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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年8月

2010年8月22日 (日)

土曜日のレースあれこれ

■小倉2Rの2歳未勝利戦(芝1800m)はメイショウナルト(父ハーツクライ)が5馬身差の圧勝。直線半ばでは流していました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101384/

ハーツクライ産駒はこのレースに2頭出走して1着-3着。これぐらいの距離が合っていますね。短めの距離でもそれなりに実績を挙げているのは能力の高さゆえでしょう。短距離戦で取りこぼしたあと距離延長で勝つ、というパターンはこの先ちょくちょく見られるのではないかと思います。日曜日の札幌1R(芝1500m)に出走予定のシンワハーツクライは、デビュー2戦がいずれも1200m戦(3、2着)で、今回は300mの距離延長。期待できそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103826/

メイショウナルトはデビュー戦で◎を打った馬でした。ハーツクライとマルゼンスキーは間違いなく合うでしょうし、母の父カーネギーに含まれる Bold Reason、Riverman などもいいと思います。カーネギーを見ると反射的に「青葉賞」という三文字が脳裏に浮かび上がってくるのですが、たしかにそういうレースに強そうな配合です。

■札幌4Rの新馬戦(芝1500m)はアドマイヤセプター(父キングカメハメハ)がタイレコードで7馬身差の圧勝。牝馬限定戦であることを考慮してもハイレベルなパフォーマンスです。現時点における牝馬のフロントランナー、アヴェンチュラやホーマンフリップあたりと比べてもまったく見劣りません。コーナーを逆手前で回るなど若さを覗かせていましたが、とくに気性的に難しいという印象は受けませんでした。他馬との素質の違いは歴然としています。

叔父のルーラーシップ(日本ダービー-5着)とは4分の3同血の関係となります。アドマイヤセプターにサンデーサイレンスが入り、ルーラーシップには入らない、という違いです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103077/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103143/

           ┌ キングカメハメハ
アドマイヤセプター ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ エアグルーヴ

           ┌ キングカメハメハ
ルーラーシップ ―――┤
           └ エアグルーヴ

ルーラーシップがプリンシパルSを勝ったあと、手綱を取った横山典弘騎手は「フットワークが現状無駄に大きい」と評しました。慣用表現で“弾むようなフットワーク”という言い方がありますが、ルーラーシップの場合は“弾みすぎ”です。サンデーが入ったアドマイヤセプターにそうした面は見られません。無駄のないシャープなフットワークをしています。サンデーの血は、現実に即した形に馬をチューニングする力に長けています。走りやすい仕様に馬を最適化してしまうわけです。

「キンカメ×サンデー×トニービン」はミッキードリーム(毎日杯-2着)と同じ。アヴェンチュラとアドマヤセプターは10月2日の札幌2歳S(G3)で激突します。いまから楽しみです(凱旋門賞の取材に行くのでリアルタイムでは見られないのですが……)。

kuwa さんのブログ(http://blog.goo.ne.jp/boldirish)では以前からこの馬を非常に熱心にプッシュしていました。負けたら坊主、とも。望田潤さんもPOGで持っているようです。さすがですね~。私も一応、「栗山ノート」で指名しています。もちろん、3人が事前に打ち合わせをしたわけではありません。配合から馬を判断する人間であれば褒めざるをえないと思います。

■昨日のエントリーでご紹介したワイズミューラー(父ジャングルポケット)は、札幌12Rの500万下(芝2600m)を見事快勝しました。いずれ中長距離路線で出世しそうです。菊花賞に出るにはあともうひとがんばりする必要があります。今回の勝ちっぷりなら楽しみですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/

2010年8月21日 (土)

菊花賞路線に乗れるか、ワイズミューラー

土曜日の競馬で注目したいのは、札幌12Rの500万下(芝2600m)に出走するワイズミューラー(父ジャングルポケット)。6月の東京最終週に未勝利戦(芝2400m)を勝ち上がり、今回はそれ以来の実戦となります。

