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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

雑談

2011年7月30日 (土)

九州産馬限定の新馬戦はロドリゴデトリアーノ産駒だらけ

夏の小倉開幕週には、恒例の九州産馬限定の新馬戦(芝1200m)が組まれています。

九州は馬産の規模が小さく、種牡馬の選択肢も少ないため、出走馬の父が極端に偏る傾向があります。90年代は出走馬の半分がシンウルフ産駒ということがありました。ここ数年はサイレントハンター産駒が目立っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1979106304/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993104485/

そして今年はロドリゴデトリアーノ産駒。土曜小倉5Rの新馬戦に出走する18頭のうち7頭が同産駒です。

日本軽種馬協会に所属する種牡馬は、国内にあるいくつかの種馬場を旅芸人のように渡っています。08年にロドリゴデトリアーノは九州種馬場で仕事に励みました。そのときの種付けで誕生した産駒が現2歳馬です。ロドリゴデトリアーノといえばエリモエクセル(オークスなど重賞4勝)やスーパーホーネット(毎日王冠など重賞4勝)の父。すでに高齢ですが配合さえ合えば一流馬を送り出せる種牡馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000d71/

ひとつのレースに同一種牡馬の子がこれだけ多いと、血統予想がしづらい面はたしかにあります。それ以前に、九州産馬は実力のバラつきが大きいので、稽古で好時計を出した馬が素直に走る傾向が見られます。今年もそのとおりに決まるかもしれません。しかし、それに流されてはいけないので、あくまでも配合にこだわった予想をしてみたいですね。

00年以降、九州産馬でJRAの平地重賞を制したのはテイエムチュラサン(アイビスサマーダッシュ)のみ。今年の2歳世代にはロドリゴデトリアーノという心強い援軍が来たので、大物が隠れている可能性もあると思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年7月23日 (土)

芝1800~2000mのハンデ戦に強い Roberto 系

今週の注目は日曜日の函館記念(G3・芝2000m)。ハンデ重賞なので力通りにはなかなか決まらないレースです。

函館記念と条件が近い“芝1800~2000mのハンデ戦”という条件で、どの種牡馬が好成績を挙げているのか、「TARGET frontier JV」で調べてみました。05年以降、最少レース機会数は20、という設定です。

               連対率   単勝回収率
1位 タニノギムレット   34.8%  165%
2位 シンボリクリスエス  21.7%  106%
3位 マーベラスサンデー  21.4%  112%
4位 アドマイヤベガ    20.5%   95%
5位 スペシャルウィーク  20.2%  212%
6位 グラスワンダー    20.0%  112%
7位 チーフベアハート   20.0%   62%
8位 パラダイスクリーク  19.6%  270%
9位 ペンタイア      19.4%  131%
10位 ジェネラス      17.9%  109%

見てのとおりタニノギムレットが断然。この種の統計は、特定の馬が繰り返し活躍することがあるため、サンプルが少ないと正確な傾向が出てきません。タニノギムレット産駒は46走してこの成績ですから素晴らしいとしか言いようがないですね。

かつてサンデーサイレンス産駒はハンデ戦で振るいませんでした。実力以上の評価をされて重い斤量を背負わされるから……なのかもしれません。これと似ているのがアグネスタキオン産駒。ハンデ戦ではやや評価を下げたい種牡馬です。

1位のタニノギムレットは Roberto 系ですが、よく見ると、2位シンボリクリスエス、6位グラスワンダーも同系です。種牡馬ランキングではサンデーサイレンス系に歯が立たない Roberto 系が、こと芝中距離のハンデ戦に限れば躍動しています。

Roberto は現役時代、鮮やかに勝って鮮やかに負けるというタイプで、ハマれば圧倒的に強いものの、そうでない場合はからっきし、というムラ馬でした。そうした特徴は多かれ少なかれ子孫に伝わっているでしょう。大敗後、ハンデが軽くなったところで大駆けする、というパターンが決まりやすいのかもしれません。

函館記念に出走するタニノギムレット産駒はダイワジャンヌ1頭。ただし、同馬はハンデ戦に過去6回出走し、一度も掲示板に載っていません。この馬自身はハンデ戦に向いたタイプではないようです。

2011年7月22日 (金)

女傑 Time Charter

なでしこJAPANの活躍に刺激された……というわけではないのですが、牝馬関連のおもしろい映像を探して YouTube をグルグル回ったところ、わりといいものが見つかりました。

