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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

展望

2011年1月29日 (土)

荒れるシルクロードS

土曜日に京都競馬場で行われるシルクロードS(G3・芝1200m)は荒れる重賞です。短距離のハンデ重賞ですから、まぁ堅く収まるほうがおかしいともいえるわけですが……。北九州記念やCBC賞も似たような傾向がありますね。

過去5年間で1、2番人気が一度も連絡みしていません。ハンデ戦になってからの9年間、連対馬18頭のうち半数の9頭が6番人気以下。人気馬からは買いづらいレースです。トップハンデ馬は過去5年間で1頭しか連に絡んでいません。

ではどんな穴馬を買えばいいかというと、まず挙げられるのは準OPを勝ち上がったばかりの馬。条件クラスを脱したばかりのニューフェースですからハンデは軽くなります。前走から2~3キロ減が相場。ハンデ重賞に生まれ変わった02年以降、このパターンが3頭連対しています。いずれも人気薄でした。

今年は京阪杯からの直行組が目に付くのですが、過去の傾向からいえばあまり良績がないローテーションです。ただ、これは間隔が開くことによる体調面の問題なので、キッチリ仕上がっているなら神経質になる必要はないと思います。

昨年までのシルクロードSは2回京都4日目でした。今年は初日に移動しています。先週まではAコースで行われており、周知のとおり内伸びで前に行った馬が有利でした。今週からBコースに替わります。引き続き前が止まらない馬場でしょう。外を回らされたらキツイと思います。枠順も重要ですね。

血統的にはフジキセキ天国なのですが、今年の出走はファイングレインのみ。3年前の覇者とはいえ近走の成績では……。

馬券的には非常におもしろそうなので、大穴を狙って冒険してみたいレースです。

2011年1月 5日 (水)

ダービー馬の半弟カラータイマー出陣

1月5日、中山6Rの新馬戦(芝2000m)には、日本ダービー馬エイシンフラッシュの半弟カラータイマー(父アグネスタキオン・藤沢和雄厩舎)が出走します。「栗山ノート」のアグネスタキオンの項では一番最初に挙げた馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103023/

「栗山ノート」を作成した4月半ばの段階では、半兄エイシンフラッシュがあれだけ切れる脚を使う馬だとは認識していませんでした。“サンデー系×ドイツ血統”ということで、うまくハマってマンハッタンカフェやブエナビスタのようなタイプになれば――という期待を抱いていました。配合的には優れていると思います。どんな馬なのかパドックでじっくりと観察してみたいですね。

今年、その動向が大いに注目されるディープインパクト産駒は、初日に2頭出走します。京都5R・未勝利戦(芝2000m)のダノンウィスラーと、中山6R・新馬戦(芝2000m)のキングダリア。

ダノンウィスラーのほうが勝機はあると思いますが、このレースにはエイシンモンジューとピエナセレブという強敵が出走を予定しており、そう簡単には勝たせてもらえないでしょう。ディープインパクトについては昨年末にいくつか考察を記しましたので、よろしかったらご覧くださいませ。

ディープインパクトの格上がり戦(11/30)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html
ディープインパクト産駒のトビの大きさとその影響(12/6)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-9f4d.html
ディープインパクト産駒はなぜ逃げて強いのか(12/15)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/12/post-ba48.html

2010年12月25日 (土)

今年の有馬記念はロングスパート型!?

天皇賞・秋、ジャパンCは力どおりに決まりやすい東京コースなので、予想をするときは戦力比較に割く時間が多くなるのですが、中山コースの有馬記念はマギレがあるので、展開や位置取りの予想に神経を使います。

今年はどう見てもスローペースでしょう。みんながそう思うと得てして逆になることも多いのですが、今年はやはり速くならないと思います。というか、そう決め打ちしないと予想が始まりません。

有馬記念の過去の歴史を振り返ると、スローで流れた場合でも、残り3ハロンの上がり勝負にはなりません。残り5~6ハロンから速くなるロングスパート型のレースになります。中山競馬場の内回りコースは、残り6ハロン付近から下り坂が始まります。ですから、自然とこのあたりからペースが速くなってしまうわけです。

マンハッタンカフェが勝った01年と、シンボリクリスエスが勝った02年。このふたつは残り5ハロンからペースアップするロングスパート型のレースでした。今年はこれに近い競馬になるのでは、と思います。最後の5ハロンが57秒9だった01年は超スローペース。今年はさすがにこれほど遅い流れにはならないと思うので、59秒1だった02年に近くなるような気がします。残り5ハロンからスパートして上がり3ハロンを34秒台の後半でまとめる力が要求されます。

