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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月

2011年9月30日 (金)

『英雄の系譜~ディープインパクトの夢を継ぐもの』に出演

グリーンチャンネルが明日10月1日からBSでも視聴できるようになります。

9月30日の24時00分(10月1日午前0時)から、BS放送開局特別番組『英雄の系譜~ディープインパクトの夢を継ぐもの~』が放送されます。ディープインパクトとその子供たちを追いかけたドキュメンタリーです。オルフェーヴルが新たな三冠馬になろうかという時期ですからタイムリーですね。

その血統解説役として、わたしもほんの少しではありますが出演いたします。放送スケジュールは以下のとおり。

 9月30日(金)24:00~25:00
10月 3日(月)18:00~19:00(再)
10月 4日(火)24:00~25:00(再)
10月 5日(水)18:00~19:00(再)
10月 5日(水)24:30~25:30(再)
10月10日(月)25:00~26:00(再)
10月11日(火)24:00~25:00(再)
10月12日(水)18:00~19:00(再)
10月12日(水)24:30~25:30(再)

なお、BSグリーンチャンネル(BS234チャンネル)の加入申し込み、視聴方法などにつきましては以下の資料をご参考になさってください。
http://www.gch.jrao.ne.jp/watching/img/bs.pdf
http://www.gch.jrao.ne.jp/watching/wch_bs.html

10月1日(土)~10日(祝・月)は無料お試し視聴期間(ノンスクランブル)ですので、BSを視聴できる方であれば一部時間帯(凱旋門賞中継など)を除きどなたでもご覧いただけます。

『競馬総合チャンネル』の凱旋門賞特集

携帯電話やスマートフォンでお楽しみいただける『競馬総合チャンネル』には、毎週「新着POG馬紹介」を寄稿していますが、10月2日に行われる凱旋門賞(仏G1・芝2400m)の特集企画に、日本馬が優勝する可能性についてのコラムを書かせていただきました。よろしかったらご覧くださいませ。

新馬戦で信頼できる「タニノギムレット×サンデーサイレンス」

■日曜阪神4Rの新馬戦(芝1200m)は、◎ディザイラブル(1番人気)が好位から伸び、先に抜け出した★パーティブロッサム(4番人気)をハナ差とらえました。
http://www.youtube.com/watch?v=wpg0RjAHBDs

予想は◎★△で馬単2600円、3連単18470円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ディザイラブルは『タニノギムレット×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母アンドレルノートルは1勝馬だが、その全兄にグレイトジャーニー(シンザン記念、ダービー卿チャレンジT)、全姉にロスマリヌス(2戦2勝)、半兄にノーリーズン(皐月賞)がいる良血。繁殖牝馬として大きな期待がかけられる。父タニノギムレットはサンデーサイレンス牝馬と相性がよく、過去にこの組み合わせからスマイルジャック、アブソリュート、クレスコグランド、スズジュピター、ライムキャンディといった活躍馬が出ている。スピード豊かなファミリーなので1200mにも対応できるだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105005/

予想文に記したロスマリヌス、ノーリーズン(母アンドレルノートルの兄姉)はPOG指名馬でした。ロスマリヌスは、2戦目の白菊賞(500万下)でダイタクリーヴァ(重賞5勝)に完勝したものの、脚部不安を発症して引退しました。通算2戦2勝。欲目かもしれませんが、無事に現役生活をまっとうしていれば大きなタイトルを取れたのではないかと思います。その全妹の娘が本馬ですから注目したいですね。

「タニノギムレット×サンデーサイレンス」は、連対率20.7%、1走あたりの獲得賞金額は215万円。一方、母の父がサンデーサイレンスではないタニノギムレット産駒は、連対率14.5%、1走あたり145万円。数字に歴然とした違いが表れています。つまり、タニノギムレットはサンデー牝馬のプレミアムが効きやすい種牡馬といえます。

芝新馬戦に限ると、この組み合わせの連対率は30.4%。たとえば、芝新馬戦の強さに定評があるアグネスタキオン産駒は連対率31.2%ですから、それに匹敵する数字であり、いかに優れたものであるかお分かりいただけると思います。

「サンデーサイレンス×タニノギムレット」は阪神より京都、中山よりも東京を得意としています。今回のレースは内容的に特筆するようなものはありませんでしたが、次走、京都で走るようなら昇級戦でも注意したいところです。

■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1600m)は、ヒシワイルド(9番人気)が上がり33秒8で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=SWuQb-LFmUA

稽古時計がごく平凡でまったく人気がなく、予想でもノーマークでした。父ゴールドアリュールは、スマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスター、シルクフォーチュンなどダート向きの大物を出す種牡馬ですが、母の父にトニービンが入った場合、芝向きに出るという傾向があります。トニービンに豊富に含まれるヨーロッパ血統が産駒のキャラクターに影響を与えるのでしょう。本馬は Nureyev≒Fairy King 3×3。これがちょっと重たい気がしたので印を打てませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104879/

調べてみて分かったのですが、「ゴールドアリュール×トニービン」は新馬戦の連対率37.5%(16戦6連対)で、芝に限れば50%(8戦4連対)。初戦駆けする配合ですね。

ヒシワイルドはいい決め手を持っているので、新馬戦だけでなく昇級しても楽しみな存在です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月29日 (木)

アサクサスケールの牝系に待望の良駒

■土曜中山5Rの新馬戦(芝1200m)は、抑え切れない手応えで2番手を追走した△アポロアリーナ(5番人気)が直線で力強く抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=H61JFbE7N0Y

先々週、骨折明けながら初風特別(1000万下・中山芝1200m)を圧勝し、通算成績を〔3・2・0・0〕としたアポロフィオリーナ(父スニッツェル)の半妹にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101765/

本馬の父アポロキングダムは現役時代11戦2勝の下級条件馬。現2歳世代が初年度産駒で、JRAでは出走4頭目にして初の勝ち馬となります。Kingmambo、Seattle Slew、Storm Cat と、材料としている血は一流なので、配合が合えばそこそこの産駒は出しそうですね。

アポロフィオリーナ、アポロアリーナの姉妹が受け継いだスピードは、母の父ウォーニングが支えている部分が大きいと思います。ウォーニングは、本邦輸入種牡馬コマンダーインチーフ(英ダービー)の半兄ながら抜群のスピードを伝え、日本でもカルストンライトオ(スプリンターズS)、サニングデール(高松宮記念)と2頭の短距離G1馬を送り出しました。最近でも“ブダペストの弾丸”の異名をとる Overdose の母の父、スプリントG1を4勝している Dream Ahead の2代父など、スピード馬の血統表に頻繁に現れます。
http://www.pedigreequery.com/overdose3
http://www.pedigreequery.com/dream+ahead

しかし、血統表のなかで真っ先に目が行くのは、3代母アサクサスケールですね。5馬身差で圧勝した85年のクイーンS(G3)を含めて通算6戦5勝という名牝で、唯一の敗戦は2着に敗れたエリザベス女王杯(G1)。このときは4コーナー先頭で誰もが勝ったと思った瞬間、大外を強襲したリワードウイングにゴール直前で差されました。まさか負けるとは思っていなかったので唖然としたのを覚えています。結果論ですがやや仕掛けが早かったですね。翌年、メジロラモーヌが牝馬三冠を達成しましたが、能力では決して負けていなかったといまでも思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982101161/

2代母が有馬記念や天皇賞を勝った女傑ガーネットで、自身には Avena=プリメロ4×4という美しい全きょうだいクロスが施されています。大好きな馬でしたね。繁殖牝馬として必ず成功するだろうと期待していたのですが、残念ながら活躍馬を出すことはできませんでした。なお、全きょうだいクロスについては、笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』『血統論』に詳述されております。ご参考いただければと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

アサクサスケールの半妹ウイルプリンセスは、メイショウサムソン(日本ダービー、皐月賞、天皇賞・春、天皇賞・秋)の2代母となりました。それに比べ、アサクサスケールの直牝系からは草木も生えないという状況が長く続いていたのですが、ようやくモノになりそうな馬が連続して現れました。これは嬉しいですね。

■日曜中山5Rの新馬戦(芝1600m)は、中団追走の◎アルフレード(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=wTwdRrQiu3g

予想は◎△△で馬単1950円、3連単6470円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎アルフレードは『シンボリクリスエス×サンデーサイレンス』という組み合わせ。2代母ラトラヴィアータはサクラバクシンオーの全妹で、母の4分の3妹は府中牝馬S4着のリビアーモ、という活力あるファミリー。素軽さと仕上がりの早さが感じられるので新馬戦に向いたタイプだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106321/

レース序盤は行きたがって騎手がなだめるのに苦労していました。「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」は芝向きの大物がほとんどなく、この馬も530キロの超大型馬だけに、いずれダート路線に転じるのでは、という予感もなくはないですが、ゴール前の迫力はなかなかのものでした。

新馬戦に限ると、シンボリクリスエス産駒は芝・ダートともに連対率が20%を超えます。1200mでは安心して切れるので、それ以外の距離で相手関係に注意して買えばまずまず信頼性は高く、今回のように馬券になる種牡馬です。芝のマイル戦なら東京コースの実績が抜群ですが、叔母のリビアーモは中山も得意でしたね。

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2011年9月28日 (水)

Drone≒Sir Ivor と相性がいいダイワメジャー

■土曜札幌5Rの新馬戦(芝1500m)は、好スタートからハナに立った△ニケ(5番人気)がギリギリ逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=P9XevRfpOZs

ダイワメジャー産駒は先週2勝。今シーズンの勝利数を「12」として2歳勝利数ランキングの単独トップに立ちました。2着がある未勝利馬は12頭。これらの大半もいずれ勝ち上がるでしょう。順調なら年末までに25~30ぐらいまで数字を伸ばしてくるのではないでしょうか。ガシッとした体つきの健康優良児が多く、稼動頭数が多いのが強みですね。

ニケの稽古内容はとりたてて強調すべき点がなく、したがって人気もありませんでした。スローペースに落として逃げられたことが勝因でしょう。4コーナーでは外の馬群に飲み込まれそうになりましたが、そこから粘りに粘ってとうとう抜かせませんでした。父親そっくりで思わず苦笑してしまいました。

瞬発力よりも粘りを身上とする種牡馬だけに、どうしても取りこぼしが多くなります。とくに新馬戦では頭から買うには信用できないタイプで、意外にもこれが3つめの勝ち星です(新馬戦では〔3-10-2-38〕という成績)。

2代母 Messenger Miss は名種牡馬 Green Desert の4分の3同血にあたる良血で、ニケ自身は、サンデーサイレンスとエンドスウィープ、Halo と Drone のニックスを併せ持ち、Your Hostess≒Flower Bowl 6×6が底力の隠し味となっています。ちなみに「栗山ノート」で推奨した馬でもあります。

母方にダンシングブレーヴを持つダイワメジャー産駒は、これまでに3頭が出走し、すべて勝ちあがっています(ダローネガ、オメガホームラン、トーセンベニザクラ)。ダンシングブレーヴに含まれる Drone はサンデーサイレンスの父 Halo と相似な血の関係にあり、これが好相性の秘密でしょう。ニケが持つ Sir Ivor も、Halo と相似な血の関係にあります。まだサンプルが少ないとはいえ、母方に Drone または Sir Ivor を持つ馬は4頭出走してすべて勝ち上がっているので、現時点でこれはニックスといえると思います。

今回は相手と展開に恵まれた感があり、直線の短いコースや洋芝にも向いていました。昇級してすぐ通用するかというと微妙でしょう。ただ、配合的には優れており、いずれ頭角を現してくるのではないかと思います。

■土曜阪神5Rの新馬戦(ダ1800m)は、○ヴィットリオドーロ(2番人気)が2番手追走から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=sKSPIvT6e5Q

浦和記念(G2)をはじめダート重賞を8勝したプリエミネンスは、現役最後のレースとしてアメリカのサンタマリアH(G1・ダ8.5f)に出走し6頭立ての5着。そのまま同国で繁殖生活に入りました。本馬はそこで誕生した馬です。アメリカ生まれですが純粋なマル外というわけではありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110009/

