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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年10月24日 (日)

ダンスインザダークの配合的核心

富士S(G3・芝1600m)は、実績上位馬が体調面でパッとしなかったので、上がり馬ダノンヨーヨー(父ダンスインザダーク)が突き抜けました。それにしてもフローラルマジックの一族は走りますね。

 フローラルマジック(f.1985.Affirmed)
   ペイパーレイン(f.1991.Bel Bolide)
   │ マツリダゴッホ(c.2003.サンデーサイレンス)
   │      有馬記念(G1)、オールカマー(G2)[3回]、
   │      日経賞(G2)、アメリカJCC(G2)
   ホウシュウサルーン(c.1993.ベリファ)全日本3歳優駿
   グリーンプレゼンス(c.1995.ロドリゴデトリアーノ)
   │                   ④京都記念(G2)
   ナリタトップロード(c.1996.サッカーボーイ)
   │        菊花賞(G1)、阪神大賞典(G2)[2回]、
   │        弥生賞(G2)、京都大賞典(G2)、
   │        京都記念(G2)、きさらぎ賞(G3)
   フローラルグリーン(f.1998.フォーティナイナー)
     ダノンヨーヨー(c.2006.ダンスイザダーク)富士S(G3)

ダノンヨーヨーはナリタトップロードの甥、マツリダゴッホの従兄弟にあたります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103340/

「ダンスインザダーク×フォーティナイナー」は兵庫チャンピオンシップ(G3・ダ1870m)を勝ったインタータイヨウと同じ。ダノンヨーヨーが芝向きに出たのは2代母の父 Affirmed の影響でしょう。同馬は78年の米三冠馬。現役時代は一度も芝のレースに出走しませんでしたが、種牡馬としては Flawlessly、Zoman、Bint Pasha、Trusted Patner、The Tin Man など、むしろ芝向きの大物が目立ちました。サンデー系との相性も良好です。スティンガー、サイレントハピネス、アーバニティの3きょうだい(いずれも母の父 Affrimed)は、いずれもサンデーサイレンスまたはサンデー系種牡馬から誕生しています。

ダンスインザダークの3代母 Native Partner は、Raise You≒Flaming Swords 2×3という変わった構成です。
http://www.pedigreequery.com/native+partner

         ┌○┐ ┌ Ultimus
         │ └○┘
Raise You ――――┤   ┌ Man o'War
         │ ┌○┤
         └○┘ └ Lady Comfey
http://www.pedigreequery.com/raise+you

         ┌ Man o'War
Flaming Swords ―┤   ┌ Ultimus
         │ ┌○┘
         └○┤
           └ Lady Comfey
http://www.pedigreequery.com/flaming+swords

そして、ダンスインザダーク自身は、「Blue Swords=Bluehaze 5×5」という全きょうだいクロスを持っています。Blue Swords は Hail to Reason の母の父、Bluehaze はダンスインザダークの5代母。2頭はいずれも Flaming Swords の子です。

つまり、ダンスインザダークは、3代母 Native Partner が内包するユニークな相似な血のクロスを増幅することによって誕生したわけです。私はこの効果があまりにも強烈だったため、全きょうだいのダンスパートナー、ダンスインザムードがそろって走ったのだと考えています。

これがダンスインザダークの配合的核心だとするなら、その部分(Raise You、Flaming Swords)を刺激するのは配合テクニックの常道です。ダンスインザダークは Mr.Prospector(父 Raise a Native、その母 Raise You)と相性がいいのですが、これは単純に“ダンスインザダークのスタミナに Mr.Prospector のスピードが合う”といったバランス論に還元する話ではないしょう。Raise You と Flaming Swords の相似な血のクロスを継続することが効果を挙げているのだと考えます。

ダノンヨーヨーの母は Raise a Native 3×4ですから成功パターンに合致しています。牝系の優秀さを含めて配合水準は非常に高いですね。まだまだ上を目指せる器でしょう。

それにしても惜しかったのはブレイクランアウト。今回は12ヵ月の休養明けだったのですが、直線残り300mで前が詰まる不利。それで小差の5着ですから並の馬ではありません。まともなら勝っていた可能性もあります。

残念なことに、レース中に脚を痛めてしまったようで、入線後に馬運車で運ばれて行ってしまいました。命に関わる症状ではないとのことですが、どうやらこのまま引退のようです。高い素質を秘めながらついに本領を発揮できなかったという印象です。もったいないですね。

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ダンスインザダークの配合的核心を参照しているブログ:

コメント

久々のダンスのコメントでとても嬉しい気分です。現2歳は18頭走って未だに未勝利。一口ですが私が持っているのもダンスの仔のキトゥンブルーで、この成績に「ちょっと厳しいなぁ」と感じていただけに少し勇気を頂けました(笑)キトゥンブルーもRaise a Native5×5、他にRibot、Tom Fool、War Admiralなども共通しますし、Nijinsky≒Storm Birdだし良いのではと思っているのですが、ハーツクライやディープやキンカメの仔と競うとなるとちょっと不安です。蛇足ですが昨日出張のついでに社台スタリオンに寄って、ディープ、ハーツクライ、フジキセキ、ジャンポケ、サクラバクシンオー、ネオユニ、ギムレット、クロフネ、ゼンノロブロイ、ダイワメジャー、ダンスインザダーク、キンカメ、マンカフェ、スペシャルウィーク、クリスエス、フレンチ、トウカイテイオー、ファルブラブ、デュランダル、アドマイヤコジーン、カンパニーなど一挙に見ることができて興奮して帰ってきました。みんな雰囲気持っていて素晴らしかったです。

キトゥンブルーの配合を調べてみて「これいいなぁ」と思ったら、フェイトトリックスの全妹でしたか。仕上がれば走るんじゃないでしょうか? ダンスはPOG界ではほとんど無視されていますし、一口でもなかなか人気が出ないと聞きます。ですからブログで書いたとしてもあまり需要はないんだろうなぁ……と思っていたのですが、丁寧なレスポンスを頂いてビックリです。ありがとうございました。

日本の至宝オールスターズを間近で見たら血圧が上がりますよね。みんな今年の冬を無事に越して長生きしてほしいです。

はじめまして。
いつもブログを楽しみに拝見しています。
今日、ダンスインザムードの初仔のダンスファンタジアが新馬勝ちしました。いち競馬ファンとしては、ムードにファルブラヴじゃなくても種馬はいっぱいいるのにと、不思議に思ってました。ただの偶然かもしれませんが、ファルブラヴに内包されているBlue Swordsを考えていたんだと気付かされて感動しました。

はじめまして。いつもお読みいただきありがとうございます。

ダンスファンタジア、ワクワクするような勝ちっぷりでしたねぇ~。名牝がちゃんと血を繋いでいくというのは嬉しいものです。TACOさんがお察しのとおり、ファルブラヴは Hail to Reason 4×6ですから、生産者がこれを意図していたかどうかは別として、この配合はアリですね。なかなか大物を出せない種牡馬なのですが、ダンスインザムードの力をもってすればG1でも……と思わされるものがあります。

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