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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

展望

2011年10月23日 (日)

菊花賞の穴馬2011

単なる血統診断とは違い、予想は「格」と「適性」の見極めがテーマですから、そこがおもしろいところです。

「格」というのは総合能力と言い換えてもかまいません。先日死んだシンボリルドルフは現役時代2000m前後がベストの中距離馬で、能力がズバ抜けていたため菊花賞を勝って三冠を達成しました。出走馬のなかには高い長距離適性を秘めた馬もいましたが、中距離馬シンボリルドルフの総合能力の前に敗れ去りました。

3000mはどの馬も走ったことがない未知の距離です。しかし、人気は2000~2400mあたりの実績で形成されます。人気馬が格の高さでそのまま押し切ることもありますが、それまで注目されていなかった人気薄が突っ込んでくることも少なくありません。そうした馬はほぼ例外なく長距離レースに対する「適性」を持った馬です。

00年以降、7番人気以下で連対した馬が9頭います。うち4頭がダンスインザダーク産駒で、残り5頭はそれぞれリアルシャダイ、サッカーボーイ、Sadler's Wells、ペンタイア、バゴを持っていました。

それまでは平凡な成績で人気に推されることもなく、3000mという距離で変わり身を見せるわけですから、激走の原因は“高い長距離適性”以外に考えられません。

昨年の菊花賞直前のエントリーで、菊花賞の穴馬として挙げた5頭のなかから、1着ビッグウィーク(7番人気)、3着ビートブラック(13番人気)が出ました。それまでの競走実績を考えると買いづらい馬ではありましたが、菊花賞で穴を狙うときは成績面を極力無視し、血統だけで買うほうがいい結果を生む、というのがこれまでの経験則です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-fa2e.html

今年も、人気薄ながら長距離適性が高そうな馬を5頭挙げてみます。

2番ルイーザシアター(母が Kingmambo×Quest for Fame)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102824/
6番シゲルリジチョウ(母が Sadler's Wells×Darshaan)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103874/
7番ゴットマスタング(母の父 Sadler's Wells)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101715/
8番ダノンミル(父ジャングルポケット)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102875/
16番ダノンマックイン(2代母リアルシャダイ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103259/

ゴットマスタングなどは500万下を勝ったばかりですから、常識的に考えて苦しいとは思います。でも、ここに挙げた5頭のような、多少の無理筋を狙っていかないと大穴は取れません。とりあえずプライベートの馬券では目をつぶってこの5頭は押さえたいと思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月15日 (土)

秋華賞で狙えるタイプ、狙えないタイプ

秋華賞は珍しいことに“良馬場以外で行われたことがないG1”です。創設された96年以降、すべて良馬場で開催されており、稍重すらありません。

関西地方では金曜日から雨が降り出し、予報によれば土曜日のお昼ごろにかけてかなりの雨量となるようです。ただ、昔と違って最近は馬場回復のスピードが速いので、なんだかんだで最終的には良馬場となるような気がします。とはいえ、パンパンの良馬場ではないでしょうし、前が残りやすいのか差しが決まりやすいのか、内伸びなのか外伸びなのかなど、直前までレースの傾向が把握できません。このあたりの見極めが今年は大変です。

京都芝2000mは内回りコースです。直線が短く、ゴチャゴチャした競馬になりやすいので、荒れるときは荒れます。加えて、秋華賞はフルゲート18頭ですから、乗っているジョッキーにとっても難易度が高いレースです。

00年以降のデータを見ると、京都芝2000mにおける逃げ馬の連対率は28.6%なので、外回りコースで行われる他のレース(外1400m、外1600m、1800、2200、2400m)に比べると好成績です。小回りコースだけに先に行った馬が有利、というわけです。

ただし、クラス別でみると話が違ってきます。OP特別と重賞に限ると、逃げ馬の連対率は17.3%に下がります。下級条件と違ってペースがキツくなるので、逃げ馬が残れなくなります。

秋華賞でもこの傾向は生きており、過去15回のなかで連対を果たした逃げ馬は00年のヤマカツスズラン(2着)のみ。このときは1000m通過が60秒8というレース史上2番目のスローペースでした。平均すると59秒1ぐらいのペースで展開するレースなので、差し馬が有利です。

今年は短距離戦で揉まれてきたメモリアルイヤーが行くので、少なくとも平均ペースでは流れるでしょう。大逃げという形になると2番手の出方がレースを作ることになるのですが、2番手候補のピュアブリーゼは切れ味勝負では分が悪いので、じっくり溜めていくということはなく、付かず離れずで追いかけるのではないかと思います。こうなるとやはり差し有利でしょうか。

小回りコースに実績があり、ハイペース耐性のある馬。こういうタイプが狙い目です。血統的には Roberto、ノーザンテースト、トニービン、Nijinsky、Deputy Minister あたりがいいですね。直線の長いコースでの実績を鵜呑みにするのは危険です。00年以降、10番人気以下で勝ったティコティコタックとブラックエンブレムは、ともに小回り巧者でした。前者はそれまでに挙げた3勝が中京、小倉、小倉。後者は春にフラワーC(G3・中山芝1800m)を勝っていました。穴を開けるのはこういうタイプです。

2011年10月 1日 (土)

シンガポールの快速王ロケットマン

ワールドサラブレッドランキングの最新版によれば、スプリント部門の世界トップはオーストラリアの快速牝馬 Black Caviar で、2位はロケットマン(Rocket Man)です。後者のレーティングは125ポンド。日曜日に行われる凱旋門賞(仏G1・芝2400m)の出走馬のなかで最も高く評価されているのが So You Think で126ポンド。ロケットマンはそれとほとんど変わらないわけですから実力のほどが窺えます。

どのカテゴリーであれ、125ポンドをもらった馬が来日するのは稀なことです。スプリンターズS(G1・芝1200m)では過去に例がありません。たとえば、1番人気で優勝を果たした05年のサイレントウィットネス Silent Witness(香港)、06年のテイクオーバーターゲット Takeover Target(オーストラリア)は、来日時それぞれ123、118ポンドでした。ロケットマンはそれらの上を行きます。先日行われたセントウルS(G2・芝1200m)の2着馬ラッキーナインは117ポンド、4位入線のグリーンバーディーは114ポンドです。

ワールドサラブレッドランキングの結果どおりにレースが決着したら誰も苦労はしないのですが、少なくとも基本能力についての有力な物差しにはなります。数値が120以上あり、状態面や馬場適性に問題がなければ好走はほぼ間違いないところです。

ロケットマンはオーストラリアで誕生し、シンガポールで競走馬となりました。オーストラリアは世界最高の芝短距離王国で、過去にスプリンターズSを制した海外調教馬3頭はいずれも同国で誕生しています。香港の短距離路線がきわめてハイレベルなのは、馬資源のほとんどをオーストラリアから輸入しているからです。ロケットマンが本拠とするシンガポールもオーストラリアやニュージーランドから馬を仕入れています。
http://www.pedigreequery.com/rocket+man

ロケットマンの半兄 Our Giant(父 Giant's Causeway)は南アフリカのホースチェスナットS(G1・芝1600m)の勝ち馬。母 Macrosa は97年のジャパンCで12着となったエボニーグローブ Ebony Grosve の半姉で、母の父マクギンティ McGinty は83年のジャパンC5着馬です。質の高いファミリーの出身で、なおかつ日本とも縁があります。
http://www.pedigreequery.com/our+giant
http://www.pedigreequery.com/ebony+grosve
http://www.pedigreequery.com/mcginty

父 Viscount は英ダービー馬 Quest for Fame の子。ただ、競走馬としてはスプリンター寄りのマイラーで、1600mのG1を2勝、1400mのG1を1勝しています。Octagonal、Kaapstad、Danewin、コマンズ、Don Eduardo など多くの名馬が現れている名牝系に属し、種牡馬としてはロケットマンのほかにオーストラリアで2頭のG1馬を送り出しています。ただ、全体的な種牡馬成績は平凡というべきもので、ここ3年の種牡馬ランキングは40位、37位、54位です。

ロケットマンは、兄弟にG1馬がいる良血に加え、相性のいい Sir Tristram と Sovereign Path を持っていることが強調材料として挙げられます。オーストラリア産の名スプリンターは、サイレントウィットネスやテイクオーバーターゲットにしてもそうですが、スプリンター血統ばかりを掻き集めて誕生しているわけではなく、スタミナ血統がやや多すぎるのではと思うくらいしっかり入っています。ロケットマンの場合でいえば、Quest for Fame、McGinty、Tamerlane、Ribot など。おそらくこれがスピードを持続させるスタミナとして作用しているのでしょう。

通算21戦17勝(2着4回)という成績は圧巻の一語。スタートは抜群に速いので出遅れて包まれる危険性はありません。遠征慣れしており、どんな環境・条件でも勝ち負けに持ち込む安定性は大きなセールスポイントです。金曜日、中山競馬場のダート(良)で上がり3ハロン35秒9(ラスト1ハロン11秒5)という時計を出しました。強烈としかいいようがありません。

唯一の死角は切れる脚を使えないこと。ワンペースでじりじりと伸びるタイプなので、スローペースで極端に上がりが速くなったときには不安があります。ただ、平年並みの速い流れになれば、バテることを知らない馬なのでスピードの持続力でねじ伏せてしまうでしょう。

2011年8月13日 (土)

兵庫のオオエライジンが大井の黒潮盃出走

8月16日(火)に大井競馬場で黒潮盃(SII・ダ1800m)が行われます。98年までは羽田盃トライアルとして4月に行われていましたが、翌年から8月に移動し、04年からは全国交流競走に生まれ変わりました。中央馬の出走権はなく、地方競馬のみの交流重賞です。

今年の注目馬は兵庫から遠征してくるオオエライジン(父キングヘイロー)。ここまで7戦全勝という成績です。2月26日のエントリー「ボールドスマッシュ2勝目」で一度取り上げたことがあります。当時は5戦全勝でしたが、その後、一般戦を勝ち、大一番の兵庫ダービーでは宿敵ホクセツサンデーに7馬身差をつけて悠々と逃げ切りを収めました。兵庫ダービーの前には右前肢の骨膜炎で3ヵ月のブランクがあったのですが、力の違いを見せつけました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-cfc1.html

前記のエントリーからオオエライジンの血統解説を転載します。

「2代母フシミラッキーは道営の北海優駿を制した名牝。父がキングヘイローで母方にブレイヴェストローマンを持つのでキクノアロー(ダイオライト記念)と似ている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102256/

04年以降の7年間で、南関東以外の馬が勝ったのは07年のマルヨフェニックス(笠松)のみ。JRAにマルカフェニックスという馬がいますが、もちろん別馬です。マルヨはそれ以前に園田に遠征したり、黒潮盃の前には大井のジャパンダートダービーを使うなど遠征慣れしていました。

オオエライジンの場合、デビュー以来一度も園田から出たことがありません。長距離輸送も初めてなら、園田以外の競馬場に滞在した経験もなし。マルヨフェニックスと違うのはこの点です。

また、前走後順調さを欠いたことも気になります。7月13日のジャパンダートダービーを登録だけにとどめ、7月19日の地元戦に出走するはずだったのですが、熱発で除外となるアクシデント。それからまだ1ヵ月も経っていないので、ベストコンディションで臨めるかどうか微妙なところです。

逆にいえば、これだけの逆風を克服すれば、オオエライジンはかなりの大物ということになります。どんな走りを見せてくれるのか興味津々です。

迎え撃つ大井勢の1頭、ラカンパーナ(東京プリンセス-3着、東京2歳優駿牝馬-4着)は、先日のテイエム牧場門別育成場の火災で死亡したテイエムサンサンの半姉。ここは弔い合戦となります。

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2011年7月30日 (土)

九州産馬限定の新馬戦はロドリゴデトリアーノ産駒だらけ

夏の小倉開幕週には、恒例の九州産馬限定の新馬戦(芝1200m)が組まれています。

九州は馬産の規模が小さく、種牡馬の選択肢も少ないため、出走馬の父が極端に偏る傾向があります。90年代は出走馬の半分がシンウルフ産駒ということがありました。ここ数年はサイレントハンター産駒が目立っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979106304/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993104485/

そして今年はロドリゴデトリアーノ産駒。土曜小倉5Rの新馬戦に出走する18頭のうち7頭が同産駒です。

日本軽種馬協会に所属する種牡馬は、国内にあるいくつかの種馬場を旅芸人のように渡っています。08年にロドリゴデトリアーノは九州種馬場で仕事に励みました。そのときの種付けで誕生した産駒が現2歳馬です。ロドリゴデトリアーノといえばエリモエクセル(オークスなど重賞4勝)やスーパーホーネット(毎日王冠など重賞4勝)の父。すでに高齢ですが配合さえ合えば一流馬を送り出せる種牡馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000d71/

ひとつのレースに同一種牡馬の子がこれだけ多いと、血統予想がしづらい面はたしかにあります。それ以前に、九州産馬は実力のバラつきが大きいので、稽古で好時計を出した馬が素直に走る傾向が見られます。今年もそのとおりに決まるかもしれません。しかし、それに流されてはいけないので、あくまでも配合にこだわった予想をしてみたいですね。

00年以降、九州産馬でJRAの平地重賞を制したのはテイエムチュラサン(アイビスサマーダッシュ)のみ。今年の2歳世代にはロドリゴデトリアーノという心強い援軍が来たので、大物が隠れている可能性もあると思います。

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2011年7月16日 (土)

サンデーの血が通用しないアイビスサマーダッシュ

JRA最短距離重賞であり、なおかつ直線コースで行われる唯一の重賞であるアイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m)。昨年までの過去10回、延べ20頭の連対馬のなかで、サンデーサイレンスの血を含んだ馬は1頭もいません。サイアーラインだけではなく母方に入った馬も皆無です。

わずか20年弱で日本血統を完全に塗り替えた感のあるサンデーサイレンスが、なぜこの重賞だけ攻略できないのかといえば、言うまでもなくレース条件が特殊だからです。

スタートから全力で突っ走る、というレースに求められるのは、ダッシュ力やスピードの持続力であり、溜めて切れるというサンデーの持ち味ではありません。

今回、サンデーの血が入っている馬は以下の6頭。

1番 バイラオーラ(母の父SS)
4番 アイアムマリリン(2代父SS)
5番 サアドウゾ(2代父SS)
8番 マヤノロシュニ(2代父SS)
9番 セブンシークィーン(母の父SS)
10番 ストロングポイント(母の父SS)

内枠の馬が多いので、まとめてバッサリ切ってしまうのもひとつのやり方でしょう。ただ、個人的にはそろそろ連絡みする馬が出てきてもいいころではないか、と考えています。

母の父にサンデーを持つバイラオーラ、セブンシークィーン、ストロングポイントは、いずれもフォーティナイナー系の父を持っています。やはりここに出走してくる馬は、直線1000mで好走するための特徴を備えた血統であることが分かります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102828/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101515/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102163/

サンデーサイレンスの父系から誕生した残りの3頭、アイアムマリリン、サアドウゾ、マヤノロシュニの父は、それぞれマンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、マンハッタンカフェ。

2頭出しのマンハッタンカフェは、短距離に強いジョーカプチーノやアーバニティの父でもあります。フジキセキに似てサンデー系にしては短距離重賞で買えるタイプです。一方、ゴールドアリュールは周知のとおりダートに強いのですが、緩急や柔軟性よりもスピードの持続力が求められるこのレースは、一本調子のダート血統が案外頑張っているという傾向が見られます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103030/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101135/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104486/

以上の6頭はこのレースに向いた資質を備えています。サンデーの血を持つ馬は連対できない、という法則が破られるのは時間の問題であり、それが今年である可能性も十分あると思います。

2011年6月25日 (土)

女王陛下の Carlton House(後)

Carlton House の父 Street Cry は、ゴドルフィンの持ち馬としてドバイワールドC(首G1・ダート10f)を制しました。母は愛オークス馬 Helen Street、自身の全姉の子に Shamardal がいるという良血。種牡馬としても Zenyatta、Street Sense など多数の一流馬を送り出し、大成功を収めています。Mr.Prospector 系ではありますが、母方の影響でスタミナと底力が強化されています。

Carlton House 自身の配合的ポイントはふたつあります。ひとつは、Riverman≒Mill Reef 4×3。

     ┌ Never Bend
Riverman ┤   ┌ Princequillo
     │ ┌○┤ ┌ Count Fleet
     └○┘ └○┘

     ┌ Never Bend
Mill Reef ┤ ┌ Princequillo
     └○┤ ┌ Count Fleet
       └○┘

これは定番ですね。

もうひとつは、ヴィクトワールピサと配合構成が似ていること。
http://www.pedigreequery.com/carlton+house2
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/

             ┌ Machiavellian
           ┌○┤
           │ └○┐
Carlton House ――――┤   └○┐
           │     └ Boulevard
           │ ┌ Bustino
           └○┘

           ┌○┐
           │ └○┐
ヴィクトワールピサ ―┤   └○┐
           │     └ Boulevard
           │ ┌ Machiavellian
           └○┤ ┌ Bustino
             └○┘

ヴィクトワールピサは Boulevard≒Sans Le Sou 4×5ですが、配合的な骨格が似ている Carlton House は、同じクロスを4×4で持っています。Sans Le Sou は Busted の母です。
http://www.pedigreequery.com/boulevard
http://www.pedigreequery.com/sans+le+sou

           ┌ Fair Trial
         ┌○┘
       ┌○┤ ┌ Portlaw
Boulevard ――┤ └○┘
       │ ┌ Wild Risk
       └○┘

         ┌ Wild Risk
       ┌○┘ ┌ Fair Trial
Sans Le Sou ―┤ ┌○┘
       └○┤ ┌ Portlaw
         └○┘

Sans Le Sou は、母 Talented の血統構成において重要な役割を果たしています。High Top の母 Camenae がまったく同じ「ヴィミー×Court Martial」なので、Sans Le Sou≒Camenae 3×4という組み合わせのクロスを形成しています。

       ┌ ヴィミー
Sans Le Sou ―┤ ┌ Court Martial
       └○┘

       ┌ ヴィミー
Camenae ―――┤ ┌ Court Martial
       └○┘

このあたりは望田潤さんが少し前にブログで指摘されています。5月3日のエントリー「デインヒル丸出しで突進する Frankel」の後半部分をご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/3c5467a2d494f1e743f89dd41debfe55

「組み合わせのクロス」については笠雄二郎さんの『血統論』に詳述されています。ビギナーの方にも分かりやすく配合パターンや血統用語などを解説した好著ですので、ぜひ1冊お手元に置かれることをお勧めいたします。
http://www.miesque.com/c00001.html

母 Talented において配合上のキーポイントとなっている Sans Le Sou を、父方の Boulevard によってさらに強化しているのですから、Carlton House は配合的によく出来ています。

ヴィクトワールピサと Carlton House は、使っている血も配合のポイントもよく似ています。ちなみに、ネオユニヴァース産駒のダービー馬ロジユニヴァースも、ヴィクトワールピサと同じく母方に Machiavellian と Busted(6代目)を持っています。配合のポイントは同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/

Carlton House とヴィクトワールピサは、両者このまま順調にいけば凱旋門賞で対決が実現するでしょう。もちろん、Carlton House は愛ダービーで負けているようでは凱旋門賞出走はおぼつかないので、ここはスッキリ勝ってほしいところです。

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2011年6月24日 (金)

女王陛下の Carlton House(前)

宝塚記念の当日夜、アイルランドのカラ競馬場では愛ダービー(G1・芝12f)が行われます。

1番人気に推されているのはエリザベス女王の所有馬 Carlton House(父 Street Cry)。ブックメーカー各社の単勝オッズは2.5倍前後です。周知のとおり、アイルランドとイギリスとの間には、長年にわたる政治的な問題が横たわっているのですが、先月、エリザベス女王はイギリスの君主として100年ぶりにアイルランドを訪問しました。その雪解けムードを加速させる遠征となりそうです。ただし、テロには十分気を付けてほしいものです。

前走の英ダービーは、直前になって左前肢に不安が出たことと、レース中の落鉄が響きました。個人的にはいちばん応援していた馬なので3着という結果は残念でした。
http://www.pedigreequery.com/carlton+house2

とにかく配合が綺麗ですね。母 Talented は「Bustino×Mill Reef」。これだけで惚れてしまいます。Busted(Bustino の父)と Mill Reef は、70~80年代にイギリスで繋養された最高クラスの種牡馬です。相性も悪くなかったため、この組み合わせはしばしば目にします。英ダービーを勝った Reference Point(84年生)と Shaamit(93年生)は、配合構成がきわめてよく似ているのですが、その中核を成しているのが Busted と Mill Reef です。
http://www.pedigreequery.com/reference+point
http://www.pedigreequery.com/shaamit

        ┌ Mill Reef
Reference Point ┤ ┌ Habitat
        └○┤ ┌ Busted
          └○┘

          ┌ Busted
        ┌○┘
Shaamit ――――┤ ┌ Habitat
        └○┤ ┌ Mill Reef
          └○┘

