2024年4月

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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

展望

2011年6月11日 (土)

水曜日の栗東坂路1番時計ストリートハンター

早いもので来週から2歳戦が始まります。2歳馬の調教もだんだん熱を帯びてきました。今週水曜日の栗東坂路1番時計は角居勝彦厩舎のストリートハンター。父 Street Sense の持ち込み馬で、馬主はサンデーレーシングです。

netkeiba の5代血統表が間違っているので(2代母の血統内容)、父母それぞれの血統表を示します。
http://www.pedigreequery.com/street+sense
http://www.pedigreequery.com/quick+little+miss

Street Sense の子、というと軽い驚きがあります。Street Sense は日本でいうところのウオッカ世代で、ついこの前まで走っていたような気がします。同馬は史上初めてブリーダーズCジュヴェナイルとケンタッキーダービーをダブルで制した馬です。

ケンタッキーダービーは楽勝。その勝ちっぷりと堂々たるクラシック血統を見て、思わず旅行代理店に電話を掛けました。そして、ニューヨーク行きのチケットとホテルを押さえました。三冠の最終関門ベルモントSを観戦するためです。Street Sense は三冠を達成するだろう、Affirmed 以来久々の米三冠馬誕生の瞬間はぜひライブで見なければ、というわけです。

ところが、二冠目のプリークネスSでアッサリと2着に敗れ、三冠目のベルモントSは回避。豪快にハシゴを外されました。ベルモントSは仕方なく観に行きましたが、出発前にあれほどテンションが下がった旅は後にも先にもありません。

今年の2歳馬が初年度産駒です。2歳の早い時期に短いところでバリバリ走るような血統ではないので、1番時計はそのまま素質の高さと見ていいと思います。母クイックリトルミスはハリウッドスターレットS(G1・ダート8.5f)の2着馬。構成している血は Freud(Giant's Causeway の全弟)、Unbridled、General Assembly ですからパワー型です。

ストリートハンター自身には Beautillion≒Bramalea 6×6がありますが、それよりもおもしろいのが Shamardal(仏ダービー、仏2000ギニー、セントジェームズパレスS、デューハーストS)と配合構成が酷似していること。
http://www.pedigreequery.com/shamardal

             ┌ Street Cry(=Helsinki)
           ┌○┘
ストリートハンター ―┤ ┌ Freud(=Giant's Causeway)
           └○┘

           ┌ Giant's Causeway(=Freud)
Shamardal ――――――┤
           └ Helsinki(=Street Cry)

デビュー戦はダート1200mを予定しています。目標は全日本2歳優駿でしょうか。芝で緩急のきくタイプではありませんが、自分のペースで走れれば相当な破壊力がありそうです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月28日 (土)

道悪ダービーのキーポイントは位置取りと馬体重

ロジユニヴァースが勝った2年前の日本ダービーは、レースが終わったあと、某騎手が「こんなもん競馬じゃねぇ」とつぶやいたほどの酷い馬場でした。

現在の東京競馬場は、まだそれほどの量は降っていませんが、予報によれば土曜日は終日雨で、日曜日も雨。時間が経つにつれ雨量が増えていくようなので、2年前と同じく不良馬場になるものと思われます。

不良馬場といっても程度がありますし、内が伸びるのか外が伸びるのか、レース直前にならないと分かりません。力関係がある程度反映されるような馬場であればまだいいのですが、それがまったく関係なくなる極悪馬場になってしまうと手に負えません。何が突っ込んでくるのか神のみぞ知る、です。今週のWIN5は相当な大穴が出そうな予感がします。

ロジユニヴァースが勝ったダービーから得られる教訓は、“前に行った馬が有利”ということです。最初の5ハロンは59秒9。ジョーカプチーノが飛び出したので2番手以下は61秒ぐらいと考えても、2分33秒7という走破時計からすれば遅いペースではありません。しかし、結果は3番手追走のロジユニヴァースが勝ち、2番手追走のリーチザクラウンが2着、5番手追走のアントニオバローズが3着。前につけた馬同士の決着となりました。中団以下につけた馬はナカヤマフェスタの4着が最高着順です。あれだけ馬場が悪化すると、前が止まらないというよりも後ろから差してこれなくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=y37b0nD1Sr4

1~3着馬にはもうひとつ共通点があります。いずれも“500キロを超える大型馬であること”です。1着ロジユニヴァースは506キロ。2着リーチザクラウンは516キロ。3着アントニオバローズは512キロ。極悪馬場をこなすには恵まれた馬格から繰り出すパワーが必要ということでしょう。

