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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年1月28日 (金)

トウショウボーイ系最後の競走馬

川崎記念の前日、川崎10Rガーネットフラワー賞を、牡3歳のスベスベヨークン(父マイネルスマイル)が勝ちました。2歳時はホッカイドウ競馬で走り、今年から川崎で出走。これが12戦目にして初めての勝利です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101195/

父マイネルスマイル、という種牡馬はまったく耳馴染みがありません。サクラロータリー産駒で、現役時代はJRAで4勝(うち障害1勝)。この成績でよく種牡馬になれたなぁと思い、JBISのデータベースで調べてみたところ、99年以降、毎年律儀に1頭ずつ種付けをしています。相手はすべてマイネポラリスという牝馬。つまり、マイネルスマイルはマイネポラリス以外の牝馬を知りません。スベスベヨークンもその交配によって生まれた1頭です。

マイネポラリス(f.1992.ダイナオリンピア)
  ピーチヨークン(c.2000.マイネルスマイル)
  ニコニコヨークン(c.2002.マイネルスマイル)
  ウキウキヨークン(c.2003.マイネルスマイル)
  ワクワクヨークン(c.2004.マイネルスマイル)
  ドキドキヨークン(c.2005.マイネルスマイル)
  プニプニヨークン(c.2007.マイネルスマイル)
  スベスベヨークン(c.2008.マイネルスマイル)
  名前未定(c.2009.マイネルスマイル)

圧巻です……。感動しました。初期の擬態語は心の様子を表すものでしたが、最近は質感を表すものに変化してきているので、09年の産駒もその方向でしょうか? 牡馬ばかり連続して生まれているのもユニークです。

馬主の鍵谷篤宏さんは、父マイネルスマイル、母マイネポラリスの一口出資者だったそうです。それらを引き取って子を作り、地方競馬で走らせているようです。持ち馬はこの両馬から誕生した産駒のみ。世の中にこんな方がいらっしゃるとは……と感心します。

マイネルスマイルはサクラロータリー産駒。その父はトウショウボーイ。鍵谷さんの保護によってマイネルスマイルが種牡馬生活を続けているうちに、ほかのトウショウボーイ系はほとんど断絶してしまいました。

トウショウボーイ産駒で重賞を2勝したセキテイリュウオーは、産駒のスピードリュウオー(セン7歳)、タツノクイン(牝5歳)、ファンシーベル(牝4歳)、ハートオブハート(牝3歳)がまだ現役ですが、すでに種牡馬生活を引退しており、09年生まれの2歳馬はいません。現在は荒木克己育成牧場(新ひだか町)で余生を送っています。

マイネルスマイルは09年生まれの2歳馬が1頭います。名前はまだ決まっていませんが、おそらくこれがトウショウボーイ系の最後の競走馬だと思います。09年は種付けしたものの受胎しなかったようで、10年は種付けを行っていない模様です。

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コメント

栗山さん、はじめまして。いつも読ませて頂いてます。
ものすごくいい話ですねえ。。
馬主の方の思い入れの強さと、馬名の脱力感のコントラストも面白いです。
最後の産駒が大活躍して、奇跡的に血が繋がれば最高ですね♪

プニプニヨークンは今、園田で走ってますね。昨年暮れに道営から転厩、2ヶ月足らずで【2,1,1,2】の成績でC1クラスです。
最初、プニプニヨークンを馬柱で見た時、父母の名も知らないし、馬主も存じ上げないし、???と思ってましたが、まさかこんなエピソードがあったとはびっくり!!!
1頭々々、生産にも思い入れがあるでしょうが、これには並々ならぬものを感じます。生産や馬主経済の現場も年々厳しい状況なのでしょうが、こんな話を伺うと感心と同時に何か羨ましい気持ちが湧いてきました。楽しい話題をありがとうございました。

追記 ロジータのレース、改めて拝見しました。フリオーソの川崎記念もそうですが、強い馬が強い勝ち方をする、地方競馬ならではの感動がありました。まあ、フリオーソは公開調教だとも言われてますが(苦笑)。

>taku_neo 様

はじめまして。いつもお読みいただき誠にありがとうございます。馬主の鍵谷さんとは面識はないのですが、噂ではとてもユニークな方のようですよ。事情に詳しい方からの情報によるとマイネルスマイルは残念ながら廃用になってしまったとのこと。今年の2歳で打ち止めのようです。一発サヨナラホームランを期待したいです。