馬主はドバイのモハメド殿下、生産者はグランド牧場の場長である伊藤佳幸氏(美浦の伊藤圭三調教師の実兄)です。プリエミネンスはすでに帰国しています。先週はグランド牧場の生産馬が大活躍し、プレシャスジェムズ(ながつきS)とハヤブサソング(新馬戦)の姉妹や、ジャングルハヤテ(九十九里特別)、オリエンタルジェイ(千歳特別)など6頭が勝利を挙げました。

父 Medaglia d'Oro は年度代表馬 Rachel Alexandra をはじめ多数の一流馬を送り出して成功しています。日本での出世頭はダート路線で活躍中のメダリアビート。

母プリエミネンスにはアフリートと Nijinsky のニックスがあり、その核心は Tom Fool と Flaming Page の関係(いずれも近い世代に Menow と Bull Dog)にあると思われるので、これを継続して Tom Fool≒Flaming Page 5×5・5・6となる本馬の配合は悪くないですね。全きょうだいはイマイチでしたが本馬は馬のデキが違うようです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110009/

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2011年9月27日 (火)

オールカマーはアーネストリー

3番手追走の◎アーネストリー(1番人気)が直線に入って先頭に立ち、悠々と押し切りました。59キロを背負ってこの勝ちっぷりですから横綱相撲です。
http://www.youtube.com/watch?v=jOzGk330w4U

単勝払戻金は140円。力の違いがはっきりしている3歳戦ならともかく、古馬重賞でこれほど被るのはそうあることではなく、今年に入ってからでは中山記念のヴィクトワールピサ(140円)のみです。それ以前となると08年のオールカマーのマツリダゴッホ(140円)までさかのぼります。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△▲で馬単1650円、3連単6120円的中。『ウマニティ』は買い目を絞りすぎて不的中でした。予想文を転載します。

「◎アーネストリーは『グラスワンダー×トニービン』という組み合わせ。一昨年秋から本格化し、今年さらにもう一段グレードアップして宝塚記念を制した。このあたりの成長力は母方が抱える豊富なハイペリオン血脈の賜物だろう。小回り向きの機動力を持つグラスワンダー産駒は、京都よりも阪神、東京よりも中山を得意としている。過去に一度だけ中山で走った際(日経賞=芝2500m)は4着に敗れているが、本格化する前のことなので参考にはならない。今回は宝塚記念と同じ芝2200mなので問題なく実力を発揮できるだろう。59キロを背負っているので早めの競馬を心がけると思われるが、そうしたレーススタイルはこのコースに向く。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105410/

血統解説は6月27日のエントリー「宝塚記念はアーネストリー」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/post-257c.html

アーネストリーに対する大方の見方と同じく、佐藤哲三騎手も小回りコースに向いたタイプであると考えているようです。ただ、その理由はグラスワンダー産駒の適性(中山>東京)ではなく、「直線が長いと飽きる」から。そんな理由があるんだと感心しました。次走の天皇賞・秋(G1・芝2000m)は、周知のとおり直線の長いコースで行われるわけですが、昨年3着だったレースでもあり、当時よりもパワーアップしたいまなら善戦以上が期待できるでしょう。

そして、さらに楽しみなのが中山競馬場で行われる有馬記念(G1・芝2500m)ですね。今回と同じく好位につけて早めに抜け出す競馬ができるなら、ライバルたちにとって相当厄介な相手となります。有馬記念で大勝負をもくろんでいる馬券ファンは、東京では適度に負けて人気を下げてほしい……と願っていることでしょう。

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2011年9月26日 (月)

神戸新聞杯はオルフェーヴル

「手合い違い」という言葉がふさわしい楽勝でした。負けるとすれば、大逃げに攪乱されたときか、超スローペースで折り合いを欠いたときだろうと考えていましたが、どちらも杞憂に終わりました。
http://www.youtube.com/watch?v=x1X5UOYyczg

予想は◎〇△で馬単380円、3連単1430円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想文を転載します。

「◎オルフェーヴルは『ステイゴールド×メジロマックイーン』という有名なニックス配合で、ドリームジャーニー(有馬記念、宝塚記念、朝日杯フューチュリティS)の全弟にあたる良血。デビューからしばらくの間はステイゴールド産駒にありがちな気性面の難しさから安定感を欠いていたが、春先からそのあたりに成長が見られ、折り合いがスムーズになってきた。皐月賞と日本ダービーで披露したパフォーマンスは圧倒的。ひと夏越したとはいえ、同世代のライバルたちがこの差を埋めるのは容易なことではない。悪くても2着は確保するだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

オルフェーヴルの馬体は春よりも一段成長していました。16キロ増とはいえさほど太め感はなく、筋肉量が目に見えて増えていましたね。全兄のドリームジャーニーとはだいぶ馬体の印象が違ってきました。父ステイゴールドや母の父メジロマックイーンとも雰囲気が異なります。

思い当たるとすれば4×3でクロスさせているノーザンテーストでしょうか。同馬は筋肉質の小柄な馬体で、父 Northern Dancer の面影を濃厚に感じさせる馬でした。

サンデーサイレンスの系統は総じてスマートで気品があり、細身の馬体から繰り出す瞬発力が最大の武器です。オルフェーヴルもその特長を受け継いで素晴らしい切れ味を誇ります。ただ、その一方で、道悪のダービーを断然のパワーで駆け抜けた図太さも備えています。このあたりは Northern Dancer 的な資質が表現されたものではないかと思います。

要するに、オルフェーヴルはサンデーサイレンスと Northern Dancer のいいとこ取りをしているのではないか、ということです。

ひと夏を越して盛り上がった筋肉を見ていると、イギリスのマイル戦線を制圧している Frankel の姿がオーバーラップします。この馬は Northern Dancer 3×4で、全身が逞しい筋肉で覆われています。Frankel もオルフェーヴルも2008年に誕生したサラブレッドのなかでは傑作といえる存在です。Frankel はオルフェーヴルにないものを持っていますが、オルフェーヴルも Franekl にないものを持っています。そのひとつが中距離向きの瞬発力です。両者の血統的価値は互角でしょう。
http://www.pedigreequery.com/frankel3

テンションが上がりがちな休み明けでも、折り合いを欠くことなく超スローペースに対応していました。菊花賞の不安材料はひとつ消えました。3000mの距離に関しても、まず心配いらないと思います。筋肉質の馬体は長距離向きのイメージとはズレますが、父ステイゴールドも母の父メジロマックイーンもスタミナに関しては不安がありません。前者は現役時代に天皇賞・春(G1・芝3200m)で2着、後者は同レースを二度制したほか、菊花賞(G1・芝3000m)も勝ちました。全兄ドリームジャーニーは有馬記念(G1・芝2500m)の優勝馬です。折り合いさえつけばパタッと止まる心配はありません。

重箱の隅を突けば、ステイゴールド産駒は阪神コースに比べて京都コースがイマイチという傾向が出ており、オルフェーヴル自身、京都コースでは2回走って勝っていません。

展開面の死角があるとすれば、大逃げを打った馬の残り目ですね。具体的にいえば当レースで4着に敗れた▲スマートロビン(5番人気)です。今回は明らかにペースを落としすぎました。大逃げというのは、ラップの出入りを小さくし、スタートからゴールまでなるべく平均した速度で逃げるということです。今回のように中盤で12秒9-13秒4-13秒7-12秒9というゆっくりしたラップを刻んだり、33秒6という上がりになるようではまずいですね。瞬発力のある馬の餌食になってしまいます。

04年の天皇賞・春を逃げ切った際のイングランディーレは、上がり3ハロンが36秒1でした。道中13秒台のラップが1回しかなく、精密機械のように12秒台のラップを刻みました。もし仮にこんな競馬ができるようなら、スマートロビンが王者に一泡吹かすシーンもないとはいえないでしょう。2代母 Key Dancer はダンシングキイ(長距離に強いダンスインザダークの母)の全姉で、スタミナに関してはいいものを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100685/

2着〇ウインバリアシオン(2番人気)は世代ナンバー2の実力を示しました。しかし、トップとの差は大きいですね。

3着△フレールジャック(3番人気)は思ったよりも頑張ったという印象です。この馬の弱点は折り合いですから、スローペースが予想される2400m戦では引っ掛かる危険性が高いのではないかと思いました。じっさい、道中は力んで行きたがり、後方のインで折り合いに専念するしかありませんでした。それでも最後は3着まで押し上げるのですから能力は高いと思います。

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2011年9月25日 (日)

来年から2週間前倒しで新馬戦開始

2012年のJRA開催日程が決まり(正式発表はまだです)、スポーツ新聞各紙がいくつかの変更点を取り上げています。

9月22日付の『日刊スポーツ』によれば、来年の有馬記念は最終日ではなく、土日月の3日間開催の中日(日曜=天皇誕生日)に行われるとのこと。
http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20110922-838723.html

1968年から79年まで、有馬記念は1年の最終日ではなくその1週前に行われていました。最終日に組まれていたのは中山大障害。グランドマーチスやバローネターフが中央競馬の1年を締めくくっていました。1年のオーラスが有馬記念、という番組スケジュールは古今不変というわけではありません。

翌2013年も土日月開催となりそうなので、同様の番組となるでしょう。それから先、月曜日に天皇誕生日または振替休日がきて3日間開催が可能となるのは、2018、2019、2024、2029、2030年……です。平均すると3年に1回ぐらいのペースで有馬記念は“ラス前”に移動します。これは是非の問題ではなく慣れの問題だと思うのでとくに感想はありません。

個人的に影響があるかもしれないと感じるのは、9月24日付の『スポーツ報知』が報じた「ダービー翌週から新馬戦開始へ」ですね。来年以降、新馬戦は2週間前倒しされて6月のアタマから開始されるとのこと。
http://hochi.yomiuri.co.jp/horserace/news/20110924-OHT1T00026.htm

POG業界には多少動揺があると思います。たとえば、産地馬体検査の内容を盛り込むのは難しくなるでしょう。本作りの始動時期も早まります。ライター的な立場でいえば、クラシック関連原稿とPOG関連原稿の執筆時期が重なるので、う~ん、ちょっとしんどいかな……と。早め早めに捌いていくしかありません。ダービーが終わったあと、余韻に浸る間もなくドラフト会議が開催されるので、これまでのように“ダービーまでは3歳戦に集中し、それが終わってからドラフトの準備に取り掛かる”というペースでは間に合いません。

ただ、これも慣れの問題でしょう。2歳戦が長く楽しめるようになるので歓迎すべき変更だと思います。

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2011年9月24日 (土)

日本テレビ盃(G2・船橋ダ1800m)はスマートファルコン

スマートファルコンとフリオーソの一騎打ちと見られていましたが、レース当日にフリオーソが脚部不安で出走取り消し。単勝1.0倍のスマートファルコンが4馬身差で逃げ切りました。通算30戦20勝、重賞はなんと16勝目(日本記録更新中)です。
http://www.youtube.com/watch?v=51I7CW7FJh0

着差は4馬身とこの馬にしては小さく、持ったままというわけでもなかったので、「あれっ?」という気がしたのも事実です。G2を4馬身差で勝ちながらこんな感想を抱かせる馬もスマートファルコンぐらいでしょう。休み明けで体にも若干余裕があったので、次走、11月3日のJBCクラシック(G1・大井ダ2000m)ではキッチリ仕上がるのではないでしょうか。2着にフリソ(3番人気)が入り、ゴールドアリュール産駒のワンツーフィニッシュとなりました。

フリオーソは、5月にかしわ記念(G1)を勝ったあと、脚部不安により帝王賞(G1)を見送り、秋緒戦のこのレースにも出られませんでした。もう若くないですから無理はできません。この秋は厳しいかもしれませんね。

JBCクラシック(今年は11月3日に大井競馬場で開催予定)では、ドバイ帰りのトランセンド、復活を期すエスポワールシチーとの対決になります。まだ確定はしていませんが、この2頭はおそらく10月10日の南部杯(G1・東京ダ1600m)を経由して臨むことになると思います。

スマートファルコンは、Vaguely Noble 5×3という珍しいクロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/

Vaguely Noble は現役時代、Sir Ivor を破って凱旋門賞を制した名馬で、種牡馬としてもスタミナ、底力、成長力を伝えて成功しました。70年代を代表する女傑 Dahlia、G1を11勝した Exceller などが代表産駒です。Northern Dancer と相性が良く、80年代には「Northern Dancer 系×Vaguely Noble」というパターンから、Golden Fleece、L'Emigrant、ダハール、Indian Skimmer と立て続けに名馬を送り出し、ニックスとも言われました。
http://www.pedigreequery.com/dahlia
http://www.pedigreequery.com/golden+fleece

