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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年7月

2010年7月23日 (金)

痛快?壮絶?元大嶽親方のギャンブル人生

「元大嶽親方『負けは総額5億円かな』」という見出しに惹かれ、写真週刊誌『FLASH』(光文社)を買って読んでみたところ、これが最高に面白い内容でした。

角界を追放された元大嶽親方(現役時代は貴闘力)がギャンブル好きであることは以前から伝え聞いていました。かなり以前のことですが大井競馬場で見かけたことがありますし、たしか大相撲ロンドン公演を扱ったテレビ番組で、着流し姿で競馬場に繰り出して馬券を楽しむ姿を見た記憶があります。

「本格的にハマりはじめたのは、十両に昇進したとき。十両に上がると化粧回しや回しを作るから、支度金が300万円くらいかかる。それは自分で用意するんですよ。(中略)全財産で10万円しかなかった。『これを300万円にしなきゃいかん』と札束を握って、一人で大井競馬場に行ったんですよ。そしたら、400万円儲けたんですよ。そのお金で化粧回しを作った。これが初めての競馬だった。
 それまでは1日15時間くらい稽古していたのに、それ以来、競馬にハマっていったね」

「競馬だったら、1点買いで800万円ぐらい賭けたことがある。負けたけどね。馬の名前なんて、覚えてないよ。だって、1週間前の昼メシなんだった? というのと同じ感覚だから。1億円勝つところを、鼻差で負けたこともあったね。もう血が出るほど叫んだよ。
 シドニーに巡業に行ったとき、カジノで負けまくって、5万円しかなくなったことがあった。でも、そこから最終的に4800万円にしたこともありましたよ。海外巡業はいつも楽しみだったな。カジノに行けるから」

「(「人生におけるギャンブルの収支は?」との問いに)そりゃ、5億円ぐらい負けてるでしょ。だって、年間2、3千万つぎ込んで、20年くらいずっと負けつづけるわけだから。やめられないから、病気なんでしょ。(解雇の)記者会見の最後に『ギャンブルやめますか?』と聞かれて、何も言わなかったけど、心のなかでは『やめません』って言ってたね。そりゃ野球賭博はもうやらないでしょうけど、競馬・競輪はやるでしょ。アホだから」

ギャンブルだけに話題を絞って元大嶽親方が1冊語り下ろしたら売れませんかね? 私なら喜んで買いますが。

2010年7月22日 (木)

セレクションセール2010 2日目(当歳馬)

2日目(21日)は今年生まれたばかりの当歳馬のせり。先週行われたセレクトセールは、国際基準に合わせる形で当歳馬から1歳馬に重心を移し始めています。国内トップの動きは当セールを含めた周辺にも波及しているようで、今年の上場頭数は昨年(162頭)より40%近く減って102頭でした。

1500万円以上で落札された馬は3頭(税別)。以下のリストをご参照ください。

■347番 ┌ ネオユニヴァース
 牡馬 └ リンデンシラユリ(父ダンシングブレーヴ)
      落札価格:1700万円
      落札者:深見富朗
http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=130353&mdata=39747

■394番 ┌ アドマイヤムーン
 牡馬 └ サンタママ(父 Lear Fan)
      落札価格:1740万円
      落札者:(有)ユニオンオーナーズクラブ
http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=187082&mdata=68641

■395番 ┌ ゼンノロブロイ
 牡馬 └ サンターナズソング(父サクラバクシンオー)
      落札価格:2220万円
      落札者:グローブエクワインマネージメント(有)
http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?fdata=133312&mdata=116685

上場頭数が少なく、主取りも多かったのでイマイチ盛り上がりに欠けましたね。395番の落札者は多田信尊氏が代表を務めるエージェント会社。どなたかの代理で落札されたのだと思います。“母の父サクラバクシンオー”は、硬めのアメリカ血統を含んだ父との組み合わせで好結果を残しており、サンデー系ではダート向きのゴールドアリュールとの組み合わせでトップカミング(日経新春杯-2着)、メモリアルイヤー(先週の九州産新馬戦を大差圧勝)が出ています。395番の父ゼンノロブロイは母方にそうした血を抱えているので悪くないでしょう。

2010年7月21日 (水)

セレクションセール2010 1日目(1歳馬)

セレクトセールが終わればセレクションセール。7月20日(火)が1歳馬、21日(水)が当歳馬のせりです。

1日目に行われた1歳馬のせりでは、2000万円以上で落札された馬が8頭出ました(税別)。以下をご参照ください。

■33番 ┌ ブライアンズタイム
 牡馬 └ ナイストレビアン(父ノーザンテースト)
      落札価格:2300万円
      落札者:ノーザンファーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104836/

