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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年4月

2010年4月11日 (日)

ロングスパートの桜花賞

スロー必至でサンデーサイレンスの瞬発力がモノをいうだろう、との見立てで予想をしたのですが、1~3着馬はサンデーと無縁の馬でした。サンデーの血を持つ馬が3着以内に入れなかったのは98年(1着ファレノプシス、2着ロンドンブリッジ、3着エアデジャヴー)以来12年ぶり。勝ったアパパネは△だったので予想は完敗でした。

直前に行われた古馬1000万条件(芝1800m)で1分44秒8が出たようにかなりの高速馬場。桜花賞の前半4ハロン47秒5は、馬場改修以後の桜花賞では最も遅く、ペースは明らかにスロー。ただし、切れ味勝負だったかといえばそうではなく、ラスト4ハロンが11秒4-11秒1-11秒1-12秒2ですからロングスパート型のラップでした。前半があまりにもスローだったためこうなったわけです。内伸びの馬場でもあったので、前につけた粘り強いタイプが好走しやすいレースでしたね。

勝ったアパパネについては、これまで一瞬の脚が武器という認識だったので、今回のレースでマイラーとしての高い総合能力を示したと思います。オークスよりもNHKマイルCに進んでほしいですね。2着オウケンサクラ、3着エーシンリターンズは粘り強さを活かしました。キングカメハメハ産駒が1、3、4着と上位を占めたのは、「前につけた粘り強いタイプが好走しやすい」という流れと無関係ではないと思います。

◎アプリコットフィズは、クイーンCからの直行、初の長距離輸送、それを意識した軽めの調整など、必ずしも万全とはいえない臨戦過程。それでもこのメンバーのなかでは上だと思ったのですが及びませんでした。今回は11秒1-11秒1の地点でなし崩しに脚を使わされた印象で、この馬としてはラストにピリッとした脚を使うような展開のほうが向いていたような気がします。

スムーズさを欠きながら4着に食い込んだショウリュウムーン、外を回されながら6着のシンメイフジは強い競馬をしたと思います。キングカメハメハ産駒でただ1頭掲示板を外したレディアルバローザは、デビュー戦以来7戦連続で馬体重が466キロ。こういう例はちょっと記憶にありません。

2010年4月10日 (土)

東西重賞でアグネスタキオン産駒V

ニュージーランドT(G2)は△サンライズプリンス(1番人気)が予想以上に強い競馬をしました。不利な大外枠で、距離短縮も好材料とはいえず、ここは条件的に厳しいかと思ったのですが、終始外を回っての楽勝。モノが違いました。1分32秒9も古馬準OP級なので優秀です。音無調教師によれば春の大目標はダービーとのこと。NHKマイルCに出ると体調維持が難しくなるので、結局はパスするのでは……と思います。

阪神牝馬S(G2)はアイアムカミノマゴがびっくりするほど楽に突き抜けました。芝1400mはスペシャリストを狙うのがセオリー。昨年のフィリーズレビュー(G2)2着、オーロC(OP)1着と、この距離では実績のある馬でした。しかし、5ヵ月ぶりということで手が出ませんでした。母が Danzig 系×Mr.Prospector という一本気のスピード血統なので、アグネスタキオン産駒ながら芝1400mへの適性が高いのでしょう。同産駒の芝1400mは、2歳戦を除けば連対率16.8%とあまりよくありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102871/

アイアムカミノマゴは、サンデーサイレンスの孫だから「カミノマゴ」なのかなと思っていたのですが、昨年の春、『競馬王のPOG本』の取材で馬主の堀紘一さんにお話をうかがったところ、そうではないことが判明しました。

十数年前、堀紘一さんは、競馬評論家の大川慶次郎さんに誘われてバレッツトレーニングセールへ出かけました。その際、大川さんがアイアムザウィナーを選び、堀さんが購入しました。アイアムザウィナーは大川さんの子供のようなものだから、その仔は「競馬の神様の孫」、つまりカミノマゴとのことです。

2010年4月 9日 (金)

