2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« 2010年5月 | メイン | 2010年7月 »

2010年6月

2010年6月30日 (水)

日本チーム残念でした

ここまで楽しませてくれてありがとうと心から感謝したいです。

試合中、惜しいシュートが飛んだり危ない場面をクリアするたびに、家の外で「ワーッ!」とか「ウォーッ!」とか大集団で騒ぐ声が聞こえたのはいままでにないことでした。若者たちがワンセグ視聴のパブリックビューイングでもしていたのでしょうか? こういう盛り上がりはなかなかいいものです。

2年前にイタリアへ行ったとき、ちょうどサッカーの欧州選手権(ユーロ2008)の真っ最中でした。ローマのホテルに投宿した晩に、ロシアVSオランダの試合が放送されていて、ロシアが点を入れるたびに屋外で大歓声があがりました。

この試合は決勝トーナメントの一回戦(準々決勝)で、勝者は次の準決勝でイタリアVSスペインの勝者と対戦することが決まっていたのです。イタリアとしては、強豪オランダと当たりたくないので、当然、格下ロシアの勝利を願います。

オランダ ―┐
      ├―┐
ロ シ ア ―┘ │
        ├― 決勝進出
スペイン ―┐ │
      ├―┘
イタリア ―┘

イタリア国民の熱い期待に応え、ロシアは3対1のスコアで勝ち上がりました。しかし、翌日行われたイタリアVSスペインは、スペインの勝利。延長戦まで進んで0対0の末、イタリアはPK戦で敗れました。せっかくカモが勝ち上がったと喜んでいたら、自分たちがそこへ行く前に負けてしまったというオチです。

翌日のローマは、沈んだ雰囲気になっているかと思いきや、街へ出てみると何ごともなかったかのような日常がありました。試合前は目一杯盛り上がり、負けてしまえば案外アッサリ受け止める、というのは世界共通の心理かもしれません。

2010年6月29日 (火)

ディープ産駒土日連勝

日曜福島5Rの新馬戦(芝1800m)をヒラボクインパクト(1番人気~)が勝ち、ディープインパクト産駒が土日連勝しました。『web競馬王』の予想コメントは以下のとおり。

「◎ヒラボクインパクトは『ディープインパクト×メジロライアン』という組み合わせ。母ドリームカムカムはシルクロードS(G3)5着などの成績を持つスプリンターだった。ハイペリカム≒オリオール6×6はおもしろい。父ディープインパクトが持つアドミラルドレーク≒ローマン6×5という相似な血のクロスを、本馬は母方にアドミラルドレークを持つことで継続している。なかなかよくできた配合だ。“母の父メジロライアン”は福島コースを得意としている。この点も心強い。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100579/

管理する国枝栄調教師は、「ディープインパクト産駒は造りが軽くて、真面目で手がかかりません」(ラジオNIKKEI競馬実況web)とコメントしています。

配合的に手探り状態の今年は、鈍重さが表れることへの警戒心から、あまり重厚すぎる配合は推奨しませんでした。デビューした産駒を見ると思ったよりも軽く出ている感があります。これまでのサンデー系種牡馬でいえばアグネスタキオンに近いイメージでしょうか。ヨーロッパの本格的なスタミナを入れた配合馬がどんな感じに仕上がるのか、ちょっと楽しみになってきました。

7月12、13日にノーザンホースパークで行われる「セレクトセール2010」で、ディープインパクト産駒はこれまでの三割増しぐらいの価格がつくかも……?

