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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年10月

2010年10月21日 (木)

菊花賞の穴馬

一昨年は「母の父リアルシャダイ」のフローテーション(15番人気)が2着。昨年は「父ダンスインザダーク」のスリーロールス(8番人気)とフォゲッタブル(7番人気)がワン・ツー・フィニッシュ。

血統的にみるとあまりにもひねりがなさすぎます。ですが、菊花賞に限っては、とことん素直に、ベタであることを恐れず――といった心構えで予想に臨むほうがいいですね。“カッコよくひねって綺麗に当てたい”といった邪念が入るとロクなことはありません。

去年の菊花賞はそれで失敗しました。恥を忍んで書くと、私の本命はブレイクランアウト(笑)。距離がもつわけないよ、という評価に反発するように◎を打ったのですが、結果はご存知のとおり(16着)。ダンスインザダーク丼で「やっぱり菊は血統だよなぁ」という声が飛び交うなか、徒労感を抱えて競馬場を後にしました。

過去の傾向を探ると、人気薄で突っ込んできた馬は、血統的な裏付けのあるものがほとんどです。過去10年間に7番人気以下で連対した8頭中、4頭がダンスインザダーク産駒でした。残りは、リアルシャダイ、サッカーボーイ、Sadler's Wells、ペンタイアを持つものが1頭ずつ。

人気馬とはその時点ですでに実力が証明されている馬たちです。中距離がベストでも能力の高さで長距離をこなしてしまうことがあります。一方、人気薄は、たいてい近走成績がイマイチで、3000mという距離で変わり身を見せるわけですから、それなりの適性(=血統的な裏付け)がないといけません。

今年、重い印があまり付きそうもない馬のなかで、菊花賞向きの血が入るものは以下の5頭。

コスモラピュタ(トニービンと Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104901/
ゲシュタルト(Sadler's Wells を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/
ビッグウィーク(父バゴ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100208/
ビートブラック(ブライアンズタイムと Rainbow Quest を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104746/
リリエンタール(Sadler's Wells と Monsun を持つ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110046/

配合は考慮せず、能力・適性も度外視で並べています。もし荒れるとしたらこのあたりが突っ込んでくるケースでしょうか。

2010年10月20日 (水)

アラブの血を持つ2歳馬ゴーディー、本日大井で出走

15年前にJRAのアラブ系競走が廃止されたあと、馬資源の減少から地方競馬でも徐々に廃止するところが増え、現在ではアラブ系限定の競走は存在しません。

かつては、アングロアラブのトップクラスがサラブレッドを負かすことも珍しくありませんでした。中央競馬ではセイユウがセントライト記念に勝ち、南関東ではイナリトウザイ(東京盃)、ヨシノスカレー(報知グランプリC)、ホーエイヒロボーイ(報知グランプリC)、コスモノーブル(報知グランプリC)、トチノミネフジ(報知グランプリC)がサラブレッドを破って重賞を制覇しました。
http://ahonoora.web.fc2.com/seiyu.html
http://ahonoora.web.fc2.com/inari_touzai.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982501096/

ですから、アラブ系競走が廃止されたといっても、サラブレッドと同等のレベルにあるトップクラスのアングロアラブを、生産者が見捨てたわけではありません。名牝クラスの馬はしっかり繁殖入りし、サラブレッドとの間に産駒を送り出しています。当ブログでもこの話題は一度取り上げました(09年12月9日のエントリー「アラブの名牝の子トライバルシンが新馬戦5着」)。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/post-6670.html

本日、大井競馬9Rのくまたか特別(19時40分発走)に、ゴーディーという2歳馬が出走します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008200010/

父は1世代16頭の産駒を残して乗馬に転身したプレシャスカフェ。この馬はCBC賞(G2)とシルクロードS(G3)を勝ったサラブレッドです。一方、母イケノエメラルドは、アラブダービー(笠松)、アラブ王冠(名古屋)、アラブギフ大賞典(笠松)など60戦27勝の成績を残したアングロアラブ。母の父コノミテイオーは楠賞全日本アラブ優駿(園田)の勝ち馬です。

母イケノエメラルドはスカレー4×3。スカレーは70年代から80年代にかけて活躍したアラブの名種牡馬ですが、種牡馬生活の前半はタガミホマレに、後半はスマノダイドウとキタノトウザイ(父スカレー、母イナリトウザイ)の二強体制に阻まれ、一度もリーディングサイアーの座に就けませんでした(78年から86年まで9年連続2~3位)。しかし、優れた資質を伝える種牡馬であることは間違いなく、全日本アラブ大賞典、アラブーダービー、アラブ王冠賞などを勝ったオオヒエイは「スカレー2×2」です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986501490/

