2012年2月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« 2010年10月 | メイン | 2010年12月 »

2010年11月

2010年11月30日 (火)

ディープインパクト産駒の格上がり戦

11月28日のエントリー「土曜日の2歳戦いろいろ」のコメント欄に、ぎむれっと様から「ディープの仔って、なかなか2勝目あげれませんね、新馬戦でパフォーマンス見せてクラス上がると2着までのパターンが多いような気がします」というご意見を賜りました。

ジャパンCが終わったあと、府中駅近くの居酒屋で、石川ワタルさんご夫妻、宇田川淳さん、村田利之さんなど総勢十数名で宴会をしたのですが、奇遇なことにその席でも「ディープインパクト産駒って、すごく勝ってる割に2勝馬が少ないですよね、栗山さんどう思われますか」と訊かれました。

みなさんが疑問に思われていることなのだなぁと実感しました。正しい答えなのかどうかは分かりませんし、あくまでも仮説ですが、現時点における私の考えを述べたいと思います。

11月末までにディープインパクトが挙げた勝利数は33。勝ち上がりは31頭で、うち2勝馬は2頭です(ディープサウンド、ドナウブルー)。京王杯2歳S(G2)でリアルインパクトが2着となっているのでOP馬は計3頭です。

サンデーサイレンスが新種牡馬だった94年は、23頭が30勝を挙げました。2勝以上は7頭です。重賞2着馬を含めるとOP馬は計9頭。時代背景が異なることを考慮しても驚異的な数字です。

ディープインパクト産駒を見ていてちょっと異様だなぁと思うのは、新馬戦における圧倒的な強さです。長いあいだ競馬を見てきましたが、これほど新馬戦で勝ち上がる種牡馬は記憶にありません。またディープ、またまたディープ……といった感じで、そこそこ人気に推された馬ならほとんどが勝ち上がってしまうという印象です。

94年のサンデーサイレンス、2歳戦で過去最高の勝ち星(54勝)を記録した04年のサンデーサイレンス、そして今年のディープインパクトの新馬戦勝率を比較してみます。94年当時は折り返しの新馬戦があったので、それを除いた新馬初戦のみ対象です。

94年 サンデーサイレンス 21.9%
04年 サンデーサイレンス 20.4%
10年 ディープインパクト 31.3%

今年のディープインパクト産駒がどれほど新馬戦に強いかご理解いただけると思います。サンデーにめぼしいライバルがいなかった94年、全盛期を迎えた04年ですら、今年のディープインパクトには敵いません。

ディープインパクト産駒がデビュー戦に強いのは、能力の高さはもちろんですが、気のいいタイプが多く、競走に対して前向きであることが大きいと思います。それに加えて、デビューさせる各厩舎も、ディープインパクト産駒ということで多少意識が違うのか、新馬戦からキッチリ仕上げてきます。どれも高馬だけに“下手な仕上げでは出せない”という気持ちがあるのかもしれません。トーセンレーヴが万全を期してデビューを再三延期しているのはその典型でしょう。

新馬戦向きのディープインパクト産駒が、いきなり目一杯に仕上げられれば、それは強いと思います。ただ、上がり目は乏しく、馬によっては反動もあるでしょう。2戦目にもうひとつパフォーマンスが伸びないのはこのあたりに原因があるのではないかと考えています。

ですから、藤沢厩舎や角居厩舎のような、馬を作りすぎずにゆっくり仕上げる調整法が、ディープインパクト産駒には合っているのではないかと個人的には考えています。ポンポンと勝ち上がるので手が掛からないように見えて、じつは、大成させるためにはほかの種牡馬の子よりも我慢と忍耐が必要なのかもしれません。

優れた資質を持っていることは明らかだと思うので、やがてどんどんOP馬が誕生していくでしょう。

2010年11月29日 (月)

ジャパンCはローズキングダム

異様に長引いた審議は、松田博資調教師が裁決室に呼ばれたことで、「これは……」という空気になりました。その後しばらく経って裁決室の扉が開き、職員が出てきて着順掲示板の数字に修正が加えられました。

取材記者に囲まれたブエナビスタの松田博資調教師は、顔を紅潮させながら「だいたい今まででも、降着なんて、あんなんでなるわけがない!」。裁決委員に対しては「こんなくだらない奴さ、もう辞めさせりゃいいんだよ、ホンマに!」と目を怒らせながらブチまけました。

一方、繰り上げ1着となったローズキングダムの橋口弘次郎調教師は「ジャッジが遅すぎる。自信がないんじゃないの? たしかに勝ちにはなったけど複雑ですね。後味が悪いわ」と、ニコリともせず、まるで降着になった側のような暗いトーンで語りました。

降着の是非についてはいろいろ見方はあるとは思いますが、個人的には妥当だったかなと思います。
http://jra.jp/JRADB/asx/2010/05/201005050810p.asx

2着に降着になったとはいえ、○ブエナビスタ(1番人気)はスタートを切ってすぐ前の馬に接触して落馬寸前の不利があり、それを立て直して差し切ったわけですから強いの一語です。思い起こせば父スペシャルウィークも、99年の有馬記念でハナ差2着に負けていたにもかかわらず、騎手が勝ったと思い込んでウイニングランをしてしまったことがあります。こんなところで父娘が似てしまうとは……。
http://www.youtube.com/watch?v=FPhyyAN5ppE
http://www.youtube.com/watch?v=LcAX0YkPDA4

繰り上がり優勝を果たした△ローズキングダム(4番人気)は、正直、こんなに強い馬だとは思いませんでした。ちょっと見くびっていましたね。キングカメハメハ産駒はやはり東京コースで信頼できます。3歳馬のジャパンC勝利は01年のジャングルポケット以来9年ぶりです。

3着の▲ヴィクトワールピサ(8番人気)は完全に人気の盲点となっていました。ギュイヨン騎手は枠順の利を活かした最高の乗り方をしたと思います(ゴール前で粗相はありましたが)。角居勝彦調教師は「レースの後、ジョッキーからは若干距離が長いと言われました。このあとはオーナーと相談になりますが、距離が長いというならドバイを選択肢に入れて考えたいと思います」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っているので、有馬記念には出ない可能性も……。

◎ナカヤマフェスタ(2番人気)は14着。凱旋門賞の激走のダメージが尾を引いていたということでしょう。パドックでは冬毛が目立ち、前走ほどの威圧感が感じられませんでした。先週咳をしていたという報道があったのですが、あるいはそのあたりの影響もあったのかもしれません。

東京競馬場ではお昼休みに七冠馬シンボリルドルフがお目見えしました。とても29歳とは思えない若々しい馬体。シンザンの長寿記録(35歳3ヵ月11日)を抜けるのではないでしょうか。85年のジャパンCは私も競馬場で観戦していました。あれから25年。同じ場所で再会できて感激しました。

2010年11月28日 (日)

土曜日の2歳戦いろいろ

■京都2歳S(OP・芝2000m)は伏兵マーベラスカイザー(8番人気)が競り勝ちました。前々走の札幌2歳S(G3)は大外回しの距離損+4コーナーの不利があり、前走の萩S(OP)では3着争いに絡んでいたので、そこそこの力はあると思っていましたが、このメンバーに入って勝てる馬とは思っていませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100961/

2コーナーあたりから出入りの激しいレースとなり、各馬の動きを見ていると、ラップに表れない細かな流れの変化がいくつかあったように思います。どの馬もスムーズさを欠く不思議なレースでした。それだけにキャリアの浅い馬には厳しく、マーベラスカイザーの豊富なキャリアが活きたのかもしれません。2分01秒6というタイムはまずまず優秀です。

レッドセインツ(4番人気)から買っていたのですが5着。出たり入ったりの流れに翻弄されました。休み明けでもあったのでこれぐらいでしょうか。

■京都5R新馬戦(ダ1200m)の落馬は衝撃的でした。直線で後続を引き離して確勝態勢に入ったディナーラッシュ(2番人気)が、突如、何を思ったか内ラチを飛び越えようとし、四位洋文騎手がラチの向こう側にダイブ。馬がコースに跳ね返ってきたところに後続馬群が突っ込んできて多重衝突となり、シゲルヤクイン(7番人気)に騎乗していた藤岡康太騎手が落馬。
http://www.youtube.com/watch?v=DqccxOamAv8

瞬間的にマヤノグレイシーのデビュー戦の落馬を思い出しました。安藤勝己騎手は内ラチを飛び越えて落馬し、3箇所を骨折する大怪我。今回、人馬ともに大きな怪我がなかったのは奇跡的です。

■京都3R未勝利戦(芝1600m)をハッピーグラス(4番人気)が、京都6R新馬戦(芝1600m)をナリタキングロード(2番人気)が勝ち上がり、ディープインパクト産駒は今シーズン32勝目。94年にサンデーサイレンスが樹立した新種牡馬の2歳戦勝利数記録「30勝」を16年ぶりに更新しました。

現在、31頭が勝ち上がっているのですが、新種牡馬の2歳戦勝ち上がり世界記録は39頭なので、あと9頭勝ち上がれば新記録となります。28日の競馬を含めて残り9日間ありますから1日1頭のペースでOK。十分可能でしょう。

2010年11月27日 (土)

ジャパンCの外国招待馬

節目の30回目ということで、今年はJRAが頑張って出走馬を8頭も集めてきました。03年(9頭)以来の大量出走です。

1頭ずつ簡単にコメントしてみたいと思います。

■1番 ヴォワライシ Voila Ici(伊・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/voila+ici
父 Daylami はBCターフ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、英チャンピオンSをはじめG1を勝ちまくった名馬ですが、種牡馬としては期待外れの成績です。昨年のジャパンC4着馬コンデュイットは、父が Daylami の半弟 Dalakhani、母の父が Sadler's Wells ですから、Daylami×Barathea(その父 Sadler's Wells)の本馬と配合構成がよく似ています。コンデュイットでさえ4着ですから、それよりはるかに実績が劣るこの馬では……。

■3番 ダンディーノ Dandino(英・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/dandino2
父 Dansili はデインヒル系の2400mタイプでは最も成功している種牡馬で、ハービンジャー(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、Rail Link(凱旋門賞)などを出しています。本馬は重賞勝ちのない3歳馬ですから明らかに格下。母の父がジェネラスでは高速馬場への対応力にも疑問です。

