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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年8月

2011年8月31日 (水)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」で大樹RC診断

おかげさまでご好評をいただいております「一口馬主好配合馬ピックアップ」は、キャロットクラブの診断をほぼ終了し、大樹レーシングクラブに移りました。このあとはシルクホースクラブ、東京サラブレッドクラブと続く予定です。何卒よろしくお願いいたします。
http://www.miesque.com/c00006.html

前にもお知らせしましたように、新しく評価馬をアップロードした際には、血統屋ホームページの「What's New」にその旨を告知いたします。
http://www.miesque.com/

フレールジャックと4分の3同血のヴィルシーナ快勝

■日曜札幌5Rの新馬戦(芝1800m)は、好位のインを追走した◎ヴィルシーナ(1番人気)が最内から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=uD7c_uujNwQ

予想は◎▲で馬単920円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ヴィルシーナは『ディープインパクト×マキアヴェリアン』という組み合わせ。ラジオNIKKEI賞(G3)を勝ったフレールジャックと4分の3同血、というのがセールスポイント。ヘイロー3×4・5のクロスを持ち、母の父にはミスタープロスペクターが入るので、かなり素軽いタイプで新馬戦に向くのではないかと思われる。ディープインパクト産駒は芝1800mの新馬戦で連対率50%(32戦16勝)。このデータも心強い。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106264/

馬群がペースアップした3、4コーナーの中間で、一瞬置かれそうになったものの、徐々にスピードに乗って最後に間に合いました。機敏なギアチェンジができないのは腰が甘いからでしょう。体が成長してくればこうした点は解消してくるはずです。4分の3同血のフレールジャックと同じく走るフォームはいいですね。素質が開花してくれば重賞クラスでもやれるはずです。

これでディープインパクト産駒は芝1800mの新馬戦で連対率51.5%(33戦17連対)。今シーズンに限っても7戦4連対です。この条件で人気に推された馬は外せません。今週日曜日は、札幌、新潟、小倉の3場で芝1800mの新馬戦が組まれています。ここでデビューするディープインパクト産駒がいれば要注目です。

■日曜新潟5Rの新馬戦(芝1200m)は、中団を追走した▲イチオクノホシ(2番人気)が大外を回って追い上げ、1頭だけ違う脚いろで突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=VnjMJXWgBp8

ゼンノロブロイ産駒は基本的に中距離ベストで、気性的にカリカリしたところもないので、芝1200mの新馬戦でバンバン走るタイプではありません。この条件で強い勝ち方をしたのですから能力が抜けていました。

ゼンノロブロイはややアメリカ血統が強いので、しっかりとしたヨーロッパ血統を入れるのがセオリーです。本馬には Kendor、Irish River といった柔らかなフランス血統が入るのでいいですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106042/

Irish River の父 Riverman とは相性がよく、このパターンからアグネスワルツ、トレイルブレイザー、ゲームマエストロ、ミニーバローズ、ルルーシュといった馬が出ています。本馬は Kenmare を併せ持っているのでルルーシュにやや似ています。距離はもっと延びたほうがいいでしょう。減量騎手が騎乗したことによる3キロ減が効いた部分もありますが、なかなか強い内容だったので次走が楽しみです。

ゼンノロブロイ産駒は、初年度が大成功して注目を集めましたが、2年目がまったく振るわず存在感が薄れてきています。3年目はここまで4頭が勝ち上がり、先週はイチオクノホシとロゼシャンパーニュの2頭が新馬勝ちを果たしました。まずまず健闘しています。例年、夏のローカルで苦戦して9月の中央場所からエンジンが掛かってくる種牡馬なので、秋競馬に期待したいですね。この世代がダメだと崖っぷちに追い込まれてしまいます。

◎ニシノセレーノ(1番人気)は2着。予想は▲◎△で馬連840円、3連複2080円的中です。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

2011年8月30日 (火)

