2024年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« 2010年6月 | メイン | 2010年8月 »

2010年7月

2010年7月13日 (火)

セレクトセール見聞記(1)

日曜日の昼に東京を発って札幌に入りました。投宿先のホテルでメイレースをテレビ観戦したあと、ケイアイガーベラに関するブログ記事を書き上げ、午後6時、すすきのの某海鮮居酒屋に札幌在住の望田潤さん、馬産地在住の kuwa さん、不肖わたくしの3人が集まり同窓会を開きました。何度かブログで触れているように競馬通信社の元同僚です。望田さんとは年1~2回は飲む仲ですが、kuwa さんとはなんと17年ぶり(!)。正確にいえば93年秋以来です。

友達とはいいもので、数語交わしただけで17年の時空を飛び越えることができます。まるできのう別れたばかりのような打ち解けた雰囲気で旧交を温めました。楽しいの一語でしたね。ほかのお客さんがすべて帰ってしまった後もしゃべり続けていました。

翌朝早く、ワールドカップの決勝戦を観ようとテレビをつけたところ、チャンネル操作部分が壊れていてHBC北海道放送しか映らず、結局、観ることができませんでした。無念。

月曜日は雨。近くのホテルに泊まった kuwa さんが「セレクトセール会場まで車で送って行ってあげるよ」といってくれたので、お言葉に甘えることにしました。札幌からノーザンホースパークまでの1時間半、ずーっと血統の話。気がつくと Tamerett や Buchan について、お互い血統表も見ずに配合構成やその意義について語り合っており、客観的にみてかなり気持ち悪いなと思いました(笑)。

セリ1日目はやや盛り上がりに欠けました。会場でお会いした村本浩平さんは「きょうは目玉がいないですね」と語っておられました。たとえばビワハイジ、スカーレットブーケ、エアグルーヴ級の繁殖牝馬の子が1頭でもいれば、それを契機にセリが活気づくのですが、ネームバリューに乏しい繁殖の子ではそうはいきません。ただ、インフレ的な値段の上昇がないので「本当に買いたい馬がいる人にとってはいいセリじゃないですか」とも。たしかに、こんないい配合の馬がこんなに安くていいの? という例がいくつかありました。

気が滅入るような強い雨が降っていたのも購買意欲に水を差した部分があったかもしれません。雨の影響なのか途中で停電となり、オークショニアのマイク音声が入らずセリがストップするアクシデントもありました。換気扇まで止まってしまい、野外の出店で調理している焼き肉の、ほんのりと香ばしい煙が会場内に漂ってきて、お昼どきだったものでそれが妙に食欲をそそるという一幕もありました。

その夜は亀谷敬正さんとすすきので会食。彼はテレビそのままの明朗な人柄です。去年は2日目の夜に飲んだのですが、“ジンギスカン→ジンギスカン”というハシゴでした。これは配合的に濃すぎるというので、今年はバランスに気を遣って“寿司→ジンギスカン”という流れ。“軽×重”は配合の王道なので正解でした。ダービーの“ローズキングダム本命”の内幕などを楽しく聞かせてもらい、日付が替わるころホテルに戻りました。

2010年7月12日 (月)

ケイアイガーベラとサンデー系

プロキオンS(G3・ダ1400m)は牝馬のケイアイガーベラ(4番人気)がレコードで逃げ切り勝ち。ここまで強いとは……という感じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104463/

その父 Smarty Jones は米二冠馬(ケンタッキーダービー、プリークネスS)で、その父 Elusive Quality は現役時代に芝8ハロン=1分31秒6の世界レコード(当時)を樹立。種牡馬としても成功し、04年には北米リーディングサイアーに輝いています。
http://www.pedigreequery.com/elusive+quality

今年の米古馬戦線の雄 Quality Road(牡4歳)は Elusive Quality 産駒。いまや Zenyatta とて負かすのは楽ではない、と思わせる強豪に成長しました。
http://www.pedigreequery.com/quality+road

昨春、フロリダダービー(G1)を勝ってすでにG1ウィナーの仲間入りを果たしているものの、本格化したのは今年に入ってから。ハルズホープS(G3・ダ8f)→ドンH(G1・ダ9f)→メトロポリタンH(G1・ダ8f)と3連勝中です。とくにドンHは2着以下を12・3/4馬身ちぎり、1分47秒49というトラックレコードを樹立しました。
http://www.youtube.com/watch?v=pxfpmHO2_Hc

