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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年11月

2010年11月20日 (土)

日曜日に東京競馬場でイベントに出演します

11月21日(日)、東京競馬場メインスタンド3Fセンターコートにて、「オープン型レーシングセミナー」が開かれます。先々週に出演したものと同じ企画です。

私の出番は11時25分と13時45分の2回。1回の講座は15分程度を予定しています。1回目は「すべてわかる!休み明けの狙い方」、2回目は「2歳戦の芝→ダート替わりは宝の山!」というタイトル。よろしければどうぞいらっしゃってください。

東京スポーツ杯2歳Sの展望……ではないですが

ここ5年間にメイショウサムソン、ナカヤマフェスタ、ローズキングダムといった大物が連対しているように、素質重視で買いたいレース。器を見抜く眼が問われますね。キャリアよりも素質優先ですから、新馬戦を勝ったばかりの馬でも即連対できます。

予想めいたことを書くと有料予想を出したところに迷惑が掛かるので、血統を見て気がついたことを2つほど。

■トーセンケイトゥー、リフトザウイングスという有力馬2頭を送り出すハーツクライは、秋口までの快進撃がウソのように、1ヵ月以上も勝ち星に見放されています(現在27連敗)。この急ブレーキは予想できませんでした。

10月7日のエントリー「ハーツクライとサンデーを比べてみると」のなかで、「ディープインパクトの子に比べて頭数が3分の2程度なので、この先、数の上では抜かれる可能性があるものの、アベレージでは優位を保つのではないでしょうか」と記しました。いまや数だけでなく、かつては上回っていた勝率、連対率、複勝率においてもディープインパクトに後れをとっています(それでもなお優秀な数字ではありますが)。

おもしろいのはいまだに左回りの芝で勝ち星がないこと。直線コースを除いた新潟では4戦未勝利。東京では10戦未勝利。2着も1回だけです。

土曜東京4R(芝1600m)には、某POGで指名したダノンハローが出走します。新馬戦で2着したときはすぐにでも勝ち上がれると思ったのですが、その後は9着、5着。今回は目先を変えて関東に遠征してきて、鞍上もスミヨン騎手にスイッチ。全体で27連敗中、左回りで14連敗中ですが、確率的にそろそろ勝ってもいいような……。

■フェイトフルウォーは「ステイゴールド×メジロマックイーン」。この組み合わせは過去にドリームジャーニーを含めて4頭がデビューし、すべて新馬戦を勝ち上がっています。

ステイゴールド産駒は晩成の傾向が見られ、新馬戦ではむしろ買いづらいタイプ。それで初戦からこれだけ走るのですからニックスといえます。

過去、新馬戦に出走した「母の父メジロマックイーン」は62頭おり、そのうち勝ち上がったのは5頭しかいないのですが、うち4頭がステイゴールド産駒。この組み合わせの優秀さが分かります。

この4頭にはもうひとつ、“2代母の父が Northern Dancer の息子”という共通点があります(つまり Northern Dancer 5×4)。父がメジロマックイーンで母の父が Northern Dancer の息子、という配合の繁殖牝馬がいたら、とりあえずステイゴールドを付けておけば走りそうな気がします。

2010年11月19日 (金)

Northern Dancer 没後20年(4)

2010年の全欧種牡馬ランキングのベスト10は以下のとおり。まだシーズンは終了していないので現時点の途中成績です。

1位 Galileo(by Sadler's Wells)★
2位 King's Best(by Kingmambo)
3位 Oasis Dream(by Green Desert)★
4位 Dubawi(by Dubai Millennium)
5位 Dansili(by デインヒル)★
6位 Danehill Dancer(by デインヒル)★
7位 Cape Cross(by Green Desert)★
8位 Pivotal(by Polar Falcon)★
9位 Shamardal(by Giant's Causeway)★
10位 Invincible Spirit(by Green Desert)★

2位の King's Best、4位の Dubawi を除く8頭が Northern Dancer 系となっています(★が付いた馬)。日本では同系統の退潮が著しく、アメリカでは Storm Cat のライン以外は元気がないという状況。しかし、ヨーロッパでは相変わらず強いですね。20年前に比べて寡占率が上昇しています。

Northern Dancer 系のなかでもどのラインに属しているのか、8頭の内訳を示します。

Danzig       5頭(3、5、6、7、10位)
Sadler's Wells   1頭(1位)
Nureyev      1頭(8位)
Storm Cat     1頭(9位)

