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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年11月

2010年11月12日 (金)

レーヴドリアン死亡

菊花賞の健闘からまだ半月しか経っていないので驚きました。腸捻転を悪化させたとのことです。

私的な話をすれば、09-10年のPOGで1位指名した馬でした。調教は動かない、レースでは行き脚がつかず不器用と、じれったくなるような癖馬でしたが、目立つ芦毛だったせいか、なんとなく憎めないキャラでしたね。福永騎手に乗り替わってから脚質に幅が出てきて、「来年こそは」の思いがあっただけに残念でなりません。

配合については1月10日のエントリー「レーヴドリアン完勝――福寿草特別」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-aae6-1.html

そのエントリーにも記しましたが、レーヴドスカーの子供たちは体質面に不安を抱えるケースが目に付きます。半姉レーヴダムールは爪の故障で戦線離脱したあと復帰調整中に死亡。半兄アプレザンレーヴは頑健な四肢を伝えるシンボリクリスエスの子ながら屈腱炎で引退。そして、レーヴドリアンが腸捻転で死亡。抜群に走るのは事実ですが、その一方で暗い影のつきまとう血統でもあります。

  レーヴドスカー(f.1997.Highest Honor)
    ナイアガラ(c.2003.ファンタスティックライト)
    レーヴダムール(f.2005.ファルブラヴ)
    アプレザンレーヴ(c.2006.シンボリクリスエス)
    レーヴドリアン(c.2007.スペシャルウィーク)
    レーヴディソール(f.2008.アグネスタキオン)

今年の2歳牝馬戦線のトップランナー、レーヴディソール(父アグネスタキオン)はレーヴドスカーの末娘。父アグネスタキオンは周知のとおり脚部の弱さを伝えるところのある種牡馬です。このまま何ごともなく大成してほしいですね。

2010年11月11日 (木)

ハイセイコー記念はセルサス

10日、大井競馬場で行われた2歳重賞のハイセイコー記念(ダ1600m)は、単勝1.9倍の1番人気に推されたセルサス(父タイムパラドックス)が5馬身差で圧勝しました。2着と3着はさらに4馬身離れているので強かったですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106137/

デビュー戦で2着と敗れてから3連勝。しかも、いずれも5馬身差で勝っており後続を寄せ付けていません。

父はタイムパラドックスはダートG1を5勝した名馬で、ブライアンズタイムのダートにおける代表産駒の1頭。これにブレイヴェストローマンですから、その走りが示すとおりダートは鬼でしょう。

ブライアンズタイムとブレイヴェストローマンの組み合わせは成功しており、ナイキアースワークとドラゴンファイヤーの兄弟や、エスポワールシチーの母、スリーロールスの母など、多くの活躍馬の血統に見られます。

ブライアンズタイムは Admiral Drake≒Roman 5×4。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000082/
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

これはディープインパクトやゼンノロブロイにも見られる相似な血のクロスです。ブレイヴェストローマンは母の父が Roman ですから、ブライアンズタイムと組み合わせると上記のクロスを継続することになります。ブライアンズタイムとブレイヴェストローマンの好相性の秘密はここにあるのではないでしょうか。

セルサスの父タイムパラドックスは、すでに Admiral Drake≒Roman を継続しています(6・5×5)。ですから、そこにブレイヴェストローマン(Roman)が加わると余計に効果が大きいのかもしれません。

ちなみに、ゼンノロブロイと Riverman の相性の良さは、Riverman の2代母の父が Roman だからでしょう。今年のPOGで指名したレッドセインツ(父ディープインパクト/新潟2歳S-3着)は母方に Riverman を持ちます。この馬を狙ったのは、Admiral Drake≒Roman の継続に期待したことも理由のひとつです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/

タイムパラドックス産駒は、今年の2歳世代がファーストクロップで、これまで中央では9頭出走して1勝。あまり芳しくありません。セルサスのように、ブレイヴェストローマンを入れて Admiral Drake≒Roman を継続する、というのは配合の方向性として間違っていないと思うので、今後、タイムパラドックスの配合方針として活かせるのでは、と思います。

2010年11月10日 (水)

Halo≒Sir Ivor≒Drone(後)

2000年以降に誕生したヨーロッパの若手種牡馬のなかで、いま最も熱い視線を浴びているのは Oasis Dream(父 Green Desert)と Dubawi(父 Dubawi Millennium)の2頭でしょう。今年の全欧種牡馬ランキングで前者は3位、後者は4位につけています。

