アリゼオ鮮やか、しかし本番は
◎ローズキングダムはパドックでの雰囲気がもうひとつでしたね。もともと見栄えのするタイプではありませんが、朝日杯のときに感じられたキリッとしたオーラがなかったように思います。敗因は状態面に尽きるでしょう。ただ、馬体にあまり成長の跡が見られなかったのも事実で、本番での巻き返しに過大な期待をかけるのは危険ではないかという気がしました。
勝った○アリゼオは横山典弘騎手の好騎乗に負うところが大きいでしょう。シンボリクリスエス産駒は、キャリアの浅い時期に鮮やかな差し脚を披露しても信用できません。ストロングリターンやダノンカモンのようにクラスが上がると案外、というタイプが目に付きます。ちょうどこの馬のデビュー戦がそうでした。父シンボリクリスエスは切れ味を伝える種牡馬ではなく、サンデー系の一線級と対戦したときに、瞬発力比べでどうしても見劣ります。仮に上級のものを持っていても、最上級ではありません。最後の2ハロンが11秒2-11秒3で3着に競り負けた共同通信杯はまさにそんなレースでした。
2番手につけて早めに抜け出した2戦目のホープフルSこそこの馬の競馬です。あのレースは見た目が派手な初戦よりもはるかに高い価値がありました。今回は瞬発力勝負になりにくい中山芝1800m。先手を奪って後続を完封するという、ホープフルSの延長線上にある心憎いばかりの好騎乗でした。本番の皐月賞はヴィクトワールピサにマークされる展開でしょう。これを振り切るのは容易ではないと思います。シンボリクリスエス産駒はトライアルに強く本番に弱い、というイメージもあります。
△ゲシュタルトはデビュー前の調教で圧巻の動きを見せていた素質馬です。前走のこぶし賞(5着)は再三前が詰まって能力を出せなかったものなので参考外。ここで突っ込んでくる可能性は十分ありました。
昨年春に刊行された『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」という企画で、マンハッタンカフェ産駒の好配合馬を5頭挙げました。そのリストは以下のとおり。
ハンソデバンド ……… 共同通信杯(G3)
サンディエゴシチー … 札幌2歳S(G3)
ゲシュタルト ………… スプリングS(G2)2着
ブラックゼット ……… 福寿草特別(500万下)2着
サトノアーチ ………… 1戦0勝
131頭から選んだ5頭がこの成績なので悪くないと思います。
ゲシュタルトは、母系に Sadler's Wells を持つマンハッタンカフェ産駒。このパターンの馬には、レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ヤマニンウイスカーといった活躍馬がいます。Sadler's Wells とドイツ血統(マンハッタンカフェの母系にあります)の相性の良さは抜群で、ヨーロッパでは多くの活躍馬が出ています。母の父エンドスウィープは Mr.Prospector 系なので血統全体が重くなるのを防ぐ役割を果たし、父方のサンデーサイレンスとはニックスの関係にあるので好感が持てます。フロック扱いされて本番では人気にならないと思いますが、配合的には高い評価を与えられるので必ず押さえたいと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007104975/