2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« 2009年12月 | メイン | 2010年2月 »

2010年1月

2010年1月31日 (日)

はこべら賞はバーディバーディ

中京10Rのはこべら賞(3歳500万下・ダ1700m)はバーディバーディ(父ブライアンズタイム)がパルラメンターレとの一騎打ちを制して快勝。予想は○◎で的中でした。堅かったですね。勝ちタイムの1分45秒8はなかなか速いと思います。

バーディバーディは、母ホームスイートホームが Pleasant Home(ブリーダーズCディスタフ)の全姉にあたる良血で、父はダート界屈指の名種牡馬ブライアンズタイム。ブライアンズタイムとMr.Prospector 系は相性がよく、フリオーソやトーセンブライトをはじめ多くの活躍馬が出ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100567/
また、父がブライアンズタイムで Graustark=His Majesty の全兄弟クロスを持つといえば、東海S(G2)やマーチS(G3)を制したアンドゥオールと同じ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999106769/
このクロスは Ribot 系なので、やや鈍重なところがあり、芝よりもダートに向いています。アンドゥオールの母は Bold Ruler 3×4、バーディバーディの母は Mr.Prospector 2×4。これらは鈍重さの緩和に役立っています。バーディバーディとアンドゥオールは配合構造が似ていると思います。

1月5日に京都の3歳500万下(ダ1400m)を圧勝したマカニビスティーは、母サクセスウイッチがブライアンズタイムとプレザントコロニーの組み合わせを持ち、Graustark=His Majesty 3×4。そして、自身は父方に Mr.Prospector を持っているので、これもバーディバーディと似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106231/
バーディバーディは成長力を秘めており、今後どんどん強くなる可能性があります。過去の戦績にとらわれずに1戦ごとに力量を見極めていきたいと思います。

2010年1月30日 (土)

つばき賞はミッキードリーム

京都9Rのつばき賞(500万下・芝1800m)はミッキードリーム(父キングカメハメハ)が快勝。予想は▲◎で的中でした。

今年の3歳世代は「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」が目立ちます。ローズキングダム、アドマイヤテンクウ、ソリタリーキング、そしてこのミッキードリームと、すでに4頭が2勝以上を挙げています。初年度産駒はゴールデンチケットとナサニエルが目立つ程度で、失敗例も少なくなかったのですが、2年目は評判馬が順当に出世しています。

「TARGET frontier JV」で調べると、キングカメハメハ産駒は内回りよりも外回りのほうがいい、という明確な特長を持っていることが分かります。「キンカメ×サンデー」ではその傾向がさらに強まります。ミッキードリームは、2代母の父がトニービンなので、前走の内回りから外回りに替わったことがなおさらプラスに働いたのでしょう。長くいい脚を使いました。

昨年12月21日のエントリーで触れたように、キングカメハメハは、「母の父サンデーサイレンス」の産駒成績が、産駒全体の成績に比べて落ちるという稀な傾向を持っています。ただ、このところ猛烈に巻き返しているので、やがてこの傾向は解消されるかもしれません。

土曜日は『web競馬王』に提供した新馬戦予想が好調。中京、京都、東京、いずれも馬連を的中させました。とくに京都は△◎で馬連40160円、△◎○で3連複32670円をクリーンヒット。13番人気で勝った△カネトシマイコサン(単勝146.3倍!)はクロフネ産駒。昨年12月15日のエントリーで書いたように、京都ダ1200mのクロフネ産駒は人気薄でも無視できません。△を打っておいて正解でした。

2010年1月29日 (金)

夫婦善哉

日曜東京2R新馬戦(ダ1400m)に出走する馬たちの血統を、「TARGET frontier JV」で調べていたところ、ベルモントルーナの兄弟に目が釘付けになりました。母リバーガーネットの産駒データは以下のとおり。

ベルモントルーナ  牝3 父アジュディケーティング
ベルモントダイヤ  牝4 父アジュディケーティング
ベルモントアダマス 牝7 父アジュディケーティング
ベルモントボージー 牡8 父アジュディケーティング
ベルモントグレイス 牝14 父アジュディケーティング
グリーンジョージ  牡16 父アジュディケーティング
ジュディフロウ   牝17 父アジュディケーティング

思わずニヤリ^^

2010年1月28日 (木)

「血統SQUARE」を復刻掲載

『栗山求 Official Website』(http://www.miesque.com/)の「Works」が長らく準備中だったのですが、ようやく公開の運びとなりました。