ジャガーメイル(天皇賞・春)やオウケンブルースリ(菊花賞)の活躍が示すとおり、ジャングルポケット産駒は長距離戦に向いています。札幌芝2600mでは4戦して〔2・1・1・0〕という成績。すべて馬券に絡んでおりコース適性はきわめて高いといえるでしょう。

じつはこの馬、金沢公営で現在12連勝中のジャングルスマイルの全弟。同馬については6月22日のエントリー(「金沢の新星ジャングルスマイルが百万石賞制覇」)でご紹介しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-52f2.html

先週のクイーンS(G3)を勝ったアプリコットフィズとは4分の3同血の関係です。配合的にも注目すべき存在ですね。勝ち上がった前走の東京戦は、3コーナー過ぎから鞍上の手が動くというスブさを見せたものの、直線でしっかり伸びました。この気性なら距離が延びても心配ありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102779/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

             ┌ ジャングルポケット
ワイズミューラー ――――┤   ┌ サンデーサイレンス
(=ジャングルスマイル) │ ┌○┘
             └○┤
               └ サトルチェンジ

             ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―――┤ ┌ サンデーサイレンス
             └○┤
               └ サトルチェンジ

春の時点ではまだ馬体が子供っぽかったので、この休みの間にどれぐらい成長したのか楽しみです。ここでいい勝ち方をするようなら菊花賞路線のダークホースに浮上します。先週、みなみ北海道S(OP・札幌芝2600m)を勝ったトウカイメロディ(父チーフベアハート)はすでに有力候補の1頭といえるでしょう。ワイズミューラーも北の地からぜひ路線に乗ってほしいところです。

2010年8月20日 (金)

クラキンコがホッカイドウ競馬で三冠達成

8月19日に行われた王冠賞(門別・ダ2600m)は、断然人気に推されたクラキンコが勝利を飾り、ホッカイドウ競馬史上4頭目の三冠馬となりました。牝馬としては初めてです。
http://www.chihoukeiba.jp/hokkaido/meta/vod/36/2010/08/19/362010081910.asx

6月1日のエントリー(「北海優駿はクラキンコ」)ですでに取り上げておりますので、血統に関する部分を再録します。

「デビュー当時から話題になっていたのはその血統。父クラキングオー(北海優駿、道営記念、ステイヤーズC2連覇)、母クラシャトル(北海優駿、北海道3才優駿)は、いずれもホッカイドウ競馬を沸かせた名馬でした。つまりクラキンコは“夢の配合”によって誕生した馬だったのです。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105398/

「『クラキングオー×クラシャトル』という“夢の配合”が実現するまでには苦難の道のりがありました。父クラキングオーは現役最後となった一戦で殺処分寸前の故障を負い、倉見牧場の手厚い看護により生還しました。3年後、ようやく種牡馬となる目処が立ち、最初の交配相手に選ばれたのが牧場のナンバーワン牝馬のクラシャトル。そして、翌年誕生したのがクラキンコでした。このあたりの事情については「競走馬のふるさと案内所」のコラム(2009年10月19日付)に詳述されています。読み応えのある記事です。」

ちなみに、ここに当該コラムのURLがあったのですが、2ヵ月半の間に切れてしまい、読めなくなっていました。

これだけドラマ性のある馬は、中央を含めてもなかなか見当たりません。ダートグレード競走で活躍できれば全国的な人気が出てもおかしくないのに、と思います。ホッカイドウ競馬が全面バックアップしてプロモーション活動をするというのはどうでしょう? クラキンコのためだけでなく存廃に揺れる馬産地競馬の振興策として悪くないと思うのですが。

2010年8月19日 (木)

ステキシンスケクンがチリへ

アーリントンC(G3)と京成杯オータムH(G3)を制したステキシンスケクン(父 Danzig)が引退し、南米チリで種牡馬になるとのことです。昨年のちょうどいまごろ、まったく同じニュースが流れたと記憶しているのですが、なにか事情があったのか計画が1年延び、ようやくチリへ渡る運びとなったようです。一時はアイルランドへ渡って調教を重ね、ポップロックのように再起を目指していたそうです。