01年と02年にはいくつか共通点があります。

①逃げ馬が3着以内に残っている
スローペースですから前で競馬をしたほうが当然有利です。01年はトゥザヴィクトリーが3着に、02年はレース途中から先頭を奪った(奪い返した)タップダンスシチーが2着に粘っています。といっても、今年は何が逃げるのかもよくわからないのですが……。

②1、2番枠がいずれも馬券に
ペースが遅いと馬群が固まる傾向にあるので、外枠の馬は馬群に潜り込めず、ずっと外を回されることになります。工夫しないと厳しいですね。逆に内枠は距離ロスなく走れるので最後の伸びが違ってきます。01、02年に連対した1、2番枠の計4頭はすべて好位でレースを進めました。

③3歳馬が勝ち、1番人気は5着
01年のマンハッタンカフェ、02年のシンボリクリスエスはいずれも3歳馬でした。1番人気に推された01年のテイエムオペラオー、02年のファインモーションはいずれも5着。

④13番人気が連対
オカルト的にはこれもひとつのデータでしょうか。

今年はこれらのデータを基礎に予想を組み立てたいと思います。有馬記念を長年見てきた方なら分かると思うのですが、何が起きても不思議のないレースです。難易度が高いので外れてもともと。たとえ外れても後悔のない印が打てればいいなぁと思います。

2010年12月18日 (土)

朝日杯フューチュリティS有力馬プチ診断

■リベルタス
配合的には2000m以上に向いた馬だと思います。ただ、角居調教師がここにぶつけてきたのですから、相当な手応えを感じているのかなぁとは思います。ディープインパクト産駒はトビが大きくダッシュが鈍いので、2番枠だと包まれて後方まで下がってしまう危険性も。4年前のドリームジャーニーのように後方から大外をマクって差し切り、という芸当ができるかどうか。

■マイネルラクリマ
人気にならないタイプですがちょっと怖いです。マイネルレコルト(04年朝日杯FS)を出したチーフベアハートが父。ここ2戦、直線の長いコースでよく粘っていますが、中山ならさらにいいところがありそうな配合ですね。枠も絶好。

■リアルインパクト
リベルタスと同じディープインパクト産駒。こちらは出脚がつくタイプだと思います。前走の出遅れはゲートのタイミングが原因。新馬戦は上手に出ました。半兄アイルラヴァゲイン、母トキオリアリティーは小回り巧者ですから、この馬も中山に替わって良さが出るはずです。あとは急坂をこなせるかどうか。

■リフトザウイングス
ハーツクライ産駒はいまのところ、京都よりも阪神、東京よりも中山のほうがいい、という傾向が出ています。中山替わりは良さそうです。ただ、マイル戦では全般的にやや勝ち味が遅い傾向も。母の父 Cozzene は逃げたり追い込んだりという極端な戦法で結果を出す気難しいタイプ。要するに揉まれ弱いので馬群が苦手です。前走後の武豊騎手のコメントを読むと、どうもそうした特徴が伝わっているような気が……。小回りの多頭数競馬でどう立ち回るか、ルメール騎手の手腕に期待です。

■サダムパテック
脚長の体型。直線の長いコースで伸び伸び走るのが合っているタイプだと思うので、小回りコースに替わるのはプラスとはいえません。毎回出遅れるのでおそらく今回も出遅れるでしょう。位置取りが悪くなったときに、焦ったスミヨン騎手が無理に馬群を捌こうとして他馬の進路を妨害するというのが最悪のシナリオです。懸念材料ばかり並べましたが、これは実力を認めた上での話。現時点の能力は一枚上だと思うので、スムーズな競馬さえできればアッサリ突き抜ける可能性は一番高いと思います。

■グランプリボス
「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」はわりと距離がもつ傾向があります。マイルはギリギリOKでしょう。サクラバクシンオー産駒はこれまで2歳G1で10回走って一度も馬券になっていません。問題は底力です。

■シゲルソウサイ
2代父はこのレースと相性のいい Storm Cat。初めての芝、2ハロンの距離延長、相手強化とハードルはあまりにも高いのですが、マイペースで逃げたときに、3年前のゴスホークケンのように残ってしまわないとも限りません。ゴスホークも Storm Cat 系でした。