同サイトの「Profile」にあるとおり、1989年に競馬通信社の門を叩き、翌90年秋から同社発行の『週刊競馬通信』誌上に「血統SQUARE」を書き始めました。古今東西の血統を俎上にのせたコラムの連載は計257回。97年に退社するまで続けました。そのうちのいくつかを、これから順次「Works」に復刻掲載していきたいと思います。「血統SQUARE」では、その当時のアップデイトな話題も採り上げていますが、さすがに十数年が経過すると色褪せた感が否めませんので、いま読んでも違和感が小さい歴史物が中心になると思います。

第1弾は、「黎明期の血統」と「ドイツ・ダービー馬の父系」です。前者はテキストデータの一部を紛失してしまったため、当時の誌面をコピーし、そのまま掲載しました。印字が薄く読みづらい箇所もありますが、何卒ご容赦ください。後者は読みやすいようにあらためて編集し直しました。

「黎明期の血統」(1992年2月~5月)で紹介した18~19世紀の血統は、われわれが目にしている現代の血統とはまったく異なるものです。だから研究しても意味がない、とは思いません。時代が異なるがゆえに、配合というものの構造的エッセンスをかえってとらえやすい、という利点があります。全きょうだいクロスや、4分の3同血クロスや、影響力の強い牝馬のクロスや、ニックスや、強い凝縮を入れてそれを強化する、といった配合手法は現代とそう変わらないことが実感できます。

「ドイツ・ダービー馬の父系」(1993年8月~10月)は、このところ存在感を増しているドイツ血統について解説したものです。なぜ現代においてドイツ血統が有効なのかといえば、そこに主流血統とはまったく異なる血の凝縮があるからです。連載の冒頭と末尾に登場する Lando は、その2年後にジャパンCを勝ちました。現在、ドイツ最高の種牡馬として国際的な名声を獲得している Monsun については、当時まだ種牡馬入りしていなかったため触れていません。

2010年1月27日 (水)

Dayjur が種牡馬引退

これまでに行われたブリーダーズCのなかで、最も強く印象に残っているのは、ニューヨーク州のベルモントパークで行われた90年の開催です。ディスタフにおける Go for Wand の骨折事故、マイルにおけるレスター・ピゴット騎手の復活劇、そしてスプリントにおける Dayjur のジャンプ事件などがありました。

直線で逃げ粘る Safely Kept を、Dayjur が外からとらえ、誰もが勝利を確信した瞬間、ゴール前に伸びたスタンド影に驚いてジャンプしたシーンは、20年経ったいまも語りぐさとなっています。YouTube でも視聴可能です。
http://www.youtube.com/watch?v=orsV78dt1WY

思わぬアクシデントで2着に敗れてしまったわけですが、私個人は過去四半世紀で最強のスプリンターだと思っています。父 Danzig、母の父 Mr.Prospector ですから速くて当然です。脚の回転速度が尋常ではありませんでした。
http://ahonoora.web.fc2.com/dayjur.html

姪に Sky Beauty(エクリプス賞古牝馬チャンピオン)がいるなど母系も優秀。しかし、種牡馬としてはイマイチでした。このスピードでこの良血ですから、どれだけ素晴らしい子を出すのだろうと期待していたのですが……。結局、北米とヨーロッパではG1馬を1頭しか出せませんでした(Hayil=英G1ミドルパークS)。

同じ Danzig 産駒のデインヒルは、Dayjur よりも1歳年上で、競走馬としての能力を比較すれば、Dayjur よりも明らかに下でした。しかし、歴史に名を残す大種牡馬となったのはデインヒルのほう。これほどの差がどうして生じたのか、いろいろ推理はできても、はっきりとした答えを見つけるのは難しいですね。

2010年1月26日 (火)

ウオッカはアイルランドのギルタウンスタッドへ

今朝の『サンケイスポーツ』によれば、今年春からウオッカはアイルランドのギルタウンスタッドで繁殖生活を送るそうです。ここはアガ・カーン四世殿下が所有する名門牧場。数年間滞在し、産駒は日本で走らせるとのこと。

無責任な外野の意見を述べれば、日本のクラシックを狙うならサンデー系に優る種牡馬はいないでしょうし、ヨーロッパで種付けをするならヨーロッパで走らせたほうがいいような気もします。ただ、そうした短期的視点ではなく長期的視点でとらえれば、海外の超一流血統を取り込む意義は大きいと思います。また、サンデー系とブライアンズタイム系の相性は、芝で走らせる分には現状やや微妙なものがあるので、1代ヨーロッパの血を入れて、そのあとサンデー系を持ってくる、という選択も悪くないかもしれません。