ここ20年間のチリ生産界は Mr.Prospector 系が牽引しています。90年代は Roy(父 Fappiano)、00年代は Hussonet(父 Mr.Prospector)が一時代を築きました。両者ともアメリカ産馬で、前者は9年連続、後者は7年連続リーディングサイアーとなりました。
http://www.pedigreequery.com/roy
http://www.pedigreequery.com/hussonet

血統表を見ていただければ一目瞭然、スピードタイプです。ですから、こういう文脈で「Danzig×Mr.Prospector」のステキシンスケクンが求められたとすればうなずける話です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003110015/

ちなみに、ジャパンCダート(G1)に出走したチリ産馬、リドパレスとトータルインパクトも Mr.Prospector 系です。
http://www.pedigreequery.com/lido+palace
http://www.pedigreequery.com/total+impact

話が脱線して恐縮なのですが、十数年前、競馬通信社という会社に所属していたころ、『世界の名馬7代血統表』(青木義明著、栗山求監修)という単行本を作りました。1807年生まれの Whalebone から1993年生まれのエリシオまで、世界の名馬500頭の7代血統表を収録したものです。このリスト選定とすべての短評を私が担当しました。

あまり定かではない記憶ですがチリ産馬は2頭収録しているはずです。1966年生まれの Cougar と1987年生まれの Wolf。前者はビワハヤヒデの父シャルードに母の父として入っています。後者は母に Rheita≒Silver Moon 2×2という鮮やかな4分の3同血クロスがあります。これはカッコいいですね。
http://www.pedigreequery.com/cougar2
http://www.pedigreequery.com/wolf

チリ産馬の血統でおもしろいのは、いまから約100年前に走った Old Boy(1909年生)という芦毛の名馬です。通算36戦33勝という成績を残しました。“チリの Native Dancer”といったところでしょうか。
http://www.pedigreequery.com/old+boy6

母 Skylark もチリオークス、チリセントレジャー(単走)を制した名牝で、これが Palmy 1×3(!)という強度のクロスを持っています。しかし、血統表をよく見ると、両親が栗毛なのに Skylark 自身は芦毛です。芦毛の法則(=芦毛馬は両親のどちらかが芦毛である)に反しているので、毛色が正しいとするならば父は別馬であることが濃厚だと思います。
http://www.pedigreequery.com/skylark21

2010年8月18日 (水)

Books LLC の競馬洋書

今年5月以降、Books LLC から大量の競馬洋書が刊行されています。アマゾンのサイトで「Books LLC Horse Racing」というキーワードを入れて検索してみると241件引っ掛かりました。これは気になります。誰が何のために……。

物は試しに『British Champion Thoroughbred Sires』という本を注文してみたところ、2週間ほど経ったある日、索引を入れて120頁ほどのペーパーバックが届きました。しかし、中身をめくってみてガッカリしました。Wikipedia の丸写しです。以下のURLにある項目をそのまま収録しただけ。しかも血統表がありません。
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:British_Champion_Thoroughbred_Sires

ほかの本は確認していないので分かりませんが、同じ方法で作られているものが多いのではないかと想像します。Wikipedia の英語版はまあまあよく出来ているので、それなりのクオリティではあります。ただ、ネットでタダで読めるものをわざわざお金を出して買うのは馬鹿らしいですね。

2010年8月17日 (火)

王登美さん108歳で死去

プロ野球ソフトバンク王貞治会長の母・王登美さんが亡くなりました。108歳。著名人やその係累でここまで長寿を保った例は稀でしょう。

登美さんは1984年に『ありがとうの歳月を生きて』(勁文社)という自伝を上梓しています。時代との関わりのなかで一庶民がどう生きたか、というライフヒストリーがしっかり描かれた好著です。王貞治の母、という事実によりかかっていないところがいいですね。

