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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年5月

2010年5月31日 (月)

日本ダービーはエイシンフラッシュ

大相撲の優勝決定戦が立ち会いのはたき込みで終わってしまったような、そんな虚無感を覚えました。もちろん、ダービー勝利の価値が減ずるものではありません。レースを観戦する側として「う~ん……」という割り切れなさを感じたということです。

馬群が欅の向こうにさしかかり、1600mの通過が目視で1分41秒ぐらい。何かの間違いではないかと思いました。不良馬場だった昨年よりもさらに遅い極端なスローペースです。

優勝した△エイシンフラッシュ、2着ローズキングダムは、こういうレースに適性があったということです。スローペースでスムーズに折り合い、脚をためて最後に爆発させるという能力が問われたレースでした。スタミナはあまり関係ありませんでしたね。ちなみに1、2着馬は Kingmambo の直系の孫です。

エイシンフラッシュは「King's Best×Platini」という組み合わせ。父 King's Best は英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬で、歴史的名牝 Urban Sea(現役時代に凱旋門賞を勝ち、繁殖牝馬として Galileo や Sea the Stars を送り出す)の半弟です。母ムーンレディは牝馬ながら独セントレジャー(G2・芝2800m)を勝ちました。その父 Platini は93年のジャパンCで4着となっています。父母双方にドイツ血統が色濃く流れているのが特徴。皐月賞の差し脚は迫力十分ながら、良馬場の切れ味勝負ではサンデー系に対して分が悪いだろうと感じていたので、このメンバー相手に上がり32秒7で突き抜けたのは驚きです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102951/

4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」から一部を抜粋します。

「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。

現代における最も重要なドイツ血統は、1974年に誕生した Surumu でしょう。『スタミナはあるが重く、道悪が上手でスピードに乏しい』といった旧来のイメージから脱した、現代性を帯びたドイツ血統です。スピードがあり、堅い馬場も苦にしません。Surumu の2代母 Suncourt はテスコボーイの母でもあります。Monsun は、母の父に Surumu があってこそ世界的な成功を収めることができたのだと思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html

エイシンフラッシュの母の父は Platini、その父は Surumu です。このあたりの血は、引用箇所で触れたように素軽さがあり、堅い馬場にも対応します。母ムーンレディはひょっとしたら名牝かもしれませんね。1歳下の半弟はアグネスタキオン産駒。「栗山ノート」のアグネスタキオン産駒部門で1位に挙げています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103023/

◎ヴィクトワールピサはこのペースで好発から徐々に位置取りを下げるという不可解な競馬をし、向正面では若干折り合いを欠いていました。○ペルーサは見てのとおりスタートから誤算の連続で力を出しきっていません。今回のレースは不可抗力に近い事故のようなものととらえています。個人的にこの2頭の評価は下げません。

レースが終わり、検量室のなかで11R富嶽賞の騎乗馬を待つ岩田騎手は、重圧からの解放感からなのか思いのほか晴れやかな表情でした。騎手仲間と屈託無く笑い合う姿が印象的でした。ただ、検量室を出たあと、面識のある女性記者とのやりとりでは「悔しいけど、しゃあないもん」と絞り出すように答えていました。

もうひとり、検量室から四位洋文騎手が出てきたので記者が取り囲みました。いくつかの質問に丁寧に答えたあと、ほかの騎手の心理を代弁して最後にこう締めました。

「今日はみんな悔しいんじゃない? 勝った騎手以外は」

最終レースまで馬券を楽しんだあと、京王線で新宿へ出ました。望田潤さんなど競馬通信社の元同僚数名と飲み会。誰ひとりダービーを当てた人はいませんでした。《馬鹿話9:競馬論1》ぐらいの割合で夜遅くまで楽しいひとときを過ごすことができました。

2010年5月30日 (日)

ダービー前の雑感

ダノンシャンティの骨折は残念でしたが、幸い軽度なものだったので秋には復活してほしいですね。うまくいけば毎日王冠→天皇賞・秋→香港マイル→ドバイデューティーフリーの路線でしょうか。世界の舞台で十分戦えるレベルにある馬なので、夏のあいだはじっくり体を癒してほしいものです。

さて、日曜日のダービー。30日(日)の0時10分現在、東京競馬場に雨は降っていません。東京アメッシュというサイトで観察していると、奥多摩町や青梅市あたりがときどき雨の通り道になっているほか、23区の南部から東部にかけても雨が降り始めています。ただ、その中間の府中市近辺はうまく雨雲が避けられています。降ったとしても霧雨程度でしょうか。
http://tokyo-ame.jwa.or.jp/