Vaguely Noble は Aureole の孫です。Aureole 系は気性的にやや危ないところを伝えます。「新聞を読む馬」と言われたカブトシロー、「気まぐれジョージ」と言われたエリモジョージは、いずれも Aureole の孫です。有馬記念を15番人気で、宝塚記念を9番人気で逃げ切ったメジロパーマーは Aureole 4×5。かなり昔、POGの準備のためにデビュー前の2歳馬リストを眺めていたところ、「メジロパーマー×エリモジョージ」という配合の馬がいたので、どんな競走馬になるんだろうと興味本位で指名したところ、長じて京都ハイジャンプ(J・G2)を勝ちました。メジロライデンという馬です。早い段階で去勢されたので気性は激しかったのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000a66/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000c1d/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987105372/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107043/

Vaguley Noble 自身は臆病な性格だったといわれています。牡の代表産駒の1頭で英ダービーを勝ったエンペリーは、気性の悪さで有名でした。潜在的にはそうした要素を伝えている可能性があるように思います。

スマートファルコンを操る武豊騎手が上手いと思うのは、ただハナに立たせるだけでなく、下手に抑えず馬まかせにビュンビュン行かせているところですね。ハイペースで飛ばすリスクよりも、気分よく走らせるメリットのほうが大きいという読みではないでしょうか。Vaguely Noble 5×3の騎乗法としてはベストだと思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月23日 (金)

世界レベルの良血ゲンテン

■月曜札幌5Rの新馬戦(芝1500m)は、◎ゲンテン(1番人気)が抜群のスタートから先頭に立ち、そのまま逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=gxujW6HsAQA

予想は◎〇▲で馬単610円、3連単3550円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ゲンテンは『バーナーディニ×ニューメラス』という組み合わせの外国産馬。父バーナーディニは現役時代にプリークネスSなどG1を3勝した名馬で、種牡馬としても初年度産駒から主要G1勝ち馬を送り出して成功している。母ミステリブルはアルゼンチンの大レースを勝ちまくった名牝で、亜1000ギニー、エストレージャス大賞ジュベナイルフィリーズなどG1を7連勝し、同国の2歳・3歳牝馬チャンピオンに選出された。本馬はキラルー≒デムア≒トゥーハーバーズ5・4×4というユニークなクロスを持つのでおもしろい。本質的にはパワー型かもしれないが、そうしたタイプでも頑張れる札幌芝1500mなら排気量の違いで押し切れるとみる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110063/

父 Bernardini は現在アメリカで最も勢いのある A.P.Indy 系のなかでも次代のエース格と目される若手注目株。現役時代に米最優秀3歳牡馬に選ばれた名競走馬です。種牡馬としても初年度産駒の現3歳世代から3頭のG1ホースを誕生させ、好スタートを切っています。いずれは種牡馬ランキングの上位に食い込んでくるでしょう。

母 Miss Terrible はG1を7連勝したアルゼンチンの名牝。ジェイドロバリーの全弟 Numerous を父に持ち、Gold Digger≒Good Manners 3×3、Trevisa=La Dogana 5×4が配合上のキーポイントです。
http://www.pedigreequery.com/miss+terrible

ゲンテンは名種牡馬と名牝の間に誕生したので血統的な価値が高いですね。今年のファシグティプトンフロリダセールでノーザンファームの吉田勝己氏が47万ドルで落札しました。現在の馬主はノーザンリバーやヘニーハウンドなどをお持ちの林正道氏です。

予想文にも記したとおり、ゲンテンには Killaloe≒Demure≒Two Harbors 5・4×4というトリプルの4分の3同血クロスがあります。
http://www.pedigreequery.com/killaloe
http://www.pedigreequery.com/demure
http://www.pedigreequery.com/two+harbors

        ┌ Dr.Fager
Killaloe ―――┤
        └〇┐
          └ Cequillo

        ┌ Dr.Fager
Demure ――――┤
        └〇┐
          └ Cequillo

        ┌ Dr.Fager
Two Harbors ――┤
        └ Cequillo

狙ったものなのか偶然なのかは分かりませんが鮮やかです。

いかにもアメ車的な雰囲気を漂わせる馬で、瞬発力で勝負するタイプではありませんが、馬力あふれる先行力を武器に自分のレースができたときは強いでしょう。ハマれば重賞でも好勝負になるはずです。適距離は1400~1800mではないかと思います。

■月曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、〇エタンダール(1番人気)が外から伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=sfNR2rs7aUg

レースが発走する前に強い雨が降り出し、パンパンの良馬場ではなくなりました。母ミスペンバリーは「Montjeu×ハイエステイト」というヨーロッパ型の重い配合で、これにディープインパクトを掛けて誕生したのがエタンダール。雨はプラスに働いたはずです。

忙しい競馬には向かず、距離は延びれば延びるほどいいので、2000m以上で時計が掛かりそうなときに買いたい馬です。高速馬場でヨーイドンの競馬になるとつらいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104372/

◎モンテエクリプス(2番人気)は3着。素軽い血で構成され、馬体が小型なので(馬体重426キロ)、こちらはスピードの出る軽い馬場のほうがいいでしょう。イメージとしては京都芝1600mが合いそうです。

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2011年9月22日 (木)

トウショウボーイの再来? アドマイヤムーン

■日曜阪神5Rの新馬戦(芝1400m)は、人気薄のトミーバローズ(10番人気)が好位から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=sWkaE7RXzgo

稽古内容が平凡だったため予想では手が回りませんでした。アドマイヤムーン産駒の素軽さは分かっているつもりでしたが、こういう馬まで新馬戦を勝ってしまうというのは感心するしかありません。これで芝新馬戦の連対率は36.8%(19戦7連対)、芝1200~1500mに限れば54.5%(11戦6連対)です。このレンジでは要注意です。

「アドマイヤムーン×ブライアンズタイム」は本馬を含めて2頭がデビューし、いずれも勝利を挙げています。母モンテドーターは未勝利馬ですが、その半兄にサニングデール(高松宮記念など重賞5勝)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103708/

アドマイヤムーン産駒は幅広い配合パターンから勝ち馬を送り出しています。函館2歳S(G3)を勝ったファインチョイスは、母が「タイキシャトル×Capote」というスピード血統。こうしたタイプから2歳戦の活躍馬が出ることに関しては意外性はありません。

しかし、アドマイヤムーンの非凡な点は、Roberto、Graustark、Sadler's Wells、チャイナロックなど、重厚な血を抱えたやや鈍重とも思える牝馬からポンポンと勝ち馬を送り出していること。抜群の素軽さですね。社台系と比べると見劣りが否めない日高の牝馬が中心となってこの成績ですから立派です。もしこの先、何頭かのG1ホースを送り出すようならトウショウボーイの再来でしょう。

■日曜阪神2Rの未勝利戦(芝1800m)は、好位追走のミルドリーム(1番人気)が着実に伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=tVwrnzhP92c

2歳世代のシンボリクリスエス産駒は、母馬の質が過去最高レベルなので、シーズン開始前から相当いい結果が出るのではないかと予測されていました。現在、9勝を挙げ、トップのダイワメジャーとフジキセキ(いずれも10勝)を1勝差で追いかけています。やはり今年はひと味違います。

ダームドゥラックが2勝を挙げているので、勝ち上がった馬は8頭。そのうち6頭が「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」です。繁殖牝馬のレベルアップは、サンデーサイレンスを父に持つ良血牝馬が大量に集まったことに起因しているので、この結果は妥当なものでしょう。6頭の母馬には、アドマイヤグルーヴ、ダンスインザムード、スティンガー、エアウイングスが含まれています。これだけ見ても圧倒的です。

ミルドリームの母ミルフィオリは名種牡馬フジキセキの全妹。その母ミルレーサーは、息子のフジキセキだけでなく、娘たちがいずれも繁殖牝馬として優れた成績を残しているので、名牝系として発展しそうな雰囲気があります。母馬としてのミルフィオリは前途洋洋でしょう。初子のミルドリームがしっかり走ったので、今後の動向が注目されます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106003/

ミルドリームのデビュー戦はエネアドの2着。このレースは、3着トランドネージュを含む上位3頭が4着以下を8馬身ちぎりました。2着ミルドリーム、3着トランドネージュは2戦目に勝ち上がり、6着だったタニセンヴォイスが2着ですから、レースレベルはかなり高かったと推察されます。勝ったエネアドの強さを間接的に証明したといえるでしょう。

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2011年9月21日 (水)

グランデッツァ8馬身差圧勝

土曜札幌1Rの未勝利戦(芝1800m)は、グランデッツァ(1番人気)が軽く気合をつけた程度で後続を8馬身引き離しました。
http://www.youtube.com/watch?v=hvK5auo9EPM

単勝支持率82.2%(!)。どう考えても負けようがないメンバー構成だったとはいえこの数字は凄いですね。今年のJRAでこれを超える数字は見当たりません。

初戦はダッシュがつかず後方に置かれ、運が悪いことに上がり勝負となったため、位置取りの悪さが敗戦に直結しました。苦もなく3番手につけられた今回はその時点で勝負アリ、です。やや脚長の体型で、大きく柔らかいフットワーク。小回りコースよりは直線の長いコースに向くでしょう。走りっぷりを見ていてなぜかサクラユタカオーの若いころの姿がオーバーラップしました。古馬になって毎日王冠と天皇賞・秋を日本レコードで連勝した中距離王者です。同じ栗毛ということもありますが雰囲気が似ています。

桜花賞馬マルセリーナの半弟で、母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝です。『競馬王のPOG本』では「競合覚悟で上位指名すべき5頭」と「栗山ノート」にリストアップし、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト アグネスタキオン編』でも牡馬のトップに据えました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105989/

母マルバイユはマルセリーナとグランデッツァを連続して出したことにより、社台ファームを代表する名繁殖牝馬の1頭に躍り出ました。その豊かなスピードはアメリカ血統だけでなくヨーロッパ血統にも由来しており、ベースとして支えているのが Hyperion なので、大レース向きのしっかりとした底力を伝えています。2代母 Hambye には Ribot のクロスもあります。こういう血はアグネスタキオンと合いますね。

姉マルセリーナ(父ディープインパクト)は Burghclere≒Welsh Flame 3×4で、弟グランデッツァは Alcide≒Electric Flash 5×5。Welsh Flame は Electric Flash の娘なので、2頭とも似たようなポイントを強化しています。

           ┌ Donatello
         ┌○┤ ┌ Hyperion
Alcide ―――――┤ └〇┘
         └ Chenille

           ┌ Donatello
         ┌○┘
Electric Flash ―┤ ┌ Hyperion
         └○┤
           └ Chenille

アグネスタキオン産駒における Alcide 周辺の強化は、鈍重さを帯びるリスクを抱えるので、全体の血脈の質を十分吟味する必要があります。構わず走ったということはマルバイユのスピードの質が優れていることの証明でしょう。走るアグネスタキオン産駒は脚部不安の危険性をつねにはらんでいるので、来年のクラシックを見据えて大事に行ってほしいものです。

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2011年9月20日 (火)

ローズSはホエールキャプチャ

■ローズS(G2・芝1800m)の800m通過は49秒3ですから超スローペース。逃げ馬の直後で折り合った〇ホエールキャプチャ(1番人気)が最内から抜け出し、マイネイサベル(10番人気)の追撃をクビ差抑えました。
http://www.youtube.com/watch?v=NIB8TowoRXs

馬体重はプラス6キロ。太くもなく細くもなくいい感じで仕上がっていました。デビュー以来ずっと1~3着を確保している安定感はすばらしいですね。レース上手で末脚もしっかり、強い精神力にも恵まれています。配合については2月13日のエントリー「クイーンCはホエールキャプチャ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-6544.html