Elusive Quality は、数少ないサンデーサイレンス牝馬との交配から、2頭の活躍馬を送り出しています。その2頭、Devotee と Raihana は、いずれもUAEオークスを勝っています。ちなみに、前者が勝ったUAEオークスはナドアルシバ競馬場のダ1800m、後者が勝ったのはメイダン競馬場のAW1900m。同じレースですが行われた条件は異なります。両馬は「Elusive Quality×サンデーサイレンス」だけでなく、母系の奥に Danzig が入るところまで似ています。
http://www.pedigreequery.com/devotee9
http://www.pedigreequery.com/raihana

     ┌ Elusive Quality
Devotee ―┤ ┌ サンデーサイレンス
     └○┤ ┌ Danzig
       └○┘

     ┌ Elusive Quality
Raihana ―┤ ┌ サンデーサイレンス
     └○┤   ┌ Danzig
       │ ┌○┘
       └○┘

Elusive Quality とサンデーサイレンスを結びつけているのは、おそらく“Sir Ivor と Halo”でしょう。
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor
http://www.pedigreequery.com/halo

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Mahmoud
Sir Ivor ┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Pharamond
       └○┘

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ――┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Mahmoud
       └○┘

この2頭は血統構成が似ており、ニックスの関係にあります。有名なところではグッバイヘイローとジョリーズヘイローがふたつの血の組み合わせから誕生しました。ディープインパクトもこの組み合わせ(2×4)を持っています。
http://www.pedigreequery.com/goodbye+halo
http://www.pedigreequery.com/jolies+halo
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/

プロキオンSをレコード勝ちしたケイアイガーベラは、Elusive Quality 系で、母の父は Danzig。前出の Devotee と Raihana に配合構成がよく似ています。これにサンデーサイレンスが加われば完璧です。わが国の生産界には同系の優秀な種牡馬がよりどりみどりですから、繁殖牝馬としての将来も明るいと思います。

2010年7月11日 (日)

ジェッタ牝系とヒンドスタン

土曜福島11Rの松島特別(1000万下・芝2000m)は、7番人気のアサヒバロン(父テンビー)が差し切って勝ちました。同馬はアサヒライジング(クイーンS、アメリカンオークス-2着、秋華賞-2着、ヴィクトリアマイル-2着)の半弟です。

その母アサヒマーキュリーはあまりにも美しい反時代的配合なので惚れずにはいられません。父ミナガワマンナはシンザン産駒の菊花賞馬。母の父ボンモーはフランス産のウルトラステイヤー血統。これほど徹底した異系配合はきわめて珍しいですね。全兄アサヒジュピターはアルゼンチン共和国杯(G2)の3着馬でした。
http://premium.netkeiba.com/db/horse/ped/1991101226/

では、血脈の物珍しさだけで惚れたのかと問われれば、答えは「NO」です。この馬が属するジェッタ牝系は、ヒンドスタンと抜群の相性を示しています。

まず、“父ヒンドスタン、母ジェッタ”という直接交配から皐月賞馬ワイルドモアが誕生しました。そして、ジェッタの娘とヒンドスタンの息子(シンザン)との交配からアサヒダイオー(カブトヤマ記念)とアサヒテイオー(日経賞)の兄弟が生まれました。これらの姪にあたるのがアサヒマーキュリーで、その父ミナガワマンナはヒンドスタンの孫です。

  ジェッタ(f.1960.Nearula)
    ワイルドモア(c.1966.ヒンドスタン)
    アサヒタマナー(f.1968.タマナー)
      アサヒダイオー(c.1975.シンザン)
      タニワーデン(f.1978.ボンモー)
      │ アサヒジュピター(c.1990.ミナガワマンナ)
      │ アサヒマーキュリー(f.1991.ミナガワマンナ)
      │   アサヒライジング(f.2003.ロイヤルタッチ)
      │   アサヒバロン(c.2004.テンビー)
      アサヒテイオー(c.1979.シンザン)
      アサヒエンペラー(c.1983.コインドシルバー)