■5番 モアズウェルズ Mores Wells(仏・牡6歳)
http://www.pedigreequery.com/mores+wells
母は芝16ハロンのクイーンズヴァーズ(英G3)の勝ち馬。これに日本では実績のない Sadler's Wells が父ですから、Shirley Heights とのニックスがあるといっても、日本の馬場に対応できるような軽快なスピードは期待できません。6歳秋ですから上がり目もないでしょう。

■9番 ティモス Timos(仏・牡5歳)
http://www.pedigreequery.com/timos
ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては当ブログでも何度か記してきました。本馬は2代父が Sadler's Wells、母の父が Surumu。このパターンは Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)と同じです。ただ、地元フランスでナカヤマフェスタ、ヴィウトワールピサに先着できなかったこの馬が、アウェーで逆転するという計算は成り立ちません。

■12番 ジョシュアツリー Joshua Tree(愛・牡3歳)
http://www.pedigreequery.com/joshua+tree3
父 Montjeu は軽快なスピードに欠けるため、日本ではサトノコクオーのように芝よりもダート向きの産駒が目立ちます。母方に Shirley Heights が入る Montjeu 産駒なので、Fame and Glory(愛ダービー、コロネーション、他)と似ています。ただ、血統的に日本向きではないので、空き巣のカナダG1を勝った程度の実力では厳しいでしょう。

■15番 フィフティープルーフ Fifty Proof(加・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/fifty+proof
父 Whiskey Wisdom は、Skip Away が勝った97年のBCクラシックに5戦全勝の成績を引っ提げて挑戦したものの4着(3位入線も降着)。このレースを最後に引退し、カナダで供用されました。サンライズプリンス(ニュージーランドT)の母メインリーは Whiskey Wisdom の全妹です。低レベルだったカナディアン国際Sで5着ですから力が足りないでしょう。

■17番 マリヌス Marinous(仏・牡4歳)
http://www.pedigreequery.com/marinous
父 Numerous はジェイドロバリーの全弟にあたるマイラー型種牡馬。母の父 Panoramic の「Rainbow Quest×Roberto」というスタミナによって中長距離への対応力を獲得しました。「ジェイドロバリー×オペラハウス」のマームードイモンが長距離を苦にしないのと同じです。Nijinsky と Blushing Groom のニックスを持つなど全体的な配合も悪くなく、凱旋門賞6着という成績も良好なので、外国招待馬のなかでは最先着する可能性が高いと思います。ただ、馬券になるかというと微妙ですね。

■18番 シリュスデゼーグル Cirrus Des Aigles(仏・セン4歳)
http://www.pedigreequery.com/cirrus+des+aigles
父 Even Top は英2000ギニーの2着馬。種牡馬としてはまったくの無名です。昨年はコンセイユドパリ賞(仏G2・芝2400m)を勝って臨んだ香港ヴァーズ(G1・芝2400m)で5着。今年はコンセイユドパリ賞2着のあとここに臨んできました。香港ヴァースで5着程度の実力では厳しいでしょう。日本の馬場はこなすと思いますが、決め手のない馬なので上位進出は望み薄です。

【結論】
今年の日本勢の層の厚さは過去最高レベル。それに対し、外国招待馬は頭数こそ多いもののレベルはイマイチ。苦戦必至でしょう。マリヌスが大駆けしたときに掲示板に載れるかどうか、といったところですね。

2010年11月26日 (金)

サクラユタカオー死亡(後)

社台ファームは70年代の Princely Gift ブームに背を向け、もちろんテスコボーイ、トウショウボーイとも無縁でした。しかし、トウショウボーイの代表産駒である三冠馬ミスターシービーを社台スタリオンステーションに導入したのに続き、サクラユタカオーの獲得にも乗り出しました。こちらの交渉は失敗するのですが、静内スタリオンステーションに繋養されたサクラユタカオーのもとへ毎年繁殖牝馬を送り込み、「サクラユタカオー×ノーザンテースト」という90年代を代表するニックスによって、サクラバクシンオー、ダイナマイトダディ、トゥナンテ、エアジハード(2代母の父がノーザンテースト)といった活躍馬を生産しました。この配合は他牧場でも成功し、サクラキャンドル、システィーナなどが誕生しています。

シルクロードS(G3)2着など重賞戦線で頑張っているショウナンカザンは、サクラバクシンオー≒ダイナマイトダディ2×2。リスクの高いこのような配合でもしっかり走ってしまうのですから、サクラユタカオーとノーザンテーストの組み合わせはいいものを伝えているのだなぁと実感します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005101404/

代表産駒のサクラバクシンオーは2年連続でスプリンターズS(G1・芝1200m)を制しました。1400m以下では12戦11勝、芝1400mで日本史上初めて1分20秒の壁を破った馬でもあります。種牡馬としても成功し、日本競馬にスピード革命をもたらしたテスコボーイのサイアーラインを繋げることに成功しています。また、もう1頭の代表産駒であるエアジハード(安田記念、マイルチャンピオンシップ)は、ショウワモダン(安田記念)の父となりました。

テスコボーイが送り出した牡馬のうち、最も優れていたのはトウショウボーイとサクラユタカオー。トウショウボーイは代表産駒ミスターシービーが失敗したのが大きく、サイアーラインはほぼ絶滅しています。一方、サクラユタカオーはサクラバクシンオーとエアジハードを残しました。

日本産馬のレベルが世界水準に達していなかった時代は、相対的に能力が高い外国産種牡馬が次々と導入され、そのたびに日本国内の血統は更新され、ランキングの上位はそれらに独占される状況でした。内国産の系統は、代を経るごとに能力を上げていかなければ、外から入ってくる種牡馬群に対抗できません。輸入種牡馬のレベルは日本経済の発展と歩調を合わせるように、60年代、70年代、80年代、90年代と上がっていったからです。輸入種牡馬のレベル上昇に敗れ去った内国産ラインはどんどん淘汰されていき、ほとんど残りませんでした。

そうした厳しい時代を生き抜き、約40年にわたって日本に根付いているテスコボーイ系は素晴らしいとしかいいようがありません。サクラユタカオーはその発展に大きく寄与した名種牡馬でした。合掌。

2010年11月25日 (木)

サクラユタカオー死亡(前)

いまから24年前、1986年に行われた第6回ジャパンCで、サクラユタカオーは1番人気に推されました。この年の秋、同馬は競走馬としてのピークを迎えており、毎日王冠(G2・芝1800m)を1分46秒0、続く天皇賞・秋(G1・芝2000m)も1分58秒3と、2戦連続で日本レコードを樹立していました。

530キロに達する雄大で均整の取れた馬体、輝くような明るい栗毛、温和な気性。いかにも良家のボンボンといった風情がありました。天皇賞を制した夜、NHKのスポーツニュースに小島太騎手が中継で出演し、インタビューを受けたという記憶があります。それぐらいスターホースとしての扱いを受けていました。

しかし、期待を背負ったジャパンC(G1・芝2400m)は6着。距離の壁はいかんともしがたいものがありました。

誤解を恐れずにいえば、種牡馬としての可能性という意味では、この結果はポジティヴなものだったと思います。種牡馬というものは、特長のないオールラウンダーよりも、伝えるものがはっきりしている馬のほうが成功すると思います。それがスピードであれば申し分ありません。サクラユタカオーの持ち味は中距離におけるズバ抜けたスピード。2400mでタレたことでこの一芸が際立った、というとらえ方もできるでしょう。

半兄サクラシンゲキ(重賞4勝)、甥にサクラスターオー(皐月賞、菊花賞)がいる良血で、3代母スターロッチは有馬記念とオークスを制した名牝です。日本における最良の在来牝系のひとつといえるでしょう。

これに Nasrullah 3×4というスピード豊かなクロスを施した配合は、シンプルで狙いがはっきりしています。母方にネヴァービートを持つテスコボーイ産駒といえば“黄金の馬”ハギノカムイオー。これも速い馬でした(Nasrullah 3×5・5)。このほか、Jury≒Precipitation 4×5という相似な血のクロスもあるので、配合の完成度は高いと思います。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982101222/

        ┌ Hurry On
Jury ―――――┤ ┌ Bachelor's Double
        └○┤
          └○┐ ┌ Desmond
            └○┘

        ┌ Hurry On
Precipitation ―┤ ┌ Bachelor's Double
        └○┤
          └○┐ ┌ Desmond
            └○┘

2010年11月24日 (水)

先週の2歳戦(後)

土曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がった▲コウヨウレジェンド(4番人気)は、重賞を勝ったアサヒライジングの全弟です。姉の主戦ジョッキーでもあった柴田善臣騎手が手綱を取ったので、先行抜け出しという戦法に迷いはなく、それがぴったり嵌りました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101842/

アサヒライジングは個人的に非常に好きな馬で、オークスや秋華賞では◎を打った記憶があります。重賞勝ちはクイーンC(G3)しかありませんが、アメリカンオークス(G1)、秋華賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)でそれぞれ2着となりました。

その配合については、7月11日のエントリー「ジェッタ牝系とヒンドスタン」で触れておりますので、ぜひご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-015d.html

母アサヒマーキュリーは「ミナガワマンナ×ボンモー×タマナー」。配合を眺めているだけで頭がクラクラしてきます。アサヒライジングの半姉にアサヒヴィーナス(父コマンダーインチーフ)という馬がいて、これも応援していたのですが、タップダンスシチーが圧勝したジャパンCの当日、ベゴニア賞の直線で前肢を折って死んでしまいました。ちょうど7年前ですか。あれはかわいそうでした……。

日曜日の2歳戦で注目したいのは、京都2Rの未勝利戦(ダ1800m)を勝ち上がったボレアス、京都6Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったアドマイヤコリン。

京都2R未勝利戦(ダ1800m)のボレアスは、これまでにデビューしたディープインパクト産駒のなかで、最も父に似たレースぶりだったと思います。スタートで安めを売って、勝負どころで大外からマクり、直線で楽々と引き離す。まるっきり親父と同じだなぁ~と、レースを見ながら思わずニヤッとしてしまいました。勝負服まで同じです。
http://www.youtube.com/watch?v=vJhYehBJ334