1901年に富山県で生まれ、1914年の大洪水により一家は没落。生活が立ちゆかなくなり長女登美は単身東京に奉公へ。その後、親兄弟も上京して共同生活を始めるものの、1919年に両親が相次いで病死。兄弟はちりぢりに親戚に預けられることに。1923年の関東大震災を経て、1927年に深川の中華ソバ屋で浙江省出身の料理人・王仕福と出逢い、周囲の猛反対を押し切り翌年結婚。1940年に貞治が誕生。1945年には経営していた店が空襲により全焼。この年までに弟2人、妹1人、娘1人(貞治の双子の姉)を失っていました。

かなり端折って数行にまとめると以上のようになります。朝の連続テレビ小説の題材にするにはややヘビーですね。ただ、当時にあってはとくに壮絶というわけではなく、このような人生はありふれたものであったでしょう。

両親兄弟が次々と早世するなかで登美が生き残ったのは、おそらく体が頑丈だったからだろうと思います。若いころは太っていたため奉公先でのあだ名は「関取」。息子の貞治も並外れた食欲の持ち主で、中学時代は学校から帰ると肉や野菜がいっぱい入った大盛のヤキソバをたいらげて、さらにご飯を三杯食べていたそうです。高校時代になると大盛りの五目ソバをまずかっこみ、そのあと自分の顔ほどもあるステーキを二枚食べてやっと人心地がつくという有様で、「うちが料理屋でなければ食費だけで破産している」と語るほどだったそうです。体も大きく、横綱・吉葉山から相撲部屋に誘われたというエピソードもあります。

母・登美は108歳まで生き、息子・貞治は歴代最多本塁打王に。生命力の基本は食欲なのだなぁとつくづく思います。そういえば先日死亡したオグリキャップは旺盛な食欲に支えられて激戦の連続に耐えました。

皆さま、夏バテしてませんでしょうか? 私はこの暑さで食欲が下降気味なので、今日はしっかり食べようと思います。

2010年8月16日 (月)

Goldikova 敗れる

仏ドーヴィル競馬場で行われたジャックルマロワ賞(G1・芝1600m)は、今年の英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬 Makfi がゴール前で鋭い脚を繰り出して優勝しました。騎手は今回から手綱をとるクリストフ・スミヨン。
http://www.youtube.com/watch?v=1Xsfz1A3qDc

これを勝てば欧州G1勝ち数の新記録(11勝)だった Goldikova は断然人気を背負って2着。いったん先頭に立ったものの Makfi の末脚に屈しました。柔らかい馬場に苦しんだとのことです。時計の出るサンタアニタのブリーダーズCマイル(米G1・芝8f)で2連覇を果たしているように堅い馬場が得意なタイプ。昨年のジャックルマロワ賞は1分33秒50で6馬身差の圧勝でした。今年は1分39秒40ですからコンディションは相当悪いですね。陣営によればブリーダーズCマイル3連覇という秋の大目標は不変のようです。

Makfi の血統背景については、5月5日のエントリー「英2000ギニーは Makfi」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/makfi-a9ae.html

血統分析の部分を再録します。

「父 Dubawi は、わずか1世代を残して急逝した Dubawi Millennium の忘れ形見。現役時代にジャックルマロワ賞、愛2000ギニーなどG1を3勝した名馬で、初年度産駒となる今年の3歳世代から、この Makfi と伊2000ギニー(G3)を勝った Worthadd を出しています。出足好調ですね。

Makfi は、父 Dubawi(愛2000ギニー)、母の父 Green Desert(英2000ギニー2着)、2代母の父 Irish River(仏2000ギニー)ですから、ギニーレースに向いた血統です。父が持つ Sir Ivor≒Drone のクロスを継続している(6・6×4)ほか、Mill Reef≒Riverman 5×4などもあるので、配合的にはよくできていると思います。スローペースの切れ味勝負をズバッと突き抜けたので日本向きかもしれません。」
http://www.pedigreequery.com/makfi

父 Dubawi と2代父 Dubawi Millennium は、いずれもジャックルマロワ賞を制しています(2005年、1999年)。今回の勝利で親子孫3代連続制覇となりました。父 Dubawi は現3歳の初年度産駒から7頭の重賞勝ち馬を出しており、2世代目からもロベールパパン賞(仏G2)を勝った Irish Field(スペイン調教馬です)を出しています。非常に優秀な成績を挙げつつある若手有望種牡馬なので今後が注目されます。
http://www.pedigreequery.com/irish+field2

