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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年10月

2011年10月15日 (土)

『馬券師倶楽部』『馬券師倶楽部2』再放送決定!

◆『馬券師倶楽部』
  半笑いVS栗山求(前編)
   10/20 (木) 06:30 ~ 07:00
   10/20 (木) 18:30 ~ 19:00
  半笑いVS栗山求(後編)
   10/21 (金) 06:30 ~ 07:00
   10/21 (金) 18:30 ~ 19:00

◆『馬券師倶楽部2』
  栗山求(前編) 
   10/16 (日) 28:30 ~ 29:00
  栗山求(後編)
   10/17 (月) 28:30 ~ 29:00

CS放送の“MONDO TV”で視聴することができます。よろしかったらどうぞ。

『サラブレ』11月号発売

10月13日に発売された『サラブレ』11月号(株式会社エンターブレイン)に、「名配合展覧会2011」という記事を執筆しました。カラー6ページの特集企画で、望田潤さんとの共同執筆です。現役競走馬とその母から10頭の名配合馬を選び、どこが優れているのかを解説をするというものです。

配合に関する文章は一般読者の方々にとっては敷居が高く、したがって商業誌ではまず取り上げられない分野です。そのタブーを『サラブレ』は破りました。ぜひ一冊お手元にどうぞ。

秋華賞で狙えるタイプ、狙えないタイプ

秋華賞は珍しいことに“良馬場以外で行われたことがないG1”です。創設された96年以降、すべて良馬場で開催されており、稍重すらありません。

関西地方では金曜日から雨が降り出し、予報によれば土曜日のお昼ごろにかけてかなりの雨量となるようです。ただ、昔と違って最近は馬場回復のスピードが速いので、なんだかんだで最終的には良馬場となるような気がします。とはいえ、パンパンの良馬場ではないでしょうし、前が残りやすいのか差しが決まりやすいのか、内伸びなのか外伸びなのかなど、直前までレースの傾向が把握できません。このあたりの見極めが今年は大変です。

京都芝2000mは内回りコースです。直線が短く、ゴチャゴチャした競馬になりやすいので、荒れるときは荒れます。加えて、秋華賞はフルゲート18頭ですから、乗っているジョッキーにとっても難易度が高いレースです。

00年以降のデータを見ると、京都芝2000mにおける逃げ馬の連対率は28.6%なので、外回りコースで行われる他のレース(外1400m、外1600m、1800、2200、2400m)に比べると好成績です。小回りコースだけに先に行った馬が有利、というわけです。

ただし、クラス別でみると話が違ってきます。OP特別と重賞に限ると、逃げ馬の連対率は17.3%に下がります。下級条件と違ってペースがキツくなるので、逃げ馬が残れなくなります。

秋華賞でもこの傾向は生きており、過去15回のなかで連対を果たした逃げ馬は00年のヤマカツスズラン(2着)のみ。このときは1000m通過が60秒8というレース史上2番目のスローペースでした。平均すると59秒1ぐらいのペースで展開するレースなので、差し馬が有利です。

今年は短距離戦で揉まれてきたメモリアルイヤーが行くので、少なくとも平均ペースでは流れるでしょう。大逃げという形になると2番手の出方がレースを作ることになるのですが、2番手候補のピュアブリーゼは切れ味勝負では分が悪いので、じっくり溜めていくということはなく、付かず離れずで追いかけるのではないかと思います。こうなるとやはり差し有利でしょうか。

小回りコースに実績があり、ハイペース耐性のある馬。こういうタイプが狙い目です。血統的には Roberto、ノーザンテースト、トニービン、Nijinsky、Deputy Minister あたりがいいですね。直線の長いコースでの実績を鵜呑みにするのは危険です。00年以降、10番人気以下で勝ったティコティコタックとブラックエンブレムは、ともに小回り巧者でした。前者はそれまでに挙げた3勝が中京、小倉、小倉。後者は春にフラワーC(G3・中山芝1800m)を勝っていました。穴を開けるのはこういうタイプです。

2011年10月14日 (金)