父母相似配合の母から誕生したエネアド

■土曜新潟5Rの新馬戦は、後方追走の◎エネアド(2番人気)が大外をマクって進出し、直線で鋭い決め手を発揮して快勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=R88Nz656B6k

1000m通過が65秒4という超スローペース。そのため上がりが極端に速くなりました。エネアドの上がり3ハロンは32秒5。その前の1ハロンでは後方からマクって位置取りを上げているので、相当長く脚を使っています。ラスト2ハロンの10秒1-11秒1という速いラップで息が上がるどころか突き抜けているので、福永騎手のコメントどおり非凡な資質を備えていると思います。

予想は◎△▲で馬単3030円、3連単14580円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎エネアドは『ディープインパクト×フレンチデピュティ』という組み合わせ。半兄ブレイクランアウトは共同通信杯(G3)の勝ち馬。母方にフレンチデピュティを持つディープインパクト産駒にはボレアス(レパードS)、メデタシ(桜花賞-4着)などがいる。稽古時計はもうひとつ詰まってこないが、素質の高さを感じさせる配合なのでおもしろそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106444/

半兄ブレイクランアウトもデビュー前の動きは地味でした。競馬になると変わる血統ですね。2011-12年のPOGでは、赤本でも競馬王でもエネアドを全体の1位に推しました。母キューの鮮やかな父母相似配合に惚れ込み、繁殖牝馬としてかなりの器ではないかと感じていたからです。Smart Strike との交配でブレイクランアウト(共同通信杯)を出せるなら、さらに配合が合うと思われるディープインパクトを相手にすれば……という期待感です。

昨年11月6日のエントリー「ブレイクランアウト種牡馬入り」で以下のように記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-30d3.html

「母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。」
http://www.pedigreequery.com/queue2

簡略化して描くと以下のようになります。
http://www.pedigreequery.com/mitterand
http://www.pedigreequery.com/peroxide+princess

            ┌ Speak John(≒Stage Door Johnny)
          ┌○┤ ┌ Eight Thirty
Mitterand ―――――┤ └〇┘
          │ ┌ Bold Ruler
          └〇┘

            ┌ Bold Ruler
          ┌○┘
Peroxide Princess ―┤ ┌ Stage Door Johnny(≒Speak John)
          └〇┤   ┌ Eight Thirty
            │ ┌〇┘
            └〇┘

こうした凝縮を持つキューに、それとはアウトクロス気味となるディープインパクトを持ってくる配合は、ジグソーパズルの最後のワンピースを埋め込むようなピッタリ感があります。アウトクロス気味の配合は結果が読みづらいのですが、ディープインパクトとフレンチデピュティの相性の良さはそれまでの実績で証明されつつありました。

フレンチデピュティが抱える硬さは、ディープインパクトのトビの大きさや緩慢さを抑制する働きがあり、フットワークの回転の速さ、俊敏さといった要素を生み出しているのではないかと思います。これが「ディープインパクト×フレンチデピュティ」の好相性を支える理由の一端でしょう。母方の硬さが度を越すと、回転の速いフットワークは掻き込みの強いダート走法となり、素軽さよりもパワーが滲み出てきてボレアスとなります。

弾むようなピッチ走法から繰り出されるエネアドの瞬発力と機動力は、フレンチデピュティ牝馬のなかでも別格といえる母キューの、前述のような特別なパーソナリティに負う部分が大きいと思われます。レースでは随所に幼さを覗かせ、直線ではフラついていたように、まだまだ未完成です。次走の東京スポーツ杯2歳S(G3)まで約3ヵ月あるので、現在434キロの馬体が450キロ台まで成長してくるといいですね。

なお、父母相似配合については、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』に詳述されております。ご参考いただければと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

望田潤さんのエネアド論評は以下のとおり。「外1800mで抜群に斬れますが2000m以上の持続戦でオープン級かどうかはまだ保留」とのことです。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/e76bbc3e987b8f946bfe1df16edf9501