2代母クロカミは重賞2勝馬。Caerleon 産駒ではあるのですが、母の父 Desert Wine が強く主張しているようで、産駒はどれもこれも決め手のないダート馬ばかり。母クロウキャニオンもそうでしたね。半兄キラウエア(父キングカメハメハ)もダート馬なので、本馬もこの路線がいいでしょう。

京都6R新馬戦(芝1800m)の○アドマイヤコリン(1番人気)は逃げ切り勝ち。ディープインパクト産駒は本馬を含めて過去に6頭が逃げているのですが、すべて勝っているというデータがあります。母シルクプリマドンナはオークス馬。土曜日に京都の新馬戦を勝ち上がったリトルダーリン(父ディープインパクト)も、母エリモエクセルはオークス馬でした。先週は「ディープインパクト×オークス馬」が2頭新馬勝ちを果たしたことになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103173/

牡馬ながら馬体重は420キロしかありません。母シルクプリマドンナはデビューから引退までに馬体重を28キロ増やしたので、この馬もまだ成長の余地があるでしょう。

母シルクプリマドンナは「ブライアンズタイム×Northern Dancer」ですから四冠馬ナリタブライアンと同じ。底力はあるものの重くて硬いという血統です。こういう繁殖牝馬に芝向きの軽快さを与えて走らせるのは難儀なのですが、ディープインパクトはそれをやってのけるのですからやはり優秀ですね。ただ、母の父は Roberto 系のブライアンズタイムですから決め手には乏しく、逃げの手に出たのは正解だったと思います。

父ディープインパクト、母の父ブライアンズタイムはいずれも Admiral Drake≒Roman が構成要素のひとつなので、その脈絡の効果も多少はあったかもしれません。内回りコースやローカルの小回りコースでさらに良さが活きるタイプだと思います。皐月賞で穴を開けるとしたらこのタイプでしょう。

2010年11月23日 (火)

先週の2歳戦(前)

ディープインパクト産駒が先週5勝を挙げ、初年度産駒の2歳戦勝利数記録である30勝(94年サンデーサイレンス)に並びました。今年はあと5週あるので相当な上積みが期待できそうです。おそらく45~50勝ぐらいは行くだろうと予想します。ちなみに、04年にサンデーサイレンスが2歳戦の最高記録である54勝を挙げたとき、同じ時期に34勝を挙げていました。これよりはやや遅いペースです。

サンデーサイレンスの初年度産駒は67頭。ディープインパクトの152頭に比べると半分以下です。ただ、30勝到達時点の出走回数を比べてみると、サンデーサイレンスの107走に対しディープインパクトは114走と、大きな差はありません。中身は濃いですね。

トップクラスの種牡馬が30勝に到達するまでにどれぐらいの出走回数を要したか比べてみます。

サンデーサイレンス 107走
ディープインパクト 114走 ←←←
アグネスタキオン  181走
クロフネ      186走
サクラバクシンオー 216走
ジャングルポケット 265走
ゼンノロブロイ   267走
シンボリクリスエス 280走
キングカメハメハ  284走
フジキセキ     288走
ネオユニヴァース  332走
スペシャルウィーク 355走
マンハッタンカフェ 357走

サンデーサイレンスとディープインパクトだけが別次元で、他の種牡馬とは一線を画しています。

土曜日の2歳戦で注目したいのは、京都6R新馬戦(芝1600m)を勝ち上がったリトルダーリン、東京5R新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったコウヨウレジェンド。

リトルダーリンは「栗山ノート」で指名した馬です。春ごろは馬体重が380キロぐらいしかないという話もあったので、これはちょっと厳しいのかな……と思っていたのですが、初戦は404キロでした。あと20キロぐらいは増えてほしいですね。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は以下のとおり。

「◎リトルダーリンは『ディープインパクト×ロドリゴデトリアーノ』という組み合わせ。母エリモエクセルはオークス(G1)など4つの重賞を制した名牝。母方にセックスアピール(ラトロワンヌの強い凝縮)やリヴァーマン(ローマンを内包)を持つ配合パターンは好ましい。馬体は小さいようだが素質は高いだろう。」

「栗山ノート」のディープインパクト産駒の項では、母方に Riverman を持つ馬を何頭か選びました。“Pocahontas≒River Lady”が生じ、それらに含まれる Roman がディープインパクトの構成要素のひとつの核なので、好結果が期待できるのではないかと考えたからです。今週、京都2歳Sに出走するレッドセインツなどもそうです。

予想文にも書きましたが、La Troienne の強い凝縮がある Sex Appeal のような血は、おそらくディープインパクトに合うでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sex+appeal

ディープインパクトにアメリカ血統が合うことは産駒のデビュー前から主張してきました。そして、La Troienne を持っていないため、そのエッセンスを濃厚に含んだ血を新たに注入することは悪くないでしょう。ですから、Sex Appeal の息子たち(トライマイベスト、El Gran Senor)を含んだ馬も何頭か指名しました。まだサンプルが少ないので何ともいえない状況ですが、数年経てばだいたい傾向が明らかになると思います。

このパターンの1頭がレッドディアーナ(母ケイウーマン)。同馬はそれだけでなく、3代母が River Lady なので大きな期待を掛けていました。しかし、聞くところによると肺炎に罹ってしまったようで、残念ながらデビュー予定は白紙に。素晴らしい配合馬だけに残念です。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/

2010年11月22日 (月)

サトノオー圧勝

マイルチャンピオンシップは◎サプレザ(2番人気)で問題ないと思っていたのですが、スタートで2~3馬身の出遅れ。去年も出遅れていたのでこういう馬なのでしょう。ゴール前はクビ、ハナ、ハナと僅差の勝負だったので悔やまれます。

勝ったエーシンフォワード(13番人気)はノーマークでした。3月1日のエントリー「阪急杯はエーシンフォワード」で配合について褒めたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-695e.html

ただ、1600mのG1では狙えません。そういう馬ではないと思い込んでいました。今回は岩田騎手の好騎乗が光ったと思います。あのコース取りは“岩田スペシャル”とでもいうべき彼の十八番です。

日曜日のレースで最も印象に残ったのは、G1レースではなく東京6Rの新馬戦(芝1400m)です。この日は東京競馬場で午前11時台と午後1時台の2回、JRA主催のイベントに出演する用事がありました。レースが行われたのは12時40分。ちょうど昼食どきで、8階の記者席で仕出し弁当を頬張りながら観戦していました。

そして、目撃したのがサトノオー(父ディープインパクト)の圧勝です。後続を引き離していくときに場内が沸きました。真横から見ると、前肢の爪先を地面と水平に伸ばしていくような、ちょっとルーラーシップを彷彿させる可動域の広い豪快なフットワークで、明らかに他馬と違う走りをしていました。
http://www.youtube.com/watch?v=-izwWmQONoQ

これは!と思い、食べかけの弁当を放置してエレベーターに飛び乗り、地下の検量室前へと急ぎました。引き揚げてきた安藤勝己騎手、その場にいた藤沢和雄調教師は、“これぐらい当然だよ”と言わんばかりに拍子抜けするぐらい平静でした。ジョッキーはインタビューで「落ち着いて走ってくれれば兄姉と同じぐらいには」と、言葉を選びながら期待のほどを語っていました。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎サトノオーは『ディープインパクト×トニービン』という組み合わせ。母エアトゥーレ(阪神牝馬S)、2代母スキーパラダイス(ムーランドロンシャン賞)、3代母スキーゴーグル(エイコーンS)という良血で、半姉アルティマトゥーレ(セントウルS、シルクロードS)、半兄キャプテントゥーレ(皐月賞など重賞4勝)と兄弟もトップクラスで活躍している。稽古でも動いており死角が見当たらない。」

赤本(『POGの達人』)のクロスレビューには次のように書きました。

「ディープインパクトのリファールクロスは基本的に嫌ってみたいスタンスだが、アルティマトゥーレ、キャプテントゥーレの下となれば意地になって逆らうのもどうか。G1はともかく重賞クラスには出世しても不思議はない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102789/

母エアトゥーレはすでにスカーレットブーケ、ビワハイジ級。伝えているものがズバ抜けています。「ディープインパクト×トニービン」はこれで〔2・1・0・0〕という成績ですから走りますね。エアグルーヴの娘グルヴェイグへの期待が高まります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103099/

ディープインパクト(=オンファイア)が Raja Baba と好相性であるということは当ブログでたびたび触れてきました。また、“サンデーサイレンス、ウインドインハーヘア、ロイヤルスキー”のトライアングルは、ダノンパッション、リルダヴァル(いずれも父アグネスタキオン)と同じです。要するに軽い切れ味が特長なわけですが、サトノオーにはトニービンというしっかりしたヨーロッパ血脈が入るので、軽いだけの馬ではないでしょう。ベストは1600mで、2000mまでは守備範囲です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103142/

たしかに今回のメンバー構成は能力差が大きかったと思います。ただ、他馬がどんな能力であろうと、それは勝ち馬の責任ではなく、今回のパフォーマンスの価値が目減りすることもありません。

2010年11月21日 (日)

東京スポーツ杯2歳Sはサダムパテック

○サダムパテック(1番人気)が2着につけた“3馬身半”はレース史上最大着差。このメンバーのなかでは1頭だけ格が違いました。
http://www.youtube.com/watch?v=uzjQehavIQM

前2頭が引っ張る流れだったとはいえ、2ハロン目以降で最も遅いラップが12秒1。緩みのないペースでラスト3ハロンが33秒7なので、レース内容はなかなか濃かったと思います。

父がフジキセキで母方に Mr.Prospector が入るパターンは成功方程式のひとつ。カネヒキリ、エイジアンウインズ、コイウタをはじめ多くの活躍馬が出ています。Ribot 系の Hoist the Flag が入るのも底力の補強として好感が持てます。母の父エリシオはやや難しい血なので、POGでこの血が入った馬を指名するのは勇気がいるのですが、この馬の場合、スタミナや底力の供給源としてうまく嵌った感がありますね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/

当レースはこれでサンデーサイレンスを含んだ馬が10年連続で勝ったことになります。将来性云々の話はとりあえず抜きにして、現時点における実力比較では、サダムパテックは昨年同時期のローズキングダムよりも強いと思います。朝日杯でも勝ち負けでしょう。