■84番 ┌ フジキセキ
 牡馬 └ ホクトペンダント(父パークリージェント)
      落札価格:2700万円
      落札者:(有)ローズヒル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100449/

■99番 ┌ アグネスタキオン
 牡馬 └ ミスカースティー(父 Miswaki)
      落札価格:2500万円
      落札者:加藤守
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100713/

■119番 ┌ シンボリクリスエス
 牡馬 └ ラモレイエ(父 Theatrical)
      落札価格:2050万円
      落札者:杉山美恵
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009109162/

■149番 ┌ キングカメハメハ
 牡馬 └ アタラマ(父 Sadler's Wells)
      落札価格:2050万円
      落札者:高岡秀行
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104880/

■178番 ┌ キングカメハメハ
 牡馬 └ オールマイティ(父フジキセキ)
      落札価格:2300万円
      落札者:(有)ビッグレッドファーム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102116/

■181番 ┌ ネオユニヴァース
 牡馬 └ ガティーク(父 Gulch)
      落札価格:2250万円
      落札者:山岸桂市
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009101633/

■220番 ┌ ダイワメジャー
 牡馬 └ シックファイター(父ヘクタープロテクター)
      落札価格:2050万円
      落札者:山元哲二
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103015/

149番の母アタラマ(父キングカメハメハ)を落札したのは、シンガポールで厩舎を開業している高岡秀行調教師。あちらで走らせるのでしょうか。Nureyev≒Sadler's Wells 4×2という力強い4分の3同血クロスがあります。聞くところによるとシンガポールの芝はここ1、2年でやや速くなっているそうですが、それでも日本のような高速馬場ではありません。そうした粘っこい芝に合いそうな配合です。

2010年7月20日 (火)

Overdose 13連勝

“ブダペストの弾丸”の異名をとるハンガリー調教馬 Overdose。昨年4月以来戦列を離れていたのですが、7月18日にスロバキアのリステッドレース(芝1000m)で15ヵ月ぶりの復帰戦に臨み、これを勝利で飾りました。デビュー以来の連勝記録は「13」に伸びています。
http://www.pedigreequery.com/overdose3

レベルの低い東欧のみで連勝を伸ばしているわけではなく、ドイツに遠征してG2とG3を、イタリアに遠征してG3を制しています。2008年にはフランスのアベイドロンシャン賞(G1・芝1000m)に出走し、見事1位で入線したものの、出走馬1頭のゲートが開かなかったため不成立となり競走のやり直しが決定。再レースに Overdose は出走しませんでした。したがって競走成績にこのレースは含まれていません。

YouTube には多くの映像があります。どれもこれも強烈ですね。全13戦の平均着差は約8馬身。着差がつきにくい短距離戦でこの数字ですからスピードの次元が違います。ただ、ここ2年は脚部不安で思うように競馬に使えず、以前のようなスーパーホースぶりを再度示せるかどうかは微妙なところでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=158UOynZhbQ

父 Starborough はセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)とジャンプラ賞(仏G1・芝1600m)を勝った Nureyev 系のマイラー。その母 Flamenco Wave は本邦輸入牝馬アンブロジン(ノーリーズンやグレイトジャーニーの母)と配合構成がよく似ています。

Overdose 自身はイギリス産馬で、やや一本調子で確かに速そうな配合ではあります。微妙にウエスタンヒートっぽいですね。1歳時の11月、ニューマーケットのセールで現馬主に落札された際は、わずか2100ポンド(当時のレートで約32万円)の安値だったそうです。

2010年7月19日 (月)

アイビスサマーダッシュはケイティラブ

アイビスサマーダッシュの予想は、長時間頭をひねった末に◎エーシンエフダンズ(11番人気)としたのですが、結果は17着。勝ったケイティラブ(8番人気)は無印でした。ここまで外れると悔しさもありません。

7月16日のエントリー「サンデー、トニービンの血を持つ馬は消し?」で挙げた4頭、ウエスタンビーナス、メリッサ、キルシュブリューテ、アスドゥクールは、いずれも掲示板外に敗れ去りました。1番人気に推されたメリッサはしんがり負け。このレースは適性が重要であるとあらためて感じます。このデータ(ジンクス)は来年も使えそうです。