Makfi は、6月15日に行われた前走のセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)で7着と敗れていますが、これは喉の感染症が原因だったようです。それ以外はすべて勝っており、通算5戦4勝という成績。いい切れ味を持った馬です。次走はムーランドロンシャン賞(9月5日・ロンシャン競馬場・G1・芝1600m)を予定しています。

2010年8月15日 (日)

クイーンSはアプリコットフィズ

悩んだ末に◎プロヴィナージュ(3番人気)、○アプリコットフィズ(2番人気)とした理由は枠順です。12番枠のアプリコットは開幕週で外を回されると厳しいかな、という気がしていました。コーナーが大きく直線部分が短い札幌は、函館に比べて外枠の馬が内に潜り込みにくいコースです。2番手追走から3角先頭という乗り方は、逃げ先行馬が圧倒的有利なクイーンS(G3)ではパーフェクトですね。前に行ったことで枠順の不利も消滅しました。

ジャングルポケット産駒は、中長距離で底力を競うレースに高い適性を示す一方、ローカルでも強さを発揮しています。ただ、同じ洋芝の函館コースが連対率30.6%であるのに対し、札幌コースは14.1%と半分以下。パワーが活きるコースでより強さを発揮するということでしょう。

アプリコットフィズは母がマンハッタンカフェの全妹で、馬体はコンパクトで洗練されており、パワー型という雰囲気はありません。ちなみに、マンハッタンカフェ産駒の成績を調べてみると、函館も札幌も同じように好成績を挙げています。洋芝を得意としているものの、ジャングルポケットほどパワーがあるわけではありません。アプリコットフィズは、どちらかといえば母方の特徴が強く出ているような感じがしますね。春のクラシック戦線ではずっと◎を打ち続けてきた馬。これで秋が楽しみになりました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102942/

『web競馬王』の予想では○◎で馬連1410円、○◎△で3連複6890円的中。ウマニティでは○◎で馬単2550円、○◎△で3連単30380円的中です。

2010年8月14日 (土)

フェニックス賞はシゲルキョクチョウ

今年の「シゲル」は役職シリーズ。役職の重みと期待度が比例するものなのか前々から気になっているのですが、どうなのでしょう? 「局長」ならそれなりに上位でしょうか。

新馬戦でフライング気味のロケットスタートを決めた△シゲルキョクチョウ(3番人気)が今回も好スタートでハナに立ち、後続を寄せ付けずに逃げ切りました。人気の◎ブラウンワイルド(1番人気)は2着。

父オンファイアはディープインパクトの全弟で、現役時代は3戦1勝。東京スポーツ杯2歳S(G3)で3着のあと屈腱炎のため引退しました。今シーズンが始まる前に兄よりも早くOP勝ち馬を送り出すと予想していた方は少ないでしょう。私もまったく想定外でした。ディープインパクトの種付料は1200万円。オンファイアは30万円。じつに40倍です。兄と比べて馬格があるのがセールスポイント(現役時500キロ)でしょうか。息子のシゲルキョクチョウは452キロです。

「オンファイア×ラストタイクーン」という組み合わせ。母方に Raja Baba、Raise a Native といった2歳戦に強いスピード血統を持ち、3代母 Gold Mine は Mr.Prospector の全妹。これらが短距離向きのダッシュ力とスピードを補っています。昨年の2歳戦線で活躍したダノンパッションと配合構成がよく似ています。下図には書ききれませんでしたが、ほかに La Troienne 血脈がキーポイントとなる“Sex Appeal≒プレイメイト”の関係もあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008106468/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤
シゲルキョクチョウ ┤ └ ウインドインハーヘア
          └○┐ ┌ Raja Baba
            └○┤ ┌ Raise a Native
              └○┤
                └ Gold Digger