★Fantastic Fillies (1970's and 80's)
http://www.youtube.com/watch?v=aGj8Tc_jRLg

4分弱の映像ながら内容は充実しています。登場する馬のリストは以下のとおり。

Park Top(1964年生・父 Kalydon)
http://www.pedigreequery.com/park+top
Time Charter(1979年生・父 Saritamer)
http://www.pedigreequery.com/time+charter
Petite Etoile(1956年生・父 Petition)
http://www.pedigreequery.com/petite+etoile
All Along(1979年生・父ターゴワイス)
http://www.pedigreequery.com/all+along
Miesque(1984年生・父 Nureyev)
http://www.pedigreequery.com/miesque
Indian Skimmer(1984年生・父 Storm Bird)
http://www.pedigreequery.com/indian+skimmer
ペブルス(1981年生・父 Sharpen Up)
http://www.pedigreequery.com/pebbles3
Dahlia(1970年生・父 Vaguely Noble)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Allez France(1970年生・父 Sea Bird)
http://www.pedigreequery.com/allez+france

どれもこれも歴史的名牝です。このなかで、実績のわりに知名度が低い馬を1頭挙げるとすれば、Time Charter でしょうか。映像の2番目に出てくる馬です(0:15~0:35)。紹介された映像は7馬身差で牡馬を蹴散らした3歳秋の英チャンピオンS(G1・芝10f)。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな伸び脚です。

Time Charter はほかに、英オークス(G1・芝12f)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)、コロネーションC(英G1・芝12f)などを制しており、80年代前半を代表するアイルランドの名牝として知られています。

母 Centrocon はハイハット≒Aureole 2×3という、重厚さとスタミナに秀でた伝統的なイギリス血統。

       ┌ Hyperion
ハイハット ―┤ ┌ Donatello
       └○┘

       ┌ Hyperion
Aureole ―――┤ ┌ Donatello
       └○┘

父 Saritamer はダンサーズイメージを父に持つ無名のアメリカ産種牡馬で、母が持つ組み合わせのクロスを Dawn Chorus≒ハイハット3×3で継続しつつ、Native Dancer、Nasrullah、Royal Charger という超一流のスピードを注入しています。Time Charter は、Sea Bird や Northern Dancer のように、異なる個性がぶつかることによって誕生した傑作です。「組み合わせのクロス」については笠雄二郎さんの『血統論』に詳述されています。ご参照ください。
http://www.miesque.com/c00001.html

Time Charter の子には、Time Allowed(ジョッキークラブS-英G2、プリンセスロイヤルS-英G3)、Zinaad(ジョッキークラブS-英G2)などがおり、Zinaad は02年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に輝いた Kazzia(英1000ギニー、英オークス)の父となりました。
http://www.pedigreequery.com/kazzia

牝系からはこれ以外にも多くの活躍馬が出ており、日本ではヒラボクビジン(準OP)の3代母にその名を見ることができます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101587/

先日のロイヤルアスコットでクイーンメアリーS(英G2・芝5f)を勝った Best Terms も Time Charter の子孫です。いずれ Time Charter をクロスさせた名馬も出てくるのではないでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/best+terms2

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2011年7月17日 (日)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」Q&A

『血統屋』の新企画「栗山求・望田潤の一口馬主好配合馬ピックアップ」は、おかげさまで予想以上の反響をいただき出足好調です。
http://www.miesque.com/c00006.html

クラブ法人への出資は決して安いものではありません。皆さまが慎重に馬選びをなさっており、また、配合的な指針を求められていたことがよく分かりました。いくつかご質問をいただきましたので、この場を借りてお答えいたします。

Q:対象となるクラブのリストはございますか?

A:以下の15クラブです(アイウエオ順)。

■ウインレーシングクラブ
http://www.win-rc.co.jp/
■キャロットクラブ
http://carrotclub.net/
■グリーンファーム愛馬会
http://www.greenfarm.co.jp/
■サラブレッドクラブセゾン
http://www.saison-tc.co.jp/
■シルクホースクラブ
http://www.silk-hc.co.jp/
■大樹レーシングクラブ
http://www.taiki-rc.com/
■ターファイトクラブ
http://www.turfight.com/
■東京サラブレッドクラブ
http://www.tokyo-tc.com/
■広尾サラブレッド倶楽部
http://www.hirootc.jp/
■ブルーインベスターズ
http://www.blue-investors.co.jp/
■友駿ホースクラブ
http://www.yusyun-hc.co.jp/
■ユニオンオーナーズクラブ
http://www.union-oc.co.jp/
■ラフィアンターフマンクラブ
http://www.ruffian.co.jp/
■ロードサラブレッドオーナーズ
http://www.lord-to.co.jp/
■ローレルクラブ
http://www.laurelclub.com/index.html

Q:1クラブあたり何頭取り上げる予定ですか?

