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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

雑談

2011年10月28日 (金)

オルフェーヴル有馬記念へ

1970年に英三冠を達成した Nijinsky は、三冠目の英セントレジャーを勝ったあと、フランスの凱旋門賞に出走しました。当然のように大本命に推されたものの、伏兵 Sassafras の2着に敗れ、デビュー以来12戦目にして初の敗北を喫しました。

『新・世界の名馬』(原田俊治著・サラブレッド血統センター)に収められたニジンスキーの物語のなかで、同馬の馬主チャールズ・エンゲルハード氏は、「セントレジャーのあの距離がニジンスキーの精力を予想以上に奪いとってしまった」と、凱旋門賞の敗因について語っています。同馬は凱旋門賞のあとに出走したチャンピオンSでも Lorenzaccio の2着と敗れ、調子を戻すことなくターフを去りました。競馬史に残る偉大な名馬にしては少々寂しい幕切れだったといえるでしょう。

先日、菊花賞を勝ち史上7頭目の三冠馬となったオルフェーヴルは、ジャパンCを回避し、暮れの有馬記念に直行することが決定しました。

ジャパンC(G1)も使おうと思えば使えないことはないでしょう。出れば勝つ可能性もそれなりにあると思います。ただ、陣営も明言しているとおり、この馬の最大目標は来年秋の凱旋門賞(仏G1)です。三冠達成→ジャパンCというキツいローテーションによって、かつての Nijinsky のように調子を狂わせてしまったり、さらには闘志や活力を消耗して競走生命を縮めてしまっては元も子もありません。

池江泰寿調教師の父池江泰郎調教師が管理したディープインパクトは、7戦全勝で迎えた05年の有馬記念で、単勝1.3倍の1番人気に推されながらハーツクライの2着に敗れました。レース後、手綱を取った武豊騎手は「今日は飛ばなかった」と語りました。目に見えない菊花賞の反動があったのかもしれません。大きな目標を達成したあとのレースはとかく仕上げが難しいものです。

日本を代表するスーパーホースが、国名を冠したビッグレースをスキップすることに関しては批判があるかもしれませんが、馬のコンディションを第一に考えた末の結論だと思うので、わたしは支持します。今年の有馬記念は12月25日。例年とは盛り上がりが違うでしょう。楽しみです。

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2011年10月17日 (月)

タイムフォームが Frankel に143ポンドを与える

10月16日のエントリーに、「タイムフォームのレーティングは10月9日時点で142ですが、この勝利を受けて143~144に上がるのではないでしょうか」と記しました。最新の『Sportinglife.com』の記事によれば、タイムフォームが Frankel に対し「143」を与えたとのこと。これは145の Sea Bird(1962年生)、144の Brigadier Gerard(1968年生)、Tudor Minstrel(1944年生)に次ぐ歴代4位の記録です。

上位3頭はいずれも40年以上前に誕生した歴史的名馬。わたし自身、リアルタイムでこのレベルの名馬を目撃するのは初めての経験です。できることなら来年、一度ぐらいはヨーロッパへ出掛けて行ってそのレースぶりを目に焼き付けたいですね。セシル調教師は2000m路線にチャレンジすることを示唆しています。ロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズS(英G1・芝10f)あたりでオルフェーヴルと対決するなら仕事を放り出してでも行きます(笑)。

2011年10月 5日 (水)

シンボリルドルフ死す

ニュースを目にしたとき、わずかな思考の空白のあと、「……シンボリルドルフでも死ぬのか」と思いました。生き物ですから死ぬのは当たり前です。その当たり前のことが訪れることを不思議に思うくらい、自分のなかでシンボリルドルフは別格の存在でした。

桁外れの天稟と、侵しがたい威厳。厩舎で「ライオン」とあだ名されるほどの激しい気性であったといいます。その一方で、競馬になれば冷静沈着、まるで人間の頭脳を搭載しているかのような完璧なレースぶりでした。熱さや激しさを不思議なほど感じさせず、努力や根性といった言葉から最も遠く離れた、クールでスマートな天才でした。

一個のサラブレッドとして、これほど魅力的な存在はほかに見当たりません。現役時代から大好きな馬でしたし、その気持ちは二十数年を経ても変わることはありませんでした。

昨年9月30日のエントリー「シンボリルドルフがジャパンC当日に東京競馬場へ」のなかで、以下のように記しました。

「絶対的に強い馬(=シンボリルドルフ)に憧れる気持ちが『なぜ強いのだろう』という探求心を生み、それを解き明かそうとしたことが血統に関心を持つきっかけだったと思います。そういう意味でシンボリルドルフは自分の人生を変えた馬といえます。初めて5代血統表を書いた馬はシンボリルドルフでした。もっとも、完成した血統表を見たところで何が何やらわかりませんでしたが……。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/09/post-ef66.html

昨年のジャパンC当日、東京競馬場にやってきたシンボリルドルフは、昼休みにパドックに現れてお披露目をしました。何の根拠もなくシンザンの長寿記録を抜くのだろうと思い込んでいたので、久々だなぁという感慨以外、これといって感傷を浸ることもなく、晴れやかな気分でパドックの周回を見守っていました。いまから考えればあれがファンに対する別れの挨拶でしたね。

シンボリ牧場を隆盛に導いた天才馬産家・和田共弘と、彼の馬産哲学の結晶であるシンボリルドルフについては、『神に逆らった馬――七冠馬ルドルフ誕生の秘密』(木村幸治著/ノン・ポシェット)に詳しく描かれています。『凱旋――シンボリルドルフをつくった男』を改題し、新たに文庫版としたものです。この本を読まずして日本競馬の歴史は語れません。名著だと思います。

2011年9月25日 (日)

来年から2週間前倒しで新馬戦開始

2012年のJRA開催日程が決まり(正式発表はまだです)、スポーツ新聞各紙がいくつかの変更点を取り上げています。

9月22日付の『日刊スポーツ』によれば、来年の有馬記念は最終日ではなく、土日月の3日間開催の中日(日曜=天皇誕生日)に行われるとのこと。
http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20110922-838723.html

1968年から79年まで、有馬記念は1年の最終日ではなくその1週前に行われていました。最終日に組まれていたのは中山大障害。グランドマーチスやバローネターフが中央競馬の1年を締めくくっていました。1年のオーラスが有馬記念、という番組スケジュールは古今不変というわけではありません。

翌2013年も土日月開催となりそうなので、同様の番組となるでしょう。それから先、月曜日に天皇誕生日または振替休日がきて3日間開催が可能となるのは、2018、2019、2024、2029、2030年……です。平均すると3年に1回ぐらいのペースで有馬記念は“ラス前”に移動します。これは是非の問題ではなく慣れの問題だと思うのでとくに感想はありません。

個人的に影響があるかもしれないと感じるのは、9月24日付の『スポーツ報知』が報じた「ダービー翌週から新馬戦開始へ」ですね。来年以降、新馬戦は2週間前倒しされて6月のアタマから開始されるとのこと。
http://hochi.yomiuri.co.jp/horserace/news/20110924-OHT1T00026.htm

POG業界には多少動揺があると思います。たとえば、産地馬体検査の内容を盛り込むのは難しくなるでしょう。本作りの始動時期も早まります。ライター的な立場でいえば、クラシック関連原稿とPOG関連原稿の執筆時期が重なるので、う~ん、ちょっとしんどいかな……と。早め早めに捌いていくしかありません。ダービーが終わったあと、余韻に浸る間もなくドラフト会議が開催されるので、これまでのように“ダービーまでは3歳戦に集中し、それが終わってからドラフトの準備に取り掛かる”というペースでは間に合いません。

ただ、これも慣れの問題でしょう。2歳戦が長く楽しめるようになるので歓迎すべき変更だと思います。

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2011年9月 4日 (日)

ゴールドアリュール化するネオユニヴァース

土曜小倉9Rの唐津特別(500万下・ダ1700m)は、ネオユニヴァース産駒のウインベルカント(3番人気)が快勝しました。

同馬が直線でグイグイ伸びてくる姿を目にしたとき、このところ薄々感じていたことが確信に変わりました。

ネオユニヴァースはゴールドアリュール化しているのではないか、ということです。

ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、アンライバルドなどを送り出したネオユニヴァースは、大レースに強い種牡馬として馬産地で人気を博しています。ただ、最近の競馬を見ていると、イタリアンレッドのような芝の重賞勝ち馬が出現する一方で、全体的な活躍のフィールドは芝からダートへと徐々に移ってきているのを感じます。たとえば、先日のレパードS(G3・ダ1800m)ではタカオノボルが2着と健闘しました。冒頭でご紹介した唐津特別の3レース前、小倉6R(500万下)でもネオリアライズがダート1700m戦を圧勝しています。

産駒がデビューした08年以降、芝とダートでそれぞれ何勝ずつ挙げてきたかを年ごとに並べてみます。

     芝  ダート
08年 17勝  5勝
09年 40勝 21勝
10年 54勝 42勝
11年 21勝 60勝

昨年までは芝が優勢でしたが、今年に入ってからはなんと芝よりもダートのほうが3倍近く勝っています。

ネオユニヴァースは、ほかのサンデー系の有力種牡馬と比べて、軽快なスピードに恵まれいるわけではなく、スパッと切れるわけでもありません。その代わり、パワーと底力は十分。つまり、もともとダート向きに転化しやすい資質を備えていました。この先、若い世代からタカオノボル、ナムラカイシュウ、インペリアルマーチ、アドバンスウェイのようなパワータイプが台頭してくるのではないか思います。やがては第二のゴールドアリュールとなるかもしれません。

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2011年8月27日 (土)

サンデーサイレンス2×4のレイモニが重賞勝ち

8月25日に門別競馬場で行われた2歳牝馬による重賞リリーカップ(ダ1000m)は、レイモニ(3番人気)が鮮やかに抜け出して59秒5のレコードタイムで優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=miyc1oJR3LA

父はアドマイヤグルーヴの全弟サムライハート、2代母の父はフジキセキですから、「サンデーサイレンス2×4」というクロスを持ちます。地方競馬ではありますがサンデーサイレンスのクロスを持つ初の重賞勝ち馬だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102290/

ホッカイドウ競馬ではこの配合が地味に頑張っており、モルフェソングエルが重賞で入着しているほか、モルフェマイハートも重賞出走経験があります。これだけサンデーサイレンスの血が増えてくると、重賞勝ち馬が出てくるのは時間の問題でした。いずれ中央にも現れるはずです。

レイモニは、サンデーサイレンス2×4だけでなく、Halo≒Drone≒Sir Ivor 3×4・5・5・5ですから強烈です。生産者兼馬主はオリオンファーム。2006年に開業したばかりの新しい牧場です。オーナーの大谷正嗣さんはもともとこの世界とは無縁のアウトサイダーで、現在、シンガポール在住で投資会社を経営されています。昨年夏、セレクトセールの会場で須田鷹雄さんを介してお目にかかったことがあるのですが、数語交わしただけで明晰さが伝わってくるような方でした。競馬界にどんどん新風を吹き込んでほしいですね。

2011年8月19日 (金)

ヴィクトワールピサが凱旋門賞出走取り止め

すでに報じられているとおり、フランス入りして調教を積まれていたヴィクトワールピサが、左後肢の跛行により「5週間の安静」と診断され、目標としていた凱旋門賞への出走を取り止めました。

春に香港G1を回避したときは右後肢の跛行でしたが、今回は左。このあたりに弱点を抱えているのでしょうか。

今後どこを使うかは、関係者が最善の判断を下すでしょうから、外野があれこれ考えても始まりません。ただ、ここから5週間休むとなると、復帰は早くても11月末のジャパンCでしょうか。

中山記念のレースぶりは、今年のJRAのレースのなかではオルフェーヴルのダービーと並んで最も印象的でした。そのあとのドバイワールドCの勝利はあらためて語るまでもありません。3歳時よりもはっきりとパワーアップしていただけに、フランスで予定していた2戦は昨年とは違う結果になるだろうと楽しみにしていました。残念というしかありません。

評価の高い4歳世代は、宝塚記念で連対できず、最強神話が揺らいでいます。もっとも、当時ピークを過ぎていた何頭の有力馬は、秋になればリフレッシュして戻ってくるでしょう。オルフェーヴルと4歳世代の激突は、秋競馬における大きな楽しみのひとつなので、4歳世代には以前と変わらぬ強さを保っていてほしいという希望があります。ヴィクトワールピサは4歳世代の大将ですから、一度でいいので完全な状態でオルフェーヴルと対決してほしいですね。どちらが勝つにしても名勝負になると思います。

2011年8月14日 (日)

消えた名種牡馬 Cacique

8月13日(土)に英ニューバリー競馬場で行われたジェフリーフリーアS(G3・芝13f61yds)は、3番人気の Census が勝ちました。
http://www.pedigreequery.com/census6

2着の Brown Panther はマイケル・オーウェン氏(元イングランド代表のサッカー選手)の持ち馬。こちらが勝っていればそこそこ大きなニュースバリューだったかもしれません。

ただ、Census の勝利も、血統的には目を惹く結果です。同馬の父 Cacique にとって、Mutual Trust(ジャンプラ賞-仏G1、ポールドムーサック賞-仏G3)に次ぐ2頭目の重賞勝ち馬となりました。
http://www.pedigreequery.com/cacique9

2頭が属する3歳世代は Cacique の初年度産駒。出走を果たしたものはわずか16頭です。種牡馬として人気がなかったわけではありません。なぜなら Cacique は現役時代にマンノウォーS(米G1)やマンハッタンH(米G1)などを制した一流馬で、なおかつ名種牡馬 Dansili(ハービンジャー、Rail Link などの父)の全弟にあたり、兄弟には4頭のG1馬がいるという超良血馬だからです。種牡馬としては引く手あまたでした。この華々しいファミリーについては昨年2月26日のエントリー「もう1頭のスーパー牝馬 Hasili」に詳述しておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/hasili-2836.html

産駒数が少ない理由は“受胎率の低さ”です。現2歳世代はさらに頭数が少なく、わずか数頭。結局、昨年秋に種牡馬生活をリタイアしました。繋養されていたバンステッドマナースタッドには、もともと全兄の Dansili がいたのですが、10年からは全弟の Champs Elysees がスタッドイン。同じ血統の種牡馬は3頭もいらないということで、受胎率に問題を抱える Cacique が切られたということでしょう。

Cacique 産駒は Mutual Trust と Census だけではありません。競走馬となったわずかな初年度産駒から、Slumber(英G3チェスターヴァーズ-3着、英G3ハンプトンコートS-3着)、Dominant(英G3ヨークS-3着)などが出ています。全兄 Dansili に負けない活躍ぶりです。これだけの能力を持った種牡馬が、ごくわずかな産駒しか残せず姿を消したというのはもったいないですね。

スーパー牝馬 Hasili を母に持つ名馬たちが、種牡馬や繁殖牝馬として成功し、現代のサラブレッドに大きな痕跡を刻むことになったとしたら、Census の血は希少性が高いので価値が上がるかもしれません。

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2011年8月 6日 (土)

スゲヌマの夢

暑かったもので、夕食の際にビールを飲んだら、食後に睡魔が襲ってきて、小一時間ほど寝てしまいました。そこで妙に鮮明な夢を見ました。

どこかの競馬場のスタンドに立っているのですが、それが妙に古めかしく、現代ではないように思われました。3コーナー方面に目をやると、小さな森のようなものがあったので、東京競馬場だろうと分かりました。

馬群が4コーナーを回って直線に流れ込んできます。まるで雨上がりのような美しい夕景で、白い木製の内ラチに沿ってこちらに駆けてくる馬たちを、オレンジ色の西日が照らしています。

「スゲヌマだ、スゲヌマ!」と、近くの人が叫びました。

スゲヌマといえば戦前のダービー馬じゃないか、と思ったところで目覚めました。何のオチもありません。目覚めたあとすぐに情景を反芻できるほどリアルな夢で、場内のざわめきなども耳に残っていました。

競馬の夢なら函館2歳Sの予知夢のほうがよかったなぁ~(笑)、と思いつつスゲヌマの戦績を調べたところ、やはり1938(昭和13)年のダービーを勝っていました。ただ、夢のなかのレースがダービーかどうかは分かりません。映像で確かめようと思い、家のビデオ&DVD庫を探ったところ、20年ぐらい前に買った『日本ダービー史2』というのは出てきたのですが、『1』がないため調べがつかず。レンタルDVD店で探してみることにします。

それにしても、なぜスゲヌマなのか、なぜそんな夢を突然見るのか、人間の脳というのは本当に不思議です。
http://ahonoora.web.fc2.com/sugenuma.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B2%E3%83%8C%E3%83%9E

そういえば、スゲヌマは笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』にも登場します。サラ系ですが「母国宝はバンザイの1つ下の妹で、帝室御賞典に勝っている」という記述があり、日本の競走馬育種の歴史のなかでも重要な1頭という位置付けをされています。

同書は1ページ目から順に読んでいくのもいいですが、思いついたときに興味のある章から入っていくほうが読みやすいと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

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2011年7月31日 (日)

トゥインクルレース誕生25周年

本日は日本初のナイター競馬が行われてからちょうど25年目にあたります。いまでは当たり前になっていますが、当時は画期的といえる試みでした。

浜松町駅からモノレールに乗って行ったところ、車内はラッシュ時さながらのすし詰め状態。大井競馬場前駅で吐き出され、まるで年末のアメ横のような人の流れに驚きつつ競馬場の北門にたどり着くと、そこからさらにメインスタンドまで人の波が切れ間なく続いていました。それまで大井競馬場には何度も足を運んでいましたが、これほどの混雑を経験したのは初めて。お腹が空いて売店で何かを買おうとしても、どこも長蛇の列なので並ぶ気が失せました。

25年が経過してみると、場内の混み具合や、早見優さんのコンサートといった馬とは関係ない部分だけが記憶に残り、どんなレースが行われたかはすっかり忘れてしまいました。

大井競馬場では7月31日(日)から8月4日(木)までの開催を「アニバーサリーウイーク」と称し、さまざまなイベントを実施する予定です。
http://www.tokyocitykeiba.com/news/news.php?id=2289

大井競馬場の告知によれば、新しい発走ファンファーレをお披露目するようですね。楽しみな反面、ちょっと怖いような気も……。

2011年7月30日 (土)

九州産馬限定の新馬戦はロドリゴデトリアーノ産駒だらけ

夏の小倉開幕週には、恒例の九州産馬限定の新馬戦(芝1200m)が組まれています。

九州は馬産の規模が小さく、種牡馬の選択肢も少ないため、出走馬の父が極端に偏る傾向があります。90年代は出走馬の半分がシンウルフ産駒ということがありました。ここ数年はサイレントハンター産駒が目立っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979106304/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993104485/

そして今年はロドリゴデトリアーノ産駒。土曜小倉5Rの新馬戦に出走する18頭のうち7頭が同産駒です。

日本軽種馬協会に所属する種牡馬は、国内にあるいくつかの種馬場を旅芸人のように渡っています。08年にロドリゴデトリアーノは九州種馬場で仕事に励みました。そのときの種付けで誕生した産駒が現2歳馬です。ロドリゴデトリアーノといえばエリモエクセル(オークスなど重賞4勝)やスーパーホーネット(毎日王冠など重賞4勝)の父。すでに高齢ですが配合さえ合えば一流馬を送り出せる種牡馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000d71/

ひとつのレースに同一種牡馬の子がこれだけ多いと、血統予想がしづらい面はたしかにあります。それ以前に、九州産馬は実力のバラつきが大きいので、稽古で好時計を出した馬が素直に走る傾向が見られます。今年もそのとおりに決まるかもしれません。しかし、それに流されてはいけないので、あくまでも配合にこだわった予想をしてみたいですね。

00年以降、九州産馬でJRAの平地重賞を制したのはテイエムチュラサン(アイビスサマーダッシュ)のみ。今年の2歳世代にはロドリゴデトリアーノという心強い援軍が来たので、大物が隠れている可能性もあると思います。

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2011年7月23日 (土)

芝1800~2000mのハンデ戦に強い Roberto 系

今週の注目は日曜日の函館記念(G3・芝2000m)。ハンデ重賞なので力通りにはなかなか決まらないレースです。

函館記念と条件が近い“芝1800~2000mのハンデ戦”という条件で、どの種牡馬が好成績を挙げているのか、「TARGET frontier JV」で調べてみました。05年以降、最少レース機会数は20、という設定です。