ジェッタの牝系には、代々、ヒンドスタン→シンザン→ミナガワマンナという親子孫が交配され、それぞれ一流馬を送り出しています。ジェッタとヒンドスタンの相性のよさは、おそらくジェッタの母 Jet Plane と、ヒンドスタンの母 Sonibai がよく似た血統構成だからでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sonibai
http://www.pedigreequery.com/jet+plane

       ┌ Solario
Sonibai ―――┤ ┌ Blandford
       └○┤
         └ Uganda

         ┌ Blandford
       ┌○┤
Jet Plane ――┤ └ Uganda
       └○┐ ┌ Solario
         └○┘

代が下っても効果が維持されたのですから、両者の結びつきは強固です。一流馬がつねに一流血統から生まれるわけではありません。たとえ主流とは無縁の血統であっても、意匠を凝らした配合には、しばしば勝利の女神が微笑むのです。この一族の活躍ぶりはそれを証明しています。

非主流血脈を極限まで蓄えた上で、Sonibai≒Jet Plane という相似な血のクロスを施し、そこへ「サンデーサイレンス系×Northern Dancer 系」という主流血脈(ロイヤルタッチ)をぶつけて誕生したのがアサヒライジングです。昨今、非主流のドイツ血統が欧米の主流血統と掛け合わされて次々とハイクラスな馬を誕生させていますが、基本的にはそれと同じパターンと考えていいでしょう。

2010年7月10日 (土)

スタミナ・インデックス

『栗山求 Official Website』(http://www.miesque.com/)の「Works」に作品を追加しました。例によって血統専門誌『週刊競馬通信』に連載したコラム「血統SQUARE」の復刻掲載です。

今回は「スタミナ・インデックス」(初出は1996年9月~10月)。血統表を解釈するときに必要なのは過去の血の特徴を把握すること。なかでも距離適性は最も基本的なファクターなので重要です。この連載では、過去の血の距離適性に光を当てています。どんな血が入れば速くなり、あるいはスタミナが増すのか。血統表を見ながら思わず考えに耽ってしまいます。よろしければご一読くださいませ。

2010年7月 9日 (金)

マンハッタンカフェ整理整頓(5)

■母が Northern Dancer を複数持つ(4代以内)

Northern Dancer は依然として世界のメインストリームを形成する血です。したがって、「母が4代以内に Northern Dancer を複数持つ」ということは、“マンハッタンカフェは主流血統と相性がいい”という前回までの説明とリンクします。

レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ゲシュタルト、ガルボ、ヒルノダムール、ココナッツパンチがこのパターンにあてはまります。レッドディザイアは母が Northern Dancer 3×3です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

Northern Dancer 系は世界のあらゆる馬場に適応しています。芝でもダートでもオールウェザーでもお構いなし。この系統の美点はたくさんありますが、なかでも“筋力の強さ”はその最大のものではないでしょうか。これがベースとなってさまざまな系統が発展しています。

現役時代のマンハッタンカフェはヨーロッパの香り漂うステイヤーでした。体の線が綺麗で動きが柔らかく、切れ味勝負に強い反面、非力なところが見られました。こうした特徴は産駒にも伝わっているように思います。母方の Northern Dancer クロスによって筋肉を増強することは、産駒のパワー不足を補う上で有効です。マンハッタンカフェが基本的にアメリカ血統と好相性を示しているのは、こうした部分にも理由があるような気がします。アメリカ馬は一般的に、ガッチリとした馬格、豊富な筋肉を備えておりパワーがあります。

ヒルノダムールとガルボは配合構成がよく似ています。ヒルノダムールは、母シェアエレガンスが Nijinsky≒The Minstrel 2×3。ガルボは、母ヤマトダマシイが Nijinsky≒Far North 3×3。Far North と The Minstrel は全きょうだいなので構造はよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101163/

両者ともこのような硬質な4分の3同血クロスを持つ上に、前者の母の父はラムタラ、後者の母の父はジェネラスと、これまた柔軟性に欠ける硬い血です。

マンハッタンカフェは、自身が柔らかすぎるので、交配相手の牝馬がこれぐらい硬くても問題ありません。むしろ、そのほうがいいような気がします。硬めのアメリカ血統が入らない産駒は、フニャフニャで頼りなく、大物感がありません。