この2頭はいずれも母方にダンシングブレーヴを持っています。そして、父方には Sir Ivor があります。つまり、Sir Ivor≒Drone という相似な血のクロスを持っているわけです。前者は3×4、後者は5×5。
http://www.pedigreequery.com/oasis+dream
http://www.pedigreequery.com/dubawi

現代のヨーロッパ血統を語る際、話題にのぼるのは Sadler's Wells とデインヒル、そして Green Desert あたりでしょうか。しかし、父系勢力図というものはごく表面的な話題にすぎません。サラブレッドの能力を決定するのは配合です。そして、配合的な視点から眺めると Sir Ivor≒Drone が現代血統を解き明かすための重要な鍵として浮上してきます。折しも、日本では Halo≒Sir Ivor 2×4のディープインパクトが大種牡馬への道を歩み始めています。世界最先端の血の潮流は、Halo≒Sir Ivor≒Drone がひとつの軸となっているのではないでしょうか。

Halo、Sir Ivor、Drone の最大の長所は「瞬発力」です。サンデーサイレンスの瞬発力は、父 Halo から受け継いだ要素が大きいのではないかと思います。Sir Ivor と Drone に関しては、5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」をご参照くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/sir-gaylord-ce0.html

新馬戦で2着に敗れたアドマイヤカーリンは、出遅れた上に距離不足だったことを考えれば、上々のレース内容だったと思います。次走はおそらく距離を延ばしてくるはずなので、しっかり勝ち上がるでしょう。この先が楽しみな馬です。

2010年11月 9日 (火)

Halo≒Sir Ivor≒Drone(前)

先週、京都芝1600mの新馬戦で、母の父にトニービンを持つディープインパクト産駒2頭、コティリオンとアドマイヤカーリンが1分34秒4でワンツーフィニッシュを決めました。同コースで行われた新馬戦のなかで、このタイムは歴代1位タイの記録です。

これだけ多くのディープインパクト産駒が出ているのに、「ディープインパクト×トニービン」は、先週のコティリオン、アドマイヤカーリンの2頭が初めての出走でした。そして、マッチレースの1、2着ですから、これは走るのかもしれませんね。

今年のPOGでは「ディープ×トニービン」に関して様子見としました。この配合が走るのか走らないのか、どちらの自信も持てなかったため、とりあえず判断保留としたわけです。ただ、2歳世代で7頭いるこの配合馬のなかで、唯一「栗山ノート」に含めた馬がいます。それがアドマイヤカーリンでした。

ディープインパクトは Halo≒Sir Ivor 2×4。当ブログでも何度か指摘していますが、これが配合構成のひとつの核となっていると思います。アドマイヤカーリンは、Halo、Sir Ivor とよく似た配合構成の Drone を母方に持っているため、Halo≒Sir Ivor≒Drone 3・5×4です。Drone はダンシングブレーヴの母の父でもあります。
http://www.pedigreequery.com/halo
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor
http://www.pedigreequery.com/drone

        ┌ Turn-to
      ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ―――┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

              ┌ Turn-to
      ┌ Sir Gaylord ┘
      │   ┌ Mahmoud
Sir Ivor ―┤ ┌○┘
      └○┤ ┌ Pharamond
        └○┤
          └○┐
            └ Alcibiades

              ┌ Turn-to
      ┌ Sir Gaylord ┘
      │     ┌ Pharamond
Drone ―――┤   ┌○┤
      │ ┌○┘ └ Alcibiades
      └○┤ ┌ Mahmoud
        └○┘

このトライアングルは効果が大きいと思われるので要注目です。すでに勝ち上がったディープインパクト産駒のなかでは、サトノペガサスが同じクロスを持っています。(続く)

2010年11月 8日 (月)

トーセンジョーダン、トランセンド

アルゼンチン共和国杯(G2・芝2500m)は1番人気の◎トーセンジョーダン(父ジャングルポケット)が快勝。キャリアを重ねたことで競馬に幅が出てきて、本当にいい馬になりました。土曜日の東京競馬場のイベントでは「東京芝2500mはジャングルポケットとオペラハウス!」と強調してきたので、勝ってよかったです。馬券は◎○で本線的中でした。

この馬はかつてPOGで持っていた馬なので愛着があります。クラフティワイフの牝系はトニービン系と相性抜群。カンパニー、レニングラード、バトルバニヤンといった馬たちとトーセンジョーダンはほとんど同じような配合構成です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103435/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107047/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102878/

                     ┌ トニービン
          ┌ ジャングルポケット ┘
トーセンジョーダン ┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