            ┌ サンデーサイレンス
            │   ┌ Raja Baba
          ┌○┤ ┌○┘
ダノンパッション ―┤ └○┘ ┌ Raise a Native
          │   ┌○┤
          │ ┌○┘ └ Gold Digger
          └○┤
            └ ウインドインハーヘア

「オンファイア×ラストタイクーン」なので、「ディープインパクト×ラストタイクーン」のマギストラ(キングカメハメハの半妹/2戦0勝)、レッドディアーナ(モンテクリスエスの半妹/未出走)、エミクーシ(ジュエルオブナイルの半妹/未出走)などと配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103343/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103061/

逃げ馬にしては余裕のあるフットワークをしているので、初戦も今回も、最後の直線でもう一度脚を使うことができます。新馬戦では◎を打っていい思いをしたのですが、見習い騎手が乗ったことによる3キロ減の恩恵が大きかったのも事実なので、今回は狙いを下げてしまいました。シゲルキョクチョウもダノンパッションも“軽さ”という点では共通しています。ただ、その一方で底力の担保となる血がないので、このあたりの影響で先々どうかという懸念はあります。

2着ブラウンワイルドは初戦をレコードで走った反動があったのかもしれませんね。パドックでは思ったほど良く見えませんでした。馬体重が8キロ増えていた原因は分かりませんが、この先の小倉2歳S(G3)を見据えて多少楽をさせていた可能性もあると思います。

2010年8月13日 (金)

ブリーダーズゴールドCはシルクメビウス

6月の帝王賞(G1)で、本来出走できなかったはずのカネヒキリが直前のルール変更によって出走可能となったとき、出走枠から弾き出されたのがシルクメビウスでした。陣営はさぞ無念だったでしょう。もし仮に訴訟社会アメリカで同様の事例があれば一悶着あったかもしれません。

それだけに今回のブリーダーズゴールドC(G2・ダ2000m)は気合いが入ったでしょうし、勝利の味は格別だったでしょう。シルクメビウス(2番人気)は中団から徐々に進出し、直線で4馬身突き抜けました。2着はカネヒキリ(1番人気)。
http://www.chihoukeiba.jp/nar/meta/vod/36/2010/08/12/362010081210.asx

ステイゴールド産駒は、父と同じく着実に成長するところがセールスポイント。じつは先週、JRAでは同産駒が4勝(2着2回)を挙げ、さりげなく祭になっていました。そのなかの1頭ユキノサイレンスは元PO馬。デビュー以来10連敗で実力的に勝ち上がるのは難しいかも……と思っていたのですが、しっかり未勝利を脱出しました。2歳よりも3歳、3歳よりも4歳で味が出てくる種牡馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105909/

凱旋門賞に挑戦するナカヤマフェスタ、昨年の宝塚記念と有馬記念を制したドリームジャーニーも、2歳時に頭角を現したあとしばしの停滞期を経て、鮮やかに復活を遂げました。ステイゴールド産駒の“死んだふり”に騙されてはいけません。この成長力は主に2代母の父ノーザンテーストに由来するような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102424/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102753/

ダートの成績がイマイチなのは、父に似て産駒が総じて小柄であることも理由のひとつでしょう。シルクメビウスは500キロ近い馬体なので体格的な不安はありません。母チャンネルワンは「ポリッシュネイビー×マルゼンスキー」というパワー満点の配合で、Busanda 3×5に加えてそれと血統構成が近い Relic を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107964/

息子のシルクメビウスは、母方のパワーと父方の瞬発力が最良の形で融合した結果、ハイレベルなダートホースとなったと考えます。脚抜きのいい馬場(今回もそうでした)でとくに強いのは、ダート馬にありがちな単純な力馬ではなく、芝馬的な資質も兼ね備えているからでしょう。こういうタイプは案外オールウェザーで強そうな気がするので、来年ドバイに遠征すればいいところがあるかもしれません。グロリアスノアがゴドルフィンマイル(G2・AW1600m)で4着ならシルクメビウスはもっとやれても……という気がしないでもないですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106156/

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!