アラブの血を持つ馬(「サラ系」に分類)は、地方競馬においてはさほど珍しい存在ではありません。くまたか特別の出走馬にはもう1頭、エースキッドという馬がアングロアラブの母を持っています。しかし、ゴーディーについて特筆したいのはその実力。1番人気に推された前走の準重賞ゴールドジュニアー(OP・ダ1400m)では、不利な大外枠からロケットスタートでハナに立ち、2着に逃げ粘りました。いずれ重賞に出走してくるでしょう。

今回はメンバー的に楽になるとはいえ、ダービー馬サニーブライアンの半弟で1戦1勝のリアリゼーション(父ファンタスティックライト)などは、明らかに格下ではありますが不気味な存在です。面白いレースになりそうです。

2010年10月19日 (火)

府中牝馬Sはテイエムオーロラ

いまの府中はインコースが止まらないので、スローで逃げて直線突き放すという競馬がハマりました。予想は◎テイエムオーロラ(4番人気)だったので単勝はクリーンヒット(ただし14番人気の2着馬セラフィックロンプにはシルシが回らず……)。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文は以下のとおりです。

「◎テイエムオーロラは『マンハッタンカフェ×トニービン』という組み合わせ。母方にカーリアンが入るマンハッタンカフェ産駒は成功しており、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ガルボ、マッハヴェロシティといった活躍馬が出ている。本馬はこのニックスを持つ。過去の連対馬を分析すると、サンデーサイレンスあるいはトニービンを持った馬が強いという傾向が見られる。本馬はその両方を持っているのでレース適性は高いだろう。今年は実績馬にそれぞれ死角がある。準OPを勝ったばかりのこの馬にもチャンスはある。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106407/

予想文には書けませんでしたが、母ペリーヌの全弟に京都新聞杯(G2)と京阪杯(G3)を勝ったテンザンセイザがいます。

マンハッタンカフェ産駒は、成功パターンに当てはまる配合馬が素直に走る傾向があるので、POGにおいては最も走る馬を指名しやすい種牡馬だと思います。手前味噌になりますが、昨年の「栗山ノート」で指名したマンハッタンカフェ産駒5頭から、ゲシュタルト(京都新聞杯)、ハンソデバンド(共同通信杯)、サンディエゴシチー(札幌2歳S)と3頭の重賞ウィナーが誕生しました。今年もすでにカフェラピード、アッパーイースト、ラヴィアンクレールと3頭が勝ち上がっています。

「母方に Caerleon が入るマンハッタンカフェ産駒」という成功パターンは、おそらく当ブログの読者の方々にとっては聞き飽きたものでしょう。

配合について詳しくお知りになりたい方は、当ブログに連載した「マンハッタンカフェ整理整頓(1)~(5)」をご参照ください。テイエムオーロラが持つニックス(母方に Caerleon が入る)は連載3回目に記してあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-ec5e.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-f22f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-889f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-fb5f.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-6154.html

2010年10月18日 (月)

アパパネ、牝馬三冠達成

アパパネには過去一度も◎を打ったことがなく、今回も▲という評価。したがって今年の3歳牝馬路線の予想に関しては非常に寒いものがありました……(笑)。これは負け惜しみですが、自分をごまかして◎を打とうという気持ちはまったくないので、これはこれでよかったと思います。

母ソルティビッドは一本調子の早熟早枯れスプリンターで、それを裏付けるように Salt Lake の子ですから、娘のアパパネについては早い段階から距離が延びてどうか、成長力がどうかという懸念を抱いていました。オークスで距離不安を一蹴し、そして今回、成長力の不安を吹き飛ばしました。

新馬戦が452キロで今回は490キロ。じつに38キロの馬体増です。「成長力の不安」どころか抜群の成長力ですね。馬体の成長という観点でよく引き合いに出されるテンポイントは、2歳夏のデビュー戦が456キロ、5歳1月の最後のレースは490キロで、その差34キロですから、3歳秋のアパパネはすでにこれを超えています。

あくまでも私個人の感じ方ですが、血統から受けるイメージと、馬の実像がこれほど重ならない馬は、少なくとも最近のG1レベルでは記憶にありません。瞬発力、成長力、底力、距離の万能性など、血統表からその源となるものを見出しづらい馬です。あるいは配合という関数を超越したオグリキャップのような存在なのかな、とも思います。自分の未熟さを自覚するとともに、アパパネという馬から多くのものを学び取らなければいけないですね。ともかく、牝馬三冠おめでとうございました。