■アドマイヤサガス
朝日杯の13番枠から外は、逃げの手を打たないかぎり死刑宣告を受けたようなものですから、15番枠はちょっと厳しいですね。強い馬だとは思いますが、ニュージーランドTのサンライズプリンスのような競馬ができるほど相対的に抜けた力はないと思います。オースミイージーとシゲルソウサイの逃げ争いでハイペースになることが望み。

2010年12月 8日 (水)

2010香港国際競走

気がつけば暮れの香港国際競走には10年以上行ってません。観戦するとなれば10~11月から準備しなければならないのですが、その時期はちょうどG1まっただなか。なんとなく忙しくしているうちに時機を逸してしまい、毎年グリーンチャンネルでテレビ観戦しています。今年は阪神ジュベナイルフィリーズと同日の12月12日(日)に行われます。

最後に行ったのは98年。香港国際C(G2・芝1800m)をミッドナイトベットが勝った年です。14頭立ての12番人気とまったく人気がなく、プレスエリアで見ていたわれわれ日本人報道陣も「さすがに厳しいだろうなぁ~」という雰囲気だったのですが、なんと馬群から力強く突き抜けてレコード勝ち。その瞬間、みんな仕事を忘れて「ウォーーー!!」とガッツポーズしてました(笑)。周りが香港人ばかりで完全なアウェーですから妙な連帯感がありました。

でも、いまから考えるとのどかな時代ですね。当時に比べると個々のレースの格は上がり、出走メンバーの層も厚くなりました。今年の日本馬は、ジャガーメイル(香港ヴァーズ)とエーシンフォワード(香港マイル)の2頭が参戦します。

ジャガーメイルは3年連続の出走。過去2年はアルゼンチン共和国杯から香港、というローテーションでしたが、今年はジャパンCから中1週での参戦。キツいようにも映りますが、じつはジャングルポケット産駒は間隔を詰めてもへこたれないタイプです。レース間隔別の競走成績で最も数字がいいのが「連闘」。とくに芝の連闘は連対率35.7%という抜群の成績。私が調べたかぎり主要種牡馬の連闘成績のなかでは断然トップです。遠征慣れしている陣営ですし、ローテーションに関してそう神経質になる必要はないのでは、と思います。ここを勝つ力は十分あるでしょう。

エーシンフォワードは Paco Boy あたりに勝つのは相当骨だと思うのですが、向こうも勝ち味に遅いところがあるので、一発狙ってほしいですね。香港でG1を3勝したエイシンプレストンの記憶は、香港の競馬ファンの脳裏にいまだに焼き付いているのではないでしょうか。香港と相性のいい馬主さんなので期待したいところです。

今年の香港国際競走の目玉は香港スプリント(G1・芝1200m)でしょう。Sacred Kingdom、J J the Jet Plane、Rocket Man、Green Birdie、Ultra Fantasy など好メンバーが揃いました。これは見逃せません。

2010年12月 4日 (土)

2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!

11月に東京競馬場で開催された「オープン型レーシングセミナー」。私は4つのテーマについてそれぞれ20分ほど講演したのですが、そのうちのひとつ、「2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!」は師走競馬を念頭に置いたものでした。

シーズン開始当初の2歳戦は芝のレースがほとんどです。6月から9月までは芝とダートはおよそ“4対1”ぐらいの割合。それが10、11月になると“2対1”となり、12月は“1対1”。年末が近づくにつれてダートの割合が増えていきます。したがって、必然的に“芝を使ってきた馬がダートに転じるケース”が増えます。ここが馬券の買いどころ。初ダートは如実に適性が表れるので、芝の凡走から一変するシーンがしばしば見られるからです。

ダート適性を決定する最大の要素は血統。前出のセミナーではゴールドアリュール、クロフネ、アグネスタキオンの3頭を推奨しました。「2歳戦の芝→ダート替わり」という条件に3頭の種牡馬の子が出てきた場合、単勝回収率、複勝回収率の双方で、回収率はいずれも100%を超えます。より精度を高める絞り込みについてもお話ししたのですが、長くなるのでここでは割愛します。

土曜日のレースにこの条件に合致する馬が出走しています。中山2R・2歳未勝利戦(ダ1800m)のアイティクイーン。東京芝1400mの新馬戦で6着と敗れたあと、2戦目に選んだのがこのレースです。
http://db.netkeiba.com/horse/2008105654/

ゴールドアリュール産駒は、2歳のダート替わり1800m戦で連対率37.5%、単勝回収率241%、複勝回収率147%。中山コースに限ると連対率50.0%、単勝回収率410%、複勝回収率220%。この条件は最も得意とするところです。鞍上が横山典弘騎手にスイッチして勝負気配も伝わってきます。