もしこのままいけばグッドコンディションでレースは行われそうです。土曜日の東京芝は、ごくわずかながら内側を通った馬が伸びていた印象ですが、日曜日は本番までに4レース消化するので、どこを通っても有利不利はないでしょう。

仮に多少降ったとしても、ゼンノロブロイ産駒は総じて道悪が上手ですし、ヴィクトワールピサについてはあえていうまでもありません。両雄にとってマイナス材料にはならないと思います。30日(日)の0時10分現在、単勝オッズはペルーサ2.5倍、ヴィクトワールピサ2.6倍。大接戦です。

ちなみに、99年のダービーは、ナリタトップロードとアドマイヤベガが3.9倍で並び、票数の差で前者が1番人気となりました。結果は、アドマイヤベガが1着、ナリタトップロードが2着。のちの年度代表馬テイエムオペラオーは4.2倍の3番人気で僅差の3着でした。“三強”に祭り上げられた3頭がそれぞれ持ち味を発揮してワン・ツー・スリーでフィニッシュ。思い出深いレースです。
http://www.youtube.com/watch?v=CFObzEWWHZI

2010年5月29日 (土)

すでに始まっている地方競馬の2歳戦

ブログを始めて気がついたのですが、大レースの前は意外と書くことがありません。有力馬の血統については以前にあらかた書いており、それ以上のことを書くとなると限りなく予想に近くなってしまいます。予想めいたことを事前に書くと、私の予想を売っていただいている方々にご迷惑をかけてしまうので、どうしても自粛せざるをえません。

というわけで、無難にPOGの話題を……。

JRAに先駆けて、すでに4月28日から北海道(門別)で2歳戦が始まっています。5月25日には兵庫(姫路)でも始まりました。5月27日時点で勝ち星を挙げている新種牡馬は以下の3頭。

スニッツェル〔1・0・0・0〕
ソングオブウインド〔1・0・2・1〕
ルールオブロー〔1・1・0・3〕

スニッツェルは、オーストラリアのリーディングサイアー Redoute's Choice の子。赤本の企画で“ディープインパクト以外で注目してみたい新種牡馬”として挙げた馬です(139頁)。その一部を抜粋します。

「はっきりと距離の限界があるので、クラシック云々というタイプではない。サクラバクシンオーと同じカテゴリーの種牡馬と考えればいいだろう。脚の回転の速さを活かして夏のローカルからガンガン走ってくるはず。“スニッツェル旋風”を巻き起こす可能性もあるのではないか。」

5月26日、門別8RのJRA認定フレッシュチャレンジ2歳新馬(ダ1200m)に出走したフロレアルは、9頭立ての6番人気ながら2着を8馬身ちぎって勝ちました。
http://www.chihoukeiba.jp/hokkaido/meta/vod/36/2010/05/26/362010052608.asx

おそらく稽古では動かず実戦で変わり身を見せたのでしょう。このパターンは中央でも見られるかもしれないので要注意です。2歳戦ではかなりやれそうな雰囲気を感じさせる種牡馬です。フロレアルは、母フロレアーナが「ダンスインザダーク×ノーザンテースト」というスタミナ型。父のスピードを受け止めるには悪くないですね。Nijinsky≒Storm Bird 5・4×4です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102555/

ソングオブウインドは現役時代に菊花賞を勝ちました。初勝利を挙げた産駒モルフェソングエルはサンデーサイレンス3×3です。このクロスはこれから先どんどん目にする機会が増えていくのでしょうね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102540/

ルールオブローは現役時代に英セントレジャーを勝ち、英ダービーでも2着となったスタミナタイプ。キングカメハメハやエルコンドルパサーと同じ Kingmambo 産駒です。初勝利を挙げたキングロッキーは、母の父がフォーティナイナーで Mr.Prospector 3×3。父はスピード面の懸念を抱えているのでこのクロスはいいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103436/

このほかの主な新種牡馬の成績は以下の通り。

オンファイア〔0・1・1・3〕
スズカマンボ〔0・0・3・1〕
テレグノシス〔0・0・1・0〕
デビッドジュニア〔0・0・0・1〕
タイムパラドックス〔0・0・0・1〕
リンカーン〔0・0・0・5〕

ちなみに、去年のこの時期に勝ち上がっていた新種牡馬は、ウインデュエル、ウインラディウス、スパイキュールです。ゼンノロブロイ産駒はまだデビューしていませんでした。

2010年5月28日 (金)