『競馬王』11月号発売

自宅に見本誌が届きました。話題沸騰のWIN5に焦点を当て、データ面を深く追究した特集が読ませます。蛯名正義騎手のインタビューも興味深い内容です。ぜひ1冊お手元にどうぞ。

アプリコットフィズと血統構成が同じサトノグロリアス

■日曜東京3Rの新馬戦(ダ1600m)は、後方追走の◎ツクバヤマノオー(4番人気)が直線で大外から差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=JP3zzaOb6R4

予想は◎△〇で馬単7850円、3連単47960円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ツクバヤマノオーは『スペシャルウィーク×コンバットレディ』という組み合わせ。母レスリーズラブはアメリカで通算56戦22勝の成績を残したダート向きのスプリンター。ノーサードチャンス≒リヴォークト5×6、ガルフストリーム≒ヘリオポリス6×6などが生じるのでサンデー系のスペシャルウィークとは合いそうだ。同産駒は東京ダ1600mの新馬戦で7戦3勝(勝率42.9%)と好成績を挙げている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106039/

もともとスペシャルウィーク産駒は、ダート新馬戦で連対率30.2%と圧倒的に強く、とくに1600m以上では39.0%と抜群の信頼性を誇ります。東京ダ1600mの新馬戦はこれで通算8戦4勝となりました。

勝ったツクバヤマノオーは518キロの大型馬で、いかにもダート馬らしいパワフルなタイプ。前半はズブくて付いていけませんでした。忙しい競馬には向いていません。力のいる中山の深いダートは合いそうです。

■日曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)は、後方追走の〇サトノグロリアス(2番人気)が上がり32秒9で差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=M1kfyHU2fzo

先週は東京・京都開催の開幕週でしたが、芝で行われた新馬戦では逃げ切りが1レースもありませんでした。当レースは1000m1分06秒6という超スローペース。過去、東京競馬場の芝新馬戦で、上がり32秒台を出して勝った馬はなく、本馬が初めての例となります。開幕週、超スローペースということを加味しても価値があると思います。

昨日のエントリーでご紹介したプールマシェールと同じく「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」という組み合わせ。クイーンC(G3)とクイーンS(G3)を勝ったアプリコットフィズとは、父が同じで母同士が全きょうだいの関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105992/

           ┌ ジャングルポケット
サトノグロリアス ――┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

           ┌ ジャングルポケット
アプリコットフィズ ―┤ ┌ サンデーサイレンス
           └○┤
             └ サトルチェンジ

アプリコットフィズの母マンハッタンフィズは、ほかにコロンバスサークル、クレスコグランドと活躍馬を連発しています。それに対し、サトノグロリアスの母マンハッタンセレブは、これまでに送り出した2頭(シャインセレブ、ピエナセレブ)がいずれも未勝利馬でした。ジャングルポケットに父が替わった途端に新馬勝ちですからこの配合は走りますね。ちなみに、マンハッタンフィズ、マンハッタンセレブの全兄は名馬マンハッタンカフェ(有馬記念、天皇賞・春、菊花賞)です。

馬体重が504キロと大きく、この時期の2歳馬にしてはガシッと出来上がった造り。1月生まれのアドバンテージは多少あったでしょう。もちろん、それを考慮してもかなり楽しみな素材であることは間違いありません。次走が楽しみです。

◎オコレマルーナ(1番人気)は追い込んで3着。この馬の上がり33秒2も東京競馬場の芝新馬戦史上2位のタイムですから能力は示しました。相手が悪かったですね。

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月13日 (木)

素質高いライラプスの娘アナスタシアブルー

■土曜京都5Rの新馬戦(芝1800m)は、好位のインを追走した▲プールマシェール(4番人気)が直線で早めに先頭に立ち、後続の追撃を振り切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=4f9A31RAsss

「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」は定番のニックス配合で、フサイチホウオー、トールポピー、アヴェンチュラの3兄妹や、ジャガーメイル、アプリコットフィズ、トーセンキャプテンなど多くの活躍馬が出ています。芝1800m以上の新馬戦では連対率29%と信頼性が高い組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106165/

3月25日のエントリーで、「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」の良否を見分けるコツとして“2代母の父”の重要性について指摘しました。引用します。

