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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年1月

2011年1月31日 (月)

根岸Sはセイクリムズン

根岸S(G3・ダ1400m)は○セイクリムズン(2番人気)と◎ダノンカモン(3番人気)の一騎打ち。いい競馬でした。両者の能力はハイレベルで拮抗しており、レース前はどちらの実力が上なのか正直よく分かりませんでした。1キロ重いセイクリムズンがねじ伏せたことで、現時点での決着はつきました。
http://www.youtube.com/watch?v=Lk0ouelEU3o

予想は○◎で馬連640円を本線的中。本命に推したダノンカモンは流れに乗って最高の競馬ができたと思います。騎乗した三浦皇成騎手は土曜日から好プレーが目立っていましたね。馬券にならなかったレースでも人気薄を上位に持ってくるシーンが目に付きました。

勝ったセイクリムズンは重賞連勝。父エイシンサンディは「サンデーサイレンス×ノーザリー」という気性面に危うさを感じさせる血統。母の父サウスアトランティックも同様です。中長距離を我慢強く走れる血統ではないので、短距離が合っているのでしょう。半兄にOPクラスまで出世したマイネルナポレオン、半姉に重賞で入着したセイントリーフがいます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006100106/

話は横道にそれるのですが、かつて道営競馬にテツセンスーパー(87年生・父ラインゴールド)という名馬がいました。脚を痛めたため輝いた時期はほんのわずかだったのですが、北海道3才優駿を9馬身差で圧勝するなど素晴らしい能力を披露しました。ちなみに、このとき大差の3着に負かしたアウトランセイコーは翌年春、南関東で二冠(羽田盃、東京ダービー)を制しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987103432/

テツセンスーパーの母トウフクテツセンと、セイクリムズンの3代母ヤマトテツセンは配合構成がよく似ています。

            ┌ ヒンドスタン
          ┌○┘
トウフクテツセン ―┤ ┌ ムーティエ
          └○┤ ┌ ライジングフレーム
            └○┘

          ┌ ムーティエ
ヤマトテツセン ――┤ ┌ ヒンドスタン
          └○┤ ┌ ライジングフレーム
            └○┘

このあたりから生じた高いダート適性は、セイクリムズンにも脈々と流れているような気がします。母スダリーフは、Nasrullah と Prince Rose から成る Mill Reef、Natashka、ムーティエを近い世代に持つので、本馬が持つムーティエのクロスによって、これらを継続する形になるのはいいと思います。もっとも、全体的にファッショナブルな血とはいえないので、泥臭い叩き上げのダート馬になってしまうのは致し方ありません。配合的には好きですが、POGで指名できるかと問われれば、う~ん、無理でしょう(笑)。

2011年1月30日 (日)

シルクロードSはジョーカプチーノ

土曜京都11RのシルクロードS(G3・芝1200m)は、出遅れをものともせずジョーカプチーノ(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=mm7dEusyPMI

昨日のエントリーに記したとおり、1番人気もトップハンデも信用できないレース。それをダブルで背負い、出遅れの不利を克服して勝ったわけですから、能力が違ったとしかいいようがありません。土曜日の京都芝は、前開催と打って変わって後ろの馬でも届く馬場でした。馬場コンディションの変化も味方につけた感じです。

前半3ハロンが34秒8という超スローペースだったので最後は切れ味勝負。その能力に秀でたサンデー系のマンハッタンカフェ産駒がワン・ツー・フィニッシュを決めたということでしょう(2着アーバニティも同産駒)。1、2着馬はいずれも上がり3ハロン32秒6でした。行って粘るのが身上のサクラバクシンオー系はこういう展開になるとつらいですね。出走した4頭は掲示板に載れませんでした。

ジョーカプチーノの配合は、ブエナビスタ、レッドディザイアと非常によく似ています。これに関しては何度か書いた覚えがあり、いちばん最近では11月1日のエントリー「天皇賞・秋はブエナビスタ」に記しました。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-e05f.html

高松宮記念はキンシャサノキセキとの一騎打ちでしょう。キンシャサは8歳馬ですが、ジョーカプチーノは5歳。しかも充実一途なので、こちらに分がありそうです。昨年暮れのラピスラズリS(OP・芝1200m)では前半3ハロンを33秒2で飛ばして逃げ切りました。ペース・展開が不問なのもいいですね。

