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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

雑談

2011年6月16日 (木)

サラブレッドの多様性は馬場の多様性から生まれる

セントジェームズパレスSを見て感じたのは、欧州マイル路線のレベルの高さ。このカテゴリーはデインヒルや Galileo の縄張りで、これらの種牡馬は現在のヨーロッパ競馬を牽引する役割を果たしています。その優秀さがマイル路線の水準を押し上げているように思います。ここに割って入るのは並大抵のことではありません。しかし、だからといって、この差を埋めるために日本の馬場をヨーロッパ仕様にすべき、という意見にわたしは与しません。

大前提として、高温多湿の気候、馬場の使用頻度の高さから、日本においてヨーロッパと同種の洋芝コースを作ることは不可能です。ただ、もし仮に、日本の競馬場がすべてヨーロッパと同じ仕様になったとしたらどうなるでしょう? おそらく、日本の血統はあっという間に Sadler's Wells やデインヒルに飲み込まれてしまうでしょう。最適化したものがそうでないものを駆逐するのは道理です。そして、わが国の競馬はその独自性を失い、ヨーロッパ競馬のエピゴーネンとして半永久的に川下の立場に立たされるでしょう。

世界各国の競馬にそれぞれ特色があり、さまざまな馬場で競馬が行われているからこそ、サラブレッドの多様性は維持されています。逆にいえば、サラブレッドの多様性を守るには、世界各国でさまざまなスタイルの競馬が行われる必要があります。

サラブレッドの発展の歴史を振り返ればそれは明らかです。スピードを第一義とするアメリカのダート競馬があればこそ、ヨーロッパには見られなかったハイレベルなスピード型遺伝子がサラブレッドに芽生えました。異なる環境で、それに適した血統が発展していくことはきわめて重要です。一芸に秀でたスペシャリストの血はそれほど得がたいものです。自国のサラブレッドが、他のどの国にも見られない優れた個性を獲得したなら、それは大きなアドバンテージです。欧米の後追いによって得られるものよりも重要だと思います。

速い時計が出やすく、瞬発力を活かしやすい日本の芝コースでは、サンデーサイレンス系が圧倒的な勢力を誇っています。この個性はアメリカともヨーロッパともオセアニアとも違います。日本血統が将来、その個性を評価される形で海外から求められていくとわたしは確信しています。高速馬場やそれに適応する日本馬の個性を、批判的な文脈でのみとらえる一部風潮にはやや違和感を覚えます。

高速馬場については昨年6月10日のエントリー「馬の故障と高速馬場」で取り上げています。ご参照くさだい。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-bef1.html

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2011年5月28日 (土)

道悪ダービーのキーポイントは位置取りと馬体重

ロジユニヴァースが勝った2年前の日本ダービーは、レースが終わったあと、某騎手が「こんなもん競馬じゃねぇ」とつぶやいたほどの酷い馬場でした。

現在の東京競馬場は、まだそれほどの量は降っていませんが、予報によれば土曜日は終日雨で、日曜日も雨。時間が経つにつれ雨量が増えていくようなので、2年前と同じく不良馬場になるものと思われます。

不良馬場といっても程度がありますし、内が伸びるのか外が伸びるのか、レース直前にならないと分かりません。力関係がある程度反映されるような馬場であればまだいいのですが、それがまったく関係なくなる極悪馬場になってしまうと手に負えません。何が突っ込んでくるのか神のみぞ知る、です。今週のWIN5は相当な大穴が出そうな予感がします。

ロジユニヴァースが勝ったダービーから得られる教訓は、“前に行った馬が有利”ということです。最初の5ハロンは59秒9。ジョーカプチーノが飛び出したので2番手以下は61秒ぐらいと考えても、2分33秒7という走破時計からすれば遅いペースではありません。しかし、結果は3番手追走のロジユニヴァースが勝ち、2番手追走のリーチザクラウンが2着、5番手追走のアントニオバローズが3着。前につけた馬同士の決着となりました。中団以下につけた馬はナカヤマフェスタの4着が最高着順です。あれだけ馬場が悪化すると、前が止まらないというよりも後ろから差してこれなくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=y37b0nD1Sr4

1~3着馬にはもうひとつ共通点があります。いずれも“500キロを超える大型馬であること”です。1着ロジユニヴァースは506キロ。2着リーチザクラウンは516キロ。3着アントニオバローズは512キロ。極悪馬場をこなすには恵まれた馬格から繰り出すパワーが必要ということでしょう。

