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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2009年12月

2009年12月15日 (火)

冬はやっぱりクロフネ

昨日はDeputy Ministerの話を書きましたが、今日はその系統の最前線で頑張るクロフネについて。

先週、2歳戦だけでクロフネ産駒は3頭が勝ち上がりました(アイアムイチバン、ビーチランデブー、プリティカポレイ)。これ以外に、ベストクルーズが阪神ジュベナイルフィリーズで3着。勢いに乗っています。

クロフネは完全に冬型の種牡馬です。月別の成績を見ると、11月から2月までの4ヵ月間のみ連対率が20%を超えており、それ以外の月はいずれも20%未満です。

11月~2月 22.9%
3月~10月 16.0%

なぜこれほどの差が出るかというと、寒い時期になるとヤル気が出るということではなく、単純にダートが得意だからでしょう。あらためて言うまでもなく冬場はダート戦が増え、芝戦が減ります。ダートを得意とするクロフネにとっては待ちに待った季節です。

11、1月の京都ダ1200m、12、1月の中山ダ1200&ダ1800mはクロフネの天国といっていい条件です。いずれも連対率が30%を超えています。

11月21日の貴船S(京都ダ1200m)では、クロフネ産駒のラインプレアー(8番人気)、サラトガ(11番人気)がワン・ツー・フィニッシュを決め、馬連17650円の大穴となりました。少々人気のない馬でもこの条件では激走することがあるので要注意です。

京都ダ1200m、中山ダ1200m、中山ダ1800mは、クラス別に狙いを絞るとさらに成績がアップします。

◎京都ダ1200m
  新馬戦はダメだがそれ以外はまんべんなく強い
◎中山ダ1200m
  新馬戦から500万条件までが狙い目
◎中山ダ1800m
  500万条件はイマイチだがそれ以外は買い

中山の午前中は宝の山。血統で馬券を買うなら早起きしたいものです。

2009年12月14日 (月)

母系に入って輝くDeputy Minister系

阪神ジュベナイルフィリーズは、1~3着馬がすべてDeputy Ministerを持っていました。1着アパパネ、2着アニメイトバイオはいずれも母の父がDeputy Minister系。3着ベストクルーズは父がDeputy Minister系。

たまたま偶然そうなっただけなので、ここに余計な意味づけをするのはあまり意味がないでしょう。ただ、「母系に入った際のDeputy Minister系の優秀さ」というのは、最近とみに感じることではあります。

カネヒキリ、マチカネニホンバレ、カジノドライヴは、いずれも母の父がDeputy Ministerでした。サクセスブロッケンは2代母の父がDeputy Minister。ここ数年、ダート界を賑わせた主役級の面々の多くに、この血が入っています。

確かにダートで抜群の力を発揮する血ではあります。しかし、最近はそれだけではないものを感じます。昨年の菊花賞を勝ち、今年のジャパンCで2着となったオウケンブルースリは、母の父がSilver Deputy(その父Deputy Minister)。今回勝ったアパパネの母の父はSalt Lake(その父Deputy Minister)です。

Nijinsky、Lyphard、Danzig、Sadler's WellsといったNorthern Dancer系のメジャー系統と比べて、日本におけるDeputy Minister系は、フレンチデピュティが入るまではそれほどポピュラーなものではなかったので、逆に目立ちますね。

この先マークしたいのは「母の父フレンチデピュティ」。前出のアニメイトバイオがそうです。それ以外にも、スズカコーズウェイ(京王杯SC-G2)、ブレイクランアウト(共同通信杯-G3)などがこのパターンです。現時点における芝コースでの連対率は35.7%(56戦20連対)。かなり優秀です。来年の2歳世代には「母の父フレンチデピュティ」が50頭以上います。POGで勝つためにはチェックすべきかもしれませんね。

2009年12月 9日 (水)

アラブの名牝の子トライバルシンが新馬戦5着

トライバルサンダーといえば、兵庫大賞典(兵庫)、播磨記念(姫路)、オグリオー記念(笠松)などを制したアラブの名牝。その息子トライバルシン(父ラムタラ)が、先週日曜の中山6R新馬戦(芝1200m)で5着となりました。