            ┌ トニービン
          ┌○┘
カンパニー ――――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

          ┌ トニービン
レニングラード ――┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┤
            └ クラフティワイフ

                     ┌ トニービン
          ┌ ジャングルポケット ┘
バトルバニヤン ――┤
          └ クラフティワイフ

トーセンジョーダンにはサンデーサイレンスが入っていないため、その走りに軽い切れ味は感じられません。力感あふれる大トビのフットワークは迫力十分。2分30秒0の勝ちタイムはアルゼンチン共和国杯のレコードです。レース前に「ここを勝って有馬」という話があったので、おそらくその路線になるのでしょう。アルゼンチン共和国杯から有馬記念への直行は、過去ほとんど実績がない“鬼門”といえるローテーション。ただ、ジャングルポケット産駒は中山芝2500mと相性がいいので一発があってもおかしくないと思います。

2着○ジャミール(2番人気)はステイヤーとしての才能はありますが、小回りコースでマクる競馬が向いているので対抗評価。「ステイゴールド×Sadler's Wells」ですからジリジリとしか伸びないのは仕方ないでしょう。次走のステイヤーズS(G2・芝3600m)はベスト条件なので頭から狙いたいところです。

一方、京都のみやこS(G3・ダ1800m)は◎トランセンド(2番人気)が逃げ切り勝ち。3歳時からその配合を高く評価してきた馬なのでようやくか……という感じです。馬券は◎○で本線的中です。

「ワイルドラッシュ×トニービン」はエルムS(G3・ダ1700m)を勝ったクリールパッションと同じ。クリールは2代母がブライアンズタイムの全姉、という配合的特徴があるのですが、こちらも Bushel-N-Peck≒サニースワップス3×3というユニークな配合構成となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

         ┌ Khaled
Bushel-N-Peck ――┤ ┌ Dante
         └○┤ ┌ Mahmoud
           └○┘

               ┌ Dante
             ┌○┘
           ┌○┘ ┌ Mahmoud
         ┌○┤ ┌○┘
サニースワップス ┤ └○┘
         │ ┌ Khaled
         └○┘

“母の父トニービン”のダート巧者といえばアドマイヤドン(JRA賞最優秀ダートホース2回)が有名です。父がサンデー系なら芝向きに、それ以外のアメリカ血統ならばパワー型が出てくる傾向があります。アフリートとのニックスは有名で、ビッグウルフ、ミリオンディスク、ゼンノパルテノンなどは「アフリート×トニービン」の組み合わせから誕生しています。

2010年11月 7日 (日)

Zenyatta、20連勝ならず

あのレーススタイルで連勝を「19」まで積み上げたこと自体が奇跡だと思うのですが、ここまできたら全勝で引退してほしかったですね。
http://www.youtube.com/watch?v=_Et15M6wsPo

ESPNの中継は最初から最後まで Zenyatta づくし。人気があるんだなぁとあらためて感心させられました。というか、これほど魅力的な個性の持ち主は愛さずにはいられません。私はけっこう好きでした(笑)。

04年のベルモントS(米G1)で、Birdstone が Smarty Jones の無敗の三冠を阻止したときもスタンドの雰囲気はヤバかったのですが、今回はそれに劣らず、画面から伝わってくる観衆の消沈ぶりが痛々しかったですね。勝利騎手のギャレット・ゴメスに笑顔がなかったのは、自分が微妙な立場に立たされていることを察していたからではないでしょうか。

勝った Blame の父系は、Arch → Kris S. → Roberto とさかのぼるライン。Kris S. はシンボリクリスエスの父です。2着に敗れた Zenyatta の母の父でもあります。
http://www.pedigreequery.com/blame5
http://www.pedigreequery.com/zenyatta

この日、2歳牡馬セン馬によるブリーダーズCジュヴェナイル(米G1・ダ8.5f)が行われ、大本命の Uncle Mo が圧勝して無傷の3連勝を飾りました。
http://www.youtube.com/watch?v=rC71S2v3W14

同馬の母の父は Arch (Blame の父)ですから、今年のブリーダーズCは Kris S.-Arch のラインが目立った印象があります。
http://www.pedigreequery.com/uncle+mo

底力とスタミナに秀でた血なので大舞台では頼りになります。ちなみに、Arch の母 Aurora は、着々と大父系を築きつつある Green Desert と4分の3同血の関係にあるので、血脈的にもちょっとおもしろいですね。
http://www.pedigreequery.com/arch
http://www.pedigreequery.com/green+desert

