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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

時事問題

2011年6月17日 (金)

POGドラフト終了しました

今週火曜日は某POGのドラフトでした。1人10頭持ちで13人が参加したので、規模としてはやや大きめの部類でしょうか。

計130頭が指名され消えていきます。上位で指名したいと願った馬がそのとおりに取れることはまずありません。しかも相手は業界の猛者ばかり。ドラフトの最中に牧場や育成場に直接電話を掛けて候補馬の状態について尋ねているですから、こりゃ勝てんわ……です。昨年は、レッドデイヴィス(重賞2勝)を指名して1億6000万円を稼いだ方が、なんとチョコレートを差し出す側でした。ハイレベル過ぎて笑ってしまいます。

わたしは1位指名の抽選に敗れ、その後もうまく立ち回ることができず、ガッツリと消化不良感の残るドラフトでした。8位以降はあらかじめ用意していた指名候補馬のリストが尽きて、ほとんどその場の勘で決めるという始末。10頭のなかにG1馬が引っ掛かってくれていることを祈るのみです。

13人の指名馬の、1位から5位までの父馬を集計すると以下のようになります。

32頭 ディープインパクト
12頭 アグネスタキオン
 4頭 シンボリクリスエス
 3頭 ハーツクライ
 2頭 キングカメハメハ、ステイゴールド
 1頭 ウォーエンブレム、タニノギムレット、アドマイヤムーン、
    キングヘイロー、ゴールドアリュール、ダイワメジャー、
    ネオユニヴァース、デュランダル、クロフネ、Street Sense

ディープインパクトが断然で、大きく離されてアグネスタキオンが2位。この2頭が飛びぬけています。そのあとに繁殖牝馬の質が並はずれているシンボリクリスエスが3位で続きます。

サンデーサイレンスが健在だった時代のように、ベタな評判馬が素直に走る傾向が見られるので、あまりひねりすぎないほうがいいかもしれません。ただ、それだと指名候補馬がほかの方と被ってしまうので、ホームラン狙いは1、2頭にとどめて、あとは高望みせず堅実な評判馬を確実に獲っていくのが賢いやり方かもしれません。

2011年6月16日 (木)

サラブレッドの多様性は馬場の多様性から生まれる

セントジェームズパレスSを見て感じたのは、欧州マイル路線のレベルの高さ。このカテゴリーはデインヒルや Galileo の縄張りで、これらの種牡馬は現在のヨーロッパ競馬を牽引する役割を果たしています。その優秀さがマイル路線の水準を押し上げているように思います。ここに割って入るのは並大抵のことではありません。しかし、だからといって、この差を埋めるために日本の馬場をヨーロッパ仕様にすべき、という意見にわたしは与しません。

大前提として、高温多湿の気候、馬場の使用頻度の高さから、日本においてヨーロッパと同種の洋芝コースを作ることは不可能です。ただ、もし仮に、日本の競馬場がすべてヨーロッパと同じ仕様になったとしたらどうなるでしょう? おそらく、日本の血統はあっという間に Sadler's Wells やデインヒルに飲み込まれてしまうでしょう。最適化したものがそうでないものを駆逐するのは道理です。そして、わが国の競馬はその独自性を失い、ヨーロッパ競馬のエピゴーネンとして半永久的に川下の立場に立たされるでしょう。

世界各国の競馬にそれぞれ特色があり、さまざまな馬場で競馬が行われているからこそ、サラブレッドの多様性は維持されています。逆にいえば、サラブレッドの多様性を守るには、世界各国でさまざまなスタイルの競馬が行われる必要があります。

サラブレッドの発展の歴史を振り返ればそれは明らかです。スピードを第一義とするアメリカのダート競馬があればこそ、ヨーロッパには見られなかったハイレベルなスピード型遺伝子がサラブレッドに芽生えました。異なる環境で、それに適した血統が発展していくことはきわめて重要です。一芸に秀でたスペシャリストの血はそれほど得がたいものです。自国のサラブレッドが、他のどの国にも見られない優れた個性を獲得したなら、それは大きなアドバンテージです。欧米の後追いによって得られるものよりも重要だと思います。