               連対率   単勝回収率
1位 タニノギムレット   34.8%  165%
2位 シンボリクリスエス  21.7%  106%
3位 マーベラスサンデー  21.4%  112%
4位 アドマイヤベガ    20.5%   95%
5位 スペシャルウィーク  20.2%  212%
6位 グラスワンダー    20.0%  112%
7位 チーフベアハート   20.0%   62%
8位 パラダイスクリーク  19.6%  270%
9位 ペンタイア      19.4%  131%
10位 ジェネラス      17.9%  109%

見てのとおりタニノギムレットが断然。この種の統計は、特定の馬が繰り返し活躍することがあるため、サンプルが少ないと正確な傾向が出てきません。タニノギムレット産駒は46走してこの成績ですから素晴らしいとしか言いようがないですね。

かつてサンデーサイレンス産駒はハンデ戦で振るいませんでした。実力以上の評価をされて重い斤量を背負わされるから……なのかもしれません。これと似ているのがアグネスタキオン産駒。ハンデ戦ではやや評価を下げたい種牡馬です。

1位のタニノギムレットは Roberto 系ですが、よく見ると、2位シンボリクリスエス、6位グラスワンダーも同系です。種牡馬ランキングではサンデーサイレンス系に歯が立たない Roberto 系が、こと芝中距離のハンデ戦に限れば躍動しています。

Roberto は現役時代、鮮やかに勝って鮮やかに負けるというタイプで、ハマれば圧倒的に強いものの、そうでない場合はからっきし、というムラ馬でした。そうした特徴は多かれ少なかれ子孫に伝わっているでしょう。大敗後、ハンデが軽くなったところで大駆けする、というパターンが決まりやすいのかもしれません。

函館記念に出走するタニノギムレット産駒はダイワジャンヌ1頭。ただし、同馬はハンデ戦に過去6回出走し、一度も掲示板に載っていません。この馬自身はハンデ戦に向いたタイプではないようです。

2011年7月22日 (金)

女傑 Time Charter

なでしこJAPANの活躍に刺激された……というわけではないのですが、牝馬関連のおもしろい映像を探して YouTube をグルグル回ったところ、わりといいものが見つかりました。

★Fantastic Fillies (1970's and 80's)
http://www.youtube.com/watch?v=aGj8Tc_jRLg

4分弱の映像ながら内容は充実しています。登場する馬のリストは以下のとおり。

Park Top(1964年生・父 Kalydon)
http://www.pedigreequery.com/park+top
Time Charter(1979年生・父 Saritamer)
http://www.pedigreequery.com/time+charter
Petite Etoile(1956年生・父 Petition)
http://www.pedigreequery.com/petite+etoile
All Along(1979年生・父ターゴワイス)
http://www.pedigreequery.com/all+along
Miesque(1984年生・父 Nureyev)
http://www.pedigreequery.com/miesque
Indian Skimmer(1984年生・父 Storm Bird)
http://www.pedigreequery.com/indian+skimmer
ペブルス(1981年生・父 Sharpen Up)
http://www.pedigreequery.com/pebbles3
Dahlia(1970年生・父 Vaguely Noble)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Allez France(1970年生・父 Sea Bird)
http://www.pedigreequery.com/allez+france

どれもこれも歴史的名牝です。このなかで、実績のわりに知名度が低い馬を1頭挙げるとすれば、Time Charter でしょうか。映像の2番目に出てくる馬です(0:15~0:35)。紹介された映像は7馬身差で牡馬を蹴散らした3歳秋の英チャンピオンS(G1・芝10f)。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな伸び脚です。

Time Charter はほかに、英オークス(G1・芝12f)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)、コロネーションC(英G1・芝12f)などを制しており、80年代前半を代表するアイルランドの名牝として知られています。

母 Centrocon はハイハット≒Aureole 2×3という、重厚さとスタミナに秀でた伝統的なイギリス血統。

       ┌ Hyperion
ハイハット ―┤ ┌ Donatello
       └○┘

       ┌ Hyperion
Aureole ―――┤ ┌ Donatello
       └○┘

父 Saritamer はダンサーズイメージを父に持つ無名のアメリカ産種牡馬で、母が持つ組み合わせのクロスを Dawn Chorus≒ハイハット3×3で継続しつつ、Native Dancer、Nasrullah、Royal Charger という超一流のスピードを注入しています。Time Charter は、Sea Bird や Northern Dancer のように、異なる個性がぶつかることによって誕生した傑作です。「組み合わせのクロス」については笠雄二郎さんの『血統論』に詳述されています。ご参照ください。
http://www.miesque.com/c00001.html

Time Charter の子には、Time Allowed(ジョッキークラブS-英G2、プリンセスロイヤルS-英G3)、Zinaad(ジョッキークラブS-英G2)などがおり、Zinaad は02年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に輝いた Kazzia(英1000ギニー、英オークス)の父となりました。
http://www.pedigreequery.com/kazzia

牝系からはこれ以外にも多くの活躍馬が出ており、日本ではヒラボクビジン(準OP)の3代母にその名を見ることができます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101587/

先日のロイヤルアスコットでクイーンメアリーS(英G2・芝5f)を勝った Best Terms も Time Charter の子孫です。いずれ Time Charter をクロスさせた名馬も出てくるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/best+terms2

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2011年7月17日 (日)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」Q&A

『血統屋』の新企画「栗山求・望田潤の一口馬主好配合馬ピックアップ」は、おかげさまで予想以上の反響をいただき出足好調です。
http://www.miesque.com/c00006.html

クラブ法人への出資は決して安いものではありません。皆さまが慎重に馬選びをなさっており、また、配合的な指針を求められていたことがよく分かりました。いくつかご質問をいただきましたので、この場を借りてお答えいたします。

Q:対象となるクラブのリストはございますか?

A:以下の15クラブです(アイウエオ順)。

■ウインレーシングクラブ
http://www.win-rc.co.jp/
■キャロットクラブ
http://carrotclub.net/
■グリーンファーム愛馬会
http://www.greenfarm.co.jp/
■サラブレッドクラブセゾン
http://www.saison-tc.co.jp/
■シルクホースクラブ
http://www.silk-hc.co.jp/
■大樹レーシングクラブ
http://www.taiki-rc.com/
■ターファイトクラブ
http://www.turfight.com/
■東京サラブレッドクラブ
http://www.tokyo-tc.com/
■広尾サラブレッド倶楽部
http://www.hirootc.jp/
■ブルーインベスターズ
http://www.blue-investors.co.jp/
■友駿ホースクラブ
http://www.yusyun-hc.co.jp/
■ユニオンオーナーズクラブ
http://www.union-oc.co.jp/
■ラフィアンターフマンクラブ
http://www.ruffian.co.jp/
■ロードサラブレッドオーナーズ
http://www.lord-to.co.jp/
■ローレルクラブ
http://www.laurelclub.com/index.html

Q:1クラブあたり何頭取り上げる予定ですか?

A:とくに決まっていません。クラブごとに募集馬の数がまちまちですし、馬のレベルにも差があります。栗山求と望田潤がそれぞれ出資しても構わないと思う馬を取り上げる、という方針です。

Q:現時点でどれぐらいの頭数を論評されていますか? できればクラブ別の内訳もお願いします。

A:現時点で20頭です。内訳は以下のとおりです。あくまでも現時点での数ですので、これから増える可能性が高く、各クラブから募集馬リストが発表されれば新たに追加していくことになります。

ラフィアンターフマンクラブ……6頭
グリーンファーム愛馬会……5頭
ユニオンオーナーズクラブ……5頭
ターファイトクラブ……2頭
友駿ホースクラブ……1頭
ローレルクラブ……1頭

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2011年7月16日 (土)

サンデーの血が通用しないアイビスサマーダッシュ

JRA最短距離重賞であり、なおかつ直線コースで行われる唯一の重賞であるアイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m)。昨年までの過去10回、延べ20頭の連対馬のなかで、サンデーサイレンスの血を含んだ馬は1頭もいません。サイアーラインだけではなく母方に入った馬も皆無です。

わずか20年弱で日本血統を完全に塗り替えた感のあるサンデーサイレンスが、なぜこの重賞だけ攻略できないのかといえば、言うまでもなくレース条件が特殊だからです。

スタートから全力で突っ走る、というレースに求められるのは、ダッシュ力やスピードの持続力であり、溜めて切れるというサンデーの持ち味ではありません。

今回、サンデーの血が入っている馬は以下の6頭。

1番 バイラオーラ(母の父SS)
4番 アイアムマリリン(2代父SS)
5番 サアドウゾ(2代父SS)
8番 マヤノロシュニ(2代父SS)
9番 セブンシークィーン(母の父SS)
10番 ストロングポイント(母の父SS)

内枠の馬が多いので、まとめてバッサリ切ってしまうのもひとつのやり方でしょう。ただ、個人的にはそろそろ連絡みする馬が出てきてもいいころではないか、と考えています。

母の父にサンデーを持つバイラオーラ、セブンシークィーン、ストロングポイントは、いずれもフォーティナイナー系の父を持っています。やはりここに出走してくる馬は、直線1000mで好走するための特徴を備えた血統であることが分かります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102828/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101515/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102163/

サンデーサイレンスの父系から誕生した残りの3頭、アイアムマリリン、サアドウゾ、マヤノロシュニの父は、それぞれマンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、マンハッタンカフェ。

2頭出しのマンハッタンカフェは、短距離に強いジョーカプチーノやアーバニティの父でもあります。フジキセキに似てサンデー系にしては短距離重賞で買えるタイプです。一方、ゴールドアリュールは周知のとおりダートに強いのですが、緩急や柔軟性よりもスピードの持続力が求められるこのレースは、一本調子のダート血統が案外頑張っているという傾向が見られます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103030/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101135/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104486/

以上の6頭はこのレースに向いた資質を備えています。サンデーの血を持つ馬は連対できない、という法則が破られるのは時間の問題であり、それが今年である可能性も十分あると思います。

2011年7月14日 (木)

セレクトセールの救世主

昨年7月14日のエントリー「セレクトセール見聞記(2)」に、以下の一文を記しました。

「ミリオンホースがどんどん誕生していた数年前までがバブルであり、当時を基準に現在の状況をとらえるのはあまり意味がないと思います。今後数年、前年割れの数字が出るのは仕方のないことであり、現状維持なら御の字でしょう。」

景気の低迷、さらに東日本大震災の影響が重くのしかかる今年のセールでしたが、終わってみれば昨年、一昨年を上回る大盛況のセールとなりました。

      当歳落札率 1歳落札率 当歳平均価格 1歳平均価格
2011  73.2% 84.5% 27,622,360円 23,989,848円
2010  67.8% 80.8% 23,680,851円 18,249,133円
2009  64.7% 78.2% 23,735,266円 22,126,230円

5月にセール上場馬が発表されたとき、血統にざっと目を通して、今年はかなりいい馬が出てきているのではないかと感じました。ただ、景気の影響もあるので、正直なところ、どの程度の値が付くのかまでは読めませんでした。

社台ファーム代表の吉田照哉氏は次のように語っています。

「我々も正直言って、相場が元に戻るなんて思ってもいませんでした。高く売れた馬も出たんですが、たとえば1000万円クラスの馬でも相当な競り合いになっていました。新規参入者が10%ぐらいいて、お客さんが多かったというのもありましたね。慣れた人だと値段が上がると降りたりするんですが、新しく参入してきた人というのは、買いたい馬がいるときは買うまで競らないと気が済まないというところがあるのかなと。そういう相乗効果が起きたんじゃないかと思いますね。競馬の売り上げが落ちているなかで、セリがこれだけ盛り上がったということは、競馬の将来のためにはよかったんじゃないかと思いますね」

セールの主役はなんといってもディープインパクト産駒でしょう。1歳市場で3億6000万円の値がついたエアグルーヴの2010を筆頭に、軒並み高値で落札されました。産駒がデビューしたてだった昨年は、まだ購買者側も半信半疑でした。しかし、種牡馬能力に関してまず間違いないだろうという確信が得られた今年は、かつてのサンデーサイレンス全盛期と同じように、安心して高値まで競り上げていくというシーンが繰り広げられました。この信頼感こそが名種牡馬の証しです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104053/

ディープインパクト産駒が安定して高値で取引されたことで、セール全体が活性化された側面もあったと思います。その意味ではセレクトセールの救世主といえるかもしれません。

2011年7月 9日 (土)

ハットトリック好発進

現役時代にマイルCS(G1)と香港マイル(G1)を制したハットトリック(父サンデーサイレンス)は、引退後、アメリカへ渡って種牡馬となりました。現在はケンタッキーとアルゼンチンを往復するシャトル種牡馬となっています。

その初年度産駒は今年2歳を迎え、世界各地でデビューしています。現在、5頭出走して4頭勝ち上がっているようです。
http://sidfernando.wordpress.com/2011/06/29/first-crop-sunday-silence-horse-hat-trick-has-4-winners/

出世頭の Dabirsim はフランスでデビューし、現在2戦2勝。6月8日のデビュー戦(芝1200m)を10馬身差で勝ったときは小さいながらもニュースになりました。パリ地区ではなく、フランス南西部のボルドーに近いラテストドビューシュという競馬場でのこと。相手も弱かったと思いますが、2戦目も快勝しているので、順調ならいずれパリ地区やドーヴィルあたりに出てくるでしょう。そこでどの程度やれるか注目です。
http://www.turf-fr.com/fiche-cheval/DABIRSIM.html

母方には Rainbow Quest などしっかりとしたヨーロッパ血統が入っています。母がハットトリックの種を受胎した状態でフランスに渡り、誕生しました。血統的にアメリカのダート競馬には向いていないので、フランスで走るのは正解でしょう。
http://www.pedigreequery.com/dabirsim

勝ち上がった残りの3頭のうち、2頭はロシア(Hinoki、Mata Hari)、1頭はメキシコ(Suspicious Jack)です。相手関係や勝ちっぷりは分かりませんが、こちらはあまり高いレベルではないと思います。
http://www.pedigreequery.com/hinoki
http://www.pedigreequery.com/mata+hari13
http://www.pedigreequery.com/suspicious+jack

ハットトリックは受胎率が高くなく、今年のアメリカにおける種付け料は6000ドル(受胎確認後)と、08年の種付け初年度に比べて9000ドルも値下がりしています。初年度産駒が活躍すれば持ち直してくると思うので、Dabirsim の動向には今後も注目したいところです。
http://www.bloodhorse.com/stallion-register/sr_sire_page.asp?refno=7186975&origin=singlesearch&StallionName=hat%20trick&SRYear=2011

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2011年7月 3日 (日)

田辺時代到来?

一昨日のエントリーでも触れましたが、先週土日は東京競馬場のレーシングエキスパートセミナー(REXS)に講師として招かれてお話をさせていただきました。その際、騎手界の情勢についてこう発言しました。

「関東はいずれ田辺裕信時代になります」

奇をてらったつもりはありません。毎週馬券を買っていれば、どのジョッキーが信頼できるかはよく分かります。春以降は完全に田辺騎手。素晴らしいの一語です。

スタート、位置取り、折り合い、追い出しのタイミング、追う際の挙動。田辺騎手はどれもハイレベルです。そして、ひとつでも上の着順を狙うという真摯な気持ちが伝わってくるので気持ちがいいですね。1月の関門橋Sで油断騎乗により10万円の過怠金を科されたあと、2、3月はもうひとつの成績でしたが、4月以降は爆発しています。先週終了時点で45勝を挙げ、現在、関東のリーディングジョッキーです。

先週は中山競馬で4勝しました(3、6、7、7番人気)。今週は土曜日に3勝(1、3、4番人気)。人気薄をこれだけ持ってくるというのは感心します。ローカル専門というかつてのイメージからは完全に脱却しています。

関西の大御所・松田博資調教師からも信頼を得ています。昨年後半から同厩舎の馬に関東ジョッキーが乗る場合、田辺騎手が優先してまたがる形となっています。過去の実績よりも現在の腕を評価した松田博資調教師の慧眼はさすがというしかありません。日曜中山の常総S(準OP・芝2000m)に出走するバアゼルリバーは、松田博資厩舎と田辺裕信騎手のコンビです。

土曜日の中山グランドジャンプでは、マイネルネオスで勝った柴田大知騎手が勝利ジョッキーインタビューで感極まって涙を流しました。地道に頑張ってきた騎手が報われるのはいいものです。

2011年6月26日 (日)

伝説の95年阪神3歳牝馬S

宝塚記念で人気を集めるブエナビスタとルーラーシップ。現時点で前者の単勝オッズは3.5倍、後者は3.8倍。レースでどちらが先着するかという前に、どちらが1番人気を取るかという熱い戦いを繰り広げています。ブエナビスタは国内で過去17戦し、すべて1番人気となっています。ここも譲れないところでしょう。

年季の入った競馬ファンなら、ブエナビスタの母ビワハイジと、ルーラーシップの母エアグルーヴが、同期のライバルであったのはよくご存知だと思います。二度対戦して戦績は1勝1敗の五分。

初対決となった95年の阪神3歳牝馬S(G1・芝1600m)は、好スタートから先手を奪ったビワハイジが逃げ切り、2番手から差を詰めたエアグルーヴが2着。

二度目の対決となった96年のチューリップ賞(G3・芝1600m)は、好位追走のエアグルーヴが1頭だけ違う脚いろで突き抜けて1着。5馬身差の2着がビワハイジでした。

エアグルーヴは2歳時から頭角を現し、3歳時にはオークスを制覇しました。ただし、本格化したのは古馬になってから。牡馬相手に天皇賞・秋を勝つなど大活躍し、牝馬ながら年度代表馬に輝いています。成長力と底力を武器としており、そうした特長を産駒にも伝えています。本格化までに時間を要する産駒が多いので、繁殖牝馬としての華々しい実績からすると、POGでは案外旨みに乏しいタイプです。ルーラーシップのここにきての成長ぶりはエアグルーヴの影響が大きいでしょう。

95年の阪神3歳牝馬Sは、ビワハイジとエアグルーヴのほかに、ロゼカラー(重賞3勝のローゼンクロイツの母)、ゴールデンカラーズ(キーンランドCを勝ったチアフルスマイルの母)、シーズグレイス(重賞2勝のシャドウスケイプの母)が出走していました。名繁殖牝馬だらけです。これもある種の伝説のレースといえるかもしれません。

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2011年6月19日 (日)

今週のWIN5はチャンス!?

4月24日から始まったWIN5。先週まで8回行われました。1回ぐらいは当てたい!という方(わたしもその1人ですが)にとって、今週は大きなチャンスかもしれません。というのも、今週は指定された5つのレースがいずれも少頭数だからです。

阪神10R=8頭
中山10R=10頭
函館11R=10頭
阪神11R=13頭
中山11R=12頭
――――――――――
     計53頭

過去8回の1日あたりの平均出走頭数は75頭。最多は5月15日の79頭で、最少は6月5日の65頭でした。今週の「53頭」がいかに少ない数字であるかお分かりいただけると思います。

WIN5は単勝を当てる馬券ですから、確率的な一般論として、頭数が多くなればなるほど当てづらくなります。逆に頭数が少なくなればなるほど当てやすくなります。今週はチャンスです。

今週のヤマ場はなんといっても阪神11RのマーメイドSでしょう。5レース中最も頭数が多く、ハンデ戦で、しかも雨の影響が残る馬場。簡単ではありません。

マーメイドSがハンデ戦に生まれ変わった06年以降、一度として本命決着がなく、勝ち馬の単勝人気は9、2、12、9、3と派手に荒れています。1番人気馬は4着が最高、トップハンデ馬は3着が最高です。過去5年間の連対馬10頭のうち9頭がハンデ53キロ以下。最高でも54キロですから、軽ハンデ馬の伏兵が台頭するレースといえるでしょう。切れ味を必要としないレースになりがちなので、パワー兼備で粘り強いタイプが狙い目です。

最初の3レースをうまく切り抜けて、マーメイドSでしっかり穴馬を仕留めることができれば、的中が見えてきます。ちなみに、過去最も出走頭数が少なかった6月5日の配当は687万8430円。安田記念のリアルインパクト(9番人気)が買いづらい馬で、5レースすべて1番人気が敗れたので高配当となりました。

さて、今週は?

