ドイツ血統と Sadler's Wells
土曜日の青葉賞(G2)には、ドイツ血統を持つ2頭の外国産馬が出走します。ミッションモードとリリエンタールです。並べてみるとその共通性は一目瞭然、2代目に Sadler's Wells と Monsun があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110046/
┌ Sadler's Wells
┌○┘
ミッションモード ―┤ ┌ Monsun
└○┘
┌ Sadler's Wells
┌○┘
リリエンタール ――┤ ┌ Monsun
└○┘
Sadler's Wells は、ここ20年ほどヨーロッパのクラシックディスタンスに君臨する大種牡馬。Monsun は、昨今の“ジャーマン・インヴェイジョン”とでもいうべき現象の中心的存在です。
4月22日のエントリーで次のように述べました。
「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。」
Sadler's Wells とドイツ血統の相性は抜群です。
ドイツ血統の母から誕生した女傑 Urban Sea(凱旋門賞)は、Sadler's Wells との交配で Galileo(英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)を産みました。
http://www.pedigreequery.com/galileo4
Monsun は、Sacarina という牝馬との間に、Samum(独ダービー、バーデン大賞)、Salve Regina(独オークス)、Schiaparelli(独ダービー、オイロパ賞ほか)という3きょうだいを誕生させていますが、Sacarina の父はオールドヴィック、すなわち Sadler's Wells の息子です。
http://www.pedigreequery.com/samum
独ダービー馬は、06年(Schiaparelli)、07年(Adlerflug)、08年(Kamsin)と3年連続で Sadler's Wells とドイツ血統の融合から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/schiaparelli4
http://www.pedigreequery.com/adlerflug2
http://www.pedigreequery.com/kamsin2
このほか、Hurricane Run(凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、愛ダービー)、Fame and Glory(愛ダービー、クリテリウムドサンクルー)、Night Magic(独オークス)、Creachadoir(ロッキンジS)、Lateral(グランクリテリウム)といったG1ホースがこのパターンに当てはまります。
http://www.pedigreequery.com/hurricane+run
http://www.pedigreequery.com/fame+and+glory
http://www.pedigreequery.com/night+magic3
http://www.pedigreequery.com/creachadoir
http://www.pedigreequery.com/lateral2
日本のレッドディザイア(秋華賞、アルマクトゥームチャレンジラウンド3)とジョーカプチーノ(NHKマイルC、ファルコンS)も忘れることはできません。いずれもドイツ血統を含むマンハッタンカフェを父に持ち、母方に Sadler's Wells が入ります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100529/
Sadler's Wells もドイツ血統も、基本的にヨーロッパの深い芝を得意とするだけに、これをそのまま日本に持ってきても、出番は道悪だったり、良馬場では鋭さ負けしたりといった特徴が表れてしまうでしょう。
レッドディザイアとジョーカプチーノには、瞬発力に秀でたサンデーサイレンスと、堅い芝に強い Caerleon が入ります。こうしたプラスαがあれば日本でも十分に戦うことができます。ミッションモードとリリエンタールに関していえば、上記のようなジャパナイズがやや足りないかな……という気がします。