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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年12月

2010年12月31日 (金)

Hyperion とウォルター・オルストン(3)

次に、Hampton は、Bay Ronald、Ayrshire などの父、Polymelus、Persimmon などの母の父です。重要なのは Tristan と相似な血であることです。
http://www.pedigreequery.com/hampton
http://www.pedigreequery.com/tristan

       ┌ Newminster
     ┌○┘ ┌ Rataplan(=Stockwell)
Hampton ―┤ ┌○┘ ┌ Liverpool
     └○┤ ┌○┘
       └○┤
         └ Queen Mary

       ┌ Newminster
     ┌○┘
Tristan ―┤ ┌ Stockwell(=Rataplan)
     └○┤   ┌ Liverpool
       │ ┌○┘
       └○┤
         └ Queen Mary

Tristan と構成がよく似た Friar's Balsam とも相似な血の関係となります。

先に Selene の配合的核心について、「Tristan≒Friar's Balsam 3×4」をそのひとつとして挙げました。つまり、父方に Hampton を持つ種牡馬を掛け合わせると、「Hampton≒Tristan≒Friar's Balsam」というトライアングルが完成するわけです(4×4・5)。

Selene が遺した偉大な3頭の種牡馬、Sickle、Pharamond、Hyperion は、いずれもこのトライアングルを持っています(ちなみに Pharos、Fairway は Lady Langden≒Thrift≒Blinkhoolie 5×5・5)。もちろん、ウォルター・オルストンほどの男がこれに気付かなかったはずがありません。

Selene はこのほかに、Hunter's Moon(父 Hurry On)という牡馬を産んでいます。この馬は南米アルゼンチンに渡って名種牡馬となったのですが、父 Hurry On には Hampton こそないものの、それとよく似た Dinah という血を持っているため、「Dinah≒Tristan≒Friar's Balsam 4×4・5」という相似な血のクロスが生じます。狙っているとしか思えません。じっさい、そうだったのだと思います。
http://www.pedigreequery.com/hunters+moon
http://www.pedigreequery.com/dinah

1933年7月22日、ウォルター・オルストンはイギリスのニューマーケットにある自宅で死去しました。79歳。『クラシック馬の追求』(ケン・マクリーン著・山本一生訳/競馬通信社)には彼の臨終についてこう書かれています。

「ウォルター・オルストンは Hyperion のイギリス・ダービー制覇をベッド脇のラジオで聞いていたが、それから1ヵ月後、帰らぬ人となる。彼の死亡通知は、その生涯の仕事についてこう要約している。
『ブリーダーと配合の問題で意見が対立した場合、彼は決して抽象的な理論を弄そうとはせず、厳密な事実に基づいて、しかも誰にでも分かる言葉で議論した。彼の成し遂げた仕事こそ、ダービー卿のスタンリー・ハウス・スタッドの輝かしい馬たちである。世界でこれほど素晴らしい馬を生産した牧場は、今までに存在しない』
 ウォルター・オルストンは終生喘息の発作に悩まされ続け、最後はニューマーケットのファルマスにある自宅で、スタッド・ブックと手書きの配合表に囲まれて息を引き取った。家の書斎には本棚が所狭しと並べられ、サラブレッドの競走と生産に関して出版された書物がぎっしりと詰まっていた。オルストンは結婚することもなく、偉大な競走馬の生産に心血を注ぎ、自分の知り得たことに満足せず、最後までチャンピオンを生み出す新しいニックを探し求めてさらなる研究を積み重ねた。ダービー卿やジョージ・ラムトンは言うに及ばず、国内からばかりでなく全世界のブリーダーの尊敬を集めたが、それは人々が、ウォルター・オルストンは生産というものの何たるかを知っているプロフェッショナルだと認めていたからである。」

名馬の血統表は配合の教科書です。たとえ19世紀のものであっても、血統の中身が入れ替わるだけで、名馬を生みだしたパターンは不変です。そのパターンは現代においても古びることはありません。ですから、過去の名馬の血統について考えることは、配合を学ぶために大きな意味があります。

偉大な配合家が凝らした意匠に人知れず気付いたとき、時を超えて、一枚の血統表を通じ、その配合家とじかに対話をしたような気分になります。まさに至福の瞬間といえます。そうした配合的意匠は、誰かに気付かれるのを待ちながら、メッセージボトルのように時間のなかを漂流しています。それを拾い上げることが血統研究家の役割です。

                *

1年間ご愛読誠にありがとうございました。よいお年を!

2010年12月30日 (木)

Hyperion とウォルター・オルストン(2)

①Pilgrimage 3×4、②Tristan≒Friar's Balsam 3×4。このふたつが歴史的な名繁殖牝馬 Selene の配合的核心でしょう。
http://www.pedigreequery.com/selene

Selene は競走馬のみならず繁殖牝馬としても大成功を収め、Hyperion の母となりました。また、Native Dancer の3代父 Sickle や、Buckpasser の3代父 Pharamond も産んでいます。ちなみに、Sickle と Pharamond は「Phalaris×Chaucer」という有名なニックスの産物です。このパターンは Pharos(Nearco の父)、Fairway(英愛リーディングサイアー4回)の兄弟も出しており、サラブレッドの歴史のなかで最も有名なニックスのひとつといえるでしょう。この4頭はすべてウォルター・オルストンが配合を考案しました。
http://www.pedigreequery.com/sickle
http://www.pedigreequery.com/pharamond2

名繁殖牝馬 Selene の主な産駒は以下のとおり。

 Selene(f.1919.Chaucer)
  Sickle(c.1924.Phalaris)……Native Dancer の3代父
  Pharamond(c.1925.Phalaris)……Buckpasser の3代父
  Hyperion(c.1930.Gainsborough)……大種牡馬

Sickle と Pharamond はいずれもアメリカへ渡り種牡馬として成功。前者は Native Dancer の、後者は Buckpasser の父系先祖となりました。とくに前者は、Native Dancer の孫にあたる Mr.Prospector を通じてサイアーラインを発展させ、現在、世界の主流ラインのひとつとして君臨しています。

Selene は、Phalaris と Gainsborough との配合で成功しました。この2頭の種牡馬にはある共通点があります。

St.Simon と Hampton を近い世代に持つことです。

まず、St.Simon は当時の血統シーンにおいては別格で、ちょうど現在の日本におけるサンデーサイレンスのような存在でした。父としても、父の父としても、母の父としても優秀で、クロスさせても大きな効果がありました。

Phalaris×Selene、Gainsborough×Selene、いずれの組み合わせでも St.Simon 4×3というクロスが生じます。これは当時の一流馬にとっては基本条件のようなものです。

2010年12月29日 (水)

東京大賞典はスマートファルコン

凄いレースでした。ダート2000mで2分00秒4という勝ちタイムは何なのでしょう??? アジュディミツオーのコースレコードを1秒7更新するだけでなく、JRAレコードの2分01秒0(ワンダースピード・阪神競馬場)を0秒6も上回りました。
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/TodayRaceInfo/RaceMarkTable?k_raceDate=2010%2f12%2f29&k_raceNo=10&k_babaCode=20

75年に札幌競馬場でツキサムホマレが樹立した2分01秒6という当時の大レコードも、前出のワンダースピードの2分01秒0も、不良馬場の高速ダートで記録したものでした。今回のスマートファルコンは良馬場。現在の大井競馬場はやや速い時計が出るコンディションではありますが、このタイムは驚きです。かなり長い期間破られないのではないでしょうか?

主催者が発表したラップは以下のとおり。
12.2- 11.1- 11.5- 12.2- 11.9- 12.1- 12.1- 12.3- 11.9- 13.1

スマートファルコンは、7馬身差で圧勝した前々走のJBCクラシックから馬が変わった印象がありました。前走の浦和記念は6馬身差勝ち。そして今回の大レコード。完全に本格化しています。同じく逃げ・先行タイプのエスポワールシチーが復帰したら凄まじい戦いになりそうです。来年のダート戦線はゴールドアリュールが送り出した傑作2頭の対決が最大の焦点でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/

Hyperion とウォルター・オルストン(1)

12月10日のエントリー「Hyperion 没後50年(後)」で、以下のように記しました。

「オルストンが Hyperion をどのようにして作ったか、という具体的なプロセスについては、書き始めると長くなるので、来週あたりに概要を記したいと思います。感嘆すべきテクニックがそこには込められています。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/hyperion-4e5d.html

重要なレースが目白押しの師走は、先に書くべきことが山ほどあるため、それを優先しているうちに気がつけば年末になってしまいました。ちょっと遅れましたが、年末のエアポケットのような時間を利用して、約束どおり Hyperiion の配合について書きたいと思います。

こみ入った話になってしまうかと思いますが、時間とやる気のある方は血統表をプリントアウトし、チェック用のカラーサインペンを用意するなどして、読み進めてみてはいかがでしょうか。こみ入ってはいますが決して難しくはありません。特殊な公式も指数も出てきません。やる気さえあれば誰にでも読めるものです。そのように書いたつもりです。

                *

第17代ダービー伯爵のエドワード・スタンリーは、当時名の知れた血統研究家だったウォルター・オルストンを血統アドバイザーとして雇いました。Hyperion を作ったのは彼です。

オルストンがまず着目した血統は Pilgrimage。現役時代にクラシックレースの英1000ギニーを勝っただけでなく、牡馬相手に英2000ギニーも制した女傑です。繁殖牝馬としても英ダービーを勝った Jeddah を産み、孫の代には Swynford(英セントレジャー馬で Blandford の父)と Chaucer(ジムクラックS)を出しました。

特別な能力を備えた繁殖牝馬をインブリードによって強化する、という配合パターンは、サラブレッドの黎明期から繰り返し成功を収めてきたものです。種牡馬と違い、繁殖牝馬が一生のあいだに産む子はごくわずか。その子孫から高い確率で名馬が出現するとすれば、その繁殖牝馬は遺伝的に特別な何かを持っていると考えるべきです。

Pilgrimage のインブリードからオルストンは、Sansovino(英ダービー)、Ferry(英1000ギニー)、Selene(英3歳牝馬チャンピオン)などを生産しました。
http://www.pedigreequery.com/sansovino
http://www.pedigreequery.com/ferry
http://www.pedigreequery.com/selene

なぜオルストンが Pilgrimage のインブリードを考えたかというと、Selene の2代母 Gondolette(Ferry と Sansovino の母でもある)が、「The Palmer=Rosicrucian 3×3」という全きょうだいクロスを持っていたからでしょう。The Palmer は Pilgrimage の父なので、Pilgrimage のインブリードを作ると、自動的にこの全きょうだいクロスが継続されます。オルストンは、Gondolette の特殊な配合パターンを活かすために Pilgrimage のインブリード(The Palmer=Rosicrucian の継続)を試みたというわけです。
http://www.pedigreequery.com/gondolette

Selene は Pilgrimage 3×4のほかにも、Tristan≒Friar's Balsam 3×4を持っています。
http://www.pedigreequery.com/tristan
http://www.pedigreequery.com/friars+balsam

     ┌ Hermit
Tristan ―┤ ┌ Stockwell
     └○┤
       └○┐
         └ Queen Mary

         ┌ Hermit
         │   ┌ Stockwell
Friar's Balsam ―┤ ┌○┤
         └○┘ └○┐
               └ Queen Mary

これも Pilgrimage のクロスと同じ考えに基づくものです。というのも、Friar's Balsam の娘 Mother Siegel(Minoru の母)は、Hermit=Chanoinesse 2×3という特殊な全きょうだいクロスを持っており、Tristan≒Friar's Balsam という相似な血のクロスを作ると、自動的にこの全きょうだいクロスが継続されます。オルストンは、 Mother Siegel の特殊な配合パターンを活かすために Tristan≒Friar's Balsam という相似な血のクロス(Hermit=Chanoinesse の継続)を試みたのだと思われます。
http://www.pedigreequery.com/mother+siegel

2010年12月28日 (火)

やはり強かったグルヴェイグ

■土曜阪神5R・未勝利戦(芝1800m)はハンドインハンド(3番人気)が評判馬アドマイヤカーリン(1番人気)にクビ差競り勝ちました。4戦目での初勝利。父はマンハッタンカフェ、母はニュージーランドT4歳S(G2)の勝ち馬シェイクハンド。4分の3兄インプレッション(父サンデーサイレンス)は重賞3着の成績があります。

母シェイクハンドは「Mr.Prospector×Nureyev」ですから Kingmambo と同じ組み合わせ。したがって、「マンハッタンカフェ×Kingmambo」のダイワバーバリアン(NHKマイルC-2着)、アントニオバローズ(シンザン記念)と構成がよく似ています。整ったいい配合です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104814/

■土曜阪神7R・新馬戦(芝1600m)は注目の良血馬◎グルヴェイグ(1番人気)が勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=FSEZkY121sQ