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2011年6月16日 (木)

サラブレッドの多様性は馬場の多様性から生まれる

セントジェームズパレスSを見て感じたのは、欧州マイル路線のレベルの高さ。このカテゴリーはデインヒルや Galileo の縄張りで、これらの種牡馬は現在のヨーロッパ競馬を牽引する役割を果たしています。その優秀さがマイル路線の水準を押し上げているように思います。ここに割って入るのは並大抵のことではありません。しかし、だからといって、この差を埋めるために日本の馬場をヨーロッパ仕様にすべき、という意見にわたしは与しません。

大前提として、高温多湿の気候、馬場の使用頻度の高さから、日本においてヨーロッパと同種の洋芝コースを作ることは不可能です。ただ、もし仮に、日本の競馬場がすべてヨーロッパと同じ仕様になったとしたらどうなるでしょう? おそらく、日本の血統はあっという間に Sadler's Wells やデインヒルに飲み込まれてしまうでしょう。最適化したものがそうでないものを駆逐するのは道理です。そして、わが国の競馬はその独自性を失い、ヨーロッパ競馬のエピゴーネンとして半永久的に川下の立場に立たされるでしょう。

世界各国の競馬にそれぞれ特色があり、さまざまな馬場で競馬が行われているからこそ、サラブレッドの多様性は維持されています。逆にいえば、サラブレッドの多様性を守るには、世界各国でさまざまなスタイルの競馬が行われる必要があります。

サラブレッドの発展の歴史を振り返ればそれは明らかです。スピードを第一義とするアメリカのダート競馬があればこそ、ヨーロッパには見られなかったハイレベルなスピード型遺伝子がサラブレッドに芽生えました。異なる環境で、それに適した血統が発展していくことはきわめて重要です。一芸に秀でたスペシャリストの血はそれほど得がたいものです。自国のサラブレッドが、他のどの国にも見られない優れた個性を獲得したなら、それは大きなアドバンテージです。欧米の後追いによって得られるものよりも重要だと思います。

速い時計が出やすく、瞬発力を活かしやすい日本の芝コースでは、サンデーサイレンス系が圧倒的な勢力を誇っています。この個性はアメリカともヨーロッパともオセアニアとも違います。日本血統が将来、その個性を評価される形で海外から求められていくとわたしは確信しています。高速馬場やそれに適応する日本馬の個性を、批判的な文脈でのみとらえる一部風潮にはやや違和感を覚えます。

高速馬場については昨年6月10日のエントリー「馬の故障と高速馬場」で取り上げています。ご参照くさだい。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-bef1.html

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2011年5月28日 (土)

道悪ダービーのキーポイントは位置取りと馬体重

ロジユニヴァースが勝った2年前の日本ダービーは、レースが終わったあと、某騎手が「こんなもん競馬じゃねぇ」とつぶやいたほどの酷い馬場でした。

現在の東京競馬場は、まだそれほどの量は降っていませんが、予報によれば土曜日は終日雨で、日曜日も雨。時間が経つにつれ雨量が増えていくようなので、2年前と同じく不良馬場になるものと思われます。

不良馬場といっても程度がありますし、内が伸びるのか外が伸びるのか、レース直前にならないと分かりません。力関係がある程度反映されるような馬場であればまだいいのですが、それがまったく関係なくなる極悪馬場になってしまうと手に負えません。何が突っ込んでくるのか神のみぞ知る、です。今週のWIN5は相当な大穴が出そうな予感がします。

ロジユニヴァースが勝ったダービーから得られる教訓は、“前に行った馬が有利”ということです。最初の5ハロンは59秒9。ジョーカプチーノが飛び出したので2番手以下は61秒ぐらいと考えても、2分33秒7という走破時計からすれば遅いペースではありません。しかし、結果は3番手追走のロジユニヴァースが勝ち、2番手追走のリーチザクラウンが2着、5番手追走のアントニオバローズが3着。前につけた馬同士の決着となりました。中団以下につけた馬はナカヤマフェスタの4着が最高着順です。あれだけ馬場が悪化すると、前が止まらないというよりも後ろから差してこれなくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=y37b0nD1Sr4

1~3着馬にはもうひとつ共通点があります。いずれも“500キロを超える大型馬であること”です。1着ロジユニヴァースは506キロ。2着リーチザクラウンは516キロ。3着アントニオバローズは512キロ。極悪馬場をこなすには恵まれた馬格から繰り出すパワーが必要ということでしょう。

結論は『前に行ける500キロ以上の大型馬を狙え!』。切れる脚など必要ありません。求められるのは粘り強さです。フットワークがピッチ走法ならなおいいでしょう。前に行くか行かないかは騎手の心理傾向を読む必要があります。これまで中団から競馬をしていた馬でも、騎手のひらめきによって思い切った戦法をとることも考えられます。この点は注意が必要です。

ウマニティ編集長・岡田大さんのコラム「予想のメキキ」のダービー編に、栗山求を取り上げていただきました。よろしければご覧くださいませ。
http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=2004

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2011年5月27日 (金)

Northern Dancer 生誕50周年

1982年以来、日本ダービーには必ず Northern Dancer 系の出走馬が名を連ねていました。しかし、09年にターニングポイントが訪れます。この年、同系の出走馬が途絶え、28年ぶりに Northern Dancer 系が出走しないダービーとなりました。昨年はメイショウウズシオ、シャインと2頭出走しましたが、今年はまたゼロ。Northern Dancer 系にとって冬の時代といえるでしょう。

ただ、それは日本だけの現象であり、世界の主要競馬開催国、とくにヨーロッパとオーストラリアにおいては、Northern Dancer 系は相変わらず猛威を振るっています。昨日のエントリー(活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」)でご紹介したように、ヨーロッパでは20年近く生産界を牽引してきた Sadler's Wells とデインヒルが融合し、新たな名馬を次々と誕生させています。これらはいずれも Northern Dancer 系です。

いまからちょうど50年前の1961年5月27日に、カナダのウィンドフィールズファームで Northern Dancer は誕生しました。

父 Nearctic は St.Simon の影響が強いイギリス血統。母 Natalma には、伝統的なアメリカ血統を濃厚に含んだ Native Dancer と、Lady Josephine(現代スピード血脈の祖)の影響を受けた Mahmoud が入ります。ですから、基本的には異系交配的な産物で、異なる個性のぶつかり合いによって人知を超えた生化学反応が生じ、時代を画する傑作が誕生したというわけです。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

Northern Dancer 系の現況については昨年11月に4回シリーズでご紹介しました。

Northern Dancer 没後20年(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-dancer.html
Northern Dancer 没後20年(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-1.html
Northern Dancer 没後20年(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-2.html
Northern Dancer 没後20年(4)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-3.html

世間に流通する血統系の慣用句で、わたしが最も理解に苦しむのが「セントサイモンの悲劇」です。そもそも何が悲劇なのかよく分かりません。St.Simon が種牡馬として爆発的な成功を収めたあと、代を経るごとに系統が衰退していったのは事実です。しかし、それでサラブレッド全体のレベルが低下したかというと、そんな事実はどこにもないと思います。むしろ逆に上昇したとわたしは考えます。英ダービーの勝ちタイムの変遷からもそれはうかがえます。

Teddy、Blandford、Tourbillon、Hyperion、Nearco など、20世紀前半に登場した大種牡馬群は、ほとんど例外なくGalopin-St.Simon(=Angelica) の強い影響のもとに誕生しています。このあたりは笠雄二郎著『サラブレッド配合史』(http://www.miesque.com/c00001.html)に詳述されています。
http://www.pedigreequery.com/teddy
http://www.pedigreequery.com/blandford
http://www.pedigreequery.com/tourbillon
http://www.pedigreequery.com/hyperion
http://www.pedigreequery.com/nearco

サラブレッドの生産は父系を伸ばすことが目的ではありません。強い馬を作ることです。St.Simon 系が衰退したことを悲劇というのは父系愛好家だけでしょう。むろん、そうした事態が起こったからといって、当時の生産者が愚かだったわけでもありません。St.Simon の強い影響力がサラブレッド全体のレベルを上昇させたのですから、少なくともわたしのなかでは“悲劇”という言葉はピンときません。

もし仮に、遠い将来サンデーサイレンス系が衰退したとしたら、人々の心にセンチメンタルな疼きは生じるでしょうが、日本の生産界には何の不都合も起こらないでしょう。サンデーサイレンスが日本の生産レベルを大きく引き上げた事実は変わりません。そして、サンデー系が衰退してもサンデー牝馬を苗床とした新しい系統がたくましく伸びているはずです。わたしはそれで何の問題もないと考えます。

もっとも、同系統が増えすぎて父系が衰退するということが、現代ではほぼ起こりえないことは Northern Dancer が証明しています。St.Simon のころとは生産規模が違いますし、交通機関の発達によりサラブレッドが大陸間を自由に行き来する現代において、配合相手に困るという事態はまず考えられません。

誕生から半世紀、Northern Dancer の血が世界の果てまで広まり、4代前、5代前と血が遠ざかっていくと、系統全体が一斉に衰退期に向かうということは現実的ではないでしょう。いまや Nearco 系という区分に何の意味もないように、いずれ Northern Dancer 系という区分も過去のものとなるはずです。

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2011年5月22日 (日)

日曜日に東京競馬場でイベント

土曜日の東京芝コースは時計が速かったですね。前が止まらず、インコースが有利。ゆったりとした流れで後方待機から外に進路を取ると届きません。オークスもまず速くはならないでしょう。馬群をどう捌くかが重要となってきます。

横山典弘騎手が4勝と大爆発。惚れ惚れするライディングでした。オークスはどれに乗ってたっけと出馬表を見たところ、なんと騎乗馬なし。京都に遠征していました。メインの東海Sではランフォルセに騎乗。外枠ですがちょっと怖くなってきました。落馬事故から復帰後どうもリズムが悪かったのですが、ようやく横山騎手らしいカミソリのような切れ味が戻ってきました。じゃあ来週のダービーは? と思って調べたところ、こちらも騎乗馬なし。もったいないですね~。いまの横山典弘騎手はデットーリ騎手にも負けないと思うのですが。

さて、日曜日の10時55分から、東京競馬場のセンターコートで行われる「オープン型レーシングセミナー」に出演します。また、14時30分ごろから16時30分ごろまで、同所で「リアルタイム情報ステーション」に出演します。後者には辻三蔵さん、河田貴一さんも出演されます。よろしかったらお立ち寄りください。

5月20日にOPENした「血統屋」。まだ出来たばかりだというのに非常に多くの方々に電子書籍をご購入いただき、正直びっくりしています。ありがとうございました。心から御礼申し上げます。
http://www.miesque.com/

2011年4月15日 (金)

もうすぐPOGの季節

毎年春はPOG関連の仕事で身動きが取れません。今年も例年と同じく2歳馬の血統表を見まくる生活が続きました。思わず過去形で書いてしまいましたが、これは締め切りが早い赤本(『POGの達人』)のヤマを越えたからです。締め切りが遅い『競馬王のPOG本』はこれからが本番。ひと晩寝て充電したら、またしばらく机にかじりつく日々が始まります。

自分が選んだオススメ30頭を見ると、14頭がディープインパクト産駒でした。ほかの方がどんな馬をリストに並べたのかまったく知りませんが、桜花賞を勝ったマルセリーナ効果もあって、今年はディープインパクト産駒中心のドラフトになるのではないでしょうか。

新種牡馬はダイワメジャー産駒を1頭入れました。同馬が種牡馬として成功するかどうかは別にして、とりあえず配合の腕試しをするつもりで好配合馬をピックアップしてみたというわけです。走ったら嬉しいのはじつはこういう馬だったりします。

2011年4月 2日 (土)

シンザン生誕50周年

2011年4月2日は、五冠馬シンザンが誕生してちょうど50年目にあたります。

シンザンの現役時代はわたしが生まれる前のことなので、書物やビデオで得た知識しかありません。
http://www.youtube.com/watch?v=t2WcWf4FJD4
http://www.youtube.com/watch?v=VIPeQb2R2lk
http://www.youtube.com/watch?v=5nhCFDEu-9I

競馬に関心を持ち始めたころはもちろん生存しており、産駒も現役で走っていました。ミナガワマンナは菊花賞を勝ち、ミホシンザンは皐月賞と菊花賞の二冠を制覇。皐月賞を5馬身差で圧勝したミホシンザンが骨折し、三冠の夢が絶たれてしまったときは、ちょうどレーヴディソールの骨折の報を聞いたときのような虚無感を覚えました。

内国産種牡馬が冷遇されていた時代、種牡馬ランキングの1位から20位までほとんど輸入種牡馬が占めていた70年代に、シンザンが成した功績は、現代のわれわれが考えるよりも大きかったと思います。内国産種牡馬への根強い偏見があるなか、シンザンを繋養した谷川牧場の谷川弘一郎氏が涙ぐましい努力をして繁殖牝馬を集めたことは有名です。シンザンが切り開いた道を、アローエクスプレスやトウショウボーイといった次の世代の内国産種牡馬が歩んでいったわけです。

父ヒンドスタンは60年代に計7回リーディングサイアーとなった名種牡馬。アガ・カーン三世殿下が生産所有した名血で、その牝系は Uganda にさかのぼる名門です。

Uganda(f.1921.Bridaine)仏オークス、ロワイヤルオーク賞
 Ukrania(f.1926.Ksar)仏オークス
 Udaipur(f.1929.Blandford)英オークス、コロネーションS
 │Clovelly(f.1938.Mahmoud)
 ││Pangani(f.1945.Fair Trial)
 ││ ソーダストリーム(f.1953.Airborne)
 ││ │アローエクスプレス(c.1967.スパニッシュイクスプレス)
 ││ │         朝日杯3歳S、京成杯、NHK杯
 ││ シザラ(f.1955.Marsyas)
 ││  バンブーシザラ(f.1969.テスコボーイ)
 ││   バンブーアトラス(c.1979.ジムフレンチ)
 ││                   日本ダービー
 │Sonibai(f.1939.Solario)
 │ ヒンドスタン(c.1946.Bois Roussel)愛ダービー
 Una(f.1930.Tetratema)
 │Palestine(c.1947.Fair Trial)英2000ギニー
 Umidwar(c.1931.Blandford)チャンピオンS

シンザンは Gainsborough 4×4を持っています。これは、同年にカナダで生まれた大種牡馬 Northern Dancer、ソ連の歴史的名馬 Anilin と同じ配合パターン。東洋の片隅で生まれた馬ではあっても、世界的な血統の潮流に取り残された配合ではありませんでした。
http://ahonoora.web.fc2.com/sinzan.html
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer
http://www.pedigreequery.com/anilin

配合についてはもう少し補足しなければならないことがあるのですが、長くなってしまうので、エントリーを改めて来週あたりに書きたいと思います。

2011年3月26日 (土)

今週は阪神芝1800mで3つの3歳重賞

皐月賞を見据えたふたつの重賞が、同一週に同コースで行われるというのは記憶にありません。土曜阪神11RのスプリングS(芝1800m)は、G2の馬齢重量戦で、3着以内に皐月賞出走権が与えられます。日曜阪神12Rの毎日杯(芝1800m)は、G3の別定戦。

競馬場と距離が同じといっても、それ以外の条件を考えると実績馬はスプリングSに出てくるでしょう。毎日杯を選ぶと、場合によっては負担重量が増え、得られる賞金が減り、本番の優先出走権もありません(2着までに入ればだいたい出られますが)。

ただ、だからといって、スプリングS組のほうが皐月賞で好走するかといえば、そうは限らないと思います。この時期の3歳馬は1戦ごとに力量の変動がありますし、今年の皐月賞は東京競馬場で行われますから、左回りで順当に能力を発揮できるかどうかはわかりません。

一方、桜花賞を見据えたフラワーC(G3・芝1800m)は、中山から阪神に場所を移したことで、桜花賞と条件が近くなりました。ここをステップに本番に挑んだ馬は例年よりも信頼できるでしょう。といってもレーヴディソールの牙城を崩すのは並大抵ではありませんが……。

阪神芝1800mの種牡馬別連対率を、06年12月の馬場改修後の成績から並べてみます(最少レース機会数=10)。

1位 ハーツクライ    50.0%
2位 ディープインパクト 27.3%
3位 ロージズインメイ  25.0%
4位 ゼンノロブロイ   23.5%
5位 マンハッタンカフェ 22.4%
6位 ステイゴールド   22.1%
7位 グラスワンダー   21.7%
8位 キングカメハメハ  21.6%
9位 フレンチデピュティ 21.6%
10位 フジキセキ     21.3%

以上、ご参考までに。

2011年3月18日 (金)

今週から競馬再開

中山競馬はとりあえず3月中の競馬中止を決定しました。無傷の関西は待ちに待った、という感じでしょう。先週行われる予定だったフィリーズレビュー(G2)と中京記念(G3)も今週行われます。

予想は迷いますね。先週◎をつける予定だった馬にそのまま◎を打っていいものかどうか……? 馬は生き物ですから、1週間の順延で体調に狂いが生じることも十分考えられます。

思い出すのは86年のスプリングS(G2)。当日、雪のため7レースをもって開催打ち切り。翌週に順延されたのですが、当初の予定では有力視されていた共同通信杯4歳S(G3)の勝ち馬ダイナガリバーは、順延された翌週のレースには出走してきませんでした。馬の体調はデリケートですからたった1週の順延でも大きな影響を及ぼします。

ダイナガリバーはぶっつけ本番で臨んだ皐月賞で10着と惨敗。これは致し方ないでしょう。しかし、松山吉三郎調教師はここから馬を立て直し、次走の日本ダービー(G1)では見事雪辱を果たして優勝しました。

今年のフィリーズレビュー組はちょっとかわいそうですね。体調面をよく見極めて印を打ちたいと思います。

2011年3月17日 (木)

「愛と涙をのせて ~北海道日高 牧場物語~」

昨年11月21日、フジテレビのザ・ノンフィクションで放送された「愛と涙をのせて ~北海道日高 牧場物語~」は良質のドキュメンタリーでした。小さな牧場のありのままの現実。それが胸を打ちます。

YouTube にあるのですが、直リンすると差し障りがあるので、URLは明示しません。検索していただければと思います。

番組編成上無理だとは思いますが、こういうドキュメンタリーこそ注目度の高い夜に放送してほしいですね。日曜日の午後2時では、競馬ファンは一生懸命馬券を買っている時間帯ですから、あまり見ないでしょう。

2011年3月16日 (水)

スピード×スタミナの優位性

昨年12月1日、競馬国際交流協会と日本軽種馬登録協会が合併し、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルという組織が誕生しました。そのサイトには「海外競馬情報」というコーナーがあり、世界各国の競馬に関する情報を日本語訳で読むことができます。

2月25日、「スピード重視の種牡馬選びがチャンピオン血統に変化を与える」という記事がアップロードされました。
http://www.jairs.jp/contents/w_news/2011/4/4.html

内容は、現役時代にスプリンターやマイラーだった種牡馬の子が、2000~2400mの大レースを勝つ割合が以前に比べて増えている、というもの。昨年でいえば、ハービンジャー(父 Dansili)、Workforce(父 King's Best)、Twice Over(父 Observatory)、Snow Fairy(父 Intikhab)など10頭が該当します。03年は8頭、93年は7頭でした。

このパターンは、配合に関心を持つ者なら誰でも知っているポピュラーなものです。たとえば、100年近く前に活躍した Phalaris(1913年生)などがそう。現役時代はマイル以下で圧倒的な強さを誇り、引退後、英リーディングサイアーに二度輝いた名種牡馬です。スタミナ豊かな Chaucer を父に持つ繁殖牝馬との間に、Pharos、Fairway、Sickle、Pharamond を出しました。現代の主要父系はことごとく Phalaris から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/pharos

  Phalaris(1913)
    Pharos(1920)
    │ Nearco(1935)
    │   Nasrullah(1940)
    │   │ Grey Sovereign(1948)
    │   │ Bold Ruler(1954)
    │   │ Red God(1954)
    │   │ Never Bend(1960)
    │   Royal Charger(1942)
    │   │ Turn-to(1951)
    │   │   Hail to Reason(1958)
    │   │     Roberto(1969)
    │   │     Halo(1969)
    │   Nearctic(1954)
    │     Northern Dancer(1961)
    │       Nijinsky(1967)
    │       Lyphard(1969)
    │       Nureyev(1977)
    │       Danzig(1977)
    │       Sadler's Wells(1981)
    Sickle(1924)
    │ Unbreakable(1935)
    │   Polynesian(1942)
    │     Native Dancer(1950)
    │       Raise a Native(1961)
    │         Mr.Prospector(1970)
    Fairway(1925)
    │ Fair Trial(1934)
    │   Petition(1944)
    │     Petingo(1965)
    Pharamond(1925)
      Menow(1935)
        Tom Fool(1949)
          Buckpasser(1963)

現代の血統シーンで Danzig 系や Mr.Prospector 系が優位に立っているのも、スピード×スタミナの配合パターンが優れたものであることの証明でしょう。

2011年3月15日 (火)