期待値の高いところに賭け続けてプラスを狙うというやり方は、馬を相手にするというよりも、むしろ確率を相手にするものです。魚がいないところにむやみに網を打っても空振りするばかり。魚がやってくるポイントにあらかじめ定置網を張っておき、粘り強く待ち続け、魚影を感じたら引き揚げるというのがこのやり方です。むろん、馬券において百発百中などありえません。アイティクイーンが来るという保証もどこにもありません。長い目で見てプラスになればいいという期待値を根拠とした賭け方です。馬券はあくまでも自己責任でお願いします。

2010年12月 3日 (金)

水曜坂路の好調教馬、ヌーベルバーグ

12月2日夜に放送された『アメトーーク』(テレビ朝日)。今週は「競馬芸人」の回でした。初心者入門としてよくできた内容で、競馬新聞の見方から面白エピソードの紹介までを幅広く網羅し、競馬の宣伝効果としてはJRAのCM何百回分にも相当したのではないかと。

年に数回、所用でJRA本部に行くのですが、職員の方々が立ち働くフロアには「祝! ○○記念 105・2%」「祝! ○○ステークス 108・9%」といった短冊が天井から吊されています。要するに前年比の売り上げを示したもので、100%以上になった重賞がズラリと並べられているのです。売り上げ増に向けて熱心に取り組んでいるんだなぁということがよく分かります。今回の番組によってすぐに売り上げ増加が見込めるわけではないでしょうが、競馬を身近に感じてもらうための種まきとしては成功だったのでは?

さて、今週の新馬戦出走馬のなかで好調教をマークした馬をピックアップしたいのですが、どれか1頭選ぶとなれば、水曜日の栗東坂路で未出走馬の一番時計をマークしたヌーベルバーグ(父ディープインパクト・音無厩舎)でしょうか。阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)で2着となったシークレットコードの半妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102997/

この馬の配合はちょっとおもしろいところがあります。まず、「ディープインパクト×Lost Code」なので、「サンデー×Lost Code」のハットトリック(香港マイル、マイルCS)と似ています。母マジックコードはカナダの最優秀古馬牝馬に選ばれた活躍馬。

母の父 Lost Code は“Chieftain≒Fast Trun 4×3”がミソです。
http://www.pedigreequery.com/lost+code

         ┌ Nasrullah(≒Royal Charger)
       ┌○┘
Chieftain ――┤ ┌ Roman(≒Admiral Drake)
       └○┤
         └ How(=Cherokee Rose)

         ┌ Royal Charger(≒Nasrullah)
       ┌○┤ ┌ Admiral Drake(≒Roman)
Fast Turn ――┤ └○┘
       └ Cherokee Rose(=How)

ディープインパクトに含まれる Lady Rebecca は、Chieftain の半妹であり、なおかつ Fast Turn と配合構成が似ています。

           ┌ Turn-to
         ┌○┘
       ┌○┘
Lady Rebeca ―┤
       └○┐
         └ How(=Cherokee Rose)

       ┌ Turn-to
Fast Turn ――┤
       └ Cherokee Rose(=How)

要するに、Lost Code が抱える相似な血のクロスを、父ディープインパクトが継続していることになります。

ディープインパクトの配合において、Lady Rebecca の構成要素を強化することが大事ではないかということを、5月26日のエントリー「ディープインパクトとアメリカ血統」で述べました。そうした視点から見てぴったりの配合だと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/post-741f.html

2代母の父 Flying Paster が大物感に欠ける二流血脈なので、ちょっと信頼しきれず「栗山ノート」には含められなかったのですが、稽古で動いているということはいいものを持っているのでしょう。日曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)に出走する予定です。

2010年11月27日 (土)

ジャパンCの外国招待馬

節目の30回目ということで、今年はJRAが頑張って出走馬を8頭も集めてきました。03年(9頭)以来の大量出走です。

1頭ずつ簡単にコメントしてみたいと思います。

■1番 ヴォワライシ Voila Ici(伊・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/voila+ici
父 Daylami はBCターフ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英チャンピオンSをはじめG1を勝ちまくった名馬ですが、種牡馬としては期待外れの成績です。昨年のジャパンC4着馬コンデュイットは、父が Daylami の半弟 Dalakhani、母の父が Sadler's Wells ですから、Daylami×Barathea(その父 Sadler's Wells)の本馬と配合構成がよく似ています。コンデュイットでさえ4着ですから、それよりはるかに実績が劣るこの馬では……。