A:とくに決まっていません。クラブごとに募集馬の数がまちまちですし、馬のレベルにも差があります。栗山求と望田潤がそれぞれ出資しても構わないと思う馬を取り上げる、という方針です。

Q:現時点でどれぐらいの頭数を論評されていますか? できればクラブ別の内訳もお願いします。

A:現時点で20頭です。内訳は以下のとおりです。あくまでも現時点での数ですので、これから増える可能性が高く、各クラブから募集馬リストが発表されれば新たに追加していくことになります。

ラフィアンターフマンクラブ……6頭
グリーンファーム愛馬会……5頭
ユニオンオーナーズクラブ……5頭
ターファイトクラブ……2頭
友駿ホースクラブ……1頭
ローレルクラブ……1頭

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2011年7月16日 (土)

サンデーの血が通用しないアイビスサマーダッシュ

JRA最短距離重賞であり、なおかつ直線コースで行われる唯一の重賞であるアイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m)。昨年までの過去10回、延べ20頭の連対馬のなかで、サンデーサイレンスの血を含んだ馬は1頭もいません。サイアーラインだけではなく母方に入った馬も皆無です。

わずか20年弱で日本血統を完全に塗り替えた感のあるサンデーサイレンスが、なぜこの重賞だけ攻略できないのかといえば、言うまでもなくレース条件が特殊だからです。

スタートから全力で突っ走る、というレースに求められるのは、ダッシュ力やスピードの持続力であり、溜めて切れるというサンデーの持ち味ではありません。

今回、サンデーの血が入っている馬は以下の6頭。

1番 バイラオーラ(母の父SS)
4番 アイアムマリリン(2代父SS)
5番 サアドウゾ(2代父SS)
8番 マヤノロシュニ(2代父SS)
9番 セブンシークィーン(母の父SS)
10番 ストロングポイント(母の父SS)

内枠の馬が多いので、まとめてバッサリ切ってしまうのもひとつのやり方でしょう。ただ、個人的にはそろそろ連絡みする馬が出てきてもいいころではないか、と考えています。

母の父にサンデーを持つバイラオーラ、セブンシークィーン、ストロングポイントは、いずれもフォーティナイナー系の父を持っています。やはりここに出走してくる馬は、直線1000mで好走するための特徴を備えた血統であることが分かります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102828/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101515/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102163/

サンデーサイレンスの父系から誕生した残りの3頭、アイアムマリリン、サアドウゾ、マヤノロシュニの父は、それぞれマンハッタンカフェ、ゴールドアリュール、マンハッタンカフェ。

2頭出しのマンハッタンカフェは、短距離に強いジョーカプチーノやアーバニティの父でもあります。フジキセキに似てサンデー系にしては短距離重賞で買えるタイプです。一方、ゴールドアリュールは周知のとおりダートに強いのですが、緩急や柔軟性よりもスピードの持続力が求められるこのレースは、一本調子のダート血統が案外頑張っているという傾向が見られます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103030/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101135/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104486/

以上の6頭はこのレースに向いた資質を備えています。サンデーの血を持つ馬は連対できない、という法則が破られるのは時間の問題であり、それが今年である可能性も十分あると思います。

2011年7月14日 (木)

セレクトセールの救世主

昨年7月14日のエントリー「セレクトセール見聞記(2)」に、以下の一文を記しました。

「ミリオンホースがどんどん誕生していた数年前までがバブルであり、当時を基準に現在の状況をとらえるのはあまり意味がないと思います。今後数年、前年割れの数字が出るのは仕方のないことであり、現状維持なら御の字でしょう。」

景気の低迷、さらに東日本大震災の影響が重くのしかかる今年のセールでしたが、終わってみれば昨年、一昨年を上回る大盛況のセールとなりました。

      当歳落札率 1歳落札率 当歳平均価格 1歳平均価格
2011  73.2% 84.5% 27,622,360円 23,989,848円
2010  67.8% 80.8% 23,680,851円 18,249,133円
2009  64.7% 78.2% 23,735,266円 22,126,230円

5月にセール上場馬が発表されたとき、血統にざっと目を通して、今年はかなりいい馬が出てきているのではないかと感じました。ただ、景気の影響もあるので、正直なところ、どの程度の値が付くのかまでは読めませんでした。