日本のエスポワールシチーは10着ながら4コーナー先頭の見せ場を作りました。先行した4頭は、人気の一角 Quality Road を含めて後方に敗れているので、結果的にペースが速すぎたということでしょう。

2010年11月 6日 (土)

ブレイクランアウト種牡馬入り

先日の富士S(G3・芝1600m)で故障を発症したブレイクランアウトの種牡馬入りが決定しました。配合的に高く評価していた馬なので、どうなるのか気を揉んでいたのですが、血を残せることになってよかったと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006110007/

父 Smart Strike はアメリカにおける Mr.Prospector 系の代表格。リーディングサイアーの経験もあります。Curlin(米年度代表馬)、English Channel(BCターフを含めて芝G1を6勝)、Lookin At Lucky(プリークネスS)、Fleetstreet Dancer(ジャパンCダート)などを送り出し、芝・ダートを問わず成功しています。

ブレイクランアウトは「Smart Strike×フレンチデピュティ」という組み合わせ。母の父が Deputy Minister 系、という配合は前出の Curlin と同じです。
http://www.pedigreequery.com/curlin

母キューが芝12ハロンのロングアイランドH(米G2)の勝ち馬なので、芝向きの軽いフットワークが備わっていたのでしょう。 Mitterand≒Peroxide Princess 2×2(近い世代で Bold Ruler、Prince John、Eight Thirty、Folle Nuit が共通し、このうち Prince John と Eight Thirty がニックス)というユニークな配合をしています。
http://www.pedigreequery.com/queue2

父母どちらかにおもしろい凝縮のある馬は、種牡馬でも繁殖牝馬でも私の好みです。たとえば、名馬 Native Dancer を産んだ Geisha などがそうですね。その母 Miyako には多重クロスが見られます。
http://www.pedigreequery.com/geisha

70年代末から80年代前半にかけて、地方競馬ではタガワ四兄弟(タガワエース、タガワキング、タガワテツオー、タガワリュウオー)が大活躍しましたが、その母コーホールも同パターンです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1955101937/

笠雄二郎さんの「4分の1異系配合」という考え方は、視点を変えれば、こうした配合パターンをもカバーできうるものではないかと思います。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://www.tescogabby.com/index.htm

2010年11月 5日 (金)

東京競馬場でオープン型レーシングセミナー

11月6日(土)、東京競馬場メインスタンド3Fセンターコートにて、「オープン型レーシングセミナー」が開かれます。

JRAのホームページから引用します。

「今までの当日のメインレース予想とは一味違った内容の競馬セミナーを行います。パドックや返し馬の見方、血統、穴馬の見つけ方等、競馬解説者やトラックマン、競馬記者が競馬予想のヒントとなる講座を行います。どなたでもご自由にご参加できます。」
http://www.jra.go.jp/news/201010/102506.html#3_1

10時30分ごろから14時30分ごろの間に1日5回、出演者がファンの皆さまの前でトークを行います。1回の講座につき1人の出演者が15分程度しゃべります。

私の出番は10時30分と13時30分の2回で、1回目は「新馬戦の狙い方」、2回目は「長距離戦の狙い方」について。よろしければどうぞいらっしゃってください。10時30分だと誰もいないだろうなぁ……。

なお、この企画は、11月28日(日)のジャパンC当日まで毎土日、継続して行われます。再度出番があるかもしれませんし、ないかもしれません。来週以降のスケジュールは未定です。

2010年11月 4日 (木)

JBCスプリント&クラシック

好天微風で適度に暖かい、という一年に何度もないような絶好の競馬日和。スプリントもクラシックも逃げ圧勝でした。

★JBCスプリント(G1・ダ1000m)は単勝1.2倍のサマーウインド(父タイキシャトル)が逃げ切り勝ち。
http://www.youtube.com/watch?v=tFQJlkDkLRM

1400mではラストが甘くなる馬ですが、1200mではかなり強く、1000mではもっと強いということですね。圧巻でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005103763/

母シンウインドはスワンS(G2・芝1400m)、京王杯スプリングC(G2・芝1400m)を勝ったスピード馬。スワンSはデビュー2年目の武豊騎手を背に2~3番手追走から直線でスパッと抜け出しました。完璧だなぁ~と思った記憶があります。今年の夏に函館スプリントSを勝ったワンカラットに破られるまで、22年にわたって函館芝1200mのレコードホルダーでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984103836/