リーディングサイアーは Sadler's Wells 系の Galileo。しかし、割合でみると Danzig 系の圧勝です。Danzig はスピードが身上なので  Sadler's Wells よりも短めの距離を得意としています。ヨーロッパはスタミナ豊かな繁殖牝馬が多いので、サイアーラインの距離適性は代を経るごとに自然に延びていく傾向があります。マイルから中距離へ、中距離から長距離へ。そこで“上がり”となって役割を終えます。 Danzig 系は Sadler's Wells 系に比べて距離適性が短めであるぶん、次の代に血を繋げやすいという面があります。

クールモアのアイルランド本場に繋養されている22頭の種牡馬のうち、約6割にあたる13頭が Danzig 系です。世界血統のメインストリームはクールモアが作り出している部分が大きいので、ここで強力なバックアップを受けている Danzig 系が当分のあいだ世界のトップの座に君臨しつづけるでしょう。

短距離戦が盛んなオーストラリアでも Danzig 系が大人気。09-10年のサイアーランキングでは上位10頭中4頭が Danzig 系です。

1位 Redoute's Choice(by デインヒル)
5位 コマンズ(by デインヒル)
6位 Testa Rossa(by ペルジノ)
9位 Fastnet Rock(by デインヒル)

ヨーロッパとオーストラリアでは Danzig 系のシェアが高く、Sadler's Wells 系がこれに続きます。そして、昨日のエントリーでご紹介したようにアメリカでは Storm Cat 系の一極体制です。

2010年時点の Northern Dancer 系は、ほぼこの3系統に絞られつつあるといえるでしょう。

20年後の2030年にどのような血統地図が描かれているのか、ひょっとしたら今回書いたことが笑い話となるような驚くべき展開が待っているかもしれません。日本に再び Northern Dancer 系が根付くのか、それともサンデー系が押し返すのか……といったことも含めて、興味は尽きません。

2010年11月18日 (木)

地方競馬の結果あれこれ

■11月17日(水)、川崎競馬場で行われたロジータ記念(ダ2100m)は、2番人気ショウリダバンザイが外から鋭く伸びて優勝。1番人気ハーミアは2着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106452/

ショウリダバンザイは「プリサイスエンド×ジェイドロバリー」なので、先週の武蔵野S(G3・ダ1600m)を勝ったグロリアスノアとまったく同じ組み合わせです。ニックスかもしれません。これで浦和桜花賞(浦和)、ノースクイーンC(門別)に次いで3つめの重賞制覇。ひと夏を越してグンと強くなっており、この勝ちっぷりなら牡馬相手でも……。

■11月18日(木)、門別競馬場で行われた道営記念(ダ2000m)は、6番人気オネストジョンが外から差し切りました。1番人気クラキンコは5着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106158/

オネストジョンは「エイシンダンカーク×トウホーカムリ」という血統。父エイシンダンカークは1000万クラスの条件馬。母の父トウホーカムリはシンボリルドルフと同世代の脇役。84年の皐月賞の実況で、フジテレビの盛山毅アナウンサーが「トウホーカムリがインコース、伏兵はトウホーカムリ! ルドルフと、ビゼンと、トウホーカムリ!」と、名前をやたらと連呼していたのが記憶に残っています。
http://www.youtube.com/watch?v=KGtbdqYNG5c

トウホーカムリの半兄には、東京大賞典(ダ3000m)を3分08秒6の大レコードで圧勝したファインポートがいます。ファインポートは種牡馬としても名牝グレイスタイザン(浦和桜花賞、関東オークス、東京3歳優駿牝馬)を送り出しましたが、同馬は残念ながら事故死したため産駒を残していません。ただ、全妹ライフポートがダイアモンドコア(浦和桜花賞)の母となり、ダイアモンドコアはナイキハイグレード(羽田盃、京浜盃、ハイセイコー記念)の母となりました。ファインポートは地方競馬の名牝系の形成に大きな役割を果たしています。トウホーカムリも兄同様、母方に入っていい影響を与える血なのかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102538/

■道営記念のひとつ前のレース、ファスリエフ賞2歳オープン(ダ1200m)は、3番人気ゼニトッタ(父スウェプトオーヴァーボード)が勝ってデビュー2連勝。なかなか凄い名前です(笑)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105854/

Northern Dancer 没後20年(3)

Northern Dancer から派生したいくつかの主要ラインのうち、ここ20年で衰退していったのは Nijinsky と Lyphard。もはやかつての勢いを回復するのは難しいでしょう。

アメリカは Storm Cat 系の一極体制です。2010年のランキング(ブラッドホース誌)を見ると、10位以内に3頭の Northern Dancer 系種牡馬がランクインしており、そのすべてが Storm Cat 系です。