2ちゃんねるでネタにされました^^

「栗山さん、また立ってます」というメールが複数の方から。芸スポ速報+にまたスレッドが作られたとのこと。

【競馬/ブログ】栗山求「2chの芸スポ速報+にスレッドが立ちました」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1270736266/

ブログの読者が多少増えるかも!?と内心喜んでしまい、思わずチリ人様にお礼を述べてしまったのですが、ちょっとヘンでしたか……。これ以上ループになるとアレなので、スレを立てた有名人記者スカウトマン1号様にはお礼は述べません。スイマセン。

隠れた名種牡馬ショウナンカンプ

今年の桜花賞出走馬は、父に微妙に偏りが生じているように思います。キングカメハメハ4頭、ゼンノロブロイ3頭、スペシャルウィーク3頭。これだけで出走馬の過半数を占めます。

異彩を放っているのがショウナンカンプ。3枠5番モトヒメの父です。現役時代は美浦の大久保洋吉厩舎に所属し19戦8勝。高松宮記念(G1)、スワンS(G2)、阪急杯(G3)などを勝ちました。テスコボーイ系の末裔でもあります(テスコボーイ→サクラユタカオー→サクラバクシンオー→ショウナンカンプ)。

種牡馬成績は素晴らしいの一語。JRAでデビューした産駒はわずか20頭ながら、ショウナンカザン(シルクロードS2着)、ショウナンカッサイ(阪神ジュベナイルフィリーズ4着)、そしてこのモトヒメ(フィリーズレビュー6着)が出ています。産駒の連対率23.6%は、リーディングのトップクラスをも凌ぐ優秀な数字。単勝回収率191%、複勝回収率127%は、馬券的にも妙味があることを示しています。

しかし、欠点もあります。「受胎率の低さ」です。初年度に59頭の種付けをして産駒が17頭。この印象がよくなかったようで、徐々に数が減っていき、08年の種付け頭数はわずか6頭でした。ただ、ショウナンカッサイ効果があった09年は一挙に31頭に増加しています。

初年度の受胎率は29%でしたが、2年目以降は65%と大きく持ち直しているので、これから少しずつ種付け頭数は増えていくのではないかと思います。ちなみに、レックススタッドが公示した2010年の種付料は30万円(出産条件)。前年から10万円アップという強気の設定です。ショウナンカンプの高い潜在能力を考えれば、依然として割安ではないかという気がします。

ショウナンカザン、ショウナンカッサイ、モトヒメの配合は、いずれも一度見たら忘れられません。

ショウナンカザンはサクラバクシンオー≒ダイナマイトダディ2×2。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005101404/

ショウナンカッサイはヤセイコーソ≒メジロフィーシャー3×3。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101051/

モトヒメは母ケイシュウプライムが Sir Ivor=ロードリージ3×3。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100092/

主流から外れた地味な構成の内国産種牡馬は、多重クロス、全きょうだいクロス、組み合わせのクロスといった派手な配合で成功するケースが多いように思います。そうした種牡馬は、全体が薄味で影響力に乏しいため、良血部分を思い切って強調(クロス)するような配合でなければ成功がおぼつかないのかもしれません。

2010年4月 8日 (木)

御神本騎手が7ヵ月ぶりに大井で騎乗

4月7日、大井競馬場で行われた東京スプリント(G3・ダ1200m)は、JRAのスーニが外から伸びて優勝しました。

この日の注目は、高知競馬所属の御神本訓史騎手がどんな騎乗をするかでした。かつて益田競馬の若き天才ジョッキーとして名を馳せ、益田廃止後は大井競馬に移籍。昨年9月に調整ルームから無断外出したことが発覚し、以来、南関東では乗れなくなりました。現在は2月から5月までの期間限定で高知競馬に所属しています。

高知のポートジェネラル(8番人気)に騎乗した御神本騎手は、果敢にハナを奪い、残り70mぐらいまで先頭で粘っていたものの、惜しくも4着に敗れました。直線半ばでは逃げ切りかと思う瞬間がありました。健闘といえるでしょう。