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△★で3連単14210円的中。予想文を転載します。

「◎グルヴェイグは『ディープインパクト×トニービン』という組み合わせ。母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯〔2回〕)、フォゲッタブル(ステイヤーズS、ダイヤモンドS)、ルーラーシップ(鳴尾記念)など次々と活躍馬を送り出している。『ディープ×トニービン』は滑り出し良好で、現在、デビューした3頭が5走して連対率100%という成績。稽古でも動いているのでここは連を外さないだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103099/

「ディープインパクト×トニービン」は、この土日に4頭出走して〔1・2・1・0〕という成績。通算では〔4・4・1・0〕です。唯一連対を外したのがラジオNIKKEI杯2歳S(G3)のコティリオン(3着)ですから走ります。グルヴェイグは着差こそわずか(半馬身)でしたが、上がり最速でしっかりとしたフットワーク。強かったと思います。名繁殖牝馬と交配してちゃんと結果を出せるところがディープインパクトの素晴らしさです。2着デウスウルト(5番人気)もなかなかの器でしょう。

■日曜阪神7R・500万下(芝1600m)は進路妨害を受けたサトノオー(1番人気)が2位入線から繰り上がりで勝利。
http://www.youtube.com/watch?v=zm7IJRr7mis

中山競馬場の場内テレビで観戦していたのですが、直線に入ってすぐ、先頭のレッドデイヴィスが大きくヨレた瞬間、「降着だな」という声がいくつか挙がりました。サトノオーは不利を受けた影響なのか、初戦で見せた豪快なフットワークは影を潜めたままでした。ディープインパクト産駒はトビが大きいタイプが多いので、不利を受けて減速すると元のリズムに戻すのが容易ではないのかもしれません。

配合については11月22日のエントリー「サトノオー圧勝」をご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-bd89.html

■日曜中山7R・ホープフルS(OP・芝2000m)はベルシャザール(4番人気)が競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=fsVTFrTeWVs

前走の萩S(OP)では、巨体を持て余して勝負どころで置かれ気味になるなど、やや器用さに欠けるように映ったのですが、今回は進境を見せて上手に走っていました。1、2戦目に手綱を取った安藤勝己騎手がキングカメハメハの子で一番父に似ていると発言したり、今回はルメール騎手が素晴らしい馬と論評したり、乗り手の評価が高い馬です。

父はキングカメハメハ、母マルカキャンディは府中牝馬S(G3)の勝ち馬。半姉ライムキャンディ(父タニノギムレット)はクイーンC(G3)の2着馬です。2代母の父セクレトは「Northern Dancer×Secretariat」ですからローザネイ(Lyphard×Secretariat)と似ており、しかも父の配合を考える上で鍵となる Tourbillon 系の血が入っています。キングカメハメハの代表産駒ローズキングダムと似た構成です。このあたりが気に入って某POGでコッソリ指名した馬なので頑張ってほしいものです。距離はもっと延びても大丈夫です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103004/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103404/

2010年12月27日 (月)

有馬記念はヴィクトワールピサ

有馬記念の乗り方が最も上手かったのは田原成貴騎手だと思います。リードホーユー(83年)、トウカイテイオー(93年)、マヤノトップガン(95年)と3回制覇しました。なかでもリードホーユーの手綱さばきはいまだに私のなかで有馬記念の理想型というべきものです。ハナっ速いハギノカムイオーを先に行かせて2番手につけ、3コーナーで自然に先頭に立つと、早めスパートで差を広げてギリギリ残しました。何度見ても美しい騎乗です。
http://www.youtube.com/watch?v=29cUwWFZkNo

今回の◎ヴィクトワールピサ(2番人気)のレースぶりは、まさにリードホーユーを彷彿させるものでした。仮にブエナビスタと同じ位置から仕掛けたらまず勝てません。ジャパンCと同じく先手必勝で早めに抜け出すしか勝機はないと陣営は承知していたはずです。デムーロ騎手も勝利騎手インタビューで“早めの競馬をしてほしい”と指示されたことを口にしていました。2コーナーから向正面で13秒台にラップが落ちたとき、デムーロ騎手はためらわずに行きました。ここが勝負のポイントです。ブエナビスタはこのとき馬群に包まれて動くに動けませんでした。明暗はここで分かれたと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=W2JKHbt72Z0

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎○で馬単1640円を本線的中。『ウマニティ』では単勝840円と馬単的中。『ウマニティ』の年間予想成績は「回収率132%」とプラス収支を達成しました。予想を転載します。

「◎ヴィクトワールピサは『ネオユニヴァース×マキアヴェリアン』という組み合わせで、スウィフトカレント(小倉記念、天皇賞・秋-2着)の4分の3弟、アサクサデンエン(安田記念)の半弟にあたる。3着と健闘したジャパンC(G1・芝2400m)では、騎乗したマキシム・ギュイヨン騎手が『この距離は少し長い』とコメントした。今回は距離が100m延びるものの、中山芝2500mは小回りでコーナーが多いためごまかしがきく。東京芝2400mを乗り切った馬であれば不安はない。過去、中山コースで2戦2勝、小回りコースと内回りコースでは5戦5勝。この条件では強い。今年はスローペースが予想されるので、前に行く馬、内枠の馬が有利。1枠1番のこの馬にとっては追い風だ。序盤はゆったりとしたペースで進み、残り5ハロンのロングスパートで勝負が決まると思われるので、2歳時(京都2歳S)にすでにラスト5ハロンを58秒0で駆け抜けた能力は重く見たい。ブエナビスタを倒せるのはこの馬しかいない。」

12月25日のエントリー「今年の有馬記念はロングスパート型!?」のなかで次のように記しました。

「マンハッタンカフェが勝った01年と、シンボリクリスエスが勝った02年。このふたつは残り5ハロンからペースアップするロングスパート型のレースでした。今年はこれに近い競馬になるのでは、と思います。最後の5ハロンが57秒9だった01年は超スローペース。今年はさすがにこれほど遅い流れにはならないと思うので、59秒1だった02年に近くなるような気がします。残り5ハロンからスパートして上がり3ハロンを34秒台の後半でまとめる力が要求されます。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-3aff.html

向正面でヴィクトワールピサが仕掛け、残り5ハロンから急激にペースアップした今年は、11秒5-12秒0-11秒7-11秒1-11秒8でフィニッシュ。予想どおり絵に描いたようなロングスパート型のレースとなりました。ラスト5ハロンが58秒1で、上がり34秒6ですからほぼ計算どおり。デムーロ騎手は、ヴィクトワールピサが勝つためのモデルケースとぴったり同じレースをしてみせました。私のなかでは83年のリードホーユーと並ぶ有馬記念の“殿堂入り騎乗”ですね。

ヴィクトワールピサはJRA賞最優秀3歳牡馬のタイトルをほぼ確実なものとしました。父ネオユニヴァースはこれまでに手にした4つのG1のうち、3つが中山競馬場でのものです。このコースにおける強さは格別です。デムーロ騎手はネオユニヴァースの主戦ジョッキーだったので、彼は親子二代でG1を勝ったことになります。

2着○ブエナビスタ(1番人気)の上がり3ハロンは33秒8。ディープインパクトやマンハッタンカフェと同レベルの、中山芝2500mでは極限といえる脚です。明らかに馬のレベルは一枚上で、これで勝てなかったのですから結果的にスミヨン騎手のミスでしょう。ただ、スミヨン騎手も周りを囲まれて、行きたいところで行けなかったのは事実だと思います。ブエナビスタの外側に馬体を併せていたのはメイショウベルーガ。騎乗していた蛯名騎手は、外国人騎手が関わる諸問題に対してツイッターで積極的に主張していたので、遺恨絡みのブロックか?と短絡的に考えてしまいがちですが、もちろんたまたまでしょう。父スペシャルウィークと同じくハナ差で有馬記念を勝てなかったのは因縁めいています。

3着トゥザグローリー(14番人気)は、スローペースの有馬記念(01年)で3着に逃げ粘ったトゥザヴィクトリーの子。そして、前走の中日新聞杯(G3)は内容的にきわめて優秀でした。しかし、押せ押せのローテーションや本質的に広いコース向きではないかという点が引っ掛かって印が回りませんでした。中日新聞杯の回顧で「来年はG1戦線の常連となるでしょう」と書きましたが、常連どころか主役を狙える器ですね。決してフロックではありません。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-82cc.html

レース後、検量室前で印象的だったのは、ヴィクトワールピサを付きっきりで仕上げてきた松田全史調教助手の雄叫び。レース直後、気持ちが高ぶっていたのか、ターフビジョンに映ったゴール前の静止画像を見て、天を仰ぎガッツポーズをしながら「ウォーーーー!!」と一発目。写真判定の結果が出た瞬間「ウォーーーー!!」と二発目。熱くて最高です。頬に涙が光っていました。

2010年12月26日 (日)

12月27~29日に『馬券師倶楽部2』再放送

「栗山求(前編・後編)」です。放送スケジュールは以下のとおり。

  栗山求(前編)
   12/27(月) 10:30~11:30
   12/27(月) 16:00~16:30
   12/28(火) 00:30~01:00
  栗山求(後編)
   12/28(火) 10:30~11:30
   12/28(火) 16:00~16:30
   12/29(水) 00:30~01:00

CS放送の“MONDO TV”で視聴することができます。よろしかったらどうぞ。

ラジオNIKKEI杯2歳Sはダノンバラード

2010年の競馬をあと1日残してディープインパクト産駒は40勝に到達しました。その40勝目がラジオNIKKEI杯2歳S(G3・芝2000m)の△ダノンバラード(4番人気)。ディープインパクトと同じ池江泰郎厩舎、武豊騎手のコンビで父に初めての重賞タイトルをもたらしました。上がり34秒7は出走馬中最速です。
http://www.youtube.com/watch?v=Mur54ujyUzk

配合については10月28日のエントリー「ディープインパクト産駒、土日で4勝(3)」をご覧くださいませ。ダノンシャンティ(NHKマイルC)と配合構成がよく似ています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-add6.html

秋競馬でデビューしたディープインパクト産駒が1、3、5着と上位に食い込みました。先週の朝日杯フューチュリティSの2、3着馬も同様です。秋の中央開催でデビューする馬がハイレベルなのは毎年のこと。今年は秋デビューのディープインパクト産駒が破竹の勢いで勝ちまくっていたので、同産駒のレベルは高いといえるでしょう。

ひと足早くデビューし、新馬戦-萩S(OP)を連勝して高い評価を得ていた○ショウナンマイティ(1番人気)は、次々と勝ち上がるディープインパクト産駒に無言のプレッシャーを与える怖い存在でした。しかし、道中引っ掛かったこともあり8着と大敗。この結果を見ると、これからは秋デビューのディープ産駒に予想の軸足を移したほうがいいのかもしれないなぁと思いました。

今回、鮮やかに勝ったダノンバラードは、前走の京都2歳S(OP)では3着に敗れています。これは、新馬戦を勝ったディープインパクト産駒によく見られる2走目の反動だったのかもしれません。

11月30日のエントリー「ディープインパクト産駒の格上がり戦」で以下のように述べました。

「ディープインパクト産駒がデビュー戦に強いのは、能力の高さはもちろんですが、気のいいタイプが多く、競走に対して前向きであることが大きいと思います。それに加えて、デビューさせる各厩舎も、ディープインパクト産駒ということで多少意識が違うのか、新馬戦からキッチリ仕上げてきます。どれも高馬だけに“下手な仕上げでは出せない”という気持ちがあるのかもしれません。トーセンレーヴが万全を期してデビューを再三延期しているのはその典型でしょう。

新馬戦向きのディープインパクト産駒が、いきなり目一杯に仕上げられれば、それは強いと思います。ただ、上がり目は乏しく、馬によっては反動もあるでしょう。2戦目にもうひとつパフォーマンスが伸びないのはこのあたりに原因があるのではないかと考えています。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html

また、京都2歳Sは、道中のペースがめまぐるしく変化する出入りの激しい競馬でもありました。トビが大きく緩急がきかない傾向があるディープ産駒にとっては得意とはいえない競馬で、このあたりも影響したのかもしれません。

2着△コティリオン(5番人気)は潜在能力ではピカイチだと思っていましたが、前走の引っ掛かり方を見ると重い印は打てません。今回も序盤に引っ掛かり、3コーナーでは挟まれて下がり、直線では最内から外へ持ち出すというロスの大きな競馬。それでも3着に追い込んでくるのですから強いの一語です。気性面の成長がなければこのポジションのままでしょうが、それさえクリアできれば大化けの可能性を秘めています。

ディープインパクト産駒は、日曜日に6頭が出走を予定しており、とくに阪神7R・500万下(芝1600m)のサトノオー、中山7R・ホープフルS(OP・芝2000m)のディープサウンドは注目です。

ラジオNIKKEI杯2歳Sの結果によって、ディープインパクト産駒のJRAにおける収得賞金はついに5億円の大台を突破。これは2歳戦において歴代4位に相当する優秀な数字です。1~3位はすべてサンデーサイレンス。あのサンデーでさえ3回しか記録していない2歳戦の5億超えを、初年度にあっさり達成してしまったのですから価値があります。

勝ったダノンバラードを5番手評価にしかできず、しんがり負けを喫したレッドセインツ(11番人気)に◎を打っているのですから予想は完敗。顔を洗って出直してきます。

2010年12月25日 (土)

今年の有馬記念はロングスパート型!?