的場文男騎手の通算勝利数が現役トップ間近

地震の影響で南関東公営競馬は現在開催されておりません。今回取り上げたいのは現役最多勝ジョッキーをめぐる争いです。3月11日に終了した第19回大井開催(5日間)で、的場文男騎手は4勝を挙げました。これで地方競馬における通算勝利数は6122勝。石崎隆之騎手の6127勝まであと5勝と迫りました。

石崎騎手は87年から15年連続リーディングジョッキーに輝き、通算勝利数では長らく現役1位をキープしてきましたが、いよいよ的場騎手に逆転されるときが近づいてきました。昨年の勝利数は65勝。的場騎手は198勝。ここ数年で急速に差が縮まってきました。

石崎騎手は55歳。的場騎手は54歳。いずれも73年デビューなので騎手生活は足かけ39年目です。01年に引退した佐々木竹見(地方競馬で7151勝)の42年には及びませんが、それでも気が遠くなるような道のりです。

50代半ばにさしかかっても一線級を維持する的場騎手は超人的ですが、才能あふれる若手が伸びてきたことにより、以前のようなペースでは勝ち星を稼ぐことはできていない印象です。今年はいまのところ大井競馬で第3位。南関東全体では第6位です。以下は3月11日終了時点の南関東騎手勝利数ランキングです(短期免許騎手は除く)。

1位 戸崎圭太(大井) 60勝
2位 御神本訓史(大井)50勝
3位 森泰斗(船橋)  32勝
4位 今野忠成(川崎) 29勝
5位 町田直希(川崎) 26勝
6位 的場文男(大井) 24勝★
7位 石崎駿(船橋)  21勝
8位 真島大輔(大井) 20勝
9位 山崎誠士(川崎) 17勝
10位 佐藤博紀(川崎) 15勝

内田博幸騎手の中央移籍後に南関東の王座に就いた戸崎圭太騎手と、長い騎乗停止から復帰した御神本訓史騎手の二強体制となっています。

的場騎手は佐々木竹見騎手の7151勝まであと1000勝ちょっと。不可能な数字ではありませんが、もちろん簡単な数字でもありません。あとはまだ手にしていない東京ダービーのタイトル。今年で30回目の挑戦となります。

2011年3月13日 (日)

シンボリルドルフ30歳の誕生日

土曜日の夕方、ショッピングセンターまで買い出しに行ったら、水やパンやインスタント食品が陳列棚から消え去っていました。ポリタンクもなし。コンビニへ行くとミネラルウォーターは完売。おそらく首都圏はどこもこんな光景だったのでしょう。停電により断水するとマズイので、街角の自動販売機でミネラルウォーターをまとめ買いしました。多少コストは高くなりますが仕方ありません。

言語を絶する被災地の惨状を目の当たりにすると競馬を楽しめる気分ではなく、数万人の方々の安否や原発の状況を考えると気分が落ち込んできます。何を書くか迷ったのですが、地震の悲惨さを伝えるのはわたしの役割ではなく、いつまでも身辺雑記を書くのもどうかと思うので、簡単ではありますがやはり競馬について書くことにします。不快に思われましたらすみません。

本日はシンボリルドルフが誕生してからちょうど30年目にあたります。昨年のジャパンC当日、東京競馬場にやってきてその雄姿を披露したのは記憶に新しいところです。

まだ現役だった85年12月、『勝つことに憑かれた名馬 シンボリルドルフ』(今井寿恵/角川書店)という本が出版され、発売日に書店で手に入れました。当時、高校生にとって本1冊に2000円を費やすのはかなり勇気のいることでした。しかし、まさにお値段以上、買ってよかったと満足できる作品でした。競走シーンはもちろん、美浦トレセン、シンボリ牧場の貴重な写真が満載。とくにシンボリ牧場で収めた写真は美しすぎます。故・今井寿恵さんの最高傑作ではなかったでしょうか。生産者の和田共弘氏、野平祐二調教師、岡部幸雄騎手だけでなく、シンボリ牧場のスタッフの方々にまで丹念にインタビューを試みているのは貴重な資料です。Amazon で調べてみたところ手頃な値段で中古品が入手できるようです。

この本に次のような記述があります。

「1981年3月13日夜10時、北海道門別シンボリ牧場で鹿毛の牡生まれる。細身に出たが筋金入りと思える仔馬は、出生して30分後に立ち上がる。母スイートルナは仔馬をかわいがったが、自分が餌を食べるときに乳を飲みたがると怒り追い払った。普通の仔馬は母親に叱られると馬房の隅でおとなしく待つが、この仔馬は耳をしぼり猫が逆毛を立て威嚇するように母親に立ち向かい、貪欲に乳を飲んだ。感情起伏の激しさは母ゆずりか、シンボリルドルフ。」

目に浮かぶようなエピソードです。生まれつき気位の高い、皇帝という異名にふさわしい名馬です。

シンボリルドルフと現在のトップクラスの競走馬が戦ったら、おそらくルドルフは負けるでしょう。でも、理性ではそう思っても、じっさいに走ってみたらわからないぞ、という気持ちがあるのも事実です。

シンボリルドルフがシンザンの長寿記録を塗り替えるのは、2016年6月24日。ルドルフならやれそうな気がします。

2011年3月12日 (土)

地震で開催中止

地震に見舞われた仕事部屋に入ると、まるで爆撃されたかような惨状。部屋の三方の壁に置かれた本棚から、書籍、雑誌、CD類があらかた落下し、膝丈まで埋まっていました。ここで調べ物をしていたら危なかったかもしれません。片付けをしながら数メートル先のパソコンのある場所にたどりつくまで1時間余りを要しました。幸い、パソコン本体と、電気・ガス・水道などのインフラは問題なく、物的被害は本棚の開き戸が壊れた程度で済みました。

3月11日の大井競馬は第9Rが終了した時点で開催取り止め。中止に至る経緯を大井競馬のサイトより転載します。

>【経緯】
>3月11日(金)
>14:45 地震発生
>15:05 第8競走を5分遅れで発走
>15:10 岩手地区の発売を中止
>15:20 オープス磐梯、ニュートラックかみのやま・松山・いいたて、
>    オフト大郷、道営地区の発売を中止
>15:25 大井競馬場正門・北門を開放
>15:35 浦和・船橋競馬場、オフトひたちなかの発売を中止
>15:47 開催執務委員長が第9競走の確定をもって第10競走以降の開催
>    中止を決定
>15:55 第9競走を20分遅れで発走
>16:02 第9競走確定、以降の競走を中止
http://www.tokyocitykeiba.com/news/news.php?id=2123

「大井競馬場内での怪我人、建物の損壊、競走馬等に大きな被害はありません」とのこと。

心配なのは船橋競馬場です。3月14日(月)~18日(金)に行われる予定だった開催は中止。船橋競馬のサイトによると「馬場が使用不能」になったとのこと。詳細は不明ですが、地割れや液状化現象などの可能性が考えられます。

夜7時過ぎにはJRAも土日の開催中止を発表。95年の阪神・淡路大震災の際は、震源に近い京都開催だけが中止され、中山開催は行われたのですが、今回は三場すべて中止となりました。いまは競馬どころではないと思います。被害に遭われた方々には心からお見舞い申しあげます。そして、犠牲になった方々のご冥福をお祈りいたします。

2011年3月10日 (木)

日本のダートに向く Speightstown 産駒

3月といえば調教セールの季節。アメリカのフロリダ州やカリフォルニア州で、OBS、ファシグティプトン、バレッツなどが主催する大規模なセールが行われます。これに赴く日本人ホースマンも多いことでしょう。

アメリカに繋養されいている種牡馬のなかで、日本の馬場に向いた種牡馬は何頭かいますが、“コンスタントに走るダート向きの種牡馬”として個人的に注目しているのは Speightstown。
http://www.pedigreequery.com/speightstown

現役時代にブリーダーズCスプリント(米G1・ダ1200m)など重賞を4勝した一流馬で、04年に米最優秀スプリンターに選出されました。父 Gone West、母の父 Storm Cat という血統です。

日本では過去3頭が走っています。

グリフィンゲート(OP)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110141/
ドスライス(準OP)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110106/
エーシンジェイワン(OP)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110077/

2頭がOP馬、1頭が準OP馬ですから“歩留まり”は最高。ダートの連対率は43.8%で、1走あたりの賞金額は358万円。これも素晴らしいですね。グリフィンゲートは490キロ前後の馬体重ですが、ドスライスとエーシンジェイワンは520~530キロの大型馬。雄大な馬格から繰り出すパワー型のスピードが日本のダートにジャストフィットするのでしょう。

2011年2月18日 (金)

船橋の天才少女? ボールドスマッシュ

ミルコ・デムーロ騎手の13歳下の弟、クリスチャン・デムーロ騎手が南関東で連日騎乗しています。まだ18歳ですが、昨年はイタリアで153勝を挙げて勝利数ランキング第2位。先週土曜日には中央でも騎乗しました。

さすがに上手いですね。鞍嵌りがよく、コースロスを押さえる意識が徹底し、鞭の持ち替えは自由自在、狭いところを抜ける技術もあります。一言でいって、そりゃ勝つでしょう、という感じです。もちろん減量恩典などありません。2月17日の大井競馬では2勝。第10Rの東風特別では9番人気のワールドベアハートを持ってきました。騎乗期間は1月17日から3月4日までの予定なので、あと2週間ほどで帰国します。

デムーロ家の家族構成はどうなっているんでしょうね? 詳しいことはまるで分からないのですが、ミルコの妹パメラが調教師をやっているらしいので、兄弟で少なくとも3人は競馬の仕事についています。ミルコとクリスチャンは13歳も離れているので、その間にいるのはパメラだけでなく、何人かいるのかもしれません。もしビッグダディ的な大家族だったりすると、第三、第四のデムーロが来日する可能性も……? そして彼らの息子たちもやがて騎手になり、将来、大挙して来日して、わが国の競馬がデムーロだらけになる可能性も……?

くだらない妄想はさておき、クリスチャン・デムーロ騎手が初めて騎乗した1月の船橋開催で、2着馬をはるか後方にちぎり捨てて話題になった3歳牝馬がいました。ネオユニヴァース産駒のボールドスマッシュ(岡林光浩厩舎)。同馬にとってこれがデビュー戦でした。

2011年1月21日 船橋第2R(ダ1200m)
http://www.youtube.com/watch?v=SUQnAH6wDKE

最後の1ハロンは手綱を抑えて流し、2着馬に3秒8もの大差をつけました。メジロラモーヌ、メイショウホムラ、サクセスブロッケンなど、デビュー戦で3秒以上の大差をつけて勝つ馬はたまにいるのですが、3秒8差は見たことがありません。もちろん、ボールドスマッシュは地方競馬所属で、しかも相手に恵まれたものなので単純比較はできません。ただ、楽しみな素材であるのは確かでしょう。

生産者は社台ファーム。馬主は吉田照哉氏の名義で、地方競馬オーナーズクラブの募集馬です。全兄アサクサハンター(中央未勝利)は当歳時にセレクトセールで6600万円の値がつきました。2代母はローミンレイチェル。したがって年度代表馬ゼンノロブロイの姪にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102774/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
ボールドスマッシュ ―┤
           └○┐
             └ ローミンレイチェル

           ┌ サンデーサイレンス
ゼンノロブロイ ―――┤
           └ ローミンレイチェル

今年の南関東3歳牝馬戦線は、元旦のエントリーで取り上げたクラーベセクレタがリード。先週、浦和競馬場で行われた桜花賞トライアルの重賞・ユングフラウ賞(ダ1400m)を、ほぼ持ったままで後続に5馬身差をつけました。このほか、桃花賞を勝って6戦4勝としたマニエリスムもかなりの器です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103178/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103001/

少なくとも現時点においては、ボールドスマッシュがクラーベセクレタ、マニエリスムよりも上ということはないと思います。ただ、今後順調に成長し、5月の東京プリンセス賞や6月の関東オークスあたりに間に合えば、あるいはいい勝負になるかもしれません。現在の賞金では桜花賞には間に合いません。クラーベセクレタの馬主はサンデーレーシング、マニエリスムはボールドスマッシュと同じ地方競馬オーナーズですから、中央と同じように社台系強し、ですね。

2011年2月11日 (金)

カラー画像で見る1950年代の阪神競馬場

「Flickr」という画像共有コミュニティサイトがあります。ここには世界各国の人々が撮った膨大な画像がアップロードされており、眺めていると時間がいくらあっても足りません。検索機能があるので興味に沿った画像を探すことができます。
http://www.flickr.com/

競馬関係で良かったのは、Herbert T. Gouldon(1923~2006)という方が撮った1950年代の阪神競馬場(キャプションでは「Nigawa Racetrack」)。カラー画像なのできわめて貴重だと思います。

1955年
http://www.flickr.com/photos/herb450/4138799649/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4139559382/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4138796903/

1956年
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142982386/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142981174/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142980170/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142223111/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142218439/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142217203/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142972030/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142970734/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4142969244/

下から4番目の画像などは、年代と馬番と勝負服が分かっているので、調べようと思えば人馬を特定することも可能でしょう。枠の帽色が現在のとおり決められたのは1957年。それ以前の時代なので1番ゼッケンなのに赤い帽子を被っています。

ちなみに1955年のダービー馬はオートキツ、56年はハクチカラ。アラブの怪物セイユウがデビューしたのは56年夏で、第1回有馬記念が行われたのは56年暮れです(当時のレース名は中山グランプリ)。55、56年のリーディングサイアーは内国産のクモハタです。

Gouldon 氏はカメラマンではなく実業家。ここに挙げた以外の画像を見ると、1950年代半ばに神戸あたりにお住まいだったようです。家族で出かけたときに写したスナップ写真のコレクションを、「Flickr」にアップロードされています。おそらく競馬が好きだったんでしょうね。

名所旧跡よりも日常風景を主体に収めている点がいいですね。1950年代の素顔の日本がカラーで切り取られています。これなどはなんともいえず郷愁にかられる風景です。
http://www.flickr.com/photos/herb450/4138708293/
http://www.flickr.com/photos/herb450/4145543981/

あの時代に惜しげもなくカラーフィルムを使っていることから分かるように、経済的にかなり恵まれた方だったようです。世界各国を旅されている写真があります。当時のアメリカの豊かな国力が伝わってきます。
http://www.flickr.com/photos/herb450//

2011年1月28日 (金)

トウショウボーイ系最後の競走馬

川崎記念の前日、川崎10Rガーネットフラワー賞を、牡3歳のスベスベヨークン(父マイネルスマイル)が勝ちました。2歳時はホッカイドウ競馬で走り、今年から川崎で出走。これが12戦目にして初めての勝利です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101195/

父マイネルスマイル、という種牡馬はまったく耳馴染みがありません。サクラロータリー産駒で、現役時代はJRAで4勝(うち障害1勝)。この成績でよく種牡馬になれたなぁと思い、JBISのデータベースで調べてみたところ、99年以降、毎年律儀に1頭ずつ種付けをしています。相手はすべてマイネポラリスという牝馬。つまり、マイネルスマイルはマイネポラリス以外の牝馬を知りません。スベスベヨークンもその交配によって生まれた1頭です。

マイネポラリス(f.1992.ダイナオリンピア)
  ピーチヨークン(c.2000.マイネルスマイル)
  ニコニコヨークン(c.2002.マイネルスマイル)
  ウキウキヨークン(c.2003.マイネルスマイル)
  ワクワクヨークン(c.2004.マイネルスマイル)
  ドキドキヨークン(c.2005.マイネルスマイル)
  プニプニヨークン(c.2007.マイネルスマイル)
  スベスベヨークン(c.2008.マイネルスマイル)
  名前未定(c.2009.マイネルスマイル)

圧巻です……。感動しました。初期の擬態語は心の様子を表すものでしたが、最近は質感を表すものに変化してきているので、09年の産駒もその方向でしょうか? 牡馬ばかり連続して生まれているのもユニークです。

馬主の鍵谷篤宏さんは、父マイネルスマイル、母マイネポラリスの一口出資者だったそうです。それらを引き取って子を作り、地方競馬で走らせているようです。持ち馬はこの両馬から誕生した産駒のみ。世の中にこんな方がいらっしゃるとは……と感心します。

マイネルスマイルはサクラロータリー産駒。その父はトウショウボーイ。鍵谷さんの保護によってマイネルスマイルが種牡馬生活を続けているうちに、ほかのトウショウボーイ系はほとんど断絶してしまいました。

トウショウボーイ産駒で重賞を2勝したセキテイリュウオーは、産駒のスピードリュウオー(セン7歳)、タツノクイン(牝5歳)、ファンシーベル(牝4歳)、ハートオブハート(牝3歳)がまだ現役ですが、すでに種牡馬生活を引退しており、09年生まれの2歳馬はいません。現在は荒木克己育成牧場(新ひだか町)で余生を送っています。

マイネルスマイルは09年生まれの2歳馬が1頭います。名前はまだ決まっていませんが、おそらくこれがトウショウボーイ系の最後の競走馬だと思います。09年は種付けしたものの受胎しなかったようで、10年は種付けを行っていない模様です。

2011年1月16日 (日)

社台グループが欧米セリで良血牝馬を大量購入(後)

社台スタリオンステーションにサンデー系が増殖しているのは周知のとおり。サンデー系が増えすぎて血の飽和を起こすのではないか、という意見もありますが、私はそうは思いません。たとえば仮に、サラブレッドを生産している国が日本だけだったり、あるいは欧米でも日本と同じようにサンデー系が大繁栄しているのなら、そうなる可能性もあるでしょう。しかし、もちろんそのようなことはなく、欧米では Northern Dancer 系や Mr.Prospector 系などの、旧来からある系統が相変わらず繁栄しています。サンデー系と交配可能な他系の牝馬は、海外に出向いてお金さえ出せばいくらでも買えます。幸いなことに社台グループは、それを可能にするだけの潤沢な資金に恵まれています。こんな状況で飽和など起こるはずがありません。あと10年もすれば、サンデーサイレンスのクロスを持つ馬が大レースを勝ち、サンデー系同士の配合も珍しくなくなるでしょう。

種牡馬事業で得た莫大な資金を、海外の良血牝馬の購買に注ぎ込むことは、サンデー系の発展を促すための投資です。サンデー系が健全に成長するために必要となる新鮮な栄養分を、どんどん海外から運んできているわけです。繁殖牝馬のレベルが上昇し、しかもサンデー系が強くなるわけですから一石二鳥です。

「種馬は数打たなきゃ当たらない」という哲学のもと、かつて社台グループは海外の種牡馬を毎年のように導入していましたが、最近は繁殖牝馬の導入に力点を置き換えているような気がします。ある時期を境に、海外から種牡馬を導入して新たな系統を見つけ出そうという考えが後退し、サンデー系を筆頭とする内国産ラインをしっかり育てていこう、という方向に舵を切ったのではないでしょうか。新たな系統を導入するにしても、国内で走った馬のなかで優秀なものを用いれば事足りる、と。“種牡馬による血の更新”から“繁殖牝馬による血の更新”に比重が移っているような気がします。

種牡馬の分野でも、繁殖牝馬の分野でも、国内においては比肩するものが見当たらない社台グループ。これではほかの牧場は追いつけないではないか、とお考えになる方が多いと思います。しかし、ひとつだけやっていない(であろう)ことがあります。それは、アガ・カーン四世殿下がやっているような血統表をベースとした交配種牡馬の選定です。これを社台グループが始めたら半永久的に追いつけないと思います。しかし、やっていないとしたら、その王権は絶対的なものではなく、知恵を使って闘えばまだ革命の起こる余地はあるでしょう。

2011年1月15日 (土)

社台グループが欧米セリで良血牝馬を大量購入(前)

北半球ではだいたい春から秋にかけて1、2歳のセールが行われ、秋冬に繁殖牝馬や現役牝馬などが出場するミックスセールが行われます。良血の繁殖牝馬を手に入れようとするならば、秋冬のミックスセールに出かける必要があります。

1月10日から米ケンタッキーで始まったキーンランドジャニュアリーセールでは、社台ファームが140万ドルの最高価格で Ave(父 Danehill Dancer)を、吉田勝己氏が2番目の価格である80万ドルで Wickedly Perfect(父 Congrats)を落札しました。

Ave は、昨年10月のフラワーボウル招待S(米G1・芝10f)でレッドディザイアを破って優勝した馬です。一方の Wickedly Perfect も米G1ホースですが、明け3歳なのでまだしばらく現役を続けるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/ave5
http://www.pedigreequery.com/wickedly+perfect