ケイティラブ(父スキャン)は6歳にして重賞初挑戦・初制覇。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103689/

母ウイニングリバーは本馬のほかにきさらぎ賞(G3)を勝ったマイネルブルック(父スターオブコジーン)を出しています。このレベルの種牡馬(といっては大変失礼ですが)と交配して複数の重賞勝ち馬を送り出すのですからたいしたものです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993107154/

母の父ムーンマッドネスはシェリフズスター(二冠馬セイウンスカイの父)の半兄で、スピードと決め手に欠けるスタミナ血統。ただ、ケイティラブの父スキャンは、こうした鈍重な血を取り込むことで大物感のある産駒を出すことがひとつのセオリーとなっているので、配合自体は悪くありません。母系の奥にも Be My Guest、Reliance、Ribot といった重厚な血が並んでいます。

“スプリンター×スプリンター”という配合は大物感が出にくく、速いけれど条件クラス止まり、というタイプになりがちです。たとえば今回、残念ながら予後不良となってしまったカノヤザクラは、「サクラバクシンオー×Woodman」という組み合わせで、一見速いだけの配合ですが、2代母は「Sadler's Wells×Caracol×Ragusa」というウルトラ級のステイヤー血統。ここで帳尻を合わせています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004106028/

スプリンターはたいてい速い血を集めています。ここで大きな差はつきません。器を見極める際に重要なポイントは、内包するスタミナ血統にあります。これを上手に取り込んだ馬は底力が増し、クラスが上がっても勝ち抜いていけます。

それにしてもカノヤザクラの予後不良は残念。サンアディユ、アストンマーチャンにしてもそうですが、ハイクラスな快速牝馬が次代に血を遺せないのはわが国の馬産にとって大きな損失です。

2010年7月18日 (日)

日曜日のディープ産駒――レッドセインツ、マギストラ

日曜新潟6R・新馬戦(芝1600m)。レッドセインツ(1番人気)は馬群のなかでじっと我慢し、シャープな脚で突き抜けました。ディープインパクト産駒は落ち着いていて賢いという評判ですが、この馬も精神年齢が高そうですね。

その配合には以前から注目しており、『赤本』でも『競馬王のPOG本』でも公開ドラフトでも指名するなど、個人的に高く評価していました。もちろん予想は◎。馬単5890円、3連単58110円を的中させることができました。『web競馬王』の予想を再録します。

「◎レッドセインツは『ディープインパクト×セルカーク』という組み合わせ。母サセッティの半姉ウィノナ(父アルザオ)は愛オークス馬。アルザオはディープインパクトの母の父なので、本馬とウィノナは構成要素が似ている。父系と牝系が同じハーツクライとも若干似ている。母の父セルカークはマイラー。おそらく本馬もマイル前後で活躍するタイプだろう。ポカホンタス≒リヴァーレディ5×5、母系の奥のアメリカ血統も効果的と思われる。馬体は小柄ながら高い素質を感じさせる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103154/

文中に出てくる Winona は、98年の愛オークス(G1・芝12f)を7馬身差で圧勝した名牝です。
http://www.pedigreequery.com/winona3

レッドセインツの配合には、Winona の父 Alzao、母 My Potters が含まれています。マイラーと評価したのは母の父 Selkirk の適性を考えてのこと。ただ、実際の走りを見ると折り合いがついてゆったり走るので、もう少し長い距離もこなせそうです。パドックで見たかぎりまだ子供っぽい馬体なので成長の余地はあるでしょう。

日曜日はディープインパクト産駒がもう1頭デビューしました。函館4Rの新馬戦(芝1200m)で2着となったマギストラ(1番人気)。こちらにも◎を打ちました。新潟で勝ったレッドセインツと同じく「栗山ノート」に記載した馬です。予想は○◎で的中。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103343/

予想文にも書いたとおり1200mは忙しいですね。新馬戦の予想において適性というファクターは重要ですが、器の見極めもまた大事。得意条件から外れていても器が大きければ勝ち負けになるのが新馬戦です。小回りコースの芝1200mは明らかに向いていません。能力で2着を確保しました。

ディープインパクト産駒は総じてダッシュがイマイチで終いの脚で勝負するタイプが目に付くので、マイル以上の芝、直線の長いコースなら信頼できます。レッドセインツはまさにこの条件でした。こうしたレースが増える秋の中央開催でディープインパクト産駒がどれだけ活躍するのか楽しみです。

2010年7月17日 (土)