結論は『前に行ける500キロ以上の大型馬を狙え!』。切れる脚など必要ありません。求められるのは粘り強さです。フットワークがピッチ走法ならなおいいでしょう。前に行くか行かないかは騎手の心理傾向を読む必要があります。これまで中団から競馬をしていた馬でも、騎手のひらめきによって思い切った戦法をとることも考えられます。この点は注意が必要です。

ウマニティ編集長・岡田大さんのコラム「予想のメキキ」のダービー編に、栗山求を取り上げていただきました。よろしければご覧くださいませ。
http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=2004

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2011年5月27日 (金)

Northern Dancer 生誕50周年

1982年以来、日本ダービーには必ず Northern Dancer 系の出走馬が名を連ねていました。しかし、09年にターニングポイントが訪れます。この年、同系の出走馬が途絶え、28年ぶりに Northern Dancer 系が出走しないダービーとなりました。昨年はメイショウウズシオ、シャインと2頭出走しましたが、今年はまたゼロ。Northern Dancer 系にとって冬の時代といえるでしょう。

ただ、それは日本だけの現象であり、世界の主要競馬開催国、とくにヨーロッパとオーストラリアにおいては、Northern Dancer 系は相変わらず猛威を振るっています。昨日のエントリー(活躍馬が続出する「Galileo×デインヒル」)でご紹介したように、ヨーロッパでは20年近く生産界を牽引してきた Sadler's Wells とデインヒルが融合し、新たな名馬を次々と誕生させています。これらはいずれも Northern Dancer 系です。

いまからちょうど50年前の1961年5月27日に、カナダのウィンドフィールズファームで Northern Dancer は誕生しました。

父 Nearctic は St.Simon の影響が強いイギリス血統。母 Natalma には、伝統的なアメリカ血統を濃厚に含んだ Native Dancer と、Lady Josephine(現代スピード血脈の祖)の影響を受けた Mahmoud が入ります。ですから、基本的には異系交配的な産物で、異なる個性のぶつかり合いによって人知を超えた生化学反応が生じ、時代を画する傑作が誕生したというわけです。
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer

Northern Dancer 系の現況については昨年11月に4回シリーズでご紹介しました。

Northern Dancer 没後20年(1)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-dancer.html
Northern Dancer 没後20年(2)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-1.html
Northern Dancer 没後20年(3)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-2.html
Northern Dancer 没後20年(4)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/northern-danc-3.html

世間に流通する血統系の慣用句で、わたしが最も理解に苦しむのが「セントサイモンの悲劇」です。そもそも何が悲劇なのかよく分かりません。St.Simon が種牡馬として爆発的な成功を収めたあと、代を経るごとに系統が衰退していったのは事実です。しかし、それでサラブレッド全体のレベルが低下したかというと、そんな事実はどこにもないと思います。むしろ逆に上昇したとわたしは考えます。英ダービーの勝ちタイムの変遷からもそれはうかがえます。

Teddy、Blandford、Tourbillon、Hyperion、Nearco など、20世紀前半に登場した大種牡馬群は、ほとんど例外なくGalopin-St.Simon(=Angelica) の強い影響のもとに誕生しています。このあたりは笠雄二郎著『サラブレッド配合史』(http://www.miesque.com/c00001.html)に詳述されています。
http://www.pedigreequery.com/teddy
http://www.pedigreequery.com/blandford
http://www.pedigreequery.com/tourbillon
http://www.pedigreequery.com/hyperion
http://www.pedigreequery.com/nearco

サラブレッドの生産は父系を伸ばすことが目的ではありません。強い馬を作ることです。St.Simon 系が衰退したことを悲劇というのは父系愛好家だけでしょう。むろん、そうした事態が起こったからといって、当時の生産者が愚かだったわけでもありません。St.Simon の強い影響力がサラブレッド全体のレベルを上昇させたのですから、少なくともわたしのなかでは“悲劇”という言葉はピンときません。

もし仮に、遠い将来サンデーサイレンス系が衰退したとしたら、人々の心にセンチメンタルな疼きは生じるでしょうが、日本の生産界には何の不都合も起こらないでしょう。サンデーサイレンスが日本の生産レベルを大きく引き上げた事実は変わりません。そして、サンデー系が衰退してもサンデー牝馬を苗床とした新しい系統がたくましく伸びているはずです。わたしはそれで何の問題もないと考えます。