このところ欧米のセールにおいて、社台グループ(社台ファームと吉田勝己氏)がどんどん良血牝馬を購入しています。昨年12月に仏ドーヴィルで行われたアルカナディセンバーセールでは、社台グループが落札価格順の上位3頭(Celimene、Lune d'Or、La Boum)までをお買い上げ。また、11月末から12月初めにかけて英ニューマーケットで行われたタタソールズディセンバーセールや、11月に米ケンタッキーで行われたファシグティプトン、キーンランドの両ノベンバーセールでも、目玉商品を続々と落札していきました。

社台グループが落札した主な牝馬は以下のとおり。いずれ日本に輸入され、社台スタリオンステーションの種牡馬群と交配されるのでしょう。どんな実績を持つ牝馬であるかは説明は省きます。興味のある方はURL内にある説明をご覧ください。

http://www.pedigreequery.com/celimene5
http://www.pedigreequery.com/lune+dor2
http://www.pedigreequery.com/la+boum
http://www.pedigreequery.com/serious+attitude2
http://www.pedigreequery.com/gabbys+golden+gal
http://www.pedigreequery.com/dubai+majesty
http://www.pedigreequery.com/franny+freud
http://www.pedigreequery.com/lucky+one3
http://www.pedigreequery.com/fit+right+in
http://www.pedigreequery.com/baroness+thatcher
http://www.pedigreequery.com/moneycantbuymelove2
http://www.pedigreequery.com/pretty+carina2
http://www.pedigreequery.com/cooden+beach
http://www.pedigreequery.com/exhibit+one
http://www.pedigreequery.com/belle+allure3
http://www.pedigreequery.com/limelight11
http://www.pedigreequery.com/pollenator

2011年1月14日 (金)

チャイナマネーと競馬(後)

世界的に存在感を増しているチャイナマネーは、JRAにとってもビジネスの対象となりうるのではないでしょうか。現在、JRAは、ロンドン、パリ、ニューヨーク、シドニー、香港に駐在員事務所があります。中国本土には競馬場はありませんが、上海あたりに事務所を作ってもいいのではないかと思います。馬事とは関係なく、純粋に観光客を誘致するための拠点です。

一般的な傾向として中国人はギャンブル好きだと思います。マカオのカジノへ遊びに行くような、外国でギャンブルを楽しみたいと考える富裕層を取り込むことができれば、売り上げに大きく寄与するだろうと思います。

彼らへ向けて、さまざまな形で日本競馬の魅力をアピールし、観光&競馬を楽しむツアーを組みます。ホテルから直接、貸し切りの大型バスで競馬場の入口まで運んであげれば親切でしょう。中国語対応のレーシングプログラムを作成するのもいいかもしれません。

たとえば、凱旋門賞の当日などは、ロンシャン競馬場の外周路の道端に、世界各国のツアー会社が手配した大型観光バスが数十台も停車し、それはそれは壮観です。ディープインパクトが出走した06年は、大量の日本人観光客が押し寄せたおかげで、場内の1日の売り上げ額が、過去最高だった91年の凱旋門賞当日を34%も上回る新記録でした。場内には日本語の案内板と簡単なパンフレット、日本人向けの馬券売り場などがありました。

また、ナカヤマフェスタとヴィクトワールピサが出走した昨年は、土産物ショップの女性店員が日本語をしゃべっていました。買い物をしようと彼女に近づいていったところ、「日本語で大丈夫ですよ~」とニッコリ。純フランス風の顔立ちと癖のない綺麗な日本語のギャップに感動し、思わず「日本にいらっしゃったことがあるんですか?」と問いかけると、「留学していたことがあるんです」と返ってきました。おそらく統括団体のフランスギャロが、日本人の来場を見越して臨時で雇ったアルバイトなのでしょう。そうした企業努力はたいしたものだと思います。外国人マネーは売り上げ増加の切り札である、と認識しているからだと思います。

昨年4月、超党派のカジノ議連が発足し、昨年12月には「2011年の通常国会でカジノ解禁の法案を議員立法で提出、成立を目指す」と報じられました。これを受け、昨年末の東京株式市場では、カジノ関連株が軒並み値を飛ばし、盛り上がりを見せました。もし仮に、法案が可決され、カジノ解禁という事態になれば、おそらく競馬は長期的に見てきわめて深刻なダメージを受けるでしょう。そうなった際の対抗策としても、外国人マネーを取り込むための準備を、いまのうちにしておいたほうがいいのではないかと思います。

2011年1月13日 (木)

チャイナマネーと競馬(前)

1月4日に共同通信が配信したニュース記事に興味をそそられました。引用します。

…………………………………………………………
「マカオのカジノ収入過去最高 1兆9千億円」

【香港共同】マカオのカジノ監督当局は4日までに、2010年のマカオのカジノ総収入は前年比58%増で過去最高となる1883億パタカ(約1兆9300億円)となったと発表した。香港紙、蘋果日報は米ラスベガスのカジノ収入の約4倍だとしている。

 マカオのカジノは政府税収の大半を占める主力産業。カジノ収入は06年にラスベガスを抜いて世界一となり、その後も毎年10~40%台の高成長が続いている。中国大陸からの富裕な観光客が収入の伸びに貢献しているとみられる。
http://www.47news.jp/CN/201101/CN2011010401000777.html
…………………………………………………………

ラスベガスの4倍という売り上げもさることながら、伸び率が凄まじいですね。2010年のJRAの総売り上げは2兆4275億円ですから、まだ勝ってはいるものの、マカオの売り上げ増加率とJRAの減少率から考えると、今年はおそらく逆転するでしょう。記事にもあるとおり、この原動力は中国大陸から流入する富裕層のパワーです。

現在の中国は、バブルのまっただなかにあり、表向きの華やかさとは裏腹に、中国政府が経済政策の舵取りに苦慮(苦悶?)していることが見て取れます。ほとんど綱渡りのような危うさといっていいと思います。したがって、この好況がいつまで続くかは分かりません。

ただ、そうした懸念はとりあえず脇に置き、現在の好況を享受する富裕層の存在に着目すれば、彼らが握るチャイナマネーを取り込むことはどのビジネスにとっても大きなチャンスです。

たとえば、銀座の松坂屋前は観光バスが停まるポイントでもあるのですが、最近は中国からの団体客が激増し、ここで降りた中国人観光客がそのまま松坂屋に吸い込まれていく光景を目にします。驚くべきは店員の語学力。どの売り場の店員も流暢に中国語を話すのです。中国人の富裕層を取り込むための企業努力がそこにあります。(続く)

2011年1月 8日 (土)

根岸競馬場跡を歩く

競馬を生業としながら、横浜にある根岸競馬場の跡地へは一度も足を運んだことがありませんでした。理由はただ単に遠いからです。木曜日にちょっと気合いを入れて行ってみました。

重々しい威容で聳え立つ1930年建造のスタンドは、周囲を柵で囲われているので、内部に立ち入ることはできません。くすんだ灰色の外壁には無人の歳月を物語るようにびっしりと蔦が絡みついており、その風格と迫力は思わず息を呑むほどです。ハトやカラスにとっては格好の休息所のようで、高層部分にときおり舞い降りては下界の人間たちを眺めています。YouTube に動画がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=mz2kJAQiBfc

この地では幕末から競馬が行われていました。『F.ベアト写真集1 幕末日本の風景と人びと』(横浜開港資料館編)には、ベアトによる次のような解説文があります。

「遊歩新道開通後1年ほど経って、設計・工事ともに優れた競馬場が、道路沿いの美しい場所に完成した。周囲1マイル以上もあり、かなりの労力が費やされた。スタンドから見える景色の美しさと広大さは、他に類がないと言ってもよく、東アジアにある最高のもの、また最もすばらしいものの一つと考えられる。」

こんな文章があるのだから、当然競馬場の写真もあるだろうと思いきや、それに添えられた1枚は、競馬場とは反対側の、海側の風景を収めたものです。

根岸競馬場(正式には横浜競馬場)は、幕末の1867年から太平洋戦争中の1942年まで75年にわたって競馬が行われました。馬の姿が消えてから69年が経過したので、そろそろ開催していた年月に並ぼうとしています。1939年に「横浜農林省賞典4歳呼馬」として創設された皐月賞は、第1回から第4回までここで行われています。初代三冠馬のセントライトが皐月賞を勝ったときもこの競馬場でした。
http://ahonoora.web.fc2.com/stlite.html

夕日に映える美しいスタンドを眼に焼き付けてから、さて帰ろうかと歩いていたところ、JRAの馬の博物館で「秋山好古と明治の騎兵」という特別展が開催中であることを発見。引き寄せられるように入館しました。

秋山好古(1859~1930年)は、「日本騎兵の父」といわれた名将です。NHKのドラマ『坂の上の雲』では阿部寛が演じています。陸軍士官学校の同期で、のちに元帥となった上原勇作は、「秋山大将は典型的な古武士的風格のある武将だった。秋山のような古武士は今後ふたたび出ては来ないだろう」と評しています。陸軍大学校で学生たちに騎兵とは何かという講義していたときに、突然、素手で窓ガラスを打ち割り、血まみれになった拳を掲げて「騎兵とはこれだ」(防御力は弱いが機動力を活かして敵を打ち破ることができる)と説明したエピソードは有名です。たしかに現代の日本にはいないタイプの人間でしょうね。

「日本競馬の父」といわれ、安田記念にその名を残す安田伊左衛門は、もともと陸軍の軍人で、最終階級は陸軍騎兵大尉です。明治時代の日清・日露戦争において、国産馬の能力が劣っていることを認識した政府は、馬匹改良には競馬の発展が不可欠と判断し、1906年に馬券発売を黙認したという経緯があります。競馬の振興は騎兵の強化を図るという側面があったわけです。『坂の上の雲』への便乗だけでなく、日本競馬が辿ってきた道筋を振り返るという意味でも、なかなかいい企画ではないかと思いました。

博物館から出ると、すでに辺りは薄暗くなっていました。空腹感を覚えたので、中華街に足を伸ばして五目焼きそばとワンタンと杏仁豆腐を食べ、土産に中華菓子を買い求めてから帰途に就きました。競馬開催のない日はほとんど家に籠もって仕事をしているのですが、こんな1日もいいものだなぁと……。

2011年1月 2日 (日)

直線以外の芝1000m戦

そういえば最近ほとんど見なくなったなぁ……と思い、「TARGET frontier JV」で調べてみたところ、思った以上に激減していました。

90年  93R
95年  81R
00年  53R
05年   9R
10年   2R

新潟の直線芝1000mコースは01年に設置されました。したがって、それ以前の数字はすべてコーナーのある競馬場でのものです。かなり以前から芝1000m戦そのものが漸減傾向にあったのですが、新潟に直線コースができてからガクンと減り、いまや絶滅寸前です。

新潟以外で行われた3歳以上の芝1000m戦は、01年9月23日の札幌9R(500万下)を最後に行われていません。すでに10年近く、コーナーのあるコースで行われる芝1000m戦は2歳戦のみです。

昨年は全体で26レースが組まれ、うち新潟コースが24レース。残りの2レースは、2歳シーズン開幕日の6月19日に組まれた函館と福島の新馬戦です。

札幌芝1000mは、04年を最後に行われていませんでした。一昨年は函館競馬場改修の影響か5年ぶりに復活。しかし、昨年は組まれず、おそらく今後も行われないのではと思われます。

小倉芝1000mは、一昨年までは行われていましたが、昨年はゼロ。ブリンキーバートスの伝説が生まれたコースも、二度と使われないのかもしれません。

コーナーのあるコースの芝1000m戦が無くなってしまうのは時間の問題でしょう。79年にハギノトップレディが樹立した「57秒2」という函館の2歳コースレコードも、破られないまま残る可能性が高くなってきました。

2011年1月 1日 (土)

あけましておめでとうございます

馬に魅せられて30年、心から思うのは今の競馬が一番面白いということです。また、若い世代の配合に対する感受性の強さにも日々感心しています。世界のどこを探しても、我が国の若い世代を上回るセンシティヴな競馬ファンはいないでしょう。日本競馬の大きな財産だと思います。

本年もよろしくお願いします。

2010年12月11日 (土)

中央競馬ワイド中継、年内で終了

80年代末に競馬業界に入ってから、テレビで競馬中継を見る機会は大幅に減りました。レースをやっている時間帯は仕事がありますし、東京中山の開催日は現場に行くことも多いので、じっくりテレビの前に座って……という感じにはなかなかなりません。

それ以前はよく観ていました。競馬場へ遊びに行くときも、競馬中継をビデオに録画して、帰ってからチェックするということを欠かさずしていました。当時、いちばんのお気に入りは「中央競馬ワイド中継」。関東圏のUHF局だけで放送されているローカル番組です。

フジテレビの競馬中継が「チャレンジ・ザ・競馬」というロクでもないクイズ番組に変更されて、競馬ファンの多くは嘆き悲しみました(たぶん)。その改悪とほぼ同時期に「中央競馬ワイド中継」は出発しました。これは救いの神でしたね。馬券を買ってレースを楽しむために必要なファクター――レース展望、パドック解説、返し馬診断、レース実況、回顧――をオーソドックスにこなし、質の高い特集を挟んでいく正統派の番組。競馬に魅了され、週末を心待ちにし、毎週欠かさず馬券を購入するファンが求めているのはこういう番組でしょう。あくまでも競馬が好きで競馬中継を観ているわけですから、競馬をクイズ仕立てにして芸能人が当たった外れたなどと騒いでいる姿など、はっきり言ってどうでもいいわけです。

したがって、私を含めて当時の競馬友達はみんな「中央競馬ワイド中継」が大好きでした。どうでもいい余談ですが、高校時代は学校非公認の「競馬部」というものがあり、そこでは小林皓正さん、松沢俊夫さん、松本憲二さん、柏木集保さん、阿部幸太郎さんなどのモノマネが流行っていました。われわれのアイドルはおニャン子クラブではなく、番組のキャスターを務められていた米倉いづみさん、浜まさみさんでした。気持ち悪いですね(笑)。そんなこんなで番組開始から4~5年間はしっかり観ていました。いまから考えるとこの番組は私にとって「競馬の学校」でした。番組制作者や出演者の方々には言葉で言い表せないほどの感謝の気持ちがあります。

記憶に残るシーンはたくさんあるのですが、一番笑ったのは阿部幸太郎さんが競馬学校を取材した企画。イガグリ頭の騎手候補生たちと一緒に寝わらを上げたり食堂でご飯を食べたり……といった体験モノです。VTRが終わったあとのスタジオのやりとりで、阿部さんがある騎手候補生を「模範生」と言おうとして、思わず「模範囚」と言い間違えてしまったシーンは爆笑しました。正統派の番組ながら、どことなくゆるい感じがあって、それが独特の味を出していましたね。肩の力を抜いて楽しめました。本当にいい番組だったなぁと思います。

2010年12月10日 (金)

Hyperion 没後50年(後)

Hyperion を生産したのは第17代ダービー伯爵のエドワード・スタンリー。しかし、実際に配合をデザインしたのは、彼の血統アドバイザーであるウォルター・オルストンです。

サラブレッドの器は配合(つまりDNA)によって決定されます。器が小さければいくらトレーニングしようが大きなレースには勝てません。ですから、優れたサラブレッドを生み出すためには、“繁殖牝馬にどの種牡馬を交配するか”という部分にこそ、最も多くの関心と知的労力を注がなければならないと思います。聡明なダービー伯爵はそのことを理解していました。血統研究家として名高いウォルター・オルストンを招聘し、彼の手腕に牧場の将来を委ねたのです。

オルストンが Hyperion をどのようにして作ったか、という具体的なプロセスについては、書き始めると長くなるので、来週あたりに概要を記したいと思います。感嘆すべきテクニックがそこには込められています。
http://www.pedigreequery.com/hyperion

Hyperion のサイアーラインは、60~70年代にかけて日本でも一定の勢力を誇り、メイズイ、カブトシロー、タケシバオー、タイテエム、ハイセイコー、グリーングラスといったビッグレースの勝ち馬が出ました。この系統の最後の名馬は98年に皐月賞と菊花賞の二冠を制したセイウンスカイ。これ以降、Hyperion 系のクラシック勝ち馬は出ていません。日本だけでなく世界的に見ても Hyperion 系は役割を終えた感があり、これから発展しそうなラインは見当たりません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995107393/

ただ、サイアーラインが衰退したからといって、血脈の価値が下がるわけではありません。昨日のエントリーでトニービンを例に挙げたように、Hyperion の影響力は現代においても非常に大きいものがあります。とくに Northern Dancer に含まれている点は見逃せません。Northern Dancer が小柄だったのは、同じく小柄だった Hyperion の影響もあるのでは……とも思います。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

ここ20年間のヨーロッパで最も成功した種牡馬である Sadler's Wells とデインヒルは、いずれも Northern Dancer 系で、Hyperion クロスを持っています。クラシック向きのスタミナと底力、そして成長力を補おうとするとき、Hyperion ほど頼りになる血はありません。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/danehill

Hyperion は偶然の産物ではなく、ウォルター・オルストンの深い血統研究から誕生した傑作です。育種とは何か、サラブレッドを改良するにはどうすればよいかという大きな命題に対し、当時のイギリス生産界が出した回答です。世界ナンバーワンだったイギリス競馬は、実践的な配合研究においても世界をリードする存在でした。Hyperion の血統表を眺めて得られる感動は、そうした豊かさに触れる感動でもあります。

2010年12月 9日 (木)

Hyperion 没後50年(前)

『世界の名馬』(原田俊治著/サラブレッド血統センター)の「ハイペリオン」はこんな一文から始まります。

「その卓越した競馬成績と特に種牡馬成績によって“世紀の名馬”といわれたハイペリオンは、1960年(昭和35年)12月9日、ニューマーケット競馬場にほど近いウッドランド牧場で老衰のため死んだ。」

ちょうど50年前の今日です。

Hyperion の生涯については、『世界の名馬』のほかにも多くの文献を日本語で読むことができます。『伝説の名馬 PartI』(山野浩一著/中央競馬ピーアール・センター)の「ハイペリオン」は以下の文章で結ばれています。

「31歳を迎えたハイペリオンのために屋根付きの放牧地をつくると、ハイペリオンはまだまだ元気一杯に走りまわっていた。しかし、寒さの到来とともにハイペリオンは急に弱りだし、たちまち呼吸困難に陥っていった。ダービー伯はその姿を見ていることができず、館に閉じこもっていたが、間もなく場長がダービー伯には無断で安楽死させたことを告げにきた。ダービー伯はその気持ちに感謝の意を告げ、ウインストン・チャーチル卿の来訪時に開けたブランデーをみんなで飲んだ。そしてウッドランド牧場にハイペリオンの巨大な銅像を建てた。」

Hyperion(1930年生)は英二冠を制した名馬で、ダービーの勝ちタイムは当時のレコード。種牡馬としても大成功し、1940年代から50年代にかけて英愛種牡馬ランキングで6回首位に立ちました。20世紀のイギリスを代表する名種牡馬の1頭といえるでしょう。

イギリス競馬が300年の淘汰によって産み出した最良の血、とでもいうべき傑作で、Hyperion が伝えたクラシック向きのスタミナと底力は全世界で重宝されました。

東京コースは、長い直線に坂があるというタフさゆえに、能力検定としては確かなものがあります。このコースで Hyperion は高い信頼性を誇りました。Hyperion の影響の強い血はこのコースで信頼できます。

たとえばトニービン。血統表をご覧いただければ分かるように、Hyperion 5×3・5です。私はこの馬を Grey Sovereign 系としてとらえたことは一度もありません。どう考えても Hyperion です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/

東京コースにおけるトニービン産駒の強さはあらためて説明するまでもないでしょう。産駒が制した13勝のG1のうち、11勝は東京コースで挙げました。(続く)

2010年12月 3日 (金)

水曜坂路の好調教馬、ヌーベルバーグ

12月2日夜に放送された『アメトーーク』(テレビ朝日)。今週は「競馬芸人」の回でした。初心者入門としてよくできた内容で、競馬新聞の見方から面白エピソードの紹介までを幅広く網羅し、競馬の宣伝効果としてはJRAのCM何百回分にも相当したのではないかと。

年に数回、所用でJRA本部に行くのですが、職員の方々が立ち働くフロアには「祝! ○○記念 105・2%」「祝! ○○ステークス 108・9%」といった短冊が天井から吊されています。要するに前年比の売り上げを示したもので、100%以上になった重賞がズラリと並べられているのです。売り上げ増に向けて熱心に取り組んでいるんだなぁということがよく分かります。今回の番組によってすぐに売り上げ増加が見込めるわけではないでしょうが、競馬を身近に感じてもらうための種まきとしては成功だったのでは?