2010年6月28日 (月)

羽生善治三冠が棋聖位防衛

“羽生世代”とひとくくりにされる一群の棋士たちがいます。しかし、気がつけば、トップで活躍しているのは羽生善治のみ。それ以外の棋士たちはここ最近、タイトル戦にからむことがめっきり減りました。

将棋は頭脳ゲームですから、年齢を重ねて脳の活動が衰えると勝てなくなります。二世代上の中原誠、一世代上の谷川浩司も不惑を迎えたあたりから徐々に成績が下降していきました。70年前後に生まれた羽生世代の棋士たちは、30代から40代の変わり目にさしかかっています。

成績を落とす同世代のライバルたちとは対照的に、羽生善治は快進撃を続けています。4月から始まった新年度の成績はこれで13勝2敗(勝率8割6分7厘)。4~5月の名人戦は三浦弘行を相手に4勝0敗、6月の棋聖戦は深浦康市を相手に3勝0敗と、連続ストレート防衛を果たしました。

羽生善治は、95年に空前絶後の七冠を達成したあと、将棋に対するスタンスを変えたといいます。ひと言でいえば、目先の勝ち負けにこだわらなくなった、ということです。ガツガツと目先の1勝にこだわると、必然的に穏当な手ばかり指してリスクを避けるようになります。目先の1勝は得られても、長い目でみると将棋の幅を狭めることになり、トータルでは決してプラスになりません。

「リスクを避けていては、その対戦に勝ったとしてもいい将棋は残すことはできない。次のステップにもならない。それこそ、私にとっては大いなるリスクである。いい結果は生まれない。私は、積極的にリスクを負うことは未来のリスクを最小限にすると、いつも自分に言い聞かせている。」(『決断力』羽生善治著)

重要な対局であっても守りに入ることなく、リスクを承知で実験的な手をどんどん指す。もちろん、それで負けることもあるわけですが、羽生善治はそれをよしとして受け入れてきました。その十数年の営みが、彼の将棋をいっそう豊かなものにし、結果的に棋士生命を延ばしたといえるでしょう。

将棋の手ではありませんが、昨年の名人戦第7局の昼食時、羽生善治は「にぎり寿司とジンジャーエール」を注文しました。この独創的な組み合わせは“羽生新手”として話題となりました。ジンジャーエールはおそらくガリの代用でしょう(いずれも生姜が原料なので)。誰も気がつかなかったこのアイディアに「これは案外アリかもしれない」「さすが羽生さん」と感心する声があがりました。食事においてもありきたりなメニューに満足せず、常識にとらわれず新しい味覚を追究する。そのフロンティアスピリットこそが羽生善治の真骨頂です。

希代の天才棋士であることはいうまでもありませんが、長期的な戦略を描くことのできる聡明さ、自らを律することのできる強い意志は、並の人間が容易に真似のできることではありません。日本のあらゆるジャンルを横断しても、これほどの人物はなかなか見当たらないと思います。

2010年6月27日 (日)

宝塚記念はステイゴールド産駒の2連覇

大一番の一発といえば Ribot 系ですが、母が持つ His Majesty 2×4の威力でしょうか。8番人気のナカヤマフェスタが差し切って優勝しました。父ステイゴールドは昨年のドリームジャーニーに続いての連覇です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102424/

道中のラップが締まると距離適性がはっきりと出ます。たとえば、長距離戦でラップが締まれば中距離馬は苦しくなりますし、中距離戦でラップが締まれば長距離馬は苦しくなります。今回は後者だったので、中距離適性の高い馬が上位を独占した形です。そして、雨の影響が残る馬場だったので、パワーの有無も問われました。ナカヤマフェスタはこうした条件にフィットするタイプだったのでしょう。母は Ribot 系の強いクロスを持ち、さらにデインヒルが入ります。高速馬場よりは多少渋ったほうがいいタイプです。

柴田善臣騎手は近畿圏で初のG1制覇。2着は過去5回(京都4回、阪神1回)ありました。阪神競馬場での連対は89年の桜花賞(ホクトビーナス-2着)以来21年ぶりです。

馬券は完敗。4歳牡馬は割り引いて考えていたので印を打てませんでした。もっと馬場が悪化すると読んでいたのでブエナビスタ(1番人気)も△どまり。◎を打ったジャガーメイル(2番人気)は8着。もう少し距離があったほうがいいのかもしれませんが、それにしても走りませんでした。

