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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年2月

2010年2月28日 (日)

道悪の中山記念はオペラハウス丼

昨日のエントリーに「日曜日の中山記念でも Sadler's Wells には注意したほうがいいかもしれません」と書きました。結果は Sadler's Wells 系のオペラハウス丼。道悪では押さえなければいけない血統です。

予想は◎テイエムアンコール(12番人気/2着)。『web競馬王』では印を絞らなければいけないので馬連不的中でしたが、ウマニティでは5頭に△を散らし、そのうちの1頭がトーセンクラウン(13番人気/1着)だったので的中しました(馬連18,080円)。予想文は以下のとおり。

「◎テイエムアンコールは『オペラハウス×ブライアンズタイム』という組み合わせ。小回り&急坂の中山コースで一変しそうな配合だ。デリングドゥー≒エイワン4×4なので中距離向きのパワフルなスピードが持ち味だろう。道悪は間違いなく巧い。ハイペースとなりそうな今回は得意のマクり差しが決まるはず。」

ドロドロの道悪だった昨年のダービーデイ、最終レースの目黒記念(芝2500m)を勝ったのはオペラハウス産駒のミヤビランベリでした。こうした馬場になると Sadler's Wells 系は水を得た魚です。母系に入った馬も同様で、母の父に Sadler's Wells を持つエルコンドルパサーは、極悪馬場の凱旋門賞(芝2400m)で2着に逃げ粘りました。

日曜日の中山では、5Rの未勝利戦(芝2000m)でオペラハウス産駒のマイネルウーノ(7番人気)が2着、9Rの潮来特別(1000万下・芝2500m)では母系に Sadler's Wells を持つクロカンブッシュ(9番人気)、ジェイケイラン(12番人気)が2、3着と、馬券にからみまくっていたので、中山記念の◎テイエムアンコールは内心かなり自信がありました。これから菜種梅雨の季節がやってくるので、また道悪競馬になることもあるでしょう。そのときには忘れずに Sadler's Wells を狙いたいと思います。

2010年2月27日 (土)

『馬券師倶楽部』放送は来週と再来週です

昨日のエントリーで告知した内容は誤りでした。正しくは以下のとおり。

3月6日(土)15:30~16:00
  半笑いVS栗山求(前編)
3月13日(土)15:30~16:00
  半笑いVS栗山求(後編)

勘違いしていました。スイマセン!

アーリントンCはコスモセンサー

1番人気のザタイキは、楽勝した前走でも4コーナーの手応えがイマイチでした。今回は、前半4ハロン通過48秒4という超スローペースで、中間点から急激にペースが上がり、4コーナー付近で11秒1という最速ラップを刻む展開。これでは先を行く馬との差は容易に詰められません。さすがに最後の1ハロンは12秒7とラップが落ち、地力の違いで2番手に上がりましたが、全体的に見ればコスモセンサー=石橋脩騎手の術中にハマった一戦といえるでしょう。悲観する内容ではなかったと思いますが、現状では世代トップクラスとの差を感じさせるものでした。

勝ったコスモセンサーは、母系に Riverman を持つキングカメハメハ産駒。配合については2月3日のエントリー「キングカメハメハ+Never Bend 血脈」で触れていますのでご覧ください。予想は△◎で的中です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007101398/

不良馬場で行われた中山9Rの水仙賞(3歳500万下・芝2200m)は、1、2、4着が Sadler's Wells 系。力の要る馬場で浮上してくる血であるとあらためて認識させられました。日曜日の中山記念でも Sadler's Wells には注意したほうがいいかもしれません。

2010年2月26日 (金)

土曜15時30分から『馬券師倶楽部』再放送

「半笑いVS栗山求(前編)」がCS放送の“MONDO21”で再放送されます。収録日は2008年3月29日です。再放送していただけるのは大変ありたがいのですが、土曜日のメインレースの時間帯に競馬番組をやるのはいかがなものか……と思わないでもないです。半笑いさんとは昨年秋に東京競馬場でばったり出逢いました。また飲みたいものです。

もう1頭のスーパー牝馬 Hasili

2月24日のエントリーで Urban Sea について触れましたが、現代にはそれと双璧をなすもう1頭のスーパー牝馬が存在します。1991年生まれの Hasili です。これまでに5頭のG1馬と1頭のG2馬を送り出しました。G1馬の数を比べると Urban Sea(4頭)を上回ります。産駒は以下のとおり。

★Dansili(牡.1996.デインヒル)ミュゲ賞(仏G2)、他

★Banks Hill(牝.1998.デインヒル)BCフィリー&メアターフ(米G1)
      ジャックルマロワ賞(仏G1)、コロネーションS(英G1)

★Heat Haze(牝.1999.Green Desert)メイトリアークS(米G1)
                  ビヴァーリーDS(米G1)

