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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年10月20日 (水)

アラブの血を持つ2歳馬ゴーディー、本日大井で出走

15年前にJRAのアラブ系競走が廃止されたあと、馬資源の減少から地方競馬でも徐々に廃止するところが増え、現在ではアラブ系限定の競走は存在しません。

かつては、アングロアラブのトップクラスがサラブレッドを負かすことも珍しくありませんでした。中央競馬ではセイユウがセントライト記念に勝ち、南関東ではイナリトウザイ(東京盃)、ヨシノスカレー(報知グランプリC)、ホーエイヒロボーイ(報知グランプリC)、コスモノーブル(報知グランプリC)、トチノミネフジ(報知グランプリC)がサラブレッドを破って重賞を制覇しました。
http://ahonoora.web.fc2.com/seiyu.html
http://ahonoora.web.fc2.com/inari_touzai.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1982501096/

ですから、アラブ系競走が廃止されたといっても、サラブレッドと同等のレベルにあるトップクラスのアングロアラブを、生産者が見捨てたわけではありません。名牝クラスの馬はしっかり繁殖入りし、サラブレッドとの間に産駒を送り出しています。当ブログでもこの話題は一度取り上げました(09年12月9日のエントリー「アラブの名牝の子トライバルシンが新馬戦5着」)。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/post-6670.html

本日、大井競馬9Rのくまたか特別(19時40分発走)に、ゴーディーという2歳馬が出走します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008200010/

父は1世代16頭の産駒を残して乗馬に転身したプレシャスカフェ。この馬はCBC賞(G2)とシルクロードS(G3)を勝ったサラブレッドです。一方、母イケノエメラルドは、アラブダービー(笠松)、アラブ王冠(名古屋)、アラブギフ大賞典(笠松)など60戦27勝の成績を残したアングロアラブ。母の父コノミテイオーは楠賞全日本アラブ優駿(園田)の勝ち馬です。

母イケノエメラルドはスカレー4×3。スカレーは70年代から80年代にかけて活躍したアラブの名種牡馬ですが、種牡馬生活の前半はタガミホマレに、後半はスマノダイドウとキタノトウザイ(父スカレー、母イナリトウザイ)の二強体制に阻まれ、一度もリーディングサイアーの座に就けませんでした(78年から86年まで9年連続2~3位)。しかし、優れた資質を伝える種牡馬であることは間違いなく、全日本アラブ大賞典、アラブーダービー、アラブ王冠賞などを勝ったオオヒエイは「スカレー2×2」です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986501490/

アラブの血を持つ馬(「サラ系」に分類)は、地方競馬においてはさほど珍しい存在ではありません。くまたか特別の出走馬にはもう1頭、エースキッドという馬がアングロアラブの母を持っています。しかし、ゴーディーについて特筆したいのはその実力。1番人気に推された前走の準重賞ゴールドジュニアー(OP・ダ1400m)では、不利な大外枠からロケットスタートでハナに立ち、2着に逃げ粘りました。いずれ重賞に出走してくるでしょう。

今回はメンバー的に楽になるとはいえ、ダービー馬サニーブライアンの半弟で1戦1勝のリアリゼーション(父ファンタスティックライト)などは、明らかに格下ではありますが不気味な存在です。面白いレースになりそうです。

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アラブの血を持つ2歳馬ゴーディー、本日大井で出走を参照しているブログ:

コメント

おはようございます。
栗山さんがトライバルシンについてブログで取りあげられてから母トライバルサンダーは我が地元兵庫の馬でしたし注目して見ていました。他にもアラブの名牝から今もまだ生産されているのですね。
2002年兵庫大賞典でアラブのサンバコールがサラブレッド相手に吉田アナの絶叫と共に差しきったレースは印象に残っています。
個人的にアングロアラブVSサラブレッドという構図を残してほしかったなと思ってます。

こうやってまだアラブの血が残っててくれるのは嬉しい事ですし、栗原さんも生前、喜ばれていらっしゃいました。
告別式の際、栗原さんの棺の中にセンジュ、マスホマレ、タガミホマレ、アサヒマロット、タイムライン、スカレー、ポートスーダン、スマノダイドウ、ホクトライデン、エビタカラ等のアラブのコピーを10枚ぐらい入れさせてもらいました。

>たくぼん様

アラブがサラブレッドを破るときの興奮は独特のものがありますね。探してみたらYouTubeにありました。吉田アナ、3コーナーから熱いですね~。お気に入りに入れてしまいました(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=DPmWvc1gmFw

ヨシノスカレーが報知グランプリCを勝ったときもアナウンサー大興奮だったような記憶があります。「ヨシノスカレーが差し切った~!!」と絶叫していたような……。

>キングトップラン様

栗原さんはアラブも大好きでしたね。とくにホクトライデンがお気に入りだったんじゃないかと思います。この馬について語るときはホントに楽しそうでした。アラブ黄金期をリアルタイムで見ていらっしゃったので、そのほかの馬についても語り出すと止まらない感じでした。貴重な証言だったので許可を得て録音しておくべきだったかなと。