◎センターライコウ(6番人気)は最後の直線、インからスルリと抜けた瞬間「やったか!?」と思ったのですが4着。持てる力を出し切った結果なので仕方ありません。まだ4歳なのでこれから強くなりそうです。

2011年1月29日 (土)

荒れるシルクロードS

土曜日に京都競馬場で行われるシルクロードS(G3・芝1200m)は荒れる重賞です。短距離のハンデ重賞ですから、まぁ堅く収まるほうがおかしいともいえるわけですが……。北九州記念やCBC賞も似たような傾向がありますね。

過去5年間で1、2番人気が一度も連絡みしていません。ハンデ戦になってからの9年間、連対馬18頭のうち半数の9頭が6番人気以下。人気馬からは買いづらいレースです。トップハンデ馬は過去5年間で1頭しか連に絡んでいません。

ではどんな穴馬を買えばいいかというと、まず挙げられるのは準OPを勝ち上がったばかりの馬。条件クラスを脱したばかりのニューフェースですからハンデは軽くなります。前走から2~3キロ減が相場。ハンデ重賞に生まれ変わった02年以降、このパターンが3頭連対しています。いずれも人気薄でした。

今年は京阪杯からの直行組が目に付くのですが、過去の傾向からいえばあまり良績がないローテーションです。ただ、これは間隔が開くことによる体調面の問題なので、キッチリ仕上がっているなら神経質になる必要はないと思います。

昨年までのシルクロードSは2回京都4日目でした。今年は初日に移動しています。先週まではAコースで行われており、周知のとおり内伸びで前に行った馬が有利でした。今週からBコースに替わります。引き続き前が止まらない馬場でしょう。外を回らされたらキツイと思います。枠順も重要ですね。

血統的にはフジキセキ天国なのですが、今年の出走はファイングレインのみ。3年前の覇者とはいえ近走の成績では……。

馬券的には非常におもしろそうなので、大穴を狙って冒険してみたいレースです。

2011年1月28日 (金)

トウショウボーイ系最後の競走馬

川崎記念の前日、川崎10Rガーネットフラワー賞を、牡3歳のスベスベヨークン(父マイネルスマイル)が勝ちました。2歳時はホッカイドウ競馬で走り、今年から川崎で出走。これが12戦目にして初めての勝利です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101195/

父マイネルスマイル、という種牡馬はまったく耳馴染みがありません。サクラロータリー産駒で、現役時代はJRAで4勝(うち障害1勝)。この成績でよく種牡馬になれたなぁと思い、JBISのデータベースで調べてみたところ、99年以降、毎年律儀に1頭ずつ種付けをしています。相手はすべてマイネポラリスという牝馬。つまり、マイネルスマイルはマイネポラリス以外の牝馬を知りません。スベスベヨークンもその交配によって生まれた1頭です。

マイネポラリス(f.1992.ダイナオリンピア)
  ピーチヨークン(c.2000.マイネルスマイル)
  ニコニコヨークン(c.2002.マイネルスマイル)
  ウキウキヨークン(c.2003.マイネルスマイル)
  ワクワクヨークン(c.2004.マイネルスマイル)
  ドキドキヨークン(c.2005.マイネルスマイル)
  プニプニヨークン(c.2007.マイネルスマイル)
  スベスベヨークン(c.2008.マイネルスマイル)
  名前未定(c.2009.マイネルスマイル)

圧巻です……。感動しました。初期の擬態語は心の様子を表すものでしたが、最近は質感を表すものに変化してきているので、09年の産駒もその方向でしょうか? 牡馬ばかり連続して生まれているのもユニークです。

馬主の鍵谷篤宏さんは、父マイネルスマイル、母マイネポラリスの一口出資者だったそうです。それらを引き取って子を作り、地方競馬で走らせているようです。持ち馬はこの両馬から誕生した産駒のみ。世の中にこんな方がいらっしゃるとは……と感心します。

マイネルスマイルはサクラロータリー産駒。その父はトウショウボーイ。鍵谷さんの保護によってマイネルスマイルが種牡馬生活を続けているうちに、ほかのトウショウボーイ系はほとんど断絶してしまいました。

トウショウボーイ産駒で重賞を2勝したセキテイリュウオーは、産駒のスピードリュウオー(セン7歳)、タツノクイン(牝5歳)、ファンシーベル(牝4歳)、ハートオブハート(牝3歳)がまだ現役ですが、すでに種牡馬生活を引退しており、09年生まれの2歳馬はいません。現在は荒木克己育成牧場(新ひだか町)で余生を送っています。