結論は『前に行ける500キロ以上の大型馬を狙え!』。切れる脚など必要ありません。求められるのは粘り強さです。フットワークがピッチ走法ならなおいいでしょう。前に行くか行かないかは騎手の心理傾向を読む必要があります。これまで中団から競馬をしていた馬でも、騎手のひらめきによって思い切った戦法をとることも考えられます。この点は注意が必要です。

ウマニティ編集長・岡田大さんのコラム「予想のメキキ」のダービー編に、栗山求を取り上げていただきました。よろしければご覧くださいませ。
http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=2004

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年5月21日 (土)

オークスは実績馬有利

東京競馬場の芝は、昔と比べてクッションが良くなり、速い時計が出るようになっています。言い方を換えればイージーな馬場になっているので、走っていてもあまりスタミナを消耗しません。ですから、距離に不安のある馬でも2400mをこなすケースが増えました。

一方、桜花賞は、06年暮れに完了した馬場改修工事により、昔と比べて底力とスタミナを要するレースとなりました。スタート地点が移動し、直線が長くなった影響でマギレが少なくなりました。

つまり、2400mのオークスはスタミナの重要性が薄れ、1600mの桜花賞はスタミナが重んじられるようになったため、それぞれのレースをこなすための適性が近くなり、その結果、桜花賞とオークスで連続好走するケースが増えました。

     桜花賞        オークス
 07年 ①ダイワスカーレット 不出走
     ②ウオッカ      不出走(ダービー①)
 08年 ①レジネッタ     ③
     ②エフティマイア   ②
 09年 ①ブエナビスタ    ①
     ②レッドディザイア  ②
 10年 ①アパパネ      ①
     ②オウケンサクラ   ⑤

07年以降の桜花賞で連対した馬は、必ずどちらかはオークス(とダービー)で連対しています。09年は桜花賞の1、2着馬がそのままオークスでも1、2着となりました。両方消えたことはありません。

その伝でいくと、今年のオークスは、マルセリーナとホエールキャプチャの少なくともどちらかは連対することになります。近年の出走馬の大半は「2400mはベストじゃないけどこなせる」タイプなので、そうした馬同士の戦いになれば、結局、地力に勝る実績馬が強いというわけです。

かつてオークスといえば未知の長距離砲を探し出して大穴を狙うレースでした。80年代は二桁人気の伏兵が4頭も勝ちました(ケイキロク、ノアノハコブネ、コスモドリーム、ライトカラー)。85年のノアノハコブネなどはじつに28頭中21番人気。良馬場にもかかわらず最後の3ハロンが39秒8(13秒5-13秒1-13秒2)という壮絶なレースで、先に行った馬はヘロヘロのヨレヨレ。脚が上がったところを後方待機のノアノハコブネが突き抜けました。騎手は音無秀孝。昨年のリーディングトレーナーです。
http://www.youtube.com/watch?v=jGnJ2ITFrRQ

最近は血統的なロマンを羽ばたかせる余地はほとんどなく、桜花賞で好走した実績馬から手堅く獲るレースとなっています。今年はスローペースが予想されるので決め手のある馬が有利でしょう。穴が突っ込んでくるとしたら距離ロスなくインコースを回れる好位差しでしょうか。

2011年4月23日 (土)

『netkeiba.com』リニューアル版で予想開始

都内ではすでに雨が落ちてきました。天気予報によると土曜日はほぼ一日雨。開幕週とはいえ芝への影響は避けられません。そして、日曜日は晴れ。東京競馬場におけるこのパターンは、これまで何度も繰り返されたように、内が伸びて外が伸びないというバイアスが発生します。インコースから馬場が乾いていくからです。馬場コンディションは生き物ですから、実際にそうなるかどうかは競馬を見てみないと分かりませんが、これまでの傾向から考えるとそうなる可能性が高いと思います。

周知のとおり、東京芝2000mはスタートして間もなく左カーブとなるため、外枠の馬は大きな距離ロスを強いられます。インが伸びる馬場コンディションに加えてこのコース形態ですから、外の馬は二重の不利を被ることになります。今回はある程度前に行ける内枠の馬を中心に馬券を組み立てるべきでしょう。わたし自身、木曜日に発表された枠順を見て、予想の組み直しを余儀なくされました。

内枠の馬が有利ではありますが、出遅れ癖のある馬は注意したほうがいいですね。このコースは道中のポジションが大事なので、最初のコーナーでいい位置を取るべく外枠の馬がどんどん被せてきます。内枠で出遅れると最後方近くまで下がる危険性があり、そこから盛り返すには距離損覚悟で外を回すしかありません。こうなれば勝機はないでしょう。荒れそうな予感がします。

