日曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったダイワソウルはユニークな配合構成の持ち主です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105538/
どこがユニークなのかというと、父スペシャルウィークの3代母ミスアシヤガワと、自身の4代母健宝がほとんど同じ血統構成なのです。「ミスアシヤガワ≒健宝4×4」という近似血脈のクロスが生じています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1955100581/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a003277/
┌ヒンドスタン
ミスアシヤガワ―┤ ┌プリメロ
└シラオキ┤
└○┐
└スターカップ
┌ヒンドスタン
健宝 ―――――┤ ┌プリメロ
└トキノタカラ┤
└スターカップ
両馬の母シラオキとトキノタカラが4分の3同血で、いずれもヒンドスタンと交配しているため、ミスアシヤガワと健宝はきわめてよく似た血統構成となっています。
ミスアシヤガワは、皐月賞馬シンツバメの全妹、年度代表馬コダマの半妹にあたります。健宝は、現役時代にケンホウの名で走り、桜花賞を制しています。両馬の牝祖スターカップは帝室御賞典(天皇賞の前身)と農林省賞典競走を勝った女傑です。
この牝系は、百数十年に及ぶわが国の馬産のなかでも、有数の良血といっていいでしょう。クロスをさせて悪いわけがありません。ちなみに、1月のフェアリーS(G3)で4着となったメジロオードリーは、ミスアシヤガワ≒メジロボサツ4×4なので、ダイワソウルと似ています。
たとえばアメリカでは、La Troienne から出たファミリーのように、似たような配合パターンからハイレベルな競走馬が幾頭も出現し、それらが代を経て交配されることによって、さらに大きな活力を生み出しているという好循環がよく見られます。トライマイベストと El Gran Senor を産んだ Sex Appeal(Busanda≒Mr.Busher 2×3)や、Seattle Slew と Lomond を産んだ My Charmer(Striking=Busher 3×3)などがそうです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a008298/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a008080/
馬産の厚み、そして知性を感じさせるこうした配合を眺めるにつけ、やはりアメリカ生産界は偉大だと思わずにはいられません。
日本ではバブル期以降、大量の輸入馬によって血統が更新され続け、在来牝系がどんどん淘汰されています。そのため、ある名牝系を基軸とした近似血脈のクロスというものがほとんどなく、あったとしても外国で作られたものを借りる形となっています。血統の更新によってレベルが上昇したのは確かですが、それだけではいつまで経っても欧米の後追いでしかありません。近づくことはできても追い越すことは難しいでしょう。
名牝系をさらなる高みへ押し上げ、ひいてはわが国の馬産水準を上昇させるには、意匠を凝らした配合デザインによって、メイド・イン・ジャパンの“名牝を組み込んだ近似血脈のクロス”を作っていくことが重要なのでは、と思います。
『web競馬王』の新馬戦予想では、もちろんダイワソウル(6番人気)に◎を打ちました。◎▲で馬単8000円的中です。予想文を転載します。
「◎ダイワソウルは『スペシャルウィーク×ドクターデヴィアス』という組み合わせ。ミスアシヤガワ≒健宝4×4はおもしろい。本馬とよく似た血統構成のヒシポジション(母の父の部分が違うだけ)は新馬戦を勝ち上がっている。スペシャルウィークは芝1800m以上の新馬戦で連対率25.9%と好成績。抜けた馬が見当たらないここなら勝ち負けになる。」