ブリーダーズゴールドCはシルクメビウス
6月の帝王賞(G1)で、本来出走できなかったはずのカネヒキリが直前のルール変更によって出走可能となったとき、出走枠から弾き出されたのがシルクメビウスでした。陣営はさぞ無念だったでしょう。もし仮に訴訟社会アメリカで同様の事例があれば一悶着あったかもしれません。
それだけに今回のブリーダーズゴールドC(G2・ダ2000m)は気合いが入ったでしょうし、勝利の味は格別だったでしょう。シルクメビウス(2番人気)は中団から徐々に進出し、直線で4馬身突き抜けました。2着はカネヒキリ(1番人気)。
http://www.chihoukeiba.jp/nar/meta/vod/36/2010/08/12/362010081210.asx
ステイゴールド産駒は、父と同じく着実に成長するところがセールスポイント。じつは先週、JRAでは同産駒が4勝(2着2回)を挙げ、さりげなく祭になっていました。そのなかの1頭ユキノサイレンスは元PO馬。デビュー以来10連敗で実力的に勝ち上がるのは難しいかも……と思っていたのですが、しっかり未勝利を脱出しました。2歳よりも3歳、3歳よりも4歳で味が出てくる種牡馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105909/
凱旋門賞に挑戦するナカヤマフェスタ、昨年の宝塚記念と有馬記念を制したドリームジャーニーも、2歳時に頭角を現したあとしばしの停滞期を経て、鮮やかに復活を遂げました。ステイゴールド産駒の“死んだふり”に騙されてはいけません。この成長力は主に2代母の父ノーザンテーストに由来するような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102424/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004102753/
ダートの成績がイマイチなのは、父に似て産駒が総じて小柄であることも理由のひとつでしょう。シルクメビウスは500キロ近い馬体なので体格的な不安はありません。母チャンネルワンは「ポリッシュネイビー×マルゼンスキー」というパワー満点の配合で、Busanda 3×5に加えてそれと血統構成が近い Relic を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107964/
息子のシルクメビウスは、母方のパワーと父方の瞬発力が最良の形で融合した結果、ハイレベルなダートホースとなったと考えます。脚抜きのいい馬場(今回もそうでした)でとくに強いのは、ダート馬にありがちな単純な力馬ではなく、芝馬的な資質も兼ね備えているからでしょう。こういうタイプは案外オールウェザーで強そうな気がするので、来年ドバイに遠征すればいいところがあるかもしれません。グロリアスノアがゴドルフィンマイル(G2・AW1600m)で4着ならシルクメビウスはもっとやれても……という気がしないでもないですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106156/
いつも楽しみに読まさせて頂いております。
栗山さんが仰るようにステイゴールドは味がある種牡馬で大好きです。ノーザンテーストの成長性はLady Angelaから来ている部分が大きいと考えていいのでしょうか?それとサンデーサイレンスは「基本的には早熟のスピードタイプ」と書いている本も見受けられるのですが、栗山さんはどうお考えですか?宜しくお願いします。
投稿: Bucchi | 2010年8月13日 (金) 07:38
いつもお読みいただきありがとうございます。
ノーザンテーストについてはおっしゃるとおりです。同馬の小柄な馬体や抜群の成長力は主に Hyperion に由来するものではないかと個人的に考えています。つまり Lady Angela 経由ですね。
サンデーサイレンスは2歳戦で破格の成績を収めたので、「早熟」という点では間違いないでしょう。ただ、イコール早老かといえばそうではないと思います。タイプは「万能」だと考えます。このあたりのとらえ方は人それぞれですし、言葉の定義にもよるので、なんともいえないですね。
投稿: 栗山求 | 2010年8月13日 (金) 12:54