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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
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2011年1月16日 (日)

社台グループが欧米セリで良血牝馬を大量購入(後)

社台スタリオンステーションにサンデー系が増殖しているのは周知のとおり。サンデー系が増えすぎて血の飽和を起こすのではないか、という意見もありますが、私はそうは思いません。たとえば仮に、サラブレッドを生産している国が日本だけだったり、あるいは欧米でも日本と同じようにサンデー系が大繁栄しているのなら、そうなる可能性もあるでしょう。しかし、もちろんそのようなことはなく、欧米では Northern Dancer 系や Mr.Prospector 系などの、旧来からある系統が相変わらず繁栄しています。サンデー系と交配可能な他系の牝馬は、海外に出向いてお金さえ出せばいくらでも買えます。幸いなことに社台グループは、それを可能にするだけの潤沢な資金に恵まれています。こんな状況で飽和など起こるはずがありません。あと10年もすれば、サンデーサイレンスのクロスを持つ馬が大レースを勝ち、サンデー系同士の配合も珍しくなくなるでしょう。

種牡馬事業で得た莫大な資金を、海外の良血牝馬の購買に注ぎ込むことは、サンデー系の発展を促すための投資です。サンデー系が健全に成長するために必要となる新鮮な栄養分を、どんどん海外から運んできているわけです。繁殖牝馬のレベルが上昇し、しかもサンデー系が強くなるわけですから一石二鳥です。

「種馬は数打たなきゃ当たらない」という哲学のもと、かつて社台グループは海外の種牡馬を毎年のように導入していましたが、最近は繁殖牝馬の導入に力点を置き換えているような気がします。ある時期を境に、海外から種牡馬を導入して新たな系統を見つけ出そうという考えが後退し、サンデー系を筆頭とする内国産ラインをしっかり育てていこう、という方向に舵を切ったのではないでしょうか。新たな系統を導入するにしても、国内で走った馬のなかで優秀なものを用いれば事足りる、と。“種牡馬による血の更新”から“繁殖牝馬による血の更新”に比重が移っているような気がします。

種牡馬の分野でも、繁殖牝馬の分野でも、国内においては比肩するものが見当たらない社台グループ。これではほかの牧場は追いつけないではないか、とお考えになる方が多いと思います。しかし、ひとつだけやっていない(であろう)ことがあります。それは、アガ・カーン四世殿下がやっているような血統表をベースとした交配種牡馬の選定です。これを社台グループが始めたら半永久的に追いつけないと思います。しかし、やっていないとしたら、その王権は絶対的なものではなく、知恵を使って闘えばまだ革命の起こる余地はあるでしょう。

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