今週から『netkeiba.com』リニューアル版に予想を提供することになりました。G1などの注目レースは別として、従来提供しているところと予想が被らないようにレースを選んでいきたいと考えています。
http://prev.www.netkeiba.com/info/

2011年4月 9日 (土)

春の雨は穴馬券の宝庫

春は雨が降りやすいので道悪を得意とする種牡馬の出番です。昨年も雨が降るたびにオペラハウス祭りやキングカメハメハ祭りといった現象が起きました。じっさい、この2頭は渋った馬場を得意としています。馬場状態別の連対率は以下のとおり。

          良・稍重   重・不良
オペラハウス    15.9%  21.7%
キングカメハメハ  20.5%  22.5%

どちらも馬場が悪化するにしたがって連対率が上昇します。とくにオペラハウスの伸び率は素晴らしいですね。

金曜日のお昼ごろから土曜日にかけて、阪神地方にはしっかりと雨が降りました。土曜日は道悪確実でしょう。阪神芝にオペラハウス産駒が出走しているかどうかチェックしてみると、第10Rの大阪-ハンブルクC(OP・芝2500m)にブラストダッシュが出ていました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100139/

この馬は500万下を勝ち上がったときに、不良馬場で後続を6馬身引き離しました。道悪は鬼です。問題はこのメンバー相手に能力が通用するかどうか。ハンデ戦ですから勝ち負けになってもおかしくないと思います。

日曜日の午後、桜花賞のころには馬場コンディションもだいぶ回復しているでしょう。ただし、パンパンの良馬場は望めません。ヨーロッパ由来の重厚なスタミナや、アメリカ由来のパワーを備えた馬は人気薄でも怖いですね。

2011年4月 8日 (金)

今年のニュージーランドTは本番と直結しそう

スポーツ新聞を開けば桜花賞の話題で賑わっていますが、土曜阪神の最終レース、中山から場所を移して行われるニュージーランドT(G2・芝1600m)も今週の目玉レースです。

関西で行われることが関係しているのか、メンバー構成が近年にないほどの素晴らしさです。朝日杯1、2着のグランプリボス、リアルインパクトを筆頭に、ディープサウンド、ダノンシャーク、スギノエンデバー、ドナウブルー、キョウエイバサラ、ラトルスネーク、リキサンマックス……。これはもうNHKマイルCの前哨戦ではなく「日本版2000ギニー」といいたくなるほどの豪華メンバーです。ディープインパクト産駒が4頭出走します。

中山芝1600mは、外枠に入った時点で諦めムードが漂うほど、内外の枠に関してバイアスがあります。馬券を買う側にとってはそれがおもしろいわけですが、走らせる側にとっては厄介だと思います。しばしば実力以外のものが勝敗を分けるコースです。一方、阪神芝1600mは、まぎれが少なく実力がはっきり出るので、能力検定の場としてふさわしいといえるでしょう。

例年、ニュージーランドTとNHKマイルCは直結しませんが、今年はリンクする可能性が高いのでは、と思います。

2011年2月19日 (土)

コース改修後の東京ダ1600m

昨年秋、東京ダート1600mにコースレイアウトの変更がありました。それまでは向正面右奥のスタート地点から1ハロンほど走ると、2コーナーを巻くように緩やかな左カーブがありました。新しいコースではゲートが奥に移動したため、そのカーブが無くなり、3コーナーまで一直線に走れるようになりました。

そのせいなのか、昨年の4回東京開催以降、東京ダ1600mの枠別連対率に変化が見られます。

     旧    新 
1枠  10.9%   3.9%
2枠  12.2%  12.5%
3枠  13.3%  10.7%
4枠  14.3%  13.8%
5枠  14.7%  13.3%
6枠  14.3%  15.6%
7枠  13.5%  17.4%
8枠  14.4%  17.4%

   #数字は連対率
    旧コース=03年4月~10年6月
    新コース=10年10月~

6、7、8枠と外枠の成績が伸びた一方、内枠が苦戦しています。とくに1枠は連対率3.9%という惨状。緩いとはいえ最初のコーナーが消滅したことで、外枠の馬は距離ロスが減ったというメリットがあります。外枠の馬が前に付けられるようになったことで、内枠の馬が窮屈なポジションに押し込められるようになった、ということなのかもしれません。ある程度先に行ける馬なら枠順による有利不利はないと思います。