2010年6月26日 (土)

ディープインパクト産駒初勝利

土曜福島5Rでサイレントソニック(牝2歳)が勝ち上がりました。2歳の早い時期の短距離戦は、ディープインパクト産駒にとってそれほど向いている条件とは思えなかったのですが、見事な勝利でした。

母ムーンライトガーデンズはアメリカ血統で構成され、Mr.Prospector=Search for Gold 4×3・4というスピード配合。そして父が持つ Halo≒Sir Ivor 2×4を、母方の Halo によって継続し、自身は3・5×5という形で持っています。セオリーを踏んだ配合で悪くありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100343/

先日の競馬王公開ドラフトで、美野真一さんが「ディープインパクトは母系を出し過ぎる」と語っていました。馬産地を回って同産駒をじっくり観察された上でのコメントだけに説得力があります。

ディープインパクトのイメージに引きずられ、印を▲にとどめてしまったのは失敗でした。美野説を思い出してもう少し母方の特長を重視すべきでしたね。今後の予想に活かしたいと思います。

2010年6月25日 (金)

安田隆行厩舎のホーマン2騎

今週の新馬戦で注目してみたいのは、安田隆行厩舎のホーマン2騎、ホーマンフリップとホーマンルッツです。馬主、厩舎が同じだけでなく、父がフジキセキであること、母方に Deputy Minister を持っていることまで共通しています。前者は阪神土曜4Rの芝1400m、後者は阪神日曜4Rのダ1200mに出走予定です。

ホーマンフリップはアニメイトバイオ(阪神ジュベナイルフィリーズ-2着)の半妹にあたる良血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103375/

稽古で素晴らしい動きを見せていた評判馬で、どこのドラフトでも上位で消えた馬だろう思います。6月11日のエントリー「母の父フレンチデピュティ」でもチラッと触れました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-c558.html

この配合パターンは好成績を残しており、今後とも注目していきたいところです。母レーゲンボーゲンは名繁殖牝馬と呼んで差し支えないでしょう。現1歳はアニメイトバイオの全弟。これも楽しみですね。

一方のホーマンルッツは、ダート王カネヒキリと血統構成がよく似ています。父がフジキセキで、母の父が Deputy Minister 系、2代母の父が Mr.Prospector 系。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106421/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100978/

         ┌ フジキセキ
ホーマンルッツ ―┤   ┌ Deputy Minister
         │ ┌○┘ ┌ Mr.Prospector
         └○┤ ┌○┘
           └○┘

         ┌ フジキセキ
カネヒキリ ―――┤ ┌ Deputy Minister
         └○┤ ┌ Mr.Prospector
           └○┘

同じく母方に Deputy Minister を持つ前出のホーマンフリップは、芝をこなすフレンチデピュティを母の父に持つので、芝適性への懸念はとくにありません。

ホーマンルッツの場合はダート向きのデヒアです。じつは「フジキセキ×デヒア」からデグラーティア(小倉2歳S)が誕生しており、一概に芝がダメとは言い切れませんが、ダートの新馬戦で下ろしたということはやはりフットワークがダート向きなのでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006109086/

2010年6月24日 (木)

シャダイソフィア再降臨?

ここ数年、JRAレーシングビュアーを愛用しています。これがないと予想ができません。02年以降のJRA全レース、04年以降のダートグレード競走、84年以降のG1レース、重賞出走馬や2歳馬の追い切り映像に加え、レース開催日には各レース終了後3分ほどで映像がアップロードされます。海外でも日本にいるときと同じように視聴可能。これほど利便性の高い競馬映像サイトが月々525円で利用できるのですから素晴らしいの一語です。
http://prc.jp/jraracingviewer/index.html

今週は宝塚記念なので、宝塚記念の過去映像を眺めていました。84年、85年と、私が大好きだったグローバルダイナ(父ノーザンテースト)が頑張っています。84年は10番人気で3着。85年は7番人気で5着。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101955/

