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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年5月

2011年5月31日 (火)

道悪は強しマイネルラクリマ

土曜京都10Rの白百合S(3歳OP・芝1800m)は、2番手追走の◎マイネルラクリマ(2番人気)が快勝。いったんラトルスネーク(7番人気)に出られたものの差し返しました。
http://www.youtube.com/watch?v=7d25fjVQcDA

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎マイネルラクリマは『チーフベアハート×サンデーサイレンス』という組み合わせ。父チーフベアハートは自身の個性を積極的に主張するタイプではなく、交配牝馬の特徴を表に出しやすいという傾向が見られる。母の父がスタミナタイプのサッカーボーイならマイネルキッツ(天皇賞・春)となり、快速タイプのウェストミンスターならビービーガルダン(キーンランドC、阪急杯)となる。本馬の母の父はサンデーサイレンスなので芝向きの中距離タイプ。チーフベアハート産駒は総じて道悪が上手なので馬場が渋っても問題ない。休み明けで6着と健闘した前走のNHKマイルC(G1)は好内容。今回のメンバー相手なら十分通用する。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104087/

2代母パイナップルスターは、北九州記念(G3・芝1800m)を勝ったダンディコマンドの全妹。「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」は90年代によく見られた成功パターンで、フラワーパーク(スプリンターズS、高松宮記念)がその代表格です。ニホンピロウイナーもノーザンテーストも Hyperion が配合構成の核となっているので、やや渋めというか、パワーを兼備したタイプが多かったですね。このあたりの適性がマイネルラクリマに影響を与えた部分もあったのではないかと思います。

ダンディコマンドについては、デビュー戦をぶっちぎって勝ったときから、Hyperion と Son-in-Law のニックスを基軸とするその素晴らしい配合(Abernant≒チャイナロック≒アイアンエイジ4・3×3)に惚れ込みました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109569/

           ┌ Hyperion
         ┌○┘       ┌ Son-in-Law
Abernant ――――┤ ┌ Rustom Pasha ┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘       ┌ Son-in-Law
チャイナロック ―┤ ┌ Rustom Pasha ┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘      ┌ Son-in-Law
アイアンエイジ ―┤ ┌ Beau Pere ┘
         └○┘

マイネルラクリマの半兄シルクアーネスト(父グラスワンダー)は、前述のクロスを父方の Flower Bowl(Graustark、His Majesty、Bowl of Flowers を産んだ大繁殖牝馬)が継続しているので大好きな配合です。ちなみに、ダート王トランセンドもアイアンエイジと Flower Bowl の組み合わせを持っています。

           ┌ Hyperion
         ┌○┘      ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ―――┤ ┌ Beau Pere ┘
         └○┘

前走、みらい賞(準OP・芝1600m)を勝って待望のOP入りを果たしました。安田記念にも登録がありますが現時点では除外対象です。いずれ重賞を勝つのではないかと見込んでいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104804/

Hyperion と Son-in-Law の関係については、2月4、5日のエントリー「クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前・後)」にも記しておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/hyperion-son-in.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/hyperion-son--1.html

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2011年5月30日 (月)

日本ダービーはオルフェーヴル

競馬を見ていて久しぶりに背中がゾクッと来ました。勝った○オルフェーヴル(1番人気)は兄も父も超えたと思います。強い馬→名馬→怪物とメタモルフォーゼしているように見えます。
http://www.youtube.com/watch?v=jkSrWqjvWuQ

同じく不良馬場だった2年前のダービーと比べ、馬場状態は今年のほうが幾分かマシでした。同じ芝2400mの青嵐賞(古馬1000万下)を含めて比較してみます。

       09年     11年
青嵐賞   2分35秒7  2分31秒8
ダービー  2分33秒7  2分30秒5

内から外までどうしようもないくらいグチャグチャだった2年前とは違い、今年は外が差せる馬場でした。第9Rの青嵐賞、第10Rのむらさき賞と、ここを通った馬が勝ちました。外が差せるといっても、たっぷり水分を含んでいることには変わりないわけで、1着オルフェーヴルの上がり34秒8、2着ウインバリアシオンの34秒7は驚異的です。結局、後ろに控えた馬のなかでも伸びてきたのはこの2頭だけ。力が抜けていたと思います。

