーの兄弟や、エスポワールシチーの母、スリーロールスの母など、多くの活躍馬の血統に見られます。

ブライアンズタイムは Admiral Drake≒Roman 5×4。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000082/
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

これはディープインパクトやゼンノロブロイにも見られる相似な血のクロスです。ブレイヴェストローマンは母の父が Roman ですから、ブライアンズタイムと組み合わせると上記のクロスを継続することになります。ブライアンズタイムとブレイヴェストローマンの好相性の秘密はここにあるのではないでしょうか。

セルサスの父タイムパラドックスは、すでに Admiral Drake≒Roman を継続しています(6・5×5)。ですから、そこにブレイヴェストローマン(Roman)が加わると余計に効果が大きいのかもしれません。

ちなみに、ゼンノロブロイと Riverman の相性の良さは、Riverman の2代母の父が Roman だからでしょう。今年のPOGで指名したレッドセインツ(父ディープインパクト/新潟2歳S-3着)は母方に Riverman を持ちます。この馬を狙ったのは、Admiral Drake≒Roman の継続に期待したことも理由のひとつです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/

タイムパラドックス産駒は、今年の2歳世代がファーストクロップで、これまで中央では9頭出走して1勝。あまり芳しくありません。セルサスのように、ブレイヴェストローマンを入れて Admiral Drake≒Roman を継続する、というのは配合の方向性として間違っていないと思うので、今後、タイムパラドックスの配合方針として活かせるのでは、と思います。

2010年11月10日 (水)

Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)

2000年以降に誕生したヨーロッパの若手種牡馬のなかで、いま最も熱い視線を浴びているのは Oasis Dream(父 Green Desert)と Dubawi(父 Dubawi Millennium)の2頭でしょう。今年の全欧種牡馬ランキングで前者は3位、後者は4位につけています。

この2頭はいずれも母方にダンシングブレーヴを持っています。そして、父方には Sir Ivor があります。つまり、Sir Ivor≒Drone という相似な血のクロスを持っているわけです。前者は3×4、後者は5×5。
http://www.pedigreequery.com/oasis+dream
http://www.pedigreequery.com/dubawi

現代のヨーロッパ血統を語る際、話題にのぼるのは Sadler's Wells とデインヒル、そして Green Desert あたりでしょうか。しかし、父系勢力図というものはごく表面的な話題にすぎません。サラブレッドの能力を決定するのは配合です。そして、配合的な視点から眺めると Sir Ivor≒Drone が現代血統を解き明かすための重要な鍵として浮上してきます。折しも、日本では Halo≒Sir Ivor 2×4のディープインパクトが大種牡馬への道を歩み始めています。世界最先端の血の潮流は、Halo≒Sir Ivor≒Drone がひとつの軸となっているのではないでしょうか。

Halo、Sir Ivor、Drone の最大の長所は「瞬発力」です。サンデーサイレンスの瞬発力は、父 Halo から受け継いだ要素が大きいのではないかと思います。Sir Ivor と Drone に関しては、5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」をご参照くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/sir-gaylord-ce0.html

新馬戦で2着に敗れたアドマイヤカーリンは、出遅れた上に距離不足だったことを考えれば、上々のレース内容だったと思います。次走はおそらく距離を延ばしてくるはずなので、しっかり勝ち上がるでしょう。この先が楽しみな馬です。

2010年11月 9日 (火)

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)

先週、京都芝1600mの新馬戦で、母の父にトニービンを持つディープインパクト産駒2頭、コティリオンとアドマイヤカーリンが1分34秒4でワンツーフィニッシュを決めました。同コースで行われた新馬戦のなかで、このタイムは歴代1位タイの記録です。

これだけ多くのディープインパクト産駒が出ているのに、「ディープインパクト×トニービン」は、先週のコティリオン、アドマイヤカーリンの2頭が初めての出走でした。そして、マッチレースの1、2着ですから、これは走るのかもしれませんね。

今年のPOGでは「ディープ×トニービン」に関して様子見としました。この配合が走るのか走らないのか、どちらの自信も持てなかったため、とりあえず判断保留としたわけです。ただ、2歳世代で7頭いるこの配合馬のなかで、唯一「栗山ノート」に含めた馬がいます。それがアドマイヤカーリンでした。

ディープインパクトは Halo≒Sir Ivor 2×4。当ブログでも何度か指摘していますが、これが配合構成のひとつの核となっていると思います。アドマイヤカーリンは、Halo、Sir Ivor とよく似た配合構成の Drone を母方に持っているため、Halo≒Sir Ivor≒Drone 3・5×4です。Drone はダンシングブレーヴの母の父でもあります。
http://www.pedigreequery.com/halo
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor
http://www.pedigreequery.com/drone

        ┌ Turn-to
      ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ―――┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

              ┌ Turn-to
      ┌ Sir Gaylord ┘
      │   ┌ Mahmoud
Sir Ivor ―┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Pharamond
        └○┤
          └○┐
            └ Alcibiades

              ┌ Turn-to
      ┌ Sir Gaylord ┘
      │     ┌ Pharamond
Drone ―――┤   ┌○┤
      │ ┌○┘ └ Alcibiades
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

このトライアングルは効果が大きいと思われるので要注目です。すでに勝ち上がったディープインパクト産駒のなかでは、サトノペガサスが同じクロスを持っています。(続く)

2010年11月 8日 (月)

トーセンジョーダン、トランセンド

アルゼンチン共和国杯(G2・芝2500m)は1番人気の◎トーセンジョーダン(父ジャングルポケット)が快勝。キャリアを重ねたことで競馬に幅が出てきて、本当にいい馬になりました。土曜日の東京競馬場のイベントでは「東京芝2500mはジャングルポケットとオペラハウス!」と強調してきたので、勝ってよかったです。馬券は◎○で本線的中でした。

この馬はかつてPOGで持っていた馬なので愛着があります。クラフティワイフの牝系はトニービン系と相性抜群。カンパニー、レニングラード、バトルバニヤンといった馬たちとトーセンジョーダンはほとんど同じような配合構成です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102878/

                     ┌ トニービン
          ┌ ジャングルポケット ┘
トーセンジョーダン ┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

            ┌ トニービン
          ┌○┘
カンパニー ――――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

          ┌ トニービン
レニングラード ――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

                     ┌ トニービン
          ┌ ジャングルポケット ┘
バトルバニヤン ――┤
          └ クラフティワイフ

トーセンジョーダンにはサンデーサイレンスが入っていないため、その走りに軽い切れ味は感じられません。力感あふれる大トビのフットワークは迫力十分。2分30秒0の勝ちタイムはアルゼンチン共和国杯のレコードです。レース前に「ここを勝って有馬」という話があったので、おそらくその路線になるのでしょう。アルゼンチン共和国杯から有馬記念への直行は、過去ほとんど実績がない“鬼門”といえるローテーション。ただ、ジャングルポケット産駒は中山芝2500mと相性がいいので一発があってもおかしくないと思います。

2着○ジャミール(2番人気)はステイヤーとしての才能はありますが、小回りコースでマクる競馬が向いているので対抗評価。「ステイゴールド×Sadler's Wells」ですからジリジリとしか伸びないのは仕方ないでしょう。次走のステイヤーズS(G2・芝3600m)はベスト条件なので頭から狙いたいところです。

一方、京都のみやこS(G3・ダ1800m)は◎トランセンド(2番人気)が逃げ切り勝ち。3歳時からその配合を高く評価してきた馬なのでようやくか……という感じです。馬券は◎○で本線的中です。

「ワイルドラッシュ×トニービン」はエルムS(G3・ダ1700m)を勝ったクリールパッションと同じ。クリールは2代母がブライアンズタイムの全姉、という配合的特徴があるのですが、こちらも Bushel-N-Peck≒サニースワップス3×3というユニークな配合構成となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

         ┌ Khaled
Bushel-N-Peck ――┤ ┌ Dante
         └○┤ ┌ Mahmoud
           └○┘

               ┌ Dante
             ┌○┘
           ┌○┘ ┌ Mahmoud
         ┌○┤ ┌○┘
サニースワップス ┤ └○┘
         │ ┌ Khaled
         └○┘

“母の父トニービン”のダート巧者といえばアドマイヤドン(JRA賞最優秀ダートホース2回)が有名です。父がサンデー系なら芝向きに、それ以外のアメリカ血統ならばパワー型が出てくる傾向があります。アフリートとのニックスは有名で、ビッグウルフ、ミリオンディスク、ゼンノパルテノンなどは「アフリート×トニービン」の組み合わせから誕生しています。

2010年11月 7日 (日)

Zenyatta、20連勝ならず

あのレーススタイルで連勝を「19」まで積み上げたこと自体が奇跡だと思うのですが、ここまできたら全勝で引退してほしかったですね。
http://www.youtube.com/watch?v=_Et15M6wsPo

ESPNの中継は最初から最後まで Zenyatta づくし。人気があるんだなぁとあらためて感心させられました。というか、これほど魅力的な個性の持ち主は愛さずにはいられません。私はけっこう好きでした(笑)。

04年のベルモントS(米G1)で、Birdstone が Smarty Jones の無敗の三冠を阻止したときもスタンドの雰囲気はヤバかったのですが、今回はそれに劣らず、画面から伝わってくる観衆の消沈ぶりが痛々しかったですね。勝利騎手のギャレット・ゴメスに笑顔がなかったのは、自分が微妙な立場に立たされていることを察していたからではないでしょうか。

勝った Blame の父系は、Arch → Kris S. → Roberto とさかのぼるライン。Kris S. はシンボリクリスエスの父です。2着に敗れた Zenyatta の母の父でもあります。
http://www.pedigreequery.com/blame5
http://www.pedigreequery.com/zenyatta

この日、2歳牡馬セン馬によるブリーダーズCジュヴェナイル(米G1・ダ8.5f)が行われ、大本命の Uncle Mo が圧勝して無傷の3連勝を飾りました。
http://www.youtube.com/watch?v=rC71S2v3W14

同馬の母の父は Arch (Blame の父)ですから、今年のブリーダーズCは Kris S.-Arch のラインが目立った印象があります。
http://www.pedigreequery.com/uncle+mo

底力とスタミナに秀でた血なので大舞台では頼りになります。ちなみに、Arch の母 Aurora は、着々と大父系を築きつつある Green Desert と4分の3同血の関係にあるので、血脈的にもちょっとおもしろいですね。
http://www.pedigreequery.com/arch
http://www.pedigreequery.com/green+desert

日本のエスポワールシチーは10着ながら4コーナー先頭の見せ場を作りました。先行した4頭は、人気の一角 Quality Road を含めて後方に敗れているので、結果的にペースが速すぎたということでしょう。

2010年11月 6日 (土)

ブレイクランアウト種牡馬入り

先日の富士S(G3・芝1600m)で故障を発症したブレイクランアウトの種牡馬入りが決定しました。配合的に高く評価していた馬なので、どうなるのか気を揉んでいたのですが、血を残せることになってよかったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110007/

父 Smart Strike はアメリカにおける Mr.Prospector 系の代表格。リーディングサイアーの経験もあります。Curlin(米年度代表馬)、English Channel(BCターフを含めて芝G1を6勝)、Lookin At Lucky(プリークネスS)、Fleetstreet Dancer(ジャパンCダート)などを送り出し、芝・ダートを問わず成功しています。

ブレイクランアウトは「Smart Strike×フレンチデピュティ」という組み合わせ。母の父が Deputy Minister 系、という配合は前出の Curlin と同じです。
http://www.pedigreequery.com/curlin

母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。
http://www.pedigreequery.com/queue2

父母どちらかにおもしろい凝縮のある馬は、種牡馬でも繁殖牝馬でも私の好みです。たとえば、名馬 Native Dancer を産んだ Geisha などがそうですね。その母 Miyako には多重クロスが見られます。
http://www.pedigreequery.com/geisha

70年代末から80年代前半にかけて、地方競馬ではタガワ四兄弟(タガワエース、タガワキング、タガワテツオー、タガワリュウオー)が大活躍しましたが、その母コーホールも同パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1955101937/

笠雄二郎さんの「4分の1異系配合」という考え方は、視点を変えれば、こうした配合パターンをもカバーできうるものではないかと思います。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://www.tescogabby.com/index.htm

2010年11月 4日 (木)

JBCスプリント&クラシック

好天微風で適度に暖かい、という一年に何度もないような絶好の競馬日和。スプリントもクラシックも逃げ圧勝でした。

★JBCスプリント(G1・ダ1000m)は単勝1.2倍のサマーウインド(父タイキシャトル)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=tFQJlkDkLRM

1400mではラストが甘くなる馬ですが、1200mではかなり強く、1000mではもっと強いということですね。圧巻でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005103763/

母シンウインドはスワンS(G2・芝1400m)、京王杯スプリングC(G2・芝1400m)を勝ったスピード馬。スワンSはデビュー2年目の武豊騎手を背に2~3番手追走から直線でスパッと抜け出しました。完璧だなぁ~と思った記憶があります。今年の夏に函館スプリントSを勝ったワンカラットに破られるまで、22年にわたって函館芝1200mのレコードホルダーでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984103836/

シンウインドの母の父ウエスタンウインドは Gallant Man 産駒。Gallant Man は Mah Iran≒Mahmoud 2×2という配合ゆえか、気性の激しさとスピードを伝える血統です。サクラバクシンオーの3代母の父でもあります。同馬のスプリント能力は Gallant Man に負う部分もあるのではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/gallant+man

イギリス産馬ながらアメリカで大活躍した馬なのでパワーがあり、日本における代表産駒の1頭メイワキミコ(スプリンターズS-2回)は、中山ダ1200mで樹立した1分09秒2のレコードを21年間保持しつづけました。サマーウインドに備わっているダート短距離の適性はこのあたりに由来するのかなと思います。

★JBCクラシック(G1・ダ1800m)は4番人気のスマートファルコン(父ゴールドアリュール)が7馬身差の逃げ切り勝ち。最後の2ハロンは13秒3-13秒6とバテていましたが、前半5ハロンをなんと58秒1(11秒3-11秒1-11秒7-11秒8-12秒2)で行ったため、フリオーソ(1番人気)以下の後続はなし崩しに脚を使わされる形となり、逃げ馬に迫る馬は最後まで現れませんでした。末脚に賭けたシルクメビウス(2番人気)も脚が上がり4着。まるでアメリカ競馬のような壮絶なサバイバル戦でした。
http://www.youtube.com/watch?v=JPiRtH3igpQ

スマートファルコンは08年のJBCスプリント(G1)の2着馬。スプリントとクラシックの双方で連対した初めての馬となります。重賞11勝目ですがG1タイトルは初めて。父ゴールドアリュールはファーストクロップから3頭目のG1馬を出したことになります(ほかの2頭はエスポワールシチー、オーロマイスター)。スマートファルコンの半兄には東京大賞典(G1・ダ2000m)を勝ったワールドクリーク(父マジックミラー)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/

2010年11月 3日 (水)

先週の新馬戦(後)

10月30日の土曜日は、台風接近のため東京競馬が中止となり、京都競馬場で2鞍の新馬戦が行われました。

■土曜京都5R(ダ1400m)▲ホークウォリアー(2番人気)

勝った▲オウエイバスター(2番人気)の父オンファイアは、ディープインパクトの全弟。今年の2歳世代が初年度産駒で、すでにシゲルキョクチョウ(小倉2歳S-2着)を出しています。オウエイバスターとシゲルキョクチョウは Raja Baba を持っているという点で共通しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101947/

10月29日のエントリー「ディープ産駒 Sunday Bess、英デビュー戦で2着」のなかで、ディープインパクトと Raja Baba の関係についてちょっと触れたのですが、やはり合うのかなという感じがします。ちなみに、母方に Raja Baba を持つディープインパクト産駒にはドナウブルー、エアジョイントがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102787/

◎ホワイトスパルタン(5番人気)は3着。最内枠で出遅れるという苦しい競馬でしたが、最後は大外からよく追い上げました。まともに出ていたら2着でしたね。配合的におもしろいところのある馬なので次走以降も注目したいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101359/

■土曜京都6R(芝2000m)△サンビーム(4番人気)

1着△サンビーム(4番人気)、2着△ユニバーサルバンク(2番人気)はいずれもネオユニヴァース産駒。

芝新馬戦における同産駒の距離別連対率は以下のとおり。

芝1200m 14.8%
芝1400m  4.3%
芝1600m 16.2%
芝1800m 18.3%
芝2000m 30.6%

距離が延びたほうがいい、ということが数字に表れています。ネオユニヴァースはローカルを苦手とし、中央開催を得意とする種牡馬です。とくにローカルの短距離戦はまったくダメ。このカテゴリーは走らないので、早い時期の新馬戦は苦戦する傾向が見られます。ですが、秋になって中央開催となり、距離が延びれば成績が上昇してきます。ロジユニヴァース(日本ダービー)、オールアズワン(札幌2歳S)、サンビームの共通点は母方に Danzig を持っていること。パワーが持ち味でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101745/

◎オンリーザブレイヴ(5番人気)は8着。ディープインパクト産駒で、Burghclere≒Height of Fashion 3×4というクロスを持ちます。四位騎手は「今日は伸び切って走っていた」(週刊競馬ブック)と語っているように、終始ワンペースの走りに見えました。仮に上記のクロスが鈍重さを与えるものだとしたら問題ですね。初戦だけでは何ともいえないので次走を見てみたいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102980/

2010年11月 2日 (火)

先週の新馬戦(前)

先週は日曜日と月曜日の新馬戦予想が好調でした。◎を打った5頭がいずれも勝利。マグレ気味であったことは認めますが(笑)、悪天候のなかまずまずいい予想ができたと思います。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

■日曜福島3R(芝1800m)◎チェリオス(1番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106160/

「◎チェリオスは『シンボリクリスエス×オペラハウス』という組み合わせ。台風の影響で日曜日の福島は道悪が予想される。本馬は道悪の鬼サドラーズウェルズを父にもつオペラハウスを母の父に持ち、パワーとスタミナにあふれた配合構成。条件的にぴったりだろう。」

◎△で馬単2790円、◎△○で3連単15390円的中。

■日曜京都5R(芝1800m)◎ダコール(4番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104798/

「◎ダコールは『ディープインパクト×アンブライドルド』という組み合わせ。これは先週の京都新馬戦(芝1800m)を勝ったダノンバラードと同じ。半姉ルシュクルはファルコンS(G3)3着馬で、母アジアンミーティアはアンブライドルズソングの全妹にあたる。ガルフストリーム≒ヘリオポリス6×6はサンデー系の必勝パターン。『ディープインパクト×アンブライドルズソング』のサイレントソニックがデビュー戦を勝ち上がっているので、それと似た配合の本馬も初戦から勝ち負けだろう。」

◎○で馬単2960円的中。

■日曜東京3R(芝1400m)◎ダンスファンタジア(1番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102910/

「◎ダンスファンタジアは『ファルブラヴ×サンデーサイレンス』という組み合わせで、母ダンスインザムードは桜花賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)などを勝った名牝。『ファルブラヴ×サンデー』は芝新馬戦で連対率34.8%と好成績を挙げている。リース≒メノウの全きょうだいクロスを持っているが、これはファルブラヴ産駒の成功パターンのひとつ。稽古で動いており初戦から動けそう。」

◎△で馬単490円、◎△○で3連単2240円的中。

■日曜東京4R(芝1600m)◎カインバティック(7番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103214/

「◎カインバティックは『シンボリクリスエス×クラフティプロスペクター』という組み合わせで、母タイキジュリエットは準OPまで出世した活躍馬。父シンボリクリスエスは東京芝1600mの新馬戦で連対率36.4%と走っている。母はパワフルな血で構成され、現役時代に道悪を得意とした。台風の影響はむしろプラスに作用するだろう。」

◎○で馬単13610円、◎○★で3連単78920円的中。

■月曜東京5R(ダ1400m)◎ホークウォリアー(2番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110098/

「◎ホークウォリアーは『エーピーウォリアー×ロアー』という組み合わせ。父エーピーウォリアーはサンフェリペS(米G2・ダ8.5f)、ラホヤH(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬で、今年の2歳世代が初年度産駒となる。出世頭のフェイスカ(ステークス勝利)と本馬は、いずれもオーシャンアンサー≒ストームバードの4分の3同血クロス、セクレタリアト、フォーティナイナーを持っており、配合構成が酷似している。いかにも初戦駆けしそうな血統で、エーピーインディ系なので脚抜きのいいダートは上手いだろう。」

◎▲で馬単1480円、◎▲△で3連単5490円的中。

このなかで注目したいのはダコール(父ディープインパクト)とダンスファンタジア(父ファルブラヴ)。どちらも先々まで楽しめそうです。

ディープインパクトは先週終了時点で20勝。10月中に20勝に到達した新種牡馬は史上初めて。父サンデーサイレンスは新種牡馬だった94年の同じ時期に19勝でした(出走回数はディープインパクトの7割弱ですが)。

新種牡馬に限らないJRAの2歳戦勝利数記録は、04年にサンデーサイレンスが樹立した54勝。このときは10月終了時点で25勝でした。ディープインパクトはこのまま順調にいけば40勝に手が届くかもしれません。新種牡馬記録が30勝ですからこれを大幅に更新するペースです。ただ、ハーツクライに突然ブレーキが掛かったように(ここ3週勝利なし)、何が起こるか分からないのが競馬です。とりあえず年末まで1日1勝ずつなら36勝です。

2010年11月 1日 (月)

天皇賞・秋はブエナビスタ

4歳秋を迎えてようやく“完成形”になったという印象ですね。完璧なレース、文句なしの強さでした。00年以降の天皇賞・秋のなかでは最も鮮やかな勝ちっぷりだったと思います。牝馬らしいコンパクトな馬体のどこにあれだけの力が秘められているのでしょうか。おそらく筋肉の質が素晴らしいのでしょうね。繁殖牝馬としての価値は“priceless”です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/

予想は◎△で的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ブエナビスタは『スペシャルウィーク×カーリアン』という組み合わせ。母ビワハイジは阪神3歳牝馬S(G1)の勝ち馬で、半兄アドマイヤオーラとアドマイヤジャパンは重賞ウィナー。近い世代にサンデーサイレンス、カーリアン、サンタルチアーナを持つ配合構成はレッドディザイア、ジョーカプチーノと同じ。まさに名馬という配合だ。距離やコースを問わないオールラウンダーで、最後はキッチリ伸びてくるので信頼性が高い。
 東京競馬場の芝コースは今週からBコースを使用し、土曜日の競馬が行われないためインコースの馬場状態は良好。ただでさえ内枠の先行馬が有利なところへ、雨が上がるとインコースから乾いていくという東京芝コースの特殊事情が加わり、おそらくインが止まらず外が伸びないというコンディションになるはず。近走のブエナビスタは位置取りの融通性が出てきているので好位で競馬をするだろう。レース直前には稍重~重ぐらいまで回復すると思われる。これぐらいの馬場なら問題なくこなす。」

レッドディザイア、ジョーカプチーノと比較する箇所は、血統表を見ないと分かりづらいので以下に掲げます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100529/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ブエナビスタ ―――┤ ┌ Caerleon
          └○┤
            └○┐
              └ Santa Luciana

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
レッドディザイア ―┤ └○┐
          │   └ Santa Luciana
          │ ┌ Caerleon
          └○┘

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
          │ └○┐
ジョーカプチーノ ―┤   └ Santa Luciana
          │   ┌ Caerleon
          │ ┌○┘
          └○┘

この構造には何か特別なものがありそうです。

マンハッタンカフェはサンデーサイレンスと Santa Luciana を併せ持ちます。したがって、母方に Caerleon が入ると自動的にトライアングルが完成します。このニックスからはレッドディザイア、ジョーカプチーノのほかにも多くの活躍馬が出ています。10月19日のエントリー「府中牝馬Sはテイエムオーロラ」でも説明しておりますのでご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-3a36.html

△ペルーサ(4番人気)の追い込みには度肝を抜かれました。来年、もし海外に出たらどこでも勝っちゃうんじゃないか……とさえ思いました。今年の春、陣営から「ダービーのレース内容によっては凱旋門賞に遠征するかも」というプランが明かされ、一次登録を済ませた経緯があるので、2011年の秋はロンシャンが目標になるかもしれません。次走について藤沢和雄調教師は、ジャパンCに出るか年内を休養に充てるかオーナーと相談して決めると語っています。

2010年10月31日 (日)

スワンSはマルカフェニックス

勝ったマルカフェニックス(3番人気)は1400mのスペシャリスト。これまでで一番強い勝ちっぷりでした。ダンスインザダーク産駒は先週のダノンヨーヨー(富士S)に続いて2週連続重賞制覇です。

10月24日のエントリー「ダンスインザダークの配合的核心」で述べたように、ダンスインザダークは Raise a Native との相性が良好です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-599e.html

マルカフェニックスはザッツザプレンティ(菊花賞)と同じく「ダンスインザダーク×Miswaki」の組み合わせ。Miswaki の父は Mr.Prospector で、その父が Raise a Native です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102206/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000101398/

そして、この組み合わせにはもうひとつのミソがあります。Flaming Page≒Buckpasser 4×4です。
http://www.pedigreequery.com/flaming+page
http://www.pedigreequery.com/buckpasser

            ┌ Bull Dog
          ┌○┘
        ┌○┤ ┌ Blue Larkspur
Flaming Page ―┤ └○┘
        │ ┌ Menow
        └○┤
          └○┐ ┌ Man o'War
            └○┘

          ┌ Menow
        ┌○┤ ┌ Bull Dog
        │ └○┘
Buckpasser ――┤   ┌ Man o'War
        │ ┌○┘
        └○┤ ┌ Blue Larkspur
          └○┘

Flaming Page は Nijinsky の母。「Nijinsky×Buckpasser」の組み合わせからマルゼンスキー、ヤマニンスキー、ラシアンルーブルと成功種牡馬が現れたのは、この関係に負うところが大きいのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003bd/

「Nijinsky×Buckpasser」については、じつはもう少し詳細に掘り下げなければいけない部分もあるのですが、長くなるので別の機会に譲りたいと思います。

少ないサンプルから2頭も大物を出しているのですから、「ダンスインザダーク×Miswaki」はニックスといっていいでしょう。それを成立させたのは、Miswaki が内包する Raise a Native と Buckpasser ではないかと私は考えます。

ところで、スワンSを見ていて驚いたのはジョーカプチーノ(10番人気)の好走。1年5ヵ月ぶりの実戦ながら3着に粘りました。馬体重は38キロ増(!)。やはり強いですね。伊達にG1を勝っていません。

86年以降、平地重賞で3着以内に入った馬のなかで、前走比の馬体重増が大きかった順に並べてみます。

1位 87年京成杯2着  マイネルダビテ(46キロ増)
2位 02年札幌記念1着 テイエムオーシャン(38キロ増)
〃  10年スワンS3着 マルカフェニックス(38キロ増)

今回のジョーカプチーノは、テイエムオーシャンと並ぶ2番目の数字ですね。

日曜日の天皇賞・秋。土曜日は朝からしっかり雨が降りました。ただ、私の住む東京某所では、午後7時台には雨が上がり、日曜日の午前2時時点ではすでにアスファルトの路面は乾いた状態。日曜日の東京競馬は、メインレースのころには稍重ぐらいになる可能性もあると思います。道悪適性に神経質になる必要はなさそうです。

2010年10月30日 (土)

フィガロ産駒のオリークック、ローレル賞を制覇

土曜日のJRAは、京都と福島は大丈夫そうですが、東京がどうなるかですね~。台風の進路を見るとマズそうな気が……。こんな宙ぶらりんの状態では予想にも身が入りません。とりあえず芝の道悪ならオペラハウスなどの Sadler's Wells 血脈、そしてキングカメハメハ産駒ですか。

日曜日の東京は晴れ予報。インコースから乾いていくお決まりのパターンになりそうなので、天皇賞・秋も内枠の先行馬が良さそうですね。後方から大外に回してしまうと厳しいような気がします。

JRA関連では語れそうなことがないので、本日は地方競馬関連の小ネタを。9月9日のエントリー「戸塚記念はハーミア」のなかで、サンシャイン牧場が生産したフィガロ産駒の活躍について触れました。アンパサンド(東京ダービー、報知オールスターC)とハーミア(戸塚記念)が似たような配合から誕生している、という内容です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/09/post-05b7.html

10月27日、川崎競馬場で行われた2歳牝馬の重賞ローレル賞(南関東SIII・ダ1600m)を、フィガロ産駒のオリークックが勝ちました。中団から外をマクって直線で先頭に立ち、最後は2馬身突き抜けるという好内容。この馬もサンシャイン牧場の生産馬で、ハーミアと配合がそっくりです。さらにいえば厩舎も同じ(荒山勝徳厩舎)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105509/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105461/

        ┌ フィガロ
オリークック ―┤   ┌ Mr.Prospector
        │ ┌○┘ ┌ Nijinsky
        └○┤ ┌○┘
          └○┤ ┌ イエローゴッド
            └○┘

        ┌ フィガロ
ハーミア ―――┤   ┌ Mr.Prospector
        │ ┌○┤ ┌ Nijinsky
        └○┤ └○┘
          └○┐ ┌ イエローゴッド
            └○┘

同じような配合がどんどん走るのですから見事なものです。もし仮に南関東限定のPOGに参加するなら、この配合パターンは押さえたいですね。順調なら次走は東京2歳優駿牝馬(12月31日・大井ダ1600m)。南関東の2歳牝馬チャンピオン決定戦です。

これらと似た配合パターンを持ち、9月9日のエントリーで軽く触れたデリスも、じつはローレル賞に出走していたのですが12着に敗れました。牝馬限定の新馬戦を勝ったばかりで11番人気と低評価だったので仕方がありません。

~~~~~~~~~~~~~~~~

注)土曜日の東京競馬は中止となりました。代替競馬は11月1日(月)に行われます。

2010年10月29日 (金)

ディープ産駒 Sunday Bess、英デビュー戦で2着

10月28日、英リングフィールド競馬場で行われたオールウェザー7ハロンのメイドン(新馬・未勝利戦)に、日本生まれのディープインパクト産駒 Sunday Bess(牝2歳、トム・ダスカム厩舎)が出走。見事2着となりました。着差はハナ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100010/

出走馬は7頭で、Sunday Bess 以外の6頭はすべて牡馬&セン馬。しかも、勝ち馬を含めて5頭が既出走馬でした。上々のデビュー戦ではないでしょうか。

母リーサはチリ産で、同国のサンチアゴ1000ギニー(智G1・芝1700m)、ナシオナルリカルドリヨン賞(智G1・芝2000m)などを制し、チリ2歳牝馬チャンピオン、チリ芝牝馬チャンピオンに輝きました。母の父 Hussonet(父 Mr.Prospector)は00年から7年連続リーディングサイアーとなった大種牡馬。その母 Sacahuista はブリーダーズCディスタフ(米G1・ダ10f)の勝ち馬で、米3歳牝馬チャンピオンとなった名牝です。
http://www.pedigreequery.com/hussonet

Sunday Bess 自身は社台コーポレーション白老ファームの生産馬。セレクトセール2008で3300万円の値が付き、1歳時にイギリスへ輸出されました。

サンデーサイレンス、ウインドインハーヘア、Raja Baba、Mr.Prospector が同時に入るパターンは、リルダヴァル、ダノンパッション、シゲルキョクチョウなどと同じ。一見、素軽く淡泊なイメージですが、母方には Ribot 系や重厚な南米血統も入っているので、粘りも感じられます。

ディープインパクト産駒の海外デビュー馬はこれが2頭目。10月7日に仏サンクルー競馬場でデビューした Barocci は2着でした。
http://www.pedigreequery.com/barocci2

ヨーロッパで〔0・2・0・0〕は素晴らしいと思います。2頭ともこれから重賞戦線に加わってほしいですね。このほか、海外デビュー予定のディープインパクト産駒は3頭です。

★イギリス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100011/
★フランス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100001/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100007/

2010年10月28日 (木)

ディープインパクト産駒、土日で4勝(3)

本日紹介する2頭は、いずれも『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』で◎を打って的中した馬なので、手っ取り早く説明するためにその予想文を転載します。カギ括弧の部分です。

■日曜東京5R新馬戦(芝1400m)リアルインパクト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

「◎リアルインパクトは『ディープインパクト×メドウレイク』という組み合わせ。アイルラヴァゲイン(オーシャンS)の半弟にあたる。母トキオリアリティーは、配合構成がメドウレイクの代表産駒メドウスター(BCジュベナイルフィリーズなど米G1を6勝)と酷似しているので、繁殖牝馬としての好成績もうなずける。基本的にディープインパクトはアメリカ血脈と相性がよく、本馬はサンデー系とニックスの関係にあるヘリオポリスが入るほか、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5などを持つ。なかなかの好配合馬。稽古で抜群の時計が出ており、このメンバーが相手なら問題なく通過しそう。」

パドックでは馬っ気を出していました。レース後、後藤浩輝騎手は気性面のコントロールについてコメントしていたので、ネックとなりそうなのはメンタル面だけですね。直線でエンジンが点火するまでにやや間を感じましたが、初戦なので何の問題ないでしょう。フットワークが豪快で惚れ惚れします。直線でグイッと伸びて後続を突き放したときに、スタンドにいた私の周囲に軽くどよめきが起こりました。気性面のケアを優先して大事に使っていくようですね。

■日曜京都5R新馬戦(芝1800m)ダノンバラード
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103548/

「◎ダノンバラードは『ディープインパクト×アンブライドルド』という組み合わせ。半兄にロードアリエス(京都新聞杯-2着)がいる。母レディバラードは現役時代にクイーン賞(G3・ダ1800m)とTCK女王盃(G3・ダ2000m)を勝った。本馬はヘイロー3×3を持っているが、これは父ディープインパクトのヘイロー≒サーアイヴァー2×4を継続するものなので好感が持てる。今年のNHKマイルCを勝ったダノンシャンティとも配合構成が似ている(ヘイロー3×3、2代母が全姉妹、ルファビュルーが入る)。抜群の稽古を消化しているのでしっかり勝ち負けに持ち込むだろう。」

文中でダノンシャンティとの比較について語りましたが、文章だけでは分かりづらいので表にしてみます。

           ┌ サンデーサイレンス
         ┌○┘
ダノンバラード ―┤ ┌○┐ ┌ Le Fabuleux
         └○┤ └○┘
           │ ┌ Halo
           └○┤
             └ Ballade

           ┌ サンデーサイレンス
         ┌○┤ ┌ Le Fabuleux
ダノンシャンティ ┤ └○┘
         └○┐ ┌ Halo
           └○┤
             └ Ballade

ダノンバラードの母の父 Unbridled は名配合の産物。しかし、性質としてはダート向きです。芝で走ったレッドチリペッパー(父 Unbridled)にしても、繁殖牝馬としては決め手を伝えていません。ですから、この血を取り込んで芝向きのA級中距離馬を作るには少々厄介なところがあります。ディープインパクトは、Halo≒Sir Ivor 3・5×3の効果があるにせよ、しっかり手なずけています。このあたりの懐の深さは魅力ですね。ちなみに、今週デビュー予定のダコール(父ディープインパクト)も母の父 Unbridled です。

ダノンバラードが年末に阪神へ行くのか、それとも中山へ向かうのかは分かりませんが、どちらでも好勝負でしょう。

今週の出走馬はまだ確定していません。ただ、10頭以上出てくることは間違いなさそうです。注目のレースは土曜京都6Rの新馬戦(芝2000m)。トーセンレーヴ(池江泰寿厩舎)とオンリーザブレイヴ(角居勝彦厩舎)が出走を予定しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102980/

前者はノーザンファームのエース格。水曜日の坂路で好時計を出しました。私が今年のPOGで1位指名した馬です。後者は3月30日のエントリー「ディープインパクトの牝系をクロスさせてみると」で取り上げました。「Burghclere≒Height of Fashion 3×4」という4分の3同血クロスがどう出るか、ですね。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-fc82.html

このままいくと週末は台風14号の影響で道悪必至。その適性が問われそうです。芝の重・不良でディープインパクト産駒は〔1・1・0・2〕。サンプルは少ないものの悪くない結果が出ています。今週の競馬である程度傾向が鮮明になりそうです。

~~~~~~~~~~~~~~~~

注)トーセンレーヴは出走投票がなかったため、今週のデビューは見送られました。

2010年10月27日 (水)

ディープインパクト産駒、土日で4勝(2)

先週勝ち上がった馬の配合をざっと見ていきたいと思います。

■土曜京都5R新馬戦(芝1600m)ドナウブルー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/

ディープインパクトの母は Court Martial(父 Fair Trial)のクロスを持ちます。また、Fair Trial 3×3の Queen's Hussar も入ります。このあたりを刺激すると大物感が出づらいのではないかと考えたので、今年の馬選びでは、Fair Trial やその息子 Court Martial の影響が感じられる血――Danzig や Lyphard など――が入った馬は、積極的に評価しませんでした。ドナウブルーには両方入っています(笑)。

ただ、この馬にはサンデー系と相性のいい Revoked が入るので、そのあたりがポジティヴに作用したのかもしれません。このニックスについては昨年12月5日のエントリー(ミカエルビスティーと「Nothirdchance≒Revoked」)で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/nothirdchancere.html

今年のPOGでは、ディープインパクト産駒のレッドセインツ(新潟2歳S-3着)を指名しました。この馬はまさに Nothirdchance≒Revoked のニックスを持っています。

■日曜東京3R未勝利戦(芝2000m)サトノペガサス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103131/

この馬もドナウブルーと同じく Lyphard クロスを持ち、しかも4×4・4ですから、あまり指名したくないタイプです(笑)。ただ、薔薇一族に属しており、母クラシックローズも3勝馬ですから、牝系の質はなかなかいいですね。

そして、なんといっても「Halo≒Sir Ivor≒Drone 3・5×5」です。父ディープインパクトは「Halo≒Sir Ivor 2×4」が配合構造のひとつの核。これを継続する配合は悪かろうはずがありません。これらとよく似た構造の Drone を入れると、同じような血がトリプルで重なるわけですから、その効果は大きいのではないかと思います。このあたりについては3月26日のエントリー(ディープインパクト産駒の成功する配合パターンとは?)で詳しく触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-1f90.html

サトノペガサスは中山のほうがいいタイプではないでしょうか。京成杯あたりに向きそうな気がします。(続く)

2010年10月25日 (月)

菊花賞はビッグウィーク

前走の神戸新聞杯(G2・芝2400m)は、ローズキングダムとエイシンフラッシュに切れ負けして3着でした。1、2着馬の上がり3ハロンはは33秒3。バゴ産駒のビッグウィークにこんな脚はありません。

特殊な上がり勝負だった神戸新聞杯とは違い、菊花賞(G1・芝3000m)は別物のレースになることが予想されたので、凱旋門賞を勝った父バゴのスタミナが活きる流れになればあるいは……と考え、今回は4番手評価(△)。切れ味勝負を回避するために早めの競馬を心がけた川田騎手の好騎乗が光りました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100208/

2代母タニノブーケはデイリー杯3歳S(G2・芝1400m)の勝ち馬。小柄で切れ味のある馬でした。繁殖牝馬としては成功し、タニノボレロ(新潟記念)、タニノクリエイト(神戸新聞杯)を出しており、ビッグウィークの母タニノジャドールはこの2頭の半妹にあたります。

 タニノブーケ(f.1982.ノーザンディクテイター)
   タニノボレロ(c.1988.トレボロ)新潟記念(G3)
   タニノクリエイト(c.1992.クリエイター)神戸新聞杯(G2)
   タニノジャドール(f.1998.サンデーサイレンス)
     ビッグウィーク(c.2007.バゴ)菊花賞(G1)