このほか、Talented と逆配合の「Mill Reef×Bustino」には、サンタラリ賞(仏G1)を勝ち凱旋門賞(G1)でも2着となった名牝 Behera がいます。同馬は昨年のパリ大賞典(仏G1)の勝ち馬 Behkabad の2代母となりました。(続く)
http://www.pedigreequery.com/behkabad

2011年6月18日 (土)

新馬戦開幕日は新種牡馬に注目

出馬投票が行われるのは毎週木曜日。その日の夕方4時台には「TARGET frontier JV」で出走馬を確認することができます。

3月半ばから3ヵ月間は新馬戦がないのですが、ようやく今週から新たなステージが始まります。木曜日の夜に新馬戦出走馬の配合をチェックする生活が戻ってくると、なんとなくホッとするというか、また楽しい1年が始まるという高揚感で身が引き締まります。栗山求の新馬戦予想は「ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト」で見ることができます。
http://www.blood-b.com/

例年に比べて今年は、物凄い調教タイムを叩き出した馬もなく、いつになく穏やかな滑り出しという印象ですね。新馬戦開幕日はなぜか新種牡馬の子が毎年活躍しています。新馬戦が3場同時開幕となった02年以降の9年間で、新種牡馬の子が勝てなかった年はわずか2回しかありません。昨年は3レース中2レースを新種牡馬の子が制しました(スニッツェルとスズカマンボ産駒)。

今年は以下の新種牡馬4頭が計5頭の産駒を開幕日に走らせます。

・ケイムホーム(2頭)
   サンレイホーム(函館5R)
   フランスギャル(中山5R)
・スタチューオブリバティ
   スリーリバティ(中山5R)
・フォーティナイナーズサン
   ハルピュイア(中山5R)
・アサクサデンエン
   ビゼンファイト(阪神5R)

函館5R(芝1000m)に出走するサンレイホームにはそこそこ印がついていますが、それ以外はほとんど真っ白です。これで勝ったら「新馬戦開幕日は新種牡馬の子が強い」というジンクスはかなり強力なものになります。

開幕週の注目レースといえば、毎年大物がデビューすることで知られる阪神の芝マイル戦。日曜日の第5Rに組まれています。ここには新種牡馬ダイワメジャーの子が2頭スタンバイ(エピセアローム、ダローネガ)。今年の新種牡馬戦線の大本命馬ですから、産駒がどんなレースを見せてくれるのか興味津々です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106109/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月14日 (火)

セントジェームズパレスS展望

同じ3歳のリアルインパクトが安田記念を制し、グランプリボスのイギリス遠征がいっそう盛り上がってきました。海外遠征、とくに欧米などの遠隔地で戦う場合は、馬場やレーススタイルが違う上に、対戦する馬との力量比較がつかず、体調維持も難しいわけですから、負けてもともとです。

今回出走するセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)には Frankel という怪物が出走します。当ブログでは過去のエントリーでたびたび取り上げているのでご参照くさだい。

★Frankel 今季緒戦を快勝(4月17日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/frankel-b005.html
★衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝(5月1日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/frankel-0437.html
★活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」(5月26日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/galileo-d5ba.html

死角は折り合いだけ。といっても前走の英2000ギニーは、ペースメーカーを追い越して暴走したにもかかわらず6馬身差圧勝です。今後のことを考えて今回はペースメーカー役の Rerouted を先に行かせ、なんとしても抑える競馬を試みるでしょう。折り合いがつけば敵はないと思います。もし仮に前走で暴走癖がついてしまい、アンコントローラブルとなった場合にのみ付け入る隙が出てきます。

それを衝く筆頭候補は Excelebration でしょう。現在ブックメーカー各社のオッズでは2番人気となっています。休み明けの前々走グリーナムS(英G3・芝7f)は Frankel から4馬身差の2着。着差は大きいのですが競馬にはなっています。3着以下はさらに6馬身離されています。
http://www.youtube.com/watch?v=1nptRQkCaYk

前走の独2000ギニー(G2・芝1600m)は7馬身差で圧勝。ゴール前の決め手は強烈です。走りっぷりを見るとグリーナムSより重心が下がり、首の使い方もよくなって、明らかにフットワークが変わっていました。相手が弱かったのは確かですが、ハマれば一発があっても不思議はないという気にさせられます。
http://www.youtube.com/watch?v=l0S2KwXTPiE

父 Exceed and Excel はオーストラリア産馬。現役時代にドバイレーシングクラブC(豪G1・芝1400m)、ニューマーケットH(豪G1・芝1200m)を含めて12戦7勝。オーストラリアの芝短距離のレベルは世界一なので、この実績は信頼できます。堅い馬場で決め手が活きる展開になればあるいは……といったところです。
http://www.pedigreequery.com/excelebration

ちなみに Exceed and Excel 産駒は、2歳世代に現時点で2頭登録があり、そのうちの1頭エクセルシオール(美浦・池上昌弘厩舎)は今週土曜日の中山新馬戦(芝1200m)でデビューします。モハメド殿下の所有馬で、母メイビーフォーエヴァーはサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)の勝ち馬。それなりの血統背景を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102680/

グランプリボスにとって懸念材料は馬場状態。12日(日)にロンドンでは8ミリの雨が降りました。13日は天候が回復し、レース当日の14日もおおむね晴れるだろうという予報です。同じくロンドン近郊に位置するウインザー競馬場は、現時点(13日の第1レース)で稍良(Good)、ところにより稍重(Good to soft)という状態です。14日まで晴れ続けるとするなら、稍良か、うまくいけば良(Good to firm)まで回復するかもしれません。

もとより日本に比べてタフな馬場ですから、水を含んでスタミナが要求されるとさらにハードルが高くなります。なるべく乾いてほしいところです。冒頭に記したように負けてもともと。チャレンジャーですから失うものなどありません。現在、ブックメーカー各社のオッズは9頭中6番人気ぐらい。存分に暴れてきてほしいですね。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年6月11日 (土)

水曜日の栗東坂路1番時計ストリートハンター

早いもので来週から2歳戦が始まります。2歳馬の調教もだんだん熱を帯びてきました。今週水曜日の栗東坂路1番時計は角居勝彦厩舎のストリートハンター。父 Street Sense の持ち込み馬で、馬主はサンデーレーシングです。

netkeiba の5代血統表が間違っているので(2代母の血統内容)、父母それぞれの血統表を示します。
http://www.pedigreequery.com/street+sense
http://www.pedigreequery.com/quick+little+miss

Street Sense の子、というと軽い驚きがあります。Street Sense は日本でいうところのウオッカ世代で、ついこの前まで走っていたような気がします。同馬は史上初めてブリーダーズCジュヴェナイルとケンタッキーダービーをダブルで制した馬です。

ケンタッキーダービーは楽勝。その勝ちっぷりと堂々たるクラシック血統を見て、思わず旅行代理店に電話を掛けました。そして、ニューヨーク行きのチケットとホテルを押さえました。三冠の最終関門ベルモントSを観戦するためです。Street Sense は三冠を達成するだろう、Affirmed 以来久々の米三冠馬誕生の瞬間はぜひライブで見なければ、というわけです。

ところが、二冠目のプリークネスSでアッサリと2着に敗れ、三冠目のベルモントSは回避。豪快にハシゴを外されました。ベルモントSは仕方なく観に行きましたが、出発前にあれほどテンションが下がった旅は後にも先にもありません。

今年の2歳馬が初年度産駒です。2歳の早い時期に短いところでバリバリ走るような血統ではないので、1番時計はそのまま素質の高さと見ていいと思います。母クイックリトルミスはハリウッドスターレットS(G1・ダート8.5f)の2着馬。構成している血は Freud(Giant's Causeway の全弟)、Unbridled、General Assembly ですからパワー型です。

ストリートハンター自身には Beautillion≒Bramalea 6×6がありますが、それよりもおもしろいのが Shamardal(仏ダービー、仏2000ギニー、セントジェームズパレスS、デューハーストS)と配合構成が酷似していること。
http://www.pedigreequery.com/shamardal

             ┌ Street Cry(=Helsinki)
           ┌○┘
ストリートハンター ―┤ ┌ Freud(=Giant's Causeway)
           └○┘

           ┌ Giant's Causeway(=Freud)
Shamardal ――――――┤
           └ Helsinki(=Street Cry)

デビュー戦はダート1200mを予定しています。目標は全日本2歳優駿でしょうか。芝で緩急のきくタイプではありませんが、自分のペースで走れれば相当な破壊力がありそうです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月28日 (土)

道悪ダービーのキーポイントは位置取りと馬体重

ロジユニヴァースが勝った2年前の日本ダービーは、レースが終わったあと、某騎手が「こんなもん競馬じゃねぇ」とつぶやいたほどの酷い馬場でした。

現在の東京競馬場は、まだそれほどの量は降っていませんが、予報によれば土曜日は終日雨で、日曜日も雨。時間が経つにつれ雨量が増えていくようなので、2年前と同じく不良馬場になるものと思われます。

不良馬場といっても程度がありますし、内が伸びるのか外が伸びるのか、レース直前にならないと分かりません。力関係がある程度反映されるような馬場であればまだいいのですが、それがまったく関係なくなる極悪馬場になってしまうと手に負えません。何が突っ込んでくるのか神のみぞ知る、です。今週のWIN5は相当な大穴が出そうな予感がします。

ロジユニヴァースが勝ったダービーから得られる教訓は、“前に行った馬が有利”ということです。最初の5ハロンは59秒9。ジョーカプチーノが飛び出したので2番手以下は61秒ぐらいと考えても、2分33秒7という走破時計からすれば遅いペースではありません。しかし、結果は3番手追走のロジユニヴァースが勝ち、2番手追走のリーチザクラウンが2着、5番手追走のアントニオバローズが3着。前につけた馬同士の決着となりました。中団以下につけた馬はナカヤマフェスタの4着が最高着順です。あれだけ馬場が悪化すると、前が止まらないというよりも後ろから差してこれなくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=y37b0nD1Sr4

1~3着馬にはもうひとつ共通点があります。いずれも“500キロを超える大型馬であること”です。1着ロジユニヴァースは506キロ。2着リーチザクラウンは516キロ。3着アントニオバローズは512キロ。極悪馬場をこなすには恵まれた馬格から繰り出すパワーが必要ということでしょう。

結論は『前に行ける500キロ以上の大型馬を狙え!』。切れる脚など必要ありません。求められるのは粘り強さです。フットワークがピッチ走法ならなおいいでしょう。前に行くか行かないかは騎手の心理傾向を読む必要があります。これまで中団から競馬をしていた馬でも、騎手のひらめきによって思い切った戦法をとることも考えられます。この点は注意が必要です。

ウマニティ編集長・岡田大さんのコラム「予想のメキキ」のダービー編に、栗山求を取り上げていただきました。よろしければご覧くださいませ。
http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=2004

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月21日 (土)

オークスは実績馬有利

東京競馬場の芝は、昔と比べてクッションが良くなり、速い時計が出るようになっています。言い方を換えればイージーな馬場になっているので、走っていてもあまりスタミナを消耗しません。ですから、距離に不安のある馬でも2400mをこなすケースが増えました。

一方、桜花賞は、06年暮れに完了した馬場改修工事により、昔と比べて底力とスタミナを要するレースとなりました。スタート地点が移動し、直線が長くなった影響でマギレが少なくなりました。

つまり、2400mのオークスはスタミナの重要性が薄れ、1600mの桜花賞はスタミナが重んじられるようになったため、それぞれのレースをこなすための適性が近くなり、その結果、桜花賞とオークスで連続好走するケースが増えました。

     桜花賞        オークス
 07年 ①ダイワスカーレット 不出走
     ②ウオッカ      不出走(ダービー①)
 08年 ①レジネッタ     ③
     ②エフティマイア   ②
 09年 ①ブエナビスタ    ①
     ②レッドディザイア  ②
 10年 ①アパパネ      ①
     ②オウケンサクラ   ⑤

07年以降の桜花賞で連対した馬は、必ずどちらかはオークス(とダービー)で連対しています。09年は桜花賞の1、2着馬がそのままオークスでも1、2着となりました。両方消えたことはありません。

その伝でいくと、今年のオークスは、マルセリーナとホエールキャプチャの少なくともどちらかは連対することになります。近年の出走馬の大半は「2400mはベストじゃないけどこなせる」タイプなので、そうした馬同士の戦いになれば、結局、地力に勝る実績馬が強いというわけです。

かつてオークスといえば未知の長距離砲を探し出して大穴を狙うレースでした。80年代は二桁人気の伏兵が4頭も勝ちました(ケイキロク、ノアノハコブネ、コスモドリーム、ライトカラー)。85年のノアノハコブネなどはじつに28頭中21番人気。良馬場にもかかわらず最後の3ハロンが39秒8(13秒5-13秒1-13秒2)という壮絶なレースで、先に行った馬はヘロヘロのヨレヨレ。脚が上がったところを後方待機のノアノハコブネが突き抜けました。騎手は音無秀孝。昨年のリーディングトレーナーです。
http://www.youtube.com/watch?v=jGnJ2ITFrRQ

最近は血統的なロマンを羽ばたかせる余地はほとんどなく、桜花賞で好走した実績馬から手堅く獲るレースとなっています。今年はスローペースが予想されるので決め手のある馬が有利でしょう。穴が突っ込んでくるとしたら距離ロスなくインコースを回れる好位差しでしょうか。

2011年4月23日 (土)

『netkeiba.com』リニューアル版で予想開始

都内ではすでに雨が落ちてきました。天気予報によると土曜日はほぼ一日雨。開幕週とはいえ芝への影響は避けられません。そして、日曜日は晴れ。東京競馬場におけるこのパターンは、これまで何度も繰り返されたように、内が伸びて外が伸びないというバイアスが発生します。インコースから馬場が乾いていくからです。馬場コンディションは生き物ですから、実際にそうなるかどうかは競馬を見てみないと分かりませんが、これまでの傾向から考えるとそうなる可能性が高いと思います。

周知のとおり、東京芝2000mはスタートして間もなく左カーブとなるため、外枠の馬は大きな距離ロスを強いられます。インが伸びる馬場コンディションに加えてこのコース形態ですから、外の馬は二重の不利を被ることになります。今回はある程度前に行ける内枠の馬を中心に馬券を組み立てるべきでしょう。わたし自身、木曜日に発表された枠順を見て、予想の組み直しを余儀なくされました。

内枠の馬が有利ではありますが、出遅れ癖のある馬は注意したほうがいいですね。このコースは道中のポジションが大事なので、最初のコーナーでいい位置を取るべく外枠の馬がどんどん被せてきます。内枠で出遅れると最後方近くまで下がる危険性があり、そこから盛り返すには距離損覚悟で外を回すしかありません。こうなれば勝機はないでしょう。荒れそうな予感がします。

今週から『netkeiba.com』リニューアル版に予想を提供することになりました。G1などの注目レースは別として、従来提供しているところと予想が被らないようにレースを選んでいきたいと考えています。
http://prev.www.netkeiba.com/info/

2011年4月 9日 (土)

春の雨は穴馬券の宝庫

春は雨が降りやすいので道悪を得意とする種牡馬の出番です。昨年も雨が降るたびにオペラハウス祭りやキングカメハメハ祭りといった現象が起きました。じっさい、この2頭は渋った馬場を得意としています。馬場状態別の連対率は以下のとおり。

          良・稍重   重・不良
オペラハウス    15.9%  21.7%
キングカメハメハ  20.5%  22.5%

どちらも馬場が悪化するにしたがって連対率が上昇します。とくにオペラハウスの伸び率は素晴らしいですね。

金曜日のお昼ごろから土曜日にかけて、阪神地方にはしっかりと雨が降りました。土曜日は道悪確実でしょう。阪神芝にオペラハウス産駒が出走しているかどうかチェックしてみると、第10Rの大阪-ハンブルクC(OP・芝2500m)にブラストダッシュが出ていました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100139/

この馬は500万下を勝ち上がったときに、不良馬場で後続を6馬身引き離しました。道悪は鬼です。問題はこのメンバー相手に能力が通用するかどうか。ハンデ戦ですから勝ち負けになってもおかしくないと思います。

日曜日の午後、桜花賞のころには馬場コンディションもだいぶ回復しているでしょう。ただし、パンパンの良馬場は望めません。ヨーロッパ由来の重厚なスタミナや、アメリカ由来のパワーを備えた馬は人気薄でも怖いですね。

2011年4月 8日 (金)

今年のニュージーランドTは本番と直結しそう

スポーツ新聞を開けば桜花賞の話題で賑わっていますが、土曜阪神の最終レース、中山から場所を移して行われるニュージーランドT(G2・芝1600m)も今週の目玉レースです。

関西で行われることが関係しているのか、メンバー構成が近年にないほどの素晴らしさです。朝日杯1、2着のグランプリボス、リアルインパクトを筆頭に、ディープサウンド、ダノンシャーク、スギノエンデバー、ドナウブルー、キョウエイバサラ、ラトルスネーク、リキサンマックス……。これはもうNHKマイルCの前哨戦ではなく「日本版2000ギニー」といいたくなるほどの豪華メンバーです。ディープインパクト産駒が4頭出走します。

中山芝1600mは、外枠に入った時点で諦めムードが漂うほど、内外の枠に関してバイアスがあります。馬券を買う側にとってはそれがおもしろいわけですが、走らせる側にとっては厄介だと思います。しばしば実力以外のものが勝敗を分けるコースです。一方、阪神芝1600mは、まぎれが少なく実力がはっきり出るので、能力検定の場としてふさわしいといえるでしょう。

例年、ニュージーランドTとNHKマイルCは直結しませんが、今年はリンクする可能性が高いのでは、と思います。

2011年2月19日 (土)

コース改修後の東京ダ1600m

昨年秋、東京ダート1600mにコースレイアウトの変更がありました。それまでは向正面右奥のスタート地点から1ハロンほど走ると、2コーナーを巻くように緩やかな左カーブがありました。新しいコースではゲートが奥に移動したため、そのカーブが無くなり、3コーナーまで一直線に走れるようになりました。

そのせいなのか、昨年の4回東京開催以降、東京ダ1600mの枠別連対率に変化が見られます。

     旧    新 
1枠  10.9%   3.9%
2枠  12.2%  12.5%
3枠  13.3%  10.7%
4枠  14.3%  13.8%
5枠  14.7%  13.3%
6枠  14.3%  15.6%
7枠  13.5%  17.4%
8枠  14.4%  17.4%

   #数字は連対率
    旧コース=03年4月~10年6月
    新コース=10年10月~

6、7、8枠と外枠の成績が伸びた一方、内枠が苦戦しています。とくに1枠は連対率3.9%という惨状。緩いとはいえ最初のコーナーが消滅したことで、外枠の馬は距離ロスが減ったというメリットがあります。外枠の馬が前に付けられるようになったことで、内枠の馬が窮屈なポジションに押し込められるようになった、ということなのかもしれません。ある程度先に行ける馬なら枠順による有利不利はないと思います。

脚質を見てみると、こちらにも変化が見られます。

     旧    新 
逃げ  26.6%  19.6%
先行  23.0%  25.3%
中団  11.9%  10.2%
後方   4.9%   5.8%

逃げが減って先行抜け出した増えました。中団、後方は大きく変わっていません。先行争いが激化して逃げ馬が残りづらくなっている、ということなのでしょうか。逃げ争いを見つつ好位につけた馬が勝つ、というイメージです。重・不良馬場では前に行った馬が止まらなくなるので、後ろからは届きづらくなります。

種牡馬に関してはまだサンプルが少ないですね。序盤のコースレイアウト変更程度で成績に影響があるのかと言われればそのとおりですが、一応、現時点で連対率の上昇が目立っているのは以下の4頭。

            旧    新 
プリサイスエンド   20.0%  44.4%
ブライアンズタイム  18.9%  35.3%
フジキセキ      17.7%  30.0%
ワイルドラッシュ   16.1%  28.6%

このデータを考慮しつつ、土曜9RヒヤシンスS、日曜11RフェブラリーS、日曜12R東京ウインタープレミアムの予想を組み立てたいところです。勝ちタイムが速くなるだろうと思われるので、とにかく持ち時計重視です。時計の裏付けのない馬は危険です。

2011年2月12日 (土)

トーセンレーヴが土曜京都でデビュー

うっかり紹介し忘れていたのですが、『競馬王』3月号が発売になりました。巻頭特集は「社台系馬券論」。社台対策なくして馬券もPOGも勝てない時代だけに、社台グループにまつわる各種データを手際よく整理した今回の企画は興味深いものがあります。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

日曜日の東京メインレースは共同通信杯(G3・芝1800m)。『競馬王』で毎月担当している「重賞スクランブル」というコーナーの、共同通信杯の項を転載してみます。血統面を中心に好走パターンを抽出するという企画です。