◎ダコール(6番人気)は5着。初戦とは打って変わって後方を追走し、4コーナー15番手から大外に回して追い込んできました。四位騎手曰く「今日は折り合いに専念していきました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)。上がり33秒8で届かないわけですから位置取りが厳しかったですね。坂を上がってからの伸びが良かったので本質的には平坦向きかもしれません。

2010年11月20日 (土)

日曜日に東京競馬場でイベントに出演します

11月21日(日)、東京競馬場メインスタンド3Fセンターコートにて、「オープン型レーシングセミナー」が開かれます。先々週に出演したものと同じ企画です。

私の出番は11時25分と13時45分の2回。1回の講座は15分程度を予定しています。1回目は「すべてわかる!休み明けの狙い方」、2回目は「2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!」というタイトル。よろしければどうぞいらっしゃってください。

東京スポーツ杯2歳Sの展望……ではないですが

ここ5年間にメイショウサムソン、ナカヤマフェスタ、ローズキングダムといった大物が連対しているように、素質重視で買いたいレース。器を見抜く眼が問われますね。キャリアよりも素質優先ですから、新馬戦を勝ったばかりの馬でも即連対できます。

予想めいたことを書くと有料予想を出したところに迷惑が掛かるので、血統を見て気がついたことを2つほど。

■トーセンケイトゥー、リフトザウイングスという有力馬2頭を送り出すハーツクライは、秋口までの快進撃がウソのように、1ヵ月以上も勝ち星に見放されています(現在27連敗)。この急ブレーキは予想できませんでした。

10月7日のエントリー「ハーツクライとサンデーを比べてみると」のなかで、「ディープインパクトの子に比べて頭数が3分の2程度なので、この先、数の上では抜かれる可能性があるものの、アベレージでは優位を保つのではないでしょうか」と記しました。いまや数だけでなく、かつては上回っていた勝率、連対率、複勝率においてもディープインパクトに後れをとっています(それでもなお優秀な数字ではありますが)。

おもしろいのはいまだに左回りの芝で勝ち星がないこと。直線コースを除いた新潟では4戦未勝利。東京では10戦未勝利。2着も1回だけです。

土曜東京4R(芝1600m)には、某POGで指名したダノンハローが出走します。新馬戦で2着したときはすぐにでも勝ち上がれると思ったのですが、その後は9着、5着。今回は目先を変えて関東に遠征してきて、鞍上もスミヨン騎手にスイッチ。全体で27連敗中、左回りで14連敗中ですが、確率的にそろそろ勝ってもいいような……。

■フェイトフルウォーは「ステイゴールド×メジロマックイーン」。この組み合わせは過去にドリームジャーニーを含めて4頭がデビューし、すべて新馬戦を勝ち上がっています。

ステイゴールド産駒は晩成の傾向が見られ、新馬戦ではむしろ買いづらいタイプ。それで初戦からこれだけ走るのですからニックスといえます。

過去、新馬戦に出走した「母の父メジロマックイーン」は62頭おり、そのうち勝ち上がったのは5頭しかいないのですが、うち4頭がステイゴールド産駒。この組み合わせの優秀さが分かります。

この4頭にはもうひとつ、“2代母の父が Northern Dancer の息子”という共通点があります(つまり Northern Dancer 5×4)。父がメジロマックイーンで母の父が Northern Dancer の息子、という配合の繁殖牝馬がいたら、とりあえずステイゴールドを付けておけば走りそうな気がします。

2010年11月19日 (金)

Northern Dancer 没後20年(4)

2010年の全欧種牡馬ランキングのベスト10は以下のとおり。まだシーズンは終了していないので現時点の途中成績です。

1位 Galileo(by Sadler's Wells)★
2位 King's Best(by Kingmambo)
3位 Oasis Dream(by Green Desert)★
4位 Dubawi(by Dubai Millennium)
5位 Dansili(by デインヒル)★
6位 Danehill Dancer(by デインヒル)★
7位 Cape Cross(by Green Desert)★
8位 Pivotal(by Polar Falcon)★
9位 Shamardal(by Giant's Causeway)★
10位 Invincible Spirit(by Green Desert)★

2位の King's Best、4位の Dubawi を除く8頭が Northern Dancer 系となっています(★が付いた馬)。日本では同系統の退潮が著しく、アメリカでは Storm Cat のライン以外は元気がないという状況。しかし、ヨーロッパでは相変わらず強いですね。20年前に比べて寡占率が上昇しています。

Northern Dancer 系のなかでもどのラインに属しているのか、8頭の内訳を示します。

Danzig       5頭(3、5、6、7、10位)
Sadler's Wells   1頭(1位)
Nureyev      1頭(8位)
Storm Cat     1頭(9位)

リーディングサイアーは Sadler's Wells 系の Galileo。しかし、割合でみると Danzig 系の圧勝です。Danzig はスピードが身上なので  Sadler's Wells よりも短めの距離を得意としています。ヨーロッパはスタミナ豊かな繁殖牝馬が多いので、サイアーラインの距離適性は代を経るごとに自然に延びていく傾向があります。マイルから中距離へ、中距離から長距離へ。そこで“上がり”となって役割を終えます。 Danzig 系は Sadler's Wells 系に比べて距離適性が短めであるぶん、次の代に血を繋げやすいという面があります。

クールモアのアイルランド本場に繋養されている22頭の種牡馬のうち、約6割にあたる13頭が Danzig 系です。世界血統のメインストリームはクールモアが作り出している部分が大きいので、ここで強力なバックアップを受けている Danzig 系が当分のあいだ世界のトップの座に君臨しつづけるでしょう。

短距離戦が盛んなオーストラリアでも Danzig 系が大人気。09-10年のサイアーランキングでは上位10頭中4頭が Danzig 系です。

1位 Redoute's Choice(by デインヒル)
5位 コマンズ(by デインヒル)
6位 Testa Rossa(by ペルジノ)
9位 Fastnet Rock(by デインヒル)

ヨーロッパとオーストラリアでは Danzig 系のシェアが高く、Sadler's Wells 系がこれに続きます。そして、昨日のエントリーでご紹介したようにアメリカでは Storm Cat 系の一極体制です。

2010年時点の Northern Dancer 系は、ほぼこの3系統に絞られつつあるといえるでしょう。

20年後の2030年にどのような血統地図が描かれているのか、ひょっとしたら今回書いたことが笑い話となるような驚くべき展開が待っているかもしれません。日本に再び Northern Dancer 系が根付くのか、それともサンデー系が押し返すのか……といったことも含めて、興味は尽きません。

2010年11月18日 (木)

地方競馬の結果あれこれ

■11月17日(水)、川崎競馬場で行われたロジータ記念(ダ2100m)は、2番人気ショウリダバンザイが外から鋭く伸びて優勝。1番人気ハーミアは2着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106452/

ショウリダバンザイは「プリサイスエンド×ジェイドロバリー」なので、先週の武蔵野S(G3・ダ1600m)を勝ったグロリアスノアとまったく同じ組み合わせです。ニックスかもしれません。これで浦和桜花賞(浦和)、ノースクイーンC(門別)に次いで3つめの重賞制覇。ひと夏を越してグンと強くなっており、この勝ちっぷりなら牡馬相手でも……。

■11月18日(木)、門別競馬場で行われた道営記念(ダ2000m)は、6番人気オネストジョンが外から差し切りました。1番人気クラキンコは5着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106158/

オネストジョンは「エイシンダンカーク×トウホーカムリ」という血統。父エイシンダンカークは1000万クラスの条件馬。母の父トウホーカムリはシンボリルドルフと同世代の脇役。84年の皐月賞の実況で、フジテレビの盛山毅アナウンサーが「トウホーカムリがインコース、伏兵はトウホーカムリ! ルドルフと、ビゼンと、トウホーカムリ!」と、名前をやたらと連呼していたのが記憶に残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=KGtbdqYNG5c

トウホーカムリの半兄には、東京大賞典(ダ3000m)を3分08秒6の大レコードで圧勝したファインポートがいます。ファインポートは種牡馬としても名牝グレイスタイザン(浦和桜花賞、関東オークス、東京3歳優駿牝馬)を送り出しましたが、同馬は残念ながら事故死したため産駒を残していません。ただ、全妹ライフポートがダイアモンドコア(浦和桜花賞)の母となり、ダイアモンドコアはナイキハイグレード(羽田盃、京浜盃、ハイセイコー記念)の母となりました。ファインポートは地方競馬の名牝系の形成に大きな役割を果たしています。トウホーカムリも兄同様、母方に入っていい影響を与える血なのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102538/

■道営記念のひとつ前のレース、ファスリエフ賞2歳オープン(ダ1200m)は、3番人気ゼニトッタ(父スウェプトオーヴァーボード)が勝ってデビュー2連勝。なかなか凄い名前です(笑)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105854/

Northern Dancer 没後20年(3)

Northern Dancer から派生したいくつかの主要ラインのうち、ここ20年で衰退していったのは Nijinsky と Lyphard。もはやかつての勢いを回復するのは難しいでしょう。

アメリカは Storm Cat 系の一極体制です。2010年のランキング(ブラッドホース誌)を見ると、10位以内に3頭の Northern Dancer 系種牡馬がランクインしており、そのすべてが Storm Cat 系です。

2位 Giant's Causeway(by Storm Cat)
8位 Lion Heart(by Tale of the Cat)
10位 Tale of the Cat(by Storm Cat)

3頭ともクールモアの所有馬でしたが、Lion Heart は今年1月にトルコに売却されました。売った途端、Dangerous Midge(BCターフ)、Line of David(アーカンソーダービー)、Kantharos(サラトガスペシャルS)などの大物が出てきています。

Storm Cat 系を背負って立つエースが Giant's Causeway であるのは衆目の一致するところでしょう。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出しています。まだ13歳ですから少なくともあと数年は第一線で頑張れるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway

初期の代表産駒 Shamardal は、初年度から Lope De Vega(仏ダービー、仏2000ギニー)を送り出し、種牡馬として好スタートを切っています。Shamardal の母は名種牡馬 Street Cry(Zenyatta、Street Sence などの父)の全姉。血統的にもおもしろい馬です。
http://www.pedigreequery.com/shamardal
http://www.pedigreequery.com/street+cry