ブラウンワイルド、新馬戦レコード勝ち

土曜小倉5R・新馬戦(芝1200m)はブラウンワイルド(9番人気)が直線で後続を6馬身突き放し、1分07秒9のレコード勝ち。ラスト2ハロンは11秒8-11秒5とラップを上げているので強かったですね。稽古内容が冴えなかったので印を打てませんでした。

「ワイルドラッシュ×ヤマニンゼファー」という組み合わせを見て、ダートのほうがいいかも……と反射的に結論付けてしまったのは失敗でした。よく見ると味な配合構成をしています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104610/

5代血統表を見ると、Sir Gaylord 5×5、Missy Baba 5×5というクロスがあります。母の父ヤマニンゼファーは Sir Gaylord 系なので、6代目まで含めると Sir Gaylord 5×5・6です。5月12日のエントリー「Sir Gaylord の瞬発力」でも述べたように、この血は芝向きの非凡な瞬発力を伝えます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/sir-gaylord-ce0.html

また、“Missy Baba 5×5”のほかに、“Clovelly 5×7”という名牝のクロスを持ちます。Missy Baba の母の父 Umidwar と、Clovelly の母 Udaipur は全きょうだい。また、Missy Baba の父方に含まれる Badruddin と、Clovelly の父 Mahmoud は相似な血です。つまり、Missy Baba と Clovelly は血統構成がきわめてよく似ており、ほとんど同じような血といっていいでしょう。しかも、アガ・カーン血脈をベースとしているので、質の高い柔軟なスピードを伝えます。
http://www.pedigreequery.com/missy+baba
http://www.pedigreequery.com/clovelly3

最近ではサンライズプリンスとランザローテがこの2つの血を持っていました。いずれも「アグネスタキオン×Wild Again」という組み合わせから誕生しているのですが、アグネスタキオンと Wild Again を結びつける鍵は Missy Baba と Clovelly の関係ではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105566/

ブラウンワイルドは「Missy Baba≒Clovelly 5・5×5・7」です。前述の「Sir Gaylord 5×5・6」と併せて、芝向きのスピードと瞬発力を引き出す配合パターンといえるでしょう。ダートに強いワイルドラッシュ産駒ながら、芝で圧巻のパフォーマンスを披露したのは、このあたりに理由を求めることができそうです。ワイルドラッシュ産駒だけに上限はありそうですが、2歳戦では楽しめそうな馬です。

2010年7月16日 (金)

サンデー、トニービンの血を持つ馬は消し?

直線コースで行われる唯一の重賞アイビスサマーダッシュは、過去9回、サンデーの血が入った馬が一度も連に絡んだことがありません。トニービンの血が入った馬も同様です。今年のメンバーのなかでサンデーまたはトニービンの血を持つ馬は以下のとおり。

4番ウエスタンビーナス
7番メリッサ
14番キルシュブリューテ
18番アスドゥクール

この血統データ(ジンクス)が通用するなら、上記4頭は無条件に切ることができます。

たとえば、イギリスのジュライC(芝6f)やナンソープS(芝5f)の勝ち馬と、エプソムダービー(芝12f10yds)の勝ち馬とでは、構成する血統内容がぜんぜん違います。同じサラブレッドの血統ではありますが、共通点がわずかしかありません。

短距離戦を得意とする馬は、速筋腺維の割合が高く、無酸素性エネルギーの産出能力に優れています。つまり、爆発的に筋肉を収縮させる運動を60~70秒持続させる能力に秀でています。香港から遠征してくる豪州産馬がそうであるように、この種の馬たちはたいてい筋肉量が豊富で馬格がガッチリしています。

一方、サンデーサイレンスやトニービンは、芝中距離でしなやかに瞬発力を繰り出して勝つのが持ち味であり、直線1000m戦でスタートからガツガツ行くようなキャラクターでありません。求められる能力がまったく違うのですから、このカテゴリーに食い込めないのも仕方のないところでしょう。

その点、アイビスサマーダッシュにおける Northern Dancer と Mr.Prospector の強さはさすがです。Northern Dancer の諸系統のなかでは、Nijinsky、Nureyev、Danzig、Storm Bird、ノーザンテーストが頑張っています。これらの血が入っている馬は要注意です。

あとはテスコボーイ、Never Bend、Blushing Groom あたり。血統ではありませんが外枠、牝馬といった定番の条件を重視し、体調を加味すれば、自ずと狙い馬が絞れてきそうです。

2010年7月15日 (木)