サンデーサイレンスの血は偉大というほかありません。今回の菊花賞は非サンデー系のワン・ツー・フィニッシュでしたが、母の父はいずれもサンデーサイレンス。母方に潜っても絶大な威力を発揮します。

日本に種牡馬として導入された凱旋門賞馬は13頭を数えますが、種牡馬としてまずまず成功したといえるのはセントクレスピン、ダンシングブレーヴ、トニービンぐらいで、あとは日本向きとはいえない鈍重なタイプがほとんどです。ビッグウィークの父バゴにもややそういった面が見られます。

バゴの父 Nashwan は現役時代に英2000ギニー(G1・芝8f)と英ダービー(G1・芝12f)の二冠を制覇。名騎手として名高いウィリー・カーソンが引退した際、騎乗した馬のなかでベストホースに挙げたほどの名馬でした。種牡馬としてはスタミナ型で、決め手もイマイチ。息子のバゴにもこうした特徴が伝わっているように思います。とはいえ、初年度産駒からビッグウィーク(菊花賞)とオウケンサクラ(フラワーC)を出したのですからたいしたものです。当たれば飛距離は出る、というキャラクターですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001190004/

バゴの父 Nashwan はディープインパクトの近親で、母 Moonlight's Box は Kingmambo と逆配合(Nureyev×Mr.Prospector)。血統構成的にややおもしろい布石があるので、遠い先の話になりますが、バゴの血を抱えた繁殖牝馬はそれらの血と組み合わせることでいい馬を出せるかもしれません。

今回の菊花賞は△コスモラピュタ(11番人気)が大逃げを打ちました。もう少し強い逃げ馬なら逃げ切っているペースです。1コーナーから2周目3コーナーまでの5ハロンで、13秒台のラップを4回刻んでいます。不思議なことに、1周目のゴール板前では5馬身のリードだったのが、ラップが落ちたこの区間で10馬身以上の大逃げとなっています。

先頭はこの5ハロンを65秒で走りました。直前の降雨を考慮に入れたとしても遅いペースです。そして、後続馬群はここで引き離されたわけですから、もっと遅いペースだったわけです。ビッグウィークはここで3番手から2番手に上昇しました。位置取りの勝利といえるでしょう。

ニホンピロムーテー(福永洋一)の菊花賞、テツノカチドキ(佐々木竹見)の二度目の東京大賞典、ライスシャワー(的場均)の二度目の天皇賞・春などのように、長丁場で道中のペースが遅いと見るや、レース途中から果敢に動いてハナに立ち、そのまま逃げ切るといった冒険的な騎乗を以前は目にすることがありました(ニホンピロムーテーはリアルタイムで見ていませんが)。チャレンジングスピリットが感じられる競馬はいつだって感動しますし、興行的なコンテンツとしても優れていると思います。たとえ馬券が外れても「いい競馬を見せてもらった」と満足できるからです。要するに“カネを取れる競馬”ですね。

ペースを読める騎手がいなくなったのか、あるいは現代の競馬ではそもそもその類の冒険は成立しないのか、馬乗りに関して素人の私には分かりません。ただ、3000mのレースで上がり33秒台後半~34秒台前半の馬たちが枕を並べて討ち死にしているのを見ると、違和感を感じずにはいられません。「動くに動けない」「先に動いたら負け」という言葉はよく耳にしますが、動かずに負けてしまったら元も子もないと思うのですが。

◎トウカイメロディ(2番人気)は6着。向正面から微妙に手応えが悪かったですね。このメンバー相手に横綱相撲で勝てるほどの力はまだありませんでした。

2010年10月24日 (日)

ダンスインザダークの配合的核心

富士S(G3・芝1600m)は、実績上位馬が体調面でパッとしなかったので、上がり馬ダノンヨーヨー(父ダンスインザダーク)が突き抜けました。それにしてもフローラルマジックの一族は走りますね。

 フローラルマジック(f.1985.Affirmed)
   ペイパーレイン(f.1991.Bel Bolide)
   │ マツリダゴッホ(c.2003.サンデーサイレンス)
   │      有馬記念(G1)、オールカマー(G2)[3回]、
   │      日経賞(G2)、アメリカJCC(G2)
   ホウシュウサルーン(c.1993.ベリファ)全日本3歳優駿
   グリーンプレゼンス(c.1995.ロドリゴデトリアーノ)
   │                   ④京都記念(G2)
   ナリタトップロード(c.1996.サッカーボーイ)
   │        菊花賞(G1)、阪神大賞典(G2)[2回]、
   │        弥生賞(G2)、京都大賞典(G2)、
   │        京都記念(G2)、きさらぎ賞(G3)
   フローラルグリーン(f.1998.フォーティナイナー)
     ダノンヨーヨー(c.2006.ダンスイザダーク)富士S(G3)

ダノンヨーヨーはナリタトップロードの甥、マツリダゴッホの従兄弟にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103340/

「ダンスインザダーク×フォーティナイナー」は兵庫チャンピオンシップ(G3・ダ1870m)を勝ったインタータイヨウと同じ。ダノンヨーヨーが芝向きに出たのは2代母の父 Affirmed の影響でしょう。同馬は78年の米三冠馬。現役時代は一度も芝のレースに出走しませんでしたが、種牡馬としては Flawlessly、Zoman、Bint Pasha、Trusted Patner、The Tin Man など、むしろ芝向きの大物が目立ちました。サンデー系との相性も良好です。スティンガー、サイレントハピネス、アーバニティの3きょうだい(いずれも母の父 Affrimed)は、いずれもサンデーサイレンスまたはサンデー系種牡馬から誕生しています。

ダンスインザダークの3代母 Native Partner は、Raise You≒Flaming Swords 2×3という変わった構成です。
http://www.pedigreequery.com/native+partner

         ┌○┐ ┌ Ultimus
         │ └○┘
Raise You ――――┤   ┌ Man o'War
         │ ┌○┤
         └○┘ └ Lady Comfey
http://www.pedigreequery.com/raise+you

         ┌ Man o'War
Flaming Swords ―┤   ┌ Ultimus
         │ ┌○┘
         └○┤
           └ Lady Comfey
http://www.pedigreequery.com/flaming+swords

そして、ダンスインザダーク自身は、「Blue Swords=Bluehaze 5×5」という全きょうだいクロスを持っています。Blue Swords は Hail to Reason の母の父、Bluehaze はダンスインザダークの5代母。2頭はいずれも Flaming Swords の子です。

つまり、ダンスインザダークは、3代母 Native Partner が内包するユニークな相似な血のクロスを増幅することによって誕生したわけです。私はこの効果があまりにも強烈だったため、全きょうだいのダンスパートナー、ダンスインザムードがそろって走ったのだと考えています。

これがダンスインザダークの配合的核心だとするなら、その部分(Raise You、Flaming Swords)を刺激するのは配合テクニックの常道です。ダンスインザダークは Mr.Prospector(父 Raise a Native、その母 Raise You)と相性がいいのですが、これは単純に“ダンスインザダークのスタミナに Mr.Prospector のスピードが合う”といったバランス論に還元する話ではないしょう。Raise You と Flaming Swords の相似な血のクロスを継続することが効果を挙げているのだと考えます。

ダノンヨーヨーの母は Raise a Native 3×4ですから成功パターンに合致しています。牝系の優秀さを含めて配合水準は非常に高いですね。まだまだ上を目指せる器でしょう。

それにしても惜しかったのはブレイクランアウト。今回は12ヵ月の休養明けだったのですが、直線残り300mで前が詰まる不利。それで小差の5着ですから並の馬ではありません。まともなら勝っていた可能性もあります。

残念なことに、レース中に脚を痛めてしまったようで、入線後に馬運車で運ばれて行ってしまいました。命に関わる症状ではないとのことですが、どうやらこのまま引退のようです。高い素質を秘めながらついに本領を発揮できなかったという印象です。もったいないですね。

2010年10月21日 (木)

菊花賞の穴馬

一昨年は「母の父リアルシャダイ」のフローテーション(15番人気)が2着。昨年は「父ダンスインザダーク」のスリーロールス(8番人気)とフォゲッタブル(7番人気)がワン・ツー・フィニッシュ。

血統的にみるとあまりにもひねりがなさすぎます。ですが、菊花賞に限っては、とことん素直に、ベタであることを恐れず――といった心構えで予想に臨むほうがいいですね。“カッコよくひねって綺麗に当てたい”といった邪念が入るとロクなことはありません。

去年の菊花賞はそれで失敗しました。恥を忍んで書くと、私の本命はブレイクランアウト(笑)。距離がもつわけないよ、という評価に反発するように◎を打ったのですが、結果はご存知のとおり(16着)。ダンスインザダーク丼で「やっぱり菊は血統だよなぁ」という声が飛び交うなか、徒労感を抱えて競馬場を後にしました。

過去の傾向を探ると、人気薄で突っ込んできた馬は、血統的な裏付けのあるものがほとんどです。過去10年間に7番人気以下で連対した8頭中、4頭がダンスインザダーク産駒でした。残りは、リアルシャダイ、サッカーボーイ、Sadler's Wells、ペンタイアを持つものが1頭ずつ。

人気馬とはその時点ですでに実力が証明されている馬たちです。中距離がベストでも能力の高さで長距離をこなしてしまうことがあります。一方、人気薄は、たいてい近走成績がイマイチで、3000mという距離で変わり身を見せるわけですから、それなりの適性(=血統的な裏付け)がないといけません。

今年、重い印があまり付きそうもない馬のなかで、菊花賞向きの血が入るものは以下の5頭。

コスモラピュタ(トニービンと Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104901/
ゲシュタルト(Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/
ビッグウィーク(父バゴ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100208/
ビートブラック(ブライアンズタイムと Rainbow Quest を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104746/
リリエンタール(Sadler's Wells と Monsun を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110046/

配合は考慮せず、能力・適性も度外視で並べています。もし荒れるとしたらこのあたりが突っ込んでくるケースでしょうか。

2010年10月20日 (水)

アラブの血を持つ2歳馬ゴーディー、本日大井で出走

15年前にJRAのアラブ系競走が廃止されたあと、馬資源の減少から地方競馬でも徐々に廃止するところが増え、現在ではアラブ系限定の競走は存在しません。

かつては、アングロアラブのトップクラスがサラブレッドを負かすことも珍しくありませんでした。中央競馬ではセイユウがセントライト記念に勝ち、南関東ではイナリトウザイ(東京盃)、ヨシノスカレー(報知グランプリC)、ホーエイヒロボーイ(報知グランプリC)、コスモノーブル(報知グランプリC)、トチノミネフジ(報知グランプリC)がサラブレッドを破って重賞を制覇しました。
http://ahonoora.web.fc2.com/seiyu.html
http://ahonoora.web.fc2.com/inari_touzai.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982501096/

ですから、アラブ系競走が廃止されたといっても、サラブレッドと同等のレベルにあるトップクラスのアングロアラブを、生産者が見捨てたわけではありません。名牝クラスの馬はしっかり繁殖入りし、サラブレッドとの間に産駒を送り出しています。当ブログでもこの話題は一度取り上げました(09年12月9日のエントリー「アラブの名牝の子トライバルシンが新馬戦5着」)。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/post-6670.html

本日、大井競馬9Rのくまたか特別(19時40分発走)に、ゴーディーという2歳馬が出走します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008200010/

父は1世代16頭の産駒を残して乗馬に転身したプレシャスカフェ。この馬はCBC賞(G2)とシルクロードS(G3)を勝ったサラブレッドです。一方、母イケノエメラルドは、アラブダービー(笠松)、アラブ王冠(名古屋)、アラブギフ大賞典(笠松)など60戦27勝の成績を残したアングロアラブ。母の父コノミテイオーは楠賞全日本アラブ優駿(園田)の勝ち馬です。

母イケノエメラルドはスカレー4×3。スカレーは70年代から80年代にかけて活躍したアラブの名種牡馬ですが、種牡馬生活の前半はタガミホマレに、後半はスマノダイドウとキタノトウザイ(父スカレー、母イナリトウザイ)の二強体制に阻まれ、一度もリーディングサイアーの座に就けませんでした(78年から86年まで9年連続2~3位)。しかし、優れた資質を伝える種牡馬であることは間違いなく、全日本アラブ大賞典、アラブーダービー、アラブ王冠賞などを勝ったオオヒエイは「スカレー2×2」です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986501490/

アラブの血を持つ馬(「サラ系」に分類)は、地方競馬においてはさほど珍しい存在ではありません。くまたか特別の出走馬にはもう1頭、エースキッドという馬がアングロアラブの母を持っています。しかし、ゴーディーについて特筆したいのはその実力。1番人気に推された前走の準重賞ゴールドジュニアー(OP・ダ1400m)では、不利な大外枠からロケットスタートでハナに立ち、2着に逃げ粘りました。いずれ重賞に出走してくるでしょう。

今回はメンバー的に楽になるとはいえ、ダービー馬サニーブライアンの半弟で1戦1勝のリアリゼーション(父ファンタスティックライト)などは、明らかに格下ではありますが不気味な存在です。面白いレースになりそうです。

2010年10月19日 (火)

府中牝馬Sはテイエムオーロラ

いまの府中はインコースが止まらないので、スローで逃げて直線突き放すという競馬がハマりました。予想は◎テイエムオーロラ(4番人気)だったので単勝はクリーンヒット(ただし14番人気の2着馬セラフィックロンプにはシルシが回らず……)。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文は以下のとおりです。

「◎テイエムオーロラは『マンハッタンカフェ×トニービン』という組み合わせ。母方にカーリアンが入るマンハッタンカフェ産駒は成功しており、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ガルボ、マッハヴェロシティといった活躍馬が出ている。本馬はこのニックスを持つ。過去の連対馬を分析すると、サンデーサイレンスあるいはトニービンを持った馬が強いという傾向が見られる。本馬はその両方を持っているのでレース適性は高いだろう。今年は実績馬にそれぞれ死角がある。準OPを勝ったばかりのこの馬にもチャンスはある。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106407/

予想文には書けませんでしたが、母ペリーヌの全弟に京都新聞杯(G2)と京阪杯(G3)を勝ったテンザンセイザがいます。

マンハッタンカフェ産駒は、成功パターンに当てはまる配合馬が素直に走る傾向があるので、POGにおいては最も走る馬を指名しやすい種牡馬だと思います。手前味噌になりますが、昨年の「栗山ノート」で指名したマンハッタンカフェ産駒5頭から、ゲシュタルト(京都新聞杯)、ハンソデバンド(共同通信杯)、サンディエゴシチー(札幌2歳S)と3頭の重賞ウィナーが誕生しました。今年もすでにカフェラピード、アッパーイースト、ラヴィアンクレールと3頭が勝ち上がっています。

「母方に Caerleon が入るマンハッタンカフェ産駒」という成功パターンは、おそらく当ブログの読者の方々にとっては聞き飽きたものでしょう。

配合について詳しくお知りになりたい方は、当ブログに連載した「マンハッタンカフェ整理整頓(1)~(5)」をご参照ください。テイエムオーロラが持つニックス(母方に Caerleon が入る)は連載3回目に記してあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-ec5e.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-f22f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-889f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-fb5f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-6154.html

2010年10月17日 (日)

土曜日のレースあれこれ

■デイリー杯2歳S(G2・芝1600m)は紅一点のレーヴディソール(1番人気)が大外一閃。初戦とペースが違うせいか序盤にモタつくシーンもありましたが、アグネスタキオン産駒だけあってエンジンが掛かると切れますね。これでデイリー杯は同産駒が4年連続で連対したことになります。京都の外回りコースは切れ味が活きる舞台なのでタキオンの子が強いのは偶然ではありません。レーヴディソールの上がり3ハロンは33秒7でした。

過去3年の連対馬は脚もとが弱いという共通点があります。ホッコータキオンは屈腱炎、リディルは骨折でクラシックを迎える前に長期休養に入り、いまだに復帰していません。キャプテントゥーレは皐月賞を勝ったあと骨折で1年以上休みました。脚もとの弱さはアグネスタキオン産駒の泣きどころです。無事に来年のクラシックを迎えてほしいものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103374/

■デイリー杯と並ぶ土曜日の注目レースは東京12Rの1000万下(芝1800m)。期待の対象はサンデーミューズ(1番人気)でした。その父アルカセットはジャパンCをレコード勝ちしたものの、種牡馬としてはスピード不足がたたり苦戦中。サンデーミューズは、同産駒のなかでほとんど唯一といっていい上級クラスを狙える芝馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105711/

今回は、5ハロン通過62秒1というスローペースを最後方から進み、上がり33秒0の瞬発力で突き抜けました。

「母の父サンデーサイレンス」は、日本向きとはいえない種牡馬にスピードと瞬発力を与え、日本の馬場に適応させてしまうという万能調味料のような働きがあります。ただ、サンデーミューズの高い能力を解く鍵はこれだけではないでしょう。私は「チェサプラナ≒シンコウビューティ2×2」から何らかの影響を受けているのではないかと思います。この血統構成は独特です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a010a54/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109217/

            ┌ Nijinsky
          ┌○┘
チェサプラナ ―――┤ ┌ High Top
          │ │   ┌ Forli
          └○┤ ┌○┤ ┌ Bold Ruler
            └○┘ └○┘

            ┌ Nijinsky
          ┌○┘ ┌ Forli
シンコウビューティ―┤ ┌○┤ ┌ Bold Ruler
          └○┤ └○┘
            │ ┌ High Top
            └○┘

シンコウビューティはシンコウラブリイ(マイルCSなど重賞6勝)の全妹。優秀な血統構成の多重クロスによってサンデーミューズが走ったとするなら、この牝系はアルカセットとの交配で第二、第三の活躍馬を送り出せるかもしれません。6月デビューで5戦3勝、これで準OP入りですから、重賞に姿を見せる日も近いでしょう。

■昨日のエントリーで取り上げたコウエイトライは東京ハイジャンプ(J・G2・芝3300m)で4着。決してバテてはいないのですが、4コーナーで内から張られ、大外に押し出されたのが痛かったですね。あのコースはいま伸びません。ガラ空きになったインを突いた3頭で決着しました。

■京都3Rの2歳未勝利戦(芝1600m)は、POGでも指名した期待のダノンハロー(1番人気)が9着惨敗。前に行けなかったのは初戦と同じですが、勝負どころの反応がイマイチで、ラストも伸びず。こんな馬ではないと思うのですが……。土曜日のハーツクライ産駒は3頭が出走して〔0・0・1・2〕。率を下げています。デイリー杯2歳Sでメイショウナルトが3着となりました。

■京都9Rの堀川特別(1000万下・芝1800m)は、サンデーサイレンスと Green Desert の組み合わせを持つスイートマトルーフが勝ちました。10月16日のエントリー(オーストラリアで目に付く“母の父サンデー系”)で触れた配合パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109266/

■3戦全勝同士の Frankel と Dream Ahead の対決で注目されたデューハーストS(英G1・芝7f)は、1番人気の Frankel が完勝しました。Dream Ahead は5着。1着 Frankel、2着 Roderic O'Connor はいずれも「Galileo×デインヒル」という組み合わせ。Galileo 産駒はこのレース通算3勝目で、06年の勝ち馬 Teofilo も「Galileo×デインヒル」でした。『RACING POST.com』では「スーパースター」という単語が躍っていますね。この勝利によって、来年の英2000ギニー(G1・芝8f)における Frankel のアンティポストは軒並み2倍前後に下がり、大手のコーラルとウイリアムヒルは1.8倍(!)をつけました。レース直前ではなく半年前のオッズですからね……。ありえないぐらいの高評価です。http://www.pedigreequery.com/frankel3

2010年10月15日 (金)

オーストラリアで目に付く“母の父サンデー系”

★トゥーラックH(豪G1・芝1600m)
 1着 More Joyous(父 More Than Ready、母の父サンデーサイレンス)★豪1000ギニー(豪G1・芝1600m)
 1着 Yosei(父 Invincible Spirit、母の父フジキセキ)

前者は10月9日、後者は13日に行われました。いずれもオーストラリアのG1。距離は芝1600mです。

先日のスプリンターズS(G1)を Ultra Fantasy が制したように、オーストラリア産馬は芝短距離において世界最強の実力を誇ります。残念ながらサンデー系はこのカテゴリーに食い込むことはできません。ただ、マイルあたりなら十分通用しますね。

More Joyous については3月10日のエントリー(「サンデーサイレンス×デインヒル」は海外向き)ですでに紹介しています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-854e.html

母 Sunday Joy はAJCオーストラリアンオークス(豪G1・芝2400m)の勝ち馬で、サンデーサイレンスが南半球で送り出した唯一のG1馬です。More Joyous 自身は現在3つのG1を制覇。父 More Than Ready といえば、日本ではダートの短距離タイプが多く、とても芝のマイルG1馬を出せるような種牡馬には見えないのですが、それを可能にする“母の父サンデー”は偉大ですね。Halo 3×3が芝向きの瞬発力と軽快さを生んでいるのでしょう。2代連続でG1を獲っているのですからもう立派な名牝系です。
http://www.pedigreequery.com/more+joyous

一方の Yosei は、シャトル種牡馬としてアイルランドとオーストラリアを往復している Invincible Spirit の子。Green Desert 系はこのところヨーロッパで勢力拡大が著しいのですが、Invincible Spirit はその中核を成す若手注目株です。

当ブログでも何度か記したと思うのですが、Green Desert は母の父が Sir Ivor なので、サンデーサイレンスとの組み合わせでは Sir Ivor≒Halo という相似な血のクロスが生じます。Green Desert とサンデーサイレンスの組み合わせは今後も要注目です。
http://www.pedigreequery.com/yosei

2010年10月12日 (火)

エスポワールシチー敗れる

月曜日は所用で丸一日出かけていたため、南部杯(G1・ダ1600m)をリアルタイムで見られませんでした。帰宅後、パソコンの電源を入れ、さてどんな勝ち方をしたのかなと YouTube でレースを見てみたところ、「エ~~~~~ッ!!」。
http://www.youtube.com/watch?v=wjML0LpQBJc

エスポワールシチーの馬体重は+15キロですから、このあとのアメリカ遠征を見据えた仕上げでしょう。控える競馬をしたのも、ハナっ速いアメリカ馬への対応を想定したものだったかもしれません。すべては結果論ですが、このあたりの隙をオーロマイスターが突いて大駆けを果たしたということでしょう。馬場が速かったとはいえメイセイオペラの記録を12年ぶりに更新する1分34秒8のレコード勝ちは立派です。

オーロマイスター自身の上がり3ハロンは34秒8(!)。この馬はダ1700~1800mを走ることが多いのですが、個人的にはダ1400mがベストだと思っています。今年の根岸S(G3・ダ1400m)で見せた切れ味こそが最大の長所です。このあたりは Halo≒Sir Ivor 3×4の影響なのかなという気がします。レースの上がりは46秒9-34秒9。完全に切れ味勝負となったことでオーロマイスターの持ち味が十全に発揮されました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102102/

レースを見ていてふと04年の南部杯を思い出しました。断然人気のアドマイヤドンがユートピアの逃げ切りに屈したレースです。盛岡競馬場の直線は300mで、直線の坂は中山はもちろん東京や阪神よりも高低差がないため、先に行く馬に脚が残っていると、追いかける馬がどれほどの実力馬であってもとらえるのは容易ではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=BaXyxJFnLdQ

オーロマイスターとエスポワールシチーはゴールドアリュール産駒。そして母の父はいずれも Roberto の子。配合の大枠は似ていますね。ゴールドアリュールの初年度産駒は、今回の1、2着馬に加えてスマートファルコン(重賞10勝)がいます。大豊作の世代となりました。

余談ですが、オーロマイスターの半弟にテーオーアポロンという2歳牡馬がいます。父はハーツクライ。配合的に非常に優れていると感じて各種POG雑誌で指名しました。とくに評判馬というわけではなく、どの程度の器なのか定かではありませんが、個人的には密かに期待している馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106611/

2010年10月 7日 (木)

ジャングルスマイルが白山大賞典(G3)2着

10月5日、金沢競馬の雄ジャングルスマイルが白山大賞典(G3・ダ2100m)に出走し、JRAの強豪相手に2着と健闘しました。地元では敵なしでも、さすがにここでは家賃が高いだろうとジャッジされ、1~4番人気をJRA勢が占めるなか5番人気。しかし、下馬評を覆してよく逃げ粘りました。コスモファントムに先着したのは大したものですね。もはや金沢のみのローカルな存在ではありません。勝ったパワーストラグルは圧倒的に強く6馬身差の圧勝でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105514/

ジャングルスマイルについては6月22日のエントリー(金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇)で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-52f2.html

簡単に説明しますと、母サトルスマイルはマンハッタンカフェの4分の3同血で、自身はアプリコットフィズと非常によく似た配合構成です。ワイズミューラーの全兄でもあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102942/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

           ┌ ジャングルポケット
ジャングルスマイル ―┤   ┌ サンデーサイレンス
           │ ┌○┘
           └○┤
             └ サトルチェンジ

           ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

このメンバー相手に勝ち負けになったということは、日本全国どこのダートグレード競走でも上位に食い込む力があるということ。金沢競馬としてはトゥインチアズ以来の大物でしょうか。配合的に素晴らしい馬はやはり頭角を現してきますね。

2010年10月 1日 (金)

リベルタス出陣

土曜日の阪神4R・新馬戦(芝1800m)にリベルタスが出走を予定しています。ディープインパクト産駒のなかでもかなり評判が高かった馬なので、注目を集めることでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102819/

母カーリングはもともとかなりの安馬です。その父 Garde Royale は障害用としても供用されていたマイナー種牡馬。また、母の父 Carvin も女傑 Pawneese(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英オークス、仏オークス)のほかは目立った活躍馬を出さなかったステイヤー種牡馬ですから、G1クラスでの活躍を期待しづらい血統です。

ところが、いざ走ってみると動きが素晴らしく、仏オークス(G1)とヴェルメイユ賞(G1)を勝ちました。そして、繁殖牝馬としてもローエングリン(重賞3勝、ムーランドロンシャン賞2着)を出したのですから大したものです。

非主流血脈をたっぷり抱えているので、なんとなくアガ・カーン四世殿下が好みそうな配合ですね。殿下は、流行とは縁の薄い良質のステイヤー血脈を使って活力の高い牝系を作り上げ、そこから超一流馬を取り出すというスタイルで成功しました。カーリングは“天然のアガ・カーン配合”といったテイストがあります。この牝系は大事にしてほしいですね。

今年の「栗山ノート」ではリベルタスを指名していません。初年度のディープインパクト産駒は、アメリカ血統を重視した馬選びをしました。ヨーロッパのステイヤー血統を抱えたこの馬は、ディープとの組み合わせでは鋭さに欠ける子が出る可能性があると見てスルー。しかし、こういう配合が走るのなら、来年のディープ産駒の馬選びは姿勢を変えて臨まなければなりませんね。

同じレースに出走予定のダノンシャークもディープインパクト産駒。母方に Mill Reef を持つところはリベルタスと同じです。半兄レッズフィールド(父アグネスタキオン)はかつてPOGで指名し、決め手のなさに泣かされた馬でした(〔1・7・3・8〕という成績)。それ以来、母カーラパワーは警戒して取っていません。ただ、この馬は配合そのものはそれほど悪くないと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105554/

2010年9月27日 (月)

神戸新聞杯はローズキングダム

ダービー馬◎エイシンフラッシュ(1番人気)との一騎打ちとなり、○ローズキングダム(2番人気)が競り勝ちました。夏の上がり馬が勢力図を書き換えることはできませんでした。

前半1200mの通過は「1分15秒3」。過去3年の平均が「1分12秒5」ですからかなりのスローペースです。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文は以下のとおり。

「神戸新聞杯は決め手勝負になることが多いので、超スローペースのダービーを突き抜けたこの馬(エイシンフラッシュ)が有利。追い切りの動きは圧巻で春からさらに成長している。」

スローの決め手勝負ならダービー組が上ですね。1、2着馬の上がり3ハロンは33秒3でした。昨年のイコピコの再現を期待して、同じマンハッタンカフェ産駒で配合構成も似ているサンディエゴシチー(6番人気)に▲を打ったのですが、1、2着馬とは地力が違いすぎました(9着)。

ここ3年間の菊花賞(G1・芝3000m)は、勝ち馬の上がり3ハロンの平均が35秒1ですから、スローの上がり勝負というわけではありません。加えて今年はヤマニンエルブがペースを緩めずに逃げます。セントライト記念で相応の実力を示した馬ですから、有力各馬は早めに追いかけざるを得ないでしょう。ロングスパート気味のスタミナが問われるレースになるはずです。ダービーや神戸新聞杯のようなレースにはなりません。

今回の1、2着馬がそうしたレースでも他馬を抑えられるほど地力が抜けているのか、あるいはスタミナ自慢の新興勢力が台頭してくるのか。菊花賞の焦点はこのあたりになりそうです。

2010年9月26日 (日)

ディオーサとワイズミューラーは3着

ディオーサは休み明けでこのメンバー相手にまずまずの走りでしょう。松岡正海騎手は「切れ味のある馬ですから、道中掛からないように気をつけました。オープン級の素質があると思っていますし、休み明けとしてはいい内容だったと思います」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。道中インに押し込められて勝負どころで位置取りを下げてしまったのが痛かったですね。

ワイズミューラーは現状ではここまで。内田博幸騎手は「もう少し馬場が乾いた方がいいのでしょうか。後ろで構えたくないのに、前へ出ていってくれませんでした」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。菊花賞挑戦の夢は消え去りました。いずれ頭角を現してくる馬だと思うので成長を待ちたいと思います。

一方、新馬戦の予想は好調。予想した2レースはいずれも的中しました。

阪神4Rの新馬戦(芝1200m)は◎キョウワジャンヌ(2番人気)が勝ち、◎★で馬単20450円、◎★△で3連単27万3750円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎キョウワジャンヌは『ハーツクライ×シーキングザゴールド』という組み合わせで、半兄にキョウワロアリング(北九州記念)、ヘイローフジ(京阪杯-3着)がいる。母アサカフジは父ハーツクライと相性のいいアメリカ血統(バックパサー、ラウンドテーブルなど)を抱えている。スピード色が強いので1200mにも対応できる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104415/

ハーツクライ産駒は勝ち星を「10」の大台に乗せ、ついにディープインパクトと肩を並べました。ハーツクライ産駒は追ってからしっかりとした脚を使うのが印象的ですね。この時期の2歳馬は未完成ですから、フラフラしたりレースに集中できなかったりといったことはしょっちゅうです。ハーツクライの子はゴールを目指して最後まで力強く伸びます。体力と集中力に優れているという印象です。2歳の早い時期にどんどんデビューを果たし、競走馬としてそれなりに完成しているのは、体質が丈夫である証拠。もし仮に父と同じように古馬になってさらに成長するとしたら、これは末恐ろしい種牡馬ですね。

中山5Rの新馬戦(芝1200m)は◎イトククリ(1番人気)が2着を確保し、△◎で馬連1930円、△◎★で3連複16450円的中。予想文にも書いたのですが、「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」は今シーズンの新馬戦で7戦6連対。直近10走で集計すると9連対というずば抜けた成績です。この配合を見つけたら新馬戦では逆らえません。

2010年9月25日 (土)

土曜日の注目馬、ディオーサとワイズミューラー

土曜日は個人的に注目している3歳馬が2頭出走します。

★中山9R・汐留特別(500万下・芝1600m)
  ディオーサ(牝3)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105462/

★中山10R・九十九里特別(1000万下・芝2500m)
  ワイズミューラー(牡3)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/

ディオーサは母方に Nijinsky と Mr.Prospector を併せ持つマンハッタンカフェ産駒。このパターンは、イコピコ、レッドアゲート、サンディエゴシチー、メイショウレガーロ、マンハッタンスカイ、エーシンモアオバーなど活躍馬が多数出ています。母ジェニアリータは桜花賞プリモディーネと配合構成がきわめてよく似ており、この点もおもしろいと思います。

          ┌ Mr.Prospector
        ┌○┘
ジェニアリータ ┤ ┌ マルゼンスキー
        └○┤ ┌ イエローゴッド
          └○┤ ┌ モンタヴァル
            └○┤
              └ ソーダストリーム

          ┌ Mr.Prospector
        ┌○┘
プリモディーネ ┤ ┌ マルゼンスキー
        └○┤ ┌ イエローゴッド
          └○┤ ┌ モンタヴァル
            └○┤
              └ ソーダストリーム

今回は昨年12月のひいらぎ賞以来9ヵ月ぶりのレース。久々、道悪、牡馬相手と不安材料がいっぱいですが、勝ち負けに持ち込んでもおかしくないと思います。

一方、ワイズミューラーは8月21日のエントリー(「菊花賞路線に乗れるか、ワイズミューラー」)ですでに取り上げています。配合解説はそちらをご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/08/post-17b9.html

アプリコットフィズと配合構成が酷似している馬で、とりあえずその血統表だけ転載します。

             ┌ ジャングルポケット
ワイズミューラー ――――┤   ┌ サンデーサイレンス
(=ジャングルスマイル) │ ┌○┘
             └○┤
               └ サトルチェンジ

             ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
             └○┤
               └ サトルチェンジ

ここを勝たないと菊花賞挑戦の夢が絶たれるので、陣営は必勝態勢で臨んでくるでしょう。

ディオーサ、ワイズミューラーとも道悪は未知数。あっさり勝つかもしれませんし、コロッと負けるかもしれません。いずれにしても、このレースだけでなく先々まで注目してみたい馬たちです。

2010年9月24日 (金)

日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はフリオーソ

2番手を追走したフリオーソ(1番人気)が最後の直線で楽々と先頭に立ち、帝王賞(G1)に続いて重賞連勝を果たしました。逃げたトランセンド(2番人気)が2着、スマートファルコン(3番人気)が3着。まったくの横綱相撲でしたね。
http://www.youtube.com/watch?v=CIroic2h6_c

春以降の充実ぶりは著しく、得意の番手差しは安定感抜群。11月3日のJBCクラシック(G1・船橋ダ1800m)はシルクメビウスと人気を二分する形になりそうです。今年は地元船橋開催なので凡走はないでしょう。ただ、シルクメビウスも道中の目標が決まっているので乗りやすいと思います。

母ファーザは Kingmambo と同じ「Mr.Prospector×Nureyev」という組み合わせ。《ブライアンズタイム+Kingmambo=フリオーソ》というイメージはしっくりきます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106867/

日本テレビ盃が終わったあとは、毎年、元日刊競馬の栗原正光さんが主宰する“天然鰻の会”という食事会に出席するのが習わし。今年もその予定で船橋競馬場へ行ったところ、宇田川淳さんから「栗原さんがさっき倒れた」と聞いてビックリ。会は急遽中止となりました。栗原さんは12年前に大井競馬の取材中に倒れられて体の一部に麻痺が残り、日刊競馬を退職されました。その後も何度か倒れられたのですが、そのたびに再起されました。幸い、命にかかわるほどの症状ではないらしいとのこと。一日も早くお元気になってください。

★栗原さんのブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/meruborun/

2010年9月23日 (木)

『奇跡の名馬』

春と秋には競馬の本がいろいろ出版されます。最近目に付いたものでおもしろいと思ったのは『奇跡の名馬』(兼目和明・大岡賢一郎共著/パレード)。うみねこ博物館(http://umineko-world.jugem.jp/)というブログから抜粋して再構成したものです。

588頁の大冊で、中身は古今東西100頭以上の名馬が紹介されています。そのセレクトがミソ。日本馬では第二メルボルンやミラクルユートピアが収録されていますし、外国馬は北米、中米、南米、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど、ほぼ全世界を網羅しています。たとえば英領ヴァージン諸島の Act Spectation、スペインの Rheffissimo、トルコの Minimo、フィリピンの Fair and Square、インドの Elusive Pimpernel、ケニアの Tinsel Town、ジャマイカの Simply Magic、トリニダードの Mentone、バルバドスの Zouk などは見たことも聞いたこともない馬たちでした。

南米馬は大岡賢一郎氏が担当し、それ以外はすべて兼目和明氏が執筆しています。兼目氏独特のポエティックな文体は少々癖があるのですが、そのマニアックな目配りは瞠目すべきものがあります。

私は血統畑の人間なので、pedigreequery.com でそれら辺境の名馬をリサーチし、配合を玩味するのが楽しいですね。たとえば「西アジア史上最強皇妃」と紹介されたトルコの Minimo を調べると、Forli とほとんど同じ配合構成であることに気付きます。トルコとアルゼンチンで同じような配合馬が走ったのだなぁ……と、しばし感慨に耽ってしまいます。
http://www.pedigreequery.com/minimo
http://www.pedigreequery.com/forli

       ┌ Hyperion
     ┌○┤ ┌ Fair Trial
Minimo ―┤ └○┘
     └○┐
       └ Commotion

       ┌ Hyperion
     ┌○┤
Forli ――┤ └ Commotion
     │   ┌ Fair Trial
     │ ┌○┘
     └○┘

血統表にある Commotion の母 Riot と Fair Trial は相似な血です。
http://www.pedigreequery.com/riot
http://www.pedigreequery.com/fair+trial

        ┌ Phalaris
      ┌○┤ ┌ Chaucer
Riot ―――┤ └○┘
      └ Lady Juror

        ┌ Phalaris
      ┌○┤ ┌ Chaucer
Fair Trial ┤ └○┘
      └ Lady Juror

ちなみに、ナスノカオリ(桜花賞)、ナスノチグサ(オークス)の母ナスノホシも、Riot と Fair Trial の組み合わせを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1955100166/

2010年9月21日 (火)

ハーツクライ固め打ち

種牡馬に関する先週の話題といえばハーツクライの固め打ちでしょう。野路菊S(OP)のワン・ツー・フィニッシュを含めて〔3・3・0・3〕という成績でした。全盛期のイチローを思わせる猛打ぶりです。

サンデー系種牡馬が初年度にどのような成績を残したか、秋の中央開催2週目終了時点で比べてみます。サンプルが4頭だけなのは、これらがほかのサンデー系種牡馬と比べて別格といえる成績だからです。

                   勝率 連対率 複勝率(%)
サンデーサイレンス〔13・6・6・6〕 41.9  61.3  80.6
アグネスタキオン 〔13・8・6・24〕 25.5  41.2  52.9
ディープインパクト〔10・5・7・16〕 26.3  39.5  57.9
ハーツクライ   〔9・7・3・11〕 30.0  53.3  63.3

勝率、連対率、複勝率、いずれにおいてもサンデーサイレンスが圧勝しています。これは当然でしょう。サンデーサイレンスがデビューした当時、ライバルとなるサンデー系種牡馬はいなかったのですから。

ハーツクライは各部門でサンデーサイレンスに次ぐ第2位。サンデーを父に持つ種牡馬ではナンバーワン、ということになります。ただ、2歳のこの時期は週によって成績に波があるので、調子のいい週もあれば悪い週もあります。ハーツクライとディープインパクトについては、これから毎週上がったり下がったりするでしょう。この2頭はいずれリーディングサイアーを争う種牡馬になると思います。

ハーツクライはどう考えても早熟タイプではないので、この成績が一過性のものであるとは考えづらいところです。クラシック向きのスタミナ、底力も持ち合わせているでしょう。

どの距離でもまんべんなく走るところがセールスポイントなのですが、とくに芝1800mでは〔5・2・1・4〕で連対率58.3%。この距離では逆らえません。ウインバリアシオンが楽勝した野路菊S(芝1800m)を見ると、2400mではさらに強いのではないかというイメージが湧いてきます。