◎アプリコットフィズはレース前、ダラダラと汗を滴らせている時点で望み薄だと思いました。3着はよく頑張ったほうでしょう。思い返せば今年の牝馬三冠はすべてこの馬に◎を打ちました。『ウマニティ』の秋華賞予想には3連単マルチの買い目もあったので、12550円の配当が引っ掛かったのですが、イマイチ嬉しさは湧かず……。

2010年10月17日 (日)

土曜日のレースあれこれ

■デイリー杯2歳S(G2・芝1600m)は紅一点のレーヴディソール(1番人気)が大外一閃。初戦とペースが違うせいか序盤にモタつくシーンもありましたが、アグネスタキオン産駒だけあってエンジンが掛かると切れますね。これでデイリー杯は同産駒が4年連続で連対したことになります。京都の外回りコースは切れ味が活きる舞台なのでタキオンの子が強いのは偶然ではありません。レーヴディソールの上がり3ハロンは33秒7でした。

過去3年の連対馬は脚もとが弱いという共通点があります。ホッコータキオンは屈腱炎、リディルは骨折でクラシックを迎える前に長期休養に入り、いまだに復帰していません。キャプテントゥーレは皐月賞を勝ったあと骨折で1年以上休みました。脚もとの弱さはアグネスタキオン産駒の泣きどころです。無事に来年のクラシックを迎えてほしいものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103374/

■デイリー杯と並ぶ土曜日の注目レースは東京12Rの1000万下(芝1800m)。期待の対象はサンデーミューズ(1番人気)でした。その父アルカセットはジャパンCをレコード勝ちしたものの、種牡馬としてはスピード不足がたたり苦戦中。サンデーミューズは、同産駒のなかでほとんど唯一といっていい上級クラスを狙える芝馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105711/

今回は、5ハロン通過62秒1というスローペースを最後方から進み、上がり33秒0の瞬発力で突き抜けました。

「母の父サンデーサイレンス」は、日本向きとはいえない種牡馬にスピードと瞬発力を与え、日本の馬場に適応させてしまうという万能調味料のような働きがあります。ただ、サンデーミューズの高い能力を解く鍵はこれだけではないでしょう。私は「チェサプラナ≒シンコウビューティ2×2」から何らかの影響を受けているのではないかと思います。この血統構成は独特です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a010a54/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109217/

            ┌ Nijinsky
          ┌○┘
チェサプラナ ―――┤ ┌ High Top
          │ │   ┌ Forli
          └○┤ ┌○┤ ┌ Bold Ruler
            └○┘ └○┘

            ┌ Nijinsky
          ┌○┘ ┌ Forli
シンコウビューティ―┤ ┌○┤ ┌ Bold Ruler
          └○┤ └○┘
            │ ┌ High Top
            └○┘

シンコウビューティはシンコウラブリイ(マイルCSなど重賞6勝)の全妹。優秀な血統構成の多重クロスによってサンデーミューズが走ったとするなら、この牝系はアルカセットとの交配で第二、第三の活躍馬を送り出せるかもしれません。6月デビューで5戦3勝、これで準OP入りですから、重賞に姿を見せる日も近いでしょう。

■昨日のエントリーで取り上げたコウエイトライは東京ハイジャンプ(J・G2・芝3300m)で4着。決してバテてはいないのですが、4コーナーで内から張られ、大外に押し出されたのが痛かったですね。あのコースはいま伸びません。ガラ空きになったインを突いた3頭で決着しました。

■京都3Rの2歳未勝利戦(芝1600m)は、POGでも指名した期待のダノンハロー(1番人気)が9着惨敗。前に行けなかったのは初戦と同じですが、勝負どころの反応がイマイチで、ラストも伸びず。こんな馬ではないと思うのですが……。土曜日のハーツクライ産駒は3頭が出走して〔0・0・1・2〕。率を下げています。デイリー杯2歳Sでメイショウナルトが3着となりました。

■京都9Rの堀川特別(1000万下・芝1800m)は、サンデーサイレンスと Green Desert の組み合わせを持つスイートマトルーフが勝ちました。10月16日のエントリー(オーストラリアで目に付く“母の父サンデー系”)で触れた配合パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109266/

■3戦全勝同士の Frankel と Dream Ahead の対決で注目されたデューハーストS(英G1・芝7f)は、1番人気の Frankel が完勝しました。Dream Ahead は5着。1着 Frankel、2着 Roderic O'Connor はいずれも「Galileo×デインヒル」という組み合わせ。Galileo 産駒はこのレース通算3勝目で、06年の勝ち馬 Teofilo も「Galileo×デインヒル」でした。『RACING POST.com』では「スーパースター」という単語が躍っていますね。この勝利によって、来年の英2000ギニー(G1・芝8f)における Frankel のアンティポストは軒並み2倍前後に下がり、大手のコーラルとウイリアムヒルは1.8倍(!)をつけました。レース直前ではなく半年前のオッズですからね……。ありえないぐらいの高評価です。http://www.pedigreequery.com/frankel3