速い時計が出やすく、瞬発力を活かしやすい日本の芝コースでは、サンデーサイレンス系が圧倒的な勢力を誇っています。この個性はアメリカともヨーロッパともオセアニアとも違います。日本血統が将来、その個性を評価される形で海外から求められていくとわたしは確信しています。高速馬場やそれに適応する日本馬の個性を、批判的な文脈でのみとらえる一部風潮にはやや違和感を覚えます。

高速馬場については昨年6月10日のエントリー「馬の故障と高速馬場」で取り上げています。ご参照くさだい。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-bef1.html

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月27日 (金)

Northern Dancer 生誕50周年

1982年以来、日本ダービーには必ず Northern Dancer 系の出走馬が名を連ねていました。しかし、09年にターニングポイントが訪れます。この年、同系の出走馬が途絶え、28年ぶりに Northern Dancer 系が出走しないダービーとなりました。昨年はメイショウウズシオ、シャインと2頭出走しましたが、今年はまたゼロ。Northern Dancer 系にとって冬の時代といえるでしょう。

ただ、それは日本だけの現象であり、世界の主要競馬開催国、とくにヨーロッパとオーストラリアにおいては、Northern Dancer 系は相変わらず猛威を振るっています。昨日のエントリー(活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」)でご紹介したように、ヨーロッパでは20年近く生産界を牽引してきた Sadler's Wells とデインヒルが融合し、新たな名馬を次々と誕生させています。これらはいずれも Northern Dancer 系です。

いまからちょうど50年前の1961年5月27日に、カナダのウィンドフィールズファームで Northern Dancer は誕生しました。

父 Nearctic は St.Simon の影響が強いイギリス血統。母 Natalma には、伝統的なアメリカ血統を濃厚に含んだ Native Dancer と、Lady Josephine(現代スピード血脈の祖)の影響を受けた Mahmoud が入ります。ですから、基本的には異系交配的な産物で、異なる個性のぶつかり合いによって人知を超えた生化学反応が生じ、時代を画する傑作が誕生したというわけです。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

Northern Dancer 系の現況については昨年11月に4回シリーズでご紹介しました。

Northern Dancer 没後20年(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-dancer.html
Northern Dancer 没後20年(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-1.html
Northern Dancer 没後20年(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-2.html
Northern Dancer 没後20年(4)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-3.html

世間に流通する血統系の慣用句で、わたしが最も理解に苦しむのが「セントサイモンの悲劇」です。そもそも何が悲劇なのかよく分かりません。St.Simon が種牡馬として爆発的な成功を収めたあと、代を経るごとに系統が衰退していったのは事実です。しかし、それでサラブレッド全体のレベルが低下したかというと、そんな事実はどこにもないと思います。むしろ逆に上昇したとわたしは考えます。英ダービーの勝ちタイムの変遷からもそれはうかがえます。

Teddy、Blandford、Tourbillon、Hyperion、Nearco など、20世紀前半に登場した大種牡馬群は、ほとんど例外なくGalopin-St.Simon(=Angelica) の強い影響のもとに誕生しています。このあたりは笠雄二郎著『サラブレッド配合史』(http://www.miesque.com/c00001.html)に詳述されています。
http://www.pedigreequery.com/teddy
http://www.pedigreequery.com/blandford
http://www.pedigreequery.com/tourbillon
http://www.pedigreequery.com/hyperion
http://www.pedigreequery.com/nearco

サラブレッドの生産は父系を伸ばすことが目的ではありません。強い馬を作ることです。St.Simon 系が衰退したことを悲劇というのは父系愛好家だけでしょう。むろん、そうした事態が起こったからといって、当時の生産者が愚かだったわけでもありません。St.Simon の強い影響力がサラブレッド全体のレベルを上昇させたのですから、少なくともわたしのなかでは“悲劇”という言葉はピンときません。

もし仮に、遠い将来サンデーサイレンス系が衰退したとしたら、人々の心にセンチメンタルな疼きは生じるでしょうが、日本の生産界には何の不都合も起こらないでしょう。サンデーサイレンスが日本の生産レベルを大きく引き上げた事実は変わりません。そして、サンデー系が衰退してもサンデー牝馬を苗床とした新しい系統がたくましく伸びているはずです。わたしはそれで何の問題もないと考えます。