「ここにスピードタイプや軟弱な血が入ると減点です。たとえば、Mr.Prospector 系などが入るパターンはあまり結果が出ていません。逆に、いかつい Northern Dancer 系とか、ヨーロッパ型の重厚な血とか、スタミナに秀でた血とか、そういういった血はフィットします。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/03/post-8cab.html

本馬の2代母の父 Top Ville は現役時代に仏ダービー(G1)を制したクラシックディスタンス向きの種牡馬。前記の条件に当てはまります。ちなみに、母シェリールは Winged Love(愛ダービー)、ダイワカーリアン(札幌記念、富士S、東京新聞杯)、アドマイヤビッグ(東京スポーツ杯2歳S)のきょうだにあたる良血です。

インコースと前に行った馬が有利な開幕週で、距離ロスのないラチ沿いの好位でレースを進められたことが大きな勝因だとは思いますが、ハイレベルなこのメンバー相手に新馬戦を勝つのですからもちろん実力は十分。中長距離で楽しみな存在です。

〇ピュアソウル(3番人気)、◎ダノンムーン(1番人気)が2、3着。この時期の新馬戦は1年で最もレベルが高いので、勝てなかったといっても悲観する必要はありません。勝ち馬にうまく立ち回れたことが敗因であり、この2頭も高い能力を感じさせる走りは見せました。すぐに勝ち上がるでしょう。

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は▲〇◎で馬連4070円、3連複1240円的中です。

■日曜京都5Rの新馬戦(芝1400m)は、◎アナスタシアブルー(1番人気)が好位追走から直線で抜け出すと、後続を一気に4馬身突き放して圧勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=4oSlDmIlcls

2着に逃げ粘ったフォーチュネイト(8番人気)を拾うことができず不的中でしたが、予想文を転載します。

「◎アナスタシアブルーは『ファルブラヴ×フレンチデピュティ』という組み合わせ。母ライラプスはクイーンC(G3)の勝ち馬で、フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティS)の4分の3姉にあたる良血。さらに、2代母フサイチエアデールは重賞4勝の名牝と、最高クラスの名牝系に属している。ラトロワンヌ血脈をしっかり継続した配合は好感が持て、仕上がりの早い一族なので新馬戦にも向いている。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106379/

父ファルブラヴは典型的なフィリーサイアーで、全産駒の収得賞金の1位から8位まで、上位20頭中17頭までが牝馬という性別の偏りがあります。現3歳世代にはダンスファンタジア、スピードリッパー、フォーエバーマークと3頭の活躍馬がおり、これらはすべて牝馬でした。したがって牝馬というだけで信頼性はアップします。

母ライラプスにとってはこれが初子。重賞勝ちの競走成績、父がブルードメアサイアーとして定評のあるフレンチデピュティ、これにサンデーサイレンス、Mr.Prospector、La Troienne が添えられているわけですから、交配相手がファルブラヴでなくとも走る子を出しそうな雰囲気がある繁殖牝馬です。今後の産駒も要チェックです。

次走は10月29日の萩S(2歳OP・芝1800m)。牡馬相手のOP特別ですから楽ではありませんが、いい勝ち方をすれば暮れの阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)では1番人気でしょう。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月12日 (水)

レコードで快勝ショウナンラムジ

土曜京都2Rの未勝利戦(芝1600m)は、中団追走のショウナンラムジ(3番人気)が勝負どころで進出し、直線で豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=k6qFdecrDYc

勝ちタイムの1分33秒4はレコード。2年前にアグネスワルツが記録した1分33秒7を0秒3更新しました。この日は準メインの大原S(1600万下・芝2000m)で1分56秒8というコースレコード(日本歴代2位タイ)が出ているので、馬場コンディションのアシストが何より大きかったと思います。ただ、それでも強い勝ちっぷりには違いなく、昨年10月に同じコースで未勝利戦を勝ち上がったサダムパテックぐらいのインパクトはありました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106523/

母フォーカルスターの半弟フォーカルポイントは、キングカメハメハを破って京成杯(G3・芝2000m)をレースレコード(1分59秒2)で制しています。高速決着を得意とする一族なのかもしれません。