いまのところ“母に Northern Dancer の強いクロスを持つ馬”が目立ちます。ウインバリアシオンは2×4。マリアビスティーは2×4。メイショウナルトは3×4。そして、全体的にちょっと硬いかなと思うような血統のほうがいいですね。こうした特長はマンハッタンカフェとよく似ています。ウインバリアシオンの母は「Storm Bird×Time for a Change」ですから、ちょっと日本向きとはいえないような血統です。それをジャパナイズして走らせてしまう力業は非凡ですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103206/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103221/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101384/

2010年9月20日 (月)

Spectacular Bid のウォークオーヴァーからちょうど30年

アメリカ競馬史における名勝負は数多いのですが、なかには“勝負”にならなかったレースもあります。

1980年9月20日、米ニューヨーク州ベルモントパーク。メインレースとして組まれたウッドワードS(G1・ダ9f)の出走馬はたった1頭、Spectacular Bid のみでした。強すぎるチャンピオンに恐れをなして他馬が出走してこなかったのです。
http://www.youtube.com/watch?v=NcbHpy61bTk

ウォークオーヴァーとは単走競馬のこと。これ以降、G1レースの単走はなく、おそらく今後もないでしょう。Spectacular Bid の通算成績は30戦26勝、G1を14勝しています。明らかに普通の馬ではありません。
http://ahonoora.web.fc2.com/spectacular_bid.html

ダート10ハロンのチャールズHストラブS(G1)では、1分57秒8という世界レコードを樹立しました。このタイムはいまだに更新されることなく残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=wDbOyu5tTF4

70年代のアメリカ競馬は名馬の宝庫です。後半は2年連続で三冠馬が誕生し、その翌年に Spectacular Bid が二冠を達成しました。

77年 Seattle Slew(三冠)
78年 Affirmed(三冠)
79年 Spectacular Bid(二冠)

Spectacular Bid は79年のベルモントS(G1)で3着に敗れ、三冠を逸しました。しかし、だからといって Seattle Slew や Affirmed よりも評価が劣っているわけではありません。ブラッドホースパブリケーションズ社が刊行した『Thoroughbred Champions:Top 100 U.S. Racehorses of the 20th Century』という本では、20世紀のアメリカ馬のなかで10位にランクされ、9位の Seattle Slew、12位の Affirmed とほぼ同格という扱いです。

Spectacular Bid は Bold Ruler 系に属し、To Market 3×3という強いクロスを持ちます。
http://www.pedigreequery.com/spectacular+bid

父 Bold Bidder はすでに Cannonade というケンタッキーダービー馬を出していました。Bold Bidder の子で日本に入ったワイルドウインター、オランテ、レックスレンジャーといった種牡馬はすべて失敗。むしろ Bold Bidder の全妹ディープディーンの牝系からギャロップダイナ(天皇賞・秋、安田記念)が出たことのほうが重要です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101941/

伝説のウォークオーヴァーを最後に現役を退いた Spectacular Bid は、巨額のシンジケートが組まれて種牡馬入りしました。しかし、残念ながら大失敗に終わります。

サンデーサイレンスの種牡馬シンジケートを当初アメリカで組もうとしたとき、生産者のあいだでまったく不人気だったのは、先に種牡馬入りしていた Sunny's Halo と Devil's Bag(いずれも Halo 産駒)が不振だったから、という話があります。私はもうひとつ、Spectacular Bid の母の父 Promised Land がサンデーサイレンスの母の父の父であることも理由だったのではないかと睨んでいます。サンデーサイレンスの血統表のなかにある Promised Land を見て、Spectacular Bid の大失敗を連想した生産者も少なくなかったのではないか――と。

もし仮に Spectacular Bid が成功していたら、サンデーサイレンスは日本に入っていなかったかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a00033a/

2010年9月18日 (土)

中山芝2200mで買える血、買えない血

長年馬券を買っている方ならお分かりだと思いますが、中山芝2200mはスタミナが必要です。中山コースではマイラーが芝2000mをカバーできても、芝2200mとなると苦しいですね。ちょうど東京芝2400mと芝2500mのようなもので、距離はたいして違わないけれど必要とされるスタミナには明確な違いがあります。

私が最初に中山芝2200m向きの血統として意識したのは Herbager でした。これはフランスのステイヤー血統で、かの地でリーディングサイアーとなり、のちにアメリカへ渡ってからも成功しました。

日本には70年代にシーホーク、コインドシルバーといった種牡馬が輸入されました。とくにシーホークは優秀で、日本ダービーを勝ったウイナーズサークルとアイネスフウジンのほか、天皇賞・春を勝ったモンテプリンスとモンテファストの兄弟など、多くの活躍馬を送り出しました。

これらの子は中山芝2200mの重賞でよく活躍しました。

80年 セントライト記念① モンテプリンス(父シーホーク)
83年 オールカマー②   ビンゴカンタ(父コインドシルバー)
86年 アメリカJCC①  スダホーク(父シーホーク)
    オールカマー①   ジュサブロー(父シーホーク)
       〃   ③   テツノカチドキ(父コインドシルバー)
    セントライト記念② アサヒエンペラー(父コインドシルバー)
88年 アメリカJCC②  キタノイチジョー(父シーホーク)

Herbager 系はスタミナ抜群です。その一方で瞬発力はイマイチ。もしモンテプリンスに切れ味があればダービーをはじめいくつもの大レースをモノにしていたでしょう。アサヒエンペラーなどもジリ脚でしたね。

中山芝2200mを得意とするのはこういう血です。切れ味よりも粘り合いのタフなレースに強いタイプです。

今年のセントライト記念に出走馬を送り込んだ父馬の、中山芝2200mの連対率を並べてみます。

Galileo       66.7%
キングカメハメハ  26.3%
マンハッタンカフェ 24.2%
シンボリクリスエス 25.0%
グラスワンダー   19.2%
サッカーボーイ   17.6%
ダンスインザダーク 14.6%
フレンチデピュティ 14.3%
アグネスタキオン  14.0%
ゼンノロブロイ   出走歴なし

トップの Galileo は出走歴が3回(2連対)しかないのでサンプル不足。ただ、得意としていることは確かでしょう。その下のキングカメハメハ、マンハッタンカフェ、シンボリクリスエスは胸を張れる成績です。グラスワンダーとサッカーボーイはまずまず。ダンスインザダーク、フレンチデピュティ、アグネスタキオンはイマイチです。とくにアグネスタキオンは全体の連対率が高い種牡馬なので落ち込みが目立ちます。

中山のスタミナ戦では、Sadler's Wells、Roberto、Ribot 系といった血が頼りになるので、それらを持った馬を重く見たいところです。前述の Galileo も Sadler's Wells 系です。

2010年9月14日 (火)

消えた種牡馬ボアドグラース

1955年に吉田善哉は社台牧場から独立し、社台ファームを設立しました。場所は千葉県、繁殖牝馬はわずか8頭でした。ここから日本一の大牧場に育て上げていくサクセスストーリーは『血と知と地』(吉川良著・ミデアム出版社)に詳しく描かれています。社台グループについて興味のある方には一読をお勧めしたい傑作評伝です。

草創期の社台ファームを支えた種牡馬は61年にアイルランドから輸入したガーサントでした。現役時代に仏2000ギニー、ガネー賞、コロネーションSなどを勝った一流馬です。60~70年代にかけて、ニットエイト(菊花賞、天皇賞)、ヒロヨシ(オークス)、コウユウ(桜花賞)、シャダイターキン(オークス)といった名馬を送り出し、69年にはリーディングサイアーに輝いています。
http://www.pedigreequery.com/guersant

父系はヨドヒーロー(シャダイターキンの4分の3同血)によって受け継がれましたが、90年代に絶滅しました。しかし、ガーサントを含む繁殖牝馬は膨大な数にのぼります。その代表格はエアグルーヴ。現役時代に年度代表馬となり、母としてアドマイヤグルーヴ、フォゲッタブル、ルーラーシップなどを送り出しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109154/

吉田善哉は血統のエキスパートでした。成人してから仕入れた付け焼き刃のものではなく、子供のころから大人を驚かすぐらいの知識があったといいます。シンボリ牧場などに比べると、アメリカ型のコマーシャルブリーダーとしての側面が強かったせいか、血統家としての吉田善哉の姿は見えづらいところがありますが、ごく稀に“こだわりが見える血統”を発見することができます。

その代表例がボアドグラースです。82年のグレフュール賞(仏G2・芝2100m)を勝ち、仏ダービー(G1・芝2400m)は3着。ちなみに、このときの2着馬リアルシャダイも社台によって購買されています。父 Luthier と2代母の父 Ocarina は同牝系。したがって Montagnana 3×4という牝馬クロスを持っています。この Ocarina という種牡馬はガーサントの全兄にあたります。
http://www.pedigreequery.com/bois+de+grace

ボアドグラースを種牡馬として導入したのは、ガーサントと Ocarina の全きょうだいクロスを作るためでしょう。

私はふとした瞬間、ボアドグラースがそれなりの成績を挙げていたらどうなっていただろうか、と考えることがあります。ガーサント=Ocarina という全きょうだいクロスが優れた効果を挙げ、社台血統に新風を吹き込んだかもしれません。

ボアドグラースは子を残せませんでした。84年から150万円の種付料で供用されたものの、ほどなく受精能力がゼロであることが判明。その後、去勢されて乗馬となりました。

社台グループはこれまで数多くの種牡馬を導入しましたが、初期に成功したのはガーサントのみ。この馬がいなければ現在の社台グループはなかったでしょう。ひょっとしたら倒産していたかもしれません。ガーサントが礎を築き、ノーザンテーストが飛躍させ、サンデーサイレンスが天下統一を果たしました。

ガーサントの血に対する吉田善哉のこだわり――。これがボアドグラース購買の動機だったと思います。産駒がいないため日本血統への痕跡は一切なく、もはや人々の記憶にも残っていません。

2010年9月12日 (日)

京成杯オータムH、セントウルS

■京成杯オータムH(G3・芝1600m)は◎ファイアーフロート(4番人気)が競り勝ちました。4ハロン通過「47秒1」はスローペース。開幕週でこの流れでは前が止まりません。予想は◎△で馬単7430円、◎△△で3連単66000円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ファイアーフロートは『スペシャルウィーク×タバスコキャット』という組み合わせ。スペシャルウィークとストームキャットはニックスの関係にあり、この組み合わせからオースミダイドウ、タガノエリザベート、ダイレクトキャッチ、ダンツクインビー、モズ、ラナンキュラスなどの活躍馬が出ている。いかにも小回りコースに強い配合で、逃げ先行タイプなので開幕週の馬場は合うだろう。輸送でイレ込まなければ勝ち負けに持ち込める。」

懸念されたイレ込みは大丈夫でした。日曜日の栗東坂路の2歳一番時計を出したピユカンタービレは「スペシャルウィーク×Storm Cat」ですから、ファイアーフロートと同じニックスを持っています。この配合はやはり走ります。
http://premium.netkeiba.com/db/horse/ped/2008102793/

ピユカンタービレの母はBCクラシックを勝った Cat Thief と同じ組み合わせ(Storm Cat×Alydar)なのでパワーが前面に出ています。どちらかといえばダートのほうが……という気はしますね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102793/

「スペシャルウィーク×Storm Cat」の好相性は、つまるところ「マルゼンスキーと Storm Cat」の関係に起因すると考えています。4月14日のエントリー(「マルゼンスキーと Storm Cat」)をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/storm-cat-897-1.html

■セントウルS(G2・芝1200m)は○ダッシャーゴーゴー(4番人気)と▲グリーンバーディー(2番人気)で決着。

グリーンバーディーが能力的に抜けているのは明らかでしたが、どう見ても七分のデキで、しかも59キロ。4年前に同斤で2着となったテイクオーバーターゲット(豪)は59キロを背負い慣れていたのですが、グリーンバーディーは近走57キロまでしか背負っていませんでした。結局、強い馬は強いということですね。Rocket Man と雌雄を決する10月3日のスプリンターズS(G1)は“アジア最強スプリンター決定戦”といった様相です。

◎ショウナンカザン(9番人気)は10着。直線は前が詰まってまったく追えなかったのですが、不利がなかったとしても勝ち負けには持ち込めなかったでしょう。

2010年9月11日 (土)

レーヴディソール鮮やか

才能の違いをハッキリと見せつけた一戦でした。

札幌5R新馬戦(芝1500m)。

私の本命は昨日のエントリーに記したラプリメーラ(4番人気)でしたが、結果は7着。残念ながら Alcide≒パラディシアの重さが勝っていましたね。母の父メジロライアンを思わせる硬い走法で、向正面の走りを見た段階でこれは弾けないだろうなぁ……と。残念。

一方のレーヴディソール(1番人気)はいい意味での軽さと躍動感があります。これが同じアグネスタキオン産駒かと思うぐらいラプリメーラとはフットワークが違っていました。12秒8-12秒1-11秒5-11秒4と尻上がりに速くなるラップであの末脚ですからケタが違います。ここ2年ほどアグネスタキオン産駒はもうひとつの成績ですが、こういう鮮やかなレースを目の当たりにすると、やはり特別なものを持っているなぁと感心せざるをえません。

母レーヴドスカーは、ナイアガラ(父ファンタスティックライト)、レーヴダムール(父ファルブラヴ)、アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス)、レーヴドリアン(父スペシャルウィーク)、レーヴディソール(父アグネスタキオン)と、すべて違う父から連続して良駒を送り出しています。尋常ではありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103374/

怖いのは怪我ですね。父も母も脚部不安の影がつきまとう血統です。「栗山ノート」に含めなかったのは脚もとが怖かったからです。

才能はG1級だと思うので大事に行ってほしいですね。それにしても今年の2歳世代は牝馬が大豊作です。アヴェンチュラ、アドマイヤセプター、そしてレーヴディソール……。秋の京都、東京開催でも何かしら出てくるでしょう。

関係ありませんが、愛セントレジャー(G1・芝14f)に出走したポップロックはまったくダメでしたね。さすがにG1では荷が重すぎました。

ニエル賞、フォワ賞展望(後)

フォワ賞といえば99年にエルコンドルパサーが勝ったレースですが、日本馬ではもう1頭、86年にシリウスシンボリが2着していることは意外と忘れられがちかもしれません。アジア以外の重賞で日本馬が複数頭連対したレースは、アメリカンオークス、メルボルンC、そしてこのフォワ賞の3つです。

今年のフォワ賞(G2・芝2400m)は古馬ナンバーワンの Fame and Glory が回避。本番に直行する模様です。ナカヤマフェスタにもチャンスが出てきました。

Byword は今年のプリンスオブウェールズ(英G1・芝10f)の勝ち馬。半姉に現在アメリカで芝G1を3連勝している Proviso がいます。8~10fで使われてきた馬なので、ここに出てくるとは思いませんでした。前走、8月17日のインターナショナルS(英G1・芝10f88yds)は Rip Van Winkle の3着。今回のメンバーのなかでは格上ですが、問題は12ハロンをこなせるかどうか。付け入る隙はあると思います。現在、凱旋門賞のアンティポストは5~10番人気ぐらい(11~17倍)です。
http://www.pedigreequery.com/byword

牝馬の Daryakana はサンクルー大賞典(G1)3着、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)4着とまずまずの成績。昨年暮れに香港ヴァーズ(G1・芝2400m)を勝ったとき、4着がジャガーメイルでした。メンバーが手薄とみてヴェルメイユ賞(G1)からこちらに回ってきたのかもしれません。凱旋門賞のアンティポストは12~15番人気ぐらい(21~34倍)です。
http://www.pedigreequery.com/daryakana

Chinchon は7月にアメリカ遠征をして弱敵相手にユナイテッドネイションズS(米G1・芝11f)を勝ちました。ただ、フランスではG3しか勝ったことがありません。トライマイベスト=Northern Prancer 3×3、Mill Reef≒Riverman 4×4はかっこいいですね。
http://www.pedigreequery.com/chinchon2

Duncan は6月19日に行われたハードウィックS(英G2・芝12f)で2着(勝ち馬は Harbinger)と健闘したのですが、続く7月30日のグローリアスS(G3・芝12f)は1番人気に推されて4着と凡走。安定して力を発揮するまでには至っていない感じです。http://www.pedigreequery.com/duncan7

Fame and Glory という誰もが認める主役が回避したので、脇役だけのレースとなった感があります。1番人気が予想される Byword は2400mという距離が未知数なので、ナカヤマフェスタにも十分チャンスはあるでしょう。Byword に適性があった場合は厳しいのですが。

9月1日のエントリーで凱旋門賞のアンティポストについて書きましたが、ここにきてようやくヴィクトワールピサとナカヤマフェスタのオッズが付いてきました。数字は左がコーラル、右がウイリアムヒルです。オッズは日本式に直しています。

ヴィクトワールピサ  26  26
ナカヤマフェスタ   41  34

ナカヤマフェスタには26倍をつけるブックメーカーもあります。ニエル賞とフォワ賞が終わればオッズは固まってくるでしょう。レースの模様は9月12日の23時からグリーンチャンネルで放送されます。

2010年9月10日 (金)

ラプリメーラを応援

土曜札幌5R(芝1500m)は目移りすぐるらい良質なメンバーが揃いました。出馬表を見渡したところ「栗山ノート」の指名馬を1頭発見。

2番ラプリメーラ(父アグネスタキオン)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103311/

『競馬王のPOG本』に掲載したコメントを転載します。

「母はローズS3着馬。メジロライアン産駒にしてはいい切れ味を持っていた。アルサイド≒パラディシア5×5は非常におもしろい。大物感があるのでホームランの可能性も。」

母はベストアルバムです。本馬と同じく沖芳夫厩舎に所属し、18戦5勝の成績を残しました。主な戦績はローズS(G2)3着。

Alcide≒パラディシアの関係は以下のとおり。かなりユニークです。

          ┌ Donatello
        ┌○┤ ┌ Hyperion
Alcide ――――┤ └○┘
        └ Chenille

          ┌ Hyperion
        ┌○┤ ┌ Donatello
パラディシア ―┤ └○┘
        └ Chenille

誤解のないように付言しておくと、このクロスはほとんど成功例がありません。スピードがないからです。メジロ牧場で何度も試みられたのですが重すぎて走りませんでした。しかし、だからダメというのは短絡的ではないかと思います。活かし方ひとつでしょう。

現代的な血統のなかでこのクロスを展開させれば案外成功するのではないか、という考えはいつも心の片隅にありました。具体的にいえばアグネスタキオンです。サンデー系のなかでもスピードと切れ味に特長があるので、Alcide≒パラディシアの重さを活かす血として魅力的です。アグネスタキオンにはリマンドがあり、その父が Alcide です。

母方にパラディシアを持つアグネスタキオン産駒は、過去に1頭デビューしています。メジロドーベルの娘メジロアレグレットです。同馬は〔0.3.2.1〕という成績が示すとおり決め手がなく、6戦目のレース中に骨折して予後不良となってしまいました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003103357/

じつはアグネスタキオン産駒が出始めのころ、Alycidon≒Aureole(つまり Alcide の父とパラディシアの父)を狙ってPOGで指名したこともあったのですが(例:カレンスターボーイ)、決め手がありませんでした。アグネスタキオン産駒においてリマンドに含まれる部分を強調するのはリスキーだと学びました。

メジロアレグレットは、母が著名馬ではあるものの、瞬発力不足を補う配合的な仕掛けがありません。しかし、ラプリメーラには Halo≒Sir Ivor 3×5があります。Halo 的な軽さや瞬発力を増幅するクロスです。これがなければ指名することはなかったでしょう。

Alcide≒パラディシアの重さが勝つか、Halo≒Sir Ivor の軽さが勝つか、明日のレースは注目してみたいと思います。ダメなようなら Alcide≒パラディシアは諦めます。

ニエル賞、フォワ賞展望(前)

レースは9月12日(日)ですから明後日です。8日の追い切りは雨の中で行われました。関係者のコメントを読むかぎり、ヴィクトワールピサもナカヤマフェスタも順調のようですね。

9日は晴れときどき雨で、10、11日は晴れの予報(両日とも降水確率5%)。レース当日は雨のち曇りの予報(降水確率95%)ですから、馬場状態は日本でいうところの稍重ぐらいではないかと思います。両馬とも良馬場以外はダメというタイプではなく、おそらく対応できるでしょう。

ヴィクトワールピサが出走するニエル賞(G2・芝2400m)は、パリ大賞典の1、2着馬 Behkabad と Planteur のラインに、ヴィクトワールピサが対抗できるかどうか、というところですね。

7月14日のパリ大賞典(G1・芝2400m)は、今回と同じコースで行われ、この2頭が後続を5馬身ちぎりました。3着 Jan Vermeer は、6月27日の愛ダービー(G1・芝12f)で Cape Blanco(先日の愛チャンピオンSを5馬身半差で圧勝)から2馬身差の3着ですから弱い馬ではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=IMq9eEl911Q

現在、凱旋門賞のアンティポストでは、Bahkabad が2番人気(5~7倍)、Planteur が3~5番人気(8~11倍)。個人的には古馬の Fame and Glory(現在1番人気)よりも伸び盛りの3歳勢のほうが怖いと思います。もし仮にヴィクトワールピサがここを勝つようなら凱旋門賞の最有力候補に昇格します。負けたとしても悲観する必要はありません。大きく離されなければ十分だと思います。

Behkabad は文句なしの名配合です。バランス、風格、血脈構成、すべてにおいて申し分ありません。アガ・カーン四世殿下の配合には感動があります。財力と配合哲学を併せ持つオーナーブリーダーにのみ許される“名血を育むための歴史的視点”が感じられるからです。父は Sea the Stars を送り出した Cape Cross。牝系は3代連続でパターンレースを勝っており、2代母 Behera は凱旋門賞で2着となりました。ここを勝てば凱旋門賞は1番人気でしょう。すでにいくつかのブックメーカーは1番人気に推し始めています。
http://www.pedigreequery.com/behkabad

Planteur は、母の兄弟に02年のニエル賞勝ち馬 Pushkin、ジャパンC4着の Policy Maker がいます。仏ダービー(2着)でもパリ大賞典(2着)でも、直線でムチが入るとヨレるところが見られました。気性的な成長によりこのあたりが解消すれば楽しみですね。配合的に決め手が甘そうなところも見受けられます。馬場が渋ったほうがいいタイプかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/planteur

Shamalgan はフランス産のチェコ調教馬で、仏2000ギニー(G1)3着、ユジェーヌアダム賞(G2)2着という成績。ユジェーヌアダム賞を勝った Shimraan はドーヴィル大賞典(G2)4着ですから、ここではやや荷が重い感じです。
http://www.pedigreequery.com/shamalgan

ニエル賞とフォワ賞を比べると、今年はニエル賞のほうがメンバーが揃っています。フォワ賞に出走していれば断然人気を背負うはずだった Fame and Glory は回避してしまいました。ニエル賞には本番の凱旋門賞で有力と目されている Behkabad と Planteur が出てくるわけですから、ヴィクトワールピサにとってハードルは決して低くありません。ただ、私は好勝負に持ち込めると思っています。

フォワ賞については明日。

2010年9月 9日 (木)

戸塚記念はハーミア

9月8日夜、川崎競馬場で行われた戸塚記念(ダ2100m)は、1番人気に推された牝馬のハーミア(父フィガロ)がビクトリースガのマクリを封じて勝ちました。これが重賞初制覇です。

父フィガロは懐かしいですね。新馬-京都3歳S(OP)を連勝し、グラスワンダーが勝った朝日杯3歳S(G1)で3着に食い込んだ馬です。朝日杯は Storm Cat を持つ馬がやたらと走るのですが、その一番最初の例だったと記憶しています。通算成績3戦2勝。伊達秀和さんの持ち馬でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108837/

種牡馬としては地味な存在で、02年から昨年まで8年間の平均種付け頭数は14頭。伊達さんが所有するサンシャイン牧場に繋養され、自家牝馬を中心に種付けを行ってきました(現在は優駿スタリオンステーションで種付け)。代表産駒のアンパサンドは東京ダービーと報知オールスターCの勝ち馬です。

ハーミアとアンパサンドは配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105461/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004105545/

        ┌ フィガロ
ハーミア ―――┤
        └○┐
          └ ボニータ

        ┌ フィガロ
アンパサンド ―┤
        └○┐
          └ ボニータ

両馬ともサンシャイン牧場の生産馬。ボニータの母は伊達さんが所有した桜花賞馬ブロケードです。フィガロとボニータの組み合わせはよほど合うようで、まったく同じ配合パターンを持つデリスという2歳牝馬が、先週大井で新馬戦(ダ1200m)を勝ちました。同馬はハーミアと同じく荒山勝徳厩舎に所属しています。いずれ重賞戦線を賑わす馬に成長するかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105499/

        ┌ フィガロ
デリス ――――┤
        └○┐
          └ ボニータ

2010年9月 6日 (月)

日曜日のレースあれこれ

■小倉2歳S(G3)は◎ブラウンワイルド(1番人気)がギリギリ差し切りました。前走のフェニックス賞(2着)は馬を見てピンと来なかったのですが、今回は良かったと思います。稽古の動きからしてまったく違っていたので、体調がグンと上向いていたのでしょう。予想は◎○△で3連単23440円的中。血統解説は7月17日のエントリー(「ブラウンワイルド、新馬戦レコード勝ち」)をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-66b2.html

毎年思うのですが、同日同距離で行われる2歳未勝利戦と勝ち時計がほとんど変わりません。この日も未勝利戦が1分08秒8で、小倉2歳Sが1分08秒7。重賞に出ている馬たちは、仮にマイペースで逃げたり少頭数で走れば、たいていこのぐらいの時計では走れるはずです。ただ、多頭数のゴチャゴチャした競馬になると勝手が違ってきます。精神的なたくましさや経験値が大きくモノをいうレースですね。

■札幌日経オープン(OP)はトウカイメロディ(1番人気)が完勝。前走のみなみ北海道S(OP)で2着に負かしたホクトスルタンと斤量差が一気に4キロ縮まっていたものの、伸び盛りの勢いが買われて1番人気となり、堂々とそれに応えてみせました。

父チーフベアハートは薄味の種牡馬で、自身の特徴を産駒に伝えるというよりは交配相手の特徴を出しやすいタイプです。母方からスタミナを受ければマイネルキッツ(天皇賞・春)になり、スピードを受ければビービーガルダン(阪急杯、キーンランドC)になります。トウカイメロディの場合、母が「ジェネラス×リアルシャダイ」ですからスタミナタイプ。菊花賞(10月24日・G1・京都芝3000m)で買おうと密かに狙っていた方は多いかと思いますが、この快進撃では密かどころではなくなってしまいましたね。春のクラシック上位組が前哨戦で躓けば1番人気の可能性も……。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106596/

■札幌4Rの新馬戦(芝1800m)は、9月3日のエントリー(「今週の新馬戦はルルーシュに注目」)で取り上げたルルーシュがハナ差で勝利を飾りました。着差はわずかでしたが、中だるみのないラップはなかなか優秀。終始外を回っていたので内容は悪くなかったと思います。藤沢流の仕上げでしょうから使って変わりそうですね。

2010年9月 5日 (日)

テレグノシス産駒が重賞勝ち

新潟2歳S(G3)はマイネイサベル(9番人気)が差し切り勝ち。残念ながら予想の印は回りませんでした。7月17日の新馬戦(新潟芝1400m)を勝ち上がった際に『Web競馬王』に記した評価を再掲します。

「『テレグノシス×サンデーサイレンス』という組み合わせで、母マイネレジーナはクイーンS(G3)2着、函館3歳S(G3)2着という成績がある。父テレグノシスはNHKマイルC(G1)など3つの重賞を制した追い込み馬。今年の2歳世代が初年度産駒で、これがJRA初勝利(地方では兵庫でシークレットベースが勝っている)。トニービンの代表産駒ジャングルポケットがサンデー牝馬と抜群の相性を示しているように、テレグノシスもサンデー牝馬と掛け合わせて成功するだろう。本馬はトニービンと相性のいいニジンスキーが母方に入るのでこの点も評価できる。バランスのとれた好配合馬。稽古は平凡だったが実戦タイプなのだろう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104086/

今年の春、必要に迫られてテレグノシス産駒27頭の配合を調べた際、まっさきに目に付いたのがマイネイサベルでした。母マイネレジーナは重賞戦線で活躍したので、たいていの人はトップクラスに評価する馬でしょう。それに加えて配合も文句なし。まさに“群鶏の一鶴”でした。

テレグノシスは「トニービン×ノーザンテースト×Secretariat」という配合なので、カンパニー(天皇賞・秋、マイルCS)と構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999106851/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/

        ┌ トニービン
テレグノシス ―┤ ┌ ノーザンテースト
        └○┤ ┌ Secretariat
          └○┘

          ┌ トニービン
        ┌○┘
カンパニー ――┤ ┌ ノーザンテースト
        └○┤
          └○┐ ┌ Secretariat
            └○┘

テレグノシスもカンパニーも東京コースを得意としました。同じように直線の長い新潟外回りコースで鮮やかな差しを決めたマイネイサベルは、その特長を受け継いでいるような気がします。初戦の内容からこのメンバーに入ってどうかと思ったのですが、同じトニービン系のジャングルポケット産駒と同じく、ここ一番の強さがありますね。外回りコースでの変わり身をもっと重く見るべきでした。

テレグノシスは初年度に46頭に種付けして産駒は27頭。2年目は28頭に種付けして産駒は14頭。3年目は22頭に種付けしました(現時点で産駒数は明らかになっていません)。交配頭数は年々減っていますが、今回の勝利で来年は増加が見込まれます。それなりのレベルの繁殖牝馬と交配すれば重賞級の産駒を出せると証明できたのは大きいですね。母方にはまずサンデーサイレンスを入れるのが基本でしょう。それに加えて Nijinsky、Mr.Prospector、Sir Ivor といった血があればおもしろそうです。

◎レッドセインツ(5番人気)は3着。人気どころが見せ場を作れずに終わったなかでよく頑張りました。精神的にしっかりしているという印象です。まだ未完成なので秋になればさらに成長するでしょう。

2010年9月 3日 (金)

今週の新馬戦はルルーシュに注目

日曜日の札幌4R新馬戦(芝1800m)は、良血馬・好配合馬が集まった好カード。なかでも注目は藤沢和雄厩舎のルルーシュ。ゼンノロブロイの子で、ステージプレゼンス(きさらぎ賞-3着)の半弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102912/

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名した馬でもあります。コメント欄にはこう記しました。

「父はアメリカ血統過多なのでヨーロッパ血統が豊富なこの母は好ましい。相性がいいと思われるリヴァーマンも入る。サンデー系+ダンシングブレーヴも成功例が多く楽しみ。」

字数の制約により詳しく書けなかった部分を補足します。

ゼンノロブロイと Riverman の関係は悪くなく、アグネスワルツ(オークス-3着、フローラS-2着)を筆頭に、ゲームマエストロ、トレイルブレイザーなどの好素質馬が出ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102955/

この組み合わせを持つ馬の成績は以下のとおり。かなり優秀です。

全連対率 38.1%(単勝回収率214%)
芝連対率 43.5%(  〃  249%)
ダ連対率 31.6%(  〃  172%)

父ゼンノロブロイは、Admiral Drake≒Roman 6×5という隠し味的なクロスを持っています。ディープインパクトにも見られるクロスですね。

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

Riverman の2代母の父は Roman。したがって、ゼンノロブロイと Riverman が出会うとこのクロスが継続されます。それが好結果の一因ではないかと推理しています。
http://www.pedigreequery.com/riverman

サンデーサイレンスとダンシングブレーヴの関係は、当ブログでも何度か説明した記憶があります。サンデーの父 Halo とダンシングブレーヴの母の父 Drone の血統構成がよく似ていることが好相性の鍵でしょう。ルルーシュの場合、母ダンスーズデトワールが Hairbrush≒Drone 3×4なので、ここで強調された要素を父方の Halo によって継続する効果は大きいのではないかと思います。

このほか Buckpasser クロスも好感が持てます。ゼンノロブロイ産駒の重賞好走馬のなかではサンテミリオンとアグネスワルツに見られます。ルルーシュの場合、La Troienne 血脈(Buckpasser)の活力を取り入れつつ、周辺にある豊富なヨーロッパ血脈によってパワー的な要素が表れるのを抑えている、というイメージですね。いいトコ取りができそうな気がします。

JRAレーシングビュアーで調教映像を観たのですが、フットワークがダイナミックなのに捌きが軽く、首の使い方がいいので全身で走れています。なかなか好印象です。初戦から行けるのではないでしょうか。

2010年8月31日 (火)

発展する Heavenly Prize 牝系

8月29日、米ニューヨーク州のサラトガで行われたパーソナルエンスンH(G1・ダ10f)は、人気に推された昨年の米年度代表馬 Rachel Alexandra が2着に敗れる波瀾。序盤に競り掛けられる不利があったにしても……という感じですね。競走馬としてのピークが過ぎた感があります。
http://www.youtube.com/watch?v=yUd_DZe5SD8

勝った Persistently(父 Smoke Glacken)は、2年前にG1で2着という成績があるものの、ステークスは初勝利です。
http://www.pedigreequery.com/persistently2

生産者兼オーナーのフィップスステーブルは、オグデン・ミルズ・フィップス氏が主宰しています。今回勝った「パーソナルエンスンH」は、先代のオグデン・フィップス氏が所有した Personal Ensign(通算13戦全勝)を記念して創設されたレースなので、喜びもひとしおでしょう。

Personal Ensign については4月12日のエントリー(「Zenyatta 16連勝、そして13戦全勝の名牝 Personal Ensign の死」)で取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/zenyatta-person.html

Persistently の2代母は、90年代に米G1を8勝した名牝 Heavenly Prize。この馬は Personal Ensign と同じく先代のオグデン・フィップス氏の所有馬でした。
http://www.pedigreequery.com/heavenly+prize

95年のブリーダーズC(ニューヨーク州ベルモントパーク)を観に行ったとき、ダート9ハロンの“ディスタフ(現レディーズクラシック)”に Heavenly Prize が出走していました。さほど大柄ではありませんが胸前の筋肉の盛り上がりが印象的で、大坪元雄氏が見れば「まるで男馬のような」と表現しそうなタイプでしたね。このレースは、息子のオグデン・ミルズ・フィップス氏が所有する Inside Information が13馬身半差で圧勝。Heavenly Prize はインから差を詰めて2着でした。
http://www.youtube.com/watch?v=8terPrcQeBw

Heavenly Prize は繁殖牝馬としても結果を残しており、Good Reward(父 Storm Cat)がマンハッタンH(米G1)とハリウッドダービー(米G1)を、その全兄 Pure Prize がケンタッキーCクラシックH(米G2)を勝っています。
http://www.pedigreequery.com/good+reward

Pure Prize は種牡馬として成功し、アメリカンオークス(G1)とフラワーボウル招待S(G1)を勝った Pure Clan のほか、南米アルゼンチンでも Fuego e Hierro や Maldivas といったG1ホースを送り出しています。Pure Prize の全弟の Good Reward も種牡馬となり、今年の2歳世代が初年度産駒。すでに10頭近い勝ち馬を出しており出足快調です。
http://www.pedigreequery.com/pure+clan

今週末、小倉の新馬戦に登場するリーガルファルコン(父 Bernardini)は、ドバイのモハメド殿下が所有する外国産馬で、稽古で抜群の動きを披露して注目を集めています。母 Flash By は前出の Pure Prize と Good Reward の4分の3同血にあたり、2代母は Heavenly Prize。発展する Heavenly Prize 牝系に属した良血馬なので楽しみですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110040/

  Heavenly Prize(f.1991.Seeking the Gold)
    Pure Prize(c.1998.Storm Cat)
    Just Reward(f.1999.Deputy Minister)
    │ Persistently(f.2006.Smoke Glacken)
    Good Reward(c.2001.Storm Cat)
    Flash By(f.2003.Forest Wildcat)
      リーガルファルコン(c.2008.Bernardini)

2010年8月30日 (月)

スーパークリーク死亡

オグリキャップやイナリワンのライバルとして第二次競馬ブームを盛り上げたスーパークリーク(父ノーアテンション)が、8月29日、日高スタリオンステーションで死亡しました。25歳。

スーパークリークといえば武豊騎手。88年の菊花賞でインからスパッと5馬身抜け出したとき、当時19歳の青年の背中にスーパースターのオーラがはっきりと見えました。これはからは武豊の時代なんだな、と多くの人が感じたはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=0nO2PPc49hE

以前、競馬評論家の塩崎利雄さんと取材でお会いしたとき、スーパークリークの菊花賞で800万円儲けたとおっしゃっていました。すぐに換金せす、当たり馬券を背広の胸ポケットに入れていたそうなのですが、当日夜に祇園で開かれた祝勝会の最中、たまにポケットをまさぐって「あるある」と確認したそうです。「だって800万の金券だからね。うっかり落としたら大変だからさ~」と笑っておられました。

配合屋が揃って的中させたレース、というのは相場が決まっていて、二昔前なら88年の菊花賞と90年のオークスあたりですね。昔話になったとき、この2レースの話になるとだいたい意気投合します。前者はスーパークリークが、後者はエイシンサニーが勝利を挙げました(一方で配合屋が揃って討ち死にしたレースというのもあるわけですが……)。

スーパークリークは、「ノーアテンション×インターメゾ×Sayajirao×Rockefella」というわかりやすいステイヤー血統。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1985104409/

88年の菊花賞で1番人気に推されたのは「ヤマニンスキー×イエローゴッド」のヤエノムテキ、2番人気は「ディクタス×ノーザンテースト」のディクターランド。そして、3番人気がスーパークリークでした。配合に多少でも関心があればほぼ一択でしょう。76年の菊花賞を勝ったグリーングラスとは、インターメゾ、Rockefella、Grey Sovereign≒ニンバスが共通しているので配合構成がちょっと似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1973100905/

第二次競馬ブームの中心的存在だったオグリキャップ、スーパークリークが相次いで死亡し、あのころがどんどん遠くなっていくことを実感します。イナリワンとサッカーボーイには長生きしてほしいものです。

2010年8月29日 (日)

『web競馬王』が終了

永らくご愛顧いただいた『web競馬王』が8月いっぱいをもって終了します。週末の予想はこの土日が最後でした。私は04年からお世話になったので、足かけ7年間、毎週末予想を提供してきました。

日曜日の重賞は2レースとも不的中。しかし、新潟5Rの新馬戦(芝1200m)は馬単21970円を的中。予想を再録します。

「◎ブラウンマシーンは『タイキファイヤー×フジキセキ』という組み合わせ。小倉芝1200mの新馬戦をレコード勝ちしたブラウンワイルドの従兄弟にあたる。父タイキファイヤーは無名種牡馬ながらタイキシャトルの半弟にあたる良血。相性のいいミスタープロスペクターとフジキセキの組み合わせがあり新馬戦向きの配合としては上々。混戦模様のここなら通用していい。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104609/

◎ブラウンマシーン(7番人気)が大外一閃で快勝。2着に△ハワイアンシュガー(4番人気)が粘りました。無名のタイキファイヤーが父ということで、いわゆる一般的な“血統評価”では低評価しか得られないと思うのですが、私の目から見た“配合評価”ではメンバー中一番でした。有終の美を飾れてよかったです。

新馬戦予想と重賞予想に関しては亀谷敬正氏の『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』にて次週以降もご覧いただけます。前記の新馬戦は、1着馬がA評価で、2、3着馬がB評価なので3連単20万2220円的中でした。

2010年8月28日 (土)

カフェラピード快勝

初戦はレース中の不利もあって取りこぼしたものの、2戦目の今回は楽に勝ち上がりました。新潟1R・2歳未勝利戦(芝1800m)。好位追走から直線で先頭に並びかけると、軽く仕掛けた程度で先頭に立ち、鞍上の松岡騎手が他馬の脚いろを計りながら余裕たっぷりにフィニッシュラインを駆け抜けました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101059/

