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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年11月14日 (日)

ラトルスネーク新馬戦圧勝

土曜日の新馬戦は見どころ十分でした。京都4R(芝1400m)を勝ち上がったラトルスネーク、東京6R(芝1600m)を勝ち上がったターゲットマシン。この2頭は大物でしょう。

ライアン・ムーア騎乗のラトルスネーク(父タニノギムレット)は、最後の直線で馬群のなかから忽然と現れると、ラスト100mで5馬身突き抜けました。思わず身を乗り出してしまうほどの鮮やかな勝ちっぷり。TV画面のなかの京都競馬場もざわついていました。ラスト1ハロンは10秒台の脚を使っているはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=s2raybZ0jiI

父タニノギムレットはウオッカ、スマイルジャック、アブソリュート、ニシノブルームーンなどの父。母ワシントンシティはチリ産馬で、チリオークス(G1・芝2400m)やサンチアゴ1000ギニー(G1・芝1700m)などを制し、同国の3歳牝馬チャンピオンに選ばれた名牝です。2000年に日本に入りました。02年に産んだスコッツデール(父ブライアンズタイム)は東海ダービー2着。ラトルスネークはその4分の3弟です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101073/

母ワシントンシティがチリオークスを勝った際の映像が YouTube にありました。ほかにデビュー戦の映像などもアップロードされているので、チリでは相当な名牝なのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=BhGiMSedrqs

ラトルスネークの配合的な急所は2代母の父 Thornton Hill だと思います。競走成績はなく、産駒の履歴を見るとチリとコロンビアで供用された種牡馬のようです。この馬は Lady Rebecca(Alzao の母)と4分の3同血の関係にあります。

タニノギムレット産駒で母方に Alzao を持つ馬といえばニシノブルームーン。同馬がマーメイドS(G3)に出走したときに◎を打ったのですが、その予想文にこう記しました。

「父タニノギムレットの配合的骨格を形成するアドミラルドレイク≒ローマンの相似な血のクロスを、母方のレディレベッカが持つアドミラルドレイク≒ローマンによって継続した好配合馬」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102548/

要するに11月11日のエントリー「ハイセイコー記念はセルサス」で述べたのと同じ内容です。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-1bea.html

タニノギムレットの成功パターンは大きく分けて2つあります。①母方にサンデーサイレンスを持つこと。②Roman を持つこと。

①は非サンデー系の定番配合です。ただ、タニノギムレットの場合、自身が Admiral Drake≒Roman 6・5×5なので、サンデーが持つ Admiral Drake によってこれを継続することも大きいのではないでしょうか。②はそのものズバリ Admiral Drake≒Roman の継続。前出のニシノブルームーン以外では、タニノギムレットの最高傑作ウオッカがこのパターンに当てはまります。母方に入る Riverman の2代母の父が Roman です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004104258/

ラトルスネークの母方はチリ血統で、母系の奥はなじみのない血ばかり。ただ、配合の骨格だけを眺めると基本に忠実ですね。タニノギムレットの成功パターンをしっかり押さえています。新馬戦で派手な勝ち方をしたからといって将来が約束されるわけではありませんが、相当楽しみな馬であることは確かです。

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ラトルスネーク新馬戦圧勝を参照しているブログ:

コメント

いやぁスゴい脚でした。

ちょっと出遅れで、京都に着いたのがちょうど4レースが終わったころ。えらいざわついてるなあ…と思ってたら、ターフビジョンにあの鬼脚!

なんとしてでも間に合っとくんやった(笑)。

タナトスといい、ラトルスネークといい、短めの距離で目を引く派手な勝ち方をする馬が出てきてますね。今日はソルデマーヨとアドマイヤラクティが楽しみです。
エリザベス女王杯には、レースが壊れないように祈ってます。

はじめまして。
ペルーサもそうなんですが、母系に南米系ってのがこれから流行ってくるんでしょうか?
あまり知識はないんですが、元々南米の競馬もかなり高速馬場ですよね。日本にマッチする条件はあったとか・・・?

抜け出すときは凄い脚でしたね。同じ勝負服のキンシャサノキセキのデビュー当時を思い出しますね。


ただ気性も激しそうで日本人騎手にうまく扱えるかが鍵になりそうな気が。。。

ワシントンシティは面白そうな血統ですね。
サンデー系もマッチしそうで。サーアイヴァーあるし、レッドゴッドあるし。
要注目繁殖です。

>ダンディ“ゲッツ”さっさん様

やはり京都競馬場はざわついていましたか。ラトルスネークの出世次第では、今回の数分の出遅れが一生の痛恨事となる可能性も……(笑)。去年のエリザベス女王杯はどうしようもないレースでしたが、今年はいいレースでした。

>bole 様

はじめまして。南米系はこれから増えてくるのではないでしょうか。以前はアルゼンチンがほとんどでしたが、最近はそれ以外の国も多くなってきたように感じます。先日、イギリスでデビューしたサンデーサイレンス産駒の Sunday Bess について記しましたが、同馬の母もチリ産です。おっしゃるとおり時計の出る馬場という共通点は大きいと思います。

>ak 様

キンシャサはあの勝ちっぷりでしばらく人気先行でしたが、結局はG1馬となりました。ラトルスネークもこのまま一直線に名馬街道を突っ走るかというとやや微妙かもしれません。ただ、相当いいものを持っていることは間違いなさそうです。ライアン・ムーア騎手の手綱さばきは別格です。彼が去ったあと誰が手綱を取るのか、たしかにこれは非常に大きな問題かもしれません。

>キスラー様

そうですね。とくにマンハッタンカフェなどは試してほしいなと思います。あとはゼンノロブロイですか。南米血統で母の父が Blushing Groom 系といえばペルーサが出ていますし。

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