マイネルスマイルは09年生まれの2歳馬が1頭います。名前はまだ決まっていませんが、おそらくこれがトウショウボーイ系の最後の競走馬だと思います。09年は種付けしたものの受胎しなかったようで、10年は種付けを行っていない模様です。

2011年1月27日 (木)

ロジータの川崎記念

1月26日に行われた川崎記念はフリオーソ(1番人気)が楽勝。3年連続2着に敗れていたレースですが、東京大賞典の覇者スマートファルコンが回避したため今年はメンバーが軽く(2着はメイショウタメトモ)、直線で軽く仕掛けた程度で後続を5馬身引き離して逃げ切りました。単勝は100円の元返し。
http://www.youtube.com/watch?v=y3_62fusq7w

川崎記念の単勝元返しで思い出すのは90年、重賞「ロジータ記念」に名を刻む女傑の引退レースです。当時、東京都大田区にある血統専門誌編集部に勤めており、そこは川崎競馬場まで自転車で15分ほどの距離にありました。地方競馬のページを担当していたので、これは必ず観なければいけないとオンボロチャリをキコキコ漕いで競馬場に到着。平日の昼間にもかかわらず場内は観衆で膨れあがっており、馬券を買い求めるお客さんを捌くため、発走時刻が30分ぐらい遅れたのを思い出します。昔の地方競馬はこういうことがよくありました。レースはロジータの大楽勝。馬なりで独走する女傑にスタンドから大きな拍手が沸き起こり、競馬場全体がそれまで味わったことがないような温かな雰囲気に包まれました。直線ずっと拍手が鳴り止まないというレースは他に記憶がありません。単勝支持率は約80%でした。
http://www.youtube.com/watch?v=5vrtzD55f84

ロジータは繁殖牝馬としてもきわめて優秀で、そのファミリーを広げています。03年には息子のカネツフルーヴが、01年には孫のレギュラーメンバーが川崎記念を制覇しています。

ロジータは今年25歳。まだ健在です。ロジータ記念は昨年秋に21回目を数えました。わが国の軽種馬最長寿記録を持つシンザンは、自身の名を冠したシンザン記念が30回目を迎えたときにまだ存命中でした(!)。おそらくこれは世界記録でしょう。

かつて日本には「シンザンを超えろ!」というスローガンがありました。競走能力では上回ったものの、前記の記録を超えるのは至難の業です。新記録を作るとしたらロジータしかいないでしょう。

2011年1月26日 (水)

サクラプレジデントと「サクラユタカオー×ノーザンテースト」

土曜京都6R・新馬戦(芝1600m)は△サクラシオン(3番人気)が差し切り勝ち。直線で前が開かず、進路を立て直す不利があったのですが、ゴール前でスパッと切れました。
http://www.youtube.com/watch?v=fjApoz3QUQ0

父サクラプレジデントは、父サンデーサイレンス、母セダンフォーエヴァー(ダービー馬サクラチヨノオーの全妹)という良血で、G1は獲れなかったものの重賞3勝と、競走成績もまずまずでした。

種牡馬成績はイマイチで、新馬戦に強いタイプでもないのですが、なぜか先週は芝1600mの新馬戦で2勝(サクラシオン、サクラフローレス)と大活躍。もう1頭のサクラフローレスは、日曜中山6Rの新馬戦(芝1600m)を3馬身差で完勝しました。

2頭は血統構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101034/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100731/

          ┌ サクラプレジデント
サクラシオンー ――┤
          └○┐ ┌ サクラユタカオー
            └○┤ ┌ ノーザンテースト
              └○┘

          ┌ サクラプレジデント
サクラフローレス ―┤   ┌ サクラユタカオー
          │ ┌○┤ ┌ ノーザンテースト
          └○┘ └○┘

サクラシオンの2代母サクラキャンドルは「サクラユタカオー×ノーザンテースト」。サクラフローレスの母の父サクラバクシンオーも「サクラユタカオー×ノーザンテースト」です。

サクラプレジデントの成功する配合パターンは Nijinsky クロス。これに加え、「サクラユタカオー×ノーザンテースト」を母方に入れるパターンも浮上してきました。

現3歳でクローバー賞(OP)を勝ったサクラベルは、サクラフローレスと同じく「サクラプレジデント×サクラバクシンオー」ですから、このパターンに当てはまります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100408/