■3番 ダンディーノ Dandino(英・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/dandino2
父 Dansili はデインヒル系の2400mタイプでは最も成功している種牡馬で、ハービンジャー(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Rail Link(凱旋門賞)などを出しています。本馬は重賞勝ちのない3歳馬ですから明らかに格下。母の父がジェネラスでは高速馬場への対応力にも疑問です。

■5番 モアズウェルズ Mores Wells(仏・牡6歳)
http://www.pedigreequery.com/mores+wells
母は芝16ハロンのクイーンズヴァーズ(英G3)の勝ち馬。これに日本では実績のない Sadler's Wells が父ですから、Shirley Heights とのニックスがあるといっても、日本の馬場に対応できるような軽快なスピードは期待できません。6歳秋ですから上がり目もないでしょう。

■9番 ティモス Timos(仏・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/timos
ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては当ブログでも何度か記してきました。本馬は2代父が Sadler's Wells、母の父が Surumu。このパターンは Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)と同じです。ただ、地元フランスでナカヤマフェスタ、ヴィウトワールピサに先着できなかったこの馬が、アウェーで逆転するという計算は成り立ちません。

■12番 ジョシュアツリー Joshua Tree(愛・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/joshua+tree3
父 Montjeu は軽快なスピードに欠けるため、日本ではサトノコクオーのように芝よりもダート向きの産駒が目立ちます。母方に Shirley Heights が入る Montjeu 産駒なので、Fame and Glory(愛ダービー、コロネーション、他)と似ています。ただ、血統的に日本向きではないので、空き巣のカナダG1を勝った程度の実力では厳しいでしょう。

■15番 フィフティープルーフ Fifty Proof(加・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/fifty+proof
父 Whiskey Wisdom は、Skip Away が勝った97年のBCクラシックに5戦全勝の成績を引っ提げて挑戦したものの4着(3位入線も降着)。このレースを最後に引退し、カナダで供用されました。サンライズプリンス(ニュージーランドT)の母メインリーは Whiskey Wisdom の全妹です。低レベルだったカナディアン国際Sで5着ですから力が足りないでしょう。

■17番 マリヌス Marinous(仏・牡4歳)
http://www.pedigreequery.com/marinous
父 Numerous はジェイドロバリーの全弟にあたるマイラー型種牡馬。母の父 Panoramic の「Rainbow Quest×Roberto」というスタミナによって中長距離への対応力を獲得しました。「ジェイドロバリー×オペラハウス」のマームードイモンが長距離を苦にしないのと同じです。Nijinsky と Blushing Groom のニックスを持つなど全体的な配合も悪くなく、凱旋門賞6着という成績も良好なので、外国招待馬のなかでは最先着する可能性が高いと思います。ただ、馬券になるかというと微妙ですね。

■18番 シリュスデゼーグル Cirrus Des Aigles(仏・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/cirrus+des+aigles
父 Even Top は英2000ギニーの2着馬。種牡馬としてはまったくの無名です。昨年はコンセイユドパリ賞(仏G2・芝2400m)を勝って臨んだ香港ヴァーズ(G1・芝2400m)で5着。今年はコンセイユドパリ賞2着のあとここに臨んできました。香港ヴァースで5着程度の実力では厳しいでしょう。日本の馬場はこなすと思いますが、決め手のない馬なので上位進出は望み薄です。

【結論】
今年の日本勢の層の厚さは過去最高レベル。それに対し、外国招待馬は頭数こそ多いもののレベルはイマイチ。苦戦必至でしょう。マリヌスが大駆けしたときに掲示板に載れるかどうか、といったところですね。

2010年10月22日 (金)

ディープインパクト産駒、今週10頭出走

10月に入ってからディープインパクト産駒の出走頭数が増えつつあります。第1週から順に3頭→5頭→7頭ときて、今週は大量10頭。

もともと産駒数が多いのですが(初年度は152頭)、秋競馬が佳境に入り、デビューする馬がグンと増えました。それに加えて、競馬に下ろしてから故障により脱落する馬をあまり目にしません。したがって未勝利戦にもどんどん出てきます。育成に携わる方々が口にするように、脚もとが丈夫なのは大きいですね。馬体のサイズがあまり大きく出ないので、四肢への負担が小さいのでしょう。