「クラシック登竜門だけに、実績を伴った評判馬が出走しれくれば、そう簡単には崩れない。過去5年間を振り返ると、サダムイダテンが飛んだ08年を除けば、馬連配当は2000円未満に収まっている。昨年は1、2、3番人気馬が4着以下を2馬身離して写真判定の大接戦を演じた。奇をてらわず素直に人気馬から入るのがセオリー。
 血脈的に注目したいのはミスタープロスペクター。過去5年間の連対馬10頭のうち、半数以上の6頭がこの血を持っている。サダムパテック、ダノンバラード、ベルシャザールなどのトップクラスが出走してくれば、当然中心的存在となる。とくにベルシャザールは過去5年間で3頭の連対馬を出している松田国英厩舎の所属馬なので怖い。このレースで好走させるノウハウを持っているはず。
 ディープインパクト産駒は東京コースで実績を残しているので要注意。あとはアグネスタキオン、キングカメハメハの両産駒。」

原稿執筆は1月中旬なので何が出てくるか分からないまま書いています。内容を要約すると、人気のダノンバラードとベルシャザールはそれなりに信頼できて、ディープインパクト産駒は基本的に悪くないですよ、ということ。あくまでも傾向なので、もちろんこれが最終結論ではありません。

今年は降雪の影響で予想が難しくなりました。降雪や凍結のおそれがあるときは、芝コースにシートが被せられるといいますが、それがどれぐらいの面積なのか、いつから被せていていつから取り外すのか、そういったことが分からない以上、土曜日の競馬を見てから馬場状態を判断するしかないですね。内伸びなのか外伸びなのかも把握しておきたいところです。現時点では何とも言えません。

土曜日の京都競馬で注目したいのは、今シーズンのPOGで1番人気率が最も高かったであろうトーセンレーヴ。第6Rの新馬戦(芝1800m)で初陣を迎えます。父はディープインパクト、母はビワハイジ。つまり年度代表馬ブエナビスタの半弟です。私も赤本で指名し、「栗山ノート」でも取り上げました。昨年の10月以降、爪の異状で二度デビューが延期されたので、ようやくという感じですね。今回のレースはほかにも好配合馬が揃っており、レベルが高いのではないかと感じます。2月7日のエントリーに記したように、京都芝1800mはディープインパクト産駒が得意とする舞台。連対率56.5%を誇ります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

2011年2月 5日 (土)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(後)

ニホンピロウイナーが凡百のマイラーとは異なり、重厚感のある馬体と抜群の底力を持ち合わせていたのは、昨日のエントリーで説明した“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスの効果でしょう。

Dahlia(キングジョージ2連覇などG1を10勝)、Oh So Sharp(英オークス、英1000ギニー、英セントレジャー)、Fall Aspen(大繁殖牝馬)をはじめ、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせが配合の骨格を形成している名馬は数えきれません。

Dahlia(Aureole≒Honeys Alibi 3×2)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Oh So Sharp(Tudor Minstrel≒Flower Bowl≒Swaps 5×3・3)
http://www.pedigreequery.com/oh+so+sharp
Fall Aspen(Imitation≒Swaps 2×2)
http://www.pedigreequery.com/fall+aspen

父 Redoute's Choice の父デインヒルは、Flower Bowl という名牝の血を抱えています。この馬は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせによって誕生しました。

          ┌ Hyperion
        ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ――┤ ┌○┘
        └○┘

オースミドライバーとクリアンサスは、かなり大ざっぱな表記ですが、Flower Bowl≒Abernant≒チャイナロックとなります。クリアンサスにはさらに Flower Bowl と相似な血の関係にある Aureole も入ります。

Redoute's Choice は過去2回、短距離王国オーストラリアでリーディングサイアーとなっており、その系統の発展が注目されています。スピード面の心配はほとんどなく、あとは底力の充実が課題です。カツラドライバーとフラワーパークは、Hyperion と Son-in-Law の影響を色濃く受けたニホンピロウイナーと、Hyperion 4×3(Lady Angela 3×2)のノーザンテーストを抱え、そうしたベクトルに沿った配合構成となっています。軽さに傾くことなく底力を湛えた非常にいい配合だと思います。

ちなみに、クリアンサスは某POGで指名しました。父 Redoute's Choice、母フラワーパークという血統を見るかぎり短距離馬でしょう。マイルに色気を見せているうちは中途半端なままだと思いますが、1200~1400mならかなりやれると思います。土曜東京9Rの春菜賞(3歳500万下・芝1400m)は、適距離に戻るのでちょっとおもしろいと思います。

                *

1月28日のエントリー「トウショウボーイ系最後の競走馬」で、スベスベヨークンという競走馬を取り上げました。昨日、同馬の馬主である鍵谷篤宏様からご投稿をいただきました。下記のURLをご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-3793.html

現2歳の牡馬は「フワフワヨークン」の名で競走馬登録が完了。現3歳のスベスベヨークンは2月20日のセントポーリア賞(3歳500万下・東京芝1800m)に出走するとのことです。

2011年2月 4日 (金)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前)

先々週の新馬戦で「やられた!」と思ったのは、土曜小倉4R(芝1200m)を勝ったオースミドライバー(13番人気)です。

新馬戦は仕上がり具合が大きな比重を占めるので、いくら配合が良くても稽古で動いていない馬はダメ。オースミドライバーは配合的には申し分なかったものの、稽古内容を見ると厳しそうだったので、印を打つのを躊躇しました。だから単勝9790円という大穴になったわけですが……。実戦タイプなのでしょう。大外から鮮やかに差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=bogESSaRsqM

新潟2歳S(G3)を勝ち、桜花賞(G1)とオークス(G1)でそれぞれ2着となったエフティマイアの半弟。父はオーストラリアからシャトルでやってきた快速種牡馬スニッツェル。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103116/

母が「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」で、父が Redoute's Choice 系という配合は、フラワーパーク(スプリンターズS、高松宮記念)の子で今週土曜の春菜賞(3歳500万下・芝1400m)に出走するクリアンサスと同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102710/

             ┌ Redoute's Choice
           ┌○┘
オースミドライバー ―┤ ┌ ニホンピロウイナー
           └○┤ ┌ ノーザンテースト
             └○┘

           ┌ Redoute's Choice
クリアンサス ――――┤ ┌ ニホンピロウイナー
           └○┤ ┌ ノーザンテースト
             └○┘

母の父ニホンピロウイナーは80年代を代表する名マイラーで、その底力の源泉は、Hyperion と Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)の組み合わせから成る“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980106362/

          ┌ Hyperion
        ┌○┘
Abernant ―――┤ ┌ Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)
        └○┘

          ┌ Hyperion
        ┌○┘
チャイナロック ┤ ┌ Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)
        └○┘

Hyperion は昨年12月9、10、29、30、31日のエントリーで触れたように文句なしの名血。一方、Son-in-Law は今世紀前半のイギリスを代表する名ステイヤー血統。このふたつの血の組み合わせは相性がよく、これらを近い世代にペアで持つ馬同士の組み合わせは効果抜群です。前出の Abernant、チャイナロック以外にも、Tudor Minstrel、Aureole、Flower Bowl、Swaps、Honeys Alibi、Cover Up、Hypericum、Imitation、アイアンエイジ、テューダーペリオッドなど、この仲間はたくさんいます。

Hyperion と Son-in-Law の組み合わせがもたらす優れた効果について、初めて言及したのは笠雄二郎氏です。(続く)

2011年1月29日 (土)

荒れるシルクロードS

土曜日に京都競馬場で行われるシルクロードS(G3・芝1200m)は荒れる重賞です。短距離のハンデ重賞ですから、まぁ堅く収まるほうがおかしいともいえるわけですが……。北九州記念やCBC賞も似たような傾向がありますね。

過去5年間で1、2番人気が一度も連絡みしていません。ハンデ戦になってからの9年間、連対馬18頭のうち半数の9頭が6番人気以下。人気馬からは買いづらいレースです。トップハンデ馬は過去5年間で1頭しか連に絡んでいません。

ではどんな穴馬を買えばいいかというと、まず挙げられるのは準OPを勝ち上がったばかりの馬。条件クラスを脱したばかりのニューフェースですからハンデは軽くなります。前走から2~3キロ減が相場。ハンデ重賞に生まれ変わった02年以降、このパターンが3頭連対しています。いずれも人気薄でした。

今年は京阪杯からの直行組が目に付くのですが、過去の傾向からいえばあまり良績がないローテーションです。ただ、これは間隔が開くことによる体調面の問題なので、キッチリ仕上がっているなら神経質になる必要はないと思います。

昨年までのシルクロードSは2回京都4日目でした。今年は初日に移動しています。先週まではAコースで行われており、周知のとおり内伸びで前に行った馬が有利でした。今週からBコースに替わります。引き続き前が止まらない馬場でしょう。外を回らされたらキツイと思います。枠順も重要ですね。

血統的にはフジキセキ天国なのですが、今年の出走はファイングレインのみ。3年前の覇者とはいえ近走の成績では……。

馬券的には非常におもしろそうなので、大穴を狙って冒険してみたいレースです。

2011年1月 5日 (水)

ダービー馬の半弟カラータイマー出陣

1月5日、中山6Rの新馬戦(芝2000m)には、日本ダービー馬エイシンフラッシュの半弟カラータイマー(父アグネスタキオン・藤沢和雄厩舎)が出走します。「栗山ノート」のアグネスタキオンの項では一番最初に挙げた馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103023/

「栗山ノート」を作成した4月半ばの段階では、半兄エイシンフラッシュがあれだけ切れる脚を使う馬だとは認識していませんでした。“サンデー系×ドイツ血統”ということで、うまくハマってマンハッタンカフェやブエナビスタのようなタイプになれば――という期待を抱いていました。配合的には優れていると思います。どんな馬なのかパドックでじっくりと観察してみたいですね。

今年、その動向が大いに注目されるディープインパクト産駒は、初日に2頭出走します。京都5R・未勝利戦(芝2000m)のダノンウィスラーと、中山6R・新馬戦(芝2000m)のキングダリア。

ダノンウィスラーのほうが勝機はあると思いますが、このレースにはエイシンモンジューとピエナセレブという強敵が出走を予定しており、そう簡単には勝たせてもらえないでしょう。ディープインパクトについては昨年末にいくつか考察を記しましたので、よろしかったらご覧くださいませ。

ディープインパクトの格上がり戦(11/30)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html
ディープインパクト産駒のトビの大きさとその影響(12/6)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-9f4d.html
ディープインパクト産駒はなぜ逃げて強いのか(12/15)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-ba48.html

2010年12月25日 (土)

今年の有馬記念はロングスパート型!?

天皇賞・秋、ジャパンCは力どおりに決まりやすい東京コースなので、予想をするときは戦力比較に割く時間が多くなるのですが、中山コースの有馬記念はマギレがあるので、展開や位置取りの予想に神経を使います。

今年はどう見てもスローペースでしょう。みんながそう思うと得てして逆になることも多いのですが、今年はやはり速くならないと思います。というか、そう決め打ちしないと予想が始まりません。

有馬記念の過去の歴史を振り返ると、スローで流れた場合でも、残り3ハロンの上がり勝負にはなりません。残り5~6ハロンから速くなるロングスパート型のレースになります。中山競馬場の内回りコースは、残り6ハロン付近から下り坂が始まります。ですから、自然とこのあたりからペースが速くなってしまうわけです。

マンハッタンカフェが勝った01年と、シンボリクリスエスが勝った02年。このふたつは残り5ハロンからペースアップするロングスパート型のレースでした。今年はこれに近い競馬になるのでは、と思います。最後の5ハロンが57秒9だった01年は超スローペース。今年はさすがにこれほど遅い流れにはならないと思うので、59秒1だった02年に近くなるような気がします。残り5ハロンからスパートして上がり3ハロンを34秒台の後半でまとめる力が要求されます。

01年と02年にはいくつか共通点があります。

①逃げ馬が3着以内に残っている
スローペースですから前で競馬をしたほうが当然有利です。01年はトゥザヴィクトリーが3着に、02年はレース途中から先頭を奪った(奪い返した)タップダンスシチーが2着に粘っています。といっても、今年は何が逃げるのかもよくわからないのですが……。

②1、2番枠がいずれも馬券に
ペースが遅いと馬群が固まる傾向にあるので、外枠の馬は馬群に潜り込めず、ずっと外を回されることになります。工夫しないと厳しいですね。逆に内枠は距離ロスなく走れるので最後の伸びが違ってきます。01、02年に連対した1、2番枠の計4頭はすべて好位でレースを進めました。

③3歳馬が勝ち、1番人気は5着
01年のマンハッタンカフェ、02年のシンボリクリスエスはいずれも3歳馬でした。1番人気に推された01年のテイエムオペラオー、02年のファインモーションはいずれも5着。

④13番人気が連対
オカルト的にはこれもひとつのデータでしょうか。

今年はこれらのデータを基礎に予想を組み立てたいと思います。有馬記念を長年見てきた方なら分かると思うのですが、何が起きても不思議のないレースです。難易度が高いので外れてもともと。たとえ外れても後悔のない印が打てればいいなぁと思います。

2010年12月18日 (土)

朝日杯フューチュリティS有力馬プチ診断

■リベルタス
配合的には2000m以上に向いた馬だと思います。ただ、角居調教師がここにぶつけてきたのですから、相当な手応えを感じているのかなぁとは思います。ディープインパクト産駒はトビが大きくダッシュが鈍いので、2番枠だと包まれて後方まで下がってしまう危険性も。4年前のドリームジャーニーのように後方から大外をマクって差し切り、という芸当ができるかどうか。

■マイネルラクリマ
人気にならないタイプですがちょっと怖いです。マイネルレコルト(04年朝日杯FS)を出したチーフベアハートが父。ここ2戦、直線の長いコースでよく粘っていますが、中山ならさらにいいところがありそうな配合ですね。枠も絶好。

■リアルインパクト
リベルタスと同じディープインパクト産駒。こちらは出脚がつくタイプだと思います。前走の出遅れはゲートのタイミングが原因。新馬戦は上手に出ました。半兄アイルラヴァゲイン、母トキオリアリティーは小回り巧者ですから、この馬も中山に替わって良さが出るはずです。あとは急坂をこなせるかどうか。

■リフトザウイングス
ハーツクライ産駒はいまのところ、京都よりも阪神、東京よりも中山のほうがいい、という傾向が出ています。中山替わりは良さそうです。ただ、マイル戦では全般的にやや勝ち味が遅い傾向も。母の父 Cozzene は逃げたり追い込んだりという極端な戦法で結果を出す気難しいタイプ。要するに揉まれ弱いので馬群が苦手です。前走後の武豊騎手のコメントを読むと、どうもそうした特徴が伝わっているような気が……。小回りの多頭数競馬でどう立ち回るか、ルメール騎手の手腕に期待です。

■サダムパテック
脚長の体型。直線の長いコースで伸び伸び走るのが合っているタイプだと思うので、小回りコースに替わるのはプラスとはいえません。毎回出遅れるのでおそらく今回も出遅れるでしょう。位置取りが悪くなったときに、焦ったスミヨン騎手が無理に馬群を捌こうとして他馬の進路を妨害するというのが最悪のシナリオです。懸念材料ばかり並べましたが、これは実力を認めた上での話。現時点の能力は一枚上だと思うので、スムーズな競馬さえできればアッサリ突き抜ける可能性は一番高いと思います。

■グランプリボス
「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」はわりと距離がもつ傾向があります。マイルはギリギリOKでしょう。サクラバクシンオー産駒はこれまで2歳G1で10回走って一度も馬券になっていません。問題は底力です。

■シゲルソウサイ
2代父はこのレースと相性のいい Storm Cat。初めての芝、2ハロンの距離延長、相手強化とハードルはあまりにも高いのですが、マイペースで逃げたときに、3年前のゴスホークケンのように残ってしまわないとも限りません。ゴスホークも Storm Cat 系でした。

■アドマイヤサガス
朝日杯の13番枠から外は、逃げの手を打たないかぎり死刑宣告を受けたようなものですから、15番枠はちょっと厳しいですね。強い馬だとは思いますが、ニュージーランドTのサンライズプリンスのような競馬ができるほど相対的に抜けた力はないと思います。オースミイージーとシゲルソウサイの逃げ争いでハイペースになることが望み。

2010年12月 8日 (水)

2010香港国際競走

気がつけば暮れの香港国際競走には10年以上行ってません。観戦するとなれば10~11月から準備しなければならないのですが、その時期はちょうどG1まっただなか。なんとなく忙しくしているうちに時機を逸してしまい、毎年グリーンチャンネルでテレビ観戦しています。今年は阪神ジュベナイルフィリーズと同日の12月12日(日)に行われます。

最後に行ったのは98年。香港国際C(G2・芝1800m)をミッドナイトベットが勝った年です。14頭立ての12番人気とまったく人気がなく、プレスエリアで見ていたわれわれ日本人報道陣も「さすがに厳しいだろうなぁ~」という雰囲気だったのですが、なんと馬群から力強く突き抜けてレコード勝ち。その瞬間、みんな仕事を忘れて「ウォーーー!!」とガッツポーズしてました(笑)。周りが香港人ばかりで完全なアウェーですから妙な連帯感がありました。

でも、いまから考えるとのどかな時代ですね。当時に比べると個々のレースの格は上がり、出走メンバーの層も厚くなりました。今年の日本馬は、ジャガーメイル(香港ヴァーズ)とエーシンフォワード(香港マイル)の2頭が参戦します。

ジャガーメイルは3年連続の出走。過去2年はアルゼンチン共和国杯から香港、というローテーションでしたが、今年はジャパンCから中1週での参戦。キツいようにも映りますが、じつはジャングルポケット産駒は間隔を詰めてもへこたれないタイプです。レース間隔別の競走成績で最も数字がいいのが「連闘」。とくに芝の連闘は連対率35.7%という抜群の成績。私が調べたかぎり主要種牡馬の連闘成績のなかでは断然トップです。遠征慣れしている陣営ですし、ローテーションに関してそう神経質になる必要はないのでは、と思います。ここを勝つ力は十分あるでしょう。

エーシンフォワードは Paco Boy あたりに勝つのは相当骨だと思うのですが、向こうも勝ち味に遅いところがあるので、一発狙ってほしいですね。香港でG1を3勝したエイシンプレストンの記憶は、香港の競馬ファンの脳裏にいまだに焼き付いているのではないでしょうか。香港と相性のいい馬主さんなので期待したいところです。

今年の香港国際競走の目玉は香港スプリント(G1・芝1200m)でしょう。Sacred Kingdom、J J the Jet Plane、Rocket Man、Green Birdie、Ultra Fantasy など好メンバーが揃いました。これは見逃せません。

2010年12月 4日 (土)

2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!

11月に東京競馬場で開催された「オープン型レーシングセミナー」。私は4つのテーマについてそれぞれ20分ほど講演したのですが、そのうちのひとつ、「2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!」は師走競馬を念頭に置いたものでした。

シーズン開始当初の2歳戦は芝のレースがほとんどです。6月から9月までは芝とダートはおよそ“4対1”ぐらいの割合。それが10、11月になると“2対1”となり、12月は“1対1”。年末が近づくにつれてダートの割合が増えていきます。したがって、必然的に“芝を使ってきた馬がダートに転じるケース”が増えます。ここが馬券の買いどころ。初ダートは如実に適性が表れるので、芝の凡走から一変するシーンがしばしば見られるからです。

ダート適性を決定する最大の要素は血統。前出のセミナーではゴールドアリュール、クロフネ、アグネスタキオンの3頭を推奨しました。「2歳戦の芝→ダート替わり」という条件に3頭の種牡馬の子が出てきた場合、単勝回収率、複勝回収率の双方で、回収率はいずれも100%を超えます。より精度を高める絞り込みについてもお話ししたのですが、長くなるのでここでは割愛します。

土曜日のレースにこの条件に合致する馬が出走しています。中山2R・2歳未勝利戦(ダ1800m)のアイティクイーン。東京芝1400mの新馬戦で6着と敗れたあと、2戦目に選んだのがこのレースです。
http://db.netkeiba.com/horse/2008105654/

ゴールドアリュール産駒は、2歳のダート替わり1800m戦で連対率37.5%、単勝回収率241%、複勝回収率147%。中山コースに限ると連対率50.0%、単勝回収率410%、複勝回収率220%。この条件は最も得意とするところです。鞍上が横山典弘騎手にスイッチして勝負気配も伝わってきます。

期待値の高いところに賭け続けてプラスを狙うというやり方は、馬を相手にするというよりも、むしろ確率を相手にするものです。魚がいないところにむやみに網を打っても空振りするばかり。魚がやってくるポイントにあらかじめ定置網を張っておき、粘り強く待ち続け、魚影を感じたら引き揚げるというのがこのやり方です。むろん、馬券において百発百中などありえません。アイティクイーンが来るという保証もどこにもありません。長い目で見てプラスになればいいという期待値を根拠とした賭け方です。馬券はあくまでも自己責任でお願いします。

2010年12月 3日 (金)

水曜坂路の好調教馬、ヌーベルバーグ

12月2日夜に放送された『アメトーーク』(テレビ朝日)。今週は「競馬芸人」の回でした。初心者入門としてよくできた内容で、競馬新聞の見方から面白エピソードの紹介までを幅広く網羅し、競馬の宣伝効果としてはJRAのCM何百回分にも相当したのではないかと。

年に数回、所用でJRA本部に行くのですが、職員の方々が立ち働くフロアには「祝! ○○記念 105・2%」「祝! ○○ステークス 108・9%」といった短冊が天井から吊されています。要するに前年比の売り上げを示したもので、100%以上になった重賞がズラリと並べられているのです。売り上げ増に向けて熱心に取り組んでいるんだなぁということがよく分かります。今回の番組によってすぐに売り上げ増加が見込めるわけではないでしょうが、競馬を身近に感じてもらうための種まきとしては成功だったのでは?