現5歳のサクラローズマリー(スイートピーS-2着)は、母サクラヒーローが「サクラユタカオー×ノーザンテースト」です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006101383/

これに、先週新馬戦を勝ち上がったサクラシオン、サクラフローレスが加わるわけですから、単なる偶然とは思えません。

「サクラユタカオー×ノーザンテースト」は有名なニックスで、サクラバクシンオー、サクラキャンドル、ダイナマイトダディ、トゥナンテ、システィーナ、エアジハード(2代母の父がノーザンテースト)といった活躍馬が続々と誕生しました。特別な何かがあるのでしょう。これは昨年11月26日のエントリー「サクラユタカオー死亡(後)」ですでに取り上げています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-8ef1.html

サクラプレジデントにはサクラ系の繁殖牝馬がたくさん付けられています。サクラユタカオーとサクラバクシンオーの父子、ローラローラとサクラローレルの母子、クレアーブリッジの牝系など、血統構成の材料は似通っているので、走った産駒は互いにどこかしら似た部分があります。サクラシオン、サクラフローレス、サクラベル、サクラローズマリー、サクラエルドールの5頭は、どれを組み合わせても血統構成が似ています。こうした配合からもし仮に優れた種牡馬が現れて、またそれをこれらの牝馬群に交配していくと、昔のドイツ血統やブサック血統のようなことになります。

2011年1月25日 (火)

体調どん底でも勝ったリベルタスは強い

■土曜京都の若駒S(OP・芝2000m)はディープインパクト産駒のリベルタス(1番人気)がクビ、アタマ差の接戦を制しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Ka2seyS-tOo

レース後、騎乗した福永騎手、管理した角居調教師が、口を揃えて状態面の悪さについて語りました。G1を使ったことによる反動なのでしょう。11月30日のエントリー「ディープインパクトの格上がり戦」において、新馬戦を使ったあとの反動の大きさについて記しました。http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html

ディープインパクト産駒は、目一杯に仕上げて好走した次のレースでは、反動が出やすいタイプなのかもしれませんね。ディープサウンドのホープフルSをはじめ、これまで敗因がよく分からない凡走がいくつかありましたが、それらはひょっとしたら前走の反動により目に見えない疲れが残っていたのかもしれません。まだ成長途上で身体が出来上がってないことも関係しているのではないでしょうか。

体調が整っていない状態でこれだけ走るわけですから、リベルタスの能力は信頼できますし強いと思います。クラシックが近づいてから調子が下降するよりも、いまのうちにどん底を通過しておくほうがいいでしょう。

■土曜中山の菜の花賞(3歳500万下・芝1600m)は1位入線のマヒナ(2番人気)が12着に降着となり、ヤマノラヴ(4番人気)が繰り上がって優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWeYhAelElE

注目は2着に繰り上がったアカンサス(3番人気)。ミルレーサー≒Gana Facil 2×4という組み合わせのクロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102889/

        ┌ Le Fabuleux
ミルレーサー ―┤ ┌ In Reality
        └○┘

        ┌ Le Fabuleux
Gana Facil ――┤ ┌ In Reality
        └○┘

Fappiano 系は In Reality とニックスの関係にあります。これは非常に有名なものなので覚えておいて損はないでしょう。Unbridled's Song の父 Unbridled はこのニックスを持ちます。アカンサスの父フジキセキは、In Reality を持っているのでこのニックスを継続します。そして、フジキセキの母ミルレーサーは、Unbridled の母 Gana Facil と同じ「Le Fabuleux×In Reality」。フジキセキと Unbridled 系を組み合わせてみるのはおもしろいでしょう。高い効果が得られる可能性があります。

■土曜小倉のかささぎ賞(3歳500万下・芝1200m)はエーシンヒットマン(1番人気)が逃げ切り勝ち。3馬身半差の楽勝で、1分07秒6というタイムも優秀。レースレコードです。http://www.youtube.com/watch?v=V6VfbSkwpcY

母エイシンヘーベは小倉2歳S(G3)の3着馬。もともと高いポテンシャルがあることに加えて、父キングカメハメハと相性のいい Tourbillon 系の My Babu を5×5で持ち、さらにこれも相性のいいサンデーサイレンスを持つわけですから、ケチをつけるところが見当たらないですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101274/

2011年1月24日 (月)