直前の10R(フォーチュネイトはなみずき特別)では、高橋三郎厩舎のアポロプログラム(5番人気)で2着。益田から大井に移籍してきた御神本騎手を、さまざまな面でバックアップしてきた高橋三郎調教師は、彼のたび重なる背信行為によってメンツを潰されてしまったわけですが、こんな状況でも騎乗馬を用意し、チャンスを与えようとするのですからその温情に胸が熱くなります。期待に応えて2着に持ってきた御神本騎手の手腕もさすがです。

高知競馬との契約が終わってからについては、“ミスターピンク”内田利雄騎手のように全国を渡り歩く説、元の鞘に収まる説など、いろいろ囁かれています。もちろんどれも噂の域を出ません。まだ28歳と若く、腕もあるので、やる気になればどこからでも這い上がっていけるでしょう。

2010年4月 7日 (水)

2ちゃんねるの芸スポ速報+にスレッドが立ちました

「栗山さんのブログネタで2ちゃんねるの芸スポ速報+にスレが立っていますよ」と知人から報せがあったので、何事かと思って調べてみると、昨日のエントリー(「ノーザンテースト系最後の種牡馬」)をそのまま転載する形でスレッドが作られていました。
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1270554542/

一般受けしないネタを日々書いているという自覚があっただけにビックリです。スレを立ててくださったチリ人様ありがとうございました。

マカニビスティー、大井移籍初戦を大楽勝

当ブログでたびたび採り上げているマカニビスティー(牡3歳・父ゼンノロブロイ)。先月大井競馬に電撃移籍したあと、初めてのレースとなった4月5日のチューリップ特別(ダ1600m)で、単勝1.3倍の断然人気に応えて8馬身差の楽勝劇を演じました。ゴール前は手綱を抑える余裕があり、まだ七分程度の力しか出していない印象。もちろん、相手が楽だったということがあるわけですが、おそらくこれで三冠の第一弾・羽田盃(4月21日・ダ1800m)は1番人気でしょう。9年ぶりの南関東三冠へ向けて視界良好です。
http://www2.keiba.go.jp/KeibaWeb/TodayRaceInfo/RaceMarkTable?k_raceDate=2010%2f04%2f05&k_raceNo=10&k_babaCode=20

2010年4月 6日 (火)

ノーザンテースト系最後の種牡馬

JRAホームページにある最新の競走馬登録リストを眺めていると、「ハンベエクン」という名の2歳馬に目が留まりました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104167/

父ダイナマイトメール、というのは聞いたことがありません。JRAで走った形跡はなく、NARのサイトで調べてみるとダイナレターの子で、現役時代は浦和競馬で5戦4勝。すべて下級条件でのものなのでまったく無名です。

ノーザンテースト系は、アンバーシャダイ→メジロライアン→メジロブライトという主流ラインがすでに子を出していないので、近いうちに絶滅することは確定的です。種牡馬登録があってもアテ馬専用という馬もいて、結局、産駒を出しているのはダイナマイトメールだけ。つまり、同馬は実質的にノーザンテースト系最後の種牡馬ということになります。ダイナマイトメールには1歳馬の産駒が1頭います。これが現在確認できうる最後のノーザンテースト系競走馬です(まだなっていませんが)。

生産者の小野瀬晃司さんは、十勝総合振興局(旧・十勝支庁)の清水町で馬産を行っており、そうした地理的な制約があるせいか、繁殖牝馬につける種牡馬も独特です。ダイナマイトメールは小野瀬さんが生産・所有した馬なので、おそらくご自身の牧場に繋養しているのでしょう。かつてはダイゼンキング(父トウショウボーイ)やトドロキヒホウ(父ヴェンチア)を、最近ではマイネルプラチナム(父シルヴァーエンディング)を重用しています。

小野瀬さんが生産した馬でいまだに忘れられないのが「リトルジャスミンの1994」です。なんとトドロキヒホウ1×2!
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1994108801/