Storm Cat は、パワーと仕上がりの早さは超一流ですが、日本の軽い芝にフィットするようなしなやかさと瞬発力を欠き、気ムラで信頼性が乏しいという欠点があります。早い話が日本向きの血とはいえません。サンデーサイレンスとの相性もイマイチでした(息子のスペシャルウィークやマンハッタンカフェとは相性良好)。

ただ、 Giant's Causeway はそのあたりのアクの強さが緩和されており、日本で走ったスズカコーズウェイとエイシンアポロンは芝の重賞を勝ちました。Storm Cat 系は今後、Giant's Causeway を通じて発展していくものと思われます。(続く)

2010年11月17日 (水)

Northern Dancer 没後20年(2)

現役時代の Northern Dancer は米二冠を含めて18戦14勝。カナダ産馬として史上初めてケンタッキーダービーを勝った馬でもあります。勝ちタイムの2分00秒0は64年当時のレースレコード。これを上回るタイムは半世紀近くを経た現在でも Secretariat(1分59秒4/73年)と Monarchos(1分59秒97/01年)の2つだけです。
http://www.youtube.com/watch?v=LIRmzt4UmMc

種牡馬としては最初の4年間をカナダで過ごし、その後、死亡する90年まで米メリーランド州にあるウインドフィールズファームの支場に繋養されました。アメリカにおける馬産の中心地はケンタッキー州。Northern Dancer は一度もそこへ足を踏み入れることなく、約700キロ東部に位置する大西洋沿いのメリーランド州に在りながら、種牡馬の王として君臨したのです。

Northern Dancer が生涯に送り出した産駒はわずか635頭。23シーズンの種付けでこの数字ですから、1シーズンあたりに直すと28頭弱。毎年コンスタントに250頭以上の種付けをこなしているキングカメハメハなどは、わずか3年で Northern Dancer の総産駒数を抜いてしまう計算です。ただ、Northern Dancer は、種付け頭数を抑えることで逆に価値を高めることに成功しました。晩年の種付け料は億単位といわれ、83年にキーンランドのイヤリングセールで落札された1歳の牡馬(後の Snaafi Dancer)には、なんと1020万ドル(当時のレートで約24億円)という値がつきました。
http://www.pedigreequery.com/snaafi+dancer

当時、アメリカのセリ市場を席巻していたのは、ロバート・サングスターなどのヨーロッパの富豪と、マクトゥーム・ファミリーなどの中東勢。これらが Northern Dancer とその系統の良血馬を根こそぎ買い上げ、ヨーロッパへ持っていってしまったので、Northern Dancer は北米で誕生した血統でありながら、むしろヨーロッパを中心に繁栄しました。Nijinsky、Lyphard、Nureyev、Sadler's Wells、The Minstrel、Storm Bird、El Gran Senor などはヨーロッパで走った馬たちです。北米で競走生活を送り、種牡馬としても成功を収めたのは、初期の Vice Regent を除けば Danzig ぐらいしかいません。(続く)

2010年11月16日 (火)

Northern Dancer 没後20年(1)

1990年11月16日、20世紀を代表する大種牡馬 Northern Dancer が死亡しました。29歳。年も年ですからいつ死んでもおかしくないという心の準備はしていたのですが、いざ訃報に接すると「ああついに……」という軽い虚脱感があったのを覚えています。

当時、22歳の栗山青年は、『週刊競馬通信』という雑誌の編集に携わりつつ、「血統SQUARE」という枠をもらって連載コラムを書き始めたばかりでした。いまでも似たような生活をしているわけですから進歩がないというか何というか……。初めて書いたのは「オペラ座の夜」という5回シリーズ。4分の3同血の関係にある Nureyev と Sadler's Wells について、Dalmary にさかのぼる牝系から描き出したもので、Northern Dancer 系の主導権争いは Sadler's Wells が勝利したと結論づけました。

なぜこの題材を取り上げたかというと、当時の生産界において Northern Dancer の存在感はきわめて大きく、数ある後継馬のなかでどのラインが主流となるかということが主要な関心事だったからです。そして、いまでもはっきりと覚えているのですが、原稿を書き上げたその瞬間、Northern Dancer の訃報を耳にしたのです。個人的にはそうした点からも印象深い出来事でした。

本日は Northern Dancer 没後ちょうど20年目にあたります。

世の中が否応なく変わって行くように、血統の潮流も大きく様変わりしました。1990年の種牡馬ランキングを以下に示します。

1位 ノーザンテースト(by Northern Dancer)★
2位 ミルジョージ(by Mill Reef)
3位 トウショウボーイ(by テスコボーイ)
4位 モガミ(by Lyphard)★
5位 ノーザンディクテイター(by Northern Dancer)★
6位 マルゼンスキー(by Nijinsky)★
7位 ブレイヴェストローマン(by Never Bend)
8位 ラッキーソブリン(by Nijinsky)★
9位 リアルシャダイ(by Roberto)
10位 アンバーシャダイ(by ノーザンテースト)★

10頭中6頭が Northern Dancer 系です(★が付いた馬)。サンデーサイレンスもトニービンもブライアンズタイムもまだ出てきていません。これらが出揃ったのが90年代の前半。ここから日本の血統シーンは一変していきます。しかし、90年の時点では、このまま Northern Dancer 系の天下が続いていくのだろうと、深く考えるまでもなく当然のこととして感じていました。

20年が経過したいま、日本における Northern Dancer 系は傍流に追いやられています。09年の日本ダービーには Northern Dancer 系の出走馬が1頭もありませんでした。10年の種牡馬ランキングでは3位のクロフネのみが Northern Dancer 系で、10頭中5頭がサンデーサイレンス系。わずか20年でこんな事態になろうとは想像できませんでした。(続く)

2010年11月15日 (月)

エリザベス女王杯はスノーフェアリー

日本勢完敗。ここまで差をつけられると実力以外の何ものでもなく、勝ったスノーフェアリーに拍手を送るしかありません。初期のジャパンCの、日本勢が負け続けていた時代の懐かしい感覚が甦ってきました。
http://www.youtube.com/watch?v=0Mw73PHKikk

Snow Fairy はおもしろい血統です。父 Intikhab、母の父 Charnwood Forest、2代母の父 Marju、3代母の父 Persian Bold はいずれもマイラー。にもかかわらず、自身は英オークス(G1・芝12f10yds)と愛オークス(G1・芝12f)を連勝し、秋には英セントレジャー(G1・芝14f132yds)に挑戦しました。
http://www.pedigreequery.com/snow+fairy7

パッと見はマイラーという配合で、アメリカのスピード血統も多く含まれています。したがって、脚の回転は速く、それが日本向きの軽快さとなって表現されているではないかと感じました。ただ、日本馬のようなしなやかさはなく、そのフットワークはパワーに任せて収縮を繰り返す力強いピッチ走法です。このあたりは父 Intikhab によく似ていると思います。

父 Intikhab は、Red Ransom を経て Roberto にさかのぼる系統。4歳春にデットーリ騎手とのコンビでダイオメドS(英G3・芝8f114yds)を5馬身差、クイーンアンS(英G2・芝8f)を8馬身差で連勝しました。インターナショナルクラシフィケーションでは130という高評価を与えられています。ただ、種牡馬としては期待ほどの成績を挙げているわけではありません。

予想では△しか付けられませんでした。日本馬が日本で走るかぎりちょっとやそっとじゃ負けない、という先入観にとらわれたため、実力を軽く見積もってしまいました。土日2日間にわたって披露したライアン・ムーア騎手の技量もズバ抜けていたと思います。あれだけの技を見せつけられると溜息しか出ません。

◎リトルアマポーラ(7番人気)はアパパネとの写真判定の結果4着。3連単マルチの馬券を持っていたので、もし3着に残っていたらかなり大きな配当だったのですが……。騎乗した福永騎手は完璧に乗ったと思います。以前と比べて位置取りが的確だなぁと思う機会が増えました。今回のような騎乗で負けたのなら仕方がありません。

2010年11月14日 (日)

ラトルスネーク新馬戦圧勝

土曜日の新馬戦は見どころ十分でした。京都4R(芝1400m)を勝ち上がったラトルスネーク、東京6R(芝1600m)を勝ち上がったターゲットマシン。この2頭は大物でしょう。

ライアン・ムーア騎乗のラトルスネーク(父タニノギムレット)は、最後の直線で馬群のなかから忽然と現れると、ラスト100mで5馬身突き抜けました。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな勝ちっぷり。TV画面のなかの京都競馬場もざわついていました。ラスト1ハロンは10秒台の脚を使っているはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=s2raybZ0jiI

父タニノギムレットはウオッカ、スマイルジャック、アブソリュート、ニシノブルームーンなどの父。母ワシントンシティはチリ産馬で、チリオークス(G1・芝2400m)やサンチアゴ1000ギニー(G1・芝1700m)などを制し、同国の3歳牝馬チャンピオンに選ばれた名牝です。2000年に日本に入りました。02年に産んだスコッツデール(父ブライアンズタイム)は東海ダービー2着。ラトルスネークはその4分の3弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101073/

母ワシントンシティがチリオークスを勝った際の映像が YouTube にありました。ほかにデビュー戦の映像などもアップロードされているので、チリでは相当な名牝なのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=BhGiMSedrqs

ラトルスネークの配合的な急所は2代母の父 Thornton Hill だと思います。競走成績はなく、産駒の履歴を見るとチリとコロンビアで供用された種牡馬のようです。この馬は Lady Rebecca(Alzao の母)と4分の3同血の関係にあります。

タニノギムレット産駒で母方に Alzao を持つ馬といえばニシノブルームーン。同馬がマーメイドS(G3)に出走したときに◎を打ったのですが、その予想文にこう記しました。

「父タニノギムレットの配合的骨格を形成するアドミラルドレイク≒ローマンの相似な血のクロスを、母方のレディレベッカが持つアドミラルドレイク≒ローマンによって継続した好配合馬」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102548/

要するに11月11日のエントリー「ハイセイコー記念はセルサス」で述べたのと同じ内容です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-1bea.html