桑島孝春騎手、本日ラストライド

71年のデビュー以来40年。本日の浦和競馬をもって桑島孝春騎手が騎手生活に別れを告げます。

第2R(13時20分発走):ウラヌス
第5R(14時50分発走):テラノセキト
第8R(16時35分発走):ハローオンザヒル

桑島騎手については1月16日のエントリー「桑島孝春騎手、地方競馬初の通算40000回騎乗達成」でも採り上げました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-2e26.html

最終レース終了後、18時30分頃からゴール板前走路でセレモニーが行われるそうです。

2010年5月27日 (木)

ペルーサの“弱点”

昨年の赤本のクロスレビューで、デビュー前のペルーサについて「ダートに活路を見出す可能性も」と記しました。これを書いた当時、種牡馬ゼンノロブロイについてやや懐疑的な見方をしていました。母ローミンレイチェルが芝向きとはいえないアメリカ血統で構成されているので、産駒は案外ダートにフィットするのでは、と――。

しかし、ロブロイ産駒がデビューしてみると芝適性に関して問題はなく、ペルーサの新馬戦のレースぶりも大物としかいいようのないものでした。イメージしていた馬とはまったく異なり、力馬っぽさは欠片もありません。均整のとれた馬体と、そこから繰り出す弾むようなフットワーク。まさに“目から鱗”でした。血統背景については3月20日のエントリー「ダービーへ一歩前進、ペルーサ」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/03/post-3d05.html

ペルーサがダービーで首位争いをすることは疑う余地がありません。どこからどう見ても名馬です。しかし、弱みがあるとすれば、ここまで一度も負けていないことでしょう。

今年2月4日付の『東京スポーツ』に「魔法のムチ 武邦彦の真実」という連載記事が掲載されました。そこに、往年の名騎手武邦彦さんが、5戦全勝のロングエースで72年の皐月賞に挑んだときの心理が記されています。

「『楽に勝てるやろ』が周囲のムードだった。当然1番人気。でも僕自身は迷いながらの出走だった。

ロングは負けていない弱さがあった。皐月賞までに一つでも黒星を喫していればそこで見えるものがある。課題が見つかる。でも無敗だったがゆえにどこに弱さがあるのかがわからなかった。負ける時のパターンを見いだせずに皐月賞を迎えた。

悪いことに、そんな迷いがレースで馬に伝わってしまった。スタートしてハミをガッチリかんでそのまま折り合いを欠いてしまった。結果はランドプリンスの3着――。

弱さを知ること。何かにチャレンジする際、自分の中にある弱い部分を把握する。それがいかに大事かを痛感した皐月賞だった。

だからダービーは逆に自信満々だった。課題は折り合い面。それさえ注意して乗れば勝てる確信があった。レースはタイテエム、ランドプリンスを見ながら、この2頭よりワンテンポ仕掛けを遅らせてスパートした。今でも当時のビデオを見る時があるんだけど、完璧な騎乗。会心の勝利だったね。」

ここまで楽勝続きのペルーサ。はたして横山典弘騎手はこの馬の“弱点”を把握しているのでしょうか? あるいは、そもそもそんなものは存在しないのでしょうか? ここを難なく勝つようならシンボリルドルフ、ディープインパクトのカテゴリーに含まれる馬でしょう。

2010年5月26日 (水)

ディープインパクトとアメリカ血統

先週の平場で注目したいのは、日曜東京2Rの3歳未勝利戦(ダ1600m)を勝ったカドデュソレイユです。初戦ということもあり、ゲートはのっそり。前半は後方に控え、直線で外に持ち出すと真一文字に伸びて差し切りました。

アグネスタキオン産駒でここまでデビューが遅れ、ダートを使ったことからも察しがつくように、脚もとが丈夫ではありません。しかし、走る才能はあります。ゴール前は飛んでいました。父アグネスタキオンと相性のいい Ribot 系(Alleged)が2代母の父に入り、全体のバランスも良好。昨年の「栗山ノート」でも上位に挙げた好配合馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103228/

この馬の半妹シュプリームギフトは、ディープインパクト産駒のデビュー第1号かといわれている馬です。今年の「栗山ノート」で取り上げ、公開POGや赤本でも指名しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103205/