2010年10月16日 (土)

障害界のサンデーサイレンス

オペラハウスといえば、テイエムオペラオーとメイショウサムソンの父として知られる名種牡馬です。Sadler's Wells 系だけあって芝の道悪を得意としていますが、もうひとつ、“障害レースに強い”というセールスポイントもあります。

Sadler's Wells 系は基本的に障害レースに高い適性があります。たとえば、Istabraq(父 Sadler's Wells)は英チャンピオンハードル3連覇、愛チャンピオンハードル4連覇など無敵を誇りました。
http://www.pedigreequery.com/istabraq

また、日本で2年間リース供用されたオールドヴィック(父 Sadler's Wells)は、現在3年連続でグランドナショナルの連対馬を出し、うち2回は優勝、今年はワンツーフィニッシュを決めました。
http://www.pedigreequery.com/old+vic

86年以降、障害レースで産駒が100走以上している種牡馬のなかで、連対率が30%を超えているのは、ノーザンテースト(35.8%)、ノーザンディクテイター(33.8%)、オペラハウス(32.2%)の3頭のみ。

この3頭を重賞勝利数で比べてみると、オペラハウス14勝、ノーザンテースト6勝、ノーザンディクテイター2勝なので、オペラハウスの圧勝です。大物が出るかどうかは種牡馬評価の大きなポイントですね。

たとえば、一昔前に障害界で一世を風靡したモガミは、連対率25.8%で上記3頭よりも劣るのですが、重賞勝利数は15勝で、これは86年以降の最高記録です。「障害のモガミ」というイメージがファンに植え付けられたのは、重賞レースでつねにモガミ産駒が上位争いをしていたことが大きいでしょう。ノーザンテーストやノーザンディクテイターにそうしたイメージはありません。

オペラハウスは通算292走で重賞14勝。一方のモガミは通算633走で重賞15勝。出走回数で倍以上の差があるのに、重賞勝利数はほぼ並んでいるのですから、オペラハウスの優秀さは明らかです。まさに“障害界のサンデーサイレンス”。平地で頭打ちになったオペラハウス産駒は、試しに障害を飛ばせてみればいいのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000d77/

土曜日の東京ハイジャンプ(J・G2・芝3300m)には、オペラハウス産駒のコウエイトライ(牝9歳)が出走します。孫のテイエムトッパズレ(牡7歳・父テイエムオペラオー)も出走します。もしコウエイトライが勝てば、オペラハウスは産駒の重賞勝利数が「15」となりモガミに並びます。すでに9歳秋ですが、長期休養後のスランプから完全に脱しているので勝ち負けになるでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001109085/

2010年10月15日 (金)

オーストラリアで目に付く“母の父サンデー系”

★トゥーラックH(豪G1・芝1600m)
 1着 More Joyous(父 More Than Ready、母の父サンデーサイレンス)★豪1000ギニー(豪G1・芝1600m)
 1着 Yosei(父 Invincible Spirit、母の父フジキセキ)

前者は10月9日、後者は13日に行われました。いずれもオーストラリアのG1。距離は芝1600mです。

先日のスプリンターズS(G1)を Ultra Fantasy が制したように、オーストラリア産馬は芝短距離において世界最強の実力を誇ります。残念ながらサンデー系はこのカテゴリーに食い込むことはできません。ただ、マイルあたりなら十分通用しますね。

More Joyous については3月10日のエントリー(「サンデーサイレンス×デインヒル」は海外向き)ですでに紹介しています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-854e.html

母 Sunday Joy はAJCオーストラリアンオークス(豪G1・芝2400m)の勝ち馬で、サンデーサイレンスが南半球で送り出した唯一のG1馬です。More Joyous 自身は現在3つのG1を制覇。父 More Than Ready といえば、日本ではダートの短距離タイプが多く、とても芝のマイルG1馬を出せるような種牡馬には見えないのですが、それを可能にする“母の父サンデー”は偉大ですね。Halo 3×3が芝向きの瞬発力と軽快さを生んでいるのでしょう。2代連続でG1を獲っているのですからもう立派な名牝系です。
http://www.pedigreequery.com/more+joyous

一方の Yosei は、シャトル種牡馬としてアイルランドとオーストラリアを往復している Invincible Spirit の子。Green Desert 系はこのところヨーロッパで勢力拡大が著しいのですが、Invincible Spirit はその中核を成す若手注目株です。