アメリカJCCはトーセンジョーダン

有馬記念好走組が人気に推されて飛ぶ、という光景を毎年のように目撃するレースですが、さすがに今年は◎トーセンジョーダン(1番人気)だろうと思いました。横綱相撲でしたね。これで重賞は2勝目。
http://www.youtube.com/watch?v=oPoi2bIeRVI

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△で馬単2840円、◎△▲で3連単18300円的中。『ウマニティ』は点数を絞ったため失敗しました。予想文を転載します。

「◎トーセンジョーダンは『ジャングルポケット×ノーザンテースト』という組み合わせ。クラフティワイフの牝系はトニービン系と絶好の相性を示しており、カンパニー、レニングラード、バトルバニヤンといった活躍馬もこのパターンにあてはまる。配合レベルはきわめて高い。好位につけて粘り強いという脚質はこのレース向きだろう。基本的には中距離タイプだと思われるので、ここ2走の2500mよりは今回の2200mのほうが条件はいい。有馬記念の反動は感じられない。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/

予想文にも書いたとおり、本馬の2代母クラフティワイフはトニービン系と相性抜群です。

             ┌ トニービン
           ┌○┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
トーセンジョーダン ―┤ └○┘
           └ エヴリウィスパー(=ブリリアントベリー)

             ┌ トニービン
           ┌○┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
カンパニー ―――――┤ └○┘
           └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

           ┌ トニービン
レニングラード ―――┤
           └ ブリリアントベリー(=エヴリウィスパー)

カンパニーとレニングラードの母ブリリアントベリーは、トーセンジョーダンの母エヴリウィスパーの全姉です。そして、3頭の父はいずれもトニービン系。

このような分かりやすいニックスを持っているので、トーセンジョーダンに関しては以前、某POGで指名していました。共同通信杯2着のあと、裂蹄で休養に入ったときは目の前が真っ暗になりましたが、いまから考えると無事だったとしてもクラシックではどうだったかなと思います。やはりこの血統は、カンパニーにしてもレニングラードにしてもそうですが、古馬になってから素質が開花する晩成型であり、トーセンジョーダンにもそうした傾向はあると思います。つまり、これからが旬なので、今年は本領発揮のサクセスストーリーを楽しむことができそうです。

父ジャングルポケットはスタミナ勝負に強いという特長がありますが、この馬は2000m前後を得意とする中距離型でしょう。同じ「ジャングルポケット×ノーザンテースト+Bold Ruler」のパターンから成るタスカータソルテに近いタイプですね。したがって、3200mの天皇賞・春に向いたタイプとは思えませんし、そこで◎を打つ気はありませんが、宝塚記念は楽しみですね。同世代のブエナビスタ、ナカヤマフェスタに加え、ヴィクトワールピサをはじめとするハイレベルな4歳世代にどう挑むのか、これは興味が尽きません。

2011年1月23日 (日)

Iffraaj と Park Appeal 牝系(後)

Iffraaj の血統で注目すべき点は、Park Appeal のファミリーに属することです。

 Park Appeal(f.1982.Ahonoora)チェヴァリーパークS(英G1)、他
  Pastorale(f.1988.Nureyev)
  │Kareymah(f.1996.Zafonic)カルヴァドス賞(仏G3)
  │Iffraaj(c.2001.Zafonic)パークS(英G2)[2回]、他
  アルヴォラ(f.1990.Sadler's Wells)
  │ディクタット(c.1995.ウォーニング)スプリントC(英G1)、他
  Cape Cross(c.1994.Green Desert)ロッキンジS(英G1)、他
  Vincennes(f.2004.King's Best)ケルン牝馬マイレ(独G3)

Park Appeal は現役時代、チェヴァリーパークS(英G1・芝6f)とモイグレアスタッドS(愛G1・芝6f)を制し、愛2歳牝馬のフリーハンデでトップにランクされた一流のスピード馬。その半姉に Desirable(チェヴァリーパークS)、半妹に Alydaress(愛オークス)がいるように、母 Balidaress の代からすでに名牝系と呼んで差し支えないのですが、そこから説き起こすと話が広がりすぎるので、Park Appeal 以降に話を絞ります。

この牝系から出た重要な馬は、Iffraaj のほかに、Cape Cross、ディクタットがいます。

Cape Cross は現役時代にG1を勝ったスピード馬でしたが、種牡馬としては期待をはるかに上回る成功を収め、09年のカルティエ賞年度代表馬 Sea the Stars や、04、06年の同年度代表馬 Ouija Board などを出しています。
http://www.pedigreequery.com/cape+cross