ステートジャガー事件によって記憶される85年のレースは、リアルタイムでたった一度観たきりでした。最後の直線でグローバルダイナが先頭に立ったシーンを25年ぶりに目にした瞬間、当時の高揚感、友達と交わした会話、場所(後楽園場外でした)まで、芋づる式に甦ってきました。プルーストの『失われた時を求めて』ではありませんが、記憶というのは不思議なものです。
http://ahonoora.web.fc2.com/takaraduka_1985.html

話は脱線しますが、80年生まれはノーザンテースト牝馬が豊作でした。前出のグローバルダイナ(阪神牝馬特別、小倉大賞典、北九州記念)のほか、シャダイソフィア(桜花賞)、ダイナカール(オークス)、ダイナマイン(新潟記念、牝馬東タイ杯)、シャダイチャッター(小倉記念)と、クラシック馬2頭を含む5頭の重賞勝ち馬が出ました。現在と違って当時はトップクラスの種牡馬でも1世代に50~60頭の産駒しかいなかったので、活躍の“濃度”はかなりのもの。ノーザンテーストは当時の生産界にあって完全に別格の存在でしたね。

このうちダイナカールは、年度代表馬エアグルーヴの母となりました。そして、アドマイヤグルーヴ、オレハマッテルゼ、エガオヲミセテ、フォゲッタブル、ウォータクティクス、フラムドパシオン、ルーラーシップなど、多くの活躍馬の牝祖となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980101983/

シャダイチャッターは、プレミアムボックス、ワンモアチャッター、アリゼオ、そして今週の宝塚記念に出走するスマートギアなどを子孫から送り出しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105204/

グローバルダイナの子孫から出た重賞勝ち馬はいまのところプリサイスマシーンだけ。今後の発展に期待です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999106907/

桜花賞馬シャダイソフィアには子孫がいません。5歳秋のスワンS(G2)で故障し、予後不良となったからです。母ルーラースミストレスは馬主の吉田善哉氏が自らアメリカのセリで購買した馬だったので、愛着はひとしおだったようです。

「毎年多くの馬を生産し、事故はよく起きるが、そのつど深刻に考えていては身が持ちません。ただ、あれ以来、目をかけた馬が走ると競馬を見ていてレースが怖くなることがありますね。シャダイソフィアぐらい、きれいで品のいいサラブレッドはまれです。私が育てた数ある牝馬の中で最も血統のいい、気に入った馬でした。今思い出しても惜しい馬を失ったものです」(『優駿』86年12月号)

同期のオークス馬ダイナカールがあれだけの大牝系を築いたことを考えれば、シャダイソフィアが無事だったら……と思わずにはいられません。ルーラースミストレスの牝系は、その唯一の牝駒であるシャダイソフィアの死によって断絶しました。

しかし、それから3年後の88年11月、吉田善哉氏とその息子照哉氏は、アメリカでアンティックヴァリューという名の牝馬を購買しました。2代母 Brazen はルーラースミストレスと4分の3同血の関係にあり、アンティックヴァリュー自身はシャダイソフィアと配合がそっくりです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000038/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980102040/

             ┌ Northern Dancer
アンティックヴァリュー ―┤
             └○┐ ┌ Bold Ruler
               └○┤
                 └ Amoret

               ┌ Northern Dancer
             ┌○┘
シャダイソフィア ――――┤ ┌ Bold Ruler
             └○┤
               └○┐
                 └ Amoret

アンティックヴァリューはシャダイソフィアだ、亡きシャダイソフィアを買い求めたのだ、と直感しました。

やがてアンティックヴァリューは二冠牝馬ベガの母となり、ベガはダービー馬アドマイヤベガの母となりました。亡きシャダイソフィアは、アンティックヴァリューの姿を借りて、再びこの世に降臨したのです。