父ダンスインザダークは、自身が抱える Nijinsky と相似な血の関係にある Storm Bird や、4分の3同血の The Minstrel を母方に入れた配合がうまく行っています。本馬には Storm Bird が入ります。

そしてもうひとつ、サンデー系と相性抜群のホワイトマズルが母の父に入るところが強調ポイントです。当ブログで繰り返し説明しているとおり、そこに含まれる Drone はサンデーサイレンスの父 Halo とニックスの関係にあります。

「サンデー系×ホワイトマズル」のなかでも、とくに父がアグネスタキオンの場合は優秀で、この配合でデビューを果たした3頭(エミーズスマイル、シュガーヴァイン、ハッピーダイアリー)はすべて準OP以上に出世しています。好相性の理由については10年1月24日のエントリー「アグネスタキオン×ホワイトマズル」に記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-33fe-1.html

理由のひとつに挙げた「Autocratic(ホワイトマズルの2代母)とロイヤルスキー」の組み合わせを、母フォーカルスターは持っています。

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┤ ┌ My Babu
Autocratic―――┤ └○┘
        └○┐
          └○┐
            └ Lea Lark

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┤ ┌ My Babu
ロイヤルスキー―┤ └○┘
        │ ┌○┐
        └○┘ └○┐
              └ Lea Lark

本馬は近い世代にサンデーサイレンス、ホワイトマズル、ロイヤルスキーを持つため、「アグネスタキオン×ホワイトマズル」のニックス配合にきわめて近い組成を持つことになります。

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┘
ショウナンラムジ ―┤ ┌ ホワイトマズル
          └○┤
            └○┐ ┌ ロイヤルスキー
              └○┘

            ┌ サンデーサイレンス
          ┌○┤ ┌ ロイヤルスキー
タキオン×マズル ―┤ └○┘
          │ ┌ ホワイトマズル
          └○┘

3代母ダイナフォーカスが Raja Baba≒ステューペンダス2×2で、ロイヤルスキーの構成要素を強調している点も、ロイヤルスキーがキーポイントとなっている配合のなかではプラス材料でしょう。全体的によくできた配合だと思います。2000m前後がベストで、2400mも守備範囲でしょう。

ダンスインザダーク産駒は先週、ダークシャドウが毎日王冠を勝ちました。今週はクラレント(ショウナンラムジと同じく母方にダンシングブレーヴが入ります)がデイリー杯2歳S(G2)で人気を集めそうです。ダンスインザダーク産駒の月別の重賞勝ち数を調べると10月が「10勝」で突出しています(2位が12月の6勝)。昨年はダノンヨーヨー(富士S)とマルカフェニックス(スワンS)が、一昨年はムードインディゴ(府中牝馬S)とスリーロールス(菊花賞)がいずれも2週連続重賞制覇を果たしました。クラレントがデイリー杯2歳Sを勝てば3年連続となります。この時期のダンスインザダーク産駒は要注意です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月11日 (火)

マイルCS南部杯はトランセンド

土曜日の夜半に降った雨の影響で、月曜日の東京ダートは第1Rまでは稍重。メインのマイルCS南部杯(Jpn1・ダ1600m)も良馬場ではありましたがやや脚抜きのいい馬場でした。

とはいえ、〇エスポワールシチー(2番人気)が刻んだラップは凄まじく、1200m通過が1分09秒3。馬場が改修された03年以降では最速です。

それ以前では、01年の武蔵野Sでクロフネが1分09秒2で通過した例があります。クロフネは残りの2ハロンを、最後は手綱を抑える余裕を見せながら11秒7-12秒4で乗り切り、1分33秒3という大レコードを樹立しました。もっとも、クロフネは別カテゴリーの怪物ですから、他の馬にこの芸当は無理です。

当レースのラスト2ハロンは12秒4-13秒1。エスポワールシチーが最後の1ハロンで失速してしまったのは仕方がありません。それでも約3馬身差の4着に粘っているので、調子も気迫も春よりはだいぶ戻してきたなという印象です。順当に良化すれば次走はもっと粘れるはずです。

