発展する Heavenly Prize 牝系
8月29日、米ニューヨーク州のサラトガで行われたパーソナルエンスンH(G1・ダ10f)は、人気に推された昨年の米年度代表馬 Rachel Alexandra が2着に敗れる波瀾。序盤に競り掛けられる不利があったにしても……という感じですね。競走馬としてのピークが過ぎた感があります。
http://www.youtube.com/watch?v=yUd_DZe5SD8
勝った Persistently(父 Smoke Glacken)は、2年前にG1で2着という成績があるものの、ステークスは初勝利です。
http://www.pedigreequery.com/persistently2
生産者兼オーナーのフィップスステーブルは、オグデン・ミルズ・フィップス氏が主宰しています。今回勝った「パーソナルエンスンH」は、先代のオグデン・フィップス氏が所有した Personal Ensign(通算13戦全勝)を記念して創設されたレースなので、喜びもひとしおでしょう。
Personal Ensign については4月12日のエントリー(「Zenyatta 16連勝、そして13戦全勝の名牝 Personal Ensign の死」)で取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/zenyatta-person.html
Persistently の2代母は、90年代に米G1を8勝した名牝 Heavenly Prize。この馬は Personal Ensign と同じく先代のオグデン・フィップス氏の所有馬でした。
http://www.pedigreequery.com/heavenly+prize
95年のブリーダーズC(ニューヨーク州ベルモントパーク)を観に行ったとき、ダート9ハロンの“ディスタフ(現レディーズクラシック)”に Heavenly Prize が出走していました。さほど大柄ではありませんが胸前の筋肉の盛り上がりが印象的で、大坪元雄氏が見れば「まるで男馬のような」と表現しそうなタイプでしたね。このレースは、息子のオグデン・ミルズ・フィップス氏が所有する Inside Information が13馬身半差で圧勝。Heavenly Prize はインから差を詰めて2着でした。
http://www.youtube.com/watch?v=8terPrcQeBw
Heavenly Prize は繁殖牝馬としても結果を残しており、Good Reward(父 Storm Cat)がマンハッタンH(米G1)とハリウッドダービー(米G1)を、その全兄 Pure Prize がケンタッキーCクラシックH(米G2)を勝っています。
http://www.pedigreequery.com/good+reward
Pure Prize は種牡馬として成功し、アメリカンオークス(G1)とフラワーボウル招待S(G1)を勝った Pure Clan のほか、南米アルゼンチンでも Fuego e Hierro や Maldivas といったG1ホースを送り出しています。Pure Prize の全弟の Good Reward も種牡馬となり、今年の2歳世代が初年度産駒。すでに10頭近い勝ち馬を出しており出足快調です。
http://www.pedigreequery.com/pure+clan
今週末、小倉の新馬戦に登場するリーガルファルコン(父 Bernardini)は、ドバイのモハメド殿下が所有する外国産馬で、稽古で抜群の動きを披露して注目を集めています。母 Flash By は前出の Pure Prize と Good Reward の4分の3同血にあたり、2代母は Heavenly Prize。発展する Heavenly Prize 牝系に属した良血馬なので楽しみですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110040/
Heavenly Prize(f.1991.Seeking the Gold)
Pure Prize(c.1998.Storm Cat)
Just Reward(f.1999.Deputy Minister)
│ Persistently(f.2006.Smoke Glacken)
Good Reward(c.2001.Storm Cat)
Flash By(f.2003.Forest Wildcat)
リーガルファルコン(c.2008.Bernardini)