2着マイネイサベル(10番人気)はメンバー中最速の上がり33秒3。切れ味勝負では分が悪いイメージがあったので驚きました。馬が成長しているのでしょう。

オークス馬▲エリンコート(3番人気)は10着。春の3連勝は勢いに乗っていましたが、休みが入ってリセットされてしまった感じです。デュランダル産駒は古馬になってから上昇するものが目立つので、またリズムがかみ合ってくれば上昇してくるでしょう。オークス2着のピュアブリーゼも先日の紫苑S(OP)で12着と大敗しており、人気薄で大駆けした2頭は秋シーズンのスタートがうまく行っていません。

◎マルセリーナ(2番人気)は6着。馬体重が16キロ増えて余裕残しだったことに加え、道中で行きたがってスタミナを消耗したことが敗因でしょう。馬体重については一度使えば絞れるので心配はいりませんが、問題は行きたがる気性ですね。今回は超スローペースだったとはいえ、ほかの馬が折り合うなかでこの馬だけが力んだ走りをしていました。前走のオークスでも終始そうした走りをしていたので、癖になっているのではないか――と、これは杞憂かもしれませんが少しばかり心配です。秋華賞は今回のような超スローペースになることはまずありません。内回りコースに替わることはプラスとはいえないものの、折り合いさえつけば巻き返せるでしょう。速い流れのほうが良さそうなので、現状ではマイルがベストかもしれません。

■エルムS(G3・ダ1700m)は◎ランフォルセ(1番人気)が重賞初制覇。2着オーロマイスター(8番人気)が無印だったので予想は不的中でした。予想文を転載します。
http://www.youtube.com/watch?v=-YbpiKN3hh8

「◎ランフォルセは『シンボリクリスエス×マキアヴェリアン』という組み合わせで、兄弟にノーザンリバー(アーリントンC)、ノットアローン(ラジオNIKKEI賞-2着)、モンローブロンド(ファンタジーS-2着)、甥にロジユニヴァース(日本ダービー)がいる良血。これらはすべてサンデー系なので芝向きに出たが、本馬はパワー型のシンボリクリスエスを父に持つのでダート向きに出た。今年に入って本格化しており、滞在競馬のダ1700mでこの馬を負かせる馬はおそらくスマートファルコン、フリオーソ、エスポワールシチーぐらいだろう。ここは相手探し。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103254/

その相手探しで失敗してしまいました……。オーロマイスターは放牧を挟んでいいときの状態に戻っていましたね。近走内容と59キロの斤量で安易に切ってしまったのが悔やまれます。南部杯(今年は東京競馬場で行われます)2連覇に向けて視界良好です。

勝ったランフォルセは出遅れ癖があるので、小回りコースでは今回のように外を回って徐々に上昇していくという競馬になってしまいます。距離ロスを考えると強い勝ち方です。

母ソニンクにとってはノーザンリバーに次いで2頭目の重賞勝ち馬。予想文にも記しましたが、ソニンクの孫にはロジユニヴァースがいます。繁殖牝馬として発揮する高い能力は、名牝の誉れ高い2代母 Sonic Lady (ムーランドロンシャン賞、サセックスS、愛1000ギニー)からもたらされたものが大きいと思います。Sonic Lady は13歳の若さで死亡したため、牝馬を2頭しか残すことができませんでした。ソニンクはそのうちの1頭です。

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2011年9月19日 (月)

セントライト記念はフェイトフルウォー

4コーナーで内側の馬に張られ、△フェイトフルウォー(6番人気)は外に飛ばされる不利を受けました。ここでひるむどころか猛獣のように闘争心を掻き立てるところがステイゴールド産駒ですね。根性が違います。
http://www.youtube.com/watch?v=fdmYXf9jVns

ロイヤルクレストが大逃げを打ち、実質的な先頭集団である3番手グループは1000m通過が59秒フラットぐらい。この位置取りでも例年より少し速いぐらいです。この集団は、前との差を詰めるために3ハロン標識の前から動き始めていたので、長くいい脚を使わないと勝てない展開でした。勝ったフェイトフルウォーの上がり3ハロンは34秒0。馬場が良かったとはいえ、勝ち時計が2分10秒3でこの上がりは優秀です。今年は絶対的な横綱がいるので楽観的な予測はしづらいのですが、今回の1、2着馬は本番でもいい戦いをするでしょう。

絶対的な横綱オルフェーヴルと、今回勝ったフェイトフルウォーはいずれも「ステイゴールド×メジロマックイーン」という組み合わせ。日本で一番有名なニックスです。オルフェーヴルの全兄ドリームジャーニー、先日のコスモス賞(2歳OP)を勝って2戦2勝としたゴールドシップもこの組み合わせから誕生しています。
http://yoso.netkeiba.com/?pid=profile&yid=266995

このニックスについては、昨年11月20日のエントリー以降、当ブログでも何度か触れており、いちばん最近は7月10日の「『ステイゴールド×メジロマックイーン』のゴールドシップ」です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-6198.html

『サラブレ』9月号に執筆した「最新金脈ニックス名鑑」では、冒頭最も大きなスペースを割いて「ステイゴールド×メジロマックイーン」を取り上げています。ちなみに同誌は Amazon でも取り扱っており、バックナンバーもお買い求めいただけます。

フェイトフルウォーの母フェートデュヴァンは、芝2600m戦を勝ったステイヤーでした。2代母の父 Nijinsky はステイゴールドと相性抜群で、ほかにこの組み合わせを持つ馬にはシルクメビウス、アルコセニョーラ、マイネレーツェル、ナカヤマナイトなどがいます。距離延長は歓迎で、しかも速い上がりに対応できるので、本番ではライスシャワーのような存在になりうる可能性を秘めています。ステイゴールド産駒は成長力があるのでこれからの楽しみが大きい馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102708/

◎トーセンラー(3番人気)は2着。不運が重なって春は散々でしたが、立ち直ればこれぐらいやれる馬です。時計の速い決着には向いています。

『netkeiba.ocm』「No.1予想」に提供した予想は、△◎▲で馬単13980円、3連単56160円的中。連単系マルチに買い目を設定しているので高配当が的中しました。
http://yoso.netkeiba.com/?pid=profile&yid=266995

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2011年9月18日 (日)

ディープインパクト産駒 Barocci が仏G3で2着

9月17日、仏ロンシャン競馬場で行われたプランスドランジュ賞(G3・芝2000m)で、ディープインパクト産駒の Barocci(牡3歳)が2着と健闘しました。
http://www.youtube.com/watch?v=yLTBNnjNrSE

今年の春、準重賞のオムニウムII賞(芝1600m)を制した際に当ブログで取り上げたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/barocci-601b.html

その後、重賞ばかり使って4、6、5、7着。勝負になっていないわけではないけれど馬券には絡まず、という微妙な成績でした。今回は横一線の2着争いからわずかに抜け出たという内容で、スミヨン騎手が距離ロスを抑えて上手く乗ったという印象です。
http://www.pedigreequery.com/barocci2

プランスドランジュ賞が日本のどのレースに該当するかというと、適当なものが浮かばず困るのですが、強いて挙げれば朝日チャレンジCや鳴尾記念あたりでしょうか。年の前半に活躍して後半尻すぼみになるよりも、この時期に浮上してくるほうが来年に繋がります。

その10日前、仏サンクルー競馬場でディープインパクト産駒の2歳牝馬 Beauty Parlour がデビュー戦を8馬身差で圧勝しました。この馬は Barocci の全妹です。08年に社台ファームで誕生した Barocci は、その年のうちに母バステットとともにフランスへ渡りました。母は翌春ディープインパクトの牝馬を出産。これが Beauty Parlour です。
http://www.pedigreequery.com/beauty+parlour3

芝とオールウェザーの中距離戦において、日本産馬の実力は世界のトップクラスと比べて遜色ないレベルにあります。ステイゴールド産駒のナカヤマフェスタ(凱旋門賞-2着)や、ネオユニヴァース産駒のヴィクトワールピサ(ドバイワールドC)の活躍がそれを証明しています。先日フランスで行われたフォワ賞(G2)でもマンハッタンカフェ産駒のヒルノダムールが僅差の2着でした。ディープインパクトは日本のトップ種牡馬であり、その産駒が仮に海外で通用しなかったとしたら、逆にそのほうが意外です。

とはいえ、日本とヨーロッパの馬場には大きな隔たりがあるので、ヨーロッパにおける主流血統を交配牝馬から取り入れて、その産駒が問題なく走るということであれば、日本とヨーロッパの距離はさらに縮まります。Barocci と Beauty Parlour の兄妹は Storm Cat 系の Giants Causeway を母の父に持ちます。日本の馬場ではちょっとどうかなという血統構成ではありますが、力のいるヨーロッパの深い芝ではこの種のパワー血統が頼りになります。このほか、ヨーロッパに根を下ろしている主流血統には Danzig や Sadler's Wells などがあり、こうした血とうまくフィットするかどうかがディープインパクトの海外戦略にとって重要ポイントとなるでしょう。現段階ではうまく行っているのではないかと思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月17日 (土)

父譲りの切れ味で完勝、レッドアーヴィング

■日曜札幌5Rの新馬戦(芝1800m)は、4番手追走の▲レッドアーヴィング(1番人気)が直線で鮮やかに突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=fVyDWlNFKAY

好調アドマイヤムーン産駒は、先々週までの時点で1600m以上では連対率6.3%(16戦1連対)。したがって、2倍を切る1番人気でもやや不安があったのですが、杞憂に終わりました。

アドマイヤムーン自身は現役時代に2400mをこなしたので、もともと産駒に距離の壁などないのかもしれませんし、母エンプレスティアラの全弟ゴールデンハインドは、函館芝2600mでレコード勝ちするなど、全5勝のうち4勝を2400m以上で挙げました。距離をこなせる素地はありましたね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106100/

そもそも今回はスローペースの上がり勝負で、むしろ瞬発力が問われるレースでした。アドマイヤムーン産駒の最大の長所は瞬発力。ゴール前でピリッとしたいい脚を使います。レッドアーヴィングは、母の父クロフネ、2代母ゴールドティアラ(南部杯-G1)ですから、芝向きの切れ味という面では心もとない血統です。そうした血を抱えながら、ラスト2ハロン11秒4-11秒6という決め手勝負をスパッと抜け出してきたわけですから、アドマイヤムーンが伝える瞬発力は優秀だと思います。このあたりはサンデーサイレンスの影響でしょうか。

今年の新種牡馬戦線は、ダイワメジャーとアドマイヤムーンの2頭が抜け出しており、現時点で両馬とも8勝を挙げています。出走数はダイワメジャーの90回に対し、アドマイヤムーンは半分以下の34回なので、勝率ではアドマイヤムーンの圧勝です。持ち前の瞬発力を活かしてゴール前でしっかり競り勝っていることが分かります。ただ、2着を比べてみると、ダイワメジャーの19回に対し、アドマイヤムーンは3回。連対率ベースではほとんど差がありません(30.0%と32.4%)。夏競馬が終わって間もない段階なので、これから秋競馬が進んでいけば、傾向も変わってくるかもしれません。引き続き注視していきたいですね。

これまでにデビューしたアドマイヤムーン産駒は、良くも悪くもローカル向きの軽いスピードタイプが多かったと思います。中央開催の中距離レースに対応できそうなレッドアーヴィングのような馬をどれだけ出せるか、という点がこれからの課題となるでしょう。

■日曜中山6Rの新馬戦(ダ1800m)は、中団追走の★ブラックビーン(6番人気)が3コーナーから大外をマクって進出し、4コーナーで先頭に立つとそのまま押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=SNfMKVXTSEs

これぞダートホース、という豪快な勝ち方でした。2代母は20番人気でエリザベス女王杯(G1)を勝ったサンドピアリス、母サンドコロネットはタマモストロング(ダート重賞4勝)の半姉。これにワイルドラッシュを掛けて本馬は誕生しました。血統表のどこを切り取ってもパワー満点です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103361/

ワイルドラッシュはトランセンドを筆頭にコンスタントに活躍馬を送り出しており、その多くはダート馬です。昨年あたりまではセールで落札される産駒の価格も安く、実力と価格のアンバランスさからお買い得といえる種牡馬だったのですが、今年に入ってからさすがに価格が上がってきて、実力相応の評価をされるようになりました。10、11年と、中央地方を総合したダート重賞の勝利数は全種牡馬中トップです。

5月14日のエントリー「羽田盃はクラーベセクレタ」に記したとおり、ワイルドラッシュ産駒の大物は、Flower Bowl-Graustark(=His Majesty)の母子を強化した配合が目につきます。前出のトランセンドや、クラーベセクレタ、クリールパッション、ヒシウォーシイなどがそうです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/post-5ff1.html

