ダービーへ一歩前進、ペルーサ
若葉Sは“横綱相撲で寄り切った”という内容で、一言でいえば完勝でした。勝ち時計の1分59秒9はレースレコード。毎日杯が芝2000mだった時代にクロフネが出した1分58秒6には及びませんが、当時はコース改修前で時計が出やすく、また今年は道悪競馬が続いたせいでやや馬場が荒れているので、単純比較はできません。
ペルーサについては、2月12日、13日のエントリーにも記したとおり、Hyperion 色の強い血が母系に入る、というゼンノロブロイ産駒の成功パターンに当てはまります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102705/
勝負どころで外からマクるようにスッと上昇するところは、父ゼンノロブロイが勝った山吹賞のレースぶりを思い出しました。脚さばきは父よりも柔らかいですね。これは母系に入ったアルゼンチン血統の影響かもしれません。
母アルゼンチンスターの全姉 Different は、アルゼンチンでチャンピオンに輝き、アメリカ移籍後もG1を勝った名牝です。同馬は、ハリウッドパークで行われた96年のブリーダーズCディスタフに出走し、1番人気で3着に敗れたのですが、私はこのときちょうど取材で同地を訪れていて、レース前日の調教時に同馬を観察する機会に恵まれました。均整の取れた明るい栗毛の馬体で、大柄ながら歩様がしなやかだったので芝でも走れそうだな、と思ったことを覚えています。伝統的なアルゼンチン血統は、ヨーロッパのステイヤー血統がベースとなっているので、総じて柔らかさがあります。ちなみに、サンデーサイレンスの柔らかさもアルゼンチン血統(母方の Montparnasse)の影響が大きいのではないかと考えています。
2代母ディフェレンテはややスピード感に欠ける配合なので、産駒のアルファフォーレスとシーディザーブスはダート向きに出ましたが、Candy Stripes が入るとちょっと違いますね。Candy Stripes の代表産駒の1頭 Leroidesanimaux は、ブラジル産馬ながらアメリカへ移籍して米芝牡馬チャンピオンに輝きました。Candy Stripes を母の父に持つ Candy Ride は、アルゼンチンとアメリカの双方でG1を制覇し、アルゼンチン時代は芝1600mで1分31秒01という好タイムでG1を勝っています。
今回の若葉Sは、ペルーサに長距離輸送の負担があるので、ホームグラウンドで戦うヒルノダムールが押さえ込むのではないかと考えたのですが、そんなことは関係ないとばかりにペルーサが能力の違いを見せつけました。次走の青葉賞は負けようがないと思いますし、ダービーでも勝ち負けでしょう。ヒルノダムールはもう少し脚をためて切れを活かすようなレースが向いているかもしれませんね。
『netkeiba』でアルゼンチンスターの血統表を見ると、4代母の父が「スノッブ」となっていますが、日本に入った馬ではないので「Snob」が正しいと思います。日本に種牡馬として入ったスノッブ(父 Mourne)とは別馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996110347/
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