脚質を見てみると、こちらにも変化が見られます。

     旧    新 
逃げ  26.6%  19.6%
先行  23.0%  25.3%
中団  11.9%  10.2%
後方   4.9%   5.8%

逃げが減って先行抜け出した増えました。中団、後方は大きく変わっていません。先行争いが激化して逃げ馬が残りづらくなっている、ということなのでしょうか。逃げ争いを見つつ好位につけた馬が勝つ、というイメージです。重・不良馬場では前に行った馬が止まらなくなるので、後ろからは届きづらくなります。

種牡馬に関してはまだサンプルが少ないですね。序盤のコースレイアウト変更程度で成績に影響があるのかと言われればそのとおりですが、一応、現時点で連対率の上昇が目立っているのは以下の4頭。

            旧    新 
プリサイスエンド   20.0%  44.4%
ブライアンズタイム  18.9%  35.3%
フジキセキ      17.7%  30.0%
ワイルドラッシュ   16.1%  28.6%

このデータを考慮しつつ、土曜9RヒヤシンスS、日曜11RフェブラリーS、日曜12R東京ウインタープレミアムの予想を組み立てたいところです。勝ちタイムが速くなるだろうと思われるので、とにかく持ち時計重視です。時計の裏付けのない馬は危険です。

2011年2月12日 (土)

トーセンレーヴが土曜京都でデビュー

うっかり紹介し忘れていたのですが、『競馬王』3月号が発売になりました。巻頭特集は「社台系馬券論」。社台対策なくして馬券もPOGも勝てない時代だけに、社台グループにまつわる各種データを手際よく整理した今回の企画は興味深いものがあります。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

日曜日の東京メインレースは共同通信杯(G3・芝1800m)。『競馬王』で毎月担当している「重賞スクランブル」というコーナーの、共同通信杯の項を転載してみます。血統面を中心に好走パターンを抽出するという企画です。

「クラシック登竜門だけに、実績を伴った評判馬が出走しれくれば、そう簡単には崩れない。過去5年間を振り返ると、サダムイダテンが飛んだ08年を除けば、馬連配当は2000円未満に収まっている。昨年は1、2、3番人気馬が4着以下を2馬身離して写真判定の大接戦を演じた。奇をてらわず素直に人気馬から入るのがセオリー。
 血脈的に注目したいのはミスタープロスペクター。過去5年間の連対馬10頭のうち、半数以上の6頭がこの血を持っている。サダムパテック、ダノンバラード、ベルシャザールなどのトップクラスが出走してくれば、当然中心的存在となる。とくにベルシャザールは過去5年間で3頭の連対馬を出している松田国英厩舎の所属馬なので怖い。このレースで好走させるノウハウを持っているはず。
 ディープインパクト産駒は東京コースで実績を残しているので要注意。あとはアグネスタキオン、キングカメハメハの両産駒。」

原稿執筆は1月中旬なので何が出てくるか分からないまま書いています。内容を要約すると、人気のダノンバラードとベルシャザールはそれなりに信頼できて、ディープインパクト産駒は基本的に悪くないですよ、ということ。あくまでも傾向なので、もちろんこれが最終結論ではありません。

今年は降雪の影響で予想が難しくなりました。降雪や凍結のおそれがあるときは、芝コースにシートが被せられるといいますが、それがどれぐらいの面積なのか、いつから被せていていつから取り外すのか、そういったことが分からない以上、土曜日の競馬を見てから馬場状態を判断するしかないですね。内伸びなのか外伸びなのかも把握しておきたいところです。現時点では何とも言えません。

土曜日の京都競馬で注目したいのは、今シーズンのPOGで1番人気率が最も高かったであろうトーセンレーヴ。第6Rの新馬戦(芝1800m)で初陣を迎えます。父はディープインパクト、母はビワハイジ。つまり年度代表馬ブエナビスタの半弟です。私も赤本で指名し、「栗山ノート」でも取り上げました。昨年の10月以降、爪の異状で二度デビューが延期されたので、ようやくという感じですね。今回のレースはほかにも好配合馬が揃っており、レベルが高いのではないかと感じます。2月7日のエントリーに記したように、京都芝1800mはディープインパクト産駒が得意とする舞台。連対率56.5%を誇ります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103273/

2011年2月 5日 (土)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(後)

ニホンピロウイナーが凡百のマイラーとは異なり、重厚感のある馬体と抜群の底力を持ち合わせていたのは、昨日のエントリーで説明した“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスの効果でしょう。

Dahlia(キングジョージ2連覇などG1を10勝)、Oh So Sharp(英オークス、英1000ギニー、英セントレジャー)、Fall Aspen(大繁殖牝馬)をはじめ、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせが配合の骨格を形成している名馬は数えきれません。