もっとも、同系統が増えすぎて父系が衰退するということが、現代ではほぼ起こりえないことは Northern Dancer が証明しています。St.Simon のころとは生産規模が違いますし、交通機関の発達によりサラブレッドが大陸間を自由に行き来する現代において、配合相手に困るという事態はまず考えられません。

誕生から半世紀、Northern Dancer の血が世界の果てまで広まり、4代前、5代前と血が遠ざかっていくと、系統全体が一斉に衰退期に向かうということは現実的ではないでしょう。いまや Nearco 系という区分に何の意味もないように、いずれ Northern Dancer 系という区分も過去のものとなるはずです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月19日 (木)

ダノンシャンティ種牡馬入り

先月、屈腱炎を発症したダノンシャンティが、現役続行を諦めて種牡馬入りすることが決まりました。繋養先は社台スタリオンステーション。同所には今年、すでに同じフジキセキ産駒のキンシャサノキセキがスタッドインしています。フジキセキ系の興隆は数年前までは想像しづらいところでしたが、このほかにもファイングレインが今春からフランスで種牡馬入りしており、今後の展開が楽しみな状況となってきました。

父フジキセキは今季体調を崩し、種付けを休んでいます。19歳という年齢はもう若くありません。累計3000頭以上に種付けしてきたアイアンホースも、いつかは役割を終える日が来ます。有能な息子たちが相次いで種牡馬入りしたのはいいタイミングかもしれません。

ダノンシャンティはその能力と配合を早くから評価してきました。共同通信杯、毎日杯、NHKマイルCと、予想はいずれも◎。NHKマイルCの予想文をあらためて掲載します。

「◎ダノンシャンティは『フジキセキ×マークオブエスティーム』という組み合わせ。母シャンソネットはシングスピールやラーイの半妹にあたる良血。2代母グローリアスソングはカナダ年度代表馬、米最優秀古馬牝馬。『ヘイロー3×3』だけが目立つ単純な配合に見えがちだが、じつはそうではなく、アンガール≒エルバジェ4×4、ミランミル5×6など、重厚な血が全体をしっかり支えている。それ以外にもダンスインザダークなどに見られるブルースウォーズ=ブルーヘイズの全兄妹クロスを持つなど、底力を感じさせる緻密な配合構成で見どころがある。母の父マークオブエスティームから受け継いだ切れ味は非凡。前々走の共同通信杯は展開のアヤで2着に敗れたが、前走の毎日杯は上がり33秒4、左ムチ一発で楽々と差し切った。東京芝マイルはほぼベスト条件なのでしっかり結果を出すはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105709/

毎日杯のような超スローペースでも、NHKマイルCのような超ハイペースでも、パフォーマンスが変わらなかったというのは大きなセールスポイントです。瞬発力があり持続力もあります。要するに単純に能力が高いということですね。それに加えて、予想文に記したとおり配合に豊かな奥行きがあり、しかも名牝 Glorious Song の孫ですから、種牡馬としても高いポテンシャルを秘めている可能性があります。現役時代に松田国英厩舎に所属したキングカメハメハ、クロフネ、タニノギムレットがいずれも種牡馬として成功しているのは心強いジンクスです。社台グループが誇る良血牝馬群の手厚いバックアップがあれば、かなりの成功を収めたとしても不思議はありません。

★「ダノンシャンティ屈腱炎」(4月21日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-88c5.html
★「ファイングレインがフランスで種牡馬入り」(2月10日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-eb65.html

2011年5月 3日 (火)

サクラバクシンオー死亡

バブル期を境に日本に輸入される馬の質がグンと上がり、それまで栄えていた血統は劣勢に立たされるようになりました。サンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンといった種牡馬が縦横無尽に暴れまわり、明治、大正、昭和初期に輸入された繁殖牝馬の子孫は大レースを勝つ機会を減らしました。要するに血統がどんどん更新されていったわけです。

テスコボーイ→サクラユタカオー→サクラバクシンオー

この系統はそんな厳しい時代状況のなかで、「スピード」という一芸に賭けて生き延びてきました。凄い、という一言に尽きます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1989108341/