2010年7月 8日 (木)

マンハッタンカフェ整理整頓(4)

■Northern Dancer(Nijinsky 以外)+Mr.Prospector

昨日のエントリーにこう記しました。

「“非主流血脈で構成されていること”はマンハッタンカフェの大きなアドバンテージです。傍流の血だけですでに高い能力を獲得しているわけですから、そこに主流血脈の活力を新たに上積みできるのは有利です。」

マンハッタンカフェ産駒は、“主流血脈を入れる”というごく単純な配合でもある程度うまくいきます。欧米豪で最も活発に枝葉を延ばしているサイアーラインは Northern Dancer と Mr.Prospector の両系。このふたつの血を同時に入れるのは効果的です。

Northern Dancer 系のなかでは Nijinsky との相性が良好。これは昨日「Nijinsky+Mr.Prospector」の項でご説明したとおりです。もちろん、それ以外の血がダメというわけではなく、ゲシュタルト、ハンソデバンド、メイショウクオリア、アントニオバローズ、ダイワバーバリアンといった馬たちは、非 Nijinsky の Northern Dancer と Mr.Prospector の組み合わせから誕生しています。

ゲシュタルト、ハンソデバンドは昨年の「栗山ノート」で推した馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102537/

アントニオバローズ、ダイワバーバリアンはいずれも母の父が Kingmambo。この血は「Mr.Prospector×Nureyev(その父 Northern Dancer)」なのでセオリーに合致しており、しかも母は名牝 Miesque。こういうベタな良血は合います。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」は今後も要チェックでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104938/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100562/

■Sadler's Wells

レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ゲシュタルトが当てはまります。G1馬が2頭に、G2馬が1頭ですから、他のパターンよりも大物感があるといえるでしょう。Sadler's Wells の底力が影響しているのだと思います。

マンハッタンカフェの2代母 Santa Luciana はドイツ血統です。ドイツ血統と Sadler's Wells の相性の良さについては、4月30日のエントリー「ドイツ血統と Sadler's Wells」で指摘しておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/sadlers-wells-a.html

ただ、Sadler's Wells は軽快なタイプではないので、この血が大きな顔で主張している配合は褒めづらいですね。レッドディザイアとジョーカプチーノは Caerleon を併せ持ち、後者にはさらにトウショウボーイとフォルティノが入ります。ゲシュタルトは Mr.Prospector 系のエンドスウィープを持ちます。素軽い血を主役に立てて、Sadler's Wells がサポートする……といった構造が理想です。この3頭のなかで Sadler's Wells を母の父に直接持つものは1頭もいません。いずれも3~4代目です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100529/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/

続きは明日。

2010年7月 7日 (水)

マンハッタンカフェ整理整頓(3)

マンハッタンカフェの母サトルチェンジは、現役時代にイギリスとアイルランドで走り、3歳春にオークストライアルS(英LR・11f106yds)で3着となりました。芝向きの中距離タイプです。

ビワハイジの叔母に当たる良血で、世界的にひとつの潮流を成しているドイツ牝系に属しています。父は Ribot 系の Law Society。Northern Dancer や Mr.Prospector といった主流血脈は含まれていません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000334/

“非主流血脈で構成されていること”はマンハッタンカフェの大きなアドバンテージです。傍流の血だけですでに高い能力を獲得しているわけですから、そこに主流血脈の活力を新たに上積みできるのは有利です。

■Caerleon

前出のビワハイジは、現役時代に阪神3歳牝馬S(G1)など3つの重賞を制した名牝で、繁殖牝馬としてもブエナビスタ、アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラといった活躍馬を送り出しています。

ビワハイジはマンハッタンカフェの“いとこ”にあたります。この偉大な名牝が Caerleon を父に持つことは記憶に留めておくべきでしょう。マンハッタンカフェが Caerleon と抜群の相性を示していることは偶然とは思えません。

たとえば、ブエナビスタとレッドディザイアは配合構成がそっくりです。3代以内にサンデーサイレンス、Caerleon、Santa Luciana が共通しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103319/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102929/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ブエナビスタ ―――┤ ┌ Caerleon
          └○┤
            └○┐
              └ Santa Luciana