「栗山ノート」で指名した好配合馬で、マンハッタンカフェ産駒の成功パターンに完全に合致しています。当ブログでは、初戦のレース直後、8月10日のエントリーで取り上げました。配合の解説はこちらをご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/08/post-ce36.html

松岡騎手はかなりの手応えを感じているようで、レース後、「今週の追い切りが衝撃的な内容で、能力を感じさせる動きでした。まず負けないと思いましたし、その通りに走ってくれました。距離は延びても大丈夫でしょう」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。

追い切りでは格別に速いタイムが出ていたわけではなく、具体的にどう衝撃的だったのか数字からはうかがい知ることができません。しかし、何かしら鞍上を唸らせるようなものを垣間見せたのでしょう。デビュー戦で土をつけられたクリーンエコロジーと再戦しても、今度は先着を許すことはないと思います。

2010年8月25日 (水)

アーリントンミリオンは Debussy

インで詰まって4コーナーでは絶望的なポジションとなったものの、そこから猛然と巻き返して差し切りました。こういう勝ち方はなかなか見られません。
http://www.youtube.com/watch?v=UKnaJ99ckUY

勝った Debussy(父 Diesis)はイギリス調教馬。今回のアーリントンミリオン(米G1・芝10f)がアメリカ初出走でした。これまで仏G2、英G3を制していたものの、トップクラスとは差のある馬です。

たしかに強かったのですが、Debussy レベルの馬にこんな勝ち方をされるアメリカ芝古馬陣は大丈夫なのか、という気もします。

90年代の半ばまで、アーリントンミリオンの勝ち馬はよくジャパンCに出走していました。ところが、ここ最近は来日が途絶えており、95年の Awad を最後に出走がありません。Debussy を管理するジョン・ゴスデン調教師はブリーダーズC志向の強い調教師で、残念ながらジャパンCにはあまり関心がありません。馬主のハヤ王女は日本で馬主資格を持っているので、そのあたりが一縷の望みでしょうか。

「Diesis×Singspiel」ですから本格的なヨーロッパの中距離血統。2代母 Grace Note はレッドディザイアの3代母でもあります。血統的に完成がやや遅いタイプだと思われるので、これから本格化する可能性もあるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/debussy10

2010年8月24日 (火)

Le Glorieux 死亡

『RACING POST.com』によると、8月19日に Le Glorieux(日本語表記ではルグロリュー)が死亡したそうです。26歳。

Le Glorieux、といっても若い競馬ファンにとっては「何ソレ?」でしょう。1987年に行われた第7回ジャパンC(G1)をコースレコード(2分24秒9)で快勝した馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984109001/

この年は、迎え撃つ日本勢が絶望的な低レベル(1~6番人気は外国勢)で、ホスト国としてさすがにこれはマズイのではないかという声も少なくありませんでした。牝馬のダイナアクトレス(9番人気)が3着に突っ込んできて救われた気分になったものです。ちにみに、それから21年後のジャパンCを制したのはダイナアクトレスの孫スクリーンヒーローです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103328/

Le Glorieux は、歴代のジャパンC優勝馬のなかで最少体重馬。レース時の馬体重は410キロでした。他馬に比べてはっきりと小さく、しかも鞍上のルクー騎手が手足の長いひょろっとした人だったので、人馬のバランスがちょっと変だったのを記憶しています。

このレースでは2つのことを学びました。

ひとつは、父が同じでも母方の血によってまったく違ったタイプに出るということ。Le Glorieux は当時3歳だったのですが、ちょうど同世代のPOGで、たまたま同じ Cure the Blues 産駒のハニーブルースという持ち込み馬を指名していました。ハニーブルースは母の父がスピード型のテスコボーイ。芝・ダート兼用の短距離馬というキャラクターでした。一方の Le Glorieux は、母が「Le Fabuleux×Herbager」というヨーロッパのスタミナタイプだったので、2400mを苦にしませんでした。両馬の配合を見比べれば個性の違いは一目瞭然。同じ種牡馬の子でもここまで違ってしまうことに感心しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984100562/

もうひとつは、海外遠征では本番前に前哨戦を使うことが必ずしもプラスにならないということ。富士S(OP・芝1800m)を楽勝して臨んだ Triptych(トリプティク)が断然の1番人気だったのですが、結果は4着。前哨戦を使うということは、馬場に順応させるメリットがある一方、滞在期間が長くなるため体調維持の難しさを抱えるというデメリットもあります。馬によっては後者の影響が強く出てしまい、凡走することもあるのだと感じました。

Le Glorieux は種牡馬としてはイマイチでした。もし仮に1~2年後のジャパンCを勝っていたとしたら、あるいは日本に導入されていたかもしれません。この当時はバブル経済が本格化する前だったので、なんでもかんでも買ってしまうという雰囲気はまだありませんでした。ただ、3コーナーで競走を中止したアカビールは、怪我の影響で本国には帰らず、そのまま日本で種牡馬になったと記憶しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1981109006/

2010年8月23日 (月)

日曜日のレースあれこれ

■札幌記念(G2)は◎アーネストリー(1番人気)が横綱相撲で完勝。前走の宝塚記念(G1)で小差の3着ですから順当な結果といえます。同厩の先輩タップダンスシチーを思わせる成長ぶりですね。札幌記念と天皇賞・秋(G1)は関連性が深いのでこの秋が楽しみになりました。

2着▲ロジユニヴァース(5番人気)は追い切りを見るかぎり好調時のコンディションにかなり近づいていると感じました。札幌競馬場はコーナーが大きくゆるやかです。したがって、ロジユニヴァースのようにトビの大きな馬でも苦にすることはありません。パワーが勝ったタイプなので洋芝は得意。この条件で走れないようならもう終わりだろう、ぐらいの気持ちで▲を打ちました。まだ完調とはいえないので上積みはあるでしょう。『web競馬王』の予想は◎▲で馬単2900円的中でした。

■レパードS(重賞)は◎ミラクルレジェンド(2番人気)がしっかり差しました。このところカネヒキリやデグラーティアなど「母方に Deputy Minister を抱えるフジキセキ産駒」の成功が目に付きます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102873/

2着グリッターウイング(6番人気)をヌケにしたため、的中は単勝だけ。このレースは押さえたい馬が多かったので△の取捨選択が難しい作業でした。グリッターウイングはクロフネ産駒の配合としては文句なしのA級。新馬戦の予想で◎を打ったときにその理由を書きました。ただ、ここ最近は「クロフネ産駒を重賞で軽視する」という予想方針を立てているので、最終的に切ってしまいました。無念です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103395/

■日曜日は期待していた2歳馬が散々な成績。新潟6Rのトウショウレイザー(2番人気)は13着。小倉5Rのピエナノテツジン(7番人気)は大差しんがり負け。何か理由はあるのでしょうが現時点では分かりません。次走の巻き返しに期待します。

2010年8月22日 (日)

土曜日のレースあれこれ

■小倉2Rの2歳未勝利戦(芝1800m)はメイショウナルト(父ハーツクライ)が5馬身差の圧勝。直線半ばでは流していました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101384/

ハーツクライ産駒はこのレースに2頭出走して1着-3着。これぐらいの距離が合っていますね。短めの距離でもそれなりに実績を挙げているのは能力の高さゆえでしょう。短距離戦で取りこぼしたあと距離延長で勝つ、というパターンはこの先ちょくちょく見られるのではないかと思います。日曜日の札幌1R(芝1500m)に出走予定のシンワハーツクライは、デビュー2戦がいずれも1200m戦(3、2着)で、今回は300mの距離延長。期待できそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103826/

メイショウナルトはデビュー戦で◎を打った馬でした。ハーツクライとマルゼンスキーは間違いなく合うでしょうし、母の父カーネギーに含まれる Bold Reason、Riverman などもいいと思います。カーネギーを見ると反射的に「青葉賞」という三文字が脳裏に浮かび上がってくるのですが、たしかにそういうレースに強そうな配合です。

■札幌4Rの新馬戦(芝1500m)はアドマイヤセプター(父キングカメハメハ)がタイレコードで7馬身差の圧勝。牝馬限定戦であることを考慮してもハイレベルなパフォーマンスです。現時点における牝馬のフロントランナー、アヴェンチュラやホーマンフリップあたりと比べてもまったく見劣りません。コーナーを逆手前で回るなど若さを覗かせていましたが、とくに気性的に難しいという印象は受けませんでした。他馬との素質の違いは歴然としています。

叔父のルーラーシップ(日本ダービー-5着)とは4分の3同血の関係となります。アドマイヤセプターにサンデーサイレンスが入り、ルーラーシップには入らない、という違いです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103077/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103143/

           ┌ キングカメハメハ
アドマイヤセプター ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ エアグルーヴ

           ┌ キングカメハメハ
ルーラーシップ ―――┤
           └ エアグルーヴ

ルーラーシップがプリンシパルSを勝ったあと、手綱を取った横山典弘騎手は「フットワークが現状無駄に大きい」と評しました。慣用表現で“弾むようなフットワーク”という言い方がありますが、ルーラーシップの場合は“弾みすぎ”です。サンデーが入ったアドマイヤセプターにそうした面は見られません。無駄のないシャープなフットワークをしています。サンデーの血は、現実に即した形に馬をチューニングする力に長けています。走りやすい仕様に馬を最適化してしまうわけです。

「キンカメ×サンデー×トニービン」はミッキードリーム(毎日杯-2着)と同じ。アヴェンチュラとアドマヤセプターは10月2日の札幌2歳S(G3)で激突します。いまから楽しみです(凱旋門賞の取材に行くのでリアルタイムでは見られないのですが……)。

kuwa さんのブログ(http://blog.goo.ne.jp/boldirish)では以前からこの馬を非常に熱心にプッシュしていました。負けたら坊主、とも。望田潤さんもPOGで持っているようです。さすがですね~。私も一応、「栗山ノート」で指名しています。もちろん、3人が事前に打ち合わせをしたわけではありません。配合から馬を判断する人間であれば褒めざるをえないと思います。

■昨日のエントリーでご紹介したワイズミューラー(父ジャングルポケット)は、札幌12Rの500万下(芝2600m)を見事快勝しました。いずれ中長距離路線で出世しそうです。菊花賞に出るにはあともうひとがんばりする必要があります。今回の勝ちっぷりなら楽しみですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/

2010年8月21日 (土)

菊花賞路線に乗れるか、ワイズミューラー

土曜日の競馬で注目したいのは、札幌12Rの500万下(芝2600m)に出走するワイズミューラー(父ジャングルポケット)。6月の東京最終週に未勝利戦(芝2400m)を勝ち上がり、今回はそれ以来の実戦となります。

ジャガーメイル(天皇賞・春)やオウケンブルースリ(菊花賞)の活躍が示すとおり、ジャングルポケット産駒は長距離戦に向いています。札幌芝2600mでは4戦して〔2・1・1・0〕という成績。すべて馬券に絡んでおりコース適性はきわめて高いといえるでしょう。

じつはこの馬、金沢公営で現在12連勝中のジャングルスマイルの全弟。同馬については6月22日のエントリー(「金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇」)でご紹介しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-52f2.html

先週のクイーンS(G3)を勝ったアプリコットフィズとは4分の3同血の関係です。配合的にも注目すべき存在ですね。勝ち上がった前走の東京戦は、3コーナー過ぎから鞍上の手が動くというスブさを見せたものの、直線でしっかり伸びました。この気性なら距離が延びても心配ありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

             ┌ ジャングルポケット
ワイズミューラー ――――┤   ┌ サンデーサイレンス
(=ジャングルスマイル) │ ┌○┘
             └○┤
               └ サトルチェンジ

             ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
             └○┤
               └ サトルチェンジ

春の時点ではまだ馬体が子供っぽかったので、この休みの間にどれぐらい成長したのか楽しみです。ここでいい勝ち方をするようなら菊花賞路線のダークホースに浮上します。先週、みなみ北海道S(OP・札幌芝2600m)を勝ったトウカイメロディ(父チーフベアハート)はすでに有力候補の1頭といえるでしょう。ワイズミューラーも北の地からぜひ路線に乗ってほしいところです。

2010年8月20日 (金)

クラキンコがホッカイドウ競馬で三冠達成

8月19日に行われた王冠賞(門別・ダ2600m)は、断然人気に推されたクラキンコが勝利を飾り、ホッカイドウ競馬史上4頭目の三冠馬となりました。牝馬としては初めてです。
http://www.chihoukeiba.jp/hokkaido/meta/vod/36/2010/08/19/362010081910.asx

6月1日のエントリー(「北海優駿はクラキンコ」)ですでに取り上げておりますので、血統に関する部分を再録します。

「デビュー当時から話題になっていたのはその血統。父クラキングオー(北海優駿、道営記念、ステイヤーズC2連覇)、母クラシャトル(北海優駿、北海道3才優駿)は、いずれもホッカイドウ競馬を沸かせた名馬でした。つまりクラキンコは“夢の配合”によって誕生した馬だったのです。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105398/

「『クラキングオー×クラシャトル』という“夢の配合”が実現するまでには苦難の道のりがありました。父クラキングオーは現役最後となった一戦で殺処分寸前の故障を負い、倉見牧場の手厚い看護により生還しました。3年後、ようやく種牡馬となる目処が立ち、最初の交配相手に選ばれたのが牧場のナンバーワン牝馬のクラシャトル。そして、翌年誕生したのがクラキンコでした。このあたりの事情については「競走馬のふるさと案内所」のコラム(2009年10月19日付)に詳述されています。読み応えのある記事です。」

ちなみに、ここに当該コラムのURLがあったのですが、2ヵ月半の間に切れてしまい、読めなくなっていました。

これだけドラマ性のある馬は、中央を含めてもなかなか見当たりません。ダートグレード競走で活躍できれば全国的な人気が出てもおかしくないのに、と思います。ホッカイドウ競馬が全面バックアップしてプロモーション活動をするというのはどうでしょう? クラキンコのためだけでなく存廃に揺れる馬産地競馬の振興策として悪くないと思うのですが。

2010年8月19日 (木)

ステキシンスケクンがチリへ

アーリントンC(G3)と京成杯オータムH(G3)を制したステキシンスケクン(父 Danzig)が引退し、南米チリで種牡馬になるとのことです。昨年のちょうどいまごろ、まったく同じニュースが流れたと記憶しているのですが、なにか事情があったのか計画が1年延び、ようやくチリへ渡る運びとなったようです。一時はアイルランドへ渡って調教を重ね、ポップロックのように再起を目指していたそうです。

ここ20年間のチリ生産界は Mr.Prospector 系が牽引しています。90年代は Roy(父 Fappiano)、00年代は Hussonet(父 Mr.Prospector)が一時代を築きました。両者ともアメリカ産馬で、前者は9年連続、後者は7年連続リーディングサイアーとなりました。
http://www.pedigreequery.com/roy
http://www.pedigreequery.com/hussonet

血統表を見ていただければ一目瞭然、スピードタイプです。ですから、こういう文脈で「Danzig×Mr.Prospector」のステキシンスケクンが求められたとすればうなずける話です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003110015/

ちなみに、ジャパンCダート(G1)に出走したチリ産馬、リドパレスとトータルインパクトも Mr.Prospector 系です。
http://www.pedigreequery.com/lido+palace
http://www.pedigreequery.com/total+impact

話が脱線して恐縮なのですが、十数年前、競馬通信社という会社に所属していたころ、『世界の名馬7代血統表』(青木義明著、栗山求監修)という単行本を作りました。1807年生まれの Whalebone から1993年生まれのエリシオまで、世界の名馬500頭の7代血統表を収録したものです。このリスト選定とすべての短評を私が担当しました。

あまり定かではない記憶ですがチリ産馬は2頭収録しているはずです。1966年生まれの Cougar と1987年生まれの Wolf。前者はビワハヤヒデの父シャルードに母の父として入っています。後者は母に Rheita≒Silver Moon 2×2という鮮やかな4分の3同血クロスがあります。これはカッコいいですね。
http://www.pedigreequery.com/cougar2
http://www.pedigreequery.com/wolf

チリ産馬の血統でおもしろいのは、いまから約100年前に走った Old Boy(1909年生)という芦毛の名馬です。通算36戦33勝という成績を残しました。“チリの Native Dancer”といったところでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/old+boy6

母 Skylark もチリオークス、チリセントレジャー(単走)を制した名牝で、これが Palmy 1×3(!)という強度のクロスを持っています。しかし、血統表をよく見ると、両親が栗毛なのに Skylark 自身は芦毛です。芦毛の法則(=芦毛馬は両親のどちらかが芦毛である)に反しているので、毛色が正しいとするならば父は別馬であることが濃厚だと思います。
http://www.pedigreequery.com/skylark21

2010年8月16日 (月)

Goldikova 敗れる

仏ドーヴィル競馬場で行われたジャックルマロワ賞(G1・芝1600m)は、今年の英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬 Makfi がゴール前で鋭い脚を繰り出して優勝しました。騎手は今回から手綱をとるクリストフ・スミヨン。
http://www.youtube.com/watch?v=1Xsfz1A3qDc

これを勝てば欧州G1勝ち数の新記録(11勝)だった Goldikova は断然人気を背負って2着。いったん先頭に立ったものの Makfi の末脚に屈しました。柔らかい馬場に苦しんだとのことです。時計の出るサンタアニタのブリーダーズCマイル(米G1・芝8f)で2連覇を果たしているように堅い馬場が得意なタイプ。昨年のジャックルマロワ賞は1分33秒50で6馬身差の圧勝でした。今年は1分39秒40ですからコンディションは相当悪いですね。陣営によればブリーダーズCマイル3連覇という秋の大目標は不変のようです。

Makfi の血統背景については、5月5日のエントリー「英2000ギニーは Makfi」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/makfi-a9ae.html

血統分析の部分を再録します。

「父 Dubawi は、わずか1世代を残して急逝した Dubawi Millennium の忘れ形見。現役時代にジャックルマロワ賞、愛2000ギニーなどG1を3勝した名馬で、初年度産駒となる今年の3歳世代から、この Makfi と伊2000ギニー(G3)を勝った Worthadd を出しています。出足好調ですね。

Makfi は、父 Dubawi(愛2000ギニー)、母の父 Green Desert(英2000ギニー2着)、2代母の父 Irish River(仏2000ギニー)ですから、ギニーレースに向いた血統です。父が持つ Sir Ivor≒Drone のクロスを継続している(6・6×4)ほか、Mill Reef≒Riverman 5×4などもあるので、配合的にはよくできていると思います。スローペースの切れ味勝負をズバッと突き抜けたので日本向きかもしれません。」
http://www.pedigreequery.com/makfi

父 Dubawi と2代父 Dubawi Millennium は、いずれもジャックルマロワ賞を制しています(2005年、1999年)。今回の勝利で親子孫3代連続制覇となりました。父 Dubawi は現3歳の初年度産駒から7頭の重賞勝ち馬を出しており、2世代目からもロベールパパン賞(仏G2)を勝った Irish Field(スペイン調教馬です)を出しています。非常に優秀な成績を挙げつつある若手有望種牡馬なので今後が注目されます。
http://www.pedigreequery.com/irish+field2

Makfi は、6月15日に行われた前走のセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)で7着と敗れていますが、これは喉の感染症が原因だったようです。それ以外はすべて勝っており、通算5戦4勝という成績。いい切れ味を持った馬です。次走はムーランドロンシャン賞(9月5日・ロンシャン競馬場・G1・芝1600m)を予定しています。

2010年8月15日 (日)

クイーンSはアプリコットフィズ

悩んだ末に◎プロヴィナージュ(3番人気)、○アプリコットフィズ(2番人気)とした理由は枠順です。12番枠のアプリコットは開幕週で外を回されると厳しいかな、という気がしていました。コーナーが大きく直線部分が短い札幌は、函館に比べて外枠の馬が内に潜り込みにくいコースです。2番手追走から3角先頭という乗り方は、逃げ先行馬が圧倒的有利なクイーンS(G3)ではパーフェクトですね。前に行ったことで枠順の不利も消滅しました。

ジャングルポケット産駒は、中長距離で底力を競うレースに高い適性を示す一方、ローカルでも強さを発揮しています。ただ、同じ洋芝の函館コースが連対率30.6%であるのに対し、札幌コースは14.1%と半分以下。パワーが活きるコースでより強さを発揮するということでしょう。

アプリコットフィズは母がマンハッタンカフェの全妹で、馬体はコンパクトで洗練されており、パワー型という雰囲気はありません。ちなみに、マンハッタンカフェ産駒の成績を調べてみると、函館も札幌も同じように好成績を挙げています。洋芝を得意としているものの、ジャングルポケットほどパワーがあるわけではありません。アプリコットフィズは、どちらかといえば母方の特徴が強く出ているような感じがしますね。春のクラシック戦線ではずっと◎を打ち続けてきた馬。これで秋が楽しみになりました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

『web競馬王』の予想では○◎で馬連1410円、○◎△で3連複6890円的中。ウマニティでは○◎で馬単2550円、○◎△で3連単30380円的中です。

2010年8月14日 (土)

フェニックス賞はシゲルキョクチョウ

今年の「シゲル」は役職シリーズ。役職の重みと期待度が比例するものなのか前々から気になっているのですが、どうなのでしょう? 「局長」ならそれなりに上位でしょうか。

新馬戦でフライング気味のロケットスタートを決めた△シゲルキョクチョウ(3番人気)が今回も好スタートでハナに立ち、後続を寄せ付けずに逃げ切りました。人気の◎ブラウンワイルド(1番人気)は2着。

父オンファイアはディープインパクトの全弟で、現役時代は3戦1勝。東京スポーツ杯2歳S(G3)で3着のあと屈腱炎のため引退しました。今シーズンが始まる前に兄よりも早くOP勝ち馬を送り出すと予想していた方は少ないでしょう。私もまったく想定外でした。ディープインパクトの種付料は1200万円。オンファイアは30万円。じつに40倍です。兄と比べて馬格があるのがセールスポイント(現役時500キロ)でしょうか。息子のシゲルキョクチョウは452キロです。

「オンファイア×ラストタイクーン」という組み合わせ。母方に Raja Baba、Raise a Native といった2歳戦に強いスピード血統を持ち、3代母 Gold Mine は Mr.Prospector の全妹。これらが短距離向きのダッシュ力とスピードを補っています。昨年の2歳戦線で活躍したダノンパッションと配合構成がよく似ています。下図には書ききれませんでしたが、ほかに La Troienne 血脈がキーポイントとなる“Sex Appeal≒プレイメイト”の関係もあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106468/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
シゲルキョクチョウ ┤ └ ウインドインハーヘア
          └○┐ ┌ Raja Baba
            └○┤ ┌ Raise a Native
              └○┤
                └ Gold Digger

            ┌ サンデーサイレンス
            │   ┌ Raja Baba
          ┌○┤ ┌○┘
ダノンパッション ―┤ └○┘ ┌ Raise a Native
          │   ┌○┤
          │ ┌○┘ └ Gold Digger
          └○┤
            └ ウインドインハーヘア

「オンファイア×ラストタイクーン」なので、「ディープインパクト×ラストタイクーン」のマギストラ(キングカメハメハの半妹/2戦0勝)、レッドディアーナ(モンテクリスエスの半妹/未出走)、エミクーシ(ジュエルオブナイルの半妹/未出走)などと配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103343/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103061/

逃げ馬にしては余裕のあるフットワークをしているので、初戦も今回も、最後の直線でもう一度脚を使うことができます。新馬戦では◎を打っていい思いをしたのですが、見習い騎手が乗ったことによる3キロ減の恩恵が大きかったのも事実なので、今回は狙いを下げてしまいました。シゲルキョクチョウもダノンパッションも“軽さ”という点では共通しています。ただ、その一方で底力の担保となる血がないので、このあたりの影響で先々どうかという懸念はあります。

2着ブラウンワイルドは初戦をレコードで走った反動があったのかもしれませんね。パドックでは思ったほど良く見えませんでした。馬体重が8キロ増えていた原因は分かりませんが、この先の小倉2歳S(G3)を見据えて多少楽をさせていた可能性もあると思います。

2010年8月13日 (金)

ブリーダーズゴールドCはシルクメビウス

6月の帝王賞(G1)で、本来出走できなかったはずのカネヒキリが直前のルール変更によって出走可能となったとき、出走枠から弾き出されたのがシルクメビウスでした。陣営はさぞ無念だったでしょう。もし仮に訴訟社会アメリカで同様の事例があれば一悶着あったかもしれません。

それだけに今回のブリーダーズゴールドC(G2・ダ2000m)は気合いが入ったでしょうし、勝利の味は格別だったでしょう。シルクメビウス(2番人気)は中団から徐々に進出し、直線で4馬身突き抜けました。2着はカネヒキリ(1番人気)。
http://www.chihoukeiba.jp/nar/meta/vod/36/2010/08/12/362010081210.asx

ステイゴールド産駒は、父と同じく着実に成長するところがセールスポイント。じつは先週、JRAでは同産駒が4勝(2着2回)を挙げ、さりげなく祭になっていました。そのなかの1頭ユキノサイレンスは元PO馬。デビュー以来10連敗で実力的に勝ち上がるのは難しいかも……と思っていたのですが、しっかり未勝利を脱出しました。2歳よりも3歳、3歳よりも4歳で味が出てくる種牡馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105909/

凱旋門賞に挑戦するナカヤマフェスタ、昨年の宝塚記念と有馬記念を制したドリームジャーニーも、2歳時に頭角を現したあとしばしの停滞期を経て、鮮やかに復活を遂げました。ステイゴールド産駒の“死んだふり”に騙されてはいけません。この成長力は主に2代母の父ノーザンテーストに由来するような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102424/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102753/

ダートの成績がイマイチなのは、父に似て産駒が総じて小柄であることも理由のひとつでしょう。シルクメビウスは500キロ近い馬体なので体格的な不安はありません。母チャンネルワンは「ポリッシュネイビー×マルゼンスキー」というパワー満点の配合で、Busanda 3×5に加えてそれと血統構成が近い Relic を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107964/

息子のシルクメビウスは、母方のパワーと父方の瞬発力が最良の形で融合した結果、ハイレベルなダートホースとなったと考えます。脚抜きのいい馬場(今回もそうでした)でとくに強いのは、ダート馬にありがちな単純な力馬ではなく、芝馬的な資質も兼ね備えているからでしょう。こういうタイプは案外オールウェザーで強そうな気がするので、来年ドバイに遠征すればいいところがあるかもしれません。グロリアスノアがゴドルフィンマイル(G2・AW1600m)で4着ならシルクメビウスはもっとやれても……という気がしないでもないですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106156/

2010年8月12日 (木)

イノセントCはモエレフウウンジ

ホッカイドウ競馬の2歳重賞・イノセントC(門別・ダ1200m)は、6番人気のモエレフウウンジ(父ゴールドヘイロー)が2番手から抜け出して優勝。後続に4馬身差をつけました。これで通算成績は3戦2勝(2着1回)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995105092/

母ピサノガレーは福島記念(G3)5着馬。ナリタブライアン(三冠、有馬記念)やファレノプシス(桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯)と4分の3同血の関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996101608/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1991108889/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995105092/

           ┌ ブライアンズタイム
ピサノガレー ――――┤
(≒ナリタブライアン)└○┐
(≒ファレノプシス)   └ Pacific Princess

これまでの産駒は鈍重さが目立っていたのですが、本馬は Mr.Prospector 4×4があるためかスピードと仕上がりの早さが表現されています。力強く掻き込む走法なのでダートのほうがいいでしょう。

母の父ブライアンズタイムは底力を伝えます。スリーロールス、テイエムアンコール、ラナンキュラスのような芝馬もいますが、どちらかといえばパワータイプなので、エスポワールシチー、ブルーコンコルド、ヴァンクルタテヤマのような砂の猛者のほうが“らしい”感じはあります。ブライアンズタイムを持ち、そこに Hasty Road クロスがあれば、たいていの馬はダート向きになります。本馬はこのパターンです。

デビュー戦圧勝で断然の1番人気に推されたマニエリスム(父ゼンノロブロイ)は4着。スタートの大出遅れが痛恨でした。最後方追走から直線で大外に持ち出してそれなりに伸びているので能力はあるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103001/

2010年8月11日 (水)

秋の海外G1を狙う日本馬とそのライバルたち

7月28日のエントリー(「レッドディザイア、BCフィリー&メアターフ参戦へ」http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-b924.html)で取り上げたばかりの Tuscan Evening(牝5歳・父 Oasis Dream)が、8月8日、急死しました。調教中に突然倒れたとのことです。現在重賞6連勝中で、秋のBCフィリー&メアターフ(米G1)の有力候補と目されていた名牝でした。残念というほかありません。
http://www.pedigreequery.com/tuscan+evening

一方、同レース2連覇を狙う Midday(牝4歳・父 Oasis Dream)は順調そのもの。7月31日に行われたナッソーS(英G1・芝9f192yds)を勝ち、難なく2連覇を達成しました。前出の Tuscan Evening と同じ Oasis Dream 産駒ですが明暗が分かれた形です。
http://www.pedigreequery.com/midday8

レッドディザイアの相手はやはりヨーロッパ勢でしょうか。3歳馬の動向が気になるところですがまだ何の情報もありません。英・愛オークスを連勝した Snow Fairy(牝3歳・Intikhab)あたりが出てくれば当然首位争いに絡んでくるでしょう。配合的に小回り適性が感じられるので怖い馬です。
http://www.pedigreequery.com/snow+fairy7

凱旋門賞を狙うナカヤマフェスタ(牡4歳・父ステイゴールド)は8月9日に空路出国したので、もうヨーロッパに到着しているころです。9月12日のフォワ賞(仏G2・芝2400m)を叩いて10月3日の本番に向かう予定です。ちなみにヴィクトワールピサ(牡3歳・父ネオユニヴァース)は18日出国。フォワ賞と同日のニエル賞(仏G2・芝2400m)を使って本番です。

Harbinger が故障したといっても、メンバー的に楽になったという感じはしません。8月8日、アイルランドのロイヤルウィップS(G2・芝10f)を勝った Fame and Glory(牡4歳・父 Montjeu)は、これで今シーズン重賞4連勝。昨年の凱旋門賞では6着に敗れているので、レース適性という面ではやや疑問が残りますが、現在ブックメーカーの前売りでは1番人気。今年はこの馬を中心に勢力図が形成されていくはずです。
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory

Fame and Glory の父 Montjeu は、11年前にエルコンドルパサーを破って凱旋門賞を制覇しました。日本勢とは浅からぬ縁があります。返り討ちか、それともリベンジか……!?

2010年8月10日 (火)

日曜日のレースあれこれ

■関屋記念(G3・芝1600m)は◎セイクリッドバレー(2番人気)に本命を打ち、これは2着を確保したものの、勝ったレッツゴーキリシマ(6番人気)がヌケだったので不的中。差し馬しか考えていなかったので完敗です。展開の読みが甘かったですね。新潟競馬場が改修された01年以降の関屋記念で、1000m通過59秒7は2番目に遅いペース。セイクリッドバレーは上がり3ハロン32秒1で勝てませんでした。

■函館8Rの噴火湾特別(1000万下・ダ1000m)は、ハッピーダイアリー(父アグネスタキオン)が無傷の3連勝を飾りました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102864/

新馬戦を勝った直後、1月24日のエントリー(「アグネスタキオン×ホワイトマズル」)で採り上げたように、配合的に注目している馬です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-33fe-1.html

「アグネスタキオン×ホワイトマズル」には、Halo≒Drone 3×5、リマンド≒ピットカーン4×5、ロイヤルスキー≒Autocratic 3×4といったユニークな仕掛けが潜んでいます。この配合を持つ馬はJRAで連対率52.3%(21戦11連対)と驚異的。来年デビューの現1歳馬でこの配合馬はエミスフェールの2009のみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105747/

■新潟5Rの新馬戦(芝1800m)は、「栗山ノート」でも指名して配合的に注目していた◎カフェラピード(7番人気)が2着。マンハッタンカフェ産駒の配合としては文句なしのA級です。序盤に挟まれて下がる不利があったので、まともなら……と思わせる内容でした。鞍上の松岡正海騎手は「かなりの素質がある馬だと思います」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。予想は△◎で馬連3500円的中。コメントは以下のとおり。

「◎カフェラピードは『マンハッタンカフェ×カーリアン』という組み合わせ。半姉にダートで準OPまで出世したミネルバサウンドがいる。マンハッタンカフェとカーリアンの関係はニックスで、またミスタープロスペクターとニジンスキーを併せ持つマンハッタンカフェ産駒も成功パターンであり、母がノーザンダンサーのクロスを持つパターンもよく走っている。配合的な完成度は高い。昨年夏、当コースでレコード勝ち(1分46秒6)したヒットメーカーは、母方にウッドマンを持つマンハッタンカフェ産駒だった。本馬はこれと配合構成が似ている。コース適性も高いだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101059/

同じレースに出走した○シャイニングカラー(5番人気)は、ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースと同じく母方に Machiavellian を持つネオユニヴァース産駒。結果は4着でした。先輩ほどの大物感はないものの、そのうち勝ち上がりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102549/

■8月8日のエントリー(「日曜日の2歳未勝利戦」)で採り上げた2頭、エーシンチャージとコスモパシフィズムは、それぞれ4着、7着。前者はインの窮屈なポジションに押し込められてスムーズさを欠き、後者はまだ力不足という内容です。今回はいいところがありませんでしたが、気長に待てばいずれ吉報が届くでしょう。

2010年8月 9日 (月)

函館2歳Sはマジカルポケット

函館2歳S(G3・芝1200m)は順当に決着。予想も▲◎で的中しました。8月6日のエントリー(「函館2歳Sはシンプルマインドで」)に記した方法で絞っていくと◎マイネショコラーデが残ります。2着でしたが最後は首の上げ下げだったので仕方ありません。

勝った▲マジカルポケットは道中じっと動かなかったことが勝因でしょう。この我慢によって最後の末脚を残すことができました。2着馬とは対照的でしたね。

父ジャングルポケットは2歳夏の短距離重賞を得意とするタイプではありませんが、本馬は母が「Danzig×Habitat」という血統で、これがスピードと早熟性の担保となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106220/

「Danzig×Habitat」の組み合わせはミドルパークS(英2歳G1-芝6f)を勝った Zieten と同じ。同馬は来日して出走した京王杯SC(G2・芝1400m)で2着と健闘しています。芝向きのスピード配合です。
http://www.pedigreequery.com/zieten

Danzig は世界のどの地域でも走るオールマイティさが売り物です。パワーを兼ね備えているので本質的には洋芝を得意としており、ヨーロッパとオセアニアでとくに強い血統です。「ジャングルポケット×Danzig」ですから、やや時計のかかる洋芝の函館は合っていたと思います。デビュー戦は逃げ切りだったのでよく分からなかったのですが、大人びた性格でレースが上手ですね。キャリアの浅い2歳戦でこれは大きなセールスポイントです。今後の課題は、マイル以上の高速馬場で切れ味を要求される展開になったとき。スピードタイプながら癖のない馬なので2000mあたりまではギリギリもちそうですが、高速馬場への対応力、スパッと切れる脚が使えるかどうかは未知数です。これをクリアできれば楽しみです。

2010年8月 6日 (金)

函館2歳Sはシンプルマインドで

昨日、所用で笠雄二郎さんにお電話したとき、たまたま函館2歳Sの話題になりました。こういう場合、お互い予想をする立場なので、個別の馬についてはあたりさわりのない話しかしません。ただ、総評として「レベルがイマイチ」という点で一致しました。積極的に買いたいと思える馬が見当たりません。

出走馬のなかに社台グループの生産馬はゼロ。2歳重賞でこうした例は珍しいと思います。函館2歳Sでは03年以来7年ぶりです。

来年のクラシックホースを探すのではなく、現時点の仕上がり具合とスピード能力でどれがマシなのか、という観点から勝ち馬を見つけ出すレースなので、猛暑のなか血統表とにらめっこをして頭を悩ませても仕方がありません。

“函館2歳Sに向いた血統”は Mr.Prospector とサクラバクシンオー。過去5年間の連対馬10頭のうち、このふたつの血をまったく持たなかった馬は2頭しかいません。残りの8頭はどちらかの血を持っていました。

これで残った馬から、ラベンダー賞3着以内、牝馬、差せるタイプを重視し、前走が芝1200m以外だった馬を切れば、かなり絞れるのではないかと思います。ありきたりのデータ作戦ですが、この種のレースでは案外頼りになります。

2010年8月 1日 (日)

ドレッドノートが土曜日の小倉新馬戦(芝1200m)を圧勝

抜群のダッシュでハナを奪い、直線で後続を6馬身突き放しました。タイムは1分08秒9(良)。小倉初日に勝ち上がったブラウンワイルド(7月17日のエントリー「ブラウンワイルド、新馬戦レコード勝ち」を参照http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-66b2.html)と同じく、小倉2歳S(9月5日・G3・芝1200m)の有力候補といえるでしょう。

父メイショウオウドウは、大阪杯(G2)と鳴尾記念(G3)を制したサンデー系の中距離馬。母ボンヌマールは不出走馬ですが、2代母レイクアネシーはノーリーズン(皐月賞)、グレイトジャーニー(重賞2勝)の半姉にあたる良血です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101696/

母の父 Starborough は、“ブダベストの弾丸”の異名をとるハンガリー調教馬 Overdose の父。7月20日のエントリー(「Overdose 13連勝」)で採り上げておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/overdose-6eeb.html

母ボンヌマールは、その父 Starborough のスプリント能力に加えて、Desert Wine≒バラダ3×3 を持っています。さらに Seattle Slew と Mr.Prospector を抱えています。ドレッドノートの鋭いダッシュ力、高いスピード能力は母方の影響が大きいのではないかと思います。短い距離では期待できるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102170/

『web競馬王』の予想は○◎で的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』でもA評価同士のワンツーでした。

2010年7月30日 (金)

Grey Flight 牝系+Bold Ruler の活力

重賞サンタアニタトロフィー(7月28日・大井競馬場・ダ1600m)の同日、第5Rに組まれた特選2歳(ダ1200m)は、パワフルローマン(父アジュディケーティング)が好位から抜け出して5馬身差で勝ち、通算成績を2戦2勝としました。典型的なアメリカンタイプの巨漢馬で、馬体重はすでに520キロあります。叔父にニュージーランドT(G2)を勝ったキタサンチャンネル、叔母にファンタジーS(G3)を勝ったキタサンヒボタン、伯父に全日本3歳優駿を勝ったキタサンテイオーがいる良血です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103966/

母の父カコイーシーズが「Alydar+Tom Fool」ですから、同じアジュディケーティング産駒で七夕賞(G3)を勝ったミデオンビット(母ピアグレイスが Alydar+Tom Fool)に似ていなくもありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1997105367/

そして、もうひとつ指摘しておきたいのは「Resolver≒ボールドラッド2×5」。
http://www.pedigreequery.com/resolver
http://www.pedigreequery.com/bold+lad

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┘
Resolver ―――┤
        └○┐
          └ Misty Morn

        ┌ Bold Ruler
ボールドラッド ┤
        └ Misty Morn

アジュディケーティングの代表産駒アジュディミツオー(帝王賞、東京大賞典2回、川崎記念、かしわ記念)は、Resolver≒What a Pleasure 2×5なので、パワフルローマンと配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001104554/

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┘
Resolver ―――┤
        └○┐
          └○┐
            └ Grey Flight