               ┌ トドロキヒホウ
リトルジャスミンの1994 ―┤ ┌ トドロキヒホウ
               └○┘

この配合の真意を知るために、15年ほど前に牧場にお電話をしたことがあります。小野瀬さんから返ってきた答えは「間違えてつけてしまいまして……」というものでした。

2010年4月 5日 (月)

プリモディーネの子が未勝利戦で勝利

先週、当ブログで故伊達秀和さんの愛馬だったプリモディーネについて採り上げました。すると、奇遇なことに、その息子ローカパーラが日曜日に未勝利戦(中山ダ1200m)を勝ち上がりました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110058/

父は Seattle Slew 系の Vindication。母プリモディーネは、母系の奥にあるヨーロッパ血統の凝縮から芝適性を受け継ぎつつ、直接的には「アフリート×マルゼンスキー」というアメリカ血統の影響を受けているので、アメリカ血統の強い種牡馬をかけるとダート馬が出ます。ローカパーラはその典型です。

そういえば、4月3日のエントリー(「ナムラタイタン5連勝」)でもアフリートについて採り上げました。べつに意図したわけではないのですが、最近はなぜかアフリートの話題ばかりです。

プリモディーネ(父アフリート)は母系に Nijinsky と Buckpasser を持っているので、4月3日に記した「アフリート、Danzig、Buckpasser」のトライアングルにちょっと似ています。Nijinsky と Danzig の父はいずれも Northern Dancer です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996101283/

2010年4月 4日 (日)

大阪杯とダービー卿チャレンジT

大阪杯の勝ち馬テイエムアンコール、ダービー卿チャレンジTの勝ち馬ショウワモダンはいずれも中山記念組(2、3着)でした。そのレースで1着だったトーセンクラウンは先週の日経賞で3着と頑張っています。

不良馬場の中山記念は、どう見ても良馬場の能力判定基準にはなりえないレース。だからこそ大波乱となったわけですが(13→12→5番人気で3連単は50万馬券)、上位勢がそのあと良馬場でしっかり結果を出しているのはおもしろいですね。

大阪杯の△テイエムアンコール(6番人気)は、人気薄だった前走の中山記念で◎を打った馬。しかし、良馬場のこのメンバー相手では重い印を打てませんでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004101228/

父オペラハウスの優秀さにはあらためて感心します。ヨーロッパで種牡馬生活を送っていれば大成功したでしょうし、日本においても仮に社台グループの良血牝馬と交配できる環境にあったなら、トニービン級とまではいかずとも、それに近い成績は残せたような気がします。3着の◎ドリームジャーニー(1番人気)はベスト条件のここで敗れたのでは先が思いやられます。斤量面の問題だけでなく年齢的な衰えもあるのでは?

ダービー卿チャレンジTは△◎で馬連2860円、△◎△で3連複6160円的中。レースの上がりが34秒0では後ろの馬に出番はありません。勝った△ショウワモダン(7番人気)の父エアジハードは、サクラバクシンオーと同じくサクラユタカオーの後継種牡馬。アグネスラズベリ(函館スプリントS)、ナナヨーヒマワリ(マーチS)に次ぐ3頭目の重賞勝ち馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103318/

◎マイネルファルケ(4番人気)は2年連続の2着。『web競馬王』の予想文を転載します。

「◎マイネルファルケは『ムタファーウエク×パークリージェント』という組み合わせ。中山芝1600mでは過去5戦して〔2・3・0・0〕と連対パーフェクト。小回り&急坂コースに強いロベルト系らしい成績を残している。今週からBコースとなり前へ行った馬が有利。この条件の昨年も2着に粘っている。54キロだった昨年に比べて今年は57キロだが、そのぶん力もつけている。前走比1キロ減と枠順の差を考慮すればフィフスペトルを逆転できる。」

鞍上の石橋脩騎手は今年に入って重賞で〔2・2・0・7〕という成績。連対率は36%です。1~3番人気に一度も騎乗せずにこの結果は素晴らしいの一語です。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!