さて、今週の新馬戦出走馬のなかで好調教をマークした馬をピックアップしたいのですが、どれか1頭選ぶとなれば、水曜日の栗東坂路で未出走馬の一番時計をマークしたヌーベルバーグ(父ディープインパクト・音無厩舎)でしょうか。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)で2着となったシークレットコードの半妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102997/

この馬の配合はちょっとおもしろいところがあります。まず、「ディープインパクト×Lost Code」なので、「サンデー×Lost Code」のハットトリック(香港マイル、マイルCS)と似ています。母マジックコードはカナダの最優秀古馬牝馬に選ばれた活躍馬。

母の父 Lost Code は“Chieftain≒Fast Trun 4×3”がミソです。
http://www.pedigreequery.com/lost+code

         ┌ Nasrullah(≒Royal Charger)
       ┌○┘
Chieftain ――┤ ┌ Roman(≒Admiral Drake)
       └○┤
         └ How(=Cherokee Rose)

         ┌ Royal Charger(≒Nasrullah)
       ┌○┤ ┌ Admiral Drake(≒Roman)
Fast Turn ――┤ └○┘
       └ Cherokee Rose(=How)

ディープインパクトに含まれる Lady Rebecca は、Chieftain の半妹であり、なおかつ Fast Turn と配合構成が似ています。

           ┌ Turn-to
         ┌○┘
       ┌○┘
Lady Rebeca ―┤
       └○┐
         └ How(=Cherokee Rose)

       ┌ Turn-to
Fast Turn ――┤
       └ Cherokee Rose(=How)

要するに、Lost Code が抱える相似な血のクロスを、父ディープインパクトが継続していることになります。

ディープインパクトの配合において、Lady Rebecca の構成要素を強化することが大事ではないかということを、5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」で述べました。そうした視点から見てぴったりの配合だと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

2代母の父 Flying Paster が大物感に欠ける二流血脈なので、ちょっと信頼しきれず「栗山ノート」には含められなかったのですが、稽古で動いているということはいいものを持っているのでしょう。日曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)に出走する予定です。

2010年11月27日 (土)

ジャパンCの外国招待馬

節目の30回目ということで、今年はJRAが頑張って出走馬を8頭も集めてきました。03年(9頭)以来の大量出走です。

1頭ずつ簡単にコメントしてみたいと思います。

■1番 ヴォワライシ Voila Ici(伊・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/voila+ici
父 Daylami はBCターフ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英チャンピオンSをはじめG1を勝ちまくった名馬ですが、種牡馬としては期待外れの成績です。昨年のジャパンC4着馬コンデュイットは、父が Daylami の半弟 Dalakhani、母の父が Sadler's Wells ですから、Daylami×Barathea(その父 Sadler's Wells)の本馬と配合構成がよく似ています。コンデュイットでさえ4着ですから、それよりはるかに実績が劣るこの馬では……。

■3番 ダンディーノ Dandino(英・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/dandino2
父 Dansili はデインヒル系の2400mタイプでは最も成功している種牡馬で、ハービンジャー(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Rail Link(凱旋門賞)などを出しています。本馬は重賞勝ちのない3歳馬ですから明らかに格下。母の父がジェネラスでは高速馬場への対応力にも疑問です。

■5番 モアズウェルズ Mores Wells(仏・牡6歳)
http://www.pedigreequery.com/mores+wells
母は芝16ハロンのクイーンズヴァーズ(英G3)の勝ち馬。これに日本では実績のない Sadler's Wells が父ですから、Shirley Heights とのニックスがあるといっても、日本の馬場に対応できるような軽快なスピードは期待できません。6歳秋ですから上がり目もないでしょう。

■9番 ティモス Timos(仏・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/timos
ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては当ブログでも何度か記してきました。本馬は2代父が Sadler's Wells、母の父が Surumu。このパターンは Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)と同じです。ただ、地元フランスでナカヤマフェスタ、ヴィウトワールピサに先着できなかったこの馬が、アウェーで逆転するという計算は成り立ちません。

■12番 ジョシュアツリー Joshua Tree(愛・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/joshua+tree3
父 Montjeu は軽快なスピードに欠けるため、日本ではサトノコクオーのように芝よりもダート向きの産駒が目立ちます。母方に Shirley Heights が入る Montjeu 産駒なので、Fame and Glory(愛ダービー、コロネーション、他)と似ています。ただ、血統的に日本向きではないので、空き巣のカナダG1を勝った程度の実力では厳しいでしょう。

■15番 フィフティープルーフ Fifty Proof(加・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/fifty+proof
父 Whiskey Wisdom は、Skip Away が勝った97年のBCクラシックに5戦全勝の成績を引っ提げて挑戦したものの4着(3位入線も降着)。このレースを最後に引退し、カナダで供用されました。サンライズプリンス(ニュージーランドT)の母メインリーは Whiskey Wisdom の全妹です。低レベルだったカナディアン国際Sで5着ですから力が足りないでしょう。

■17番 マリヌス Marinous(仏・牡4歳)
http://www.pedigreequery.com/marinous
父 Numerous はジェイドロバリーの全弟にあたるマイラー型種牡馬。母の父 Panoramic の「Rainbow Quest×Roberto」というスタミナによって中長距離への対応力を獲得しました。「ジェイドロバリー×オペラハウス」のマームードイモンが長距離を苦にしないのと同じです。Nijinsky と Blushing Groom のニックスを持つなど全体的な配合も悪くなく、凱旋門賞6着という成績も良好なので、外国招待馬のなかでは最先着する可能性が高いと思います。ただ、馬券になるかというと微妙ですね。

■18番 シリュスデゼーグル Cirrus Des Aigles(仏・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/cirrus+des+aigles
父 Even Top は英2000ギニーの2着馬。種牡馬としてはまったくの無名です。昨年はコンセイユドパリ賞(仏G2・芝2400m)を勝って臨んだ香港ヴァーズ(G1・芝2400m)で5着。今年はコンセイユドパリ賞2着のあとここに臨んできました。香港ヴァースで5着程度の実力では厳しいでしょう。日本の馬場はこなすと思いますが、決め手のない馬なので上位進出は望み薄です。

【結論】
今年の日本勢の層の厚さは過去最高レベル。それに対し、外国招待馬は頭数こそ多いもののレベルはイマイチ。苦戦必至でしょう。マリヌスが大駆けしたときに掲示板に載れるかどうか、といったところですね。

2010年10月22日 (金)

ディープインパクト産駒、今週10頭出走

10月に入ってからディープインパクト産駒の出走頭数が増えつつあります。第1週から順に3頭→5頭→7頭ときて、今週は大量10頭。

もともと産駒数が多いのですが(初年度は152頭)、秋競馬が佳境に入り、デビューする馬がグンと増えました。それに加えて、競馬に下ろしてから故障により脱落する馬をあまり目にしません。したがって未勝利戦にもどんどん出てきます。育成に携わる方々が口にするように、脚もとが丈夫なのは大きいですね。馬体のサイズがあまり大きく出ないので、四肢への負担が小さいのでしょう。

体質が丈夫でないと2歳の早い時期から活躍することはできません。2歳戦で活躍した競走馬が種牡馬として好まれるのは、早熟さのなかに「体質の強さ」という要素が含まれるからです。晩成型の種牡馬は、成長力というセールスポイントがある一方、じつは体質面に不安のあるタイプも少なくありません。無事是名馬、という格言を引き合いに出すまでもなく、競走馬は走ってナンボですから、体質に難のあるタイプは成績が上がりませんね。

今週出走するディープインパクト産駒は以下のとおり。

土曜日
 東京2R 未勝利戦  芝1400m フジハヤブサ    牡
 東京4R 新馬戦   芝1800m エアジョイント   牡
 東京9R いちょうS 芝1600m ヒラボクインパクト 牡
 京都3R 未勝利戦  芝2000m スマートロビン   牡
 京都5R 新馬戦   芝1600m ドナウブルー    牝

日曜日
 東京2R 未勝利戦  芝1600m ナイスアゲイン   牡
 東京3R 未勝利戦  芝2000m サトノペガサス   牡
 東京5R 新馬戦   芝1400m リアルインパクト  牡
 京都5R 新馬戦   芝1800m フェアーブライド  牡
 京都5R 新馬戦   芝1800m ダノンバラード   牡

半分ぐらいの馬は連対圏にあるので、うまくいけば3~4頭は勝てるかもしれません。新馬戦に出るエアジョイント、リアルインパクトあたりは評判になっています。前者は、エアシェイディとエアメサイアの4分の3弟にあたり、JRAレーシングビュアーで追い切りの映像を見ることができるのですが、首を使った柔らかみのある動きで好感が持てます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102787/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

先週のディープインパクト産駒は7頭出走して〔2・2・0・3〕と大活躍。秋が深まるにつれて本領を発揮しています。勝利数はライバルのハーツクライと14勝ずつで並んでおり、今週、ハーツクライは3頭しか出走がないので、ディープインパクトが上に出る可能性が高いですね。ただ、現時点では勝率、連対率ともハーツクライのほうが上です。

9月21日のエントリー「ハーツクライ固め打ち」のなかでこう書きました。

「2歳のこの時期は週によって成績に波があるので、調子のいい週もあれば悪い週もあります。ハーツクライとディープインパクトについては、これから毎週上がったり下がったりするでしょう。この2頭はいずれリーディングサイアーを争う種牡馬になると思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/09/post-714d.html

この2頭の角逐は、フレッシュマンサイアーの争いにとどまらず、末永く続いていきそうです。

2010年10月21日 (木)

菊花賞の穴馬

一昨年は「母の父リアルシャダイ」のフローテーション(15番人気)が2着。昨年は「父ダンスインザダーク」のスリーロールス(8番人気)とフォゲッタブル(7番人気)がワン・ツー・フィニッシュ。

血統的にみるとあまりにもひねりがなさすぎます。ですが、菊花賞に限っては、とことん素直に、ベタであることを恐れず――といった心構えで予想に臨むほうがいいですね。“カッコよくひねって綺麗に当てたい”といった邪念が入るとロクなことはありません。

去年の菊花賞はそれで失敗しました。恥を忍んで書くと、私の本命はブレイクランアウト(笑)。距離がもつわけないよ、という評価に反発するように◎を打ったのですが、結果はご存知のとおり(16着)。ダンスインザダーク丼で「やっぱり菊は血統だよなぁ」という声が飛び交うなか、徒労感を抱えて競馬場を後にしました。

過去の傾向を探ると、人気薄で突っ込んできた馬は、血統的な裏付けのあるものがほとんどです。過去10年間に7番人気以下で連対した8頭中、4頭がダンスインザダーク産駒でした。残りは、リアルシャダイ、サッカーボーイ、Sadler's Wells、ペンタイアを持つものが1頭ずつ。

人気馬とはその時点ですでに実力が証明されている馬たちです。中距離がベストでも能力の高さで長距離をこなしてしまうことがあります。一方、人気薄は、たいてい近走成績がイマイチで、3000mという距離で変わり身を見せるわけですから、それなりの適性(=血統的な裏付け)がないといけません。

今年、重い印があまり付きそうもない馬のなかで、菊花賞向きの血が入るものは以下の5頭。

コスモラピュタ(トニービンと Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104901/
ゲシュタルト(Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/
ビッグウィーク(父バゴ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100208/
ビートブラック(ブライアンズタイムと Rainbow Quest を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104746/
リリエンタール(Sadler's Wells と Monsun を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110046/

配合は考慮せず、能力・適性も度外視で並べています。もし荒れるとしたらこのあたりが突っ込んでくるケースでしょうか。

2010年10月20日 (水)

アラブの血を持つ2歳馬ゴーディー、本日大井で出走

15年前にJRAのアラブ系競走が廃止されたあと、馬資源の減少から地方競馬でも徐々に廃止するところが増え、現在ではアラブ系限定の競走は存在しません。

かつては、アングロアラブのトップクラスがサラブレッドを負かすことも珍しくありませんでした。中央競馬ではセイユウがセントライト記念に勝ち、南関東ではイナリトウザイ(東京盃)、ヨシノスカレー(報知グランプリC)、ホーエイヒロボーイ(報知グランプリC)、コスモノーブル(報知グランプリC)、トチノミネフジ(報知グランプリC)がサラブレッドを破って重賞を制覇しました。
http://ahonoora.web.fc2.com/seiyu.html
http://ahonoora.web.fc2.com/inari_touzai.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982501096/

ですから、アラブ系競走が廃止されたといっても、サラブレッドと同等のレベルにあるトップクラスのアングロアラブを、生産者が見捨てたわけではありません。名牝クラスの馬はしっかり繁殖入りし、サラブレッドとの間に産駒を送り出しています。当ブログでもこの話題は一度取り上げました(09年12月9日のエントリー「アラブの名牝の子トライバルシンが新馬戦5着」)。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/post-6670.html

本日、大井競馬9Rのくまたか特別(19時40分発走)に、ゴーディーという2歳馬が出走します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008200010/

父は1世代16頭の産駒を残して乗馬に転身したプレシャスカフェ。この馬はCBC賞(G2)とシルクロードS(G3)を勝ったサラブレッドです。一方、母イケノエメラルドは、アラブダービー(笠松)、アラブ王冠(名古屋)、アラブギフ大賞典(笠松)など60戦27勝の成績を残したアングロアラブ。母の父コノミテイオーは楠賞全日本アラブ優駿(園田)の勝ち馬です。

母イケノエメラルドはスカレー4×3。スカレーは70年代から80年代にかけて活躍したアラブの名種牡馬ですが、種牡馬生活の前半はタガミホマレに、後半はスマノダイドウとキタノトウザイ(父スカレー、母イナリトウザイ)の二強体制に阻まれ、一度もリーディングサイアーの座に就けませんでした(78年から86年まで9年連続2~3位)。しかし、優れた資質を伝える種牡馬であることは間違いなく、全日本アラブ大賞典、アラブーダービー、アラブ王冠賞などを勝ったオオヒエイは「スカレー2×2」です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986501490/

アラブの血を持つ馬(「サラ系」に分類)は、地方競馬においてはさほど珍しい存在ではありません。くまたか特別の出走馬にはもう1頭、エースキッドという馬がアングロアラブの母を持っています。しかし、ゴーディーについて特筆したいのはその実力。1番人気に推された前走の準重賞ゴールドジュニアー(OP・ダ1400m)では、不利な大外枠からロケットスタートでハナに立ち、2着に逃げ粘りました。いずれ重賞に出走してくるでしょう。

今回はメンバー的に楽になるとはいえ、ダービー馬サニーブライアンの半弟で1戦1勝のリアリゼーション(父ファンタスティックライト)などは、明らかに格下ではありますが不気味な存在です。面白いレースになりそうです。

2010年10月16日 (土)

障害界のサンデーサイレンス

オペラハウスといえば、テイエムオペラオーとメイショウサムソンの父として知られる名種牡馬です。Sadler's Wells 系だけあって芝の道悪を得意としていますが、もうひとつ、“障害レースに強い”というセールスポイントもあります。

Sadler's Wells 系は基本的に障害レースに高い適性があります。たとえば、Istabraq(父 Sadler's Wells)は英チャンピオンハードル3連覇、愛チャンピオンハードル4連覇など無敵を誇りました。
http://www.pedigreequery.com/istabraq

また、日本で2年間リース供用されたオールドヴィック(父 Sadler's Wells)は、現在3年連続でグランドナショナルの連対馬を出し、うち2回は優勝、今年はワンツーフィニッシュを決めました。
http://www.pedigreequery.com/old+vic

86年以降、障害レースで産駒が100走以上している種牡馬のなかで、連対率が30%を超えているのは、ノーザンテースト(35.8%)、ノーザンディクテイター(33.8%)、オペラハウス(32.2%)の3頭のみ。

この3頭を重賞勝利数で比べてみると、オペラハウス14勝、ノーザンテースト6勝、ノーザンディクテイター2勝なので、オペラハウスの圧勝です。大物が出るかどうかは種牡馬評価の大きなポイントですね。

たとえば、一昔前に障害界で一世を風靡したモガミは、連対率25.8%で上記3頭よりも劣るのですが、重賞勝利数は15勝で、これは86年以降の最高記録です。「障害のモガミ」というイメージがファンに植え付けられたのは、重賞レースでつねにモガミ産駒が上位争いをしていたことが大きいでしょう。ノーザンテーストやノーザンディクテイターにそうしたイメージはありません。

オペラハウスは通算292走で重賞14勝。一方のモガミは通算633走で重賞15勝。出走回数で倍以上の差があるのに、重賞勝利数はほぼ並んでいるのですから、オペラハウスの優秀さは明らかです。まさに“障害界のサンデーサイレンス”。平地で頭打ちになったオペラハウス産駒は、試しに障害を飛ばせてみればいいのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000d77/

土曜日の東京ハイジャンプ(J・G2・芝3300m)には、オペラハウス産駒のコウエイトライ(牝9歳)が出走します。孫のテイエムトッパズレ(牡7歳・父テイエムオペラオー)も出走します。もしコウエイトライが勝てば、オペラハウスは産駒の重賞勝利数が「15」となりモガミに並びます。すでに9歳秋ですが、長期休養後のスランプから完全に脱しているので勝ち負けになるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001109085/

2010年10月 9日 (土)

得意条件のペルーサ

レースを見ていて、特定の血統が“最近よく来るなぁ”と気付くことは大事ではないかと思います。たとえば、この秋なら芝におけるゼンノロブロイ産駒。

同産駒は基本的に忙しい競馬に向いていないため、芝1200mでは用なしです。能力の高い2歳馬がこの距離に出走してきたとき以外は買えません。馬券で狙える対象は芝1400m以上です。

9月に入ってから、芝1400~1800mに出走したゼンノロブロイ産駒は19戦10連対。率に直すと52.5%。そのなかにはアニメイトバイオが勝ったローズS(G2・芝1800m)も含まれています。このレンジでは来まくってますね。8月3日のエントリー(夏は買えないゼンノロブロイ産駒)で「ゼンノロブロイ産駒は秋競馬が始まってからが買いです」と記しましたが、そのとおりの事態となっています。

この流れで注目されるのは毎日王冠に出走するペルーサ(父ゼンノロブロイ)。今回は芝1800mですから上記の条件に当てはまります。過去、このレースで連対した3歳馬は、ニッポーテイオー、オグリキャップ、エルコンドルパサーと歴史的名馬ばかり。ただ、この馬も相当な器ではないかと思うので、家賃が高いということはないでしょう。

問題は雨。予報によると土曜から日曜にかけてしっかり降るようです。毎日王冠が東京芝1800mで行われるようになってから、重~不良だったことは2回(85年、95年)あります。85年は7頭立ての5番人気ゴールドウェイが勝ち、95年は14頭立ての10番人気スガノオージが勝ちました。いずれも波瀾の決着となっています。降水量によっては思い切った穴狙いがいいのかもしれません。

なお、毎日王冠当日の東京競馬場では、翌日に行われる盛岡の南部杯(G1・ダ1600m)の前売り馬券が発売されます。BCクラシック(米G1・ダ10f)に出走を予定しているエスポワールシチーの壮行レースでもありますね。発売場所はフジビュースタンド1階・101投票所(府中本町と通じる西門寄りのところ)。最終レース終了後はかなり混むのでご注意を。

2010年10月 2日 (土)

本日発走、フラワーボウル招待S(米G1・芝10f)

日本のレッドディザイアが出走します。場所は米ニューヨーク州ベルモントパーク。ケント・デザーモ騎手が騎乗し、どうやら1番人気を背負うようです。8頭の出走メンバーにこれといった強豪はいないので、レッドディザイアが本来の力を出せば結果はついてくるでしょう。

ただ、心配なのは馬場ですね。天気予報によれば当日は晴れる模様ですが、前日まで雨なので、凱旋門賞と同じく重い馬場となりそうです。ベルモントパークの芝コースは、コーナーが大きく直線が短いので、シーザリオがアメリカンオークスを勝ったときのように早めにマクっていくかもしれません。デザーモ騎手に任せておけば大丈夫でしょう。時差の関係で発走時刻は日本時間の日曜早朝です。