        ┌ Bold Ruler
What a Pleasure ┤
        └ Grey Flight

フィップス家の家宝ともいえる名牝 Grey Flight は、9頭のステークスウィナーを送り出した希代の名牝で、そのファミリーの活力は目を瞠るものがあります。

とくにこの牝系に Bold Ruler を掛け合わせて誕生した活躍馬は多く、それらを組み合わせたクロスも前述のように成功しています。

母の父にアジュディケーティングを持つ馬で最も成功したロングプライド(父サクラローレル)は、ユニコーンS(G3)の勝ち馬で、やはりボールドラッド≒Resolver 4×3があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004105013/

海外では Sovereign Dancer が有名です。Grey Flight の孫にあたるこの種牡馬は、ファミリーの血をクロスさせることで立て続けに名馬を生み出しました。

米三冠のひとつプリークネスS(米G1)を勝った Louis Quatorze は、Bold Princess≒ボールドラッド2×3。また、ジャックルマロワ賞(仏G1)とムーランドロンシャン賞(仏G1)を制した Priolo は、Bold Princess=Pleasant Flight 2×3です。
http://www.pedigreequery.com/louis+quatorze
http://www.pedigreequery.com/priolo2

冒頭に記したパワフルローマンは、じきに重賞戦線に顔を出してくるでしょう。2戦2勝といっても弱敵相手のものなので即通用するかどうかはなんともいえません。ただ、配合的にはいいものを持っているので注目してみたいところです。

2010年7月29日 (木)

トウショウレイザー

「栗山ノート」のキングカメハメハ産駒の項で、今年はトウショウレイザー(美浦・大久保洋吉厩舎)に高い評価を与えました。トウショウウェイヴ、トウショウシロッコの半弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100659/

7月2日から坂路で乗り込み、本日、ラスト3ハロンだけ追って「12秒8-11秒8-12秒1」という時計をマーク(全体は55秒3)。美浦の坂路は、速い時計が出たからといって飛びつけないところがあるのですが、悪くないと思います。「栗山ノート」には以下のように記しました。

「半兄にトウショウシロッコ、トウショウウェイヴがいる。母系にリヴァーマンが入る配合はニックスで、フィフスペトル、コスモセンサーと同じ。1600~2000mで強い。」

母の父ニッポーテイオーは、天皇賞・秋(G1)、安田記念(G1)、マイルチャンピオンシップ(G1)など7つの重賞を制した名馬。父キングカメハメハと相性のいい Tourbillon~My Babu のラインを豊富に持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983102584/

兄2頭がどう頑張っても重賞入着まで、ということから、あるいはスケール面の限界があるかもしれません。ただ、配合的にはちょっと期待してみたい馬です。いかにも東京・新潟で強そうですね。

2010年7月28日 (水)

レッドディザイア、BCフィリー&メアターフ参戦へ

ちょっと前に「BCターフ参戦も」という記事を見たと記憶しているのですが、このほどBCフィリー&メアターフ(米G1・芝11f)に出走することが決定したようです。確実に勝ちに行くということでしょう。

9月15日に出国し、まず東海岸のニューヨークに飛んでフラワーボウル招待H(10月2日・米G1・芝10f)を使い、ケンタッキーに移動して11月5日の本番に臨む、というスケジュールです。このふたつのレースはアメリカにおける芝牝馬の王道路線です。

このカテゴリーで現在強敵といえるのは、5月のゲイムリーS(米G1・芝9f)で1、2着した Tuscan Evening と Forever Together あたりでしょうか。ただ、前者は11ハロンがやや長く、後者は6歳を迎えてこれ以上の上がり目があるのか疑問なので、レッドディザイアのほうが上だろうと思います。
http://www.pedigreequery.com/tuscan+evening
http://www.pedigreequery.com/forever+together

やはり怖いのはヨーロッパからの遠征組。現段階では何が出走するのか分かりません。昨年の覇者 Midday は順調なら2連覇を目指すのではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/midday8

ここに挙げた3頭のうち、Tuscan Evening と Midday は Oasis Dream 産駒。Oasis Dream 自身はカルティエ賞最優秀スプリンターに選ばれた快速馬だったので、放っておけばいくらでも速い産駒が産まれますし、スタミナを入れれば2000mぐらいまでは対応できる素晴らしい種牡馬です。2月10日のエントリー「なぜか日本に入らない Green Desert 系」で触れておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/green-desert-e2.html

2010年7月26日 (月)

キングジョージ6世&クイーンエリザベスSは Harbinger

11馬身差のレコード圧勝、という勝ちっぷりにもビックリしましたが、タイムフォームが暫定レーティングで「142」という評価を与えたのにはもっとビックリしました。この数値が妥当かどうかは正直わかりません。タイムフォームのスタッフたちもおそらく当惑しており、どんな数値を付けるべきか迷っているのだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=mo7pEsp2WKc

ここ30年ぐらいのヨーロッパの主要G1で、10馬身以上の着差がついたレースは思いつくかぎり以下の4つです。

 15馬身差 Turtle Island(94年愛2000ギニー)
 12馬身差 St.Jovite(92年愛ダービー)
 10馬身差 Troy(81年英ダービー)
 10馬身差 Jet Ski Lady(91年英オークス)

おそらく他にもあるはずですが、手元に資料がないのですぐには調べがつきません。先日の英ダービーにおける Workforce の7馬身差レコード勝ちというパフォーマンスも、同馬がこのキングジョージで5着に敗れたこともあってすっかり霞んでしまいました。

4歳になって急激に力をつけてきたという点で、Harbinger は Busted に近いイメージがあります。おそらく順調なら秋は凱旋門賞に駒を進めてくるでしょう。こんな年にチャレンジするヴィクトワールピサとナカヤマフェスタはツイていません。もちろん、キングジョージが一世一代の大駆けで、あとは下り坂という可能性もないわけではないので、まだまだ希望は十分あると思います。

Harbinger の父 Dansili は、06年の凱旋門賞馬 Rail Link の父でもあります。この年の凱旋門賞には日本からディープインパクトが挑戦し、3位入線のあと失格となっています。Dansili については2月26日のエントリー「もう1頭のスーパー牝馬 Hasili」で触れておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/hasili-2836.html

Rail Link は、父 Dansili の配合的骨格である Hyperion を主軸とした分かりやすい配合でした。
http://www.pedigreequery.com/rail+link

Harbinger は、その母 Penang Pearl が「Bering×Shareef Dancer」なので、フランスとアメリカの活力を取り入れており、Rail Link とはタイプが異なります。ちなみに、Harbinger の牝系に代々付けられた血は、ダービーで好走した馬ばかりです。4代母の父 Crepello は英ダービー馬。3代母の父 Connaught は英ダービー2着馬。2代母の父 Shareef Dancer は愛ダービー馬。母の父 Bering は仏ダービー馬。スタミナと底力に関しては申し分ありません。
http://www.pedigreequery.com/harbinger11

母方に Shareef Dancer が入り、その母 Sweet Alliance が持つ Attica≒Tom Fool 2×2を、父方に入る Buckpasser(その父 Tom Fool)によって継続するというパターンは、Dubai Millennium(ドバイワールドC、クイーンエリザベス2世Sなど4つのG1を制覇)を彷彿させます。
http://www.pedigreequery.com/dubai+millennium

スタミナと底力のベースに、アメリカ血統の小技を利かせて活性化に成功したのが Harbinger ではないかと思います。

2010年7月25日 (日)

サンデーサイレンスと Pia Star

 函館記念は“勝ちタイムが1分58秒台”というどうでもいい予想は当たったものの、◎は何を血迷ったかスズカサンバ(9番人気)に打ってしまい玉砕。ちょっと買いかぶりすぎました。このメンバーに入ると高速馬場でも53キロでも足りません。

 △マイネルスターリー(2番人気)は3馬身半差の完勝。もちろん実力的に勝って不思議のない馬ですが、終わってみればジョッキーの上手さが印象に残りました。手綱をとったダグラス・ホワイト騎手には来週から騎乗依頼が殺到するでしょう。しっかり乗れるジョッキーは見ていて気持ちがいいものです。

マイネルスターリーは「スターオブコジーン×サンデーサイレンス」という組み合わせ。スターオブコジーン産駒だけにローカル向きに出てしまうのが玉に瑕ですが、この配合は大成功しています。JRAでデビューしたわずか4頭の産駒のうち、マイネルスターリーは重賞を勝ち、ウイントリガーとアルバレストは準OPまで出世しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005103510/

この配合の鍵はスターオブコジーンの母の父「Pia Star」だと思います。同馬の2代目には Heliopolis と Mahmoud が並んでいます。
http://www.pedigreequery.com/pia+star

       ┌ Heliopolis
     ┌○┘
Pia Star ┤ ┌ Mahmoud
     └○┘

前者はサンデーサイレンスが内包する Gulf Stream と4分の3同血の関係にあり、サンデーにとって最も有名なニックス血脈でもあります。一方、後者はサンデーの父 Halo とニックスの関係にあります。どこからどう見てもサンデーと相性抜群です。
http://www.pedigreequery.com/heliopolis
http://www.pedigreequery.com/gulf+stream

      ┌ Hyperion
Heliopolis ┤
      └ Drift

      ┌ Hyperion
Gulf Stream ┤
      └○┐
        └ Drift

サンデーサイレンスはその生涯に膨大な数の繁殖牝馬と交配しました。しかし、そのなかで Pia Star を持つ繁殖牝馬はたった1頭しかいませんでした。その牝馬の名はローミンレイチェル。年度代表馬ゼンノロブロイ(父サンデーサイレンス)の母です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000101517/

サンデーサイレンスと Pia Star の関係は特別なものである、といっていいと思います。

2010年7月22日 (木)

セレクションセール2010 2日目(当歳馬)

2日目(21日)は今年生まれたばかりの当歳馬のせり。先週行われたセレクトセールは、国際基準に合わせる形で当歳馬から1歳馬に重心を移し始めています。国内トップの動きは当セールを含めた周辺にも波及しているようで、今年の上場頭数は昨年(162頭)より40%近く減って102頭でした。

1500万円以上で落札された馬は3頭(税別)。以下のリストをご参照ください。

■347番 ┌ ネオユニヴァース
 牡馬 └ リンデンシラユリ(父ダンシングブレーヴ)
      落札価格:1700万円
      落札者:深見富朗
http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=130353&mdata=39747

■394番 ┌ アドマイヤムーン
 牡馬 └ サンタママ(父 Lear Fan)
      落札価格:1740万円
      落札者:(有)ユニオンオーナーズクラブ
http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=187082&mdata=68641

■395番 ┌ ゼンノロブロイ
 牡馬 └ サンターナズソング(父サクラバクシンオー)
      落札価格:2220万円
      落札者:グローブエクワインマネージメント(有)
http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=133312&mdata=116685

上場頭数が少なく、主取りも多かったのでイマイチ盛り上がりに欠けましたね。395番の落札者は多田信尊氏が代表を務めるエージェント会社。どなたかの代理で落札されたのだと思います。“母の父サクラバクシンオー”は、硬めのアメリカ血統を含んだ父との組み合わせで好結果を残しており、サンデー系ではダート向きのゴールドアリュールとの組み合わせでトップカミング(日経新春杯-2着)、メモリアルイヤー(先週の九州産新馬戦を大差圧勝)が出ています。395番の父ゼンノロブロイは母方にそうした血を抱えているので悪くないでしょう。

2010年7月21日 (水)

セレクションセール2010 1日目(1歳馬)

セレクトセールが終わればセレクションセール。7月20日(火)が1歳馬、21日(水)が当歳馬のせりです。

1日目に行われた1歳馬のせりでは、2000万円以上で落札された馬が8頭出ました(税別)。以下をご参照ください。

■33番 ┌ ブライアンズタイム
 牡馬 └ ナイストレビアン(父ノーザンテースト)
      落札価格:2300万円
      落札者:ノーザンファーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104836/

■84番 ┌ フジキセキ
 牡馬 └ ホクトペンダント(父パークリージェント)
      落札価格:2700万円
      落札者:(有)ローズヒル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100449/

■99番 ┌ アグネスタキオン
 牡馬 └ ミスカースティー(父 Miswaki)
      落札価格:2500万円
      落札者:加藤守
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100713/

■119番 ┌ シンボリクリスエス
 牡馬 └ ラモレイエ(父 Theatrical)
      落札価格:2050万円
      落札者:杉山美恵
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009109162/

■149番 ┌ キングカメハメハ
 牡馬 └ アタラマ(父 Sadler's Wells)
      落札価格:2050万円
      落札者:高岡秀行
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104880/

■178番 ┌ キングカメハメハ
 牡馬 └ オールマイティ(父フジキセキ)
      落札価格:2300万円
      落札者:(有)ビッグレッドファーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102116/

■181番 ┌ ネオユニヴァース
 牡馬 └ ガティーク(父 Gulch)
      落札価格:2250万円
      落札者:山岸桂市
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101633/

■220番 ┌ ダイワメジャー
 牡馬 └ シックファイター(父ヘクタープロテクター)
      落札価格:2050万円
      落札者:山元哲二
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103015/

149番の母アタラマ(父キングカメハメハ)を落札したのは、シンガポールで厩舎を開業している高岡秀行調教師。あちらで走らせるのでしょうか。Nureyev≒Sadler's Wells 4×2という力強い4分の3同血クロスがあります。聞くところによるとシンガポールの芝はここ1、2年でやや速くなっているそうですが、それでも日本のような高速馬場ではありません。そうした粘っこい芝に合いそうな配合です。

2010年7月20日 (火)

Overdose 13連勝

“ブダペストの弾丸”の異名をとるハンガリー調教馬 Overdose。昨年4月以来戦列を離れていたのですが、7月18日にスロバキアのリステッドレース(芝1000m)で15ヵ月ぶりの復帰戦に臨み、これを勝利で飾りました。デビュー以来の連勝記録は「13」に伸びています。
http://www.pedigreequery.com/overdose3

レベルの低い東欧のみで連勝を伸ばしているわけではなく、ドイツに遠征してG2とG3を、イタリアに遠征してG3を制しています。2008年にはフランスのアベイドロンシャン賞(G1・芝1000m)に出走し、見事1位で入線したものの、出走馬1頭のゲートが開かなかったため不成立となり競走のやり直しが決定。再レースに Overdose は出走しませんでした。したがって競走成績にこのレースは含まれていません。

YouTube には多くの映像があります。どれもこれも強烈ですね。全13戦の平均着差は約8馬身。着差がつきにくい短距離戦でこの数字ですからスピードの次元が違います。ただ、ここ2年は脚部不安で思うように競馬に使えず、以前のようなスーパーホースぶりを再度示せるかどうかは微妙なところでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=158UOynZhbQ

父 Starborough はセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)とジャンプラ賞(仏G1・芝1600m)を勝った Nureyev 系のマイラー。その母 Flamenco Wave は本邦輸入牝馬アンブロジン(ノーリーズンやグレイトジャーニーの母)と配合構成がよく似ています。

Overdose 自身はイギリス産馬で、やや一本調子で確かに速そうな配合ではあります。微妙にウエスタンヒートっぽいですね。1歳時の11月、ニューマーケットのセールで現馬主に落札された際は、わずか2100ポンド(当時のレートで約32万円)の安値だったそうです。

2010年7月19日 (月)

アイビスサマーダッシュはケイティラブ

アイビスサマーダッシュの予想は、長時間頭をひねった末に◎エーシンエフダンズ(11番人気)としたのですが、結果は17着。勝ったケイティラブ(8番人気)は無印でした。ここまで外れると悔しさもありません。

7月16日のエントリー「サンデー、トニービンの血を持つ馬は消し?」で挙げた4頭、ウエスタンビーナス、メリッサ、キルシュブリューテ、アスドゥクールは、いずれも掲示板外に敗れ去りました。1番人気に推されたメリッサはしんがり負け。このレースは適性が重要であるとあらためて感じます。このデータ(ジンクス)は来年も使えそうです。

ケイティラブ(父スキャン)は6歳にして重賞初挑戦・初制覇。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103689/

母ウイニングリバーは本馬のほかにきさらぎ賞(G3)を勝ったマイネルブルック(父スターオブコジーン)を出しています。このレベルの種牡馬(といっては大変失礼ですが)と交配して複数の重賞勝ち馬を送り出すのですからたいしたものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993107154/

母の父ムーンマッドネスはシェリフズスター(二冠馬セイウンスカイの父)の半兄で、スピードと決め手に欠けるスタミナ血統。ただ、ケイティラブの父スキャンは、こうした鈍重な血を取り込むことで大物感のある産駒を出すことがひとつのセオリーとなっているので、配合自体は悪くありません。母系の奥にも Be My Guest、Reliance、Ribot といった重厚な血が並んでいます。

“スプリンター×スプリンター”という配合は大物感が出にくく、速いけれど条件クラス止まり、というタイプになりがちです。たとえば今回、残念ながら予後不良となってしまったカノヤザクラは、「サクラバクシンオー×Woodman」という組み合わせで、一見速いだけの配合ですが、2代母は「Sadler's Wells×Caracol×Ragusa」というウルトラ級のステイヤー血統。ここで帳尻を合わせています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106028/

スプリンターはたいてい速い血を集めています。ここで大きな差はつきません。器を見極める際に重要なポイントは、内包するスタミナ血統にあります。これを上手に取り込んだ馬は底力が増し、クラスが上がっても勝ち抜いていけます。

それにしてもカノヤザクラの予後不良は残念。サンアディユ、アストンマーチャンにしてもそうですが、ハイクラスな快速牝馬が次代に血を遺せないのはわが国の馬産にとって大きな損失です。

2010年7月18日 (日)

日曜日のディープ産駒――レッドセインツ、マギストラ

日曜新潟6R・新馬戦(芝1600m)。レッドセインツ(1番人気)は馬群のなかでじっと我慢し、シャープな脚で突き抜けました。ディープインパクト産駒は落ち着いていて賢いという評判ですが、この馬も精神年齢が高そうですね。

その配合には以前から注目しており、『赤本』でも『競馬王のPOG本』でも公開ドラフトでも指名するなど、個人的に高く評価していました。もちろん予想は◎。馬単5890円、3連単58110円を的中させることができました。『web競馬王』の予想を再録します。

「◎レッドセインツは『ディープインパクト×セルカーク』という組み合わせ。母サセッティの半姉ウィノナ(父アルザオ)は愛オークス馬。アルザオはディープインパクトの母の父なので、本馬とウィノナは構成要素が似ている。父系と牝系が同じハーツクライとも若干似ている。母の父セルカークはマイラー。おそらく本馬もマイル前後で活躍するタイプだろう。ポカホンタス≒リヴァーレディ5×5、母系の奥のアメリカ血統も効果的と思われる。馬体は小柄ながら高い素質を感じさせる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/

文中に出てくる Winona は、98年の愛オークス(G1・芝12f)を7馬身差で圧勝した名牝です。
http://www.pedigreequery.com/winona3

レッドセインツの配合には、Winona の父 Alzao、母 My Potters が含まれています。マイラーと評価したのは母の父 Selkirk の適性を考えてのこと。ただ、実際の走りを見ると折り合いがついてゆったり走るので、もう少し長い距離もこなせそうです。パドックで見たかぎりまだ子供っぽい馬体なので成長の余地はあるでしょう。

日曜日はディープインパクト産駒がもう1頭デビューしました。函館4Rの新馬戦(芝1200m)で2着となったマギストラ(1番人気)。こちらにも◎を打ちました。新潟で勝ったレッドセインツと同じく「栗山ノート」に記載した馬です。予想は○◎で的中。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103343/

予想文にも書いたとおり1200mは忙しいですね。新馬戦の予想において適性というファクターは重要ですが、器の見極めもまた大事。得意条件から外れていても器が大きければ勝ち負けになるのが新馬戦です。小回りコースの芝1200mは明らかに向いていません。能力で2着を確保しました。

ディープインパクト産駒は総じてダッシュがイマイチで終いの脚で勝負するタイプが目に付くので、マイル以上の芝、直線の長いコースなら信頼できます。レッドセインツはまさにこの条件でした。こうしたレースが増える秋の中央開催でディープインパクト産駒がどれだけ活躍するのか楽しみです。

2010年7月17日 (土)

ブラウンワイルド、新馬戦レコード勝ち

土曜小倉5R・新馬戦(芝1200m)はブラウンワイルド(9番人気)が直線で後続を6馬身突き放し、1分07秒9のレコード勝ち。ラスト2ハロンは11秒8-11秒5とラップを上げているので強かったですね。稽古内容が冴えなかったので印を打てませんでした。

「ワイルドラッシュ×ヤマニンゼファー」という組み合わせを見て、ダートのほうがいいかも……と反射的に結論付けてしまったのは失敗でした。よく見ると味な配合構成をしています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104610/

5代血統表を見ると、Sir Gaylord 5×5、Missy Baba 5×5というクロスがあります。母の父ヤマニンゼファーは Sir Gaylord 系なので、6代目まで含めると Sir Gaylord 5×5・6です。5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」でも述べたように、この血は芝向きの非凡な瞬発力を伝えます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/sir-gaylord-ce0.html

また、“Missy Baba 5×5”のほかに、“Clovelly 5×7”という名牝のクロスを持ちます。Missy Baba の母の父 Umidwar と、Clovelly の母 Udaipur は全きょうだい。また、Missy Baba の父方に含まれる Badruddin と、Clovelly の父 Mahmoud は相似な血です。つまり、Missy Baba と Clovelly は血統構成がきわめてよく似ており、ほとんど同じような血といっていいでしょう。しかも、アガ・カーン血脈をベースとしているので、質の高い柔軟なスピードを伝えます。
http://www.pedigreequery.com/missy+baba
http://www.pedigreequery.com/clovelly3

最近ではサンライズプリンスとランザローテがこの2つの血を持っていました。いずれも「アグネスタキオン×Wild Again」という組み合わせから誕生しているのですが、アグネスタキオンと Wild Again を結びつける鍵は Missy Baba と Clovelly の関係ではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105566/

ブラウンワイルドは「Missy Baba≒Clovelly 5・5×5・7」です。前述の「Sir Gaylord 5×5・6」と併せて、芝向きのスピードと瞬発力を引き出す配合パターンといえるでしょう。ダートに強いワイルドラッシュ産駒ながら、芝で圧巻のパフォーマンスを披露したのは、このあたりに理由を求めることができそうです。ワイルドラッシュ産駒だけに上限はありそうですが、2歳戦では楽しめそうな馬です。

2010年7月16日 (金)

サンデー、トニービンの血を持つ馬は消し?

直線コースで行われる唯一の重賞アイビスサマーダッシュは、過去9回、サンデーの血が入った馬が一度も連に絡んだことがありません。トニービンの血が入った馬も同様です。今年のメンバーのなかでサンデーまたはトニービンの血を持つ馬は以下のとおり。

4番ウエスタンビーナス
7番メリッサ
14番キルシュブリューテ
18番アスドゥクール

この血統データ(ジンクス)が通用するなら、上記4頭は無条件に切ることができます。

たとえば、イギリスのジュライC(芝6f)やナンソープS(芝5f)の勝ち馬と、エプソムダービー(芝12f10yds)の勝ち馬とでは、構成する血統内容がぜんぜん違います。同じサラブレッドの血統ではありますが、共通点がわずかしかありません。

短距離戦を得意とする馬は、速筋腺維の割合が高く、無酸素性エネルギーの産出能力に優れています。つまり、爆発的に筋肉を収縮させる運動を60~70秒持続させる能力に秀でています。香港から遠征してくる豪州産馬がそうであるように、この種の馬たちはたいてい筋肉量が豊富で馬格がガッチリしています。

一方、サンデーサイレンスやトニービンは、芝中距離でしなやかに瞬発力を繰り出して勝つのが持ち味であり、直線1000m戦でスタートからガツガツ行くようなキャラクターでありません。求められる能力がまったく違うのですから、このカテゴリーに食い込めないのも仕方のないところでしょう。

その点、アイビスサマーダッシュにおける Northern Dancer と Mr.Prospector の強さはさすがです。Northern Dancer の諸系統のなかでは、Nijinsky、Nureyev、Danzig、Storm Bird、ノーザンテーストが頑張っています。これらの血が入っている馬は要注意です。

あとはテスコボーイ、Never Bend、Blushing Groom あたり。血統ではありませんが外枠、牝馬といった定番の条件を重視し、体調を加味すれば、自ずと狙い馬が絞れてきそうです。

2010年7月15日 (木)

George Washington 唯一の産駒がデビュー勝ち

栄光と悲劇のジェットコースター、それが George Washington(父デインヒル)です。生涯の軌跡を簡単にたどると以下のようになります。

  G1を3勝した Grandera の半弟として誕生
    ↓
  英2000ギニーなどG1を4勝
    ↓
  種牡馬入り
    ↓
  受胎率が悪く現役復帰
    ↓
  レース中に骨折安楽死

4歳時にいったん種牡馬入りした際、数十頭の繁殖牝馬と交配し、受胎したのはたった1頭でした。そのときにできた Date With Destiny という牝駒が忘れ形見となりました。

この Date With Destiny はデキがよかったようで、先日、イギリスのニューベリー競馬場で見事デビュー戦を飾りました。血統的にはジェルミナル(フェアリーS)の叔母にあたります。George Washington は軽快なスピードタイプなので、重厚な Rainbow Quest が母の父に入るのは好感が持てます。
http://www.pedigreequery.com/date+with+destiny5

生涯に産駒をたった1頭しか残せなかった種牡馬というのは記憶にありません。2頭ならスズカシンプウがいます。同馬は父シーホーク、母ヒガシジョオー(67年の東京大賞典で南関東三冠馬ヒカルタカイを破って優勝)という良血で、現役時代に日経新春杯と小倉記念を制覇。種牡馬となったあと早世したため、たった2頭しか産駒がいませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1975102738/

しかし、そのうちの1頭カツノコバンは北関東公営で重賞を勝ちまくり、89年春に中央へ移籍。緒戦の阪神大賞典(G2)では11頭中10番人気ながら2着。次走の天皇賞・春(G1)は5番人気に推され有力馬の1頭と見なされたものの、道中で骨折して予後不良となりました。勝ったのは同じ公営出身のイナリワン。武豊騎手が騎乗して5馬身差の圧勝でした。このレースではカツノコバンの馬券を買っていたのでよく覚えています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984104143/

父スズカシンプウに騎乗したのも、息子のカツノコバンを管理したのも松田博資調教師。いつか師にインタビューする機会があれば、この親子について聞いてみたいものです。

2010年7月12日 (月)

ケイアイガーベラとサンデー系

プロキオンS(G3・ダ1400m)は牝馬のケイアイガーベラ(4番人気)がレコードで逃げ切り勝ち。ここまで強いとは……という感じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104463/

その父 Smarty Jones は米二冠馬(ケンタッキーダービー、プリークネスS)で、その父 Elusive Quality は現役時代に芝8ハロン=1分31秒6の世界レコード(当時)を樹立。種牡馬としても成功し、04年には北米リーディングサイアーに輝いています。
http://www.pedigreequery.com/elusive+quality

今年の米古馬戦線の雄 Quality Road(牡4歳)は Elusive Quality 産駒。いまや Zenyatta とて負かすのは楽ではない、と思わせる強豪に成長しました。
http://www.pedigreequery.com/quality+road

昨春、フロリダダービー(G1)を勝ってすでにG1ウィナーの仲間入りを果たしているものの、本格化したのは今年に入ってから。ハルズホープS(G3・ダ8f)→ドンH(G1・ダ9f)→メトロポリタンH(G1・ダ8f)と3連勝中です。とくにドンHは2着以下を12・3/4馬身ちぎり、1分47秒49というトラックレコードを樹立しました。
http://www.youtube.com/watch?v=pxfpmHO2_Hc

Elusive Quality は、数少ないサンデーサイレンス牝馬との交配から、2頭の活躍馬を送り出しています。その2頭、Devotee と Raihana は、いずれもUAEオークスを勝っています。ちなみに、前者が勝ったUAEオークスはナドアルシバ競馬場のダ1800m、後者が勝ったのはメイダン競馬場のAW1900m。同じレースですが行われた条件は異なります。両馬は「Elusive Quality×サンデーサイレンス」だけでなく、母系の奥に Danzig が入るところまで似ています。
http://www.pedigreequery.com/devotee9
http://www.pedigreequery.com/raihana

     ┌ Elusive Quality
Devotee ―┤ ┌ サンデーサイレンス
     └○┤ ┌ Danzig
       └○┘

     ┌ Elusive Quality
Raihana ―┤ ┌ サンデーサイレンス
     └○┤   ┌ Danzig
       │ ┌○┘
       └○┘

Elusive Quality とサンデーサイレンスを結びつけているのは、おそらく“Sir Ivor と Halo”でしょう。
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor
http://www.pedigreequery.com/halo

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Mahmoud
Sir Ivor ┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Pharamond
       └○┘

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ――┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Mahmoud
       └○┘

この2頭は血統構成が似ており、ニックスの関係にあります。有名なところではグッバイヘイローとジョリーズヘイローがふたつの血の組み合わせから誕生しました。ディープインパクトもこの組み合わせ(2×4)を持っています。
http://www.pedigreequery.com/goodbye+halo
http://www.pedigreequery.com/jolies+halo
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/

プロキオンSをレコード勝ちしたケイアイガーベラは、Elusive Quality 系で、母の父は Danzig。前出の Devotee と Raihana に配合構成がよく似ています。これにサンデーサイレンスが加われば完璧です。わが国の生産界には同系の優秀な種牡馬がよりどりみどりですから、繁殖牝馬としての将来も明るいと思います。

2010年7月11日 (日)

ジェッタ牝系とヒンドスタン

土曜福島11Rの松島特別(1000万下・芝2000m)は、7番人気のアサヒバロン(父テンビー)が差し切って勝ちました。同馬はアサヒライジング(クイーンS、アメリカンオークス-2着、秋華賞-2着、ヴィクトリアマイル-2着)の半弟です。

その母アサヒマーキュリーはあまりにも美しい反時代的配合なので惚れずにはいられません。父ミナガワマンナはシンザン産駒の菊花賞馬。母の父ボンモーはフランス産のウルトラステイヤー血統。これほど徹底した異系配合はきわめて珍しいですね。全兄アサヒジュピターはアルゼンチン共和国杯(G2)の3着馬でした。
http://premium.netkeiba.com/db/horse/ped/1991101226/

では、血脈の物珍しさだけで惚れたのかと問われれば、答えは「NO」です。この馬が属するジェッタ牝系は、ヒンドスタンと抜群の相性を示しています。

まず、“父ヒンドスタン、母ジェッタ”という直接交配から皐月賞馬ワイルドモアが誕生しました。そして、ジェッタの娘とヒンドスタンの息子(シンザン)との交配からアサヒダイオー(カブトヤマ記念)とアサヒテイオー(日経賞)の兄弟が生まれました。これらの姪にあたるのがアサヒマーキュリーで、その父ミナガワマンナはヒンドスタンの孫です。

  ジェッタ(f.1960.Nearula)
    ワイルドモア(c.1966.ヒンドスタン)
    アサヒタマナー(f.1968.タマナー)
      アサヒダイオー(c.1975.シンザン)
      タニワーデン(f.1978.ボンモー)
      │ アサヒジュピター(c.1990.ミナガワマンナ)
      │ アサヒマーキュリー(f.1991.ミナガワマンナ)
      │   アサヒライジング(f.2003.ロイヤルタッチ)
      │   アサヒバロン(c.2004.テンビー)
      アサヒテイオー(c.1979.シンザン)
      アサヒエンペラー(c.1983.コインドシルバー)

ジェッタの牝系には、代々、ヒンドスタン→シンザン→ミナガワマンナという親子孫が交配され、それぞれ一流馬を送り出しています。ジェッタとヒンドスタンの相性のよさは、おそらくジェッタの母 Jet Plane と、ヒンドスタンの母 Sonibai がよく似た血統構成だからでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sonibai
http://www.pedigreequery.com/jet+plane

       ┌ Solario
Sonibai ―――┤ ┌ Blandford
       └○┤
         └ Uganda

         ┌ Blandford
       ┌○┤
Jet Plane ――┤ └ Uganda
       └○┐ ┌ Solario
         └○┘

代が下っても効果が維持されたのですから、両者の結びつきは強固です。一流馬がつねに一流血統から生まれるわけではありません。たとえ主流とは無縁の血統であっても、意匠を凝らした配合には、しばしば勝利の女神が微笑むのです。この一族の活躍ぶりはそれを証明しています。

非主流血脈を極限まで蓄えた上で、Sonibai≒Jet Plane という相似な血のクロスを施し、そこへ「サンデーサイレンス系×Northern Dancer 系」という主流血脈(ロイヤルタッチ)をぶつけて誕生したのがアサヒライジングです。昨今、非主流のドイツ血統が欧米の主流血統と掛け合わされて次々とハイクラスな馬を誕生させていますが、基本的にはそれと同じパターンと考えていいでしょう。

2010年7月 9日 (金)

マンハッタンカフェ整理整頓(5)

■母が Northern Dancer を複数持つ(4代以内)

Northern Dancer は依然として世界のメインストリームを形成する血です。したがって、「母が4代以内に Northern Dancer を複数持つ」ということは、“マンハッタンカフェは主流血統と相性がいい”という前回までの説明とリンクします。

レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ゲシュタルト、ガルボ、ヒルノダムール、ココナッツパンチがこのパターンにあてはまります。レッドディザイアは母が Northern Dancer 3×3です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

Northern Dancer 系は世界のあらゆる馬場に適応しています。芝でもダートでもオールウェザーでもお構いなし。この系統の美点はたくさんありますが、なかでも“筋力の強さ”はその最大のものではないでしょうか。これがベースとなってさまざまな系統が発展しています。

現役時代のマンハッタンカフェはヨーロッパの香り漂うステイヤーでした。体の線が綺麗で動きが柔らかく、切れ味勝負に強い反面、非力なところが見られました。こうした特徴は産駒にも伝わっているように思います。母方の Northern Dancer クロスによって筋肉を増強することは、産駒のパワー不足を補う上で有効です。マンハッタンカフェが基本的にアメリカ血統と好相性を示しているのは、こうした部分にも理由があるような気がします。アメリカ馬は一般的に、ガッチリとした馬格、豊富な筋肉を備えておりパワーがあります。

ヒルノダムールとガルボは配合構成がよく似ています。ヒルノダムールは、母シェアエレガンスが Nijinsky≒The Minstrel 2×3。ガルボは、母ヤマトダマシイが Nijinsky≒Far North 3×3。Far North と The Minstrel は全きょうだいなので構造はよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101163/

両者ともこのような硬質な4分の3同血クロスを持つ上に、前者の母の父はラムタラ、後者の母の父はジェネラスと、これまた柔軟性に欠ける硬い血です。

マンハッタンカフェは、自身が柔らかすぎるので、交配相手の牝馬がこれぐらい硬くても問題ありません。むしろ、そのほうがいいような気がします。硬めのアメリカ血統が入らない産駒は、フニャフニャで頼りなく、大物感がありません。

2010年7月 8日 (木)

マンハッタンカフェ整理整頓(4)

■Northern Dancer(Nijinsky 以外)+Mr.Prospector

昨日のエントリーにこう記しました。

「“非主流血脈で構成されていること”はマンハッタンカフェの大きなアドバンテージです。傍流の血だけですでに高い能力を獲得しているわけですから、そこに主流血脈の活力を新たに上積みできるのは有利です。」

マンハッタンカフェ産駒は、“主流血脈を入れる”というごく単純な配合でもある程度うまくいきます。欧米豪で最も活発に枝葉を延ばしているサイアーラインは Northern Dancer と Mr.Prospector の両系。このふたつの血を同時に入れるのは効果的です。

Northern Dancer 系のなかでは Nijinsky との相性が良好。これは昨日「Nijinsky+Mr.Prospector」の項でご説明したとおりです。もちろん、それ以外の血がダメというわけではなく、ゲシュタルト、ハンソデバンド、メイショウクオリア、アントニオバローズ、ダイワバーバリアンといった馬たちは、非 Nijinsky の Northern Dancer と Mr.Prospector の組み合わせから誕生しています。

ゲシュタルト、ハンソデバンドは昨年の「栗山ノート」で推した馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102537/

アントニオバローズ、ダイワバーバリアンはいずれも母の父が Kingmambo。この血は「Mr.Prospector×Nureyev(その父 Northern Dancer)」なのでセオリーに合致しており、しかも母は名牝 Miesque。こういうベタな良血は合います。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」は今後も要チェックでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104938/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100562/

■Sadler's Wells

レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ゲシュタルトが当てはまります。G1馬が2頭に、G2馬が1頭ですから、他のパターンよりも大物感があるといえるでしょう。Sadler's Wells の底力が影響しているのだと思います。

マンハッタンカフェの2代母 Santa Luciana はドイツ血統です。ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては、4月30日のエントリー「ドイツ血統と Sadler's Wells」で指摘しておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

ただ、Sadler's Wells は軽快なタイプではないので、この血が大きな顔で主張している配合は褒めづらいですね。レッドディザイアとジョーカプチーノは Caerleon を併せ持ち、後者にはさらにトウショウボーイとフォルティノが入ります。ゲシュタルトは Mr.Prospector 系のエンドスウィープを持ちます。素軽い血を主役に立てて、Sadler's Wells がサポートする……といった構造が理想です。この3頭のなかで Sadler's Wells を母の父に直接持つものは1頭もいません。いずれも3~4代目です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100529/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/

続きは明日。

2010年7月 7日 (水)

マンハッタンカフェ整理整頓(3)

マンハッタンカフェの母サトルチェンジは、現役時代にイギリスとアイルランドで走り、3歳春にオークストライアルS(英LR・11f106yds)で3着となりました。芝向きの中距離タイプです。

ビワハイジの叔母に当たる良血で、世界的にひとつの潮流を成しているドイツ牝系に属しています。父は Ribot 系の Law Society。Northern Dancer や Mr.Prospector といった主流血脈は含まれていません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000334/

“非主流血脈で構成されていること”はマンハッタンカフェの大きなアドバンテージです。傍流の血だけですでに高い能力を獲得しているわけですから、そこに主流血脈の活力を新たに上積みできるのは有利です。

■Caerleon

前出のビワハイジは、現役時代に阪神3歳牝馬S(G1)など3つの重賞を制した名牝で、繁殖牝馬としてもブエナビスタ、アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラといった活躍馬を送り出しています。

ビワハイジはマンハッタンカフェの“いとこ”にあたります。この偉大な名牝が Caerleon を父に持つことは記憶に留めておくべきでしょう。マンハッタンカフェが Caerleon と抜群の相性を示していることは偶然とは思えません。

たとえば、ブエナビスタとレッドディザイアは配合構成がそっくりです。3代以内にサンデーサイレンス、Caerleon、Santa Luciana が共通しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ブエナビスタ ―――┤ ┌ Caerleon
          └○┤
            └○┐
              └ Santa Luciana

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
レッドディザイア ―┤ └○┐
          │   └ Santa Luciana
          │ ┌ Caerleon
          └○┘

ジョーカプチーノ、ガルボ、マッハヴェロシティ、レッドアゲートなどがこのパターンに当てはまります。レッドアゲートは母の父がスキャンで、その母が Caerleon の全妹です。

■Nijinsky+Mr.Prospector

マンハッタンカフェと Nijinsky は基本的に相性が良好です。ただ、母方に Nijinsky があれば無条件に走るわけではなく、2つのパターンに分類できます。

A)Caerleon(その父 Nijinsky)を持つもの
B)Mr.Prospector を併せ持つもの

Aパターンについては上で説明したとおりです。Bパターンからは、イコピコ、サンディエゴシチー、マンハッタンスカイ、レッドアゲート、メイショウレガーロなどが出ています(レッドアゲートはAB両パターンに該当)。重賞ではまだ連対がありませんがエーシンモアオバーなどもそうです。