ブラックビーンは母方にチャイナロックが入ります。Flower Bowl とチャイナロックはいずれも Hyperion と Son-in-Law で構成されており、底力の強化には有効な血です。

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ―――┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
チャイナロック ―┤ ┌〇┘
         └○┘

しっかり乗り込んではいたものの、時計的にはそれほど目立つものではなかったので、配合的に注目という★しか打てませんでした。ダート路線で注目したい1頭です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月16日 (金)

アドマイヤベルナと配合が似ているバウンダリーワン

土曜中山5Rの新馬戦(芝1200m)は、◎バウンダリーワン(1番人気)が2番手から抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=-tS8KvAS2pI

予想は◎▲△で馬単810円、3連単3510円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎バウンダリーワンは『ファルブラヴ×アドマイヤベガ』という組み合わせ。『ファルブラヴ×サンデー』は新馬戦の強さに定評があるが、サンデーの息子アドマイヤベガを母の父に持つパターンも悪くないだろう。サクラハゴロモの牝系にファルブラヴ、という配合はアドマイヤベルナ(6月の1000万特別でエクスペディションに5馬身差圧勝)と同じ。稽古でも動いているのでこの条件ならスピード押し切れそう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102909/

先週のファルブラヴ産駒は、エーシンヴァーゴウがセントウルS(G2)を勝つなど土日で4勝を挙げる好調ぶり。今年は2歳戦でも頑張っており、函館2歳S(G3)2着のアイムユアーズ、小倉2歳S(G3)3着のハギノコメントなどが出ています。

予想文にも書いたとおり、バウンダリーワンはアドマイヤベルナと配合構成がよく似ています。同馬は6月の三木特別(1000万下・芝2000m)で終い流しながら1分58秒2の好タイムで逃げ切りました。5馬身差の2着は、その後3連勝して重賞を狙おうかという位置まで出世してきたエクスペディションですから強いと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103288/
http://www.youtube.com/watch?v=28J-FA0KI7Q

          ┌ ファルブラヴ
          │   ┌ サンデーサイレンス
バウンダリーワン ―┤ ┌〇┤ ┌ トニービン
          └○┤ └○┘
            └ サクラハゴロモ

          ┌ ファルブラヴ
アドマイヤベルナ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
          └○┤ ┌ トニービン
            └〇┤
              └ サクラハゴロモ

近い世代にファウブラヴ、サンデーサイレンス、トニービン、サクラハゴロモが入るという共通があります。サクラハゴロモは名種牡馬サクラバクシンオーの母です。バウンダリーワンとアドマイヤベルナは、母方にサンデーサイレンスとトニービンが入っても、ファルブラヴの一本調子な特徴は消えていません。

ちなみにバウンダリーワンは、今年のPOGで人気を集めたピュアソウル(父ディープンパクト、母ヒストリックスター)とも配合構成が似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106275/

          ┌ ファルブラヴ
バウンダリーワン ―┤   ┌ サンデーサイレンス
          │ ┌〇┤
          └○┘ └ ベガ

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌〇┘
ピュアソウル ―――┤ ┌ ファルブラヴ
          └〇┤
            └ ベガ

ピュアソウルにも一本調子なところが伝わっているのかどうか、気になるところです。あるいは父ディープインパクトの柔らかな切れ味が特長として勝るか、その中間あたりに落ち着くか……。このあたりは実際に走ってみなければ分かりません。先日入厩したそうなので、京都開催あたりでデビューするはずです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月15日 (木)

Halo≒Sir Ivor 3×4で切れるタガノミュルザンヌ

■土曜阪神4Rの新馬戦(ダ1400m)は、3番手追走の◎ヴィンテージイヤー(1番人気)が直線で抜け出し、後続に5馬身差をつけました。
http://www.youtube.com/watch?v=7WSt4bF0M1o

予想は◎▲★で馬単400円、3連単2250円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ヴィンテージイヤーは『メイショウボーラー×スターボロー』という組み合わせ。母の父スターボローは“ブダベストの弾丸”の異名をとる快速馬オーヴァードーズの父でもある。母ボンヌマールは、スターボローのスプリント能力に加えてデザートワイン≒バラダ3×3を持っているので、産駒に安定してスピードを供給できる繁殖牝馬だと思われる。父メイショウボーラーとの配合では、パワーとスピード、仕上がりの早さが感じられるので新馬戦には強いはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100673/

まさに完勝でした。父メイショウボーラーはタイキシャトルの代表産駒で、現役時代にフェブラリーS(G1・ダ1600m)など5つの重賞を制しました。うち2つが芝重賞であるように、芝・ダート兼用タイプでしたが、どちらで走っても一本調子なところがあったので、種牡馬としては7:3ぐらいでダート向きかなという気がします。

今年の2歳世代が初年度産駒で、これが2頭目の勝ち馬となります。勝ち上がったもう1頭は、函館芝1800mを逃げ切ったトミケンユークアイ。決め手不要の舞台なら強いということでしょう。

■土曜阪神5Rの新馬戦(芝1400m)は、中団に控えた▲タガノミュルザンヌ(3番人気)が直線で大外を鋭く突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=3kh4aWR9tYI

422キロの小柄な馬体ながら、アグネスタキオン産駒らしい鋭い瞬発力を繰り出して完勝。将来性を感じさせる好素材です。

母レディアップステージはアイルランドでプリティーポリーS(G2・芝10f)を制覇。父が Alzao、母の父が Busted の息子なので、ディープインパクトの母ウインドインハーヘアによく似た配合です。

            ┌ Alzao
レディアップステージ ―┤   ┌ Busted
            │ ┌〇┘
            └○┘

            ┌ Alzao
ウインドインハーヘア ―┤ ┌ Busted
            └○┘

したがって、タガノミュルザンヌ自身は、ニュービギニング、リルダヴァル、ダノンパッション(いずれもウインドインハーヘアの牝系で父がアグネスタキオン)と配合構成がよく似ています。Halo≒Sir Ivor が生じるので切れますね。

レディアップステージがこれまでに産んだ2頭、フライングブイ(父ブライアンズタイム)とバロンルージュ(父アグネスタキオン)はいずれも未勝利馬。2頭とも一度も馬券に絡んだことがないという惨憺たる成績でした。タガノミュルザンヌは馬のデキがよかったのでしょう。脚を溜めれば確実に伸びるタイプだと思われるので、距離はもっと延びたほうがいいと思います。

◎アンチュラス(1番人気)はテンションが高く、掛かり気味に追走して末脚を失ってしまいました。全姉イングリッドもメンタル面にややデリケートな面を抱えています。脚力は十分なので、落ち着いて走ればすぐにでも勝ち上がれるでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月14日 (水)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」で東サラ、シルク診断開始

おかげさまでご好評をいただいております「一口馬主好配合馬ピックアップ」は、9月12日から東京サラブレッドクラブとシルクホースクラブの診断を開始いたしました。
http://www.miesque.com/c00006.html

現在、望田潤さんの東サラ、栗山求のシルク分をアップロードしています。望田潤さんのシルク、栗山求の東サラは準備が整い次第アップロードいたしますので、よろしくお願いいたします。
http://www.miesque.com/

東西でキングカメハメハ産駒が重賞制覇

■日曜中山11Rの京成杯オータムH(G3・芝1600m)は、◎フィフスペトル(2番人気)が直線半ばで抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=KW4xoaf-61o

『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想は、2着アプリコットフィズ(7番人気)がヌケだったので、◎が1着だったものの不的中。予想文を転載します。

「◎フィフスペトルは『キングカメハメハ×バーリ』という組み合わせ。キングカメハメハはトゥールビヨン-ジェベルのラインが母方の構成要素の核となっているので、ここを強化した配合は好ましい。本馬の母の父バーリは英マイルG1を2勝した名馬で、ジェベル5×5。母ライラックレーンはネヴァーベンド≒ナンティシャス3×3という相似な血のクロスを持ち、本馬はミルリーフ≒リヴァーマン5×3。よくできた配合で潜在能力の高さを感じさせる。これまでに獲得した重賞は函館2歳S(G3)のみだが、さらにタイトルを上積みできるポテンシャルを秘めていると思われる。中山芝1600mは朝日杯フューチュリティS(G1)で2着となり、東風S(OP)を完勝した舞台。今回はチャンスだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102859/

母ライラックレーンの血統は、Bahri≒Balletomane 1×2と表現したくなるほどです。こうした特殊な凝縮を持つ牝馬は、母として、あるいは2代母としておもしろいですね。個人的にも好きなパターンで、フィフスペトルについてはデビュー戦から高く評価してきました。次走は10月22日の富士S(G3・芝1600m)か、10月2日のポートアイランドS(OP・阪神芝1600m)でしょうか。ようやく波に乗ってきたので、もっとタイトルを上積みしてほしいところです。

2着アプリコットフィズにはやられました。当ブログで何度も取り上げたことがあるように、もともと高く評価してきた馬なのですが、今年に入ってから二桁着順が続き、もう競走意欲を失っているのかもしれないと侮っていました。嬉しい復活です。

■土曜阪神11Rの朝日チャレンジC(G3・芝2000m)は、◎ミッキードリーム(1番人気)がしぶとく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=or6KQFFSZjo

予想は◎△▲で馬単3540円、3連単12590円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ミッキードリームは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』。どちらかといえば外回りコースが合う組み合わせだが、本馬はサクラバクシンオーの近親で先行力もあるので内回りコースも問題ない。開幕週なので好位勢には有利な競馬となりそう。4歳キンカメ軍団の遅れてきた有力馬として秋の重賞戦線で活躍が期待できる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103315/

昨年の毎日杯(G3・芝2000m)でダノンシャンティの2着となった経験があり、1000万クラスから3連勝といっても元のクラスに戻っただけです。キングカメハメハ産駒は先週、この馬とフィフスペトルで重賞2勝と好調でした。

関西の芝2000m前後の路線は、エクスペディションやアドマイヤベルナなど、楽しみな新鋭が多いですね。こういう活きのいい馬たちがどんどん重賞に出てくれば盛り上がります。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月13日 (火)

『馬券師倶楽部2』再放送決定!

  栗山求(前編) 
   09/14 (水) 10:30 ~ 11:00
   09/14 (水) 16:00 ~ 16:30
   09/14 (水) 24:30 ~ 25:00
  栗山求(後編) 
   09/15 (木) 10:30 ~ 11:00
   09/15 (木) 16:00 ~ 16:30
   09/15 (木) 24:30 ~ 25:00

CS放送の“MONDO TV”で視聴することができます。よろしかったらどうぞ。

セントウルSはエーシンヴァーゴウ

今年は前半3ハロン通過が34秒1。遅かったですね。00年以降の12年間でこれより遅かったレースは1回しかありません。前有利の流れですんなり2番手につけられたエーシンヴァーゴウ(2番人気)が、ゴール前の叩き合いでグイッと抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=LlOevllCKeI

スローペースの助けも確かにあったと思いますが、今夏の充実ぶりは目覚ましいですね。予想は完敗。直線1000mコースがベストでは……という疑念があり、相手強化、坂コースという不安要素を過大視し、無印にしてしまいました。

配合については7月18日のエントリー「アイビスサマーダッシュはエーシンヴァーゴウ」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-bbcc.html

香港勢の▲ラッキーナイン(5番人気)が2着に入りました。最後に力強く伸びてきましたが、やはりこの距離では少々忙しい印象です。ただ、これで速い流れに慣れれば次走は怖いですね。

もう1頭、◎グリーンバーディー(9番人気)は4位入線も14着降着。昨年はこのレースで仕上げすぎて本番ではオツリがありませんでした。その失敗を踏まえて、今年は本番を見据えた作りにしたのだと思いますが、まさか29キロ増とは……。明らかに太く、発汗も目立っていました。これで4位まで押し上げてくるのですから能力は確かです。ここを使って順当に良化してくれば本番では勝ち負けまであるでしょう。陣営の視線は日本馬ではなくシンガポールのロケットマンに注がれているものと思われます。