体質が丈夫でないと2歳の早い時期から活躍することはできません。2歳戦で活躍した競走馬が種牡馬として好まれるのは、早熟さのなかに「体質の強さ」という要素が含まれるからです。晩成型の種牡馬は、成長力というセールスポイントがある一方、じつは体質面に不安のあるタイプも少なくありません。無事是名馬、という格言を引き合いに出すまでもなく、競走馬は走ってナンボですから、体質に難のあるタイプは成績が上がりませんね。

今週出走するディープインパクト産駒は以下のとおり。

土曜日
 東京2R 未勝利戦  芝1400m フジハヤブサ    牡
 東京4R 新馬戦   芝1800m エアジョイント   牡
 東京9R いちょうS 芝1600m ヒラボクインパクト 牡
 京都3R 未勝利戦  芝2000m スマートロビン   牡
 京都5R 新馬戦   芝1600m ドナウブルー    牝

日曜日
 東京2R 未勝利戦  芝1600m ナイスアゲイン   牡
 東京3R 未勝利戦  芝2000m サトノペガサス   牡
 東京5R 新馬戦   芝1400m リアルインパクト  牡
 京都5R 新馬戦   芝1800m フェアーブライド  牡
 京都5R 新馬戦   芝1800m ダノンバラード   牡

半分ぐらいの馬は連対圏にあるので、うまくいけば3~4頭は勝てるかもしれません。新馬戦に出るエアジョイント、リアルインパクトあたりは評判になっています。前者は、エアシェイディとエアメサイアの4分の3弟にあたり、JRAレーシングビュアーで追い切りの映像を見ることができるのですが、首を使った柔らかみのある動きで好感が持てます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102787/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

先週のディープインパクト産駒は7頭出走して〔2・2・0・3〕と大活躍。秋が深まるにつれて本領を発揮しています。勝利数はライバルのハーツクライと14勝ずつで並んでおり、今週、ハーツクライは3頭しか出走がないので、ディープインパクトが上に出る可能性が高いですね。ただ、現時点では勝率、連対率ともハーツクライのほうが上です。

9月21日のエントリー「ハーツクライ固め打ち」のなかでこう書きました。

「2歳のこの時期は週によって成績に波があるので、調子のいい週もあれば悪い週もあります。ハーツクライとディープインパクトについては、これから毎週上がったり下がったりするでしょう。この2頭はいずれリーディングサイアーを争う種牡馬になると思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/09/post-714d.html

この2頭の角逐は、フレッシュマンサイアーの争いにとどまらず、末永く続いていきそうです。

2010年10月21日 (木)

菊花賞の穴馬

一昨年は「母の父リアルシャダイ」のフローテーション(15番人気)が2着。昨年は「父ダンスインザダーク」のスリーロールス(8番人気)とフォゲッタブル(7番人気)がワン・ツー・フィニッシュ。

血統的にみるとあまりにもひねりがなさすぎます。ですが、菊花賞に限っては、とことん素直に、ベタであることを恐れず――といった心構えで予想に臨むほうがいいですね。“カッコよくひねって綺麗に当てたい”といった邪念が入るとロクなことはありません。

去年の菊花賞はそれで失敗しました。恥を忍んで書くと、私の本命はブレイクランアウト(笑)。距離がもつわけないよ、という評価に反発するように◎を打ったのですが、結果はご存知のとおり(16着)。ダンスインザダーク丼で「やっぱり菊は血統だよなぁ」という声が飛び交うなか、徒労感を抱えて競馬場を後にしました。

過去の傾向を探ると、人気薄で突っ込んできた馬は、血統的な裏付けのあるものがほとんどです。過去10年間に7番人気以下で連対した8頭中、4頭がダンスインザダーク産駒でした。残りは、リアルシャダイ、サッカーボーイ、Sadler's Wells、ペンタイアを持つものが1頭ずつ。

人気馬とはその時点ですでに実力が証明されている馬たちです。中距離がベストでも能力の高さで長距離をこなしてしまうことがあります。一方、人気薄は、たいてい近走成績がイマイチで、3000mという距離で変わり身を見せるわけですから、それなりの適性(=血統的な裏付け)がないといけません。

今年、重い印があまり付きそうもない馬のなかで、菊花賞向きの血が入るものは以下の5頭。

コスモラピュタ(トニービンと Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104901/
ゲシュタルト(Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/
ビッグウィーク(父バゴ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100208/
ビートブラック(ブライアンズタイムと Rainbow Quest を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104746/
リリエンタール(Sadler's Wells と Monsun を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110046/

配合は考慮せず、能力・適性も度外視で並べています。もし荒れるとしたらこのあたりが突っ込んでくるケースでしょうか。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!