……と書けば、ちょっとええ話やなぁ、となるわけですが、ベガが二冠を達成した直後、吉田照哉氏はインタビューにこう答えました。

「アンティックヴァリューの血統表を見たとき、すぐにソフィアの近親だなって気付いたけど、だから買ったというわけじゃない。いちいち1頭の血統にこだわってるヒマはありませんから」(『優駿』93年8月号)

これを読んだ瞬間、椅子からずり落ちそうになりました。まったく身も蓋もありません。外野が勝手に物語を紡いでも、それは想像の産物でしかなく、現実はたいていこんなところなのでしょう。

2010年6月23日 (水)

アローフィールドとスニッツェル

オーストラリアのアローフィールドスタッドのサイトを見ていたら、ニュース欄に「Snitzel two-for-two in Japan」という記事があるのを発見しました。スニッツェル産駒が日本で2戦2勝、という意味です。先週、函館の新馬戦で産駒が勝ち上がったスニッツェルは、現在、アローフィールドスタッドに繋養されています。
http://www.arrowfield.com.au/

同スタッドは、社台スタリオンステーションの種牡馬がオーストラリアへシャトル種牡馬として渡ったとき、その受け入れ先となった牧場です。フジキセキやクロフネやフレンチデピュティなどはここで供用されました。

現在は10頭の種牡馬が繋養されており、種付料が公表されている9頭のうち、スニッツェルは上から数えて6番目の価格(2万7500ドル=約220万円)。アローフィールドに繋養されているぐらいですから上級種牡馬であることは間違いありませんが、超一流という扱いではありません。スニッツェルの父 Redoute's Choice はなんと17万6000ドル(約1400万円)。1頭だけ段違いの価格です。

Redoute's Choice は、05/06年にデインヒルの7連覇を阻んでオーストラリアのリーディングサイアーに輝きました。デインヒルの息子なので、日本でいえばサンデーサイレンスに代わってアグネスタキオンがリーディングサイアーになったようなものです。
http://www.pedigreequery.com/redoutes+choice

その後は、3位→10位→2位と来て、09/10シーズンは現時点で2位。高額賞金レースはもう組まれていないので、おそらくこのままの順位でフィニッシュするでしょう。特長はなんといってもスピード。オーストラリアは世界一の芝短距離王国で、2歳戦も盛んです。こうした路線で好成績を挙げる種牡馬が好まれる傾向にあります。Redoute's Choice はまさにそうしたタイプの種牡馬といえます。

スニッツェルは、09/10シーズンの2歳種牡馬ランキングで現在4位。新種牡馬ランキングでは2位。計27頭が出走して8頭が勝ち上がっています。出世頭の Chance Bye はシルヴァースリッパーS(豪G2)を勝ちました。なかなか優秀な成績なので、種付料は今後さらに上がっていきそうです。
http://www.pedigreequery.com/chance+bye

09/10シーズンの豪種牡馬ランキング上位10頭は以下のとおり(6月20日現在)。

1位 Encosta de Lago(AUS)1993 by Fairy King
2位 Redoute's Choice(AUS)1996 by デインヒル
3位 Street Cry(IRE)1998 by Machiavellian
4位 Lonhro(AUS)1996 by Octagonal
5位 Testa Rossa(AUS)1996 by ペルジノ
6位 コマンズ(AUS)1996 by デインヒル
7位 More Than Ready(USA)1997 by サザンヘイロー
8位 Fastnet Rock(AUS)2001 by デインヒル
9位 Zabeel(NZ)1986 by Sir Tristram
10位 High Chaparral(IRE)1999 by Sadler's Wells

このうち、アローフィールドに繋養されているのは Redoute's Choice のみ。残り9頭の繋養先は以下のとおりです。

クールモア:3頭……Encosta de Lago、Fastnet Rock、High Chaparral
ダーレー:3頭……Street Cry、Lonhro、コマンズ
ヴァイナリー:2頭……Testa Rossa、More Than Ready
ケンブリッジ(NZ):1頭……Zabeel