>ダンディ“ゲッツ”さっさん様

情報ありがとうございます。プニプニヨークンは1月25日に勝ったばかりですね。しかも7馬身差勝ちですからけっこう強いんじゃないでしょうか!? スベスベヨークンも兄に負けずに頑張ってほしいものです。もし中央に遠征してきたら単勝馬券が欲しいです(笑)。

POGを始めたばかりの学生時代、強い思い入れのある馬が何頭かいました。でもそれほど強くないので地方競馬に流れてしまい、それらを追いかけて方々の競馬場に足を向けたりしていたのですが、そのとき思ったのは、自分が石油王だったらこの馬たちを集めて牧場を作るのになぁ……ということです(笑)。鍵谷さんはそれに近いことを現実化してしまったのですから恐ろしいパワーです。感嘆するしかないですね~。

栗山さん  初めまして!
今年2011年になってから、
このブログを訪問するようになりました新参者です。
宜しく御願いします。

父マイネルスマイル
母マイネポラリス  の物語  拝読しました。
非常に心洗われる想いがします。

馬主の鍵谷篤宏さんにおかれては、
経済事情が許す限り、頑張って頂きたいです。
トウショウボーイ のライバルだったテンポイント のファンとしては・・・・・

>愚 者 様

どうぞいらっしゃいませ。こちらこそよろしくお願いいたします。

テンポイントの血が血統表のなかに残っていないのは淋しいことですね。当時わたしは小学校3年生で競馬には関心がなかったのですが、床屋に置いてあった週刊誌でテンポイントの死を報じる記事を読み、それが長いこと心に残りました。競馬を始める遠因だったのかなぁと思わないでもありません。

トウショウボーイとテンポイントのようなライバル物語は、ファンを熱く盛り上げるので、競馬が苦しい状況にある今こそ、そういう馬が現れてほしいなぁと思います。

栗山さん、初めまして。

鍵谷と申します。

こういう場に当の本人が登場するのは、ある意味マナー違反かもしれませんが、投稿させていただきました。

スベスベヨークン(スベっち)のことを、とても温かい目線で記事にしていただいて、感謝しております。

今年の2歳は、もう馬名登録も競走馬登録も完了しており、「フワフワヨークン」といいます。

今週より浦河のBTCで調教を始め、来週からは坂路調教も開始します。

私自身は騎乗はしませんが、毎日馬を見て調教メニューは私が決めて、社台よりもビックレッドよりもハードな調教をやっております。

機会がありましたらぜひ一度BTCにいらしてくださいね。

なお、スベっちは、2月20日府中の「セントポーリア賞」に増澤由貴子騎手騎乗で出走しますので、応援宜しくお願いします(笑)。

それでは今後ともウチの子供たちを温かく見守っていただけますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

>鍵谷篤宏様

どうぞ、いらっしゃいませ。マナー違反だなんてとんでもないですよ。こちらこそ鍵谷様の馬に注がれる愛情に胸を打たれました。

事情に詳しい方から浦河にお住まいであることは聞いていたのですが、まさかご自分で調教メニューを作り、馬を鍛えていらっしゃるとは想像できませんでした。凄い……という言葉しか浮かびません。ハードトレを課したフワフワヨークン、期待できそうですね~。

セントポーリア賞はフェブラリーSの当日ですから、スベスベヨークンの名を全国に轟かすまたとないチャンス。いまからワクワクドキドキです。レース後はニコニコウキウキになればいいですね^^

今日久々に園田競馬に行ってきまして第8レースにプニプニヨークンが出走していました!
プニプニヨークンは2番人気で1番人気の馬とマッチレースでしたが直線で突き離し圧勝でした。
馬単(390円)1点で的中できました^^あと記念に単勝馬券も購入しました。園田では逃げた時は3戦全勝みたいでこれからも楽しみです。
一日トータルではトントンでしたがなんかいい気分で帰って来れました。ありがとうございました。

的中おめでとうございます! そして情報ありがとうございます。完全に波に乗った感がありますね。ここ4戦で3勝ですか~。気分良く走れると能力を発揮するタイプなのでしょうね。時計も優秀じゃないでしょうか。4歳なのでまだまだ行けそうです。

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