勝った◎トランセンド(1番人気)は、先頭のエスポワールシチーにいったん突き放されかけ、外のダノンカモン(3番人気)にも出られてしまい、一瞬危ないムードが漂ったのですが、そこから盛り返して勝つところが並の馬ではないですね。
http://www.youtube.com/watch?v=SKbDBozuNDA

予想では◎を打ったものの、2着ダノンカモンをヌケにしてしまい不的中。予想文を転載します。

「◎トランセンドは『ワイルドラッシュ×トニービン』という組み合わせ。ブッシェルンペック≒サニースワップス3×3はユニークで、この相似な血のクロスが活力と底力の源泉ではないかと思われる。サニースワップスの母アイアンリージはハイペリオンとサンインローの組み合わせで、父ワイルドラッシュの大物産駒は、たとえばクリールパッション、クラーベセクレタ、ブラウンワイルドなどのように、この組成を母方から取り入れたものが目につく。母の父トニービンや、ハイペリオンとサンインローの組み合わせから成る血は成長力があるので、昨年秋以降の本格化は、こうした血がモノをいっているのだろう。メンバーを見渡すと単騎マイペースが濃厚。フェブラリーS(G1)と同じ舞台なら中心は動かない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006104736/

トランセンドの4代母アイアンエイジは、名馬 Swaps(北米で通算25戦19勝、世界レコード5回)の全妹にあたる良血。Swaps は「Hyperion と Son-in-Law」から成る名馬の代表的存在です。望田潤さん風に表現すれば“ハイインロー”ですね。この牝系から出たダンディコマンド(北九州記念)は、Abernant≒チャイナロック≒アイアンエイジ4・3×3で、この部分を強調した配合でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109569/

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Abernant ――――┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
チャイナロック ―┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
アイアンエイジ ―┤ ┌〇┘
         └○┘

トランセンドの場合、父ワイルドラッシュが「Hyperion と Son-in-Law」から成る Flower Bowl と Etonian を持ちます。Flower Bowl とアイアンエイジは母の父が Beau Pere という点まで共通しています。

           ┌ Hyperion
         ┌○┘ ┌ Son-in-Law
Flower Bowl ―――┤ ┌〇┘
         └○┘

           ┌ Hyperion
         ┌○┘
Etonian ―――――┤
         └○┐ ┌ Son-in-Law
           └〇┘

つまり、トランセンドは、同じ牝系から出たダンディコマンドと同じく「Hyperion と Son-in-Law」を継続した配合となっています。

父ワイルドラッシュの側から見ても「Hyperion と Son-in-Law」の継続は大物を生み出すパターンです。予想文に記した以外にも、海外におけるG1ウィナー Hollywood Story、Dream Rush、名古屋の王者ヒシウォーシイなどがこれに当てはまります。
http://www.pedigreequery.com/hollywood+story
http://www.pedigreequery.com/dream+rush
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005105442/

苦しい勝負どころでもうひと頑張り、ふた頑張りできる底力は、「Hyperion と Son-in-Law」の影響によるものが大きいと思います。こうした血がサポートしているか否かによって、大レースにおける信頼度は違ってきます。

次走、11月3日に大井競馬場で行われるJBCクラシック(Jpn1・ダ2000m)は、現在6連勝中のスマートファルコンとの頂上決戦が予定されています。昨年9月の日本テレビ盃以来の対戦で、このときはトランセンドが2着、スマートファルコンが3着でした。ただ、両馬ともそれから大きく化けたので力量比較の参考にはなりません。この対決は熱すぎですね~。ライブで見たい一戦です。

2011年10月10日 (月)

毎日王冠はダークシャドウ

800m通過が48秒7ですから超スローペース。その結果、00年以降の毎日王冠(G2・芝1800m)では最も遅い1分46秒7という決着となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=DkLb6O0Fca8

直線で前が壁になりながら上がり32秒7で追い込んだ◎ダークシャドウ(1番人気)、3歳で57キロを背負ってクビ差2着の○リアルインパクト(2番人気)は強いですね。堀厩舎は昨年のアリゼオに続いての連覇で、今年はワンツーフィニッシュです。

