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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年4月

2011年4月30日 (土)

Sadler's Wells 死亡(後)

昨日のエントリーで、Sadler's Wells と Nureyev が4分の3同血であるという話を書きましたが、Sadler's Wells は兄弟も大成功しています。

全弟 Fairy King は、エリシオ(凱旋門賞)、オース(英ダービー)、ファルブラヴ(ジャパンC)などの父で、96年には仏リーディングサイアーとなっています。Sadler's Wells よりも短めの距離で強さを発揮しました。
http://www.pedigreequery.com/fairy+king2

この牝系は、51年にクレイボーンファームのブル・ハンコックがニューマーケットで購入した Rough Shod という牝馬にさかのぼります。代々活躍馬が目白押しで、Sadler's Wells と Nureyev の直近の共通祖先である Special は、英チャンピオンマイラー Thatch の全姉です。
http://www.pedigreequery.com/thatch

この牝系はスピードが持ち味で、Nureyev や Fairy King はそれを体現した馬でした。しかし、Sadler's Wells 自身は中距離馬で、種牡馬としては長距離向きの産駒も多数出しています。素晴らしい底力に恵まれ、2400m前後で少し時計が掛かればこれほど信頼できる種牡馬はありません。息子たちも種牡馬として成功し、ヨーロッパはもちろん、アメリカ、チリ、南アフリカ、インドなどでリーディングサイアーとなっています。

日本の馬場で走るにはやや重たく、スパッと切れる脚もありません。したがって、子の代では重賞勝ち馬が1頭(サージュウェルズ)しか出ませんでした。しかし、孫の代になると、持ち前の底力とスタミナがちょうどいい具合に希釈され、日本の馬場にフィットする大物が続出しました。サイアーラインを受け継ぐ孫にはテイエムオペラオー、メイショウサムソン。母の父に持つ馬にはエルコンドルパサー、フサイチコンコルド、シーザリオ、ヘヴンリーロマンスなど。天皇賞・春に出走するジャミールもそうです。

Sadler's Wells はアイルランドのクールモアスタッドに繋養されました。同スタッドはいまや世界最大級の種牡馬事業組織に成長しましたが、それを可能にしたのは Sadler's Wells が稼ぎ出した莫大な富です。こうした面からも世界を変えたといえるかもしれません。

『RACING POST.com』では、どのサドラーズウェルズ産駒が好きか、という緊急アンケートが行われていました。1位はなんと Istabraq。チャンピオンハードルを3連覇するなど無敵を誇ったハードル王です。これは故ジョン・ダーカン調教師との感動ストーリーが寄与したのでは、と思います。2位は Yeats。アスコットゴールドC(英G1・芝20f)を4連覇した長距離王です。以下、Galileo、Montjeu の順。

Istabraq、Yeats のワン・ツーは日本では想像がつかないところですが、「どれが強いか」ではなく「どれが好きか」という投票なので、妥当な結果かもしれません。イギリス人の意識に触れることができるおもしろいアンケートでした。

Sadler's Wells 系が障害に強いというテーマは昨年10月16日のエントリー「障害界のサンデーサイレンス」で触れています。ご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-c88e.html

2011年4月29日 (金)

土曜日に東京競馬場でイベント

4月30日(土)11時15分から、東京競馬場のセンターコートで行われる「オープン型レーシングセミナー」に出演します。また、14時30分ごろから16時30分ごろまで、同所で「リアルタイム情報ステーション」に出演します。後者は約2時間も何をしゃべればいいんでしょう? まったくの出たとこ勝負なので共演の荘司典子さんに頼って頑張ります。

Sadler's Wells 死亡(前)

「この種牡馬は凄いんじゃないか?」と初めて感じたのは88年のデューハーストS(英G1・芝7f)です。英2歳チャンピオン決定戦というべきレース。この年は、新種牡馬 Sadler's Wells を父に持つ Prince of Dance と Scenic が1着同着で勝利を分け合いました。

Sadler's Wells は現役時代、愛2000ギニー(G1・芝8f)など3つのG1を制しました。ただ、3歳春は同じヴィンセント・オブライエン厩舎に所属する El Gran Senor(英2000ギニー、愛ダービー)との使い分けによって、裏街道を歩まざるをえませんでした。

冒頭のデューハーストSには El Gran Senor の初年度産駒 Saratogan も出走していました。結果は3着。Sadler's Wells は現役時代の鬱憤を晴らすかのように、種牡馬としては El Gran Senor よりも格上であると示したのです。