シンウインドの母の父ウエスタンウインドは Gallant Man 産駒。Gallant Man は Mah Iran≒Mahmoud 2×2という配合ゆえか、気性の激しさとスピードを伝える血統です。サクラバクシンオーの3代母の父でもあります。同馬のスプリント能力は Gallant Man に負う部分もあるのではないかと思います。
http://www.pedigreequery.com/gallant+man

イギリス産馬ながらアメリカで大活躍した馬なのでパワーがあり、日本における代表産駒の1頭メイワキミコ(スプリンターズS-2回)は、中山ダ1200mで樹立した1分09秒2のレコードを21年間保持しつづけました。サマーウインドに備わっているダート短距離の適性はこのあたりに由来するのかなと思います。

★JBCクラシック(G1・ダ1800m)は4番人気のスマートファルコン(父ゴールドアリュール)が7馬身差の逃げ切り勝ち。最後の2ハロンは13秒3-13秒6とバテていましたが、前半5ハロンをなんと58秒1(11秒3-11秒1-11秒7-11秒8-12秒2)で行ったため、フリオーソ(1番人気)以下の後続はなし崩しに脚を使わされる形となり、逃げ馬に迫る馬は最後まで現れませんでした。末脚に賭けたシルクメビウス(2番人気)も脚が上がり4着。まるでアメリカ競馬のような壮絶なサバイバル戦でした。
http://www.youtube.com/watch?v=JPiRtH3igpQ

スマートファルコンは08年のJBCスプリント(G1)の2着馬。スプリントとクラシックの双方で連対した初めての馬となります。重賞11勝目ですがG1タイトルは初めて。父ゴールドアリュールはファーストクロップから3頭目のG1馬を出したことになります(ほかの2頭はエスポワールシチー、オーロマイスター)。スマートファルコンの半兄には東京大賞典(G1・ダ2000m)を勝ったワールドクリーク(父マジックミラー)がいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005100097/

2010年11月 3日 (水)

先週の新馬戦(後)

10月30日の土曜日は、台風接近のため東京競馬が中止となり、京都競馬場で2鞍の新馬戦が行われました。

■土曜京都5R(ダ1400m)▲ホークウォリアー(2番人気)

勝った▲オウエイバスター(2番人気)の父オンファイアは、ディープインパクトの全弟。今年の2歳世代が初年度産駒で、すでにシゲルキョクチョウ(小倉2歳S-2着)を出しています。オウエイバスターとシゲルキョクチョウは Raja Baba を持っているという点で共通しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101947/

10月29日のエントリー「ディープ産駒 Sunday Bess、英デビュー戦で2着」のなかで、ディープインパクトと Raja Baba の関係についてちょっと触れたのですが、やはり合うのかなという感じがします。ちなみに、母方に Raja Baba を持つディープインパクト産駒にはドナウブルー、エアジョイントがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103250/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102787/

◎ホワイトスパルタン(5番人気)は3着。最内枠で出遅れるという苦しい競馬でしたが、最後は大外からよく追い上げました。まともに出ていたら2着でしたね。配合的におもしろいところのある馬なので次走以降も注目したいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101359/

■土曜京都6R(芝2000m)△サンビーム(4番人気)

1着△サンビーム(4番人気)、2着△ユニバーサルバンク(2番人気)はいずれもネオユニヴァース産駒。

芝新馬戦における同産駒の距離別連対率は以下のとおり。

芝1200m 14.8%
芝1400m  4.3%
芝1600m 16.2%
芝1800m 18.3%
芝2000m 30.6%

距離が延びたほうがいい、ということが数字に表れています。ネオユニヴァースはローカルを苦手とし、中央開催を得意とする種牡馬です。とくにローカルの短距離戦はまったくダメ。このカテゴリーは走らないので、早い時期の新馬戦は苦戦する傾向が見られます。ですが、秋になって中央開催となり、距離が延びれば成績が上昇してきます。ロジユニヴァース(日本ダービー)、オールアズワン(札幌2歳S)、サンビームの共通点は母方に Danzig を持っていること。パワーが持ち味でしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101745/

◎オンリーザブレイヴ(5番人気)は8着。ディープインパクト産駒で、Burghclere≒Height of Fashion 3×4というクロスを持ちます。四位騎手は「今日は伸び切って走っていた」(週刊競馬ブック)と語っているように、終始ワンペースの走りに見えました。仮に上記のクロスが鈍重さを与えるものだとしたら問題ですね。初戦だけでは何ともいえないので次走を見てみたいところです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102980/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!