土曜日のエントリーでご紹介した「予想のメキキ」の取材にも答えたように、オルフェーブルは配合的に道悪がマイナスになる馬ではありません。父ステイゴールドの初重賞制覇は雨中の目黒記念でしたし、産駒も総じて道悪は得意。母の父メジロマックイーンは重馬場の菊花賞を勝ち、不良馬場の天皇賞・秋では2着以下を6馬身ちぎって先頭でゴールを駆け抜けました(18着降着)。ちなみに、ステイゴールドもメジロマックイーンも池江泰郎調教師の管理馬なので、オルフェーヴルはまさに“池江血統”ですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102636/

不安があるとすれば、体内に抱えた気性面の爆弾が暴発することだけ。この雨と馬場ですから道中なにがあるかわかりません。大量のキックバックを受けて平常心を失うことも考えられます。そのあたりの可能性を見越して◎デボネア(3番人気)の馬力に賭けたのですが、3コーナーで早々に手応えを失ってしまったのは意外でした。ちょっと無理筋でしたか。オルフェーヴルは直線でナカヤマナイトとぶつかり、そのあと前が狭くなるシーンもありましたが、ひるむことなく抜けてきました。このあたり、気性の強さがいいほうに出ています。

池江泰寿調教師によれば、秋は菊花賞(G1・芝3000m)を目指したいとのこと。折り合い面の懸念を払拭したいまなら距離面の不安はないでしょう。晴雨兼用、距離不問ですから、よほど強力なライバルが現れないかぎり三冠の確率は高いと思います(といいつつほかの馬に◎を打つと思いますが)。そのあとは古馬との対決。超強力4歳勢とどんな競馬をするのか興味が尽きません。ここでアッサリ負けるようでは怪物クラスとはいえないわけですが、果たして……。

そして、来年の春はぜひドバイへ遠征してほしいですね。モハメド殿下は、ダービー制覇をご自身の眼でご覧になったオルフェーヴルに対し、ほかの馬とは違う親近感を抱かれるのではないでしょうか。その父ステイゴールドがドバイシーマクラシックの勝ち馬であるならなおさらです。

ダービーを観戦された殿下のコメントは以下のとおり。JRAが発表したものを転載します。

「私は競馬を心から楽しんでいます。日本以外でもたくさんの国で馬を所有していますが、日本でも所有したいとずっと思っていました。その国で馬を持ち、日本ダービーに出る意義は大きいです。今回、愛馬が日本ダービーに出走することになり、ようやく来日することができました。日本ダービーを観戦し、東京競馬場の雰囲気、そしてダービーを応援するファンの大歓声に感銘を受けました。私はホースマンであり、競馬とは何かを知っています。レースの結果がどうなるのかは、誰にもわかりません。でも、勝つことを夢見るのが競馬なのです。今年ダメなら、また来年、そしてまた次の年へと夢が続くのです。いつも夢を持てるのが競馬です。来年もぜひ戻ってきたいと思います」

なんと素敵なコメントでしょうか。「勝つことを夢見るのが競馬なのです」「いつも夢を持てるのが競馬です」――この殺し文句は痺れます。

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2011年5月29日 (日)

強すぎるルーラーシップ

■土曜京都11Rの金鯱賞(G2・芝2000m)は、後方から徐々にポジションを上げた△ルーラーシップ(1番人気)がゴール直前で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=rs2QYX6WKwQ

「キングカメハメハ×トニービン」ですから、血統だけを見れば道悪をこなして不思議はないのですが、宙を駆けるかのような大きなトビなので、グチャグチャの馬場では危ないだろうと考え、予想の印は△にとどめました。ルーラーシップの力を舐めてましたね。勝ちパターンに入った皐月賞馬を、出遅れをモノともせず差し切るのですから、強いどころではなくメチャメチャ強いです。