ウオッカはこの現代にあって、Northern Dancer も Mr.Prospector もサンデーサイレンスも含んでいない貴重な血統です。それらの血を新たな活力として導入できるわけですから、何を付けても走ってしまう可能性すらあります。

日本の超一流牝馬が海外に渡った例といえば、ハギノトップレディ、タレンティドガール、マックスビューティ、ビリーヴなどが頭に浮かびます。海外での種牡馬選びは、どうしてもネームバリューに頼りがちになり、種牡馬の評価は変動が激しいので、なかなか難しいものがあります。ハギノトップレディがグランディを付けたら、その後グランディが輸入され、タレンティドガールがダンシングブレーヴを付けたら、その後ダンシングブレーヴが輸入されたことを思い出します。ビリーヴがキングマンボとの間にファリダットを出したのは稀な成功例です。

以前、ウオッカとダイワスカーレットの組み合わせ血統表を作ってみたところ、その配合のすばらしさに思わず笑ってしまったことがありました。どちらかが牡馬だったら……と残念に思ったものです。

ウオッカの母タニノシスターは、娘がダービーを勝った春にタニノギムレットと交配しました。翌08年に生まれたのは牝馬、つまりウオッカの全妹です。同年のセレクトセールでダーレーが1億500万円で落札し、今年の夏にデビュー予定です。

08年は不受胎、そして09年はまたもタニノギムレットと交配し、今度は受胎しました。もうじき生まれる子馬は牡か、牝か? もし牡なら将来種牡馬となってダイワスカーレットと交配してほしいものです。遠い未来の妄想ですが……。

2010年1月25日 (月)

サンテミリオンに漂う大物感

日曜日の若竹賞(3歳500万下・中山芝1800m)を勝ったサンテミリオンはちょっとした器ですね。新馬戦を勝ったばかりの牝馬なので▲しか打てなかったのですが、勝ちっぷりの鮮やかさにびっくりしました。G1でも勝ち負けになると思います。

それにしてもゼンノロブロイの牝馬は走りますね。1月5日の新馬戦を勝ち上がった際に『web競馬王』に掲載した文章を転載します。

「母モテックはフロール賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬。2代母シュダカはクレオパトル賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬。父ゼンノロブロイは、ヨーロッパのスタミナ血統+ノーザンダンサーという血を持つ繁殖牝馬と好相性を示している。本馬はこのパターンにあてはまる。また、その一方で、母の父マイニングの母でラトロンヌの影響を受けたアイパスが強く主張している感があり、これと近似血脈の関係にあるセックスアピール、プレイメイト、マジックを含んだ繁殖牝馬とも相性がいい。本馬はこのパターンにもあてはまる。デビュー戦を使ってから良くなるタイプかと思われたが、いきなり走ったということは器が大きいということだろう。最終コーナーを逆手前で回るなど若さが目についたので、まだ良化の余地がある。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102958/

ゼンノロブロイは、もうひとつ高級感に欠けるアメリカ血統で母系を固めているのですが、結果的にこれが吉と出ているようです。個体として高いレベルにあるにもかかわらず、Northern Dancer、Ribot、Prince Rose といった現代のメジャーラインを持たないため、これらを新たな活力として活用できる利点が大きいですね。

母モテックは Mill Reef 3×3で、Mill Reef の母の父は Princequillo(その父 Prince Rose)。母には Prince Rose のラインが計5本入っています。ちなみに、ゼンノロブロイはトニービンとも相性がいいのですが、トニービンの父カンパラは Prince Rose 4×4です。Prince Rose-Princequillo のラインとは相性がよさそうな気がします。

Mill Reef の父 Never Bend もゼンノロブロイとフィットする血で構成されているので、Mill Reef とゼンノロブロイの関係は今後も注目したいところです。Mill Reef の近似血脈である Riverman も監視対象です。

1月2日、1月12日のエントリーでもゼンノロブロイについて触れていますので、そちらも併せてご覧いただければと思います。

サンテミリオンは、初戦も2戦目もゆるいペースの競馬だったので、厳しい流れになったときにどう対応するかが今後の課題です。

2010年1月24日 (日)

アグネスタキオン×ホワイトマズル

1月21日のエントリーで採り上げたヴィクトリーマーチは、日曜京都6Rの新馬戦(芝1600m)を勝ち上がりました。着差はクビ。もう少し弾けても……という感じでしたが、池添騎手は「余裕を持ちすぎて内から来た馬に一瞬ヒヤッとしましたが、すぐに伸びてくれました」(ラジオNIKKEI)と語っており、まだ余力を残していたようです。