ディクタットは現役時代、スプリントC(英G1・芝6f)とモーリスドギース賞(仏G1・芝1300m)を勝ったほか、安田記念(G1)で2着という成績があり、種牡馬としても日本で2年間(08、09年)種付けを行いました。Dream Ahead(モルニ賞、ミドルパークS)と Rajeem(ファルマスS)が代表産駒。この2頭はいずれも「ディクタット×Cadeaux Genereux」という組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/diktat

Iffraaj は現役時代、パークS(英G2・芝7f)を2連覇したほか、レノックスS(英G2・芝7f)を4馬身差で圧勝しました。ただ、G1では2着が最高です。05年にスプリンターズS(G1)の選出馬となりましたが、出走を辞退しています。
http://www.pedigreequery.com/iffraaj

この3頭の牝祖 Park Appeal は、「Ahonoora×Balidar×シーホーク」という組み合わせで、The Phoenix 4×4という配合。主流から遠く離れた極上のアウトサイダー血統です。The Phoenix は日本ではライジングフレームの父として有名ですが、世界的にはメジャーとはいえません。Park Appeal は、非主流血脈で構成されながら高い能力を持つという点に価値があります。主流血統に対して大きなインパクトとなります。
http://www.pedigreequery.com/park+appeal

Iffraaj の特長として挙げられるのは堅い馬場への適性。現役時代、英ヨーク競馬場の芝6ハロンで、60キロを背負い1分08秒74というタイムを出しました。近親のディクタットは先に記したとおり安田記念2着馬で、Cape Cross 産駒の Ouija Board はジャパンC3着馬ですから、この牝系は日本向きの適性があるのではないかと思います。ただ、切れ味のあるタイプではないので1200~1400mがベストでしょう。

ちなみに Iffraaj とディクタットは単に近親というだけでなく、血統構成もよく似ています。

          ┌ Gone West(≒ウォーニング)
        ┌○┘
Iffraaj ――――┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
        └○┤
          └ Park Appeal

        ┌ ウォーニング(≒Gone West)
ディクタット ―┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
        └○┤
          └ Park Appeal

したがって成功パターンも似たようなものになるかもしれません。ディクタットが成功した Cadeaux Genereux 牝馬との交配はぜひ試してほしいものですね。残念ながら初年度にこのパターンは1頭もいませんでした。

Iffraaj 産駒はまだ日本で走っていませんが、いずれ入ってくるのは間違いないので、そのときは注目したいですね。

2011年1月22日 (土)

Miesque 死亡

『BloodHorse.com』の報道によると、80年代を代表する世界的名牝であり名繁殖牝馬であった Miesque が、1月20日、米ケンタッキー州のレーンズエンドファームで死亡したとのことです。27歳。
http://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/60909/miesque-top-racehorse-and-broodmare-dies

アメリカで生まれ、フランスのフランソワ・ブータン厩舎からデビュー。マイル路線で歴史的な強さを発揮し、2~4歳時に仏英米で16戦12勝(うちG1を10勝)という成績を残しました。アメリカへ遠征してブリーダーズCマイルを2連覇(87、88年)したのですが、1年目の勝ちタイムは1分32秒8(トラックレコード)、2年目は1分38秒6と、まったく異なる馬場コンディションにもかかわらず変わらぬ強さで圧勝したのは驚きでした。軽やかでいて力強いという、一見矛盾するような特長を併せ持った世紀の傑作でした。
http://www.youtube.com/watch?v=tMb5776H2aA
http://www.youtube.com/watch?v=NdZ7b_FErOA

繁殖牝馬としてもきわめて優秀で、Kingmambo(仏2000ギニー、ムーランドロンシャン賞、セントジェームズパレスS)、East of the Moon(仏1000ギニー、仏オークス、ジャックルマロワ賞)という2頭のクラシックホースを送り出し、このうち Kingmambo は名種牡馬となって、日本でもエルコンドルパサー、キングカメハメハなどの父となりました。
http://ahonoora.web.fc2.com/miesque.html

私事ですが、個人ホームページを作ったとき、ドメインに Miesque の名前を拝借しました。それぐらい好きな馬でした。
http://www.miesque.com/

Miesque を所有したニアルコス家は、「Miesque は我々の人生の一部でした」と声明を出しました。「彼女は唯一無二であり、我々に計り知れない喜びをもたらしました」。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!