母エアグルーヴは年度代表馬に輝いた女傑。産駒は総じて完成が遅く、POGではネームバリューほどの旨味はありません。ただ、古馬になってからの成長力は優れており、ルーラーシップも期待どおりの成長曲線を描いています。サンデーサイレンスを持たない点は大きなセールスポイントなので、もしこれから順調にいくつかのタイトルを獲得した場合、引退後に社台スタリオンステーションで厚遇されることでしょう。サンデー系牝馬に付け放題ですからまず成功すると思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103143/

◎ブラストダッシュ(5番人気)は14着。オペラハウス産駒で道悪ならと考えたのですが、それ以前に能力が足りませんでした。

■土曜東京11Rの目黒記念(G2・芝2500m)は、4コーナーで早め先頭に立ったキングトップガン(7番人気)が押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=4361-PIabrE

もともとダートで出世してきたパワー型で、2走前から復調の気配がうかがえただけに、裸同然の51キロで力のいる馬場なら△ぐらいは付けておくべきでしたね。好位に付けた馬同士で1、2着ですから先行有利の馬場になりつつあると感じました。日曜日はダービー前に芝で5レース組まれています。本番でどういう馬場になっているかはまったく読めません。横山典弘騎手は先週から当たりが続いています。ダービーに騎乗馬がいないのは残念です。

母方に Nijinsky を持つマヤノトップガン産駒は大物が出る傾向があり、これまでにメイショウトウコン、チャクラ、ホッコーパドゥシャという重賞勝ち馬が誕生しています。Blushing Groom と Nijinsky のニックスが効いているのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003100796/

◎マカニビスティー(5番人気)は5着。もう少し雨量が多く、馬場が悪化していたら結果は違っていたと思います。

2011年5月28日 (土)

道悪ダービーのキーポイントは位置取りと馬体重

ロジユニヴァースが勝った2年前の日本ダービーは、レースが終わったあと、某騎手が「こんなもん競馬じゃねぇ」とつぶやいたほどの酷い馬場でした。

現在の東京競馬場は、まだそれほどの量は降っていませんが、予報によれば土曜日は終日雨で、日曜日も雨。時間が経つにつれ雨量が増えていくようなので、2年前と同じく不良馬場になるものと思われます。

不良馬場といっても程度がありますし、内が伸びるのか外が伸びるのか、レース直前にならないと分かりません。力関係がある程度反映されるような馬場であればまだいいのですが、それがまったく関係なくなる極悪馬場になってしまうと手に負えません。何が突っ込んでくるのか神のみぞ知る、です。今週のWIN5は相当な大穴が出そうな予感がします。

ロジユニヴァースが勝ったダービーから得られる教訓は、“前に行った馬が有利”ということです。最初の5ハロンは59秒9。ジョーカプチーノが飛び出したので2番手以下は61秒ぐらいと考えても、2分33秒7という走破時計からすれば遅いペースではありません。しかし、結果は3番手追走のロジユニヴァースが勝ち、2番手追走のリーチザクラウンが2着、5番手追走のアントニオバローズが3着。前につけた馬同士の決着となりました。中団以下につけた馬はナカヤマフェスタの4着が最高着順です。あれだけ馬場が悪化すると、前が止まらないというよりも後ろから差してこれなくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=y37b0nD1Sr4

1~3着馬にはもうひとつ共通点があります。いずれも“500キロを超える大型馬であること”です。1着ロジユニヴァースは506キロ。2着リーチザクラウンは516キロ。3着アントニオバローズは512キロ。極悪馬場をこなすには恵まれた馬格から繰り出すパワーが必要ということでしょう。