社台ファーム代表の吉田照哉氏は次のように語っています。

「我々も正直言って、相場が元に戻るなんて思ってもいませんでした。高く売れた馬も出たんですが、たとえば1000万円クラスの馬でも相当な競り合いになっていました。新規参入者が10%ぐらいいて、お客さんが多かったというのもありましたね。慣れた人だと値段が上がると降りたりするんですが、新しく参入してきた人というのは、買いたい馬がいるときは買うまで競らないと気が済まないというところがあるのかなと。そういう相乗効果が起きたんじゃないかと思いますね。競馬の売り上げが落ちているなかで、セリがこれだけ盛り上がったということは、競馬の将来のためにはよかったんじゃないかと思いますね」

セールの主役はなんといってもディープインパクト産駒でしょう。1歳市場で3億6000万円の値がついたエアグルーヴの2010を筆頭に、軒並み高値で落札されました。産駒がデビューしたてだった昨年は、まだ購買者側も半信半疑でした。しかし、種牡馬能力に関してまず間違いないだろうという確信が得られた今年は、かつてのサンデーサイレンス全盛期と同じように、安心して高値まで競り上げていくというシーンが繰り広げられました。この信頼感こそが名種牡馬の証しです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104053/

ディープインパクト産駒が安定して高値で取引されたことで、セール全体が活性化された側面もあったと思います。その意味ではセレクトセールの救世主といえるかもしれません。

2011年7月 9日 (土)

ハットトリック好発進

現役時代にマイルCS(G1)と香港マイル(G1)を制したハットトリック(父サンデーサイレンス)は、引退後、アメリカへ渡って種牡馬となりました。現在はケンタッキーとアルゼンチンを往復するシャトル種牡馬となっています。

その初年度産駒は今年2歳を迎え、世界各地でデビューしています。現在、5頭出走して4頭勝ち上がっているようです。
http://sidfernando.wordpress.com/2011/06/29/first-crop-sunday-silence-horse-hat-trick-has-4-winners/

出世頭の Dabirsim はフランスでデビューし、現在2戦2勝。6月8日のデビュー戦(芝1200m)を10馬身差で勝ったときは小さいながらもニュースになりました。パリ地区ではなく、フランス南西部のボルドーに近いラテストドビューシュという競馬場でのこと。相手も弱かったと思いますが、2戦目も快勝しているので、順調ならいずれパリ地区やドーヴィルあたりに出てくるでしょう。そこでどの程度やれるか注目です。
http://www.turf-fr.com/fiche-cheval/DABIRSIM.html

母方には Rainbow Quest などしっかりとしたヨーロッパ血統が入っています。母がハットトリックの種を受胎した状態でフランスに渡り、誕生しました。血統的にアメリカのダート競馬には向いていないので、フランスで走るのは正解でしょう。
http://www.pedigreequery.com/dabirsim

勝ち上がった残りの3頭のうち、2頭はロシア(Hinoki、Mata Hari)、1頭はメキシコ(Suspicious Jack)です。相手関係や勝ちっぷりは分かりませんが、こちらはあまり高いレベルではないと思います。
http://www.pedigreequery.com/hinoki
http://www.pedigreequery.com/mata+hari13
http://www.pedigreequery.com/suspicious+jack

ハットトリックは受胎率が高くなく、今年のアメリカにおける種付け料は6000ドル(受胎確認後)と、08年の種付け初年度に比べて9000ドルも値下がりしています。初年度産駒が活躍すれば持ち直してくると思うので、Dabirsim の動向には今後も注目したいところです。
http://www.bloodhorse.com/stallion-register/sr_sire_page.asp?refno=7186975&origin=singlesearch&StallionName=hat%20trick&SRYear=2011

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2011年7月 3日 (日)

田辺時代到来?

一昨日のエントリーでも触れましたが、先週土日は東京競馬場のレーシングエキスパートセミナー(REXS)に講師として招かれてお話をさせていただきました。その際、騎手界の情勢についてこう発言しました。

「関東はいずれ田辺裕信時代になります」

奇をてらったつもりはありません。毎週馬券を買っていれば、どのジョッキーが信頼できるかはよく分かります。春以降は完全に田辺騎手。素晴らしいの一語です。

スタート、位置取り、折り合い、追い出しのタイミング、追う際の挙動。田辺騎手はどれもハイレベルです。そして、ひとつでも上の着順を狙うという真摯な気持ちが伝わってくるので気持ちがいいですね。1月の関門橋Sで油断騎乗により10万円の過怠金を科されたあと、2、3月はもうひとつの成績でしたが、4月以降は爆発しています。先週終了時点で45勝を挙げ、現在、関東のリーディングジョッキーです。

先週は中山競馬で4勝しました(3、6、7、7番人気)。今週は土曜日に3勝(1、3、4番人気)。人気薄をこれだけ持ってくるというのは感心します。ローカル専門というかつてのイメージからは完全に脱却しています。