もっとも、同系統が増えすぎて父系が衰退するということが、現代ではほぼ起こりえないことは Northern Dancer が証明しています。St.Simon のころとは生産規模が違いますし、交通機関の発達によりサラブレッドが大陸間を自由に行き来する現代において、配合相手に困るという事態はまず考えられません。

誕生から半世紀、Northern Dancer の血が世界の果てまで広まり、4代前、5代前と血が遠ざかっていくと、系統全体が一斉に衰退期に向かうということは現実的ではないでしょう。いまや Nearco 系という区分に何の意味もないように、いずれ Northern Dancer 系という区分も過去のものとなるはずです。

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2011年5月22日 (日)

日曜日に東京競馬場でイベント

土曜日の東京芝コースは時計が速かったですね。前が止まらず、インコースが有利。ゆったりとした流れで後方待機から外に進路を取ると届きません。オークスもまず速くはならないでしょう。馬群をどう捌くかが重要となってきます。

横山典弘騎手が4勝と大爆発。惚れ惚れするライディングでした。オークスはどれに乗ってたっけと出馬表を見たところ、なんと騎乗馬なし。京都に遠征していました。メインの東海Sではランフォルセに騎乗。外枠ですがちょっと怖くなってきました。落馬事故から復帰後どうもリズムが悪かったのですが、ようやく横山騎手らしいカミソリのような切れ味が戻ってきました。じゃあ来週のダービーは? と思って調べたところ、こちらも騎乗馬なし。もったいないですね~。いまの横山典弘騎手はデットーリ騎手にも負けないと思うのですが。

さて、日曜日の10時55分から、東京競馬場のセンターコートで行われる「オープン型レーシングセミナー」に出演します。また、14時30分ごろから16時30分ごろまで、同所で「リアルタイム情報ステーション」に出演します。後者には辻三蔵さん、河田貴一さんも出演されます。よろしかったらお立ち寄りください。

5月20日にOPENした「血統屋」。まだ出来たばかりだというのに非常に多くの方々に電子書籍をご購入いただき、正直びっくりしています。ありがとうございました。心から御礼申し上げます。
http://www.miesque.com/

2011年4月15日 (金)

もうすぐPOGの季節

毎年春はPOG関連の仕事で身動きが取れません。今年も例年と同じく2歳馬の血統表を見まくる生活が続きました。思わず過去形で書いてしまいましたが、これは締め切りが早い赤本(『POGの達人』)のヤマを越えたからです。締め切りが遅い『競馬王のPOG本』はこれからが本番。ひと晩寝て充電したら、またしばらく机にかじりつく日々が始まります。

自分が選んだオススメ30頭を見ると、14頭がディープインパクト産駒でした。ほかの方がどんな馬をリストに並べたのかまったく知りませんが、桜花賞を勝ったマルセリーナ効果もあって、今年はディープインパクト産駒中心のドラフトになるのではないでしょうか。

新種牡馬はダイワメジャー産駒を1頭入れました。同馬が種牡馬として成功するかどうかは別にして、とりあえず配合の腕試しをするつもりで好配合馬をピックアップしてみたというわけです。走ったら嬉しいのはじつはこういう馬だったりします。

2011年4月 2日 (土)

シンザン生誕50周年

2011年4月2日は、五冠馬シンザンが誕生してちょうど50年目にあたります。

シンザンの現役時代はわたしが生まれる前のことなので、書物やビデオで得た知識しかありません。
http://www.youtube.com/watch?v=t2WcWf4FJD4
http://www.youtube.com/watch?v=VIPeQb2R2lk
http://www.youtube.com/watch?v=5nhCFDEu-9I

競馬に関心を持ち始めたころはもちろん生存しており、産駒も現役で走っていました。ミナガワマンナは菊花賞を勝ち、ミホシンザンは皐月賞と菊花賞の二冠を制覇。皐月賞を5馬身差で圧勝したミホシンザンが骨折し、三冠の夢が絶たれてしまったときは、ちょうどレーヴディソールの骨折の報を聞いたときのような虚無感を覚えました。