初年度産駒にはこのほか、オールドヴィック(仏ダービー、愛ダービー)、In the Wings(BCターフ)、フレンチグローリー(ロスマンズ国際S)などがいます。当時から Northern Dancer 系の真打ち登場、という別格の扱いでしたね。

血統面の優秀さも評判を後押ししたと思います。母 Fairy Bridge は Nureyev の半姉。そして、Sadler's Wells と Nureyev はいずれも Northern Dancer を父に持ちます。要するに両者は4分の3同血(父が同じで母が親子)です。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/nureyev

         ┌ Northern Dancer
Sadler's Wells ―┤
         └○┐
           └ Special

         ┌ Northern Dancer
Nureyev  ――――┤
         └ Special

Nureyev は当時すでに Miesque、Theatrical、Sonic Lady といった産駒を出して大ブレイクしており、その4分の3同血ですから成功は堅い、と見られていました。ちなみに、この2頭を使った4分の3同血クロスはポピュラーなもので、今週の天皇賞・春に出走するコスモメドウなどはこのパターンです(Nureyev≒Sadler's Wells 4×2)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110045/

産駒がデビューして3年目の90年に英愛リーディングサイアーに輝き、翌年、ジェネラスを擁する Caerleon にタイトルを譲ったものの、92年に奪回すると04年まで13年連続でその座を守りました。通算14回、13年連続という記録は、18世紀の大種牡馬 Highflyer の通算13回、12年連続を上回る新記録です。(続く)

2011年4月28日 (木)

メジロ牧場解散

この成績ではたして牧場がやっていけるのだろうかと、失礼ながら以前から心配はしていました。80年後半から90年代にかけての黄金時代に比べ、見る影もなく低迷した00年代。なぜここまで落魄したのか、その原因はひとつではないでしょう。土壌と牧草、血統、育成、人材、馬場やレーススタイルへの適性、等々……。それを検証するメジロ牧場興亡記はいずれどなたかがお書きになると思います。

ただひとつはっきりしているのは“メジロ牧場が負けた”という事実。残念ながら現在の日本競馬のなかにメジロ牧場の居場所はなかったということです。実力社会においては、時代の移り変わりのなかで浮き沈みは避けられません。社台グループといえど、永久に成功が約束されているわけではなく、ちょっとした綻びをきっかけに転落していく可能性もないとはいえません。

わたしが競馬に興味を持ち始めた80年代、ホワイト&グリーンのメジロの勝負服は、大レースになくてはならない存在でした。時代錯誤ともいえるステイヤー血統。それをハードトレーニングで鍛え上げ、中長距離の重賞を席巻していました。その秘密を知りたくてメジロの血統はよく研究したものです。スノッブ、Djakao、Charlottesville、モンタヴァル、という馬名を目にすると、いまでも胸が疼きます。英仏の伝統的なステイヤー血統を重用し、ほかの牧場には見られない上品な血統を作り上げていました。それが意図的な選択の結果であったことは、たとえばメジロエニフの配合に端的に表れています。Sicambre=Senones 3×3、Barley Corn 4×3、Tourbillon 5×5という強烈な父母相似配合。これは偶然できるものではありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979101600/

メジロ牧場の全盛期を支えた武田茂男氏が独立してから成績が振るわなくなった、という話を聞いたことがありますが、内情についてはよく分かりません。父として成功したモガミが母の父として不振だった、という事情もあるでしょう。メジロマックイーン、メジロパーマー、メジロアルダンといった種牡馬は、およそ能力的な見極めがついたあとでも粘り強く交配していましたが、残念ながら結果は出ませんでした。スピード不足に懲りたのか、時代に遅れまいとしたのか、徐々にスピード系の種牡馬に軸足を移して行きました。しかし、それも実りませんでした。最近の生産馬の血統には、かつてあった香気や配合的な意思といったものが消え失せていたように思います。

馬産の歴史を振り返れば、フランスのマルセル・ブサックはある時期から生産馬がまったく走らなくなり、晩年には本業も傾いて破産。競馬事業をすべて手放しました。北米では近年、カルメット、スペンドスリフト、オーヴァーブルック、ウインドフィールズといった名門牧場が撤退を余儀なくされました。こうして解体されていくものがある一方、新しく勃興するものもあります。サラブレッド生産の歴史はその繰り返しです。

マルセル・ブサックが破産したといっても、その生産馬が現代に及ぼす影響は不滅です。カルメット、スペンドスリフト、オーヴァーブルック、ウインドフィールズにおいてもそうです。“メジロ牧場が負けた”といっても、存在そのものが否定されるわけではありません。メジロ牧場の華々しい業績は競馬史に刻まれ、人々の記憶に残ります。ドリームジャーニーやオルフェーヴルを通じて血統は受け継がれていきます。