結論は『前に行ける500キロ以上の大型馬を狙え!』。切れる脚など必要ありません。求められるのは粘り強さです。フットワークがピッチ走法ならなおいいでしょう。前に行くか行かないかは騎手の心理傾向を読む必要があります。これまで中団から競馬をしていた馬でも、騎手のひらめきによって思い切った戦法をとることも考えられます。この点は注意が必要です。

ウマニティ編集長・岡田大さんのコラム「予想のメキキ」のダービー編に、栗山求を取り上げていただきました。よろしければご覧くださいませ。
http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=2004

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2011年5月27日 (金)

Northern Dancer 生誕50周年

1982年以来、日本ダービーには必ず Northern Dancer 系の出走馬が名を連ねていました。しかし、09年にターニングポイントが訪れます。この年、同系の出走馬が途絶え、28年ぶりに Northern Dancer 系が出走しないダービーとなりました。昨年はメイショウウズシオ、シャインと2頭出走しましたが、今年はまたゼロ。Northern Dancer 系にとって冬の時代といえるでしょう。

ただ、それは日本だけの現象であり、世界の主要競馬開催国、とくにヨーロッパとオーストラリアにおいては、Northern Dancer 系は相変わらず猛威を振るっています。昨日のエントリー(活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」)でご紹介したように、ヨーロッパでは20年近く生産界を牽引してきた Sadler's Wells とデインヒルが融合し、新たな名馬を次々と誕生させています。これらはいずれも Northern Dancer 系です。

いまからちょうど50年前の1961年5月27日に、カナダのウィンドフィールズファームで Northern Dancer は誕生しました。

父 Nearctic は St.Simon の影響が強いイギリス血統。母 Natalma には、伝統的なアメリカ血統を濃厚に含んだ Native Dancer と、Lady Josephine(現代スピード血脈の祖)の影響を受けた Mahmoud が入ります。ですから、基本的には異系交配的な産物で、異なる個性のぶつかり合いによって人知を超えた生化学反応が生じ、時代を画する傑作が誕生したというわけです。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

Northern Dancer 系の現況については昨年11月に4回シリーズでご紹介しました。

Northern Dancer 没後20年(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-dancer.html
Northern Dancer 没後20年(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-1.html
Northern Dancer 没後20年(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-2.html
Northern Dancer 没後20年(4)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-3.html

世間に流通する血統系の慣用句で、わたしが最も理解に苦しむのが「セントサイモンの悲劇」です。そもそも何が悲劇なのかよく分かりません。St.Simon が種牡馬として爆発的な成功を収めたあと、代を経るごとに系統が衰退していったのは事実です。しかし、それでサラブレッド全体のレベルが低下したかというと、そんな事実はどこにもないと思います。むしろ逆に上昇したとわたしは考えます。英ダービーの勝ちタイムの変遷からもそれはうかがえます。

Teddy、Blandford、Tourbillon、Hyperion、Nearco など、20世紀前半に登場した大種牡馬群は、ほとんど例外なくGalopin-St.Simon(=Angelica) の強い影響のもとに誕生しています。このあたりは笠雄二郎著『サラブレッド配合史』(http://www.miesque.com/c00001.html)に詳述されています。
http://www.pedigreequery.com/teddy
http://www.pedigreequery.com/blandford
http://www.pedigreequery.com/tourbillon
http://www.pedigreequery.com/hyperion
http://www.pedigreequery.com/nearco

サラブレッドの生産は父系を伸ばすことが目的ではありません。強い馬を作ることです。St.Simon 系が衰退したことを悲劇というのは父系愛好家だけでしょう。むろん、そうした事態が起こったからといって、当時の生産者が愚かだったわけでもありません。St.Simon の強い影響力がサラブレッド全体のレベルを上昇させたのですから、少なくともわたしのなかでは“悲劇”という言葉はピンときません。

もし仮に、遠い将来サンデーサイレンス系が衰退したとしたら、人々の心にセンチメンタルな疼きは生じるでしょうが、日本の生産界には何の不都合も起こらないでしょう。サンデーサイレンスが日本の生産レベルを大きく引き上げた事実は変わりません。そして、サンデー系が衰退してもサンデー牝馬を苗床とした新しい系統がたくましく伸びているはずです。わたしはそれで何の問題もないと考えます。