■土曜札幌1Rの未勝利戦は、2番手追走のスターバリオン(2番人気)が後続をグングン引き離し、大差勝ちしました。

ここまで芝で2戦して6、5着と芽が出ず、今回初めてのダートで大きな変わり身を見せました。ゴールドアリュール産駒らしい抜群のダート適性ですね。過去、2歳戦のダート1700m戦で大差勝ちした馬は、この馬を含めてたった2頭しかいません。もう1頭の名はサクセスブロッケン。のちのG1ホースです。

「ゴールドアリュール×サクラバクシンオー」は過去5頭出走して4頭が勝ち上がり、そのなかにはトップカミング(日経新春杯-2着、青葉賞-3着)が含まれています。相性がいい組み合わせといえるでしょう。母の父サクラバクシンオーは Nijinsky とニックスの関係にあり、Hyperion 色の強い血とも相性が良好です。ゴールドアリュールの母ニキーヤは双方の特徴を備えています。これが好相性の原因ではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102303/

母カネツプリンセスは Nasrullah=Rivaz≒Royal Charger 5・6×5・6・6と潜在的なスピードが感じられるので、力の要るパサパサのダートよりも脚抜きのいいダートが合っているでしょう。

2011年8月29日 (月)

キーンランドCはカレンチャン

前半3ハロンの通過タイムは33秒0。過去5回行われたキーンランドC(G3・芝1200m)で最も速かったのは06年の33秒5ですから、今年のペースがいかにキツいものであったかお分かりいただけると思います。最後の1ハロンは12秒3を要しました。ゴール前はどの馬もバテバテでしたね。

このペースをトップ集団で引っ張り、4コーナー先頭で押し切ったのが◎カレンチャン(1番人気)。他馬にマークされる立場でいちばん最初に仕掛け、追撃を振り切ったわけですから、着差はわずかながら横綱相撲といえるレースだったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=VvDkQbRFYp4

『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想は、◎△△で馬単2320円、3連単19290円的中。予想文を転載します。
http://yoso.netkeiba.com/?pid=profile&yid=266995

「◎カレンチャンは『クロフネ×トニービン』という組み合わせ。母方にトニービンを持つクロフネ産駒は成功しており、シェルズレイとブラックシェルの姉弟や、フラムドパシオン、カホマックス、ポルトフィーノなど多くの活躍馬が出ている。カレンチャンはこのパターン。

 母は「トニービン×マルゼンスキー」という組み合わせ。これはシェルズレイとブラックシェルの母の父ウイニングチケットと同じ。つまり、この姉弟とカレンチャンは血統構成がきわめてよく似ている。

 今年に入って完全に本格化しており、前走の函館スプリントS(GIII)は休み明けで気配一息にもかかわらず余裕の勝利。同じクロフネ産駒でスプリンターズS(GI)を勝ったスリープレスナイトの域に迫っている。

 さしあたって現在のスプリント界で対抗勢力となりうるのはダッシャーゴーゴーとジョーカプチーノの2頭で、今回、ジョーカプチーノとの初対決となるが、休み明けをひと叩きしたカレンチャンが状態面で大きくリードしている。今回はこちらに軍配が上がるだろう。 」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102807/

2着△ビービーガルダン(6番人気)は往年の力を取り戻しているようです。春の高松宮記念(G1)4着はフロックではありませんでした。勝ち馬に比べて展開の利があったとはいえ、久々で58キロを背負ってこの競馬ですから、得意の中山に替わる次走は怖いですね。3着△パドトロワ(4番人気)も着実に成長しています。

9着〇ジョーカプチーノ(2番人気)はテンに急がせる感じでもなかったので、休み明けで状態ひと息の今回は無理をしなかったということでしょうか。大敗をしても巻き返してくるのがこの馬のいいところなので、中間で変わってくれば見限れません。