2位 Giant's Causeway(by Storm Cat)
8位 Lion Heart(by Tale of the Cat)
10位 Tale of the Cat(by Storm Cat)

3頭ともクールモアの所有馬でしたが、Lion Heart は今年1月にトルコに売却されました。売った途端、Dangerous Midge(BCターフ)、Line of David(アーカンソーダービー)、Kantharos(サラトガスペシャルS)などの大物が出てきています。

Storm Cat 系を背負って立つエースが Giant's Causeway であるのは衆目の一致するところでしょう。現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。種牡馬としてはヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出しています。まだ13歳ですから少なくともあと数年は第一線で頑張れるでしょう。
http://www.pedigreequery.com/giants+causeway

初期の代表産駒 Shamardal は、初年度から Lope De Vega(仏ダービー、仏2000ギニー)を送り出し、種牡馬として好スタートを切っています。Shamardal の母は名種牡馬 Street Cry(Zenyatta、Street Sence などの父)の全姉。血統的にもおもしろい馬です。
http://www.pedigreequery.com/shamardal
http://www.pedigreequery.com/street+cry

Storm Cat は、パワーと仕上がりの早さは超一流ですが、日本の軽い芝にフィットするようなしなやかさと瞬発力を欠き、気ムラで信頼性が乏しいという欠点があります。早い話が日本向きの血とはいえません。サンデーサイレンスとの相性もイマイチでした(息子のスペシャルウィークやマンハッタンカフェとは相性良好)。

ただ、 Giant's Causeway はそのあたりのアクの強さが緩和されており、日本で走ったスズカコーズウェイとエイシンアポロンは芝の重賞を勝ちました。Storm Cat 系は今後、Giant's Causeway を通じて発展していくものと思われます。(続く)

2010年11月17日 (水)

Northern Dancer 没後20年(2)

現役時代の Northern Dancer は米二冠を含めて18戦14勝。カナダ産馬として史上初めてケンタッキーダービーを勝った馬でもあります。勝ちタイムの2分00秒0は64年当時のレースレコード。これを上回るタイムは半世紀近くを経た現在でも Secretariat(1分59秒4/73年)と Monarchos(1分59秒97/01年)の2つだけです。
http://www.youtube.com/watch?v=LIRmzt4UmMc

種牡馬としては最初の4年間をカナダで過ごし、その後、死亡する90年まで米メリーランド州にあるウインドフィールズファームの支場に繋養されました。アメリカにおける馬産の中心地はケンタッキー州。Northern Dancer は一度もそこへ足を踏み入れることなく、約700キロ東部に位置する大西洋沿いのメリーランド州に在りながら、種牡馬の王として君臨したのです。

Northern Dancer が生涯に送り出した産駒はわずか635頭。23シーズンの種付けでこの数字ですから、1シーズンあたりに直すと28頭弱。毎年コンスタントに250頭以上の種付けをこなしているキングカメハメハなどは、わずか3年で Northern Dancer の総産駒数を抜いてしまう計算です。ただ、Northern Dancer は、種付け頭数を抑えることで逆に価値を高めることに成功しました。晩年の種付け料は億単位といわれ、83年にキーンランドのイヤリングセールで落札された1歳の牡馬(後の Snaafi Dancer)には、なんと1020万ドル(当時のレートで約24億円)という値がつきました。
http://www.pedigreequery.com/snaafi+dancer

当時、アメリカのセリ市場を席巻していたのは、ロバート・サングスターなどのヨーロッパの富豪と、マクトゥーム・ファミリーなどの中東勢。これらが Northern Dancer とその系統の良血馬を根こそぎ買い上げ、ヨーロッパへ持っていってしまったので、Northern Dancer は北米で誕生した血統でありながら、むしろヨーロッパを中心に繁栄しました。Nijinsky、Lyphard、Nureyev、Sadler's Wells、The Minstrel、Storm Bird、El Gran Senor などはヨーロッパで走った馬たちです。北米で競走生活を送り、種牡馬としても成功を収めたのは、初期の Vice Regent を除けば Danzig ぐらいしかいません。(続く)

2010年11月16日 (火)

Northern Dancer 没後20年(1)

1990年11月16日、20世紀を代表する大種牡馬 Northern Dancer が死亡しました。29歳。年も年ですからいつ死んでもおかしくないという心の準備はしていたのですが、いざ訃報に接すると「ああついに……」という軽い虚脱感があったのを覚えています。