アングロアラブのトップクラスは、地方競馬のサラブレッド上位クラスと比較してもそう大きく見劣るものではなかったので、地方競馬でアラブ系限定競走が消滅したといっても、その血を絶やさずサラブレッドに混じって走らせるのは、ごく当たり前の選択だと思います。

ただ、地方競馬ではなく中央競馬で、しかもダートではなく芝で好走したとなると、かなり凄いことですね。3歳上の全兄ゴールドサンダーは荒尾ダービー2着、2歳上の半兄トライバルジャパン(父タヤスツヨシ)はJRAで未勝利戦2着(ダ1200m)ですから、母トライバルサンダーは繁殖牝馬としてサラブレッドに見劣ることはありません。

ゴールドサンダー、トライバルジャパン、トライバルシンの兄弟は、アラブ血量13.46%。25%以上でないとアングロアラブではないので、サラブレッド系種ということになります。

ここ数年、JRAでデビューしたアングロアラブ由来のサラブレッド系種には、前出のトライバルジャパンのほかに、ジャンボ(父マキシムトライ)がいます。母マキシムオージョは全日本アラブクイーンC(園田)、名古屋杯(名古屋)など8つの重賞を制した名牝。2005年12月4日に芝1800mの中山新馬戦に出て12着と敗れ、地方競馬に転出しました。

トライバルシンは、このまま競走生活を続ければ、勝ち上がる可能性が高いのではないかと思います。ダート替わりに注目です。

2009年12月 7日 (月)

トキノガバナーのレコード、33年ぶりに破られる

競馬を始めたころ、中山競馬場の2歳レコードといえば、芝1600mのマルゼンスキー(1分34秒4)と、ダート1200mのトキノガバナー(1分10秒9)が印象的でした。いずれも1976年12月に樹立されたという共通点があったからです。

マルゼンスキーのタイムは1990年にリンドシェーバーによって破られました。トキノガバナーはずっと生き続けました。現役コース(日常的にレースが行われているコース)のレコードとしては最古のものではなかったかと思います。競馬を始めて30年近く、トキノガバナーの名前を、競馬新聞のレコード欄で何百回見たことでしょう。

12月6日(日)、中山7Rの2歳500万下で、このレコードは破られました。勝ち馬はアイアムルビー。タイムは1分10秒2。33年ぶりの更新です。

旧レコードホルダーのトキノガバナーは、父コントライト、母ミススウイフト(その父リンボー)という血統で、全日本3歳優駿を勝ったバトラーの半弟です。War Admiral 4×3があり、いかにもパワー型のスピード馬といった配合です。父コントライトは名馬テンポイントの父でもあります。

1976年12月26日、9頭立ての300万下(現在の500万下)で、後続を6馬身ちぎって逃げ切り、レコードを樹立しました。前日まで降った雨の影響で馬場コンディションは不良。時計の出やすい馬場だったようです。ちなみにその前週にトウショウボーイがテンポイントを破って有馬記念に優勝しています。当時は5回中山3週目に有馬記念が行われ、最終週にステイヤーズSと中山大障害が組まれていました。

トキノガバナーはその後、ヒザの骨折が判明して8ヵ月半の休養。復帰戦7着のあと、1977年9月25日の600万下(現在の1000万下)を3馬身半差で勝利したものの、再び不安が発生し、地方競馬に転出しました。通算9戦3勝。その後、どうなったかは資料がないので分かりません。

生産者の桑原博氏とは面識がありませんが、そのご子息とは20年近く前に、競馬通信社という会社で一緒に働いたことがあります。たまたま年が同じだったこともありよく覚えています。こんなことはどうでもいいですね。

トキノガバナーのレコードは、33年間、中央競馬のレコードでもありました。他の競馬場でもこのタイムを上回る馬は出なかったのです。アイアムルビーが新たなレコードを樹立すると、JRAホームページの「データファイル」にあるレコードタイム表から、トキノガバナーの名前はひっそりと消えました。もうその存在を思い出す人もいないでしょう。ちょっと切ないですね。