10月2日のスプリンターズS(G1)でカレンチャンに立ちはだかる難敵は以下の2頭。

(1)ダッシャーゴーゴー
(2)Rocket Man

(1)……トップハンデを背負ってCBC賞(G2)を快勝したダッシャーゴーゴーは、同じ安田隆行厩舎の所属馬です。同厩舎にはもう1頭、北九州記念(G3)を勝ったトウカイミステリーもいるので、スプリント路線の手駒が豊富ですね。この2頭は9月11日のセントウルS(G2・芝1200m)を使って本番、というローテーションのようです。

(2)……スプリンターズSの出走馬として選定された外国馬は以下の5頭。目玉は世界最強クラスの実力を誇るロケットマン Rocket Man(シンガポール)です。
★ロケットマン(Rocket Man/シンガポール)
http://www.pedigreequery.com/rocket+man
★エクレールファストパス(Eclair Fastpass/シンガポール)
http://www.pedigreequery.com/eclair+fastpass
★グリーンバーディー(Green Birdie/香港)
http://www.pedigreequery.com/green+birdie
★ラッキーナイン(Lucky Nine/香港)
http://www.pedigreequery.com/lucky+nine
★インエグザイル(Inxile/イギリス)
http://www.pedigreequery.com/inxile
このうち、香港の Green Birdie と Lucky Nine はセントウルS(G2)にも登録があります。Rocket Man が本気でスプリンターズS狙いに来たら負かすのは容易ではありません。

もしカレンチャンがスプリンターズSを勝てば、08年のスリープレスナイト以来となる牝馬の戴冠となります。両馬ともクロフネの娘です。

どうでもいいことですが、欧米のサイトでカレンチャンが紹介されるとき、馬名の綴りは「Curren Chan」なのですが、あらためて見るとなんとなく香港人っぽい名前に見えてきます。「Chan」は中国語の苗字でいうところの「陳」で、たとえばアグネス・チャンの本名は陳美齡です。欧米ではそんなイメージで認識される可能性も……?

2011年8月28日 (日)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(4)

ジョン・W・ガルブレイスは88年7月20日に90歳で亡くなりました。欧米の競馬雑誌は大きなスペースを割いてその死を悼みました。

彼が亡くなったこの年、奇遇にもアメリカではダービーダン方式で誕生したサンシャインフォーエヴァー、ブライアンズタイム、Dynaformer の3頭が競馬シーンを賑わせています。

サンシャインフォーエヴァーとブライアンズタイムは、父が Roberto で母同士が全きょうだいですから、血統内容は同じです。Dynaformer も Roberto を父に持ち、母もほとんど似たような配合。図で見れば一目瞭然です。
http://www.pedigreequery.com/sunshine+forever
http://www.pedigreequery.com/brians+time
http://www.pedigreequery.com/dynaformer

              ┌ Roberto
サンシャインフォーエヴァー ┤ ┌ Graustark(=His Majesty)
              └〇┤
                └ Golden Trail

              ┌ Roberto
ブライアンズタイム ――――┤ ┌ Graustark(=His Majesty)
              └〇┤
                └ Golden Trail

              ┌ Roberto
Dynaformer ――――――――┤ ┌ His Majesty(=Graustark)
              └〇┤
                └〇┐
                  └ Golden Trail

同じ父を持ち、母の父が全きょうだいで、同牝系。この3頭は似通った資質を秘めています。サンシャインフォーエヴァーは88年の米芝牡馬チャンピオンに輝きました。ブライアンズタイムはフロリダダービー(G1)とペガサスH(G1)を、Dynaformer はジャージーダービー(G2)とディスカヴァリーH(G2)を勝ちました。

サンシャインフォーエヴァーとブライアンズタイムの母の父 Graustark は、現役時代アメリカで8戦7勝。唯一の黒星は、左前肢を骨折しながらハナ差の2着だった3歳春のブルーグラスSで、このレースを最後に競走生活を退いています。早期に引退したため大レースの優勝経験こそないものの、手綱を取ったブラウリオ・バエザ騎手は後にこう述懐しています。