さて、今週の新馬戦出走馬のなかで好調教をマークした馬をピックアップしたいのですが、どれか1頭選ぶとなれば、水曜日の栗東坂路で未出走馬の一番時計をマークしたヌーベルバーグ(父ディープインパクト・音無厩舎)でしょうか。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)で2着となったシークレットコードの半妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102997/

この馬の配合はちょっとおもしろいところがあります。まず、「ディープインパクト×Lost Code」なので、「サンデー×Lost Code」のハットトリック(香港マイル、マイルCS)と似ています。母マジックコードはカナダの最優秀古馬牝馬に選ばれた活躍馬。

母の父 Lost Code は“Chieftain≒Fast Trun 4×3”がミソです。
http://www.pedigreequery.com/lost+code

         ┌ Nasrullah(≒Royal Charger)
       ┌○┘
Chieftain ――┤ ┌ Roman(≒Admiral Drake)
       └○┤
         └ How(=Cherokee Rose)

         ┌ Royal Charger(≒Nasrullah)
       ┌○┤ ┌ Admiral Drake(≒Roman)
Fast Turn ――┤ └○┘
       └ Cherokee Rose(=How)

ディープインパクトに含まれる Lady Rebecca は、Chieftain の半妹であり、なおかつ Fast Turn と配合構成が似ています。

           ┌ Turn-to
         ┌○┘
       ┌○┘
Lady Rebeca ―┤
       └○┐
         └ How(=Cherokee Rose)

       ┌ Turn-to
Fast Turn ――┤
       └ Cherokee Rose(=How)

要するに、Lost Code が抱える相似な血のクロスを、父ディープインパクトが継続していることになります。

ディープインパクトの配合において、Lady Rebecca の構成要素を強化することが大事ではないかということを、5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」で述べました。そうした視点から見てぴったりの配合だと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

2代母の父 Flying Paster が大物感に欠ける二流血脈なので、ちょっと信頼しきれず「栗山ノート」には含められなかったのですが、稽古で動いているということはいいものを持っているのでしょう。日曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)に出走する予定です。

2010年12月 2日 (木)

10年前の今日、天才クリス・アントレーが

80年代の富士S(OP・芝1800m)は、ジャパンCの前哨戦として位置づけられ、本番前に外国馬が足慣らしとして出走するオープン特別でした。88年のレースはアメリカ馬セーラムドライブが4馬身差の圧勝。鞍上のクリス・アントレーは、22歳の若さでありながら、ベテランとしか思えない完璧なテクニックを披露し、とくに華麗なステッキワークは強く印象に残りました。

19歳で年間469勝を挙げ全米ナンバーワンとなった天才で、87年には1日9勝、89年には64日間連続勝利というとんでもない大記録を作っています。ビッグレースの実績も豊富で、Strike the Gold でケンタッキーダービーを、カリズマティックでケンタッキーダービーとプリークネスSの二冠を制覇しました。
http://www.youtube.com/watch?v=6e68I3qI5pU

彼が突然死亡したのは2000年12月2日。ちょうど10年前の今日です。その前年、カリズマティックとのコンビで全米を沸かせたばかりのトップジョッキーの死ですから、CNNなどでも大きく報道されました。カリフォルニア州の自宅で遺体となって発見され、頭部に外傷があったことから、当初は何者かに殺害された可能性が高いと報じられたのですが、その後、事故死と結論づけられました。

彼のキャリアは薬物との闘いの歴史でもありました。事故死に至ったアクシデントもオーバードーズ(薬物過剰摂取)に起因するものです。亡くなる前年の99年8月、『週刊競馬ブック』誌に「天才クリス・アントレーの飛翔」(構成・文=合田伊都子)と題するインタビュー記事が掲載されました。ドラッグに関する箇所を引用します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

――昔のことになりますが、ドラッグの問題で世間を騒がせたことがありますよね。

 恥ずかしいことですが、そのとおりです。

――それはいつ頃の話なのですか。

 確か18歳ぐらいで、ピムリコで乗っているときのことでした。友人たちが僕の家に集まって、コカインをやってたんです。最初誘われたときは「僕はいいよ」って言ってたのに、みんなが帰ったあと残されたコカインを見ているうちに好奇心が湧いちゃって。

――ドラッグをやった後はどうなります?

 僕の場合は、完全に鬱状態になりました。何もかもいやになって、現実の世界からの逃避です。一回やると3日間馬にも乗らず行方をくらまして、それじゃいけないと何とか元に戻るといった状態。なのに、また、すぐに同じことを繰り返してしまって。

――ただ、その時期は、仕事の面では絶好調だったでしょ。決してドラッグを認めませんが、体重のコントロールとか、ストレスの発散とか、少なくとも何らかのメリットがあったとも考えられませんか。

 いや、それは単なる言い訳です。実際に体重問題で苦しんでいるときは、どうしても気が弱くなって落ち込みがちになりますから、そんな時にコカインが元気の源をくれると、自分本位に考えてしまいます。今となっては遅いけど、ドラッグは僕のキャリアに傷をつけただけ。コカインをやって騎乗がうまくなったわけでもなければ、悪影響を受けたわけでもありません。ともかく、周りがみんなやってるからっていう、妙な安心感があったのだけは確かです。

――今はもちろんお世話になっていませんよね。

 もう見るのもイヤです(笑)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

死亡時の年齢は34歳。もし現在生きていたとしてもまだ44歳です。若いですね。Zenyatta の主戦ジョッキーを務めたマイク・スミスよりも年下です。

彼が跨がったベストホースはカリズマティック。引退後、アメリカで3年間供用されたあと日本に輸入され、ワンダーアキュート(武蔵野S、シリウスS)を出しました。今週のジャパンCダート(G1・ダ1800m)にも登録がありますが、賞金が足りず除外される公算大。来週土曜日のベテルギウスS(OP・ダ2000m)に回るものと思われます。

2010年11月20日 (土)

東京スポーツ杯2歳Sの展望……ではないですが

ここ5年間にメイショウサムソン、ナカヤマフェスタ、ローズキングダムといった大物が連対しているように、素質重視で買いたいレース。器を見抜く眼が問われますね。キャリアよりも素質優先ですから、新馬戦を勝ったばかりの馬でも即連対できます。

予想めいたことを書くと有料予想を出したところに迷惑が掛かるので、血統を見て気がついたことを2つほど。

■トーセンケイトゥー、リフトザウイングスという有力馬2頭を送り出すハーツクライは、秋口までの快進撃がウソのように、1ヵ月以上も勝ち星に見放されています(現在27連敗)。この急ブレーキは予想できませんでした。

10月7日のエントリー「ハーツクライとサンデーを比べてみると」のなかで、「ディープインパクトの子に比べて頭数が3分の2程度なので、この先、数の上では抜かれる可能性があるものの、アベレージでは優位を保つのではないでしょうか」と記しました。いまや数だけでなく、かつては上回っていた勝率、連対率、複勝率においてもディープインパクトに後れをとっています(それでもなお優秀な数字ではありますが)。

おもしろいのはいまだに左回りの芝で勝ち星がないこと。直線コースを除いた新潟では4戦未勝利。東京では10戦未勝利。2着も1回だけです。

土曜東京4R(芝1600m)には、某POGで指名したダノンハローが出走します。新馬戦で2着したときはすぐにでも勝ち上がれると思ったのですが、その後は9着、5着。今回は目先を変えて関東に遠征してきて、鞍上もスミヨン騎手にスイッチ。全体で27連敗中、左回りで14連敗中ですが、確率的にそろそろ勝ってもいいような……。

■フェイトフルウォーは「ステイゴールド×メジロマックイーン」。この組み合わせは過去にドリームジャーニーを含めて4頭がデビューし、すべて新馬戦を勝ち上がっています。

ステイゴールド産駒は晩成の傾向が見られ、新馬戦ではむしろ買いづらいタイプ。それで初戦からこれだけ走るのですからニックスといえます。

過去、新馬戦に出走した「母の父メジロマックイーン」は62頭おり、そのうち勝ち上がったのは5頭しかいないのですが、うち4頭がステイゴールド産駒。この組み合わせの優秀さが分かります。

この4頭にはもうひとつ、“2代母の父が Northern Dancer の息子”という共通点があります(つまり Northern Dancer 5×4)。父がメジロマックイーンで母の父が Northern Dancer の息子、という配合の繁殖牝馬がいたら、とりあえずステイゴールドを付けておけば走りそうな気がします。

2010年11月19日 (金)

Northern Dancer 没後20年(4)

2010年の全欧種牡馬ランキングのベスト10は以下のとおり。まだシーズンは終了していないので現時点の途中成績です。

1位 Galileo(by Sadler's Wells)★
2位 King's Best(by Kingmambo)
3位 Oasis Dream(by Green Desert)★
4位 Dubawi(by Dubai Millennium)
5位 Dansili(by デインヒル)★
6位 Danehill Dancer(by デインヒル)★
7位 Cape Cross(by Green Desert)★
8位 Pivotal(by Polar Falcon)★
9位 Shamardal(by Giant's Causeway)★
10位 Invincible Spirit(by Green Desert)★

2位の King's Best、4位の Dubawi を除く8頭が Northern Dancer 系となっています(★が付いた馬)。日本では同系統の退潮が著しく、アメリカでは Storm Cat のライン以外は元気がないという状況。しかし、ヨーロッパでは相変わらず強いですね。20年前に比べて寡占率が上昇しています。

Northern Dancer 系のなかでもどのラインに属しているのか、8頭の内訳を示します。

Danzig       5頭(3、5、6、7、10位)
Sadler's Wells   1頭(1位)
Nureyev      1頭(8位)
Storm Cat     1頭(9位)

リーディングサイアーは Sadler's Wells 系の Galileo。しかし、割合でみると Danzig 系の圧勝です。Danzig はスピードが身上なので  Sadler's Wells よりも短めの距離を得意としています。ヨーロッパはスタミナ豊かな繁殖牝馬が多いので、サイアーラインの距離適性は代を経るごとに自然に延びていく傾向があります。マイルから中距離へ、中距離から長距離へ。そこで“上がり”となって役割を終えます。 Danzig 系は Sadler's Wells 系に比べて距離適性が短めであるぶん、次の代に血を繋げやすいという面があります。

クールモアのアイルランド本場に繋養されている22頭の種牡馬のうち、約6割にあたる13頭が Danzig 系です。世界血統のメインストリームはクールモアが作り出している部分が大きいので、ここで強力なバックアップを受けている Danzig 系が当分のあいだ世界のトップの座に君臨しつづけるでしょう。

短距離戦が盛んなオーストラリアでも Danzig 系が大人気。09-10年のサイアーランキングでは上位10頭中4頭が Danzig 系です。

1位 Redoute's Choice(by デインヒル)
5位 コマンズ(by デインヒル)
6位 Testa Rossa(by ペルジノ)
9位 Fastnet Rock(by デインヒル)

ヨーロッパとオーストラリアでは Danzig 系のシェアが高く、Sadler's Wells 系がこれに続きます。そして、昨日のエントリーでご紹介したようにアメリカでは Storm Cat 系の一極体制です。

2010年時点の Northern Dancer 系は、ほぼこの3系統に絞られつつあるといえるでしょう。

20年後の2030年にどのような血統地図が描かれているのか、ひょっとしたら今回書いたことが笑い話となるような驚くべき展開が待っているかもしれません。日本に再び Northern Dancer 系が根付くのか、それともサンデー系が押し返すのか……といったことも含めて、興味は尽きません。

2010年11月18日 (木)

Northern Dancer 没後20年(3)

Northern Dancer から派生したいくつかの主要ラインのうち、ここ20年で衰退していったのは Nijinsky と Lyphard。もはやかつての勢いを回復するのは難しいでしょう。

アメリカは Storm Cat 系の一極体制です。2010年のランキング(ブラッドホース誌)を見ると、10位以内に3頭の Northern Dancer 系種牡馬がランクインしており、そのすべてが Storm Cat 系です。

2位 Giant's Causeway(by Storm Cat)
8位 Lion Heart(by Tale of the Cat)
10位 Tale of the Cat(by Storm Cat)

3頭ともクールモアの所有馬でしたが、Lion Heart は今年1月にトルコに売却されました。売った途端、Dangerous Midge(BCターフ)、Line of David(アーカンソーダービー)、Kantharos(サラトガスペシャルS)などの大物が出てきています。

Storm Cat 系を背負って立つエースが Giant's Causeway であるのは衆目の一致するところでしょう。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出しています。まだ13歳ですから少なくともあと数年は第一線で頑張れるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway

初期の代表産駒 Shamardal は、初年度から Lope De Vega(仏ダービー、仏2000ギニー)を送り出し、種牡馬として好スタートを切っています。Shamardal の母は名種牡馬 Street Cry(Zenyatta、Street Sence などの父)の全姉。血統的にもおもしろい馬です。
http://www.pedigreequery.com/shamardal
http://www.pedigreequery.com/street+cry

Storm Cat は、パワーと仕上がりの早さは超一流ですが、日本の軽い芝にフィットするようなしなやかさと瞬発力を欠き、気ムラで信頼性が乏しいという欠点があります。早い話が日本向きの血とはいえません。サンデーサイレンスとの相性もイマイチでした(息子のスペシャルウィークやマンハッタンカフェとは相性良好)。

ただ、 Giant's Causeway はそのあたりのアクの強さが緩和されており、日本で走ったスズカコーズウェイとエイシンアポロンは芝の重賞を勝ちました。Storm Cat 系は今後、Giant's Causeway を通じて発展していくものと思われます。(続く)

2010年11月17日 (水)

Northern Dancer 没後20年(2)

現役時代の Northern Dancer は米二冠を含めて18戦14勝。カナダ産馬として史上初めてケンタッキーダービーを勝った馬でもあります。勝ちタイムの2分00秒0は64年当時のレースレコード。これを上回るタイムは半世紀近くを経た現在でも Secretariat(1分59秒4/73年)と Monarchos(1分59秒97/01年)の2つだけです。
http://www.youtube.com/watch?v=LIRmzt4UmMc

種牡馬としては最初の4年間をカナダで過ごし、その後、死亡する90年まで米メリーランド州にあるウインドフィールズファームの支場に繋養されました。アメリカにおける馬産の中心地はケンタッキー州。Northern Dancer は一度もそこへ足を踏み入れることなく、約700キロ東部に位置する大西洋沿いのメリーランド州に在りながら、種牡馬の王として君臨したのです。

Northern Dancer が生涯に送り出した産駒はわずか635頭。23シーズンの種付けでこの数字ですから、1シーズンあたりに直すと28頭弱。毎年コンスタントに250頭以上の種付けをこなしているキングカメハメハなどは、わずか3年で Northern Dancer の総産駒数を抜いてしまう計算です。ただ、Northern Dancer は、種付け頭数を抑えることで逆に価値を高めることに成功しました。晩年の種付け料は億単位といわれ、83年にキーンランドのイヤリングセールで落札された1歳の牡馬(後の Snaafi Dancer)には、なんと1020万ドル(当時のレートで約24億円)という値がつきました。
http://www.pedigreequery.com/snaafi+dancer

当時、アメリカのセリ市場を席巻していたのは、ロバート・サングスターなどのヨーロッパの富豪と、マクトゥーム・ファミリーなどの中東勢。これらが Northern Dancer とその系統の良血馬を根こそぎ買い上げ、ヨーロッパへ持っていってしまったので、Northern Dancer は北米で誕生した血統でありながら、むしろヨーロッパを中心に繁栄しました。Nijinsky、Lyphard、Nureyev、Sadler's Wells、The Minstrel、Storm Bird、El Gran Senor などはヨーロッパで走った馬たちです。北米で競走生活を送り、種牡馬としても成功を収めたのは、初期の Vice Regent を除けば Danzig ぐらいしかいません。(続く)

2010年11月16日 (火)

Northern Dancer 没後20年(1)

1990年11月16日、20世紀を代表する大種牡馬 Northern Dancer が死亡しました。29歳。年も年ですからいつ死んでもおかしくないという心の準備はしていたのですが、いざ訃報に接すると「ああついに……」という軽い虚脱感があったのを覚えています。

当時、22歳の栗山青年は、『週刊競馬通信』という雑誌の編集に携わりつつ、「血統SQUARE」という枠をもらって連載コラムを書き始めたばかりでした。いまでも似たような生活をしているわけですから進歩がないというか何というか……。初めて書いたのは「オペラ座の夜」という5回シリーズ。4分の3同血の関係にある Nureyev と Sadler's Wells について、Dalmary にさかのぼる牝系から描き出したもので、Northern Dancer 系の主導権争いは Sadler's Wells が勝利したと結論づけました。

なぜこの題材を取り上げたかというと、当時の生産界において Northern Dancer の存在感はきわめて大きく、数ある後継馬のなかでどのラインが主流となるかということが主要な関心事だったからです。そして、いまでもはっきりと覚えているのですが、原稿を書き上げたその瞬間、Northern Dancer の訃報を耳にしたのです。個人的にはそうした点からも印象深い出来事でした。

本日は Northern Dancer 没後ちょうど20年目にあたります。

世の中が否応なく変わって行くように、血統の潮流も大きく様変わりしました。1990年の種牡馬ランキングを以下に示します。

1位 ノーザンテースト(by Northern Dancer)★
2位 ミルジョージ(by Mill Reef)
3位 トウショウボーイ(by テスコボーイ)
4位 モガミ(by Lyphard)★
5位 ノーザンディクテイター(by Northern Dancer)★
6位 マルゼンスキー(by Nijinsky)★
7位 ブレイヴェストローマン(by Never Bend)
8位 ラッキーソブリン(by Nijinsky)★
9位 リアルシャダイ(by Roberto)
10位 アンバーシャダイ(by ノーザンテースト)★

10頭中6頭が Northern Dancer 系です(★が付いた馬)。サンデーサイレンスもトニービンもブライアンズタイムもまだ出てきていません。これらが出揃ったのが90年代の前半。ここから日本の血統シーンは一変していきます。しかし、90年の時点では、このまま Northern Dancer 系の天下が続いていくのだろうと、深く考えるまでもなく当然のこととして感じていました。

20年が経過したいま、日本における Northern Dancer 系は傍流に追いやられています。09年の日本ダービーには Northern Dancer 系の出走馬が1頭もありませんでした。10年の種牡馬ランキングでは3位のクロフネのみが Northern Dancer 系で、10頭中5頭がサンデーサイレンス系。わずか20年でこんな事態になろうとは想像できませんでした。(続く)

2010年11月13日 (土)

映画『Secretariat』

70年代にアメリカで社会現象となり、“Big Red”の愛称でいまなお語り継がれる名馬 Secretariat。その伝記映画が10月8日からアメリカで公開されています。『シービスケット』(2003年・米)ほどではないものの興行成績は上々のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=UKmuvjL2cVw

実質的な主人公ペニー・チェナリーを演じるのはダイアン・レイン。彼女の名前を聞いて、いまだに『リトル・ロマンス』(1979年・米)の美少女役が頭に浮かぶのは40代の人間でしょう。もう中年女性を演じる年齢になったか……という感慨がしみじみ沸いてきます。そういえば『リトル・ロマンス』では、ストーリー展開に競馬が重要な役割を果たしています。といいつつ、細かなストーリーはすっかり忘れているのですが、ロンシャン競馬場のシーンだけは妙に頭に残っています。

『ホース・トレーダーズ』(スティーヴン・クリスト著・草野純訳/サラブレッド血統センター)には、ペニー・チェナリーと Secretariat の関わりが丹念に描かれています。これを読んでしまうと映画に関してはほとんどネタバレになっちゃうんじゃないかというほどです。88年に出版された同書は文句なしの名著。未読の方にはぜひオススメしたいですね。

『Secretariat』の日本公開決定のニュースをいまかいまかと待ち続けているのですが、いまだにそのようなアナウンスはありません。もう期待しても無理なのかもしれません。大きなスクリーンで迫力あるレースシーンを堪能したかったのですが……。

2010年10月16日 (土)

障害界のサンデーサイレンス

オペラハウスといえば、テイエムオペラオーとメイショウサムソンの父として知られる名種牡馬です。Sadler's Wells 系だけあって芝の道悪を得意としていますが、もうひとつ、“障害レースに強い”というセールスポイントもあります。

Sadler's Wells 系は基本的に障害レースに高い適性があります。たとえば、Istabraq(父 Sadler's Wells)は英チャンピオンハードル3連覇、愛チャンピオンハードル4連覇など無敵を誇りました。
http://www.pedigreequery.com/istabraq