タニノギムレットの成功パターンは大きく分けて2つあります。①母方にサンデーサイレンスを持つこと。②Roman を持つこと。

①は非サンデー系の定番配合です。ただ、タニノギムレットの場合、自身が Admiral Drake≒Roman 6・5×5なので、サンデーが持つ Admiral Drake によってこれを継続することも大きいのではないでしょうか。②はそのものズバリ Admiral Drake≒Roman の継続。前出のニシノブルームーン以外では、タニノギムレットの最高傑作ウオッカがこのパターンに当てはまります。母方に入る Riverman の2代母の父が Roman です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004104258/

ラトルスネークの母方はチリ血統で、母系の奥はなじみのない血ばかり。ただ、配合の骨格だけを眺めると基本に忠実ですね。タニノギムレットの成功パターンをしっかり押さえています。新馬戦で派手な勝ち方をしたからといって将来が約束されるわけではありませんが、相当楽しみな馬であることは確かです。

2010年11月13日 (土)

映画『Secretariat』

70年代にアメリカで社会現象となり、“Big Red”の愛称でいまなお語り継がれる名馬 Secretariat。その伝記映画が10月8日からアメリカで公開されています。『シービスケット』(2003年・米)ほどではないものの興行成績は上々のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=UKmuvjL2cVw

実質的な主人公ペニー・チェナリーを演じるのはダイアン・レイン。彼女の名前を聞いて、いまだに『リトル・ロマンス』(1979年・米)の美少女役が頭に浮かぶのは40代の人間でしょう。もう中年女性を演じる年齢になったか……という感慨がしみじみ沸いてきます。そういえば『リトル・ロマンス』では、ストーリー展開に競馬が重要な役割を果たしています。といいつつ、細かなストーリーはすっかり忘れているのですが、ロンシャン競馬場のシーンだけは妙に頭に残っています。

『ホース・トレーダーズ』(スティーヴン・クリスト著・草野純訳/サラブレッド血統センター)には、ペニー・チェナリーと Secretariat の関わりが丹念に描かれています。これを読んでしまうと映画に関してはほとんどネタバレになっちゃうんじゃないかというほどです。88年に出版された同書は文句なしの名著。未読の方にはぜひオススメしたいですね。

『Secretariat』の日本公開決定のニュースをいまかいまかと待ち続けているのですが、いまだにそのようなアナウンスはありません。もう期待しても無理なのかもしれません。大きなスクリーンで迫力あるレースシーンを堪能したかったのですが……。

2010年11月12日 (金)

レーヴドリアン死亡

菊花賞の健闘からまだ半月しか経っていないので驚きました。腸捻転を悪化させたとのことです。

私的な話をすれば、09-10年のPOGで1位指名した馬でした。調教は動かない、レースでは行き脚がつかず不器用と、じれったくなるような癖馬でしたが、目立つ芦毛だったせいか、なんとなく憎めないキャラでしたね。福永騎手に乗り替わってから脚質に幅が出てきて、「来年こそは」の思いがあっただけに残念でなりません。

配合については1月10日のエントリー「レーヴドリアン完勝――福寿草特別」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-aae6-1.html

そのエントリーにも記しましたが、レーヴドスカーの子供たちは体質面に不安を抱えるケースが目に付きます。半姉レーヴダムールは爪の故障で戦線離脱したあと復帰調整中に死亡。半兄アプレザンレーヴは頑健な四肢を伝えるシンボリクリスエスの子ながら屈腱炎で引退。そして、レーヴドリアンが腸捻転で死亡。抜群に走るのは事実ですが、その一方で暗い影のつきまとう血統でもあります。

  レーヴドスカー(f.1997.Highest Honor)
    ナイアガラ(c.2003.ファンタスティックライト)
    レーヴダムール(f.2005.ファルブラヴ)
    アプレザンレーヴ(c.2006.シンボリクリスエス)
    レーヴドリアン(c.2007.スペシャルウィーク)
    レーヴディソール(f.2008.アグネスタキオン)

今年の2歳牝馬戦線のトップランナー、レーヴディソール(父アグネスタキオン)はレーヴドスカーの末娘。父アグネスタキオンは周知のとおり脚部の弱さを伝えるところのある種牡馬です。このまま何ごともなく大成してほしいですね。

2010年11月11日 (木)

ハイセイコー記念はセルサス

10日、大井競馬場で行われた2歳重賞のハイセイコー記念(ダ1600m)は、単勝1.9倍の1番人気に推されたセルサス(父タイムパラドックス)が5馬身差で圧勝しました。2着と3着はさらに4馬身離れているので強かったですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106137/

デビュー戦で2着と敗れてから3連勝。しかも、いずれも5馬身差で勝っており後続を寄せ付けていません。

父はタイムパラドックスはダートG1を5勝した名馬で、ブライアンズタイムのダートにおける代表産駒の1頭。これにブレイヴェストローマンですから、その走りが示すとおりダートは鬼でしょう。

ブライアンズタイムとブレイヴェストローマンの組み合わせは成功しており、ナイキアースワークとドラゴンファイヤーの兄弟や、エスポワールシチーの母、スリーロールスの母など、多くの活躍馬の血統に見られます。

ブライアンズタイムは Admiral Drake≒Roman 5×4。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000082/
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

これはディープインパクトやゼンノロブロイにも見られる相似な血のクロスです。ブレイヴェストローマンは母の父が Roman ですから、ブライアンズタイムと組み合わせると上記のクロスを継続することになります。ブライアンズタイムとブレイヴェストローマンの好相性の秘密はここにあるのではないでしょうか。

セルサスの父タイムパラドックスは、すでに Admiral Drake≒Roman を継続しています(6・5×5)。ですから、そこにブレイヴェストローマン(Roman)が加わると余計に効果が大きいのかもしれません。

ちなみに、ゼンノロブロイと Riverman の相性の良さは、Riverman の2代母の父が Roman だからでしょう。今年のPOGで指名したレッドセインツ(父ディープインパクト/新潟2歳S-3着)は母方に Riverman を持ちます。この馬を狙ったのは、Admiral Drake≒Roman の継続に期待したことも理由のひとつです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/

タイムパラドックス産駒は、今年の2歳世代がファーストクロップで、これまで中央では9頭出走して1勝。あまり芳しくありません。セルサスのように、ブレイヴェストローマンを入れて Admiral Drake≒Roman を継続する、というのは配合の方向性として間違っていないと思うので、今後、タイムパラドックスの配合方針として活かせるのでは、と思います。

2010年11月10日 (水)

Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)

2000年以降に誕生したヨーロッパの若手種牡馬のなかで、いま最も熱い視線を浴びているのは Oasis Dream(父 Green Desert)と Dubawi(父 Dubawi Millennium)の2頭でしょう。今年の全欧種牡馬ランキングで前者は3位、後者は4位につけています。

この2頭はいずれも母方にダンシングブレーヴを持っています。そして、父方には Sir Ivor があります。つまり、Sir Ivor≒Drone という相似な血のクロスを持っているわけです。前者は3×4、後者は5×5。
http://www.pedigreequery.com/oasis+dream
http://www.pedigreequery.com/dubawi

現代のヨーロッパ血統を語る際、話題にのぼるのは Sadler's Wells とデインヒル、そして Green Desert あたりでしょうか。しかし、父系勢力図というものはごく表面的な話題にすぎません。サラブレッドの能力を決定するのは配合です。そして、配合的な視点から眺めると Sir Ivor≒Drone が現代血統を解き明かすための重要な鍵として浮上してきます。折しも、日本では Halo≒Sir Ivor 2×4のディープインパクトが大種牡馬への道を歩み始めています。世界最先端の血の潮流は、Halo≒Sir Ivor≒Drone がひとつの軸となっているのではないでしょうか。

Halo、Sir Ivor、Drone の最大の長所は「瞬発力」です。サンデーサイレンスの瞬発力は、父 Halo から受け継いだ要素が大きいのではないかと思います。Sir Ivor と Drone に関しては、5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」をご参照くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/sir-gaylord-ce0.html

新馬戦で2着に敗れたアドマイヤカーリンは、出遅れた上に距離不足だったことを考えれば、上々のレース内容だったと思います。次走はおそらく距離を延ばしてくるはずなので、しっかり勝ち上がるでしょう。この先が楽しみな馬です。

2010年11月 9日 (火)

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)

先週、京都芝1600mの新馬戦で、母の父にトニービンを持つディープインパクト産駒2頭、コティリオンとアドマイヤカーリンが1分34秒4でワンツーフィニッシュを決めました。同コースで行われた新馬戦のなかで、このタイムは歴代1位タイの記録です。

これだけ多くのディープインパクト産駒が出ているのに、「ディープインパクト×トニービン」は、先週のコティリオン、アドマイヤカーリンの2頭が初めての出走でした。そして、マッチレースの1、2着ですから、これは走るのかもしれませんね。

今年のPOGでは「ディープ×トニービン」に関して様子見としました。この配合が走るのか走らないのか、どちらの自信も持てなかったため、とりあえず判断保留としたわけです。ただ、2歳世代で7頭いるこの配合馬のなかで、唯一「栗山ノート」に含めた馬がいます。それがアドマイヤカーリンでした。

ディープインパクトは Halo≒Sir Ivor 2×4。当ブログでも何度か指摘していますが、これが配合構成のひとつの核となっていると思います。アドマイヤカーリンは、Halo、Sir Ivor とよく似た配合構成の Drone を母方に持っているため、Halo≒Sir Ivor≒Drone 3・5×4です。Drone はダンシングブレーヴの母の父でもあります。
http://www.pedigreequery.com/halo
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor
http://www.pedigreequery.com/drone

        ┌ Turn-to
      ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ―――┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

              ┌ Turn-to
      ┌ Sir Gaylord ┘
      │   ┌ Mahmoud
Sir Ivor ―┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Pharamond
        └○┤
          └○┐
            └ Alcibiades

              ┌ Turn-to
      ┌ Sir Gaylord ┘
      │     ┌ Pharamond
Drone ―――┤   ┌○┤
      │ ┌○┘ └ Alcibiades
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

このトライアングルは効果が大きいと思われるので要注目です。すでに勝ち上がったディープインパクト産駒のなかでは、サトノペガサスが同じクロスを持っています。(続く)

2010年11月 8日 (月)