ディープインパクト産駒は、アメリカ血統をどう入れるかが配合の鍵ではないかと思います。ディープの母系は上品なヨーロッパ血統が主体となっています。配合相手にもヨーロッパの血が強い場合、産駒にはスピード面の不安と、杞憂かもしれませんが馬体が柔らかくなりすぎる懸念が出てきます。ディープインパクト産駒は小柄でやや細身というタイプが目に付くので、アメリカ血統をしっかり入れることで筋力の強化と馬格の充実を図り、スピード面の不安を解消できるという効果が期待できます。ただし、そのサジ加減は、初年度だけに目分量とならざるを得ません。産駒がデビューしていない段階では、種牡馬が本来的に持っているスピードとスタミナに関して、正確に把握することが難しいからです。

シュプリームギフトはそのバランスが良好と感じています。Pocahontas 5×6、Attica≒Dunce 6×6は味がいいですね。
http://www.pedigreequery.com/attica
http://www.pedigreequery.com/dunce

       ┌ Mahmoud
     ┌○┤   ┌ Teddy
     │ │ ┌○┤
Attica ―┤ └○┘ └ Plucky Liege
     │ ┌ Pharamond
     └○┤
       └○┐
         └ Alcibiades

         ┌ Pharamond
       ┌○┤
     ┌○┤ └ Alcibiades
     │ │   ┌ Teddy
Dunce ――┤ │ ┌○┤
     │ └○┘ └ Plucky Liege
     │ ┌ Mahmoud
     └○┘

ディープ産駒の配合を考える際、父のどの部分を強化すればいいかというと、現段階では Alzao の母 Lady Rebecca ではないかと考えています。Pocahontas も Attica も、Lady Rebecca に含まれる血です。

もっとも、このパターンがイマイチだった場合、それに固執することはありません。現実に即して考えを変えていきます。ディープ産駒がデビューし、走っていくにつれ、日々新しい発見があり、認識の変更を迫られることでしょう。

2010年5月25日 (火)

アドマイヤプリンス復活

東海Sのあとに行われた白藤賞(3歳500万下・芝1800m)で、5ヵ月ぶりの出走となったアドマイヤプリンスが6馬身差で圧勝しました。思わず身を乗り出してしまうような強さでした。予想は◎△○で的中。3連単は11760円でした。『web競馬王』に提供した予想を転載します。

「◎アドマイヤプリンスは『アグネスタキオン×ヘクタープロテクター』という組み合わせ。母プロモーションはクイーンC(G3)の勝ち馬で、4分の3兄に青葉賞(G2)と毎日杯(G3)を勝ったアドマイヤメイン(父サンデーサイレンス)がいる良血。休養前の京都2歳Sではヴィクトワールピサと一騎打ちの死闘を繰り広げた実績もある(4着)。久々だがここでは一枚上だろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103331/

昨年のPOGで最も注目を集めた馬の1頭で、去年11月、京都2歳Sでヴィクトワールピサとマッチレースを演じた際のラップは特筆すべきものでした。4ハロン地点から9ハロン地点までの5ハロンを、内アドマイヤ、外ヴィクトワールでビッシリと馬体を併せ、12秒5-12秒4-11秒4-11秒2-11秒2というラップ。尻上がりにペースアップする息の入らない流れです。先に音を上げたのはアドマイヤプリンスで、残り1ハロンで脱落。ヴィクトワールピサはそのままトップでゴールを駆け抜けました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZSjgru-t0OQ

2歳戦でこのラップを刻み、しかも最後の1ハロンを11秒8でまとめたヴィクトワールピサは、この時点でまずクラシック級です。速い脚を長く使いました。後半5ハロン58秒0はきわめて優秀で、2歳の芝2000m戦においてこれより速いタイムを出して勝った馬は、過去にディープインパクトしかいません。

ラストで垂れてしまったアドマイヤプリンスも、ラップの厳しさを考えれば健闘といえるもので、重賞クラスではあるだろうと感じました。続くラジオNIKKEI杯2歳S(9着)の敗因は、激走の後遺症(心理的なものも含めて)も少なからずあったのではないかと推測します。

リフレッシュして帰ってきた今回、どんなレースになるのかと興味津々でしたが、予想をはるかに上回る強さを見せてくれました。母プロモーションは、その父ヘクタープロテクターにはさほど似ず、むしろ母の父 Assert に似た渋いタイプの中距離馬で、重馬場のオークスで4着という戦績もあります。したがって、2400mぐらいまでは守備範囲。小さくまとめてしまうというヘクターの欠点に関しても、それほど心配はいらないのではないかと思います。ヴィクトワールピサにリベンジを挑むためにも、さらなる快進撃を期待したいものです。

2010年5月24日 (月)

