Northern Dancer 没後20年(4)
2010年の全欧種牡馬ランキングのベスト10は以下のとおり。まだシーズンは終了していないので現時点の途中成績です。
1位 Galileo(by Sadler's Wells)★
2位 King's Best(by Kingmambo)
3位 Oasis Dream(by Green Desert)★
4位 Dubawi(by Dubai Millennium)
5位 Dansili(by デインヒル)★
6位 Danehill Dancer(by デインヒル)★
7位 Cape Cross(by Green Desert)★
8位 Pivotal(by Polar Falcon)★
9位 Shamardal(by Giant's Causeway)★
10位 Invincible Spirit(by Green Desert)★
2位の King's Best、4位の Dubawi を除く8頭が Northern Dancer 系となっています(★が付いた馬)。日本では同系統の退潮が著しく、アメリカでは Storm Cat のライン以外は元気がないという状況。しかし、ヨーロッパでは相変わらず強いですね。20年前に比べて寡占率が上昇しています。
Northern Dancer 系のなかでもどのラインに属しているのか、8頭の内訳を示します。
Danzig 5頭(3、5、6、7、10位)
Sadler's Wells 1頭(1位)
Nureyev 1頭(8位)
Storm Cat 1頭(9位)
リーディングサイアーは Sadler's Wells 系の Galileo。しかし、割合でみると Danzig 系の圧勝です。Danzig はスピードが身上なので Sadler's Wells よりも短めの距離を得意としています。ヨーロッパはスタミナ豊かな繁殖牝馬が多いので、サイアーラインの距離適性は代を経るごとに自然に延びていく傾向があります。マイルから中距離へ、中距離から長距離へ。そこで“上がり”となって役割を終えます。 Danzig 系は Sadler's Wells 系に比べて距離適性が短めであるぶん、次の代に血を繋げやすいという面があります。
クールモアのアイルランド本場に繋養されている22頭の種牡馬のうち、約6割にあたる13頭が Danzig 系です。世界血統のメインストリームはクールモアが作り出している部分が大きいので、ここで強力なバックアップを受けている Danzig 系が当分のあいだ世界のトップの座に君臨しつづけるでしょう。
短距離戦が盛んなオーストラリアでも Danzig 系が大人気。09-10年のサイアーランキングでは上位10頭中4頭が Danzig 系です。
1位 Redoute's Choice(by デインヒル)
5位 コマンズ(by デインヒル)
6位 Testa Rossa(by ペルジノ)
9位 Fastnet Rock(by デインヒル)
ヨーロッパとオーストラリアでは Danzig 系のシェアが高く、Sadler's Wells 系がこれに続きます。そして、昨日のエントリーでご紹介したようにアメリカでは Storm Cat 系の一極体制です。
2010年時点の Northern Dancer 系は、ほぼこの3系統に絞られつつあるといえるでしょう。
20年後の2030年にどのような血統地図が描かれているのか、ひょっとしたら今回書いたことが笑い話となるような驚くべき展開が待っているかもしれません。日本に再び Northern Dancer 系が根付くのか、それともサンデー系が押し返すのか……といったことも含めて、興味は尽きません。
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