もっとも、同系統が増えすぎて父系が衰退するということが、現代ではほぼ起こりえないことは Northern Dancer が証明しています。St.Simon のころとは生産規模が違いますし、交通機関の発達によりサラブレッドが大陸間を自由に行き来する現代において、配合相手に困るという事態はまず考えられません。

誕生から半世紀、Northern Dancer の血が世界の果てまで広まり、4代前、5代前と血が遠ざかっていくと、系統全体が一斉に衰退期に向かうということは現実的ではないでしょう。いまや Nearco 系という区分に何の意味もないように、いずれ Northern Dancer 系という区分も過去のものとなるはずです。

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2011年5月26日 (木)

種牡馬別好配合馬リスト「ディープインパクト編」発売

種牡馬別好配合馬リスト「ディープインパクト編」(望田潤・栗山求著)を発売いたしました。血統屋(http://www.miesque.com/)の「ショッピング」にてお求めいただけます。

ディープインパクト産駒の2歳馬すべての5代血統表と、望田、栗山の眼に適った好配合馬をそれぞれ◎○★の3クラスに分け、◎を打った馬については論評を掲載しました。既刊のマンハッタンカフェ編とアグネスタキオン編でご活躍いただいた桑原拓三氏は体調を崩されたため今回はお休みです。174ページ。800円。

活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」

今年のギニー戦線は似たような血統ばかりが勝ちました。こういうのをシンクロニシティというのでしょうか。

・Frankel(英2000ギニー)
・Golden Lilac(仏1000ギニー)
・Roderic O'Connor(愛2000ギニー)

以上の3頭はすべて「Galileo×デインヒル」という組み合わせから誕生しています。

Frankel については5月1日のエントリー「衝撃! Frankel が英2000ギニーを6馬身差圧勝」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/frankel-0437.html

5月15日に行われた仏1000ギニー(G1・芝1600m)は、オリビエ・ペリエ騎乗の Golden Lilac が2番手から抜け出し、通算成績を4戦全勝としました。
http://www.youtube.com/watch?v=WkvHP7gvkpM

母は Grey Lilas。ムーランドロンシャン賞(仏G1・芝1600m)など3つの重賞を制した名牝で、仏1000ギニー2着、仏オークス3着とクラシックタイトルにはあと一歩届きませんでした。娘の Golden Lilac は同時期の母を超えています。
http://www.pedigreequery.com/golden+lilac

5月21日に行われた愛2000ギニー(G1・芝8f)は、前走の英2000ギニーで Frankel の11着と大敗した Roderic O'Connor が逃げ切り勝ち。昨年のクリテリウムインターナショナル(仏G1)を勝ち、デューハーストS(英G1)では Frankel の2着となった実力馬です。
http://www.youtube.com/watch?v=UbmZ-5KExiI

この勝利がエイダン・オブライエン調教師にとって何個目のクラシックタイトルであるかは分かりませんが、特別な意味を持った勝利であることは間違いありません。Roderic O'Connor の手綱を取ったのが17歳の息子ジョセフ・オブライエンだったからです。

2代母 Chalamont の半兄には、アスコットゴールドC(G1・芝20f)2連覇など長距離で無敵を誇った Gildoran がいます。スタミナ豊かな牝系であり、次走が英ダービーでも仏ダービーでも楽しみが大きいと思います。
http://www.pedigreequery.com/roderic+oconnor

それにしても“Galileo とデインヒル”の好相性は素晴らしいですね。Sadler's Wells には Galileo のほかに Montjeu という優れた後継種牡馬がいるのですが、最近は Galileo ばかりが目に付きます。Montjeu とデインヒルの組み合わせからはこれといった活躍馬は出ていません。「Galileo×デインヒル」で生じる Buckpasser クロスの効果が大きいのでしょう。