天皇賞・秋、ジャパンCは力どおりに決まりやすい東京コースなので、予想をするときは戦力比較に割く時間が多くなるのですが、中山コースの有馬記念はマギレがあるので、展開や位置取りの予想に神経を使います。

今年はどう見てもスローペースでしょう。みんながそう思うと得てして逆になることも多いのですが、今年はやはり速くならないと思います。というか、そう決め打ちしないと予想が始まりません。

有馬記念の過去の歴史を振り返ると、スローで流れた場合でも、残り3ハロンの上がり勝負にはなりません。残り5~6ハロンから速くなるロングスパート型のレースになります。中山競馬場の内回りコースは、残り6ハロン付近から下り坂が始まります。ですから、自然とこのあたりからペースが速くなってしまうわけです。

マンハッタンカフェが勝った01年と、シンボリクリスエスが勝った02年。このふたつは残り5ハロンからペースアップするロングスパート型のレースでした。今年はこれに近い競馬になるのでは、と思います。最後の5ハロンが57秒9だった01年は超スローペース。今年はさすがにこれほど遅い流れにはならないと思うので、59秒1だった02年に近くなるような気がします。残り5ハロンからスパートして上がり3ハロンを34秒台の後半でまとめる力が要求されます。

01年と02年にはいくつか共通点があります。

①逃げ馬が3着以内に残っている
スローペースですから前で競馬をしたほうが当然有利です。01年はトゥザヴィクトリーが3着に、02年はレース途中から先頭を奪った(奪い返した)タップダンスシチーが2着に粘っています。といっても、今年は何が逃げるのかもよくわからないのですが……。

②1、2番枠がいずれも馬券に
ペースが遅いと馬群が固まる傾向にあるので、外枠の馬は馬群に潜り込めず、ずっと外を回されることになります。工夫しないと厳しいですね。逆に内枠は距離ロスなく走れるので最後の伸びが違ってきます。01、02年に連対した1、2番枠の計4頭はすべて好位でレースを進めました。

③3歳馬が勝ち、1番人気は5着
01年のマンハッタンカフェ、02年のシンボリクリスエスはいずれも3歳馬でした。1番人気に推された01年のテイエムオペラオー、02年のファインモーションはいずれも5着。

④13番人気が連対
オカルト的にはこれもひとつのデータでしょうか。

今年はこれらのデータを基礎に予想を組み立てたいと思います。有馬記念を長年見てきた方なら分かると思うのですが、何が起きても不思議のないレースです。難易度が高いので外れてもともと。たとえ外れても後悔のない印が打てればいいなぁと思います。

2010年12月24日 (金)

マルカシェンクがフランスで種牡馬に

先週土曜日、JRAのサイトに告知がありました。最近では日本馬が海外で種牡馬入りすることは珍しくなくなりましたね。アチチさんという方の個人サイト「火傷でアッチッチ! Annex」に、海外で種牡馬となった日本馬のリストがまとめてあります。「DATA」→「海外で活躍する日本関連種牡馬」というルートでご覧いただけます。
http://atiticlinic.web.fc2.com/index.html

これによると、海外で種牡馬入りしたサンデーサイレンス産駒は30頭を超えています。フランスだけでもすでに8頭。

アグネスカミカゼ
グレイトジャーニー
サムソンハッピー
ペールギュント
ボーンキング
ミレニアムバイオ
レゴラス
ローゼンカバリー

現在トルコにいるディヴァインライトは、当初、フランスで種付けを行っていたので、これを含めると9頭です。マルカシェンクがリストに加われば10頭目。

なぜこれほど多いかというと、やはり Natagora 効果ではないでしょうか。いうまでもなくディヴァインライトの代表産駒で、07年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬に輝き、08年の英1000ギニー(G1・芝8f)を制した名牝です。
http://www.pedigreequery.com/natagora

日本から連れてきた名もない種牡馬の子が、並み居る強豪をしりぞけて本場イギリスのクラシックを勝ってしまったのですから、その衝撃は小さくなかったと思います。ディープインパクトの凱旋門賞(06年)におけるパフォーマンスと相俟って、サンデーサイレンスが日本のみで通用するローカル種牡馬ではないという認識に至ったのでしょう。その子供たちにどんどんオファーが来たのは当然だと思います。

第二の Natagora が出現!というニュースが聞きたいですね。

2010年12月23日 (木)

スカーレットレディの子は鉄板

■日曜阪神3R・未勝利戦(芝2000m)はカーマイン(1番人気)がハナ差競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=j_WXiVljvyE

父キングカメハメハ、母スカーレットレディ。つまり、ヴァーミリアン、サカラート、キングスエンブレムの半弟、ソリタリーキングの全弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103188/

母スカーレットレディはダイワメジャーと同血(父が同じで母が全姉妹)で、ダイワスカーレットとは4分の3同血の関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995107900/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103114/

           ┌ サンデーサイレンス
スカーレットレディ ―┤ ┌ ノーザンテースト
           └○┤
             └スカーレットインク

           ┌ サンデーサイレンス
ダイワメジャー ―――┤ ┌ ノーザンテースト
           └○┤
             └スカーレットインク

20~30年後、この牝系から生まれた名馬が血統表に同居することで、ビッグレースの勝ち馬が誕生するかもしれませんね。ダイワスカーレット≒スカーレットレディ4×4とか、いかにもありそうです。この牝系はハイレベルな何物かを伝えていますから、クロスさせる効果も大きいのではないかと思います。

カーマインは芝で勝ち上がりましたが、走りっぷりを見ると掻き込みが強いので、仮に芝で頭打ちになってもダート路線に移れば相当やれそうです。ヴァーミリアン、サカラート、キングスエンブレム、ソリタリーキングの下ですからまず間違いないでしょう。

■日曜中山1R・未勝利戦(ダ1200m)はミシックトウショウ(1番人気)が逃げ切り勝ち。後続に9馬身差をつける圧勝でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100661/

サウスヴィグラス産駒なのでダート巧者であるのはわかります。そうした適性以外の部分で注目したいのは母セピアトウショウです。父ロイヤルタッチ、母の父トウショウボーイで、テスコボーイ4×3。名牝オイスターチケット(ブラックシェル、シェルズレイ、ダブルティンパニー、ヴィジャイの母)とそっくりの構造です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002104952/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998102634/

          ┌○┐
          │ └ パワフルレディ
セピアトウショウ ―┤
          │ ┌ トウショウボーイ
          └○┘

          ┌○┐
          │ └ パワフルレディ
オイスターチケット ┤
          │ ┌ トウショウボーイ
          └○┘

セピアトウショウにもオイスターチケットと同様の能力が備わっている可能性があります。今回勝ったミシックトウショウはセピアトウショウにとって2番目の子(初子は不出走)。まだ若い繁殖牝馬なので今後に注目です。

2010年12月22日 (水)

アガ・カーン血脈の華、アグネスアンジュ

■日曜小倉4R・新馬戦(芝1200m)はアグネスタキオン産駒の◎アグネスアンジュ(1番人気)が出遅れをものともせず差し切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=YbjdnANmoUQ

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎○で馬単10240円を本線的中。予想を転載します。

「◎アグネスアンジュは『アグネスタキオン×ヘネシー』という組み合わせ。母アグネスバラードはハワイ≒リマンド3×4で、本馬はそれを継続発展させてアグネスレディー3×4という名牝のクロスとなっている。また、母方にバンブーアトラスが入るので、ブルースウォーズ=ブルーヘイズ6×6という全きょうだいクロスが生じる。これは同じ父のホッコータキオン(デイリー杯2歳S)と似ている。大胆でありながら繊細でよく出来た配合。稽古でも動いているので連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101643/

本日のエントリーは、特殊な配合を説明するために、やや細部にこだわった筋道になりそうなので、配合に興味のない方は斜め読み、あるいは読み飛ばしてください^^

          ┌○┐
アグネスアンジュ ―┤ └○┐
          └○┐ └ アグネスレディー
            └○┐
              └○┐
                └ アグネスレディー

父アグネスタキオンも、母アグネスバラードも、オークス馬アグネスレディーの一族なので、「アグネスレディー3×4」という名牝のクロスが生じます。このクロスを持つ馬は、通算6戦2勝で引退したアグネスツイスターなど何頭かいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003104019/

アグネスアンジュがそれらよりも優れていると感じるのは、母アグネスバラードに施されたアガ・カーン血脈の丁寧な仕込みです。

2代母アグネスルミエールは Pangani≒Palestine 4×5。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995106193/
http://www.pedigreequery.com/pangani
http://www.pedigreequery.com/palestine

      ┌ Fair Trial
Pangani ――┤
      └○┐
        └○┐
          └ Uganda

      ┌ Fair Trial
Palestine ―┤
      └○┐
        └ Uganda

母アグネスバラードはそれを発展させる形で、Hawaii≒リマンド3×4、 Mehrali≒Clovelly 5×6です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002103118/
http://www.pedigreequery.com/hawaii
http://www.pedigreequery.com/remand

      ┌○┐ ┌ Alycidon
      │ └○┤ ┌ Fair Trial
Hawaii ――┤   └○┘
      │ ┌○┐
      └○┘ └ Una

        ┌ Alycidon
      ┌○┘ ┌ Fair Trial
リマンド ―┤ ┌○┤
      └○┘ └ Una

http://www.pedigreequery.com/mehrali
http://www.pedigreequery.com/clovelly3

      ┌ Mahmoud
Mehrali ――┤
      └○┐
        └ Uganda

      ┌ Mahmoud
Clovelly ―┤
      └○┐
        └ Uganda

アグネスアンジュ自身は、前述のとおり、リマンドの娘アグネスレディー3×4というクロスを持ちます。これは、上記のクロスの集積を丸ごと継続することでもあります。また、アグネスタキオンの母の父ロイヤルスキーに含まれる Umidwar は、Udaipur(Clovelly の母)の全弟であり、Una(Palestine と Mehrali の母)の半弟です。アガ・カーン血脈が執拗に絡められています。

「アグネスタキオン×Wild Again」という組み合わせはJRAでたった4頭しか走っていませんが、そのうちの2頭、サンライズプリンスとランザローテが重賞を勝ちました。ニックスといえるかもしれません。じつは、Wild Again の3代母は前出の Clovelly。したがってアグネスアンジュと似ています。このパターンは走るのでしょう。

そして、もうひとつの配合的なポイントは「Blue Swords=Bluehaze 6×6」。母方にバンブーアトラスを持つアグネスタキオン産駒といえば、デイリー杯2歳S(G2)を勝ったホッコータキオンがいます。バンブーアトラスの父ジムフレンチは、その2代母 Bluehaze が Hail to Reason の母の父 Blue Swords の全弟。したがって、Hail to Reason 系とジムフレンチが掛け合わされると、この全きょうだいクロスが生じます。ちなみに、Bluehaze はダンシングキイの3代母でもあります。ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードはすべてこの全きょうだいクロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979101247/
http://www.pedigreequery.com/hail+to+reason
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103133/

言葉で説明すると非常にややこしく、血統表をプリントアウトしながら読み進めないと理解が大変かと思います。要するにアグネスアンジュの配合は、基礎工事から作り上げた精緻な建造物のようなもの。即席のプレハブ住宅にはない堅牢さがあります。テーマが明確で、代々そのストーリーを追うことができる配合は好感が持てますし、読み解くのが楽しいですね。

母の父ヘネシーは Storm Cat 系。父アグネスタキオンは Storm Cat 系と相性が良くないのですが、そのマイナスを補って余りある効果を、それ以外の部分の配合構成が生みだしているのではないかと考えます。ただ、好配合馬といっても、やはりヘネシーはヘネシー。芝向きの底力という面では限界があるかもしれません。もう少し長い距離で見てみたい馬ですね。

2010年12月21日 (火)

「ロック×SS」は芝1800~2000mが得意

■先週はディープインパクト産駒が勝てず、新馬戦の連続週勝利記録も「11」でストップしました。そのかわりというわけではありませんが、同じ新種牡馬のロックオブジブラルタル産駒が新馬戦で3勝(アドマイヤクーガー、リルバイリル、ヒシカルメン)と固め打ち。通算でも15勝目となり、新種牡馬2位のハーツクライにあと1勝と迫りました。トップがズバ抜けているので目立ちませんが、例年の水準に照らせば十分に優秀といえる成績です。

