チャイナマネーと競馬(後)
世界的に存在感を増しているチャイナマネーは、JRAにとってもビジネスの対象となりうるのではないでしょうか。現在、JRAは、ロンドン、パリ、ニューヨーク、シドニー、香港に駐在員事務所があります。中国本土には競馬場はありませんが、上海あたりに事務所を作ってもいいのではないかと思います。馬事とは関係なく、純粋に観光客を誘致するための拠点です。
一般的な傾向として中国人はギャンブル好きだと思います。マカオのカジノへ遊びに行くような、外国でギャンブルを楽しみたいと考える富裕層を取り込むことができれば、売り上げに大きく寄与するだろうと思います。
彼らへ向けて、さまざまな形で日本競馬の魅力をアピールし、観光&競馬を楽しむツアーを組みます。ホテルから直接、貸し切りの大型バスで競馬場の入口まで運んであげれば親切でしょう。中国語対応のレーシングプログラムを作成するのもいいかもしれません。
たとえば、凱旋門賞の当日などは、ロンシャン競馬場の外周路の道端に、世界各国のツアー会社が手配した大型観光バスが数十台も停車し、それはそれは壮観です。ディープインパクトが出走した06年は、大量の日本人観光客が押し寄せたおかげで、場内の1日の売り上げ額が、過去最高だった91年の凱旋門賞当日を34%も上回る新記録でした。場内には日本語の案内板と簡単なパンフレット、日本人向けの馬券売り場などがありました。
また、ナカヤマフェスタとヴィクトワールピサが出走した昨年は、土産物ショップの女性店員が日本語をしゃべっていました。買い物をしようと彼女に近づいていったところ、「日本語で大丈夫ですよ~」とニッコリ。純フランス風の顔立ちと癖のない綺麗な日本語のギャップに感動し、思わず「日本にいらっしゃったことがあるんですか?」と問いかけると、「留学していたことがあるんです」と返ってきました。おそらく統括団体のフランスギャロが、日本人の来場を見越して臨時で雇ったアルバイトなのでしょう。そうした企業努力はたいしたものだと思います。外国人マネーは売り上げ増加の切り札である、と認識しているからだと思います。
昨年4月、超党派のカジノ議連が発足し、昨年12月には「2011年の通常国会でカジノ解禁の法案を議員立法で提出、成立を目指す」と報じられました。これを受け、昨年末の東京株式市場では、カジノ関連株が軒並み値を飛ばし、盛り上がりを見せました。もし仮に、法案が可決され、カジノ解禁という事態になれば、おそらく競馬は長期的に見てきわめて深刻なダメージを受けるでしょう。そうなった際の対抗策としても、外国人マネーを取り込むための準備を、いまのうちにしておいたほうがいいのではないかと思います。
そう遠くないうちに、中国本土でのギャンブルも解禁になるでしょう。
その時に、競馬のノウハウそのものや、大量の繁殖馬や仔馬を売れるようになれば、すごく大きなビジネスになる気はしております。
JRAさんには、そのあたりの準備も期待したいところです。ちょっと話がずれ、風呂敷も広げすぎましたが…。
投稿: jiumi | 2011年1月15日 (土) 17:13
たしか以前、北海牧場が「北京龍頭牧場」なるサラブレッド生産牧場を中国に開設したと記憶しているのですが、最近はどうなっているのでしょうね? おっしゃるとおり、もし仮に中国本土で競馬が行われるようになれば、それは日本の馬産地にとって大きなチャンスでしょうね。こういう夢のある話はけっこう好きです^^
投稿: 栗山求 | 2011年1月16日 (日) 04:00