Northern Dancer 没後20年(3)
Northern Dancer から派生したいくつかの主要ラインのうち、ここ20年で衰退していったのは Nijinsky と Lyphard。もはやかつての勢いを回復するのは難しいでしょう。
アメリカは Storm Cat 系の一極体制です。2010年のランキング(ブラッドホース誌)を見ると、10位以内に3頭の Northern Dancer 系種牡馬がランクインしており、そのすべてが Storm Cat 系です。
2位 Giant's Causeway(by Storm Cat)
8位 Lion Heart(by Tale of the Cat)
10位 Tale of the Cat(by Storm Cat)
3頭ともクールモアの所有馬でしたが、Lion Heart は今年1月にトルコに売却されました。売った途端、Dangerous Midge(BCターフ)、Line of David(アーカンソーダービー)、Kantharos(サラトガスペシャルS)などの大物が出てきています。
Storm Cat 系を背負って立つエースが Giant's Causeway であるのは衆目の一致するところでしょう。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出しています。まだ13歳ですから少なくともあと数年は第一線で頑張れるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway
初期の代表産駒 Shamardal は、初年度から Lope De Vega(仏ダービー、仏2000ギニー)を送り出し、種牡馬として好スタートを切っています。Shamardal の母は名種牡馬 Street Cry(Zenyatta、Street Sence などの父)の全姉。血統的にもおもしろい馬です。
http://www.pedigreequery.com/shamardal
http://www.pedigreequery.com/street+cry
Storm Cat は、パワーと仕上がりの早さは超一流ですが、日本の軽い芝にフィットするようなしなやかさと瞬発力を欠き、気ムラで信頼性が乏しいという欠点があります。早い話が日本向きの血とはいえません。サンデーサイレンスとの相性もイマイチでした(息子のスペシャルウィークやマンハッタンカフェとは相性良好)。
ただ、 Giant's Causeway はそのあたりのアクの強さが緩和されており、日本で走ったスズカコーズウェイとエイシンアポロンは芝の重賞を勝ちました。Storm Cat 系は今後、Giant's Causeway を通じて発展していくものと思われます。(続く)
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