「Buckpasser よりも強くDr.Fager よりも速かった」

彼は Buckpasser と Dr.Fager の主戦ジョッキーであり、3頭の能力を手綱から比較できる立場にありました。その彼が断言するのですから信憑性は高いといえるでしょう。無事ならばアメリカ競馬史を代表する名馬となっていたに違いありません。
http://www.pedigreequery.com/graustark

Graustark の全弟 His Majesty は、兄ほどの才能のきらめきはありませんでしたが、種牡馬として成功し、82年に米リーディングサイアーとなっています。名種牡馬デインヒルの母の父として有名です。

ダービーダンファームに繋養され、数々の一流馬を送り出した Graustark と His Majesty は、現代の血統シーンにおいてスタミナと底力の貴重な供給源となっています。(続く)

※続きは来週半ばの予定です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月27日 (土)

サンデーサイレンス2×4のレイモニが重賞勝ち

8月25日に門別競馬場で行われた2歳牝馬による重賞リリーカップ(ダ1000m)は、レイモニ(3番人気)が鮮やかに抜け出して59秒5のレコードタイムで優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=miyc1oJR3LA

父はアドマイヤグルーヴの全弟サムライハート、2代母の父はフジキセキですから、「サンデーサイレンス2×4」というクロスを持ちます。地方競馬ではありますがサンデーサイレンスのクロスを持つ初の重賞勝ち馬だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102290/

ホッカイドウ競馬ではこの配合が地味に頑張っており、モルフェソングエルが重賞で入着しているほか、モルフェマイハートも重賞出走経験があります。これだけサンデーサイレンスの血が増えてくると、重賞勝ち馬が出てくるのは時間の問題でした。いずれ中央にも現れるはずです。

レイモニは、サンデーサイレンス2×4だけでなく、Halo≒Drone≒Sir Ivor 3×4・5・5・5ですから強烈です。生産者兼馬主はオリオンファーム。2006年に開業したばかりの新しい牧場です。オーナーの大谷正嗣さんはもともとこの世界とは無縁のアウトサイダーで、現在、シンガポール在住で投資会社を経営されています。昨年夏、セレクトセールの会場で須田鷹雄さんを介してお目にかかったことがあるのですが、数語交わしただけで明晰さが伝わってくるような方でした。競馬界にどんどん新風を吹き込んでほしいですね。

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(3)

ジョン・W・ガルブレイスは、史上初めてケンタッキーダービーと英ダービーを制覇したオーナーブリーダーです。

ケンタッキーダービーはシャトーゲイと Proud Clarion で、英ダービーは Roberto で制しています。
http://www.pedigreequery.com/chateaugay
http://www.pedigreequery.com/proud+clarion

ガルブレイスは、彼の牧場のスタッドマネージャーであるオリン・ジェントリーに生産馬の配合デザインを一任していました。ですから、ダービーダンファームが生み出した名馬は、すべてオリン・ジェントリーが配合したものです。

伝説的な配合研究家である彼は、ダービーダンファームに雇われる以前、アイドルアワーストックファームで働いていた時代に、La Troienne のファミリーを育てました。現代アメリカ血統の基礎はオリン・ジェントリーが築き上げたといっても過言ではありません。

Roberto は Royal Charger≒Nasrullah 3×3、Sir Gallahad=Bull Dog 4×4・6、Blue Larkspur 4×4という父母相似配合の傑作で、オリン・ジェントリーは驚くべきことに、母 Bramalea が生まれる以前からこの配合をイメージしていた、と語っています。スタミナと底力に秀でたフランス産の Sardanapale をベースに母 Bramalea を作り、その主要部分をクロスさせて父母相似配合を作りたい、という大きな方針にしたがって、現実の材料を選択して行ったということでしょう。
http://www.pedigreequery.com/roberto