2010年10月 1日 (金)

リベルタス出陣

土曜日の阪神4R・新馬戦(芝1800m)にリベルタスが出走を予定しています。ディープインパクト産駒のなかでもかなり評判が高かった馬なので、注目を集めることでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102819/

母カーリングはもともとかなりの安馬です。その父 Garde Royale は障害用としても供用されていたマイナー種牡馬。また、母の父 Carvin も女傑 Pawneese(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英オークス、仏オークス)のほかは目立った活躍馬を出さなかったステイヤー種牡馬ですから、G1クラスでの活躍を期待しづらい血統です。

ところが、いざ走ってみると動きが素晴らしく、仏オークス(G1)とヴェルメイユ賞(G1)を勝ちました。そして、繁殖牝馬としてもローエングリン(重賞3勝、ムーランドロンシャン賞2着)を出したのですから大したものです。

非主流血脈をたっぷり抱えているので、なんとなくアガ・カーン四世殿下が好みそうな配合ですね。殿下は、流行とは縁の薄い良質のステイヤー血脈を使って活力の高い牝系を作り上げ、そこから超一流馬を取り出すというスタイルで成功しました。カーリングは“天然のアガ・カーン配合”といったテイストがあります。この牝系は大事にしてほしいですね。

今年の「栗山ノート」ではリベルタスを指名していません。初年度のディープインパクト産駒は、アメリカ血統を重視した馬選びをしました。ヨーロッパのステイヤー血統を抱えたこの馬は、ディープとの組み合わせでは鋭さに欠ける子が出る可能性があると見てスルー。しかし、こういう配合が走るのなら、来年のディープ産駒の馬選びは姿勢を変えて臨まなければなりませんね。

同じレースに出走予定のダノンシャークもディープインパクト産駒。母方に Mill Reef を持つところはリベルタスと同じです。半兄レッズフィールド(父アグネスタキオン)はかつてPOGで指名し、決め手のなさに泣かされた馬でした(〔1・7・3・8〕という成績)。それ以来、母カーラパワーは警戒して取っていません。ただ、この馬は配合そのものはそれほど悪くないと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105554/

2010年9月29日 (水)

凱旋門賞に挑んだヨーロッパ以外の外国馬(後)

海外遠征において、本番前に前哨戦を走ることは、馬場や環境に慣れる効果があります。その一方で、滞在が長くなると体調維持が難しくなり、調子が落ちることもあります。馬の個性、滞在場所の環境、スタッフの手腕などが関わってくる問題なので、一概にどちらがいいとはいえません。

ただ、凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場は、ひと雨降るとヨーロッパ独特の非常に重い馬場となり、しかもコース設定がトリッキーです。さらにメンバーはきわめてハイレベル。ぶっつけというのはなかなか結果が出にくいですね。秋のパリはよく雨が降ります。エルコンドルパサーが出走した99年、ロンシャンの馬場を実際に歩いてみたのですが、濡れた長い芝が足に絡みついてくるような感触で、この馬場をこなすのは容易ではないと感じました。

昨日掲載した表を見ると、アルゼンチンやブラジルなど、日本と同じように時計が速く、馬場のアップダウンが比較的少ない南米の国々は、まったく結果が出ていないことがわかります。どの馬も故国では年度代表馬クラスの名馬ですが、競馬になっていません。

5位以内に入線した馬を書き出してみます。

56年 Career Boy(米)    4着
77年 Balmerino (新)    2着
84年 Strawberry Road (豪) 5着
99年 エルコンドルパサー(日)2着
06年 ディープインパクト(日)失格(3位入線)

このうち、ぶっつけだったのは、Career Boy とディープインパクトの2頭。Balmerino、Strawberry Road、エルコンドルパサーの3頭は、本番前にヨーロッパで競馬を使っていました。

Career Boy(米)は、ヨーロッパの深い芝もバリヤー式のスタートも初経験でしたが、よく頑張りました。ただ、勝ち馬の Ribot からは8馬身以上離されています。
http://www.pedigreequery.com/career+boy

ディープインパクト(日)は、ヨーロッパ以外からぶっつけで挑んだ外国馬のなかで最も健闘した馬です。失格となったのは残念でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/

Balmerino(新)は、故国ニュージーランドからオーストラリア、アメリカを経て77年夏にイギリスのジョン・ダンロップ厩舎に入り、グッドウッドのステークスを5馬身差で勝って本番に臨みました。2着という成績はヨーロッパ以外の外国馬ではエルコンドルパサーと並ぶ最高着順です。
http://www.pedigreequery.com/balmerino

Strawberry Road(豪)は、8月末と9月始めにドイツで2戦し、本番に駒を進めました。5着と健闘したあと、ワシントンDC国際、ブリーダーズCターフと使って、ジャパンCに来日したのですからタフな馬です。
http://www.pedigreequery.com/strawberry+road

エルコンドルパサー(日)についてはあらためて書くまでもありません。春からヨーロッパへ渡るという長期的な計画によって見事結果を出しました。ただ、この長期遠征は、オーナーの個人的なコネクションによって、預け先の現地厩舎との間にあらかじめパイプが存在していました。何のツテもなくいきなり長期遠征しようとしても難しいでしょう。また、経済的な負担も多大なものになるので、並の覚悟では無理だと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/

ヨーロッパ以外でデビューした外国馬は、凱旋門賞で凡走するのが当たり前。5着以内に入れば大善戦といえます。傑出したスーパースターがいない今年は多くの馬にチャンスがあります。日本馬2頭が新たな歴史を作ることを期待したいと思います。

2010年9月28日 (火)

凱旋門賞に挑んだヨーロッパ以外の外国馬(前)

日曜夜に行われる凱旋門賞(仏G1・芝2400m)は、フジテレビTWOでも生中継されます。グリーンチャンネルに加入されていない方はこちらでも視聴可能です。

パリの天気予報を見ると、やはりこの時期だけに天候はぐずついていますね。当日、乾いた馬場で行われる可能性は低いでしょう。1日ごとの降水確率は以下のとおり。

28日 29日 30日 1日 2日 3日
35% 30% 75% 45% 90% 60%

レース当日(10月3日)は晴れ間も見えるようですが、前日にしっかりと雨が降るので馬場状態は稍重~重ぐらいと予想します。1番人気が予想される Behkabad は重い馬場に不安がないのでますます有利です。

凱旋門賞に挑戦する外国馬、とくにヨーロッパ以外からはるばる参戦する馬たちは、競馬をさせてもらえずに敗れ去るケースがほとんどです。

■日本

69年 スピードシンボリ  着外(11着以下)
72年 メジロムサシ    18着
86年 シリウスシンボリ  14着
99年 エルコンドルパサー 2着
02年 マンハッタンカフェ 13着
04年 タップダンスシチー 17着
06年 ディープインパクト 失格(3位入線)
08年 メイショウサムソン 10着

■アメリカ

56年 Career Boy     4着
   Fisherman      9着
57年 Career Boy     18着
62年 Carry Back     10着
65年 Tom Rolfe      6着
71年 One for All     9着
75年 Intrepid Hero    10着

■アルゼンチン

72年 Snow Castle     19着
77年 Mia         24着
79年 Telescopico     18着
95年 El Sembrador    15着

■ブラジル

94年 Much Better     14着
09年 Hot Six       15着

■オーストラリア

84年 Strawberry Road   5着
97年 Nothin' Leica Dane 17着

■ニュージーランド

77年 Balmerino      2着
81年 Ring the Bell    11着

■チリ

86年 Maria Fumata    15着

上記のリストは手作業で調べたので、ひょっとしたら漏れなどがあるかもしれません。違っているというご指摘があれば幸いです。

ほとんど通用していないのは、能力的な問題はもちろんあると思いますが、それよりも馬場や環境に適応できないことが大きいのではないかと思います。(続く)

2010年9月27日 (月)

神戸新聞杯はローズキングダム

ダービー馬◎エイシンフラッシュ(1番人気)との一騎打ちとなり、○ローズキングダム(2番人気)が競り勝ちました。夏の上がり馬が勢力図を書き換えることはできませんでした。

前半1200mの通過は「1分15秒3」。過去3年の平均が「1分12秒5」ですからかなりのスローペースです。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文は以下のとおり。

「神戸新聞杯は決め手勝負になることが多いので、超スローペースのダービーを突き抜けたこの馬(エイシンフラッシュ)が有利。追い切りの動きは圧巻で春からさらに成長している。」

スローの決め手勝負ならダービー組が上ですね。1、2着馬の上がり3ハロンは33秒3でした。昨年のイコピコの再現を期待して、同じマンハッタンカフェ産駒で配合構成も似ているサンディエゴシチー(6番人気)に▲を打ったのですが、1、2着馬とは地力が違いすぎました(9着)。

ここ3年間の菊花賞(G1・芝3000m)は、勝ち馬の上がり3ハロンの平均が35秒1ですから、スローの上がり勝負というわけではありません。加えて今年はヤマニンエルブがペースを緩めずに逃げます。セントライト記念で相応の実力を示した馬ですから、有力各馬は早めに追いかけざるを得ないでしょう。ロングスパート気味のスタミナが問われるレースになるはずです。ダービーや神戸新聞杯のようなレースにはなりません。

今回の1、2着馬がそうしたレースでも他馬を抑えられるほど地力が抜けているのか、あるいはスタミナ自慢の新興勢力が台頭してくるのか。菊花賞の焦点はこのあたりになりそうです。

2010年9月25日 (土)

土曜日の注目馬、ディオーサとワイズミューラー

土曜日は個人的に注目している3歳馬が2頭出走します。

★中山9R・汐留特別(500万下・芝1600m)
  ディオーサ(牝3)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105462/

★中山10R・九十九里特別(1000万下・芝2500m)
  ワイズミューラー(牡3)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/

ディオーサは母方に Nijinsky と Mr.Prospector を併せ持つマンハッタンカフェ産駒。このパターンは、イコピコ、レッドアゲート、サンディエゴシチー、メイショウレガーロ、マンハッタンスカイ、エーシンモアオバーなど活躍馬が多数出ています。母ジェニアリータは桜花賞プリモディーネと配合構成がきわめてよく似ており、この点もおもしろいと思います。

          ┌ Mr.Prospector
        ┌○┘
ジェニアリータ ┤ ┌ マルゼンスキー
        └○┤ ┌ イエローゴッド
          └○┤ ┌ モンタヴァル
            └○┤
              └ ソーダストリーム

          ┌ Mr.Prospector
        ┌○┘
プリモディーネ ┤ ┌ マルゼンスキー
        └○┤ ┌ イエローゴッド
          └○┤ ┌ モンタヴァル
            └○┤
              └ ソーダストリーム

今回は昨年12月のひいらぎ賞以来9ヵ月ぶりのレース。久々、道悪、牡馬相手と不安材料がいっぱいですが、勝ち負けに持ち込んでもおかしくないと思います。

一方、ワイズミューラーは8月21日のエントリー(「菊花賞路線に乗れるか、ワイズミューラー」)ですでに取り上げています。配合解説はそちらをご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/08/post-17b9.html

アプリコットフィズと配合構成が酷似している馬で、とりあえずその血統表だけ転載します。

             ┌ ジャングルポケット
ワイズミューラー ――――┤   ┌ サンデーサイレンス
(=ジャングルスマイル) │ ┌○┘
             └○┤
               └ サトルチェンジ

             ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
             └○┤
               └ サトルチェンジ

ここを勝たないと菊花賞挑戦の夢が絶たれるので、陣営は必勝態勢で臨んでくるでしょう。

ディオーサ、ワイズミューラーとも道悪は未知数。あっさり勝つかもしれませんし、コロッと負けるかもしれません。いずれにしても、このレースだけでなく先々まで注目してみたい馬たちです。

2010年9月18日 (土)

中山芝2200mで買える血、買えない血

長年馬券を買っている方ならお分かりだと思いますが、中山芝2200mはスタミナが必要です。中山コースではマイラーが芝2000mをカバーできても、芝2200mとなると苦しいですね。ちょうど東京芝2400mと芝2500mのようなもので、距離はたいして違わないけれど必要とされるスタミナには明確な違いがあります。

私が最初に中山芝2200m向きの血統として意識したのは Herbager でした。これはフランスのステイヤー血統で、かの地でリーディングサイアーとなり、のちにアメリカへ渡ってからも成功しました。

日本には70年代にシーホーク、コインドシルバーといった種牡馬が輸入されました。とくにシーホークは優秀で、日本ダービーを勝ったウイナーズサークルとアイネスフウジンのほか、天皇賞・春を勝ったモンテプリンスとモンテファストの兄弟など、多くの活躍馬を送り出しました。

これらの子は中山芝2200mの重賞でよく活躍しました。

80年 セントライト記念① モンテプリンス(父シーホーク)
83年 オールカマー②   ビンゴカンタ(父コインドシルバー)
86年 アメリカJCC①  スダホーク(父シーホーク)
    オールカマー①   ジュサブロー(父シーホーク)
       〃   ③   テツノカチドキ(父コインドシルバー)
    セントライト記念② アサヒエンペラー(父コインドシルバー)
88年 アメリカJCC②  キタノイチジョー(父シーホーク)

Herbager 系はスタミナ抜群です。その一方で瞬発力はイマイチ。もしモンテプリンスに切れ味があればダービーをはじめいくつもの大レースをモノにしていたでしょう。アサヒエンペラーなどもジリ脚でしたね。

中山芝2200mを得意とするのはこういう血です。切れ味よりも粘り合いのタフなレースに強いタイプです。

今年のセントライト記念に出走馬を送り込んだ父馬の、中山芝2200mの連対率を並べてみます。

Galileo       66.7%
キングカメハメハ  26.3%
マンハッタンカフェ 24.2%
シンボリクリスエス 25.0%
グラスワンダー   19.2%
サッカーボーイ   17.6%
ダンスインザダーク 14.6%
フレンチデピュティ 14.3%
アグネスタキオン  14.0%
ゼンノロブロイ   出走歴なし

トップの Galileo は出走歴が3回(2連対)しかないのでサンプル不足。ただ、得意としていることは確かでしょう。その下のキングカメハメハ、マンハッタンカフェ、シンボリクリスエスは胸を張れる成績です。グラスワンダーとサッカーボーイはまずまず。ダンスインザダーク、フレンチデピュティ、アグネスタキオンはイマイチです。とくにアグネスタキオンは全体の連対率が高い種牡馬なので落ち込みが目立ちます。

中山のスタミナ戦では、Sadler's Wells、Roberto、Ribot 系といった血が頼りになるので、それらを持った馬を重く見たいところです。前述の Galileo も Sadler's Wells 系です。

2010年9月13日 (月)

ニエル賞、フォワ賞

ヴィクトワールピサ4着、ナカヤマフェスタ2着は、前哨戦としてはまずまずだったと思います。

まず3歳馬のニエル賞。勝った Behkabad、2着 Planteur は、本番の凱旋門賞でも勝ち負けになるであろう強豪です。下馬評どおりワンツーフィニッシュを決めたわけですが、ヴィクトワールピサも残り300mぐらいで外から並びかけるシーンがありました。能力的にお話にならない馬であれば、ああいった見せ場を作ることはできません。それ以前のフォルスストレートあたりから手が動いて追走に手一杯になるはずです。

Behkabad と Planteur は、少なくともロンシャンの芝2400mではかなり強い馬です。私は同じ舞台設定でこの2頭を負かせる馬はほとんどいないと思います。ひょっとしたら他にいないかもしれません。レースが終わり、現在の凱旋門賞のアンティポストを見ると、イギリスの主要ブックメーカー14社中、Behkabad を1番人気に推す社は8つ、Behkabad と Fame and Glory を同オッズとする社は4つ、Fame and Glory を1番人気に推す社は2つです。Behkabad が1番人気に躍り出たわけです。その強豪を相手に直線半ばまで見せ場を作ったわけですから、悲観するような内容ではなかったと思います。

最後に失速した理由として、武豊騎手は「レース間隔が開いた」ことを挙げています。それならば本番へ向けて期待が持てると思います。遠い日本から遠征して初物尽くしだったわけですから、今回の敗戦を糧として前進できるはずです。

ただ、絶好の手応えできて失速するというのは、距離に問題があるケースも多いので、仮にそうした点が絡んでいるのだとすれば厄介です。日本で走る分には2400mに問題はないと思います。しかし、ヨーロッパの重い馬場ではどうなのか……ということですね。このあたりは杞憂であってほしいものです。

次は古馬によるフォワ賞。戦前から書いているように出走メンバーの質はニエル賞には及びません。今回勝った Duncan はうまく乗ったという感じで、凱旋門賞で人気になることはないでしょう。事実、レースを終えた後のアンティポストでも21~26倍と伏兵の1頭に過ぎません。

ナカヤマフェスタの2着は本番前の試走としては十分な内容だったと思います。しかし、レースレベルに疑問符がつくことも確かなので、これで凱旋門賞の有力候補になったということはありません。Duncan と同じくあくまでもアップセット狙いの伏兵陣、という位置づけでしょう。

「かなり太い」という二ノ宮調教師のコメントからすると大きな上積みがありそうですね。11年前のエルコンドルパサー(二ノ宮厩舎所属)は、遠征初戦のイスパーン賞(G1)で2着と敗れたあと、2戦目のサンクルー大賞典(G1)で見違えるような強さを発揮し、2馬身半差で完勝しました。陣営は、今回のレースはまったくの試走と割り切っていたでしょうから、レースレベルとは関係なしに、本番は期待できると思います。幸いなことに勝ち時計が遅かったので消耗も少ないはずです。母ディアウィンクは Ribot 系の His Majesty 2×4というクロスを持ち、ヨーロッパで大成功しているデインヒルの血が入ります。パワーを必要とするヨーロッパの馬場によくフィットしていますね。

凱旋門賞のアンティポストは、ヴィクトワールピサが26倍、ナカヤマフェスタが26~34倍です。イギリスのブックメーカーは両馬をほぼ同格と扱っています。もちろん、2頭とも伏兵評価なので、厳密に力量比較しているわけではなく、だいたいこのぐらい、というおおざっぱなものでしょう。競馬新聞の印で表現するとしたら、2頭とも△が1~2個つくぐらいといった感じですね。

今回の衛星生中継に関して、レース以外で良かったなと思う点は、アガ・カーン四世殿下(Behkabad のオーナーブリーダー)のお姿をたっぷり拝見できたことと、イギリス競馬界の名物男ジョン・マクリリック氏がほんの数秒間画面に映ったことです。マクリリック氏はジョン・レノンと同い年で今年70歳を迎えましたが、相変わらずド派手ないでたちでしたね~。10年ぐらい前まではジャパンCの取材に毎年いらっしゃっていたはずです。最近はお姿をお見かけしません。

この動画はけっこう笑えます。
http://www.youtube.com/watch?v=UXAK-2TQ_bA

2010年9月12日 (日)

ニエル賞、フォワ賞のオッズ

いよいよ本日夜に発走です(ニエル賞は23時15分、フォワ賞は23時45分)。オッズはイギリスのブックメーカーのものなので、現地で発表される公式オッズとは異なります。日本馬がどの程度評価されているかという目安にはなるでしょう。数字は発走時間に近づくにしたがって変わっていきます。数字は主な6社のものです(オッズ表示は日本式に直しています)。

■ニエル賞(G2・芝2400m)

Behkabad       2.1   2.25   2.1   2   2   2.1
Planteur        3   3  2.875  2.875   3   3
ヴィクトワールピサ   8   6   8   8   8   8
Apres Vous       8   7.5   7.5   8   8   8
Shamalgan        29   21   26   26   26   21
Kidnapping       29   23   26   34   34   34
Vivre Libre      201   251   201   201   251   201

パリ大賞典(G1)の1、2着馬、Behkabad と Planteur が人気を分け合う形です。これにヴィクトワールピサと Apres Vous が続きます。

Apres Vous (父 Monsun)はアンドレ・ファーブル厩舎が送り込んできた刺客。戦績は1戦1勝ながら Manduro(ジャックロマロワ賞、プリンスオブウェールズS、イスパーン賞)の4分の3同血にあたる良血馬です。
http://www.pedigreequery.com/apres+vous3

未知の魅力が買われて穴人気になり、あっけなく飛ぶというパターンではないかと思いますが、血統、厩舎、馬主(マイケル・テーバー氏のグループ)を見るとかなり怖いですね。相当な大物である可能性も否定できません。もし仮にここを勝つようなら凱旋門賞へ向けた勢力図が一変します。

■フォワ賞(G2・芝2400m)

Byword         2   2.1   2.2  1.95   2   2
Daryakana       4.5   4  3.75   5   4.5   4.5
ナカヤマフェスタ    7   5.5   6   6   6   7
Duncan         10   9   11   9   9   9
Chinchon        9   10   12   11   11   10
Timos         19   17   17   21   17   21