栗原さんのお宅へお邪魔した際にも、アラブについて語り合えました。
アラブがサラブレッドを破るレースは見てて気持ちが良かったです。

あらためて見させていただきました、炸裂してますねー吉田節(笑)。
最近は実況するレース数が減ってますがまだまだ姫路、園田競馬を盛り上げてほしいです。

サンバコールとサンクリント兄弟は園田の現場で見たので、めちゃめちゃ懐かしい!当時の興奮が蘇りました。
アラブ廃止に関しては、素人が口を出したらイカンと思うんで…一つ言えるのは、昔からのファンがアラブで蓄えていた知識、蘊蓄を活かす機会を奪ってしまったことではないでしょうか。
私は2001年から園田競馬と付き合いが始まったんですが、当時はサラとアラブのレースが半々で、とにかく迫力があったのが新鮮でした。直線馬群の叩き合いがすごかった。競馬はタイムのいい・悪いだけが面白さじゃないんだと気付かされました。
プラス吉田アナの実況ですね。園田競馬の宝です。あのなんとも言えない抑揚と『交わす…交わしたぁ~~ゴ~~ルインッ』の声が最高です。馬券ハズレて(笑)こんなカタルシスが味わえるんだ、と感動したものです。
楽しい映像をご紹介いただき、ありがとうございました。

>ダンディ“ゲッツ”さっさん様

私は園田には3回しか行ったことがありません。スタンド裏にある売店長屋のあたりをぶらぶらしていると、「いいなぁ~、これが競馬だなぁ~」という感慨が思わず沸き起こってきます。ノスタルジックな部分と殺伐とした部分の交わり合いが絶妙なんですよね。ホントいい味出してます。

レース結果を書き忘れていました。

くまたか特別2歳選抜(大井ダ1400m)

1着 エースキッド(2番人気)
2着 キヌガサヒーロー(4番人気)
3着 ゴーディー(1番人気)

1番人気を背負ったゴーディーは好位からの競馬を試みたのですが3着。追って伸びるタイプではないので、やはり逃げたほうがいいですね。勝ったエースキッドはゴーディーと同じく母がアングロアラブです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008200016/

母の半兄にとちぎアラブ大賞典の勝ち馬サカノタイム、2代母の全兄に北関東アラブ大賞典の勝ち馬スズカゼがいます。母の父ダイリキホマレは全日本アラブ大賞典の勝ち馬です。

サカノタイムにスズカゼとまさに宇都宮血統ですね。
宇都宮出身のアラブと言えば、やはりトチノミネフジになるでしょうが、ホマレスターライツやイーシーキング等の強豪もいましたね。写真と当時の競馬関係者からの話でしか分かりませんが、オオタワラオーはかなり強かったらしいです。

>キングトップラン様

南関東にやってきたトチノミネフジは、周知のとおり呆れるほど強かったですね~。サラブレッド以上に人気がありましたし、実力のほうも……と思ってふとサラブレッド相手に重賞を勝っていることを思い出しました。調べてみると、ホーエイヒロボーイとコスモノーブルのことをすっかり忘れていたことにも気付きました。本文のほうを訂正させていただきます。

報知グランプリカップが開放された理由は、ホクトライデンがきっかけだというのを月刊地方競馬で見ました。
アラブが初めて出走したのは、確かミマツホマレだったと思います。

なるほど、そうなんですか。競走体系にも影響を与えたホクトライデンはやはり偉大ですね。ミマツホマレはリアルタイムで見ていません。勉強になりました。ありがとうございます。

私は筆者さんより全然競馬歴が無いので、競馬を見始めた頃はトチノミネフジが走っていた頃で、東北地区ではミスターホンマルとサバンナテイオーが「アラブ版のトウケイニセイVSモリユウプリンス」みたいな感じで活躍していました。
私が生で観たアラブで一番衝撃を受けたのは、アラビアンエースというアラブでした。
脚部不安で泣いた馬でしたが、この馬ならサラブレッド相手でも面白いと、担当されていた厩務員さんに言っていたのを思い出します(笑)

アラビアンエースの成績を調べたのですが、たしかに競走生活の晩年は飛び飛びの出走になっていますね。無事なら全日本アラブ大賞典でもいい勝負をしたかもしれませんね。

大跳びの馬だったので、三条コースは本当にダメだったんです。
なので楠賞じゃ全然ダメだったでしょうが、全日本アラブ大賞典なら面白かったと思います。
第1回のセイユウ賞にも使う予定でしたが、この時も脚部不安で回避したはずです。

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