現役時代のサクラバクシンオーは1400m以下で12戦11勝。スプリンターズS(G1・芝1200m)を2連覇したほか、日本史上初めて芝1400mで1分20秒の壁を破りました(1分19秒9=94年スワンS)。父サクラユタカオーは距離の壁こそあったもものの天皇賞・秋を制覇。母サクラハゴロモは天皇賞・春や有馬記念を制したアンバーシャダイの全妹ですから、デビュー前はごく普通に“ダービーを狙えるんじゃないか?”と思っていました。スプリンターが出てくるとはまったく想像していませんでした。中距離馬を思わせる優雅なフットワークは、ガチャガチャした走りのスプリンターの集団に入ると、まさに群鶏の一鶴といった趣でした。
http://www.youtube.com/watch?v=nL2EBCVTb3A

わたしはこの馬に強い思い入れがありました。POGで指名した馬だったからです。母サクラハゴロモもかつて指名していました。競馬場では単勝馬券を握って応援し、ときには関西にも遠征しました。2回制したスプリンターズSのうち、2回目はどう乗っても勝つだろうという安心感がありましたが、1回目はヤマニンゼファー、ニシノフラワーという強敵がそろって三つ巴でした。サクラバクシンオーはOP特別を勝っての挑戦で2番人気。キャリア全戦を振り返ったとき、個人的にいちばん印象に残っているのはこのレースでしょうか。冬の暗い曇り空を背景にピンクの勝負服が先頭でゴールに飛び込むシーンをいまでもありありと思い出せます。

周知のとおり、種牡馬としてのサクラバクシンオーは短距離向きの種牡馬として大成功し、ショウナンカンプ、グランプリボス、シーイズトウショウをはじめ多くの活躍馬を送り出しました。産駒がデビューして4年目に初めて種牡馬ランキングの9位に入ると、昨年までの10年間、一度もベスト10から落ちることなく頑張ってきました。産駒のJRA通算勝利数は歴代9位。父が内国産種牡馬である馬に限定すると1位です。サンデーサイレンスの孫種牡馬がこの記録を破るのは遠い先のことでしょう。

2代父テスコボーイは21歳時、父サクラユタカオーは16歳時の種付けがラストクロップでした。以後、授精能力を喪失してしまい、産駒が誕生しませんでした。生殖機能に関しては早老なところがある系統といえるでしょう。サクラバクシンオーに関しては、21歳だった昨シーズンまでそうした話はなかったので安心していました。まさか心不全で突然命を落とすとは……。合掌。

2011年4月30日 (土)

Sadler's Wells 死亡(後)

昨日のエントリーで、Sadler's Wells と Nureyev が4分の3同血であるという話を書きましたが、Sadler's Wells は兄弟も大成功しています。

全弟 Fairy King は、エリシオ(凱旋門賞)、オース(英ダービー)、ファルブラヴ(ジャパンC)などの父で、96年には仏リーディングサイアーとなっています。Sadler's Wells よりも短めの距離で強さを発揮しました。
http://www.pedigreequery.com/fairy+king2

この牝系は、51年にクレイボーンファームのブル・ハンコックがニューマーケットで購入した Rough Shod という牝馬にさかのぼります。代々活躍馬が目白押しで、Sadler's Wells と Nureyev の直近の共通祖先である Special は、英チャンピオンマイラー Thatch の全姉です。
http://www.pedigreequery.com/thatch

この牝系はスピードが持ち味で、Nureyev や Fairy King はそれを体現した馬でした。しかし、Sadler's Wells 自身は中距離馬で、種牡馬としては長距離向きの産駒も多数出しています。素晴らしい底力に恵まれ、2400m前後で少し時計が掛かればこれほど信頼できる種牡馬はありません。息子たちも種牡馬として成功し、ヨーロッパはもちろん、アメリカ、チリ、南アフリカ、インドなどでリーディングサイアーとなっています。

日本の馬場で走るにはやや重たく、スパッと切れる脚もありません。したがって、子の代では重賞勝ち馬が1頭(サージュウェルズ)しか出ませんでした。しかし、孫の代になると、持ち前の底力とスタミナがちょうどいい具合に希釈され、日本の馬場にフィットする大物が続出しました。サイアーラインを受け継ぐ孫にはテイエムオペラオー、メイショウサムソン。母の父に持つ馬にはエルコンドルパサー、フサイチコンコルド、シーザリオ、ヘヴンリーロマンスなど。天皇賞・春に出走するジャミールもそうです。

