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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年1月

2011年1月22日 (土)

Iffraaj と Park Appeal 牝系(前)

昨年、ディープインパクトは新種牡馬の勝利数新記録を樹立しました。勝ち上がり頭数は、中央34頭、地方1頭で計35頭と、これも新記録です。従来の記録は03年にトワイニングが記録した34頭(中央10頭、地方24頭)でした。ただ、トワイニングの場合、日本にやってくる以前にアメリカで種牡馬生活を送っていたので、厳密な意味での新種牡馬というわけではありません。

世界に目を向けてみると、昨年、新種牡馬の勝ち上がり頭数ナンバーワンだったのは Iffraaj(父 Zafonic)。その数38頭。これはヨーロッパ繋養の新種牡馬としては新記録でした。
http://www.pedigreequery.com/iffraaj

Iffraaj は「イフラージ」と読みます。その語感から察するとおりダーレーグループの馬で、現在、モハメド殿下がアイルランドで所有するキルダンガンスタッドに繋養されています。2011年の種付料は15000ユーロ(約165万円)。昨年は6000ユーロだったので、初年度の成功を受けて一挙に2.5倍となりました。

代表産駒の Wootton Bassett は、昨年秋の凱旋門賞当日、ロンシャン競馬場で行われたジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1400m)を逃げ切りました。当日、現場で見ていたのですが、リズミカルなピッチ走法でスイスイと走る姿が印象的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=raN_FsHh7Qg

それまで4戦全勝ながら一般戦での出走経験しかなく、しかもイギリスからの遠征馬とあって力関係が把握できず、4番人気と伏兵の1頭に過ぎませんでした。Iffraaj の評判はその時点で鳴り響いていましたが、大物を出したというニュースは耳にしていなかったので、勝ち上がりだけ得意なスピードタイプかもしれないとタカを括って馬券から外したところ、鮮やかに勝たれてしまい、凱旋門賞の軍資金を減らしてしまったという苦い記憶があります。
http://www.youtube.com/watch?v=raN_FsHh7Qg
http://www.pedigreequery.com/wootton+bassett

それはともかく、この勝利がモノをいって、2010年の全欧2歳種牡馬ランキング(英愛仏伊独の獲得賞金)では Galileo に次ぐ第2位でした。繁殖牝馬の質が低いなかでのこの成績ですから、能力は高いと思います。もっとも、あくまでも2歳戦に限った成績なので、成長力についてはこれから試されることになります。Wootton Bassett のほかには、10月に仏ドーヴィル競馬場で行われたレゼルヴォワール賞(G3・芝1600m)を Espirita が勝っています。(続く)
http://www.pedigreequery.com/espirita6

2011年1月21日 (金)

ザッツザプレンティ乗馬に

03年の菊花賞馬ザッツザプレンティが種牡馬引退となり、乗馬となることが決定したそうです。

菊花賞のレースぶりは素晴らしいものでした。この馬のスタミナを信頼した安藤勝己騎手は、2周目の3コーナーで自ら動いて早めに先頭に立ち、後続になし崩しに脚を使わせてそのまま押し切りました。瞬発力勝負となることを封じるために、スタミナにものをいわせて自らレースを作っていくという、ステイヤーの乗り方としては完璧なものだったと思います。それに応えたザッツザプレンティも見事でした。
http://www.youtube.com/watch?v=KCZE87fe7Zw

配合の構成はバブルガムフェロー(天皇賞・秋、朝日杯3歳S)とよく似ています。ただ、バブルガムフェローもザッツザプレンティも、種牡馬としてはスピードが足りません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2000101398/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109219/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
ザッツザプレンティ ―┤
           └○┐
             └ バブルカンパニー

           ┌ サンデーサイレンス
バブルガムフェロー ―┤
           └ バブルカンパニー

たとえステイヤーであっても、産駒が走れば重宝されます。スピード血統ばかりが重用される感のあるアメリカでは、そのイメージとは裏腹に、世界各地からさまざまなスタミナ血統が導入され、Princequillo、Ribot、Herbager などが成功を収めました。スタミナを伝えるこれらの種牡馬は、アメリカのスピード血脈とうまく結びついて多くの一流馬を送り出しました。優秀であれば距離適性がどうであろうと成功し、生産者はその血を求めます。スタミナ血統として貴重だから、という理由で冴えない種牡馬に繁殖牝馬が集まることはまずありません。競争原理と市場原理が貫く生産界では当然のことです。