内国産種牡馬が冷遇されていた時代、種牡馬ランキングの1位から20位までほとんど輸入種牡馬が占めていた70年代に、シンザンが成した功績は、現代のわれわれが考えるよりも大きかったと思います。内国産種牡馬への根強い偏見があるなか、シンザンを繋養した谷川牧場の谷川弘一郎氏が涙ぐましい努力をして繁殖牝馬を集めたことは有名です。シンザンが切り開いた道を、アローエクスプレスやトウショウボーイといった次の世代の内国産種牡馬が歩んでいったわけです。

父ヒンドスタンは60年代に計7回リーディングサイアーとなった名種牡馬。アガ・カーン三世殿下が生産所有した名血で、その牝系は Uganda にさかのぼる名門です。

Uganda(f.1921.Bridaine)仏オークス、ロワイヤルオーク賞
 Ukrania(f.1926.Ksar)仏オークス
 Udaipur(f.1929.Blandford)英オークス、コロネーションS
 │Clovelly(f.1938.Mahmoud)
 ││Pangani(f.1945.Fair Trial)
 ││ ソーダストリーム(f.1953.Airborne)
 ││ │アローエクスプレス(c.1967.スパニッシュイクスプレス)
 ││ │         朝日杯3歳S、京成杯、NHK杯
 ││ シザラ(f.1955.Marsyas)
 ││  バンブーシザラ(f.1969.テスコボーイ)
 ││   バンブーアトラス(c.1979.ジムフレンチ)
 ││                   日本ダービー
 │Sonibai(f.1939.Solario)
 │ ヒンドスタン(c.1946.Bois Roussel)愛ダービー
 Una(f.1930.Tetratema)
 │Palestine(c.1947.Fair Trial)英2000ギニー
 Umidwar(c.1931.Blandford)チャンピオンS

シンザンは Gainsborough 4×4を持っています。これは、同年にカナダで生まれた大種牡馬 Northern Dancer、ソ連の歴史的名馬 Anilin と同じ配合パターン。東洋の片隅で生まれた馬ではあっても、世界的な血統の潮流に取り残された配合ではありませんでした。
http://ahonoora.web.fc2.com/sinzan.html
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer
http://www.pedigreequery.com/anilin

配合についてはもう少し補足しなければならないことがあるのですが、長くなってしまうので、エントリーを改めて来週あたりに書きたいと思います。

2011年3月26日 (土)

今週は阪神芝1800mで3つの3歳重賞

皐月賞を見据えたふたつの重賞が、同一週に同コースで行われるというのは記憶にありません。土曜阪神11RのスプリングS(芝1800m)は、G2の馬齢重量戦で、3着以内に皐月賞出走権が与えられます。日曜阪神12Rの毎日杯(芝1800m)は、G3の別定戦。

競馬場と距離が同じといっても、それ以外の条件を考えると実績馬はスプリングSに出てくるでしょう。毎日杯を選ぶと、場合によっては負担重量が増え、得られる賞金が減り、本番の優先出走権もありません(2着までに入ればだいたい出られますが)。

ただ、だからといって、スプリングS組のほうが皐月賞で好走するかといえば、そうは限らないと思います。この時期の3歳馬は1戦ごとに力量の変動がありますし、今年の皐月賞は東京競馬場で行われますから、左回りで順当に能力を発揮できるかどうかはわかりません。

一方、桜花賞を見据えたフラワーC(G3・芝1800m)は、中山から阪神に場所を移したことで、桜花賞と条件が近くなりました。ここをステップに本番に挑んだ馬は例年よりも信頼できるでしょう。といってもレーヴディソールの牙城を崩すのは並大抵ではありませんが……。

阪神芝1800mの種牡馬別連対率を、06年12月の馬場改修後の成績から並べてみます(最少レース機会数=10)。

1位 ハーツクライ    50.0%
2位 ディープインパクト 27.3%
3位 ロージズインメイ  25.0%
4位 ゼンノロブロイ   23.5%
5位 マンハッタンカフェ 22.4%
6位 ステイゴールド   22.1%
7位 グラスワンダー   21.7%
8位 キングカメハメハ  21.6%
9位 フレンチデピュティ 21.6%
10位 フジキセキ     21.3%

以上、ご参考までに。

2011年3月18日 (金)

今週から競馬再開

中山競馬はとりあえず3月中の競馬中止を決定しました。無傷の関西は待ちに待った、という感じでしょう。先週行われる予定だったフィリーズレビュー(G2)と中京記念(G3)も今週行われます。