Sadler's Wells はアイルランドのクールモアスタッドに繋養されました。同スタッドはいまや世界最大級の種牡馬事業組織に成長しましたが、それを可能にしたのは Sadler's Wells が稼ぎ出した莫大な富です。こうした面からも世界を変えたといえるかもしれません。

『RACING POST.com』では、どのサドラーズウェルズ産駒が好きか、という緊急アンケートが行われていました。1位はなんと Istabraq。チャンピオンハードルを3連覇するなど無敵を誇ったハードル王です。これは故ジョン・ダーカン調教師との感動ストーリーが寄与したのでは、と思います。2位は Yeats。アスコットゴールドC(英G1・芝20f)を4連覇した長距離王です。以下、Galileo、Montjeu の順。

Istabraq、Yeats のワン・ツーは日本では想像がつかないところですが、「どれが強いか」ではなく「どれが好きか」という投票なので、妥当な結果かもしれません。イギリス人の意識に触れることができるおもしろいアンケートでした。

Sadler's Wells 系が障害に強いというテーマは昨年10月16日のエントリー「障害界のサンデーサイレンス」で触れています。ご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-c88e.html

2011年4月29日 (金)

Sadler's Wells 死亡(前)

「この種牡馬は凄いんじゃないか?」と初めて感じたのは88年のデューハーストS(英G1・芝7f)です。英2歳チャンピオン決定戦というべきレース。この年は、新種牡馬 Sadler's Wells を父に持つ Prince of Dance と Scenic が1着同着で勝利を分け合いました。

Sadler's Wells は現役時代、愛2000ギニー(G1・芝8f)など3つのG1を制しました。ただ、3歳春は同じヴィンセント・オブライエン厩舎に所属する El Gran Senor(英2000ギニー、愛ダービー)との使い分けによって、裏街道を歩まざるをえませんでした。

冒頭のデューハーストSには El Gran Senor の初年度産駒 Saratogan も出走していました。結果は3着。Sadler's Wells は現役時代の鬱憤を晴らすかのように、種牡馬としては El Gran Senor よりも格上であると示したのです。

初年度産駒にはこのほか、オールドヴィック(仏ダービー、愛ダービー)、In the Wings(BCターフ)、フレンチグローリー(ロスマンズ国際S)などがいます。当時から Northern Dancer 系の真打ち登場、という別格の扱いでしたね。

血統面の優秀さも評判を後押ししたと思います。母 Fairy Bridge は Nureyev の半姉。そして、Sadler's Wells と Nureyev はいずれも Northern Dancer を父に持ちます。要するに両者は4分の3同血(父が同じで母が親子)です。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/nureyev

         ┌ Northern Dancer
Sadler's Wells ―┤
         └○┐
           └ Special

         ┌ Northern Dancer
Nureyev  ――――┤
         └ Special

Nureyev は当時すでに Miesque、Theatrical、Sonic Lady といった産駒を出して大ブレイクしており、その4分の3同血ですから成功は堅い、と見られていました。ちなみに、この2頭を使った4分の3同血クロスはポピュラーなもので、今週の天皇賞・春に出走するコスモメドウなどはこのパターンです(Nureyev≒Sadler's Wells 4×2)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110045/

産駒がデビューして3年目の90年に英愛リーディングサイアーに輝き、翌年、ジェネラスを擁する Caerleon にタイトルを譲ったものの、92年に奪回すると04年まで13年連続でその座を守りました。通算14回、13年連続という記録は、18世紀の大種牡馬 Highflyer の通算13回、12年連続を上回る新記録です。(続く)

2011年4月28日 (木)

メジロ牧場解散

この成績ではたして牧場がやっていけるのだろうかと、失礼ながら以前から心配はしていました。80年後半から90年代にかけての黄金時代に比べ、見る影もなく低迷した00年代。なぜここまで落魄したのか、その原因はひとつではないでしょう。土壌と牧草、血統、育成、人材、馬場やレーススタイルへの適性、等々……。それを検証するメジロ牧場興亡記はいずれどなたかがお書きになると思います。

ただひとつはっきりしているのは“メジロ牧場が負けた”という事実。残念ながら現在の日本競馬のなかにメジロ牧場の居場所はなかったということです。実力社会においては、時代の移り変わりのなかで浮き沈みは避けられません。社台グループといえど、永久に成功が約束されているわけではなく、ちょっとした綻びをきっかけに転落していく可能性もないとはいえません。