トーセンジョーダン、トランセンド

アルゼンチン共和国杯(G2・芝2500m)は1番人気の◎トーセンジョーダン(父ジャングルポケット)が快勝。キャリアを重ねたことで競馬に幅が出てきて、本当にいい馬になりました。土曜日の東京競馬場のイベントでは「東京芝2500mはジャングルポケットとオペラハウス!」と強調してきたので、勝ってよかったです。馬券は◎○で本線的中でした。

この馬はかつてPOGで持っていた馬なので愛着があります。クラフティワイフの牝系はトニービン系と相性抜群。カンパニー、レニングラード、バトルバニヤンといった馬たちとトーセンジョーダンはほとんど同じような配合構成です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102878/

                     ┌ トニービン
          ┌ ジャングルポケット ┘
トーセンジョーダン ┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

            ┌ トニービン
          ┌○┘
カンパニー ――――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

          ┌ トニービン
レニングラード ――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

                     ┌ トニービン
          ┌ ジャングルポケット ┘
バトルバニヤン ――┤
          └ クラフティワイフ

トーセンジョーダンにはサンデーサイレンスが入っていないため、その走りに軽い切れ味は感じられません。力感あふれる大トビのフットワークは迫力十分。2分30秒0の勝ちタイムはアルゼンチン共和国杯のレコードです。レース前に「ここを勝って有馬」という話があったので、おそらくその路線になるのでしょう。アルゼンチン共和国杯から有馬記念への直行は、過去ほとんど実績がない“鬼門”といえるローテーション。ただ、ジャングルポケット産駒は中山芝2500mと相性がいいので一発があってもおかしくないと思います。

2着○ジャミール(2番人気)はステイヤーとしての才能はありますが、小回りコースでマクる競馬が向いているので対抗評価。「ステイゴールド×Sadler's Wells」ですからジリジリとしか伸びないのは仕方ないでしょう。次走のステイヤーズS(G2・芝3600m)はベスト条件なので頭から狙いたいところです。

一方、京都のみやこS(G3・ダ1800m)は◎トランセンド(2番人気)が逃げ切り勝ち。3歳時からその配合を高く評価してきた馬なのでようやくか……という感じです。馬券は◎○で本線的中です。

「ワイルドラッシュ×トニービン」はエルムS(G3・ダ1700m)を勝ったクリールパッションと同じ。クリールは2代母がブライアンズタイムの全姉、という配合的特徴があるのですが、こちらも Bushel-N-Peck≒サニースワップス3×3というユニークな配合構成となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

         ┌ Khaled
Bushel-N-Peck ――┤ ┌ Dante
         └○┤ ┌ Mahmoud
           └○┘

               ┌ Dante
             ┌○┘
           ┌○┘ ┌ Mahmoud
         ┌○┤ ┌○┘
サニースワップス ┤ └○┘
         │ ┌ Khaled
         └○┘

“母の父トニービン”のダート巧者といえばアドマイヤドン(JRA賞最優秀ダートホース2回)が有名です。父がサンデー系なら芝向きに、それ以外のアメリカ血統ならばパワー型が出てくる傾向があります。アフリートとのニックスは有名で、ビッグウルフ、ミリオンディスク、ゼンノパルテノンなどは「アフリート×トニービン」の組み合わせから誕生しています。

2010年11月 7日 (日)

Zenyatta、20連勝ならず

あのレーススタイルで連勝を「19」まで積み上げたこと自体が奇跡だと思うのですが、ここまできたら全勝で引退してほしかったですね。
http://www.youtube.com/watch?v=_Et15M6wsPo

ESPNの中継は最初から最後まで Zenyatta づくし。人気があるんだなぁとあらためて感心させられました。というか、これほど魅力的な個性の持ち主は愛さずにはいられません。私はけっこう好きでした(笑)。

04年のベルモントS(米G1)で、Birdstone が Smarty Jones の無敗の三冠を阻止したときもスタンドの雰囲気はヤバかったのですが、今回はそれに劣らず、画面から伝わってくる観衆の消沈ぶりが痛々しかったですね。勝利騎手のギャレット・ゴメスに笑顔がなかったのは、自分が微妙な立場に立たされていることを察していたからではないでしょうか。

勝った Blame の父系は、Arch → Kris S. → Roberto とさかのぼるライン。Kris S. はシンボリクリスエスの父です。2着に敗れた Zenyatta の母の父でもあります。
http://www.pedigreequery.com/blame5
http://www.pedigreequery.com/zenyatta

この日、2歳牡馬セン馬によるブリーダーズCジュヴェナイル(米G1・ダ8.5f)が行われ、大本命の Uncle Mo が圧勝して無傷の3連勝を飾りました。
http://www.youtube.com/watch?v=rC71S2v3W14

同馬の母の父は Arch (Blame の父)ですから、今年のブリーダーズCは Kris S.-Arch のラインが目立った印象があります。
http://www.pedigreequery.com/uncle+mo

底力とスタミナに秀でた血なので大舞台では頼りになります。ちなみに、Arch の母 Aurora は、着々と大父系を築きつつある Green Desert と4分の3同血の関係にあるので、血脈的にもちょっとおもしろいですね。
http://www.pedigreequery.com/arch
http://www.pedigreequery.com/green+desert

日本のエスポワールシチーは10着ながら4コーナー先頭の見せ場を作りました。先行した4頭は、人気の一角 Quality Road を含めて後方に敗れているので、結果的にペースが速すぎたということでしょう。

2010年11月 6日 (土)

ブレイクランアウト種牡馬入り

先日の富士S(G3・芝1600m)で故障を発症したブレイクランアウトの種牡馬入りが決定しました。配合的に高く評価していた馬なので、どうなるのか気を揉んでいたのですが、血を残せることになってよかったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110007/

父 Smart Strike はアメリカにおける Mr.Prospector 系の代表格。リーディングサイアーの経験もあります。Curlin(米年度代表馬)、English Channel(BCターフを含めて芝G1を6勝)、Lookin At Lucky(プリークネスS)、Fleetstreet Dancer(ジャパンCダート)などを送り出し、芝・ダートを問わず成功しています。

ブレイクランアウトは「Smart Strike×フレンチデピュティ」という組み合わせ。母の父が Deputy Minister 系、という配合は前出の Curlin と同じです。
http://www.pedigreequery.com/curlin

母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。
http://www.pedigreequery.com/queue2

父母どちらかにおもしろい凝縮のある馬は、種牡馬でも繁殖牝馬でも私の好みです。たとえば、名馬 Native Dancer を産んだ Geisha などがそうですね。その母 Miyako には多重クロスが見られます。
http://www.pedigreequery.com/geisha

70年代末から80年代前半にかけて、地方競馬ではタガワ四兄弟(タガワエース、タガワキング、タガワテツオー、タガワリュウオー)が大活躍しましたが、その母コーホールも同パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1955101937/

笠雄二郎さんの「4分の1異系配合」という考え方は、視点を変えれば、こうした配合パターンをもカバーできうるものではないかと思います。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://www.tescogabby.com/index.htm

2010年11月 5日 (金)

東京競馬場でオープン型レーシングセミナー

11月6日(土)、東京競馬場メインスタンド3Fセンターコートにて、「オープン型レーシングセミナー」が開かれます。

JRAのホームページから引用します。

「今までの当日のメインレース予想とは一味違った内容の競馬セミナーを行います。パドックや返し馬の見方、血統、穴馬の見つけ方等、競馬解説者やトラックマン、競馬記者が競馬予想のヒントとなる講座を行います。どなたでもご自由にご参加できます。」
http://www.jra.go.jp/news/201010/102506.html#3_1

10時30分ごろから14時30分ごろの間に1日5回、出演者がファンの皆さまの前でトークを行います。1回の講座につき1人の出演者が15分程度しゃべります。

私の出番は10時30分と13時30分の2回で、1回目は「新馬戦の狙い方」、2回目は「長距離戦の狙い方」について。よろしければどうぞいらっしゃってください。10時30分だと誰もいないだろうなぁ……。

なお、この企画は、11月28日(日)のジャパンC当日まで毎土日、継続して行われます。再度出番があるかもしれませんし、ないかもしれません。来週以降のスケジュールは未定です。

2010年11月 4日 (木)

JBCスプリント&クラシック

好天微風で適度に暖かい、という一年に何度もないような絶好の競馬日和。スプリントもクラシックも逃げ圧勝でした。

★JBCスプリント(G1・ダ1000m)は単勝1.2倍のサマーウインド(父タイキシャトル)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=tFQJlkDkLRM

1400mではラストが甘くなる馬ですが、1200mではかなり強く、1000mではもっと強いということですね。圧巻でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005103763/

母シンウインドはスワンS(G2・芝1400m)、京王杯スプリングC(G2・芝1400m)を勝ったスピード馬。スワンSはデビュー2年目の武豊騎手を背に2~3番手追走から直線でスパッと抜け出しました。完璧だなぁ~と思った記憶があります。今年の夏に函館スプリントSを勝ったワンカラットに破られるまで、22年にわたって函館芝1200mのレコードホルダーでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984103836/

シンウインドの母の父ウエスタンウインドは Gallant Man 産駒。Gallant Man は Mah Iran≒Mahmoud 2×2という配合ゆえか、気性の激しさとスピードを伝える血統です。サクラバクシンオーの3代母の父でもあります。同馬のスプリント能力は Gallant Man に負う部分もあるのではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/gallant+man

イギリス産馬ながらアメリカで大活躍した馬なのでパワーがあり、日本における代表産駒の1頭メイワキミコ(スプリンターズS-2回)は、中山ダ1200mで樹立した1分09秒2のレコードを21年間保持しつづけました。サマーウインドに備わっているダート短距離の適性はこのあたりに由来するのかなと思います。

★JBCクラシック(G1・ダ1800m)は4番人気のスマートファルコン(父ゴールドアリュール)が7馬身差の逃げ切り勝ち。最後の2ハロンは13秒3-13秒6とバテていましたが、前半5ハロンをなんと58秒1(11秒3-11秒1-11秒7-11秒8-12秒2)で行ったため、フリオーソ(1番人気)以下の後続はなし崩しに脚を使わされる形となり、逃げ馬に迫る馬は最後まで現れませんでした。末脚に賭けたシルクメビウス(2番人気)も脚が上がり4着。まるでアメリカ競馬のような壮絶なサバイバル戦でした。
http://www.youtube.com/watch?v=JPiRtH3igpQ