土曜阪神7R・新馬戦(芝1800m)を勝った△アドマイヤクーガー(3番人気)は「ロックオブジブラルタル×サンデーサイレンス」。この組み合わせは連対率36.4と走っています。芝1800~2000mに限定すると7戦6連対(連対率85.7%)と驚異的な成績。もちろん、まだサンプルが少ないので、ずっとこのペースで連対するわけではありませんが、得意の条件であるのは確かでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=z-2VwEZ-QGo
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102644/

■土曜阪神3R・未勝利戦(芝1400m)はハーツクライ産駒のツルマルレオン(1番人気)が4馬身差で圧勝。1分21秒4というタイムを余力をもって記録しました。翌日の1000万特別の勝ちタイム(1分21秒5)を上回っているのですから優秀です。
http://www.youtube.com/watch?v=05Q1EQ38dn8

母方に Roberto が入るハーツクライ産駒はリフトザウイングスと同じ。このパターンは父が持つ Northirdchance≒Revoked 4×5を継続するので好ましいですね。また、Mr.Prospector や Amerigo が入るのもいいと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105965/

じつは、今年のPOGではツルマルレオンと同じく Roberto、Mr.Prospector、Amerigo を併せ持つハーツクライ産駒を指名していました。その馬、テーオーアポロン(オーロマイスターの半弟)は、新馬戦9着→未勝利戦17着とまったく走りません……。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106611/

■土曜阪神6R・新馬戦(芝1400m)は△アフロディシアス(5番人気)が勝利。完全に逃げ切り態勢だった○エーシンハーバー(4番人気)をとらえ、この2頭で後続に6馬身の差をつけたのですから強かったと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Mc3JBaYcPpc

「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」はジャガーメイル、トールポピー、フサイチホウオー、アプリコットフィズ、アヴェンチュラなど多くの活躍馬が出ているニックス。1走あたりの賞金「343万円」という数字はズバ抜けています。「ジャンポケ×SS+Mr.Prospector」というパターンは、良さそうに見えて意外に走らないパターンで、一言でいって味がありません。この馬はスピード型としてうまく出たようです。桜花賞向きでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105107/

2010年12月20日 (月)

朝日杯フューチュリティSはグランプリボス

レースが終わり、勝ち馬が引き揚げてくるのを待っている間、検量室前にいた矢作芳人調教師は笑顔ひとつなく神妙な表情。グランプリボスとミルコ・デムーロ騎手が脱鞍所に戻ってくると、「あそこは(外に)出さないとしゃあない」と、4コーナーでアドマイヤサガスを外に弾き飛ばした騎乗をかばうように日本語で語りかけました。別の関係者がデムーロ騎手に「危なくない?」と声を掛けると、彼は馬から鞍を外しながら「危ない危ない。ホント危ない」。その関係者は失格の危険性について尋ねたようですが、デムーロ騎手は4コーナーでアドマイヤサガスと接触したシーンの物理的な危険性として受け取ったようでした。
http://www.youtube.com/watch?v=SCO_GYA1UAA

結局、入線順位のとおりに確定。初G1制覇の矢作調教師は大勢の関係者と握手、抱擁。目にはうっすらと涙が浮かんでいました。

勝った△グランプリボス(5番人気)は京王杯2歳S(G2)に続く重賞連覇。2歳牡馬チャンピオンの座を確定させました。父サクラバクシンオーにとってはショウナンカンプ(02年高松宮記念)以来2頭目のG1ウィナーです。“母の父がサンデーサイレンスではないサクラバクシンオー産駒”は芝1600mで連対率14.0%。一方、「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」は21.8%。この組み合わせは距離の融通性があります。ただ、専門分野の芝1200mでもなかなかG1を獲れない種牡馬ですし、グランプリボス自身も、G1を勝つほどの底力に恵まれた配合とは思えなかったので、高い評価はできませんでした。馬が予想以上に強かったですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103388/

2着◎リアルインパクト(4番人気)はフランシス・ベリー騎手が最高に上手く乗りました。あの騎乗で負けたのなら力が足りなかったということです。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は△◎で馬連4990円、△◎△で3連複8830円的中。『ウマニティ』に提供した予想は馬単11750円、3連単67910円的中。予想を転載します。

「◎リアルインパクトは『ディープインパクト×メドウレイク』という組み合わせ。半兄アイルラヴァゲインはオーシャンS(G3)の勝ち馬で、中山コースを得意としている。母トキオリアリティー(準OP)も小回りコースで強かった。1、2戦目はいずれも東京コースで走ったが、中山で変わり身を見せる可能性が大きいと思われる。
 基本的にディープインパクトはアメリカ血脈と相性がよく、本馬はサンデー系とニックスの関係にあるヘリオポリスが入るほか、ノーサードチャンス≒ブルームーン5×4・5などを持つ。なかなかの好配合馬。ダービー向きの本格派ではないものの、ハイペースで展開するマイル前後のレースでは強いだろう。
 前走の出遅れはタイミングのズレが原因。初戦では好スタートからすんなり好位につけたように、ディープインパクト産駒にありがちなテンに行けないタイプではない。今回は好枠を活かして好位で立ち回るはず。早めスパートで先頭に立ってしまえばしぶといだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

パドックを見て思ったのですが、500キロを超す大柄な馬体でありながら、なんとなくまだ幼いというか、成長の余地を残しているように見えました。もちろん、2歳のこの時期から成長がなければ困るわけですが、この馬はとくにそんな気がしましたね。

3着△リベルタス(2番人気)は位置取りが下がらないようにうまく好位で競馬を進めていました。血統的にはこの距離向きではないですし、トビが大きいのでラチ沿いで窮屈な競馬を強いられると苦しいのでは、と思っていたのですが、ここまで頑張るのですから能力が高いということでしょう。距離が延びて楽しみです。

4着○サダムパテック(1番人気)は能力の高さは認めても、出遅れ癖や馬の適性から、中山芝1600mではどうしても本命を打ちたくありませんでした。出遅れて外を回して直線で伸びあぐねるという、このコースにおける典型的な失敗パターンでした。それでも坂の途中で一瞬突き抜けるかという勢いがあったので、やはり強い馬であるのは間違いありません。次走、人気が落ちるようなら狙い目でしょう。

4コーナーの出来事に関する裁定については、ツイッターで蛯名正義騎手が不満の声を挙げていました。私はリアルタイムで見たときは完全にアウトだと思いました。ただ、公開されたパトロールフィルムを何度か見直しているうちに、ギリギリセーフという判定もありかな、と思い直しました。外に出したいグランプリボスと、内に押し込めたいアドマイヤサガスの、互いに譲れないポイントでのバトルであり、結果としてグランプリボスの力が勝ってアドマイヤサガスを弾き飛ばしましたが、もし逆にアドマイヤサガスの力が勝っていたら、グランプリボスの勢いからして正面のブラウンワイルドに乗り上げていたかもしれません。デムーロ騎手の騎乗は、衝突を回避するために仕方がなかった側面もあり、それが冒頭で発した彼の「危ない危ない。ホント危ない」という発言の真意だったのではないかと想像します。そのあたりの情状酌量によって降着だけは免れたということではないでしょうか。
http://www.jra.go.jp/JRADB/asx/2010/06/201005060611p.asx

2010年12月19日 (日)

阪神カップはキンシャサノキセキ

■阪神11R・阪神カップ(G2・芝1400m)は◎キンシャサノキセキ(2番人気)が競り勝ちました。2連覇達成。この距離では安定して強い馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=8WJmPHTmaPY

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎▲で馬単4900円的中。予想を転載します。

「◎キンシャサノキセキは『フジキセキ×プレザントコロニー』という組み合わせ。一見、もう少し長い距離が良さそうな血統だが、母方に入るリボー系の血の難しさが出ているのか、見てのとおり短距離がフィットしている。前走のマイルCSは弾けなかったが、距離が長く引っ掛かったという明確な敗因があるので度外視できる。1400mなら話は別。昨年はスタートの出遅れをものともせず差し切った。連覇の可能性十分。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003110212/

阪神カップはマイルチャンピオンシップで大敗した馬がよく巻き返すレースです。過去、ジョリーダンスとサンカルロが2ケタ着順から連対を果たしました。キンシャサノキセキはマイルチャンピオンシップで13着。しかし、専門外のマイル戦だったので仕方のない結果であり、今回はこの馬のテリトリーですから、力関係からみても順当だったと思います。序盤に掛かり気味になっても勝ったように能力が一枚上でした。

2着の▲レッドスパーダ(5番人気)は10ヵ月の休み明けでしたが、これぐらいの距離では地力が上。新馬戦からその配合を高く評価してきました。「タイキシャトル×Storm Cat」はメイショウボーラー(フェブラリーS、デイリー杯2歳S)と同じで、従兄弟に米年度代表馬 Curlin がいます。Halo≒Sir Ivor 3×4が綺麗に決まっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006105511/

○ゴールスキー(1番人気)は5着。ネオユニヴァース産駒だけに距離短縮では頭から買いづらいところがありました。

■中山9R・黒松賞(2歳500万下・芝1200m)と小倉10R・つわぶき賞(2歳500万下・芝1200m)は、いずれもサクラバクシンオー産駒が勝利。前者はダンシングロイヤル(1番人気)、後者はスギノエンデバー(1番人気)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105189/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103919/

高齢になってもなおサクラバクシンオーが種牡馬ランキングのベスト10から落ちない理由がよく分かります。餅は餅屋、ワンアンドオンリーのスペシャリストは強い、ということです。

2010年12月18日 (土)

朝日杯フューチュリティS有力馬プチ診断

■リベルタス
配合的には2000m以上に向いた馬だと思います。ただ、角居調教師がここにぶつけてきたのですから、相当な手応えを感じているのかなぁとは思います。ディープインパクト産駒はトビが大きくダッシュが鈍いので、2番枠だと包まれて後方まで下がってしまう危険性も。4年前のドリームジャーニーのように後方から大外をマクって差し切り、という芸当ができるかどうか。

■マイネルラクリマ
人気にならないタイプですがちょっと怖いです。マイネルレコルト(04年朝日杯FS)を出したチーフベアハートが父。ここ2戦、直線の長いコースでよく粘っていますが、中山ならさらにいいところがありそうな配合ですね。枠も絶好。

■リアルインパクト
リベルタスと同じディープインパクト産駒。こちらは出脚がつくタイプだと思います。前走の出遅れはゲートのタイミングが原因。新馬戦は上手に出ました。半兄アイルラヴァゲイン、母トキオリアリティーは小回り巧者ですから、この馬も中山に替わって良さが出るはずです。あとは急坂をこなせるかどうか。

■リフトザウイングス
ハーツクライ産駒はいまのところ、京都よりも阪神、東京よりも中山のほうがいい、という傾向が出ています。中山替わりは良さそうです。ただ、マイル戦では全般的にやや勝ち味が遅い傾向も。母の父 Cozzene は逃げたり追い込んだりという極端な戦法で結果を出す気難しいタイプ。要するに揉まれ弱いので馬群が苦手です。前走後の武豊騎手のコメントを読むと、どうもそうした特徴が伝わっているような気が……。小回りの多頭数競馬でどう立ち回るか、ルメール騎手の手腕に期待です。

■サダムパテック
脚長の体型。直線の長いコースで伸び伸び走るのが合っているタイプだと思うので、小回りコースに替わるのはプラスとはいえません。毎回出遅れるのでおそらく今回も出遅れるでしょう。位置取りが悪くなったときに、焦ったスミヨン騎手が無理に馬群を捌こうとして他馬の進路を妨害するというのが最悪のシナリオです。懸念材料ばかり並べましたが、これは実力を認めた上での話。現時点の能力は一枚上だと思うので、スムーズな競馬さえできればアッサリ突き抜ける可能性は一番高いと思います。

■グランプリボス
「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」はわりと距離がもつ傾向があります。マイルはギリギリOKでしょう。サクラバクシンオー産駒はこれまで2歳G1で10回走って一度も馬券になっていません。問題は底力です。

■シゲルソウサイ
2代父はこのレースと相性のいい Storm Cat。初めての芝、2ハロンの距離延長、相手強化とハードルはあまりにも高いのですが、マイペースで逃げたときに、3年前のゴスホークケンのように残ってしまわないとも限りません。ゴスホークも Storm Cat 系でした。

■アドマイヤサガス
朝日杯の13番枠から外は、逃げの手を打たないかぎり死刑宣告を受けたようなものですから、15番枠はちょっと厳しいですね。強い馬だとは思いますが、ニュージーランドTのサンライズプリンスのような競馬ができるほど相対的に抜けた力はないと思います。オースミイージーとシゲルソウサイの逃げ争いでハイペースになることが望み。

2010年12月17日 (金)