予想は◎○△で馬単1250円、3連単5660円的中。『netkeiba.com』の「No.1予想」に提供した予想文を転載します。

「◎ダークシャドウは『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、2代母ユーセフィアがスピードタイプの名種牡馬グリーンデザートの全妹という良血。母方に速いアメリカ血統を入れ、ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4というクロスを持っているため、ダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがある。大阪杯のあとトモに違和感が出て休ませたが、前走のエプソムCはその影響を感じさせない楽勝。抜け出すときだけ本気を出してあとは流すという、力が二枚ぐらい違う勝ち方だった。天皇賞でも勝ち負けになる器だと思われるので、ここは普通に走れば結果がついてくるはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

昨年5月、デビュー2戦目の500万下(芝2000m)の予想で◎を打ち、勝ったあとに『web競馬王』で配合を褒めたことがあるので、自分のなかでは気に入っている馬です。論旨は当時から変わっていません。予想文に「Dinner Partner≒Buckpasser 5×4」とありますが、ダンシングキイは Flaming Page≒Dinner Partner 2×3という特殊な凝縮を持つので、同時に「Flaming Page≒Buckpasser 4×4」でもあります。つまり、

         ┌ Tom Fool
Dinner Partner ―┤ ┌ Blue Larkspur
         └○┤ ┌ Man o'War
           └○┘

         ┌ Tom Fool
         │   ┌ Man o'War
Buckpasser ―――┤ ┌○┘
         └○┤ ┌ Blue Larkspur
           └○┘

であると同時に、

             ┌ Bull Dog
           ┌○┘
         ┌○┤ ┌ Blue Larkspur
Flaming Page ――┤ └○┘
         │ ┌ Menow
         └○┤
           └○┐ ┌ Man o'War
             └○┘

           ┌ Menow
         ┌○┤ ┌ Bull Dog
         │ └○┘
Buckpasser ―――┤   ┌ Man o'War
         │ ┌○┘
         └○┤ ┌ Blue Larkspur
           └○┘

でもあります。後者の相似な血のクロスはマルゼンスキー、ヤマニンスキー、ラシアンルーブルが2×2で持っており、「Nijinsky×Buckpasser」の成功の有力な根拠となっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003bd/

ダンスインザークの配合については、昨年10月24日のエントリー「ダンスインザダークの配合的核心」でも解説しております。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/10/post-599e.html

Halo≒Sir Ivor については、昨年11月9、10日のエントリー「Halo≒Sir Ivor≒Drone(前・後)」をご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivordro.html
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/halosir-ivord-1.html

ダンスインザダーク産駒ではありますが、2代母が快速 Green Desert の全妹で、なおかつアメリカ血統を積極的に絡めていることから、長距離タイプではありません。ダンスインザダーク産駒の中距離型としては最高傑作といえるでしょう。大阪杯(G2・芝2000m)でヒルノダムールと同じ斤量を背負いハナ差2着となっているので、天皇賞・秋(G1)でも互角の勝負に持ち込めると思います。

2着リアルインパクトは、パドックに出てきたときに、春に比べてずいぶん逞しくなったと感じました。筋肉が盛り上がってきましたね。結果的に仕掛けが早かったかもしれませんが、鞍上のゴーサインが出ると瞬時に反応し、後続を突き放しにかかったところが非凡です。ディープインパクト産駒のトビが大きいタイプには真似ができない芸当で、このあたりの爆発力は母方に濃厚に流れるアメリカ血統の影響でしょうか。

3歳馬が57キロを背負って毎日王冠で連対を果たしたのは98年のエルコンドルパサー以来13年ぶり。安田記念の結果がフロックでないことを証明しました。次走は天皇賞・秋ではなくマイルチャンピオンシップ(G1・芝1600m)になる模様です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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2011年10月 9日 (日)

日曜日に東京競馬場のイベントに出演します

10月9日(日)、東京競馬場のセンターコートで行われる「オープン型レーシングセミナー」に出演します。わたしの出番は第5R(12時35分)と第6R(13時05分)が終わったあとの2回です。

また、14時30分ごろから16時30分ごろまで、同所で「リアルタイム情報ステーション」に出演します。司会は竹山まゆみさん、共演は辻三蔵さんです。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!