Roberto は72年の英ダービー(G1)を制したほか、同年夏のベンソン&ヘッジズゴールドC(英G1)では、それまで15戦負け知らずだった Brigadier Gerard に初めて土をつけてレコード勝ちを収めました。ムラ馬ではありましたがハマったときは強く、スピード、スタミナ、底力、いずれにおいてもハイレベルなものを持っていました。馬名についてはよく知られているとおり、Roberto がダービーを勝った年の大晦日に飛行機事故で非業の死を遂げたロベルト・クレメンテ選手(メジャーリーグのピッツバーグパイレーツで活躍した名選手)に由来します。ジョン・W・ガルブレイスはピッツバーグパイレーツのオーナーでもありました。

Roberto はダービーダンファームに繋養され、種牡馬として大成功を収めます。ダービーダンファームが生産した Roberto 系の活躍馬には、かつて繋養していた Ribot の血を持つものが目立ちました。このパターンは「ダービーダン方式」とでもいうべきもので、ヨーロッパで活躍した馬をベースとしているだけにスタミナと底力に優れ、大レースに強いという特長がありました。(続く)

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月26日 (金)

中央開催で本領を発揮しそうなグランデッツァ

■日曜札幌6Rの新馬戦(芝1800m)は、中団追走の△マカハ(4番人気)が直線で鋭く抜け出し、◎グランデッツァ(2番人気)の追撃を半馬身抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=dVeVeh7IrFI

年間を通じて新馬戦を予想していると、◎を打ちたい馬が見つからずに困るレースは珍しくありません。配合的にどれも強調材料に欠け、稽古の動きも似たり寄ったりの場合、妥協を重ねて印を決めていきます。逆に、◎を打ちたい馬ばかりのレースもあります。秋の中央開催の芝中距離戦などに多いですね。

この新馬戦はまさにそのパターンでした。8頭立ての少頭数ながらどれもこれも◎を打ちたくなる好配合馬。予想の段階でかなりレベルの高い一戦ではないかと感じました。勝ち馬が強いのはもちろんですが、負けた馬も2戦目以降の未勝利戦で注目していきたいところです。

勝ったマカハはダートOPで長年頑張ったオフィサー(父 Fusaichi Pegasus)の半弟。母方に Riverman が入るキングカメハメハ産駒ですからフィフスペトル(函館2歳S)やコスモセンサー(アーリントンC)と同じです。このパターンは近い世代(2~3代目)にガツンと入らないと効果がイマイチで、4~5代目に遠ざかるとあまりいい馬が出てきません。フィフスペトル、コスモセンサー、そして本馬も Riverman は3代目に入ります。Alydar が入るので小回り適性も十分でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104366/

2着に負けたグランデッツァは、悲観的になる必要はまったくないと思います。ダッシュがつかなかったので最後方から行かざるを得ず、ヨーイドンの上がり勝負で位置取りの悪さが致命傷となりました。負けたのはそれだけのことであって、直線で見せた大きなフォームはさすがと思える迫力でした。スタートダッシュがつかなかったのはトビが大きいためでしょう。それゆえに機動力にも欠けます。明らかに広いコースや直線の長いコースが合っています。札幌の未勝利戦に出てくるようなら能力の違いで勝つでしょうが、本領を発揮するのは中央開催の芝1800~2000mだと思います。

■小倉5Rの新馬戦(芝1200m)は、△ツーオブアス(4番人気)が逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=KmvlKgtZo2o

父はフジキセキで、母チナンデガはレゼルヴォワール賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬。そして、最も注目すべきは母の父にチチカステナンゴを持つ点です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105859/

チチカステナンゴは09年から社台スタリオンステーションで種牡馬入りしています。ダイワスカーレット、キストゥヘヴン、クルーピアスター、サイレントハピネス、ダンスインザムード、ニフティハート、プロモーションなど、良血の繁殖牝馬を多数集めており、来年夏に日本における初年度産駒がデビューします。