ザッツザプレンティはこれまで2世代がデビューし、JRAで勝ち上がったのが2頭だけで、2勝馬はゼロ。この成績では……。同じくダンスインザダークを父に持つ菊花賞馬デルタブルースは、古馬になってからオーストラリアに遠征してメルボルンC(G1)を制したのですが、結局、種牡馬にすらなれませんでした。それに比べればまだ恵まれているのかもしれません。今後はノーザンホースパークで乗馬となるようです。

2011年1月20日 (木)

2010年の米年度代表馬に Zenyatta

日本時間の1月18日昼に発表された2010年のエクリプス賞米年度代表馬は Zenyatta でした。票数は以下のとおり。

1位:Zenyatta(牝・2004年生・父 Street Cry)……128票
   10年成績:6戦5勝(G1-5勝)
http://ahonoora.web.fc2.com/zenyatta.html

2位:Blame(牡・2006年生・父 Arch)……102票
   10年成績:5戦4勝(G1-3勝)
http://ahonoora.web.fc2.com/blame.html

3位:Goldikova(牝・2005年生・父 Anabaa)……5票
   10年成績:6戦5勝(G1-5勝)
http://ahonoora.web.fc2.com/goldikova.html

どれが受賞しても一理あるという感じでした。昨年の Rachel Alexandra と Zenyatta の争いでは、個人的に Zenyatta が受賞すると予想して外したのですが、今年はさすがに Zenyatta だろうなと思いました。

エクリプス賞の記者投票は、むろん人気投票ではありません。しかし、勝ったレースをポイント換算して機械的に決めるわけでもありません。

Zenyatta はブリーダーズCクラシック(G1・ダ10f)で Blame との直接対決に敗れ、しかも勝ったG1は牝馬限定戦のみ。そのあたりが評価を難しくさせている部分だったのですが、投票する記者も人の子ですから、昨年受賞させてあげられなかった罪滅ぼしのような面もあったのではないでしょうか。どちらの投票行動が正しく、あるいは正しくなく……ということではないと思います。

ここ2年、全米の競馬シーンを盛り上げてきた女傑に対し、それにふさわしい栄誉が与えられたことを喜ぶファンが多数派ではないでしょうか。

2011年1月19日 (水)

ディープインパクト産駒の買いどころは基本的にマイル以上

■日曜京都3R・未勝利戦(ダ1400m)はノーザンリバー(2番人気)が8馬身差で楽勝。初ダートで後続をちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=uLcIGocfO_g

昨年9月デビュー戦(札幌芝1500m)がレーヴディソールの2着で、暮れに走った2戦目(阪神芝1600m)は休み明けで3着ですから、芝がダメというわけではありません。

全姉にダートOPのルミナスポイント、全兄に芝の重賞戦線で頑張ったノットアローンがいるので、芝・ダート兼用タイプでしょう。母ソニンクは名繁殖牝馬ですね。このほかアコースティクス(ロジユニヴァースの母)、モンローブロンド(ファンタジーS-2着)、ランフォルセ(ダートOP)などを出しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103212/

2代母 Sonic Lady は現役時代、ムーランドロンシャン賞(仏G1)、サセックスS(英G1)、愛1000ギニー(愛G1)を勝ったマイルの名牝。1歳下の Miesque があまりにも凄かったのでその存在が霞みがちですが、80年代後半のヨーロッパでは Nureyev 牝馬の二枚看板、といった感がありました。

Sonic Lady は13歳の若さで死亡し、牝馬を2頭しか産まなかったので、その血を受け継ぐファミリーは貴重です。これまで次女ソニンクを経由したものしか見たことがなかったのですが、昨年の愛オークス(G1)3着馬 Lady Lupus は、Sonic Lady の長女 Lady Icarus から出たラインだったので目を惹きました。
http://www.pedigreequery.com/lady+lupus

ソニンクはこれだけ走る馬を出しているのに、重賞を勝った子はいません。ノーザンリバーはよさそうです。アグネスタキオン産駒はなんだかんだいいながら今年は駒が豊富ですね。レーヴディソール、レッドデイヴィス、デボネア、ショウナンパルフェ……。脚もとのトラブルに見舞われる子がいないのも特徴です。