関西の大御所・松田博資調教師からも信頼を得ています。昨年後半から同厩舎の馬に関東ジョッキーが乗る場合、田辺騎手が優先してまたがる形となっています。過去の実績よりも現在の腕を評価した松田博資調教師の慧眼はさすがというしかありません。日曜中山の常総S(準OP・芝2000m)に出走するバアゼルリバーは、松田博資厩舎と田辺裕信騎手のコンビです。

土曜日の中山グランドジャンプでは、マイネルネオスで勝った柴田大知騎手が勝利ジョッキーインタビューで感極まって涙を流しました。地道に頑張ってきた騎手が報われるのはいいものです。

2011年6月26日 (日)

伝説の95年阪神3歳牝馬S

宝塚記念で人気を集めるブエナビスタとルーラーシップ。現時点で前者の単勝オッズは3.5倍、後者は3.8倍。レースでどちらが先着するかという前に、どちらが1番人気を取るかという熱い戦いを繰り広げています。ブエナビスタは国内で過去17戦し、すべて1番人気となっています。ここも譲れないところでしょう。

年季の入った競馬ファンなら、ブエナビスタの母ビワハイジと、ルーラーシップの母エアグルーヴが、同期のライバルであったのはよくご存知だと思います。二度対戦して戦績は1勝1敗の五分。

初対決となった95年の阪神3歳牝馬S(G1・芝1600m)は、好スタートから先手を奪ったビワハイジが逃げ切り、2番手から差を詰めたエアグルーヴが2着。

二度目の対決となった96年のチューリップ賞(G3・芝1600m)は、好位追走のエアグルーヴが1頭だけ違う脚いろで突き抜けて1着。5馬身差の2着がビワハイジでした。

エアグルーヴは2歳時から頭角を現し、3歳時にはオークスを制覇しました。ただし、本格化したのは古馬になってから。牡馬相手に天皇賞・秋を勝つなど大活躍し、牝馬ながら年度代表馬に輝いています。成長力と底力を武器としており、そうした特長を産駒にも伝えています。本格化までに時間を要する産駒が多いので、繁殖牝馬としての華々しい実績からすると、POGでは案外旨みに乏しいタイプです。ルーラーシップのここにきての成長ぶりはエアグルーヴの影響が大きいでしょう。

95年の阪神3歳牝馬Sは、ビワハイジとエアグルーヴのほかに、ロゼカラー(重賞3勝のローゼンクロイツの母)、ゴールデンカラーズ(キーンランドCを勝ったチアフルスマイルの母)、シーズグレイス(重賞2勝のシャドウスケイプの母)が出走していました。名繁殖牝馬だらけです。これもある種の伝説のレースといえるかもしれません。

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2011年6月19日 (日)

今週のWIN5はチャンス!?

4月24日から始まったWIN5。先週まで8回行われました。1回ぐらいは当てたい!という方(わたしもその1人ですが)にとって、今週は大きなチャンスかもしれません。というのも、今週は指定された5つのレースがいずれも少頭数だからです。

阪神10R=8頭
中山10R=10頭
函館11R=10頭
阪神11R=13頭
中山11R=12頭
――――――――――
     計53頭

過去8回の1日あたりの平均出走頭数は75頭。最多は5月15日の79頭で、最少は6月5日の65頭でした。今週の「53頭」がいかに少ない数字であるかお分かりいただけると思います。

WIN5は単勝を当てる馬券ですから、確率的な一般論として、頭数が多くなればなるほど当てづらくなります。逆に頭数が少なくなればなるほど当てやすくなります。今週はチャンスです。

今週のヤマ場はなんといっても阪神11RのマーメイドSでしょう。5レース中最も頭数が多く、ハンデ戦で、しかも雨の影響が残る馬場。簡単ではありません。

マーメイドSがハンデ戦に生まれ変わった06年以降、一度として本命決着がなく、勝ち馬の単勝人気は9、2、12、9、3と派手に荒れています。1番人気馬は4着が最高、トップハンデ馬は3着が最高です。過去5年間の連対馬10頭のうち9頭がハンデ53キロ以下。最高でも54キロですから、軽ハンデ馬の伏兵が台頭するレースといえるでしょう。切れ味を必要としないレースになりがちなので、パワー兼備で粘り強いタイプが狙い目です。

最初の3レースをうまく切り抜けて、マーメイドSでしっかり穴馬を仕留めることができれば、的中が見えてきます。ちなみに、過去最も出走頭数が少なかった6月5日の配当は687万8430円。安田記念のリアルインパクト(9番人気)が買いづらい馬で、5レースすべて1番人気が敗れたので高配当となりました。

さて、今週は?

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競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!