ダノンシャンティ有馬へ

アヴェンチュラ骨折、と聞いてガッカリしていたら、骨折が癒えたダノンシャンティの有馬緊急参戦、というニュースが。

いや~、ビックリしました。と同時に、これまで数々の常識を打ち破ってきた松田国英調教師らしいローテーションだと思いました。仮に負けたとしても、さすがに条件が厳しかったね、ということで馬の評価は下がりません。逆に、もし勝ち負けに絡めば、常識破りの好走ということで評価はうなぎ登り。松田国英調教師が常々口にしている「種牡馬の価値」も揺るぎないものとなるでしょう。

配合については一貫して高く評価してきました。共同通信杯、毎日杯、NHKマイルCといずれも◎を打ちました。見解については5月10日のエントリー「NHKマイルCはダノンシャンティ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-ce80.html

もちろん、懸念材料はいくつかあります。まず、誰もが思うであろう距離面の不安。ハイペースになればスタミナ切れ、スローペースになれば引っ掛かる心配があります。ハイペースのNHKマイルCでは折り合いましたが、スローペースの毎日杯では行きたがっていました。休み明けでテンションが高くなると危ないですね。

松田国英調教師は半年以上の休み明けの成績があまり芳しくありません。このクラスの調教師ですから、もちろん技術がないというわけではありません。調教でキッチリ仕上げるか、使いつつ仕上げるか、という考え方の違いで生じる部分です。角居勝彦厩舎や橋口弘次郎厩舎も、同じように長期休養からのカムバック戦はイマイチという傾向が見られます。逆に、音無秀孝厩舎は半年以上の休み明けは断然買いです。もちろん、今回はいきなり有馬記念に出てくるわけですから、使いつつ……という仕上げでは臨んでこないと思います。すでに坂路で2ヵ月乗り込んでいるので、体調面に大きな問題はないでしょう。

今年の有馬記念は、大げさではなくレース史上最高のメンバー構成ではないでしょうか? 活きのいい3歳馬が多いと盛り上がります。

『競馬王』1月号発売

告知するのを忘れていました。早くも2011年の新年号ですね。私もいくつか書いています。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

2010年12月16日 (木)

全日本2歳優駿はビッグロマンス

現存する地方競馬の重賞のなかで、川崎競馬場の全日本2歳優駿(JpnI・ダ1600m)は最も長い歴史を誇ります。1950年に創設され、今年61回目。中央馬が出られるようになった97年以降、アグネスワールド、アグネスデジタル、ユートピアと、のちに海外重賞を制した馬が3頭も勝ち名乗りを受けています。

今年の勝ち馬はJRAのビッグロマンス(父グラスワンダー)。好位追走から直線に入ってすんなり抜け出しました。田中勝春騎手はこのレースと相性がよく、98年のアドマイヤマンボ、05年のグレイスティアラに続く三度目の制覇です。

「グラスワンダー×ダンシングブレーヴ」という組み合わせからはダート巧者の匂いがしないのですが、2代母が“女オグリ”の異名を取った東海の女傑マックスフリート(通算23戦15勝)。この馬から受け継がれたダート適性が大きいのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104881/

ミラクルオペラ(白山大賞典、マーキュリーC、帝王賞-2着)はマックスフリートの息子で、孫にサンライズマックス(エプソムC、小倉大賞典、中日新聞杯)が出ています。今回勝ったビッグロマンスはサンライズマックス(父ステイゴールド)の半弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1997105240/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004100730/

この牝系をもう少し掘り下げて表にしてみました。

 ホマレタカイ(f.1960.ハクリョウ)
  ヒカルタカイ(c.1964.リンボー)天皇賞・春、宝塚記念
  タカイホーマ(f.1969.スパニッシュイクスプレス)重賞3勝
  ヒカルオーバー(f.1960.セダン)
   ヒカリホマレ(f.1980.テスコボーイ)
    マックスフリート(f.1987.ダンサーズイメージ)東海の女傑
    │ミラクルオペラ(c.1997.オペラハウス)重賞2勝
    │グリーンヒルマック(f.1999.ダンシングブレーヴ)
    │ サンライズマックス(c.2004.ステイゴールド)重賞3勝
    │ ビッグロマンス(c.2008.グラスワンダー)全日本2歳優駿
    マックスブレイン(c.1988.タイテエム)東海ダービー
    ナリタホマレ(c.1995.オースミシャダイ)ダービーGP

牝系図の上から2行目にあるヒカルタカイは、南関東初の三冠馬で、中央移籍後、天皇賞・春と宝塚記念を制しました。天皇賞・春は2着に18馬身差をつける記録的な圧勝でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000aa7/

日高の名牝系のひとつといっていいでしょう。100年近く前に輸入された牝系が生きながらえて活力を保っているのですから素晴らしいですね。

12月17、18日に『馬券師倶楽部』再放送

『馬券師倶楽部』の「半笑いVS栗山求(前編)」です。放送スケジュールは以下のとおり。

  12/17(金) 10:30~11:30
  12/17(金) 16:00~16:30
  12/18(土) 00:30~01:00

CS放送の“MONDO TV”で視聴することができます。よろしかったらどうぞ。

2010年12月15日 (水)

ディープインパクト産駒はなぜ逃げて強いのか

■日曜阪神9R・エリカ賞(500万下・芝2000m)は2番人気のスマートロビン(父ディープインパクト)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=epEwGUY-JoY

レース中盤に13秒台のラップが4回続く超スローペース。ただでさえ折り合いに難のある1番人気のアドマイヤセプターにとっては辛い競馬になりました。エイシンフラッシュが勝った昨年もそうでしたが、エリカ賞は出走メンバーの質が高いわりにこういうのんびりした競馬になりやすいですね。3着トーセンラー(父ディープインパクト)は最後まで前が開かず不完全燃焼。もったいない競馬でした。

昨日のエントリーに、富樫様からディープインパクト産駒が逃げた場合の勝率の高さ(7戦全勝)についてのご質問がありました。私の考えを述べたいと思います。

ディープインパクト産駒は出走回数に比して逃げる回数が少ないと思います。逃げ率は「4.4%」。これは2歳種牡馬ランキング上位10頭中、最低の割合です。つまり、20レース走って1回弱の割合しか逃げないわけです。

原因は何かと考えると、陣営の思惑などを除けば、ごく単純に「出脚が鈍い」ということに尽きると思います。12月6日のエントリー「ディープインパクト産駒のトビの大きさとその影響」のなかで、以下のように記しました。

「ヌーベルバーグに限らずディープインパクト産駒はトビの大きいものが目に付きます。したがって、強いて挙げれば機動力に弱みがありそうです。自転車でいえばギア比が大きいタイプですね。トップスピードは文句なしに速いものの、そこへ持っていくまでの漕ぎ足が重いため、機敏に変速することができないわけです。それがディープインパクト産駒にしばしば見られる勝負どころのモタつきの原因なのかもしれません。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-9f4d.html

以上の文章は「勝負どころのモタつき」について考察したものですが、じつは、トビが大きいことで一番影響を受けるのはスタートダッシュです。サクラバクシンオー産駒やロックオブジブラルタル産駒がなぜ先に行けるのかというと、回転の速いピッチ走法で小脚が使えるからです。

たとえば、世界一広いストライドを持つ陸上男子短距離のウサイン・ボルト選手は、ロケットスタートを武器としているわけではありません。小脚を使わなければならないスタート直後のスピードは他の選手と変わらず、レース中盤から後半にかけて、広いストライドを活かした爆発的なスピードで差を広げていきます。ディープインパクト産駒はこれに近いと思います。

ディープインパクト産駒が逃げる場合は以下の2パターンでしょう。①小脚を使えるタイプの産駒だった。②ほかに行く馬がいなかった。

①はディープサウンドやイングリッドですね。Danzig や Wild Again など、ピッチ走法に出やすい血が近い世代に入っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102871/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102578/

今回のエリカ賞は②です。スタート直後にお見合いが始まり、押し出されるようにしてスマートロビンが先頭に立ちました。ディープインパクトはスタミナに不安のない中距離血統。産駒を見ていると、苦しい勝負どころでもうひと伸びできる精神力と、それを可能にする強靱な心肺機能を備えているように思います。ウサイン・ボルト選手のようにトップスピードに乗ってしまえば他の追随を許さないわけですから、自らペースを握り、後続馬に先んじてスパートしてしまえば、追いかける馬は辛いと思います。ディープインパクト産駒はほかの種牡馬の子よりも一枚上のトップスピードを誇り、さらに持久力もあるので、後続馬はなかなか追いつけません。そして、並びかけても粘り強いので厄介です。長くなりましたが、これがディープインパクト産駒が逃げて強い理由だと思います。

スマートロビンの2代母 Key Dancer は、名繁殖牝馬ダンシングキイ(ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの母)の全姉で、スマートロビン自身は Lyphard 4×2。切れ味よりも持続力で勝負するタイプではないかと思うので、今回のように徐々にペースを上げて粘り込むようなレーススタイルは合っていたと思います。内田博幸騎手のファインプレーでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100685/

■日曜小倉4R・新馬戦(ダ1700m)は1番人気の◎ロードエルドール(父スペシャルウィーク)が2番手から抜け出して完勝。
http://www.youtube.com/watch?v=8lJCpJ_h_6g

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎★△で3連単13万3000円的中。予想を転載します。

「◎ロードエルドールは『スペシャルウィーク×ティンバーカントリー』という組み合わせ。半姉シンメイフジ(関東オークス、新潟2歳S)、母レディミューズはチューリップ賞(G3)2着馬、2代母シンコウラブリイはマイルCS(G1)の勝ち馬という良血。パワーが感じられる配合なのでダートはこなすだろう。スペシャルウィーク産駒はダ1600m以上のダート新馬戦で連対率36.1%と走っている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103555/

半姉シンメイフジ(父フジキセキ)は芝で頭打ちになったあと、関東オークス(G2・ダ2100m)に出走したところアッサリ勝ちました。母の父がティンバーカントリーなのでダートが下手なはずはありません。シンメイフジは牝馬だったので芝もこなしましたが、本馬は牡馬なので走りがパワフル。芝で走るには重いですね。母方に Caerleon が入るスペシャルウィーク産駒といえばブエナビスタと同じ。ただ、前述したようにロードエルドールは母の父がティンバーカントリーで、しかもセントクレスピン4×6などもあるので、配合から見てもやはり重いですね。

マイル以上のダート新馬戦に強い種牡馬は、ネオユニヴァース、スペシャルウィーク、クロフネ、ゴールドアリュール、ジャングルポケット。狙い馬に迷ったら、このあたりの産駒を選んでおけば間違いはありません。

■日曜中山5R・新馬戦(ダ1800m)は3番人気の○レーザーバレット(父ブライアンズタイム)が4馬身差で楽勝。
http://www.youtube.com/watch?v=YZ83rDz2QCA

「ブライアンズタイム×Mr.Prospector」ですからチョウカイキャロル、ノーリーズン、フリオーソと同じ。母方に Mr.Prospector 系が入るブライアンズタイム産駒はよく走っており、最近は芝よりもダートでの活躍が目立ちます。日曜阪神2Rの未勝利戦(ダ1800m)を6馬身差で圧勝したスマートルシファー(父ブライアンズタイム)も、母の父が Seeking the Gold(その父 Mr.Prospector)ですから同じパターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104812/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100694/

2010年12月14日 (火)

ディープインパクト産駒が11週連続で新馬戦勝利

■土曜阪神4R・未勝利戦(芝1800m)はアドマイヤラクティ(父ハーツクライ)が勝ちました。直線でフラフラしていたようにまだ馬が若いので、逆に伸びシロがあるはずです。将来性を感じさせるレースぶりでした。
http://www.youtube.com/watch?v=_SwtkYT_K0U

父ハーツクライは10月10日にリフトザウイングスが勝ってから2ヵ月ぶりの勝利となりました。秋口までディープインパクトを上回るペースで勝ちまくり、勝率、連対率、複勝率のいずれにおいても父サンデーサイレンス以来という傑出した数値を挙げながら、突如として勝ち星が途絶え、それから62連敗。この落差は新種牡馬の歴史のなかでもほかに例を見ないものです。

「母の父エリシオ」は最近になって急に目立ってきました。今週の朝日杯フューチュリティーS(G1)で1番人気が確実視されているサダムパテック、ダートで2戦2勝のガムラン、中山開幕週のステイヤーズS(G2)を勝ったコスモヘレノスなどもそうです。種牡馬としてはイマイチでしたが母方に潜っていいタイプなのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103079/

■土曜阪神5R・新馬戦(芝1600m)は単勝1.4倍の1番人気に推された◎マルセリーナ(父ディープインパクト)が完勝。
http://www.youtube.com/watch?v=GK0QZ_-oKzk

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎マルセリーナは『ディープインパクト×マージュ』という組み合わせ。母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝。母方に入るラストタイクーンは父ディープインパクトと相性がいいと思われる。素軽いマイラー配合で好感が持てる。最終追い切りでは、阪神ジュベナイルフィリーズで1番人気が予想されるレーヴディソールと併せて互角の動きだった。このメンバー相手に連を外すことはなさそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103009/