ナカヤマフェスタが3番人気というのは妥当なところでしょう。

ライブカメラで現在のパリの天候を確認したところ、雲は多いものの晴れています。できればこのまま行ってほしいですね。

2010年9月11日 (土)

ニエル賞、フォワ賞展望(後)

フォワ賞といえば99年にエルコンドルパサーが勝ったレースですが、日本馬ではもう1頭、86年にシリウスシンボリが2着していることは意外と忘れられがちかもしれません。アジア以外の重賞で日本馬が複数頭連対したレースは、アメリカンオークス、メルボルンC、そしてこのフォワ賞の3つです。

今年のフォワ賞(G2・芝2400m)は古馬ナンバーワンの Fame and Glory が回避。本番に直行する模様です。ナカヤマフェスタにもチャンスが出てきました。

Byword は今年のプリンスオブウェールズ(英G1・芝10f)の勝ち馬。半姉に現在アメリカで芝G1を3連勝している Proviso がいます。8~10fで使われてきた馬なので、ここに出てくるとは思いませんでした。前走、8月17日のインターナショナルS(英G1・芝10f88yds)は Rip Van Winkle の3着。今回のメンバーのなかでは格上ですが、問題は12ハロンをこなせるかどうか。付け入る隙はあると思います。現在、凱旋門賞のアンティポストは5~10番人気ぐらい(11~17倍)です。
http://www.pedigreequery.com/byword

牝馬の Daryakana はサンクルー大賞典(G1)3着、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)4着とまずまずの成績。昨年暮れに香港ヴァーズ(G1・芝2400m)を勝ったとき、4着がジャガーメイルでした。メンバーが手薄とみてヴェルメイユ賞(G1)からこちらに回ってきたのかもしれません。凱旋門賞のアンティポストは12~15番人気ぐらい(21~34倍)です。
http://www.pedigreequery.com/daryakana

Chinchon は7月にアメリカ遠征をして弱敵相手にユナイテッドネイションズS(米G1・芝11f)を勝ちました。ただ、フランスではG3しか勝ったことがありません。トライマイベスト=Northern Prancer 3×3、Mill Reef≒Riverman 4×4はかっこいいですね。
http://www.pedigreequery.com/chinchon2

Duncan は6月19日に行われたハードウィックS(英G2・芝12f)で2着(勝ち馬は Harbinger)と健闘したのですが、続く7月30日のグローリアスS(G3・芝12f)は1番人気に推されて4着と凡走。安定して力を発揮するまでには至っていない感じです。http://www.pedigreequery.com/duncan7

Fame and Glory という誰もが認める主役が回避したので、脇役だけのレースとなった感があります。1番人気が予想される Byword は2400mという距離が未知数なので、ナカヤマフェスタにも十分チャンスはあるでしょう。Byword に適性があった場合は厳しいのですが。

9月1日のエントリーで凱旋門賞のアンティポストについて書きましたが、ここにきてようやくヴィクトワールピサとナカヤマフェスタのオッズが付いてきました。数字は左がコーラル、右がウイリアムヒルです。オッズは日本式に直しています。

ヴィクトワールピサ  26  26
ナカヤマフェスタ   41  34

ナカヤマフェスタには26倍をつけるブックメーカーもあります。ニエル賞とフォワ賞が終わればオッズは固まってくるでしょう。レースの模様は9月12日の23時からグリーンチャンネルで放送されます。

2010年9月10日 (金)

ラプリメーラを応援

土曜札幌5R(芝1500m)は目移りすぐるらい良質なメンバーが揃いました。出馬表を見渡したところ「栗山ノート」の指名馬を1頭発見。

2番ラプリメーラ(父アグネスタキオン)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103311/

『競馬王のPOG本』に掲載したコメントを転載します。

「母はローズS3着馬。メジロライアン産駒にしてはいい切れ味を持っていた。アルサイド≒パラディシア5×5は非常におもしろい。大物感があるのでホームランの可能性も。」

母はベストアルバムです。本馬と同じく沖芳夫厩舎に所属し、18戦5勝の成績を残しました。主な戦績はローズS(G2)3着。

Alcide≒パラディシアの関係は以下のとおり。かなりユニークです。

          ┌ Donatello
        ┌○┤ ┌ Hyperion
Alcide ――――┤ └○┘
        └ Chenille

          ┌ Hyperion
        ┌○┤ ┌ Donatello
パラディシア ―┤ └○┘
        └ Chenille

誤解のないように付言しておくと、このクロスはほとんど成功例がありません。スピードがないからです。メジロ牧場で何度も試みられたのですが重すぎて走りませんでした。しかし、だからダメというのは短絡的ではないかと思います。活かし方ひとつでしょう。

現代的な血統のなかでこのクロスを展開させれば案外成功するのではないか、という考えはいつも心の片隅にありました。具体的にいえばアグネスタキオンです。サンデー系のなかでもスピードと切れ味に特長があるので、Alcide≒パラディシアの重さを活かす血として魅力的です。アグネスタキオンにはリマンドがあり、その父が Alcide です。

母方にパラディシアを持つアグネスタキオン産駒は、過去に1頭デビューしています。メジロドーベルの娘メジロアレグレットです。同馬は〔0.3.2.1〕という成績が示すとおり決め手がなく、6戦目のレース中に骨折して予後不良となってしまいました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003103357/

じつはアグネスタキオン産駒が出始めのころ、Alycidon≒Aureole(つまり Alcide の父とパラディシアの父)を狙ってPOGで指名したこともあったのですが(例:カレンスターボーイ)、決め手がありませんでした。アグネスタキオン産駒においてリマンドに含まれる部分を強調するのはリスキーだと学びました。

メジロアレグレットは、母が著名馬ではあるものの、瞬発力不足を補う配合的な仕掛けがありません。しかし、ラプリメーラには Halo≒Sir Ivor 3×5があります。Halo 的な軽さや瞬発力を増幅するクロスです。これがなければ指名することはなかったでしょう。

Alcide≒パラディシアの重さが勝つか、Halo≒Sir Ivor の軽さが勝つか、明日のレースは注目してみたいと思います。ダメなようなら Alcide≒パラディシアは諦めます。

ニエル賞、フォワ賞展望(前)

レースは9月12日(日)ですから明後日です。8日の追い切りは雨の中で行われました。関係者のコメントを読むかぎり、ヴィクトワールピサもナカヤマフェスタも順調のようですね。

9日は晴れときどき雨で、10、11日は晴れの予報(両日とも降水確率5%)。レース当日は雨のち曇りの予報(降水確率95%)ですから、馬場状態は日本でいうところの稍重ぐらいではないかと思います。両馬とも良馬場以外はダメというタイプではなく、おそらく対応できるでしょう。

ヴィクトワールピサが出走するニエル賞(G2・芝2400m)は、パリ大賞典の1、2着馬 Behkabad と Planteur のラインに、ヴィクトワールピサが対抗できるかどうか、というところですね。

7月14日のパリ大賞典(G1・芝2400m)は、今回と同じコースで行われ、この2頭が後続を5馬身ちぎりました。3着 Jan Vermeer は、6月27日の愛ダービー(G1・芝12f)で Cape Blanco(先日の愛チャンピオンSを5馬身半差で圧勝)から2馬身差の3着ですから弱い馬ではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=IMq9eEl911Q

現在、凱旋門賞のアンティポストでは、Bahkabad が2番人気(5~7倍)、Planteur が3~5番人気(8~11倍)。個人的には古馬の Fame and Glory(現在1番人気)よりも伸び盛りの3歳勢のほうが怖いと思います。もし仮にヴィクトワールピサがここを勝つようなら凱旋門賞の最有力候補に昇格します。負けたとしても悲観する必要はありません。大きく離されなければ十分だと思います。

Behkabad は文句なしの名配合です。バランス、風格、血脈構成、すべてにおいて申し分ありません。アガ・カーン四世殿下の配合には感動があります。財力と配合哲学を併せ持つオーナーブリーダーにのみ許される“名血を育むための歴史的視点”が感じられるからです。父は Sea the Stars を送り出した Cape Cross。牝系は3代連続でパターンレースを勝っており、2代母 Behera は凱旋門賞で2着となりました。ここを勝てば凱旋門賞は1番人気でしょう。すでにいくつかのブックメーカーは1番人気に推し始めています。
http://www.pedigreequery.com/behkabad

Planteur は、母の兄弟に02年のニエル賞勝ち馬 Pushkin、ジャパンC4着の Policy Maker がいます。仏ダービー(2着)でもパリ大賞典(2着)でも、直線でムチが入るとヨレるところが見られました。気性的な成長によりこのあたりが解消すれば楽しみですね。配合的に決め手が甘そうなところも見受けられます。馬場が渋ったほうがいいタイプかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/planteur

Shamalgan はフランス産のチェコ調教馬で、仏2000ギニー(G1)3着、ユジェーヌアダム賞(G2)2着という成績。ユジェーヌアダム賞を勝った Shimraan はドーヴィル大賞典(G2)4着ですから、ここではやや荷が重い感じです。
http://www.pedigreequery.com/shamalgan

ニエル賞とフォワ賞を比べると、今年はニエル賞のほうがメンバーが揃っています。フォワ賞に出走していれば断然人気を背負うはずだった Fame and Glory は回避してしまいました。ニエル賞には本番の凱旋門賞で有力と目されている Behkabad と Planteur が出てくるわけですから、ヴィクトワールピサにとってハードルは決して低くありません。ただ、私は好勝負に持ち込めると思っています。

フォワ賞については明日。

2010年9月 7日 (火)

9月の中山開幕週とダンスインザダーク

ダンスインザダーク産駒の競馬場別連対率(芝)を調べると、中山コースは「14.0%」で最下位。“ダンスインザダーク産駒は中山芝では信用できない”ということは、血統で馬券を買う人にとっては経験的・感覚的に身についていることだろうと思います。たとえば、中山のG1レースで同産駒を切るのは昔からのセオリーです(過去22戦して一度も連対していません)。

ただ、1年のうちここだけは狙えるというポイントがあります。9月の中山開催です。連対率「21.5%」ですから普通に買えます。開幕週に限れば「29.4%」。むしろ積極的に狙ってみたい、という数字ですね。

開幕週は馬場コンディションがいいので、時計が速く前が止まりません。ハイペースのままバテずにゴールになだれ込むという競馬になりがちです。ラップの起伏が少なく、平均して速くなります。したがってギアチェンジや決め手はあまり必要とされません。

ダンスインザダーク産駒の弱点は、ほかのサンデー系に比べると瞬発力がイマイチで、エンジンの掛かりが遅いこと。ギアチェンジが上手くないので機動力に欠けます。基本的にこういうタイプは中山では買いづらいですね。ただし、9月の開幕週は話が別です。一本調子の競馬になりやすいため、こうした弱点が露呈しづらいのだろうと思います。とくに注目したいのは芝1600mと芝2000m。この2つのコースでは抜群の成績を誇ります。昨年の京成杯オータムH(G3・芝1600m)はダンスインザダーク産駒のザレマが勝ちました。

サンプルは少ないものの、シンボリクリスエス産駒も9月の中山開幕週を得意としています。芝で9戦して3連対。連対率33.3%です。同馬については6月6日のエントリー(「高速馬場とシンボリクリスエス」)でその特徴を分析しました。抜粋してみます。

「『ハイペースへの耐久力とスピードの持続力』を活かす展開になれば、シンボリクリスエス産駒は生き生きと躍動します。そうした競馬になりやすい高速馬場ではつねにマークが必要です。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-5cad.html

開幕週に強い、という条件を備えた種牡馬であることがわかります。ダンスインザダーク産駒と同じくマークが必要です。昨年の紫苑S(OP・芝2000m)を11番人気で制したダイアナバローズはシンボリクリスエス産駒でした。

2010年9月 3日 (金)

今週の新馬戦はルルーシュに注目

日曜日の札幌4R新馬戦(芝1800m)は、良血馬・好配合馬が集まった好カード。なかでも注目は藤沢和雄厩舎のルルーシュ。ゼンノロブロイの子で、ステージプレゼンス(きさらぎ賞-3着)の半弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102912/

『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で指名した馬でもあります。コメント欄にはこう記しました。

「父はアメリカ血統過多なのでヨーロッパ血統が豊富なこの母は好ましい。相性がいいと思われるリヴァーマンも入る。サンデー系+ダンシングブレーヴも成功例が多く楽しみ。」

字数の制約により詳しく書けなかった部分を補足します。

ゼンノロブロイと Riverman の関係は悪くなく、アグネスワルツ(オークス-3着、フローラS-2着)を筆頭に、ゲームマエストロ、トレイルブレイザーなどの好素質馬が出ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102955/

この組み合わせを持つ馬の成績は以下のとおり。かなり優秀です。

全連対率 38.1%(単勝回収率214%)
芝連対率 43.5%(  〃  249%)
ダ連対率 31.6%(  〃  172%)

父ゼンノロブロイは、Admiral Drake≒Roman 6×5という隠し味的なクロスを持っています。ディープインパクトにも見られるクロスですね。

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

Riverman の2代母の父は Roman。したがって、ゼンノロブロイと Riverman が出会うとこのクロスが継続されます。それが好結果の一因ではないかと推理しています。
http://www.pedigreequery.com/riverman

サンデーサイレンスとダンシングブレーヴの関係は、当ブログでも何度か説明した記憶があります。サンデーの父 Halo とダンシングブレーヴの母の父 Drone の血統構成がよく似ていることが好相性の鍵でしょう。ルルーシュの場合、母ダンスーズデトワールが Hairbrush≒Drone 3×4なので、ここで強調された要素を父方の Halo によって継続する効果は大きいのではないかと思います。

このほか Buckpasser クロスも好感が持てます。ゼンノロブロイ産駒の重賞好走馬のなかではサンテミリオンとアグネスワルツに見られます。ルルーシュの場合、La Troienne 血脈(Buckpasser)の活力を取り入れつつ、周辺にある豊富なヨーロッパ血脈によってパワー的な要素が表れるのを抑えている、というイメージですね。いいトコ取りができそうな気がします。

JRAレーシングビュアーで調教映像を観たのですが、フットワークがダイナミックなのに捌きが軽く、首の使い方がいいので全身で走れています。なかなか好印象です。初戦から行けるのではないでしょうか。

2010年9月 1日 (水)

凱旋門賞のアンティポスト

気がつけば暦は9月、フランスに遠征したヴィクトワールピサとナカヤマフェスタの勝負が迫ってきました。前哨戦のニエル賞(G2・芝2400m)とフォワ賞(G2・芝2400m)は9月12日(日)に、本番の凱旋門賞(G1・芝2400m)は10月3日(日)に行われます。

イギリスのブックメーカーが発表しているアンティポストをご紹介したいと思います。アンティポストとは“事前オッズ”のようなものと考えればいいでしょう。この賭けは、早ければ対象競走の数ヵ月前から受け付けられます。直前オッズよりも当然倍率は高いのですが、出走しなかったとしても掛け金は返ってきません。もし当たれば、賭けた時点のオッズで配当が支払われます。POGが盛んな日本では、もしアンティポストベットが実現したら相当売れると思うのですが。法改正して発売を目指すという動きはないのでしょうか。

多数のブックメーカーのなかで、世界三大ブックメーカーといわれる三社のものをご紹介します(9月1日現在)。数字は左から順にラドブロークス、コーラル、ウイリアムヒルです。オッズは日本式に直しています。

Fame and Glory   4  4  4
Behkabad      7  7  7
Planteur      11  11  11
Workforce      11  9  9
Sarafina      13  13  11
Byword       17  17  15
St Nicholas Abbey     13  13
Sariska       17  13  17
Rewilding         17  21
Youmzain      26  26  26
Cape Blanco        17  21
Cavalryman     17  34  26
Dar Re Mi      34  17  26
Snow Fairy     26  34  26
Daryakana      34  34  34
Goldwaki      41     26
Jan Vermeer        26  34
Ice Blue         41  34
Cutlass Bay     26  41  51
Simon De Montfort     26  34
Midas Touch        51  51

三社とも重賞4連勝中の Fame and Glory が1番人気、パリ大賞典(G1)の勝ち馬 Behkabad が2番人気です。
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory
http://www.pedigreequery.com/behkabad

Fame and Glory は古馬代表で、次走はフォワ賞。一方の Behkabad は3歳代表で、次走はニエル賞。つまり、前者はナカヤマフェスタと、後者はヴィクトワールピサと対決します。

表のなかに日本馬2頭の名前がないのは、まだオッズが付けられていないからです。日本馬の実力が把握できずにオッズが付けられないのか、それとも挑戦することすら知らないのか、事情はよく分かりません。前哨戦が終われば数字が出てくるでしょう。

現時点で数字を発表しているブックメーカーもあります。ヴィクトワールピサには3社がつけており、それぞれ35倍、39倍、44倍。ナカヤマフェスタには2社がつけており、それぞれ107倍、130倍。はっきり“圏外”という扱いです。こういうのを見ると燃えてきますね~。

両馬のオッズが付いている二社は以下のとおり。ご参考までに。
http://www.betfair.com/
http://www.wbx.com/

2010年8月31日 (火)

発展する Heavenly Prize 牝系

8月29日、米ニューヨーク州のサラトガで行われたパーソナルエンスンH(G1・ダ10f)は、人気に推された昨年の米年度代表馬 Rachel Alexandra が2着に敗れる波瀾。序盤に競り掛けられる不利があったにしても……という感じですね。競走馬としてのピークが過ぎた感があります。
http://www.youtube.com/watch?v=yUd_DZe5SD8

勝った Persistently(父 Smoke Glacken)は、2年前にG1で2着という成績があるものの、ステークスは初勝利です。
http://www.pedigreequery.com/persistently2

生産者兼オーナーのフィップスステーブルは、オグデン・ミルズ・フィップス氏が主宰しています。今回勝った「パーソナルエンスンH」は、先代のオグデン・フィップス氏が所有した Personal Ensign(通算13戦全勝)を記念して創設されたレースなので、喜びもひとしおでしょう。

Personal Ensign については4月12日のエントリー(「Zenyatta 16連勝、そして13戦全勝の名牝 Personal Ensign の死」)で取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/zenyatta-person.html

Persistently の2代母は、90年代に米G1を8勝した名牝 Heavenly Prize。この馬は Personal Ensign と同じく先代のオグデン・フィップス氏の所有馬でした。
http://www.pedigreequery.com/heavenly+prize

95年のブリーダーズC(ニューヨーク州ベルモントパーク)を観に行ったとき、ダート9ハロンの“ディスタフ(現レディーズクラシック)”に Heavenly Prize が出走していました。さほど大柄ではありませんが胸前の筋肉の盛り上がりが印象的で、大坪元雄氏が見れば「まるで男馬のような」と表現しそうなタイプでしたね。このレースは、息子のオグデン・ミルズ・フィップス氏が所有する Inside Information が13馬身半差で圧勝。Heavenly Prize はインから差を詰めて2着でした。
http://www.youtube.com/watch?v=8terPrcQeBw

Heavenly Prize は繁殖牝馬としても結果を残しており、Good Reward(父 Storm Cat)がマンハッタンH(米G1)とハリウッドダービー(米G1)を、その全兄 Pure Prize がケンタッキーCクラシックH(米G2)を勝っています。
http://www.pedigreequery.com/good+reward

Pure Prize は種牡馬として成功し、アメリカンオークス(G1)とフラワーボウル招待S(G1)を勝った Pure Clan のほか、南米アルゼンチンでも Fuego e Hierro や Maldivas といったG1ホースを送り出しています。Pure Prize の全弟の Good Reward も種牡馬となり、今年の2歳世代が初年度産駒。すでに10頭近い勝ち馬を出しており出足快調です。
http://www.pedigreequery.com/pure+clan

今週末、小倉の新馬戦に登場するリーガルファルコン(父 Bernardini)は、ドバイのモハメド殿下が所有する外国産馬で、稽古で抜群の動きを披露して注目を集めています。母 Flash By は前出の Pure Prize と Good Reward の4分の3同血にあたり、2代母は Heavenly Prize。発展する Heavenly Prize 牝系に属した良血馬なので楽しみですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110040/

  Heavenly Prize(f.1991.Seeking the Gold)
    Pure Prize(c.1998.Storm Cat)
    Just Reward(f.1999.Deputy Minister)
    │ Persistently(f.2006.Smoke Glacken)
    Good Reward(c.2001.Storm Cat)
    Flash By(f.2003.Forest Wildcat)
      リーガルファルコン(c.2008.Bernardini)

2010年8月21日 (土)

菊花賞路線に乗れるか、ワイズミューラー

土曜日の競馬で注目したいのは、札幌12Rの500万下(芝2600m)に出走するワイズミューラー(父ジャングルポケット)。6月の東京最終週に未勝利戦(芝2400m)を勝ち上がり、今回はそれ以来の実戦となります。

ジャガーメイル(天皇賞・春)やオウケンブルースリ(菊花賞)の活躍が示すとおり、ジャングルポケット産駒は長距離戦に向いています。札幌芝2600mでは4戦して〔2・1・1・0〕という成績。すべて馬券に絡んでおりコース適性はきわめて高いといえるでしょう。