★Intercontinental(牝.2000.デインヒル)メイトリアークS(米G1)
                BCフィリー&メアターフ(米G1)

★Cacique(牡.2001.デインヒル)マンハッタンH(米G1)
                マンノウォーS(米G1)

★Champs Elysees(牡.2003.デインヒル)カナディアン国際S(米G1)
                ノーザンダンサーターフS(米G1)
                   ハリウッドターフC(米G1)

このなかで唯一G1を勝てなかった Dansili(G1では2着2回)は、種牡馬として成功し、凱旋門賞馬 Rail Link をはじめ多数の活躍馬を送り出しています。
http://www.pedigreequery.com/dansili

Hasili の父 Kahyasi は、Nijinsky と Red God のニックスを持ち、無敗で英・愛ダービーを制しました。種牡馬としてはスピードに乏しかったため、期待ほどの成績は挙げられませんでしたが、母の父としては優秀で、Hasili が産んだ上記の産駒群のほかに、世紀の女傑 Zarkava を送り出しています。
http://www.pedigreequery.com/zarkava

Hasili の配合は「Kahyasi×High Line×Roberto」ですから、重厚なスタミナ血統です。
http://www.pedigreequery.com/hasili
配合のキーポイントは Seven Seas=Heliopolis 6×6でしょう。この血は侮れません。サンデーサイレンス産駒の配合で最もポピュラーな成功パターンは、これとよく似た Gulf Stream≒Heliopolis の4分の3同血クロスです。Heliopolis は米リーディングサイアーで、その全妹に英1000ギニー馬 Sun Stream、半姉に英1000ギニー馬 Tide-way がいる超良血です。

Heliopolis はダービー卿が生産し、名牝 Canterbury Pilgrim 4×3というクロスを持ちます。
http://www.pedigreequery.com/heliopolis
20世紀前半にこのクロスは大成功しました。Heliopolis と Gulf Stream のほかに、Aurora、Lavendula、Lady Angela、Barley Corn、The Squaw、Selim Hassan といった優駿がこのクロスから誕生しています。重要なのは、どの馬も単体はもちろん“クロスさせることで優れた効果が得られる”ということです。ノーザンテーストは Lady Angela 3×2でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000258/
サンデーサイレンス産駒の Gulf Stream≒Heliopolis が大成功したように、Hasili の Seven Seas=Heliopolis も効果が大きかったはずです。

Hasili が送り出した上記の6頭のうち、5頭が父デインヒルです。デインヒルは Heliopolis を持っているので、母 Hasili が持つ Seven Seas=Heliopolis を継続することになります。

Dansili の代表産駒 Rail Link は、ディープインパクトを破って凱旋門賞を制しました。Hasili の血は、子世代だけでなく孫世代にも優れた影響を及ぼしているようです。一日も早い日本導入が待たれます。

2010年2月25日 (木)

エスポワールシチーがドバイWC回避

海外遠征は、その馬を応援するファンにとっては純粋に“夢”ですが、馬主サイドにとっては“夢であり現実”です。その現実の部分に越えられないハードルがあったのでしょう。

エスポワールシチーが春に国内2戦2勝(かしわ記念、帝王賞)なら賞金は1億3000万円。これ以上の賞金をドバイで稼ぐとなると、2着以上が必要となります(1着賞金600万ドル、2着賞金200万ドル)。馬の適性や体調を含めて現実的に考えると、チャレンジするにはリスクが大きすぎると馬主サイドが判断したわけです。ただ、エスポワールシチーの遠征に夢を紡いでいたファンのなかには、この決定に納得できないという方も当然いるでしょう。

フェブラリーS2着のテスタマッタは骨折。幸い、全治3ヵ月と軽症なので、秋シーズンには復帰できそうです。フェブラリーS3着のサクセスブロッケンはゴドルフィンマイルを回避することが決定。昨年暮れのジャパンCダート2着のあと休養していたシルクメビウスはアンタレスS(4月25日・京都)で復帰するようです。帝王賞でエスポワールシチーとの対決が見られるかもしれません。

2010年2月24日 (水)

名牝 Urban Sea 2×3

昨年3月に20歳で死亡した Urban Sea は、近年における傑出した牝馬といえるでしょう。凱旋門賞を勝った競走成績もさることながら、Galileo、Sea the Stars、Black Sam Bellamy、My Typhoon、Urban Ocean、All Too Beautiful、Melikah を送り出した繁殖実績は歴史に残るものです。

ある馬主の方にうかがった話では、Urban Sea がジャパンCに出走した際(93年)、同馬の関係者から売却のオファーがあったそうです。値段が高すぎて話は流れたそうなのですが、もし購買していれば競馬の歴史は変わっていました。Galileo や Sea the Stars が誕生しないかわりに、父サンデーサイレンスの Urban Sea 産駒が産まれていたわけです。