また、日本で2年間リース供用されたオールドヴィック(父 Sadler's Wells)は、現在3年連続でグランドナショナルの連対馬を出し、うち2回は優勝、今年はワンツーフィニッシュを決めました。
http://www.pedigreequery.com/old+vic

86年以降、障害レースで産駒が100走以上している種牡馬のなかで、連対率が30%を超えているのは、ノーザンテースト(35.8%)、ノーザンディクテイター(33.8%)、オペラハウス(32.2%)の3頭のみ。

この3頭を重賞勝利数で比べてみると、オペラハウス14勝、ノーザンテースト6勝、ノーザンディクテイター2勝なので、オペラハウスの圧勝です。大物が出るかどうかは種牡馬評価の大きなポイントですね。

たとえば、一昔前に障害界で一世を風靡したモガミは、連対率25.8%で上記3頭よりも劣るのですが、重賞勝利数は15勝で、これは86年以降の最高記録です。「障害のモガミ」というイメージがファンに植え付けられたのは、重賞レースでつねにモガミ産駒が上位争いをしていたことが大きいでしょう。ノーザンテーストやノーザンディクテイターにそうしたイメージはありません。

オペラハウスは通算292走で重賞14勝。一方のモガミは通算633走で重賞15勝。出走回数で倍以上の差があるのに、重賞勝利数はほぼ並んでいるのですから、オペラハウスの優秀さは明らかです。まさに“障害界のサンデーサイレンス”。平地で頭打ちになったオペラハウス産駒は、試しに障害を飛ばせてみればいいのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000d77/

土曜日の東京ハイジャンプ(J・G2・芝3300m)には、オペラハウス産駒のコウエイトライ(牝9歳)が出走します。孫のテイエムトッパズレ(牡7歳・父テイエムオペラオー)も出走します。もしコウエイトライが勝てば、オペラハウスは産駒の重賞勝利数が「15」となりモガミに並びます。すでに9歳秋ですが、長期休養後のスランプから完全に脱しているので勝ち負けになるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001109085/

2010年10月14日 (木)

『競馬王』11月号発売

自宅に見本誌が届きました。馬券作戦が盛りだくさんの内容で、コラムやインタビュー記事も充実しています。私も協力させていただきました。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

昨夜は、北海道から京都へ向かう途中の望田潤さんが東京に立ち寄ったので、私を含めて4人で料理をつつき、杯を交わしながら延々とトーク。6時間ぐらいしゃべりましたか。ただ、なぜか配合や秋華賞の話はまったくなし。飲みすぎて頭が痛いです……。

2010年10月13日 (水)

ハイレベルな新馬戦

先週土曜日、京都競馬場で行われた2歳未勝利戦(芝1400m)は、3番人気のマルモセーラ(父クロフネ)が4馬身差で逃げ切りました。同馬は7月10日に阪神競馬場で行われた新馬戦(芝1400m)以来の実戦でした。

いまから考えると、この新馬戦はかなりハイレベルでしたね。勝ったエーシンジェネシスを除く17頭中、すでに7頭が勝ち上がっています。

2着マルモセーラ
3着モスカートローザ
4着アドマイヤサガス
5着モアグレイス
9着マーベラスカイザー
11着エリモミヤビ
13着アスカノバッハ

残った10頭のなかにも、見どころのある馬が3~4頭いるので、まだまだ数字の上積みがありそうです。

思い出すのはジャングルポケットが勝った新馬戦(8頭立て)。メジロベイリーやタガノテイオーなどがいたハイレベルなメンバー構成で、のちに出走馬がすべて勝ち上がりました。いうまでもないことですが新馬戦にもレベルの高低は存在します。ローレベルだった場合、たとえそこで好走しても勝ち上がるのは困難です。ハイレベルな新馬戦で好走した馬を未勝利戦で狙う、というのはいつの時代にも通用する馬券戦術でしょう。

2010年10月10日 (日)

キンカメ祭ふたたび?

TARGETで調べてみると一目瞭然ですが、キングカメハメハ産駒は渋った芝が得意です。今年の春、雨にたたられたチューリップ賞の週に、キンカメ祭となったのは記憶に新しいところです。

東西とも雨となった土曜日は、芝レースにキングカメハメハ産駒が9頭出走し、りんどう賞(2歳500万下・芝1400m)を勝ったツルマルワンピースなど5頭が連対を果たしました。京都5Rの新馬戦(芝1800m)は、以前ブログにも書いた「芝1800mのハーツクライ産駒」という鉄板条件に当てはまるツルマルレオン(4番人気)が出てきたので◎を打ったところ、キングカメハメハ産駒のベルシャザール(1番人気)とウインラーニッド(2番人気)がワンツーフィニッシュ。ツルマルレオンは3着でした。渋った馬場のキングカメハメハ産駒は侮れんなぁとあらためて実感した次第です。望田潤さんのブログでも「重のキンカメ」の話題を取り上げていますね。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/77d8ebaab6ce449e13ad7483e95a0077

日曜日の芝レースにはキングカメハメハ産駒が7頭出走します。

東京3R(芝1600m)キモングリーン
            ハーティプレアー
東京9R(芝2000m)キングスビレッジ
京都2R(芝1600m)サトノパンサー
京都3R(芝2000m)ヒミノキンカメ
京都5R(芝1400m)エーシンギガウイン
京都9R(芝1800m)ブライダルベール

人気薄が多く、ちょっと狙いづらい馬もいるのですが、ヒモに迷ったら押さえておくのもいいかもしれませんね。

2010年10月 5日 (火)

「Tzukinokero!」

月曜発売の『PARIS-TURF』のヘッドラインは「Workforce, the best!」。イギリス馬が勝ったということで英語タイトルでした。もし仮にナカヤマフェスタが勝っていたとしたら「Nakayama Festa, Ichiban!」だったと予想します。

一面に載った写真は傑作ですね。切り取って額に飾りたいくらいです。エルコンドルパサーのときは、スタンド側から見ると手前の Montjeu の陰に隠れてエルコンドルパサーの姿がほとんど見えなかったのですが、今回は手前ナカヤマフェスタ、向こう側 Workforce という構図で、2頭の力強い追い比べが美しく焼き付けられています。ネットでちょっと探してみたのですがいまのところ見つかりませんね。

2着ナカヤマフェスタの記事は、勝ち馬の5分の1ぐらい。顔をしかめたいかにも残念そうな蛯名騎手の写真が載っています。フランス語は分からないのですが賞賛のトーンであることは伝わってきました。文中に日本語で「Tzukinokero!」という言葉が記されているのはご愛嬌。近くにいた日本人の叫び声を聞き取ったものでしょうか? 複雑な発音にもかかわらずいい線いってますね。仏訳は“Allez!”でした。いずれこの記事は競馬国際交流協会のサイト内にある「海外競馬ニュース」あたりで翻訳されるかもしれません。

凱旋門賞の1レース前に行われたフォレ賞(仏G1・芝1400m)は、不動のマイル女王 Goldikova が半馬身差で制し、欧州新記録となるG1・11勝目を挙げました。このレース、個人的に3番人気の Paco Boy が来ると確信していたのですが、残念ながら2着。馬券もやられました。やはり女王は強いです。次走はブリーダーズCマイル(米G1・芝8f)。前人未到の3連覇に挑みます。

2010年10月 3日 (日)

土曜日のロンシャン

午前中は霧雨が降ったり止んだりでしたが、昼ごろから曇り空となり、午後はときどき薄日も射してきました。思ったほど雨は降りませんでしたね。天気予報によると日曜日は曇り。急激な馬場回復は望めないものの、最悪の馬場状態は避けられました。

ただ、馬場はかなり軟らかくなっているので、馬が走ると蹄が芝を掘り返し、その塊がどんどん後ろに飛んでいくような状況。騎手たちもどのコース取りが伸びるのか手探りといった感じで、外を回ったり内を回ったりレースごとに変化がありました。前が残ったり追い込みが届いたり、どちらの位置取りが有利とはいえません。

ダニエルヴィルデンシュタイン賞(G2・芝1600m)の勝ちタイムは1分44秒3。ペースもありますが馬場も相当悪いことがお分かりいただけると思います。ちなみに、勝った Royal Bench は Millieme=Shirley Heights 3×4というかっこいい全きょうだいクロスを持っています。
http://www.pedigreequery.com/royal+bench

本番前に仮柵を外すので基本的にインコースが有利です。好位でうまく馬群を捌き、スムーズにレースを運んだ馬が勝つでしょう。詰まったらそこで終了。騎手の技量が大きなウェイトを占めます。

馬場が悪いせいか土曜日は大荒れでした。馬券はかすりもせずフランスギャロに多額の寄付をしてきました。本番は20頭立てなので、道悪巧者の伏兵が飛んでくる可能性も十分あるでしょう。

ところで、フラワーボウル招待Sに出走したレッドディザイアは3着。良馬場なら押し切っていたと思いますが、馬場状態が悪かったので欧州勢が台頭しました。あと、道中ちょっと行きたがりましたね。やや気負っていました。本番までに状態面の上積みがあり、時計の出る速い馬場になれば Midday に一泡吹かす可能性も十分あると思います。

2010年9月29日 (水)

凱旋門賞に挑んだヨーロッパ以外の外国馬(後)

海外遠征において、本番前に前哨戦を走ることは、馬場や環境に慣れる効果があります。その一方で、滞在が長くなると体調維持が難しくなり、調子が落ちることもあります。馬の個性、滞在場所の環境、スタッフの手腕などが関わってくる問題なので、一概にどちらがいいとはいえません。

ただ、凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場は、ひと雨降るとヨーロッパ独特の非常に重い馬場となり、しかもコース設定がトリッキーです。さらにメンバーはきわめてハイレベル。ぶっつけというのはなかなか結果が出にくいですね。秋のパリはよく雨が降ります。エルコンドルパサーが出走した99年、ロンシャンの馬場を実際に歩いてみたのですが、濡れた長い芝が足に絡みついてくるような感触で、この馬場をこなすのは容易ではないと感じました。

昨日掲載した表を見ると、アルゼンチンやブラジルなど、日本と同じように時計が速く、馬場のアップダウンが比較的少ない南米の国々は、まったく結果が出ていないことがわかります。どの馬も故国では年度代表馬クラスの名馬ですが、競馬になっていません。

5位以内に入線した馬を書き出してみます。

56年 Career Boy(米)    4着
77年 Balmerino (新)    2着
84年 Strawberry Road (豪) 5着
99年 エルコンドルパサー(日)2着
06年 ディープインパクト(日)失格(3位入線)

このうち、ぶっつけだったのは、Career Boy とディープインパクトの2頭。Balmerino、Strawberry Road、エルコンドルパサーの3頭は、本番前にヨーロッパで競馬を使っていました。

Career Boy(米)は、ヨーロッパの深い芝もバリヤー式のスタートも初経験でしたが、よく頑張りました。ただ、勝ち馬の Ribot からは8馬身以上離されています。
http://www.pedigreequery.com/career+boy

ディープインパクト(日)は、ヨーロッパ以外からぶっつけで挑んだ外国馬のなかで最も健闘した馬です。失格となったのは残念でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/

Balmerino(新)は、故国ニュージーランドからオーストラリア、アメリカを経て77年夏にイギリスのジョン・ダンロップ厩舎に入り、グッドウッドのステークスを5馬身差で勝って本番に臨みました。2着という成績はヨーロッパ以外の外国馬ではエルコンドルパサーと並ぶ最高着順です。
http://www.pedigreequery.com/balmerino

Strawberry Road(豪)は、8月末と9月始めにドイツで2戦し、本番に駒を進めました。5着と健闘したあと、ワシントンDC国際、ブリーダーズCターフと使って、ジャパンCに来日したのですからタフな馬です。
http://www.pedigreequery.com/strawberry+road

エルコンドルパサー(日)についてはあらためて書くまでもありません。春からヨーロッパへ渡るという長期的な計画によって見事結果を出しました。ただ、この長期遠征は、オーナーの個人的なコネクションによって、預け先の現地厩舎との間にあらかじめパイプが存在していました。何のツテもなくいきなり長期遠征しようとしても難しいでしょう。また、経済的な負担も多大なものになるので、並の覚悟では無理だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/

ヨーロッパ以外でデビューした外国馬は、凱旋門賞で凡走するのが当たり前。5着以内に入れば大善戦といえます。傑出したスーパースターがいない今年は多くの馬にチャンスがあります。日本馬2頭が新たな歴史を作ることを期待したいと思います。

2010年9月28日 (火)

凱旋門賞に挑んだヨーロッパ以外の外国馬(前)

日曜夜に行われる凱旋門賞(仏G1・芝2400m)は、フジテレビTWOでも生中継されます。グリーンチャンネルに加入されていない方はこちらでも視聴可能です。

パリの天気予報を見ると、やはりこの時期だけに天候はぐずついていますね。当日、乾いた馬場で行われる可能性は低いでしょう。1日ごとの降水確率は以下のとおり。

28日 29日 30日 1日 2日 3日
35% 30% 75% 45% 90% 60%

レース当日(10月3日)は晴れ間も見えるようですが、前日にしっかりと雨が降るので馬場状態は稍重~重ぐらいと予想します。1番人気が予想される Behkabad は重い馬場に不安がないのでますます有利です。

凱旋門賞に挑戦する外国馬、とくにヨーロッパ以外からはるばる参戦する馬たちは、競馬をさせてもらえずに敗れ去るケースがほとんどです。

■日本

69年 スピードシンボリ  着外(11着以下)
72年 メジロムサシ    18着
86年 シリウスシンボリ  14着
99年 エルコンドルパサー 2着
02年 マンハッタンカフェ 13着
04年 タップダンスシチー 17着
06年 ディープインパクト 失格(3位入線)
08年 メイショウサムソン 10着

■アメリカ

56年 Career Boy     4着
   Fisherman      9着
57年 Career Boy     18着
62年 Carry Back     10着
65年 Tom Rolfe      6着
71年 One for All     9着
75年 Intrepid Hero    10着

■アルゼンチン

72年 Snow Castle     19着
77年 Mia         24着
79年 Telescopico     18着
95年 El Sembrador    15着

■ブラジル

94年 Much Better     14着
09年 Hot Six       15着

■オーストラリア

84年 Strawberry Road   5着
97年 Nothin' Leica Dane 17着

■ニュージーランド

77年 Balmerino      2着
81年 Ring the Bell    11着

■チリ

86年 Maria Fumata    15着

上記のリストは手作業で調べたので、ひょっとしたら漏れなどがあるかもしれません。違っているというご指摘があれば幸いです。

ほとんど通用していないのは、能力的な問題はもちろんあると思いますが、それよりも馬場や環境に適応できないことが大きいのではないかと思います。(続く)

2010年9月24日 (金)

日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はフリオーソ

2番手を追走したフリオーソ(1番人気)が最後の直線で楽々と先頭に立ち、帝王賞(G1)に続いて重賞連勝を果たしました。逃げたトランセンド(2番人気)が2着、スマートファルコン(3番人気)が3着。まったくの横綱相撲でしたね。
http://www.youtube.com/watch?v=CIroic2h6_c

春以降の充実ぶりは著しく、得意の番手差しは安定感抜群。11月3日のJBCクラシック(G1・船橋ダ1800m)はシルクメビウスと人気を二分する形になりそうです。今年は地元船橋開催なので凡走はないでしょう。ただ、シルクメビウスも道中の目標が決まっているので乗りやすいと思います。

母ファーザは Kingmambo と同じ「Mr.Prospector×Nureyev」という組み合わせ。《ブライアンズタイム+Kingmambo=フリオーソ》というイメージはしっくりきます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106867/

日本テレビ盃が終わったあとは、毎年、元日刊競馬の栗原正光さんが主宰する“天然鰻の会”という食事会に出席するのが習わし。今年もその予定で船橋競馬場へ行ったところ、宇田川淳さんから「栗原さんがさっき倒れた」と聞いてビックリ。会は急遽中止となりました。栗原さんは12年前に大井競馬の取材中に倒れられて体の一部に麻痺が残り、日刊競馬を退職されました。その後も何度か倒れられたのですが、そのたびに再起されました。幸い、命にかかわるほどの症状ではないらしいとのこと。一日も早くお元気になってください。

★栗原さんのブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/meruborun/

2010年9月20日 (月)

Spectacular Bid のウォークオーヴァーからちょうど30年

アメリカ競馬史における名勝負は数多いのですが、なかには“勝負”にならなかったレースもあります。

1980年9月20日、米ニューヨーク州ベルモントパーク。メインレースとして組まれたウッドワードS(G1・ダ9f)の出走馬はたった1頭、Spectacular Bid のみでした。強すぎるチャンピオンに恐れをなして他馬が出走してこなかったのです。
http://www.youtube.com/watch?v=NcbHpy61bTk

ウォークオーヴァーとは単走競馬のこと。これ以降、G1レースの単走はなく、おそらく今後もないでしょう。Spectacular Bid の通算成績は30戦26勝、G1を14勝しています。明らかに普通の馬ではありません。
http://ahonoora.web.fc2.com/spectacular_bid.html

ダート10ハロンのチャールズHストラブS(G1)では、1分57秒8という世界レコードを樹立しました。このタイムはいまだに更新されることなく残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=wDbOyu5tTF4

70年代のアメリカ競馬は名馬の宝庫です。後半は2年連続で三冠馬が誕生し、その翌年に Spectacular Bid が二冠を達成しました。

77年 Seattle Slew(三冠)
78年 Affirmed(三冠)
79年 Spectacular Bid(二冠)

Spectacular Bid は79年のベルモントS(G1)で3着に敗れ、三冠を逸しました。しかし、だからといって Seattle Slew や Affirmed よりも評価が劣っているわけではありません。ブラッドホースパブリケーションズ社が刊行した『Thoroughbred Champions:Top 100 U.S. Racehorses of the 20th Century』という本では、20世紀のアメリカ馬のなかで10位にランクされ、9位の Seattle Slew、12位の Affirmed とほぼ同格という扱いです。

Spectacular Bid は Bold Ruler 系に属し、To Market 3×3という強いクロスを持ちます。
http://www.pedigreequery.com/spectacular+bid

父 Bold Bidder はすでに Cannonade というケンタッキーダービー馬を出していました。Bold Bidder の子で日本に入ったワイルドウインター、オランテ、レックスレンジャーといった種牡馬はすべて失敗。むしろ Bold Bidder の全妹ディープディーンの牝系からギャロップダイナ(天皇賞・秋、安田記念)が出たことのほうが重要です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101941/

伝説のウォークオーヴァーを最後に現役を退いた Spectacular Bid は、巨額のシンジケートが組まれて種牡馬入りしました。しかし、残念ながら大失敗に終わります。

サンデーサイレンスの種牡馬シンジケートを当初アメリカで組もうとしたとき、生産者のあいだでまったく不人気だったのは、先に種牡馬入りしていた Sunny's Halo と Devil's Bag(いずれも Halo 産駒)が不振だったから、という話があります。私はもうひとつ、Spectacular Bid の母の父 Promised Land がサンデーサイレンスの母の父の父であることも理由だったのではないかと睨んでいます。サンデーサイレンスの血統表のなかにある Promised Land を見て、Spectacular Bid の大失敗を連想した生産者も少なくなかったのではないか――と。

もし仮に Spectacular Bid が成功していたら、サンデーサイレンスは日本に入っていなかったかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a00033a/

2010年9月17日 (金)

ディープインパクトとハーツクライの中間決算(後)

ディープインパクトもハーツクライも、夏のローカル向きとは思えないので、秋シーズンが深まるにつれてますます味が出てくるでしょう。昨年のゼンノロブロイ、一昨年のネオユニヴァースもそうでした。

『競馬王』9月号の「POG羅針盤」にディープインパクトについて次のように記しました。

「ディープインパクト産駒は総じてスタートダッシュがイマイチで、終いの脚で勝負するものが目に付く。気性的にカリカリするところもない。したがって、ローカルの短距離戦に向いたタイプではないのは明らかだ。マイル以上のゆったりした距離が合うだろうし、末脚の威力を活かすには直線の長いコースのほうがいい。舞台が中央場所に移ってから本領を発揮するタイプだろう。秋が来れば新馬戦や未勝利戦はもちろん、特別戦や重賞でもディープインパクト旋風が吹き荒れるものと思われる。」