Galileo のアドバンテージはなんといっても歴史的名牝 Urban Sea の息子である点です。Galileo の兄弟には Sea the Stars、Black Sam Bellamy、My Typhoon などの活躍馬がいます。

Urban Sea はアメリカ血統(父 Miswaki)とドイツ血統(母 Allegretta)の融合により誕生しました。Buckpasser クロスはこのうちアメリカ血統を活かす配合パターンです。ピリッとしたところが出てくるのではないでしょうか。また、ヨーロッパ随一の主流血統でありそれぞれが強い個性を持つ Sadler's Wells とデインヒルを、異系のドイツ血統が緩衝剤として結び付ける役割を果たしているようにも見えます。Sadler's Wells とドイツ血統の好相性については、昨年4月30日のエントリー「ドイツ血統と Sadler's Wells」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

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2011年5月25日 (水)

ディープインパクト×Storm Cat 系を占うサクセスシルエット

■土曜京都2Rの未勝利戦(ダ1200m)は、ここが初ダートのオペラモーヴ(1番人気)が5馬身差で逃げ切りました。3着にはさらに4馬身差をつける圧勝。

この時期、午前中のダート未勝利戦を圧勝したといっても、「相手が弱い」の一言で済まされてしまうことがほとんどですが、この馬はひと味違うと思います。半兄に本邦輸入種牡馬のファスリエフ(通算5戦全勝でカルティエ賞最優秀2歳牡馬)、半姉に Kamarinskaya(06年愛1000ギニートライアル-愛G3)がいる良血。一昨年9月に米ケンタッキー州のキーンランドのセールにおいて25万ドル(約2250万円)で落札されたのですが、世界的な不況の影響がなければこのような値段で買える馬ではなかったはずです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110061/

活力のある牝系は注目に値します。母 Mr.P's Princess の兄弟には Desert Wine、Menifee。自身の姪には5月22日に行われた愛1000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬 Misty for Me がいます。同馬の母の父 Storm Cat はオペラモーヴの3代父でもあるので、血統構成もやや似ています。
http://www.pedigreequery.com/misty+for+me3

 Anne Campbell(f.1973.Never Bend)
   Desert Wine(c.1980.Damascus)
   Mr.P's Princess(f.1993.Mr.Prospector)
   │ ファスリエフ(c.1997.Nureyev)
   │ Butterfly Cove(f.2001.Storm Cat)
   │ │ Misty for Me(f.2008.Galileo)
   │ Kamarinskaya(f.2003.Storm Cat)
   │ オペラモーヴ(f.2008.ヨハネスブルグ)
   Menifee(c.1996.Harlan)

競走馬としても期待できますが、それ以上に繁殖牝馬として楽しみな馬です。

■日曜東京8RのカーネーションC(3歳500万下・芝1800m)は、サクセスシルエット(2番人気)が好位から伸びて競り勝ちました。
http://www.youtube.com/watch?v=vcr6b383APA

休み明けの前走で初勝利を挙げ、今回も勢いに乗って快勝。以前見られた詰めの甘さが解消しています。今回は上がり33秒6でした。成長していますね。

父はディープインパクトで、母の父は Storm Cat。ディープの父サンデーサイレンスは Storm Cat との相性がイマイチ。代表的な後継種牡馬であるアグネスタキオンも同様です。ディープインパクトと Storm Cat の関係は、まだサンプルが少ないので何ともいえないものの、Storm Cat の父 Storm Bird はディープと相性のいい The Minstrel と血統構成が似ており、母の父 Secretariat はディープに含まれる Sir Gaylord とこれまた似ています。したがって、好相性を示す可能性はそれなりにあるのではと考えています。

母フィアレストケープはなかなかの良血で、ヨハネスブルグと4分の3同血の関係にあります。ヨハネスブルグは2歳時に愛、英、仏、米でG1を制覇するなど7戦全勝の成績を残し、ヨーロッパと北米でそれぞれ2歳牡馬チャンピオンに輝いた名馬。前出のオペラモーヴの父でもあります。