当時、22歳の栗山青年は、『週刊競馬通信』という雑誌の編集に携わりつつ、「血統SQUARE」という枠をもらって連載コラムを書き始めたばかりでした。いまでも似たような生活をしているわけですから進歩がないというか何というか……。初めて書いたのは「オペラ座の夜」という5回シリーズ。4分の3同血の関係にある Nureyev と Sadler's Wells について、Dalmary にさかのぼる牝系から描き出したもので、Northern Dancer 系の主導権争いは Sadler's Wells が勝利したと結論づけました。

なぜこの題材を取り上げたかというと、当時の生産界において Northern Dancer の存在感はきわめて大きく、数ある後継馬のなかでどのラインが主流となるかということが主要な関心事だったからです。そして、いまでもはっきりと覚えているのですが、原稿を書き上げたその瞬間、Northern Dancer の訃報を耳にしたのです。個人的にはそうした点からも印象深い出来事でした。

本日は Northern Dancer 没後ちょうど20年目にあたります。

世の中が否応なく変わって行くように、血統の潮流も大きく様変わりしました。1990年の種牡馬ランキングを以下に示します。

1位 ノーザンテースト(by Northern Dancer)★
2位 ミルジョージ(by Mill Reef)
3位 トウショウボーイ(by テスコボーイ)
4位 モガミ(by Lyphard)★
5位 ノーザンディクテイター(by Northern Dancer)★
6位 マルゼンスキー(by Nijinsky)★
7位 ブレイヴェストローマン(by Never Bend)
8位 ラッキーソブリン(by Nijinsky)★
9位 リアルシャダイ(by Roberto)
10位 アンバーシャダイ(by ノーザンテースト)★

10頭中6頭が Northern Dancer 系です(★が付いた馬)。サンデーサイレンスもトニービンもブライアンズタイムもまだ出てきていません。これらが出揃ったのが90年代の前半。ここから日本の血統シーンは一変していきます。しかし、90年の時点では、このまま Northern Dancer 系の天下が続いていくのだろうと、深く考えるまでもなく当然のこととして感じていました。

20年が経過したいま、日本における Northern Dancer 系は傍流に追いやられています。09年の日本ダービーには Northern Dancer 系の出走馬が1頭もありませんでした。10年の種牡馬ランキングでは3位のクロフネのみが Northern Dancer 系で、10頭中5頭がサンデーサイレンス系。わずか20年でこんな事態になろうとは想像できませんでした。(続く)

2010年11月15日 (月)

エリザベス女王杯はスノーフェアリー

日本勢完敗。ここまで差をつけられると実力以外の何ものでもなく、勝ったスノーフェアリーに拍手を送るしかありません。初期のジャパンCの、日本勢が負け続けていた時代の懐かしい感覚が甦ってきました。
http://www.youtube.com/watch?v=0Mw73PHKikk

Snow Fairy はおもしろい血統です。父 Intikhab、母の父 Charnwood Forest、2代母の父 Marju、3代母の父 Persian Bold はいずれもマイラー。にもかかわらず、自身は英オークス(G1・芝12f10yds)と愛オークス(G1・芝12f)を連勝し、秋には英セントレジャー(G1・芝14f132yds)に挑戦しました。
http://www.pedigreequery.com/snow+fairy7

パッと見はマイラーという配合で、アメリカのスピード血統も多く含まれています。したがって、脚の回転は速く、それが日本向きの軽快さとなって表現されているではないかと感じました。ただ、日本馬のようなしなやかさはなく、そのフットワークはパワーに任せて収縮を繰り返す力強いピッチ走法です。このあたりは父 Intikhab によく似ていると思います。

父 Intikhab は、Red Ransom を経て Roberto にさかのぼる系統。4歳春にデットーリ騎手とのコンビでダイオメドS(英G3・芝8f114yds)を5馬身差、クイーンアンS(英G2・芝8f)を8馬身差で連勝しました。インターナショナルクラシフィケーションでは130という高評価を与えられています。ただ、種牡馬としては期待ほどの成績を挙げているわけではありません。

予想では△しか付けられませんでした。日本馬が日本で走るかぎりちょっとやそっとじゃ負けない、という先入観にとらわれたため、実力を軽く見積もってしまいました。土日2日間にわたって披露したライアン・ムーア騎手の技量もズバ抜けていたと思います。あれだけの技を見せつけられると溜息しか出ません。

◎リトルアマポーラ(7番人気)はアパパネとの写真判定の結果4着。3連単マルチの馬券を持っていたので、もし3着に残っていたらかなり大きな配当だったのですが……。騎乗した福永騎手は完璧に乗ったと思います。以前と比べて位置取りが的確だなぁと思う機会が増えました。今回のような騎乗で負けたのなら仕方がありません。

2010年11月14日 (日)