■日曜京都9Rの紅梅S(3歳OP)は、キングカメハメハ産駒のモアグレイス(5番人気)とシナル(6番人気)がワンツーフィニッシュ。
http://www.youtube.com/watch?v=XBXNoIZZjpc
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102959/

最初の3ハロン36秒4は、98年に創設された紅梅Sのレース史上、2番目に遅い通過タイム。しかも、京都芝は土曜日から前が止まらないコンディション。序盤の1~5番手がそのまま1~5着に流れ込みました。力量を反映したレースであったかは疑わしい面もあります。

ただ、モアグレイスの前走、12月26日の2歳500万下(阪神・芝1600m)は、レベルの高いレースだったようで、1位入線から10着降着となったレッドデイヴィスはシンザン記念(G3)を、4着ニジブルームは500万下を、モアグレイスは紅梅Sを勝ちました。このレースに出走した馬は今後も要注意ですね。

キングカメハメハ産駒は一般的に、内回りよりも外回りを得意としているのですが、京都芝1400mに関しては、内回りが連対率31.4%と走っているのに対し、外回りはなぜか10回走って連対ゼロでした。今回、1、2着を占めたので数字の帳尻が合ってきましたね。この条件が合わないということはないと思います。

ディープインパクト産駒のケイティーズジェム(1番人気)は4着、リトルダーリン(4番人気)は11着。ディープインパクト産駒は、秋の中央開催に入ってから勝ち星を挙げるペースが上がってきたように、基本的にはマイル以上に向くタイプだと思います。マイル未満で走った産駒は、適性よりも能力が上回った場合か、母方の適性が強く出た場合でしょう。

昨年1月18日のエントリー「京都芝1400mはダート血統OK」のなかで、京都芝1400mではサンデー系の成績がいまひとつ、という話を書きました。芝1400mは緩急がいらないので、一本調子の、それこそダートもこなせるようなタイプが台頭している、という話です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/

そのなかで、主なサンデー系種牡馬の京都芝1400mと芝1600mにおける連対率を示したのですが、新しく何頭かの種牡馬を加えて最新の表を作ってみました。

           芝1400  芝1600
ディープイパクト   12.5%  45.2%★
アグネスタキオン   15.6%  29.9%
サンデーサイレンス  21.1%  25.5%
マンハッタンカフェ  15.4%  18.8%
フジキセキ      21.5%  18.1%☆
ダンスインザダーク  16.5%  16.6%
スペシャルウィーク  10.0%  15.8%
ネオユニヴァース    8.3%  15.3%
ゼンノロブロイ    14.3%  11.5%☆
ステイゴールド     8.9%  10.3%

芝1400>芝1600は、フジキセキとゼンノロブロイだけです。フジキセキはサンデー産駒の膨大な数にのぼる種牡馬のなかで、唯一、芝1200mのG1で連対馬を送っている(キンシャサノキセキ、ファイングレイン)ように、緩急のないスピードレースにも適性を見せています。そういう意味でもサンデー系の主要種牡馬のなかでは異質といえるでしょう。

ディープインパクトは京都芝1400mで12.5%、芝1600mで45.2%。まだサンプルは少ないのですが、芝1600>芝1400というサンデー系の傾向を強く反映したタイプです。紅梅Sは向いた条件とはいえませんでした。

ケイティーズジェムに騎乗した福永祐一騎手は「この距離は忙しい感じがする」(週刊競馬ブック)と語っています。リトルダーリンはゲートの出が遅く、序盤の位置取り争いに敗れて後方に下がってしまったので、今回は参考外のレース。次走、1600m以上のレースに出てくれば、人気も下がっているので狙い目です。

2011年1月18日 (火)

リスポリ騎手の鬼追いで快勝、タガノリベラノ

■土曜京都3R・新馬戦(ダ1800m)は◎タガノリベラノ(3番人気)が差し切りました。3コーナーで激しく手が動き始め、4コーナーでは先頭集団から置かれかけたのですが、直線でグングン盛り返して逆転V。あまり見たことがない勝ち方でした。来日して以来好プレーが目立つリスポリ騎手、追えますね~。
http://www.youtube.com/watch?v=7c82soS0S04

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単13480円、◎△○で3連単52390円的中。予想文を転載します。