〇ダッシャーゴーゴー(1番人気)は3着。外枠で壁を作れず、久々ということもありやや力んでいたようにも映りました。大外を回される距離ロスが大きかったので、この結果は評価を下げるものではないと思います。やはり本番では同厩のカレンチャンとともに日本馬の大将格でしょう。

2011年9月12日 (月)

ヒルノダムールがフォワ賞2着

古馬によって争われた凱旋門賞の前哨戦・フォワ賞(仏G2・芝2400m)は、日本から参戦したヒルノダムールが2着と健闘しました。勝った Sarafina とは短首差。
http://www.youtube.com/watch?v=LXuaVG_Fayc

アウェイの不利を跳ね返し、地元フランスのトップクラスと互角の勝負に持ち込むのですから、日本の芝2400m路線はヨーロッパ列強と比べても遜色ありません。ヒルノダムールは“本当にロンシャンで走るのは初めてなのか?”と疑いたくなるくらい、スムーズに駆けていましたね。久々でこれだけのレースができれば本番でも期待できます。ナカヤマフェスタは最下位の4着とはいえ期待以上の走りでした。本番に間に合ったようです。

勝った Sarafina(1番人気)の瞬発力は惚れ惚れします。テンションが高く折り合いに苦労しながら、最後はズバッと決めました。同じくアガ・カーン四世殿下がかつて所有した Zarkava を思わせる切れ味です。
http://www.pedigreequery.com/sarafina5

同日に行われた3歳馬によるニエル賞(仏G2・芝2400m)は、仏ダービー馬 Reliable Man(2番人気)が2馬身差で完勝しました。日本から遠征したナカヤマナイトは6頭立ての最下位です。
http://www.youtube.com/watch?v=G2GpSm4ioeM

勝った Reliable Man は、パリ大賞典で3着と敗れた以外はすべて勝っています(通算5戦4勝)。今回、同レースで負かされた Meandre に2馬身差をつけたので、3歳牡馬ナンバーワンとして本番に臨みます。配合については6月8日のエントリー「仏ダービーは Reliable Man」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/reliable-man-dc6e.html

さらに同日に行われた3歳以上の牝馬によるヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)は、中団追走の3歳馬 Galikova(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=zMjRHGLCTGg

Galikova はG1を14勝している名マイラー Goldikova の半妹。6月の仏オークス(G1・芝2100m)では人気に推されながらも、同じ Galileo 産駒の Golden Lilac の2着に敗れました。これといって強敵が見当たらないここは順当勝ちでした。
http://www.pedigreequery.com/galikova

凱旋門賞は斤量が鍵を握ります。古馬は牡牝を問わずフォワ賞の斤量から1.5キロ増し、3歳牡馬はニエル賞の斤量から2キロ減。今回のフォワ賞とニエル賞は、いずれも2分32秒台でほとんど差がありませんでした。時計の比較にあまり意味がないとはいえ、レース内容がほぼ同じと仮定すれば、本番は3歳馬が有利と考えられます。

英ブックメーカーの凱旋門賞前売りオッズを見ると、現時点の1番人気は Sarafina で、単勝オッズは3.5~4倍ぐらい。以下、So You Think、Workforce、Nathaniel の3頭が団子で続き、そのあとに Reliable Man が8~9倍、Galikova が10~11倍といった感じですね。ヒルノダムールは13~21倍ぐらい。ナカヤマフェスタは26~34倍ぐらいです。これから本番に向けてオッズは変動していきます。

フォワ賞を勝った Sarafina、ニエル賞を勝った Reliable Man は、いずれも2代目に Sadler's Wells と Darshaan が並びます。前日の英セントレジャー(G1・芝14f132yds)を勝った Masked Marvel、1週間前の愛チャンピオンS(G1・芝10f)を勝った So You Think の父 High Chaparral、今年の英ダービー馬 Pour Moi、愛ダービー馬 Treasure Beach など、中長距離の大レースでは Sadler's Wells と Darshaan の組み合わせが目立ちます。
http://www.pedigreequery.com/reliable+man
http://www.pedigreequery.com/masked+marvel3
http://www.pedigreequery.com/so+you+think
http://www.pedigreequery.com/pour+moi4
http://www.pedigreequery.com/treasure+beach3

一方で、Galileo とデインヒルのニックスも猛威を振るっており、3歳世代の Frankel や Golden Lilac だけでなく、2歳世代からも5戦全勝の牝馬 Maybe(愛G1モイグレアスタッドSなど重賞3勝)が誕生しています。

最近のヨーロッパのトップホースたちは、ごく限られた数種類の血の組み合わせで誕生している感があります。以前に比べて血の幅が狭くなっているような気がしますね。こうした傾向が続けば続くほど、新たな活力の供給源としてサンデー系が入り込みやすくなっていくでしょう。

2011年9月11日 (日)

セントウルSの外国馬(後)

もう1頭の香港馬ラッキーナイン(Lucky Nine)は、アイルランドでデビューし、〔1・1・1・0〕という成績を残したあと香港に移籍しました。

香港の馬場は日本よりも若干重いのですが、アイルランドよりは軽く、一流馬であれば芝1200mで1分08秒台、芝1600mで1分33秒台の時計が出ます。ラッキーナインはそうした馬場に適性があり、重賞戦線で順調に出世を重ね、日本に遠征するまでになりました。

「Dubawi×Green Desert」という組み合わせは、昨年の英2000ギニー(G1・芝8f)とジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)を勝った Makfi と同じ。父 Dubawi はヨーロッパで最も注目を集める若手種牡馬の1頭で、昨年の全欧種牡馬ランキングでは産駒が2世代しかデビューしていないにもかかわらず第4位に食い込みました。基本的にはスピードを活かすタイプが多いのですが、独ダービー(G1・芝2400m)を勝った Waldpark のような馬も出しています。
http://www.pedigreequery.com/lucky+nine

ラッキーナインの半妹レディオブパーシャ(父 Shamardal)、サドンストーム(父ストーミングホーム)はいずれも日本で走り、それぞれ1勝を挙げています。日本の馬場に難なく対応しているので、ラッキーナイン自身も問題なく走れると思います。

以下の映像は今年1月の香港クラシックマイル(G1・芝1600m)を勝ったときのもの。決して優美な走りではないのですが、鍛え上げられた筋肉から繰り出すフットワークは豪快で、いかにも香港馬らしい走りという印象です。
http://www.youtube.com/watch?v=3E_06AB9_R4

何の先入観もなくラッキーナインの配合を見れば、ベストディスタンスは1400~1600mでしょう。もともと1200m路線でクラスを上げてきたのですが、トップクラスの壁を突破できず、距離を延ばして活路を見出したという経緯があります。香港の1200m路線はレベルが高いので、ここで天下を獲れなかったといっても、日本なら通用する可能性があります。初の59キロ、海外遠征という不安点を差し引いても、勝ち負けに加わる可能性はあると思います。

2011年9月10日 (土)

セントウルSの外国馬(前)

10月2日のスプリンターズS(G1・芝1200m)に出走を予定している外国馬は、グリーンバーディー(Green Birdie/香港)、ラッキーナイン(Lucky Nine/香港)、ロケットマン(Rocket Man/シンガポール)の3頭。このうち、ロケットマンは前哨戦を使わずに本番に直行する予定です。香港勢の2頭は日曜日のセントウルS(G2・芝1200m)に出走します。

グリーンバーディーは昨年の2着馬。体調七分で59キロを背負い、インに押し込められて追い出しが遅れながら、勝ったダッシャーゴーゴーとクビ差の勝負ですから能力水準が一枚違います。

チッピングノートンS(豪G1・芝1600m)をはじめ3つの重賞を制した Casino Prince とは、母同士が全きょうだいで父がデインヒルの子、という共通点があります。
http://www.pedigreequery.com/green+birdie
http://www.pedigreequery.com/casino+prince3

             ┌ デインヒル
           ┌○┘
グリーンバーディー ―┤
           └ Mrs.Squillonaire(=Lady Capel)

             ┌ デインヒル
           ┌○┘
Casino Prince ――――┤
           └ Lady Capel(=Mrs.Squillonaire)

2代父デインヒルと母の父ラストタイクーンは、いずれもシャトル種牡馬の草創期にオーストラリアで成功を収め、同国のリーディングサイアーとなりました。ラストタイクーンの父トライマイベストとデインヒルは、いずれも Northern Dancer、Buckpasser、Alibhai を持っているので、血統構成がちょっと似ています。

デインヒルはオーストラリア競馬と相性抜群で、多くの名馬・名種牡馬の父となっています。グリーンバーディーの父 Catbird は、オーストラリアの2歳最強馬決定戦であるゴールデンスリッパーS(G1・芝1200m)の勝ち馬。種牡馬としては03/04年のファーストシーズンサイアーチャンピオン(勝ち星部門)となり、07年、蹄葉炎により11歳の若さで死亡しました。その代表産駒がグリーンバーディーです。

昨年の2着馬ですから、いまさら適性について云々しても始まらないでしょう。臨戦過程を見ると、昨年ほどの勢いは感じられませんが、アジア圏における最高峰のレースでそれなりの成績を残しているので、日本馬との比較で格下という扱いはできません。キッチリ仕上げられていれば十分勝ち負けになるでしょう。(続く)

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2011年9月 9日 (金)

ハーツクライの近親オメガハートランド

■日曜新潟5Rの新馬戦(芝1800m)は、〇オメガハートランド(1番人気)がゴール直前で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=8Iehn64xRMg

「アグネスタキオン×エルコンドルパサー」という組み合わせ。母オメガアイランドは未勝利馬ですが、ハーツクライの半妹にあたる良血です。サンデー系のアグネスタキオンを父に持つ本馬は、ハーツクライの構成要素の50%を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105758/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103038/

             ┌ サンデーサイレンス
           ┌○┘
オメガハートランド ―┤
           └○┐
             └ アイリッシュダンス

           ┌ サンデーサイレンス
ハーツクライ ――――┤
           └ アイリッシュダンス

ハーツクライの配合構成の核は Northirdchance≒Revoked 4×5。本馬は1代遠ざかることになりますが、とりあえずその要素を含んでいます。

母の父エルコンドルパサーはやや不器用というか、エンジンの掛かりが遅いところがあります。そのため、どちらかといえば外回りコースのほうがいいタイプ。今回もゴール前でやっと届きました。東京芝2400mのオークスは合うと思います。

■日曜新潟1Rの未勝利戦(芝1400m)は、コスモアンドロメダ(2番人気)が2番手追走から3馬身抜け出しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104656/

「ロージズインメイ×トニービン」はニックスで、コスモラピュタ(阪神大賞典-4着、菊花賞-5着)を筆頭にミヤビファルネーゼ、マイネルグートなどが出ています。とくに芝の成績は優秀で、連対率は27.5%、1走あたりの獲得賞金額は194万円。母の父にトニービンを持たないロージズインメイ産駒は13.0%、85万円という成績ですから差は歴然です。父ロージズインメイはアメリカ血統が強いので、重厚なヨーロッパ血脈であるトニービンがフィットするのでしょう。

本馬の全姉マイネアロマは1勝馬ながら重賞に3回出走しているまずまずの活躍馬。牝系は以下のようにさかのぼります。俗に“華麗なる一族”と呼ばれる名牝系です。

母ダイイチビビット(3勝)
    ↓
2代母ダイイチルビー(安田記念、スプリンターズS)
    ↓
3代母ハギノトップレディ(桜花賞、エリザベス女王杯)
    ↓
4代母イットー(高松宮杯、スワンS)

最近はやや元気がないので、そろそろ一発を期待したいところです。

2011年9月 8日 (木)

210万円の掘り出し物キリシマトリオ

■日曜小倉5Rの新馬戦(芝1800m)は、◎キリシマトリオ(3番人気)が逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=e1gvmXAMHeY

予想は◎〇△で馬単2400円、3連単19080円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎キリシマトリオは『ウインラディウス×ブライアンズタイム』という組み合わせ。一見地味に思える血統だが、マルゼンスキー≒クイルメーカー3×3という派手な仕掛けがある。稽古では動いているので、この大胆なクロスが吉と出ている可能性がある。ブライアンズタイム、ロイヤルスキーといった血が入り、ローカルの芝1800m戦は合っているだろう。」