かつてデインヒルやラストタイクーンを擁して栄華を誇ったアローフィールドも、クールモアやダーレーの勢いにやや押され気味といったところです。Redoute's Choice が健在なうちにもう1、2本、柱を育てたいところでしょう。スニッツェルにはその期待がかかります。

2010年6月22日 (火)

金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇

昨年10月の金沢転入初戦からこれで11連勝。2着に7馬身の大差をつけました。まだ伸び盛りの4歳馬。これから交流重賞にも顔を出してくる大器でしょう。

JRA在籍当時は、疝痛や骨折に見舞われるなど体質が弱く、3歳夏にデビューに漕ぎ着けたものの2戦連続で大敗。見切りを付けられ金沢に移籍しました。

ただ、血統的には素晴らしく、父はジャングルポケット、母サトルスマイルはマンハッタンカフェの半妹です。あれ? と思った方は鋭いですね。そうです、アプリコットフィズと配合構成がほとんど同じです。父が同じで、母同士が4分の3同血。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102942/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

           ┌ ジャングルポケット
ジャングルスマイル ―┤   ┌ サンデーサイレンス
           │ ┌○┘
           └○┤
             └ サトルチェンジ

           ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

ジャングルスマイルの母の父はバブルガムフェロー。この部分がパワーの裏付けとなっています。ジャングルポケットとサンデーサイレンスの組み合わせはニックスと呼んで差し支えないと思いますが、残りの部分にサトルチェンジを持ってくる配合は要注目です。もちろん、いずれ現れるであろう「ジャングルポケット×マンハッタンカフェ」も……。

2010年6月21日 (月)

サンデーの曾孫世代で初の重賞制覇――ブライティアパルス

マーメイドSは、開幕週独特の前が止まらない競馬となり、行った行ったの決着。▲ブライティアパルス(3番人気)が念願の初重賞制覇を達成しました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005104040/

じつはこれがサンデーサイレンスの曾孫世代としては初めての重賞制覇。血の流れを図にすると以下のようになります。

SS→フジキセキ→ダイタクリーヴァ→ブライティアパルス

父ダイタクリーヴァは現役時代、G1勝ちこそないものの、1600~2000mのG2、G3を5勝しました。ダイタクバートラム(重賞3勝)の半兄でもあり血統的な筋は通っています。

地味ながら種牡馬成績は優秀で、ブライティアパルスのほか、ルールプロスパー(現OP)、ベルウッドローツェ(ダイヤモンドS-2着)、それに地方競馬で重賞を勝ちまくっているエレーヌ(東海ダービーほか)などの活躍馬がいます。産駒数の少なさや繁殖牝馬の質を考慮すれば際だった成績といえるでしょう。

母スプリングネヴァーは、アンジェリカ≒ネヴァーイチバン2×1とも表現できます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1992108661/

          ┌ ネヴァービート
アンジェリカ ―――┤
          └○┐ ┌ ハロウェー
            └○┘

          ┌ ネヴァービート
ネヴァーイチバン ―┤ ┌ ハロウェー
          └○┘

6月12日のエントリー「強い牝馬クロス+Ribot 系」で以下のように述べました。

「名牝の強いクロスを母方に持つ、というパターンは、名種牡馬によく見られます。Seattle Slew、その息子 A.P.Indy、古くは Hyperion などもそうですね(Seattle Slew は全きょうだいクロス)。」

“アンジェリカ≒ネヴァーイチバン2×1”を「名牝の強いクロス」と見立てれば、種牡馬ダイタクリーヴァの高い能力にも合点がいきます。06年以降、5年連続で産駒数は一桁。ぜひ見直すべき種牡馬ではないでしょうか。

マーメイドSで本命に推した◎ニシノブルームーン(1番人気)は4着。今回は位置取りがすべてです。進出すべき勝負どころで馬群に包まれ、逆に先頭から離されてしまいました。これで次走人気が落ちるなら狙い目でしょう。馬券は外れてしまいましたが、2着セラフィックロンプ(14番人気)に△を打ったのは自分のなかでは小さな勝利です。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!