「◎タガノリベラノは『マンハッタンカフェ×ルビアノ』。これはマンハッタンカフェ産駒で最もダートに強いエーシンモアオバー(エルムS-3着)と同じ組み合わせ。ルビアノはミスタープロスペクターとニジンスキーを併せ持つが、こうした血はマンハッタンカフェときわめて相性がいい。また、母リベラノはジャングルポケットの半姉なので、アプリコットフィズ(父がジャングルポケットで母がマンハッタンカフェの全妹)と配合構造がよく似ている。ポテンシャルは高そうだ。牡馬相手でもやれるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102295/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

           ┌マンハッタンカフェ(=マンハッタンフィズ)
タガノリベラノ ―――┤
           └○┐
             └ Skillful Joy

           ┌○┐
           │ └○┐
アプリコットフィズ ―┤   └ Skillful Joy
           └ マンハッタンフィズ(=マンハッタンカフェ)

予想文にあるややこしい説明を表にすると上のようになります。いずれ出てくるであろう「ジャングルポケット×マンハッタンカフェ」「マンハッタンカフェ×ジャングルポケット」が楽しみです。

タガノリベラノは今回リスポリ騎手の腕で持ってきた感がありますが、ズブい気性をなんとかしないと昇級して苦しむ可能性がありますね。能力はあると思いますが。

■土曜京都6R・新馬戦(芝1600m)は▲ナムラカメーリア(5番人気)が逃げ切り勝ち。首が高い独特のフォームで、直線の走りを見ているとちょっと気性が難しいのかなという気も……。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲○で馬連2480円的中。
http://www.youtube.com/watch?v=vZGNbyxFKOE

父ネオユニヴァースはこれまでにヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、アンライバルドなどを送り出しています。母ベストタッセルドは「King's Best×Tate Gallery」ですから、「King's Best×Sadler's Wells」の Workforce(凱旋門賞、英ダービー)、コスモメドウ(万葉S)とよく似た構成です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106123/

          ┌ King's Best
ベストタッセルド ―┤ ┌ Tate Gallery(=Sadler's Wells)
          └○┘

          ┌ King's Best
Workforce ―――――┤ ┌ Sadler's Wells(=Tate Gallery)
          └○┘

King's Best 産駒はこのパターンがよく成功しています。Workforce のほかにも、King's Apostle、Creachadoir、Spice Route といった主だった活躍馬が母方に Sadler's Wells を持ちます。

好相性の鍵は Nureyev≒Sadler's Wells という4分の3同血クロス。ただ、同じ Kingmanbo 系の種牡馬でも、キングカメハメハの場合はイマイチ効果が薄いですね。同じクロスであっても、種牡馬によって成功したりイマイチだったりするので、このあたりはよく傾向を把握する必要があります。

ネオユニヴァースの子としてはやや配合が重いのではないか、という懸念があったのですが、ピリピリとした気性でズブさを解消しているのかもしれません。

2011年1月17日 (月)

京成杯はフェイトフルウォー

■京成杯(G3・芝2000m)はフェイトフルウォー(2番人気)がハナ差勝利。行きっぷりを良くするためにハミを換えて臨んだことが功を奏しました。テンに行けなかったこれまでのレースぶりから一転して好位につけられたことが勝因でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=3boBSUVuWZ0

1着から6着までのうち、2着の△デボネア(8番人気)を除けばすべてホープフルS組。つまり、今回の京成杯は、終わってみればホープフルSの敗者復活戦でした。同レースで後続を3馬身ちぎって1、2着となったベルシャザールとナカヤマナイトは相当強いというわけです。

予想のほうは、先行有利のレースで後方に控えたら厳しいだろうと考えてフェイトフルウォーをあえて無印に落とし、15着と惨敗したコウヨウレジェンド(5番人気)に本命を打っているのですから、う~む、言い訳のしようのない完敗です……。

フェイトフルウォーについては、昨年11月20日のエントリー「東京スポーツ杯2歳Sの展望……ではないですが」でちょっと触れています。その部分を引用します。

「フェイトフルウォーは『ステイゴールド×メジロマックイーン』。この組み合わせは過去にドリームジャーニーを含めて4頭がデビューし、すべて新馬戦を勝ち上がっています。