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
レッドディザイア ―┤ └○┐
          │   └ Santa Luciana
          │ ┌ Caerleon
          └○┘

ジョーカプチーノ、ガルボ、マッハヴェロシティ、レッドアゲートなどがこのパターンに当てはまります。レッドアゲートは母の父がスキャンで、その母が Caerleon の全妹です。

■Nijinsky+Mr.Prospector

マンハッタンカフェと Nijinsky は基本的に相性が良好です。ただ、母方に Nijinsky があれば無条件に走るわけではなく、2つのパターンに分類できます。

A)Caerleon(その父 Nijinsky)を持つもの
B)Mr.Prospector を併せ持つもの

Aパターンについては上で説明したとおりです。Bパターンからは、イコピコ、サンディエゴシチー、マンハッタンスカイ、レッドアゲート、メイショウレガーロなどが出ています(レッドアゲートはAB両パターンに該当)。重賞ではまだ連対がありませんがエーシンモアオバーなどもそうです。

欲をいえばヨーロッパのスタミナ血統を同時に入れたいところです。Mr.Prospector と Nijinsky を直接組み合わせると、ジェイドロバリーやスキャンといった軽いスピードタイプが出来上がります。要するにこういう血を母方に入れるわけですから重みが足りません。イコピコはトニービン、マンハッタンスカイは Ribot 系の Go for Gin、レッドアゲートはシーホーク、メイショウレガーロは Ribot 系の Hoist the Flag を5×5で持っています。重厚な血をワンポイントでも入れておかないと重賞クラスまでなかなか上がってこれません。

続きは明日。

2010年7月 6日 (火)

マンハッタンカフェ整理整頓(2)

JBISのサイトに掲載されているサイアーランキングが7月4日(日)分までの更新されました。それを見ると、マンハッタンカフェは5位から4位に上昇。先週の固め打ちが功を奏しました。3位クロフネは寒冷期型の種牡馬(ダートが主戦場)なので、夏はそれほど伸びません。これから差が縮まってくるでしょう。
http://www.jbis.or.jp/ranking/result/?rid=1&y1=2010&kei=1&kbn=1&tord=1&hirasyou=1&rank=100&item=20

■Blushing Groom

最も初期に発見されたニックスです。ココナッツパンチ(目黒記念2着、弥生賞2着)とメイショウレガーロ(京成杯2着)がともに Blushing Groom を持っていたことをヒントに、札幌2歳Sの予想でオリエンタルロックを本命にして的中した記憶があります。07年のことですからすでに3年経っています。その間、安定して活躍馬を送り出し、いまや定番のニックスとなっています。

昨年の「栗山ノート」で推したサンディエゴシチー(札幌2歳S)もこのパターンでした。メイショウクオリア(京都新聞杯)とほとんど配合構成が同じというか、そのまんまですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106723/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005106283/

           ┌ マンハッタンカフェ
サンディエゴシチー ―┤ ┌ Rahy(その父 Blushing Groom)
           └○┤ ┌ Mr.Prospector
             └○┘

           ┌ マンハッタンカフェ
メイショウクオリア ―┤ ┌ Rahy(その父 Blushing Groom)
           └○┤ ┌ Mr.Prospector
             └○┘

マンハッタンカフェ産駒を取るコツはあまりひねらずにベタに選ぶこと。そういう馬が素直に走るのがマンハッタンカフェのいいところです。主要種牡馬のなかではいちばん分かりやすいタイプでしょう。

「マンハッタンカフェ+Blushing Groom」で重賞に連対した7頭のうち、Mr.Prospector を持つものが4頭、Nijinsky を持つものが3頭。後で説明しますが、Mr.Prospector も Nijinsky もマンハッタンカフェと相性抜群です。こうした血が入るとさらに効果的だと思います。

全体的にみると、やや成長力に欠ける馬が多いような印象も受けます。アメリカ血統が素軽さを保証する反面、早熟なところが出てしまうという副作用もあるのでしょう。ただ、ヒルノダムールのように重厚感のある血で構成された馬はちょっと違います。3歳秋以降も期待できるのではないでしょうか。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/

続きは明日。

2010年7月 5日 (月)

マンハッタンカフェ整理整頓(1)