予想は迷いますね。先週◎をつける予定だった馬にそのまま◎を打っていいものかどうか……? 馬は生き物ですから、1週間の順延で体調に狂いが生じることも十分考えられます。

思い出すのは86年のスプリングS(G2)。当日、雪のため7レースをもって開催打ち切り。翌週に順延されたのですが、当初の予定では有力視されていた共同通信杯4歳S(G3)の勝ち馬ダイナガリバーは、順延された翌週のレースには出走してきませんでした。馬の体調はデリケートですからたった1週の順延でも大きな影響を及ぼします。

ダイナガリバーはぶっつけ本番で臨んだ皐月賞で10着と惨敗。これは致し方ないでしょう。しかし、松山吉三郎調教師はここから馬を立て直し、次走の日本ダービー(G1)では見事雪辱を果たして優勝しました。

今年のフィリーズレビュー組はちょっとかわいそうですね。体調面をよく見極めて印を打ちたいと思います。

2011年3月17日 (木)

「愛と涙をのせて ~北海道日高 牧場物語~」

昨年11月21日、フジテレビのザ・ノンフィクションで放送された「愛と涙をのせて ~北海道日高 牧場物語~」は良質のドキュメンタリーでした。小さな牧場のありのままの現実。それが胸を打ちます。

YouTube にあるのですが、直リンすると差し障りがあるので、URLは明示しません。検索していただければと思います。

番組編成上無理だとは思いますが、こういうドキュメンタリーこそ注目度の高い夜に放送してほしいですね。日曜日の午後2時では、競馬ファンは一生懸命馬券を買っている時間帯ですから、あまり見ないでしょう。

2011年3月16日 (水)

スピード×スタミナの優位性

昨年12月1日、競馬国際交流協会と日本軽種馬登録協会が合併し、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルという組織が誕生しました。そのサイトには「海外競馬情報」というコーナーがあり、世界各国の競馬に関する情報を日本語訳で読むことができます。

2月25日、「スピード重視の種牡馬選びがチャンピオン血統に変化を与える」という記事がアップロードされました。
http://www.jairs.jp/contents/w_news/2011/4/4.html

内容は、現役時代にスプリンターやマイラーだった種牡馬の子が、2000~2400mの大レースを勝つ割合が以前に比べて増えている、というもの。昨年でいえば、ハービンジャー(父 Dansili)、Workforce(父 King's Best)、Twice Over(父 Observatory)、Snow Fairy(父 Intikhab)など10頭が該当します。03年は8頭、93年は7頭でした。

このパターンは、配合に関心を持つ者なら誰でも知っているポピュラーなものです。たとえば、100年近く前に活躍した Phalaris(1913年生)などがそう。現役時代はマイル以下で圧倒的な強さを誇り、引退後、英リーディングサイアーに二度輝いた名種牡馬です。スタミナ豊かな Chaucer を父に持つ繁殖牝馬との間に、Pharos、Fairway、Sickle、Pharamond を出しました。現代の主要父系はことごとく Phalaris から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/pharos

  Phalaris(1913)
    Pharos(1920)
    │ Nearco(1935)
    │   Nasrullah(1940)
    │   │ Grey Sovereign(1948)
    │   │ Bold Ruler(1954)
    │   │ Red God(1954)
    │   │ Never Bend(1960)
    │   Royal Charger(1942)
    │   │ Turn-to(1951)
    │   │   Hail to Reason(1958)
    │   │     Roberto(1969)
    │   │     Halo(1969)
    │   Nearctic(1954)
    │     Northern Dancer(1961)
    │       Nijinsky(1967)
    │       Lyphard(1969)
    │       Nureyev(1977)
    │       Danzig(1977)
    │       Sadler's Wells(1981)
    Sickle(1924)
    │ Unbreakable(1935)
    │   Polynesian(1942)
    │     Native Dancer(1950)
    │       Raise a Native(1961)
    │         Mr.Prospector(1970)
    Fairway(1925)
    │ Fair Trial(1934)
    │   Petition(1944)
    │     Petingo(1965)
    Pharamond(1925)
      Menow(1935)
        Tom Fool(1949)
          Buckpasser(1963)

現代の血統シーンで Danzig 系や Mr.Prospector 系が優位に立っているのも、スピード×スタミナの配合パターンが優れたものであることの証明でしょう。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!