ステイゴールド産駒は晩成の傾向が見られ、新馬戦ではむしろ買いづらいタイプ。それで初戦からこれだけ走るのですからニックスといえます。

過去、新馬戦に出走した『母の父メジロマックイーン』は62頭おり、そのうち勝ち上がったのは5頭しかいないのですが、うち4頭がステイゴールド産駒。この組み合わせの優秀さが分かります。

この4頭にはもうひとつ、“2代母の父が Northern Dancer の息子”という共通点があります(つまり Northern Dancer 5×4)。父がメジロマックイーンで母の父が Northern Dancer の息子、という配合の繁殖牝馬がいたら、とりあえずステイゴールドを付けておけば走りそうな気がします。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-daee.html

「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせは、先週のシンザン記念(G3)でオルフェーヴルが2着となったばかり。上の引用箇所にもあるとおり、すでにドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)が出ていますから、JRAで走った4頭中2頭が重賞を勝ち、3頭が重賞で連対を果たしたことになります。強烈なニックスです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102708/

2着デボネアは昨年暮れの小倉未勝利戦(芝2000m)をレコードで勝って臨んできました。同じく小倉未勝利戦(芝2000m)をレコードで勝ったコスモヘイガーは先週の福寿草特別(500万下)を人気薄で勝利。小倉レコード組もレベルが高いということでしょう。

■日経新春杯(G2・芝2400m)は◎ルーラーシップ(2番人気)が好位から抜け出して完勝。
http://www.youtube.com/watch?v=oaqoWZWXLYA

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎▲で馬単1660円、◎▲○で3連単3250円的中。予想文を転載します。

「◎ルーラーシップは『キングカメハメハ×トニービン』という組み合わせ。母エアグルーヴは現役時代に年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴやフォゲッタブルを出しておりきわめて優秀。父母ともにサンデーを持たない配合としてはこれ以上望めないレベルにある。トビの大きい豪快なフットワークなので、伸び伸び走れる外回りの芝2400mという舞台は合っている。逃げ馬不在でおそらくスローな流れ。疝痛明けのローズキングダムに1.5キロもらってヨーイドンなら負けないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103143/

○ローズキングダム(1番人気)は最後よく2着に迫ったと思います。ペースが上がったときにモタついたのは斤量のせいでしょう。他馬と比べて背負っている分、機敏なギアチェンジができないのは仕方ありません。中間順調さを欠きながらこの競馬ですからやはり力があると思いました。

ただ、4歳牡馬のキンカメ三銃士(ローズキングダム、ルーラーシップ、トゥザグローリー)のなかで、今年、どれが最も活躍するかとなると、ローズキングダムと決めつけることはできないと思います。ルーラー、トゥザも成長しているので、もうこの3頭の実力差はほとんどないような気もします。

ルーラーシップの今後の予定についてですが、春の天皇賞は距離が長いため出走せず、海外遠征を含めて検討していくと角居勝彦調教師が語っています。同厩のヴィクトワールピサと一緒にドバイ遠征でしょうか。

2011年1月16日 (日)

Kauto Star、キングジョージ6世チェイス5連覇ならず

イギリスの障害G1、キングジョージ6世チェイス(3マイル)を4連覇中の Kauto Star(セン馬・11歳)が、1月15日にケンプトン競馬場で行われた同レースで5連覇に挑んだものの、3着に敗れました。主戦ジョッキーが負傷のため乗れず、今回は障害騎手界のスーパースター、トニー・マッコイ騎手と初めてコンビを組むことでも注目されましたが、力が及びませんでした。
http://www.youtube.com/watch?v=gyrDyNidn3g

もともと同レースは昨年末に行われる予定でしたが、ヨーロッパを襲った寒波の影響により二度延期。その影響があったのかなかったのかは分かりません。最後から2番目の障害を飛越したときに、バランスを崩して落馬寸前となり、この影響で2番手から3番手にポジションを下げてしまいました。勝ったのは2番人気の Long Run。これは完勝でした。

Kauto Star は04年秋に出生地のフランスからイギリスへ移籍。それ以降、前走まで25戦を消化し、3回の落馬を除けばすべて1、2着を続けてきた生ける伝説です。今回は3着だったので、イギリスで完走したレースでは初めて連対を外したことになります。

Kauto Star の配合は大胆でおもしろいですね。Mill Reef 3×3、Glitter≒Kautokeino 2×3です。
http://www.pedigreequery.com/kauto+star

