2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(前) | メイン | ディープインパクトとスプリンター血統は好相性 »

2011年2月 5日 (土)

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(後)

ニホンピロウイナーが凡百のマイラーとは異なり、重厚感のある馬体と抜群の底力を持ち合わせていたのは、昨日のエントリーで説明した“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスの効果でしょう。

Dahlia(キングジョージ2連覇などG1を10勝)、Oh So Sharp(英オークス、英1000ギニー、英セントレジャー)、Fall Aspen(大繁殖牝馬)をはじめ、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせが配合の骨格を形成している名馬は数えきれません。

Dahlia(Aureole≒Honeys Alibi 3×2)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Oh So Sharp(Tudor Minstrel≒Flower Bowl≒Swaps 5×3・3)
http://www.pedigreequery.com/oh+so+sharp
Fall Aspen(Imitation≒Swaps 2×2)
http://www.pedigreequery.com/fall+aspen

父 Redoute's Choice の父デインヒルは、Flower Bowl という名牝の血を抱えています。この馬は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせによって誕生しました。

          ┌ Hyperion
        ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ――┤ ┌○┘
        └○┘

オースミドライバーとクリアンサスは、かなり大ざっぱな表記ですが、Flower Bowl≒Abernant≒チャイナロックとなります。クリアンサスにはさらに Flower Bowl と相似な血の関係にある Aureole も入ります。

Redoute's Choice は過去2回、短距離王国オーストラリアでリーディングサイアーとなっており、その系統の発展が注目されています。スピード面の心配はほとんどなく、あとは底力の充実が課題です。カツラドライバーとフラワーパークは、Hyperion と Son-in-Law の影響を色濃く受けたニホンピロウイナーと、Hyperion 4×3(Lady Angela 3×2)のノーザンテーストを抱え、そうしたベクトルに沿った配合構成となっています。軽さに傾くことなく底力を湛えた非常にいい配合だと思います。

ちなみに、クリアンサスは某POGで指名しました。父 Redoute's Choice、母フラワーパークという血統を見るかぎり短距離馬でしょう。マイルに色気を見せているうちは中途半端なままだと思いますが、1200~1400mならかなりやれると思います。土曜東京9Rの春菜賞(3歳500万下・芝1400m)は、適距離に戻るのでちょっとおもしろいと思います。

                *

1月28日のエントリー「トウショウボーイ系最後の競走馬」で、スベスベヨークンという競走馬を取り上げました。昨日、同馬の馬主である鍵谷篤宏様からご投稿をいただきました。下記のURLをご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-3793.html

現2歳の牡馬は「フワフワヨークン」の名で競走馬登録が完了。現3歳のスベスベヨークンは2月20日のセントポーリア賞(3歳500万下・東京芝1800m)に出走するとのことです。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/427673/25938199

クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(後)を参照しているブログ:

コメント

ニホンピロウイナーと言えばヤマニンゼファーが秋天の叩き合いを制したり、メガスターダムが菊で3着したのはいわゆるハイインローの底力が全開した訳になるんですかね。

そうですね。大きな要因だったのでは、と思います。ニホンピロウイナーの有力産駒は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせを継続したものが目立ちます。ヤマニンゼファー、フラワーパーク、ダンディコマンド、メガスターダム、ファンドリショウリ、エムオーウイナーなどなど。配合的なキーポイントを継続する、というのは優れた馬を作り出す基本パターンです。メガスターダムはニホンピロウイナー産駒ながら菊花賞3着。父がマイラーなのになぜ……という声が挙がりましたが、チャイナロック3×4という重厚感あふれるクロスが入り、母の父が菊花賞に強いマルゼンスキーですから、走っても不思議ありませんね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107236/

クリアンサスは展開も向いたのでしょうが、お陰さまで春菜賞の馬券をゲット出来ました。どうもありがとうございました。

このまま短距離路線で偉大な母の実績に追いつけるように頑張って欲しいものです。

クリアンサス強かったですね。スタートしてからハナに行くまで2着だったレッドエレンシアよりかなり脚を使ってるなぁと思ってたのですが直線に入っても差は縮まりませんでした。あのあたりがHyperion&Son-in-Lawがもたらす底力なのでしょうか。 
道中のペースが遅かったですがそれでも早い上がりで勝ったのは単調なスピード馬ではないという事ですから(たぶん)これからが楽しみですね。

追伸;栗山さんのブログで血統のおもしろさを知ってから今年から自分なりに研究して一口を始めてみました。
出資した馬にFlower Bowl,Aureole,Homeward Bound,Tudor Minstrelが入っていて(入ってりゃいいってもんじゃないんでしょうが(^^;))勝手に夢を膨らましてます。
今までと違う楽しみができて競馬っていいなぁと思いながら日々過ごしております。

>TACO様

馬券的中おめでとうございます! 私は2着馬がノーマークだったので単勝しか的中しませんでした^^ フラワーパークの血がしっかりと受け継がれ、日本に根付いていく気配を見せているのが嬉しいですね。フラワーパークの牝系が発展するということは、ニホンピロウイナーの血が生き続けるということでもあります。クリアンサスの場合、おそらく晩成でしょうからまだまだ成長すると思いますし、サンデーの血を持っていないので、繁殖牝馬としても楽しみですね。

>たくぼん様

なかなか洗練された勝ちっぷりだったと思います。ペースは緩かったのですが、最後にしっかりと速い脚を使ったので、行くだけ行って……というだけの馬ではないでしょう。Hyperion と Son-in-Law は成長力がありますから、まだまだこれから強くなると思いますよ。本格化するのは夏を越してからではないかと思います。

血統のおもしろさに目覚めると、競馬に飽きるということが無くなるような気がします(時間の進み方が速く感じられるのは困りものですが^^)。
一口やPOGで、どの馬を選ぶかあれこれ配合について考えるのは、まさに至福の時であり、極上の娯楽ですね。楽しくてやめられません。

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!