ファーストクロップの2歳戦勝利数記録は、94年にサンデーサイレンスが樹立した30勝。あと4ヵ月の頑張りでこの記録にどこまで迫れるか注目です。

ディープインパクト産駒の配合で意外だったのは、Lyphard クロスを持つ馬が頑張っていること。事前の見立てではネガティヴに考えていたのですが、現時点で勝ち上がった9頭中3頭がこのクロスを持っています。先週土曜日の中山新馬戦(芝1600m)を勝ち上がったディープサウンドはモノが違うというレースぶりでした。
http://www.youtube.com/watch?v=DV_Oj2ueZxM

また、来週日曜日に阪神でデビュー予定のスマートロビンも Lyphard クロス馬。稽古で素晴らしい動きを見せています。このクロスを持つ馬がトップクラスで通用するかどうかの判断は現時点では保留するとして、少なくとも新馬・未勝利戦レベルでは問題なく走りますね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100685/

今週日曜日の阪神5R新馬戦(芝1800m)はハイレベルなメンバーが揃いました。主な出走馬は以下のとおり。

ヴァレノーヴァ(父アグネスタキオン)
ヴィジャイ(父ディープインパクト)
サトノパンサー(父キングカメハメハ)
ビップセレブアイ(父ゼンノロブロイ)
リフトザウイングス(父ハーツクライ)
レッドデイヴィス(父アグネスタキオン)

間違いなく4回阪神開催の目玉といえる新馬戦です。ディープ産駒のヴィジャイとハーツ産駒のリフトザウイングスは人気を背負うでしょう。しかし、他の馬のレベルも高いので、どれが勝っても不思議はありません。おもしろいレースになりそうです。

2010年9月16日 (木)

ディープインパクトとハーツクライの中間決算(前)

ディープインパクトは期待が大きすぎるので、並の成功では許してもらえそうにありません。ただ、いまのところ産駒の走りは上出来でしょう。JRA2歳種牡馬ランキングではフジキセキに次ぐ第2位。勝利数でも第2位です。新種牡馬ランキングではいずれもトップ。

総じてサンデー系の種牡馬は、初年度産駒がデビューしたその年に、夏のローカルからガンガン走るということはありません。例外はアグネスタキオンぐらいです。

主なサンデー系種牡馬の初年度産駒が、秋の中央開催の第1週終了時点でどれだけ勝ち星を挙げていたか、その数を書き出してみます。

11勝 アグネスタキオン(05年)
 9勝 ディープインパクト(10年)
 6勝 アドマイヤベガ(04年)
  〃  ハーツクライ(10年)
 4勝 フジキセキ(98年)
  〃  ネオユニヴァース(08年)
 3勝 スペシャルウィーク(03年)
  〃  マンハッタンカフェ(06年)
  〃  ゼンノロブロイ(09年)
 2勝 ダンスインザダーク(00年)
 1勝 ステイゴールド(05年)

ちなみに、サンデーサイレンス自身は12勝(94年)です。ディープインパクトはアグネスタキオンに次ぐ9勝ですから優れた成績といえるでしょう。ハーツクライの6勝もいいですね。この2頭はやがてリーディングサイアー争いに加わってくるはずです。

ハーツクライは現在、〔6.4.3.8〕という成績で、連対率47.6%、複勝率61.9%。これはディープインパクトの数字(連対率40.0%、複勝率57.1%)を上回っています。内容が濃いですね。産駒の粒も揃っているように思います。

今週土曜日に阪神競馬場で行われる野路菊S(OP・芝1800m)には、メイショウナルト、ウインバリアシオンという2頭のハーツクライ産駒が出走します。おそらく1、2番人気でしょう。3番人気と思われるのがディープインパクト産駒のモスカートローザ。熱い戦いとなりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101384/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103206/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103387/

2010年7月 3日 (土)

サッカーと文化

ワールドカップの準々決勝、ウルグアイVSガーナ戦は凄い試合でしたね。1対1で迎えた延長後半ロスタイム、ガーナの決勝ゴールが決まりそうになった瞬間、ウルグアイのスアレス選手が退場覚悟のハンドでボールをはじき出しノーゴール。与えられたペナルティーキックをガーナが決めれば勝ちだったのですが、なんと外してしまいタイムアップ。PK戦に突入し、ウルグアイが勝ちました。

すぐに消されるかもしれませんが以下の動画で見ることができます(10秒ぐらいから)。
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=t9Xj49ehjFU

今回のプレーはスアレス選手が発明したわけではなく、昔からあります。レッドカードが出なかった時代はそれこそ“やり得”といった感があり、ときどき目にすることがありました。いまから32年前、78年ワールドカップのアルゼンチンVSポーランド戦で、アルゼンチンのディフェンダーが同じようにハンドでブロックしたことがありました。以下の動画の2分10秒ぐらいから見ることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=Q_izD7XjfYg

サッカーは国ごとに個性があります。それは文化の反映です。こういうプレーを賞賛するか、許容するか、否定するか、とらえ方はさまざまでしょう。国や地域によって基盤となる文化が違うからです。そうした差異を垣間見られることは、ワールドカップを見ていておもしろいなぁと思うことのひとつです。私自身は、今回のスアレス選手のプレーはまったくOKだと思いますし、その勝利への執念に感心しました。

2010年6月23日 (水)

アローフィールドとスニッツェル

オーストラリアのアローフィールドスタッドのサイトを見ていたら、ニュース欄に「Snitzel two-for-two in Japan」という記事があるのを発見しました。スニッツェル産駒が日本で2戦2勝、という意味です。先週、函館の新馬戦で産駒が勝ち上がったスニッツェルは、現在、アローフィールドスタッドに繋養されています。
http://www.arrowfield.com.au/

同スタッドは、社台スタリオンステーションの種牡馬がオーストラリアへシャトル種牡馬として渡ったとき、その受け入れ先となった牧場です。フジキセキやクロフネやフレンチデピュティなどはここで供用されました。

現在は10頭の種牡馬が繋養されており、種付料が公表されている9頭のうち、スニッツェルは上から数えて6番目の価格(2万7500ドル=約220万円)。アローフィールドに繋養されているぐらいですから上級種牡馬であることは間違いありませんが、超一流という扱いではありません。スニッツェルの父 Redoute's Choice はなんと17万6000ドル(約1400万円)。1頭だけ段違いの価格です。

Redoute's Choice は、05/06年にデインヒルの7連覇を阻んでオーストラリアのリーディングサイアーに輝きました。デインヒルの息子なので、日本でいえばサンデーサイレンスに代わってアグネスタキオンがリーディングサイアーになったようなものです。
http://www.pedigreequery.com/redoutes+choice

その後は、3位→10位→2位と来て、09/10シーズンは現時点で2位。高額賞金レースはもう組まれていないので、おそらくこのままの順位でフィニッシュするでしょう。特長はなんといってもスピード。オーストラリアは世界一の芝短距離王国で、2歳戦も盛んです。こうした路線で好成績を挙げる種牡馬が好まれる傾向にあります。Redoute's Choice はまさにそうしたタイプの種牡馬といえます。

スニッツェルは、09/10シーズンの2歳種牡馬ランキングで現在4位。新種牡馬ランキングでは2位。計27頭が出走して8頭が勝ち上がっています。出世頭の Chance Bye はシルヴァースリッパーS(豪G2)を勝ちました。なかなか優秀な成績なので、種付料は今後さらに上がっていきそうです。
http://www.pedigreequery.com/chance+bye

09/10シーズンの豪種牡馬ランキング上位10頭は以下のとおり(6月20日現在)。

1位 Encosta de Lago(AUS)1993 by Fairy King
2位 Redoute's Choice(AUS)1996 by デインヒル
3位 Street Cry(IRE)1998 by Machiavellian
4位 Lonhro(AUS)1996 by Octagonal
5位 Testa Rossa(AUS)1996 by ペルジノ
6位 コマンズ(AUS)1996 by デインヒル
7位 More Than Ready(USA)1997 by サザンヘイロー
8位 Fastnet Rock(AUS)2001 by デインヒル
9位 Zabeel(NZ)1986 by Sir Tristram
10位 High Chaparral(IRE)1999 by Sadler's Wells

このうち、アローフィールドに繋養されているのは Redoute's Choice のみ。残り9頭の繋養先は以下のとおりです。

クールモア:3頭……Encosta de Lago、Fastnet Rock、High Chaparral
ダーレー:3頭……Street Cry、Lonhro、コマンズ
ヴァイナリー:2頭……Testa Rossa、More Than Ready
ケンブリッジ(NZ):1頭……Zabeel

かつてデインヒルやラストタイクーンを擁して栄華を誇ったアローフィールドも、クールモアやダーレーの勢いにやや押され気味といったところです。Redoute's Choice が健在なうちにもう1、2本、柱を育てたいところでしょう。スニッツェルにはその期待がかかります。

2010年6月13日 (日)

TABでワールドカップを

現在、事情によりオーストラリアへ来ています。日本とは季節が逆なので寒風が吹いています。

道行く人はコートやオーバーといういでたちですが、なかにはTシャツ姿の大男もちらほら。幼少時からオージービーフを食べ続けるとこうなりますよという堂々たる体躯。こういう人たちを相手に日本人がスポーツで勝つのはどんなジャンルであれ大変だろうなぁ……と思います。

それはともかく、オーストラリアへ来たらまずはTAB。政府公認のブックメーカーです。競馬、ドッグレース、ラグビー、サッカー、オージーフットボール、クリケット、なんでも賭けの対象となります。残念ながら日本の競馬は扱っていません。ホテルのテレビをつけると、ラグビーとオージーフットボールが盛んに放送されていて、オーストラリアの人気スポーツであることが分かります。

TABの店内に入ると、競馬とドッグレースの中継がだらだらと放映されるなか、やはりラグビーとオージーフットボールの賭けは人気のようです。しかし、日本人的にはやはりワールドカップ。

今夜はドイツVSオーストラリア戦があります。おそらくオーストラリア人の多くは“オーストラリア勝ち”に賭けるでしょうから、“ドイツ勝ち”のオッズがかなり美味しくなるのではないか? 勝負するならこれしかない! と、意気込んでオッズを見たところ、“ドイツ勝ち”のオッズは1.5倍。メチャメチャ辛いです。オーストラリアの国民感情をこれっぽっちも考慮していません。イギリスのスポーツブックの最大手ウイリアムヒルと同じオッズなので、あるいは提携しているか何かで、オーストラリア独自のオッズというものはないのかもしれません。

そんなわけで、今夜の3試合を賭けてきました。

★アルジェリアVSスロベニア
   →→→スロベニア勝ち(オッズ2.25倍)
★セルビアVSガーナ
   →→→引き分け(オッズ3.25倍)
★ドイツVSオーストラリア
   →→→引き分け(オッズ4倍)

さて、どうなるか???

2010年5月30日 (日)

ダービー前の雑感

ダノンシャンティの骨折は残念でしたが、幸い軽度なものだったので秋には復活してほしいですね。うまくいけば毎日王冠→天皇賞・秋→香港マイル→ドバイデューティーフリーの路線でしょうか。世界の舞台で十分戦えるレベルにある馬なので、夏のあいだはじっくり体を癒してほしいものです。

さて、日曜日のダービー。30日(日)の0時10分現在、東京競馬場に雨は降っていません。東京アメッシュというサイトで観察していると、奥多摩町や青梅市あたりがときどき雨の通り道になっているほか、23区の南部から東部にかけても雨が降り始めています。ただ、その中間の府中市近辺はうまく雨雲が避けられています。降ったとしても霧雨程度でしょうか。
http://tokyo-ame.jwa.or.jp/

もしこのままいけばグッドコンディションでレースは行われそうです。土曜日の東京芝は、ごくわずかながら内側を通った馬が伸びていた印象ですが、日曜日は本番までに4レース消化するので、どこを通っても有利不利はないでしょう。

仮に多少降ったとしても、ゼンノロブロイ産駒は総じて道悪が上手ですし、ヴィクトワールピサについてはあえていうまでもありません。両雄にとってマイナス材料にはならないと思います。30日(日)の0時10分現在、単勝オッズはペルーサ2.5倍、ヴィクトワールピサ2.6倍。大接戦です。

ちなみに、99年のダービーは、ナリタトップロードとアドマイヤベガが3.9倍で並び、票数の差で前者が1番人気となりました。結果は、アドマイヤベガが1着、ナリタトップロードが2着。のちの年度代表馬テイエムオペラオーは4.2倍の3番人気で僅差の3着でした。“三強”に祭り上げられた3頭がそれぞれ持ち味を発揮してワン・ツー・スリーでフィニッシュ。思い出深いレースです。
http://www.youtube.com/watch?v=CFObzEWWHZI

2010年5月23日 (日)

「POG公開ドラフト」無事終了しました

2時間あまりの楽しい時間を過ごすことができました。ご来場いただいた皆さまには深く感謝いたします。

1位候補のトーセンレーヴ(父ディープインパクト、母ビワハイジ)は、競合したグラサン師匠に抽選の末敗れ、獲得できませんでした。今年のドラフトの主役はグラサン師匠でしたね。井内利彰さんが思わず「まるで漫画やん」とつぶやいたほどの事態が発生しました。何が起こったかは次号『競馬王』の「グラサン師匠の鉄板競馬」に描かれる予定です。お楽しみに。

獲得馬は以下のとおりです。

母ビーフェアー(♂・父ディープインパクト)
シュプリームギフト(♀・父ディープインパクト、母スーヴェニアギフト)
レッドセインツ(♂・父ディープインパクト、母サセッティ)
母オネストリーダーリン(♀・父ディープインパクト)
テーオーアポロン(♂・父ハーツクライ、母フェアリーワルツ)
リヴォルバー(♂・父マンハッタンカフェ、母オーシャンドリーム)
アソルータ(♀・父ゼンノロブロイ、母フレンチバレリーナ)
ダノンハロー(♂・父ハーツクライ、母ペルヴィアンリリー)
キングジャズ(♂・父キングカメハメハ、母ポップコーンジャズ)
アドマイヤカーリン(♂・父ディープインパクト、母スプリットザナイト)

ディープインパクト産駒を5頭指名しましたが、どんな配合が成功するかは現状では手探り状態です。2歳戦が終わるころにはおおよその傾向が浮かび上がってくるでしょう。個々の馬の配合解説は『競馬王のPOG本 2010~2011』の「栗山ノート」に記してあります(テーオーアポロンとダノンハロー以外)。

打ち上げ会では、美野真一さん、横手礼一さん、伊吹雅也さん、山崎エリカさん、水野由加里さんと歓談。終電で帰宅すると「2ちゃんねるにスレが立ってるよ」と知り合いから連絡メールが……。

【中央競馬】血統評論家・栗山求が顕彰馬選定記者投票に異議
「エルコンドルパサーが落選を重ねるシステムはやはり問題」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1274536459/

2010年4月15日 (木)

皐月賞とリーディングサイアー

皐月賞出走予定馬を父別に分類、カウントすると以下のようになります。

マンハッタンカフェ……5頭
ネオユニヴァース………2頭
アグネスタキオン………1頭
アドマイヤドン………… 〃
キングカメハメハ……… 〃
ジャングルポケット…… 〃
シンボリクリスエス…… 〃
スペシャルウィーク…… 〃
ニューイングランド…… 〃
ブライアンズタイム…… 〃
メイショウドトウ……… 〃
Giant's Causeway……… 〃
King's Best …………… 〃

とりあえず牡馬クラシック戦線はマンハッタンカフェの圧勝です(だからといってタイトルを獲れるとは限りませんが)。5頭の内訳は、ゲシュタルト、ヒルノダムール、ハンソデバンド、サンディエゴシチー、ガルボ。

このうちゲシュタルト、ハンソデバンド、サンディエゴシチーの3頭は、『競馬王のPOG本 2009~2010』の「栗山ノート」で、“マンハッタンカフェのA級配合馬”としてピックアップした5頭(131頭から選抜)に含まれます。5月発売予定の『競馬王のPOG本 2010~2011』では再び「栗山ノート」をやる予定です。

マンハッタンカフェは、昨年の皐月賞でも最も多くの産駒をスターティングゲートに送り込みました(3頭)。一昨年のトップはアグネスタキオンでした(3頭)。

サンデーサイレンスが13年間維持してきたリーディングサイアーの座を明け渡した08年以降、数頭の種牡馬が覇権を争う乱世となっていますが、08、09年と連続して、皐月賞に最も多くの産駒を送り込んだ種牡馬がリーディングサイアーとなっています(08年アグネスタキオン、09年マンハッタンカフェ)。その種牡馬の勢いをダイレクトに反映するのが“皐月賞出走頭数”なのでしょう。

現時点のリーディングサイアーはキングカメハメハ。先週の桜花賞をアパパネが制し、独走状態となっています。皐月賞前に収得賞金が10億円を突破しているのですから往年のサンデーサイレンス級です。マンハッタンカフェは第6位。古馬戦線にレッドディザイアが復帰するので、これからどう巻き返していくのか注目したいと思います。

2010年3月25日 (木)

POG準備作業まっただなかです

ゴールデンウィークが明けてしばらくするとPOG本が店頭に並び始めます。本を作る作業は早くも始まっています。私は配合担当なので、この時季に馬産地に行くことはありません。ひたすら2歳馬の配合を眺めるだけです。

サンデーサイレンスが生きていたころは、サンデー産駒を調べれば作業の約八割は完了でした。しかし、現在はそういうわけにはいきません。少なくとも主要種牡馬20頭ぐらいはみっちり調べなければなりません。1頭あたりの産駒が多いので(約100~200頭)、これは結構な作業です。

毎年やることは決まっています。「TARGET frontier JV」の産駒検索で2歳馬リストを表示し、父馬ごとに1頭ずつ5代血統表を吟味していきます。注目の配合馬がいればチェックし、種牡馬ごとに産駒の序列を決めます。たとえばアグネスタキオン産駒に10頭の注目配合があれば、それに1位から10位まで順位をつけます。

こうして種牡馬ごとの産駒順位作成が終わったら、こんどはオールスター戦に出場するメンバーを、各種牡馬の上位産駒から抽出します。このオールスターメンバーがその年のドラフト指名馬です。

今年はディープインパクト産駒から調べ始めました。新種牡馬から着手することは過去一度もなかったのですが、そのたぐいまれな存在感に敬意を表しました。最初に思ったのは繁殖牝馬のレベルが尋常ではないということ。いろんなタイプの配合が試されているので、これで失敗したら言い訳できないと思います。自身に似て比較的馬体が小型に出ているとのことなので、非力な産駒が多い場合、ダート適性が問題となってきます。しかし、芝で走るぶんには大きな問題はないでしょう。月並みな結論ですが、まともなら成功するのではないかと思います。

2010年2月 2日 (火)

ライ麦畑の山田太郎

 先週、『ライ麦畑でつかまえて』の作者J・D・サリンジャーが91歳で亡くなりました。『ライ麦畑――』の原題は『The Catcher in the Rye』。血統屋の悲しさでデインヒル系の種牡馬 Catcher in the Rye をすぐに頭に浮かべてしまいます。08年の独オークス馬 Rosenreihe が代表産駒です。
http://www.pedigreequery.com/rosenreihe

発表されてから半世紀以上が経過したいまも読み継がれ、そのタイトルが馬の名前にまでなってしまうのですから小説は傑作なのでしょう。私は読んでいません。いや、正確には3分の1ぐらいまでは読みました。

たしか高校生ぐらいのときに友達に勧められて本を手に取りました。小説は一人称形式で、主人公がフリーダムな語り口で大人社会の欺瞞を斬っていくのですが、「~ということなんだな」とか「~と思うんだな」といった語尾が頻繁に出てくることに引っ掛かりを覚えました。そのため、最初は神経質そうな白人少年だった主人公のイメージが、だんだん裸の大将に変貌していったのです。

さらに、別の友達が「これって原題を直訳すると『ライ麦畑の捕手』だよね」といったのを耳にした瞬間、ランニングシャツを着てリュックサックを背負った山田太郎にしか思えなくなり、静かに本を閉じました。何年か前に出た村上春樹の新訳ではあの語尾は直ったのでしょうか? 気になります。

2010年1月29日 (金)

夫婦善哉

日曜東京2R新馬戦(ダ1400m)に出走する馬たちの血統を、「TARGET frontier JV」で調べていたところ、ベルモントルーナの兄弟に目が釘付けになりました。母リバーガーネットの産駒データは以下のとおり。

ベルモントルーナ  牝3 父アジュディケーティング
ベルモントダイヤ  牝4 父アジュディケーティング
ベルモントアダマス 牝7 父アジュディケーティング
ベルモントボージー 牡8 父アジュディケーティング
ベルモントグレイス 牝14 父アジュディケーティング
グリーンジョージ  牡16 父アジュディケーティング
ジュディフロウ   牝17 父アジュディケーティング

思わずニヤリ^^

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!