         ┌ Tantieme
       ┌○┤
Glitter ―――┤ └ Relance
       │ ┌ Aureole
       └○┘

           ┌ Tantieme
         ┌○┘
       ┌○┤
Kautokeino ―┤ └ Relance
       │ ┌ Aureole
       └○┘

スピードの要素がどこにも入っていないところが障害血統らしさといえるでしょうか? 父 Village Star の平地における代表産駒の1頭 Henry the Fifth は、Mill Reef 3×3、Relance≒Relko 3×4ですから、Kauto Star と配合構成が酷似しています。ひょっとしたらこの配合を参考にして Kauto Star を作ったのかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/henry+the+fifth

社台グループが欧米セリで良血牝馬を大量購入(後)

社台スタリオンステーションにサンデー系が増殖しているのは周知のとおり。サンデー系が増えすぎて血の飽和を起こすのではないか、という意見もありますが、私はそうは思いません。たとえば仮に、サラブレッドを生産している国が日本だけだったり、あるいは欧米でも日本と同じようにサンデー系が大繁栄しているのなら、そうなる可能性もあるでしょう。しかし、もちろんそのようなことはなく、欧米では Northern Dancer 系や Mr.Prospector 系などの、旧来からある系統が相変わらず繁栄しています。サンデー系と交配可能な他系の牝馬は、海外に出向いてお金さえ出せばいくらでも買えます。幸いなことに社台グループは、それを可能にするだけの潤沢な資金に恵まれています。こんな状況で飽和など起こるはずがありません。あと10年もすれば、サンデーサイレンスのクロスを持つ馬が大レースを勝ち、サンデー系同士の配合も珍しくなくなるでしょう。

種牡馬事業で得た莫大な資金を、海外の良血牝馬の購買に注ぎ込むことは、サンデー系の発展を促すための投資です。サンデー系が健全に成長するために必要となる新鮮な栄養分を、どんどん海外から運んできているわけです。繁殖牝馬のレベルが上昇し、しかもサンデー系が強くなるわけですから一石二鳥です。

「種馬は数打たなきゃ当たらない」という哲学のもと、かつて社台グループは海外の種牡馬を毎年のように導入していましたが、最近は繁殖牝馬の導入に力点を置き換えているような気がします。ある時期を境に、海外から種牡馬を導入して新たな系統を見つけ出そうという考えが後退し、サンデー系を筆頭とする内国産ラインをしっかり育てていこう、という方向に舵を切ったのではないでしょうか。新たな系統を導入するにしても、国内で走った馬のなかで優秀なものを用いれば事足りる、と。“種牡馬による血の更新”から“繁殖牝馬による血の更新”に比重が移っているような気がします。

種牡馬の分野でも、繁殖牝馬の分野でも、国内においては比肩するものが見当たらない社台グループ。これではほかの牧場は追いつけないではないか、とお考えになる方が多いと思います。しかし、ひとつだけやっていない(であろう)ことがあります。それは、アガ・カーン四世殿下がやっているような血統表をベースとした交配種牡馬の選定です。これを社台グループが始めたら半永久的に追いつけないと思います。しかし、やっていないとしたら、その王権は絶対的なものではなく、知恵を使って闘えばまだ革命の起こる余地はあるでしょう。

2011年1月15日 (土)

社台グループが欧米セリで良血牝馬を大量購入(前)

北半球ではだいたい春から秋にかけて1、2歳のセールが行われ、秋冬に繁殖牝馬や現役牝馬などが出場するミックスセールが行われます。良血の繁殖牝馬を手に入れようとするならば、秋冬のミックスセールに出かける必要があります。

1月10日から米ケンタッキーで始まったキーンランドジャニュアリーセールでは、社台ファームが140万ドルの最高価格で Ave(父 Danehill Dancer)を、吉田勝己氏が2番目の価格である80万ドルで Wickedly Perfect(父 Congrats)を落札しました。

Ave は、昨年10月のフラワーボウル招待S(米G1・芝10f)でレッドディザイアを破って優勝した馬です。一方の Wickedly Perfect も米G1ホースですが、明け3歳なのでまだしばらく現役を続けるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/ave5
http://www.pedigreequery.com/wickedly+perfect