欲をいえばヨーロッパのスタミナ血統を同時に入れたいところです。Mr.Prospector と Nijinsky を直接組み合わせると、ジェイドロバリーやスキャンといった軽いスピードタイプが出来上がります。要するにこういう血を母方に入れるわけですから重みが足りません。イコピコはトニービン、マンハッタンスカイは Ribot 系の Go for Gin、レッドアゲートはシーホーク、メイショウレガーロは Ribot 系の Hoist the Flag を5×5で持っています。重厚な血をワンポイントでも入れておかないと重賞クラスまでなかなか上がってこれません。

続きは明日。

2010年7月 6日 (火)

マンハッタンカフェ整理整頓(2)

JBISのサイトに掲載されているサイアーランキングが7月4日(日)分までの更新されました。それを見ると、マンハッタンカフェは5位から4位に上昇。先週の固め打ちが功を奏しました。3位クロフネは寒冷期型の種牡馬(ダートが主戦場)なので、夏はそれほど伸びません。これから差が縮まってくるでしょう。
http://www.jbis.or.jp/ranking/result/?rid=1&y1=2010&kei=1&kbn=1&tord=1&hirasyou=1&rank=100&item=20

■Blushing Groom

最も初期に発見されたニックスです。ココナッツパンチ(目黒記念2着、弥生賞2着)とメイショウレガーロ(京成杯2着)がともに Blushing Groom を持っていたことをヒントに、札幌2歳Sの予想でオリエンタルロックを本命にして的中した記憶があります。07年のことですからすでに3年経っています。その間、安定して活躍馬を送り出し、いまや定番のニックスとなっています。

昨年の「栗山ノート」で推したサンディエゴシチー(札幌2歳S)もこのパターンでした。メイショウクオリア(京都新聞杯)とほとんど配合構成が同じというか、そのまんまですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106723/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005106283/

           ┌ マンハッタンカフェ
サンディエゴシチー ―┤ ┌ Rahy(その父 Blushing Groom)
           └○┤ ┌ Mr.Prospector
             └○┘

           ┌ マンハッタンカフェ
メイショウクオリア ―┤ ┌ Rahy(その父 Blushing Groom)
           └○┤ ┌ Mr.Prospector
             └○┘

マンハッタンカフェ産駒を取るコツはあまりひねらずにベタに選ぶこと。そういう馬が素直に走るのがマンハッタンカフェのいいところです。主要種牡馬のなかではいちばん分かりやすいタイプでしょう。

「マンハッタンカフェ+Blushing Groom」で重賞に連対した7頭のうち、Mr.Prospector を持つものが4頭、Nijinsky を持つものが3頭。後で説明しますが、Mr.Prospector も Nijinsky もマンハッタンカフェと相性抜群です。こうした血が入るとさらに効果的だと思います。

全体的にみると、やや成長力に欠ける馬が多いような印象も受けます。アメリカ血統が素軽さを保証する反面、早熟なところが出てしまうという副作用もあるのでしょう。ただ、ヒルノダムールのように重厚感のある血で構成された馬はちょっと違います。3歳秋以降も期待できるのではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/

続きは明日。

2010年7月 5日 (月)

マンハッタンカフェ整理整頓(1)

先週はマンハッタンカフェ産駒が大活躍。アロマカフェのラジオNIKKEI賞、マイネルキーロフの五稜郭Sを含めて5勝しました。リーディングサイアーに輝いた昨年に比べて、今年前半はもうひとつ活気がなく、6月末時点で第5位。ランキング首位のキングカメハメハに6億円近い差をつけられています。あと半年でこれを逆転するのは難しいでしょう。ただ、2位以下は団子状態なので、この争いには勝てそうな雰囲気が出てきました。

マンハッタンカフェがどのような血を持つ繁殖牝馬と好結果を残しているのか、セレクトセールも間近に迫っているので、あらめて整理整頓したいと思います。

対象は重賞連対馬です。複数のパターンに合致する馬は名前が重複しています。

■Blushing Groom
ベストメンバー
メイショウクオリア
ヒルノダムール
サンディエゴシチー
オリエンタルロック
ココナッツパンチ
メイショウレガーロ

■Caerleon
レッドディザイア
ジョーカプチーノ
ガルボ
マッハヴェロシティ
レッドアゲート(Caerleon の全妹の血を持つ)

■Nijinsky+Mr.Prospector
イコピコ
サンディエゴシチー
マンハッタンスカイ
レッドアゲート
メイショウレガーロ

■Northern Dancer(Nijinsky 以外)+Mr.Prospector
ゲシュタルト
ハンソデバンド
メイショウクオリア
アントニオバローズ
ダイワバーバリアン

■Sadler's Wells
レッドディザイア
ジョーカプチーノ
ゲシュタルト

■母が Northern Dancer を複数持つ(4代以内)
レッドディザイア
ジョーカプチーノ
ゲシュタルト
ガルボ
ヒルノダムール
ココナッツパンチ

■その他
アーバニティ
セラフィックロンプ
ヒカルオオゾラ
アロマカフェ

表を作ったら思ったよりも長大になってしまったので、個々の説明は明日以降のエントリーに回したいと思います。

2010年7月 1日 (木)

Anabaa+Blushing Groom+Lyphard

6月27日にフランスで行われたサンクルー大賞典(G1・芝2400m)は、4歳牝馬の Plumania(父 Anabaa)が早めに抜け出して後続の追撃をギリギリ抑えました。2着は善戦マン Youmzain。
http://www.youtube.com/watch?v=qn0kVDGd_Z8

かつて同僚だった Kuwa さんのブログ(5月24日のエントリーでも紹介しました)のコメント欄に、2週間ほど前、女傑 Goldikova(父 Anabaa)の配合についてちょっとだけ書き込みをしました。
http://blog.goo.ne.jp/boldirish/e/e478311715efc0fd0e5e4351d5a7f0af#comment-list

Goldikova はフランスの5歳牝馬で、ブリーダーズCマイル(米G1)2連覇、現在G1を3連勝中(計9勝)という世界最強マイラーです。書き込みの一部を抜き出してみます。

「Anabaa 産駒は、Rouvres(ジャンプラ賞-仏G1)とか Marshall(ギシュ賞-仏G3)とか、母の父にグルームダンサーを持つ配合がわりと成功しているのですが、Born Gold(注:Goldikova の母)はグルームダンサーと同じ「Blushing Groom×Lyphard」という組み合わせ」

つまり、Anabaa 産駒は、母の父にグルームダンサーを持つ配合が成功しており、Goldikova の母はグルームダンサーと同じ「Blushing Groom×Lyphard」ということです。

Rouvres(ジャンプラ賞-仏G1)
http://www.pedigreequery.com/rouvres
Marshall(ギシュ賞-仏G3)
http://www.pedigreequery.com/marshall3
Goldikova(世界最強マイラー)
http://www.pedigreequery.com/goldikova

      ┌ Anabaa
Rouvres ――┤   ┌ Blushing Groom
      │ ┌○┤ ┌ Lyphard
      └○┘ └○┘

      ┌ Anabaa
Marshall ―┤   ┌ Blushing Groom
      │ ┌○┤ ┌ Lyphard
      └○┘ └○┘

      ┌ Anabaa
Goldikova ―┤ ┌ Blushing Groom
      └○┤ ┌ Lyphard
        └○┘

このように「Anabaa+Blushing Groom+Lyphard」のトライアングルは大成功しています。

そして、今年のサンクルー大賞典を勝った Plumania は、またしてもこれらとよく似た配合パターン。母 Featherquest はグルームダンサーと4分の3同血であり、Blushing Groom と Lyphard を併せ持っています。
http://www.pedigreequery.com/plumania

      ┌ Anabaa
Plumania ―┤   ┌ Blushing Groom
      │ ┌○┘
      └○┤ ┌ Lyphard
        └○┘

http://www.pedigreequery.com/groom+dancer
http://www.pedigreequery.com/featherquest

         ┌ Blushing Groom
グルームダンサー ┤
         └ Featherhill

           ┌ Blushing Groom
         ┌○┘
Featherquest ――┤
         └ Featherhill

牝馬がサンクルー大賞典を勝ったのは06年の Pride 以来4年ぶり。過去20年間で3頭目です(もう1頭は User Friendly)。

Pride は、ディープインパクトが出走した凱旋門賞(G1)で2着となった強豪で、ほかに英チャンピオンS(G1)、香港C(G1)などを勝っています。User Friendly は、英・愛オークス(いずれもG1)に英セントレジャー(G1)を勝ち、凱旋門賞(G1)でも2着となっています。つまり、サンクルー大賞典を勝つ牝馬は、凱旋門賞で勝ち負けになるレベルにあるといえます。

Plumania はまだそこまでの器とは思えませんが、凱旋門賞へ向けてのレースぶりはチェックしたいところです。

2010年6月29日 (火)

ディープ産駒土日連勝

日曜福島5Rの新馬戦(芝1800m)をヒラボクインパクト(1番人気~)が勝ち、ディープインパクト産駒が土日連勝しました。『web競馬王』の予想コメントは以下のとおり。

「◎ヒラボクインパクトは『ディープインパクト×メジロライアン』という組み合わせ。母ドリームカムカムはシルクロードS(G3)5着などの成績を持つスプリンターだった。ハイペリカム≒オリオール6×6はおもしろい。父ディープインパクトが持つアドミラルドレーク≒ローマン6×5という相似な血のクロスを、本馬は母方にアドミラルドレークを持つことで継続している。なかなかよくできた配合だ。“母の父メジロライアン”は福島コースを得意としている。この点も心強い。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100579/

管理する国枝栄調教師は、「ディープインパクト産駒は造りが軽くて、真面目で手がかかりません」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。

配合的に手探り状態の今年は、鈍重さが表れることへの警戒心から、あまり重厚すぎる配合は推奨しませんでした。デビューした産駒を見ると思ったよりも軽く出ている感があります。これまでのサンデー系種牡馬でいえばアグネスタキオンに近いイメージでしょうか。ヨーロッパの本格的なスタミナを入れた配合馬がどんな感じに仕上がるのか、ちょっと楽しみになってきました。

7月12、13日にノーザンホースパークで行われる「セレクトセール2010」で、ディープインパクト産駒はこれまでの三割増しぐらいの価格がつくかも……?

2010年6月27日 (日)

宝塚記念はステイゴールド産駒の2連覇

大一番の一発といえば Ribot 系ですが、母が持つ His Majesty 2×4の威力でしょうか。8番人気のナカヤマフェスタが差し切って優勝しました。父ステイゴールドは昨年のドリームジャーニーに続いての連覇です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102424/

道中のラップが締まると距離適性がはっきりと出ます。たとえば、長距離戦でラップが締まれば中距離馬は苦しくなりますし、中距離戦でラップが締まれば長距離馬は苦しくなります。今回は後者だったので、中距離適性の高い馬が上位を独占した形です。そして、雨の影響が残る馬場だったので、パワーの有無も問われました。ナカヤマフェスタはこうした条件にフィットするタイプだったのでしょう。母は Ribot 系の強いクロスを持ち、さらにデインヒルが入ります。高速馬場よりは多少渋ったほうがいいタイプです。

柴田善臣騎手は近畿圏で初のG1制覇。2着は過去5回(京都4回、阪神1回)ありました。阪神競馬場での連対は89年の桜花賞(ホクトビーナス-2着)以来21年ぶりです。

馬券は完敗。4歳牡馬は割り引いて考えていたので印を打てませんでした。もっと馬場が悪化すると読んでいたのでブエナビスタ(1番人気)も△どまり。◎を打ったジャガーメイル(2番人気)は8着。もう少し距離があったほうがいいのかもしれませんが、それにしても走りませんでした。

2010年6月26日 (土)

ディープインパクト産駒初勝利

土曜福島5Rでサイレントソニック(牝2歳)が勝ち上がりました。2歳の早い時期の短距離戦は、ディープインパクト産駒にとってそれほど向いている条件とは思えなかったのですが、見事な勝利でした。

母ムーンライトガーデンズはアメリカ血統で構成され、Mr.Prospector=Search for Gold 4×3・4というスピード配合。そして父が持つ Halo≒Sir Ivor 2×4を、母方の Halo によって継続し、自身は3・5×5という形で持っています。セオリーを踏んだ配合で悪くありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100343/

先日の競馬王公開ドラフトで、美野真一さんが「ディープインパクトは母系を出し過ぎる」と語っていました。馬産地を回って同産駒をじっくり観察された上でのコメントだけに説得力があります。

ディープインパクトのイメージに引きずられ、印を▲にとどめてしまったのは失敗でした。美野説を思い出してもう少し母方の特長を重視すべきでしたね。今後の予想に活かしたいと思います。

2010年6月25日 (金)

安田隆行厩舎のホーマン2騎

今週の新馬戦で注目してみたいのは、安田隆行厩舎のホーマン2騎、ホーマンフリップとホーマンルッツです。馬主、厩舎が同じだけでなく、父がフジキセキであること、母方に Deputy Minister を持っていることまで共通しています。前者は阪神土曜4Rの芝1400m、後者は阪神日曜4Rのダ1200mに出走予定です。

ホーマンフリップはアニメイトバイオ(阪神ジュベナイルフィリーズ-2着)の半妹にあたる良血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103375/

稽古で素晴らしい動きを見せていた評判馬で、どこのドラフトでも上位で消えた馬だろう思います。6月11日のエントリー「母の父フレンチデピュティ」でもチラッと触れました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-c558.html

この配合パターンは好成績を残しており、今後とも注目していきたいところです。母レーゲンボーゲンは名繁殖牝馬と呼んで差し支えないでしょう。現1歳はアニメイトバイオの全弟。これも楽しみですね。

一方のホーマンルッツは、ダート王カネヒキリと血統構成がよく似ています。父がフジキセキで、母の父が Deputy Minister 系、2代母の父が Mr.Prospector 系。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106421/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100978/

         ┌ フジキセキ
ホーマンルッツ ―┤   ┌ Deputy Minister
         │ ┌○┘ ┌ Mr.Prospector
         └○┤ ┌○┘
           └○┘

         ┌ フジキセキ
カネヒキリ ―――┤ ┌ Deputy Minister
         └○┤ ┌ Mr.Prospector
           └○┘

同じく母方に Deputy Minister を持つ前出のホーマンフリップは、芝をこなすフレンチデピュティを母の父に持つので、芝適性への懸念はとくにありません。

ホーマンルッツの場合はダート向きのデヒアです。じつは「フジキセキ×デヒア」からデグラーティア(小倉2歳S)が誕生しており、一概に芝がダメとは言い切れませんが、ダートの新馬戦で下ろしたということはやはりフットワークがダート向きなのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109086/

2010年6月24日 (木)

シャダイソフィア再降臨?

ここ数年、JRAレーシングビュアーを愛用しています。これがないと予想ができません。02年以降のJRA全レース、04年以降のダートグレード競走、84年以降のG1レース、重賞出走馬や2歳馬の追い切り映像に加え、レース開催日には各レース終了後3分ほどで映像がアップロードされます。海外でも日本にいるときと同じように視聴可能。これほど利便性の高い競馬映像サイトが月々525円で利用できるのですから素晴らしいの一語です。
http://prc.jp/jraracingviewer/index.html

今週は宝塚記念なので、宝塚記念の過去映像を眺めていました。84年、85年と、私が大好きだったグローバルダイナ(父ノーザンテースト)が頑張っています。84年は10番人気で3着。85年は7番人気で5着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101955/

ステートジャガー事件によって記憶される85年のレースは、リアルタイムでたった一度観たきりでした。最後の直線でグローバルダイナが先頭に立ったシーンを25年ぶりに目にした瞬間、当時の高揚感、友達と交わした会話、場所(後楽園場外でした)まで、芋づる式に甦ってきました。プルーストの『失われた時を求めて』ではありませんが、記憶というのは不思議なものです。
http://ahonoora.web.fc2.com/takaraduka_1985.html

話は脱線しますが、80年生まれはノーザンテースト牝馬が豊作でした。前出のグローバルダイナ(阪神牝馬特別、小倉大賞典、北九州記念)のほか、シャダイソフィア(桜花賞)、ダイナカール(オークス)、ダイナマイン(新潟記念、牝馬東タイ杯)、シャダイチャッター(小倉記念)と、クラシック馬2頭を含む5頭の重賞勝ち馬が出ました。現在と違って当時はトップクラスの種牡馬でも1世代に50~60頭の産駒しかいなかったので、活躍の“濃度”はかなりのもの。ノーザンテーストは当時の生産界にあって完全に別格の存在でしたね。

このうちダイナカールは、年度代表馬エアグルーヴの母となりました。そして、アドマイヤグルーヴ、オレハマッテルゼ、エガオヲミセテ、フォゲッタブル、ウォータクティクス、フラムドパシオン、ルーラーシップなど、多くの活躍馬の牝祖となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101983/

シャダイチャッターは、プレミアムボックス、ワンモアチャッター、アリゼオ、そして今週の宝塚記念に出走するスマートギアなどを子孫から送り出しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105204/

グローバルダイナの子孫から出た重賞勝ち馬はいまのところプリサイスマシーンだけ。今後の発展に期待です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999106907/

桜花賞馬シャダイソフィアには子孫がいません。5歳秋のスワンS(G2)で故障し、予後不良となったからです。母ルーラースミストレスは馬主の吉田善哉氏が自らアメリカのセリで購買した馬だったので、愛着はひとしおだったようです。

「毎年多くの馬を生産し、事故はよく起きるが、そのつど深刻に考えていては身が持ちません。ただ、あれ以来、目をかけた馬が走ると競馬を見ていてレースが怖くなることがありますね。シャダイソフィアぐらい、きれいで品のいいサラブレッドはまれです。私が育てた数ある牝馬の中で最も血統のいい、気に入った馬でした。今思い出しても惜しい馬を失ったものです」(『優駿』86年12月号)

同期のオークス馬ダイナカールがあれだけの大牝系を築いたことを考えれば、シャダイソフィアが無事だったら……と思わずにはいられません。ルーラースミストレスの牝系は、その唯一の牝駒であるシャダイソフィアの死によって断絶しました。

しかし、それから3年後の88年11月、吉田善哉氏とその息子照哉氏は、アメリカでアンティックヴァリューという名の牝馬を購買しました。2代母 Brazen はルーラースミストレスと4分の3同血の関係にあり、アンティックヴァリュー自身はシャダイソフィアと配合がそっくりです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000038/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980102040/

             ┌ Northern Dancer
アンティックヴァリュー ―┤
             └○┐ ┌ Bold Ruler
               └○┤
                 └ Amoret

               ┌ Northern Dancer
             ┌○┘
シャダイソフィア ――――┤ ┌ Bold Ruler
             └○┤
               └○┐
                 └ Amoret

アンティックヴァリューはシャダイソフィアだ、亡きシャダイソフィアを買い求めたのだ、と直感しました。

やがてアンティックヴァリューは二冠牝馬ベガの母となり、ベガはダービー馬アドマイヤベガの母となりました。亡きシャダイソフィアは、アンティックヴァリューの姿を借りて、再びこの世に降臨したのです。

……と書けば、ちょっとええ話やなぁ、となるわけですが、ベガが二冠を達成した直後、吉田照哉氏はインタビューにこう答えました。

「アンティックヴァリューの血統表を見たとき、すぐにソフィアの近親だなって気付いたけど、だから買ったというわけじゃない。いちいち1頭の血統にこだわってるヒマはありませんから」(『優駿』93年8月号)

これを読んだ瞬間、椅子からずり落ちそうになりました。まったく身も蓋もありません。外野が勝手に物語を紡いでも、それは想像の産物でしかなく、現実はたいていこんなところなのでしょう。

2010年6月23日 (水)

アローフィールドとスニッツェル

オーストラリアのアローフィールドスタッドのサイトを見ていたら、ニュース欄に「Snitzel two-for-two in Japan」という記事があるのを発見しました。スニッツェル産駒が日本で2戦2勝、という意味です。先週、函館の新馬戦で産駒が勝ち上がったスニッツェルは、現在、アローフィールドスタッドに繋養されています。
http://www.arrowfield.com.au/

同スタッドは、社台スタリオンステーションの種牡馬がオーストラリアへシャトル種牡馬として渡ったとき、その受け入れ先となった牧場です。フジキセキやクロフネやフレンチデピュティなどはここで供用されました。

現在は10頭の種牡馬が繋養されており、種付料が公表されている9頭のうち、スニッツェルは上から数えて6番目の価格(2万7500ドル=約220万円)。アローフィールドに繋養されているぐらいですから上級種牡馬であることは間違いありませんが、超一流という扱いではありません。スニッツェルの父 Redoute's Choice はなんと17万6000ドル(約1400万円)。1頭だけ段違いの価格です。

Redoute's Choice は、05/06年にデインヒルの7連覇を阻んでオーストラリアのリーディングサイアーに輝きました。デインヒルの息子なので、日本でいえばサンデーサイレンスに代わってアグネスタキオンがリーディングサイアーになったようなものです。
http://www.pedigreequery.com/redoutes+choice

その後は、3位→10位→2位と来て、09/10シーズンは現時点で2位。高額賞金レースはもう組まれていないので、おそらくこのままの順位でフィニッシュするでしょう。特長はなんといってもスピード。オーストラリアは世界一の芝短距離王国で、2歳戦も盛んです。こうした路線で好成績を挙げる種牡馬が好まれる傾向にあります。Redoute's Choice はまさにそうしたタイプの種牡馬といえます。

スニッツェルは、09/10シーズンの2歳種牡馬ランキングで現在4位。新種牡馬ランキングでは2位。計27頭が出走して8頭が勝ち上がっています。出世頭の Chance Bye はシルヴァースリッパーS(豪G2)を勝ちました。なかなか優秀な成績なので、種付料は今後さらに上がっていきそうです。
http://www.pedigreequery.com/chance+bye

09/10シーズンの豪種牡馬ランキング上位10頭は以下のとおり(6月20日現在)。

1位 Encosta de Lago(AUS)1993 by Fairy King
2位 Redoute's Choice(AUS)1996 by デインヒル
3位 Street Cry(IRE)1998 by Machiavellian
4位 Lonhro(AUS)1996 by Octagonal
5位 Testa Rossa(AUS)1996 by ペルジノ
6位 コマンズ(AUS)1996 by デインヒル
7位 More Than Ready(USA)1997 by サザンヘイロー
8位 Fastnet Rock(AUS)2001 by デインヒル
9位 Zabeel(NZ)1986 by Sir Tristram
10位 High Chaparral(IRE)1999 by Sadler's Wells

このうち、アローフィールドに繋養されているのは Redoute's Choice のみ。残り9頭の繋養先は以下のとおりです。

クールモア:3頭……Encosta de Lago、Fastnet Rock、High Chaparral
ダーレー:3頭……Street Cry、Lonhro、コマンズ
ヴァイナリー:2頭……Testa Rossa、More Than Ready
ケンブリッジ(NZ):1頭……Zabeel

かつてデインヒルやラストタイクーンを擁して栄華を誇ったアローフィールドも、クールモアやダーレーの勢いにやや押され気味といったところです。Redoute's Choice が健在なうちにもう1、2本、柱を育てたいところでしょう。スニッツェルにはその期待がかかります。

2010年6月22日 (火)

金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇

昨年10月の金沢転入初戦からこれで11連勝。2着に7馬身の大差をつけました。まだ伸び盛りの4歳馬。これから交流重賞にも顔を出してくる大器でしょう。

JRA在籍当時は、疝痛や骨折に見舞われるなど体質が弱く、3歳夏にデビューに漕ぎ着けたものの2戦連続で大敗。見切りを付けられ金沢に移籍しました。

ただ、血統的には素晴らしく、父はジャングルポケット、母サトルスマイルはマンハッタンカフェの半妹です。あれ? と思った方は鋭いですね。そうです、アプリコットフィズと配合構成がほとんど同じです。父が同じで、母同士が4分の3同血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102942/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

           ┌ ジャングルポケット
ジャングルスマイル ―┤   ┌ サンデーサイレンス
           │ ┌○┘
           └○┤
             └ サトルチェンジ

           ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

ジャングルスマイルの母の父はバブルガムフェロー。この部分がパワーの裏付けとなっています。ジャングルポケットとサンデーサイレンスの組み合わせはニックスと呼んで差し支えないと思いますが、残りの部分にサトルチェンジを持ってくる配合は要注目です。もちろん、いずれ現れるであろう「ジャングルポケット×マンハッタンカフェ」も……。

2010年6月21日 (月)

サンデーの曾孫世代で初の重賞制覇――ブライティアパルス

マーメイドSは、開幕週独特の前が止まらない競馬となり、行った行ったの決着。▲ブライティアパルス(3番人気)が念願の初重賞制覇を達成しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005104040/

じつはこれがサンデーサイレンスの曾孫世代としては初めての重賞制覇。血の流れを図にすると以下のようになります。

SS→フジキセキ→ダイタクリーヴァ→ブライティアパルス

父ダイタクリーヴァは現役時代、G1勝ちこそないものの、1600~2000mのG2、G3を5勝しました。ダイタクバートラム(重賞3勝)の半兄でもあり血統的な筋は通っています。

地味ながら種牡馬成績は優秀で、ブライティアパルスのほか、ルールプロスパー(現OP)、ベルウッドローツェ(ダイヤモンドS-2着)、それに地方競馬で重賞を勝ちまくっているエレーヌ(東海ダービーほか)などの活躍馬がいます。産駒数の少なさや繁殖牝馬の質を考慮すれば際だった成績といえるでしょう。

母スプリングネヴァーは、アンジェリカ≒ネヴァーイチバン2×1とも表現できます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1992108661/

          ┌ ネヴァービート
アンジェリカ ―――┤
          └○┐ ┌ ハロウェー
            └○┘

          ┌ ネヴァービート
ネヴァーイチバン ―┤ ┌ ハロウェー
          └○┘

6月12日のエントリー「強い牝馬クロス+Ribot 系」で以下のように述べました。

「名牝の強いクロスを母方に持つ、というパターンは、名種牡馬によく見られます。Seattle Slew、その息子 A.P.Indy、古くは Hyperion などもそうですね(Seattle Slew は全きょうだいクロス)。」

“アンジェリカ≒ネヴァーイチバン2×1”を「名牝の強いクロス」と見立てれば、種牡馬ダイタクリーヴァの高い能力にも合点がいきます。06年以降、5年連続で産駒数は一桁。ぜひ見直すべき種牡馬ではないでしょうか。

マーメイドSで本命に推した◎ニシノブルームーン(1番人気)は4着。今回は位置取りがすべてです。進出すべき勝負どころで馬群に包まれ、逆に先頭から離されてしまいました。これで次走人気が落ちるなら狙い目でしょう。馬券は外れてしまいましたが、2着セラフィックロンプ(14番人気)に△を打ったのは自分のなかでは小さな勝利です。

2010年6月20日 (日)

日曜阪神4R新馬戦、アヴェンチュラ圧勝

ディープインパクト産駒の一番星として期待を集めた◎シュプリームギフト。幅のないコンパクトな馬体に、スタートの出遅れ。父親そっくりで感慨深いものがあります。残念ながら3着と敗れましたが、初戦としてはまずまずでしょう。今週の阪神は芝足が長く、力のいる粘っこい馬場だったので、捌きが軽くやや非力な印象のあるシュプリームギフトにとって向いている馬場とはいえなかったような気がします。

ディープインパクトは小柄な馬だったので、馬体の逞しさ(≒パワー)を補うことは配合を考える上でひとつのポイントでしょう。総じてアメリカ血統はパワーがあり馬体を大きく出すため、掛け合わせる血として悪くないと思います。シュプリームギフトの場合、母方にアメリカ血統が色濃く流れているのですが、馬体の逞しさを増すという効果においてはイマイチだったようです。阪神よりは京都向きでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103205/

勝った○アヴェンチュラは、フサイチホウオー、トールポピーの全妹にあたるおなじみの血統。パドック映像では、シュプリームギフトとは対照的なその力強い馬体に目が釘付けになりました。育成時代からトップクラスの評価を得ていた馬で、ダイナミックなフットワークで外からマクリ切ったのですからここではモノが違いました。前述のような力のいる粘っこい馬場だったこともプラスに働いたように思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103078/

全兄フサイチホウオーは、06~07年の『赤本』で全体の1位に指名した思い出深い馬です。新種牡馬の子は基本的にあまり取らないようにしているのですが(父ジャングルポケットはこの年の新種牡馬でした)、フサイチホウオーはあまりにも配合が素晴らしかったので、禁を破って1位に指名しました。翌年にトールポピー、そして2年置いてアヴェンチュラが出たことは驚くにあたりません。それぐらいの名配合です。Hornbeam≒Sunset 4×5が底力の源泉です。
http://www.pedigreequery.com/hornbeam
http://www.pedigreequery.com/sunset3

      ┌ Hyperion
Hornbeam ―┤
      └○┐ ┌ Bois Roussel
        └○┤
          └ Point Duty

      ┌ Hyperion
Sunset ――┤ ┌ Bois Roussel
      └○┤
        └ Point Duty

2010年6月19日 (土)

スニッツェル産駒強し

いよいよ2歳シーズンが開幕しました。函館、福島、阪神で各1レースずつ新馬戦が組まれ、函館と福島で新種牡馬の産駒が快勝。

過去を振り返っても開幕初日はなぜか新種牡馬が強い傾向が見られ、過去5年間で4回勝っています。ただ、2頭勝ち上がったことはありませんでした。

函館……ルリニガナ(父スニッツェル)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104407/
福島……マルタカシクレノン(父スズカマンボ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101737/

函館で勝ったルリニガナ(2番人気)は、当ブログや『赤本』でプッシュしてきたスニッツェル産駒。産駒数は少ないながらも2歳戦で旋風巻き起こしてもおかしくない種牡馬でしょう。クラシック云々というタイプではありませんが、スピード、仕上がりの早さは抜群です。『web競馬王』の予想コメントを転載します。

「◎ルリニガナは『スニッツェル×キングマンボ』という組み合わせ。父スニッツェルは豪リーディングサイアーのリダウツチョイスの子で、デビュー戦をいきなりレコード勝ちして3連勝を飾り、芝1100mのG1を制したスピード馬。仕上がりは抜群に早いタイプだろう。すでにホッカイドウ競馬で産駒がデビューして勝ち上がっている。母はフラワーボウル≒マイホスト6×5で、本馬はヒズマジェスティ=グロースタークの全きょうだいクロス(その母はフラワーボウル)によってそれを継続発展させている。なかなかの好配合馬。仕上がりの早さとスピードで勝ち負けに持ち込めるだろう。」

予想は◎○で本線的中でした。これでスニッツェル産駒の2歳馬は、ホッカイドウ競馬も含めて2戦2勝です。

阪神の新馬戦を勝ち上がったマイネショコラーデ(父ロージズインメイ)は、6月16日のエントリー「水曜坂路の注目馬」で採り上げた馬です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-43c9.html

「◎マイネショコラーデは『ロージズインメイ×マイネルラヴ』という組み合わせ。母コスモヴァレンチは小倉2歳S(G3)の勝ち馬。父ロージズインメイは自己を主張するよりも母方の特徴を出すタイプなので、おそらく本馬も『マイネルラヴ×ブレイヴェストローマン』の母の特徴が強く表れているはず。2歳夏の芝1200m新馬戦はぴったりの条件だろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104913/

予想は◎▲△で3連単5540円的中でした。初日の予想は好調。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』では3場ともA評価の馬が勝ち上がりました。

2010年6月18日 (金)

Zenyatta、ヴァニティH(G1)を制して無傷の17連勝

今回はかなり危なかったですね。結果を知ってからレース映像を見たのですが、それでもヒヤヒヤしました。
http://www.youtube.com/watch?v=K-fJpTGaPH8

実況アナウンサーはゴール前で声が裏返り、「ゼニッ、ヤタァ、イエーーース!!!」と絶叫。中立性のかけらもありません(笑)。

ゴール直前まで粘っていた St Trinians はイギリス産馬で、アメリカ移籍後4連勝でサンタマリアH(G1・AW8.5f)を制した強豪。前走はサンタアニタH(G1・AW10f)で牡馬に挑戦したものの6着と敗れていました。父 Piccolo はナンソープS(英G1・芝5f)を勝ったスプリンターで、母の父 Classic Cliche はアスコットGC(英G1・芝20f)を勝ったステイヤー。こんな極端な配合はなかなかお目にかかれません。
http://www.pedigreequery.com/st+trinians3

今回は Zenyatta が St Trinians より9ポンド(約4キロ)重い斤量を背負い、4コーナーで外を回りすぎたこともあって思わぬ接戦となりました。これでヴァニティH(G1)は3連覇。
http://ahonoora.web.fc2.com/zenyatta.html

ただ勝つだけでなくドラマティックな演出をするあたり、さすが千両役者です。

2010年6月17日 (木)

関東オークスはシンメイフジ

http://www.chihoukeiba.jp/nar/meta/vod/21/2010/06/16/212010061610.asx
終わってみれば格の違いを見せました。「フジキセキ×ティンバーカントリー」という組み合わせですが、母レディミューズは芝で普通に走りましたし、シンメイフジ自身もティンバーカントリーが伝えるフットワークの重さは見られないので、本質的には芝向きだと思います。ダートは「苦にしない」といった程度ではないでしょうか。脚抜きのいい馬場(重馬場)になったのはプラス材料だったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103593/

以前、安田隆行調教師は「素直な気性」とコメントしていたと思うのですが、レースぶりを見るかぎり乗りやすい馬とは思えません。主戦ジョッキーだった岩田騎手も苦労していたように思います。内田博幸騎手に乗り替わった今回は、好位でぴたりと折り合い、勝負どころで自然に進出するという優等生の競馬。鞍上の技術なのか、ダートでは落ち着いて走れるのか、そのあたりは分かりません。こんな競馬ができれば秋は楽しみです。

2着ハーミア(大井)は、5月最終週の東京戦(500万下・ダ1600m)で2着に突っ込み大穴を開けました。ブロケードの曾孫。サンシャイン牧場の生産馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105461/

2010年6月16日 (水)

水曜坂路の注目馬

今週から待ちに待った新馬戦が始まります。水曜朝の栗東坂路で注目の走りを見せたのは、2歳全体の一番時計を出したサミットストーン(牡2・父ロージズインメイ・森秀行厩舎)と、二番時計で上がりを12秒2でまとめたエイシンモンジュー(牡2・父 Montjeu・西園正都厩舎)でしょうか。

サミットストーンは、後藤繁樹氏(サニングデール、アーバンストリート、シルポートなどの馬主)の持ち馬で、Devil's Bag 3×2という強烈なクロスを持っています。母タイキアプローズはタイキシャトルと血統構成がほとんど同じです。

          ┌ Devil's Bag
タイキアプローズ ―┤   ┌ Nijinsky
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ Muffitys

          ┌ Devil's Bag
タイキシャトル ――┤   ┌ Nijinsky
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ Muffitys

 タイキアプローズの母の父は Niniski、タイキシャトルの母の父は Caerleon。この違いだけですね。いずれも Nijinsky の子ですから血統構成はほとんど同じです。

ロージズインメイは自己を主張するというよりは、母方の特徴を素直に出すタイプなので、タイキシャトル(≒タイキアプローズ)の子に近い特徴が出てくるのではないでしょうか。しかも、仕上がり早のスピード血統である Devil's Bag 3×2。2歳夏の短距離戦は向いているでしょう。調教のラスト1ハロンが13秒7とかかったのは、バテたのか抑えたのかよくわかりません。バテたとしても序盤から飛ばしていたので仕方がないところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101041/

サミットストーンは今週の新馬戦に登録がありませんでした。同じロージズインメイ産駒なら土曜阪神4R(芝1200m)に出走を予定しているマイネショコラーデ(牝2・吉田直弘厩舎)がおもしろそうです。母は小倉2歳S(G3)を勝ったコスモヴァレンチ。全兄ドリームバレンチノも新馬戦3着→未勝利戦1着と仕上がりの早いタイプでした。早期の1勝を確実に計算できる馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104913/

エイシンモンジューはについては、少し前に『競馬総合チャンネル』で触れたので転載します。

「昨年9月、米ケンタッキー州キーンランドのセールで平井豊光氏が21万ドルで落札した。母 Santa Catarina はハリウッドオークス(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬で、ケンタッキーオークス(米G1・ダ9f)など3つのG1で2着となっている。これに Sadler's Wells 系の凱旋門賞馬 Montjeu を交配して誕生したのが本馬。父はスタミナと底力に関しては高いレベルにあるものの、軽快なスピードに欠けるので、日本にやってきた産駒は鈍重なタイプが目に付く。したがって、アメリカのスピード血統で構成された母は交配相手として悪くない。母方の血がややパワー方向に傾いているので、ダートで本領を発揮しそうだ。」

2歳の早い時季は短距離戦が多く、行って粘るという単調なレースぶりでも通用するので、本質的にダート向きでも芝をこなすことは珍しくありません。残念ながら今週の登録はなく、デビューは来週以降になりそうです。どこで下ろすにしても勝ち負けになりそうです。

エイシンフラッシュのダービー制覇で意気揚がるエイシン軍団は、開幕週にエイシンピンキー(牝2・父デビッドジュニア・野中賢二厩舎)とエイシンオスマン(牡2・父ロックオブジブラルタル・松永昌博厩舎)の2頭がデビュー予定です。前者は土曜阪神4R(芝1200m)、後者は日曜阪神4R(芝1600m)。どちらも稽古の動きが良かったようで重い印が付きそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101555/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103390/

2010年6月15日 (火)

悲劇の名牝 La Prevoyante

昨日のエントリーで紹介した Proud Citizen。その2代母 Danseuse Etoile は、カナダとアメリカの双方で殿堂入りを果たした名牝 La Prevoyante の全妹です。

La Prevoyante は1970年にカナダで誕生しました。父は Buckpasser、母は Northern Dancer の全妹 Arctic Dancer というとびきりの良血です。
http://www.pedigreequery.com/la+prevoyante

通算39戦25勝。活躍ぶりが著しかったのは2歳時で、セリマSを14馬身差、メイトロンSを7馬身半差で圧勝するなど12戦全勝の成績を残しました。殿堂入りが認められたのは2歳時の走りが評価されたからです。

4歳暮れの1974年12月28日、ミスフロリダHで11頭立ての8着に敗れたあと、肺破裂により死亡しました。

生きて繁殖入りしていたらどんなに素晴らしい産駒を残していただろう、と想像を巡らしてしまう名牝が何頭かいます。Ruffian、テスコガビー、Go for Wand、そして La Prevoyante もその1頭です。

La Prevoyante は、トラマイベスト=El Gran Senor の全兄弟に血統組成が似ています。こうした血とリンクしつつ、現代血統のなかで血を広げる余地は大きかったと思います。
http://www.pedigreequery.com/el+gran+senor

        ┌ Buckpasser
La Prevoyante ―┤ ┌ Northern Dancer
        └○┤
          └ Natalma

          ┌ Northern Dancer
        ┌○┤
El Gran Senor ―┤ └ Natalma
        │ ┌ Buckpasser
        └○┘

Proud Citizen の代表産駒の1頭 Freedom Rings(2歳時に米G2で2着)は、母の父が Compliance(トラマイベストと El Gran Senor の全兄弟)なので、Danseuse Etoile≒Compliance 3×2という相似な血のクロスを持っています。
http://www.pedigreequery.com/freedom+rings

La Prevoyante はわずか2年半の競走生活で39戦。明らかに衰えが見えてからも走り続けました。どうしてそこまで走らせたのか……と思わずにはいられません。

2010年6月12日 (土)