サンケイスポーツが配信した「ディープ産駒11週連続新馬戦V」という記事を読み、へぇ~、そうなんだ、と感心しました。つまり、10月の第1週から毎週勝ち続けているわけです。サンデーサイレンスは01年から02年にかけて12週連続新馬戦勝利という記録を作っていますが、当時は“折り返しの新馬戦”があったので参考記録に過ぎません。初戦のみに限定すると、03年に8週連続、04年に9週連続という記録があります。サンデーサイレンスが全盛期に樹立した記録をディープインパクトは更新したわけですから立派というほかありません。

■土曜中山9R・ひいらぎ賞(500万下・芝1600m)は牝馬のフレンチカクタス(父タイキシャトル)が1番人気に応えました。
http://www.youtube.com/watch?v=C8x0nLDV6K0

全兄ダイワフラッグはダート馬。血統的にもダートのほうが良さそうなタイプに思えたので、芝でこれほどやるとは……という感じです。同じ血統でも、牡馬に比べて牝馬のほうが素軽く出てくることが多いので、芝にも適応したのでしょう。大柄な馬格から繰り出すフットワークは迫力十分です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100801/

前走の赤松賞(500万下)はダンスファンタジアに軽くひねられて2着。ダンスファンタジアは阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で9着に敗れたのですが、折り合いを欠いたというはっきりとした敗因があります。フレンチカクタスを物差しにして考えると、やはり強い馬であるのは間違いないでしょう。

2010年12月13日 (月)

阪神ジュベナイルフィリーズはレーヴディソール

ここ数年、日本競馬は男勝りの牝馬が支えてきた感があります。◎レーヴディソール(1番人気)はその系譜に連なる可能性のある馬でしょう。盤石の横綱相撲でした。個人的に阪神ジュベナイルフィリーズの予想は、毎年伏兵馬に◎を打っているのですが、今年はデイリー杯2歳Sを見て穴を狙う気が失せました。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』と『ウマニティ』に提供した予想は◎△で馬単1490円的中。予想文を転載します。

「◎レーヴディソールは『アグネスタキオン×ハイエストオナー』という組み合わせ。アプレザンレーヴ(青葉賞)、レーヴダムール(阪神ジュベナイルフィリーズ-2着)など兄弟4頭はすべてOPクラスに出世している。母レーヴドスカーはサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)の勝ち馬。過去2戦のレースぶりは華々しい血統背景に恥じないもので、前走のデイリー杯2歳S(G2)ではアグネスタキオン産駒らしい爆発的な末脚を繰り出して牡馬の一線級をなで斬った。周知のとおり阪神ジュベナイルフィリーズの勝ち馬は、ウオッカ、トールポピー、ブエナビスタ、アパパネと4年連続でクラシックを制している。レースぶりや血統背景から、それらに引けを取らない高い資質を備えていることはほぼ間違いないと思われる。牝馬同士ではモノが違うだろう。」

2着△ホエールキャプチャ(4番人気)は、距離損のないラチ沿いを通りました。レーヴディソールは終始外を回っていたので、半馬身という着差以上に両馬の能力差はあると思います。

レーヴディソールの母レーヴドスカーは、同じ Highest Honor 産駒のG1ウィナー Marotta(サンタラリ賞)と配合構成が酷似しています。似た配合でともにG1を勝つというのは、構成が優れていることの証明ではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/reve+doscar
http://www.pedigreequery.com/marotta

         ┌ Highest Honor
         │   ┌ Blushing Groom
レーヴドスカー ―┤ ┌○┘ ┌ Nijinsky
         └○┤ ┌○┘
           └○┤ ┌ Sir Gaylord
             └○┘

         ┌ Highest Honor
         │   ┌ Blushing Groom
Marotta ―――――┤ ┌○┘ ┌ Nijinsky
         └○┤ ┌○┘
           └○┤ ┌ Sir Gaylord
             └○┘

レーヴドスカーには、切れ味を伝える Sir Gaylord 4×4(5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」をご参照くださいませ)に加え、現代スピード血統の祖ともいえる Nasurullah がイヤというほど詰め込まれています(Nasrullah=Rivaz 5・5・6・6・6×5)。

ただ、ナイフの刃のようなこうした鋭さが剥き出しになっているわけではなく、「Highest Honor×バイアモン」という、むしろ輪郭のぼやけた鈍い血がオブラートのように包み、そのオブラートの部分に含まれるヨーロッパのスタミナ血統が、全体のバランスを取ることで奥行きのある名繁殖牝馬が誕生したのではないかと思います。Palestine≒Aimee 6×5、Azalea≒Pavot 6×7、Avena=Harina 6×7、Roman≒Admiral Drake 6・7×7など、薄めの全きょうだいクロス、4分の3同血クロス、相似な血のクロスが幾重にも張り巡らされた繊細な配合です。体質の弱さを伝えることを差し引いても、念願のG1ホースを送り出したわけですから、歴史に残る名繁殖牝馬といえるでしょう。

2着に食い込んだホエールキャプチャはベストクルーズ(ファンタジーS-2着、阪神ジュベナイルフィリーズ-3着)と配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100544/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100569/

           ┌ クロフネ
ホエールキャプチャ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └○┐
               └○┐
                 └ チヨダマサコ

           ┌ クロフネ
ベストクルーズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ チヨダマサコ

クロフネ産駒は基本的にG1では買いたくありません。ただ、この馬は私が考えるクロフネ産駒の成功パターンに合致しており、ちょっと見どころがあると思います。いずれそれを語る機会もあるでしょう。

2010年12月12日 (日)

中日新聞杯はトゥザグローリー

向正面でペースが落ちたときにスッと位置取りを上げたデムーロ騎手が上手かったですね。ラスト3ハロンのラップが11秒5-11秒3-11秒1という上がりの勝負。スローで逃げた△コスモファントム(6番人気)が2着に粘り、◎トゥザグローリー(1番人気)が上がり33秒6で完勝しました。先週の鳴尾記念に続き3歳馬が1~3着を独占。キングカメハメハ産駒はジャパンCのローズキングダム、鳴尾記念のルーラーシップに続き3週連続重賞制覇です。
http://www.youtube.com/watch?v=SE2t6qURAyU

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単2600円、◎△○で3連単14000円的中。予想文を転載します。

「◎トゥザグリーリーは「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を勝ち、ドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統で、来年はG1戦線の常連となるはず。2000mならこのメンバー相手でも力は上。本質的に小回り向きではないが能力の高さでねじ伏せるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103265/

トゥザグローリーの良さは、勝負どころで手が動いても、直線でしっかりとした伸びを見せるところ。4コーナーで好位に付けていれば安心して見ていられます。

「本質的に小回り向きではないが」という部分は、芝コースにおける「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の全般的な性質です。「キンカメ×サンデー」の芝連対率は22.4%と、「キンカメ×非サンデー」の20.5%を上回っているのですが、小倉、中京、札幌という小回りのローカルコースでは逆に数値が下がります。小倉では「キンカメ×非サンデー」が21.9%であるのに対し、「キンカメ×サンデー」は12.9%しかありません。この配合は、母の父サンデーから受け継いだと思われる確かな末脚が武器ですから、基本的に直線の長いコースで伸び伸びと走るのが合っています。

そうしたデータは承知の上で、あえてトゥザグローリーに◎を打ったのは、この馬の素質の高さが一枚抜けていると考えたから。過剰と思えるほど代々 Hyperion を入れてきた牝系なので、成長力に関しては太鼓判を押せます。予想文に記したとおり、来年はG1戦線の常連となるでしょう。

2010年12月11日 (土)

中央競馬ワイド中継、年内で終了

80年代末に競馬業界に入ってから、テレビで競馬中継を見る機会は大幅に減りました。レースをやっている時間帯は仕事がありますし、東京中山の開催日は現場に行くことも多いので、じっくりテレビの前に座って……という感じにはなかなかなりません。

それ以前はよく観ていました。競馬場へ遊びに行くときも、競馬中継をビデオに録画して、帰ってからチェックするということを欠かさずしていました。当時、いちばんのお気に入りは「中央競馬ワイド中継」。関東圏のUHF局だけで放送されているローカル番組です。

フジテレビの競馬中継が「チャレンジ・ザ・競馬」というロクでもないクイズ番組に変更されて、競馬ファンの多くは嘆き悲しみました(たぶん)。その改悪とほぼ同時期に「中央競馬ワイド中継」は出発しました。これは救いの神でしたね。馬券を買ってレースを楽しむために必要なファクター――レース展望、パドック解説、返し馬診断、レース実況、回顧――をオーソドックスにこなし、質の高い特集を挟んでいく正統派の番組。競馬に魅了され、週末を心待ちにし、毎週欠かさず馬券を購入するファンが求めているのはこういう番組でしょう。あくまでも競馬が好きで競馬中継を観ているわけですから、競馬をクイズ仕立てにして芸能人が当たった外れたなどと騒いでいる姿など、はっきり言ってどうでもいいわけです。

したがって、私を含めて当時の競馬友達はみんな「中央競馬ワイド中継」が大好きでした。どうでもいい余談ですが、高校時代は学校非公認の「競馬部」というものがあり、そこでは小林皓正さん、松沢俊夫さん、松本憲二さん、柏木集保さん、阿部幸太郎さんなどのモノマネが流行っていました。われわれのアイドルはおニャン子クラブではなく、番組のキャスターを務められていた米倉いづみさん、浜まさみさんでした。気持ち悪いですね(笑)。そんなこんなで番組開始から4~5年間はしっかり観ていました。いまから考えるとこの番組は私にとって「競馬の学校」でした。番組制作者や出演者の方々には言葉で言い表せないほどの感謝の気持ちがあります。

記憶に残るシーンはたくさんあるのですが、一番笑ったのは阿部幸太郎さんが競馬学校を取材した企画。イガグリ頭の騎手候補生たちと一緒に寝わらを上げたり食堂でご飯を食べたり……といった体験モノです。VTRが終わったあとのスタジオのやりとりで、阿部さんがある騎手候補生を「模範生」と言おうとして、思わず「模範囚」と言い間違えてしまったシーンは爆笑しました。正統派の番組ながら、どことなくゆるい感じがあって、それが独特の味を出していましたね。肩の力を抜いて楽しめました。本当にいい番組だったなぁと思います。

2010年12月10日 (金)

Hyperion 没後50年(後)

Hyperion を生産したのは第17代ダービー伯爵のエドワード・スタンリー。しかし、実際に配合をデザインしたのは、彼の血統アドバイザーであるウォルター・オルストンです。

サラブレッドの器は配合(つまりDNA)によって決定されます。器が小さければいくらトレーニングしようが大きなレースには勝てません。ですから、優れたサラブレッドを生み出すためには、“繁殖牝馬にどの種牡馬を交配するか”という部分にこそ、最も多くの関心と知的労力を注がなければならないと思います。聡明なダービー伯爵はそのことを理解していました。血統研究家として名高いウォルター・オルストンを招聘し、彼の手腕に牧場の将来を委ねたのです。

オルストンが Hyperion をどのようにして作ったか、という具体的なプロセスについては、書き始めると長くなるので、来週あたりに概要を記したいと思います。感嘆すべきテクニックがそこには込められています。
http://www.pedigreequery.com/hyperion

Hyperion のサイアーラインは、60~70年代にかけて日本でも一定の勢力を誇り、メイズイ、カブトシロー、タケシバオー、タイテエム、ハイセイコー、グリーングラスといったビッグレースの勝ち馬が出ました。この系統の最後の名馬は98年に皐月賞と菊花賞の二冠を制したセイウンスカイ。これ以降、Hyperion 系のクラシック勝ち馬は出ていません。日本だけでなく世界的に見ても Hyperion 系は役割を終えた感があり、これから発展しそうなラインは見当たりません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995107393/

ただ、サイアーラインが衰退したからといって、血脈の価値が下がるわけではありません。昨日のエントリーでトニービンを例に挙げたように、Hyperion の影響力は現代においても非常に大きいものがあります。とくに Northern Dancer に含まれている点は見逃せません。Northern Dancer が小柄だったのは、同じく小柄だった Hyperion の影響もあるのでは……とも思います。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

ここ20年間のヨーロッパで最も成功した種牡馬である Sadler's Wells とデインヒルは、いずれも Northern Dancer 系で、Hyperion クロスを持っています。クラシック向きのスタミナと底力、そして成長力を補おうとするとき、Hyperion ほど頼りになる血はありません。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/danehill

Hyperion は偶然の産物ではなく、ウォルター・オルストンの深い血統研究から誕生した傑作です。育種とは何か、サラブレッドを改良するにはどうすればよいかという大きな命題に対し、当時のイギリス生産界が出した回答です。世界ナンバーワンだったイギリス競馬は、実践的な配合研究においても世界をリードする存在でした。Hyperion の血統表を眺めて得られる感動は、そうした豊かさに触れる感動でもあります。