当ブログでも何度か記したと思うのですが、Green Desert は母の父が Sir Ivor なので、サンデーサイレンスとの組み合わせでは Sir Ivor≒Halo という相似な血のクロスが生じます。Green Desert とサンデーサイレンスの組み合わせは今後も要注目です。
http://www.pedigreequery.com/yosei

2010年10月14日 (木)

『競馬王』11月号発売

自宅に見本誌が届きました。馬券作戦が盛りだくさんの内容で、コラムやインタビュー記事も充実しています。私も協力させていただきました。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

昨夜は、北海道から京都へ向かう途中の望田潤さんが東京に立ち寄ったので、私を含めて4人で料理をつつき、杯を交わしながら延々とトーク。6時間ぐらいしゃべりましたか。ただ、なぜか配合や秋華賞の話はまったくなし。飲みすぎて頭が痛いです……。

2010年10月13日 (水)

ハイレベルな新馬戦

先週土曜日、京都競馬場で行われた2歳未勝利戦(芝1400m)は、3番人気のマルモセーラ(父クロフネ)が4馬身差で逃げ切りました。同馬は7月10日に阪神競馬場で行われた新馬戦(芝1400m)以来の実戦でした。

いまから考えると、この新馬戦はかなりハイレベルでしたね。勝ったエーシンジェネシスを除く17頭中、すでに7頭が勝ち上がっています。

2着マルモセーラ
3着モスカートローザ
4着アドマイヤサガス
5着モアグレイス
9着マーベラスカイザー
11着エリモミヤビ
13着アスカノバッハ

残った10頭のなかにも、見どころのある馬が3~4頭いるので、まだまだ数字の上積みがありそうです。

思い出すのはジャングルポケットが勝った新馬戦(8頭立て)。メジロベイリーやタガノテイオーなどがいたハイレベルなメンバー構成で、のちに出走馬がすべて勝ち上がりました。いうまでもないことですが新馬戦にもレベルの高低は存在します。ローレベルだった場合、たとえそこで好走しても勝ち上がるのは困難です。ハイレベルな新馬戦で好走した馬を未勝利戦で狙う、というのはいつの時代にも通用する馬券戦術でしょう。

2010年10月12日 (火)

エスポワールシチー敗れる

月曜日は所用で丸一日出かけていたため、南部杯(G1・ダ1600m)をリアルタイムで見られませんでした。帰宅後、パソコンの電源を入れ、さてどんな勝ち方をしたのかなと YouTube でレースを見てみたところ、「エ~~~~~ッ!!」。
http://www.youtube.com/watch?v=wjML0LpQBJc

エスポワールシチーの馬体重は+15キロですから、このあとのアメリカ遠征を見据えた仕上げでしょう。控える競馬をしたのも、ハナっ速いアメリカ馬への対応を想定したものだったかもしれません。すべては結果論ですが、このあたりの隙をオーロマイスターが突いて大駆けを果たしたということでしょう。馬場が速かったとはいえメイセイオペラの記録を12年ぶりに更新する1分34秒8のレコード勝ちは立派です。

オーロマイスター自身の上がり3ハロンは34秒8(!)。この馬はダ1700~1800mを走ることが多いのですが、個人的にはダ1400mがベストだと思っています。今年の根岸S(G3・ダ1400m)で見せた切れ味こそが最大の長所です。このあたりは Halo≒Sir Ivor 3×4の影響なのかなという気がします。レースの上がりは46秒9-34秒9。完全に切れ味勝負となったことでオーロマイスターの持ち味が十全に発揮されました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102102/

レースを見ていてふと04年の南部杯を思い出しました。断然人気のアドマイヤドンがユートピアの逃げ切りに屈したレースです。盛岡競馬場の直線は300mで、直線の坂は中山はもちろん東京や阪神よりも高低差がないため、先に行く馬に脚が残っていると、追いかける馬がどれほどの実力馬であってもとらえるのは容易ではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=BaXyxJFnLdQ

オーロマイスターとエスポワールシチーはゴールドアリュール産駒。そして母の父はいずれも Roberto の子。配合の大枠は似ていますね。ゴールドアリュールの初年度産駒は、今回の1、2着馬に加えてスマートファルコン(重賞10勝)がいます。大豊作の世代となりました。

余談ですが、オーロマイスターの半弟にテーオーアポロンという2歳牡馬がいます。父はハーツクライ。配合的に非常に優れていると感じて各種POG雑誌で指名しました。とくに評判馬というわけではなく、どの程度の器なのか定かではありませんが、個人的には密かに期待している馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106611/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!