活力を秘めた血をクロスによって強化するのは馬産の常識といっていいでしょう。Urban Sea のクロスは早晩試みられるはずですが、すでにそのプランが持ち上がっています。

2月10日付けの『RACING POST.com』によれば、アイルランドのジム・ボルジャー調教師(エイダン・オブライエン調教師の師匠)が新種牡馬 Sea the Stars のもとへ8頭の繁殖牝馬を送ったそうですが、そのなかの2頭――Lush Lashes(コロネーションCなどG1を3勝)と Cuis Ghaire(6fのG3を2勝、英1000ギニー2着)――は Galileo の娘とのことです。
http://www.pedigreequery.com/lush+lashes
http://www.pedigreequery.com/cuis+ghaire

Galileo は Sea the Stars の半兄なので、この配合によって Urban Sea 2×3という強度のクロスが生じます。

         ┌○
┌ Sea the Stars ┤
│        └ Urban Sea
│              ┌○
│        ┌ Galileo ―┤
└ Lush Lashes ―┤      └ Urban Sea
         └○

         ┌○
┌ Sea the Stars ┤
│        └ Urban Sea
│              ┌○
│        ┌ Galileo ―┤
└ Cuis Ghaire ―┤      └ Urban Sea
         └○

Lush Lashes と Cuis Ghaire は、母の父が Danzig 系なので、同系統の Sea the Stars との交配では、Urban Sea 以外にも Danzig クロスが生じます。

「父」と「母の父」が異父兄弟、という例はめったに見られるものではありません。それなりに実績を挙げたものとなると、Lizzie G.(Domino の2代母、Hamburg の3代母)と Russell(Wise Counsellor の母の父)ぐらいでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/lizzie+g
http://www.pedigreequery.com/russell

狙いはいいとしてもちょっとキツすぎるのでは、という意見はボルジャー調教師も想定しているようで、強度のクロスで成功馬を送り出したマルセル・ブサックを例に挙げて予防線を張っています。そして、これがうまくいかなかったら次はもうちょっと緩くするし、産まれてくるのが牝馬なら将来いい繁殖牝馬になるかもしれないね、と述べています。

2010年2月23日 (火)

水野麗奈さん結婚

相手は渡辺薫彦騎手と聞いて、関西在住の知り合いが「エッ!(絶句)」と衝撃を受けておりました。長年『DREAM競馬』とつき合ってきた関西圏の方はそういう反応になるのかもしれません。「関東で言ったら井森美幸が結婚するようなもん?」と言ったら「それは違う」と完全否定されました。

東京に住んでいると関西圏の競馬番組を観る機会がありません。関西に遠征するときは当然競馬場に行くわけです。したがって、競馬を始めて30年近く経ちますが、いままで関西圏の競馬番組を一度も観たことがありません。関西重賞の際に登場する杉本清さん、大坪元雄さんのネタならついて行けますが、関東のテレビに映らない宮川一朗太さん、水野麗奈さんとなるともうダメです。蚊帳の外です。

ただ、水野麗奈さんについては、話題にする方すべてが褒めるので、いい子なんだろうなぁと思っていました。どうぞお幸せに。

2010年2月22日 (月)

フェブラリーSはエスポワールシチー

あまりに強すぎて何も書くことがないという勝利でした。予想は◎▲で的中。◎エスポワールシチーは完全に本格化してますね。まるで1000万クラスにOP馬が走っているような手合い違いの一戦でした。定量戦で走るかぎり今後しばらくは負けないでしょう。

ドバイのオールウェザーでウオッカとエスポワールシチーのどちらが先着するのか興味が尽きません。オールウェザーはダートよりも芝に近い、という意見が支配的なようですが、百聞は一見にしかず、3月27日のレースで答えが出ます。オールウェザー推進議論にも影響を与えることになりそうです。

オッズチェッカー(http://www.oddschecker.com/)というサイトで英ブックメーカーの人気を見てみると、若干エスポワールシチーが上に見られているようです(RACING BETTING ODDS→Ante-Post Racing の「Flat」から Dubai World Cup をセレクト)。エスポワールは単勝10~14倍、ウオッカは12~16倍。大きな差はありません。

2010年2月21日 (日)

甦るオールド・グローリー

『栗山求 Official Website』(http://www.miesque.com/)の「Works」に作品を追加しました。例によって血統専門誌『週刊競馬通信』に連載したコラム「血統SQUARE」の復刻掲載です。

今回は「甦るオールド・グローリー」(初出は1994年9月~11月)。アメリカ土着のヒムヤー系の歴史をたどりながら、レキシントンからドミノ、そして現代へと至るアメリカ血統の基礎を解説したものです。

最終章で Holy Bull と Waquoit の共通性について解説しましたが、アラン・ポーターが『Patterns of Greatness II』(1995)において同様の指摘をしています。初出を見ていただければ分かるように「血統SQUARE」のほうが早く、おそらく世界初の論考だったはずです。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!