スマートファルコンは08年のJBCスプリント(G1)の2着馬。スプリントとクラシックの双方で連対した初めての馬となります。重賞11勝目ですがG1タイトルは初めて。父ゴールドアリュールはファーストクロップから3頭目のG1馬を出したことになります(ほかの2頭はエスポワールシチー、オーロマイスター)。スマートファルコンの半兄には東京大賞典(G1・ダ2000m)を勝ったワールドクリーク(父マジックミラー)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/

2010年11月 3日 (水)

先週の新馬戦(後)

10月30日の土曜日は、台風接近のため東京競馬が中止となり、京都競馬場で2鞍の新馬戦が行われました。

■土曜京都5R(ダ1400m)▲ホークウォリアー(2番人気)

勝った▲オウエイバスター(2番人気)の父オンファイアは、ディープインパクトの全弟。今年の2歳世代が初年度産駒で、すでにシゲルキョクチョウ(小倉2歳S-2着)を出しています。オウエイバスターとシゲルキョクチョウは Raja Baba を持っているという点で共通しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101947/

10月29日のエントリー「ディープ産駒 Sunday Bess、英デビュー戦で2着」のなかで、ディープインパクトと Raja Baba の関係についてちょっと触れたのですが、やはり合うのかなという感じがします。ちなみに、母方に Raja Baba を持つディープインパクト産駒にはドナウブルー、エアジョイントがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102787/

◎ホワイトスパルタン(5番人気)は3着。最内枠で出遅れるという苦しい競馬でしたが、最後は大外からよく追い上げました。まともに出ていたら2着でしたね。配合的におもしろいところのある馬なので次走以降も注目したいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101359/

■土曜京都6R(芝2000m)△サンビーム(4番人気)

1着△サンビーム(4番人気)、2着△ユニバーサルバンク(2番人気)はいずれもネオユニヴァース産駒。

芝新馬戦における同産駒の距離別連対率は以下のとおり。

芝1200m 14.8%
芝1400m  4.3%
芝1600m 16.2%
芝1800m 18.3%
芝2000m 30.6%

距離が延びたほうがいい、ということが数字に表れています。ネオユニヴァースはローカルを苦手とし、中央開催を得意とする種牡馬です。とくにローカルの短距離戦はまったくダメ。このカテゴリーは走らないので、早い時期の新馬戦は苦戦する傾向が見られます。ですが、秋になって中央開催となり、距離が延びれば成績が上昇してきます。ロジユニヴァース(日本ダービー)、オールアズワン(札幌2歳S)、サンビームの共通点は母方に Danzig を持っていること。パワーが持ち味でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101745/

◎オンリーザブレイヴ(5番人気)は8着。ディープインパクト産駒で、Burghclere≒Height of Fashion 3×4というクロスを持ちます。四位騎手は「今日は伸び切って走っていた」(週刊競馬ブック)と語っているように、終始ワンペースの走りに見えました。仮に上記のクロスが鈍重さを与えるものだとしたら問題ですね。初戦だけでは何ともいえないので次走を見てみたいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102980/

2010年11月 2日 (火)

先週の新馬戦(前)

先週は日曜日と月曜日の新馬戦予想が好調でした。◎を打った5頭がいずれも勝利。マグレ気味であったことは認めますが(笑)、悪天候のなかまずまずいい予想ができたと思います。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

■日曜福島3R(芝1800m)◎チェリオス(1番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106160/

「◎チェリオスは『シンボリクリスエス×オペラハウス』という組み合わせ。台風の影響で日曜日の福島は道悪が予想される。本馬は道悪の鬼サドラーズウェルズを父にもつオペラハウスを母の父に持ち、パワーとスタミナにあふれた配合構成。条件的にぴったりだろう。」

◎△で馬単2790円、◎△○で3連単15390円的中。

■日曜京都5R(芝1800m)◎ダコール(4番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104798/

「◎ダコールは『ディープインパクト×アンブライドルド』という組み合わせ。これは先週の京都新馬戦(芝1800m)を勝ったダノンバラードと同じ。半姉ルシュクルはファルコンS(G3)3着馬で、母アジアンミーティアはアンブライドルズソングの全妹にあたる。ガルフストリーム≒ヘリオポリス6×6はサンデー系の必勝パターン。『ディープインパクト×アンブライドルズソング』のサイレントソニックがデビュー戦を勝ち上がっているので、それと似た配合の本馬も初戦から勝ち負けだろう。」

◎○で馬単2960円的中。

■日曜東京3R(芝1400m)◎ダンスファンタジア(1番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102910/

「◎ダンスファンタジアは『ファルブラヴ×サンデーサイレンス』という組み合わせで、母ダンスインザムードは桜花賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)などを勝った名牝。『ファルブラヴ×サンデー』は芝新馬戦で連対率34.8%と好成績を挙げている。リース≒メノウの全きょうだいクロスを持っているが、これはファルブラヴ産駒の成功パターンのひとつ。稽古で動いており初戦から動けそう。」

◎△で馬単490円、◎△○で3連単2240円的中。

■日曜東京4R(芝1600m)◎カインバティック(7番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103214/

「◎カインバティックは『シンボリクリスエス×クラフティプロスペクター』という組み合わせで、母タイキジュリエットは準OPまで出世した活躍馬。父シンボリクリスエスは東京芝1600mの新馬戦で連対率36.4%と走っている。母はパワフルな血で構成され、現役時代に道悪を得意とした。台風の影響はむしろプラスに作用するだろう。」

◎○で馬単13610円、◎○★で3連単78920円的中。

■月曜東京5R(ダ1400m)◎ホークウォリアー(2番人気)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110098/

「◎ホークウォリアーは『エーピーウォリアー×ロアー』という組み合わせ。父エーピーウォリアーはサンフェリペS(米G2・ダ8.5f)、ラホヤH(米G2・ダ8.5f)の勝ち馬で、今年の2歳世代が初年度産駒となる。出世頭のフェイスカ(ステークス勝利)と本馬は、いずれもオーシャンアンサー≒ストームバードの4分の3同血クロス、セクレタリアト、フォーティナイナーを持っており、配合構成が酷似している。いかにも初戦駆けしそうな血統で、エーピーインディ系なので脚抜きのいいダートは上手いだろう。」

◎▲で馬単1480円、◎▲△で3連単5490円的中。

このなかで注目したいのはダコール(父ディープインパクト)とダンスファンタジア(父ファルブラヴ)。どちらも先々まで楽しめそうです。

ディープインパクトは先週終了時点で20勝。10月中に20勝に到達した新種牡馬は史上初めて。父サンデーサイレンスは新種牡馬だった94年の同じ時期に19勝でした(出走回数はディープインパクトの7割弱ですが)。

新種牡馬に限らないJRAの2歳戦勝利数記録は、04年にサンデーサイレンスが樹立した54勝。このときは10月終了時点で25勝でした。ディープインパクトはこのまま順調にいけば40勝に手が届くかもしれません。新種牡馬記録が30勝ですからこれを大幅に更新するペースです。ただ、ハーツクライに突然ブレーキが掛かったように(ここ3週勝利なし)、何が起こるか分からないのが競馬です。とりあえず年末まで1日1勝ずつなら36勝です。

2010年11月 1日 (月)

天皇賞・秋はブエナビスタ

4歳秋を迎えてようやく“完成形”になったという印象ですね。完璧なレース、文句なしの強さでした。00年以降の天皇賞・秋のなかでは最も鮮やかな勝ちっぷりだったと思います。牝馬らしいコンパクトな馬体のどこにあれだけの力が秘められているのでしょうか。おそらく筋肉の質が素晴らしいのでしょうね。繁殖牝馬としての価値は“priceless”です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/

予想は◎△で的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想を転載します。

「◎ブエナビスタは『スペシャルウィーク×カーリアン』という組み合わせ。母ビワハイジは阪神3歳牝馬S(G1)の勝ち馬で、半兄アドマイヤオーラとアドマイヤジャパンは重賞ウィナー。近い世代にサンデーサイレンス、カーリアン、サンタルチアーナを持つ配合構成はレッドディザイア、ジョーカプチーノと同じ。まさに名馬という配合だ。距離やコースを問わないオールラウンダーで、最後はキッチリ伸びてくるので信頼性が高い。
 東京競馬場の芝コースは今週からBコースを使用し、土曜日の競馬が行われないためインコースの馬場状態は良好。ただでさえ内枠の先行馬が有利なところへ、雨が上がるとインコースから乾いていくという東京芝コースの特殊事情が加わり、おそらくインが止まらず外が伸びないというコンディションになるはず。近走のブエナビスタは位置取りの融通性が出てきているので好位で競馬をするだろう。レース直前には稍重~重ぐらいまで回復すると思われる。これぐらいの馬場なら問題なくこなす。」

レッドディザイア、ジョーカプチーノと比較する箇所は、血統表を見ないと分かりづらいので以下に掲げます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100529/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ブエナビスタ ―――┤ ┌ Caerleon
          └○┤
            └○┐
              └ Santa Luciana

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
レッドディザイア ―┤ └○┐
          │   └ Santa Luciana
          │ ┌ Caerleon
          └○┘

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
          │ └○┐
ジョーカプチーノ ―┤   └ Santa Luciana
          │   ┌ Caerleon
          │ ┌○┘
          └○┘

この構造には何か特別なものがありそうです。

マンハッタンカフェはサンデーサイレンスと Santa Luciana を併せ持ちます。したがって、母方に Caerleon が入ると自動的にトライアングルが完成します。このニックスからはレッドディザイア、ジョーカプチーノのほかにも多くの活躍馬が出ています。10月19日のエントリー「府中牝馬Sはテイエムオーロラ」でも説明しておりますのでご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-3a36.html

△ペルーサ(4番人気)の追い込みには度肝を抜かれました。来年、もし海外に出たらどこでも勝っちゃうんじゃないか……とさえ思いました。今年の春、陣営から「ダービーのレース内容によっては凱旋門賞に遠征するかも」というプランが明かされ、一次登録を済ませた経緯があるので、2011年の秋はロンシャンが目標になるかもしれません。次走について藤沢和雄調教師は、ジャパンCに出るか年内を休養に充てるかオーナーと相談して決めると語っています。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!