ラトルスネーク新馬戦圧勝

土曜日の新馬戦は見どころ十分でした。京都4R(芝1400m)を勝ち上がったラトルスネーク、東京6R(芝1600m)を勝ち上がったターゲットマシン。この2頭は大物でしょう。

ライアン・ムーア騎乗のラトルスネーク(父タニノギムレット)は、最後の直線で馬群のなかから忽然と現れると、ラスト100mで5馬身突き抜けました。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな勝ちっぷり。TV画面のなかの京都競馬場もざわついていました。ラスト1ハロンは10秒台の脚を使っているはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=s2raybZ0jiI

父タニノギムレットはウオッカ、スマイルジャック、アブソリュート、ニシノブルームーンなどの父。母ワシントンシティはチリ産馬で、チリオークス(G1・芝2400m)やサンチアゴ1000ギニー(G1・芝1700m)などを制し、同国の3歳牝馬チャンピオンに選ばれた名牝です。2000年に日本に入りました。02年に産んだスコッツデール(父ブライアンズタイム)は東海ダービー2着。ラトルスネークはその4分の3弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101073/

母ワシントンシティがチリオークスを勝った際の映像が YouTube にありました。ほかにデビュー戦の映像などもアップロードされているので、チリでは相当な名牝なのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=BhGiMSedrqs

ラトルスネークの配合的な急所は2代母の父 Thornton Hill だと思います。競走成績はなく、産駒の履歴を見るとチリとコロンビアで供用された種牡馬のようです。この馬は Lady Rebecca(Alzao の母)と4分の3同血の関係にあります。

タニノギムレット産駒で母方に Alzao を持つ馬といえばニシノブルームーン。同馬がマーメイドS(G3)に出走したときに◎を打ったのですが、その予想文にこう記しました。

「父タニノギムレットの配合的骨格を形成するアドミラルドレイク≒ローマンの相似な血のクロスを、母方のレディレベッカが持つアドミラルドレイク≒ローマンによって継続した好配合馬」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102548/

要するに11月11日のエントリー「ハイセイコー記念はセルサス」で述べたのと同じ内容です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-1bea.html

タニノギムレットの成功パターンは大きく分けて2つあります。①母方にサンデーサイレンスを持つこと。②Roman を持つこと。

①は非サンデー系の定番配合です。ただ、タニノギムレットの場合、自身が Admiral Drake≒Roman 6・5×5なので、サンデーが持つ Admiral Drake によってこれを継続することも大きいのではないでしょうか。②はそのものズバリ Admiral Drake≒Roman の継続。前出のニシノブルームーン以外では、タニノギムレットの最高傑作ウオッカがこのパターンに当てはまります。母方に入る Riverman の2代母の父が Roman です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004104258/

ラトルスネークの母方はチリ血統で、母系の奥はなじみのない血ばかり。ただ、配合の骨格だけを眺めると基本に忠実ですね。タニノギムレットの成功パターンをしっかり押さえています。新馬戦で派手な勝ち方をしたからといって将来が約束されるわけではありませんが、相当楽しみな馬であることは確かです。

2010年11月13日 (土)

映画『Secretariat』

70年代にアメリカで社会現象となり、“Big Red”の愛称でいまなお語り継がれる名馬 Secretariat。その伝記映画が10月8日からアメリカで公開されています。『シービスケット』(2003年・米)ほどではないものの興行成績は上々のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=UKmuvjL2cVw

実質的な主人公ペニー・チェナリーを演じるのはダイアン・レイン。彼女の名前を聞いて、いまだに『リトル・ロマンス』(1979年・米)の美少女役が頭に浮かぶのは40代の人間でしょう。もう中年女性を演じる年齢になったか……という感慨がしみじみ沸いてきます。そういえば『リトル・ロマンス』では、ストーリー展開に競馬が重要な役割を果たしています。といいつつ、細かなストーリーはすっかり忘れているのですが、ロンシャン競馬場のシーンだけは妙に頭に残っています。

『ホース・トレーダーズ』(スティーヴン・クリスト著・草野純訳/サラブレッド血統センター)には、ペニー・チェナリーと Secretariat の関わりが丹念に描かれています。これを読んでしまうと映画に関してはほとんどネタバレになっちゃうんじゃないかというほどです。88年に出版された同書は文句なしの名著。未読の方にはぜひオススメしたいですね。

『Secretariat』の日本公開決定のニュースをいまかいまかと待ち続けているのですが、いまだにそのようなアナウンスはありません。もう期待しても無理なのかもしれません。大きなスクリーンで迫力あるレースシーンを堪能したかったのですが……。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!