キングカメハメハは Never Bend 血脈と相性がいい。これは初年度産駒がデビューした当初から言い続けてきたことで、昨年春に刊行された『負けないPOG入門』(競馬王新書)でも、「キングカメハメハの母系はトゥールビヨン-ジェベルの影響が強いので、ネヴァーベンド、ダマスカス、ラジャババ、リュティエ、パーソロンといった血が入るのは好ましい。」と記しています。
マンファスに入る Djeddah と Hugh Lupus には、フランス血統の強い凝縮があります。
Djeddah はフランスのマルセル・ブサックの生産馬。現役生活を引退後、アメリカへ渡り、Never Bend の母の父となりました。Durban≒Heldifann 3×2という強度の全姉妹クロスを持っています。Durban は Tourbillon の母です。
http://www.pedigreequery.com/djeddah
一方、Hugh Lupus は、マルセル・ブサックの生産馬ではないものの、Tourbillon 2×3という強度のクロスを持っています。
http://www.pedigreequery.com/hugh+lupus
やや強引ながら、キングカメハメハの母マンファスは Djeddah≒Hugh Lupus 6×4といえます。それぞれが強い凝縮を持った特殊な配合なので、並のクロスよりもはるかに影響力が強いはずです。
キングカメハメハの交配相手に Tourbillon-Djebel 血脈を持ってくると、マンファスが持つ Djeddah≒Hugh Lupus を強化します。これが『負けないPOG入門』に記した部分の真意です。
Never Bend は2頭の傑出した種牡馬を送り出しました。1頭は Mill Reef。もう1頭は Riverman です。2頭ともキングカメハメハと好相性を示しています。
「キンカメ+Mill Reef」はローズキングダムとアドマイヤテンクウが、「キンカメ+Riverman」はフィフスペトルとコスモセンサーが代表産駒です。成績を示してみましょう。
■キンカメ産駒全体
全連対率 20.9%
芝連対率 20.2%
ダ連対率 22.2%
■キンカメ+Mill Reef
全連対率 25.3%
芝連対率 25.4%
ダ連対率 25.0%
■キンカメ+Riverman
全連対率 27.1%
芝連対率 21.9%
ダ連対率 33.3%
いずれもキングカメハメハ産駒全体の成績よりも上昇しています。母系に Mill Reef または Riverman を持つキングカメハメハ産駒は今年のPOGでも要注目です。
Mill Reef と Riverman は血統構成がきわめてよく似ているため、仮にある血脈と Mill Reef が好相性を示した場合、たいてい Riverman との組み合わせでもうまくいきます。その逆もしかり、です。
http://www.pedigreequery.com/mill+reef
http://www.pedigreequery.com/riverman
┌ Never Bend
Mill Reef ―┤ ┌ Princequillo
└○┤ ┌ Count Fleet
└○┘
┌ Never Bend
Riverman――┤ ┌ Princequillo
│ ┌○┤ ┌ Count Fleet
└○┘ └○┘
Mill Reef は、母 Milan Mill が「Princequillo×Count Fleet」。Riverman は、母の父 Prince John が「Princequillo×Count Fleet」です。
じつは、キングカメハメハの父 Kingmambo は、4代母 Neriad がこれらと同じ「Princequillo×Count Fleet」です。
http://www.pedigreequery.com/milan+mill
http://www.pedigreequery.com/prince+john
http://www.pedigreequery.com/neriad
┌ Princequillo
Milan Mill ―┤ ┌ Count Fleet
└○┘
┌ Princequillo
Prince John ―┤ ┌ Count Fleet
└○┘
┌ Princequillo
Neriad ―――┤ ┌ Count Fleet
└○┘
キングカメハメハの母系に Mill Reef または Riverman が入ると、マンファスが持つ Djeddah≒Hugh Lupus を強化するだけでなく、「Neriad≒Milan Mill」または「Neriad≒Prince John」が生じることになります。これも相性の良さの補強材料です。