じつはこの馬、金沢公営で現在12連勝中のジャングルスマイルの全弟。同馬については6月22日のエントリー(「金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇」)でご紹介しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-52f2.html

先週のクイーンS(G3)を勝ったアプリコットフィズとは4分の3同血の関係です。配合的にも注目すべき存在ですね。勝ち上がった前走の東京戦は、3コーナー過ぎから鞍上の手が動くというスブさを見せたものの、直線でしっかり伸びました。この気性なら距離が延びても心配ありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

             ┌ ジャングルポケット
ワイズミューラー ――――┤   ┌ サンデーサイレンス
(=ジャングルスマイル) │ ┌○┘
             └○┤
               └ サトルチェンジ

             ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
             └○┤
               └ サトルチェンジ

春の時点ではまだ馬体が子供っぽかったので、この休みの間にどれぐらい成長したのか楽しみです。ここでいい勝ち方をするようなら菊花賞路線のダークホースに浮上します。先週、みなみ北海道S(OP・札幌芝2600m)を勝ったトウカイメロディ(父チーフベアハート)はすでに有力候補の1頭といえるでしょう。ワイズミューラーも北の地からぜひ路線に乗ってほしいところです。

2010年8月11日 (水)

秋の海外G1を狙う日本馬とそのライバルたち

7月28日のエントリー(「レッドディザイア、BCフィリー&メアターフ参戦へ」http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-b924.html)で取り上げたばかりの Tuscan Evening(牝5歳・父 Oasis Dream)が、8月8日、急死しました。調教中に突然倒れたとのことです。現在重賞6連勝中で、秋のBCフィリー&メアターフ(米G1)の有力候補と目されていた名牝でした。残念というほかありません。
http://www.pedigreequery.com/tuscan+evening

一方、同レース2連覇を狙う Midday(牝4歳・父 Oasis Dream)は順調そのもの。7月31日に行われたナッソーS(英G1・芝9f192yds)を勝ち、難なく2連覇を達成しました。前出の Tuscan Evening と同じ Oasis Dream 産駒ですが明暗が分かれた形です。
http://www.pedigreequery.com/midday8

レッドディザイアの相手はやはりヨーロッパ勢でしょうか。3歳馬の動向が気になるところですがまだ何の情報もありません。英・愛オークスを連勝した Snow Fairy(牝3歳・Intikhab)あたりが出てくれば当然首位争いに絡んでくるでしょう。配合的に小回り適性が感じられるので怖い馬です。
http://www.pedigreequery.com/snow+fairy7

凱旋門賞を狙うナカヤマフェスタ(牡4歳・父ステイゴールド)は8月9日に空路出国したので、もうヨーロッパに到着しているころです。9月12日のフォワ賞(仏G2・芝2400m)を叩いて10月3日の本番に向かう予定です。ちなみにヴィクトワールピサ(牡3歳・父ネオユニヴァース)は18日出国。フォワ賞と同日のニエル賞(仏G2・芝2400m)を使って本番です。

Harbinger が故障したといっても、メンバー的に楽になったという感じはしません。8月8日、アイルランドのロイヤルウィップS(G2・芝10f)を勝った Fame and Glory(牡4歳・父 Montjeu)は、これで今シーズン重賞4連勝。昨年の凱旋門賞では6着に敗れているので、レース適性という面ではやや疑問が残りますが、現在ブックメーカーの前売りでは1番人気。今年はこの馬を中心に勢力図が形成されていくはずです。
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory

Fame and Glory の父 Montjeu は、11年前にエルコンドルパサーを破って凱旋門賞を制覇しました。日本勢とは浅からぬ縁があります。返り討ちか、それともリベンジか……!?

2010年8月 8日 (日)

日曜日の2歳未勝利戦

個人的な話で恐縮なのですが、日曜日の2歳未勝利戦に某POGの指名馬が2頭出走します。

小倉1R・エーシンチャージ(父エイシンサンディ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101276/
新潟2R・コスモパシフィズム(父アドマイヤジャパン)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105825/

どうして指名したのかと問われれば、配合が気に入ったからと答えるしかありません。

エーシンチャージは、デビュー戦で9着(10番人気)と見せ場なく終わり、これはダメなのかと落胆したのですが、2戦目に2着(8番人気)と巻き返してくれました。一方のコスモパシフィズムは、牡馬相手のデビュー戦で3着(3番人気)とまずまずの走り。

今回、エーシンチャージは2ハロンの距離短縮、コスモパシフィズムはデビュー戦のレベルがやや疑問、という懸念材料があります。ただ、連に絡んでくるぐらいの争覇圏にはあるでしょう。

POGは、衆目の一致する評判馬を手駒にパワーゲーム的な楽しみ方をするのも愉快ですが、“無名の好配合馬”を己の配合観に基づいて指名し、その出世に期待するという血統屋ならではの楽しみ方もあります。エイシンサンディやアドマイヤジャパンの子ですからクラシック云々という器ではないでしょう。1~2勝してくれるだけで大きな満足感があると思います。

2010年8月 6日 (金)

函館2歳Sはシンプルマインドで

昨日、所用で笠雄二郎さんにお電話したとき、たまたま函館2歳Sの話題になりました。こういう場合、お互い予想をする立場なので、個別の馬についてはあたりさわりのない話しかしません。ただ、総評として「レベルがイマイチ」という点で一致しました。積極的に買いたいと思える馬が見当たりません。

出走馬のなかに社台グループの生産馬はゼロ。2歳重賞でこうした例は珍しいと思います。函館2歳Sでは03年以来7年ぶりです。

来年のクラシックホースを探すのではなく、現時点の仕上がり具合とスピード能力でどれがマシなのか、という観点から勝ち馬を見つけ出すレースなので、猛暑のなか血統表とにらめっこをして頭を悩ませても仕方がありません。

“函館2歳Sに向いた血統”は Mr.Prospector とサクラバクシンオー。過去5年間の連対馬10頭のうち、このふたつの血をまったく持たなかった馬は2頭しかいません。残りの8頭はどちらかの血を持っていました。

これで残った馬から、ラベンダー賞3着以内、牝馬、差せるタイプを重視し、前走が芝1200m以外だった馬を切れば、かなり絞れるのではないかと思います。ありきたりのデータ作戦ですが、この種のレースでは案外頼りになります。

2010年7月29日 (木)

トウショウレイザー

「栗山ノート」のキングカメハメハ産駒の項で、今年はトウショウレイザー(美浦・大久保洋吉厩舎)に高い評価を与えました。トウショウウェイヴ、トウショウシロッコの半弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100659/

7月2日から坂路で乗り込み、本日、ラスト3ハロンだけ追って「12秒8-11秒8-12秒1」という時計をマーク(全体は55秒3)。美浦の坂路は、速い時計が出たからといって飛びつけないところがあるのですが、悪くないと思います。「栗山ノート」には以下のように記しました。

「半兄にトウショウシロッコ、トウショウウェイヴがいる。母系にリヴァーマンが入る配合はニックスで、フィフスペトル、コスモセンサーと同じ。1600~2000mで強い。」

母の父ニッポーテイオーは、天皇賞・秋(G1)、安田記念(G1)、マイルチャンピオンシップ(G1)など7つの重賞を制した名馬。父キングカメハメハと相性のいい Tourbillon~My Babu のラインを豊富に持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983102584/

兄2頭がどう頑張っても重賞入着まで、ということから、あるいはスケール面の限界があるかもしれません。ただ、配合的にはちょっと期待してみたい馬です。いかにも東京・新潟で強そうですね。

2010年7月24日 (土)

函館記念はスピードタイプから

土曜日の函館芝コースは時計の速い決着となっていますね。8Rのラベンダー賞(2歳OP・芝1200m)は1分09秒5のレコード。12Rの500万平場(芝1800m)は1分47秒1。これは函館競馬場の500万クラスでは過去最速のタイムです。

となると、日曜日の函館記念(G3・芝2000m)も当然速い決着となるでしょう。だいたい1分58秒台ぐらいでしょうか。ペース次第では野芝時代に作られたサッカーボーイのレコード(1分57秒8)を22年ぶりに更新するかもしれません。

周知のとおり函館記念は、パワー型のエリモハリアーが3連覇したように、洋芝適性が大きな比重を占めるレースです。しかし、今年はやや傾向が異なります。スピードや瞬発力を備えた馬を選び、重厚さが前面に出たようなタイプは避けたほうがいいかもしれません。

2010年7月16日 (金)

サンデー、トニービンの血を持つ馬は消し?

直線コースで行われる唯一の重賞アイビスサマーダッシュは、過去9回、サンデーの血が入った馬が一度も連に絡んだことがありません。トニービンの血が入った馬も同様です。今年のメンバーのなかでサンデーまたはトニービンの血を持つ馬は以下のとおり。

4番ウエスタンビーナス
7番メリッサ
14番キルシュブリューテ
18番アスドゥクール

この血統データ(ジンクス)が通用するなら、上記4頭は無条件に切ることができます。

たとえば、イギリスのジュライC(芝6f)やナンソープS(芝5f)の勝ち馬と、エプソムダービー(芝12f10yds)の勝ち馬とでは、構成する血統内容がぜんぜん違います。同じサラブレッドの血統ではありますが、共通点がわずかしかありません。

短距離戦を得意とする馬は、速筋腺維の割合が高く、無酸素性エネルギーの産出能力に優れています。つまり、爆発的に筋肉を収縮させる運動を60~70秒持続させる能力に秀でています。香港から遠征してくる豪州産馬がそうであるように、この種の馬たちはたいてい筋肉量が豊富で馬格がガッチリしています。

一方、サンデーサイレンスやトニービンは、芝中距離でしなやかに瞬発力を繰り出して勝つのが持ち味であり、直線1000m戦でスタートからガツガツ行くようなキャラクターでありません。求められる能力がまったく違うのですから、このカテゴリーに食い込めないのも仕方のないところでしょう。

その点、アイビスサマーダッシュにおける Northern Dancer と Mr.Prospector の強さはさすがです。Northern Dancer の諸系統のなかでは、Nijinsky、Nureyev、Danzig、Storm Bird、ノーザンテーストが頑張っています。これらの血が入っている馬は要注意です。

あとはテスコボーイ、Never Bend、Blushing Groom あたり。血統ではありませんが外枠、牝馬といった定番の条件を重視し、体調を加味すれば、自ずと狙い馬が絞れてきそうです。

2010年6月25日 (金)

安田隆行厩舎のホーマン2騎

今週の新馬戦で注目してみたいのは、安田隆行厩舎のホーマン2騎、ホーマンフリップとホーマンルッツです。馬主、厩舎が同じだけでなく、父がフジキセキであること、母方に Deputy Minister を持っていることまで共通しています。前者は阪神土曜4Rの芝1400m、後者は阪神日曜4Rのダ1200mに出走予定です。

ホーマンフリップはアニメイトバイオ(阪神ジュベナイルフィリーズ-2着)の半妹にあたる良血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103375/

稽古で素晴らしい動きを見せていた評判馬で、どこのドラフトでも上位で消えた馬だろう思います。6月11日のエントリー「母の父フレンチデピュティ」でもチラッと触れました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-c558.html

この配合パターンは好成績を残しており、今後とも注目していきたいところです。母レーゲンボーゲンは名繁殖牝馬と呼んで差し支えないでしょう。現1歳はアニメイトバイオの全弟。これも楽しみですね。

一方のホーマンルッツは、ダート王カネヒキリと血統構成がよく似ています。父がフジキセキで、母の父が Deputy Minister 系、2代母の父が Mr.Prospector 系。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106421/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100978/

         ┌ フジキセキ
ホーマンルッツ ―┤   ┌ Deputy Minister
         │ ┌○┘ ┌ Mr.Prospector
         └○┤ ┌○┘
           └○┘

         ┌ フジキセキ
カネヒキリ ―――┤ ┌ Deputy Minister
         └○┤ ┌ Mr.Prospector
           └○┘

同じく母方に Deputy Minister を持つ前出のホーマンフリップは、芝をこなすフレンチデピュティを母の父に持つので、芝適性への懸念はとくにありません。

ホーマンルッツの場合はダート向きのデヒアです。じつは「フジキセキ×デヒア」からデグラーティア(小倉2歳S)が誕生しており、一概に芝がダメとは言い切れませんが、ダートの新馬戦で下ろしたということはやはりフットワークがダート向きなのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109086/

2010年6月16日 (水)

水曜坂路の注目馬

今週から待ちに待った新馬戦が始まります。水曜朝の栗東坂路で注目の走りを見せたのは、2歳全体の一番時計を出したサミットストーン(牡2・父ロージズインメイ・森秀行厩舎)と、二番時計で上がりを12秒2でまとめたエイシンモンジュー(牡2・父 Montjeu・西園正都厩舎)でしょうか。

サミットストーンは、後藤繁樹氏(サニングデール、アーバンストリート、シルポートなどの馬主)の持ち馬で、Devil's Bag 3×2という強烈なクロスを持っています。母タイキアプローズはタイキシャトルと血統構成がほとんど同じです。

          ┌ Devil's Bag
タイキアプローズ ―┤   ┌ Nijinsky
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ Muffitys

          ┌ Devil's Bag
タイキシャトル ――┤   ┌ Nijinsky
          │ ┌○┘
          └○┤
            └ Muffitys

 タイキアプローズの母の父は Niniski、タイキシャトルの母の父は Caerleon。この違いだけですね。いずれも Nijinsky の子ですから血統構成はほとんど同じです。

ロージズインメイは自己を主張するというよりは、母方の特徴を素直に出すタイプなので、タイキシャトル(≒タイキアプローズ)の子に近い特徴が出てくるのではないでしょうか。しかも、仕上がり早のスピード血統である Devil's Bag 3×2。2歳夏の短距離戦は向いているでしょう。調教のラスト1ハロンが13秒7とかかったのは、バテたのか抑えたのかよくわかりません。バテたとしても序盤から飛ばしていたので仕方がないところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101041/

サミットストーンは今週の新馬戦に登録がありませんでした。同じロージズインメイ産駒なら土曜阪神4R(芝1200m)に出走を予定しているマイネショコラーデ(牝2・吉田直弘厩舎)がおもしろそうです。母は小倉2歳S(G3)を勝ったコスモヴァレンチ。全兄ドリームバレンチノも新馬戦3着→未勝利戦1着と仕上がりの早いタイプでした。早期の1勝を確実に計算できる馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104913/

エイシンモンジューはについては、少し前に『競馬総合チャンネル』で触れたので転載します。

「昨年9月、米ケンタッキー州キーンランドのセールで平井豊光氏が21万ドルで落札した。母 Santa Catarina はハリウッドオークス(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬で、ケンタッキーオークス(米G1・ダ9f)など3つのG1で2着となっている。これに Sadler's Wells 系の凱旋門賞馬 Montjeu を交配して誕生したのが本馬。父はスタミナと底力に関しては高いレベルにあるものの、軽快なスピードに欠けるので、日本にやってきた産駒は鈍重なタイプが目に付く。したがって、アメリカのスピード血統で構成された母は交配相手として悪くない。母方の血がややパワー方向に傾いているので、ダートで本領を発揮しそうだ。」

2歳の早い時季は短距離戦が多く、行って粘るという単調なレースぶりでも通用するので、本質的にダート向きでも芝をこなすことは珍しくありません。残念ながら今週の登録はなく、デビューは来週以降になりそうです。どこで下ろすにしても勝ち負けになりそうです。

エイシンフラッシュのダービー制覇で意気揚がるエイシン軍団は、開幕週にエイシンピンキー(牝2・父デビッドジュニア・野中賢二厩舎)とエイシンオスマン(牡2・父ロックオブジブラルタル・松永昌博厩舎)の2頭がデビュー予定です。前者は土曜阪神4R(芝1200m)、後者は日曜阪神4R(芝1600m)。どちらも稽古の動きが良かったようで重い印が付きそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101555/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103390/

2010年6月 2日 (水)

村本浩平さんに会う

ダービーの日は検量室前で村本浩平さんとお会いしました。毎年、ダービーとジャパンCには必ず競馬場にいらっしゃるので、今年もそれに期待して行ったところ、案の定いらっしゃいました。グリーンチャンネル「日高支局定期便」を観ても、村本さんはいつもニコニコしていて優しげなイメージがあると思うのですが、実際、そのまんまの方です。馬産地のことなら何でも知ってらっしゃるので、すかさず質問を……。

「スニッツェルはどうですか?」と、挨拶もそこそこに単刀直入にうかがったところ「いいですよ」というご返事。5月29日のエントリー「すでに始まっている地方競馬の2歳戦」でも採り上げましたが、ディープ祭の喧噪をよそに、新種牡馬のダークホースとして注目している馬です。「ただし」と村本さんは付け加えました。「絶対数が少ないですね」。

たしかに今年の産駒数は51頭。決して多いとはいえない数字です。門別の新馬戦を圧勝したフロレアルのように、地方競馬に入厩する産駒もそれなりにいるはずです。JBISのサイトで確認したところ、現時点で地方入厩が確定しているのは、カムインターコイズ(母スイートマイハート/北海道)、ナエマ(母タイキプレリュード/金沢)の2頭。まだ増える可能性があります。

現時点で中央デビューが確定しているのは以下の馬たち。

アポロフィオリーナ(母ベルビオラ/岩戸孝樹・美浦)
ニシノハピエン(母ニシノファイナル/伊藤圭三・美浦)
フランボワイヤン(母モスフロックス/松田国英・栗東)
マレオット(母ラフィンムード/武宏平・栗東)
母ベリンベルノ(相沢郁・美浦)
ルリニガナ(母ダムドコンパニー/伊藤大士・美浦)
ロジッツェル(母グリントウィーク/萩原清・美浦)
メテオガーデン(母シティオブライト/村山明・栗東)
ネオウーリボー(母スクリーマー/小崎憲・栗東)
母オーブアンディアンヌ(友道康夫・栗東)
ウルル(母タイキナタリー/宮本博・栗東)

このほか、母カツラドライバー(エフティマイアの半弟)は厩舎未定ながら、オースミドライバーという名前が決まっているので、おそらく中央に入厩するものと思われます。

村本さんは「育成で評判に上がっているものを選ぶのが確実ではないでしょうか」と、スニッツェル産駒の選び方のコツを伝授してくれました。このあたりはPOG雑誌を参考にするのがよさそうです。

先日の公開POGにおいて、栗山求がハズレ1位で指名した母ビーフェアー(父ディープインパクト)は、美野真一さんによれば「力馬っぽい」とのこと。それを含めて水を向けると、村本さんは「美野さんもそう見えたか……」と微妙な返答。

母はブラジル産馬で、芝のG1も勝っています。ただ、パワー型のアメリカ血統を多く含んでいるので、現状、このあたりが強く出ているのかもしれません。調教を重ねてシャープさが出てきてほしいですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105595/

2010年5月30日 (日)

ダービー前の雑感

ダノンシャンティの骨折は残念でしたが、幸い軽度なものだったので秋には復活してほしいですね。うまくいけば毎日王冠→天皇賞・秋→香港マイル→ドバイデューティーフリーの路線でしょうか。世界の舞台で十分戦えるレベルにある馬なので、夏のあいだはじっくり体を癒してほしいものです。

さて、日曜日のダービー。30日(日)の0時10分現在、東京競馬場に雨は降っていません。東京アメッシュというサイトで観察していると、奥多摩町や青梅市あたりがときどき雨の通り道になっているほか、23区の南部から東部にかけても雨が降り始めています。ただ、その中間の府中市近辺はうまく雨雲が避けられています。降ったとしても霧雨程度でしょうか。
http://tokyo-ame.jwa.or.jp/

もしこのままいけばグッドコンディションでレースは行われそうです。土曜日の東京芝は、ごくわずかながら内側を通った馬が伸びていた印象ですが、日曜日は本番までに4レース消化するので、どこを通っても有利不利はないでしょう。

仮に多少降ったとしても、ゼンノロブロイ産駒は総じて道悪が上手ですし、ヴィクトワールピサについてはあえていうまでもありません。両雄にとってマイナス材料にはならないと思います。30日(日)の0時10分現在、単勝オッズはペルーサ2.5倍、ヴィクトワールピサ2.6倍。大接戦です。

ちなみに、99年のダービーは、ナリタトップロードとアドマイヤベガが3.9倍で並び、票数の差で前者が1番人気となりました。結果は、アドマイヤベガが1着、ナリタトップロードが2着。のちの年度代表馬テイエムオペラオーは4.2倍の3番人気で僅差の3着でした。“三強”に祭り上げられた3頭がそれぞれ持ち味を発揮してワン・ツー・スリーでフィニッシュ。思い出深いレースです。
http://www.youtube.com/watch?v=CFObzEWWHZI

2010年5月27日 (木)

ペルーサの“弱点”