           ┌ Storm Cat
フェアレストケープ ―┤
           └ Myth

             ┌ Storm Cat
           ┌○┘
ヨハネスブルグ ―――┤
           └ Myth

フィアレストケープはまた、アメリカの人気種牡馬 Tale of the Cat とも4分の3同血の関係にあります。

           ┌ Storm Cat
フェアレストケープ ―┤
           └○┐
             └ Yarn

           ┌ Storm Cat
Tale of the Cat ―――┤
           └ Yarn

こうした血統背景から、サクセスシルエットは2歳戦から能力を全開し、その後はあまり成長しそうもないイメージもあります。しかし、実際は父ディープインパクトの影響なのかしっかり成長しています。

次々と名馬を誕生させるこの牝系をまとめてみます。

 Narrate(f.1980.Honest Pleasure)
   Yarn(f.1987.Mr.Prospector)
   │ Myth(f.1993.オジジアン)
   │ │ ヨハネスブグル(c.1999.ヘネシー)
   │ │ フェアレストケープ(f.2002.Storm Bird)
   │ │   サクセスシルエット(f.2008.ディープインパクト)
   │ Tale of the Cat(c.1994.Storm Cat)
   Preach(f.1989.Mr.Prospector)
     Pulpit(c.1994.A.P.Indy)

ここに登場する3頭の名種牡馬、Pulpit、Tale of the Cat、ヨハネスブルグは、いずれもデビュー戦で圧倒的な強さを発揮するという共通点があります。ダッシュ力とスピードとパワーがあるというタイプですね。ディープインパクト産駒は切れ味豊かな芝血統で、柔らかさがあるがゆえにやや非力なところもあります。そうしたディープらしさを残しながら、アメリカ血統のスピードとパワーを取り込んでいけたらいうことはありません。仮に海外の競馬に進出することを想定した場合、デインヒル、Sadler's Wells、Storm Cat といった血は心強い味方となるでしょう。活力のある牝系なので繁殖牝馬としても楽しみです。

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2011年5月24日 (火)

フレールジャック2連勝

■日曜京都7Rの3歳500万下(芝1800m)は、2番手追走のフレールジャック(1番人気)が道悪をものともせず突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=PAEwuVC2OoE

パドックでややテンションの高いところが見られ、序盤は行きたがって単独2番手に飛び出す意外な展開。一瞬、ディープインパクト産駒にありがちなメンタル系自爆コースかと思われたのですが、そこでうまく折り合いをつけて最後は余裕の勝利でした。

道悪をスイスイとこなしたのは母方にある Nureyev、Blushing Groom の影響でしょうか。5月10日のエントリー「経験馬相手に初戦楽勝フレールジャック」で配合について触れておりますのでご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/05/post-dbba.html

前半掛かったわりに最後までしっかりとした脚を使いました。器の大きさは疑うべくもありません。問題は気性面です。今回のように折り合いを欠くシーンがあると重賞ではつらいでしょう。このあたりをクリアできれば通用するのではないでしょうか。レース間隔を開けたほうがいいような気もします。

■日曜京都9Rの昇竜S(3歳OP・ダ1400m)は、アイアムアクトレス(2番人気)が好位追走から突き抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=q558dPBEXGI

アイアムカミノマゴ(阪神牝馬S)の全妹にあたる良血で、女優の川島なお美さんが名付け親。昨年暮れのデビュー戦(芝1600m)はのちの桜花賞馬マルセリーナの2着でした。心なしか当時に比べてフットワークがダート向きになっているような気がします。これでダートは3戦全勝。

配合については2月1日のエントリー「ダンスファンタジアと配合構成が似ているフォーエバーマーク」で取り上げています。「Danzig 系×Mr.Prospector」という母方はパワー満点ですが、そこはアグネスタキオン産駒ですから、1分22秒8という芝並みの超高速決着に向いたといえるでしょう。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-b46f.html