同じアグネスタキオン産駒で配合的に注目したいのは、日曜中山6Rの新馬戦(ダ1200m)を勝ち上がったハッピーダイアリーです。「アグネスタキオン×ホワイトマズル」は配合的におもしろいところがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102864/

まず、Halo≒Drone 3×5という定番のニックスが生じます。サンデー系とダンシングブレーヴ系の相性のよさはここに秘密があります。
http://www.pedigreequery.com/halo
http://www.pedigreequery.com/drone

ホワイトマズルは、父がダンシングブレーヴで、母の父 Ela-Mana-Mou はピットカーンの息子。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1990109700/

これは、リトルアマポーラ(エリザベス女王杯)の母リトルハーモニーとよく似ています。リトルハーモニーの父はダンシングブレーヴの息子コマンダーインチーフ、母の父はピットカーンの全弟ヴァリィフォージュです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995101613/

両者の血統を簡略化すると以下のようになります。構成がよく似ています。

        ┌ダンシングブレーヴ ┌ Petingo
ホワイトマズル―┤   ┌ピットカーン┤
        │ ┌○┘      └ Border Bounty
        └○┘ 

          ┌ダンシングブレーヴ
        ┌○┘         ┌ Petingo
リトルハーモニー┤ ┌ヴァリィフォージュ┤
        └○┘         └ Border Bounty

アグネスタキオンとリトルハーモニーの間にリトルアマポーラが誕生したのなら、リトルハーモニーとよく似た血統構成のホワイトマズルもアグネスタキオンと好相性を示すのでは? と想像することができます。

アグネスタキオンとリトルハーモニーの組み合わせが成功した理由のひとつは、前者に含まれるリマンドと、後者に含まれるヴァリィフォージュの関係にあるのではないかと思います。両者とも3代以内に Alycidon、Fair Trial、Chanteur を持っており、血統的にきわめて近い関係にあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0002ae/ リマンド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0004e5/ ヴァリィフォージュ

           ┌ Alycidon
         ┌○┘
リマンド―――――┤   ┌ Fair Trial
         │ ┌○┘
         └○┤ ┌ Chanteur
           └○┘

             ┌ Fair Trial
           ┌○┘
         ┌○┤ ┌ Alycidon
ヴァリィフォージュ┤ └○┘
(=ピットカーン)└○┐ ┌ Chanteur
           └○┘

前述のとおり、ホワイトマズルにはヴァリィフォージュの全兄ピットカーンが含まれています。したがって、リマンドとヴァリィフォージュの組み合わせでリトルアマポーラが誕生したように、リマンドとピットカーンの組み合わせが生じる「アグネスタキオン×ホワイトマズル」にも期待できるわけです。

もうひとつ、アグネスタキオンの母の父ロイヤルスキーと、ホワイトマズルの2代母 Autocratic が似ていることも見逃せません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a0003c6/ ロイヤルスキー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a00977d/ Autocratic

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┤ ┌ My Babu
ロイヤルスキー―┤ └○┘
        │ ┌○┐
        └○┘ └○┐
              └ Lea Lark

          ┌ Bold Ruler
        ┌○┤ ┌ My Babu
Autocratic―――┤ └○┘
        └○┐
          └○┐
            └ Lea Lark

つまり、「アグネスタキオン×ホワイトマズル」の組み合わせには、Halo≒Drone 3×5、リマンド≒ピットカーン4×5、ロイヤルスキー≒Autocratic 3×4という鍵が潜んでいるわけです。過去にこの配合馬は2頭しかデビューしていません。そのうちの1頭、エミーズスマイルはアネモネS(OP)を勝ちました。もう1頭、シュガーヴァインはフィリーズレビュー(G2)6着、クイーンC(G3)6着という成績を残したほか、準OPまで出世しました。ニックスと呼んでも違和感のない成績ではないでしょうか。

今回、新馬戦を勝ち上がったハッピーダイアリーは、「アグネスタキオン×ホワイトマズル」の組み合わせから誕生した3頭目の競走馬です。血統的にはダート短距離馬という雰囲気はありませんが、「フットワークが硬い」(横山典弘騎手)とのことでダートにも適性があるようです。『web競馬王』に出した予想ではもちろん◎を打ちました。◎▲で馬単8970円的中です。

2010年1月23日 (土)

若駒Sはヒルノダムール快勝

若駒Sは毎年のように切れ味勝負となるのですが、ラスト2ハロンの11秒1-11秒0は歴代でみてもズバ抜けて速いラップです。ここで馬群から抜け出した1、2着馬は完全に力が上でした。2分02秒0の勝ちタイムは05年の2分00秒8(ディープインパクト)、91年の2分01秒4(トウカイテイオー)に次ぐレース史上3番目の好時計です。