Dahlia(Aureole≒Honeys Alibi 3×2)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Oh So Sharp(Tudor Minstrel≒Flower Bowl≒Swaps 5×3・3)
http://www.pedigreequery.com/oh+so+sharp
Fall Aspen(Imitation≒Swaps 2×2)
http://www.pedigreequery.com/fall+aspen

父 Redoute's Choice の父デインヒルは、Flower Bowl という名牝の血を抱えています。この馬は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせによって誕生しました。

          ┌ Hyperion
        ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ――┤ ┌○┘
        └○┘

オースミドライバーとクリアンサスは、かなり大ざっぱな表記ですが、Flower Bowl≒Abernant≒チャイナロックとなります。クリアンサスにはさらに Flower Bowl と相似な血の関係にある Aureole も入ります。

Redoute's Choice は過去2回、短距離王国オーストラリアでリーディングサイアーとなっており、その系統の発展が注目されています。スピード面の心配はほとんどなく、あとは底力の充実が課題です。カツラドライバーとフラワーパークは、Hyperion と Son-in-Law の影響を色濃く受けたニホンピロウイナーと、Hyperion 4×3(Lady Angela 3×2)のノーザンテーストを抱え、そうしたベクトルに沿った配合構成となっています。軽さに傾くことなく底力を湛えた非常にいい配合だと思います。

ちなみに、クリアンサスは某POGで指名しました。父 Redoute's Choice、母フラワーパークという血統を見るかぎり短距離馬でしょう。マイルに色気を見せているうちは中途半端なままだと思いますが、1200~1400mならかなりやれると思います。土曜東京9Rの春菜賞(3歳500万下・芝1400m)は、適距離に戻るのでちょっとおもしろいと思います。

                *

1月28日のエントリー「トウショウボーイ系最後の競走馬」で、スベスベヨークンという競走馬を取り上げました。昨日、同馬の馬主である鍵谷篤宏様からご投稿をいただきました。下記のURLをご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-3793.html

現2歳の牡馬は「フワフワヨークン」の名で競走馬登録が完了。現3歳のスベスベヨークンは2月20日のセントポーリア賞(3歳500万下・東京芝1800m)に出走するとのことです。

2011年2月 4日 (金)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前)

先々週の新馬戦で「やられた!」と思ったのは、土曜小倉4R(芝1200m)を勝ったオースミドライバー(13番人気)です。

新馬戦は仕上がり具合が大きな比重を占めるので、いくら配合が良くても稽古で動いていない馬はダメ。オースミドライバーは配合的には申し分なかったものの、稽古内容を見ると厳しそうだったので、印を打つのを躊躇しました。だから単勝9790円という大穴になったわけですが……。実戦タイプなのでしょう。大外から鮮やかに差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=bogESSaRsqM

新潟2歳S(G3)を勝ち、桜花賞(G1)とオークス(G1)でそれぞれ2着となったエフティマイアの半弟。父はオーストラリアからシャトルでやってきた快速種牡馬スニッツェル。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103116/

母が「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」で、父が Redoute's Choice 系という配合は、フラワーパーク(スプリンターズS、高松宮記念)の子で今週土曜の春菜賞(3歳500万下・芝1400m)に出走するクリアンサスと同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102710/

             ┌ Redoute's Choice
           ┌○┘
オースミドライバー ―┤ ┌ ニホンピロウイナー
           └○┤ ┌ ノーザンテースト
             └○┘

           ┌ Redoute's Choice
クリアンサス ――――┤ ┌ ニホンピロウイナー
           └○┤ ┌ ノーザンテースト
             └○┘

母の父ニホンピロウイナーは80年代を代表する名マイラーで、その底力の源泉は、Hyperion と Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)の組み合わせから成る“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980106362/

          ┌ Hyperion
        ┌○┘
Abernant ―――┤ ┌ Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)
        └○┘

          ┌ Hyperion
        ┌○┘
チャイナロック ┤ ┌ Rustom Pasha(その父 Son-in-Law)
        └○┘

Hyperion は昨年12月9、10、29、30、31日のエントリーで触れたように文句なしの名血。一方、Son-in-Law は今世紀前半のイギリスを代表する名ステイヤー血統。このふたつの血の組み合わせは相性がよく、これらを近い世代にペアで持つ馬同士の組み合わせは効果抜群です。前出の Abernant、チャイナロック以外にも、Tudor Minstrel、Aureole、Flower Bowl、Swaps、Honeys Alibi、Cover Up、Hypericum、Imitation、アイアンエイジ、テューダーペリオッドなど、この仲間はたくさんいます。

Hyperion と Son-in-Law の組み合わせがもたらす優れた効果について、初めて言及したのは笠雄二郎氏です。(続く)

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!