2011年4月27日 (水)

ハーツクライ産駒の名配合、ツルマルレオン

日曜京都10Rの橘S(3歳OP・芝1400m)は、◎ツルマルレオン(1番人気)がゴール前で鋭く伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=n7ZFYfB05lk

2着ミヤジエムジェイ(11番人気)が無印だったので、馬券は単勝しか的中しませんでした。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ツルマルレオンは『ハーツクライ×キングマンボ』という組み合わせ。母方にロベルトが入るハーツクライ産駒はリフトザウイングスと同じで、このパターンは父が持つノーサードチャンス≒リヴォークト4×5を継続するので好ましい。ほかの部分の構成も素晴らしく、ハーツクライ産駒の配合としては文句なしのA級。500万下を勝ったばかりだが、昨年暮れの未勝利戦(芝1400m)を勝った際、すでに翌日の古馬1000万特別のタイムを上回っていた。ここでも通用する。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105965/

ハーツクライは「サンデー×トニービン」ですからアドマイヤベガと同じ。母の父 Kingmambo は「Mr.Prospector×Nureyev」なので名繁殖牝馬ソニンクと似ています。アドマイヤベガとソニンクの間に生まれたモンローブロンドと、ツルマルレオンは配合構成がそっくりというわけです。モンローブロンドは新馬戦(小倉芝1000m)をレコード勝ちしたほか、ファンタジーS(G3・芝1400m)2着などの成績がある快速馬。ツルマルレオンはひとつひとつの血を見るともう少し長めの距離に対応してもよさそうですが、短めの距離で持ち味を発揮しているのはこの血統構成に理由がありそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100890/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤ ┌ トニービン
          │ └○┘
ツルマルレオン ――┤   ┌ Mr.Prospector
          │ ┌○┤ ┌ Nureyev
          └○┘ └○┘

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤ ┌ トニービン
          │ └○┘
モンローブロンド ―┤   ┌ Mr.Prospector
          │ ┌○┘
          └○┤ ┌ Nureyev
            └○┘

ツルマルレオンの配合でもうひとつ強調したいのは Hornbeam≒Amerigo 5×5。これがあるのでモンローブロンドよりも図太い底力を感じます。
http://www.pedigreequery.com/hornbeam
http://www.pedigreequery.com/amerigo

      ┌ Hyperion
      │   ┌ Nearco
Hornbeam ―┤ ┌○┘
      └○┤
        └○┐
          └ Point Duty

      ┌ Nearco
Amerigo ――┤
      └○┐ ┌ Hyperion
        └○┤
          └ Point Duty

4番人気の新馬戦でも◎を打ったように、以前から高く評価してきた馬で、ハーツクライ産駒のなかではいまのところいちばん好きな配合です。重賞戦線でも楽しめる逸材でしょう。

ところで、橘Sは「WIN5」の最初のレースでした。たいした額は賭けていないのに、当たったときの興奮は予想以上でした。第二関門のメトロポリタンSで外れたので“10分天下”でしたが……。

『競馬王』の人気連載漫画「グラサン師匠の鉄板競馬」は、現在店頭に並んでいる5月号で渡辺明永世竜王を取り上げました。24歳で永世竜王となった天才(27歳の現在は竜王位7連覇中)は、無類の競馬好きとして知られ、競馬雑誌や競馬番組にたびたび登場されています。先日、彼のブログに「WIN5自戦記。」と題するエントリーが掲載されました。これは秀逸です。
http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/a098dcad0cde8f2f9155583ba9deac6e

個人的なことを書けば、わたしは将棋ファンの端くれで、タイトル戦があるときはいつもネット観戦しています。渡辺明永世竜王の大盤解説は、立て板に水の弁舌で明晰に手順を説明し、ときおりギャグをおりまぜて笑いも取るのも忘れないので、アマチュアに絶大な人気があります。未成年だった低段時代からすでに上手かったので、これはもう才能というしかありません。もちろん将棋は鬼神のように強く、文章を書かせればこのおもしろさ。選ばれた人間とはこういう方のことをいうのでしょう。ちなみに、奥様のブログも圧倒的な才気によって広く支持されています。
http://inaw.exblog.jp/

2011年4月26日 (火)

ディープインパクト×フレンチデピュティは走る

■土曜京都5Rの3歳未勝利戦(芝1600m)は断然の1番人気に推されたメイショウヤタロウが押し切りました。メイショウボーラー(フェブラリーS)の半弟にあたる良血で、父はアグネスタキオン。
http://www.youtube.com/watch?v=2DLXcZBjWvU

