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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年11月 1日 (火)

昇級戦でも即通用しそうなピュアソウル

■土曜京都1Rの未勝利戦(ダ1200m)は、ここが初出走のエーシンブラスター(2番人気)が大外から差し切りました。スタートで出遅れて絶望的な位置取りからの逆転勝ち。しかも経験馬のなかで唯一の初出走馬だったわけですから強いですね。

配合はエルコンドルパサーを彷彿させる特異なものです。母 Madagascat は Storm Bird=オシアナ3×2という全きょうだいクロスを持ち、父は Storm Bird≒Nijinsky 4×3で、エーシンブラスター自身はこれらすべてを継続する形でヨハネスブルグ≒Tale of the Cat 2×2。さらには Mr.Prospector 3×4も持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110069/

言葉で説明するとわけがわからないので、上記URLの血統表をご覧いただきたいと思います。頭がくらくらする配合です。

父 Scat Daddy は現役時代にシャンペンS(米G1)、フロリダダービー(米G1)などを制し、種牡馬としては今年の2歳世代が初年度産駒となります。『BloodHorse.com』の集計によると、現時点で新種牡馬トップであるばかりでなく、全体の2歳ランキングでもトップです。Daddy Long Legs(ロイヤルロッジS-英G2・芝8f)、Shared Property(アーリントンワシントンフューチュリティ-米G3・AW8f)、Finale(サマーS-加G3・芝8f)と、すでに3頭の重賞勝ち馬が出ています。芝とオールウェザーで結果を出している点が興味深いですね。

エーシンブラスター自身は今年春のOBSマーチセールに出場し、ラスト1ハロンで9秒8という怪時計を叩き出しました。価格は40万ドル。ファシグティプトンフロリダ2歳セールで47万ドルの値がついたゲンテン(デイリー杯2歳S-3着)には及びませんが、あちらが世界的な良血だったのに対し、こちらは時計の速さ(と配合の特異さ?)で価格が上がったという印象です。

フットワークを見ると、たしかに掻き込みは強いものの前肢が前に伸びているので、芝で走らせてみてもおもしろいのでないかと思います。もし仮に芝替わりで人気が落ちるようなら買ってみたい馬です。

■土曜京都3Rの未勝利戦(芝1600m)は、好位追走のピュアソウル(1番人気)が直線半ばで抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=VOHvYe_oR1I

道中はスローペースで展開し、ラスト2ハロンの上がり勝負。ピュアソウル自身はラスト1ハロンしか競馬をしていません。スマートな差し切り勝ちでした。

ディープインパクト産駒は現在、2歳の勝ち鞍ランキングで第4位。上位5頭は以下のとおりです。

1位 17勝 ダイワメジャー
2位 15勝 アグネスタキオン
〃   〃  シンボリクリスエス
4位 14勝 ディープインパクト
5位 12勝 アドマイヤムーン

昨年の同時期は20勝を挙げていたので勝ち星を減らしています。昨年はどの陣営も早めの仕上げで、ピリピリしたムードのなかキッチリ仕上げて新馬戦に使っていました。今年はゆっくりでいいんだというムードがあるように感じます。

それに加えて、ダイワメジャー、アドマイヤムーンの台頭の影響もあるでしょう。昨年の同時期の上位5頭が今年どの程度勝っているかを示してみます。
             10年 11年
1位 ディープインパクト 20勝→14勝
2位 ハーツクライ    14勝→ 5勝
〃  キングカメハメハ  14勝→ 8勝
〃  マンハッタンカフェ 14勝→ 6勝
5位 フジキセキ     12勝→12勝

昨年の上位5頭はその時点で合計74勝でしたが、今年は45勝。29勝も減らしています。今年、ダイワメジャーとアドマイヤムーンの勝利数は合わせて29勝(17勝+12勝)。減った分とぴったり数が合うのは偶然としても、“2頭に食われた分が減っている”という見方はそれほど間違ってはいないと思います。

さて、ピュアソウルに話を戻します。母ヒストリックスターは不出走馬ですが、牝馬二冠馬ベガが残した唯一の牝駒ですから血統的に貴重です。それ以外の4頭の兄弟は、アドマイヤベガ(日本ダービー)、アドマイヤドン(G1を7勝)、アドマイヤボス(セントライト記念)、キャプテンベガ(東京新聞杯-2着)。並の遺伝力ではありません。

「母の父ファルブラヴ」が気になったので、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』では無印としました。ファルブラヴは明らかなフィリーサイアーなので、母の父としては悪くないかもしれませんね。ちょっと悔やまれます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106275/

ピュアソウルについては、9月16日のエントリー「アドマイヤベルナと配合が似ているバウンダリーワン」でちょっと触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/09/post-4274.html

そのなかで「ピュアソウルにも一本調子なところが伝わっているのかどうか、気になるところです」と記しましたが、どうやら杞憂だったようです。上がり勝負をスパッと抜け出しました。昇級戦でも即通用するでしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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昇級戦でも即通用しそうなピュアソウルを参照しているブログ:

コメント

ディープ産駒の二歳戦の勝率は20%切るくらい。昨年は21%くらいなのでさほど変わらないかと。出走数の違いでは?

昨年の同時期、つまり10月末時点の数字を比べてみると、今年が19.4%で、昨年は25.3%です。昨年のほうが若干良かったようです。今年、このままペースを落とさず勝ち星を挙げ続け、出走数が昨年並みに追いついたとしたら、おっしゃるとおり昨年と同じぐらいの勝利数になるはずです。年末が近付くにつれダート戦の割合が増えてきます。このあたりをどうクリアしていくかですね。ちなみに現2歳世代はまだダートで1走もしていません。こういう例は珍しいと思います。

土曜日の第1レースは、京都競馬場で観戦していました。エーシンブラスターは思い切り出遅れて、しめしめと思っていましたが、直線で一頭違うレースをしているような走りで一気につけぬけました。この日は、萩ステークス勝負で臨み、当ブログでも紹介されていたショウナンラムジを狙いました。一番人気のアナスタシアブルーは距離が幾分長いと思い、ラムジの単勝で勝負、8頭立てで、他にライバルもいそうになくかなり自信があったのですが・・・。結果は、単勝154倍のスノードンが勝ちましたが、この馬も血統表を見たときに、これでもかとミスプロが重ねあわされていてびっくりしました。この日、新馬戦を勝ったアルキメデスもアドマイヤームーンにシーキングザゴールドという配合ですが、今年の2歳戦線(特に京都コース)はミスプロのクロスに注目でしょうか。

わたしの萩Sの予想は、へろへろへりおす様とほとんど同じ見立て、同じ結論でした(笑)。スノードンはちょっと拾えませんね。アドマイヤムーンについては本日(10月2日)のエントリーで触れましたのでご参照いただければと思います。京都コースにおける Mr.Prospector クロスの成績については統計を取ったことがないのですが、たしかに良さそうなイメージはあります。2歳戦ならさらにいいはずです。

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