2010年12月 9日 (木)

Hyperion 没後50年(前)

『世界の名馬』(原田俊治著/サラブレッド血統センター)の「ハイペリオン」はこんな一文から始まります。

「その卓越した競馬成績と特に種牡馬成績によって“世紀の名馬”といわれたハイペリオンは、1960年(昭和35年)12月9日、ニューマーケット競馬場にほど近いウッドランド牧場で老衰のため死んだ。」

ちょうど50年前の今日です。

Hyperion の生涯については、『世界の名馬』のほかにも多くの文献を日本語で読むことができます。『伝説の名馬 PartI』(山野浩一著/中央競馬ピーアール・センター)の「ハイペリオン」は以下の文章で結ばれています。

「31歳を迎えたハイペリオンのために屋根付きの放牧地をつくると、ハイペリオンはまだまだ元気一杯に走りまわっていた。しかし、寒さの到来とともにハイペリオンは急に弱りだし、たちまち呼吸困難に陥っていった。ダービー伯はその姿を見ていることができず、館に閉じこもっていたが、間もなく場長がダービー伯には無断で安楽死させたことを告げにきた。ダービー伯はその気持ちに感謝の意を告げ、ウインストン・チャーチル卿の来訪時に開けたブランデーをみんなで飲んだ。そしてウッドランド牧場にハイペリオンの巨大な銅像を建てた。」

Hyperion(1930年生)は英二冠を制した名馬で、ダービーの勝ちタイムは当時のレコード。種牡馬としても大成功し、1940年代から50年代にかけて英愛種牡馬ランキングで6回首位に立ちました。20世紀のイギリスを代表する名種牡馬の1頭といえるでしょう。

イギリス競馬が300年の淘汰によって産み出した最良の血、とでもいうべき傑作で、Hyperion が伝えたクラシック向きのスタミナと底力は全世界で重宝されました。

東京コースは、長い直線に坂があるというタフさゆえに、能力検定としては確かなものがあります。このコースで Hyperion は高い信頼性を誇りました。Hyperion の影響の強い血はこのコースで信頼できます。

たとえばトニービン。血統表をご覧いただければ分かるように、Hyperion 5×3・5です。私はこの馬を Grey Sovereign 系としてとらえたことは一度もありません。どう考えても Hyperion です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/

東京コースにおけるトニービン産駒の強さはあらためて説明するまでもないでしょう。産駒が制した13勝のG1のうち、11勝は東京コースで挙げました。(続く)

2010年12月 8日 (水)

2010香港国際競走

気がつけば暮れの香港国際競走には10年以上行ってません。観戦するとなれば10~11月から準備しなければならないのですが、その時期はちょうどG1まっただなか。なんとなく忙しくしているうちに時機を逸してしまい、毎年グリーンチャンネルでテレビ観戦しています。今年は阪神ジュベナイルフィリーズと同日の12月12日(日)に行われます。

最後に行ったのは98年。香港国際C(G2・芝1800m)をミッドナイトベットが勝った年です。14頭立ての12番人気とまったく人気がなく、プレスエリアで見ていたわれわれ日本人報道陣も「さすがに厳しいだろうなぁ~」という雰囲気だったのですが、なんと馬群から力強く突き抜けてレコード勝ち。その瞬間、みんな仕事を忘れて「ウォーーー!!」とガッツポーズしてました(笑)。周りが香港人ばかりで完全なアウェーですから妙な連帯感がありました。

でも、いまから考えるとのどかな時代ですね。当時に比べると個々のレースの格は上がり、出走メンバーの層も厚くなりました。今年の日本馬は、ジャガーメイル(香港ヴァーズ)とエーシンフォワード(香港マイル)の2頭が参戦します。

ジャガーメイルは3年連続の出走。過去2年はアルゼンチン共和国杯から香港、というローテーションでしたが、今年はジャパンCから中1週での参戦。キツいようにも映りますが、じつはジャングルポケット産駒は間隔を詰めてもへこたれないタイプです。レース間隔別の競走成績で最も数字がいいのが「連闘」。とくに芝の連闘は連対率35.7%という抜群の成績。私が調べたかぎり主要種牡馬の連闘成績のなかでは断然トップです。遠征慣れしている陣営ですし、ローテーションに関してそう神経質になる必要はないのでは、と思います。ここを勝つ力は十分あるでしょう。

エーシンフォワードは Paco Boy あたりに勝つのは相当骨だと思うのですが、向こうも勝ち味に遅いところがあるので、一発狙ってほしいですね。香港でG1を3勝したエイシンプレストンの記憶は、香港の競馬ファンの脳裏にいまだに焼き付いているのではないでしょうか。香港と相性のいい馬主さんなので期待したいところです。

今年の香港国際競走の目玉は香港スプリント(G1・芝1200m)でしょう。Sacred Kingdom、J J the Jet Plane、Rocket Man、Green Birdie、Ultra Fantasy など好メンバーが揃いました。これは見逃せません。

2010年12月 7日 (火)

リベルタス、本質的にマイラーではないけれど

■土曜中山10R・葉牡丹賞(500万下・芝2000m)はショウナンパルフェ(2番人気)が差し切り勝ち。苦しい位置取りからよく逆転したというレースで、着差以上に強い内容です。最後の1ハロンしか競馬をしていないので上がりの遅さは気になりません。こういうカミソリのような切れ味はアグネスタキオン産駒の最大の長所です。
http://www.youtube.com/watch?v=g8b6hQ7AduA

全姉ショウナンタレント(フラワーC)、半兄ショウナンアルバ(父ウォーエンブレム/共同通信杯)という良血。母シャンランはやや時代とズレたヨーロッパ血統が主体となっているので、そうした血が好物のアグネスタキオンとはフィットします。課題のスタートも今回は成功しました。とりあえずG3は勝てるという血統ですから、次走は楽しみです。G1クラスで勝負になるかどうかは今後の成長次第でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102018/

■日曜阪神9R・千両賞(500万下・芝1600m)は、ラトルスネーク(2番人気)が序盤に引っ掛かり自滅。リベルタス(1番人気)が難なく勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=9iTEsowxROk

ラトルスネークがテンションの高い馬だということは、初戦に騎乗したムーア騎手も指摘していました。一度使ってさらにテンションが上がったのか、パドックからうるさいところを見せていました。こういう気性はすぐに治るものではないので、今後の競走生活に影を落としそうです。素質があるだけになんとかなってほしいものですが……。

リベルタスはパドック映像を観ていい馬だなと思いました。使うごとにどんどん良くなっています。半兄にローエングリン(父 Singspiel/重賞4勝)、ブレーヴハート(父サンデーサイレンス/ダイヤモンドS-2着)。母方がヨーロッパ血統で固められているので、有力と目されるディープインパクト産駒のなかではかなり異質な存在です。マイル向きではないと思うのですが、それでも勝ってしまうのですから器が違うということでしょう。ディープインパクト産駒はハイペースの競馬に強いタイプが多いと思うで、スピードさえあれば、ラップが落ちないマイル戦への適応力は高いのかもしれませんね。次走は朝日杯フューチュリティS(G1)。この距離ベストの世代トップクラスを相手にしたときに、ゴール前でグイッと抜け出す力があるのかどうか。そう楽観視はできないと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102819/

2010年12月 6日 (月)

ディープインパクト産駒のトビの大きさとその影響

日曜阪神6R・新馬戦(芝2000m)は、12月3日のエントリーで取り上げた◎ヌーベルバーグ(1番人気)が勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=g1UBInrtVl8

牝馬で488キロですから「しっかりした馬体だなぁ」というのが第一印象。実際に走る姿を見るとトビの大きなフットワークで迫力満点。4コーナー手前で内からぶつけられてもビクともせず、大外を突き抜けました。フォームが大きいので見た目にスピード感はないものの、最後の2ハロンが11秒6-11秒5という流れを差し切ったのですからトップスピードはかなりのものです。

ヌーベルバーグに限らずディープインパクト産駒はトビの大きいものが目に付きます。したがって、強いて挙げれば機動力に弱みがありそうです。自転車でいえばギア比が大きいタイプですね。トップスピードは文句なしに速いものの、そこへ持っていくまでの漕ぎ足が重いため、機敏に変速することができないわけです。それがディープインパクト産駒にしばしば見られる勝負どころのモタつきの原因なのかもしれません。

11月30日のエントリー「ディープインパクト産駒の格上がり戦」のコメント欄で、toku さんが勝負どころでのモタつきに関し、「そうしたレース振りは、新馬戦なら通用しますが、クラスが上がると勝負所で置かれて、慌てて巻き返しても届かず2着3着といった結果になってしまうのです。」と指摘されています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html

ヌーベルバーグの今回のレースぶりに関しては、とくにモタつきというものは見られませんでしたが、問題は2戦目ですね。クラスが上がって流れが激しくなったときに対応できるかどうか。もし楽々とクリアするようなら大物でしょう。

早々と2勝目を挙げたディープサウンドやドナウブルーは、いずれも母の父に Danzig 系を持っています。Danzig が伝えるピッチ走法が、ディープが伝えるトビの大きさを抑える効果があり、それが機敏にペースに対応する能力を生んでいるのではないか……と、これはやや図式的ですがそのように推理することもできるかと思います。

ジャパンCダートはトランセンド

ジャパンCダート(G1・ダ1800m)は○トランセンド(1番人気)が逃げ切り勝ち。息の入らない流れで後続の追撃を抑えたのですから一番強い競馬でした。
http://www.youtube.com/watch?v=koOuAQiWLJs

配合については11月7日のエントリー「トーセンジョーダン、トランセンド」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-e9bf.html

トランセンドはこれまでほとんどのレースで◎を打ってきました。例外はシルクメビウスと一緒のレースに出るときで、この場合は◎シルク、○トランの順。今回もこの序列で印を打ちました。

◎シルクメビウス(2番人気)は5着。1番枠だったせいで馬群を捌くのに苦労しましたね。それを承知で本命に推したのですから悔いはありません。まだ4歳馬ですし、芝であれだけ強い3歳馬がダートではもうひとつなので世代交代はまだ先の話です。来年もバリバリやれるでしょう。

2010年12月 5日 (日)

ノーブルジュエリー圧勝

土曜日の2歳戦では大物が1頭勝ち上がりました。阪神6R・新馬戦(芝1400m)の◎ノーブルジュエリー(1番人気)。スピードの違いでハナに立つと、直線で後続を9馬身ちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=YDWXkJdHZWs

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△★で3連単68670円的中。予想文を転載します。

「◎ノーブルジュエリーは『スマーティジョーンズ×モンズン』という組み合わせの外国産馬。父スマーティジョーンズはケイアイガーベラ(プロキオンS)の父だが、芝・ダート兼用で、本馬は母ノーブルステラがドイツ血統の芝馬。現役時代にアメリカで芝重賞を4勝している。芝は問題なくこなすだろう。父スマーティジョーンズは新馬戦に抜群に強く、芝では連対率60%を誇る。水曜日のCWで好時計をマークしており、凡走はなさそうだ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110008/

1分21秒3という勝ちタイムは、芝1400mで行われた新馬戦の歴代ナンバーワン記録です。最終レースに同コースで行われた古馬1000万下でも3着に相当するのですから優秀ですね。

父 Smarty Jones はプロキオンS(G3・ダ1400m)をレコード勝ちしたケイアイガーベラの父で、現役時代は米二冠(ケンタッキーダービー、プリークネスS)を制覇。当ブログでも7月12日のエントリー「ケイアイガーベラとサンデー系」でちょっと触れたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-4325.html

ケイアイガーベラとノーブルジュエリーのおかげで日本では産駒が走っているイメージがあるのですが、しかし、アメリカではサッパリの成績で、種付け料は年を追うごとにみるみる下がり、来年はケンタッキー州からペンシルベニア州に都落ちすることが決定しています。

母ノーブルステラはドイツで生まれてアメリカへ渡り、4つの芝重賞(9~12f)を制しました。「Monsun×Dashing Blade」ですから、仏オークス(G1)をはじめ4つのG1を制した名牝 Stacelita と同じ組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/stacelita

ノーブルジュエリーの配合は典型的なアウトブリードです。父はアメリカのスピード血統、母はドイツ血統を主体としたヨーロッパの中距離血統。ドイツ血統は、Sadler's Wells と結びつけばヨーロッパの芝2400m路線の活躍馬を出しますし、こうしてアメリカのスピード血統と結びつけば芝向きの優秀なスプリンター~マイラーを出します。もちろん、ブエナビスタやマンハッタンカフェなどのように、サンデーサイレンスとの相性も良好です。この幅広い対応力、奥の深さがドイツ血統の強みではないでしょうか。4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」で以下のように述べました。

「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

アメリカ血統とヨーロッパ血統の美点を融合したノーブルジュエリーは、じわじわと加速して粘り強いというタイプで、今回の競馬のようにハイペースで飛ばしてバテません。これは瞬発力を武器とするサンデー系とは対照的な特長です。クラスが上がってサンデー系の強豪とぶつかったとき、どんな競馬になるのか、そしてどっちに軍配が挙がるのか楽しみです。ちなみに、JBISサーチで調べたところ、母ノーブルステラは今年ディープインパクトの牝馬を産んでいるようです。

望田潤さんのブログを読んだら、ノーブルジュエリーをPOGで指名されていたとのこと。おめでとうございます。今度札幌へ行ったときは蟹料理が食べたいなぁ(笑)。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/

2010年12月 4日 (土)

2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!