母方に Storm Cat を持つアグネスタキオン産駒は小粒なものが多く、印象に残るものはあまりいません。偶然ですが先週はメイショウヤタロウだけでなくアストロロジーが勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101718/

このレースで注目すべきは2着サトノユリア(8番人気)でしょう。4コーナーでは最後方に近い位置取りから大外を猛然と追い上げて1馬身差の2着。上がり3ハロンはメンバー中最速の34秒4。上がり第2位の馬を0秒8上回りました。しかも初出走です。

父はディープインパクト。母ソニックグルーヴはその名のとおりエアグルーヴの娘なので、近親には多数の名馬がひしめいています。本馬はグルヴェイグ(2戦1勝、父ディープインパクト、母エアグルーヴ)と4分の3同血の関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103211/

母方にフレンチデピュティを持つディープインパクト産駒がデビューしたのはこれで3頭目。ほかの2頭はメデタシ(桜花賞4着、チューリップ賞3着)、ボレアス(樅の木賞)ですから走ります。

■土曜京都8RのムーニーバレーRC賞(3歳500万下・芝2400m)はクレスコグランド(2番人気)が押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=mQDIriUYsoA

母マンハッタンフィズはマンハッタンカフェの全妹で、素晴らしい繁殖成績を誇ります。初子のコロンバスサークル(父ホワイトマズル)は中山牝馬S(G3)4着。2番子のアプリコットフィズ(父ジャングルポケット)はクイーンC(G3)とクイーンS(G3)の勝ち馬。そして3番子が本馬(父タニノギムレット)です。違う父からコンスタントに活躍馬を送り出しているのですから能力が高いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103013/

現2歳はキングカメハメハの牝馬。POGで人気になりそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105993/

2011年4月25日 (月)

皐月賞はオルフェーヴル

スプリングSの勝利騎手インタビューで、池添騎手は「お兄さん(ドリームジャーニー)と比較するのはかわいそう」とコメントしていましたが、今回のオルフェーヴルのレースぶりをみると、どう見ても同時期の兄より強いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=KMYtO_7ptz0

恥ずかしながら馬券は1円も買っていませんでした。兄の東京適性、そして自身の京王杯2歳Sの惨敗(10着)を見ると手を出しづらく、外を回して追い込んでくる脚質も現在の馬場では厳しいように思われました。

直線半ばで馬群を割ってグンと突き抜けたとき、いつもなら馬券が外れた悔しさに舌打ちのひとつでもするところですが、今回はなぜかレースの興奮から離れて感心していました。気性の成長をうながす、と口で言うのは簡単です。しかし、じっさいには一朝一夕にできるものではなく、道中うまく折り合って馬群を縫って抜け出すという垢抜けたレースぶりを実践できるまでに、スタッフや池添騎手の多大な苦労があったはずです。見事な勝利というしかありません。

9Rの石和特別から芝コンディションは良馬場に回復しました。とはいえ、雨の影響は明らかに残っており、9Rも10R(メトロポリタンS)も時計の掛かる決着でした。皐月賞はエイシンオスマンが大逃げを打ち、好位勢も崩れたことから、ラップの内容以上に消耗戦といえるレースだったと思います。そのなかで上がり34秒2という抜群の決め手を披露したオルフェーヴルの力は完全に抜けていたといえるでしょう。

父ステイゴールドは、土曜日のフローラSの勝ち馬バウンシーチューンもそうですが、力のいる芝で強さを発揮するタイプです。ナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着となったのも、この適性と無関係ではありません。中央競馬全10場の芝で最も相性がいいのは、最も馬場が重いことで知られる函館です。しかも馬場が荒れたり渋ったりすると強いタイプで、函館芝の重・不良では連対率37.5%。洋芝向きのパワーを秘めています。オルフェーヴルはピッチ走法の兄よりもフットワークが大きいですね。これが東京コースでビューンと伸びた要因かもしれません。

母の父メジロマックイーンは、娘のオリエンタルアートを通じて血を残すことに成功したようです。なにも父系をつなげるだけが血を残すことではありません。オルフェーヴルの血統を見ると、ディクタスやメジロマックイーンといった異端の血が入っているところが魅力です。ファッショナルブルとはいえない血を取り込んで活力に転化していく、というアガ・カーン四世殿下の馬産哲学にも通じる配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

皐月賞で3馬身以上の差をつけて勝ったのは、94年に三冠を達成したナリタブライアン(3馬身半差)以来17年ぶり。東京コースの皐月賞では76年のトウショウボーイが5馬身差をつけて勝ちました。こうした名馬の列にオルフェーヴルも加わることができるかもしれません。