昨年の赤本のクロスレビューで、デビュー前のペルーサについて「ダートに活路を見出す可能性も」と記しました。これを書いた当時、種牡馬ゼンノロブロイについてやや懐疑的な見方をしていました。母ローミンレイチェルが芝向きとはいえないアメリカ血統で構成されているので、産駒は案外ダートにフィットするのでは、と――。

しかし、ロブロイ産駒がデビューしてみると芝適性に関して問題はなく、ペルーサの新馬戦のレースぶりも大物としかいいようのないものでした。イメージしていた馬とはまったく異なり、力馬っぽさは欠片もありません。均整のとれた馬体と、そこから繰り出す弾むようなフットワーク。まさに“目から鱗”でした。血統背景については3月20日のエントリー「ダービーへ一歩前進、ペルーサ」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-3d05.html

ペルーサがダービーで首位争いをすることは疑う余地がありません。どこからどう見ても名馬です。しかし、弱みがあるとすれば、ここまで一度も負けていないことでしょう。

今年2月4日付の『東京スポーツ』に「魔法のムチ 武邦彦の真実」という連載記事が掲載されました。そこに、往年の名騎手武邦彦さんが、5戦全勝のロングエースで72年の皐月賞に挑んだときの心理が記されています。

「『楽に勝てるやろ』が周囲のムードだった。当然1番人気。でも僕自身は迷いながらの出走だった。

ロングは負けていない弱さがあった。皐月賞までに一つでも黒星を喫していればそこで見えるものがある。課題が見つかる。でも無敗だったがゆえにどこに弱さがあるのかがわからなかった。負ける時のパターンを見いだせずに皐月賞を迎えた。

悪いことに、そんな迷いがレースで馬に伝わってしまった。スタートしてハミをガッチリかんでそのまま折り合いを欠いてしまった。結果はランドプリンスの3着――。

弱さを知ること。何かにチャレンジする際、自分の中にある弱い部分を把握する。それがいかに大事かを痛感した皐月賞だった。

だからダービーは逆に自信満々だった。課題は折り合い面。それさえ注意して乗れば勝てる確信があった。レースはタイテエム、ランドプリンスを見ながら、この2頭よりワンテンポ仕掛けを遅らせてスパートした。今でも当時のビデオを見る時があるんだけど、完璧な騎乗。会心の勝利だったね。」

ここまで楽勝続きのペルーサ。はたして横山典弘騎手はこの馬の“弱点”を把握しているのでしょうか? あるいは、そもそもそんなものは存在しないのでしょうか? ここを難なく勝つようならシンボリルドルフ、ディープインパクトのカテゴリーに含まれる馬でしょう。

2010年5月12日 (水)

Sir Gaylord の瞬発力

ヴィクトリアマイルは、ブエナビスタとレッドディザイアの四度目の対決となります。ここまでの対戦成績はブエナ2勝、レッド1勝。それぞれの着差は1/2、ハナ、ハナですからほぼ互角です。この2頭の配合構成が似ていることはよく知られたところですが、ここであらためて振り返っておきたいと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ブエナビスタ ―――┤ ┌ Caerleon
          └○┤
            └○┐
              └ Santa Luciana

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
レッドディザイア ―┤ └○┐
          │   └ Santa Luciana
          │ ┌ Caerleon
          └○┘

サンデーサイレンス、Caerleon、Santa Luciana の三血脈が近い世代にあります。似たような血統構成の2頭が、同じ世代にあってライバル関係にあり、しかも国際級の名馬であるというのは、あらためて凄いことだなぁと感じます。

今回の1番人気はブエナビスタになりそうです。上記の三血脈のコンビネーション以外にこの馬の配合で注目したいのは Sir Gaylord。母系にこの血を持つスペシャルウィーク産駒はよく走っており、シーザリオ、レーヴドリアン、トライアンフマーチなどがこのパターンに当てはまります。

Sir Gaylord の最大の長所は“切れ味”です。その代表産駒 Sir Ivor は、20世紀のイギリスを代表する名騎手レスター・ピゴットが「私が乗ったベストホース」といって憚らなかった名馬で、ゴール前で繰り出す瞬発力が最大の武器でした。68年の英ダービー、ワシントンDCインターナショナルは、いずれも素晴らしい切れ味を発揮して勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=5ahW6RIfaqE
http://www.youtube.com/watch?v=vtCzut8FyGM

80年代のヨーロッパ最強馬ダンシングブレーヴにも、Sir Gaylord が含まれています。
http://www.pedigreequery.com/dancing+brave

母の父 Drone は Sir Gaylord の息子で、Sir Ivor と血統構成がきわめてよく似ています。
http://www.pedigreequery.com/drone
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor

      ┌ Sir Gaylord
      │     ┌ Pharamond
Drone ―――┤   ┌○┤
      │ ┌○┘ └ Alcibiades
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

      ┌ Sir Gaylord
      │   ┌ Mahmoud
Sir Ivor ―┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Pharamond
        └○┤
          └○┐
            └ Alcibiades

ダンシングブレーヴの瞬発力は凄まじいものでした。この能力の多くは Sir Gaylord-Drone から受け継いだものではないかと思います。大外一気で突き抜けた86年の凱旋門賞は衝撃的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=hCucJx2vL-k

スペシャルウィークはピリッと切れるタイプの種牡馬ではないので、Sir Gaylord のような血が入ると弱点を補うという作用もあると思います。

ブエナビスタの配合は、08年のマイルCSを制した“上がり33秒台の女王”ブルーメンブラット(父アドマイヤベガ)とも似ています。いずれもサンデー系で、母方に Sir Gaylord、Round Table、Northern Dancer が入ります。アドマイヤベガの2代母アンティックヴァリューは、Nijinsky とよく似ている(Northern Dancer+Menow+Bull Lea)ので、さらに配合は近いですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102993/

今回のレースは、出走予定馬のプレレーティングを見ても、ブエナビスタとレッドディザイアの実力が抜けていることは明らかです。ただ、それで決まらないのが競馬。体調が整わなければ一昨年のウオッカのように負けてしまいます。帰国緒戦だけに追い切りを見ないことには印は決められません。

2010年4月30日 (金)

ドイツ血統と Sadler's Wells

土曜日の青葉賞(G2)には、ドイツ血統を持つ2頭の外国産馬が出走します。ミッションモードとリリエンタールです。並べてみるとその共通性は一目瞭然、2代目に Sadler's Wells と Monsun があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110046/

            ┌ Sadler's Wells
          ┌○┘
ミッションモード ―┤ ┌ Monsun
          └○┘

            ┌ Sadler's Wells
          ┌○┘
リリエンタール ――┤ ┌ Monsun
          └○┘

Sadler's Wells は、ここ20年ほどヨーロッパのクラシックディスタンスに君臨する大種牡馬。Monsun は、昨今の“ジャーマン・インヴェイジョン”とでもいうべき現象の中心的存在です。

4月22日のエントリーで次のように述べました。

「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。」

Sadler's Wells とドイツ血統の相性は抜群です。

ドイツ血統の母から誕生した女傑 Urban Sea(凱旋門賞)は、Sadler's Wells との交配で Galileo(英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)を産みました。
http://www.pedigreequery.com/galileo4

Monsun は、Sacarina という牝馬との間に、Samum(独ダービー、バーデン大賞)、Salve Regina(独オークス)、Schiaparelli(独ダービー、オイロパ賞ほか)という3きょうだいを誕生させていますが、Sacarina の父はオールドヴィック、すなわち Sadler's Wells の息子です。
http://www.pedigreequery.com/samum

独ダービー馬は、06年(Schiaparelli)、07年(Adlerflug)、08年(Kamsin)と3年連続で Sadler's Wells とドイツ血統の融合から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/schiaparelli4
http://www.pedigreequery.com/adlerflug2
http://www.pedigreequery.com/kamsin2

このほか、Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)、Fame and Glory(愛ダービー、クリテリウムドサンクルー)、Night Magic(独オークス)、Creachadoir(ロッキンジS)、Lateral(グランクリテリウム)といったG1ホースがこのパターンに当てはまります。
http://www.pedigreequery.com/hurricane+run
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory
http://www.pedigreequery.com/night+magic3
http://www.pedigreequery.com/creachadoir
http://www.pedigreequery.com/lateral2

日本のレッドディザイア(秋華賞、アルマクトゥームチャレンジラウンド3)とジョーカプチーノ(NHKマイルC、ファルコンS)も忘れることはできません。いずれもドイツ血統を含むマンハッタンカフェを父に持ち、母方に Sadler's Wells が入ります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100529/

Sadler's Wells もドイツ血統も、基本的にヨーロッパの深い芝を得意とするだけに、これをそのまま日本に持ってきても、出番は道悪だったり、良馬場では鋭さ負けしたりといった特徴が表れてしまうでしょう。

レッドディザイアとジョーカプチーノには、瞬発力に秀でたサンデーサイレンスと、堅い芝に強い Caerleon が入ります。こうしたプラスαがあれば日本でも十分に戦うことができます。ミッションモードとリリエンタールに関していえば、上記のようなジャパナイズがやや足りないかな……という気がします。

2010年4月16日 (金)

大外枠の逃げ馬

皐月賞の枠順が決まり、スプリングSを逃げ切ったアリゼオが大外枠となりました。逃げ馬が大外、というのは通常不利だと思います。ただ、中山芝2000mは最初の直線が長いので不利にはなりません。

以前、大西直宏騎手を取材したとき、おもしろいお話をうかがいました。サニーブライアンで逃げ切った97年の皐月賞は、枠順が発表される前、大外枠が当たることを念じていたというのです。

サニーブライアンはスタートが速くなく、二の脚もそれほどではないため、内枠に入ると外から被されてしまう危険性があります。遅い馬でも確実に先頭に立つには、外枠から出て思い切り手綱をしごいて加速し、内側に切れ込んでいって馬群に蓋をするしかない、と考えていたそうです。大西騎手は念願叶って大外枠を引き当て、組み立てたプランどおりの騎乗をして単勝5180円の大穴をあけました。
http://www.youtube.com/watch?v=yxeTEfaAGeI

アリゼオの横山典弘騎手は、今回の大外枠をとくに不利とは考えていないと思います。おそらくハナに立てるでしょう。いちばん警戒しているのは勝負どころで外からマクられることです。そうなってしまえばレースは終了してしまうので、おそらく早めのタイミングでロングスパートに入るはずです。

好位勢がアリゼオを追いかけてとらえられるかどうか。とらえたとしてゴールまで脚がもつかどうか。坂で脚いろが鈍った場合には後方待機組が大外一気、という展開も考えられます。今年は、長くいい脚をつかえるタイプが良さそうな気がします。

レースを左右する大きなポイントは馬場コンディションです。前が残りやすい馬場なのか、差しが届く馬場なのか、土曜日の競馬を見て判断したいですね。

2010年3月11日 (木)

ラブミーチャンの取捨

日曜日のフィリーズレビューには、笠松のラブミーチャンが出走します。ここまでダートばかり6連勝。水曜日のサンケイスポーツが1面で大きく採り上げたのにはビックリしましたが、各種媒体の想定出馬表を見ると、軽い印がチョボチョボといった感じで、予想者の方々はごく冷静に判断されているという印象です。

こと細かに説明するまでもなく、配合的にはダートのほうがいい馬でしょう。母ダッシングハニーは、アサティス、スラヴィック、クラウンドプリンスというダート向きの血で構成され、Busanda≒Striking 5・6×5、Flower Bowl≒Your Hostess 4×5。これに、さらにダート向きのサウスヴィグラスを交配しているのですからパワー満点です。芝で新たな持ち味を発揮するタイプではないと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100269/

ただし今回は、舞台が“芝1400m”であることがポイントです。1月18日のエントリーで次のように書きました。

「芝1400mは追って味のない一本調子の馬が勝ち負けになるコースです。したがって、ダート血統であっても無視できません。中山芝1200mと似ていますね」

同じく笠松からやってきた無敗のライデンリーダーは、15年前の報知杯4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)で衝撃的な圧勝劇を演じました。
http://www.youtube.com/watch?v=8UJhXCWbfMo

しかし、同馬はその後、桜花賞やオークスで人気に推されながら負け続けました。ダート馬が通用しやすい芝1400mで中央唯一の勝ち星を挙げたのは偶然ではないと思います。

じっさい、フィリーズレビューは、ダートを得意とする馬が健闘するレースです。07年の2着馬アマノチェリーラン、08年の2着馬ベストオブミーは、若菜賞(500万下・ダ1400m)を勝って臨んできた馬たちでした。

ラブミーチャンを本命に推すことはできませんが、無印に落とすのも怖いところです。2、3着なら可能性はあるのではないでしょうか。仮にここで好走しても、本番は厳しいと思います。

2010年2月22日 (月)

フェブラリーSはエスポワールシチー

あまりに強すぎて何も書くことがないという勝利でした。予想は◎▲で的中。◎エスポワールシチーは完全に本格化してますね。まるで1000万クラスにOP馬が走っているような手合い違いの一戦でした。定量戦で走るかぎり今後しばらくは負けないでしょう。

ドバイのオールウェザーでウオッカとエスポワールシチーのどちらが先着するのか興味が尽きません。オールウェザーはダートよりも芝に近い、という意見が支配的なようですが、百聞は一見にしかず、3月27日のレースで答えが出ます。オールウェザー推進議論にも影響を与えることになりそうです。

オッズチェッカー(http://www.oddschecker.com/)というサイトで英ブックメーカーの人気を見てみると、若干エスポワールシチーが上に見られているようです(RACING BETTING ODDS→Ante-Post Racing の「Flat」から Dubai World Cup をセレクト)。エスポワールは単勝10~14倍、ウオッカは12~16倍。大きな差はありません。

2010年2月18日 (木)

サンデーサイレンス/トニービン/ノーザンテースト

ただの偶然ではありますが、先週重賞を勝ったネオヴァンドーム(きさらぎ賞)とフォゲッタブル(ダイヤモンドS)は、血統構成がかなり似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102913/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103168/

                  ┌サンデーサイレンス
        ┌ネオユニヴァース―┘
ネオヴァンドーム┤ ┌トニービン
        └○┤ ┌ノーザンテースト
          └○┘

                  ┌サンデーサイレンス
        ┌ダンスインザダーク┘
フォゲッタブル―┤ ┌トニービン
        └○┤ ┌ノーザンテースト
          └○┘

いずれも母が「トニービン×ノーザンテースト」で、父がサンデー系です。まさに“ザ・社台”という血統ですね。

今週、これらと似た血統構成の馬が重賞に出走します。クイーンCのギンザボナンザです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103127/

                  ┌サンデーサイレンス
        ┌ゼンノロブロイ――┘
ギンザボナンザ―┤ ┌トニービン
        └○┤ ┌ノーザンテースト
          └○┘

ネオヴァンドーム、フォゲッタブル、ギンザボナンザの3頭は、血統構成の8分の5までが同一です。

3頭の母は「トニービン×ノーザンテースト」ですが、この2つの血の共通点は、血統構成の核が Hyperion であるところです。トニービンは Hyperion 5×3・5。ノーザンテーストは Hyperion 4×3(その娘 Lady Angela 3×2)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1983109006/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000258/

ブリティッシュトラッドの最高峰ともいうべき名血 Hyperion は、スタミナと底力があるので、ごまかしの利きにくいタフな東京コースを得意としています。「トニービン×ノーザンテースト」の組み合わせから誕生したG1馬はエアグルーヴ、サクラチトセオー、テレグノシスの3頭。勝ったレースはすべて東京コースでした。

「トニービン×ノーザンテースト」のコース実績を「TARGET frontier JV」で調べてみると、中山芝コースの連対率20.3%に対し、東京芝コースは30.1%と、大きな差がついています。この組み合わせを持つ馬は基本的に東京コースではプラス評価でいいでしょう。

ギンザボナンザが勝った前走ひいらぎ賞(500万下・中山芝1600m)は、枠順と展開に恵まれた部分もあったと思います。ただ、東京替わりは好材料なので、クイーンCでも軽く見ることはできません。

2010年2月17日 (水)

芝路線からフェブラリーSに参戦してくる馬たち

フェブラリーSの馬券検討をする際の最も重要なポイントは「芝で走ってきた馬をどう評価するか」。バッサリ切る、というのもひとつの見識だと思います。少なくとも過去の傾向をみればそれで間違いはありません。

しかし、それを重々承知の上で、あえて狙ってみるのもまたひとつの見識でしょう。クロフネは初ダートの武蔵野Sで9馬身差の圧勝劇を演じました。強い馬には条件など関係ありません。“芝を使ってきた馬=芝馬”というわけでもないと思います。

昨年はダイワスカーレットが出走を表明しながら故障のため1週前にリタイアしました。もしそのまま無事にレースを迎えて、外枠を引いていたら◎を打つつもりでした。

配合的裏付けと、基礎能力と、脚質と、フットワークと、枠順。これらをクリアする馬がいれば侮ることはできません。リーチザクラウンとレッドスパーダには印を回そうと考えています。

2010年2月12日 (金)

3歳500万下の芝平場戦に注目

東京の土日に組まれた3歳500万下の芝平場戦(2000m、1600m)は、クラシックを狙うダークホース的な素質馬が集まってきており目が離せません。昨年はアプレザンレーヴとレッドスパーダが勝ち上がりました。レベルの高さは推して知るべしです。

土曜東京7R(3歳500万下・芝2000m)はペルーサ、ヒシカツジェームス、ブルーグラスが激突します。どれも好きな馬なので困ります。あえて挙げればペルーサでしょうか。Hyperion 色の強い血が母系に入る、というゼンノロブロイ産駒の成功パターンに当てはまる配合で、デビュー戦はまったくの楽勝。ボディバランスの優れた好馬体も魅力です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102705/

日曜東京6R(3歳500万下・芝1600m)はダイワファルコンといいたいところですが、感冒明けでは微妙なところです。稽古の動きがどうだったのか見極めたいところです。

2010年2月 5日 (金)

中京ハンデ重賞の鬼、秋山真一郎騎手

土曜日の中京メインは小倉大賞典(G3・芝1800m)。ドリームサンデーに騎乗する秋山真一郎騎手は、タイトルのとおり中京ハンデ重賞の鬼です。

この条件では過去21戦して7連対。連対率は33.3%(!)、複勝率は47.6%(!!)、単勝回収率は1128%(!!!)というすさまじさです。全4勝の記録は以下のとおり。

98年 愛知杯  カネトシガバナー 1着(1番人気)
04年 中京記念 メイショウキオウ 1着(16番人気)
04年 愛知杯  メモリーキアヌ  1着(9番人気)
09年 中京記念 サクラオリオン  1着(15番人気)

単勝人気がとんでもないことになっています。今回は7番ドリームサンデー(父タイキシャトル)に騎乗予定。私は別の馬に本命を打ちましたが……。

2010年1月21日 (木)

注目の新馬、ヴィクトリーマーチ

今週の新馬戦で注目したいのは、日曜京都6R(芝1600m)に出走予定のヴィクトリーマーチ。父アグネスタキオン、母ヴィクトリークライ、母の父 Caerleon という血統です。

http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102649/

母ヴィクトリークライはヴィシー大賞典(仏G3・芝2000m)の勝ち馬で、その全妹に Volga(EPテイラーS-加G1)、半妹に Vallee Enchantee(香港ヴァーズ-香港G1)と2頭のG1馬がいます。これらを産んだ Verveine はオペラ賞(仏G2・芝1850m)の勝ち馬です。

Verveine は個人的に思い出深い馬で、血統表を見ていただければ分かるように、Lt.Stevens=Thong 3×4という全兄妹クロスを持っています。

http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a010382/

Verveine が走った90年代初頭は、Nureyev がすでに大種牡馬の地位を確立し、その4分の3同血の Sadler's Wells が日の出の勢いで駆け上ってきてヨーロッパを支配下に置いた時期です。両馬を生み出した Rough Shod の牝系は注目され、これをクロスさせる試みが実を結び始めていました。その端緒が Verveine であり、その翌年に登場した Fatherland(愛ナショナルS-愛G1)でした。Rough Shod 牝系の多重クロス馬として名高いエルコンドルパサーは、この流れの先に出現した名馬といえるでしょう。

Verveine の配合に惚れ、その動向をチェックしていたのですが、G1ではやや足りず(仏オークス3着、サンタラリ賞3着など)、結局、勝った重賞はオペラ賞(G2)とカルヴァドス賞(G3)だけでした。しかし、繁殖牝馬としては大成功し、前述のとおり Vallee Enchantee、Volga、ヴィクトリークライの母となりました。

日曜日の新馬戦に出走するヴィクトリーマーチは Verveine の孫です。おそらく孫世代にもその活力は伝わっていることでしょう。「アグネスタキオン×Caerleon」ですからアドマイヤオーラのような芝中距離で切れるタイプだと思います。やや薄いながら Cosmic Bomb≒Blinking Owl 5×6を持つのも好感が持てます。もちろん、『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」でも推奨しています。初陣を飾ってほしいものです。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!