チチカステナンゴを持つ馬が日本で走ったのはこれが初めて。いきなり勝ったので、日本の馬場への適性は高いといえるかもしれません。ただ、走りにはやや硬いところが見られ、そうした部分が道悪馬場で功を奏した部分があったように感じました。もっとも、それがすべてチチカステナンゴの特徴というわけではないでしょうから、現時点ではあまり断定的なことはいえません。良馬場での走りを見てみたいですね。

チチカステナンゴの代表産駒 Vision d'Etat(仏ダービー、プリンスオブウェールズS、ガネー賞、香港C)は、母 Uberaba の近い世代に Milan Mill、Wild Risk があります。ツーオブアスの父フジキセキも、母ミルレーサーが近い世代に Milan Mill、Wild Risk を持ちます。関係あるのかないのか分かりませんが一応指摘しておきます。
http://www.pedigreequery.com/vision+detat

◎マイネボヌール(2番人気)は序盤で後方に置かれながら大外から猛然と追い上げて2着。血統どおりの高い資質を感じさせるレースぶりでした。まともにゲートを出れば確勝でしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月25日 (木)

非凡な瞬発力を持つサウンドオブハート

■土曜新潟6Rの新馬戦(芝1400m)は、中団からゆっくりとレースを進めた◎サウンドオブハート(1番人気)が直線で4馬身突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=qCgHsEOX_f0

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎サウンドオブハートは『アグネスタキオン×カーリアン』という組み合わせで、ミネルバサウンド(準OP)、カフェラピード(ナカヤマナイトを破って未勝利戦を勝ち上がる)の半妹にあたる。母方には仕上がり早の軽快な血が集められており、新馬戦には強そうだ。水曜日の坂路でラスト1ハロン11秒4という出色のタイムをマークしており、能力はかなり高いと見ていいだろう。稽古どおりの走りができれば勝てるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103696/

半兄カフェラピードは昨年の「栗山ノート」で推奨した馬で、予想文に記したとおりナカヤマナイト(のちに共同通信杯を勝つ)を破って未勝利戦を勝ち上がりました。脚部不安でその後は出走していませんが、無事ならば重賞クラスで活躍していたはずです。

サウンドオブハートはその半妹。母シンメイミネルバはサンデー系と相性がいい血が詰め込まれているので、サンデー系であればたいていの種牡馬とフィットするはずです。ディープインパクトなどはいいでしょう。

2代母フジャブは Mr.Prospector と Danzig を併せ持つので、この馬とアグネスタキオンの組み合わせならアイアムカミノマゴやアイアムアクトレス風の配合です。本馬はその間に Caerleon を挟んでいるので、芝中距離向きの伸びやかさが感じられます。これまでに勝ち上がった2歳牝馬のなかではトップを争う素質馬。今回の瞬発力を見ると1400mよりは1600mのほうがレースをしやすいと思われるので、新潟2歳S(G3)で牡馬の骨っぽいところを相手にどれだけやれるか楽しみです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102871/

もう少し細かく配合を見ていくと、4代母 Cold Hearted は、近い世代に Mahmoud と Turn-to を持っています。
http://www.pedigreequery.com/cold+hearted

この組み合わせで真っ先に頭に思い浮かぶのは、それぞれが相似な血である Halo、Sir Ivor、Drone の3頭。配合の中核部分を Mahmoud と Turn-to が構成しており、Cold Hearted に似ています。