予想文に書いた「マルゼンスキー≒クイルメーカー3×3」とは以下のとおり。

          ┌ Northern Dancer(=ノーザンネイティヴ)
        ┌〇┘
マルゼンスキー ┤
        └ シル

        ┌ ノーザンネイティヴ(=Northern Dancer)
クイルメーカー ┤
        └ シル

土曜日の札幌新馬戦を勝ったジャーエスペランサは凄い配合でしたが、こちらもなかなか凝っています。父ウインラディウスは京王杯スプリングC(G2・芝1400m)をレコード勝するなど3つの重賞を制したサンデー系の活躍馬。ただし、トップクラスとは大きな差がありました。現2歳馬が3年目の産駒です。

統計を取ったわけではない単なる経験則なのですが、メジャーとはいえない種牡馬は、このような大胆な配合で自身の持つ名血を積極的に強化したほうが成功するような気がします。

キリシマトリオは上記のクロスに加えてブライアンズタイムを母の父に持ち、力のいる馬場には向いていました。昨年のHBAサマーセールでわずか210万円で落札された馬です。

■日曜札幌5Rの新馬戦(芝1800m)は、△アドマイヤトライ(2番人気)が好位からしぶとく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=dy3mRELbQeA

母アドマイヤグルーヴ、祖母エアグルーヴ、曾祖母ダイナカール、というラインは、我が国でもっとも有名な牝系のひとつでしょう。半姉にアドマイヤテンバ(3勝)、アドマイヤセプター(札幌2歳S-3着、フェアリーS-3着)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106062/

現2歳世代のシンボリクリスエス産駒は、「母の父サンデーサイレンス」が83頭もいます。シンボリクリスエス、キングカメハメハ、クロフネ、タニノギムレット、ジャングルポケットといった非サンデー系種牡馬は、サンデーの良血牝馬をいかに集められるかが勝負といっても過言ではありません。

この世代は、トップクラスのサンデー牝馬が軒並みシンボリクリスエスのもとに集まりました。本馬の母アドマイヤグルーヴ以外にも、トゥザヴィクトリー、ローズバド、ダンスインザムード、ダンスパートナー、ダイヤモンドビコー、フサイチパンドラ、マイケイティーズ、クルーピアスターなどなど。

当ブログで何度か記したように、「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」は、期待の大きさに比べると成績はもうひとつです。これだけ大量のサンプルがあるにもかかわらず、中央の平地重賞を勝ったのはサクセスブロッケンのみ。しかもこの馬はダートホースです。芝では平地重賞の勝ち馬がいないどころかOP特別を勝った馬すらいません。

したがって、芝のレースではなるべく本命を打たないようにしているのですが、この馬はキッチリ勝ち上がりました。名牝アドマイヤグルーヴの息子、という点が最大の勝因です。そして、雨で馬場が渋り、決め手いらずのレースとなったこともよかったのではないかと思います。シンボリクリスエス産駒は総じて芝向きの瞬発力に弱点を抱えているので、洋芝の湿った馬場は合っていたのでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年9月 7日 (水)

Discreet Cat 産駒キズマはダートもOK

■土曜新潟7Rの新馬戦(芝1400m)は、好位追走の△キズマ(2番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZF5zNDg-_TA

ドバイのハヤ王女の所有馬で、父 Discreet Cat は夫君のモハメド殿下が主宰するゴドルフィンの服色で走り、シガーマイル(米G1・ダ8f)、UAEダービー(首G2・ダ1800m)などを制覇しました。シガーマイルでは1分32秒46という驚異的なタイムを叩き出しています。現在はアメリカに繋養されており、今年の2歳世代が初年度産駒となります。アメリカではすでに10頭近い勝ち馬が生まれていますが、まだ成功/失敗を判断する段階ではありません。

キズマは「Discreet Cat×ジェイドロバリー」という組み合わせで、母ハンドオブフェイトは Nijinsky 3×2、Raise a Native 3×4という父母相似配合です。父は Raise a Native-Mr.Prospector と無縁なので、これをしっかり取り込んでいるのはいいでしょう。Storm Bird≒Nijinsky 4×3・4は力強いですね。牝系は Green Desert、ヤマニンパラダイス、アンブロジン、Arch、トワイニングなど多数の名馬を送り出している名門です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102659/

ダート向きではないかと考えて評価を下げてしまいましたが、今回のレースで少なくとも2歳戦の短距離なら芝をこなせることが分かったので、日本でもこれから人気が出るかもしれません。走りっぷりを見ると、父と同じく前肢をたぐっているので、本質的にはダートのほうがいいかもしれません。仮に芝で頭打ちになってもダートに転じればそれなりに稼げそうです。

■土曜札幌5Rの新馬戦(芝1200m)は、2番手追走の★ジャーエスペランサ(7番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Con8dx7NYSQ

稽古は平凡、人気はありませんでしたが、配合がおもしろいので★を打ちました。早い話が Kingmambo≒Candarli 2×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106773/

     ┌ Mr.Prospector
Kingmambo ┤
     └ Miesque(=Bravemie)

       ┌ Mr.Prospector
     ┌〇┘
Candarli ┤
     └ Bravemie(=Miesque)

雨で渋った洋芝コースはパワー必須。レースは1分12秒1という遅い決着となりました。これが良かったのでしょう。

6月1日のエントリー「Nureyev≒Sadler's Wells は道悪で花開く」に、この配合を持つキングカメハメハ産駒は道悪が上手い、ということを書きました。本馬の「Kingmambo≒Candarli 2×2」はその延長線上にあるので、道悪適性が高かったものと思われます。Thong=Ridan 6×4・6・6はエルコンドルパサーを彷彿させます。エルコンドルパサーは不良馬場の凱旋門賞で2着となりました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/nureyevsadlers--cfdc.html

ジャーエスペランサの今後の課題は、良馬場のスピード競馬に対応できるかどうかでしょう。

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2011年9月 6日 (火)

小倉2歳Sはエピセアローム

01年から昨年まで、小倉2歳S(G3)は10年連続良馬場で行われてきて、前半3ハロンの平均通過タイムは33秒3でした。今年は台風の影響で馬場発表は稍重。にもかかわらず、33秒4で通過しているのですからハイペースでした。

先に行った馬はペースがきつかったことに加え、外差しの馬場になっていたこともあり踏ん張りきれず。中団から後方に待機していた馬たちが差し込んで上位を占めました。
http://www.youtube.com/watch?v=h3loU7w-dcY

△エピセアローム(2番人気)の勝因は、展開だの馬場だのといった次元ではなく、見てのとおり1頭だけ図抜けていた能力です。前走の未勝利戦(芝1600m)は尋常ではない強さでした。今回は2ハロンの距離短縮、控える競馬など、越えるべきいくつかのハードルがありましたが、コーナーで若さを覗かせながらもねじ伏せました。現時点における2歳牝馬ナンバーワンです。浜中騎手はここ4年間で3勝ですからゲンのいいレースですね。

未勝利戦を圧勝した直後、7月26日のエントリーに以下の文章を記しました。

「エピセアロームはラターシュとエクセルサスの半妹。父ダイワメジャーは血統構成にやや硬いところが見られるので、母の父 Cozzene のような柔軟な血が入るのはいいでしょう。Cozzene は気難しいところがあり、産駒は逃げたり追い込んだりといった極端なレースで結果を残しています。今回の逃げ戦法は、馬が気分よく走れたという意味でもよかったと思います。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/

中距離血統なので1200m向きではなく、気難しい Cozzene を持つだけに、雨で緩くなった芝のキックバックを浴びたり、馬群に揉まれたり……といった際の不安があり、評価を下げてしまいましたが、ほかの馬とは地力が違っていました。脱帽です。

父ダイワメジャーは現役時代も種牡馬としても、サンデー系らしいスパッと切れるタイプではありません。現時点で〔7・16・3・52〕という成績が示すとおり詰めの甘さが目につきます。

ダイワメジャーのようなタイプの競走馬は、切れる馬の餌食となって大レースでは脇役に回るケースが多いのですが、そうはならずに数々のG1をものにしたのは、エンジンの性能がずば抜けていたからです。要するに心肺機能の強さですね。半妹ダイワスカーレットにしても苦しいと思われる場面から二枚腰、三枚腰の粘りを見せました。この血統の最大の長所でしょう。

今回のエピセアロームは勝負どころで大外を回り、距離ロスは大きかったはずですが、最後に垂れるどころかグンと突き抜けました。この頑張り、すなわち心肺機能の強さは、主に父ダイワメジャーから受け継いだものではないかと思います。

ダイワメジャー産駒に瞬発力が加われば怖いものなしです。したがって、Caro-Cozzene のようなスパッと切れる血を掛け合わせるのは好感が持てます。Halo≒Drone クロスが生じるダンシングブレーヴと相性がいいのも、父の硬さを解きほぐして瞬発力を引き出すという、配合的に望ましいベクトルに沿う部分が多いからでしょう。中距離血統なので距離が延びたほうがスムーズなレースができるはずです。

◎アイラブリリ(3番人気)は8着。ハイペースに巻き込まれたのと、騎手の談によると緩い馬場を気にしたとのことです。こんな馬場こそ得意だろうと考えたのですが、実際はそうではありませんでした。

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2011年9月 5日 (月)

『馬券師倶楽部』再放送決定!

  半笑いVS栗山求(前編)
   09/06 (火) 10:30 ~ 11:00
   09/06 (火) 16:00 ~ 16:30
  半笑いVS栗山求(後編)
   09/07 (水) 10:30 ~ 11:00
   09/07 (水) 16:00 ~ 16:30

CS放送の“MONDO TV”で視聴することができます。よろしかったらどうぞ。

新潟2歳Sはモンストール

東西の2歳重賞は、いずれも「サンデーサイレンス×ノーザンテースト」の組み合わせから成る種牡馬(アドマイヤマックスとダイメジャー)の子が勝ちました。今年のオークス馬エリンコートも同じ組み合わせのデュランダルを父に持つので、今年はこの配合の種牡馬の活躍がやけに目立ちます。

もし3ヵ月前に、モンストール(父アドマイヤマックス)とエピセアローム(父ダイワメジャー)の血統表を渡されて、新潟2歳Sと小倉2歳Sのどちらを勝ちそうですかと問われたら、たぶん現実の結果とは逆を選択していたのではないかと思います。

新潟2歳S(G3・芝1600m)を勝った△モンストール(4番人気)は、「ここまで強いとは……」というのが率直な感想です。
http://www.youtube.com/watch?v=MgogWbg-xLM

「アドマイヤマックス×デヒア」はローカル向きの軽さを感じさせる配合です。現役時代のアドマイヤマックスは、高松宮記念(G1・芝1200m)を勝ったスピード馬で、母の父デヒアはパワー型のスピードタイプ。ここに底力を与えているのは2代母イソノルーブルでしょう。91年のオークス馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101347/

イソノルーブルの父ラシアンルーブルは、「Nijinsky×Buckpasser×Princequillo」という組み合わせで、マルゼンスキーと血統構成の8分の7まで同一です。ただし、マルゼンスキーのようなスマートさや才気はなく、硬さを帯びた重厚な血で、持続力に優れていました。帝王賞とフェブラリーHを勝ったラシアンゴールドの父でもあります。

イソノルーブルの母キティテスコは Nasrullah 3×3。こういうスピード配合の母からオークス馬を送り出したことでも、ラシアンルーブルの重厚さをご理解いただけると思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1988104640/

いまのところアドマイヤマックス産駒は大物感に欠けるものがほとんどですが、モンストールのほかにもう1頭、アドマイヤコスモス(中央転入後3連勝中)という有望株がいます。この馬の母アドマイヤラピスは、嵐山S(OP・芝3000m)を勝ちステイヤーズS(G3・芝3600m)でも2着となったステイヤー。重厚な血が入ると大物感を醸し出すという、素直なタイプの種牡馬なのかもしれません。モンストールの場合、前述のとおりオークス馬イソノルーブルが底力のバックボーンになっているものと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101630/

モンストールの配合的なキーポイントとしてもうひとつ注目したいのは、母の父デヒアです。今回あらためて調べてみて気づいたのですが、母の父として非常に優れています。デヒア産駒は一本調子のダート馬が多く、ローカルのダート短距離、同1700mあたりで稼ぐようなタイプがほとんどでした。仮に自分が牧場を持っているとしたら、できれば入れたくないと感じるような血です。しかし、そうしたイメージは単なる先入観に過ぎません。8月終了時点で母の父としては連対率20.7%(497戦103連対)。この数値は立派の一語です。母の父として20%を超えてくるのは文句なしの一流です。