『web競馬王』に出した予想は、◎ヒルノダムール、○ルーラーシップ、▲エクセルサスで完全的中。予想文を転載します。

「◎ヒルノダムールは『マンハッタンカフェ×ラムタラ』という組み合わせ。母系にブラッシンググルームを持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、サンディエゴシチー、メイショウレガーロ、メイショウクオリア、ココナッツパンチ、オリエンタルロック、ベストメンバーなど多数の活躍馬が出ている。母が持つニジンスキー≒ザミンストレル2×3という4分の3同血クロスは、これらの血がブラッシンググルームとニックスの関係にあるので、マンハッタンカフェとブラッシンググルームの関係を強化するものとして好感が持てる。母の父ラムタラは、ノーザンダンサー2×4、フレーミングページ≒スプリングラン2×4など、現代の主流血統が色濃く流れているので、父マンハッタンカフェが母系に抱える異系の血とフィットするだろう。配合レベルは高い。ちなみに、先日のシンザン記念(G3)を勝ったガルボ(父マンハッタンカフェ)は、母系にニジンスキー≒ファーノース(ザミンストレルの全兄)3×3を持っているので、ヒルノダムールと血統構成の骨格がきわめてよく似ている。こうした点からもヒルノダムールの配合レベルの高さは裏付けられる。前走のラジオNIKKEI杯2歳S(G3)は、ハイレベルなメンバー構成のなかで差しづらい展開を差して4着。新馬戦を勝ったばかりの馬よりも信頼できる。」

http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/

ヒルノダムールとガルボの配合の共通性については、1月11日のエントリーで触れたとおりです。今回はスタートでミスをしなかったこと、少頭数で馬群がさばきやすかったことが勝因です。皐月賞トライアルや本番では今回のような少頭数は望めません。後ろから行く以上、展開頼みになるのは避けられませんし、外を回せばラジオNIKKEI杯2歳Sのようなレースになる危険性があります。そこをどうやって切り抜けるか、藤田騎手の腕が問われるところです。能力自体は世代トップと遜色ないレベルだと思います。

ルーラーシップは直線で進路を立て直す不利が痛かったですね。ただ、それ以前に馬に力みがあり、勝負どころでモタつくシーンもありました。一言でいえば経験不足です。負けるべくして負けたといえるでしょう。こうした点はキャリアを重ねるうちに解消してくるはずです。追い出されてからの豪快なフットワークはさすがといえるもので、やはり並の馬ではありません。馬が完成したときの到達点は高いと思います。コーナーの加速がイマイチなので、広くて直線の長いコースが合っているのではないでしょうか。問題は今後のローテーションです。まだ1勝馬だけにしっかり賞金を積み重ねていかないと皐月賞挑戦に黄信号が灯ります。

2010年1月22日 (金)

各国別のサイアーランキングを見て

『週刊競馬ブック』(1/24号)の「海外競馬ニュース」に、昨年の各種統計が掲載されています。種牡馬、馬主、調教師、騎手などの各国別ランキングがコンパクトにまとまっており、何時間眺めていても飽きません。

丸々1ページを割いて「各国・過去のリーディングサイアー」という表も掲載されています。「英愛」の「総合」を見ると、Northern Dancer 系が20連覇中。Sadler's Wells(1990)→Caerleon(1991)→Sadler's Wells(1992~2004)→デインヒル(2005~2007)→Galileo(2008)→Danehill Dancer(2009)とたすきが渡って途切れていません。

昨年の英愛総合サイアーランキングの上位10頭中、第10位の Hawk Wing(父 Woodman)を除く9頭が Northern Dancer 系でした。イギリスとアイルランドでは相変わらず Northern Dancer 系が圧倒的な勢力を誇っており、この系統による支配は当分覆りそうにありません。

翻って日本では、昨年の総合サイアーランキングの上位10頭中、Northern Dancer 系はクロフネ1頭だけ。昨年の日本ダービーは28年ぶりに Northern Dancer 系の出走馬がゼロでした。

交通機関の発達や情報伝達の即時性によって、各国の血統から独自性が失われ、均質化が進んできているという意見があります。たしかにそれは正しいと思います。しかし、こうした対比をみると、それは一面的な事実に過ぎないような気もします。その国にどのような血統が根付くかということは、馬場やコース形態によって違いが出てくるわけですが、その違いを乗り越えるのは簡単そうに見えてじつは簡単ではない、ということでしょう。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!