        ┌ Turn-to
      ┌○┘
Halo ―――┤
      └○┐ ┌ Mahmoud
        └○┘

        ┌ Turn-to
      ┌〇┘
Sir Ivor ―┤   ┌ Mahmoud
      │ ┌○┘
      └○┘

        ┌ Turn-to
      ┌〇┘
Drone ―――┤
      └○┐ ┌ Mahmoud
        └○┘

Turn-to の父 Royal Charger は、その母 Sun Princess の血統構成が Mahmoud ときわめてよく似ています。それゆえに、Mahmoud と Royal Charger(あるいはその息子 Turn-to)の結びつきは強固であり、これと似た血統パターンの血を重ねることも効果的であると考えられます。
http://www.pedigreequery.com/mahmoud
http://www.pedigreequery.com/sun+princess

        ┌ Blenheim
Mahmoud ――――┤ ┌ Gainsborough
        └○┤
          └ Mumtaz Mahal

          ┌ Gainsborough
        ┌〇┘
Sun Princess ―┤ ┌ Blenheim
        └○┤
          └ Mumtaz Mahal

たとえば、サウンドオブハートと同じアグネスタキオン産駒でいえば、ダイワスカーレットなどがそうですね。同馬の4代母 La Menina は、父が Royal Charger で、2代母の父が Mahmoud です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103198/
http://www.pedigreequery.com/la+menina

サンデー系にこうした血が入るのは、地味ながら重要なことではないかと思います。ダイワスカーレットと4分の3同血のダイワメジャーが、種牡馬として Drone を持つダンシングブレーヴと好相性(勝ち上がった5頭中2頭がダンシングブレーヴを持つ)なのも、配合構成の中核部分を Halo と La Menina の関係が担っていることの証明なのかもしれません。

■土曜札幌5Rの新馬戦(芝1200m)は、好位追走の◎アラフネ(5番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=WQSbkc_GaVM

予想を転載します。

「◎アラフネは『クロフネ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。半姉アラマサローズは短距離路線で準OPまで出世し、とくに洋芝を得意としている。「クロフネ×サンデー+ラトロワンヌ」は成功パターン。この条件は得意と思われるので勝ち負けになってもおかしくない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104441/

「クロフネ×サンデーサイレンス」の代表産駒の1頭フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティSなど重賞3勝)もこのパターンで、2代母が Raise a Native 2×3でした。本馬は2代母が Raise a Native 3×3なので似ています。フサイチリシャールの La Troienne 血脈は Francis S.、アラフネは Buckpasser です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102955/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年8月24日 (水)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」でキャロットクラブの診断開始

月曜発売の『週刊競馬ブック』誌に、キャロットクラブの2011年度募集馬リストが掲載されましたので、本日から『血統屋』の「一口馬主好配合馬ピックアップ」で診断を開始いたします。ここしばらくクラブ法人の募集馬リストの発表がなかったため、更新の間隔が開いておりましたが、本日からまた動き始めます。
http://www.miesque.com/c00006.html

企画をあらためてご説明いたしますと、栗山求と望田潤がそれぞれ気に入った配合馬をピックアップし、診断するものです。商品解説のページを抜き書きします。

「クラブ法人の新規募集馬について栗山求と望田潤が評価します。値段のわりに期待できそうな好配合馬を、各クラブの募集馬からピックアップして解説します(全頭評価ではありません)。

高額募集馬が必ずしも好配合馬とは限りませんし、価格の高さゆえにリスクは小さくありません。クラブ法人に投資する醍醐味は、お手頃価格の募集馬から掘り出し物を見つけることでしょう。プロの眼でキッチリ判断いたします。もちろん、高額募集馬でも、高確率でリターンが見込めそうな馬は取り上げます。」

周知のとおり近年のキャロットクラブは実質社台系ですから、ハイレベルな良血馬が目白押しです。しかも1頭につき募集口数が400口なので、社台やサンデーは高くてちょっと……というお客様が気軽に出資できるメリットがあります。

今年のラインナップは地方入厩予定馬を含めて91頭。毎日少しずつピックアップしていきたいと思います。新しく評価馬をアップロードした際には、血統屋ホームページの「What's New」にその旨を告知いたします。
http://www.miesque.com/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!