■土曜新潟5Rの新馬戦は、後方追走の◎エネアド(2番人気)が大外をマクって進出し、直線で鋭い決め手を発揮して快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=R88Nz656B6k
1000m通過が65秒4という超スローペース。そのため上がりが極端に速くなりました。エネアドの上がり3ハロンは32秒5。その前の1ハロンでは後方からマクって位置取りを上げているので、相当長く脚を使っています。ラスト2ハロンの10秒1-11秒1という速いラップで息が上がるどころか突き抜けているので、福永騎手のコメントどおり非凡な資質を備えていると思います。
予想は◎△▲で馬単3030円、3連単14580円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。
「◎エネアドは『ディープインパクト×フレンチデピュティ』という組み合わせ。半兄ブレイクランアウトは共同通信杯(G3)の勝ち馬。母方にフレンチデピュティを持つディープインパクト産駒にはボレアス(レパードS)、メデタシ(桜花賞-4着)などがいる。稽古時計はもうひとつ詰まってこないが、素質の高さを感じさせる配合なのでおもしろそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/
半兄ブレイクランアウトもデビュー前の動きは地味でした。競馬になると変わる血統ですね。2011-12年のPOGでは、赤本でも競馬王でもエネアドを全体の1位に推しました。母キューの鮮やかな父母相似配合に惚れ込み、繁殖牝馬としてかなりの器ではないかと感じていたからです。Smart Strike との交配でブレイクランアウト(共同通信杯)を出せるなら、さらに配合が合うと思われるディープインパクトを相手にすれば……という期待感です。
昨年11月6日のエントリー「ブレイクランアウト種牡馬入り」で以下のように記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-30d3.html
「母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。」
http://www.pedigreequery.com/queue2
簡略化して描くと以下のようになります。
http://www.pedigreequery.com/mitterand
http://www.pedigreequery.com/peroxide+princess
┌ Speak John(≒Stage Door Johnny)
┌○┤ ┌ Eight Thirty
Mitterand ―――――┤ └〇┘
│ ┌ Bold Ruler
└〇┘
┌ Bold Ruler
┌○┘
Peroxide Princess ―┤ ┌ Stage Door Johnny(≒Speak John)
└〇┤ ┌ Eight Thirty
│ ┌〇┘
└〇┘
こうした凝縮を持つキューに、それとはアウトクロス気味となるディープインパクトを持ってくる配合は、ジグソーパズルの最後のワンピースを埋め込むようなピッタリ感があります。アウトクロス気味の配合は結果が読みづらいのですが、ディープインパクトとフレンチデピュティの相性の良さはそれまでの実績で証明されつつありました。
フレンチデピュティが抱える硬さは、ディープインパクトのトビの大きさや緩慢さを抑制する働きがあり、フットワークの回転の速さ、俊敏さといった要素を生み出しているのではないかと思います。これが「ディープインパクト×フレンチデピュティ」の好相性を支える理由の一端でしょう。母方の硬さが度を越すと、回転の速いフットワークは掻き込みの強いダート走法となり、素軽さよりもパワーが滲み出てきてボレアスとなります。
弾むようなピッチ走法から繰り出されるエネアドの瞬発力と機動力は、フレンチデピュティ牝馬のなかでも別格といえる母キューの、前述のような特別なパーソナリティに負う部分が大きいと思われます。レースでは随所に幼さを覗かせ、直線ではフラついていたように、まだまだ未完成です。次走の東京スポーツ杯2歳S(G3)まで約3ヵ月あるので、現在434キロの馬体が450キロ台まで成長してくるといいですね。
なお、父母相似配合については、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』に詳述されております。ご参考いただければと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html
望田潤さんのエネアド論評は以下のとおり。「外1800mで抜群に斬れますが2000m以上の持続戦でオープン級かどうかはまだ保留」とのことです。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/e76bbc3e987b8f946bfe1df16edf9501
■土曜札幌1Rの未勝利戦は、2番手追走のスターバリオン(2番人気)が後続をグングン引き離し、大差勝ちしました。
ここまで芝で2戦して6、5着と芽が出ず、今回初めてのダートで大きな変わり身を見せました。ゴールドアリュール産駒らしい抜群のダート適性ですね。過去、2歳戦のダート1700m戦で大差勝ちした馬は、この馬を含めてたった2頭しかいません。もう1頭の名はサクセスブロッケン。のちのG1ホースです。
「ゴールドアリュール×サクラバクシンオー」は過去5頭出走して4頭が勝ち上がり、そのなかにはトップカミング(日経新春杯-2着、青葉賞-3着)が含まれています。相性がいい組み合わせといえるでしょう。母の父サクラバクシンオーは Nijinsky とニックスの関係にあり、Hyperion 色の強い血とも相性が良好です。ゴールドアリュールの母ニキーヤは双方の特徴を備えています。これが好相性の原因ではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102303/
母カネツプリンセスは Nasrullah=Rivaz≒Royal Charger 5・6×5・6・6と潜在的なスピードが感じられるので、力の要るパサパサのダートよりも脚抜きのいいダートが合っているでしょう。