このところ欧米のセールにおいて、社台グループ(社台ファームと吉田勝己氏)がどんどん良血牝馬を購入しています。昨年12月に仏ドーヴィルで行われたアルカナディセンバーセールでは、社台グループが落札価格順の上位3頭(Celimene、Lune d'Or、La Boum)までをお買い上げ。また、11月末から12月初めにかけて英ニューマーケットで行われたタタソールズディセンバーセールや、11月に米ケンタッキーで行われたファシグティプトン、キーンランドの両ノベンバーセールでも、目玉商品を続々と落札していきました。

社台グループが落札した主な牝馬は以下のとおり。いずれ日本に輸入され、社台スタリオンステーションの種牡馬群と交配されるのでしょう。どんな実績を持つ牝馬であるかは説明は省きます。興味のある方はURL内にある説明をご覧ください。

http://www.pedigreequery.com/celimene5
http://www.pedigreequery.com/lune+dor2
http://www.pedigreequery.com/la+boum
http://www.pedigreequery.com/serious+attitude2
http://www.pedigreequery.com/gabbys+golden+gal
http://www.pedigreequery.com/dubai+majesty
http://www.pedigreequery.com/franny+freud
http://www.pedigreequery.com/lucky+one3
http://www.pedigreequery.com/fit+right+in
http://www.pedigreequery.com/baroness+thatcher
http://www.pedigreequery.com/moneycantbuymelove2
http://www.pedigreequery.com/pretty+carina2
http://www.pedigreequery.com/cooden+beach
http://www.pedigreequery.com/exhibit+one
http://www.pedigreequery.com/belle+allure3
http://www.pedigreequery.com/limelight11
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2011年1月14日 (金)

チャイナマネーと競馬(後)

世界的に存在感を増しているチャイナマネーは、JRAにとってもビジネスの対象となりうるのではないでしょうか。現在、JRAは、ロンドン、パリ、ニューヨーク、シドニー、香港に駐在員事務所があります。中国本土には競馬場はありませんが、上海あたりに事務所を作ってもいいのではないかと思います。馬事とは関係なく、純粋に観光客を誘致するための拠点です。

一般的な傾向として中国人はギャンブル好きだと思います。マカオのカジノへ遊びに行くような、外国でギャンブルを楽しみたいと考える富裕層を取り込むことができれば、売り上げに大きく寄与するだろうと思います。

彼らへ向けて、さまざまな形で日本競馬の魅力をアピールし、観光&競馬を楽しむツアーを組みます。ホテルから直接、貸し切りの大型バスで競馬場の入口まで運んであげれば親切でしょう。中国語対応のレーシングプログラムを作成するのもいいかもしれません。

たとえば、凱旋門賞の当日などは、ロンシャン競馬場の外周路の道端に、世界各国のツアー会社が手配した大型観光バスが数十台も停車し、それはそれは壮観です。ディープインパクトが出走した06年は、大量の日本人観光客が押し寄せたおかげで、場内の1日の売り上げ額が、過去最高だった91年の凱旋門賞当日を34%も上回る新記録でした。場内には日本語の案内板と簡単なパンフレット、日本人向けの馬券売り場などがありました。

また、ナカヤマフェスタとヴィクトワールピサが出走した昨年は、土産物ショップの女性店員が日本語をしゃべっていました。買い物をしようと彼女に近づいていったところ、「日本語で大丈夫ですよ~」とニッコリ。純フランス風の顔立ちと癖のない綺麗な日本語のギャップに感動し、思わず「日本にいらっしゃったことがあるんですか?」と問いかけると、「留学していたことがあるんです」と返ってきました。おそらく統括団体のフランスギャロが、日本人の来場を見越して臨時で雇ったアルバイトなのでしょう。そうした企業努力はたいしたものだと思います。外国人マネーは売り上げ増加の切り札である、と認識しているからだと思います。

昨年4月、超党派のカジノ議連が発足し、昨年12月には「2011年の通常国会でカジノ解禁の法案を議員立法で提出、成立を目指す」と報じられました。これを受け、昨年末の東京株式市場では、カジノ関連株が軒並み値を飛ばし、盛り上がりを見せました。もし仮に、法案が可決され、カジノ解禁という事態になれば、おそらく競馬は長期的に見てきわめて深刻なダメージを受けるでしょう。そうなった際の対抗策としても、外国人マネーを取り込むための準備を、いまのうちにしておいたほうがいいのではないかと思います。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!