11月に東京競馬場で開催された「オープン型レーシングセミナー」。私は4つのテーマについてそれぞれ20分ほど講演したのですが、そのうちのひとつ、「2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!」は師走競馬を念頭に置いたものでした。

シーズン開始当初の2歳戦は芝のレースがほとんどです。6月から9月までは芝とダートはおよそ“4対1”ぐらいの割合。それが10、11月になると“2対1”となり、12月は“1対1”。年末が近づくにつれてダートの割合が増えていきます。したがって、必然的に“芝を使ってきた馬がダートに転じるケース”が増えます。ここが馬券の買いどころ。初ダートは如実に適性が表れるので、芝の凡走から一変するシーンがしばしば見られるからです。

ダート適性を決定する最大の要素は血統。前出のセミナーではゴールドアリュール、クロフネ、アグネスタキオンの3頭を推奨しました。「2歳戦の芝→ダート替わり」という条件に3頭の種牡馬の子が出てきた場合、単勝回収率、複勝回収率の双方で、回収率はいずれも100%を超えます。より精度を高める絞り込みについてもお話ししたのですが、長くなるのでここでは割愛します。

土曜日のレースにこの条件に合致する馬が出走しています。中山2R・2歳未勝利戦(ダ1800m)のアイティクイーン。東京芝1400mの新馬戦で6着と敗れたあと、2戦目に選んだのがこのレースです。
http://db.netkeiba.com/horse/2008105654/

ゴールドアリュール産駒は、2歳のダート替わり1800m戦で連対率37.5%、単勝回収率241%、複勝回収率147%。中山コースに限ると連対率50.0%、単勝回収率410%、複勝回収率220%。この条件は最も得意とするところです。鞍上が横山典弘騎手にスイッチして勝負気配も伝わってきます。

期待値の高いところに賭け続けてプラスを狙うというやり方は、馬を相手にするというよりも、むしろ確率を相手にするものです。魚がいないところにむやみに網を打っても空振りするばかり。魚がやってくるポイントにあらかじめ定置網を張っておき、粘り強く待ち続け、魚影を感じたら引き揚げるというのがこのやり方です。むろん、馬券において百発百中などありえません。アイティクイーンが来るという保証もどこにもありません。長い目で見てプラスになればいいという期待値を根拠とした賭け方です。馬券はあくまでも自己責任でお願いします。

2010年12月 3日 (金)

水曜坂路の好調教馬、ヌーベルバーグ

12月2日夜に放送された『アメトーーク』(テレビ朝日)。今週は「競馬芸人」の回でした。初心者入門としてよくできた内容で、競馬新聞の見方から面白エピソードの紹介までを幅広く網羅し、競馬の宣伝効果としてはJRAのCM何百回分にも相当したのではないかと。

年に数回、所用でJRA本部に行くのですが、職員の方々が立ち働くフロアには「祝! ○○記念 105・2%」「祝! ○○ステークス 108・9%」といった短冊が天井から吊されています。要するに前年比の売り上げを示したもので、100%以上になった重賞がズラリと並べられているのです。売り上げ増に向けて熱心に取り組んでいるんだなぁということがよく分かります。今回の番組によってすぐに売り上げ増加が見込めるわけではないでしょうが、競馬を身近に感じてもらうための種まきとしては成功だったのでは?

さて、今週の新馬戦出走馬のなかで好調教をマークした馬をピックアップしたいのですが、どれか1頭選ぶとなれば、水曜日の栗東坂路で未出走馬の一番時計をマークしたヌーベルバーグ(父ディープインパクト・音無厩舎)でしょうか。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)で2着となったシークレットコードの半妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102997/

この馬の配合はちょっとおもしろいところがあります。まず、「ディープインパクト×Lost Code」なので、「サンデー×Lost Code」のハットトリック(香港マイル、マイルCS)と似ています。母マジックコードはカナダの最優秀古馬牝馬に選ばれた活躍馬。

母の父 Lost Code は“Chieftain≒Fast Trun 4×3”がミソです。
http://www.pedigreequery.com/lost+code

         ┌ Nasrullah(≒Royal Charger)
       ┌○┘
Chieftain ――┤ ┌ Roman(≒Admiral Drake)
       └○┤
         └ How(=Cherokee Rose)

         ┌ Royal Charger(≒Nasrullah)
       ┌○┤ ┌ Admiral Drake(≒Roman)
Fast Turn ――┤ └○┘
       └ Cherokee Rose(=How)

ディープインパクトに含まれる Lady Rebecca は、Chieftain の半妹であり、なおかつ Fast Turn と配合構成が似ています。

           ┌ Turn-to
         ┌○┘
       ┌○┘
Lady Rebeca ―┤
       └○┐
         └ How(=Cherokee Rose)

       ┌ Turn-to
Fast Turn ――┤
       └ Cherokee Rose(=How)

要するに、Lost Code が抱える相似な血のクロスを、父ディープインパクトが継続していることになります。

ディープインパクトの配合において、Lady Rebecca の構成要素を強化することが大事ではないかということを、5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」で述べました。そうした視点から見てぴったりの配合だと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

2代母の父 Flying Paster が大物感に欠ける二流血脈なので、ちょっと信頼しきれず「栗山ノート」には含められなかったのですが、稽古で動いているということはいいものを持っているのでしょう。日曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)に出走する予定です。

2010年12月 2日 (木)

10年前の今日、天才クリス・アントレーが

80年代の富士S(OP・芝1800m)は、ジャパンCの前哨戦として位置づけられ、本番前に外国馬が足慣らしとして出走するオープン特別でした。88年のレースはアメリカ馬セーラムドライブが4馬身差の圧勝。鞍上のクリス・アントレーは、22歳の若さでありながら、ベテランとしか思えない完璧なテクニックを披露し、とくに華麗なステッキワークは強く印象に残りました。

19歳で年間469勝を挙げ全米ナンバーワンとなった天才で、87年には1日9勝、89年には64日間連続勝利というとんでもない大記録を作っています。ビッグレースの実績も豊富で、Strike the Gold でケンタッキーダービーを、カリズマティックでケンタッキーダービーとプリークネスSの二冠を制覇しました。
http://www.youtube.com/watch?v=6e68I3qI5pU

彼が突然死亡したのは2000年12月2日。ちょうど10年前の今日です。その前年、カリズマティックとのコンビで全米を沸かせたばかりのトップジョッキーの死ですから、CNNなどでも大きく報道されました。カリフォルニア州の自宅で遺体となって発見され、頭部に外傷があったことから、当初は何者かに殺害された可能性が高いと報じられたのですが、その後、事故死と結論づけられました。

彼のキャリアは薬物との闘いの歴史でもありました。事故死に至ったアクシデントもオーバードーズ(薬物過剰摂取)に起因するものです。亡くなる前年の99年8月、『週刊競馬ブック』誌に「天才クリス・アントレーの飛翔」(構成・文=合田伊都子)と題するインタビュー記事が掲載されました。ドラッグに関する箇所を引用します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

――昔のことになりますが、ドラッグの問題で世間を騒がせたことがありますよね。

 恥ずかしいことですが、そのとおりです。

――それはいつ頃の話なのですか。

 確か18歳ぐらいで、ピムリコで乗っているときのことでした。友人たちが僕の家に集まって、コカインをやってたんです。最初誘われたときは「僕はいいよ」って言ってたのに、みんなが帰ったあと残されたコカインを見ているうちに好奇心が湧いちゃって。

――ドラッグをやった後はどうなります?

 僕の場合は、完全に鬱状態になりました。何もかもいやになって、現実の世界からの逃避です。一回やると3日間馬にも乗らず行方をくらまして、それじゃいけないと何とか元に戻るといった状態。なのに、また、すぐに同じことを繰り返してしまって。

――ただ、その時期は、仕事の面では絶好調だったでしょ。決してドラッグを認めませんが、体重のコントロールとか、ストレスの発散とか、少なくとも何らかのメリットがあったとも考えられませんか。

 いや、それは単なる言い訳です。実際に体重問題で苦しんでいるときは、どうしても気が弱くなって落ち込みがちになりますから、そんな時にコカインが元気の源をくれると、自分本位に考えてしまいます。今となっては遅いけど、ドラッグは僕のキャリアに傷をつけただけ。コカインをやって騎乗がうまくなったわけでもなければ、悪影響を受けたわけでもありません。ともかく、周りがみんなやってるからっていう、妙な安心感があったのだけは確かです。

――今はもちろんお世話になっていませんよね。

 もう見るのもイヤです(笑)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

死亡時の年齢は34歳。もし現在生きていたとしてもまだ44歳です。若いですね。Zenyatta の主戦ジョッキーを務めたマイク・スミスよりも年下です。

彼が跨がったベストホースはカリズマティック。引退後、アメリカで3年間供用されたあと日本に輸入され、ワンダーアキュート(武蔵野S、シリウスS)を出しました。今週のジャパンCダート(G1・ダ1800m)にも登録がありますが、賞金が足りず除外される公算大。来週土曜日のベテルギウスS(OP・ダ2000m)に回るものと思われます。

2010年12月 1日 (水)

日曜日の2歳戦いろいろ

■京都9R・白菊賞(500万下・芝1600m)はディープインパクト産駒のワンツーフィニッシュ。勝ったドナウブルー(1番人気)はデビュー2連勝です。
http://www.youtube.com/watch?v=0Z_Jj8km_e0

勝ちタイムは1分36秒8と遅いのですが、これは1000m通過が62秒6というスローペースだったため。勝ち馬の上がり3Fは33秒4。レースのラスト1ハロンは10秒9ですから、勝ち馬は10秒7~8ぐらいの脚を使っています。一瞬の切れ味はレーヴディソールといい勝負ではないでしょうか。小柄ですがフットワークが大きく回転が速いですね。

ディープインパクト産駒の2勝馬は現在のところディープサウンドとドナウブルーだけですが、いずれも母の父は Danzig の息子で、Lyphard クロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102871/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/

5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」のなかで以下のように述べました。

「ディープインパクト産駒は、アメリカ血統をどう入れるかが配合の鍵ではないかと思います。ディープの母系は上品なヨーロッパ血統が主体となっています。配合相手にもヨーロッパの血が強い場合、産駒にはスピード面の不安と、杞憂かもしれませんが馬体が柔らかくなりすぎる懸念が出てきます。ディープインパクト産駒は小柄でやや細身というタイプが目に付くので、アメリカ血統をしっかり入れることで筋力の強化と馬格の充実を図り、スピード面の不安を解消できるという効果が期待できます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

Danzig は筋肉質の馬体を伝えるので、ディープインパクトに足りないものを補うという意味でフィットするのかもしれません。Lyphard クロスに関しては、デビュー前はマイナスにとらえていたため避けていたのですが、問題がないどころかむしろ走っています。これは意外でした。

■東京9R・新馬戦(芝1600m)は◎ラヴェルソナタ(1番人気)が馬群を割って抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=CxC8JSG8lxg

「ファルブラヴ×サンデーサイレンス」はワイルドラズベリー、ダンスファンタジア、ラルケットなどが出ているニックスで、とくに芝新馬戦では連対率38.5%と抜群の成績。芝新馬戦でこの配合馬がそこそこ人気に推されているようなら迷わず買いです。

母ハッピーパスは京都牝馬S(G3)の勝ち馬で、シンコウラブリイ(マイルCSなど重賞6勝)の半妹にあたる良血。04年に引退後、繁殖生活に入ったのですが、妊娠しにくい体質でしばらく子宝に恵まれませんでした。スタッフの努力が実ってようやく授かったのが本馬。ちょっと応援したくなる馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103258/

■京都2R・未勝利戦(芝1400m)はクリアンサス(1番人気)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=GhcSib87Cco

父 Redoute's Choice は豪リーディングサイアーに輝いた快速種牡馬。母フラワーパークは最優秀短距離馬。短いところが似合う血統です。1、2戦目は芝1600mで結果が出ませんでしたが、1ハロンの距離短縮で見違えるようにレースぶりが良化しました。1200mならさらに良いでしょう。配合的に評価している馬なので次走も楽しみです。http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102710/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!