2009年12月 6日 (日)

ジャパンCダートが終わって

web競馬王の予想では、本命エスポワールシチー、対抗シルクメビウスで本線的中。なにがなんでも逃げるという意志は感じられず、他が積極的に行く素振りを見せなかったので、それなら、という感じで佐藤哲三騎手が行ったように見えました。完勝でしたね。

1着エスポワールシチー、2着シルクメビウス、3着ゴールデンチケット、4着サクセスブロッケン、5着アドマイヤスバルと、掲示板に載った馬はすべてサンデーサイレンスを持っています。もはやダート界でも、トップレベルではサンデーの血を持たねば通用しづらい時代になっているということでしょう。カネヒキリやヴァーミリアンもサンデーを持っていました。サンデーは芝向きの血ですが、そうした適性云々ではなく、「単純に能力を底上げする血」として、この先さらに存在感を増していくことになりそうです。

2009年12月 5日 (土)

ミカエルビスティーと「Nothirdchance≒Revoked」

先週の未勝利戦で目を惹いたのがミカエルビスティー(父ネオユニヴァース)。11月29日(日)の東京3R(芝1800m)を1分47秒1の好タイムで楽勝しました。勝ちっぷり、上がりタイムも文句なし。暮れのラジオNIKKEI杯2歳S(G3・阪神芝2000m)に進むそうですが、勝ち負けを争うレベルでしょう。

サンデーサイレンスは Storm Cat との相性が悪く、母系にこの血が入った馬で重賞を勝ったのはブラックタキシード(セントライト記念)しかいません。ミカエルビスティーはその半弟(厳密には4分の3弟)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103154/

この配合で重要なのは母系にある Revoked でしょう。サンデーサイレンスの父父母(つまりHail to Reasonの母)Nothirdchance とは近似血脈の関係にあります。母方に Revoked を持つサンデー産駒は、前出のブラックタキシードの他に、ハーツクライ、ダイヤモンドビコー、クワイエットデイ、ジョービッグバン、エアウイングス、サンデーブランチなどがいます。5代以内にこの配合パターンを持つ競走馬は20頭に満たず、そのなかからこれだけの活躍馬を出しているわけですから驚くべき確率です。

父サンデーと相性の悪い Storm Cat を持ちながらブラックタキシードが重賞を勝ったのは、このネガティヴニックスを帳消しにしてお釣りまでくる Revoked の威力ではないでしょうか。

「Nothirdchance≒Revoked」恐るべし、です。

2009年12月 4日 (金)

またアグネスタキオン産駒が

ダノンパッションが屈腱炎のため戦線離脱となりました。今年の2歳世代で2勝目を挙げたアグネスタキオン産駒は、リルダヴァル、リディル、ダノンパッションの3頭。これらはすべて故障したことになります。

アグネスタキオンは、サンデーの後継種牡馬のなかでは最もサンデーに似ており、総合的な能力ではナンバーワンではないでしょうか。しかし、脚もとの弱さという点でも、残念ながらナンバーワン。

これまでに脚部不安で早期リタイアしたり長期休養に入った素質馬は、上記の3頭の他にも、ホッコータキオン、ミステリアスライト、ダノンジュンコウ、ヴァルプリス、ダイワカンパニー、ヒサクィーンなどがいます。

また、トップクラスまで上り詰めた馬でも、ダイワスカーレット、ディープスカイは屈腱炎で引退、キャプテントゥーレ、アドマイヤオーラ、ロジックは骨折しました。この確率は尋常ではありません。かつて、マルゼンスキーやリアルシャダイなども故障の多い種牡馬でしたが、これほどではなかったですね。

来年のPOGでは、タキオン産駒を避ける動きが当然出てくるでしょう。その分、現役時代に脚もとが丈夫だったディープインパクトに指名が流れるかもしれません。

競馬王 2011年11月号
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