強い牝馬クロス+Ribot 系

6月8日のエントリー「仏ダービー、英ダービー」で、Machiavellian について触れました。それについて読者の方からご質問があったので、お答えしたいと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-f907.html

Machiavellian は、現役時代は3戦全勝で仏2歳チャンピオンとなり、3歳時の英2000ギニー(G1・芝8f)はラチ沿いに押し込まれる不利があり2着。スムーズな競馬ができていれば勝っていたかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=9e08GlaJuzo

この馬の成功は、母 Coup de Folie の配合パターンに負うところが大きいでしょう。偉大な繁殖牝馬 Almahmoud を3×3というクロスの形で持っています。
http://www.pedigreequery.com/coup+de+folie

Coup de Folie はオマール賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬で、繁殖牝馬としては歴史的な成功を収めました。前出の Machiavellian のほかに、Exit to Nowhere(ジャックルマロワ賞-仏G1、イスパーン賞-仏G1)、Coup de Genie(モルニ賞-仏G1、サラマンドル賞-仏G1)、ハイドロカリド(アスタルテ賞-仏G2)、Ocean of Wisdom(ラロシェット賞-仏G3)といった優駿を送り出しています。

Coup de Folie の配合は、ある大種牡馬の構成と非常によく似ています。子孫が世界的に大繁栄しているデインヒルです。
http://www.pedigreequery.com/danehill

Coup de Folie は、Almahmoud 3×3で、母の父は Ribot 系の Hoist the Flag。一方、デインヒルは、Almahmoud の娘 Natalma の3×3で、母の父は Ribot 系の His Majesty です。

要するに、いずれも名牝の強いクロスを持ち(しかも双方がクロスさせた馬は親子の関係にあります)、底力に秀でた Ribot 系を母の父に持ちます。Coup de Folie もデインヒルも、サラブレッド生産界の歴史のなかで巨人といえる存在です。2頭が似たような配合パターンから誕生したことは偶然とは思えません。優れた能力をコンスタントに伝える何ものかがこの配合に秘められているのでしょう。ここから学べるものは少なくないと思います。

須田鷹雄さんが主宰する光文社POGの07-08年の大会で、私はダービー馬ディープスカイ(父アグネスタキオン)を指名して幸運にも優勝することができました。

ディープスカイの母アビは、Coup de Folie とデインヒルを連想させる配合パターンです。Miss Carmie 4×3という牝馬クロスを持ち、母の父は Ribot 系の Key to the Mint。“強い牝馬クロス+Ribot 系”という、まさに公式どおりの配合です。
http://www.pedigreequery.com/abi2

名牝の強いクロスを母方に持つ、というパターンは、名種牡馬によく見られます。Seattle Slew、その息子 A.P.Indy、古くは Hyperion などもそうですね(Seattle Slew は全きょうだいクロス)。
http://www.pedigreequery.com/seattle+slew
http://www.pedigreequery.com/ap+indy
http://www.pedigreequery.com/hyperion

ディープスカイは現在、日高町のダーレージャパンスタリオンコンプレックスに繋養されています。きっと成功するでしょう。

2010年6月11日 (金)

母の父フレンチデピュティ

昨年12月14日のエントリー「母系に入って輝く Deputy Minister 系」でも記しましたが、“母の父フレンチデピュティ”はなかなか優秀です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/deputy-minister.html

現時点の連対率は以下のとおり。

■母の父フレンチデピュティ
全連対率 23.1%
芝連対率 26.5%
ダ連対率 19.4%

スズカコーズウェイ、ブレイクランアウト、アニメイトバイオなどが代表格です。先日、ツルマルボーイ産駒の3歳馬ワンモアジョー(母の父フレンチデピュティ)が2勝目を挙げたのには驚きました。このクラスの種牡馬まで走らせてしまうのか、と――。

ちなみに、ブルードメアサイアーランキングで首位に立つ“母の父サンデーサイレンス”は以下の成績。現状では“母の父フレンチデピュティ”のほうが数字的に上です(連対率ベース)。

■母の父サンデーサイレンス
全連対率 18.4%
芝連対率 18.8%
ダ連対率 17.9%

今年の公開ドラフトで指名した10頭のうち、アソルータ(牝・父ゼンノロブロイ、母フレンチバレリーナ)とダノンハロー(牡・父ハーツクライ、母ペルヴィアンリリー)の2頭が“母の父フレンチデピュティ”でした。もちろん、狙って獲った馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103297/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103317/

6月10日(木)の栗東坂路で一番時計を出した2歳馬ホーマンフリップは「フジキセキ×フレンチデピュティ」。アニメイトバイオの半妹にあたる良血で、阪神2週目の芝1400m戦でデビューとのことです。期待できそうですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103375/

2010年6月 9日 (水)

ウオッカ、三度目の正直で受胎

レース回顧などをしているうちにここまで後回しになってしまいましたが、ウオッカが無事受胎したという朗報はやはりスルーするわけにはいきません。5月19日のエントリー「ウオッカ、2回目の交配も不受胎」で示した懸念が杞憂に終わりホッとしています。

ウオッカは Northern Dancer も Mr.Prospector もサンデーサイレンスも持ちません。にもかかわらずあれだけの能力を発揮したのですから偉大です。交配相手の Sea the Stars は、Northern Dancer 系×Mr.Prospector 系で、さらにドイツ血統を抱えているので、ウオッカは自身にない新たな活力を取り込むことができるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sea+the+stars
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004104258/

Sea the Stars の2代父 Green Desert については、2月9日のエントリー「Green Desert 時代の幕開け?」、2月10日のエントリー「なぜか日本に入らない Green Desert 系」などで触れました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/green-desert-73.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/green-desert-73.html

Green Desert 系は、Never Bend クロスを持つ馬が成功しています。したがって、Mill Reef や Riverman(いずれも Never Bend の息子)が入る配合は悪くありません。

“Green Desert+Mill Reef”からは Oasis Dream や Desert Prince が出ましたし、“Green Desert+Riverman”からは Mandesha やメジロダーリングが出ています。
http://www.pedigreequery.com/oasis+dream
http://www.pedigreequery.com/desert+prince
http://www.pedigreequery.com/mandesha
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107035/

ウオッカは Riverman を持っているのでこのパターンに当てはまります。ヨーロッパの馬場にも対応できそうな本格派ですね。無事に誕生して育成も順調ならデビューは2013年です。

2010年6月 8日 (火)

仏ダービー、英ダービー

6月6日、パリ郊外のシャンティ競馬場で行われた仏ダービー(G1・芝2100m)は、2番手追走から最終コーナー手前で先頭に立った Lope de Vega が押し切り、仏2000ギニー(G1・芝1600m)と合わせて二冠を達成しました。前走の仏2000ギニーは後方で脚をためて大外一気という競馬。今回は一転して先行抜け出しという競馬でした。
http://www.youtube.com/watch?v=6cIPiZyMpfU

父 Shamardal、母の父 Vettori はいずれも仏2000ギニー馬で、配合的には Machiavellian 3×3。どちらかといえばマイル向きでしょう。ただ、Shamardal は仏ダービー馬でもあるので、距離が延びてまったくダメというタイプでもなかったようです。 Machiavellian は、ヴィクトワールピサの母ホワイトウォーターアフェアや、米・豪で大成功している Street Cry(Zenyatta や Street Sence が代表産駒)の父でもあります。最近ちょっと目立ってきたかなという気がします。
http://www.pedigreequery.com/lope+de+vega

Lope de Vega は、父 Shamardal 以来の仏二冠制覇です。Shamardal が仏ダービーを制したとき、外からクビ差2着まで追い詰めたのが Hurricane Run。後に愛ダービー、凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどを制した名馬です。じつは、Lope de Vega と Hurricane Run は、同じくドイツのアルメラント牧場が生産所有した馬です。かつて苦杯を舐めさせられた相手の子から新たに名馬をつくり出すのですから因縁めいています。

Shamardal は初年度産駒からいきなり大物を送り出すという幸先のいいスタートを切りました。Giant's Causeway 系はすっかりヨーロッパに根を下ろした感があります。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway

Giant's Causeway は Storm Cat の子ですから、やや一本調子なところを伝えます。日本で走ったスズカコーズウェイやエイシンアポロンといった産駒を見ればお分かりになると思いますが、マイル前後を得意とするスピードタイプで、ヨーロッパではギニー系のレースで産駒の活躍が目立ちます。しかし、意外なことに Giant's Causeway 自身はギニーレースを勝てませんでした。英2000ギニー(G1・芝8f)、愛2000ギニー(G1・芝8f)はともに2着。

デビュー以来4戦全勝だった Giant's Causeway を、英2000ギニーで破ったのは King's Best です。ゴール前で末脚を爆発させて3馬身半差をつけました。
http://www.pedigreequery.com/kings+best

King's Best は、今年の日本ダービー馬エイシンフラッシュの父です。そして、6月5日に行われた英ダービー(G1・芝12f10yds)を制した Workforce の父でもあります。

King's Best は、希代の名牝 Urban Sea の半弟ながら、これまでの種牡馬成績はいまひとつでした。安定性に欠けるマイラー型種牡馬といった感じで、12ハロンのクラシックホースを出せるようなタイプには見えませんでした。現役時代、出走を予定していた英ダービーを筋肉痛により直前回避し、愛ダービーは骨折のため大差シンガリ負け。ダービーにまったく縁のない馬でもありました。それが、一挙に日・英のダービー馬を生み出したのですから分からないものです。

Workforce は、母 Soviet Moon が「Sadler's Wells×Alleged×Star Appeal×ヴィミー」という配合。12ハロンのクラシックに向いた底力とスタミナをここから補給しています。
http://www.pedigreequery.com/workforce

4月30日のエントリーで、ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さを論じましたが、まさにその通りの配合です。このパターンからはこれまでに、Galileo(英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)、Fame and Glory(愛ダービー、クリテリウムドサンクルー)、レッドディザイア(秋華賞、アルマクトゥームチャレンジラウンド3)、ジョーカプチーノ(NHKマイルC、ファルコンS)といった多くの活躍馬が出ています。基本的にクラシックディスタンスで強い馬が多いですね。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

父が Kingmanbo 系で母方に Sadler's Wells を入れ、Nureyev と Sadler's Wells の4分の3同血クロスを作るのは、エルコンドルパサー(ジャパンC、サンクルー大賞典)、Henrythenavigator(英・愛2000ギニー、サセックスS)、Divine Proportions(仏オークス、仏1000ギニー)、Virginia Waters(英1000ギニー)などと同じです。
http://www.pedigreequery.com/el+condor+pasa
http://www.pedigreequery.com/henrythenavigator
http://www.pedigreequery.com/divine+proportions
http://www.pedigreequery.com/virginia+waters2

3代母の父 Star Appeal はドイツ血統馬。最低人気で臨んだ75年の凱旋門賞を差し切った馬でもあります。Workforce は父方にも母方にもドイツ血統が含まれていることになります。この点も日本ダービー馬エイシンフラッシュと同じです。
http://www.pedigreequery.com/star+appeal

ラムタラのダービーレコードを1秒近く縮め、さらに後続に7馬身差をつける圧倒的な勝ちっぷり。スーパースター誕生か? という期待が否が応でも高まります。仏二冠馬 Lope de Vega はマイル路線に進むので対決は実現しそうにありません。現在、G1を2連勝中で古馬ナンバーワンと目されている Fame and Glory も、ドイツ血統と Sadler's Wells の組み合わせを持ちます。対決が楽しみです。
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory

2010年6月 7日 (月)

安田記念はショウワモダン

G1レースの予想はたいてい、◎を打ちたい馬が複数いて、それをひとつに絞り込むのに苦労します。しかし、今回の安田記念は、◎を打ちたい馬が1頭もいませんでした。妥協に妥協を重ねてもピンとこない馬ばかり。悩んだ末に出した結論は以下のとおり。

◎ビューティーフラッシュ
○トライアンフマーチ
▲ショウワモダン
△リーチザクラウン
△スマイルジャック
△マルカフェニックス

ビューティーフラッシュに◎を打ったのは、冷静に考えて“逃避”だったかなと思います。未知の魅力に「期待する」というより「すがる」感じだったかなと。返し馬を見たときにややフットワークが重いような気がしました。

▲ショウワモダンはパドックで良く見えました。完全に本格化しています。エアジハード産駒は晩成型です。年齢別の連対率は以下のとおり。

2歳  12.2%
3歳  10.3%
4歳  14.7%
5歳  16.8%
6歳  21.0%
7歳~ 16.7%

5歳ぐらいから実が入ってきて、6歳が働き盛り。エアジハードのもう1頭の代表産駒アグネスラズベリが初めて重賞を勝ったのも6歳でした。ショウワモダン、アグネスラズベリはともに母の父にトニービンを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103318/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103044/

          ┌ エアジハード
ショウワモダン ――┤ ┌ トニービン
          └○┘

          ┌ エアジハード
アグネスラズベリ ―┤ ┌ トニービン
          └○┘

父エアジハードは、現役時代に安田記念を勝っているので親子制覇。その父サクラユタカオーは中距離のスピード王で、サクラバクシンオーの父でもあります。エアジハードは、母の父に軽快なロイヤルスキーが入って Nasrullah 4・5×5ですから、父よりも距離適性が短くなってマイルがベストでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103044/

サクラユタカオーがノーザンテーストとニックスの関係にあった理由は、ノーザンテーストが抱える Hyperion の強いクロス(4×3)が底力をサポートしたからです。エアジハードは、2代母がオークス馬シャダイアイバーで、その父がノーザンテースト。そして Hyperion 5・4×5。このあたりの頑強な血が支えていたからこそ、エアジハードの Nasrullah 4・5×5は活きたのだと思います。底力の裏付けのないスピードはマイルのG1を勝てません。グラスワンダーを差し切った安田記念は、Nasrullah と Hyperion が織りなす名配合の、まさに面目躍如といえるレースだったと思います。

エアジハード産駒の大物2頭は、いずれもトニービン牝馬から誕生しました。トニービンは、Gainsborough-Hyperion のラインを執拗にクロスさせたヨーロッパ血統です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/

シャダイアイバーとトニービンという同様の構成の血が結びついて大物感を醸し出していくという、オーソドックスな組み立てです。ただ、その一方で、トニービンは母系に潜ると渋さを出すので、アグネスラズベリのように本質的に洋芝向きだったり、ショウワモダンのように道悪の鬼だったりしたわけです。

ショウワモダンに▲を打った理由は2つあります。ここ2走のレースぶりに本格化の気配が見て取れたことがひとつ。もうひとつは、高速馬場の平均して速いフラットなラップが案外合うかもしれないと思ったことです。

道悪に強い馬は、大きく分けてふたつのタイプに分類できると思います。タイムの遅い決着が得意な馬と、一定のペースで粘り強く走る能力に秀でた馬です。前者は時計が速くなると用なしですが、後者は問題ありません。むしろ、一定のペースで粘り強く走れるので、ハイペースに強く、レコードが出るようなレースを得意とします。

約20年前にランニングフリーという馬がいました。道悪巧者で、一定のペースで粘り強く走る能力に秀でた馬でした。ホーリックスがレコード勝ちした89年のジャパンC(勝ちタイム2分22秒2)で、同馬は14番人気ながら7着と頑張り、2分23秒3というタイムを記録しました。当時は、勝ちタイムの別次元ぶりが話題を集めると同時に、「ランニングフリーがこんなタイムで走るなんて!(笑)」とネタにされましたが、非常に学ぶところの多いレースでした。

ショウワモダンはこのタイプでしょう。正確にいえば、本格化するにつれて徐々に速い時計に対応できる能力を身につけていったという感じです。

ただ、弱かったころのイメージをそう簡単に頭からぬぐい去れるものではなく、このメンバーに入って自信をもって本命に推せるほどの根拠は見いだせなかったので、評価は▲どまりでした。とはいえ、暴風のように吹き荒れるサンデー系旋風のなかで、古色蒼然たるテスコボーイ系が勝利を収めたのですから凄いことです。ぜひ種牡馬となって成功してほしいものです。

2010年6月 6日 (日)

高速馬場とシンボリクリスエス

土曜東京11R・湘南S(準OP・芝1600m)は、勝ちタイムが1分31秒7。先日のNHKマイルCでダノンシャンティが出した日本レコードにコンマ3秒と迫る快時計でした。ここ2週、雨が降ったり馬場が使い込まれたりで、時計が掛かり始めたなと思ったら、今週は春開催が始まった当初のコンディションに戻ったようです。

土曜日の競馬で戦果を挙げたのがシンボリクリスエス産駒。芝レースで2勝、2着1回という成績。第9Rのロベリア賞(3歳500万下・芝1800m)でオリエンタルジェイが1着、第11Rの湘南Sでソーマジックが2着と、とくに特別戦でその走りが目立ちました。

シンボリクリスエスは「Roberto 系×Seattle Slew 系」という組み合わせ。Roberto も Seattle Slew も、一瞬の切れ味には欠けるものの持続力に秀でた血です。このタイプの配合は、荒れ馬場専用のパワー型に出ることが多いのですが、シンボリクリスエスのいいところは時計の速い決着にも対応できることですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999110099/

シンボリクリスエス産駒は東京芝1600mの鬼です。連対率は36.8%。この数字は、東京競馬場がリニューアルした03年4月以降、当コースで50走以上した種牡馬のなかでは断然トップです(2位はキングカメハメハの27.8%)。単勝回収率102%、単勝適正回収率120.5%ですから馬券的にも信頼できます。

この戦績を勝ちタイムで色分けするとおもしろいことがわかります。サンプルは良馬場のみで、2歳戦は除外します。

★1分34秒未満で決着したレース…………連対率50.0%
★1分34秒以上で決着したレース…………連対率22.2%

速いタイムで強く、遅いタイムでイマイチ、という傾向が表れています。一般的に、勝ちタイムの速いレースは道中のペースが緩みません。湘南Sのラップは以下のとおり。

12.4 - 11.1 - 11.5 - 11.2 - 11.3 - 11.3 - 11.1 - 11.8

11秒台前半のラップがフラットに続きます。おそらくシンボリクリスエス産駒はこういう展開に向いているのでしょう。

2代父 Roberto は、72年のベンソン&ヘッジズゴールドC(英G1・芝10.5f)で、アメリカ人のブラウリオ・バエザ騎手を背に、ハイペースで飛ばして逃げ切り勝ちを収めました。名馬 Brigadier Gerard の連勝記録を「15」で止めたことでも知られる歴史的なレースです。コースレコードを1秒7も短縮する快走でした。
http://www.youtube.com/watch?v=GNsATgJA50g

母の父の父 Seattle Slew は、アメリカ馬らしい先行力を武器とする米三冠馬。同じ三冠馬の Affirmed を相手に逃げ切った78年のマールボロC(米G1・ダ9f)は、Seattle Slew の持ち味が活きたベストレースのひとつでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=RBHczmcKS5M

こうした名馬から影響を受けたシンボリクリスエスは、決め手には乏しいもののハイペースへの耐久力とスピードの持続力に優れています。遅いタイムでイマイチ、というのは、おそらく道中のペースが緩んで決め手勝負に持ち込まれるケースが多いからでしょう。「ハイペースへの耐久力とスピードの持続力」を活かす展開になれば、シンボリクリスエス産駒は生き生きと躍動します。そうした競馬になりやすい高速馬場ではつねにマークが必要です。

2010年6月 5日 (土)

カウンテスアップ――86年東京大賞典

よく知られているように的場文男騎手は一度も東京ダービーを勝ったことがありません。すでに十数年前から「大井競馬の七不思議」といわれていたほどです(残りの六不思議は不明)。

イギリス史上最多の4870勝を挙げたゴードン・リチャーズ騎手(1904~88)は、騎手記録をほとんど塗り替え、あらゆる名誉を手に入れながら、長い間エプソムダービーだけは勝てませんでした。彼は28回目の挑戦で初めて勝利しました。

的場騎手は現在、東京ダービー29連敗中。ついにゴードン・リチャーズ騎手を超えてしまいました。トップジョッキーのダービー連敗記録でこれ以上のものはおそらく世界にもないでしょう。

年末の大一番である東京大賞典も、たった一度しか勝っていません。しかし、カウンテスアップで勝った86年の一戦は、個人的に的場騎手のベスト騎乗ではないかと考えています。

1番人気に推されたハナキオー(堀千亜樹騎乗)は、羽田盃(ダ2000m)を9馬身差、東京ダービー(ダ2400m)を1馬身差、東京王冠賞(ダ2600m)を4馬身差で勝って南関東三冠を達成したほか、1200mの東京盃(この年は内回りで施行)もレコード勝ちした怪物。父アラナスからスタミナを、母の父カリムからスピードを受け継いだ万能型でした。
http://ahonoora.web.fc2.com/hanakio.html

これを倒したカウンテスアップは、戦前から距離不安が囁かれていました。当時の東京大賞典は3000mの長丁場。カウンテスアップはスピードが持ち味なので、2500mの大井記念では2年連続で4着と敗れ、ロッキータイガー相手とはいえ2400mのダイオライト記念、2800mの帝王賞でも2着と敗れていました。さらには全盛期を過ぎたという印象もあり、ここではハナキオーの引き立て役になるだろう、というのが大方の見方でした。

カウンテスアップは好スタートからさっとハナに立ち、すかさずスローペースに落とします。後続馬群をコントロール下に置いた的場文男騎手は、カウンテスアップの使える脚を計算し、仕掛けどころを考えるだけだったはずです。「遅いぞこれ……」とスタンドがざわつくほどのスローペースは、2周目の3コーナーあたりから徐々にペースアップし、完全な上がり勝負に。こうなればスピードに優るカウンテスアップの独壇場です。ハナキオーも三冠馬の意地をみせて追いすがりますが、3着以下を大差に引き離したマッチレースはカウンテスアップに軍配が挙がりました。

“的場文男の腕でもぎとった勝利”と表現するしかない非常に印象深いレースでした。カウンテスアップは1円も買っていなかったので馬券は完敗。しかし、いいものを見せてもらったという気分でした。

カウンテスアップは「フェートメーカー×ドレスアップ」という組み合わせで、Khaled 3×3のインブリードを持ちます。
http://ahonoora.web.fc2.com/countes_up.html

これは80年代末に帝王賞、ブリーダーズGC、全日本サラブレッドCなどの大レースを勝ちまくったフェートノーザンと同じ組み合わせです。オグリキャップ記念を勝ったメーカーロッキーも同様です。父フェートメーカーも母の父ドレスアップもまったくマイナーな存在だけに、この組み合わせから立て続けに大物が出たのは驚きでした。マジックのようなニックスといえるでしょう。
http://ahonoora.web.fc2.com/fate_northern.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1988100678/

          ┌ フェートメーカー(祖父 Khaled)
カウンテスアップ ―┤ ┌ ドレスアップ(父 Khaled)
          └○┘

          ┌ フェートメーカー(祖父 Khaled)
フェートノーザン ―┤ ┌ ドレスアップ(父 Khaled)
          └○┘

カウンテスアップの半姉フドウゴールド(父モハビ)は、カウンテスアップと同じく Khaled 3×3のインブリードを持ち、重賞のしらさぎ賞を勝ちました。その孫にオリオンザサンクス(ジャパンダートダービー、東京ダービー、羽田盃)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979104965/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996103237/

          ┌ モハビ(祖父 Khaled)
フドウゴールド ――┤ ┌ ドレスアップ(父 Khaled)
          └○┘

的場文男騎手はこの年、自己最高の148勝を挙げ、桑島孝春騎手(190勝)、石崎隆之騎手(186勝)に次いで南関東の第3位に食い込みました。このあたりから名実ともに南関東を代表する名ジョッキーの仲間入りを果たしたと思います。

2010年6月 3日 (木)

東京ダービーはマカニビスティー

当ブログでたびたび紹介してきたマカニビスティー(父ゼンノロブロイ)が、6月2日に大井競馬場で行われた東京ダービー(ダ2000m)を快勝、南関東3歳の頂点に立ちました。直線で大外から1頭だけ違う脚いろで突き抜けました。騎乗した戸崎圭太騎手は「一番強い馬だと信じて乗りました。羽田盃では慌ててしまい、皆さんに迷惑をかけてしまいました。今日は慌てなければ勝てると思って、じっくり仕掛けました。勝てて良かったです」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。
http://www.youtube.com/watch?v=fZN-UU57WaE

もともと栗東の矢作芳人厩舎に所属しながら、3歳春はダートOP馬が使えるレースが少ないという理由によって、3月に大井競馬の松浦備厩舎に転厩しました。このあたりの事情は、3月5日「逆転の発想、マカニビスティー大井移籍」、3月12日「マカニビスティー大井移籍の真相~矢作調教師のブログから」に詳述しておりますので、よろしければご参照ください。

「逆転の発想、マカニビスティー大井移籍」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-f4ea.html
「マカニビスティー大井移籍の真相~~矢作調教師のブログから」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-961a.html

ダートの強豪が3歳春にどのような進路をとるべきか、マカニビスティーの成功は今後の指針となる“事件”でしょう。もちろん、所属調教師の理解がなければできない選択なので、フォロワーが激増するとは考えづらいところです。しかし、ひとつの有力な選択肢として今後検討されることにはなるでしょう。なんといっても優勝賞金が魅力です(羽田盃=4000万円、東京ダービー=4500万円)。これで南関東2勝目となるのでいつでも中央に戻ることができます。

マカニビスティーの配合については2歳時から高く評価しており、1月5日のエントリー「マカニビスティー快勝」で解説をしています。

「マカニビスティー快勝」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-cfcf.html

要するに、サクセスブロッケンと構成が似ており、母サクセスウイッチは Graustark=His Majesty 3×4の全きょうだいクロス(=底力の塊のようなヨーロッパ血統)を持つので、アメリカ血統過多のゼンノロブロイのサポート役としては申し分ない、ということです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106231/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005106204/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘ ┌ Roberto
マカニビスティー ――┤ ┌○┘
           └○┤
             └ アワーミスレッグス

               ┌ Roberto
             ┌○┘
           ┌○┘
サクセスブロッケン ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ アワーミスレッグス

母方の Roberto-ブライアンズタイムが強く出ているのか、鋭いマクリ脚とパワーが持ち味です。父ゼンノロブロイは、サンテミリオン、ペルーサ、コスモネモシン、アニメイトバイオ、アグネスワルツなど、初年度産駒が芝で赫々たる戦果を挙げました。そして、ダートではマカニビスティーが出ました。この万能性は見事というしかありません。

ゼンノロブロイの母方がやや高級感に欠けるアメリカ血統で構成されているのは、ある意味で大きな欠落でしょう。しかし、そんな血統構成でありながら超一流の競走成績を収めたのですから、その欠落が逆に種牡馬としては大きなアドバンテージとなる可能性を秘めています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000101517/

その父サンデーサイレンスが、まさにそんなタイプでした。母 Wishing Well は、Hillary、Montparnasse、Understanding と無名種牡馬を重ねられています。

このタイプがつねに成功するとは限りません。むしろ、大抵ダメです。しかし、いったん成功すれば、非主流血脈をたっぷり抱えているので、それが新鮮な活力となって血統全体に大きなインパクトを与えます。サラブレッドの歴史を振り返ると、レベルの飛躍をもたらした立役者は、往々にして非主流血脈であることに気づかされます。

ゼンノロブロイに欠けているのはヨーロッパ型の重厚さですから、これを補う配合は難しくありません。マカニビスティーはセオリーどおりの配合です。

2010年6月 2日 (水)

村本浩平さんに会う

ダービーの日は検量室前で村本浩平さんとお会いしました。毎年、ダービーとジャパンCには必ず競馬場にいらっしゃるので、今年もそれに期待して行ったところ、案の定いらっしゃいました。グリーンチャンネル「日高支局定期便」を観ても、村本さんはいつもニコニコしていて優しげなイメージがあると思うのですが、実際、そのまんまの方です。馬産地のことなら何でも知ってらっしゃるので、すかさず質問を……。

「スニッツェルはどうですか?」と、挨拶もそこそこに単刀直入にうかがったところ「いいですよ」というご返事。5月29日のエントリー「すでに始まっている地方競馬の2歳戦」でも採り上げましたが、ディープ祭の喧噪をよそに、新種牡馬のダークホースとして注目している馬です。「ただし」と村本さんは付け加えました。「絶対数が少ないですね」。

たしかに今年の産駒数は51頭。決して多いとはいえない数字です。門別の新馬戦を圧勝したフロレアルのように、地方競馬に入厩する産駒もそれなりにいるはずです。JBISのサイトで確認したところ、現時点で地方入厩が確定しているのは、カムインターコイズ(母スイートマイハート/北海道)、ナエマ(母タイキプレリュード/金沢)の2頭。まだ増える可能性があります。

現時点で中央デビューが確定しているのは以下の馬たち。

アポロフィオリーナ(母ベルビオラ/岩戸孝樹・美浦)
ニシノハピエン(母ニシノファイナル/伊藤圭三・美浦)
フランボワイヤン(母モスフロックス/松田国英・栗東)
マレオット(母ラフィンムード/武宏平・栗東)
母ベリンベルノ(相沢郁・美浦)
ルリニガナ(母ダムドコンパニー/伊藤大士・美浦)
ロジッツェル(母グリントウィーク/萩原清・美浦)
メテオガーデン(母シティオブライト/村山明・栗東)
ネオウーリボー(母スクリーマー/小崎憲・栗東)
母オーブアンディアンヌ(友道康夫・栗東)
ウルル(母タイキナタリー/宮本博・栗東)

このほか、母カツラドライバー(エフティマイアの半弟)は厩舎未定ながら、オースミドライバーという名前が決まっているので、おそらく中央に入厩するものと思われます。

村本さんは「育成で評判に上がっているものを選ぶのが確実ではないでしょうか」と、スニッツェル産駒の選び方のコツを伝授してくれました。このあたりはPOG雑誌を参考にするのがよさそうです。

先日の公開POGにおいて、栗山求がハズレ1位で指名した母ビーフェアー(父ディープインパクト)は、美野真一さんによれば「力馬っぽい」とのこと。それを含めて水を向けると、村本さんは「美野さんもそう見えたか……」と微妙な返答。

母はブラジル産馬で、芝のG1も勝っています。ただ、パワー型のアメリカ血統を多く含んでいるので、現状、このあたりが強く出ているのかもしれません。調教を重ねてシャープさが出てきてほしいですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105595/

2010年6月 1日 (火)

北海優駿はクラキンコ

ホッカイドウ競馬のダービーにあたる北海優駿は、1番人気のクラキンコが4コーナーを回って先頭に立ち、そのまま押し切って優勝しました。北斗盃に続いて二冠達成です。

デビュー当時から話題になっていたのはその血統。父クラキングオー(北海優駿、道営記念、ステイヤーズC2連覇)、母クラシャトル(北海優駿、北海道3才優駿)は、いずれもホッカイドウ競馬を沸かせた名馬でした。つまりクラキンコは“夢の配合”によって誕生した馬だったのです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105398/

生産した倉見牧場は、血統に関して一風変わった信念をお持ちのように思われます。10年ほど前、地方競馬全国協会の『ハロン』誌に、クラカゲオーという種牡馬についてコラムを書きました。“道営史上最強馬”といわれたコトノアサブキの子で、北海優駿と王冠賞で2着となったのが主な戦績でしたが、生産した倉見牧場が種牡馬として供用しました。そして、無名種牡馬ヤクモセンショウを父に持つ繁殖牝馬との間に、重賞の旭岳賞を勝ったクラダイギンガを送り出したのです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996102342/

「クラキングオー×クラシャトル」という“夢の配合”が実現するまでには苦難の道のりがありました。父クラキングオーは現役最後となった一戦で殺処分寸前の故障を負い、倉見牧場の手厚い看護により生還しました。3年後、ようやく種牡馬となる目処が立ち、最初の交配相手に選ばれたのが牧場のナンバーワン牝馬のクラシャトル。そして、翌年誕生したのがクラキンコでした。このあたりの事情については「競走馬のふるさと案内所」のコラム(2009年10月19日付)に詳述されています。読み応えのある記事です。
http://www.uma-furusato.com/news.php?mid=1229&cid=1

父クラキングオー、母クラシャトル、子クラキンコは、いずれも北海優駿の勝ち馬。父母がいずれもダービー馬で、子もダービー馬という例が世界に存在するのかどうかは分かりませんが、きわめて稀なことであるのは間違いないでしょう。ディープインパクトとウオッカの子が日本ダービーを勝つようなものです。

ちなみにイギリスでは、Stockwell(英2000ギニー、英セントレジャー)と Blink Bonny(英ダービー、英オークス)の間に誕生した Blair Athol(1861年生)が、英ダービーと英セントレジャーを制したという記録があります。
http://www.pedigreequery.com/blair+athol

クラキンコはホッカイドウ競馬史上4頭目の三冠馬となるべく、8月19日の王冠賞(門別・ダ2600m)に挑みます。

2010年5月31日 (月)

日本ダービーはエイシンフラッシュ

大相撲の優勝決定戦が立ち会いのはたき込みで終わってしまったような、そんな虚無感を覚えました。もちろん、ダービー勝利の価値が減ずるものではありません。レースを観戦する側として「う~ん……」という割り切れなさを感じたということです。

馬群が欅の向こうにさしかかり、1600mの通過が目視で1分41秒ぐらい。何かの間違いではないかと思いました。不良馬場だった昨年よりもさらに遅い極端なスローペースです。

優勝した△エイシンフラッシュ、2着ローズキングダムは、こういうレースに適性があったということです。スローペースでスムーズに折り合い、脚をためて最後に爆発させるという能力が問われたレースでした。スタミナはあまり関係ありませんでしたね。ちなみに1、2着馬は Kingmambo の直系の孫です。

エイシンフラッシュは「King's Best×Platini」という組み合わせ。父 King's Best は英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬で、歴史的名牝 Urban Sea(現役時代に凱旋門賞を勝ち、繁殖牝馬として Galileo や Sea the Stars を送り出す)の半弟です。母ムーンレディは牝馬ながら独セントレジャー(G2・芝2800m)を勝ちました。その父 Platini は93年のジャパンCで4着となっています。父母双方にドイツ血統が色濃く流れているのが特徴。皐月賞の差し脚は迫力十分ながら、良馬場の切れ味勝負ではサンデー系に対して分が悪いだろうと感じていたので、このメンバー相手に上がり32秒7で突き抜けたのは驚きです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102951/

4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」から一部を抜粋します。

「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。

現代における最も重要なドイツ血統は、1974年に誕生した Surumu でしょう。『スタミナはあるが重く、道悪が上手でスピードに乏しい』といった旧来のイメージから脱した、現代性を帯びたドイツ血統です。スピードがあり、堅い馬場も苦にしません。Surumu の2代母 Suncourt はテスコボーイの母でもあります。Monsun は、母の父に Surumu があってこそ世界的な成功を収めることができたのだと思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

エイシンフラッシュの母の父は Platini、その父は Surumu です。このあたりの血は、引用箇所で触れたように素軽さがあり、堅い馬場にも対応します。母ムーンレディはひょっとしたら名牝かもしれませんね。1歳下の半弟はアグネスタキオン産駒。「栗山ノート」のアグネスタキオン産駒部門で1位に挙げています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103023/

◎ヴィクトワールピサはこのペースで好発から徐々に位置取りを下げるという不可解な競馬をし、向正面では若干折り合いを欠いていました。○ペルーサは見てのとおりスタートから誤算の連続で力を出しきっていません。今回のレースは不可抗力に近い事故のようなものととらえています。個人的にこの2頭の評価は下げません。

レースが終わり、検量室のなかで11R富嶽賞の騎乗馬を待つ岩田騎手は、重圧からの解放感からなのか思いのほか晴れやかな表情でした。騎手仲間と屈託無く笑い合う姿が印象的でした。ただ、検量室を出たあと、面識のある女性記者とのやりとりでは「悔しいけど、しゃあないもん」と絞り出すように答えていました。

もうひとり、検量室から四位洋文騎手が出てきたので記者が取り囲みました。いくつかの質問に丁寧に答えたあと、ほかの騎手の心理を代弁して最後にこう締めました。

「今日はみんな悔しいんじゃない? 勝った騎手以外は」

最終レースまで馬券を楽しんだあと、京王線で新宿へ出ました。望田潤さんなど競馬通信社の元同僚数名と飲み会。誰ひとりダービーを当てた人はいませんでした。《馬鹿話9:競馬論1》ぐらいの割合で夜遅くまで楽しいひとときを過ごすことができました。

2010年5月29日 (土)

すでに始まっている地方競馬の2歳戦

ブログを始めて気がついたのですが、大レースの前は意外と書くことがありません。有力馬の血統については以前にあらかた書いており、それ以上のことを書くとなると限りなく予想に近くなってしまいます。予想めいたことを事前に書くと、私の予想を売っていただいている方々にご迷惑をかけてしまうので、どうしても自粛せざるをえません。

というわけで、無難にPOGの話題を……。

JRAに先駆けて、すでに4月28日から北海道(門別)で2歳戦が始まっています。5月25日には兵庫(姫路)でも始まりました。5月27日時点で勝ち星を挙げている新種牡馬は以下の3頭。

スニッツェル〔1・0・0・0〕
ソングオブウインド〔1・0・2・1〕
ルールオブロー〔1・1・0・3〕

スニッツェルは、オーストラリアのリーディングサイアー Redoute's Choice の子。赤本の企画で“ディープインパクト以外で注目してみたい新種牡馬”として挙げた馬です(139頁)。その一部を抜粋します。

「はっきりと距離の限界があるので、クラシック云々というタイプではない。サクラバクシンオーと同じカテゴリーの種牡馬と考えればいいだろう。脚の回転の速さを活かして夏のローカルからガンガン走ってくるはず。“スニッツェル旋風”を巻き起こす可能性もあるのではないか。」

5月26日、門別8RのJRA認定フレッシュチャレンジ2歳新馬(ダ1200m)に出走したフロレアルは、9頭立ての6番人気ながら2着を8馬身ちぎって勝ちました。
http://www.chihoukeiba.jp/hokkaido/meta/vod/36/2010/05/26/362010052608.asx

おそらく稽古では動かず実戦で変わり身を見せたのでしょう。このパターンは中央でも見られるかもしれないので要注意です。2歳戦ではかなりやれそうな雰囲気を感じさせる種牡馬です。フロレアルは、母フロレアーナが「ダンスインザダーク×ノーザンテースト」というスタミナ型。父のスピードを受け止めるには悪くないですね。Nijinsky≒Storm Bird 5・4×4です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102555/

ソングオブウインドは現役時代に菊花賞を勝ちました。初勝利を挙げた産駒モルフェソングエルはサンデーサイレンス3×3です。このクロスはこれから先どんどん目にする機会が増えていくのでしょうね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102540/

ルールオブローは現役時代に英セントレジャーを勝ち、英ダービーでも2着となったスタミナタイプ。キングカメハメハやエルコンドルパサーと同じ Kingmambo 産駒です。初勝利を挙げたキングロッキーは、母の父がフォーティナイナーで Mr.Prospector 3×3。父はスピード面の懸念を抱えているのでこのクロスはいいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103436/

このほかの主な新種牡馬の成績は以下の通り。

オンファイア〔0・1・1・3〕
スズカマンボ〔0・0・3・1〕
テレグノシス〔0・0・1・0〕
デビッドジュニア〔0・0・0・1〕
タイムパラドックス〔0・0・0・1〕
リンカーン〔0・0・0・5〕

ちなみに、去年のこの時期に勝ち上がっていた新種牡馬は、ウインデュエル、ウインラディウス、スパイキュールです。ゼンノロブロイ産駒はまだデビューしていませんでした。

2010年5月27日 (木)

ペルーサの“弱点”

