クリアンサスに活きる Hyperion & Son-in-Law の底力(後)
ニホンピロウイナーが凡百のマイラーとは異なり、重厚感のある馬体と抜群の底力を持ち合わせていたのは、昨日のエントリーで説明した“Abernant≒チャイナロック3×2”というクロスの効果でしょう。
Dahlia(キングジョージ2連覇などG1を10勝)、Oh So Sharp(英オークス、英1000ギニー、英セントレジャー)、Fall Aspen(大繁殖牝馬)をはじめ、Hyperion と Son-in-Law の組み合わせが配合の骨格を形成している名馬は数えきれません。
Dahlia(Aureole≒Honeys Alibi 3×2)
http://www.pedigreequery.com/dahlia
Oh So Sharp(Tudor Minstrel≒Flower Bowl≒Swaps 5×3・3)
http://www.pedigreequery.com/oh+so+sharp
Fall Aspen(Imitation≒Swaps 2×2)
http://www.pedigreequery.com/fall+aspen
父 Redoute's Choice の父デインヒルは、Flower Bowl という名牝の血を抱えています。この馬は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせによって誕生しました。
┌ Hyperion
┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ――┤ ┌○┘
└○┘
オースミドライバーとクリアンサスは、かなり大ざっぱな表記ですが、Flower Bowl≒Abernant≒チャイナロックとなります。クリアンサスにはさらに Flower Bowl と相似な血の関係にある Aureole も入ります。
Redoute's Choice は過去2回、短距離王国オーストラリアでリーディングサイアーとなっており、その系統の発展が注目されています。スピード面の心配はほとんどなく、あとは底力の充実が課題です。カツラドライバーとフラワーパークは、Hyperion と Son-in-Law の影響を色濃く受けたニホンピロウイナーと、Hyperion 4×3(Lady Angela 3×2)のノーザンテーストを抱え、そうしたベクトルに沿った配合構成となっています。軽さに傾くことなく底力を湛えた非常にいい配合だと思います。
ちなみに、クリアンサスは某POGで指名しました。父 Redoute's Choice、母フラワーパークという血統を見るかぎり短距離馬でしょう。マイルに色気を見せているうちは中途半端なままだと思いますが、1200~1400mならかなりやれると思います。土曜東京9Rの春菜賞(3歳500万下・芝1400m)は、適距離に戻るのでちょっとおもしろいと思います。
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1月28日のエントリー「トウショウボーイ系最後の競走馬」で、スベスベヨークンという競走馬を取り上げました。昨日、同馬の馬主である鍵谷篤宏様からご投稿をいただきました。下記のURLをご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/01/post-3793.html
現2歳の牡馬は「フワフワヨークン」の名で競走馬登録が完了。現3歳のスベスベヨークンは2月20日のセントポーリア賞(3歳500万下・東京芝1800m)に出走するとのことです。
ニホンピロウイナーと言えばヤマニンゼファーが秋天の叩き合いを制したり、メガスターダムが菊で3着したのはいわゆるハイインローの底力が全開した訳になるんですかね。
投稿: キスラー | 2011年2月 5日 (土) 15:41
そうですね。大きな要因だったのでは、と思います。ニホンピロウイナーの有力産駒は Hyperion と Son-in-Law の組み合わせを継続したものが目立ちます。ヤマニンゼファー、フラワーパーク、ダンディコマンド、メガスターダム、ファンドリショウリ、エムオーウイナーなどなど。配合的なキーポイントを継続する、というのは優れた馬を作り出す基本パターンです。メガスターダムはニホンピロウイナー産駒ながら菊花賞3着。父がマイラーなのになぜ……という声が挙がりましたが、チャイナロック3×4という重厚感あふれるクロスが入り、母の父が菊花賞に強いマルゼンスキーですから、走っても不思議ありませんね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107236/
投稿: 栗山求 | 2011年2月 5日 (土) 18:40
クリアンサスは展開も向いたのでしょうが、お陰さまで春菜賞の馬券をゲット出来ました。どうもありがとうございました。
このまま短距離路線で偉大な母の実績に追いつけるように頑張って欲しいものです。
投稿: TACO | 2011年2月 5日 (土) 19:30
クリアンサス強かったですね。スタートしてからハナに行くまで2着だったレッドエレンシアよりかなり脚を使ってるなぁと思ってたのですが直線に入っても差は縮まりませんでした。あのあたりがHyperion&Son-in-Lawがもたらす底力なのでしょうか。
道中のペースが遅かったですがそれでも早い上がりで勝ったのは単調なスピード馬ではないという事ですから(たぶん)これからが楽しみですね。
追伸;栗山さんのブログで血統のおもしろさを知ってから今年から自分なりに研究して一口を始めてみました。
出資した馬にFlower Bowl,Aureole,Homeward Bound,Tudor Minstrelが入っていて(入ってりゃいいってもんじゃないんでしょうが(^^;))勝手に夢を膨らましてます。
今までと違う楽しみができて競馬っていいなぁと思いながら日々過ごしております。
投稿: たくぼん | 2011年2月 5日 (土) 23:29
>TACO様
馬券的中おめでとうございます! 私は2着馬がノーマークだったので単勝しか的中しませんでした^^ フラワーパークの血がしっかりと受け継がれ、日本に根付いていく気配を見せているのが嬉しいですね。フラワーパークの牝系が発展するということは、ニホンピロウイナーの血が生き続けるということでもあります。クリアンサスの場合、おそらく晩成でしょうからまだまだ成長すると思いますし、サンデーの血を持っていないので、繁殖牝馬としても楽しみですね。
投稿: 栗山求 | 2011年2月 6日 (日) 00:09
>たくぼん様
なかなか洗練された勝ちっぷりだったと思います。ペースは緩かったのですが、最後にしっかりと速い脚を使ったので、行くだけ行って……というだけの馬ではないでしょう。Hyperion と Son-in-Law は成長力がありますから、まだまだこれから強くなると思いますよ。本格化するのは夏を越してからではないかと思います。
血統のおもしろさに目覚めると、競馬に飽きるということが無くなるような気がします(時間の進み方が速く感じられるのは困りものですが^^)。
一口やPOGで、どの馬を選ぶかあれこれ配合について考えるのは、まさに至福の時であり、極上の娯楽ですね。楽しくてやめられません。
投稿: 栗山求 | 2011年2月 6日 (日) 00:33