わたしが競馬に興味を持ち始めた80年代、ホワイト&グリーンのメジロの勝負服は、大レースになくてはならない存在でした。時代錯誤ともいえるステイヤー血統。それをハードトレーニングで鍛え上げ、中長距離の重賞を席巻していました。その秘密を知りたくてメジロの血統はよく研究したものです。スノッブ、Djakao、Charlottesville、モンタヴァル、という馬名を目にすると、いまでも胸が疼きます。英仏の伝統的なステイヤー血統を重用し、ほかの牧場には見られない上品な血統を作り上げていました。それが意図的な選択の結果であったことは、たとえばメジロエニフの配合に端的に表れています。Sicambre=Senones 3×3、Barley Corn 4×3、Tourbillon 5×5という強烈な父母相似配合。これは偶然できるものではありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979101600/

メジロ牧場の全盛期を支えた武田茂男氏が独立してから成績が振るわなくなった、という話を聞いたことがありますが、内情についてはよく分かりません。父として成功したモガミが母の父として不振だった、という事情もあるでしょう。メジロマックイーン、メジロパーマー、メジロアルダンといった種牡馬は、およそ能力的な見極めがついたあとでも粘り強く交配していましたが、残念ながら結果は出ませんでした。スピード不足に懲りたのか、時代に遅れまいとしたのか、徐々にスピード系の種牡馬に軸足を移して行きました。しかし、それも実りませんでした。最近の生産馬の血統には、かつてあった香気や配合的な意思といったものが消え失せていたように思います。

馬産の歴史を振り返れば、フランスのマルセル・ブサックはある時期から生産馬がまったく走らなくなり、晩年には本業も傾いて破産。競馬事業をすべて手放しました。北米では近年、カルメット、スペンドスリフト、オーヴァーブルック、ウインドフィールズといった名門牧場が撤退を余儀なくされました。こうして解体されていくものがある一方、新しく勃興するものもあります。サラブレッド生産の歴史はその繰り返しです。

マルセル・ブサックが破産したといっても、その生産馬が現代に及ぼす影響は不滅です。カルメット、スペンドスリフト、オーヴァーブルック、ウインドフィールズにおいてもそうです。“メジロ牧場が負けた”といっても、存在そのものが否定されるわけではありません。メジロ牧場の華々しい業績は競馬史に刻まれ、人々の記憶に残ります。ドリームジャーニーやオルフェーヴルを通じて血統は受け継がれていきます。

2011年4月21日 (木)

ダノンシャンティ屈腱炎

海外に旅立ったヴィクトワールピサを別にすれば、今年の古馬戦線で最も期待していた馬でした。右前浅屈腱炎で9ヵ月以上の休養を要する、という診断です。

トレーナーの数だけ馬の仕上げ方があります。藤沢和雄、角居勝彦調教師が“強い調教を課さない派”の代表だとすれば、松田国英調教師はその逆、“ハードトレーニングを課す派”の代表です。

過去に松田国英調教師が管理した大物の多くが怪我に泣きましたが、ハードトレーニングを課さなければ栄光を手にしていたかどうかは分かりません。門外漢のわたしには判断のつかない難しい問題です。仕上げ方に関して対照的な考えを持つ角居勝彦調教師が、調教助手時代に松田国英厩舎に所属していたのはおもしろい事実です。

安田記念で走るところは見てみたかったですね。この春の楽しみのひとつでした。休養から復帰後、2000m以上を3戦して結果が出ませんでしたが、1600mの定量戦なら違うと思っていました。残念。

2011年4月15日 (金)

トレンドハンター骨折

桜花賞3着馬でオークスの有力候補と目されていたトレンドハンター(松田博資厩舎・父マンハッタンカフェ)が、右第1指節種子骨を骨折し、戦列から離れることとなりました。1年以上の休養を要するとのことなので症状としては軽くありません。血統的に距離が延びていいタイプだったので残念です。今年の3歳牝馬戦線はサバイバル戦の様相を呈してきました。オークスはマルセリーナとホーエルキャプチャの二強対決でしょうか。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!