昇竜Sはもともと中京競馬場で行われていましたが、改修工事の影響で昨年、今年と京都競馬場で行われています。距離も1700mから1400mに短縮。このレースには牡馬の骨っぽいところも出てくるわけですから、牝馬が勝つのは珍しく、アイアムアクトレスがレース史上2頭目となります。前回勝った牝馬は09年のラヴェリータ。周知のとおり同馬はその後重賞を勝ちまくっています。アイアムアクトレスの前途も明るいでしょう。

2011年5月23日 (月)

オークスはエリンコート

パドックの周回を重ねるうちに雨脚が強くなり、ロジユニヴァースが勝ったダービーデイを彷彿させるような強い雨となりました。レースの発走時刻まであと20分ちょっとの段階です。本馬場に入り、返し馬をする馬たちの脚もとに、軽く水しぶきが上がっているようにも見えました。結果的にこの雨がレース結果を左右しました。

ペースは平均よりも微妙に遅いぐらい。逃げ粘るピュアブリーゼ(8番人気)に好位追走のエリンコート(7番人気)が襲い掛かり、最後に▲ホーエルキャプチャ(2番人気)が差を詰めたところがゴール。3連単54万円の大波乱となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=J6WThs6FtkI

偏見かもしれませんが、パンパンの良馬場なら「Monsun×パントレセレブル」のピュアブリーゼがあそこまで粘ることはなかったのでは、と思います。2分25秒7という時計は速かったのですが、これはもともとかなりの高速馬場だったからで、雨の勢いが強いといっても本格的な雨脚になってから20分やそこらのことですから、積算雨量はさほどではなかったはずです。路盤はしっかりした状態ながら、降り始め独特の滑る馬場だったため、それをこなせるタイプが台頭し、なおかつ時計が速かったのだと思われます。雨が降り始めのころは、馬場が滑るので意外に道悪適性が問われるものです。大トビの馬や切れ味を身上とする馬にとってはつらい馬場です。氷結した道を大股で歩けば転んでしまうのと同じ理屈ですね。ディープインパクト産駒が苦戦した原因のひとつはここにあると思います。

逆にエリンコートはこうした馬場に高い適性があったのでしょう。4月13日のエントリーに記したとおり、前走の忘れな草賞(OP・芝2000m)は全体時計も上がりも物足りなく映りました。この時点で深く考えることなく馬券の買い目から外してしまったのは失敗でした。前走後1ヵ月半の成長も大きかったはずです。

父デュランダルは2年連続で最優秀短距離馬に選ばれた名馬で、マイルチャンピオンシップ(G1)[2回]、スプリンターズS(G1)などを制しました。短い距離を得意としたのは、肉体的な適性というよりも激しい気性のなせる業であり、こうした特徴が産駒に伝わらなければ、距離をこなす子が出てきてもおかしくありません。名マイラーのサッカーボーイが長距離馬を次々と送り出したのと同じことです。じっさいのところ、デュランダル産駒は気性の激しい子が多く、エリンコートも折り合いにやや難があるのですが、まぁ許容範囲内といったところ。忘れな草賞を勝つようなタイプに距離の不安はありません。

母エリンバードは伊1000ギニー(G2・芝1600m)の勝ち馬。このときは重馬場でした。その父 Bluebird は現役時代にスプリンターとして活躍した一本調子のスピードタイプで、産駒にはパワー型のスピードを伝えました。このあたりにエリンコートの道悪適性の一端がうかがえます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102805/

◎マルセリーナ(1番人気)は道悪適性に問題はなかったと思いますが、やはり切れ味を身上とする馬なので、切れ味を殺される馬場であの位置取りは結果的に厳しかったですね。桜花賞ではマルセリーナが馬群に突っ込み、ホエールキャプチャが大外を回りました。今回はその逆。どちらのレースもリスクを取ったほうが先着しています。大外回しの横綱相撲で勝てるほど実力に開きはないということでしょう。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!