セレクトセール見聞記(2)
2日目の目玉はヒップナンバー355、「アコースティクスの2010」。ダービー馬ロジユニヴァースの全弟です。
立ち歩いてセリの戦況を見つめる“トーセン”の島川隆哉氏。その近くに取材場所を移動しました。彼が参戦することは誰の目にも明らかでした。5000万円からのスタートで、階段を上がるように値が上がっていきます。島川氏は自身のスタッフとおぼしき方々と談笑つつ、序盤は静観。
「8800ま~ん♪ 8800ま~ん♪」というオークショニアの声が響いた瞬間、柔和な笑顔のなかで鋭く眼が光り、島川氏の右手が小さく動きました。初ビッド。ここからは一歩も引かぬ構えで攻め続け、ライバルたちを圧倒しました。落札価格は1億1200万円。
ダービー馬ロジユニヴァースは休養後の成績がイマイチなので評価を落としていますが、ヴィクトワールピサと似た配合構成でもあり、その全弟にこの値段がつくのは当然です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/
この日は2頭のミリオンホースが誕生しました。もう1頭はグローブエクワインマネージメント(有)が1億500万円で落札した「フェスタデルドンナの2010」。先々週のラジオNIKKEI賞(G3)で2着となったクォークスター(父アグネスタキオン)の半弟で、父はゼンノロブロイ。「ゼンノロブロイ×ヘクタープロテクター×ノーザンテースト」という組み合わせはアグネスワルツ(オークス3着)と同じです。
http://keiva.jp/haigo_kekka.php?id=01434&id2=034816
1頭ずつ有力馬を紹介しているといくら紙幅があっても足りないので、ブログで触れるのはこのあたりにしておきます。詳しくは『競馬王』や『競馬総合チャンネル』でどうぞ。
2日間を通して数字的には低調でした。ただ、世界経済が混迷の色を深めている状況で、金融危機以前と同じように資金を投入できる馬主はわずかでしょう。これは日本だけでなくヨーロッパやアメリカなどでも同じことがいえます。また、サンデーサイレンスというスーパーサイアーが存在した時代も二度と戻ってくることはありません。ミリオンホースがどんどん誕生していた数年前までがバブルであり、当時を基準に現在の状況をとらえるのはあまり意味がないと思います。今後数年、前年割れの数字が出るのは仕方のないことであり、現状維持なら御の字でしょう。
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