「A Wild Ride 競馬・血統Blog」

http://blog.goo.ne.jp/boldirish

作者の takuzo さんは、私が以前働いていた競馬通信社の元同僚。競馬通信社とは血統専門誌『週刊競馬通信』を発行していた会社です。彼は90年代のはじめに1年弱ほど勤務していました。ほぼ同時期に入社したのが血統評論家の望田潤さん。おふたりは会社近くの同じマンションに住んでいました。

血統専門誌の編集部といっても、新しく入ってくる方が血統に詳しいとは限りません。しかし、takuzo さんと望田潤さんは“ホンマもん”でした。takuzo さんは、日高の競走馬生産牧場で生まれ育った生粋のホースマン。ふだんは口数が少なくクールなのですが、気に入った血統表をひとたび眺めると、感に堪えぬ様子で「この配合なまらスゲーわ!」とつぶやき、その理由を滔々と語り始める熱い男でした。「なまら」という北海道弁(とても、かなり、といった意味)は彼から知りました。takuzo さんは北海道弁で、望田さんは京都弁で、私は東京弁で、毎日のように血統について語り合ったものです。私の目の前で takuzo さんと望田さんが殴り合いの大ゲンカを始めたこともあります。まるで青春ドラマですね。

配合論を語らせたらおそらく馬産地で右に出る者はいないでしょう。その知識と洞察の深さはブログをお読みいただければご理解いただけると思います。

東海Sはシルクメビウス

ラスト3ハロンは「11秒9-12秒0-12秒1」ですから、逃げたトランセンドは決してバテたわけではなく、藤田騎手がこれ以上ないという好騎乗を見せたと思います。これを中団追走から外をマクって35秒1の脚を繰り出し、キッチリ差し切るのですからモノが違いました。予想は◎○で的中。馬単は1640円でした。『web競馬王』に提供した予想を転載します。

「◎シルクメビウスは『ステイゴールド×ポリッシュネイビー』という組み合わせ。母チャンネルワンは『ポリッシュネイビー×マルゼンスキー』でブサンダ3×5、さらにそれと血統構成が近いレリックを持っているのでパワー十分。母方のパワーと父方の瞬発力が最良の形で融合し、ハイレベルなダートホースとなった。前走は休み明けのレースとしてはまずまずの内容。休養前の実績からして一度叩いた今回は軸不動。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106156/

昨年暮れのジャパンCダートで、エスポワールシチーに次ぐ○評価としたように、器は相当大きいと判断しています。次は帝王賞でしょうか。エスポワールは回避するとのことなのでまず連を外すことはないでしょう。

2010年5月23日 (日)

オークスは1着同着

ビッグレースの1着同着といえば1992年の帝王賞。ラシアンゴールドとナリタハヤブサが勝利を分け合いました。このとき、前者に乗っていたのが蛯名正義騎手、後者に乗っていたのが横山典弘騎手でした。当時、現場で取材をしていたのですが、ゴール前で外から襲いかかったナリタハヤブサの鞍上の横山典弘騎手は、フィニッシュラインを通過したあとガッツポーズをしました。長い写真判定のあとに同着を告げられた彼は「負けないでよかったよ、ガッツポーズしちゃったし」とつぶやきました。優勝のレイを2頭順番に肩に掛け、関係者がそれぞれ記念撮影していたのを思い出します。
http://www.youtube.com/watch?v=G9z9VdY_efo

奇しくも今回、まったく同じ蛯名正義騎手と横山典弘騎手が1着同着。何という偶然でしょうか。

サンテミリオンは「外枠」を、アパパネは「外枠」と「距離」を嫌い、どちらも△しか打てませんでした。外枠に関しては、雨でインコースが荒れてきていたことで相殺されますが、その分スタミナの要る馬場だったわけで、とくにアパパネの頑張りには脱帽しました。

ゼンノロブロイ産駒は1、3、4着と、3頭が掲示板を占めました。ここまで素晴らしい種牡馬だとは昨年のいまごろは夢にも思いませんでした。欧州血脈が主体の非サンデー系牝馬は、ゼンノロブロイと交配すればたいていうまくいきそうです。

◎アプリコットフィズは6着。現状では勝ち負けに持ち込むだけの力を持ち合わせていませんでした。騎乗した四位騎手は「枠順が出た時には、アパパネもサンテミリオンも外枠だったので、内枠が当たってしめしめと思っていましたが、今日のこの天気、馬場では結果的にアダになったと思います。道中、道悪でバランスを崩していましたから…。いい感じで抜けられましたけど、残り300mで脚が鈍ってしまいました」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。体重が減り続けているので、夏の間に成長してほしいものです。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!