関口房朗氏が苦境に
3月14日付けの『東京スポーツ』によれば、先日、船橋のダイオライト記念(G2)を勝ったばかりのフサイチセブンが裁判所に差し押さえられたそうです。
数年前から苦境が漏れ伝わっていた馬主の関口房朗氏は、1990年代半ば以降、競馬界有数のスポンサーでした。本業や私生活に関してはうかがい知るところではありませんが、少なくとも競馬にまつわる活動については、ほかの誰にも真似できないことをなさった方だと思います。経済的に厳しくなってからは、セリで落札した馬の代金支払いに窮し、たびたびトラブルを起こしていました。
いまをときめくレッドディザイアは、じつは関口氏と深い関わりがあります。父マンハッタンカフェを最初にセリで落札(1億3000万円)したのは関口氏でした。その後、キャンセルとなったため西川清氏と吉田照哉氏の共同持ち馬となりました。イギリス生まれの母グレイトサンライズは、関口氏の名義で生産された馬です。しかし、自ら走らせることはなく、歌手でタレントのやしきたかじん氏の名義で走りました。数年後、この2頭が結びつき、レッドディザイアが誕生しました。
毀誉褒貶はさまざまですが、ファンサービスの姿勢は徹底していたので、関口氏のことを悪く言うファンは少なかったような気がします。
数年前、『それでも悲しき日本競馬』(東邦出版)という関口氏の著書の編集に関わったのですが、そのなかで関口氏は、フサイチペガサスが勝った2000年のケンタッキーダービーにおける“舞妓パフォーマンス”について触れています。ちょっと長いのですが引用します。
「私は生来パフォーマンスをするのが平気な性質で、もっと言えば目立つのが大好きな性分である。だからこれからもいろいろな場面で、さまざまなパフォーマンスをお見せすることになるだろう。だが、これだけは知っておいていただきたい。私はただウケたいためだけに、パフォーマンスをやっているわけではないということを。道化を演じる裏には、私なりのメッセージが隠されている。」
「ケンタッキーダービーの舞妓は、日本人のプライドを表現したつもりだった。所有馬であるフサイチペガサスが、ケンタッキーダービーで本命に推されるほど有力視されたことは、大げさに言えば、日本の誇りだと思ったのだ。そのオーナーである私が、チャーチルダウンズ競馬場で縮こまっているわけにはいかない。(中略)精一杯目立たなければならない。そのために、アメリカ人が日本と聞いてすぐに思い出す『ゲイシャ、フジヤマ』を連れて行こうと決意した。残念ながら、フジヤマをアメリカに持っていくことはできない。だったら、ゲイシャだろう。というわけで、私の傍らには舞妓たちが陣取ったというわけである。」
「舞妓はアメリカでは大ウケだった。ケンタッキーダービーの前夜祭では、ステージに上げて舞を踊ったり、私とタンゴを踊ったりして、大喝采を浴びている。それが、チャーチルダウンズ競馬場の場長の耳に入り、パーティーを盛り上げたお礼ということで、私は舞妓らとともにVIPルームに招待されているのだ。」
カッコイイですね。つねにド派手で、つねに豪快。これほどの傑物は関口氏のほかに二度と現れることはないと思います。
栗山さんの血統評論はすばらしい、非常に役立ちます。
レッドディザイアと同じマンハッタンカフェ × 母父カーリアン この血統は くずが少なさそうですがどんなもんでしょうか?
投稿: 130124103302 | 2010年3月22日 (月) 16:03
いつもお読みいただき誠にありがとうございます。
おっしゃるとおり、母系に Caerleon が入るマンハッタンカフェ産駒は大成功しています。レッドディザイア、ジョーカプチーノ、ガルボ、レッドアゲート(Caerleon の全妹 Video を持つ)、マッハヴェロシティなどがこのパターンにあてはまります。
POGで馬を選ぶ際にも知っておいて損のない法則だと思いますよ。1月11日のエントリーで触れておりますので、よろしかったらご覧いただければと思います。
投稿: 栗山求 | 2010年3月22日 (月) 17:43