ある程度頭数が走っていてこれより上の数値を出しているのは、フレンチデピュティ(23.3%)とエンドスウィープ(22.0%)ぐらい。サンデーサイレンスは18.3%、ノーザンテーストは17.4%、トニービンは17.0%、マルゼンスキーは16.6%、トウショウボーイは15.5%です。

JRAで出走した「母の父デヒア」50頭中、社台系の牧場が生産した馬はわずか2頭。ほとんどが日高の生産馬でありながらこれだけの成績を挙げているのですから優秀という以外にありません。このほか海外でも、米最優秀スプリンターに輝いた Midnight Lute(07、08年ブリーダーズCスプリント)を出しています。
http://www.pedigreequery.com/midnight+lute

デヒアの父 Deputy Minister は母の父として定評があり、自身も07年に北米でリーディングブルードメアサイアー(母の父の種牡馬チャンピオン)に輝いています。また、前出のフレンチデピュティも Deputy Minister の息子です。アパパネの母の父 Salt Lake も一見大物感に欠けるのですが、これも Deputy Minister の子ですから、母の父として特別なものを伝えている可能性があります。

モンストールが反応よく先に抜け出し、ジャスタウェイの追撃を抑えたシーンは、アパパネがブエナビスタを破って優勝したヴィクトリアマイル(G1)に似ていると感じました。

新潟の外回りコースは直線の長い特殊なコースなので、32秒7という速い上がりで勝ったといっても、瞬発力タイプと決め付けることはできません。モンストールは、加速に優れているのは確かですが、本質的にはスピードの持続力で勝負するタイプではないかという気がします。小回りコースにも対応できるでしょう。

◎ジャスタウェイ(1番人気)は2着。3着以下を5馬身ちぎっているのですから力は示しました。予想は△◎で馬連950円的中です(ウマニティでは連単3080円的中)。

モンストール、ジャスタウェイの2頭は、例年の新潟2歳Sの勝ち馬レベルを上回っていると思います。秋の中央開催でデビューを予定している大物たちにとっては強敵でしょう。今年の2歳戦線は相当おもしろくなりそうな予感がします。

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2011年9月 4日 (日)

ゴールドアリュール化するネオユニヴァース

土曜小倉9Rの唐津特別(500万下・ダ1700m)は、ネオユニヴァース産駒のウインベルカント(3番人気)が快勝しました。

同馬が直線でグイグイ伸びてくる姿を目にしたとき、このところ薄々感じていたことが確信に変わりました。

ネオユニヴァースはゴールドアリュール化しているのではないか、ということです。

ヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、アンライバルドなどを送り出したネオユニヴァースは、大レースに強い種牡馬として馬産地で人気を博しています。ただ、最近の競馬を見ていると、イタリアンレッドのような芝の重賞勝ち馬が出現する一方で、全体的な活躍のフィールドは芝からダートへと徐々に移ってきているのを感じます。たとえば、先日のレパードS(G3・ダ1800m)ではタカオノボルが2着と健闘しました。冒頭でご紹介した唐津特別の3レース前、小倉6R(500万下)でもネオリアライズがダート1700m戦を圧勝しています。

産駒がデビューした08年以降、芝とダートでそれぞれ何勝ずつ挙げてきたかを年ごとに並べてみます。

     芝  ダート
08年 17勝  5勝
09年 40勝 21勝
10年 54勝 42勝
11年 21勝 60勝

昨年までは芝が優勢でしたが、今年に入ってからはなんと芝よりもダートのほうが3倍近く勝っています。

ネオユニヴァースは、ほかのサンデー系の有力種牡馬と比べて、軽快なスピードに恵まれいるわけではなく、スパッと切れるわけでもありません。その代わり、パワーと底力は十分。つまり、もともとダート向きに転化しやすい資質を備えていました。この先、若い世代からタカオノボル、ナムラカイシュウ、インペリアルマーチ、アドバンスウェイのようなパワータイプが台頭してくるのではないか思います。やがては第二のゴールドアリュールとなるかもしれません。

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2011年9月 3日 (土)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(7)

ダービーダン方式で誕生した名牝 Memories of Silver は、ビヴァリーD.S(米G1・芝9.5f)、クイーンエリザベス二世チャレンジCS(米G1・芝9f)など7つの重賞を制覇。後者で樹立した1分45秒80というステークスレコードは現在も破られていません。

繁殖牝馬としても非凡な才能を示し、娘の Winter Memories(父 El Prado)は現在、アメリカの牝馬芝戦線で注目を集める存在となっています。芦毛がトレードマークの同馬はダービーダンファームの生産馬(正確にはフィリップスレーシングパートナーシップ)。2歳時の昨年はBCジュヴェナイルフィリーズターフ(G1)で2着と敗れたものの、今年に入ってからアパラチアンS(G3)、サンズポイントS(G2)、レイクジョージS(G2)と重賞3連勝。
http://www.pedigreequery.com/winter+memories

7月27日、ニューヨーク州のサラトガ競馬場で行われたレイクジョージS(米G2・芝8.5f)は、後方から大外を進出して直線で突き抜けるというモノが違うレースぶりで、まるで Zenyatta のようでした。偶然ですが両馬とも母に Roberto と Ribot の組み合わせがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=poZrlkBK0hs

通算成績は7戦5勝。圧倒的な1番人気に推された前走のレイクプラシッドS(G2)は、内に押し込められる窮屈なレースを強いられ、しかも外に出そうとするときに進路をカットされるなど、スムーズな競馬ができず4着に敗れました。これは参考外の1戦なので、次走は巻き返してくるものと思われます。

順調に行けば、秋はキーンランドのクイーンエリザベス二世チャレンジCS(米G1・芝9f)を経てチャーチルダウンズのBCフィリー&メアターフ(米G1・芝11f)でしょうか。

クイーンエリザベス二世チャレンジCSは、ダービーダンファーム生産馬やダービーダン血統ときわめて相性がよく、84年のレース創設以来、計10頭が勝っています。先に記したとおり Winter Memories の母 Memories of Silver は96年にステークスレコードで優勝しました。

87年 Graceful Darby ★
88年 Love You By Heart ★
90年 Plenty of Grace ★
93年 Tribulation ★
96年 Memories of Silver ★
97年 Ryafan ☆
00年 Collect the Cash ◆
02年 Riskaverse ◆
03年 Film Maker ◆
10年 Harmonious ◆

   ★…ダービーダン生産馬
   ☆…ダービーダン血統
   ◆…Dynaformer 産駒

Winter Memories はダービーダンファームの生産馬ですから、このレースと相性がいいはずです。

もし仮に、続くBCフィリー&メアターフに Blue Bunting(英1000ギニー、愛オークス、ヨークシャーオークス)が出てくれば、ダービーダン血統同士の決戦となります。連載の冒頭に記したように、欧州3歳最強牝馬の Blue Bunting は Dynaformer を父に持ちます。Winter Memories よりも力は相当上でしょう。ただ、Winter Memories は成長力と底力に秀でた血統で、地元の利もあります。一発があっても不思議はありません。もし対決が実現するならば、個人的に今年のブリーダーズCのなかで最も楽しみなレースとなります。(この項終わり)
http://www.pedigreequery.com/blue+bunting

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2011年9月 2日 (金)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(6)

ダービーダンファームにゆかりの深いわが国の競走馬はグラスワンダーだけではありません。現役時代にダービーを勝ち、ウオッカの父としても名高いタニノギムレットもそうです。

父ブライアンズタイムは以前ご紹介したようにダービーダンファームの生産馬です(正確にはジョン・フィリップスの母でジョン・W・ガルブレイスの娘でもあるジョディ・ガルブレイス)。

2代母タニノシーバードは、オーナーの谷水雄三氏が先代の急死によってカントリー牧場を受け継いで間もないころ、アメリカへ渡ってセリで落札した馬です。父 Sea Bird、母の父 Graustark は、いずれもダービーダンファームの繋養種牡馬。生産者はジョン・W・ガルブレイスなので、実質的にはダービーダンファームです。

父と2代母、すなわち血統の4分の3までがダービーダン血統で、同牧場の名種牡馬 Graustark を3×4でクロスさせています。あの重厚感あふれる万能型のキャラクターは、ダービーダンファームが作り上げた血統的個性を強く感じさせるものでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999100226/

Ribot は劇薬のような血で、正しい使い方をすれば素晴らしい効果を発揮します。そのかわり、使用量を守る必要があります。近い世代では単独で使ったほうがいいタイプです。強いクロスを作った場合、鈍重さ、硬さ、気性の難しさといったものを表しがちなので、決して扱いやすい血ではありません。ただし、稀にハマったときは大きな効果を発揮します。タニノギムレットはそうした稀有な例でしょう。

ブライアンズタイム、サンシャインフォーエヴァー、Dynaformer、Memories of Silver、Ryafan などは、いずれも Golden Trail の牝系から誕生しています。Roberto と Golden Trail を組み合わせると、Admiral Drake≒Roman、Flaming Swords≒Dinner Time という相似な血のクロスが生じます。
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
       │ └ Plucky Liege
Roman ――――┤   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

http://www.pedigreequery.com/flaming+swords
http://www.pedigreequery.com/dinner+time

         ┌ Man o'War
Flaming Swords ―┤ ┌ High Time
         └○┘

         ┌ High Time
Dinner Time ―――┤ ┌ Man o'War
         └○┘

これが Roberto と Golden Trail の特別な好相性の鍵ではないか、と思われます。(続く)

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2011年9月 1日 (木)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(5)

ダービーダンファームの現在のオーナーは、創業者ジョン・W・ガルブレイスの娘の息子、すなわち孫にあたるジョン・フィリップスです。生産馬や所有馬の名義は、以前からガルブレイス家やフィリップス家の個人であったり法人であったり共同所有であったり、その形態は無数のバリエーションがあります。それらを区分けするのは不毛な作業なので、ここではすべてまとめてダービーダンファームの馬とします。

Roberto と Ribot の組み合わせから誕生した名馬は、スタミナと底力に恵まれ、芝適性もありました。ダービーダンファームが作り出した名馬たちに潜む Ribot の血は、前回のエントリーでご説明した Graustark と His Majesty の全兄弟にほぼ限られます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/08/dynaformer-ec72.html

ダービーダン方式は、サンシャインフォーエヴァー、ブライアンズタイム、Dynaformer といった牡馬だけでなく、数多くの名牝をも誕生させました。たとえば、Plenty of Grace(イエローリボンS、ダイアナH)とその4分の3妹 Soaring Softly(BCフィリー&メアターフ、フラワーボウル招待H)、Memories of Silver(ビヴァリーD.S、クイーンエリザベス二世チャレンジCS)、Ryafan(仏米でG1を4勝)など。最後の Ryafan はダービーダンファームの馬ではありませんが、血統は完全にダービーダン方式です。
http://www.pedigreequery.com/plenty+of+grace
http://www.pedigreequery.com/soaring+softly
http://www.pedigreequery.com/memories+of+silver
http://www.pedigreequery.com/ryafan

Plenty of Grace と Soaring Softly の姉妹は、Roberto と Graustark を併せ持ち、Soaring のファミリーに属しています。これは日本で走ったある名馬と同じパターンです。その名はグラスワンダー。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108676/

           ┌ Roberto
         ┌○┘
グラスワンダー ―┤
         └〇┐ ┌ His Majesty(=Graustark)
           └〇┤
             └〇┐
               └ Soaring

         ┌ Roberto
         │   ┌ Graustark(=His Majesty)
Plenty of Grace ―┤ ┌〇┘
         └〇┤
           └〇┐
             └ Soaring

グラスワンダーの生産者は、「フィリップスレーシングパートナーシップ&ジョン・フィリップス」。長ったらしくわかりにくい名前ですが、「ジョン・フィリップス」はダービーダンファームの現オーナーですから、実質的にはダービーダンファームの生産馬と考えて間違いありません。

怪物グラスワンダーはダービーダン方式によって生み出されました。桁違いの排気量、スピードもスタミナも十分という美点は、Roberto と His Majesty がベースとなって形作られたものです。(続く)

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競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!