先週はマンハッタンカフェ産駒が大活躍。アロマカフェのラジオNIKKEI賞、マイネルキーロフの五稜郭Sを含めて5勝しました。リーディングサイアーに輝いた昨年に比べて、今年前半はもうひとつ活気がなく、6月末時点で第5位。ランキング首位のキングカメハメハに6億円近い差をつけられています。あと半年でこれを逆転するのは難しいでしょう。ただ、2位以下は団子状態なので、この争いには勝てそうな雰囲気が出てきました。

マンハッタンカフェがどのような血を持つ繁殖牝馬と好結果を残しているのか、セレクトセールも間近に迫っているので、あらめて整理整頓したいと思います。

対象は重賞連対馬です。複数のパターンに合致する馬は名前が重複しています。

■Blushing Groom
ベストメンバー
メイショウクオリア
ヒルノダムール
サンディエゴシチー
オリエンタルロック
ココナッツパンチ
メイショウレガーロ

■Caerleon
レッドディザイア
ジョーカプチーノ
ガルボ
マッハヴェロシティ
レッドアゲート(Caerleon の全妹の血を持つ)

■Nijinsky+Mr.Prospector
イコピコ
サンディエゴシチー
マンハッタンスカイ
レッドアゲート
メイショウレガーロ

■Northern Dancer(Nijinsky 以外)+Mr.Prospector
ゲシュタルト
ハンソデバンド
メイショウクオリア
アントニオバローズ
ダイワバーバリアン

■Sadler's Wells
レッドディザイア
ジョーカプチーノ
ゲシュタルト

■母が Northern Dancer を複数持つ(4代以内)
レッドディザイア
ジョーカプチーノ
ゲシュタルト
ガルボ
ヒルノダムール
ココナッツパンチ

■その他
アーバニティ
セラフィックロンプ
ヒカルオオゾラ
アロマカフェ

表を作ったら思ったよりも長大になってしまったので、個々の説明は明日以降のエントリーに回したいと思います。

2010年7月 4日 (日)

オグリキャップ死す

自分とオグリキャップの個人的な関係を語れば、3歳時は“幻のダービー馬”と呼ばれていることに不快感を持っていました。本物のダービー馬サクラチヨノオーのファンだったからです。4歳以降はすでに競馬業界で働き始めていたので、日々の仕事に忙殺され競馬を楽しむどころではありませんでした。

オグリキャップに思い入れを持つ機会を失ったまま、あの時代をやり過ごしてしまったことがよかったのか悪かったのかわかりません。同世代の競馬好きはオグリキャップをきっかけに競馬にのめり込んだ方が多く、彼らが熱く“オグリキャップ体験”を語り合っている横で、自分はイマイチ話に乗りきれず、あの時代にとんでもない忘れ物をしてしまったのではないかと、その話題が出るたびに思ったものです。

ただ、オグリキャップの強さはもちろん認めていました。4歳秋のマイルCS→ジャパンCの連闘も凄いと思いましたが、いま振り返って最も強く印象に残っているのは5歳春の安田記念。休み明けをものともせず1分32秒4のレコードで楽勝したレースです。
http://www.youtube.com/watch?v=3CAKpRFNxH4

4歳秋の時点でオグリキャップの偶像化はほぼ完成しており、ハイセイコー以来ひさびさに1頭のサラブレッドが競馬の枠を超えてひとり歩きを始めていました。安田記念が自分のなかに強い印象をもたらしたのは、どんどん肥大化していく“オグリキャップ”という虚像に、実像がググッと近づいて一致するという、そのダイナミズムに心を動かされたからだろうと思います。「やっぱり強いなぁ……」と心底感心しました。

初年度産駒がデビューしたのはサンデーサイレンスと同じ94年。新聞や雑誌で日米種牡馬対決を煽る企画などもあったように記憶しています。片や歴史的大成功を収め、片や歴史的大失敗となりました。1600mを1分32秒4、2400mを2分22秒2で走破する能力の持ち主が、自身の資質をまったくといっていいほど伝えられなかったのは神秘的な印象すら受けます。

当時のレースを YouTube で見ると、映像の向こう側にある“熱度”に圧倒されます。それは言い換えれば“ピープルズホースが存在する時代の幸福感”であるような気がします。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!