George Washington 唯一の産駒がデビュー勝ち

栄光と悲劇のジェットコースター、それが George Washington(父デインヒル)です。生涯の軌跡を簡単にたどると以下のようになります。

  G1を3勝した Grandera の半弟として誕生
    ↓
  英2000ギニーなどG1を4勝
    ↓
  種牡馬入り
    ↓
  受胎率が悪く現役復帰
    ↓
  レース中に骨折安楽死

4歳時にいったん種牡馬入りした際、数十頭の繁殖牝馬と交配し、受胎したのはたった1頭でした。そのときにできた Date With Destiny という牝駒が忘れ形見となりました。

この Date With Destiny はデキがよかったようで、先日、イギリスのニューベリー競馬場で見事デビュー戦を飾りました。血統的にはジェルミナル(フェアリーS)の叔母にあたります。George Washington は軽快なスピードタイプなので、重厚な Rainbow Quest が母の父に入るのは好感が持てます。
http://www.pedigreequery.com/date+with+destiny5

生涯に産駒をたった1頭しか残せなかった種牡馬というのは記憶にありません。2頭ならスズカシンプウがいます。同馬は父シーホーク、母ヒガシジョオー(67年の東京大賞典で南関東三冠馬ヒカルタカイを破って優勝)という良血で、現役時代に日経新春杯と小倉記念を制覇。種牡馬となったあと早世したため、たった2頭しか産駒がいませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1975102738/

しかし、そのうちの1頭カツノコバンは北関東公営で重賞を勝ちまくり、89年春に中央へ移籍。緒戦の阪神大賞典(G2)では11頭中10番人気ながら2着。次走の天皇賞・春(G1)は5番人気に推され有力馬の1頭と見なされたものの、道中で骨折して予後不良となりました。勝ったのは同じ公営出身のイナリワン。武豊騎手が騎乗して5馬身差の圧勝でした。このレースではカツノコバンの馬券を買っていたのでよく覚えています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1984104143/

父スズカシンプウに騎乗したのも、息子のカツノコバンを管理したのも松田博資調教師。いつか師にインタビューする機会があれば、この親子について聞いてみたいものです。

2010年7月14日 (水)

セレクトセール見聞記(2)

2日目の目玉はヒップナンバー355、「アコースティクスの2010」。ダービー馬ロジユニヴァースの全弟です。

立ち歩いてセリの戦況を見つめる“トーセン”の島川隆哉氏。その近くに取材場所を移動しました。彼が参戦することは誰の目にも明らかでした。5000万円からのスタートで、階段を上がるように値が上がっていきます。島川氏は自身のスタッフとおぼしき方々と談笑つつ、序盤は静観。

「8800ま~ん♪ 8800ま~ん♪」というオークショニアの声が響いた瞬間、柔和な笑顔のなかで鋭く眼が光り、島川氏の右手が小さく動きました。初ビッド。ここからは一歩も引かぬ構えで攻め続け、ライバルたちを圧倒しました。落札価格は1億1200万円。

ダービー馬ロジユニヴァースは休養後の成績がイマイチなので評価を落としていますが、ヴィクトワールピサと似た配合構成でもあり、その全弟にこの値段がつくのは当然です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/

この日は2頭のミリオンホースが誕生しました。もう1頭はグローブエクワインマネージメント(有)が1億500万円で落札した「フェスタデルドンナの2010」。先々週のラジオNIKKEI賞(G3)で2着となったクォークスター(父アグネスタキオン)の半弟で、父はゼンノロブロイ。「ゼンノロブロイ×ヘクタープロテクター×ノーザンテースト」という組み合わせはアグネスワルツ(オークス3着)と同じです。
http://keiva.jp/haigo_kekka.php?id=01434&id2=034816

1頭ずつ有力馬を紹介しているといくら紙幅があっても足りないので、ブログで触れるのはこのあたりにしておきます。詳しくは『競馬王』や『競馬総合チャンネル』でどうぞ。

2日間を通して数字的には低調でした。ただ、世界経済が混迷の色を深めている状況で、金融危機以前と同じように資金を投入できる馬主はわずかでしょう。これは日本だけでなくヨーロッパやアメリカなどでも同じことがいえます。また、サンデーサイレンスというスーパーサイアーが存在した時代も二度と戻ってくることはありません。ミリオンホースがどんどん誕生していた数年前までがバブルであり、当時を基準に現在の状況をとらえるのはあまり意味がないと思います。今後数年、前年割れの数字が出るのは仕方のないことであり、現状維持なら御の字でしょう。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!