昨年の赤本のクロスレビューで、デビュー前のペルーサについて「ダートに活路を見出す可能性も」と記しました。これを書いた当時、種牡馬ゼンノロブロイについてやや懐疑的な見方をしていました。母ローミンレイチェルが芝向きとはいえないアメリカ血統で構成されているので、産駒は案外ダートにフィットするのでは、と――。

しかし、ロブロイ産駒がデビューしてみると芝適性に関して問題はなく、ペルーサの新馬戦のレースぶりも大物としかいいようのないものでした。イメージしていた馬とはまったく異なり、力馬っぽさは欠片もありません。均整のとれた馬体と、そこから繰り出す弾むようなフットワーク。まさに“目から鱗”でした。血統背景については3月20日のエントリー「ダービーへ一歩前進、ペルーサ」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-3d05.html

ペルーサがダービーで首位争いをすることは疑う余地がありません。どこからどう見ても名馬です。しかし、弱みがあるとすれば、ここまで一度も負けていないことでしょう。

今年2月4日付の『東京スポーツ』に「魔法のムチ 武邦彦の真実」という連載記事が掲載されました。そこに、往年の名騎手武邦彦さんが、5戦全勝のロングエースで72年の皐月賞に挑んだときの心理が記されています。

「『楽に勝てるやろ』が周囲のムードだった。当然1番人気。でも僕自身は迷いながらの出走だった。

ロングは負けていない弱さがあった。皐月賞までに一つでも黒星を喫していればそこで見えるものがある。課題が見つかる。でも無敗だったがゆえにどこに弱さがあるのかがわからなかった。負ける時のパターンを見いだせずに皐月賞を迎えた。

悪いことに、そんな迷いがレースで馬に伝わってしまった。スタートしてハミをガッチリかんでそのまま折り合いを欠いてしまった。結果はランドプリンスの3着――。

弱さを知ること。何かにチャレンジする際、自分の中にある弱い部分を把握する。それがいかに大事かを痛感した皐月賞だった。

だからダービーは逆に自信満々だった。課題は折り合い面。それさえ注意して乗れば勝てる確信があった。レースはタイテエム、ランドプリンスを見ながら、この2頭よりワンテンポ仕掛けを遅らせてスパートした。今でも当時のビデオを見る時があるんだけど、完璧な騎乗。会心の勝利だったね。」

ここまで楽勝続きのペルーサ。はたして横山典弘騎手はこの馬の“弱点”を把握しているのでしょうか? あるいは、そもそもそんなものは存在しないのでしょうか? ここを難なく勝つようならシンボリルドルフ、ディープインパクトのカテゴリーに含まれる馬でしょう。

2010年5月25日 (火)

アドマイヤプリンス復活

東海Sのあとに行われた白藤賞(3歳500万下・芝1800m)で、5ヵ月ぶりの出走となったアドマイヤプリンスが6馬身差で圧勝しました。思わず身を乗り出してしまうような強さでした。予想は◎△○で的中。3連単は11760円でした。『web競馬王』に提供した予想を転載します。

「◎アドマイヤプリンスは『アグネスタキオン×ヘクタープロテクター』という組み合わせ。母プロモーションはクイーンC(G3)の勝ち馬で、4分の3兄に青葉賞(G2)と毎日杯(G3)を勝ったアドマイヤメイン(父サンデーサイレンス)がいる良血。休養前の京都2歳Sではヴィクトワールピサと一騎打ちの死闘を繰り広げた実績もある(4着)。久々だがここでは一枚上だろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103331/

昨年のPOGで最も注目を集めた馬の1頭で、去年11月、京都2歳Sでヴィクトワールピサとマッチレースを演じた際のラップは特筆すべきものでした。4ハロン地点から9ハロン地点までの5ハロンを、内アドマイヤ、外ヴィクトワールでビッシリと馬体を併せ、12秒5-12秒4-11秒4-11秒2-11秒2というラップ。尻上がりにペースアップする息の入らない流れです。先に音を上げたのはアドマイヤプリンスで、残り1ハロンで脱落。ヴィクトワールピサはそのままトップでゴールを駆け抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZSjgru-t0OQ

2歳戦でこのラップを刻み、しかも最後の1ハロンを11秒8でまとめたヴィクトワールピサは、この時点でまずクラシック級です。速い脚を長く使いました。後半5ハロン58秒0はきわめて優秀で、2歳の芝2000m戦においてこれより速いタイムを出して勝った馬は、過去にディープインパクトしかいません。

ラストで垂れてしまったアドマイヤプリンスも、ラップの厳しさを考えれば健闘といえるもので、重賞クラスではあるだろうと感じました。続くラジオNIKKEI杯2歳S(9着)の敗因は、激走の後遺症(心理的なものも含めて)も少なからずあったのではないかと推測します。

リフレッシュして帰ってきた今回、どんなレースになるのかと興味津々でしたが、予想をはるかに上回る強さを見せてくれました。母プロモーションは、その父ヘクタープロテクターにはさほど似ず、むしろ母の父 Assert に似た渋いタイプの中距離馬で、重馬場のオークスで4着という戦績もあります。したがって、2400mぐらいまでは守備範囲。小さくまとめてしまうというヘクターの欠点に関しても、それほど心配はいらないのではないかと思います。ヴィクトワールピサにリベンジを挑むためにも、さらなる快進撃を期待したいものです。

2010年5月24日 (月)

東海Sはシルクメビウス

ラスト3ハロンは「11秒9-12秒0-12秒1」ですから、逃げたトランセンドは決してバテたわけではなく、藤田騎手がこれ以上ないという好騎乗を見せたと思います。これを中団追走から外をマクって35秒1の脚を繰り出し、キッチリ差し切るのですからモノが違いました。予想は◎○で的中。馬単は1640円でした。『web競馬王』に提供した予想を転載します。

「◎シルクメビウスは『ステイゴールド×ポリッシュネイビー』という組み合わせ。母チャンネルワンは『ポリッシュネイビー×マルゼンスキー』でブサンダ3×5、さらにそれと血統構成が近いレリックを持っているのでパワー十分。母方のパワーと父方の瞬発力が最良の形で融合し、ハイレベルなダートホースとなった。前走は休み明けのレースとしてはまずまずの内容。休養前の実績からして一度叩いた今回は軸不動。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106156/

昨年暮れのジャパンCダートで、エスポワールシチーに次ぐ○評価としたように、器は相当大きいと判断しています。次は帝王賞でしょうか。エスポワールは回避するとのことなのでまず連を外すことはないでしょう。

2010年5月19日 (水)

ウオッカ、2回目の交配も不受胎

アイルランドのギルタウンスタッドに繋養され、Sea the Stars との交配が試みられていたウオッカは、4月11日に続き28日の交配でも不受胎が確認されました。ちょっと気になるニュースです。

ウオッカの日本ダービー制覇は、牝馬としては64年ぶりのことでした。同じようにアメリカでは、1980年に牝馬の Genuine Risk が65年ぶりにケンタッキーダービーを勝ちました。同馬は現役を退いたあと、繁殖牝馬として苦難の途をたどり、不受胎や流産などで10年以上も産駒ができませんでした。そして、懸命の治療が続けられた結果、16歳にして初めての産駒が誕生。しかし結局、同馬は生涯に2頭の産駒しか得られませんでした。
http://www.pedigreequery.com/genuine+risk

似たような例として、1949年に凱旋門賞を勝った Coronation が挙げられます。世界的に広く知られたこの女傑はとうとう1頭の産駒も送り出すことができませんでした。子宝に恵まれなかった原因を Tourbillon 2×2のインブリードに求める向きもありますが、個人的には並外れた競走能力と何らかの関連があるように思います。Coronation の2頭の全妹は正常に子を送り出しました。
http://www.pedigreequery.com/coronation

秋華賞とエリザベス女王杯を制したファインモーションにも産駒がいません。発情もないため最近では種付けすら行われていないという話を耳にしたことがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999110187/

男勝りの活躍をした牝馬のなかには、稀にこういったタイプがいるような気がします。ウオッカの場合、まだ初年度であり、しかも3回目の種付けが残っているので、心配するのは気が早いかもしれません。朗報を待ちたいと思います。

2010年5月17日 (月)

ヴィクトリアマイルはブエナビスタ

体調万全なら力が抜けている海外帰りの2頭が、七~八分のデキで格下馬とどう戦うのか? 結果は見てのとおりです。ブエナビスタに関しては、追い切りの映像を見るかぎり、過去最低のコンディションだろうと感じていたのですが、強かったですね。地力が違いすぎました。5月12日のエントリーで取り上げたように、切れ味に絶対の強みがある馬なので、本調子になくとも現在の府中では頑張れたということでしょう。2着のヒカルアマランサスも瞬発力勝負に強いアグネスタキオンの子です。

4着に敗れたレッドディザイアは、マイル向きではありませんし、ブエナビスタと同様、調子がイマイチだったので、今回の内容で十分でしょう。叩いて距離が延びる次走が狙い目です。

予想は完敗でした。ブエナビスタを○に下げて、代わりに◎を打ったラドラーダは13着。出負けして4コーナーで最後方にいるようではどうにもなりません。

2010年5月15日 (土)

ヘクタープロテクター死亡

5月12日、北海道日高郡新ひだか町のレックススタッドで死亡しました。22歳。現役時代は仏2000ギニー(G1)、ジャックルマロワ賞(仏G1)など5つのG1を含めて12戦9勝の成績を挙げた名馬でした。

早熟のスピードタイプでローカル向き、といったタイプの種牡馬でしたが、全妹に Bosra Sham(英チャンピオンS、仏1000ギニー)、半弟にシャンハイ(仏2000ギニー)が出たこと、そして初期の産駒から Limnos(日本産馬初の欧州Gレース制覇)と Shiva(同G1制覇)が現れたことにより、海外での評価は高い種牡馬でした。イギリスへレンタルされたり、オーストラリアへシャトルで渡ったりと、まさに席が温まる暇がなかったという印象です。

初年度産駒がデビューした夏は印象的でした。同期にはリズムとスキャンというミスタープロスペクター産駒の新種牡馬がおり、いずれも華々しい競走成績を持っていたので注目されていたのですが、スタートダッシュを決めたのはヘクタープロテクターでした。7月8日に産駒がデビューしてから9月3日にエイシンイットオーが小倉3歳S(G3)を勝つまで、約2ヵ月間に13戦7勝(!)。前年にデビューしたサンデーサイレンスは13戦した時点で3勝だったので、その凄まじさが分かると思います。

Mr.Prospector 系のスピードタイプなので、ローカルの2歳短距離戦では信頼できる種牡馬でした。JRAではセンターライジング(サンスポ賞4歳牝馬特別)、キタサンチャンネル(ニュージーランドT)、プロモーション(クイーンS)など8頭が重賞を勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109152/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998104068/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1994108627/

海外での種付けからは、Royal Purler(フライトS-豪G1)、Hec of a Party(AJCイマンシペイションS-豪G2)、Shanty Star(クイーンズヴァーズ-英G3)、Vanquished(GCTCザプライムミニスターズC-豪G3)などが誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/royal+purler
http://www.pedigreequery.com/hec+of+a+party
http://www.pedigreequery.com/shanty+star
http://www.pedigreequery.com/vanquished2

代表産駒の Limnos と Shiva の兄妹は、Riverman≒Mill Reef 3×3に加え、父方のプレイメイトが持つ War Admiral と La Troienne の凝縮を、母方の Mr.Busher によって継続するという教科書のような配合でした。
http://www.pedigreequery.com/limnos

母の父としてはこれまでに、ブラックエンブレム、タイセイアトム、アドマイヤメインなどを出していますが、この3頭の母はそれぞれ「ヘクター×Vaguely Noble」、「ヘクター×ダイアトム」、「ヘクター×Assert」という配合。ヨーロッパのスタミナ血脈と結びついた牝馬が母となって良駒を送り出す傾向が見られます。

2010年5月13日 (木)

力のいるダートに向くコマンダーインチーフ系

12日に川崎競馬場で行われた重賞・川崎マイラーズ(ダ1600m)は、2番人気のイーグルショウが勝ちました。

父スエヒロコマンダーは、鳴尾記念(G2)と小倉大賞典(G3)の勝ち馬で、種牡馬としてはすでにイナズマアマリリス(ファンタジーS)を出しています。母ジェイドストリークは Number≒Nureyev 2×2という大胆な配合。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004100519/

スエヒロコマンダーの父コマンダーインチーフは、英・愛ダービー馬という実績と、名種牡馬ウォーニングの半弟という良血を引っ提げて種牡馬入りしたのですが、当初かけられていた期待の大きさからすると全体的にはイマイチという成績でした。スピードに乏しく、速い脚がないという欠点があり、ダートに活路を見出す産駒も少なくありませんでした。

ただ、“種牡馬の父”としては意外に悪くなく、スエヒロコマンダーのほかにも、レギュラーメンバーが昨年の東京ダービー馬サイレントスタメン、東海ダービー馬ダイナマイトボディなどを出し、地味ながら成功を収めています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104877/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104820/

  コマンダーインチーフ(1990)
    スエヒロコマンダー(1995)
    │ イーグルショウ(2004)……川崎マイラーズ
    レギュラーメンバー(1997)
      サイレントスタメン(2006)……東京ダービー

力のいるダートに向いた血統といえるでしょう。

2010年5月12日 (水)

Sir Gaylord の瞬発力

ヴィクトリアマイルは、ブエナビスタとレッドディザイアの四度目の対決となります。ここまでの対戦成績はブエナ2勝、レッド1勝。それぞれの着差は1/2、ハナ、ハナですからほぼ互角です。この2頭の配合構成が似ていることはよく知られたところですが、ここであらためて振り返っておきたいと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ブエナビスタ ―――┤ ┌ Caerleon
          └○┤
            └○┐
              └ Santa Luciana

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
レッドディザイア ―┤ └○┐
          │   └ Santa Luciana
          │ ┌ Caerleon
          └○┘

サンデーサイレンス、Caerleon、Santa Luciana の三血脈が近い世代にあります。似たような血統構成の2頭が、同じ世代にあってライバル関係にあり、しかも国際級の名馬であるというのは、あらためて凄いことだなぁと感じます。

今回の1番人気はブエナビスタになりそうです。上記の三血脈のコンビネーション以外にこの馬の配合で注目したいのは Sir Gaylord。母系にこの血を持つスペシャルウィーク産駒はよく走っており、シーザリオ、レーヴドリアン、トライアンフマーチなどがこのパターンに当てはまります。

Sir Gaylord の最大の長所は“切れ味”です。その代表産駒 Sir Ivor は、20世紀のイギリスを代表する名騎手レスター・ピゴットが「私が乗ったベストホース」といって憚らなかった名馬で、ゴール前で繰り出す瞬発力が最大の武器でした。68年の英ダービー、ワシントンDCインターナショナルは、いずれも素晴らしい切れ味を発揮して勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=5ahW6RIfaqE
http://www.youtube.com/watch?v=vtCzut8FyGM

80年代のヨーロッパ最強馬ダンシングブレーヴにも、Sir Gaylord が含まれています。
http://www.pedigreequery.com/dancing+brave

母の父 Drone は Sir Gaylord の息子で、Sir Ivor と血統構成がきわめてよく似ています。
http://www.pedigreequery.com/drone
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor

      ┌ Sir Gaylord
      │     ┌ Pharamond
Drone ―――┤   ┌○┤
      │ ┌○┘ └ Alcibiades
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

      ┌ Sir Gaylord
      │   ┌ Mahmoud
Sir Ivor ―┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Pharamond
        └○┤
          └○┐
            └ Alcibiades

ダンシングブレーヴの瞬発力は凄まじいものでした。この能力の多くは Sir Gaylord-Drone から受け継いだものではないかと思います。大外一気で突き抜けた86年の凱旋門賞は衝撃的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=hCucJx2vL-k

スペシャルウィークはピリッと切れるタイプの種牡馬ではないので、Sir Gaylord のような血が入ると弱点を補うという作用もあると思います。

ブエナビスタの配合は、08年のマイルCSを制した“上がり33秒台の女王”ブルーメンブラット(父アドマイヤベガ)とも似ています。いずれもサンデー系で、母方に Sir Gaylord、Round Table、Northern Dancer が入ります。アドマイヤベガの2代母アンティックヴァリューは、Nijinsky とよく似ている(Northern Dancer+Menow+Bull Lea)ので、さらに配合は近いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102993/

今回のレースは、出走予定馬のプレレーティングを見ても、ブエナビスタとレッドディザイアの実力が抜けていることは明らかです。ただ、それで決まらないのが競馬。体調が整わなければ一昨年のウオッカのように負けてしまいます。帰国緒戦だけに追い切りを見ないことには印は決められません。

2010年5月11日 (火)

トライマイベスト=El Gran Senor

昨年秋に誘拐されたイタリアの種牡馬 Martino Alonso が無事発見されたそうです。事件発生から半年以上が経過していたので、関係者も最悪の事態を想定していたことは想像に難くありません。種牡馬誘拐→無事発見、という流れを目にすると、つい Shergar 生存のエイプリルフールネタを思い出してしまうのですが、今回は本当のようです。

Martino Alonso は、現役時代にイタリアのG1で2着、3着という成績。至って平凡です。種牡馬としても大きな期待は掛けられず、初年度の産駒数はわずか一桁でした。しかし、そのなかからいきなり Ramonti という国際級の大物が出現しました。通算20戦12勝(2着5回)。レコード勝ちしたクイーンアンS(英G1・芝8f)のほか、サセックスS(英G1・芝8f)、クイーンエリザベスS(英G1・芝8f)、香港C(港G1・芝2000m)、ヴィットリオディカプア賞(伊G1・芝1600m)など数多くのGレースを制しています。いまのところ Martino Alonso 産駒の大物は Ramonti だけで、ほかの産駒とはレベルが違いすぎるので鬼っ子というべき存在です。

Ramonti は、トライマイベスト=El Gran Senor 4×2という大胆な全きょうだいクロスを持っています。伝えるものが弱い血は、これぐらい思い切った配合をしないと大物を出せないということでしょう。
http://www.pedigreequery.com/ramonti

トライマイベストを持つ日本の代表的な種牡馬といえばキングカメハメハ。初年度産駒のナサニエルは、フサイチホウオー、トールポピーの半弟にあたる良血で、全日本2歳優駿(G1)で2着となりました。この馬はトライマイベスト=El Gran Senor 4×3です。今年の2歳では、ツルマルグラマーの2008がトライマイベスト=El Gran Senor 4×3。インディゴワルツの2008がトライマイベスト≒ロッタレース4×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101894/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103089/

2010年5月10日 (月)

NHKマイルCはダノンシャンティ

いくら馬場がよかったとはいえ、1000mを57秒9で通過しながら上がりを33秒5でまとめるのですから、展開に恵まれた勝利というわけではありません。

同日の古馬準OP(芝1600m)を勝ったカウアイレーンは、1000mを60秒9で通過(ダノンシャンティより3秒遅い)し、上がりは33秒3(わずか0秒2差)でした。ダノンシャンティの能力の高さがうかがい知れます。どんな流れでも33秒台で上がれる能力は他陣営からすれば脅威でしょう。

『web競馬王』の予想は◎△○で馬単2680円、3連単17180円的中。ただ、ウマニティでは欲を掻いて点数を絞ったため失敗しました。予想文を転載します。

「◎ダノンシャンティは『フジキセキ×マークオブエスティーム』という組み合わせ。母シャンソネットはシングスピールやラーイの半妹にあたる良血。2代母グローリアスソングはカナダ年度代表馬、米最優秀古馬牝馬。『ヘイロー3×3』だけが目立つ単純な配合に見えがちだが、じつはそうではなく、アンガール≒エルバジェ4×4、ミランミル5×6など、重厚な血が全体をしっかり支えている。それ以外にもダンスインザダークなどに見られるブルースウォーズ=ブルーヘイズの全兄妹クロスを持つなど、底力を感じさせる緻密な配合構成で見どころがある。母の父マークオブエスティームから受け継いだ切れ味は非凡。前々走の共同通信杯は展開のアヤで2着に敗れたが、前走の毎日杯は上がり33秒4、左ムチ一発で楽々と差し切った。レース前半は掛かり気味だったのでペースが速くなるのはプラスだろう。東京芝マイルはほぼベスト条件なのでしっかり結果を出すはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105709/

英気に満ちた末脚は爽快の一語。フジキセキがついに傑作を送り出したという感が強いですね。共同通信杯、毎日杯、NHKマイルCと◎を打ち続けたのは、それだけ配合を高く評価していたからです。ちなみに『競馬王』誌上では、毎日杯の前からNHKマイルCの本命馬として挙げていました(5月号の亀谷敬正氏との巻頭対談をご参照ください)。

ダノンシャンティと人気を分け合ったサンライズプリンス(4着)は、強さは認めても▲しか打てませんでした。そのフットワークは、よくいえば力強く、悪くいえば緩慢です。スローから平均ペースの切れ味勝負になればダノンシャンティに歯が立たず、ハイペースでもマークされたら苦しいだろうという見立てでした。したがって、同じく切れ味に特長のあるリルダヴァルを○とし、サンライズは▲にとどめました。レース後、横山典弘騎手はいみじくも「タメて切れるタイプでもない」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っています。もっとも、今回はあまりにもハイペースだったので、潰れたのは仕方のないところでしょう。

それにしても、今年の3歳牡馬はレベルが高いですね。ヴィクトワールピサ、ペルーサ、ダノンシャンティの3頭は世界のどこへ出てもトップを争える逸材でしょう。今年のダービーは空前絶後の大決戦となりそうです。

2010年5月 9日 (日)

プリンシパルSはルーラーシップ

デビュー以来、さまざまなアクシデントに遭遇し、回り道をしながら、それでもしっかりとダービーへのパスポートを手にしたのですから大したものです。『web競馬王』の予想では◎を打ったものの、2着のクォークスターが抜けてしまい不的中。予想を転載します。

「◎ルーラーシップは『キングカメハメハ×トニービン』という組み合わせ。母エアグルーヴは現役時代に年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯2回)、フォゲッタブル(ステイヤーズS、ダイヤモンドS)を出しておりきわめて優秀。父母ともにサンデーを持たない配合としてはこれ以上望めないレベルにある。キングカメハメハ産駒は東京コースを得意としており、本馬もトビの大きいダイナミックなフットワークなので、十中八九、東京コースは合うはず。出遅れて後方インに押し込められた前走は力を出し切れなかった。条件が変わった今回はいいだろう。」

手綱をとった横山典弘騎手は「フットワークが現状無駄に大きい」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメント。角居勝彦調教師は「まだ体も緩いし、もう少し待ってあげたらと横山騎手から言われました」(同)。

要するにまだ未完成ということなので、ダービーではやや足りないかもしれません。しかし、今回のパフォーマンスを見てのとおり、器の大きさは歴然としています。荒削りなレースぶりで勝つ馬は得てして過大評価されがちですが、この馬はその種のハッタリ屋ではなく、やはり何物かを持っていると思います。ダイナミックなフットワークはサッカーボーイを思い出します。
http://www.youtube.com/watch?v=7nfXGPxiKBw

2010年5月 8日 (土)

京都新聞杯はゲシュタルト

08年のメイショウクオリア、09年のベストメンバー、そして今年のゲシュタルトと、3年連続でマンハッタンカフェ産駒が優勝しました。この条件がよっぽど合っているのでしょう。『web競馬王』の予想は○▲で馬連1060円を的中しました。

何度か記しているように、ゲシュタルトについては昨年の春からその配合に注目していました。『競馬王のPOG本 2009~2010』の「栗山ノート」で、“マンハッタンカフェのA級配合馬”としてピックアップした5頭(131頭から選抜)に含まれています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/

母系に Sadler's Wells を持つマンハッタンカフェ産駒には、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ヤマニンウイスカーといった活躍馬がいます。ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては、4月30日のエントリーで論じていますのでご参照ください。ちなみに、今年の2歳世代には、母系に Sadler's Wells が入る配合パターンでゲシュタルトを上回るものは残念ながら見当たりません。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

◎レーヴドリアンは3着。33秒9というメンバー中最速の上がりをマークしたものの及びませんでした。こういう競馬しかできない馬なので仕方ないですね。今回はペースが速くなるので届くという読みでしたが、向正面で思ったよりもペースが落ち着いてしまいました。気性が成長しないことには同じような競馬の繰り返しでしょう。

2010年5月 7日 (金)

ギリシャのサラブレッド

ギリシャ危機が世界を揺るがしています。昨晩、94円だったドル円の為替レートは、今朝起きてみると91円。未明には一時87円台をつけました。アメリカで100万ドルの馬を買うとすると、昨晩は9400万円必要でしたが、今朝は9100万円で買えるわけです。そういう意味ではお得感があるとはいえ、日本経済への悪影響が深刻なので喜んでいる場合ではありませんね。

ギリシャの競馬については何一つ知りません。ただ、昨年のちょうどいまごろ、ギリシャ出身の Ialysos というスプリンターがイギリスに遠征したことは覚えています。

Ialysos は2004年にギリシャで誕生。父 So Factual、母 Vallota は Polish Precedent の娘ですから、いわゆる持込馬です。
http://www.pedigreequery.com/ialysos

ギリシャのオールウェザーコースで7戦全勝のあとイギリスへ渡り、ヘイドックで行われた移籍緒戦(芝5ハロンのリステッドレース)を勝ったときにはニュースになりました。続くロイヤルアスコットのゴールデンジュビリーS(英G1・芝6f)はさすがに相手が強く、道悪にも脚をとられ14頭立ての12着と惨敗。しかし、続くサンダウンのスプリントS(英G3・芝5f)では巻き返して優勝しました。ギリシャ出身馬がイギリスのGレースを勝つのは史上初ではないでしょうか。Ialysos はその後、シーズン終了までに2戦し、13着、10着という成績を残しています。

Ialysos の半妹 Irida は、地元ギリシャの Filandros という種牡馬を父としています。この父系は見たことがありませんでした。
http://www.pedigreequery.com/irida2

  Teddy(1913)
   Brumeux(1925)
    Borealis(1941)
     Atromitos(1949)
      Nilefs(1966)
       Stavraetos(1971)
        Evippos(1981)
         Filandros(1994)

Borealis はディープインパクトの4代母の父でもあります。こんなラインが残っていたとは驚きです。月並みな感想ですが世界は広いですね。

2010年5月 6日 (木)

英1000ギニーは Special Duty

5月2日に行われた英1000ギニー(G1・芝8f)は、単勝67倍の Jacqueline Quest がハナ差で先頭ゴールインしたものの、進路妨害のため2着降着。1番人気のフランス調教馬 Special Duty が繰り上がって優勝しました。ゴール前の競り合いで、Jacqueline Quest は Special Duty をかなり押圧していたので、この判定は仕方がないかなという気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=LwvParJLCdo

イギリスのクラシックレースにおいて1位入線馬が降着または失格したのは、Nureyev(80年の英2000ギニー)、Aliysa(89年の英オークス)に次いで3頭目だったと思います。Special Duty の馬主アブデュラ殿下は、ちょうど30年前に Nureyev の失格で英2000ギニーをものにした Known Fact の馬主でもありました。つまり繰り上がりによる英クラシック制覇は二度目です。ただ、06年の仏1000ギニー(G1・芝1600m)では、逆に1位入線の Price Tag が3着に降着するという憂き目にあっています。

「ヘネシー×Distant View」という組み合わせなので、いかにも一本調子のスピード馬という感じです。昨年秋にチェヴァリーパークS(英G1・芝6f)を勝ったときは、たしかに強かったものの2歳戦向きのタイプと感じたので、クラシックでは楽な戦いにはならないだろうと考えていました。今回のレースは、ニアサイドとファーサイドに馬群が二分し、ファーサイド組が全滅するという馬場コンディションのアドバンテージがあったのも事実です。
http://www.pedigreequery.com/special+duty

1位入線も2着降着となった Jacqueline Quest は、ノエル・マーティン氏の持ち馬。彼は14年前の96年に、滞在中のドイツでネオナチに襲撃され負傷。以来、手足が動かなくなり車椅子生活を余儀なくされています。降着を告げられると目に涙を浮かべていたそうです。人情としては勝たせてあげたかったですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ygMuXQdqZT0

2010年5月 5日 (水)

英2000ギニーは Makfi

5月1日に行われた英2000ギニー(G1・芝8f)は、中団待機のフランス馬 Makfi が後半鋭く伸びて快勝しました。通算成績は3戦全勝。
http://www.youtube.com/watch?v=1UTQ3yg0HsU

父 Dubawi は、わずか1世代を残して急逝した Dubawi Millennium の忘れ形見。現役時代にジャックルマロワ賞、愛2000ギニーなどG1を3勝した名馬で、初年度産駒となる今年の3歳世代から、この Makfi と伊2000ギニー(G3)を勝った Worthadd を出しています。出足好調ですね。

Makfi は、父 Dubawi(愛2000ギニー)、母の父 Green Desert(英2000ギニー2着)、2代母の父 Irish River(仏2000ギニー)ですから、ギニーレースに向いた血統です。父が持つ Sir Ivor≒Drone のクロスを継続している(6・6×4)ほか、Mill Reef≒Riverman 5×4などもあるので、配合的にはよくできていると思います。スローペースの切れ味勝負をズバッと突き抜けたので日本向きかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/makfi

騎乗したクリストフ・ルメール騎手は、いまや世界を代表する名手のひとりですね。今年からアガ・カーン四世殿下の主戦ジョッキーとなったので、これからさらにビッグタイトルを手にするでしょう。ただ、Makfi は殿下の所有馬ではありません。

2010年5月 4日 (火)

ケンタッキーダービーは Super Saver

まず印象に残ったのはカルヴィン・ボレル騎手の巧みな手綱捌き。ラチ沿いを通って鮮やかに抜け出しました。白い帽子、白い勝負服のゼッケン4番が Super Saver です。
http://www.youtube.com/watch?v=1HIX4SX07m8

彼はここ4年間のダービーで1、3、1、1着という成績。チャーチルダウンズは地元コースなので特性を知り尽くしています。まさに“ダービーマスター”です。07年の Street Sense、09年の Mine That Bird、今年の Super Saver に共通するのは、道中インぴったりを回り、コースロスなくポジションを上げていったこと。

Street Sense で勝った際は、3コーナーから前詰まりすることなく最内をスイスイ上昇するという、カッパーフィールド顔負けのイリュージョン騎乗でした。上空からの映像でそのコース取りの妙を堪能することができます。
http://www.youtube.com/watch?v=sS6q36Xqcps

振り返れば、チャーチルダウンズで行われた91年のブリーダーズCジュヴェナイルで、パット・バレンズエラ騎乗のアラジがああいう競馬をして勝ちましました。
http://www.youtube.com/watch?v=mYIQttbYOOs

チャーチルダウンズでは、前半飛ばしすぎると3コーナーあたりから全体のラップが落ちるので、ああいうマクリが可能になるわけですが、多頭数の競馬でインを突くというのは捨て身の覚悟が必要です。ボレル騎手は狭いスペースを突く技術と度胸がズバ抜けているのでしょう。

父 Maria's Mon にとっては、01年の Monarchos に続く2頭目のケンタッキーダービー馬。ここ半世紀で複数の優勝馬を出した種牡馬は、Bold Bidder(74年 Cannonade、79年 Spectacular Bid)、Exclusive Native(78年 Affirmed、80年 Genuine Risk)、Halo(83年 Sunny's Halo、89年サンデーサイレンス)、Alydar(87年 Alysheba、91年 Strike the Gold)に次いで5頭目となります。

Maria's Mon は Seattle Slew と相性がよく、これまでにG1を勝った7頭の産駒のうち、3頭(Wait a While、Super Saver、Latent Heat)がこのパターンから誕生しています。とくに Wait a While と Super Saver は、いずれも母の父に A.P.Indy を持っています。この2頭は、Maria's Mon 産駒の賞金獲得順で1、2位を占めており、偶然とは思えません。
http://www.pedigreequery.com/wait+a+while
http://www.pedigreequery.com/super+saver3

Maria's Mon の父の母 Uncommitted と、Seattle Slew の母 My Charmer には、いずれも War Admiral と La Troienne の強い凝縮があります。これが脈絡することで好結果を生んでいると考えられます。
http://www.pedigreequery.com/uncommitted
http://www.pedigreequery.com/my+charmer

       ┌○┐ ┌ War Admiral
       │ └○┤
Uncommitted ―┤   └○┐
       │     └ La Troienne
       │   ┌○┐
       │ ┌○┤ └ La Troienne
       └○┘ │ ┌ War Admiral
           └○┘

       ┌○┐
       │ └○┐ ┌ War Admiral
       │   └○┤
My Charmer ―┤     └ Baby League(その母 La Troienne)
       │
       │ ┌○┐ ┌ War Admiral
       └○┘ └○┤
             └ Baby League(その母 La Troienne)

Seattle Slew 産駒の A.P.Indy は、「War Admiral+La Troienne」を抱える Buckpasser を母系に持つので、上記の特長をさらに強化した形となっています。
http://www.pedigreequery.com/ap+indy

       ┌○
Buckpasser ―┤ ┌ War Admiral
       └○┤
         └○┐
           └ La Troienne

Super Saver の母系は優秀で、母 Supercharger の全妹の子には、06年のケンタッキーダービーとベルモントSで2着となった Bluegrass Cat がいます。
http://www.pedigreequery.com/bluegrass+cat2

また、2代母は本邦輸入種牡馬リズムの全妹。4代母はこれまた War Admiral と La Troienne の強い凝縮を持つ Numbered Account です。

         ┌○┐ ┌ War Admiral
         │ └○┤
Numbered Account ┤   └○┐
         │     └ La Troienne
         └○┐
           └○┐ ┌ War Admiral
             └○┤
               └○┐
                 └ La Troienne

ここまでやるか、というぐらい「War Admiral+La Troienne」の血を重ねています。しかし、アイドルアワーファームから生まれたこの血統が、現代アメリカ血統の中核を形成していることを考えれば、別段奇異なこととは思いません。むしろ保守本流、といえるでしょう。

2010年5月 3日 (月)

天皇賞・春はジャガーメイル

以前からジャガーメイルのレースぶりには疑問を抱いていました。なぜあれほど抑えるのだろうか、と。たしかに母の父はサンデーサイレンスですし、溜めればそれなりの脚は使います。ですが、やはりジャングルポケット産駒です。トップレベルを相手にディープインパクトのような追い込みは無理でしょう。

ただ、これはジャガーメイル自身にも問題がありました。右回りではときおりコーナーでモタれる癖を出し、位置取りを上げようにも上げづらいところがあったのです。前走の京都記念で初めてブリンカーを装着すると行きっぷりが良化。ブエナビスタをマークして早めに進出し、僅差の2着に食い込みました。これは大きなターニングポイントだったと思います。

ですから今回は、中団でピタリと折り合った時点で“勝負あり”でした。『web競馬王』に提供した予想は◎△で馬単4190円的中。以下に転載します。

「◎ジャガーメイルは『ジャングルポケット×サンデーサイレンス』という組み合わせ。これはフサイチホウオーとトールポピーの兄妹、トーセンキャプテン、アプリコットフィズなどが出ているニックス。父ジャングルポケットは中長距離で圧倒的に強く、芝2500m以上では連対率27.5%。これは2000年以降、産駒が当該距離で50走以上している種牡馬のなかで第2位にあたる優秀な成績。右回りで走る場合、コーナーでモタれる悪癖によってロスが生じ、左回りに比べてもうひとつの成績だったが、前走の京都記念では初ブリンカー効果によって悪癖を出すことなく、ブエナビスタと僅差の勝負に持ち込んだ。昨年の当レースは、久々の上に位置取りが後ろ過ぎたにもかかわらず5着。今年は、昨年に比べて格段に体調が良く、さらにはブリンカー効果も望める。上がりの速い競馬にも対応可能。首位争いに加わってくるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004107116/

鞍上のクレイグ・ウィリアムズ騎手は、今回騎乗するにあたって、ジャガーメイルの全レースをビデオで研究し、以前手綱をとったことのあるマイケル・キネーン騎手にアドバイスを請うたとのこと。ここまでできる騎手はそういません。中団で折り合い、勝負どころで自然に位置取りを上げ、直線で差し切るというパーフェクトな騎乗でした。

今回の勝利はフロックではありません。3200mのスペシャリストというわけでもありません。宝塚記念も勝ち負けでしょう。

2010年5月 2日 (日)

八重桜賞はシャイニンアーサー

土曜日の東京9R・八重桜賞(3歳500万下・芝1600m)は、青葉賞と同じ藤沢和雄厩舎&横山典弘騎手のコンビのシャイニンアーサー(4番人気)が快勝しました。スタートで出遅れたときにはどうなることかと思いましたが、直線で力強く抜け出しました。予想は◎○▲で完全的中。3連単は12580円でした。『web競馬王』の予想を転載します。

「◎シャイニンアーサーは『シンボリクリスエス×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母シャイニンルビーはクイーンC(G3)の勝ち馬で、桜花賞(G1)3着などの成績がある。前走の3馬身差圧勝は、道悪に恵まれたというよりも、初めて装着したブリンカーの効果が大きかった。シンボリクリスエス産駒は東京芝1600mで連対率36.2%と圧倒的な成績。ここでも勝ち負けに持ち込める。」

配合的にはアリゼオ(スプリングS)にそっくりです。アリゼオは「シンボリクリスエス×フジキセキ」。シャイニンアーサーは同じシンボリクリスエス産駒で、母シャイニンルビーがフジキセキの4分の3同血。さらに両者にはノーザンテーストが絡みます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103034/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102783/

          ┌ シンボリクリスエス
アリゼオ ―――――┤   ┌ サンデーサイレンス
          │ ┌○┤
          └○┤ └ ミルレーサー
            └○┐ ┌ ノーザンテースト
              └○┘

          ┌ シンボリクリスエス
シャイニンアーサー ┤ ┌ サンデーサイレンス
          └○┤ ┌ ノーザンテースト
            └○┤
              └ ミルレーサー

重心が低く、なかなかいいフットワークをする馬です。4コーナーを回って馬群から出す際、外から蓋をしてきたソールデスタンを吹っ飛ばしてびくともしませんでした。これから出世しそうな雰囲気を感じます。

2010年5月 1日 (土)

青葉賞はペルーサ

かつて七冠を制したシンボリルドルフは、まるで人間の頭脳を持っているかのようなレースぶりが印象的でした。ペルーサの走りを見ていると、なぜかその姿がオーバーラップします。知的かつスマート。欠点らしい欠点が見当たりません。青葉賞は絵に描いたような完勝でした。予想は◎△で的中。『web競馬王』の予想を転載します。

「◎ペルーサは『ゼンノロブロイ×キャンディストライプス』という組み合わせで、母アルゼンチンスターはその名のとおりアルゼンチンからの輸入馬。その全姉にアルゼンチンのチャンピオン牝馬でアメリカでもG1を制したディフェレントがいる良血。父ゼンノロブロイはアメリカ血統過多といった特徴が見られるので、ヨーロッパ血統の強い繁殖牝馬と相性がよく、それがハイペリオンをベースとしているならなおいい。本馬はこのパターン。重賞初挑戦だが素質はG1級。ここは負ける要素が見当たらない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102705/

青葉賞がグレードレースに昇格した94年以降、2分26秒0を切る時計で勝った馬はハイアーゲーム、アドマイヤメインの2頭。これらはダービーで3、2着という成績です。

また、2馬身以上の差をつけて勝った馬はシンボリクリスエス、ハイアーゲーム、アドマイヤメインの3頭。これらはダービーで2、3、2着です。

2分24秒3で駆け抜け、なおかつ後続に4馬身差をつけたペルーサは、ダービーで馬