2011年4月24日 (日)

フローラSはバウンシーチューン

フローラS(G2・芝2000m)は雨の影響で重馬場となり、そのわりにペースが速かったのでレースの上がりは37秒8。近ごろ珍しい消耗戦となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWwUg6wjKNs

◎ピュアブリーゼ(3番人気)は4番手追走から残り1ハロンで先頭。しかしペースが速かったためゴールまで踏ん張りきれず垂れました。1着バウンシーチューン(9番人気)は後方から外を回っての差し切り。こうした馬場が合っていたのでしょう。基本的に先行有利、イン有利とはいえ、さすがにこのペースでは後ろの馬も届きます。

「ステイゴールド×トニービン」というパワーを感じさせる配合。ノーザンテーストのクロスはドリームジャーニー、オルフェーヴルの兄弟と同じ。しかし、牝馬限定の未勝利戦を勝ったばかりの追い込みタイプでは手が出ませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103051/

雨は日付が変わる前には上がりました。日曜日は晴れ、最高気温は20度を超える予報です。馬場はどんどん乾いていくはずなので、ひょっとしたらメインの皐月賞は良馬場で行われるかもしれません。道悪適性に神経質になる必要はないと思います。ただ、昨日のエントリーにも記したとおり、馬場の内側から乾いていくと思われるので、土曜日以上に内外のバイアスが大きくなるような気がします。騎手たちもそのあたりは十分わきまえているはずなので、先行争いが激化してフローラSのように差しが届く可能性もあります。このあたりをどう読むかが今年の皐月賞のポイントでしょう。

福島牝馬Sはフミノイマージン

新潟に場所を移して行われた福島牝馬S(G3・芝1800m)。勝ったフミノイマージン(9番人気)は、前走の中山牝馬S(2着)から3キロ増がどうかと思ったのですが、それをものともしない目下の充実ぶり、ということなのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=NA40IcATqMw

父マンハッタンカフェにとっては今年4頭目の重賞勝ち馬となります。先週時点でサイアーランキングは2位。今回の勝利で1位キングカメハメハにまた一歩迫りました。昨年のこの時期はたしか5~6位ぐらいだったので好調ですね。社台系の繁殖牝馬のバックアップがやや手薄な状態でこの成績ですから立派です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105593/

フミノイマージンは、母シンコウイマージンが Northern Dancer 2×4。母に Northern Dancer の強いクロスを持つというのはマンハッタンカフェ産駒の成功パターンのひとつです。昨年7月9日のエントリー「マンハッタンカフェ整理整頓(5)」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-6154.html

手綱を取った太宰啓介騎手は98年のデビューから足掛け14年目にして初めての重賞制覇。112度目の正直でした。マイネルデスポットで2着に逃げ粘った菊花賞が印象に残っているのですが、あれからもう10年になります。ちなみに、そのレースの勝ち馬はマンハッタンカフェ。フミノイマージンの父です。

2011年4月23日 (土)

『netkeiba.com』リニューアル版で予想開始

都内ではすでに雨が落ちてきました。天気予報によると土曜日はほぼ一日雨。開幕週とはいえ芝への影響は避けられません。そして、日曜日は晴れ。東京競馬場におけるこのパターンは、これまで何度も繰り返されたように、内が伸びて外が伸びないというバイアスが発生します。インコースから馬場が乾いていくからです。馬場コンディションは生き物ですから、実際にそうなるかどうかは競馬を見てみないと分かりませんが、これまでの傾向から考えるとそうなる可能性が高いと思います。

周知のとおり、東京芝2000mはスタートして間もなく左カーブとなるため、外枠の馬は大きな距離ロスを強いられます。インが伸びる馬場コンディションに加えてこのコース形態ですから、外の馬は二重の不利を被ることになります。今回はある程度前に行ける内枠の馬を中心に馬券を組み立てるべきでしょう。わたし自身、木曜日に発表された枠順を見て、予想の組み直しを余儀なくされました。

内枠の馬が有利ではありますが、出遅れ癖のある馬は注意したほうがいいですね。このコースは道中のポジションが大事なので、最初のコーナーでいい位置を取るべく外枠の馬がどんどん被せてきます。内枠で出遅れると最後方近くまで下がる危険性があり、そこから盛り返すには距離損覚悟で外を回すしかありません。こうなれば勝機はないでしょう。荒れそうな予感がします。

今週から『netkeiba.com』リニューアル版に予想を提供することになりました。G1などの注目レースは別として、従来提供しているところと予想が被らないようにレースを選んでいきたいと考えています。
http://prev.www.netkeiba.com/info/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!