アローフィールドとスニッツェル
オーストラリアのアローフィールドスタッドのサイトを見ていたら、ニュース欄に「Snitzel two-for-two in Japan」という記事があるのを発見しました。スニッツェル産駒が日本で2戦2勝、という意味です。先週、函館の新馬戦で産駒が勝ち上がったスニッツェルは、現在、アローフィールドスタッドに繋養されています。
http://www.arrowfield.com.au/
同スタッドは、社台スタリオンステーションの種牡馬がオーストラリアへシャトル種牡馬として渡ったとき、その受け入れ先となった牧場です。フジキセキやクロフネやフレンチデピュティなどはここで供用されました。
現在は10頭の種牡馬が繋養されており、種付料が公表されている9頭のうち、スニッツェルは上から数えて6番目の価格(2万7500ドル=約220万円)。アローフィールドに繋養されているぐらいですから上級種牡馬であることは間違いありませんが、超一流という扱いではありません。スニッツェルの父 Redoute's Choice はなんと17万6000ドル(約1400万円)。1頭だけ段違いの価格です。
Redoute's Choice は、05/06年にデインヒルの7連覇を阻んでオーストラリアのリーディングサイアーに輝きました。デインヒルの息子なので、日本でいえばサンデーサイレンスに代わってアグネスタキオンがリーディングサイアーになったようなものです。
http://www.pedigreequery.com/redoutes+choice
その後は、3位→10位→2位と来て、09/10シーズンは現時点で2位。高額賞金レースはもう組まれていないので、おそらくこのままの順位でフィニッシュするでしょう。特長はなんといってもスピード。オーストラリアは世界一の芝短距離王国で、2歳戦も盛んです。こうした路線で好成績を挙げる種牡馬が好まれる傾向にあります。Redoute's Choice はまさにそうしたタイプの種牡馬といえます。
スニッツェルは、09/10シーズンの2歳種牡馬ランキングで現在4位。新種牡馬ランキングでは2位。計27頭が出走して8頭が勝ち上がっています。出世頭の Chance Bye はシルヴァースリッパーS(豪G2)を勝ちました。なかなか優秀な成績なので、種付料は今後さらに上がっていきそうです。
http://www.pedigreequery.com/chance+bye
09/10シーズンの豪種牡馬ランキング上位10頭は以下のとおり(6月20日現在)。
1位 Encosta de Lago(AUS)1993 by Fairy King
2位 Redoute's Choice(AUS)1996 by デインヒル
3位 Street Cry(IRE)1998 by Machiavellian
4位 Lonhro(AUS)1996 by Octagonal
5位 Testa Rossa(AUS)1996 by ペルジノ
6位 コマンズ(AUS)1996 by デインヒル
7位 More Than Ready(USA)1997 by サザンヘイロー
8位 Fastnet Rock(AUS)2001 by デインヒル
9位 Zabeel(NZ)1986 by Sir Tristram
10位 High Chaparral(IRE)1999 by Sadler's Wells
このうち、アローフィールドに繋養されているのは Redoute's Choice のみ。残り9頭の繋養先は以下のとおりです。
クールモア:3頭……Encosta de Lago、Fastnet Rock、High Chaparral
ダーレー:3頭……Street Cry、Lonhro、コマンズ
ヴァイナリー:2頭……Testa Rossa、More Than Ready
ケンブリッジ(NZ):1頭……Zabeel
かつてデインヒルやラストタイクーンを擁して栄華を誇ったアローフィールドも、クールモアやダーレーの勢いにやや押され気味といったところです。Redoute's Choice が健在なうちにもう1、2本、柱を育てたいところでしょう。スニッツェルにはその期待がかかります。
青木義明氏が競馬通信社を再興なさったようですね。
栗山さんらがまた集まって、血統の本を出すということはないのでしょうか?密かに期待しています。
それと栗山ニックスの単行本はでないのですか?!
投稿: 馬好き | 2010年6月23日 (水) 16:15
時間的・金銭的余裕があればご期待に応えられると思うのですが、残念ながら現状ではそう簡単ではないという感触ですね。いい方向に持っていきたいという希望はつねにあります。栗山ニックスの単行本化はありません。仮にまとめるとしても最新データに基づいて記述を改めなければなりませんね。いろいろお気遣いありがとうございます。
投稿: 栗山求 | 2010年6月23日 (水) 23:35